「選挙投票運営者の死(後)」(2019年05月21日) さまざまな要因が人間の死を発生させる。はっきりしているのは、脳・心臓・肺・腎臓の 機能が壊れると、人間は死ぬ。それらの器官が持つ機能は、疲労(投票運営チームメンバ ーのケース)・喫煙・妊娠など、それらの器官の機能不全や破壊を発生させたり、起こり やすくさせるリスク要因の影響を受けるのである。保健大臣が人間死亡の13要因大カテ ゴリーを説明したにもかかわらず、投票運営チームメンバー死亡者の司法解剖を行えとい う声が消えない。 < 解剖は必要か? > 司法解剖は死者の死亡原因を究明するためのプロセスのひとつだが、すべての死亡に対し て行われるわけではない。たとえば毒殺のような、不自然な死亡が疑われる場合にその究 明が行われるのである。 何らかの毒物が心臓・肺・脳などの機能を破壊することはありうるため、体内に毒物があ ることが証明されなければならない。投票運営チームメンバー死亡事件において、保健省 が出した報告書には毒物による死亡の疑いを示すものがまったく見られない。 最重要問題は信頼なのである。毒殺犯罪のパラノイアになってしまった人間には、それが 自然死であるということが信じられないのだ。遺体を墓から掘り出して、死体解剖をどう してもしなければならないのだろうか?その費用はだれが持つのか? 一群のパラノイア者による主張だけが毒殺犯罪の兆候を示すものであるのなら、かれらの 気持ちを満たしてやるために国民の金を使うことは許されない。犯罪行為の兆候を強く示 すものがなければならないのだ。 政府保健省はパラノイア者たちの疑惑に応えるために、親切にも口頭剖検とカルテ剖検を 実施した。今や国民の85%が国民健康保障制度加入者になっており、死亡した投票運営 チームメンバーの大半も加入者だ。 国民健康保障加入者は、保健所にせよ民間医療クリニックにせよ、病気になったときにか れらが医療のために訪れる最初の施設にかかりつけの一般医を持っている。病院に運ばれ て死亡したとき、病院でカルテが作られたのとは別に、その前段階の保健所やクリニック でも病歴の記されたカルテが作られている。 医師の証明書だけでは不十分なのか?われわれはそこに、高レベルにある腐敗に覆われた 民族ビヘイビアという環境が物語るものを理解しなければならないのである。証明書のす べてが、完璧に実施されたX線とラボの検査結果にもとづいて作られたものではないのだ。 なにしろ金がかかるのだから。その結果、証明書の多くは既往歴と身体診察にもとづいて 作られている。 その種の証明書は死亡者が過去に罹患した病気の深刻さを十分には説明してくれない。年 齢死亡率や病因死亡率を細かく分析するなら、投票運営チームメンバーの死亡率は平常領 域の中に収まる可能性が大きいように思われるのだが、たとえそうだとしても、今回ので きごとは次回総選挙のために学ぶべき多くのことがらを包含している。 総選挙法とその下部規則の改定は、死亡事件をベースにするだけでなく、作業プロセスの 見直しやその他のテクニカル要素をも踏まえたものにしなければならない。 声高らかに明言できるのは、今回の総選挙がわれらのビンネカトゥンガルイカ国家をして、 最良のデモクラシー国家のひとつになり得た姿を世界に示して見せたことである。われわ れはそのデモクラシーのヒーローたちに大きな表彰と祈りを捧げよう。[ 完 ]