「餅(15)」(2023年01月30日)

onde-ondeの画像検索をするとインドネシアのタンユエンであるウェダンロンデが登場す
るという現象からondeとrondeの言語上の関連性がそこはかとなく感じられないだろうか?
この説を唱えているひとがいるかもしれないと思ってネット内を調べてみたが、見つから
なかった。わたしの個人的な妄想かもしれない。おまけに、それを否定する材料にも事欠
かないのだから。

スラウェシ島南部のブギスマカッサル族も伝統菓子としてオンデオンデを持っている。解
説によれば、イスラム到来前の時代からあったもので、神事に供される七種の食べ物を意
味するDeppa Pituのひとつとされているそうだ。onde-onde bugisでグーグル画像検索す
ると、onde-onde minangとよく似たものが出てくる。ちょっといたずらにkleponを検索す
ると、またまたよく似た餅菓子の図が出現する。どうも名前(言葉)ばかりを追いかけて
いるとラビリンスに迷い込んでしまいかねない。


コンパスネットサイトで紹介されているウェダンロンデのレシピによると、ロンデの作り
方はこうなっている。
1.炒りピーナツを温かいうちにブレンダーで砕き、砂糖と塩を混ぜてから丸めておく。
2.もち米粉と塩を混ぜ、湯を少しずつ加えながら練り上げる。
3.ドウを三分割し、そのひとつに緑、もうひとつに赤の着色料を混ぜて練り、それぞれ
が赤白緑のドウを作る。
4.ドウを少し取って平たく伸ばし、1のピーナツ餡を包んで丸める。
5.鍋で湯を沸かし、4のロンデを入れて浮かび上がったのを掬い取る。
次にショウガシロップを作る。
6.鍋に水を入れ、焼いてから叩いておいたショウガ・砂糖・パンダン葉・スレーを入れ
て弱火で沸騰するまで煮たたせる。沸騰すると香りが立つ。
7.椀にロンデ・サグムティアラ・コランカリン・レンケンなどを入れ、上からショウガ
シロップをかけて供する。温かいうちにどうぞ。

上で名前を挙げたクレポンも団子のひとつと言えるだろう。このクレポンは次のようにし
て作られる。
1.スジ葉とパンダン葉を搾り、汁と湯を混ぜてスジ溶液を作る。
2.モチ米に消石灰を加え、温かいスジ溶液を少しずつ加えながら練り上げる。
3.ドウをビー玉サイズに丸め、中にグラメラを入れて包む。
4.鍋に中火で湯を沸かし、ビー玉様の団子を入れて浮かび上がるのを待つ。
5.浮いたのを掬い取り、水を切ってからヤシ果肉フレークを振りかけて供する。
緑色のもちの中に溶けたグラメラが入っていて、噛むと液体のグラメラが口中に広がる。
それが独自のセンセーションをもたらしてくれる。

このクレポンはジャワが発祥地であり、同じものがスマトラ・スラウェシ・マレーシアな
どにもあって、それらの地方ではオンデオンデあるいはbuah melakaという名称で呼ばれ
ているそうだ。

バリ島は歴史のはじめからジャワのヒンドゥブッダ王国の支配下に落ちた土地であり、ジ
ャワ文化の色濃い風土になっている。わたしも島内で遠出する際、自宅から西に向かうと
きはタバナンを通ることになるが、タバナンの街道に出る前あたりの田舎道の道端にいる
物売りからバナナ葉を折って作った容器に入っているクレポンを時々買うことがある。物
売りはたいてい土着バリ人の年増女性で、自分で作り売りをしているように思われる。

夕方、これをつまみながらブラックコーヒーを楽しもうと目論んだが失敗に終わった。強
い日射を受ける車の中に5〜6時間置いていたためだろう。意外に早く傷むことをそのと
き知った。道端で売られているホームメードのクレポンは、買ったらすぐに食べるようお
勧めしたい。[ 続く ]