「オーバーセンシティブな価格感覚」(2018年12月24日)

いよいよインドネシア第二の帰省シーズンがスタートした。12月18日には、スッタ空
港第一ターミナルは早くもひとがひしめき合う状況が観測された。出発客のピークは12
月21日と28日、到着客で混み合う逆流ピークは19年1月6日と予想されている。

類似の混雑はクリスマスを祝う信徒たちの移動が起こる土地で必然的に発生する。今年は
そのハイシーズンを狙って、航空チケット料金が目に余る勢いで上昇しており、そのため
アンボンやパプアでは、激増した飛行機代にひとびとの苦情と愚痴が集まっている。


全国の大都市とパプアの玄関口、そればかりかパプア島内に張り巡らされた近距離航路に
も、凄まじい値上がりの波。ガルーダ航空ジャヤプラ〜クパンは,平常期3〜4百万ルピ
アのものが12月22日の便はなんと840万ルピア。バティックエアーのジャヤプラ〜
マカッサル航路は、平常期2百万ルピア台がなんと370万ルピア。島内ティミカ〜ジャ
ヤプラは平常期1百万ルピア台がなんと260万ルピア。

18年12月18〜31日のチケット料金を調べると、どの航空会社も軒並みの大幅値上
げだ。ジャヤプラ〜スラバヤは平常期180〜450万ルピアがこの時期は370〜68
0万、ジャカルタ〜アンボンやジャカルタ〜クパンも平常期から二倍近いアップになって
いる。ジャカルタ〜バリ間もすさまじい値上がり状況で、ピークと予想されている日に向
かって、日々値上がりしている印象が強い。

消費者はまず例外なく苦い顔で苦情を口にするものの、代替公共交通機関が存在しないか、
あっても時間効率が悪すぎる以上、航空券を買うか買わないかの二者択一しか選択の余地
はない。年に一度の宗教祭事を、いや宗教という衣をまとった家族の結びつきと愛をよみ
がえらせるその集いを数百万ルピアのために見捨てることのできる人間は滅多にいない。

というよりも、これは本人の意思を超えた社会的な義務感に突き動かされての行動になる
ものであり、そんな事情を熟知しているからこその値付けが行われるのである。


この種の狂乱物価が起こると、それは本来無関係な場所にまで波及するのが普通だ。それ
を便乗とも呼ぶが、熱気の特定ポイント集中というのは物理的に難しいという自然の摂理
なのかもしれない。バタム〜ジャカルタは平常期の相場が60万ルピア台なのに、11月
末には83万ルピアになり、今は120万ルピアになっている。ジャカルタから中部スラ
ウェシのパルへは180万ルピアで、これも平常期から倍増だ。

航空会社のこのような搾取を政府は何とかせよ、という声が庶民の間に渦巻くものの、イ
ンドネシアの公共交通料金はたいていが上限下限システムを用いた政府決定の形で営まれ
ている。航空券料金もそのシステムが使われており、ピークシーズンになると航空会社が
一斉に上限料金に近いところまで引き上げるのである。但し本当に守られているかどうか
について政府運輸省は目を光らせており、違反が発覚すれば警告措置が執られることにな
る。

ガルーダとバティックの二大フルサービス航空会社は上限料金を100%使えるものの、
スリウィジャヤやNAMなどのミドルサービス航空会社はその90%が上限とされ、その
他LCCは85%を上限としなければならない。