「ジャワ島の料理(44)」(2022年01月07日)

おかずにも相応の注意が払われていて、老舗という名に胡坐をかいているわけでは決して
ない。肉やデンデンはスムルsemurのブンブよりもっと手の込んだブンブが使われており、
ナンキョウが味の決め手になっている。デンデンの場合は必ず潰して干した白ナンキョウ
が使われている。そのようにして、おかずも風味豊かなものになっているのだ。


チルボンの市内でナシジャンブランを愉しむには、チプトマグンクスモ通り4番地にある
Warung Jamblang Mang Dulがお薦めだそうだ。午前4時から15時まで営業しているこの
ワルンには、たいてい常に客がいて食べている。

まず、ジャティの葉に包まれた飯を2〜3個頼む。おかずは長いテーブルの上にぎっしり
と並べられた器の間で旨そうなものを頼めばよい。tahu/tempe goreng, paru goreng, 
daging semur, otak sapi goreng, sate telur, telur pindang, perkedel kentang, ikan 
asing jambal, pepes jamur, semur tahuなどお好みのままに。そしてサンバル。

このワルンはチルボン市内にオープンしたものの中で最年長グループに入る。今の店主の
父親のマン・ドゥルが1970年代にナシジャンブランの行商を開始し、1980年代に
なって店を構えた。たいていの店がナシジャンブランを仕入れて売っているのに、この店
は自分で飯とおかずを作っている。

ジャティの葉を入手するのは全然問題ないそうだ。ジャンブランの市場へ行けば、いくら
でも売られている。乾季ですら、品薄になるということがない。チカムランにはチークの
樹がいくらでもあるのだから。

チルボン港東ゲートのそばにあるNasi Jamblang Pelabuhanもユニークな店のひとつだ。
どこのワルンでもたいていジャティの葉に包まれた飯は冷めたものになっているが、この
ワルンでは温かいものが食べられる。温かい飯がジャティの葉に乗って出て来るのだ。お
かずの種類も豊富で、サンバルは他よりも辛い。昼食時を外れてやってくると売り切れに
なっていることがしばしばだ。このワルンは毎日50キロのコメを炊いているが、昼食時
が終わるとたいていすっかりなくなっていると店員が物語った。

このワルンは1970年代に港湾労働者を対象にしてオープンしたが、今では客層がまっ
たくオープンになっていて、誰でも気軽に食事できる場所になっている。


ナシジャンブランの他に、nasi lengkoというものもある。ジャワ語ではスゴレンコsega 
lengkoと呼ばれている。これは素朴な飯であり、動物性の食品素材がまったく使われてい
ない。白飯の上に揚げたテンペ/タフ、茹でたモヤシと生キュウリの細切れ、刻んだニラ
とバワンゴレンを置き、その上からピーナツソースとケチャップマニスをかけるだけ。ナ
シレンコに使うケチャップマニスはドロっと濃いのでなく、薄いものが使われる。客の中
には、テンペ/タフを揚げた残り油を少々加えてもらうひともいる。

このナシレンコはチルボンを中心にジャワ島中部から西部にかけての町々、すなわちトゥ
ガルTegal、ブルブスBrebes、クニガンKuningan、マジャレンカMajalengka、インドラマ
ユIndramayu、スバンSubangなどでも食されている。

このナシレンコはサテカンビンとたいへんよく合うらしく、肉が無くてものたりないなら
サテカンビンを頼めとみんな言うそうだ。


肉をしっかり食べたいひとにはempal gentongがある。チルボンへやって来ると必ずこれ
を探すひとがいるくらい人気のある料理だ。ンパルはジャワ語で牛肉を平たく切ったもの、
グントンは粘土を焼いて作った壺を意味する。

ンパルグントンは牛肉を使ったグライの一種で、肉と大腸小腸や肺が使われ、汁にはブン
ブとココナツミルクが加えられる。ブンブはウコンを使ったブンブクニンだ。ンパルグン
トンには白飯よりもロントンのほうが合う。チルボンのロントンは白米一本やりで、何も
混ぜられない。白米だけがシリンダー状に形作られたバナナの葉に流し込まれ、それが4
時間かけて炊かれるのである。[ 続く ]