「ボラ(1)」(2018年12月03日)

ボラ(bola)は球や玉を意味するインドネシア語だ。ちなみに目はタマでなくマタ(mata)で
あり、眼玉(眼球)はbola mataとなる。

インドネシア語では、修飾する語が修飾される語の後ろに置かれて、その関係を規定する。
この法則をインドネシア語でDiterangkan(説明される言葉)Menerangkan(説明する
言葉)という語順にちなんでDM法則と言う。例外はもちろんあるが、原則はそれだ。


bola mataがあればmata bolaもある。Sepasang Mata Bolaはイスマイル・マルズキが作
った有名なクロンチョン歌曲のタイトルで、玉のようにぱっちりと開かれた、澄んで潤い
を持つ女性の目が歌詞の中にうたわれている。

インドネシア女性のそんな瞳に陥落してしまった男たちは、国内外にきっとたくさんいた
ことだろう。


球のボラは球技スポーツに使われる。
bola basket = バスケットボール
bola tangan = ハンドボール
bola voli = バレーボール
bola sodok = ビリヤード
などとなっているが、
野球 = bisbol
ソフトボール = sofbol
と一語で英語訛りのインドネシア語にされている。それは良いとして、サッカーだけは奇
妙なことになっているのである。

現代インドネシア語でサッカーはsepak bolaとされ、明らかにDM法則から逸脱している。
昔、テレビ放送が国営テレビ一局だけだったころ、サッカーはbola sepakと呼ばれていた。
1990年代はテレビ放送百花繚乱の時代になり、そしてそのころからすべてのアナウン
サーはsepak bolaあるいは略してbolaとだけ言うようになった。

マレーシアでは文法に則したbola sepakが依然として使われている。ちなみにマレーシア
では、
バスケットボール = bola keranjang
バレーボール = bola tampar
と呼んでいる。tamparはインドネシア語と同じ意味であり、確かにボールはtamparされ
ているのである。[ 続く ]