「インドネシア人の近所付き合い」(2019年01月30日)

インドネシア人の地縁感覚というのは、なかなかどうして、たいへんなものだ。田舎にい
れば、人間関係は同一文化にくるまれて温暖快適な毎日を送るのが普通だが、それとまっ
たく異なる原理で設けられた都会という場所に来ても、同じように旧態然とした実践を行
っている。

異文化・異種族が日常生活の中で分離されず、何の違和感もなしに、ひとつの町内に隣り
合って暮らしている姿がそこにある。おまけにかれらの近所付き合いは、外国人になかな
か真似のできないレベルでなされており、同一文化・種族で固まって排他的になるような
例はほとんど見られない。文化・種族は異なっても、同一国民としての共同体意識がはる
かに強く作用している国というのは、世界でも珍しいものではあるまいか。過去の歴史が
作り上げた国家と民族・国民のコンセプトがその現実を支える柱になっているにちがいな
い。

コンパス紙R&Dが2018年12月22〜23日に17歳超のジャボデタベッ住民65
4人から集めた統計調査では、隣人同士が声をかけあって表で立ち話をする様子が如実に
示された。

1.過去三カ月間で、隣近所のひとたちと挨拶や立ち話をしましたか?
毎日・ほぼ毎日している 81.5%
時々している 10.4%
忙しくて、あまりしない 7.3%
全然しない 0.6%

2.過去三カ月間で、不幸や災難に遭った隣近所のお宅を訪問しましたか?
しょっちゅうしている 74.7%
時々した 22.8%
暇がなくてできない 2.0%

3.過去三カ月で、慶事(結婚式やスラマタンなど)を行った隣近所のお宅に手を貸しま
したか?
しょっちゅうしている 74.5%
時々した 21.1%
暇がなくできない 3.8%

4.隣近所の振舞いで迷惑をかけられたことがありますか?
まったくない 54.6%
声や音がやかましい 17.7%
自動車の駐車位置 10.2%
飼育動物の振舞い・騒音・悪臭 7.6%
ゴミや植木 6.1%
家の建築や改装工事 1.7%

この社交性がインドネシア文化における社会性の根幹をなしている。だからインドネシア
人にとっては、社会性という概念のかなりの部分まで社交性が占めているようで、われわ
れ外国人にとって「そりゃ社交性だ」というようなケースにまで、かれらは「社会性」と
いう言葉を使うことがある。どうやらそれが文化の差というものであるようだ。