「スマトラトラ(12)」(2021年02月18日)

担当官が村民に聞き取りを開始したところ、トラがかかったのは鹿の罠で、トラを殺すの
に手製銃3丁が使われたという話が得られた。その時撮られたビデオには、生々しい状況
が映っていた。トラは耳の下を銃で撃たれ、周囲にいた村人が争ってトラのヒゲを取り合
っていた。ひとびとはトラのヒゲが特殊な効能を持っていると信じている。

県警は射殺者を既につかんでいるが、死骸の盗難については何ひとつ情報が得られていな
い。解体パーツの闇売買の可能性についても、まだそれを云々する段階でない、と警察側
はコメントしている。

民間の自然保護国際組織西スマトラ支部マネージャーは、民衆はどうしていつまでも野生
動物を殺すことばかり行うのか、とその事件に関連して住民の執った行動を非難した。ト
ラが他の動物用の罠にかかったのなら、そのままにしておいて天然資源保存館に通報する
のがなすべきことではないか、とマネージャーは語っている。西スマトラ州で過去6年間
に13頭が人間とのコンフリクトで殺されているとのことだ。


2012年2月24日、北ブンクル県の伐採林にトラの捕縛罠が36カ所仕掛けられてい
るのが発見されて州天然資源保存館がそのすべてを撤去した。この罠にマレー熊とブタオ
猿がかかって死に、またトラも一頭かかっていたのを救出されたが、足の指にけがをした
ために指を三本切断しなければならなかった。

その罠は3〜5百メートル間隔で広範囲に張られ、密猟者がトラを狙って行ったものであ
るのは明白だ、と保存館長は述べている。州内では過去二カ月間にトラの密猟が三件摘発
されている。

2012年12月19日にリアウ州プカンバル市警は大量のトラの皮を市内自宅に置いて
いる60歳の住民ひとりを逮捕して取り調べた。頭皮付きの完ぺきなトラの皮9枚、黒豹
の皮2枚、マレー熊の皮4枚、鹿の頭5つがその家から押収された。

その男は動物の皮の加工細工師で、壁掛けや置物にするためのオフセット制作を行ってい
た。かれが挙げた顧客の名前の中には州庁高官たちも混じっていた。トラは魔力を持って
いるとの民間伝承がいまだに信じられていて、トラの皮や爪・牙・ひげなどを持っている
と持ち主にトラの力と威厳が宿るという話が語られ、トラの皮は一枚5千万ルピアの値が
闇市場でついている。


2014年9月13日、ジャンビ州天然資源保存館と森林警察の合同緊急出動班がトラの
密猟者と闇販売者の逮捕に向かった。逮捕された33歳の男は2歳と見られる狩ったトラ
の皮をはいで解体したことを自供した。皮と解体パーツはムアロジャンビに住む故買屋に
売り渡す予定だったとのことだ。

森林警察によれば、故買屋は皮を1枚1千万から1.5千万ルピアで、爪や牙は30万ル
ピアで販売する。皮は壁飾りに、骨は医薬品材料として国外に輸出される。犯人は最長5
年の入獄刑を受けることになるだろうとのことだ。ジャンビ州の野生トラは350頭ほど
がクリンチセブラッやブキッティガプル、ブルバッなどの国立公園に棲息している。

2015年7月2日午前11時半ごろ、ジャンビ市内バスキ・ラッマッ通りで警察の逮捕
劇が展開された。全国狙撃狩猟連盟ジャンビ支部会員のA60歳が運転する車をジャンビ
市警と州天然資源保存館の合同チームが停止させたのだ。当局には既に情報が入っていた。
Aはその日、市内の買い手にトラの皮をはじめとする解体パーツを1.3億ルピアで売り
渡すために、ブツを自分の車に積んで買い手の家に向かう計画であるという情報が。

やってきた車を止め、Aを車外に下ろし、車内捜索が行われ、運ばれていたブツがすべて
白日の下にさらされた。黒いビニールシートに包まれた体長1.5メートルのトラの皮、
別のビニール袋にはトラの骨が3キロと10数個のトラの歯。[ 続く ]