「餅(21)」(2023年02月07日) アンレンの作り方は次の通り。 1.白砂糖とヤシの果肉フレークを混ぜて熱する。砂糖が焦げないように混ぜ続ける。 2.砂糖が完全に液状になったら、グラメラを加える。 3.そこに黒モチ米粉を少しずつ加える。 4.加え終わったら2時間中火で熱する。その間、焦げないように混ぜ続ける。 5.ドウができあがったら、火から下ろして一晩放置する。 6.冷えて固まったドウをトウモロコシ皮で包む。 7.ドウと皮が密着しないよう、包んだものを24時間放置すればできあがり。 ガルッにはその地名を冠した世に名高いdodol Garutもあって、「アンレン、ドドル、ワ ジッは何が違うの?」というある種の不審を抱くひとが出現しそうだが、それはお口の感 受性が答えを出すことではあるまいか。まあ、食べ比べて見るのがきっと最善の解決にな るにちがいあるまい。 kue kah スリブ群島はジャカルタ湾に浮かぶ105の島々から成っている。この地方には他地方で あまり見られない、珍しい食べ物がいくつかある。たいていルバランのための祝祭料理に 各家庭が作るもので、普段は作られない。 スリブ群島北部にあるクラパ島では、米粉とココナツミルクを混ぜて蒸すkue talamの上 に魚でんぷとエビを載せたクエタラムイカンや、上にグラメラの層を載せるクエタラムメ ラと、モチ米粉を使うクエカッという珍しい焼き菓子がルバラン時に供される。クエカッ は次のようにして作る。 1.夜のうちにココナツミルクと白砂糖を合わせて熱しておく。 2.翌朝、モチ米粉・卵・バター・ミルク・バニラ・砂糖を混ぜ合わせてから作っておい たココナツミルクを加え、練り合わせて平たい円形に成形する。 3.それを深鍋に重ねてから、鍋の上でヤシの繊維を焼いて加熱する。 上から加熱するのが大きい特徴で、地元ではルバランの七日前くらいからこれを作りはじ めるから、燃やすヤシの繊維が大量の煙を発生するので、部落中に煙が満ちることになる。 そのようにして、あたかもウィンコババッがクエラピスのように層状に積み重なったケー キ、クエカッができあがるのである。 tapai ketan 忘れてならないものにこのタペがある。元来の発音はその綴り通りのタパイという音なの だが、-ai-が音変化して-e-になる通例に従ってタペの発音が一般化し、文字表記も一般 的発音に合わせて綴られるようになったため、今ではtapeと書かれるほうが多い。語源学 的にはプロトオーストロネシア語で発酵食品を意味するtapajに由来している。 ヌサンタラで一般的な発酵食品として、モチ米・キャッサバ・バナナなどがタペと呼ばれ る食品の素材に使われている。タペとは呼ばれないものの、調味料としての発酵食品には エビや魚などで作られたものがまた他にある。 モチ米をberas pulutと呼ぶ地方ではtape pulutという名称が使われることもあるが、た いていの地方ではタペクタンが一般的な名称になっている。ジャワではルバラン祝祭のた めの食品として、たいていの家庭が自宅でタペクタンを作るのが普通だ。もちろんたくさ んある家庭の好みや方針次第だから、一年中作っておやつに食べているところがないわけ でもない。[ 続く ]