「復活を狙うジュマアイスラミヤ」(2019年07月08日) 国家警察は新たに5人のテロリズム容疑者を逮捕したが、これまでの常だったJAD(ジ ャマアアンサルッダウラ)の系列でなく、長期にわたって音沙汰のなかったJI(ジュマ アイスラミア)の系列であることが明らかになった。 JADはイスラム国ダエシュに服従を誓っているが、JIはアルカイダに服従を誓ってい る点に違いがあり、それぞれの時代を反映して両者のテロ行動にはまったく異なる個性を 見ることができる。JADは組織的な横のつながりを持たないローンウルフ方式でのテロ 活動をもっぱらにしているが、JIは強固な組織体制でテロ活動を行ってきており、動き の進行は確実で被害の規模はJIのほうが圧倒的に大きい。 国家警察デンスス88は19年6月29日にブカシのホテルでインドネシアJI幹部のひ とりPとその妻および腹心の部下ひとりを逮捕した。更にまた、JIメンバーとされる容 疑者を、ひとりはブカシ、もうひとりは東ジャワ州ポノロゴで逮捕している。 Pはポソでの市民抗争に加わった後、バリ爆弾テロやオーストラリア大使館爆弾テロ、ま たクリスマス爆弾テロなどに関り、その後でインドネシアカリフ国家を担うJIの組織強 化のために人材リクルートと訓練に努めるようになった。 2007年以来、JIはテロ活動を休止して組織強化に集中するようになったことから、 警察の事件記録にJIはまったくその名を見せなくなっている。その間Pはメンバーリク ルート能力と諜報能力を駆使して過激思想に同調した人材を集め、2013年から18年 までの間に6波に渡ってシリアでの戦闘訓練にインドネシア人メンバーを送り出し、また 国際舞台でのテロ活動に参加させている。 Pは警察の取調べに対してインドネシア国内でのテロ活動はまだ計画していないことを明 らかにしている。しかし組織強化の結果が十分と判断されれば、テロ活動が開始されるの は明白であり、警察は監視の目をさらに強化する必要性に迫られている。 Pに対する取調べから、かれらはカリマンタンとスマトラにあるパームヤシ農園を資金源 にしていることが判明した。警察はそれらの農園の所有関係について洗い出し捜査を開始 している。