「ジャカルタは女性受難の街(前)」(2019年08月05日) 都市部における公共交通機関内のセクハラ(いわゆる痴漢行為)は相変わらず継続してい る。トランスジャカルタバス、アンコッ、ジャボデタベッコミュータ電車の混雑する時間 帯にそれらを利用する女性たちは、毎日戦々恐々の思いを体験しているのである。 2016年にトムソン・ロイターズ財団がYouGovと共同で行ったサーベイ結果によれば、 ジャカルタの公共交通機関の危険レベルは調査対象16都市中の第5位だった。2017 年には、ジャカルタは女性にとって安全でない都市の世界トップ10に入っている。 国鉄インドネシアコミュータ社の記録では、2017年の電車内における女性へのセクハ ラ事件は25件発生した。2018年にはそれが34件に増加し、そのうちの20件は警 察が犯罪事件として捜査を行っている。被害者女性は19〜30歳で、捜査が完結したも のについて、犯人は31〜40歳の男性とのことだ。 届出件数の多かった路線はボゴール⇔ジャティヌガラ線とボゴール⇔ジャカルタコタ線で、 それらの路線はもちろんジャボデタベッコミュータ電車の中で最大の乗客数を誇る路線に なっている。言うまでもなく、この種のセクハラ行為は被害者が勇気を奮って届け出たも のしかわからないことから、全貌を知るのはほとんど不可能と言っても過言であるまい。 届け出られた事件の行為内容については、女性の特定身体部位に触ったり、あるいはつか んだりする行為がもっとも多かった。次に多かったのは、女性に口笛を吹いたり、あるい は性的な言葉を投げかけるもの。 警察が捜査を行って犯人が捕まった場合でも、警察は犯人に対する法的措置を進めるかわ りに被害者と加害者を和解させて一件落着させる傾向を持っており、厳しい法的制裁を加 害者が受けることが稀であるため懲罰効果が期待できず、事態があまり改善されないまま 継続する実態をサポートしている要因と見ているひともいる。 コンパス紙R&Dが2019年5月4〜5日にジャボデタベッ在住の17歳超住民468 人から集めたサーベイ結果によれば、公共交通機関内で発生するセクハラが十年一日のご とく継続しているのは、加害者にそれを行うチャンスがあるからだと53%の回答者が述 べている。[ 続く ]