「帰省逆流上京者(前)」(2019年06月24日)

毎年、ルバラン帰省の逆流は人数が増加するのが常だ。都市から地方部に帰省してきた者
が親族や隣近所の若者を預けられ、都市に連れて来ることが常識化していた。都に出て一
旗揚げるには伝手とノーハウが必須条件、ということがそこから見えて来る。おまけに生
き馬の目を抜く都で世間ずれしていない田舎者が悪党どもの餌食にされる図は江戸時代の
都会と生き写しであり、保護も重要な観念のひとつになっている。

もちろん独立独歩で都に上って来る者がいないわけではないのだが、インドネシアの依存
性文化は世話してくれる人間の存在を尊ぶというのが、安全快適な移住に欠かせない要素
であるにちがいない。

都庁データによれば、ルバラン帰省逆流で上京してきた人数は次のようになっている。
2012年 47,832人
2013年 54,757人
2014年 68,537人
2015年 70,504人
2016年 68,763人
2017年 70,752人
2018年 69,479人
2019年予測 7.1万人

住民人口1,018万人のジャカルタは年々10万人ほどの人口増加を示している。新生
児出産数と死亡者数、そして移住者の出入りがその結果を生んでいると考えられるのだが、
帰省逆流上京者が住民人口増にもたらしている影響は大きいにちがいあるまい。

だがジャカルタの周辺地区、つまりボデタベッ地区でははるかにすさまじいアーバナイゼ
ーションが進行しているようだ。ボデタベッの合計住民人口推移は次の通り。
2013年 1,165万人
2014年 1,216万人
2015年 1,258万人
2016年 1,343万人
2017年 1,921万人

オランダ植民地時代から既に、地方部のプリブミがバタヴィアに流入してくる現象は起こ
っていたが、共和国独立後その現象は目立って顕著になった。代々のジャカルタ知事がそ
れを減らす対策を試行したものの、国民の居住地選択の自由を保証する憲法下ではたいし
た効果があがっていない。

もちろん流入してくる者がすべて求職を目的としているわけではない。2018年のデー
タによれば、上京者の目的別比率は次の通りだった。
就職のため 33%
求職のため 22%
親族と暮らすため 21%
就学のため 18%
その他 6%
[ 続く ]