「クレテッ煙草(8)」(2026年04月28日)

ロスやバンサルに関する上述のようなイ_ア語記事はそのプロセスを乾燥プロセスと呼ん
でいる。しかしイ_ア語AIの解説を参照するなら、それは熟成プロセスと呼ばれるほうが
妥当な感触が生じるにちがいあるまい。熟成プロセスも乾燥が併発して当然だろうから、
どちらが主目的なのかというポイントからそれを見る方が合理的なように思われる。

とはいえ、この熟成と乾燥の仕分けは複雑な要素をはらんでいる。たとえば摘まれた緑の
葉をすぐにその姿で天日乾燥させるtembakau krosokと呼ばれるものもある。タバコの木
の下部にできた葉がトゥンバカウクロソッになり、この場合は乾燥させて黄色くなった葉
が刻まれることになる。トゥマングンやマドゥラではロスやバンサルを使うプロセスが行
われないため、収獲された葉が特定条件下に数日間置かれて黄色がかってきたものが刻み
プロセスに掛けられる。刻まれたあとの天日乾燥プロセスはどこでも同じようなことが行
われているようだ。

マドゥラの仲買人は茶色と枯れた緑色の入り混じった乾燥刻みタバコを農民から買ってい
る。仲買人は見た目・手触り・香りなどで商品のクオリティを判定し、買値を決める。十
分古くなっていること、健康な葉であること、厚みが肥えていること、栽培地の標高など
が値決めの主要素になる。


ロンボッではomprongと呼ばれる巨大な乾燥炉でタバコ葉の乾燥プロセスが行われている。
畑から摘まれた葉を倉庫内にびっしりと吊り下げ、炉で火を焚いて倉庫内を熱気で満たす。
この方法は既述のロスやバンサルとまた異なるものだ。しかしロンボッ産のタバコがすべ
てその方法で作られているわけでもなく、マドゥラやトゥマングンのような方法で乾燥刻
みタバコを作っている農家ももちろんある。クラテンやクルンパンのケースも同様で、そ
の土地で生産されるものがそんな画一的な方法で作られているわけでは決してない。人間
はだれしも、自分の状態と状況に最適なものを選択するのが普通なのである。

オンプロンは燃料費が馬鹿にならない。昔は廃木などを燃やしていたが、自然木の伐採を
煽ることになるために禁止された。そうなると石油燃料や石炭木炭などを燃やさざるを得
なくなる。コストを下げようとしてかれらが行き着くところは結局、周辺環境にある自然
木を伐採する違法行為だった。オンプロン方式のプロセスは消滅して行かざるを得ないの
が明白だが、タバコ葉栽培の末路とどちらが先になるだろうか?


仲買人がタバコ葉生産農民から買い集めたものの多くがタバコ製品製造工場に納入されて
いるのはもちろんだが、すべてがそうであるというわけでもない。一部の乾燥刻みタバコ
がビニール袋のパッケージに入って販売されているものもある。都市部では上品で芸術的
なパッケージで売られていても、地方部ではまるで手描きのようなラベルの付いた、粗雑
な袋入りパッケージのものがたくさん流通している。

このようなタバコは家内工業で作られるものだ。であるなら、タバコ生産農家でも作るこ
とができるだろう。タバコ栽培者が直接市場と結びついている姿がそこに映っているのか
もしれない。言うまでもなくその商域はきわめて狭いはずだ。

そのタバコをどのように使うかは購入者の自由だ。自分で手巻きして喫煙したい愛好者に
はもってこいの品物だろう。パイプ喫煙の習慣のほとんどないインドネシアにこの商品の
市場が存在するということは、その地方にいかに自分で手巻きする喫煙者が多いかという
ことを物語っているようにも推測できる。

インドネシアの2023年タバコ葉国内総生産量は23.9万トンあり、州別ランキング
では東ジャワがトップの13.6万トン、次いで西ヌサトゥンガラ6万トン、第3位は中
部ジャワだ。4位の西ジャワは9千トンでトップスリーとの間に大きい落差がある。西ジ
ャワではガルッ・バンドゥン・マジャレンカなどがタバコ葉生産地として知られている。
[ 続く ]