「インドネシアの 動 物 検 疫 制 度」
2000年度インドネシア共和国政令第82号「動物検疫」より抄訳
Peraturan Pemerintah Republik Indonesia Nomor 82 Tahun 2000 Tentang "Karantina Hewan"
2000年9月19日アブドウラフマン・ワヒド大統領が制定し、同年同月同日ジョハン・エフェンデイ国家官房長官が公布。
1992年度第16号法令「動物・魚類・植物の検疫」の施行細則として制定されたもの。

1。動物検疫対象病原体キャリヤー(以降キャリヤーと呼ぶ)とは下のものからなる。
a. 動物 = 飼育されていると野生であるとを問わず陸棲するすべての生物
b. 動物素材 = 更に加工されうる、動物から取られた素材
c. 加工済み動物素材 = 既に加工のなされた、動物から取られた素材
d. その他のもの = 動物検疫対象病原体を伝染させる可能性を持つ、a.b.c.以外のもの

2。インドネシア共和国領土内に移入されるキャリヤー、インドネシア共和国領土内の特定エリアから別のエリアに移されるキャリヤーには下のことが義務付けられる。
a. 原産国とトランジット国所管の担当官が発行したHealth Certificateがあること。
b. その他のものに区分されるキャリヤーに関して原産地証明書があること。
c. 定められた移出入場所を通ること。
d. 検疫処置のために定められた移出入場所の検疫職員に届け出て、キャリヤーを委ねること。

3。インドネシア共和国領土から移出されるキャリヤーには下のことが義務付けられる。
a.移出場所の動物検疫医務官が発行するHealth Certificateがあること。
b.その他のものに区分されるキャリヤーに関して原産地証明書があること。
c.定められた移出場所を通ること。
d.検疫処置のために定められた移出入場所の検疫職員に届け出て、キャリヤーを委ねること。

4。原産地とは動物の場合、養殖・飼育・捕獲された場所あるいは自然生息地。動物素材・加工済み動物素材・その他のものの場合は集荷・加工あるいは防腐処理のなされた場所。
その他のものに区分されるキャリヤーのための原産地証明書は生産者・集荷人・加工者が発行するものでよく、政府機関が発行したものである必要はない。

5。トランジットとは、キャリヤーを目的港へ運ぶまでの間に運送機関が暫定的に立ち寄ること。

6。インドネシア共和国領土内の特定エリアとは、動物検疫対象病原体の伝染防止の見地から定められた国内の群島・単独の島あるいは島の中の地域。

7。Health Certificateとは、動物の場合Animal Health Certificateであり、少なくとも下のデータが記載されていること。
a.伝染性の動物検疫対象病原体発生が一定期間見られなかった原産国・地域・場所の名称。
b.出国時に伝染性動物検疫対象病原体による症状が見られず、外的寄生虫がおらず、健康な状態であり、かつ出国させるに適切な状態であること。
動物に区分されるもの以外のキャリヤーの場合はSanitary Certificateであり、少なくとも下のデータが記載されていること。
a. 伝染性の動物検疫対象病原体発生が一定期間見られなかった原産国・地域・場所の名称。
b. 健康な動物から取られたものであること。
c. 動物素材・加工済み動物素材から伝染する動物検疫対象病原体に冒されていないこと。
d. 特に人間が摂取するためのものに対して、獣医学公衆衛生規定と関連する現行法令に違反していないこと。
動物素材・加工済み動物素材の証明書は原産地のインスペクター(獣医でない場合もある)の発行したものでもよく、移出地の検疫医務官の再証明は必要ない。

8。検疫職員への届け出は、動物の場合少なくとも移出入の2日前、動物以外のキャリヤーの場合は1日前。 乗客が持ち込む場合は特に持ち込み時点でも許される。
届け出を怠ればキャリヤーは没収される。

9。外的寄生虫とはのみ・だに・しらみ・かびなどを指す。それらも病原体を媒介するキャリヤーとなりうる。

10。Health Certificateは動物検疫医務官が検疫検査上問題無いことを決定してから24時間以内に目的地の検疫職員宛てに発行する。

11。キャリヤーを国外から移入する場合は上記に加えて次の書類があること。
a.動物の場合はKeterangan mutasi muatan固体数増減証明書。
b.動物素材・加工済み動物素材の場合は運送責任者が発行する「運送中における非汚染証明書」もしくは運送中の温度条件が必要な場合は温度記録。
c.現行法規に則したその他の書類

12。義務付けられた書類が添えられていない場合、キャリヤーの移入は拒否される。
拒否されたキャリヤーは下の場合に検疫機関の強制預かりとなる。
a.移入者が3日以内に書類の提出を保証する場合。
b.キャリヤーの移入元原産国・地域・場所が禁止対象でない場合。
c.運送機関上での検査で病原体第1類の症状と第2類の伝染リスクを検疫医務官が発見しなかった場合。
3日以内に書類提出ができなかった場合は強制預かりから拒否に戻され、拒否された場合、移入者が24時間以内に送還もしくは転送しなければ、キャリヤーは廃棄処分となる。

13。外国から動物を移入する場合、運送機関は定められた場所以外でのトランジットは許可されない。トランジットが許される港は大臣が定める。

14。トランジットされるキャリヤーには下のことが義務付けられる。
a.動物の場合はHealth Certificateがあり、トランジット期間中常に動物検疫医務官の監督下にあること。
動物以外のキャリヤーの場合はSanitary Certificateがあり、期間中常に検疫職員の監督下にあること。
b.動物の場合、動物検疫医務官は運送機関上の一般的な検査を行わねばならない。
c.病原体第1類の症状が見られた場合、運送機関は即座にトランジット地を離れること。
d.検疫医務官の承認で他の運送機関に移し替える場合を除いて、トランジットしている間に上陸してはならない。