「電子KTP異変〜国は美田なり(終)」(2018年12月21日)

その夫婦が知人と呼んだのはニセモノ電子KTPシンジケートのメンバーで、その夫婦の
ような顧客をつかんだシンジケートは担当者を適宜入れ替えながら組織の足がつかないよ
う巧みに偽装し、個別セル活動スタイルで顧客と接触を続けていたようだ。

国家警察にせよ、中銀通貨取引分析報告センターにせよ、汚職や麻薬犯罪、テロ犯罪やマ
ネーロンダリングなどの事件が発覚するたびに、ニセモノ電子KTPが銀行口座開設に一
役買っていたことは周知の事実になっている。

当局側は銀行に何かをしてもらう必要があるという強い希望を持っているものの、上で述
べた国民のソーシャルビヘイビアに拒絶反応を起こさせない内容にしなければ実現の見込
みはないだろう。電子KTPの線からその真贋を判定する方策が果たして可能なのだろう
か?


それらの犯罪事件はそれとして、もうひとつもっと巨大な犯罪がこの電子KTP異変にか
らんでいることを、識者たちは指摘している。それは電子KTPが代表している選挙投票
権の売買である。

住民データから作られる有権者名簿は信頼性がなく、政界エリートにしろ民間団体からに
しろ、内容がでたらめだと非難されたら、猫の目のようにころころと変わるのは昔からの
見慣れた姿だ。

投票日当日に投票所管区内の住所が記された電子KTPを持つ集団が押しかけてきて、
「有権者名簿はでたらめだ。投票させろ。」と強談判されたとき、有権者名簿を優先して
押し通せる投票管理委員がどれほどいるかという問題になっていくにちがいあるまい。そ
こまで先鋭化しなくとも、電子KTPを持っていれば住所に応じた投票所で投票させてか
まわない、という判断がかつて投票日の前に出されたことがあったようにわたしの記憶に
は残っている。

役所で管理されている国民データよりも、電子KTPカードを持っている者のほうが強い
という現象から金銭的利益を引出したい者たちがどのようなことを行うか、その可能性は
もう上に記述されているのではないだろうか。

2019年国会議員・大統領総選挙に向けて各種犯罪が高まりを見せているのは、イドゥ
ルフィトリに向けてラマダン月の物価が上昇して行くプロセスによく似ているように、わ
たしには見える。有識者の中には、汚職犯罪・麻薬犯罪・テロリズム・贋札犯罪などが起
している種々の渦巻きは政治権力争奪の大きな渦を中心にしてその合間を徘徊している竜
巻でしかない、と見る人もある。

ところで、トコペディアでロータスbdl が販売したブランク電子KTPの経路は、内務省
が既に糾明した。東ジャワ州トゥランバワン県住民管理市民登録局長を退職した人物がそ
の職にあったとき、局長の子供が父親の執務室からブランク電子KTPを10枚盗み、そ
れがインターネットで売りに出されたものである、と内務大臣自らが公表したのである。
その事件は既に警察に届けが出されたとのことだ。[ 完 ]