「ヌサンタラのお粥(14)」(2022年06月21日)

このブブルは米粒でなくて米の粉が使われる。米の粉を水とココナツミルクに溶いて熱す
る。パンダン葉と塩を忘れてはいけない。出来上がったら、ヤシ砂糖の汁をかけて食べる。
ヤシ砂糖の汁は水とパンダン葉と一緒に熱して作る。濃い汁がお好みならカンジ粉を混ぜ
る。

このブブルもジャワが発祥だと言われている。ジャワ人は現在も結婚式のような伝統祭事
の中で、祝い物としてブブルスムスムを作って供している。ただ、その習慣がいつから始
まったのかについては、よく分からない。結婚式にブブルスムスムを食べるのは、健康と
恵を招くためだとジャワ人は語っている。

[Bubur Merah Putih]
これはジャワ文化において、子供の誕生・命名・改名などの祝い事の際に自宅で作って近
所に配るのに使われた伝統的なブブルだ。伝統的儀式の中の一環として、新生児の名前や
新しく替えた名前を紙に書き、ブブルと一緒に近所に届けて隣人たちの祝福を願うことか
ら発したものである。ジャワ文化では、名前を替えることは生まれ変わることを意味して
おり、本人が何歳になっていようが新生児の誕生に通じるものと理解されているため、そ
の新しい名前で築かれる新たな人生がより良きものになるように祝福を請う意図がそこに
示されている。

作り方はいたって素朴で、まず米と水とココナツミルク、そしてパンダン葉と塩で白米粥
を作る。それを二分し、片方にヤシ砂糖を加えてもう一度煮る。すると白いブブルとヤシ
砂糖の色が付いた甘いブブルができる。現実の色がどうなっていようが、ヤシ砂糖入りポ
ーションはメラと呼ばれるのである。
二分する比率をどうするのか?それは盛り付けの仕方に関係している。メラ粥を器一杯に
盛り、その中央にわずかばかりの白粥を載せるスタイルと、器の左右に同量のメラとプテ
ィを載せる形のどちらかが一般に使われている。

ある調査研究によれば、前者は中部ジャワで一般的なスタイルであり、後者は西ジャワで
好まれている様式だそうだ。確かに前者は甘い部分が後者よりも多く、甘い物に対する嗜
好の強弱がそこに反映されていると見ることもできるだろう。

メラプティのシンボリックな意味付けは勇気と神聖さだとされているのだが、あなたはこ
の甘いメラと勇気とをどのように関係付けるだろうか?

[Bubur Gunting Banjar]
南カリマンタン州バンジャルマシンの郷土料理と言われているブブルグンティンバンジャ
ルは米の粉を使う。米の粉・ココナツミルク・ヤシ砂糖・塩・消石灰(水酸化カルシウム)、
スジ葉とパンダン葉及びスジ葉の汁を混ぜてドウを作り、長い円筒状に成形する。

このドウをソーセージのように少し斜めに切るのだが、そのときにハサミで切るからグン
ティンという名前が付けられたという話になっている。ドウを作るのに、米の粉の代わり
にサゴの粉を使うこともあるそうだ。

次にココナツミルクとヤシ砂糖と塩を鍋に入れ、切られたドウをそこに混ぜて煮込む。コ
コナツミルクを加熱するときは、ミルクの脂肪分が分離しないように気を付けなければな
らない。ココナツミルクが沸騰すれば出来上がりだ。

[Bubur Gunting Singkawang]
やはりカリマンタンだが、西カリマンタンのシンカワンにもブブルグンティンがある。こ
ちらのブブルグンティンは米の粉のドウでなくて、チャクウェが使われる。そして汁はブ
ブルカチャンヒジャウなのだ。つまり、ブブルグンティンという名前でユニークさを示し
ているものの、ブブルカチャンヒジャウにチャクウェや揚げパンを実として加えたものが
シンカワンのブブルグンティンなのである。[ 続く ]