「マイカーは社会ステータスシンボル」(2019年04月09日) 一般の中流インドネシア人にとって、自家用四輪車を持つのはサクセスライフの甘き香を 漂わせるシンボルだ。大金持ちは運転手を雇って路上におけるあらゆるリスクを運転手に 担わせるのが普通なのだが、そこまで行かなくとも、自分が運転してあらゆるリスクを自 分が負担したってかまわない。マイカーを持っているということだけで、かれの世間に対 する姿勢はレベルの異なるものになった。 金がうなりはじめてOKB(新興成金)になれば正真正銘のマイカーを持てるわけだが、 似非OKBたちは50年前なら大金持ちが使い飽きた車を廉く下げ渡してもらい、昨今な らレンタカーを借りてルバラン帰省に故郷へ錦を飾り、それをマイカーだと言い触らす。 実家の親も息子の眉唾サクセスストーリーに、隣近所に向けて鼻高々を誇示するわけだ。 50年前にジャカルタを見たひとびとは、平均個人所得の割に以外に多くの自家用車が路 上を走っているマジックに驚くのが普通だったが、車一台家数軒のインドネシアに車の台 数イコールマイカーオーナーという図式が成り立っていたわけでは決してない。 ともあれ、ジャカルタの交通渋滞緩和策として公共交通機関の利用を勧める声がひと昔以 上も前から盛んだったものの、マイカーから公共交通機関への移行は遅々としてはかどら なかった。劣悪な公共交通機関のサービスがいつもその理由にされてきたものの、そこの 片隅にマイカーオーナーのサクセス社会ステータス意識がからまりついていたことは、あ まり声高に語られていない。 中央統計庁の2017年国民社会経済サーベイ結果によれば、努めて公共交通機関を利用 しようという意識を持つ都民は少数派だった。 1.外出の際に自家用車を使うよりも公共交通機関を使うことを実践しているかどうか? 全然しない 27.7% ときどきする 43.2% 頻繁にする 12.4% 常にしている 15.2% 2.公共交通機関を利用するべきだという意見に対しては? 反対 6.2% あまり賛成しない 24.3% 賛成する 63.7% 大賛成 5.8% 上の結果は都民からの回答であり、環ジャカルタ首都圏つまりボデタベッ地区住民の回答 ではこうなっている。 1. 全然しない 27.9% ときどきする 44.2% 頻繁にする 10.6% 常にしている 9.9% 2. 反対 7.4% あまり賛成しない 27.4% 賛成する 61.1% 大賛成 4.1%