「サンヤン島観光(前)」(2018年11月07日)

バンテン州チレゴンのムラッ港に海軍の艦艇タンポソ号と警備艇バダッ号が接岸した。待
っていたおよそ百人の民間人が続々と乗り込む。ご婦人方の集団も混じっている。スンダ
海峡を渡るフェリーの航路にほど近い、バンテン州海域の端に位置するサンヤン(Sangiang)
島をこれから目指すのだ。

面積およそ7百Haのサンヤン島はセラン県アニェル郡チコネン村の行政区に属している。
Sangiangが通例のインドネシア語文節法に従ってsa-ngiang(サギアン)と発音されないの
は、語源がsang hiangの二語からできているためだ。

サンヤン島でダイビングを楽しむために、バンテンダイバーズコミュニティ、バダッダイ
ビングクラブ、クラカタウダヤ電力会社同好会、セラン漁業高等学校、サカバハリスカウ
トなどの諸グループが、ダイビングの必要機材をかついで乗り込んだ。ご婦人のグループ
はサンヤン島内清掃の勤労奉仕に、島へ渡るひとたちだ。


午前7時半、二隻の船は離岸した。波穏やかな海に雲一つない空、そよ風が心地よい。西
に向かって巡行する船にいつの間にか5頭のイルカが付き添っていた。海面に現れてはま
た潜りながら道連れになってくれているかれらを見つけたひとびとの間から、歓声が上が
った。

およそ45分の航海はすぐに終わった。船はサンヤン島のトゥンブユン埠頭に接岸したの
だ。水は高い透明度で澄み通り、分厚いサンゴ礁の姿をさらけ出している。その間を魚た
ちが自在に駆け巡っている。

埠頭の周辺にはヤシの太い幹が海底に打ち込まれて、船による損傷を防いでいる。ダイバ
ーたちはそこで木造船に乗り換えた。島の東側にあるダイビングスポットまで送ってもら
うのだ。

30分あまりでダイビングスポットに到着した時、ダイバーたちはゴーグル・フィン・ボ
ンベなどの装備を用意し終えていた。かれらは入れ代わり立ち代わり、海中に滑り込んで
行く。

一時間ほどすると、かれらは海面に浮上してきて、休憩した。海底は水が澄んでいて、チ
ョウチョウウオ・エンゼルフィッシュ・クマノミなどたくさんのコーラルフィッシュが泳
いでいるとかれらはうれしそうに話してくれた。海底の光景は実に美しく、運が良ければ
タイマイやアオウミガメの悠然と泳ぐ姿に出会えるそうだ。[ 続く ]