「旅行はお好き?」(2019年01月22日)

1970年代のインドネシアでは、ジャカルタ都民ですら旅行というものが限られたぜい
たく品であり、一般庶民には高嶺の花と言うか、生活習慣の中に置くことのできるような
ものでなかった。それが今や、国民総旅行時代に変化しているのを目の当たりにすると、
半世紀もかからずにここまで変化したことに隔世の感を抱くことになる。
18年12月15〜18日という18/19年クリスマス・新年休暇の直前にコンパス紙
R&Dが国内16都市の17歳超住民532人から集めた統計調査によると、年齢層17
〜35歳(低年代層)は64.1%、36〜55歳(中年代層)は58.2%、56〜7
5歳(高年代層)は40.4%が毎年必ず旅行している。
低年代層の旅行先は92.3%が国内で、海外は7.7%、中年代層は97%と3%。こ
れはかれらのマジョリティが旅行資金に用意する金額と密接に関わっているにちがいない。
なにしろ、3百万ルピアというのがそのラインなのだから。
予算については、1百万ルピア未満が30.0%、1〜3百万が31.4%、3〜5百万
が13.2%、5百万超が12.7%。その予算で、交通費・宿泊費・食費・観光行楽費
をまかなうわけだ。
クリスマス・新年休暇の旅行先に海外も検討していますか、との質問にヤーと答えたひと
は全体の中の4.1%、国内の他地方へと答えたのは55.9%、居住都市内で過ごすひ
とは40.0%だった。
国内旅行をするひとたちの中で、どこへ行くのかという質問に、低年代層はビーチが38.
5%、一族親族との懇親が23.1%だった。確かに、一族親族との懇親であれば、宿泊
費食費は楽になるにちがいない。
行先についての全年代の平均値は、ビーチ30.5%、一族親族との懇親25・0%、山
17.3%、遊園地15.0%、宗教・文化観光3.2%、モール1.4%となっていた。
その選択要因は何かという問いに、家族の希望と答えたひとは34.4%を占めた。21.
1%は距離の遠近、魅力の有無が17.9%、費用17.2%、ソスメドのトレンドは2.
4%。ソスメドで話題の場所へ、というライフスタイル派は低中年代層の5.1%しかい
なかった。若者たちの感性は変化しつつあると言っても、長期休暇での帰省という面は依
然としてかれらの内面に強く根を張っているようだ。
一方で、帰省よりも旅行を重点に置くひとびとも、アバンチュール精神はあまり旺盛でな
いように見える。なんともはや、保守的なことに、かつて訪れたことのある観光地を再訪
するひとが低年代層は65.4%、中年代層は79.1%を占めた。
もうひとつ伺われた特徴は、計画性が低く思いつきで行動する傾向が若者たちに強いこと。
思いつき派は低年代層で51.9%、中年代層は39.6%、高年代層は17.7%だっ
た。
若者たちはその場その時にインターネットで情報を探り、見つけた割引・ボーナス・種々
の恩典に惹かれて突然やってくる。業界者にとっては、その特徴を商戦にうまく取り入れ
ることがビジネスチャンスになるというのが観光産業にとっての秘訣だろう。