「ムアロジャンビ遺跡(3)」(2024年08月16日)

各チャンディは様式が一様でなく、また広さも異なっている。チャンディの広さは次のよ
うになっている。(単位はメートル)
チャンディコタマッリガイ 100x100
チャンディクダトン 220x245
チャンディアスタノ 100x200
チャンディグンプン 150x150
チャンディティンギ 125x200
チャンディクンバルバトゥ 80x80
チャンディグドン1&2 100x300
チャンディタラゴラジョ 100x150
外周は赤レンガの塀で囲まれており、その外側に溝が掘られていて雨水対策がなされてい
たと思われる。

各チャンディの敷地内に入る場所には、ジャワのチャンディと同じようにdwarapalaと呼
ばれる門番の像が置かれていた。ドゥワラパラはたいてい、いかめしくて威嚇的な様子を
示しているものだが、チャンディグドンで見つかった石造りの門番像のひとつはまったく
そんな様子を示していなかった。面白いことに、チャンディの敷地内で見つかった黄金や
宝石類は建物内よりもその庭から出土したもののほうが多かった。

チャンディの詳細な調査の結果、改築が行われた形跡が見つかっている。チャンディグン
プンは最終形態に至るまでに少なくとも2回のプロセスが踏まれたものと判定された。最
初に建てられたものは9世紀ごろの造作で、それは現在残されている遺跡よりも小さく、
改築がいつなされたのかは不明だが、拡張されたものが現在の遺跡になっている。

ダルマスラヤの名を持つムラユ人の王国がランバハン地方に都を置いていた13世紀ごろ、
王国が仏教儀式を営む際にムアロジャンビが重要な地位を占めていたことが推測されてい
る。ダルマスラヤ王国もムアロジャンビを使っていたのだ。チャンディグンプンの東側廃
墟からプラジュナパラミタ像が見つかったのである。

発見されたその像は頭と腕が欠けていたが、手の姿勢から仏教の知恵の女神であるプラジ
ュナパラミタであると鑑定された。13世紀のシゴサリ王国様式の特徴である細身に作ら
れた体躯をしており、その時代にヌサンタラの仏像作りが制作したものであることを想像
させた。シゴサリ王国とダルマスラヤ王国は密接な関係にあったのである。プラジュナパ
ラミタ像以外にも、ガジャシンハやマカラなどの像が見つかっている。

チャンディグンプンの底辺の基礎構造を調べていたとき、正方形になる配置で13個の穴
が中央部にあるのが見つかった。それらの穴には黄金の薄板・宝石・古ジャワ文字の書か
れた黄金板や小函などが置かれていた。

穴の配置は8方角に合致しており、古ジャワ文字は仏教で使われる呪文を記していて、そ
れぞれの方角を示すものになっていた。古文書学者はその文字を9〜10世紀に使われて
いたものと判定した。[ 続く ]