「路上運転に見るインドネシア文化(前)」(2019年05月07日)

都内環状道路パンチョラン地区で19年4月15日、路肩走行していたフォーチュナーが
交通警官に止められ、怒り狂った運転者が近くにいるブリオの車体を叩きまくっている姿
を映したビデオがソスメドの人気を集めている。

数珠繋ぎの車列をごぼう抜きして路肩を走って来たフォーチュナーがそのままブリオを追
い抜いて割り込もうとしたところ、ブリオが入れまいとして間を詰め、そのまま交通警官
のいるところまで並んで走り続けた結末のシーンがそれだそうだ。

インドネシア人ドライバーの一部がいかに世の中で甘やかされ、他人の善意を当たり前と
して好き放題に振舞っているか、残りの部分のドライバーがいかに心優しく、好き放題ド
ライバーをかれらのなすがままに受け入れているか、という実態は自分でハンドルを握れ
ばいやというほど体験することができる。

フォーチュナー運転者がブリオ運転者の意地悪に怒り狂った背景がそれだ。インドネシア
文化にある善意がすべて平等原理の上に据えられた善意というわけでないことが、その一
事から見えて来るにちがいあるまい。

フォーチュナー運転者の同類は至るところに居て、毎日似たようなことを行っている。交
通信号や道路標識違反、道路逆走、トランスジャカルタバス専用車線への進入・・・。交
通安全も交通渋滞も知ったことじゃない。


首都警察交通局によれば、ジャボデタベッにおける2018年1〜11月の交通事故件数
は5千4百件発生し、死者524人、重傷者804人、軽傷者5,237人、物的損失額
130億ルピアをもたらした。事故件数は前年同期実績から5%増加している。

地区別には事故件数トップが東ジャカルタ市で、ブカシ県、ブカシ市と続く。一方死者数
のトップは北ジャカルタ市で、ブカシ県、西ジャカルタ市と続く。

最も目に余るのが二輪車で、総件数の78%が二輪車関連で起こったものだ。違反走行や
無理な走行をして事故が起これば、自分の身に危険が及ぶレベルは四輪車と大違いである
にも関わらず、大勢の二輪ライダーが路上で示す行動から用心深さがほとんど感じられな
いのは、二輪車優先観念が作り上げたミスビヘイビアだろうとわたしは考えている。
[ 続く ]