「ルピアコインの悲哀(4)」(2019年10月01日) 中銀は2016年に額面が10万・5万・2万・1万・5千・2千・1千ルピアの7種類 の紙幣と、1千・5百・2百・1百ルピアの4種類の硬貨について、デザインの新しい貨 幣を発行した。硬貨は1千ルピアコインを除いてすべてアルミ製で、1千ルピアだけがニ ッケルメッキ鋼で作られている。この2016年新発行貨幣が現在流通しているルピア通 貨の最新版だ。 インドネシア共和国発足から2016年の最新発行までの間に発行されていた硬貨は、 http://www.uang-kuno.com/2008/08/uang-logam-indonesia.htmlによれば、次のような内 容であるとのこと。 1. 1 sen 2. 5 sen 3. 10 sen 4. 25 sen 5. 50 sen 2種類 6. 1 rupiah 7. 2 rupiah 8. 5 rupiah3種類 9. 10 rupiah 3種類 10. 25 rupiah2種類 11. 50 rupiah3種類 12. 100 rupiah4種類 13. 200 rupiah 14. 500 rupiah 2種類 15. 1000 rupiah2種類 それら硬貨の素材にはニッケル、真鍮、アルミなどが使われ、1993年に初めて世に登 場した1千ルピアコインは真鍮材を中心に置き、その周囲を白銅の輪で囲んだ複合素材の しゃれたもので、その目新しさに人気が集まった。 セン単位のコインは別にして、インドネシア銀行ホームページ最新版には上のリストの6. 〜15.のうちで市中流通が停止されたものは次の5種類が掲げられている。 7. 2 rupiah 1970年発行 9. 10 rupiah 1971年発行 9. 10 rupiah 1974年発行 9. 10 rupiah 1979年発行 10. 25 rupiah 1991年発行 しかし2012年4月にインドネシア銀行は、次のコインを流通停止にした、と発表した。 8. 5 rupiah 1970年発行 8. 5 rupiah 1974年発行 10. 25 rupiah 1971年発行 11. 50 rupiah 1971年発行 12. 100 rupiah 1973年発行 12. 100 rupiah 1978年発行 また2016年9月にインドネシア銀行は、次のコインを流通停止にした、と発表してい る。 8. 5 rupiah 1979年発行 11. 50 rupiah 1991年発行 12. 100 rupiah 1991年発行 その実態を見る限り、インドネシアという国は会計帳簿に1から99までのルピアとその 下部単位であるセンの表記を依然として国民に強いているにもかかわらず、そこに書かれ る数字はすべてバーチャルなものでしかなく、現実社会における生活には金銭そのものが 存在しないという、リアリストには我慢のならない構造をしていることがわかる。 国民の持つ金銭感覚がおかしくならないはずがないようにわたしには思われるのだが、そ れは贅沢な不満なのだろうか?現行政権が準備を進めているルピア通貨のデノミは、その ギャップを埋める妙薬ではあるのだが、もしそれが成功したとして、この民族の異様な金 銭感覚がグローバル社会で標準のものにまで治癒される時期はいったいいつになるのだろ うか、という余計な心配をわたしなどはしてしまうのである。[ 続く ]