「構造的なLCCブーム(前)」(2018年12月12日)

2007年のグローバル旅客空運で16.5%のシェアしかなかったLCC業界が、20
17年には28.7%までシェアを広げている。インドネシアの航空機搭乗旅客数は20
14年に8,522万人だったものが、2017年は1億1,025万人となって1億人
の大台に乗った。インドネシアの航空機離陸件数も、2014年の67.5万件から17
年には91.6万件まで目を瞠るような伸びになっている。

アセアンのトップ3国を見てみると、インドネシアに続いてタイが4,655万人から7,
119万人に、三位のマレーシアは4,967万人から5,819万人へと増加している。
インドネシアの乗客数の目覚ましい伸びは国内線のLCC運航が大きな貢献ファクターに
なっており、国内線乗客数で世界のトップ4に入る勢いだ。グローバル番付では中国・米
国・インドが三大国である。2036年にはインドネシアの国内線乗客数が3億6千万人
に達するだろうという予測すらなされている。

コンパス紙が航空券予約サイトでひと月先の料金を調べたところ、スカルノハッタ空港発
ドンムアン空港行のLCCで92万ルピアというオファーが見つかった。3時間40分の
フライトで、委託バゲージは20キロまで無料。同じ日のフルサービスフライトは360
万ルピアで、バゲージは30キロまで無料。他には通常の飲食とエンタメが付く。スカル
ノハッタからスワルナブーミ空港行きだが、機内に座っている時間は同じだ。

そこまで料金に開きがあるなら、飲食品を別料金で買ってもお釣りが来る。こうして、乗
客の中には航空券購入時に飲食品を一緒に注文するひとが出てくる。航空会社はそのよう
な客に飲食品代金の割引を与えるのが普通だから。


LCC業界の発展著しいころ、フルサービス航空会社は続々とLCC子会社を作った。ガ
ルーダ航空がシティリンクを、カンタス航空がジェットスターを、シンガポール航空がス
クートを。スクートは今やベルリン、アテネ、ホノルルとシンガポールを結ぶ長距離航路
を開設し、B787ドリームライナーを飛ばしている。[ 続く ]