「ウォノサリ茶農園」(2020年08月07日)

東ジャワ州マランMalang県ウォノサリWonosariの茶農園は第12ヌサンタラ農園会社が運
営管理を行っている。海抜950〜1,250メートルの高原地帯に設けられた農園には、
もちろん製茶工場が付属していて、日々茶葉の生産が行われている。いや、製茶工場ばか
りか、宿泊施設やレストラン、ティ―ハウスまで備えられていて、そこで働くひとびとの
活動を十二分に支えるものになっている。

マランの町からアルジュナArjuna山腹のラワンLawang郡に広がる1千4百Haの茶農園へ
は、つづら折の山道をおよそ6キロ登る。茶摘みは毎日どこかで行われていて、一人当た
り一日の作業量は0.1から0.16Haの面積が標準になっている。


老若の茶摘み娘たちは、毎朝ラワンの町にある大通りの決められた場所に集まり、農園の
車がそこへ迎えにやってくる。ウォノサリ郡ボデアン村に住むサルミニさん54歳は、も
う35年の経験を積んだ熟練茶摘み娘のひとりだ。かの女の毎日の目標は48キロの茶葉
を摘むこと。目標を達成できる日もあれば、そうでない日もある。かの女の月収は平均し
て140万ルピア。

サルミニさんは、体力が続く限り茶摘み娘をやり続ける所存だ。自分の稼ぎは夫が稼ぐ生
活費の足しにしている、と語る。しかし自分の子供たちはだれひとり、茶摘み娘の仕事を
する気を持たなかった。

サルミニさんの仲間である53歳のポニティさんも熟練33年の茶摘み娘だ。かの女の娘
さんはふたりがウォノサリ茶農園で働いているが、茶摘みの仕事でなく別の部署にいる。
茶農園のマネージャー代理氏は茶摘み娘の世代交代に頭を痛めている、と語った。「茶摘
み娘の老齢化への対策がなかなか思うように行きません。今やっているひとたちの子供が
引き継いでくれたら一番良いのですが、みんな茶摘みの仕事をしたがらないのです。作業
員を募集しても、なかなかひとが集まりません。」


製茶工場には、茶葉の品質選定職員が7人いて、週二回テスト作業を行っている。だいた
い全員が15年から29年の経験を持っていて、品質選定の感覚は一致しているそうだ。
会社が行う品質選定者の教育訓練は、導入教育が一カ月。しかし品質と味覚の感覚を研磨
するのは個人差があり、一カ月の教育機関では足りないひとも当然ある。感覚の研磨と開
発が十分なされなければ業務ができないのだから、合格するまで教育は継続される。

合格したところで、教育訓練がそれで終わるはずもない。品質選定者は世界中の茶葉の味
見をしてその評価を行わなければならない。そして最終的にインドネシア茶協会が行って
いる茶品質選定能力検定に合格することが必須条件になっている。
「病気のときは、品質選定ができません。五感のどこかに欠陥が生じるので、正確な評価
ができなくなりますから。」選定者のひとりはそう語る。

週二回のテスト作業は工場内の品質評価室で行われる。評価手順はまず対象品の茶葉5.
6グラムを280mlの熱湯に入れる。そのとき熱湯は90℃を上限とし、茶が熱湯に滲
出するのを5〜6分待つ。水はミネラル要素をできるかぎり排除したものでなければなら
ない。

用意された茶は茶碗に注がれ、選定者はそれをすすって口中を満たす。すするときにズズ
ズズと大きな音が出る。口のすべての感覚を使って味わいを感じ取ると、あとはその茶を
吐き出して捨てる。評価されるポイントは、茶葉の外見・茶湯の味わい・使用後の茶葉滓
の三つ。

外見は色の黒さ・粒の丸み・不純物がない・テクスチャ―に脆さがないなどで、41〜5
0ポイントが付けられたものが優良品質。味わいは、大変うまい・うまい・普通・あまり
うまくない・うまくないの5段階評価。茶葉滓は銅のような明るさ・十分明るい・暗いの
三段階。もし評価結果が悪ければ、そのロットにはもっと品質の良い茶葉が混ぜられこと
になる。

この記事を取材したコンパス紙記者も、選定体験を誘われてトライしてみたが、ズズズズ
と音を出してすするのが難しく、そのために口中を茶湯で満たすことができず、失敗に終
わった。だが新茶の味わいだけはしっかりと楽しんだようだ。