「ジャカルタの持ち家事情」(2019年10月03日) 住民の持ち家比率がもっとも高い州は西スラウェシ州だ。2010年が83.99%、2 015年は91.5%。続いて中部ジャワ州が2010年87.9%で2015年が90. 9%。第三位は東ジャワ州で、2010年87.1%、2015年90.5%となってい る。 反対にローエンドグループにあるのがリアウ島嶼州。2010年67.1%。2015年 67.7%。それよりもっと低いのが首都ジャカルタで、2010年45.2%、201 5年に51.1%。 人口が密集する一方で土地に限りのある都市部では、住居の価格が高くなるのは当然のメ カニズムだ。そんな環境で自分の家が持てるかどうかは、経済力と密接な関りを持つ。 コンパス紙が2019年8月3〜5日に17歳超のジャボデタベッ住民565人から集め た統計は、住居の自己所有比率が若い年代層で極端に小さいことを示している。それによ れば、54歳超の年齢ブラケットの自己所有率は73.3%、35歳超から54歳未満の ブラケットは51%あるが、35歳までの年代層はわずか18%しかなかった。 回答者の住居ステータスについては、次のような状況になっていた。 親兄弟の家に同居 42.3% 自分の家 31.3% 賃貸住居 15.9% 借室・コス 8.5% ひとびとの住居に関する希望は次のようなものだ。 1.都市居住者にとって理想の持ち家は: 戸建て住宅 58.1% 積層住宅 41.4% 2.住居の購入にあたって、価格の次に重視する要素は: ロケーションの良さ 62.3% 距離 17.2% インフラ環境 15.9% 広さ 3.9% ある不動産仲介業者の行ったジャカルタ市場分析では、ジャカルタの不動産価格は国内の 最高レベルにあって、物件の93%が4.8億ルピアを上回っているとのことだ。 若い年齢ブラケットの46%が月収4百万ルピア未満で、4〜7百万ルピアは34%いる が、収入が年率10%上昇しても不動産価格が年率17%上がっていくと仮定するなら、 月収の30%というローン返済能力は返済が終わる前に底を衝いてしまう。月収1千2百 万ルピアという高所得者層にしたところで、同じような運命をたどることになるだろう。 これまで持ち家購入に際して見られた傾向は、支払い能力に応じた物件を探し出すことが 優先され、結果的に日常活動に必要とされる移動距離のたいへん長大になる郊外辺縁部に 住居を持つ結末に至っていた。そのような物件ですら、決して廉い価格ではなかったので ある。 ひとびとの多くは、住居と日常活動場所との距離は10キロ以内を理想と考えている。も ちろんそれは、大量公共輸送機関を取り込んだ時に、絶対的な数字でなくなるのも確かな ことだ。現在ジャカルタで進められているTOD(公共交通指向型都市開発)は、ジャボ デタベッコミュータ電車の駅やジャカルタMRT駅とその周囲に商業センターと積層住宅 を建設する内容のもので、この開発が進展すればジャカルタの持ち家事情に新風を吹き込 むものとなるにちがいないだろう。