「ボラ(2)」(2018年12月04日)

インドネシアでbolaと言えばsepak bolaを意味しており、main bolaやnonton bolaが慣用
表現になった。ジャワ語ではmain bolaをbal-balanと言うらしい。ボールを我が物にして
敵の妨害をすり抜け、ドリブルしながら敵のゴールを目指して突き進むわが姿とわが技法
に有頂天になっているプレーヤーの姿をその言葉は連想させるらしい。

サッカーの試合では、さまざまな技法に名前が付いている。
dribbleをインドネシア人アナウンサーもドリブルと言う。インドネシア語綴りはdribel
だ。

この国民的足蹴りボール遊びに国中の男の子たちが携わっているが、さすがに子供たちは
ドリブルよりもngocok bolaを多用する。普通kocokされるものは水薬や飲み物・卵・カー
ド・腹などだが、子供たちはボールをkocokするのも大好きだ。

マレーシアではドリブルをmengelecekあるいはmengelicikと呼び、またその別名にgo-
rengという語が使われる。menggoreng-goreng bolaはインドネシア人も使う。

ドリブルで敵陣へ突っ込んで行くと、タックルの嵐が渦巻く。英語tackleはインドネシア
語のtekel(テクル)になった。men-やdi-を付けて動詞として使われる。サッカーの試合
から離れた日常生活にもtekelは使われる。そこでの意味は「引き受けて実行する」とい
うもので、英語の原義に沿ったものになっているようだ。

パスpassはオプランoperan。インドネシア語のオプルoperはオランダ語オーファーover
に由来しており、交代する・代わる・移す・送るなどを意味する。

カーブシュートscrew shotはバナナの形状に例えられて、tendangan pisangと呼ばれる。
他にもインドネシア語化されている言葉はたくさんあるが、その一部は次のようなもの
だ。
フリーキックfree kick = tendangan bebas
スローインthrow-in = lemparan ke dalam
ヘディングheading = sundulan, menyundul
クロスcross = umpan silang
スルーパスthrough ball = operan terobosan
シュートshoot = tembakan
ゴールgoal = gawang, gol
ゴールキーパーgoalkeeper = kiper
こぼれ球loose ball = bola muntah
死球dead ball  =  bola mati
ペナルティエリアpenalty area/box = kotak penalti
ペナルティマークpenalty mark = titik putih
[ 続く ]