「外国人の国内商活動」(2019年04月18日)

2019年蔵相規則第35号が制定されて、19年4月1日から施行された。これまで法
整備が未完成状態だった国外居住者(外国人)のインドネシア国内におけるビジネスに対
する税制上の取り扱いを明確に定義付けるために出されたのがこの規則で、政府徴税部門
のその問題に対するコンセプトに結論が出されたことを象徴しているかのようだ。

インターネットの発展によって世界的なネットアプリサービス事業者がインドネシアでも
活動を行うようになり、商取引ももちろんその中に含んでのものになっている。インドネ
シアの徴税者にとっては、その現実を既存の税制度と矛盾しない形でどのような位置付け
に置き、それに対する徴税方式をどのように確立させていくかということが、これまで未
完成状態になっていた。

インドネシアの徴税コンセプトでは、インドネシア国内で物品サービスの商品受け渡しが
行われるかぎり、それは徴税対象になる。非居住者の国内における商取引活動はこれまで
BUT(Badan Usaha Tetap=恒久事業形態)というコンセプトが設けられており、たと
えインドネシア法人が存在しなくとも事業所を設けてBUT認定を取得しさえすれば、非
居住者も公明正大に商活動が行える制度が存在していた。

当然ながらPPh(所得税)、PPN(付加価値税)、PPnBM(奢侈品税)の納税は
不可欠であり、そのためにNPWP(納税者番号)を取得して毎年税務申告を行う義務が
発生する。NPWP取得は事業開始後ひと月以内とされている。

この制度確立のメインターゲットはグーグル、フェイスブック、ツイッターなどの国際企
業だが、同一の枠組みが法人だけでなく個人にも適用されることになる。郵便やインター
ネットを使う小売事業もこの枠組みの対象になるから、インドネシアにいる人間にネット
販売すると税法違反を問われることにもなりかねない。

個人非居住者とはインドネシア国内に居住せず(外国人が居住するためにはKITAS/
KITAPという居住許可書が必要になる)、インドネシアでの滞在が12カ月中183
日を超えない者がその定義だ。もちろんKITAS/KITAPという居住許可を持つ外
国人は、ビジネスを行うに際して今度は居住許可資格との整合性が必要になる。

外国法人というのは、インドネシアの法律に従って設立された法人でなく、その帰結とし
てインドネシア国内に所在地を持たない法人を指す。

今回の規則でインドネシア政府は、インドネシア国内という市場を対象にして事業を行い
たい外国人は個人であれ法人であれ、BUT認定を受け、NPWPを持ち、事業根拠地と
して所在地を定めることによって、はじめてその事業活動が合法性を持つことを結論付け
た。

グーグル等のグローバル大手企業に徴税の網がかからないという、国民にとっての苛立た
しい不公平感をかきたててきた状況が今回、19年蔵相規則第35号で理論上の不備が解
消されたと言えるにちがいない。言うまでもなく、現場における法執行はまた別のことが
らである、というインドネシアの体質はここにもきっと陰を落とすだろう。