「医薬品は両刃の剣か?」(2019年02月20日)

インドネシアでG類と呼ばれる医薬品区分のものは、販売者は食品薬品監督庁の取り扱い
許可を得た上、医師の処方箋に従って購入者に販売しなければならない。その薬が無法で
売買されている。

トラマドール、ヘキシメル、トリフェキシフェニジル、アルプラゾラム、ダブルLなどの
G類医薬品を無許可販売していた化粧品兼薬屋7店を首都警察が19年1月に摘発し、そ
れらの薬品2万9千錠を押収した。7店のうち3店はブカシ市内、そして東ジャカルタ市
と西ジャカルタ市に2店ずつあった。

販売店の供述によれば、それらの薬をひとつずつ5錠入れたパッケージをセールス人が頻
繁に店を訪れて店頭に置くよう勧めているとのこと。店側はパッケージひとつを1万から
5万ルピアで客に無条件で販売していた。

各店のオーナーは逮捕されており、保健に関する2009年法律第36号106条に従っ
て入獄最長15年、罰金最高15億ルピアの刑罰が科されることになる。同時に1999
年法律第8号消費者保護法にも抵触していることから、こちらは入獄5年罰金20億ルピ
アの刑が適用される。

食品薬品監督庁長官の説明によれば、G類医薬品は薬剤師のいる薬局で医師の処方箋に従
って販売されるものであるとのこと。それらの錠剤はパーキンソン病やスキゾフレニア患
者に使われるものであり、健常者に飲ませると幻覚を引き起こし、中毒になるおそれがあ
る。

没収された錠剤について長官は、合法的な製薬会社が作ったものでないように思われるが、
詳細に調査した上でなければ断言しかねる、と述べている。

この医薬品不法行為が明るみに出たのは、少年犯罪事件捜査に関連してのものだった。西
ジャカルタ市クンバガン警察署が19年1月初めごろ、民家への侵入盗事件容疑者として
14歳4人、13歳と12歳各ひとりの少年6人を逮捕した際の供述で明らかになったも
のだ。

かれらの話によれば、ひとりの大人がかれらにアプローチをしてトラマドールを飲ませた。
何度かそれが繰り返されて少年たちが中毒になると、薬を買う金を稼ぐために盗みをしろ、
とその大人がしむけた。手始めの仕事は近所のワルンで菓子や飲み物を盗むことで、何度
かそれが成功したあと、次は夜中に民家に忍び込んで盗むよう使嗾した。それが少年たち
の運の尽きになった。

どうやら捜査の厳しい麻薬類から薬品類へ、更にステレオタイプから外れた薬品類へとシ
ンジケートは視野を広げつつあるようだ。