「交通渋滞は避けるか、折り合うか?」(2018年12月26日)

ジャカルタの交通渋滞は相変わらずの悲劇的な状況だ。人間存在を生産性に結び付ける現
代思想をこれほどまでに否定する文化にわれわれは一目置くべきなのか、それとも唾棄す
るべきなのだろうか?少なくとも、ジャカルタ駐在員がお世話になっている運転手たちの
あり方を見るなら非生産性原理が明白な形を取って目に映るに違いないとわたしは思うの
だが。

その現実を片脇に抱えながら、別の片脇で現地従業員を生産性に向けて叱咤していること
の分裂性に気付き始めると、われわれの精神は道化と化すことへの危惧に取りつかれてし
まいそうだ。

人間存在が生産性のためにあるのではないという原理を多少とも受け入れることのできる
心の余裕がパースペクティブの隙間に生じたとき、われわれの現代文明を見る目にも多少
の変化が生じるにちがいない。しかしそうなったらなったで、文明社会という悪魔の輪が
渦巻いている世の現実からスピンアウトできるのかという次の恐怖に追い立てられること
になる。誰かが言うように、考えすぎるということは確かに病気なのだろう。


交通渋滞という、非生産性の最たる檻に取り込められたひとびとは何をしているのだろう
か、というサーベイをコンパス紙R&Dが2018年11月24〜25日に行った。17
歳以上のジャボデタベッ住民481人から集めた統計はこのような内容になっていた。

自分の暮らしは毎日、交通渋滞に直面していて、一日も休みなしだと答えたひとは8割を
超えた。イギリスの交通リサーチ機関INRIXの2017年調査によれば、世界交通渋滞都
市2百傑の中でジャカルタは第12位になっている。

問1.仕事や用事を終えて帰宅しようとした時、道路が渋滞していたらどうしますか?
答1.
今までいた場所で緩和を待つ 52.2%
喫茶店・モール・フィットネスなどへ行く 18.8%
抜け道を探す 9.8%
渋滞の中に乗り入れる 8.1%

問2.交通渋滞に巻き込まれてしまったら、何をしますか?
答2.
抜け道を探す 39.9%
ラジオや音楽を聞く 19.9%
渋滞に従う・何もしない・止まるだけ 15.4%
ネットや電話をする 11.0%

問3.昨今の交通渋滞への対策に何をしていますか?
答3.
目的場所を目指して、朝早く出る/帰りを夜遅くにする 54.3%
抜け道を探す/道案内アプリを利用する 25.6%
オンラインオジェッを使う 15.8%