「ジャワ島を狙うインド洋津波(前)」(2019年01月14日) スンダ海峡に津波を引き起こしたアナクラカタウ火山島は18年12月27日に警戒ステ ータスが最高から一歩手前のシアガに引き上げられたあと、火山活動は更に激しさを増し ている。19年1月8日のバンテン州セラン県アニェル郡パサウラン火山観測所のデータ によれば、その日午前0時から18時までの間に46回噴火が起こり、濃灰色の噴煙が高 さ1千メートルまで立ち昇った。 現地では、火口から半径5キロ以内への接近は厳禁されており、またスンダ海峡沿岸部住 民に対しては、1月22日の津波の実体験に鑑みて海岸線から5百メートル内陸部までの 区域が警戒地区に指定されている。立入禁止ではないが、その区域に入る場合は常に警戒 を怠らないよう注意が促されているとのことだ。 一方、スマトラ島西方からジャワ島南方にかけてスンダメガスラストと呼ばれるプレート 衝突ラインが海底を走っている。そこはインド=オーストラリアプレートとユーラシアプ レートが相互にせめぎ合っているエリアであり、インド=オーストラリアプレートが年間 66mmの速さでユーラシアプレートに沈み込んでいくために、そこで起こる歪が大規模 地震を生み出すエネルギーを貯える形になっている。 こちらでも、地震発生が頻度を増している。19年1月7日22時4分に西ジャワ州タシ ッマラヤの南西62キロの海底深さ21キロを震源にしたM4.8と23時58分にチラ チャップ南東69キロ深さ11キロ地点を震源とするM4.5の地震が起こった後、翌8 日にも16時54分に西ジャワ州スカブミ県プラブハンラトゥから93キロ離れた海底深 さ50キロを震源とするM5.0と18時5分に西ジャワ州パガンダランの南西289キ ロの海底10キロを震源とするM4.4の地震が発生した。 ジャワ島南方にはパガンダランからパチタンまでとバニュワギに地震空白域があって、貯 えられたエネルギーの放出が少ないために地震が発生すると大型地震になりかねない懸念 が強い。[ 続く ]