「クミングリス(2)」(2019年03月05日)

今ジャカルタの若者たちの間で、クミングリスは隆盛の真っただ中。ツイッターを覗いて
みると、本文はインドネシア語なのだがその中にwhich is, even, totally, like that..
..などの単語が散りばめられている。

これが現代の流行なのだから、それに乗り遅れたらみんなに馬鹿にされる、というのがど
の国どの時代でも、流行というものの本質に存在している。こうして、見下される恐怖感
を抱く誰もが先輩を見よう見まねで見習ううちに、それが一般語法として定着する。

万人がそれぞれ好きなようにその興隆に参加するのだから、シンタックスが形成されるこ
となど考えられないに決まっている。文法的見地からの合理性や整然さをそこに期待する
のは無理で、せいぜい見た目や聞く耳にカッコよく美しいという審美性が共通基準にでき
るくらいではあるまいか。各国語の文法という規則が確立されていくのに長い年月を要し
たように、わずか数年でシンタックスが作られるということは、クミングリス現象に関し
ては期待しにくいにちがいない。

コンパス紙R&Dが2018年9月22〜23日に行った首都圏在住の17歳超住民15
3人から集めた統計調査の結果から、クミングリス現象の批判者反対者は少なく、肯定派
と中立派が大多数を占めていることが分かった。何しろ若者の6割が日常会話の中でクミ
ングリスを実践しているし、周囲のみんなもやっていると述べた者は4割あったのだから。

かと言って、毎日朝から夜までのべつまくなしにクミングリスを行っているわけでもない。
使用者はTPOを弁えて使っているようだ。さもありなん。親との会話にクミングリスを
使ったからといって、どれだけの親が子供をモダンだ・先進的だ・カッコいい、などと評
価してくれようか。短気なオヤジにひっぱたかれるのがオチだろう。
のべつまくなし派は11.1%、TPO派は47.7%、使ったことがないひとは41.
2%あった。

クミングリス現象に対する見解は次のようになっていた。
普通のこと 30.7%
愉しい・面白い・愉快だ 27.5%
ナウい・時代の先端 26.1%
ダサい 11.1%

必然的に若者を主体とするソスメドにクミングリス現象が満開となるのは明らかであり、
それに呑まれた者が時代の勢いに追随しようとして更にそれを活発化させる。それをし
なければ古臭い・カッコ悪い・ガウルじゃないといった批判が投げつけられるのだから。
[ 続く ]