「侵入盗にご用心(前)」(2020年04月03日)

空き巣狙いをする盗賊たちがチャンスを見出す条件はふたつある。町内住民が個人主義的
な日常生活を送っているかどうか。ターゲットの家屋が外部者(近隣住民や保安要員)か
ら見えにくい位置や環境にあるかどうか。もうひとつ別の意見があって、大通りや交通の
賑やかな通りにほど近い家がターゲットにされやすいそうだ。この意見によれば、盗賊た
ちは逃走の便を重視しているということなのだろう。

都市住民の一般傾向としては、日々の繁忙感と休日の家庭サービスで近所付き合いに割け
る心的余裕がほとんどなく、おのずと町内は個人主義的な雰囲気を帯びるようになる。核
家族で構成されている家庭の多くが特定時間帯に一斉に家を空けるという町内も少なくな
い。そんな町内は空き巣たちの稼ぎ候補地としてとっくの昔から目を付けられており、サ
ッパムsatpamやハンシップhansipなどの地区保安要員の監視機能がお粗末であれば、事件
が起こらないはずがないのである。


コンパス紙R&Dが2018年3月10−11日に17歳以上のジャボデタベッ住民40
9人から集めた電話アンケートの回答によれば、首都圏住民が家を空けるときに気を付け
ていることがらは次のようなものだった。
1.家の戸締りを厳重にし、ソスメドで隣人に留守を知らせる。36.2%
2.家の戸締りを厳重にする。22.2%
3.家の戸締りを厳重にし、サッパムに留守中の警戒を依頼する。22.0%
4.家の戸締りを厳重にし、電灯を点けて人がいるように見せる。12.7%

電灯を点けて人がいるように見せるのは夜間の話であり、反対に昼間電灯が点いている家
は留守を公表しているようなものだ。実際には、留守を公表してかまわないから、夜間明
るくしておくほうが真っ暗にするよりも保安上のメリットがあるということであり、あの
ような説明はあまりにも舌足らずだろう。わたしの知り合いインドネシア人は本質的な説
明をしているので、インドネシア人すべてが舌足らずだと思われないように願うばかりだ。

回答者のほぼ半数は、町内で見知らぬ人間を見かけたら声をかけていると述べているのだ
が、下見に来ている盗賊たちも不審を抱かれないための芝居は堂に入ったもので、反対に
地元住民と仲良くなって必要な情報を集めたりしている。誰とでもすぐに親しくなるのも
考え物だが、反対に隣人とよそ者の区別もできない住民の生活域というのも困り物だろう。
[ 続く ]