「マナド美人は肥満体」(2019年03月06日)

国が優先するべき国民保健問題のひとつに肥満が入っている。他は短躯(いわゆるチビ)
や栄養不良などだ。保健省が公表した2018年の基礎保健調査結果によれば、国民総人
口の21.8%が肥満に区分されている。

ポリネシアやメラネシアでは肥満女性が美人とされているように、インドネシアでも太っ
ている人間は男女を問わず貫禄があって押し出しがよく、人の頭に立つにふさわしい人間
と見られ、おまけに太っていることが豊かさのシンボルという位置付けを文化の中で得て
いるために、太っていることは社会的価値観においてマイナスの意味をほとんど持ってい
ない。国民が肥満抑止意識に薄いのも当然なのである。

全国34州で住民の肥満率がもっとも高いのは北スラウェシ州であり、ジャカルタ首都特
別区は第二位だった。平均以上を列挙すると次のようになる。数字は%。
北スラウェシ 30.2
ジャカルタ 29.8
東カリマンタン 28.7
西パプア 26.4
リアウ島嶼 26.2
北カリマンタン 26.1
北スマトラ 25.8
北マルク 24.6
ゴロンタロ 24.4
アチェ 24.4
リアウ 24.1
バンカブリトゥン 23.7
バリ 23.3
西ジャワ 23.0
東ジャワ 22.4
バンテン 22.1

最低の10傑は次の諸州だった。
東南スラウェシ 19.3
南スラウェシ 19.1
中部カリマンタン 18.7
西スラウェシ 18.7
ジャンビ 17.6
南スマトラ 17.4
ランプン 17.3
西カリマンタン 17.0
西ヌサトゥンガラ 14.9
東ヌサトゥンガラ 10.3


なんとマナド美人を代名詞に持つ北スラウェシがトップ肥満州だった。わたしの個人的体
験では、記憶にある肥満のマナド女性は十人中ただひとりである。もちろん同じ比率でジ
ャカルタに出てきているわけでもあるまいが。マナド女性はたいてい色白ぽっちゃり型で、
若いころでそんなだから、年を取ればそうなるだろうことも想像はつく。

で、マナドが美人の産地だという話は耳にたこができるほど聞いているのだが、マナドを
訪れたことのないわたしはジャカルタで会ったマナド女性しか比較の対象がないわけで、
それによるなら、わたしが美人だと思った女性はやはり十人中ひとりしかいなかった。

スンダも美人の産地だと言うのだが、西ジャワ州とバンテン州のスンダの地を走り回った
わたしの記憶では、人数比で言えばやはりマナドと似たようなものだったように思われる。

スンダもマナドも確かに肌の色は焦げた色でないひとが多く、そのポイントは他の種族と
異なっている。若い時代に戯れでオフィスボーイに美人女性を示させたところ、顔の造作
は十人並みでも色白であればかれらはその女性を「チャンティッ」だと評した。つまりイ
ンドネシアの美人女性評価の重要な要素に「色白」というファクターが含まれており、そ
れが顔の造作と並列の位置に置かれて対象サンプルが「チャンティッ」であるかないかの
評価に使われている可能性をわたしはそのとき感じたのである。

だからマナドやスンダの女性をインドネシア人が「チャンティッ」と評するから日本人も
つられてそう思い込んでいるものの、そこにもやはり回転軸のズレがあるのではないか、
という気がわたしにはしている。