「インドネシアで節水(後)」(2019年05月15日)

なにしろ地盤沈降は場所によって25センチから4メートルというすさまじいところまで
出現しており、都内中心部のサリナデパートが地盤沈降によって斜塔になりはじめている
現状だ。

かと言って、地下水使用に対する課金制度は設けられているものの、適用対象はこれまで
のところ大規模消費者に限られていて、大型ビル・大型事業者・工場などが対象にされ、
一般庶民はまだ実施対象外になっている。

一般消費者が持っている、現在自分の置かれている状況に対する包括知識はそれなりに進
んでいるようで、自分の消費する上水のクオリティと衛生観念のレベルは正比例関係にあ
り、更にクオリティと支出金額も正比例関係にあることから、インドネシアにおける上水
消費はその関係の中で決まってくると言ってもよいように思われる。

インドネシアでの上水入手は、たしかに廉い。バリ島での生活に月々支払う水道料金はひ
とりふたりの生活なら数百円というところ。ただし、大きい容器に汲んで一週間ほど置い
ておくと、底に粉泥がはっきりと沈殿する。それが値段とクオリティの関係ということな
のだろう。

ジャカルタに目を戻すなら、金のあるところを世間に示そうとする世間体意識はもっと実
質的なライフスタイルに変わりつつあり、限られた資源を有効に使うことに意欲を持つ世
代が増加してきていることが感じられる。

昔あった社会生活における価値観がもっと実質的なものに変化してきているのは疑いある
まい。そんなひとびとは水を湯水のごとく使おうとしないで、節約することを試みる。屋
内外の蛇口から水滴がポツリポツリと滴り落ちるようになれば、もっと強く閉めるように
努め、それも効かなくなれば放置せずに蛇口を取り替えるという勤勉さが身に着き始めて
いるようにわたしには見える。一個数百円の蛇口を買って来て取り替えれば済むことであ
り、ポツリポツリを放置して年間2万リッターの水を浪費するよりははるかにスマートな
暮らし方だろう。

コンパス紙が報告した水利用に関する節約方法について、首都圏住民はこのように答えた。
使う分だけ水を出したら蛇口を閉めるという蛇口の開閉に意を用いているひとが65.0
%を占めた。これはたとえば、洗面所で顔を洗うときに手のひらに十分水が載ったら蛇口
を閉めてから顔を洗うという作業手順のようなものと考えられる。手のひらが顔をこすっ
ているときに蛇口からジャアジャアと水が出っぱなしというひとは見習うべきだ。
花壇の水やりや洗車の際の水の有効利用が13.1%
一度使った水をなるべく再利用するひとは11.3%
水が排水口からそのまま流れ去るようにせず、一旦何かで受けるようにするひとが5.6%
節水泡沫アダプターを蛇口に装着するひとは0.9%
そして、節水なんかしないよ、と答えた回答者が2.1%いた。
[ 完 ]