「インドネシア業務支援情報2004・5年」


「中部ジャワの外資企業がインドネシアから撤退」(2004年5月17日)
中部ジャワ州にあるPMA企業で構成されている中部ジャワ州外資企業協会のルイジ・リベロ会長は、家具や木材加工品分野で操業している会員企業の多くが、原料入手難のためにほかの国に事業を移転させている、と語った。この傾向は、不法伐採と外国への闇販売の横行による木材原料危機が深刻化するにつれて顕著となり、工場の中には原料調達が保証されそうにないとの予測からインドネシアでの操業に見切りをつけ、マレーシア、ベトナムなど他の東南アジア諸国に移転するところが増えていて、過去三ヶ月ではジュパラにあった4工場がインドネシアを去っている。リベロ会長は「その状況は木材原料に関わる業界でのみ起こっていることで、中部ジャワ州の外国資本投資環境が悪い状況になっているというのでは決してなく、たまたま中部ジャワ州に家具業界が集中しているために拡大された印象を与えているにすぎない。いまは治安状況も良好だ。」と述べて一業界の特殊現象であることを強調した。


「6月のガソリン料金は据え置き」(2004年6月1日)
国際市場での原油価格高騰にもかかわらず、インドネシアでは6月の石油燃料消費者価格が据え置かれる。5月31日にプルタミナが定めた6月の石油燃料市場価格は、産業用のC重油が5月のリッターあたりRp. 1,590からRp.1,600に上がったほかは、5月と同じ料金になっている。ちなみに国内消費者向け価格は下の通り。
Premium      ガソリン    1,810ルピア/リッター
Minyak solar  軽油     1,650ルピア/リッター
Minyak diesel  A重油     1,650ルピア/リッター
Minyak bakar  C重油     1,560ルピア/リッター
(PPNとガソリン税を含む)
プルタミナの国内市場価格計算は、MOPS(Mid Oil Plats Singapore)の平均価格とルピア為替レートという変動するふたつの要素をもとに算出される。6月の価格算定は4月16日から5月15日までの期間に取られたデータに基づいてなされているが、その計算によれば、ガソリン6.8%、A重油16.5%、軽油10%、C重油7.1%のアップとなっているものの、ルピア為替レートはその期間14%低下している。
一方6月のリッター当たりバンカー価格は国際航路船舶用軽油価格が10.2%上がってUS$30.20、A重油価格は9.8%上がってUS$29.10、C重油価格が7.0%アップしてUS$19.80となる。この国際バンカー価格は課税されないが、販売対象は外国籍船舶、国際航路を運航するインドネシア籍船舶、ならびにバンカー販売業者に限られる。


「住宅地区指定をビジネス地区に変更してはどうか」(2004年6月10日)
地方行政府が地域整備計画の中で定めた住宅地区では、住居を事業所に転用することが禁じられている。しかしポンドッインダ地区の目抜き通りであるメトロポンドッインダ通りを通ると、美容サロン、医療クリニック、ボディケアサロン、プレイグループ、カフェ、不動産屋などが道路の両側に目白押し。その一方で、「ポンドッインダ住宅地区で住居の事業所転用は禁止されている」という看板も目に入る。法執行が思い出したときだけ行われるインドネシアの弱点のサンプルをそこに見るのだが、同じような状況は都内のほかの住宅地区でも目にすることができる。
禁止してそれらの転用住居を封印するのは簡単だが、かれらも人の子であり、この経済危機下に糧を求めて努力しているとの配慮から、南ジャカルタ市長が都庁に対して、住宅地区に指定されているいくつかのエリアをビジネス商業地区に変更してほしいと検討要請を行った。南ジャカルタ市長の要請はクバヨランバル地区内の27ヶ所についてのもので、ダルマワンサ通り、ウィジャヤ通り、パンリマポリム通り、モギンシディ通りなどがあげられている。
ポンドッインダ地区はその中に含まれていないが、ポンドッインダ住宅地区内で住居転用事業を行っている20を超える事業者で編成されているPI事業者会は9日、都知事に面会を求めて状況を訴え理解を求めた。同会のアニサ・ミルザ会長は「都知事閣下は賢明な方で、わたしどもの訴えを真剣に聞いてくださいました。」と語っている。


「郵便為替に新サービス」(2004年6月28日)
郵便公社(PT Pos Indonesia)が新しい送金サービスを開始した、と発表した。アリフ・スティヤント郵便公社コミュニケーションマネージャーはバンドンで行われた記者会見で、高い移動性を持つ都市住民へのタイムリーな送金サービスとしてWeselpos Instan(インスタント郵便為替)サービスを始めた、と語った。
このサービスでは、受取人あてに到着した送金を郵便局が配達するといったやり方は行わず、送金者が指定した受取人にNomor Transaksi Pusat(センター取引番号)とPersonal Identify Number(個人識別番号)が付与されると、送金者は受取人にそのデータを知らせ、受取人は支払い局を訪れてNTPとPINを言えば送金額が受け取れるというもの。ほぼリアルタイムで送金の授受が可能なため、忙しい都会人にきわめて役に立つサービスになるだろう、と公社側は述べている。プロモーション期間中の送金費用は、PPN込みで一件につき3万ルピア。ただし一回の送金額には限度があり、最高額の2千5百万ルピアを超える場合は分割して件数を増やさなければならない。これは同公社内に、2千5百万ルピアを超える送金は副局長の承認が必要という規定があるため。
また郵便局が遠くて行きにくいという人にはWeselpos Prima(プリマ郵便為替)というサービスがあり、支払い局が郵便為替証書をプリントして受取人に配達する。受取人はその証書を持参すれば送金を受け取ることができる、というものだが、この方式だとどんなに早くとも送金日の翌日にしか送金を受領することはできない。
インスタント郵便為替サービスは、メダン、パダン、パレンバン、中央ジャカルタ、南ジャカルタ、西ジャカルタ、東ジャカルタ、北ジャカルタ、バンドン、スマラン、スラバヤ、デンパサル、バンジャルマシン、マカサル、ジャヤプラの15郵便局で受け付けている。


「政府が未加工水産品の輸出禁止を検討」(2004年7月23日)
海洋漁業省のフスニ・マンガバラニ漁獲総局長は、国内水産加工業の保護育成のために一部の魚種について、加工なしの輸出を禁止することを検討している、と表明した。どの魚が漁獲されたままの状態での輸出を禁止されるのか、その明細はまだ検討中とのことだが、鮮魚のまま丸ごと輸出される方が冷凍や加工済みより価格が高いというものもあるため、検討には時間をかけなければならないとの談。その典型例はツナで、鮮魚は冷凍ものより価格が5〜6倍になっている。一方かつおはその反対に、加工済みのほうが値段が高い。同総局は近々この法規の草案を完成させて国会の承認を得たい、としている。
ちなみに2003年の水産品全国総輸出量は69万6千トン、金額ベースでは2百万ドルとなっている。


「EU向けインドネシア産ツナ製品にエンバーゴ」(2004年7月30日)
インドネシア産ツナ製品からヒスタミンと重金属が発見されたとして、EU当局はインドネシア政府に対し輸入禁止措置を取る予定であることを通告してきているが、スンペノ・プトロ海洋漁業省制度販売能力向上総局長は政府として、製造から輸入国の港に陸揚げされるまでの間、汚染やその他の国際規定違反にインドネシア産ツナ製品は関わっていないことを保証する旨の説明書を既に送った、と語った。EU市場はツナ製品に輸入割当制を適用しており、クオータ全量2万5千トンのうちタイに1万3千トン、フィリピンに9千トン、インドネシアに2,750トン、アフリカ、カリブ、太平洋の諸国に250トンが割り当てられている。
政府海洋漁業省はEUからの輸入暫定停止措置あるいはその他の厳しい対応は避けられないと見ており、国内のEU向けツナ製造輸出者13社に対して調査ならびに指導措置を取るほか、問題のある工場に対しては輸出許可を取り消す姿勢で臨むとしている。
インドネシアのツナはそれ以前にも日本政府から、インドネシア漁船が漁獲を他国に水揚げし、それが日本へ輸出されているという非合法、非報告、非統制漁業実施問題を指摘されており、日本政府は製品ボイコットを示唆しているが、それに対してインドネシア政府は、外国の密漁船がインドネシア国旗を掲げて漁をするケースが多く、日本政府がインドネシア漁船と言っている船の実態を明らかにするべきだ、と反論している。


「EUの電子決済拒否提案でインドネシアに危機」(2004年8月12日)
IT関連の法令がないために国際電子決済システムへの参加も許されず、反対にサイバー犯罪の多発から国際インターネット社会で厳しい対応を受けているインドネシアだが、期待されている『電子情報と決済に関する法案』は去る4月に編成が終わり、7月に国家官房に提出されているというのに、国会審議にかけるための大統領承認書がいまだに降りないままになっている。8月9日の限定閣議でその議題が予定されたが実施できず、来週再度閣議に諮られることになっている。そんな状況の中で、インドネシアのIT関係者にはきつい言葉がヨーロッパから聞こえてきた。
EUがIT法令を持たない国との電子決済を拒否するよう警告したのがそれ。EUのその表明は国レベルでの決済を対象にしており、プライベートレベルでの決済を目標としているわけではないが、民間がそれに追随するのは大いにありうることで、インドネシア=ヨーロッパ間のEコマースがストップされれば、年間数十億ドルの収入が霧消することになりかねない、と政府筋は危機感を高めている。


「新規契約者からの保証金に頼るPLN」(2004年8月12日)
これまで電力公社PLNから新規に電力供給を受ける契約者はPLNに保証金を預託しなければならなかったが、それを廃止してはどうか、との声に対し同社のスング・アンワル・アリトナン顧客サービス担当重役は、その保証金は同公社の資金繰りに不可欠なものになっており、それを廃止することはできない、と語った。
「それがなくなると、オペレーション資金に問題が起こる。多分必要なのは、保証金の使用目的を透明にすることだろう。名称はいま社内で、顧客保証金から使用料前受け金に変更することを検討している。」との談。この保証金は顧客との売買契約における基本ポリシーであり、顧客からは電力供給開始時に接続工事費と一緒に支払ってもらっている、とのこと。


「ATMを使った他銀行への振込みは上限1千万ルピアまで」(2004年9月22日)
ATMでの他銀行間の振込みを行うATM Altoシステムを開発運営するPT Daya Network Lestariは、今回Alto fund transferと名付けた新たなフィーチャーを公開した。この新フィーチャーでクレジットカード、電気料金、水道代、電話代などの支払いやモバイルバンキングもより安全でスムースに行うことができる。このサービス利用に加わっているのは現在8銀行だけだが、近い将来もっと多くの銀行間で送金が行えるようになる、と同社は期待している。
一方イ_ア銀行は、ATMを使った送金に関して、不慮のリスクが発生する可能性が高いために、一日一口座に対して送金できる金額を1千万ルピアまでとすることを明らかにした。ITの進歩と利用者にとっての利便性から、ATMを使った送金や振込みが増加傾向にあるのは疑いもないが、利用者が多大な損失を蒙るリスクが依然として高いために、イ_ア銀行は消費者保護の観点から上限規制を設ける、とマウラナ・イブラヒム、イ_ア銀行副総裁は表明している。
そのリスクの中には、外部から侵入してきてデータを混乱させ、銀行の資金管理を狂わせるハッカーのような不法襲撃に対する保全システムの信頼性に関するものや、銀行内部あるいは外部者で銀行の電子サービスを悪用してカードのクローニングを行い、銀行顧客の金を不正に手に入れようとするものなどがある、と同副総裁は説明している。


「国有電力会社が請求料金情報をSMSで通知」(2004年10月21日)
国有電力会社PT PLNが、I−SMSによる請求料金通知サービスを開始する。同社はこれまで請求書、コールセンター、ウエッブサイトなどを使った契約者への請求料金通知を行っているが、「いくら払えばよいのかが支払い窓口へ行ってはじめてわかる」という顧客からの声がいまだに多く、今回の新サービス導入に踏み切った。
このサービスはテルコムセル、インドサット、モバイル8、テルコムフレクシとの協力で行われ、PLN顧客はI−SMSプログラムから早く正確な情報が得られるようになる、とスング・アンワル・アリトナンPLNカスタマーサービス商業担当取締役は述べている。それら4携帯電話オペレータのカードを使っていれば、このサービスが受けられる、とのこと。


「最低賃金は上がっても・・・」(2004年11月16日)
首都ジャカルタの2005年最低賃金は711,843ルピアだ、とスティヨソ都知事がコメントしている。2004年は671,550.45ルピアだから、上昇はわずか4万ルピア強だ。2003年に制定された労働法第89条では、最低賃金は適正生活需要を満たすことを志向するとなっているが、首都の適正生活需要873,945ルピアどころか、最低生活需要の759,953ルピアすら満たしていない。ましてや、労働者が希求する120万ルピアは夢のまた夢。
4万ルピアの上昇で、労働者の暮らしは多少とも改善されるのだろうか?「まあ、とんでもないわ。今でさえわたしの賃金は月67万ルピアもないっていうのに。」北ジャカルタ市カプッにある輸出向け履物工場で働くラストリは吐き出すように言う。かの女の週給は15万6千ルピア、月に直せば62万4千ルピアだ。「1日1千ルピアの食事手当てを加えるとそうなるかもね。」ラストリの同僚メリーが助け舟を出す。しかし食事手当てがもらえるのは、7時半から15時半まで仕事した日だけ。会社は30人から成る1ラインに1日あたり靴350足のノルマを課しており、不足すれば会社に借りができることになる。借りは翌日返さなければならない。一方そのノルマを超えたときは、ひとり3百ルピアほどのボーナスが与えられる。
やはりカプッ地区にある衣料品工場で働くウィウィンは、月48万ルピアの手取りで生き延びている。かの女も最低賃金の恩恵に浴していないひとりだ。借り部屋の家賃が月10万ルピア。毎日の食費はどんなに切り詰めたところで30万ルピアはかかる。工場まで通う往復の交通費が1日1千4百ルピア。加えて乾季になると、生活用水を買わなければならない。1日5千ルピアはその水代に当てられる。赤字の穴埋めをウィウィンはどうやっているのだろう?「新しい穴を掘っちゃあ、古い穴を埋めるわけ。あっちに借金、こっちに借金の連続よ。」2メートル四方の窓もない小部屋に住んで、モールに目の保養にも行けないウィウィンはそう言う。遊びは日曜日にパンタイインダカプッで朝のジョギングだ、と笑いながら物語る。労働者へのオルグの真似事までしているウィウィンは、そんな厳しい条件でも労働者たちはしかたなく働いているのだ、と言う。「賃金が安すぎるからって、よそへ移ることもできない。職探しはたいへんなのよ。タングランじゃ、仕事にありつくのに、やくざ者の手を借りる以外に方法がなくなってるの。どっかの工場に入れてもらって、やくざ者に50万ルピアを払わなくちゃいけない。ところが3ヶ月間は試用期間だっていうのに、やくざ者はつきまとってくるんだから。」
最低賃金とは無縁の世界がそこにある。


「政府が有名ブランド保護を検討」(2004年12月15日)
2000年以降、商標登録件数は年々増加の一途をたどり、今では年間4万件を超えている。この商標登録審査もかつてはマニュアルで行われていたために、たまに二重登録というミスも起こっていた。エマワティ・ユヌス人権法務省知的財産権総局商標局長は、これまでは何万件とある登録済み商標にダブらないかどうかをマニュアルチェックしていたから、ヒューマンエラーは避けようがなかったが、今では出願登録システムが自動化されてその問題は解消している、と語る。
しかしある品目分類で登録されても、別のカテゴリーに別の人が同じ商標を登録するのは可能だ、と同局長は言う。たとえばヒルトンというホテルがあり、ヒルトンというタバコがあったとしても、現行制度上その両立は可能だ、というのだ。「しかし外国のブランドオーナーはそのような事柄に関して、既に有名になった自分の商標権が侵されたと感じ、その商標名は自分しか使えないものだ、と主張してきます。そんな場合は商業法廷を通して取り消し請求手続きを取ってもらうことになります。ともあれ、政府は有名ブランドのエクスクルーシブな権利を保護する方向で法規を制定する考えであり、政令の形で公布する予定にしています。」という同局長の説明。
しかしWIPO世界知的所有権機関すら「有名ブランド」の定義はしていない。政府は世界に稀なその定義付けを行って、有名ブランドに該当する登録商標名の、他のすべての品目カテゴリーに対する商標オーナー以外からの登録申請を一切排除する方向で法制化を進めている。


「工業団地への新規入居はまだ少ない」(2005年1月7日)
1989年以来工業団地事業許可は、203ヶ所総面積6万7千ヘクタールに対して下ろされているが、今現在操業しているのは64団地2万ヘクタールだけで、しかもおよそ6千の団地入居者が占有している地所はそのうちの4%に過ぎない。そしてインドネシア工業団地会会員団地に入っているテナント5,110社の90%がジャワ島に集中している。
バスロニ・リザル同団地会名誉会長は、現在工業団地で操業している企業の多くはフランチャイズのようなサービス事業やコンサルタントサービス会社で、製造会社が生産ベースを置くという事例が減少している、と語る。団地会では、依然として減らない不法徴収金や労使係争問題といった要因が投資意欲に水をかけている現状で、投資金額や雇用人数が段違いに大きい製造業を工業団地に呼び込むための方策を、団地自身では解決しようのない上のような要因に政府が手を下して援助するようにと要請している。工業団地自身は、地元政府との協力態勢を整えて地元の許認可手続きや産業廃棄物処理対策などできることは進めている。とはいえ、製造業の新規建設がまったく途絶えているというものでもなく、今年は50から100ヘクタールの土地にテナントが入るだろうと予測している。


「クリスタルジェードの屋号争い」(2005年2月9日)
クリスタルジェードグループの子会社であるシンガポールのタングスウエー・フードビベレッジホールディングが、ジャカルタのクリスタルジェードパレスインターナショナルレストランの所有者PTイスタナプアラムクリスタル社を相手取って、クリスタルジェードの名称とその意匠の使用を差し止める訴えをジャカルタ商業法廷に起している。
クリスタルジェードの名称を使った屋号はPTイスタナ社が先に登録しており、クリスタルジェードパレスインターナショナルレストランは人権法務省知的財産権総局に1997年9月18日付第391124号で、またクリスタルジェードキッチンは2004年2月28日に第560742号で登録されている。それに対してタングスウエー社は第J002004 34003、34348という番号で人権法務省にクリスタルジェードの屋号と意匠登録申請を提出している。
タングスウエー社は商業法廷に対し、PTイスタナ社の登録は公正なビジネス倫理に反したものであり、同社の「クリスタルジェード」名称使用は即刻禁止されなければならない、と訴えており、既に事前審理は終って公判に入っている。PTイスタナ社の法律代理人ベニー・ポント弁護士は、「タングスウエー社の訴えは昨年末に出されており、既に時期が遅すぎる。商標登録の異議申し立ては登録日から5年が限度なのだから。」とコメントしている。


「鉄工所が強制封鎖される」(2005年2月14日)
住宅地区内にある鉄工所を地元住民か封鎖した。南ジャカルタ市トゥベッ地区のスポモ通り37番地には昔、映画館ウィラが開業していたが、その土地建物は転売され、今ではそこが鉄製品を加工する工場にされている。住宅地区の中で鉄工所が稼動していれば、騒音や震動、あるいはペンキを塗るシンナーなどの臭気が近隣に広がり、住民は穏やかな暮らしができないとのことから、西トゥベッRW03RT012の住民がその工場を封鎖するという実力行使の挙に出た。不測の事態に備えて警官が派遣され、その行動の監視に当たった。
十数人の住民は12日、「不法工場はトゥベッから出ていけ」と書いたポスターや垂れ幕を持って工場の前に集まり、建物内にいた工場主と自称するウォンドと従業員らしい男に、建物を封鎖するので敷地内から出ろと迫った。ウォンドは、自分はハッタから工場操業のためにそこを借りているだけで、その土地建物が工場稼動許可を得ているかどうかはハッタに責任を追及するべきことだ、と主張したが、ルスナンダル隣組長は「住宅地内での工場操業は許可されない。ここは産業地区でないため、工場の存在は認められない。」と語って平行線をたどった。CV Steel Safeの看板を掲げたこの鉄工所に対する近隣住民の抗議は昨年8月から開始され、以前から昼夜をわかたず住民の生活をわずらわしてきた機械の騒音や震動、カッターやグラインダーの甲高いうなり、臭気や煙、飛び散る火花への苦情行動に住民は立ち上がった。この工場の不法操業に対しては、住民の陳情もあって町役場からの警告書も発行され、住民とオーナーとの間で話し合いがなされて、ハッタは法規遵守を励行するため工場操業許可手続きを行い、工場稼動は2005年1月16日以降停止して許可が取れるまで再開しないとの覚書を記している。しかしウォンドは、ハッタと住民間のいざこざがあることは知っていたが、問題は解決したと聞かされており、自分が操業を停めるということに合意した覚えはない、と述べている。結局住民は強制的にその鉄工所を封鎖するのに成功した。


「エクストラジョスが商標権侵犯告訴」(2005年2月18日)
栄養ドリンク剤Extra Jossの大ヒットで好成績をあげている製薬会社PT Bintang Toedjoe社が、商標権を犯されているとしてやはり栄養ドリンク剤Enerjosを製造販売しているPT Sayap Mas Utama社を相手取り、商品名変更の訴訟を起した。
同社のアントニウス・プリヨフトモ法務課長は16日都内にあるサンティカホテルで、この訴訟に関する背景と主旨説明のための記者会見を行なった。それによれば、『ジョス』という言葉は同社のイマジネーションとクリエーティビティが誕生させた商品名であり、1992年には既に商品名の登録が行なわれ、2002年に延長手続きもなされている。それを用いたエクストラジョスという商品は1994年から使用実績を有しており、同社はこの商品名の普及を時間と費用をかけて行なってきた結果、国内外で知られるに至っている。商品がエネルギードリンクであることから、スポーツイベントを主体にスポンサー活動にも積極的に取り組んでいて、そのようにして確立してきた『ジョス』という言葉は、たとえスペルが少し違うとはいっても発音も同じで本質的には同じと見ることができるために、PTサヤップ社がエネルジョスという名前で別の商品に勝手に使用するのは商標法上の違法行為である、というのが今回の訴訟の本旨。「商品イメージを損ない、消費者の誤解を誘うようなPTサヤップ社のネーミングは変更していただかねばならない。」と同課長は述べている。ビンタントゥジュ社はサヤップ社に対して話し合いでのアプローチを取ったがサヤップ社が折れないため、15日、中央ジャカルタ商業法廷に告訴状を提出した。しかし同社収益のほぼ半分を占めるエクストラジョスの売上がエネルジョスのためにダウンしているという徴候はなく、一方は缶入りと粉末、他方は瓶入りという形態の違いのために消費者の混乱が避けられているのではないか、とも見られている。


「5紙が新聞メディアにおける広宣費の4割を握る」(2005年2月18日)
2004年にインドネシアで新聞メディアに支出された広告宣伝費は40%が5紙に集中している、という結果がニールセンメディアリサーチの調査で明らかにされた。その5紙とは、Bisnis Indonesia, Kompas, Jawa Pos, Media Indonesia, Pikiran Rakyatである由。広告宣伝費支出の中での新聞メディアのシェアは大きく変動してはいないものの、総額の急激な膨張に伴って大きい上昇カーブを描いている。ちなみに2002年は総額12.4兆ルピアのうち新聞メディアは3.3兆で27%のシェア、2003年は総額16.8兆のうち4.2兆で25%のシェア、2004年は22.2兆のうち5.7兆が新聞メディアで26%のシェアという推移。
「ビジネス界は商品需要を煽るために広告宣伝を行なうが、2004年に際立って市場が拡大したのは二輪四輪の自動車業界で、売上の増加にシンクロしてさまざまな媒体における広告宣伝も増加し、そのトレンドが今年も継続されるのは疑う余地のないところ。各企業は収益の3から4%を商品プロモーション費用に充当させており、自動車業界の売上が170兆ルピアだとするなら、5.5から6兆ルピアが広告宣伝産業に向けて支出されることになるだろう。ましてや今年1月の自動車販売が前年同期比130%にも達するものであっただけに、今年も好況が占われるようだ。」と新聞メディア業界者は語っている。


「パッケージツアー料金が三割増?!」(2005年3月3日)
石油燃料値上げに呼応しての値上げ検討が各セクターで進められている。スティヨソ都知事はさっそく、トランスジャカルタバス、通称バスウエー乗車料金の値上げ検討を指示した。現行料金は午前5時から7時までひとり1千5百ルピア、7時から22時まで2千5百ルピアという金額。ボゴール市では陸運交通局、陸運協会、市事務局、市法務局が会議を開いて市内公共運送料金値上げを協議し、アンコッ料金は一回の乗車が1千ルピアから1千2百に、学生料金は5百から6百ルピアにアップすることが決まった。
Asita(インドネシア旅行代理店協会)は、パッケージツアー料金が近々30%程度アップするだろう、という表明を出した。ベン・スクマ同協会会長によれば、ツアーコストの最大ポーションは交通費であり、飛行機代まで含めれば総コストの70%が交通費で占められることになる、との談。一方、旅客空運業界は今回の石油燃料値上げの影響は受けない、と述べている。国内でAvturと呼ばれているジェット燃料は以前から政府が指定する消費者価格システムから外されており、市場の実勢によって価格が決まっているため、反対に今回の値上げの影響を免れている。ローコストキャリヤーの中には、更に効率を追求して運賃値下げも辞さない、と豪語しているところもある。
ところで政府文化観光省は、中国からの観光客誘致に本格的に着手する構えを見せている。2004年中国からの観光目的出国者数は2千万人に近いが、インドネシアを訪れたのはそのうちの8万人しかいない。お隣のシンガポールには70万人が訪れており、その格差は激しいものがある。政府はこれまで不評だった在北京インドネシア大使館のみの入国ビザ発行を上海と広州にも広げ、シンガポールにお越しの際にはもう一歩足を伸ばしてインドネシアへも、と積極的にアピールしていく方針で、今年の誘致ターゲットを24万人に設定した。その一方で、到着時ビザ発給対象国現21カ国に中東、インドなどを含む16カ国を更に追加することを検討しており、中国もその候補のひとつに上がっている。また到着時ビザ制度の内容見直しも同時に行なわれており、いまの3日間と30日間という滞在期間を7日と60日に増やし、料金も35ドルから25ドルに引き下げることも同時に検討されている。


「商標権侵犯告訴が今度はホンダに」(2005年3月17日)
PTアストラホンダモトルを、二輪車生産者と称する事業家チェン・セン・ジアン、グナワン・チャンドラがジャカルタ商業法廷に告訴した。2月16日付の告訴内容について原告側法律代理人アムロース&パートナーのマネージングパートナーであるアマリア・ローセノは、「原告はクリスマ(Krisma)ブランドの二輪車生産者で、製品は国内のいくつかの地域で広く販売されている。アストラホンダモトル社が自社製品に使用しているカリスマ(Karisma)の名称は知的財産権局に登録されている文字様式や配色に一致していないため、原告はその登録商標取り消しを訴え出た。取り消しがなされれば、ホンダは二度とカリスマの商標を使えなくなる。」と説明している。
登録商標に一致しない商標使用について2001年度第15号法令「商標法」の第61条第2項bでは、「登録申請に記された物品・サービスとは異なる種類のものへの使用、登録された商標に一致しないものの使用、が行われた場合は登録済み商標の取り消しが行なえる」と謳われている。ホンダ側は今回の事件を、既に警察に届け出たスプラとカリスマのデザイン盗用事件に関連したものと推測している。ホンダの商標権を犯した側が、ホンダが警察に訴えたことからその交渉材料として打ってきた手が今回の告訴ではないか、というのだ。ホンダ側はこの挑発を受けて立つ構えでおり、それどころかクリスマブランド使用という事実を逆手にとって逆告訴しようという考えも洩らしている。


「2005年1〜2月の投資状況」(2005年3月18日)
投資調整庁は、今年1月2月の外国投資(PMA)実施状況は7.7億ドルにのぼっており、前年の5.4億ドルから43%増加していることを明らかにした。一方国内投資(PMDN)は今年が2.4兆ルピアで、2004年の2.6兆から8%減少している。投資実施は恒久事業認可交付時点でとらえたものであり、今年1月2月に交付された恒久事業認可はPMAが129件、PMDNは37件となっている。PMAの恒久事業認可を地域的に見ればジャカルタが45件4.9億ドル、西ジャワ州1.0億ドル、リアウ島嶼州0.6億ドル。北スマトラ州2千7百万ドル、東カリマンタン州2千7百万ドルといった内訳であり、セクター別を見ると運輸・倉庫・通信が2.6億ドル、その他サービス2.1億ドル、自動車等製造0.4億ドルなどとなっている。PMDNはトップが食品セクターの0.8兆ルピア、次いで繊維0.4兆、金属機械電子0.3兆、運輸機器0.2兆といった明細。
それとは別に投資認可交付状況を見ると、今年1月2月のPMAは213件32億ドル相当で、前年同期の8億ドルから4倍増。PMDNも30件6.7兆ルピア相当で、前年同期実績の3.2兆から2倍増となっている。PMDNが投資場所に選んでいるのはバリ、東カリマンタン、北スラウェシ、リアウ、東ジャワといったところで、セクター別にはサービス業、食品製造、食用植物栽培・農園業など。


「インドサットが廉価国際通話をオファー」(2005年3月24日)
インドサットがVoIP方式の一律料金国際ダイヤル直通通話サービスを始める。題してFlatCall016。既に001と008のアクセスコードを持っているインドサットが新たに国際通話サービスラインナップに加えるこの新サービスは、これまでのサービスを補完するものと位置付けられている。アクセスコード016で国際電話をかければ、120ヶ国のどの国にいつかけても、エアタイムチャージなしで1分当たり2,900ルピアの固定通話料が徴収されるだけ。インドサット側はこの新サービスについて、今年の利用7百万分を目標に掲げている。このサービスはインドサットの携帯電話Matrix, Mentari, IM3, Staroneにも自動的に適用される。


「都内タクシー料金値上げは4月1日から」(2005年3月30日)
29日、スティヨソ都知事は、タクシー料金改定を定めた3月29日付都知事令第823/-1.811.1号にサインした。新料金は初乗りが現行の3千ルピアから4千ルピアになり、キロ当たり料金は現行Rp1,300がRp1,800となり、時間待ち料金は1時間Rp13,000からRp18,000にアップする。その新料金は2005年4月1日から施行される。
いま都内で操業しているタクシーは43会社20,523台だが、そのうち10%は車体が老朽化しているので、都庁は乗客サービス向上を目的に、7年を超えた古い車は使用を禁止することを定めた。それ以外にも、エアコンが装備されて後部座席で25℃が保たれること、後部シートは外れないようにしてトランクルームと車内がつながらないようにすること、車内にゴミ箱を置くこと、窓ガラスに遮光フィルムを貼ること(サイドウインドーは60%以上、フロントとリアーウインドウは40%以上)などの条件が定められた。今回の値上げ決定に関連してスティヨソ都知事はタクシー会社やタクシーオーナーに対し、値上げ後三ヶ月間はストランの値上げをしないようにと呼びかけた。
一方、タクシー運転手たちは決してみんながこの値上げを歓迎しているわけではない。過当競争に加えて消費者ローンによるマイカー熱の高まりはタクシー利用者市場をますます狭くしている。「料金が値上がりすると、タクシーに乗るのを控える人が出てくる。われわれは他の仲間と合議して、4月1日からも料金据え置きで行くことを決めた。」Kostiタクシーのある運転手はそう語っている。ブカシのスーパーへロー前で客待ちをしていたPrestasiタクシーの運転手も値上げはしない、と述べている。「スカルノハッタ空港から締め出され、客を拾うのがますます難しくなっている。一部の悪徳運転手がメーターを使わないで交渉金額を客に押し付けているのは確かだが、プレスタシがみんなそうというわけじゃない。正直者もいるんだよ。」との談。


「都内のタクシーは新旧料金並存の見込み」(2005年3月31日)
一部のタクシーは4月1日からのタクシー公定料金値上げに従わない模様。既に都知事令で決められたタクシー料金値上げでは、供給飽和状態の市場で利用者からそっぽを向かれるおそれが高いので、タクシー運転手の中には4月1日からもメーター変更をせず、今のままの料金体系を維持し、タクシーには旧料金と表示したステッカーを貼付する予定にしている者が少なくない。行政側は新料金を強制ではないとしており、旧料金を維持するタクシーは公認されることになる。
業界大手のブルーバード社は料金値上げに関して、同社のタクシー運転手はストラン制でなく水揚げ目標に関連するコミッション制であるために運転手側はまったく問題視しておらず、4月1日を期して同社は都下のタクシー料金を一斉に値上げする予定だと表明している。前回のタクシー料金値上げの際にも、実施当座は新旧の料金が並存して市場で料金競争が起こったが、旧料金派タクシーも経費高騰には勝てず2〜3ヶ月後に追随値上げをしたという経緯がある。そんな経験を踏まえて、行政が定める公定料金より安ければ強制しないという今のあり方に業界者の一部は不満を示しながらも、暫くの間のことと余裕を垣間見せている。
値上げを欲しない運転手の大半は、長期の分割払いで自分が運転する車両の所有権が自分のものになる契約を会社もしくは組合としており、現車両所有者へのストラン、割賦金、自分の手取りなどと総売上との兼ね合いが大きく変化するのを嫌う傾向にある。この種の運転手は個人営業者だ。ヘリ・ロティ首都陸運協会会長は「4月1日からの料金値上げで競争力がなくなることを恐れる個人営業者は、旧料金を維持したほうがよいだろう。」とアドバイスしている。


「バンテンで電話番号変更」(2005年3月31日)
PTテルコムのジャカルタ第二地区ディビジョンは、管区内の三ヶ所の自動電話交換センターにおけるサービス効率を高めるために、関連する地区内にある電話利用者の電話番号変更が行われることを再公表した。変更が行われるのは局番0251のスンプラッ地区、局番0254のボジョヌガラ地区、局番021のチクパ地区で、スンプラッでは総数14,440件の電話番号が従来の番号50xxxxから753xxxxに、51xxxxが754xxxxに変更される。またボジョヌガラでは総数1,682件の電話番号が、従来の500xxxから5750xxxに、501xxxから5751xxxに、そしてチクパでは183件の番号が、従来の5930xxxxから5940xxxxに変更される。この変更は2005年4月1日0時を期して実施されるが、番号変更を知らないで旧番号にかけた人への録音テープによる案内は4月1日から三ヶ月間続けられる。また番号変更の通知は本人宛にも既に郵便で出されているとのこと。通話の障害などのクレームについては147番にどうぞ、とテルコム社ジャカルタ第二地区ディビジョンの広報担当者は述べている。


「国際電話を安くかけるには」(2005年4月1日)
携帯電話利用者獲得競争で電話オペレータたちはしのぎを削っていたが、今度は国際電話の分野にまで競争が波及してきた。既に報道されているように、PTインドサットは3月23日から、1分2千9百ルピアのフラットレートで世界250カ国に、というアクセスコード016の国際ダイヤル直通通話サービスを開始。これはPTテルコムが既に行っているダイヤル017テルコムグローバルサービスの向こうを張ったもの。テルコムグローバル017はダイヤル007のレギュラー国際通話サービスから4割引きの料金だが、インドサットのダイヤル016はレギュラーの001国際通話がゾーン制であるのに対し一律料金となるため、割引率は57%から77%までまちまち。たとえばテルコムの場合、マレーシアへの電話は007で1分Rp5,650のところ、017はその4割引きなので1分Rp3,390となる。ところがインドサットだと、001では1分Rp6,780だったが016を使えばRp2,900なので、これは57%引きとなる。
253ヶ国向け一律4割引きのテルコム側のサービスは、固定電話携帯電話のいずれにも、利用時間の条件なしに適用される。インドサットの016サービスはMatrix, Mentari, IM3, Starone, Indosat Phoneの固定・携帯双方の既存インドサット利用者に適用される。インドサットの016フラットコールサービスは同社が従来持っていたアクセスダイヤル001と008の二つを更に補完して、顧客により充実したサービスを提供するためのものと同社では位置付けている。
実は、Esiaのブランド名でフィックスドワイヤレス電話のオペレーションをしているバクリテレコムは、限定20ヶ国向けに1分Rp888という衝撃的な国際電話サービスを3月半ばに打ち上げた。導入プロモーションが終わって料金は1分Rp1,118に引き上げられたが、それでもこのエシアに匹敵するタリフを出すオペレータはまだいない。
「どうしてそんなに安くできるのか?」との問いに出される答えはVOIP。ブロードバンドとコンプレッションで送信効率を高めることが低料金を引き出すポイントなのだが、しかし音声のクオリティ劣化は避けようも無い。インドサットが打ち出した016フラットコールは同社の技術の粋をつくして用意したサービスで、他のVOIPとはレベルが違う、と同社は自信の程を見せている。インドサットの携帯電話であれ、固定電話であれ、同社の顧客になれば016通話利用は即座に思う存分で、登録費用も管理費用も何も無い、と同社側は述べている。エシアが888ルピアの国際直通ダイヤルサービスを始めたとき、顧客数は一気に4.5倍も伸びたと言う。Exelcomindo Pratama社もVOIPベースの廉価国際通話をオファーしているが、これは企業向けのみ。


「国内長距離電話のかけ方が変わる」(2005年4月2日)
PTテルコムとPTインドサットの二社独占化が進展しているが、国内長距離ダイヤル直通電話にオペレータコードが必要であることから、政府情報通信担当国務省は最終的に一部の都市間でのオペレータコード割り当てを2005年4月1日から開始し、この先5年間で段階的に全国を網羅するようにすることを決めた。オペレータコードはテルコムが017、インドサットが011で、各オペレータが新方式への準備を整えたあかつきには、その通話で利用したいオペレータコードを電話先の都市コードの前につけなければならなくなる。インドサットはインターコネクションの準備が整っている都市コード021(ジャカルタ)、031(スラバヤ)、0361(デンパサル)、0788(バタム)、061(メダン)の5地区から新方式を開始したいとしている。これまでは都市コードの前に0を押すだけでよかったが、この変更によって呼び出しの失敗率が高まることが予想されるため、0コードは今後もデフォルトとして残される方針。
一方、この決定に伴って、既に割り当てられているVOIPベースの国際ダイヤル直通コードが変更を余儀なくされている。テルコムの017、インドサットの016の双方ともに遅くとも2005年12月31日までに別の番号体系に変えることが決められており、こちらは010xxというアクセスコードに切り替えられる。


「首都のタクシー料金は新旧が混在」(2005年4月5日)
都内のタクシー料金値上げは4日から始まったが、多くのタクシーがいまだに旧料金のまま。料金メーターが既に新料金に変わっている車両は単純明快だが、まだメーターは変わっていないが新料金を適用するタクシーと旧料金のままで営業するためメーターを変えないのは当たり前というタクシーが都内を一緒に走っているのはややこしい。旧料金据え置きタクシーはフロントやリヤウインドウにTarif Lama(旧料金)と大書し、またダッシュボードに同じ表示をしているものもいる。旧料金メーターだが新料金適用タクシーは首都陸運協会発行の新旧料金換算表を持っており、それを見て乗客に料金請求をするから、不安な方はTabel penyesuaian tarif(料金換算表)を見せるよう運転手に求めれば良い。そのタべルによると換算料金は下のようになっている。
旧料金(Rp)   新料金(Rp)
3,000 4,000
4,950 6,700
9,890 13,540
14,960 20,560
19,900 27,400
24,970 34,420
29,910 41,260
34,980 48,280
39,920 55,120
44,990 62,140
49,930 68,980 データは4月5日付コンパス紙より
新料金適用を開始したタクシー会社はBlue Bird Group, Taksiku, Primajasa, Metropolitan。旧料金を続けているタクシー会社はKosti, Astro, Putra dan Citra, Centris, Liberty, Gading, Dian, Express(一部)。また首都圏のボデタベッ地区で営業許可を受けているタクシーが首都にも乗り入れているが、それらのタクシーは都知事令の対象外であるため、値上げ料金を適用してはならない。ブカシのタクシー会社が使う料金はブカシ行政首長が定めるものであるため、首都の新タクシー料金を使うと違反になる。首都陸運協会は首都周辺地区のタクシー会社に対し、都内であれどこであれ、新料金を乗客から取ってはならない、と警告している。


「ハイオクガソリンの消費が激減」(2005年5月25日)
プルタミナのハイオクタンガソリンPertamaxとPertamax Plusの需要が激減している。2004年12月19日にそれまでのリッターあたり2,450ルピアから4,000ルピアに値上がりしたプルタマックスと2,750ルピアから4,200ルピアに値上がりしたプルタマックスプラスは、値上がり前の一日1千キロリットルという消費レベルが6百キロリットルにまで低下してしまった。プルタミナは家庭用プロパンガス価格をやはりキログラムあたり3,000ルピアから4,250ルピアに値上げし、当座の売上はダウンしたが時間の経過とともに盛り返して一日3千5百トンという消費レベルに復帰している。
一方需要がダウンしたままのハイオクタンガソリンは、バレルあたり65ドルという国際原油価格の上昇にあわせて今年また近い将来の値上げが計画されている。昨年50%以上の値上げを行ったそれらのハイオクガソリンは、今年リッターあたり5千から5千5百ルピアまで、25から30%程度の値上げ幅が想定されているが、その値上げを実施してまた消費量を減らすことになるかどうか、深い検討が必要とされている。


「都庁が節電方針を公表」(2005年5月27日)
5月23日から6月6日までムアラカランとタンジュンプリウッの発電所で行われるガスパイプ連結工事でジャワバリ送電系の電力供給量が減少することに鑑み、都庁は夜間のネオンサイン点灯時間の短縮を決めた。ネオン広告塔の点灯は18時から22時までと定められているが、その時間帯を20時から22時までに短縮して電力消費を半減させることを狙っている。
それと同時に都庁のすべての建物やオフィスは、17時になるとエアコンと照明が消される。都内のすべてのショッピングや娯楽施設運営者もぜひ同じようにしてもらいたい、とファウジ・ボウォ副都知事は都民に呼びかけた。さらに都内の街灯で必要でないと判断される場所では消灯がなされ、ナイトスポットや病院はできるだけ発電機で自力供給を行うよう期待されている。
ジャカルタの夜が暗くなることに関連して副都知事は、「状況を利して悪事を行う犯罪者の増加があってはならない。首都警察にも治安強化要請は出してあるが、都民も警戒を高めるように。また負荷ピーク時間帯は17時から22時までなので、都民はその間アイロン、揚水ポンプ、洗濯機やその他の家電品を使わないよう、協力していただきたい。」とも述べている。


「首都のオフィス賃貸料は微増」(2005年5月28日)
2005年第一四半期のオフィス賃貸状況について、家賃が前期から3%上昇していることをジョーンズラングラサールのルシ・ルマンティル取締役が明らかにした。ここ一年間の経済状況好転で大企業の拡張やビジネス統合が活発化しているため、オフィス需要が向上しており、家賃も上向き傾向にある。ジョーンズラングラサールがアジアオーストラリアの14都市で行ったサーベイによれば、ジャカルタの需要の伸びはトップグループに入っているとのこと。
オフィススペース賃貸と同様、小売スペース賃貸も相変わらず根強い伸びを見せており、購買力の伸びている地方の小売業界は好況に入っている。インドネシアは中国に次ぐアジア域内ナンバー2の巨大小売市場であり、おまけにモダンマーケットがトラディショナルマーケットより小さいという現状であるだけに、モダンマーケットの今後の伸びは当面果てしないものになるだろう、と同取締役はコメントしている。


「空港から都内への有料道路料金徴収に変更」(2005年5月28日)
都内とスカルノハッタ空港を結んでいるスディヤッモ有料自動車専用道路で料金支払い方式が変わる。空港方面から都内リングロードに向けて通行する場合、乗用車(第一群)はこれまで、チュンカレン料金所で2千ルピア、カプッ料金所で2千ルピアを払った後、都内リングロードの入り口にあたるプルイッ1料金所で4千ルピアを払っていたが、5月28日24時つまり5月29日0時からカプッ料金所での料金徴収がなくなり、プルイッ料金所で6千ルピアが徴収されることになる。またプルイッで有料道路から降りる車は、プルイッ3料金所で2千ルピアの金額が徴収されることになり、更にプルイッから都内リングロードに入る車はプルイッ2料金所で都内リングロード通行料金が徴収されることになる。
プルイッ地区におけるこの料金所分散で、空港と都内を結ぶルートが他方面への車から分離されるため、多少とも渋滞緩和が期待されている。また空港方面から来た車にとってプルイッ料金所での徴収金額アップはカプッ料金所の分が上乗せされただけであり、決して値上げではない、と道路管理会社ジャサマルガは説明している。


「商標登録審査が厳しくなる」(2005年6月3日)
有名ブランドに関する政令の制定を目前に控えて、人権法務省知的財産権総局はその政令に則った登録審査を近々開始する予定。同総局のエンマワティ・ユヌス商標局長は、欧米や中国・インド・韓国などを近いうちに訪問して比較調査を行い、政令草案の完璧化を図る予定であることを明らかにした。「インドネシアとしてのコンセプトは既に練り上げられているが、もう一度諸外国の状況を調べた上で、国際的にも問題がない、完成されたものに仕上げたい。この対応は早急に行う必要がある。従来からアメリカを中心に国内での商標管理が問題視され、圧力を招いていた事態から脱却しなければならない。この動きは商標権保護を弱めることでなく、有名ブランドの新規登録に際して審査基準を厳重にし、ブランドオーナーの利益を守るのがその趣旨である。」と同局長は説明している。
今後は、他者所有の有名ブランドに類似の部分があれば、商品クラスやカテゴリーが別であっても登録申請は却下されることになる。これまでは、商品クラスやカテゴリーが同じである場合に限って却下され、それが異なっていれば必ず承認されていたが、今後はそれができなくなる。政令が未制定であるいま、同局がそれを実施するに当たって法的根拠とするのは商標法第4条にある「悪意を持った商標登録」条文で、これをたてに申請は却下されることになる。
この政令が制定されれば、国内の中小事業主への影響は避けられない、と同局長は見ている。現実にはこれまで、かれらが有名ブランドを別クラス別カテゴリーで登録していたからだ。そのため同局は、オリジナリティのある商標を登録していくよう、かれらを指導していく計画。国内外からの商標登録件数は増加しており、2003年実績の38,648件は2004年に49,311件になっている。商標というものは単なる生産者を区別するものというレベルを超え、市場競争の中で重要な資産になりつつあることを大勢の国内事業者も理解し始めているからだ、と同局長は分析している。


「職場恋愛は可?不可?」(2005年6月5日)
「不義はお家のご法度」はもう昔語り。違法行為でなければ個人の自由。たとえその恋愛が不倫であっても、それは個人が責任を持つべきことであって、会社がそれに対してどうこう指図するのはおかしい、という意見は増加している。しかし会社にとっては、その通りと言うわけにはいかない。社会がまだまだ封建的価値観を色濃く残しているインドネシアでそれはどうなっているだろうか?
学校を終えて就職する。若い男女が職場で毎日顔を合わせる。そのうちに心と心が触れ合い、恋に落ち、結婚する。そんなケースが起こらない方がおかしい。国有電話会社インドサットはかつてそんなケースが起こった場合、カップルのどちらかひとりは退職しなければならなかったが、今は違う、と同社の人材開発担当副社長は言う。
「ふたりとも会社で働いてもらって構わないが、職場は別にしてもらう。直接上司と部下の関係になっては困るので。そういうオープンなケースはまったく問題ないが、中には人目をしのんで、という関係が生じることもある。その対応として労使協約の中に『倫理に背く行為の禁止』条項が盛られており、社員のそんな行為が明らかになれば、警告書、降格、最悪の場合は解雇といった制裁措置が取られる。倫理に背く行為とは、アフェアを含んでいる。」そう副社長は説明するが、制裁措置のレベルはもちろん、社内でどれほどのショックと影響を与えたかで違ってくる。セクハラは社内に不安をもたらすし、アフェアが起これば本人の家庭が動揺し、本人の業績に悪影響を及ぼさないはずがない。会社内組織での調和の取れた業務運営に障害をもたらす社員の行為を放置しておくことはできない、という会社の論理がそこに明確に表れている。
PT IBM Indonesiaもこの問題に関しては似たような姿勢を取っている。社内に悪影響を及ぼすようなアフェア事件はまだ起こったことがないそうだが、男であれ女であれ社員の家族がそのような問題を会社に訴えてきたときには、その状況が業務の支障になると見られた場合は本人を呼んで注意を与えるようにしているとのこと。しかし問題解決は社員にゆだねるしかなく、会社がそれ以上その問題に干渉することはない。
一方、ホテルニッコーの広報担当者は、オフィスアフェアが起こっても、会社業務に悪影響を及ぼさないかぎり、会社側がそれに口をさしはさむことはしない、と語る。個人のプライベートな問題に属すことがらであるため、たとえその恋愛が不倫の色彩を帯びていたとしても、会社がそこに干渉する権限は持っていない、とかれは説明している。
弁護士たちの職場恋愛に関する意見は、おおむね常識的。セクハラは往々にして一方通行の恋愛で、命令系統を利用して上位者が下位者を威嚇する犯罪行為だが、ボスが部下を恋人にするようなことも起こる。職場の調和を乱し、組織運営に障害をもたらすそれらの行為とは別に、双方向の恋愛も起こる。そんなオフィスラブアフェアは、本人の業務に悪影響をもたらさない限り、それが不倫の恋愛であっても本人の権利だ、と弁護士たちは見ている。軍・警察はちょっと違い、隊内部に規定がある。「妻の階級が夫より上であってはいけない。夫婦が同じ隊(部署)にいてはいけない。」の二つ。民間会社で前者の規定は不似合いだが、後者を内規に持っているところは多いようだ。


「ブカシ県の就職戦線も甘くない」(2005年6月6日)
インドネシアで最大の工業団地数を有するブカシ県は就業労働人口も巨大で、他地方からの求職者を引き付ける強力な磁力を持っている。企業の求人は自由であり、マスメディアから口コミまであらゆる方法で採用募集を行い、自社独自に採用審査を行うところや、人材選抜サービス業者を使うところまでさまざま。そんな中で、県の行政機構を利用する方法もある。
ブカシ県労働トランスミグラシ局では、ブカシ県住民に対する求人募集の仲介を行っている。求職者は同局に登録してイエローカードをもらい、企業からの求人要請が同局に入るとテストを受ける。ところが同局を通してのリクルートメントは年間わずか30%しか実現していないとの批判が上がった。2004年の求職登録者は22,453人で、一方、契約社員条件のものも含めて2004年に企業に雇用された人数はそのうち7,390人しかいない。アユブ・ヒダヤッ、ブカシ県労働トランスミグラシ局長はその状況について、県内のすべての企業が求人の依頼を当方に持ってくるわけではなく、そうしているのは全体の10%程度だ、と説明する。ましてやその職種への適性審査が行われるから、求人数だけ採用されるというものでもない。「だから当局は求職登録者には職業訓練を施して、できるだけ自営自立化を推奨している。」と同局長は語っている。そのプログラムの内容は、各村に失業者を糾合した自立職業技能訓練機関を設置し、自動車修理サービスや縫製技術などを教えるコースを作らせている。今年は工業省、商業省、コペラシ省などを巻き込んで、そのプラグラムのサポートをしてもらうよう、企画を進めているとのこと。
中央チカラン郡チカマヒ村にある県労働局ビルには、求職者がひっきりなしにやってきてイエローカード手続きや求人案内を調べており、毎日かなりの混雑を見せている。求職者のひとり、タンブンの住民で22歳の女性サンティは「求人があり、本人がイエローカードを持っていれば、テストを受けることができるの。わたしは契約社員に合格してある会社で6ヶ月働いたけど、契約延長されなかったのでまたここで仕事を探してます。」と語っていた。しかし労働力アウトソーシング機関が行っている人員派遣に対する批判の声も強い。「契約システムは非人間的です。わたしたちが生産的である間は使ってくれますが、歳を取ったら捨てられるんですよ。これって本当に、『甘い汁がなくなったら粕は捨てられる』ってことわざそっくりだわ。」と別の求職者のひとりは語っていた。


「収入印紙デザイン変更」(2005年6月8日)
黄色地に国章ガルーダが左上に置かれている現行デザインの収入印紙(Meterai Tempel)は2002年版で、2005年4月1日から2005年版に取って代わられた。新デザインは地色が青系に変わり、国章ガルーダは右中央に移っている。ホログラム、インビジブルインクなど、偽造対策も2002年版より進化している。
旧デザイン印紙の使用は今年9月30日まで有効とされており、10月1日以降のものに使われても印紙としての効力を持たないので、注意が必要。
ちなみに収入印紙が貼付されなければならないものは下の通り。
Meterai Tempel Rp 6000-
1.契約書、委任状、寄贈書、証明書など、民事的性格の行為、事実、状態などに関する証明として使われるために作成されるもの。
2.公証人の作成する証書とその写し
3.土地権利証書作成官が作成する証書とその写し
4.100万ルピア以上の金額を記載した書類(領収書、銀行の記帳証明や残高証明、借金返済証明など)
5.法廷で証拠として使用される書類
Meterai Tempel Rp 3000-
1.25万ルピア以上100万ルピア未満の金額を記載した書類(領収書、銀行の記帳証明や残高証明、借金返済証明など)
2.額面金額が25万ルピア以上100万ルピア未満の手形、約束手形、引受手形などの有価証券
3.額面金額が25万ルピア以上100万ルピア未満の株券や債券で名称や形式を問わない
4.小切手や銀行間振替小切手(額面金額は問わない)


ダイヤル直通国際電話はどれがお得?」(2005年6月9日)
PTテルコムが2004年6月7日に開始したTelkom International Call 007サービスは大ヒットで、2005年5月時点でダイヤル直通国際電話マーケットにおける52%シェアを獲得した、と同社が主張している。同社のデータでは、サービス開始から2005年3月までの発信受信総合計は2億5千6百万分にのぼり、また2004年6月から12月までの利用総収入は5,090億ルピア、そして2005年第一四半期が2,296億ルピアなので、7千4百億ルピア近い収入をTIC007サービスが稼ぎ出したことになる。
テルコムのTIC007はプレミアムタリフでのサービスだが、テルコムはVOIPを用いた廉価サービスをTelkomGlobal017で行っており、こちらはプレミアムタリフから4割引の料金が適用されている。アクセスコード017での直通国際電話は253カ国への通話が可能で、24時間同一料金になっている。
一方のインドサットはプレミアムタリフを用いる001とは別に016の廉価サービスも行っており、こちらはどの通話先でも同じタリフが適用されるので、国によって57%から77%という割引率のバリエーションが出る。インドサットのFlatCall016サービスはインドサット利用者に限定されているため、Mentari, Matrix, IM3, Staroneなどのインドサット系列カードを利用するか、固定電話の場合はインドサットサービス利用登録をする必要がある。この登録は無料とのこと。インドサットは更に008というアクセスコードで、セミプレミアムタリフを適用する新サービスも開始している。
二社寡占の国際電話事業に昨年民間から、バクリテルコムが一分わずか888ルピアの低料金で参入したことが関係者を驚かせた。通話先は20カ国に限られるが一分数千ルピアの他社料金とは桁違い。しかしそのお披露目料金は今年3月中旬から一分1,118ルピアに変更されている。この料金は2005年末まで適用される。PTバクリテルコムはジャカルタとバンドンで、Esiaのブランド名でフィックスドワイヤレス通信事業を行っているが、今般西ジャワ州とバンテン州の主要都市に設備拡張を展開し、新規に15都市でエシアのサービスが受けられるようになった。セラン、チレゴン、ボゴール、プルワカルタ、スバン、チアンジュール、ガルッ、タシクマラヤ、チアミス、バンジャル、クニガン、チレボン、インドラマユ、マジャレンカ、スメダンがそれに当たる。


「金融界の4月資金状況」(2005年6月9日)
イ_ア銀行が公表した今年4月のデータによれば、国内金融界の新規ローン貸し出しは16.1兆ルピア、LDRは51.3%、CARは21.2%であり、ROAは3.5%、NII6%という数値になっている。
ところで金融界が持っている第三者資金の状況を見ると、残高は981.1兆ルピアに達し、前年同月を12.1%も上回る盛況を示しているが、実は資金の多くが外国系銀行にシフトしていることが明らかになった。外国系・外資合弁銀行は32兆ルピアの増加で34%成長である一方、国有銀行は10兆の増で3%しか成長していない。経済財務開発院(Indef)のイマン・スゲマ理事は、外銀の競争力が優位にあること、最近国有銀行で続発している不祥事で得をしていること、などの要因によるものだろうと分析しているが、シギッ・プラモノBNI銀行社長は、特定の国有銀行で起こった不祥事の影響はまったく受けていない、と語る。「BNI銀行の第三者資金は変動サイクルを持っている。大口預金者が資金を引き出すので、年初は残高が低下するが、年の中ほどになると資金がまた戻ってくるため、アップする。当銀行の残高が低いのはまったくその理由による。」との談。BRI銀行のクリスナ・ウィジャヤ監査役は、ここ数ヶ月のドル変動で大勢がドルを購入しており、それを保管するのに外国系銀行の方が都合がよいためだろう、と推測する。外貨を置いておくのは、外銀の方が安全ということのようだ。
3月のルピア定期預金金利率は外銀の平均は6.14%、国有銀行の平均は6.34%、国民系民間銀行の中にはもっと高い利息をつけているところもある。米ドル定期預金は外銀が平均2.17%、国有銀行は1.93%となっている。またローン貸出し状況は国有銀行が368.7兆ルピアの残高で全体の38%を占め、外国系・外資合弁は127兆で13%を占めている。


「コンパス紙への投書から」(2005年6月10日)
拝啓、編集部殿。わたしは民間企業の社員として20年間、年次納税申告書(SPT Tahunan)を毎年作成してきました。老齢に達したので、1994年4月1日に定年退職し、収入はありません。それでわたしは納税者番号(NPWP)廃止と年次納税申告書提出義務を終わらせるよう、税務署に申請をしたが拒否されました。これは納税額がゼロであっても、わたしは死ぬまで年次納税申告書を提出し続けなければならないことを意味しています。
2003年1月に放送されたTVRIの番組Kafe Pajakでは、税務職員(ペトルス・タンブナンさん)が、「老齢で退職したサラリーマンで収入のない人は年次納税申告書を出さなくて良い」と発言しています。
いまわたしは67歳で所得はありません。このレフォルマシ時代に国税総局長は、もうカビの生えたオルバ時代の徴税規則を捨て去ることができるのではないでしょうか?


「首都のオフィス賃貸価格は値上がり」(2005年6月10日)
イ_ア銀行のサーベイは、2005年第一四半期に首都のアパートとオフィスの販売価格が2%以上上昇したと報告している。オフィススペースの平均販売価格は平米当たり1,146.8万ルピアとなり、2.4%上昇した。特にセントラルビジネスディストリクトと呼ばれているプライマリーエリアは、1,249.9万から1,286.8万へと3%近いアップ率を示したが、セカンダリー地区では平米当たり764万ルピアで変化が見られない。賃貸価格もそれに平行して2.3%上昇しており、前回の平米当たり月98,052ルピアは今回100,319ルピアになっている。プライマリーエリアでは130,660ルピア、セカンダリーエリアは90,795ルピアという内訳。
首都のオフィススペース需給状況については、Plaza ABDA, Wisma Bisnis Indonesia, Menara Bank Megaなどの稼動開始で今年第一四半期の総供給は4,386,225平米となり、1.4%の増加を示した。内訳を見るとプライマリーエリアで0.6%増、セカンダリーエリアで3.4%増となっている。
一方のアパート市場については、今年第一四半期で販売価格は平均2.1%上昇し、前回の平米あたり764.3万ルピアから780.7万ルピアとなった。総供給数は33,130ユニットで、前回から4.3%増えている。この増加のメインはApartemen Pavilion Tower 3とApartemen Royal Tower Riversideを主体とする1,351ユニットの新規供給に負うもの。


「不渡り小切手発行者のブラックリストは8月1日から開始」(2005年6月11日)
8月1日から開始される全国手形交換システム実施を前にイ_ア銀行は、不渡小切手や手形発行者の名前を公表する全国ブラックリスト制度を同時に開始する、と表明した。いま全国には104のクリアリングハウスが個別に存在しており、それらを統括して全国的な手形決済網を構築するのがこれまでの課題となっていた。イ_ア銀はその第一段階としてジャカルタ、バンドンおよび西ジャワ州主要地区から導入を開始し、全国ネットワーク完成は2007年を目標にしている。
ところで全国ブラックリスト制度に関してイ_ア銀行ディヤ・ナスティティ会計支払い制度局長は、支払いツールとして国民が使っている小切手や銀行間口座振替小切手の社会信用維持を図るのが第一目的だ、と説明した。今年最初の4ヶ月で発見された不渡り小切手は全国で133,801枚、総額2.6兆ルピアに上っており、不渡りの率は全国平均だと0.6%だが、ジャカルタは2.5%から3%と全国の4〜5倍に達している。そのため不渡小切手発行者に対してイ_ア銀が用意している制裁措置は、10億ルピアを超えるものに対して即座に1年間小切手の振り出しを禁止し、個人名や会社名が公表される、というもの。さらに金額を10億から5億に引き下げるのがその次のステップ。
イ_ア銀行はこの新クリアリングシステム導入で、銀行間決済のスピードアップとともにペーパーレス決済をはかり、金融界のコスト削減を目指している。


「シドアルジョ県の労働監督状況」(2005年6月13日)
東ジャワ州シドアルジョ県。2,133の大中小規模製造加工工場が立ち並ぶジャワ島東部筆頭の工業地帯だ。事業所数を見れば14,523軒もある。履物業界の大手、PT Kasogi Internationalがタイへの生産拠点移転を理由に2,064人を雇用していた工場を閉めたのは2004年6月。その後の労使間退職金交渉は決着を見ないまま今日に至っている。
2005年に入って最初の四ヶ月間で発生した労使紛争は9件を数える。労働ストあるいは陳情行動という雇用者に対する従業員の抗議行動は、件数は減ったものの継続的に起こっている。最新のものはCV Fajar Kimia別名PT Aneka Kimiaの従業員40人が4月20日から4月25日まで、雇用者の労働規定違反を問題にして行ったハンスト形態の陳情行動。労働者たちは雇用者の違反とは別に、県労働局の労働条件監督の弱さを合わせて追及している。
県議会もこの問題に関心を寄せており、第D委員会は昨年10月から今年3月まで、県下にある50工場をランダム抽出して視察を行った。その結果12工場で重度の労働法規違反が発見されている。そのうち9工場は社内労働規定を作っておらず、3社は地方最低賃金に違反し、そして12工場全部がジャムソステックへの加入義務を怠っていた。第D委員会は、軽度の違反は数知れず、法規を遵守するよりも違反している工場の方がはるかに多い、とコメントしている。シドアルジョ県の1万5千近い事業所のうち、ジャムソステックに加入しているのはわずか803軒しかない。しかもPTジャムソステック、シドアルジョ支店は今年2月、9ヶ月以上プレミアム支払いを滞納している103社に対して、40億ルピア相当の未払い分帳消しを行っている。
CV Fajar Kimia別名PT Aneka Kimia社の紛争では、従業員が公式にどちらの会社名で労使関係を持っているのかよくわからない状況で、2004年2月に起こったPT Panca Duta Rubberが309人の従業員を無給で自宅待機させたケースと類似点がある。このケースではPanca Duta Rubber従業員が会社オーナーと見なしているPT Panca Duta Foam Industri社長アグス・サントソが、自分はその309人とは関係がないとして退職金の支払いに応じようとしていない。
シドアルジョ県労働局長は、労働監督員が9人しかいない現状では県下の全製造加工工場を監督するだけでひとり237工場を持たなければならず、物理的に不可能な状況だ、と説明する。そのため労働局は、各事業所の労働法規違反を労働組合に監視させようとのアイデアを現在進めているところ。数十万人の労働者人口を抱えるシドアルジョ県は労使紛争が社会騒擾を発生させる可能性が高く、県当局は限られた人員ながら早め早めに紛争の芽を把握して問題解決を図ることを目標にしている。


「対外国間の通貨取引規制」 (2005年6月17日)
イ_ア銀行は、6月14日付け即日施行の中央銀行令第PBI7/14/2005号で、通貨取引の規制を打ち出した。この中銀令は2001年1月12日付PBI3/3/PBI/2001号を補足するもので、1ドル9600ルピア台が続いているルピアレートの修正をはかるのが目的。インドネシアの銀行は外国勢との取引にあたって下の10ポイントが禁止されることになった。
1.ルピアあるいは外貨でのクレジット供与
2.ルピアの預託
3.外国勢の発行したルピア建て有価証券の購入
4.ルピア建て店間請求
5.国外でのクレジット供与を目的にした外貨建て店間請求
6.ルピアでの増資
7.国内の銀行にある外国勢の口座もしくは外国勢と非外国勢共同口座へのルピア送金
8.国外の銀行にある外国勢の口座もしくは外国勢と非外国勢共同口座へのルピア送金
9.外国にいる非外国勢へのルピア送金
10.シャリア原理(イスラム法)にもとづく9.の取引
ただし3.の例外として、インドネシアからの輸出・インドネシアへの輸入並びに国内通商に関わるもの、海外にいる出稼ぎ者のために外国にある銀行が発行するルピア建てバンクドラフトで国内にいる非外国勢が受け取るものがあげられている。


「カリスマ商標裁判でホンダが敗訴」(2005年6月23日)
ホンダが二輪車の商標として取得しているKarismaが登録されたデザイン通りに使用されていないので、登録されている商標を取り消せとの訴えを起こしていたチェンセンジアン、グナワン・チャンドラ側の言い分を認める判決をジャカルタ商業法廷が下した。判事団が20日下した判決では、人権法務省知的財産権総局商標局に登録されているKarismaのデザインとPTアストラホンダモトル(AHM)が商品に使っているデザインは一致していないことが立証されたとして、原告側の言い分を100%認め、ホンダ側が出した「原告側はそのデザインに利害を持っていない」との異議申し立てを却下した。
今回の裁判は、それ以前にKrismaという商標を用いた二輪車生産者であるグナワン・チャンドラとAHMとの間で展開されていた係争の延長線上のもの。Krismaブランドの二輪車は国内のいくつかの地区で販売されている。登録商標取り消しの訴えは当事者間で争われるのが一般的であり、第三者が取り消しを求めた今回の裁判はまったく異例のものだと法曹オブザーバーはコメントしている。


「ジャムソステックによる医療サービスレベルを改善せよ」(2005年6月24日)
西ジャワ州事業者協会(APINDO JABAR)がPTジャムソステックに対し、サービス面、中でも医療サービスの改善をはかるよう要請している。デディ・ウィジャヤ同協会会長によれば、多くの勤労者がジャムソステックの医療サービスレベルの悪さに不満を述べているとのこと。「ジャムソステックによる医療サービスは劣悪だとして、その利用を拒む勤労者が増えている。事業家層は労働保険の独占時代が早く終わるよう、保険法案の早期実現を待ち望んでいるありさまだ。多くの従業員を抱える会社は従業員への医療サービスが保証されることを望んでおり、良いサービスが受けられないからと会社が従業員の抗議を受ける現状では困る。労使の円滑な関係が築かれることを事業家層は望んでおり、労働保険に選択の幅ができれば優れた保険会社が良いサービスを提供してくれるようになるにちがいない。ジャムソステック加入者がまだ少ないとバンドン市労働局は言っているが、それは良いサービスを提供していないためだ。」と同会長は批判を展開した。
2004年度のバンドン市労働局データによれば、管下の事業所は4千あり、従業員をジャムソステックに加入させているのは40%しかない。市労働局はジャムソステック加入推進を継続して行っており、今年は150社が新たに加入したとのこと。


「インドネシアはプログラムへの特許なし」(2005年6月24日)
インドネシアはコンピュータプログラムに対する特許が適用されていないため、プログラマーはソフトウエア作成での拘束がより少ない、と技術適用調査庁電子情報技術適用調査センター理事が語った。「コンピュータプログラムはイノベーション実現形態のひとつであり、著作権・商標・商業機密・工業デザイン面での保護は与えられるが、特許権の適用は不適切だ。昨年オープンソース利用運動展開の中で、アプリケーション制作に大きい障害をもたらすことが明らかになっている。」との同理事の談。
研究技術開発担当国務省インドネシアゴーズオープンソースチームメンバーのひとりは、「ドイツのミュンヘン市庁がオープンソースベースのリナックスオペレーションシステム内に283件の特許権を見つけてその使用を見送った事件に端を発し、EU諸国ではソフトウエアに対する特許権の見直しが始まっている。」とその周辺の事情を説明している。
特許権の有無には関係なく、ソフトウエアが創作されればその時点で著作権保護の対象となり、どこに登録する必要もない。ふたつのプログラムが同一ソースコードを持っている場合、ひとつは他方の模倣だと言えるが、質的な類似が評価されるために必ずしも著作権違反に該当するとは限らない。ソースコードを持たないセグメントでは、構造・シークエンス・オーガナイゼーションの模倣が見られたときに著作権違反となる。これは一般公衆利用許諾契約ソフトでも同じで、一般に対する使用許諾を与えたから著作権がなくなるというものではないが、コピーライトノーティスは記載される必要がある。


「労働者はあまりにも政治的」(2005年6月28日)
インドネシア労働者の業務能力が低いのは、労働組合があまりにも強く政治的色彩を帯びているからだ、と政府は見ている。労働トランスミグラシ相専門スタッフのシャウフィ・シャムスディンは、85ある労組連合のすべてが社会政治的方向性を持っているという事実から、その見解は明らかであると述べている。それはつまり、労使関係の中で労働者の力を伸ばしていこうとする方向性の不在を意味している。きわめて政治的な労働組合であるため、労働者の質的競争力は近隣諸国と比べてたいへん劣っている。特に産業技術面での知識や技能がお粗末であり、他国の労働者に負けている。
生産に携わる労働者としてのパワーが要求されているいま、社会政治勢力として存在してきた労組は、生産向上と人材養成という方向性に方針を切り替えなければならない。インドネシアの労働者が諸外国と競合し、また労使関係の中でバーゲニングポジションを得るためには、人材養成が不可欠だ。国内労働者の能力不足と社会保証の弱さは、いまだにストや解雇が多いところに反映されている。


「前内閣期に87製造企業が事業閉鎖」(2005年6月30日)
アンドン・ニティミハルジャ工業相が29日の国会第6委員会で、2000年から2004年までの5年間に87社の製造企業が操業を止めたのは、廉価輸入品の市場流通、ハイコスト経済、労働者の低クオリティが生産品の競争力を低下させたためだ、と報告した。主に中国から輸入される激安価格の商品が国内市場をひどく歪めており、それらの商品は公正に輸入通関のなされていない不法輸入品が大部分を占めている。
生産事業を撤退したその87社とは、履物関連が29社で6万1千人を解雇し、繊維・繊維製品は47社で解雇者3万8百人、家電品11社解雇者1千3百人などといった明細になっている。最近話題になった三菱自動車のタンジュンプリウッ工場閉鎖については、国内の事業状況云々というよりもグローバル市場戦略をコントロールしている外国のプリンシパルが決断したことがらである、と工業相はコメントしている。
同相はまた、最近インドネシアに生産拠点を復活させようとして投資の動きを示している履物や家電メーカーがあり、数年前に撤退したのは過去のことであって今回新規に投資認可を得ようとしているがもう撤退はしないと宣言している、と物語っている。
不法輸入中国産品への対応措置として工業相は、輸入を監督する政府機関と協力して密輸入を抑制することとは別に、いくつかの非関税障壁を活用して国内市場から密輸品を排除する方針であることを説明した。その中には履物の船積地における船積前検査実施、さらにセーフガード適用措置、繊維と繊維製品に対しては、これも船積前検査実施や国内で販売される製品に対する品質ラベル添付義務付け、家電品はインドネシア語取説と保証書添付の励行ならびにインドネシア品質基準(SNI)適用拡大などを予定しているとのこと。


「首都にもガソリン欠乏がやってきた」(2005年7月4日)
「石油燃料供給調整は大都市を最後にする。」とのプルタミナの表明にもかかわらず、2日の夜から3日の日曜日にかけて、都内随所でガソリンスタンドに長蛇の列ができたり、あるいは売り切れ表示をして店を閉めているところが見られた。欠乏が出たのはプレミウムガソリンで、ハイオクタンのプルタマックスや軽油の供給は問題がない。長蛇の列が見られたのは、ラワマグン、パルメラ、スナヤン、クバヨランバルなど一部の地区にあるガソリンスタンド。
プルタミナは今年のプレミウムガソリン消費量が急激に増加しており、このままでは2005年度の1千5百万キロリットルという割り当て量を30%も上回るおそれがあるため、配給抑制を実施している、と説明している。プルタミナ社内では営業部門に対して毎週末10%の供給カットを要請しているが、ジャカルタで実現しているのは5%程度とのこと。
このプレミウムガソリン供給削減で、一部の週末ドライバーはプルタマックスやプルタマックスプラスに燃料油種の変更を強いられることになりそう。


「石油燃料供給制限は全国方針」(2005年7月5日)
プルタミナがガソリン供給抑制方針を実施していることを、プルノモ・ユスギアントロ鉱エネ相が明らかにした。鉱エネ相は過去5ヶ月の消費量が、政府の定めた2005年の割当量からすでに10%程度超過している事実をあげ、当初予定されていた5,960万キロリッターの石油燃料クオータは年末着地が6千3百万キロリッターになる可能性が高いことから、プルタミナは石油燃料消費を抑制するために週末の供給量を制限する方針をはじめたと説明した。地区によって超過状況は異なっているものの5から10%という範囲の中にあり、ジャカルタは10.8%に達している由。
プルタミナの開始した抑制策では、ジャカルタ、スラバヤ、パレンパン等の都市部で先週末から5%の供給削減がスタートしている。一方、一部地方ではそのような政策とは無関係に燃料供給が減少しており、ガソリンスタンドに長蛇の列ができ、あるいはガソリン切れの立て札を出して閉店しているところも見られた。この供給減について鉱エネ相は、リアウ州ドゥマイの精油所が数日前から故障しているため、供給量が減っていると説明している。
年間割当量は政府予算内の石油燃料補助金項目と関連しており、割当量を超えれば補助金がつかないため、プルタミナは高いコストをそのまま抱えることになる。原油生産国でありながら国内石油エネルギーのかなりの部分を輸入に頼り、原油国際価格の高騰が招いた自国通貨のレート危機を綱渡りし、四輪二輪自動車販売台数の激増と、やはり石油燃料を消費している発電といったエネルギー消費面での統合的国内政策がまだ不十分な実態を、石油燃料備蓄が標準の21日から17日にまで落ち込んでいる現状をふまえて、これからどうやりくりしていくのかが政府の重要な課題になっている。


「ジャムソステックは本当に必要か?」(2005年7月5日)
政府労働省とPTジャムソステックが強制的に進めている勤労者社会保障制度ジャムソステック。だが貧困労働者にとってジャムソステックの労災補償は本当に意味があるのだろうか?
カルタはある工場の従業員で、残業後に帰宅途上で怪我をした。オジェッ引きのエランは仕事中に怪我をした。ふたりは同じ国立病院の三級病室で隣り合わせに寝ている。ふたりとも骨折箇所を金属でつなぐ手術をした。カルタの会社はもちろんかれをジャムソステックに加入させている。エランは自営だし、自営者が自らジャムソステックに入る風潮はインドネシアにまだない。このふたりはいったい何が違ってくるのだろうか?
カルタは親戚や知り合いを駆け回って借金し、といってもかれの家族がだが、手術や入院の費用を工面した。その費用は、あとでカルタが病院の領収書を会社に出すと、会社はジャムソステックにそれを請求し、その金が戻ってくるのだ。しかしエランにそんなことはできない。すると病院側がエランに薦めた。貧困家庭認定を受ければ、すべての病院代は政府が支払ってくれる、と。エランの家族がその手続きをすぐに行ったことは言うまでもない。ならばカルタにとって、ジャムソステックはいったいどんな意味を持っていたのだろう。会社は毎月給料の一部を天引きしてジャムソステックに納めている。会社に雇用され、毎月の収入がはっきりしているために、ジャムソステックに入らなければならないのだろうか?最低賃金からあまり離れていないカルタの月給で、貧困家庭認定はできないのだろうか?
1992年第3号法令は、ジャムソステック加入勤労者が労災を被れば、すべての費用はジャムソステックが負担すると明記されている。ならばカルタはジャムソステックの費用で一級病室に入る権利を持っていたのだ。ジャムソステックに関連していまは、労働省もPTジャムソステックも、対象者を加入させることを必死になって追いかけているが、対象者が権利を振るう面でのサービスがほとんどケアされていないとの批判が諸方面から投げかけられている。ましてや、政府が貧困家庭に対する医療費無料化政策をその一方で進めているのは、貧困勤労者にとって大きい矛盾と言える。
ジャムソステック加入者は、労災に関連して一級病室待遇が受けられるのだという権利を、政府労働省、PTジャムソステック、地方自治体がすべての関係者に広報告知しなければならない。病院はそうすればより大きい収入が得られ、そのマージンはジャムソステック非加入の貧困患者に対して活用することができる。毎日二輪車の交通事故はひきもきらず発生しており、そして労災の60%が出勤退勤時に路上で発生しているという事実がある。ジャムソステックの加入者に対する医療サービスを向上させれば、加入者は放っておいても増加するのではないだろうか。法令を定め、その執行を強圧的に遂行するよりも、その方がはるかに効果的なのではないだろうか。
ジャムソステック加入者の増加とその運用の充実で、政府の貧困家庭医療負担は軽減されるに違いない。赤字の続く政府会計にとってもこれは好循環をもたらすものであるにちがいない。


「ビジネスセンター兼用カフェ」(2005年7月7日)
カフェスタイルのビジネスセンターが都内中央ジャカルタのメガクニガンで営業している。その名もPlanet Bizcafeと命名されているこのカフェは、仲間や恋人と溜まっておしゃべりに時を忘れる場所とはひとあじ違う。ここにはミーティングルーム、ボードルーム、プライベートルームまでそろえられており、ミーティングルームは最大150人まで収容可能。
利用料金は1時間35万ルピアで、インターネット、会議用文房具、スクリーン、ホワイトボード、AV設備などが無料利用できる。そしてカフェ兼レストランとして、飲み物や食事のオーダーもばっちりというところ。これからビジネスを開始しようという方、契約を結ぼうという方、商談に華麗な雰囲気を求める方など、さまざまな顧客が既に利用しており、一日の利用者は1千2百人前後だとの同店の話。Taman Kantor A9, Jakarta Pusatを住所とするこの店は午前9時から夜22時までが営業時間。


「ISO認定証が取り消される」(2005年7月7日)
ISO認定者に指定されているPTスコフィンドが、ISO14001:2004認証に関連して、今年三社の認定を取り消し、また検定中の12社に対する認定証交付を保留していることを明らかにした。6ヶ月に一度行われる検証で問題が発見されたのがその理由。
認定を取り消された三社は、二社が製造業、一社がサービス業だが、かれらはすでにコミットしているISOマネージメントシステムに違反しており、さらに住民からの訴えも出されているためにその措置を受けている。
スコフィンド国際認定サービス担当副社長は、認定を受けてもその後で環境問題を忘れるようではその資格がない、と同社の姿勢を説明している。環境保全に関連してスコフィンドは政府に対し、ISO14001:2004取得を全産業界に義務付けるよう提案しており、特に鉱業セクター関連企業への条件は厳しくする必要がある、と付け加えている。
現在ISO14001:2004の認定証を受けているのは製造業とサービス業の49社だけであり、また279社が申請中となっている。


「今年上半期の税収は順調」(2005年7月9日)
今年上半期の税収は改定今年度予算の48%を消化した、と当局者が語った。ハディ・プルノモ国税総局長は、6月30日時点での同総局税収額は129.4兆ルピアであり、目標額の285.3兆の45%に相当する、と国会第9委員会2006年度予算検討会議の合間に記者団に語った。非石油ガス部門の所得税は67兆ルピア、付加価値税43兆、石油ガス部門所得税13兆、都地建物税不動産取得税は5兆、その他1兆といった明細。一方エディ・アブドゥラフマン税関総局長は、同総局担当の上半期の税収総額は22兆ルピアで、明細は関税7.5兆、チュカイ14.4兆となっており、それぞれ今年の改定税収目標に対して64%、50%の達成率となっている、と述べている。


「都庁が節電計画」(2005年7月9日)
石油燃料危機、電力危機という複合危機に見舞われている状況下に、都庁は節電の努力を強めるとスティヨソ都知事が表明した。先にユスフ・カラ副大統領が全行政機構に対し、役所内の冷房は25℃とし、スーツ着用は避けるようにとの指導を出しているが、スティヨソ都知事はそれに加えて照明の節約も必要であり、役所だけでなくビルやモール、さらには一般家庭にまで推進する必要があると述べた。また都内公共施設では、街路照明だけでなくHI前ロータリーやモナスの噴水、モナスのライティングなども節電の対象とするよう、検討を要請した。4階建て以上のビルについてはリフトの運転を4階からに限り、1階から4階までのフロアは階段を使うこと、出勤時退勤時以外の時間帯でリフトの運転は一部だけにし、他はスイッチを切って使用を制限すること、ショッピングセンターやモールでは閉店1時間前にエアコンやエスカレータの運転を止めることなどのアイデアも出されており、実施のための検討に入っている。


「省エネに関する大統領命令」(2005年7月11日)
7月10日付で省エネに関する大統領指令第10号が発布された。この指令が下された対象者は、団結インドネシア内閣全閣僚、最高検察庁長官、省外政府機関長官、国軍総司令官、国警長官、国家機関事務局管理者、知事、県令、市長で、全国の政府機関と国有・地方自治体所有事業体に省エネ対策を実施することを指示した。その詳細として、照明、空調、事務機器や建物内設備など政府機関が管理運営する場におけるエネルギー節減、ならびに官公庁公用車の利用効率を高めることがあげられている。
一方、州知事・県令・市長に対しては、行政機構内での省エネに加えて、地元の民間社会における省エネ推進の指導と振興が指示されており、6ヶ月毎に地方行政機構は指導推進と進行状況をモニターして鉱エネ相に報告するようになっている。その中に、地元で消費される石油燃料の節減が含まれているのは言うまでもない。


「168の商標が取り消される」(2005年7月11日)
Polo, Dunhill, Davidof, Drakkar, Cherokee, Camel, Samsung, Hitachi, Ferari, Crocodile, Popeye, Testoni, Benettonなどの商標登録を、人権法務省知的財産権総局が取り消した。取り消された登録は、海外のそれらオリジナル商標所有者ではない者が、オリジナルブランド対象カテゴリー以外のカテゴリーに対して登録したもので、同総局は裁判所の判決をもとにして取り消しを行っている。
過日、登録された商標と異なる意匠を登録者が使用しているとして、さるオートバイメーカーの登録機種名に関連して係争が行われたが、商標登録管理については、既に社会的に認知された商標と同じものあるいは類似のものの登録はオリジナル商標保有者でなければできず、自分が登録した商標と異なる意匠等を使ってはならず、また三年間連続して商業利用されない場合も取り消し対象となる。同総局商標局のデータでは、2002年の登録件数は30,004件だったが、2003年には36,340件に増え、2004年は49,311件と激増している。一方商標に関する係争事件は、2002年が29件、2003年44件、2004年は31件となっている。


「会社を従業員が議会に告訴」(2005年7月11日)
ジャムソステック掛け金を滞納している会社を労組が議会に訴えた。ブカシ市バンタルグバンにある家具製造会社PT ASWIは1997年にジャムソステックに加入していたが、2004年4月以降、ジャムソステックへの支払いを行っていない。問題が大きくなったのは、同社従業員のひとりがその娘に子宮ガンの手術を受けさせようとしたところ、ジャムソステック側が会社の掛け金滞納を理由にその補償を拒んだことによる。その従業員は1千2百万ルピアを借金してかき集め、手術は終えたが医療補償金がおりないため、借金を抱えたままになっている。
339人の従業員は賃金支給の際に勤労者負担分が天引きされているのに、会社はそれに会社負担分を加えてジャムソステックに納入することを怠っており、その総額は2億ルピアを超えている、と同社労組議長は市議会に陳情している。同社従業員の賃金は一月71万ルピアだ、とも同議長は述べている。市議会はその陳情に答えて、問題をクリヤーにした上、もし会社側に落ち度があれば厳しい処置を取ることになる、と語っている。


「ジャボタベッの工場新設は停滞気味」(2005年7月12日)
イ_ア銀が公表したコマーシャルプロパティサーベイによれば、ジャボタベッ地区の工場用地入居状況は今年2月以来5月まで変化していない。そのデータでは、入居率は87.8%となっている。工場用地の平均借地料については、5月が平米あたり24,386ルピアで、前月から0.4%の低下を示している。特にジャカルタに関しては、入居状況は88.6%で安定しており、借地料は平米あたり25,553ルピアで0.5%前月からダウンした。一方、ボゴール、タングラン、ブカシ地区は入居率87.6%でこれも変化なく、借地料は平米平均22,483ルピアで0.2%の低下。
年間で見れば、前年同月実績は20,618ルピアだったことから、18.3%の値上がりを示しており、また入居状況も前年の84.7%から今年は3.1%の上昇となっている。


「解雇手続き違反を従業員が警察に訴える」(2005年7月13日)
国内化粧品業界でサリアユのブランドを持つPT Martina Berto社の東ジャカルタ市にある工場従業員数十人が、合理化を理由に解雇した会社側の行為は違法だとして国家警察本部に訴え出た。同社は5月末から6月初にかけておよそ80人の従業員を解雇したが、解雇対象になった従業員たちの中で37人が、その解雇プロセスの中で違反が行なわれた事実を司直に訴えることに合意し、今回警察に届け出るはこびとなった、と従業員たちは説明している。
届け出られた内容は、会社側は従業員データをごまかして労働省に従業員解雇申請を提出したため、それに応じて労使紛争調停委員会が出した『効率のための従業員解雇許可番号926/1277/265-6/IX/PHK/6-2005号』は無効であるはずだというもの。解雇された従業員のひとりは、会社側が行なった総従業員数や従業員データのごまかしなどの虚偽データ提出と、そして対象従業員に対して行なわれた強制や威嚇は許されるものではない、と語っている。最終的に70人は、会社からの賃金3.5か月分にあたる手当金が失われないよう、解雇同意書にサインせよと脅かされて仕方なくサインしたとのことだが、10人は最後までそれを拒み、その状況に意を強くした27人が既にサインした解雇同意書を破棄して会社側との徹底抗戦に加わった、とかれらは物語っている。


「労使紛争件数は下降傾向」(2005年7月14日)
2004年の労使係争事件は8万2千件で、2003年の9万1千件、2002年の11万4千件から顕著な下降をたどっている。労働省はこの状況を、労働者と会社経営者が労使間の問題をオープンで透明に解決しようとする傾向が生まれているためであると見ている。しかし社内労組が労使二者間協議を長引かせる傾向も見られることから、紛争解決を二者間で行なうよう推進している労働省もまだ息が抜けないところ。
ところで労使紛争解決のためのステップは法規ですでに用意されているが、当事者間あるいは三者間協議での解決がこじれた場合は、労使係争法廷で処理されることになる。この労使係争法廷の専門判事任命作業がいま進められており、労働省は既に219人の実業界、労働界出身適任者を最高裁判所に推薦し、その審査を待っている段階だ。その任命は、法令によれば大統領もしくは最高裁長官の推薦によるとなっており、プロセスにはまだ時間がかかる見込み。
労使係争解決に関する2004年度法令第2号は2005年1月14日から施行されることになっているが、2005年度法令代用政令で1年間その開始が延期されている。


「ブカシで建設中のホンダ工場に地元民が押しかける」(2005年7月15日)
14日朝、ブカシ県チビトゥン郡西チカラン町のMM2100工業団地内に建設中のPT Astra Honda Motor社工場に、県内のいくつかの大衆組織を代表して数百人が押しかけた。それら数組織のいくつかはそこに集まった目的について、工場の保安や工事完了後の廃材等に関する処理を地元民に委ねてほしいため、その要請にきたと語っている。
かれら数百人の群集はブカシ警察とチビトン警察署から派遣された治安要員の厳重なガードに迎えられ、各組織代表者が会社側建設プロジェクトリーダーと交渉する間、デモを繰り広げるでもなく、工場前道路の緑地帯に腰をおろして成り行きを見守っていた。ブタウィ人会ブカシ県地方指導部事務局長は「地元民として、工場建設の最初から操業開始後の廃棄物処理まで、地元の経済発展に関わりを持つ中で、工場に協力したいと強く希望しており、事業投資が行なわれる際にはぜひ地元民にも声をかけてもらいたい。」と主張を述べている。
ブカシ県内には多くの工業団地があり、団地周辺地元民は折に触れて雇用要求を団地管理者や入居工場に訴え、時には道路閉鎖などの実力行使を伴ってそれが行なわれてきたが、学歴をはじめいくつかの採用条件が満たせる人は既に雇用されており、いまだに雇用を要求している人の大部分は条件が満たせずにふるい落とされた人たちだ。そのような体験を経て、地元民の地元民であることを理由にした雇用要求はいまや減少傾向にある。
ある工業団地管理者は、工場に雇用されるだけが生計を得る道ではなく、工場で採用されなくとも、ワルン(屋台飲食店)を開いたり、工場の近くに下宿屋を開いたりすることで暮らしている人も数多い、と地元民に対して説明している。


「NPWP非保有者の税率が高くなる!?」(2005年7月19日)
国税総局が、所得税に適用する税率の変更を計画している。といってもこれは国民のNPWP(納税者番号)取得を推進させるための方策で、国税側のアイデアは、NPWP既取得者は現状のまま、未取得者にはより高い税率を適用するというもの。この対象となる所得税はPPh Pasal 21、PPh Pasal 22、 PPh Pasal23の三種類。
PPh Pasal 21は主に給与賃金所得者がその対象になるもので、雇用者に源泉徴収と納税の義務が負わされている。税率は規定の控除金額を所得から引いたあと、2千5百万ルピアまでが税率5%、それを超えて5千万ルピアまでが10%、それを超えて1億ルピアまでが15%、それを超えて2億ルピアまでが25%、2億を超た部分には35%が課税される。税務当局はNPWP未取得者に対する課税率としてそれを20%引き上げようとしているが、それと同時に税率ブラケットをひとつ減らして5千万ルピアまでを最低税率の5%にする考え。このため税率ブラケットはNPWP既取得者の場合5%、15%、25%、35%の四段階、未取得者の場合は6%、18%、30%、42%となる。もしこの案が実施に移される場合、従業員のNPWP保有ステータスによって源泉徴収税率が異なってくるため、従業員に対する給与金額表示はこれまでの慣習だった手取り金額から税込みのグロス金額への変更作業が避けて通れなくなる見込み。
一方、輸入に関連して関税等の支払い時に前納することになっているPPh Pasal 22はAPI(輸入者番号)保有者に対する税率は2.5%、非保有者への税率は7.5%となっており、今回の提案ではNPWP非保有者の場合それぞれが5%と15%にアップする。金利、配当、ロイヤルティなどから得られる収入に課せられるPPhPasal 23についても同様で、NPWP非保有者に対する税率は保有者の二倍にされる。政府がいま検討中のこの改定税法は8月に国会提出が予定されている。


「ジャムソステックがNIBシステムを開始」(2005年7月20日)
PTジャムソステックと7銀行およびPTアスケスが共同でNIB(共通認識番号)システムを開始する。このNomor Identifikasi Bersamaシステムはジャムソステック潜在加入対象者数6千万人分のデータベースを用意して単一認識番号での管理をしようというもので、加入者、ローン借入者、証券保有者の商業分野外のデータがそこにインプットされる。
国有事業体担当国務相の糾合下に行なわれたこのシステム打ち上げに参加する銀行は、マンディリ銀行、BNI銀行、ブコピン銀行、ムアマラッ銀行、マンディリシャリア銀行、BTN銀行、BRI銀行の七行。このシステムでは、登録者にNIBが記されたカードが発行され、このカードはATMカードやクレジットカード、病院での保険証明カード、保険クレーム手続き等の証明、はては出勤退勤時の記録用などに使用されることができる。同時にこのシステムは、国税総局が中心になって進めている国民シングルアイデンティティ番号コンセプトの先駆けとして位置付けられている。


「ピーク時間帯の電力使用は割高になる」(2005年7月22日)
国有電力会社PLNがエネルギー節減のために時間別電力使用料金システムを検討している。17時から22時までの電力ピーク時間帯に、電力使用契約者が平均使用量よりたくさん電力を消費した場合、ピーク時間帯の料金を割高にしようというアイデアで、その詳細についてはいま検討中。ベースになるのは2004年に定められた電力基本使用料でその二倍までPLNは料金を引き上げることができ、通常時間帯は1倍、ピーク時間帯は1.4倍といった決め方になる。PLNが供給している電力は45.8%が製造産業向けで、一般家庭向けは33%、オフィスやサービス業が15%という割合。一方電力生産コストは石炭を使うとkWh当たり137から180ルピア、天然ガスだと211から250ルピアだが、石油燃料を使うと5百ルピアを超える。PLNはこれまでピーク時間帯の需要に合わせて供給を増やしており、その増加分は石油燃料を用いて発電してきた。
去る6月に行なわれたムアラカランとタンジュンプリウッの発電所におけるガスパイプ連結工事で、期間中の発電量が低下するため都内に巡回停電が起こるとして都民に節電が呼びかけられ、その期間は結局停電が発生しないまま乗り越えることができた。それ以来PLNによれば、電力消費は下降フェーズに入ったらしく、ピーク時間帯の消費量は従来から100〜500MW程度減少している。PLNによれば、ピーク時間帯に700MWを4時間にわたって節減できれば、軽油消費が1千万キロリッター節減でき、それは220億ルピアの経費節約に相当するとのこと。
ところで、PLN西ジャワバンテン給電事務所は、大口電力消費者であるクラカタウスチールとインドセメントからピーク時間帯電力消費節減の協力を得て、電力消費は大幅に減少していると公表した。既に産業界に対する電力使用時間帯の非ピーク時への移行が要請されているが、その二社はピーク時間帯から平常時間帯に電力消費を移した。その結果クラカタウスチール社は通常の200MWから大きい低下を示し、またインドセメントも通常の40MWから10MWへとダウンしている。


「デポックで最低賃金違反が13社」(2005年7月23日)
デポック市内にある13社の従業員2,835人が最低賃金を下回る給与しか与えられていないことをPTジャムソステック・デポック支所が明らかにした。その13社はジャムソステックに加入しているため、掛け金計算データからPTジャムソステック側は加入者の給与を知ることができる。2004年以来、同支所は最低賃金に満たない給与をもらっている加入者に関するデータを市労働局に提出して注意を促しているが、期待する結果となって戻ってきたことがない、と同支所長は述べている。
2005年のデポック市最低賃金は、2004年11月22日付け西ジャワ州知事令第561/Kep/11.32/Bangsos/2004号でRp. 681,804.- が定められ、2005年1月1日から施行されている。ところが上記2,835人は平均で月額35万ルピアしかもらっておらず、中には月9万5千ルピアという者もいる。同支所は自らそれらの会社を訪問し、また市議会議員を同行して会社経営者に違反警告を行なっているが、それらの会社は「もっと高い給料を払わなければならないのなら、会社を閉めた方がましだ。」という姿勢を示しているとのこと。デポック市には649の事業所があるが、そのうち397事業所はまだジャムソステックに加入しておらず、また加入者のうち53社が滞納している。そのため最低賃金を下回る給与で人を雇用している会社はその13社だけではないだろう、と見られている。またデポック市庁自身も、陸運局や公園清掃局の契約社員に対して保険加入をまだ行なっておらず、同支所はデポック市が早急に義務を果たすよう、苦言を呈している。
ちなみに、最低賃金違反を犯している事業所は下の通り。
RS Bhakti Yudha (Rp 528,402.-), PT Genggong Village (Rp 514,000.-), PT Central Star (Rp 260,000.-), PT Tramotex Industrial (Rp 300,000.-), PT Mayer Crocodile (Rp 417,000.-), PT Mayer Indah Indonusa (Rp 300,000.-), PT Dewa Citra (Rp 429,000.-), PT Citra Dinasti (Rp 510,000.-), PT Karyana Plastik Industri (Rp 137,250.-), PT Minuman SAP (Rp 95,000.-), PT Golden Agin (Rp 576,196.-), PT Jupiter Semesta Utama (Rp 576,200.-), PT Indira Mustika (Rp 300,000.-)


「バタムに7月政策パッケージ」(2005年7月25日)
政府は7月21日付で、バタム・ビンタン・カリムン三島地区における事業投資の促進を目的に、保税手続きに関連するファシリティを強化する政策パッケージを制定した。このパッケージは大蔵大臣令第60/PMK.04/2005号(保税集積場に関するもの)、大蔵大臣令第61/PMK.04/2005号(通関と税制の取り扱いに関するもの)、商業大臣令第14/M-DAG/PER/7/2005号(数種輸入物品規定に関するもの)から成っており、エディ・アブドゥラフマン税関総局長はその三大臣令を「フリートレードゾーンの魂にあたるもの」と表現している。この政策パッケージによって、バタム・ビンタン・カリムン三島にある保税地区は国内の他の場所にある保税地区よりも緩和された規定を享受できることになる。その詳細は下の通り。
T.許認可関連
1.KB(保税地区)は蔵相の承認、GB(保税倉庫)・TBB(免税店)・ETP(保税展示場)は税関総局長の承認だが、三島地区では地元税関サービス事務所長が承認する。
2.TPB(保税集積場)設立許可変更承認、DPIL(内国企業)からの下請け作業許可、ホワイトリスト認定は税関総局長承認だが、三島地区は地元税関サービス事務所長が承認する。
3.TPBの入出荷ゲートの追加は税関総局長の承認だが、三島地区では入出荷ゲート追加に承認不要。
4.TPB間あるいはTPBとDPIL間の物品貸出しは税関総局長承認だが、バタムでは承認不要。
U.手続き関連
1.LDPからTPBへの物品移送は税関が封印するが、三島地区では封印が行なわれない。
2.単一税関サービス事務所管内TPB間物品移送は税関が封印するが、三島地区では封印が行なわれない。
3.TPBからDPILへの出荷には通関書類が使われるが、三島地区ではTPBから地区内DPILへの出荷には、関税その他輸入税が賦課される物品に対するケースを除いて、通関書類が使われない。
4.TPBでの入出荷は通関書類BC2.3号が用いられ、TPBからDPILへの出荷だけはBC2.0号が使われるが、三島地区ではLDPからTPBへの物品移送は専用BC2.3、TPBからの物品移出は専用BC2.5が使われる。それらの専用書式は記載内容が簡素化されたもの。
5.KB生産品をDPILに出荷するには輸出実績が先になければならず、自立的に機能する物品は輸出実績価額の50%まで、更に加工が必要な物品は輸出実績価額の100%まで出荷できる。三島地区では先に輸出実績がなくともよく、また輸出実績価額との関連は問われない。(全生産品をDPILに出荷してもよい。)
6.輸入からTPBでの加工そして製品出荷までを税関が監督するが、三島地区ではTPBの移入移出に関連して港湾エリアでのみ税関が監督する。
7.原材料使用状況や半製品と完成品に関する四半期報告を税関サービス事務所に提出することが義務付けられているが、三島地区でその義務付けはない。
8.TPBには税関職員が駐在して監督を行なうが、三島地区では監督が行なわれない。
V.税制・通関ファシリティ関連
1.TPBのサービス授受はPPNが課税されるが、三島地区ではサービス授受にPPNは課税されない。
2.輸入関税計算は原材料の関税に基づくが、三島地区では原材料あるいは製品の関税率の小さい方に基づく。
3.KB内工場からDPILへの出荷は関税その他輸入税が賦課されるが、三島地区では地区内DPILへの出荷は、自動車、タバコ製品、アルコール飲料、家電品(現行規定による)の四品目を除いて、課税は行なわれない。
4.KB内工場からDPILへの下請け作業、貸出し、修理を目的にした出荷は保証金提出が義務付けられているが、三島地区では地区内DPILへの出荷に対する保証金は不要。
W.通商ファシリティ
1.中古資本財輸入(工場移転を含む)には商業省の承認とサーベイヤによる稼動検査証明書が必要だが、三島地区では商業省の承認と稼動検査証明書は不要。
2.TPBからDPILへの中古資本財移出は商業省の承認が必要だが、三島地区では地元商業局の承認があればよい。
また非保税ではあっても、ビンタン島とカリムン島の開発プロジェクトを行なう会社には、物品輸入にあたって関税免除が与えられる。大蔵大臣令第61/PMK.04/2005号(通関と税制の取り扱いに関するもの)の施行は今年10月1日からとなっており、税関総局はあと二ヶ月ほどでその開始を目指す準備を完了させなければならない。


「預金金利率上昇で投資信託が減少」(2005年7月27日)
イ_ア銀行債券金利が上昇を続けているため、投資信託に集まっていた資金が定期預金に還流しはじめている。イ_ア銀債金利率の最新は先週の8.49%で、イ_ア銀はまた四半期ごとの金利率先物指標としてイ_ア銀行レートというシステムを設置し、この第三四半期の金利率を8.5%としている。
金融界はその動きに追随して、預金金利率を引き上げる態勢に入っており、0.25から0.5%の範囲で利率を高める動きが始まっている。一ヶ月定期はいま一般的に、6.0%から7.5%のレンジにある。投資信託から定期預金への資金の動きは、しかし1ヶ月ものと3ヶ月ものがメインになっており、さまざまな金融インストルメントの動きが半ば予測不能な状況のインドネシアでは、機会損失を嫌う投資家たちの姿勢がくっきり投影されているように見える。ある証券会社社長はこの現象に関して、投資信託から資金が逃げていくことに特に危機感は感じていない、と言う。「この状況は暫定的なものだ。今の資金の動きは、今年第一四半期に起こった証券離れほど凄まじいものではない。顧客はいま、マネービルドのさまざまなツールを学習している段階にある。たとえば、定期預金だと一度組んでしまえば満期になるまで寝ていてかまわないが、投資信託だと四六時中目を光らせている必要がある。」
資本市場監督庁のEモニタリングデータによれば、7月前半の償還金額は197兆ルピアである一方、新規契約は167兆で、ネットはマイナス30兆ルピアとなっている。この結果投資信託業界が運用している第三者資金は1月時の108兆ルピアから79兆ルピアに低下している。


「ミニマム所得税」(2005年7月27日)
税法改訂案の煮詰めを行なっている税法案見直し検討チームは、納税忌避を行なう大企業に対して国税総局長がミニマム所得税を決定する権限を持つこと、外国間決済において納税忌避の試みがあることを国税総局長が一方的に断定できる権限を持つこと、が提案されている事実を明らかにした。ミニマム所得税というのは、事業が実際に利益を上げているのに赤字と称して納税を忌避しようとする会社に対する措置で、その不自然な事態を正すためにはまず各事業セクターにおける損失の限度が設けられる必要があるにせよ、そのような会社には1億から2億ルピアの範囲でミニマム所得税を課すことになる、とのこと。このため、1983年度第7号法令の所得税第17条による請求を受けている会社は、それがミニマム所得税より小さい場合はミニマム所得税を納めなければならなくなる。この案に関連してイ_ア大学専門家は、セクター別に納税者の損失限度を明確にした上での納税額に関する議論が順当であり、その数字が決められるのを待ちたい、とコメントしている。
海外送金による納税忌避とは、密接なあるいは特別な関係にある海外の会社に利益を送金することは、その利益が後で当該納税者に還元されるものであるため、それを納税忌避であると国税総局長が断定できるようにするもの。
ところで、ユスフ・アンワル蔵相はいま検討が進められている税法案、通関法案は8月17日依然に大統領に提出できるようにしたい、と日程に関する希望を語った。その後国会での審査を経て早急に制定に持ち込みたい考え。


「配当金所得に確定課税案」(2005年7月28日)
配当金に対する所得税を分離確定課税方式に変更する考えであることを、税法改訂案の煮詰めを行なっている税法案見直し検討チームが表明した。ただしこれは提案であり、蔵相〜大統領〜国会のすべてを通らなければこの提案は実現しない。
この対象者は個人納税者であり、この提案が実現すれば個人投資家にとって煩わしい納税申告の面倒が省かれることになって、証券投資を一層活性化させる誘因ともなりうることから、証券界ではもろ手をあげて歓迎している。
現行税制によれば、金利所得や配当所得はPPh Pasal 23適用対象とされている。PPh Pasal 23はさまざまなサービス業の所得あるいは資本運用による所得に対して固有の税率を定め、支払い者が源泉徴収して納税するものだが、これは当該年度に発生する所得者の所得税の一部予納ということになっており、年度の締めを行なって確定納税計算するときに再度計算しなおされる。所得税はブラケット型累進課税で、法定控除後2億ルピアを超える所得には35%という最高税率が課税される。言うまでもなく予納した税金は総納税額から引くことができる。
今、配当金の所得税第23条は税率15%となっているため、配当金支払い者が総額から15%を源泉徴収して納税し、納税証憑を配当金受取者に渡す仕組みになっているが、新税法でそれをファイナルにしてしまおうと検討チームは提案している。一方、国外納税者についてはこれまでと変わらず、所得税第26条の規定に従って、総額の20%が源泉徴収されてファイナルとなる。ただし二重課税防止条約をインドネシアと結んでいれば、その条約の規定に従う。その税率はたいてい10%だ。


「オンライン納税申告がはじまる」(2005年7月29日)
オンラインによる納税申告手続きが今年から始まる。国税総局はその手続きの詳細について決定と公表を行なった。社会告知がこれから進められていくことになる。このシステム利用を希望する納税者はまず、所轄の税務サービス事務所に申請し、electronic filer identification number(EFIN)を取得しなければならない。
このEファイリングのシステム運用には、国内のアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)が使われる。たとえばLaporanpajak.comという当局指定ASPを納税者が選ぶ場合、納税者はそのASPと契約することになる。ASPはオンライン税務申告のアプリケーションパッケージを提供し、またユーザーIDやパスワード、更にデジタルサーティフィケートを与える。
納税者は税務申告時にそのアプリケーションを開き、オフラインでデータを記入してからオンライン接続を行なってデータを送付する。使用されるコンピュータ端末はデジタルサーティフィケートがインストールされたものに限られる。デジタルサーティフィケートは申告者のアイデンティティ確認と送付データのランダム化を行なって、データ盗難を防止する。またASPは契約者のデータ守秘を保証する義務を負わされている。
このオンライン納税申告は一日24時間、一週7日間、いつでも行なうことができる。ただし時間は西部インドネシア標準時間が使われるので、時間が先行する東部地方では締め切り翌日でもまだ期限内申告ができる可能性が生まれる。納税者が申告を行なうと、国税総局からデジタル受領証が戻ってくる。Nomor Transaksi Penyampaian SPT(NPTS)というのがその受領証の名。
この新システムの社会告知はASPが行なうことになっており、上述のLaporanpajak.com社は8月1日から5日までEファイリングトレーニングを行なう予定になっている。


「銀行にもPPN課税」(2005年8月1日)
国税総局が金融界へのPPN課税変更を提案している、と改定税法案検討チームが表明した。国税総局シャリフディン・アルシャPPNその他間接税局長によれば、金融界の銀行とノンバンクを区別することなく、すべてのマネタリーサービスはPPN非課税とし、一方銀行が行なっていてもマネタリーサービスではないものに対してはPPN10%を課税しようというのがその提案。今現在、銀行が行なっているビジネス活動はすべてがPPN非課税とされており、一方ノンバンクが行なうマネタリーサービスにはPPNが課税されている。現状はバンクとノンバンク間に公平感がなく、同様の金融サービスを行なっても公正な競争になっていないため、その歪を是正するのがこの提案の目的とされている。この案ではノンバンクが行なう金融サービスからのPPN収入が減少することになるが、協同組合の積立貸付から得られているPPN収入は全体の5%に満たないものであり、大きい影響は出ない、と国税側は見ている。
一方銀行が行なっている金融サービス以外の事業には今後PPNが課されることになる。銀行が所有するビルのフロアを借りているテナントリース者や銀行の貸し金庫利用者などはPPNを負担しなければならなくなる。
また保険に関しては、生命保険は積立と同じであることからPPN非課税は従来と変わらず、生命保険以外のあらゆる損害保険にPPNが課税されるのもこれまでと同じ。


「労組は事業経営を理解する能力を持て」(2005年8月2日)
7月28日、クドゥスで開かれたタバコ飲食品労組連合第3回全国大会開会式でファハミ・イドリス労相は、労働者は会社経営や事業会計が理解できるようにならなければならない、とスピーチした。同相によれば、労使間コンフリクトの中には会社の経営状態に関する理解が労使間でまったく食い違っているというものも少なくない。おまけに会社側が財務報告書の操作、あるいはそこまでしなくとも労働者の無知につけこんで会社側に有利になるよう印象付けるといった手管を使うことも行なわれていないとは言えない。だからこそ労組は、経営者と同じ土俵の上で財務報告書が正しく会社の経営状態を反映していることをモニターするとともに、その会社がどれだけの福祉を従業員に与えることができるかについて経営者と同じ理解を持つようにならなければならない。そのような形で会社の中に透明性と相互理解がもたらされれば、労使間コンフリクトは大幅に減少するだろう。そのために会社側は会社の事業に関する情報へのアクセスを労組に開放しなければならず、また労組側は組合員が会社の財務報告書など経営に関する情報が理解できるよう、学習と訓練を施さなければならない。
労相は、会社が作成する事業報告に対して労組がその有効性をチェックするというレベルに達することをこの面における理想としている。


「6種の経費が所得税課税対象金額から控除できる」(2005年8月3日)
税法案見直し検討チームが、所得税課税金額から新たに6種類の経費を控除できるようにする案を提出している。ハディ・プルノモ国税総局長は、この控除を認めても即税収減につながることにはならないだろう、と述べている。その6種類とは、外貨差損、損失引当金、奨学金、石油ガス産出経費、社会開発経費、自然災害への寄付金。
損失引当金は金融界が貸倒れに備えて設けるものや積立金貸付を行なう機関が行なうもの。奨学金については、受取者は非課税であり、授与者もこの措置で非課税になる。石油ガスは国民が廉価な燃料を求めているこの時期、その方向付けを支援するもの。社会開発プログラムに資金を提供する会社はその資金が非課税にされる。自然災害への寄付は昨年末の津波大災害でスタートしているが、国家的規模の災害に対して法制化しようとするもの。


「タングランで労働争議」(2005年8月4日)
タングラン市ジャティウウンにあるPTコーリョーインターナショナルインドネシアで2日、数千人の従業員によるストと陳情行動が行われた。同社は3千5百人の従業員を抱える履物生産工場。
同社では7月から、注文が激減したために全従業員の半数を超える2千人ほどを自宅待機にしたが、デモを行っている従業員たちによれば、会社側は自宅待機決定の際従業員に対し、給料はこれまでと同じように支払われると約束したとのこと。ところが7月終わりごろになって会社側は、7月から9月までの給料を10月はじめにまとめて支払うことを決めたために、今回のデモとなった。1994年から同社に働いている従業員のひとりは、一方的に従業員を自宅待機させる根拠は何か、と鬱憤をぶちまける。「会社はひとり勝手に従業員をこんなふうに扱い、やめて行くように仕向けて人員削減を行おうとしている。話では、会社はもう最低賃金を守るだけの給料支払いができないそうだ。」との談。
会社側は全国労組コーリョー支部との交渉の結果、8月4日に7月分の給与支払いを約束してこのストは決着した。


「ブカシ〜プリウッ間自動車専用道路建設」(2005年8月5日)
ブカシ西部の工場地帯とタンジュンプリウッ港を直接結ぶ輸出入貨物動脈路建設案への着手が近づいているが、当初の青写真だったチカラン〜タンジュンプリウッ間のルートが変更された、とソリヒン・サリ、ブカシ副県令が明らかにした。当初はチカンペッ有料自動車専用道路チカラン料金所のあるトゥガルナナスからタンジュンプリウッまでの間に自動車専用道路を通す案だったが、それが同自動車道チビトゥン料金所からチリンチンまでということに変更された。そのため当初は54キロだった道路建設は38キロに短縮される。この道路がどこを通るかについては、投機者の地価吊り上げ行為を考慮して公表できないとの副県令の談。チカンペッ道路周辺の経済発展から完全に取り残されているブカシ北岸地区にとっての経済開発モメンタムでもあるこの工事計画で、道路が通る地域をゴールドラッシュが襲うものと地元経済界は見ている。ただしこの道路の通過する土地の大半は公営会社第二ジャサティルタの所有地になるとも副県令は洩らしている。工事自体は中央政府公共事業省が実施するものであり、今月中に道路建設と運営を行なう業者の入札結果が公表されることになっている。


「西ジャワ繊維産業界で50万人解雇が起こるか?!」(2005年8月8日)
斜陽からの再起に対してエネルギーの値上がりと供給制限は大きい障害になっており、かつて昇竜の勢いを誇ったインドネシア繊維産業はその規模をますます縮小している。繊維産業の中心地バンドンを擁する西ジャワ州繊維業協会(API)は、いまだに市場にあふれている不法輸入品の一掃を行うどころか、産業向け石油燃料や電力を値上げして省みない現政府の政策ではこれまでの操業を維持することができないとして、年内の早い時期に50万人にのぼる大量解雇が発生するだろう、と表明した。
リリ・アスジュディルジャ同協会西ジャワ支部長は、「今の状況下にAPI傘下の多くの事業主がフラストレーションに陥っており、すぐにでも事業をたたんで従業員を解雇する気持ちになっている会員も少なくない。2001年から累計して、事業を取り止めた会社は既に273社に達しており、今月ですらもう4社が生産活動を止めている。西ジャワ州繊維産業が抱えている2百万人雇用のうちの25%は近いうちに解雇の憂き目を見るだろう。しかしその数字はまだ良いほうだ、と考えなければならない。事業継続に意欲を燃やしている事業主もまだまだいるのだから。」と語っている。
石油燃料消費制限に関してAPI本部は、大型企業の燃料消費が月平均5百キロリッターまでは市場価格を適用するというプルタミナの決定は不公平だと言う。繊維産業では月平均1千5百キロリッターが消費されているのだから。産業向け石油燃料価格高騰によってインドネシア繊維産業はますます競争力を失って行き、ドミノ効果が最終製品セクターまで及ぶことになる。繊維産業のコストアップは35%になるだろう、とAPI本部は表明している。


「環境保全対策評価ランキングが公表される」(2005年8月9日)
企業ランク評価プログラム、略称Properは、生活環境担当国務省が製造企業の環境保全対策を審査し評価するプログラム。与えられる評価は5つに色分けされており、ゴールドはきわめて満足できる成果を出している企業に与えられ、グリーンは基準をクリヤーしており、ブルーはミニマム基準値にすれすれ合格で、レッドは活動あれど成果なし、そして最悪のブラック評価は何ら意味あることをしていない、というもの。
ラフマッ・ウィトゥラル大臣は8日、2004年1月から2005年5月までの同プログラム結果を報道機関に公表した。審査された466社の中で、グリーンは23社、ブルーが221社、レッド150社、ブラック72社という内訳。その72社のうち特に悪質と見られる14社に対して同省は、今後改善への誠意が見られない場合は法的措置を取る、と警告した。悪質ブラックランクとしてマークされた14社の名前も下のように公表されている。
会社名 / 所在地 / セクター
PT Torganda / リアウ州 / パームオイル
PT Perdana inti Sawit / リアウ州 / パームオイル
PT Aspex Kumbong / 西ジャワ州 / 製紙
PT Indonesia Asahi Kasei / 西ジャワ州 / テキスタイル
PT Papertech Indonesia / 西ジャワ州 / 製紙
PT Naintex / 西ジャワ州 / テキスタイル
PT Kertas Bekasi Teguh / 西ジャワ州 / 製紙パルプ
PT Inti General Yaja Steel / 西ジャワ州 / 精錬
PT Batamtex / 中部ジャワ州 / テキスタイル
PT Damatex / 中部ジャワ州 / テキスタイル
PT Kertas Blabag / 中部ジャワ州 / 製紙
PT Surabaya Mekabox / 東ジャワ州 / 製紙
PT Jatim Taman Steel mfg / 東ジャワ州 / 精錬
PT Hanil Jaya Metal / 東ジャワ州 / 精錬


「ISPM#15」(2005年8月10日)
シュクル・イワントロ農業省検疫庁長官が、今年9月16日からアメリカがISPM#15をすべての輸入貨物に適用する、と公表した。木箱や木製パレットあるいは木製ダンネージなどに対する消毒処理を義務付けるこのISPM#15適用措置によって、インドネシアの多くの輸出者に影響が出るものと見られている。同長官によれば、フミゲーション処理をしていない木製梱包材が使われた場合、アメリカの監督機関はその梱包材を外して廃却するか、もしくは積出国に送り返す措置を取ることになっている由。
ISPM#15に関して、その消毒処理業者として既に20の梱包材業者が登録申請を検疫庁に提出している。検疫庁が認定すればそれらの業者は、梱包材に国際植物保護条約のシンボルマークと特定コードの描かれた消毒済みスタンプを押すことができるようになる。この業者認定は一年ごとに行われる厳しい審査をクリヤーするのが条件になっている。ただし消毒方法が、EUは臭化メチル燻蒸を禁止しているがアメリカは禁止していないというように、国別のバラエティがあり、輸出業界に混乱を招くことが懸念されている。
一方、インドネシア政府自身もこのISPM#15を輸入貨物に適用する計画であり、実施は2006年になる。検疫庁は来年の適用実施に備えて社会告知を進めていく予定にしている。
ところでその消毒プロセスに関連してインドネシア害虫コントロール事業者会(Ipphami)役員のひとりは、グローバルなISPM適用に対応するためにはインドネシアで行われているフミゲーションのクオリティを高める必要があり、コストアップにつながるのは確実だ、とコメントした。「40フッターコンテナへのコンテナフミゲーション料金は、1コンテナあたり80万から100万ルピアだったものが、140万から160万に上がる。もうひとつの問題は臭化メチル燻蒸に使われるメチルブロマイドの輸入割当で、年間250トンでは不足が生じることになる。すくなくともその2倍は必要だ。」と同役員は述べている。この割当問題は生活環境担当国務省、殺虫剤委員会、商業省の管掌下にあり、同国務省と殺虫剤委員会からの要請で商業省が国際監視機構に割当変更を申請するというプロセスになる。
陶器製品製造者であるPT KIAは月間コンテナ3百台分を輸出しているが、梱包材消毒は臭化メチル燻蒸よりも熱処理の方が安上がりだ、と同社社長は表明している。20ftコンテナを燻蒸すると1台あたり15万ルピアになるが、熱処理方式だと10万ルピアを切るとのこと。
工業省化学農林産総局長は、この木材消毒に関わる規制はグローバルなものであり、インドネシアだけに課されたものではないので、この規制の対象となる業者はコストアップを呑まなければならないが、世界中が同じ条件なので、市場競争における条件は変わらない、と語った。この問題に関して政府が業界を擁護できるポイントはないが、業界への広報周知徹底をはかっていく、との談。


「誘導的投資環境を目指して商業省が見直し」(2005年8月11日)
77種の事業関連許認可に対する整合性と簡素化を目指して、商業省が見直しチームを編成した。新規投資、特に外国からの投資を誘致するにあたってのクラシックなハードルは許認可、税制、通関、労働の四つであり、それらのポイントは互いにからみあって中央政府から地元県担当局レベルにまでつながっている。同チームは、商業事業許可書(SIUP)、会社登録証(TDP)、環境保全許可から輸出に際しての原産地証明書にいたる多種多様な手続きを統合的に再検討する予定。
一方、チーム7という名称で知られる法規検証チームは、事業許認可に関連する州条例や州知事令が国法と矛盾したりダブっているものをいくつか発見しており、そのフォローアップが期待されている。たとえば中央政府の定めたTDPとは別に地元行政機関が会社登録証明作成を義務付けているものがあり、そこで徴収される課金の法的位置付けが不明瞭になっている。会社登録は単なる届出であり、許認可プロセスを伴うものではない、と同チームは述べている。


「税務法廷での納税者側勝訴件数は敗訴の二倍以上」(2005年8月15日)
税務監査で税務職員の査定した税額は、すんなり呑むことのできないものになるのがほとんどだ。さてどうするか、というのが納税者の悩みだが、明らかに税務職員の方がおかしいと思えるなら、税務法廷に訴えるのもひとつの手段。というのは、過去数年間、税務法廷では、訴え出た納税者側が勝訴する比率が高まっているからだ。2004年の納税者側勝訴件数は426件で全体の44%を占め、2003年は267件で42%、2002年は263件で42%、2001年232件44%という高い比率となっている。国税側勝訴は2004年148件15%、2003年159件25%、2002年118件18%、2001年82件16%と敗訴件数の半分にも満たない。勝訴敗訴以外の件数は納税者側が部分的に主張を認められたもので、言い換えれば国税側も部分的に追加徴税に成功しており、五分五分という判決と考えればよい。
インドネシアでは納税に関してセルフアセスメント主義が貫かれているが、国税職員あるいは通関職員がそれをチェックして税額査定を行い、その算定根拠を提示して不足金額を追徴する仕組みになっている。追徴が発生すれば、ほとんどのケースで罰金が科される。この追徴に不服があれば、その50%を納税した上で法廷に訴えることができる。
税務法廷における上述の数値は、ある意味で当然の結果だ、とある税務コンサルタントは語る。税務職員の査定が本当は正しいことを知っている納税者は、決して法廷に訴えることはしない。自分の方が正しいと確信しているから納税者は訴え出るのであって、それでもその2〜4割は負けているということなのだ。税務監査で追徴が発生するケースが多いのは、納税者があまり完璧な資料を用意しないという要因もある。ところが裁判になれば、一生懸命完璧な資料をそろえるので、勝訴を得る可能性が高まる。しかしそのようなこととは別に、納税者にも脱税をトライする悪徳者がおり、そして税務職員の中にも悪徳者がいるという事実もあげられる。
税務監査の実施は税務職員が恣意で行っているのでなく、SP3と呼ばれる税務監査命令書に基づくもので、たとえば2004年にはSP3が100,518件出されたが、監査実施済みは67,492件、残りは未完となっている。2003年はSP3が117,521件で、実施済み72,576件、未完44,945件だ。このように税務監査実施が必要性に追いつけない実情を一方で抱えながら、細かいミスを捜し出して手っ取り早く監査を終わらせようとする空気が職員側に流れているのも疑いない事実だろう。誤った査定を下した税務職員にお咎めなしは片手落ちだ、というセンチメンタルな批判も納税者側にはあるが、もっと大きい枠組みの中での徴税レフォルマシが進められることが重要なのではないだろうか。


「ナイキが中国からインドネシアに工場移転」(2005年8月16日)
履物メーカーの世界的ブランドであるナイキが中国からインドネシアに工場を移す計画をしている、とマリ・パゲストゥ商業相が語った。15日ジャカルタで開かれた「インドネシア独立60年の経済」に関する討論会で同相は、強いプレッシャーから逃れるために、ナイキは今中国にある工場を移転させる計画をしている、と述べた。
移転先はインドネシアとベトナムが選択肢に選ばれているが、インドネシアの方がサポート産業がベトナムより優れているので、ナイキ経営者はリロケ先をインドネシアに決定する方に傾いている、との談。ところがインドネシア側に問題がないわけでもない、と商業相は続ける。ナイキはリロケ先を履物産業のセンターであるタングランもしくはスラバヤのどちらにするか検討したが、全体としてはタングランに傾いているものの、タングランとタンジュンプリウッ港を結ぶ道路インフラの損壊が激しいことが難点になっている。ナイキ側はインドネシア政府にその道路インフラ改善を要請しており、政府としてもわずか15キロの道路改善ができないでみすみす大規模産業誘致に失敗するのも残念な話だ、とのこと。同相は、インドネシアの経済発展に外国からの投資はきわめて重要であり、その投資誘致には誘導的投資環境が作られなければならず、道路インフラ整備はその中でも屈指の重要性を持っている、と関係諸方面に呼びかけた。


「SMSでの交換レート情報サービス」(2005年8月18日)
ビジネスインドネシア紙が、外貨交換レートのリアルタイム情報サービスを始めた。
これは電話番号3033にSMSを送ると、その時点の最新レートを知らせてもらえるというサービス。このサービスの対象通貨は下の10種類。
US Dollar (USD), Australia Dollar (AUD), Hongkong Dollar (HKD), Singapore Dollar (SGD), Euro (EUR), Sterling Pound (GBP), Malaysia Ringgit (MYR), Indonesia Rupia (IDR), Japanese Yen (JPY), Chinese Yuan (CNY)
1.外貨のルピアレートを知りたい場合は、下のようにSMSをタイプして3033に発信する。
  Bisnis
  ワンスペースあけて
  ルピアレートを知りたい外貨の三文字コード(たとえばユーロならEUR)
  例 : Bisnis EUR
2.外貨同士の間の交換レートを知りたい場合は、下のようにSMSをタイプして3033に発信する。
  Bisnis
  ワンスペースあけて
  対象外貨の三文字コード(たとえば米ドルならUSD)
  ワンスペースあけて
  換算目標外貨の三文字コード(たとえば日本円ならJPY)
  例 : Bisnis USD JPY
3.毎日自動受信を希望する場合は、下のようにSMSをタイプして3033に発信する。
  Bisnis
  ワンスペースあけて
  Reg
  ワンスペースあけて
  対象外貨の三文字コード(たとえば米ドルならUSD)
  ワンスペースあけて
  換算目標外貨の三文字コード(たとえば日本円ならJPY)
  ワンスペースあけて
  名前(たとえばKoizumi)
  例 : Bisnis Reg USD JPY Koizumi
  この登録を行えば、毎朝問い合わせをかけなくとも、一日一回午前10時にそのときの交換レートが受信できる。
4.自動受信を解除したい場合は、下のようにSMSをタイプして3033に発信する。
  Bisnis
  ワンスペースあけて
  Unreg
  ワンスペースあけて
  登録した名前
  例 : Bisnis Unreg Koizumi
このサービスはすべてのGSMオペレータとテルコムフレクシを通してアクセスが可能。なおSMS一件あたりの料金は2千ルピアとなっている。


「改定税法案内に税務職員への制裁規定が盛り込まれる」(2005年8月19日)
2000年税法の改定案を検討している政府は、権限悪用や納税者に対する権利侵害を行う税務職員への制裁を厳しくする考えであることを明らかにした。18日に開かれたセミナーでイ・マデ・グデ・エラタ大蔵大臣専門スタッフは、税務職員が行った不当行為は、大蔵省内部機関に訴えるチャンスが開かれる、と語った。税務職員は納税者の接待をうけることすら本来は禁止されるべきことであり、税務職員が納税者に対して権限を悪用したり、法律で定められている納税者の権利を侵したりすれば、納税者は大蔵省監察総局調査担当監察チーム(Tim Inspektorat Bidang Investigasi, Inspektorat Jenderal Departemen Keuangan)に届け出ることができるようになる。
そしてその不当行為が明らかになれば、その税務職員には制裁が加えられる。それとは別に、税務職員は国税総局が定める服務倫理規定を遵守しなければならない。服務倫理規定遵守の監視と訴え受付のために、そのためのコミッションが設けられる。国税総局と税関総局はいまその服務倫理規定を編成中であり、その規定がオーソライズされればこのコミッションは活動を開始することになっている。この国税と税関のそれぞれの服務倫理規定コミッションは大蔵省官房総局長が委員長、監察総局長が副委員長に就き、監察総局がその事務局となる。税法改定案検討チームはその税務職員・税関職員に対する制裁規定で、納税者と徴税官の地位対等が実現し、法の確定が向上すると見ているが、中立対等原理から見ればまだまだ不足している、とフアッ・バワジル国会第11委員会議員はコメントする。なぜなら、納税者が訴え出るのは大蔵省内部機関であり、納税者の不利になるようなことを徴税官にさせるアレンジは省内でいくらでも可能になるため、それだけで問題が決着することにはならないからだ、との同議員の意見。「国税総局内には職員の不当行為に対する罰則がこれまでも用意されているが、それが公平に運用されていると国民納税者は見ていない。」同議員はそう述べている。


「首都の失業対策に日本での実習」(2005年8月19日)
都庁労働局が首都の失業対策として、日本への実習生派遣を行う計画を建てている。対象者は都民で高校・短大(D3)・大学(S1)卒の学歴を持つ心身健全な者。この学歴条件については、機械系技術高校、D3、S1の卒業証書を持っている者、普通科高校卒であれば480時間以上の技能研修を受けた特定技能保有者に限定される。他の条件は身長160センチ以上、体重50キロ以上、医者の診断書や警察の素行無犯罪証明など。中でも健康な者という条件については、志望者は15キロを走り抜いてそれを証明しなければならない。
合格した実習生は日本に送られて会社に配属され、プロフェッショナルな技能訓練を受ける。また十分な報酬が実習生には与えられることになっている。
このプログラムは2005年から三年間続けられる予定だが、何人まで日本側に受け入れられるのかはまだはっきりしていない。


「バタム島海運業界に事業継続の危機」(2005年8月22日)
バタム島の海運業界は、高騰した燃料費をカバーするための料金値上げを期待しているが、シッパー自体も高騰したエネルギー費用の補填におおわらわであり、海運業界が期待する30%値上げは当面実現しそうにないため、困惑の態を見せている。ズルキフリ・アムラINSA(民族系船主協会)バタム支部長は、「相当な値上げをしなければ運航経費がカバーされないが、バタム島内にあるバタミンドをはじめとする工業団地内企業もコストアップに悲鳴をあげており、小額の値上げは可能かもしれないが、赤字操業はいつまでも続けられないので、そのうち船社は運航をやめていくようになるかもしれない。」と語った。INSAバタム支部に登録している船社は90社あり、20社が客船その他は貨物船を運航している。バタムからジャカルタへの海上貨物運賃は平常タリフで350万から450万ルピアというレンジにあるが、コストは6百万ルピア前後と試算されている。アムラ支部長自身も貨物船とバージ船を走らせているが、これまでバージ船一隻でひと月1億ルピアの収入があったのに、燃料値上げのあとは6〜8千万ルピアに低下している由。またフェリー客船を運航させているPT Fajar Marindoのアズハル取締役は、今年二回の燃料値上げでコストは15%アップしているが、乗客に対する乗船料金値上げは可能性がないので、コストアップの克服対策としてできることはほとんどない、と述べている。


「税法改定作業は大詰めに」(2005年8月23日)
内閣税法改定検討チームが進めてきた改定案はかなり大詰めに向かっており、近々大蔵省内で最終ドラフトをまとめて国家官房に提出される予定になっている。今月末には国会審議に上程される予定で、この審議が順当に進められれば、2006年1月1日から新税法が施行されることになる。
この改定税法案では多くの市場寄り変更が盛り込まれており、現行税法よりは経済活動実施者に優しいものになるという印象を与えている。最終ドラフトには次のようなファシリティの改善が見られる。
項目 / 現行法 / 改定案
1.株式公開企業 / ファシリティなし / 税額算定簡素化
2.年次納税報告(SPT)提出最終期限 / 3月31日 / 4月30日
3.税金還付迅速化 / 優良納税者のみ / 対象者拡大
4.所得税非課税限度額 / 288万ルピア / 1千2百万ルピア
5.寄付金 / 経費算入不可 / 奨学金・国家的災害・研究開発・インフラ・教育ファシリティは経費算入可
6.非課税所得 / − / 奨学金・BPJSNからの援助・公式教育機関の余剰残高
7.法人所得税率 / 最高30% / 2007年に28%、2010年に25%へと引き下げ
8.中小企業所得税率 / 最高30% / 10%
9.個人所得税率 / 最高35% / 2007年に33%、2010年に30%へと引き下げ
10.個人受領配当金税率 / 予納非最終課税のため35%課税がありうる / 分離式最終課税15%
11.農産品の付加価値税(PPN) / 課税 / 非課税
12.鉱業産品の付加価値税 / 非課税 / 課税、輸出は還付される
13.観光客の付加価値税 / 還付不可 / 還付可能
中でも株式公開法人に対する優遇措置はバラエティに富み、財務報告書に対する公認会計士監査報告書で無限定適正意見もしくは限定適正意見を得た場合は、限定的税務監査だけしか行われない。加えて優良納税者認定を得た場合、PPN還付は1ヶ月以内、PPh還付は3ヶ月以内に行われる。PPh Pasal25は毎月納税する必要がなく、半期・四半期決算にあわせて実施すればよい。このファシリティは既に国有事業体と銀行に適用されている。さらに法人所得税率の最高税率逓減は、上記7.より早められる可能性がある。


「実業界が労働法改正を要請」(2005年8月24日)
外国からの投資誘致に誘導的環境を醸成するのに障害になっているのが、2003年第13号法令「労働法」内で定められている退職金関連条項だ、とソフィアン・ワナンディ事業者協会(APINDO)会長が語った。「この問題はもう何回も事業者、労働界、労働行政の三者間で話し合われ、改定に関する検討も繰り返されてきた。問題の労働法は早急に改正される必要がある。」との談。マリ・パゲストゥ商業相も別の場で、ファハミ・イドリス労働相に対し、労働関連政策と法規に関する包括的な考えを示してほしい、と要請している。現行政府の外国投資誘致方針に労働政策は即していなければならない、と商業相もコメントしている。
2003年労働法に対する改正意見としてはたとえば156条に、雇用関係の解消が起こった場合事業主は、退職金や勤続報奨金、取得するべき権利の代償金を支給しなければならないとなっているが、自己希望による退職、5日以上連続しての無断欠勤、不正行為を行った場合は例外とする、といった補足を加えるというもの。


「税法改定案の変更点はもっとある」(2005年8月25日)
大蔵省は現行四税法に対する最終改定案を国家官房に16日提出した。国家官房のドラフトチェックを経て8月末には国会に提出され、年内に国会を通って2006年1月1日から施行されるというのが、政府が描いているスケジュール。四税法とは、PPN法、PPnBM法、PPh法、一般規定法。改定内容の大半は8月23日の記事「税法改定作業は大詰めに」に見られる通りだが、それ以外にも次のような変更が加えられている。
1.登録事業所所在地外で事業を行っている場合、事業所所在地にもとづいて発行されたNPWP(納税者番号)とは別に、事業場所にもとづくNPWPを持たなければならない。(前者はNPWP domisili、後者をNPWP lokasiと称する)2.証券市場で売買される国債の金利には、所得税20%を課税。
3.所得非課税限度はこれまでの年間864万ルピアから1、680万ルピアに引き上げられる。
4.NPWPを持たない納税者に対するPPh Pasal21の税率は、持っている納税者より20%高くなる。
5.NPWPを持たない納税者に対するPPh Pasal22の税率は、持っている納税者より100%高くなる。
6.奢侈品税PPnBMの最高税率は現行の75%から200%に引き上げられる。
7.外国籍パスポートを持つ個人が物品を国外に持ち出す場合、納税額50万ルピア以上に対して税金還付が行える。


「ブカシで契約社員制度反対デモ」(2005年8月27日)
SPSI(全国労連)ブカシ支部に所属する数万人の勤労者が24日、契約社員制度への反対を表明して陳情行動を展開した。契約は一年間であり、雇用主は一年たつと契約を更新しないやり方で解雇するので、何万人もの契約社員が将来の生活が定まらなくて苦しんでいる。特にラマダン月前にはさまざまな理由で契約延長を拒むケースが多いのは、単にルバランボーナスの出費を減らそうという考えでのことだ。そのような状況は勤労者に損失をもたらす不健全なものであり、公的機関は勤労者の福祉に配慮してそのような問題を解決しなければならない。最悪の結果に備えて、ブカシ市と県の労働局は事業者側と十分な協議や指導を行い、一年だけの契約というシステムを行わないようにさせてほしい、というのがSPSIの要求。それに対してオタン・サトノミ、ブカシ県労働局労働監督課長は、SPSIの要求を支持し、2003年第13号法令違反を見つけ次第、SPSIは当局に連絡して欲しい、と応じた。当局は違反会社に対して措置を取るとのこと。


「製造業の人員整理がはじまる」(2005年8月29日)
産業用石油燃料値上がり、電力料金値上げ予定、おまけに産業用需要家へのガスや石油燃料供給不足など、産業界へのさまざまな逆風のために、一部製造業では解雇の波が打ち寄せはじめている。少なくとも、陶器、繊維衣料、履物の三セクターが今危機に直面している。事業欠損を極小に抑え込むために打てる手は、人員合理化しか残っていない、と危機的状況にある事業主は述べている。アフマッ・ウィジャヤ陶器雑貨産業協会会長は、ガス供給減と歩を一にして東ジャワとバンテンの生産者が人員整理を行った、と言う。東ジャワでは三工場が8万人をすでに自宅待機にしており、タングラン地区の工場は自宅待機が10万人に達するだろうとのこと。「東ジャワの三工場のうち二つは日産8万平米の陶器タイルを生産する大規模工場だが、業界は生産できないために客を失いつつある。三週間前にも輸出指向の工場が一軒、閉めてしまった。2万人以上の雇用者が影響を受けている。それどころか、トルコの大手陶器メーカーが、インドネシアからの調達をほかへ移そうとしている。」同会長はそう語っている。
API(繊維業協会)のイスミ事務局長は、繊維業界も合理化のために人員整理は避けられない、と語る。「エネルギー節減をしようにも、24時間フル稼働のため、時間の調整がきわめて困難だ。電力負荷ピーク時間帯に従業員の作業時間を組み直すか、それともその時間だけ作業を外へ出すしかないが、機械を止めることはできないので、作業員を合理化するしか手はない。」との談。
Aprisindo(履物事業者協会)のユディ事務局長も、2001年からの四年間で業界の雇用者数は5万5千人減少したが、今年も減少は継続せざるをえない、とコメントしている。


「9月の産業用石油燃料価格」(2005年9月1日)
9月1日から産業用石油燃料価格がまた変更された。MOPS(Mid Oil Plats Singapore)+15%+PPN(付加価値税)10%という計算式で毎月算出される産業界向け価格9月分は、上がったものも下がったものもある。国際原油価格高騰にも関わらず下がったものが出たのは、域内市場で供給過剰による値下がりが起こったため。政府補助金をなくした産業界向け石油燃料価格は今後も国際相場の動きに連動して変更を余儀なくされる。ちなみに今年7月からの価格推移は下の通り。
燃料油種 / 2005年7月 / 2005年8月 / 2005年9月
ガソリン(Premium) / 4,060 / 4,640 / 5,160
灯油(Minyak tanah) / 4,940 / 5,490 / 5,600
軽油(Minyak solar) / 4,740 / 5,480 / 5,350
A重油(Minyak diesel) / 4,560 / 5,240 / 5,130
C重油(Minyak bakar) / 2,900 / 3,150 / 3,150
(数字は1リッター当たりのルピア金額)
なお、一般販売用ハイオクタンガソリンも9月1日から補助金が廃止され、大幅値上げとなる。新価格は下の通り。
燃料油種 / 2005年8月 / 2005年9月
Pertamax / 4,000 / 5,700
Pertamax Plus / 4,200 / 5,900
(数字は1リッター当たりのルピア金額)


「LPガス値上げ」(2005年9月3日)
PTプルタミナはLPG(液化プロパンバス)国内消費者向け小売価格をこの年末に25%程度引き上げる意向であることをほのめかせた。アリ・スマルノ同社営業担当取締役は、国際原油価格高騰がガス価格膨張を誘っている現状での生産コスト圧縮はほぼ不可能であり、今はコスト計算と値上げ時期の検討を行っている、と述べている。現行価格はキログラムあたり4,250ルピアだが、5千から5千5百ルピアの価格にならなければならず、25%程度の値上げは必至だろう、とのこと。消費者への影響を緩和するための方策も同社経営陣は考慮しており、その場合は第一段階として2〜3百ルピアの値上げが来年1月中にはなされなければならない、と同取締役は補足している。


「解雇者はすでに5万6千人」(2005年9月3日)
2004年のはじめから2005年7月までに、ジャワ島では少なくとも56,250人の失業者が発生した、と国民労連(Serikat Pekerja Nasional)が公表した。バンバン・ウィラヨソ国民労連議長は、「西ジャワ・バンテン・首都ジャカルタ・中部ジャワの四州にある繊維・衣料・履物業界63社は5万6千人を超える解雇を行っており、ここ暫くは失業者が増加の一途をたどるだろう。」と述べた。その5万6千人以外に自動車組み立て、籐家具、建築などの業界でも解雇は起こっており、それらの数をすべて集計すると、おそろしい数字となることが懸念される、と同議長は表明している。
国民労連は解雇を行った事業主と対話を持っているが、事業主の大半は「製品が市場競争力を失い、これまでのような事業の継続はもう不可能だ。」とその理由を告げている由。他の理由としては、外国バイヤーがオーダーを競合国に移した、原材料コストやエネルギーコストのアップで工場がつぶれた、といったもの。同議長は政府に対し、石油燃料コストや電力料金の負担増、ましてやルピア為替の暴落を軽減させるだけのビジネス環境の改善が実現されないかぎり、解雇の波は拡大こそすれ、鎮まることはないだろう、と真剣な対応を要請した。
ところで、北スマトラ州労働局はすべての事業体に対し、燃料コストの高騰やルピアレートの暴落で経営状態が極度に悪化していても、従業員解雇は最後の最後まで自制してもらいたい、と産業界に要請した。北スマトラ州ではほとんどの事業体で大幅なコストアップが発生しており、一部では従業員に自宅待機を命じている。労働局側は、効率化、残業休出カット、作業シフト減らし、賃金カットなど、従業員解雇を行う前に打てる手はすべて打つべきであり、それでも結局どうしようもなくて・・・ということではじめて解雇がなされるようにしてほしい、と指導している。


「自宅を事業所として使うにも規定がある」(2005年9月5日)
都内の建物、特に住居が事業所として使用されているという用途許可違反が南ジャカルタで多いことから、ジャンガ・ルビス南ジャカルタ市建築監督整備局長が法規整備と現場での違反摘発の必要性を訴えている。同局長は建築許可に示された住居用途から逸脱して事業所となっている家屋がポンドッキンダで29軒、クバヨランバルには3百軒あると述べており、同局は更に実態調査の範囲を広げている。その中で問題となっているのは、町役場が住居に対して事業所開設の許可を与えていることで、町役場はその許可を与えることで課金徴収ができるため、本来の許認可条件が無視されている。都条例によれば、都市整備計画で定められた住宅地区にある住居のうち25%はその地域住民が必要としているサービス事業のための事業所を開いて良く、事業内容は地域住民に対するものとして限定されており、さらに事業規模にも条件があって、雇用従業員は5人までとなっている。しかし実態はそのような規定から逸脱しているものが多く、ましてや建物建築許可すら、承認された図面通りに実行されていないものが大半とのこと。最近の例として、クマン通り20番地の建物は建築許可が2階建てだったにもかかわらず、3階の工事が進められていたので、工事停止が命令された。住居としての建築許可申請だったが、その3階のうちの一フロアは事業所としての使用が予定されていたらしい。同局長は、町役場等の事業所開設承認を与える機関が現行規定の監督と施行を正しく行うように法規を整備しなければならない、と主張している。


「2006年最低賃金のベースは適正生活需要」(2005年9月5日)
ファハミ・イドリス労働トランスミグラシ相が、2006年の最低賃金は適正生活需要をベースにしなければならないとして、そのための算出基準を整備し、労相令第Per-17/Men/VIII/2005号として8月26日付で制定したことを明らかにした。この制定に伴って、従来最低賃金のベースとされていた最低生活需要構成要素に関する労相令第81/Men/1995号は廃止される。適正生活需要はこれまで最低生活需要構成要素だった飲食品、衣料、住居、教育、医療、交通にレクレーションと貯蓄が加えられて46種の需要がカバーされることになる。従来は6構成要素43種の需要がカバーされていた。労働省ムスニ・タンブサイ労使関係育成総局長は、「適正生活需要とは独身労働者ひとりひとりが、肉体的精神的社会的に一ヶ月間妥当な生活を営むために満たされるべき需要の標準であり、そこではひとり一日3千キロカロリーの食物摂取がひとつの基準をなしている。」と述べている。この適正生活需要は、生産性と経済成長とともに、毎年定められる地方別最低賃金確定のための基本要素となる。適正生活需要は市長、県令あるいは賃金評議会が労働界・実業界・行政の三者ならびに中央統計庁を巻き込んだサーベイチームを編成して地元の物品サービス価格調査を行った上で決定され、最低賃金は従来どおり州知事あるいは地方自治体首長が決定する。
インドネシア事業家協会のソフィアン・ワナンディ会長は最低賃金について、「最低生活需要から適正生活需要への規準変更そのものを受け入れることに問題はないが、従来の最低賃金確定プロセスでは、労働者はできる限り高い金額を要求し、事業家側はできるだけ低い金額を望み、調整がうまくいかなければ争議に至ることの繰り返しだった。最低賃金はニ三年に一回制定するように変更してはどうか。」と提案した。イディン・ロシディン全国福祉労組連合事務局長は、従来の最低生活需要から適正生活需要への変更は、質量ともに顕著な上乗せをもたらすことはないだろうが、この変更はたいへんよいことだ、とコメントしている。
ところでムスニ・タンブサイ労使関係育成総局長は、2005年の最低生活需要基準最低賃金が適正生活需要ベースに変われば、13〜15%の賃金アップが可能になる、とも発言しているが、ソフィアン・ワナンディ事業家協会会長もそれを受けて、そのベース変更が可能な企業は今すぐにでも賃金アップを行ってはどうか、とアドバイスしている。


「ブカシで労使紛争」(2005年9月9日)
ブカシ市バンタルグバン郡ナロゴン街道にあるPT GPGM社の労使紛争は長引いている。
2004年11月1日に労使間で結ばれた労働協約で、ブカシ市最低賃金遵守のために各従業員の給与が引き上げられ、上乗せ給が行われたが、会社側がそれを実行しないために、今年3月からデモが繰り返されてきた。ところが会社側はそのデモを行った従業員211人に謹慎処分を加えるなど厳しい措置を取ったために労使間紛争は激化の度を強め、最近では同社労組がブカシ市議会に陳情を行っている。その陳情は全国民主労働者労連と全国労連がバックアップして行われたものだが、会社側はその陳情に参加した161人を解雇処分にした。このため、同社労組はふたたび、不当解雇であるとして、市議会に陳情している。


「事業所管理行政ビジネスはますます盛ん」(2005年9月12日)
KKNや不法徴収金撲滅の掛け声は声高に鳴り響いているが、地方自治体が行っている事業所管理行政にそのメスはまったくと言っていいほど入っておらず、それどころか官吏のビジネス界に対する搾取行動は高まりこそすれ、優しくなるそぶりなどかけらもない。
公害法の遵守は地方自治体が事業所に義務付けるものだが、それに関連する項目別公式タリフが存在しないために、役人は好き勝手な料金を吹っかける。
都庁からの事業許認可手続きでは、75万ルピアから2百万ルピアという、理解に苦しむ金額が徴収される。事業所の所在を町役場が証明するドミシリ証明書発行も、末端行政役人のビジネス界の上前をはねる刈り取り場にされている。タングランのパムランでは40万ルピア、南ジャカルタのトゥベッでは45万ルピア、中央ジャカルタのスナヤンでも45万ルピア。ドミシリ証明書は税務署でNPWP(納税者番号)取得手続きを行うために必要とされているが、国民が税金を納めるために搾取の扉を抜けてこなければならないというこの実態は、じつに不合理きわまりない。外国人外資事業所の徴税を扱う税務サービス事務所でもNPWPを取得するのにプンリ(不法徴収金)が行われているが、町役場が取るプンリよりもそちらのほうがよっぽどたちが悪いと言える。
ビジネスが盛んになり、多くの雇用が創出され、民衆の人並みの暮らしが成り立ってその利益や収入から納税が行われるという社会経済サイクルに、行政のプンリや搾取が障害として立ち塞がっている。行政が事業所を、共に分かち合う収穫をもたらすものとは見ず、自分が食い尽くすための餌だと見ているかぎり、ビジネスは国際競争力を失い、失業者は減少せず、貧困国民が国の繁栄の足を引っ張ることになる。地方自治体高官職者が部下にノルマを課して行政ビジネスを行いながら、その一方で国費公費の横領着服にも熱中しているなら、「この国にガバンメントはあるのか?」との問いがまた繰り返されるにちがいない。


「高学歴失業者が増加」(2005年9月13日)
2001年から2005年までの失業者データによれば、高学歴失業者が増加傾向にあり、低学歴失業者は就職の機会がますます狭まっている、とのコメントを中央統計庁が出した。
「高卒失業者は2001年の3百万人が今年は390万人になっている。それ以上の高学歴者だと、2001年の54万人が今年は70万8千人になっている。この傾向は国民が教育の重要性をますます理解していることを証明するものであり、一面それは当然のことと言える。しかし高学歴失業者の増加は、それが増えれば増えるほど社会不穏のもとになり、早急に対応が取られなければ反生産的事態を生みかねない。」アデン・グルトム中央統計庁労働統計次局長はそう述べる。
低学歴失業者は変動が激しく、特定傾向が見えない。2001年では274万人だったが、今年2月の調査では355万人となっている。これは低学歴者の大半がインフォーマルセクターで働いており、きわめて容易に労働市場に出入りしているためだ、と同次局長は分析している。


「チビトンの工業団地内企業にガス供給停止」(2005年9月14日)
ブカシ県チビトンにある工業団地内の外資系企業が、8月25日以来、生産に使うガスの供給を断たれて苦慮している。ガスが入手できなくなっているのはPT LG Philips Displays Indonesia, PT Indonesia Daeyang Korea, PT Kayaba Indonesia, PT Essar Indonesia, PT URC Indonesiaをはじめとする数社で、問題はチビトンとチレゴン地区の工場にガス供給を行ってきたPT Igas Utama社が供給を停止したため。
PT Igas Utama社のイレネ・ラッナワティ・ルスリ取締役は、同社に対してガス生産者の立場にいるプルタミナが、従来の一日2百万立方フィートの供給を止めたから、と説明しており、この問題で生産に障害を受けている工場は、同社に対して120万ドルの損害賠償を要求している由。
プルタミナ側の説明では、PT Igas Utama社が支払いを行わないため、ガス供給はストップせざるを得なかった、とのこと。


「調達物流コストは製品デリバリーのほぼ二倍」(2005年9月15日)
インドネシアの製造会社は物流費に総生産コストの14%を割いている。これは日本のケースである4.88%に比べて三倍近い比率だ。またタイの場合は、市場販売価格の中で22%が物流費となっている。イ_ア大学経済学部社会経済調査院のハティブ・バスリ理事が明らかにしたこの調査結果では、製造会社の物流コストを物資が工場に届くまでのフェーズ、工場内で生産加工されるフェーズ、完成品出荷以降のフェーズに三分類した場合、そのそれぞれが7.22%、2.82%、4.04%という内訳になっており、先進国に比べてかなり高いこの物流費負担のために、インドネシア輸出製品の価格競争力が弱められているのはまちがいないことだろう。
2001年に生産コストの10%だった対行政機構費用は、5年かかってやっと6.4%まで降りてきた。しかし弱いインフラが引き起こしている非能率と、喧喧囂囂たる声ばかりが先行していて実態の伴われていない不法徴収金(プンリ)問題は、依然として物流費用の中にがっしりと食い込んでいる。
イ_ア大学経済学部社会経済調査院にJBICが協力して、首都圏・マカッサル・スラバヤ・メダンで操業している自動車、家電、飲食品、繊維衣料業界の75社に対して行われた今回の調査結果によれば、製造会社がもっともハイコスト経済を蒙っている都市はメダン、また物流費の比率が高いのは自動車産業であることが明らかになった。自動車産業は輸入コンテンツが高いために必然の結果と言えなくもない。
しかし上で述べた、調達に関わる物流コストが製品デリバリーの二倍近いという実態は、スマートな調達が企業利益に大きく貢献する余地をたっぷり持っていることを示唆している。


「断食月前の石油燃料値上げは消費者価格に影響が出ない」(2005年9月19日)
政府が予定している10月初の石油燃料再値上げに関連して、小売業界には価格値上げを先延ばしする考えが強まっている。
国内最大のリテーラーであるマタハリ社は、特に自社ブランドファッション製品の価格を当面据え置くことを決めた。ルバランを前にして在庫の積み上げは進展しており、通常月の4倍のストックレベルにまで持ち上がっていること、石油燃料再値上げで消費者購買力が低下すること、ファッション製品は燃料コスト値上がりの影響が小さいこと、などがその決定の根拠になっている。マタハリデパートは自社ブランド製品の販売が総売上の35%を占めており、一般的傾向に洩れず、同社も利益高より売上高を重視しているようだ。
トーマス・ダルマワン全国飲食品事業者連盟専務理事は、大規模販売者ほど売上金額重視傾向にあるため、市場での価格値上げは、石油燃料値上げにも関わらず、大半が自重するだろう、と述べている。値上げを行う業者は、石油燃料関連でなく為替レートのためにそれを行う方が圧倒的だろう、とのこと。大規模販売者はまた、倉庫をあちこちに持ち、運送と保管の効率を高める余地を持っているのでコストアップ対応努力ができるが、中小規模だとその余地があまりないため、価格維持は厳しいのではないかと見られている。しかし大規模販売者に納入する中小規模業者の値上がりはせいぜい5〜10%のレンジだろうと予測されている。


「企業の大量解雇に労相が警告」(2005年9月20日)
政府が予告している10月1日からの石油燃料再値上げを前にして、ファハミ・イドリス労働相が実業界に対し、事業合理化の中で従業員解雇が行われる場合は、規定の手続きを正しく踏むように、と警告している。
「従業員解雇は、それを回避するための三つのステップが踏まれた後でなければならない。まず残業を全廃すること。交代制のシフト就業。そして自宅待機。その三つにも手続きとステップがあり、実業界が財務状況の悪化を防ぐ努力の中で勤労者が一方的に損失を蒙らないようにしなければならない。交代シフトというのは、たとえば会社が従業員を二分して、ひとつは偶数日に出勤し、もうひとつは奇数日に出勤するといった方針を行うことを意味している。自宅待機は、たとえばメインの従業員は出勤させて残りを出勤させないという方針だ。これが大量解雇防止の労働省方針になっている。」と労相は述べている。
労相は更に、日本で行われているような給与カット方針も考えられる、と語る。日本ではたとえば一般従業員は15%の賃金カットを行い、管理職は20〜25%の給与カットを行うというものだが、インドネシアでは労使間の賃金格差があまりにも隔たっているため、ただでさえ小さい勤労者の賃金をカットするのは問題をはらんでいる、と労相はこの方針に懐疑的。


「ジャムソステックの活動報告」(2005年9月21日)
PT Jamsostekは、今年上半期の老齢補償クレームに対して1.25兆ルピアを支出した、と公表した。クレーム件数は376,228件。一方、死亡補償は376億ルピア、6,302件、保健医療補償は1,819億ルピア、571.8万件、労災補償は1,102億ルピア、49,148件となっている。イワン・ポンチョウィノト同社社長は、今年上半期のその実績を見るかぎり、国内の労働災害はまだまだ高いレベルにある、と評している。労災発生件数は月平均8.191件であり、これは一日当たり372件になる。
国内独占のこの労働者補償機関は、今年上半期末で35兆ルピアの資産が計上されており、前回から7%の増加となっている。同社は労働者のための国民住居建設プログラムをサポートする方針を立てていて、およそ7兆ルピアをそれに充当する考えでいる。今年上半期のジャムソステック加入者が納めた掛け金は2.8兆ルピアに上っている。


「原産地証明書発行規定を政府が見直し」(2005年9月22日)
虚偽データによる原産地証明書発行が問題になっていることから、商業省と工業省は発行手順の見直しを進めている。現状は原産地証明書発行主体が地方自治体になっているため、悪徳事業者や不良輸出者が盛んにそれを悪用しているのが実態だ。中国からの繊維製品をインドネシアで積み替え、それをアメリカへ再輸出するさいにインドネシア産品として原産地証明書を作成したり、やはり中国産のエビを同じようにしてインドネシア原産品と偽ってEUに輸出している。アメリカが中国産繊維品に適用しているセーフガードを潜り抜け、あるいはEUが適用している中国産エビの輸入禁止措置をかわすために取られている手段だが、その結果中央統計庁の輸出統計で外国の物品がインドネシアの実績に計上され、産業政策策定の場で混乱をきたすことも招いている。各業界団体が異常な輸出統計を折に触れて表明してきているが、政府当局はそれら被害国からのクレームを待って重い腰をあげるという、昔から似たような行動パターンが続けられている。
最近では実際に貨物がインドネシアへ送られてくることもなしに原産地証明書だけが作成され、貨物が中国からアメリカに船積みされるのにあわせて書類だけが送られるという事態すら起こっている。国際貿易の場でインドネシアがそのような違反行為に荷担している事実は、被害国からの対抗措置を招くことが予想され、インドネシアの産業に不利な事態が生じるのは間違いないことから、商業省と工業省はそんな違反行為に歯止めをかけるための措置を講じることを余儀なくされている。
工業省金属機械繊維雑貨総局長は、検証と監視の可能な港湾インフラを持ち、工業団地がひかえている県市に限定して原産地証明書を発行すること、発行実績の中央政府に対する報告義務を励行させること、などがその対応措置として提案されている、と洩らしている。既に全国で2百あまりの県市が証明書発行に妥当であるとの検討結果に至っているとのことだが、もうしばらく検討を重ねることになっている、と同総局長は述べている。


「オフィススペース需要が急増」(2005年9月26日)
1998年経済危機後の7年間で、今年上半期の需要の伸びが最大だった、とジョーンズラングラサールのリサーチキャピタルマーケットマネージャー、アントン・シトルスが公表した。2005年上半期で大きく膨らんだ需要とは、首都圏の賃貸オフィススペース需要。
特に銀行セクターが、オフィス拡張、支店開設、バックオフィス新設のために積極的にスペースを確保している。支店とバックオフィスは業務と保安の要因から分離される傾向が生まれており、バックオフィスは必ずしも都心ビジネス地区(CBD)に置かれる必要がないため、都心から周辺部へと移される傾向にある。今年上半期のオフィススペース新規入居は6万平米にのぼり、前年同期から二倍という成長ペース。
このため空室スペースは総供給の21%にまで減ってしまっている。銀行セクター以外でも、保険、トレーディング、ITなどが概して3百平米以下のオフィスをCBDに新設している。
今年上半期の総供給は311万平米で、今10件のオフィスビルプロジェクトが進展しており、それが完成すれば首都圏の総供給は350万平米となる。新供給分の24%はストラタタイトル。今CBDではテナント入居率が78.6%で、平均賃貸料は平米あたり6万5千ルピア。しかし周辺部での需要も増加しており、特に南ジャカルタ地区でのビジネスが活発で、石油ガス関連と銀行のバックオフィス需要が大きい。


「バタムのボンデッドゾーンプラス施行準備は?」(2005年9月27日)
税関総局バタムサービス事務所は、島内の保税地区に置かれている17の税関オフィスを閉鎖する準備に入っている。バタムでは、ボンデッドゾーンプラスという名称で、他地域よりも緩和された税関監督方式が去る7月21日の蔵相令で定められた。新方式の施行は今年10月1日からとなっている。
現場税関オフィスの閉鎖準備に入ってはいるものの、総局本庁からの閉鎖指示や新プロセス詳細手順指示はまだ届いていない。バタムサービス事務所は、今月末までにはそれらが届くものと予測している。


「新最低賃金の実態は従来とあまり変わらない」(2005年9月28日)
最低賃金をこれまでの最低生活需要ベースから適正生活需要ベースに引き上げるための周辺整備として、今年8月に労相令第Per-17/Men/VIII/2005号が制定された。これまでの43アイテムにレクレーションや貯蓄が加えられ、適正生活需要は46アイテムとなった。貯蓄ファクターは45アイテム合計額の2%と計算される。その46アイテムは、地元トラディショナルマーケットで、断食や宗教祭事、新入学、新年などの時期を避けて物価や商品供給が安定している時期に価格調査が行われる。こうして算定された適正生活需要をひとつの指標として、会社の支払能力と地元における生計費とが勘案されて地元の最低賃金が定められる。地域一般の最低賃金とは別に産業セクター別最低賃金も認められており、実態としては一般とセクター別の間に5%ほどの差がつけられている。
インドネシア事業者協会(APINDO)のジマント事務局長は、セクター別最低賃金がその決定プロセスにおいてよりフェアである、と語る。これは労使と行政を交えた三者協議により、企業の支払い能力に基づいて決められるもので、だから電気業界と繊維業界が違っているのは当たり前だ、とのこと。新しい最低賃金は職歴一年未満の独身社員に理想的なものであり、労相令第17号では、地元地域のもっとも能力の劣る会社、経済成長、労働市場の三つの状況が勘案されて決められる、と語る。かれによれば、たとえば貯蓄ファクターは、これまでジャムソステック老齢保障が最低生活需要算定の中に織り込まれており、新しく増えたとは言えない、とのこと。会社によって従業員慰安旅行を定期的に行い、ジャムソステック保障を励行している会社は、最低賃金算定からそれらを差し引いてもかまわない、との意見が表明されている。
ブラウィジャヤ大学の労働賃金オブザーバーであるウマル・ウィドド教官は、最低賃金とは企業が賃金体系を設定するさいの参考指標として使われるものでしかなく、賃金体系が定められれば地方別最低賃金は数年に一度の改定で充分だ、とコメントしている。毎年繰り返される最低賃金紛争は、外国からの新規投資意欲に水を差している色彩が強く、ポジティブな効果はあまり見られない、と実業界も同意を表明している。


「税務署のサービス改善」(2005年09月29日)
リサーチ会社ACニールセンが行った税務署サービスに対する満足度調査結果が公表された。それによると、納税者の税務サービス事務所に対するサービス度平均ポイントは75だが、大企業担当税務サービス事務所については、81ポイントという大きい評価になっている。
同種のサーベイは他の国でも行われており、オーストラリアは74ポイント、香港71、シンガポール76、インド78といった数値。公的機関の国民に対するサービスを国民が評価するものであるため、先進国ほど辛い点がつけられるのは大いに予想されることであり、それらのポイントを一律に並べるには難がある。
大企業担当税務サービス事務所に関しての利用者のコメントは、78%が職員の姿勢に大きい変化が生じており、84%は納税手続きがやりやすくなったと評価している。一方、13%は変化なしと答え、2%が反対に納税がやりにくくなったと回答している。
ところで、国会第11委員会は、改正税法審査が年内に終わらないと予測されることを表明した。パスカ・スゼッタ第11委員会議長は、税法通関法パッケージを国会はすでに受け取っているが、9月一杯国会が休会に入っており、年内審議完了は日数的に見てきわめて悲観的である、と述べている。


「地方ごとの一律最低賃金方式は不合理」(2005年9月30日)
インドネシア事業者協会(Apindo)東ジャワ支部は労相に対し、来年の最低賃金制定は産業セクター別にしてほしい、と要請した。生産コスト上昇に伴って人件費支払い能力が極度に低下している企業があるためとのこと。東ジャワ州では、現在一番高い最低賃金がスラバヤ市の578,500ルピアで、他の地区はもっと低い。10月1日に予定されている石油燃料値上げは産業界へのコストアップを引き起こし、同時に世間一般に対して価格高騰を引き起こす。それがもたらすインフレで従業員は賃上げを要求するようになるが、コストアップに痛めつけられた会社は、すでに従業員の賃上げ要求に応える能力を失っている。コストアップが製品価格に転嫁されても、市場は購買力が弱まっているため、会社は十分な利益があげられない、といった悪循環に呑み込まれてしまう。しかしその状況はセクター別に異なっており、従来のようにそれを一律に括って地方別最低賃金を決めるのは、実態を無視した暴挙となる。だから来年の最低賃金はセクター別に制定する必要があり、特に履物・繊維・プラスチックなど重病にかかっている業界は軽減措置が与えられてしかるべきだ、とのアピンド東ジャワ支部副会長の談。
労働集約型産業の総生産コストに占める人件費比率は30%に上っており、多くの会社が立ち行かなくなって操業を止めている。アピンドは、今検討中の来年度セクター別最低賃金を早急に取りまとめて労相に提案する予定にしている。労働集約産業で、輸入原材料を多用している会社は閉鎖し、またPMAはベトナムや中国にリロケした。一方、テクノロジー集約産業やローカルコンテンツシェアの高い会社はまだ健全な経営状態を維持しているところが多い。食品やタバコ産業はそのカテゴリーに入っている。「労働者の賃金は会社にまかせてほしい。高技能保有者は必ず高い賃金を得ている。あらゆるセクターの賃金を一律にするような考えは決して合理的ではない。」同副会長はそう要請している。


「石油燃料値上げに対する救済パッケージ」(2005年10月3日)
政府は9月30日に石油燃料新価格を発表したが、それと同時に一般消費者向けおよび産業界向けの恩典政策をあわせて発表した。その内容はまず、一般貧困家庭1,550万世帯への補助金直接支給で、総額4.6兆ルピアが計上されている。税務上のインセンティブとしては、所得税非課税限度月額100万ルピアから110万ルピアへの引き上げと農産品のPPN非課税で、これは2006年1月からの実施。米作農家へのインセンティブは、もみ米政府買上げ価格の見直しと補助金直接支給の検討。
重機類製造業界への免税措置とコンバーターキット輸入関税免除。陸上貨物運送業界への、車両計量ブリッジを現状の170ヶ所から64ヶ所に減少させ、また地方自治体の運送にかかわる36法規取り消し措置を早める、などといったものになっている。


「都内公共バス料金値上げが決まる」(2005年10月05日)
石油燃料値上げの結果、都内公共バス料金改定が平均38%の値上がりで決定された。燃料費値上がり後、公共運送事業者は陸運協会を通じて公共料金値上げを都庁に申請し、都庁はそれをまとめて都議会にはかっていた。都議会第C委員会は、最終的に都内の公共バス料金改定をしたのように了承した。
種別 / 旧料金 / 新料金 / アップ率
大型普通バス / 1,200 / 1,900 / 58%
特急バス(PATAS) / 1,600 / 2,000 / 25%
中型バス(KOPAJA, Metro Mini) / 1,400 / 2,000 / 42%
ミクロレッ(小型乗合) / 1,900 / 2,400 / 26%
学生料金 / 500 / 700 /40%


「労働界は30%賃上げを要求」(2005年10月6日)
石油燃料大幅値上げの影響で、適正生活需要に基づく勤労者賃金は最低30%の引き上げが必要だ、と全国労組連合が表明した。バンバン・ウィラヨソ全国労連議長は、運輸セクターの値上げは30〜70%に達し、生活基幹物資も大きい値上がりを示しているのを見るにつけ、最低30%の賃上げは当然と思われる、と語った。だからといって、これは百%賃上げを要求しないという保証ではない、との談。新賃金は、勤労者がハリラヤボーナスを10月後半に支給されることを考えれば、公共運送機関のように今すぐというほど切羽詰ったものでもなく、2006年1月からの実施という線は十分納得できるものだ、とも同議長は譲歩している。
10月1日の石油燃料値上げを産業界が賃金据え置きの口実に使おうとしていることについて、政府は絶対に賃金据え置き、ハリラヤボーナス支給延期をかれらに許してはならない、と要請している。


「バンドンの繊維業界はルバラン後に大量解雇」(2005年10月7日)
イドゥルフィトリが終わった頃に、バンドンの繊維業界や衣料品販売業界で26万8千人の解雇が起こりそうだとバンドン市労働局長が語った。
石油燃料値上がりの影響は、燃料コストが製造コストの60%にのぼる繊維業界に大きい打撃を与えることになる。しかし今のところ、イドゥルフィトリ需要のおかげで繊維業界はまだ生き延びていられるが、その季節需要が終わればハイコストのバランスを取るために人員整理は避けられない。
同じことはバンドン市内に散らばるファクトリーアウトレットにも言える。
イドゥルフィトリまでは高レベルの販売が続くだろうが、そのあとは売れなくなり、人減らしをせざるを得なくなる。繊維と繊維品製造産業では15%、ファクトリーアウトレットは5%が人員整理の対象となりそうで、総数は268,179人となる、と市労働局長は述べている。
そんな成り行きは、最近の労使問題に関する訴え件数が増加している事態からも推察される。訴えられている問題の内容はさまざまで、残業代や退職金の不払い、労働時間短縮、一方的解雇などがあがっている。


「都庁が来年の最低賃金検討を開始」(2005年10月10日)
都庁労働局は2006年度の最低賃金検討作業を開始した。
新最低賃金は2006年1月から適用されるが、新最低賃金適用保留を申請したい会社は11月以降、申し出てかまわない、とアリ・ズベイル労働局長は語る。
「保留申請をする会社は公認会計士の監査を受けなければならない。監査費用は申請者が自分で負担する。小規模会社は監査を受けなくてよいが、最新二年間の財務報告書を提出しなければならない。新最低賃金適用能力がない会社は保留申請ができるが、保留は四ヶ月間のみであり、それを過ぎれば新最低賃金を支払わなければならない。」との談。
ファウジ・ボウォ副都知事は、新最低賃金の検討を賃金評議会が開始した、と語る。
きわめて多種多様な要素が織り込まれなければならず、そして利害の対立する労使間での調整もからむために、最低賃金決定は一筋縄では行かない。政府はその両者の要求を調整しなければならない。」との弁。いまジャカルタには2万5千の会社があり、250万人を雇用しているが、石油燃料値上げの影響から人員整理予定を報告してきている会社はまだない、とのこと。
一方都議会は都庁に対し、来年の最低賃金は適正生活需要に合わせて決定するように、との要望を出した。今年の適正生活需要はRp 759,953ルピアであり、最低賃金よりほぼ5万ルピア高い。


「ボゴール県で賃上げ要求陳情」(2005年10月11日)
ボゴール県議会に対しボゴール県国民労組(Serikat Pekerja Nasional)に所属するおよそ百人の労働者が賃上げ要求を行った。次のボゴール県最低賃金決定に際して勤労者の要求をインプットするのがその狙い。
「実業界は石油燃料値上げを賃金据え置きやハリラヤボーナス支給延期の口実に使っているが、石油燃料値上げは勤労者の経済生活にも大きい影響を与えている。だからそれを事業主が人員合理化や操業停止の口実に使うのは不公平だ。ましてや、それらが労組との協議なしに一方的に行われる場合はなおさらだ。」と国民労組ボゴール県支部長は述べている。
「労働者の生活を保証するために、2006年の最低賃金は適正生活需要サーベイ結果の数値を百%満たす必要がある。その適正生活需要はさらに2006年1月までのインフレ率を加味した調整幅を30%持たせる必要がある。中央統計庁にはただちに適正生活需要サーベイを開始してもらいたい。いまは明らかにバンドン、ブカシ、ジャカルタに比べてボゴールの賃金は大きい格差を持っている。」同支部長そのように語っている。ボゴール県の最低賃金はいま656,500ルピアだが、バンドンはサーベイ結果に基づいて2006年の最低賃金を788,280ルピアに引き上げた。
ブカシは別の基準を持っており、ジャカルタの最低賃金から1千ルピアさげたものを自動的に最低賃金にしている。


「バタム島では年内いっぱい従業員解雇なし」(2005年10月12日)
10月1日の石油燃料大幅引き上げ以後のバタムでは、事業主による従業員解雇はまだ起こっていない。Apindo(インドネシア事業者協会)バタム支部が会員企業に呼びかけた、この先三ヶ月間は従業員解雇を行わない、とのスローガンを破る企業はまだないようだ。
バタム市労働局労使関係次局長は、公的従業員解雇報告はまだひとつも報告されていない、と裏書している。しかし情報によれば、バタムセンターやバトゥアンパル工業団地では、外資系企業で何件か従業員解雇が起こっているとも言われている。バタムのある労働運動活動家は、バトゥアンパルの地元企業が合理化を名目に45人を解雇したとも語っている。
一方、インドネシア金属労連バタム支部長は、10月1日以降で解雇が行われたとの報告をしている労組はまだない、と述べている。


「10月27日までにハリラヤボーナスを支給せよ」(2005年10月14日)
ハリラヤボーナスは遅くともイドゥルフィトリの一週間前に支払うように、と労働大臣が警告した。
すべての事業主は法令遵守をまっとうしなければならず、その規定を守り、決して従業員にデモやストを起こさせないようにしなければならない、との談。「希望はそうであるが、すべての事業主がそれを行える状況にあるとは限らないことを労働省は理解しており、あるいは支払いが遅れるどころが、支払いそのものに対する能力のない事業主もいるにちがいない。そのようなケースについては、労働省への届出を怠らないようにするとともに、事業主は従業員にその理由を説明しなければならない。」ファハミ・イドリス労相はそのように語っている。
ところで、最低賃金検討が各地で始まっているが、地方自治体はできるかぎり労働者と事業主間の二者間協議に結論をゆだね、その結論をオーソライズするという機能にとどまるように、とムスニ・タンブサイ労使関係育成総局長が語った。「適正生活需要に関する労相令第17号の施行は、能力のある会社は今すぐにでも適正生活需要ベース賃金に切り替えるように、ということを意味している。最低賃金とは、適正生活需要ベース賃金以上のものを支給できない会社が最低限支払わなければならない規準である。」との総局長の談。
金属労連バタム支部は2006年のバタム市最低賃金について、2005年の635,500ルピアから70%アップした1,059,000ルピアとなるよう要求している。その数字はバタム金属労連がしばらく前に行った適正需要サーベイ結果を反映するもの。2004年には適正生活需要が728,000であったが、事業者側が5.45%のアップを強く主張したために現行最低賃金の数字が決まっている。


「石油消費が34%減」(2005年10月14日)
今年10月1日以降の石油燃料消費は大幅な減少を示している。もっとも大幅に減少している油種はプレミウムガソリンで、値上がり前の一日5万5千キロリットルから3万2千キロ台に低下している。国内需要が一日3万7千キロリットルとされているのに比べても、今の消費量はきわめて少ない。軽油やその他の油種はプレミウムガソリンほど激しい減少を見せていないが、国内備蓄は十分確保されており、石油燃料全体で見るなら、平常期には一日18万5千キロリットルあった消費量は、いま12万2千キロリットルしかなく、値上がり直前のラッシュ時に一日20万キロリットルに達したのを思えば、ほぼ半減状態。プルタミナはこの状況を考慮して、予定されている石油輸入を先延ばしできるものはそのようにする計画であり、10月に輸入が予定されていたタンカー15隻分の灯油、軽油、プレミウムガソリンの一部を11月まで延期するように変更中。
プルタミナが広報したところでは、すでに3隻分の輸入が終わっており、シンガポールからこれから輸入される予定の12隻のうち7隻が11月に繰り延べられるとのこと。ペトラル社を含めて長期購入契約下でのデリバリー分は繰り延べに大きい支障はないが、スポット市場で買い付けられたものは計画通りに受け入れざるを得ないとも説明している。このため12月の石油燃料供給計画中、輸入ポーションはかなり減少するものと見られている。プルタミナは毎月1千万バレルの石油燃料と国内製油所で精製するために1千2百万バレルの原油を輸入しているが、値上がり前には膨れ上がった需要に応えるために1千7百万バレルの石油燃料が輸入されている。今月も当初計画では1千5百万バレルが輸入されることになっていた。


「バンテン州で賃上げ要求陳情」(2005年10月14日)
バンテン州セランで、国民労組所属の数百人のデモ隊が州庁に最低賃金37%アップの要求を掲げて陳情行動を行った。2004年10月29日付けバンテン州知事令第561/Kep-246-Huk/2004号で、州最低賃金は585,000ルピア、県市最低賃金はセラン690,000ルピア、チレゴン713,000ルピア、タングラン693,000ルピアとなっている。バンテン州国民労組事務局長は、石油燃料値上がり後、諸物価は平均37%上昇しているので、われわれも37%の賃上げを要求する、と語っている。賃上げのほかに、石油燃料値上げを理由にした従業員解雇が行われないよう事業者を監督すること、また実業界を対象にした不法徴収金を撲滅することなどもあわせて要求している。


「バタムの事業主は従業員にインセンティブを支給せよ」(2005年10月15日)
全国金属労連バタム支部執行部はバタム市長に対し、石油燃料値上げの影響に対処するためのインセンティブを従業員に与え、また人員整理は行わないように事業主に呼びかけるように要請する文書を提出した。ヤディ・ムリヤディ執行部委員長は、交通費をはじめ食品などの生活基幹物資値上がりは大きいものがあり、勤労者の生活需要に強い影響を与えているため、燃料値上がりに比例した新交通料金を早急に定めて公共運送従事者の負担を軽減するとともに、運送サービス利用者である勤労者に対する収入確保に努めるよう、市当局は速やかに行動を起こさなければならない、と述べている。
同労連では外資系企業内労組に対して、誘導的労使関係を維持しながらも諸物価高騰に対応するための交通費食費手当ての調整を早急に雇用者側と協議するよう指示している。


「首都の最低賃金は69%アップ」(2005年10月17日)
1,203,015ルピアを2006年の最低賃金にするよう要求することを首都の労働界が決議した。10月15日に首都の17労連が合同で決議したこの最低賃金は、今年8月9月に都内の7ヶ所のパサルで行われた適正生活需要サーベイ結果である1,102,020ルピアに今年10月から12月までの予想インフレ率を加味したもので、2005年の最低賃金からは69%の上昇となる。セクター別最低賃金は地域別最低賃金より5%高いものとされてきているため、これまでセクター別最低賃金が決められていた業種はさらに5%が上乗せされるものと期待されている。
労働界からのこの要求を前にして都議会第D委員会のダニ・アンワル議長は、10月1日の石油燃料大幅値上げの影響で諸物価が高騰しており、勤労者・労働者の生活を守るためには今すぐにでも最低賃金が引き上げられるべきだ、とコメントする。「最低賃金変更を年度代わりまで待つか、それとも今すぐに行うかは、政府の同意を得なければならないが、今現在、都議会での分析検討はまだ始まっていない。」と同議長は述べている。


「インドネシアの事業開始手続き所要日数は180日」(2005年10月19日)
今年4月から6月にかけて、イ_ア大学社会経済調査院が調べた会社設立プロセスの所要日数は151日で、タイ33日、マレーシア30日、中国41日、フィリピン50日、オーストラリア2日、シンガポール6日、ベトナム56日に比べてけた違いの長さだと最悪評価が出されていたが、実はその中にセクター別地域別の許認可やBKPMの投資認可は含まれておらず、更に環境保全許可、建築許可、立地許可、基本許可、汚染対策許可、労働安全許可などを加えていけば、あの151日という日数は180日になる、と同院インフラ地域担当デピュティが明らかにした。
これについて行政機構活性化担当国務相代理は、地方自治体のマインドセットを変えなければならない、と述べている。「地方自治体の行政官は、投資や事業の許認可をいまだに地元収入確保の狩場と見なしている。だからそれを改善して、許認可手続きを早く経済的に済ませるという発想が出てこない。これがいつまでも継続するなら、失業者減など期待すべくもない。」地方自治体が、公私にわたって懐を肥やしたいとして許認可手続きを長引かせ、またさまざまな難題を吹きかけて公式非公式の金を手中にするやりかたは過去から連綿と続けられてきている。
実業界は、許認可にまつわる裏金があまりにも多く、それがインドネシア産業の競争力を削いでおり、このため産業界と行政機構活性化担当国務省が協力し、同省はKKN絶滅にために飴と鞭を使い分けて地方行政を正していかなければならない、とコメントしている。


「記録済み光学ディスク輸入に制限」(2005年10月24日)
知的財産権侵害でも世界のトップクラスに入っているインドネシアは、アメリカ政府の特別ウオッチリストに他の11カ国と共に名を連ねており、通商や外交面で折に触れて厳しい対応を受けているため、政府はその状況を改善することを目的に、光学ディスクの製造と流通に関する法規をすでに制定した。インドネシアはまた海賊版ディスク生産国にもなっており、政府は不法複製製造者および都内グロドッやマンガドゥアなどの市場で営業している不法複製品販売者に対するスウィーピングを頻繁に行って汚名挽回に努めている。それら国内での取締まりと共に、水際での取締りも欠かせないものであるため、VCD,DVD,CD,CD−ROMなどの記録済み光学ディスク輸入に関して、政府が承認した登録輸入者だけに輸入を行わせる制限措置の準備が進められている。従来この品目は輸入者制限対象外だったが、上の法規によって制限されることが定められている。
法務省知的財産権総局は今般、登録輸入者候補として31社を商業省に推薦した。この31社は、登録輸入者になることを希望する民間業者から厳しい規準の審査と評価をパスした者が選択されているが、登録輸入者ライセンスを得るためには更に商業省が持つ規準に合格しなければならず、推薦された31社が最終ゴールに到達できるかどうかはまだわからない。知的財産権総局は、登録希望者に制限は設けず、来る者は一切拒まず、しかし厳しい審査で厳選したと説明している。最終的に商業省からライセンスを得る登録輸入者は、合法的光学ディスクだけを輸入することを声明しなければならず、それに違反すれば処罰が待ち受けている。この輸入者制限によって政府当局は、輸入者が実体を持つ会社であることが確認でき、違法複製記録済み光学ディスクの流通監視が容易になり、市場で非合法品が発見された場合の追跡に効果があがるものと期待している。


「コンパス紙への投書から」(2005年10月25日)
拝啓、編集部殿。当方は専門技術アイテム商品ディストリビューターで、あるときかなりの量を受注しました。商品納入に中型トラックを使わなければならないほどの量です。納入日が来て、いざブカシ県チビトンにあるMM2100工業団地内の会社に納入しようとしたとき、いったい何が起こったかというと、同工業団地内のごろつきが警護費用と称して要求する金の交渉に直面することになったのです。発注会社の協力を得たとはいうものの、延々と時間を取られてしまい、結果的に商品納入は数日の遅延を見ることになりました。
納入は工場渡しなので、運送トラック料金は当方負担ですが、それに加えて警護と荷下ろし費用として30万ルピアも当方の負担するところとなりました。このレフォルマシ時代に、そのような不法徴収金・ごろつき行為がいまだに存在していることが不思議でなりません。物品納入者を保護するべき立場にある工業団地警備員はいったいどこへ行っているのでしょうか?今のこの時代に無料のものなんか何もないことは当方も理解していますが、あまりにも不自然なものは納得しようがありません。
このようなことが放置されれば、インドネシア産業の競争力は失われ、ハイコスト経済を生み、最終的に工業団地で操業しているインベスターが一社また一社と撤退して行くことが懸念されます。ディストリビューターである当方にしてみれば、そのような不測の経費を慮って販売価格の中に織り込まなければならず、そんなことをすれば当方の販売価格が競争力を失います。MM2100工業団地運営者の対応をお願いしたいと考えます。[ 東ジャカルタ在住、マクスミリアン・マガ ]


「コンパス紙への投書から」(2005年10月26日)
拝啓、編集部殿。マクスミリアン・マガ氏の投書にコメントしたいと存じます。今後、ブカシ県西チカランのMM2100工業団地内で問題に直面したなら、いつでも工業団地運営者に電話してください。電話番号(021)8981001、またはカスタマーサービス89982100、もしくはMM2100工業団地警察詰所、電話(021)68244094です。 ごろつき行為はもう決して起こらないことを当方が保証します。マクスミリアンさんには、いつ、どの会社に関連してその事件があったのかを当方に連絡するようお願いします。事件を明確に把握し、今後の参考とするためです。
MM2100でのごろつき行為はここ二年間で、特に国警長官がごろつき・賭博・麻薬の撲滅指令を出したおかげで、減少しています。MM2100工業団地でのごろつき行為を百パーセント無くすことは、団地入居企業のベンダーやサプライヤーをはじめ、すべての関係者がごろつき行為に機会を与えないように相互支援と一致協力することなしには実現しません。[ MM2100工業団地運営会社カスタマーサービス係り、エニン・アスティティ ]


「デポッ市で最低賃金引き上げ要求のデモ」(2005年10月28日)
およそ1千人のデポッで働く勤労者が、2006年のデポッ市最低賃金を月額1,203,015ルピアに設定するよう要求してマルゴンダ通りをデモ行進し、そのあとデポッ市庁を訪れて要求を突きつけた。
デポッ労働者勤労者同盟所属を標榜する1千人ほどのデモ隊は26日午前10時からおよそ5キロにわたってデモ行進を行い、デポッ市庁で市長や労働局長など産業労働問題当局者に面会を求めたが、市長は不在のため市長代理ならびに局長レベルとの話し合いに終わった。要求内容は、適正生活需要に関する2005年労働大臣令第17/Men/2005号反対、石油燃料値上げ反対、電力料金値上げ予定反対、最低賃金を今の681,200ルピアから1,203,015ルピアに引き上げもしくは隣接する首都ジャカルタと同一最低賃金とすること、セクター別最低賃金を設けることなど。
この日の陳情は労働界からの一方的な要求提示におわったが、デモ隊代表者は市長不在をはじめ、不満な会見だった、と述べている。


「バタムの正社員は十人にひとり」(2005年10月29日)
バタム島で働いているおよそ18万人のフォーマルセクター勤労者中90%が契約労働者であり、正社員雇用者はわずか10%しかいないことを人材開発業界者が警告している。
それによれば、島内ほとんどすべての外資系民族系企業に労働力を契約社員として使う現象が見られ、これはその地区での人的資源のクオリティがいかに低いかということを示すインディケーターでもあり、バタムの労働市場のそんな状況は避けることが難しく、一方企業の多くは労働力の自社雇用を避けて安全な道を選択する傾向が高い、とのこと。労働法では二年間の契約と一年間の延長というパターンが認められているが、中には受注の季節変動にあわせて三ヶ月間だけの契約を行う会社もある。
これは労働者の人材育成と質的向上をきわめて困難にするものであり、長期にわたる質的クオリティ向上の障害となるだけでなく、労働者自身も断続的で生活保証のない境遇にあるために長期的生活設計を立てるのが難しい。バタム島の特徴は、シンガポールとの地理的関係をベースにした、外国からの注文に応じるための組立て工場が主流を占めるフットルーズ産業であり、その意味で今のバタムの状況は企業側に合目的的ではあるが、労働者に対する福祉という面での労働政策に何らかの手が打たれる必要がある、とコメントしている。


「国会が改定税法案の問題点を指摘」(2005年10月31日)
国会税法案審議特別委員会は、政府から提出された改定税法案の内容審査を終えて、いくつかの問題点を公表した。パスカ・スゼッタ同委員会議長は、税制と一般規定に関する法案の5点、所得税に関する法案の4点、PPNに関する法案の1点、合計10ポイントは修正されなければならない、としている。この修正で改定税法案が大幅に変更されることは大いにありうるものと見られている。
最初に問題視されたのは、税務調査官にあまりにも大きい権限が与えられることで、税務違反容疑を受けた納税者の銀行やノンバンクの口座凍結を求める権限を持つというもの。これは調査官個人の抱いた疑惑に基づいて個人法人の口座が凍結できることを意味しており、納税者の経済活動を倒産・破産に至らしめる可能性が高く、悪徳調査官の私利のために悪用されるリスクが大きいことから、この条項は完全に削除されなければならない、との見解を同委員会は示している。
次の問題は所得税納税申告に個人の生活費を申告させる義務付けに関するもので、それが所得税計算での控除対象に使えるわけでもなく、また個人が細かい出費をいちいち帳簿付けしているわけでもないため、このような義務付けはないほうがよい、と提案している。
きわめてアンフェアな条項は、納税者が過剰納税したばあいに、税金還付を申請するさい、その申請が承認されれば百%の罰金を納めさせるというもの。過剰納税を返してもらうのは納税者の当然の権利であり、それに罰金を科すのは不自然であると批判している。また納税不足についても、国税総局は一方的に追徴決定書を送りつけて罰金百%を科すが、罰金百%は大きすぎるのに加えて、このような規定を国税側は納税者が請求をしたりしないよう抑え込むための威嚇の手段に使うことができる、とコメントしている。
もうひとつ納税者の権利が保護されていない条項として、国税側の納税額決定に不服がある場合、請求額を全額納めなければ裁判所への訴えができない制度になっていることが取り上げられた。これは上訴のさいの請求不足額50%納税と同じで、国税総局悪徳職員が好き勝手に巨額の追徴決定書を納税者に送り付けてくるというリスクを持続的に抱えることになり、納税者を税務職員の搾取から保護しない規定である、との見解。
そのほか、ホールディングカンパニーへの二重課税防止、一親等間での贈与に対する所得税課税の削除、税額計算から控除できる広告宣伝費の明確な定義、NPWPを持たない納税者への保護、などについても、改定税法案内での修正が求められている。


「改定税法案批判に物申す」(2005年11月1日)
各界から噴出している改定税法案への批判に対して、ハディ・プルノモ国税総局長が国政の屋台骨である徴税実行者としての立場から果敢にその批判への応酬をこころみた。下はその一問一答。
問: 怠慢によるミスでさえ三ヶ月以上の入獄だと威嚇されており、国税総局長は横暴だとの批判がある。
答: 税法の中で納税者のミスは二つに分類されている。実務上でのミスと、怠慢もしくは故意に納税義務を果たさないミスだ。実務上のミスに対して納税者は金利・罰金・税額追加などの管理制裁が与えられる。一方、怠慢もしくは故意の納税義務回避には刑事罰が与えられる。刑事罰は税務関係者からでなく、法廷で判事の判決として与えられるものだ。この規定は1984年にはじめて税制改革が行われたとき以来存在しているものであり、なんで今になってみんな騒いでいるのか?
問: 税務調査について、国税総局が過去の納税行為に対する調査権を持つということに不服なひとがいる。現行税法とどうちがっているのか?
答: 納税申告が毎年調査されるわけではない。だから国税総局は過去の納税について調査する権限を持つ。現行税法では、国税総局は10年前までさかのぼって不足納税確定書(Surat Ketetapan Pajak Kurang Bayar)を発行することができる。つまり時効は10年だ。改定税法案ではそれが5年になっている。
問: 古典的な質問だが、納税者が不服あるいは上訴プロセスの中でさえ、国税側は納税者を追い掛け回す。どうしてか?
答: 世界中どこの国でも税法はたいてい、不服や上訴のプロセスが納税請求の延期を認めるようにはなっていない。これは、公職者の決定はそれと反対の決定が下されるまでは正しいという原理にもとづくコンセプトだ。納税額が納税者の計算に従わなければならないとすれば、いくつかの帰結が生じる。まず年次納税申告書は、不服や上訴の結果を示す判決が出されるまで、その内容は正しいことになる。すると納税者は判決が下りるまで納税しない。税務調査の中で納税者は常に自分が正しいことを言い張るようになる。二つ目に、納税者はみんな過剰納税を言い立てるようになるかもしれない。税務調査をしてそれが間違っていることが判明してもだ。三つ目、国税総局の監督機能が効果を持たなくなる。最後に国庫への税収が無くなってしまう。
問: 不服プロセスの中で出された新しいデータは考慮されないという改定税法案内の条項を商工会議所も問題にしている。法的根拠は何か?
答: 法的根拠と言われれば、改定税法案が可決したとき新税法がその根拠になる。考え方の基盤はこういうことだ。年次納税申告書が提出されたとき、納税者の帳簿はすでに完結し、証憑が完備されているはずだ。税務調査のときになんでそれを提出しないのか?それとも証憑などなかったのか?ところが時の流れの中で、不服プロセス中に突然証憑が出てきたとでも言うのか?Time goes by, so slowly, and time can do so much.
問: 税務職員は本人の主観的な疑惑をベースに書類を封印できるので、専横なことができる。これについては?
答: その表現は不完全だ。正しいのは、納税者が第29条3項の義務を果たさない場合、国税総局長が帳簿を保管している特定の場所やスペース、動産不動産、等々を封印する権限を持つというものだ。納税者が帳簿や書類を見せる義務を果たすなら、いったい何のために封印しなきゃならないのか?
問: 調査官が納税者の銀行口座を凍結できるという問題は?
答: 納税者が税務上の刑事犯罪行為を行っていることを証明するためには、証拠が必要になる。まず、観察し、税務上の犯罪行為を示す導入証拠の報告があってはじめて捜査が開始される。納税者の銀行口座凍結に税務上の犯罪行為実施が立証されるのを待っていると、口座にある金がなくなってしまう。下級法廷、上訴、上告、見直しまで、法的プロセスはとても長いから。
問: 税務調査の時効10年が5年に短縮されたのに、納税者が税務上あるいは他の犯罪行為を行った場合は時効が保留されるのはどうしてか?
答: 国税総局に権限があるのは税務上の犯罪行為捜査だ。一方他の犯罪、たとえば納税書偽造など国庫収入に損失を及ぼすものでも、国税総局の権限外になっている。しかし納税書偽造は本来納税者が納めるべき金額を減少させるため、国税総局は金利48%を管理制裁として不足納税確定書を発行する。


「来年の首都最低賃金は819,100ルピア」(2005年11月2日)
2006年の最低賃金を検討している都庁賃金評議会は、労働界と実業界との間のあまりにもかけ離れた金額の調整をすすめてきたが、結局11月1日に行われた都庁・労働界・実業界の三者協議で、2006年1月から適用される首都の最低賃金は819,100ルピアという結論に落ち着いた。首都圏の労働界が要求していた月額Rp1,203,015 はまた遠のいた格好で、反対に今の711,843ルピアからは815,000に引き上げるのが精一杯だと強く主張していた事業者協会(Apindo)もその線まで譲歩した形。労働者側は、最低賃金は少なくとも最低生活需要を満たして欲しいとして890,000ルピアの線を要求したものの、労働省が公認した首都の適正生活需要は831,336ルピアであり、今年も最低賃金が適正生活需要を満たすのはまだむりだとの結論となった。都内には350の大中小規模事業所が散在して350万人を雇用しており、最低賃金支払い能力のない事業所は2006年1月1日から10日前までに届け出ると3月までは新賃金適用が免除されるが、従業員との合意が必要。ただし雇用が1千人を超える大規模会社は公認会計士の監査を受けなければならない。
都議会はこの決定について、15%というアップ率はいまの諸物価高騰の中では小さいように思われるが、行政側も民間の投資誘致や現存事業所の移転防止などを考慮しなければならず、首都の実態を反映したものではないだろうかと述べて、強硬姿勢を示していない。
セクター別最低賃金は行政が関与しない労使二者間協議で決められるものであるため、都庁はその話し合いには一切口を出さない、としている。例年セクター別最低賃金は地域別最低賃金より5%以上高いものという慣例になっており、都庁も都議会もその方向で労使間合意がなされることを期待している。


「どうしてかれらは失敗したか?(ケース1)」(2005年11月4日)
大学時代から意気投合していた三人の仲間は、一緒に事業を興そうと以前から話し合っていた。卒業後三人は情報技術コンサルタントの会社を始めた。仲間の一人の自宅に使っていないガレージがあったので、そこに事務所を開いた。そしてそれぞれが、机や椅子、コンピュータや電話機などを持ち寄って、事務所の体裁を整えた。仲間の一人に事業家のおじさんがいて、その会社の情報システムを手直ししてくれという注文が程なく入った。続いて、スポーツセンターからスケジュール編成システムの相談が入る。三人は相談しながら仕事を分担して精力的にそれらの注文に応えていった。こうして、三人が始めた事業の将来はバラ色に染まっているように見えたが・・・・・
それから三年経たないうちに、三人の事業は空中分解してしまった。決して注文がなくなったわけでもなく、三人の誰かが問題を起こしたのでもないのだが。ではなぜそんな結末に到ったのだろう?それは三人が単に仲間意識で結ばれていただけだったからだ。この三人は性格も能力も考え方も生活習慣もさまざまで、事業という切り口から選抜された人間ではなかったのだ。三人がその事業に対して持っていたビジョンは同一だっただろうか?三人は互いに足りない部分を補い合いながら、事業継続を最優先しようという決意を共通に持っていただろうか?三人の仲間意識の中に、自己犠牲やアンカー意識はどれだけ強かっただろうか?
事業が空中分解したとき、三人の仲間意識も色あせていったことが、かれらの失敗の原因を説明しているように思われる。この三人は一隻のボートに乗って、川に漕ぎ出していったようなものだ。目的地をどこに選ぶかについて、三人の間で徹底的な議論がなされなかったのは、かれらがまだ若かったせいかもしれない。最初はみんな、精一杯まじめに仕事に立ち向かった。三人が一生懸命ボートを漕ぐから、ボートはすべるように走る。中のひとりが、鼻の頭がかゆいので、漕ぐ手を止めた。そして鼻を掻きながら思った。「オレがあんなにしゃかりきに漕がなくても、ボートは進んでるじゃないか。」かれの手から力が抜けた。
別のひとりは漕ぐ手を緩めないものの、目はきょろきょろと落ち着かない。かれは自分が到達したい地点を明確に意識していたが、それはほかの仲間の希望とはちがっていた。ボートがそこに向かっていないことが明らかになると、かれは通りかかった別のボートがそこへ行こうとしているのを見て、そちらへ飛び移ってしまった。会社の中でかれのような人間は、往々にして上からの信頼を得、かなり中枢的な機能をまかされているケースが多い。そして突然、「明日からもう来ません。」と宣言して別の会社へ移って行く。部下にそんな人間を持った上司はたいへんだ。
もうひとりのほうは、気のよい、仲間を大事にする人間だが、きっとあまりにも育ちが良すぎたのだろう。かれの半生にはチャレンジと呼べるようなものはいまだかつてなく、言い換えれば職業に関連したところでの人生の夢や希望、あるいは目的といったものに欠けていた。かれがボートに乗ったのは、仲間と一緒にやっていきたいという、成り行きの色彩が強かった。会社の中にもかれのような人間は少なくない。毎日会社へきちんきちんとやってきて、与えられた仕事を果たしてはいるが、仕事に対する責任感つまり自分の業績への欲があるようには見えないというタイプ。かれにとって自分の仕事が部門の業績にどう関わっているか、ましてや会社の業績が良いのやら悪いのやら、そんなことには関心がなく、それどころか、自分がクビになるかならないかという修羅場ですら、かれの姿勢は投げやりに見られる。
明確な目的を持つ組織は、きわめて合目的的なメンバーをそろえなければならず、そのための人材選抜が欠かせない。ところが非合目的的なメンバーグループが、プレーヤーどころかマネージメントに就いた場合、その将来は頼りない。ファミリービジネスもメンバーの選抜が行われにくいというところに発展の限界があるにちがいない。


「国をあげての長期休みに不満の声」(2005年11月5日)
中央銀行が11月2日から8日まで完全に業務を停止することに対して、実業界から不満の声があがっている。国内有力企業PT Indofood Sukses Makmur のフランシスカス・ウェリラン副社長は、イ_ア銀はクリアリング活動の窓の一部を開いておくべきだ、と語る。
「イドゥルフィトリの長期休暇に入っても、非コンピュータライズサービスを必要としている一部の国民がいる。国際社会が一斉にその間休みになるわけでもない。つまりビジネスはその間も回転しているということだ。銀行セクターが8日間も休むという方針は、国家的非効率を生む。その期間に支払い期日がくる債務は、クリアリングができないために支払い遅れとなり、金利負担が生じる。国際ビジネスを行っている企業は国際クリアリングサービスをたいへん必要としているのだ。ルバラン休み中、あらゆるビジネス活動が休止するわけではない。カキリマ商人は丁度そのルバランがかきいれどきになっている。」と同副社長は説明する。
昨年も実業界はこの問題についてイ_ア銀行に申し入れ、国会もそれに口添えをしたが、今年も何の変化も見られなかった。長期休暇であってもイ_ア銀行はシフト方式を取って外貨クリアリングの窓を開けておくことが可能なのに、なぜそれをしようとしないのか、と同副社長は不満を訴える。
APINDOのジマント事務局長は、世界中でイドゥルフィトリは祝われるが、8日間という長いイドゥルフィトリ休暇を取って仕事を閉めてしまうのはインドネシアだけだ、と語る。「政府は連続休日や一斉休暇などをまとめて長い休みにする方針を廃止するべきだ。企業業績にとって何も良いことはない。ましてや、イドゥルフィトリにせよクリスマスにせよ、国際ビジネスに影響を及ぼすようなことでは困る。」と政府の反ビジネスポリシーを批判している。
イ_ア銀行は11月2日から8日まで、クリアリングを含むすべての業務を停止する、との回状を出しており、クリアリングが再開されるのは11月10日で、国内のすべての銀行は自動的に中央銀行の業務開閉に従っている。


「西ジャワ州2006年最低賃金」(2005年11月7日)
西ジャワ州2006年最低賃金が、2005年の408,260ルピアから11%アップした447,654ルピアと定められたが、その決定プロセスは疑わしい、と全国労働者連盟(SPN)のバンバン・ウィラヨソ委員長が疑念を表明した。バンドン県やボゴール県がまだ最低賃金を決めていないときに、市別最低賃金のもっとも低いものを参照して定められる州最低賃金が決められること自体、その決定手続きが正しく踏まれていないことを意味しているのではないか、との同委員長の談。「ダニー・スティアワン西ジャワ州知事が下した決定は、行政と実業界、そして労働者の本心を理解しないで政府のハンコ係になった労組代表者のなれあいの結果だ。最低賃金は適正生活需要に近付かなければならないが、石油燃料大幅値上げが行われたあとで適正生活需要の再調査を行った各地区賃金評議会はないようだ。それでは最新の適正生活需要が反映された最低賃金にならない。州最低賃金が先に決められることは、スバンやバンドン県の農園経営者たちに不正の種を与えることになるのをわれわれは懸念している。州最低賃金が出た後でそれより高い地区最低賃金が定められても、かれらは州最低賃金しか払わないのだから。」同委員長はそう批判している。
一方西ジャワ州労働局は、手続きが正しく踏まれていないとの批判に反論する。「州内適正生活需要の低いチアミス県、バンジャル市、マジャレンカ県、スカブミ市、スカブミ県、クニガン県、チアンジュル県、チレボン県のデータを集めて検討した結果、その8地区中最も適正生活需要が低かったのはチレボン県だ。最新のサーベイ再実施も行ってある。一部の地区はたしかにまだ結果を提出してきていないが、提出済みのほうがはるかに多い。」と労働局長は述べて、州知事決定の合法性を強調している。


「外貨預金が大幅増」(2005年11月8日)
今年第三四半期に銀行界が集めた第三者資金は35.8兆ルピアにのぼった、とイ_ア銀行が報告した。ルピアレートの軟化に伴って、第三四半期の第三者資金は外貨預金が19%増加し、ルピア預金の増加は0.7%しかなかったことから、国民の資金は証券市場から金利の上昇した銀行界に、さらにルピア安で有利なオプションと見られた外貨に流れたものとイ_ア銀行は論評している。一方銀行ローンは37.9兆ルピアアップしたために、貸付金比率は65.7%から67.1%に上昇した。
オブザーバー界が懸念していた不良債権も7.9%から8.9%に上昇し、特に実業界からの回収悪化が顕著。銀行界の純資産利益は2.9%から2.8%に低下し、適正自己資本比率は19.5%から18.9%にダウンしているが、東南アジアではまだ高いレベルにある。しかしマクロ経済の先行き不安定から銀行界の業績悪化への不安が生じており、国内のルピア安が導く金利上昇とグローバルな金利上昇があいまって市場リスクが高まるだろうとイ_ア銀行は予見している。預貯金保証機関が去る9月22日に発足したのと同時に銀行間通貨市場保証金利が廃止されたが、銀行間資金流動性は安定している。


「南スマトラ州2006年最低賃金」(2005年11月11日)
全国労連(SPSI)南スマトラ州支部は、最低賃金を現状から27.7%アップして欲しいと表明したが、州賃金コミッションが提案しているアップ率は13.3%。数週間前に行われた賃金コミッション会議でコミッション側から出された提案が13.3%だったが、労働界はそれがあまりにも小さいアップ率であるために、州全体に適用されるべきものではない、として強い反対姿勢を表明し、まだ決着がついていない。南スマトラ州2005年のインフレ率は14%と予測されており、それにも満たないアップ率では、労働者の生活がますます困難になるだけで、妥当な生活から遠ざかるばかりだ、とSPSIは主張している。
「2005年の最低賃金が適正生活需要に対して99%の達成率になっていたことを考えれば、100%達成は難しいとしても、労働者が適正レベルに近い生活を営むために27.7%アップは絶対に必要である。だから53万ルピアから27.7%アップした653,349ルピアが次の最低賃金とされなければならない。」エディ・トゥランゴウSPSI南スマトラ支部長はそう述べている。
一方州賃金コミッションのエフェンディ・バフティアル委員長は、13.3%というアップ率は石油燃料値上げ後のインフレが考慮されていない、と言う。「9月までの全国のインフレは6%だったが、それが15%にも跳ね上がった。地方にその影響が出ないはずはない。ルバラン明けに賃金評議会会議が再開されることになっており、その会議の場で最新状況を煮詰めた話し合いが持たれることになる。実業界も労働界も一方が損をするという決着には絶対ならない。」と同委員長は語っている。


「欧米企業が南ジャカルタにオフィスを移転」(2005年11月14日)
テロリストの巣窟のひとつと欧米諸国から目されているインドネシアの首都ジャカルタは、爆弾テロの不安が絶えない場所。そんなジャカルタで働かなければならない駐在欧米人は、少なくとも会社やオフィスを極力テロリスクの小さいところに置きたいと思うのが人情。こうしてかれらは、都心部のビジネス地区から周辺部に、中でも南ジャカルタ地区にオフィスを移転する動きを進めている。もちろん検討要因はひとつだけではない。通勤時の渋滞も大きいファクターだし、なによりも賃貸料などの費用合理化が結論を左右するファクターにならないはずがない。
「かれらが注目しているエリアはTBシマトゥパン地区だ。」コールドウエルバンカーコマーシャルインドネシアのCEO、トム・グラシアノは語る。「今、南ジャカルタにオフィスを構えている企業は石油会社や情報技術関連の会社だが、今後は他業界も都心部からの移転が進むのではないか。」そうかれは予見している。TBシマトゥパン地区はジャカルタ外環状有料道路が通っていて、交通網インフラでは有利な位置にあり、また通信ラインも新たな接続がますます容易になっている。
家賃が高く,整備が行き届き、そこにオフィスを持つことでそれなりのステータスを入手できる都心部ビジネス地区がさびれることはありえないが、入居者は入れ替わっていく傾向がどうやらまた生まれているようだ。


「ブカシ県チカラン地区の市昇格構想」(2005年11月15日)
工業団地数で全国最大規模であるチカラン地区の地方自治体昇格をブカシ県が検討している。チカラン地区はブカシ県の三分の一の広さを占め、東西南北中央の5チカラン郡で構成されている。オルバ期以来全国屈指の商工業地区となったチカランは、住民人口、地域経済力などの面から、他の二級自治体と肩を並べてなんらおかしくない力を持っていることは疑いない。そのためブカシ県では、県開発企画庁に命じてチカラン地区自治体昇格検討を開始させた。県当局のラフな日程計画では、開発企画庁の検討は1年足らずで終了し、政治レベルでの検討を加えた後、問題がなければ三年以内にチカラン市として完全自治権を持つ地方自治体に昇格させたい、と考えている。チカラン地区はいまや、日本をはじめ海外からの事業投資先として、人気を集めている地区のひとつ。


「東ジャワ州2006年最低賃金」(2005年11月16日)
2006年の最低賃金について、東ジャワ州の30県市賃金コミッションは最高で20%アップの提案を州庁に提出している、と州労働局長が明らかにした。未提出なのはスラバヤ市、シドアルジョ県、モジョケルト県・市、パスルアン県・市、マラン県、バトゥ県。ところでスラバヤ市賃金コミッションは、当初予定されていた568,800ルピアに代えて、30%アップした71万5千ルピアを提案する予定だとささやかれているが、一部労働団体は100万から150万ルピアというレベルを頑強に主張している。州労働局は未提出の県市に対し、早急に州知事令の発行ができるよう、11月28日までに結論を提出するよう呼びかけている。


「バンドンで大規模デモ計画」(2005年11月17日)
全国労組(SPN)西ジャワ支部が来年の州最低賃金額に抗議して大規模デモを計画している。この計画は、135企業労組代表者が12日にバンドンで開かれた会議に集まった中で決定されたもの。同支部副支部長は、州政府が既に定めた447,654ルピアという最低賃金に対する労働界からの圧力を示すためのこのデモは14万5千人の全メンバーの50%が既に参加の意思表示をしている、と述べている。「労働者は石油燃料大幅値上げのために生活苦に陥っており、労働者の福祉を勝ち取るためのこのような行動は、賃金が適正生活需要を百パーセント満たすまで続けられる。」との副支部長の弁。
11月20日に実施が計画されているその大規模デモに関連してファハミ・イドリス労相は、会社の経営状況が従業員の給与アップに関して要求に応じるだけの能力を本当に持っているかどうかを、ストを行う前に検討しなければならない、とコメントした。「その検討は企業の存続維持に必要なことであり、事業リロケーションを防ぐためにも不可欠だ。会社が倒産するまでさまざまな要求を会社に求め続ければ、労働者も合理化という反撃をくらうことになる。最低賃金の規準を最低生活需要から適正生活需要に変更するためには条件が三つある。労働者の生産性が向上すること。会社の事業が発展すること。地元地域経済が興隆すること。それらが満たされれば、適正生活需要を会社が満たさない理由がなくなる。それらの要因とは無関係にただ賃金アップを要求しても、バランスの取れた良い結果は実現しない。かえって労働者の解雇あるいは会社の没落という結果に向かうだけだ。」労相はそのように述べている。


「今月末に全国スト」(2005年11月18日)
各地で2006年度最低賃金が続々と決まりつつあるが、その金額レベルの不満足さに抗議して、労働界は11月末に全国規模でストを行う予定にしている。全国勤労者労連(FSP)・全国労働者労連(FSB)は15日、ジャカルタに34団体からの代表者を集めて来年の賃金状況に関する会議を行い、そのきわめて不満足な状況に強い抗議姿勢を表明するため、今月終わりごろに広範囲にわたる大規模なストを行うことを決定した。来年の最低賃金決定プロセスの中で、賃金を低く抑えることを意図した適正生活需要数値の操作が行われていることに抗議し、労働界は各地方自治体で決定した2006年最低賃金額を拒否する、との声明が出されている。首都の最低賃金は819,100ルピアと決められたが、都知事はそれを904,138ルピアとするように、また首都を取り巻く隣接地区も首都と同じ金額にするように、と要求している。
事業者協会(APINDO)のジマント事務局長は労働界の要求について、石油燃料大幅値上げの影響による労働界の賃上げ要求は当然のものであるが、実業界は失業者を出さないためにも会社の存続を優先しなければならない、とコメントしている。「アピンドは会員会社に対して2006年の経費を10〜12%アップするようアドバイスした。ただし従業員の賃金給与については、各会員会社に百パーセントゆだねることにした。既に多くの事業主が従業員の食費・交通費をアップしている。」との事務局長の弁。
経済オブザーバーのウマル・ジュオロは、事業者にとってたいへん厳しい状況になっている、と語る。「石油燃料大幅値上げのためにコストが大きくアップしている。一方で激しいインフレが生まれており、社会の購買力も低下している。賃上げが5〜10%程度であればどうということはないが、それ以上になると会社の経済パワーが弱まってしまう。地方自治体は勤労者の購買力アップを考慮して、来年の最低賃金を決めている。」そうウマル・ジュオロは述べている。


「どうしてかれらは失敗したか?(ケース2)」(2005年11月19日)
1980年代末ごろ、10年もたたない間に急上昇してきた建設会社のオーナー社長が、社内のモラールがおかしくなる一方だ、と愚痴をこぼした。かれはある工科大学の大学仲間4人とその会社を新規に設立した。仲間の一人の自宅にあるガレージが新会社の基地となった。80年代の国土開発期の波に乗ったその会社は急成長したが、会社の規模が拡大して都心ビルにオフィスをかまえ、従業員は増えたものの会社の業務時間が終わればあっという間にオフィス内は空っぽになる。日々の問題を抱えて帰宅し、翌日その解決提案や意見を持って出勤してくるような社員はひとりもいない。
昨日やりかけていた仕事すら、5時を過ぎると頭からすっぽ抜けてしまうらしく、翌朝それを思い出させてやらなければその仕事はやりかけのまま宙吊りだ。社員たちは上司に信服しないで疑心暗鬼を抱き、協調的でなく対立的であり、給料や手当てが増えるなら仕事をするという現金さを露骨に示し、ハードワークなどは他人事で勤労エトスを持たない怠け者ばかりが集まっている。経営陣の目に、社内の風土はそう映った。創業時代に自分たちが抱え、行ってきたハードワークやデディケーションのたまものが今の会社だというのに、それをさらに発展させていこうとする中堅幹部などまったく見当たらない。
創業者たちはその原因が、草創期に雇われた従業員にあるのだということに気がついた。ガレージから始まった事業でも、受注量に応じて人手が必要になってくる。だが、まだたいした給料は払えない。工業高校を出た製図工をふたり、秘書をひとり、そして運転手をひとり雇ったが、そのときの採用は業務に最適な従業員の選抜ではなく、会社が支払える給与額でも働きますというポイントでの選抜だった。要するに能力は二の次にされ、劣る条件でも働きたいという人間が集められた。職場はガレージだ。そこに経営者と従業員がひとかたまりとなり、昼食もコーヒーもおふざけも、経営者と従業員間のけじめがあやふやな中でオフィスライフが営まれた。業務の分担も責任もあやふやで、経営者たちが忙しいときには、建築材料発注、集金、あるいは受注のさいの価格交渉まで従業員が狩り出されることもあった。
会社が発展してビルにオフィスを構えるようになってから、やっと固定的な組織の編成がはじまった。そして部門ごとのスペックに最適な人材の採用がはじまり、高学歴の若い人材が部門長に据えられ、先輩でも学歴の低い、専門分野での能力もありきたりな初代従業員たちは、そんな部門の中に押し込まれた。そして功労者と自負しているかれらが、会社の自分たちへの扱いに対する不満と憤りから、ネガティブな動きを開始したのだ。
草創期の人間関係がもたらした経営陣との親しさが、悪い方向に作用した。勤労意欲が減退してしまったかれらは、新入り上司にたてつき、反抗し、非協力的となり、仕事を避ける。もっと悪いことに、かれらは新規採用された従業員に先輩顔して近付き、自分の手下にするということまで始めた。こうして社内の風土はどうしようもないほど荒れてしまった。
原因はわかったが、対策はどうすればいいのか?かれらを解雇すればよい、と経営陣のひとりはあっさり言うが、草創期の功労者をあっさりクビにする非人情な会社という印象を従業員に持たせるのは得策でない。ではかれらのポジションを上げてやるか?能力のない人間を高いポジションに就けることは、本人の将来を含めてすべてをぶち壊しにする。一番穏当な方法は、子会社を作ってかれらをそこへ移籍させ、本社の業務オペレーションから切り離してやることだが、それはそれで問題を子会社に移しているだけと言えないこともない。 この会社は社内風土を改善するのに大きいエネルギーと時間を費やしたものの、その後やってきた経済危機の中に埋没していった。


「バタム2006年最低賃金」(2005年11月21日)
18日にバタム市で行われた最低賃金検討三者会議で、労働界と行政側が69万〜70万ルピアという実業界の提案を相手にしなかったために、実業界は三者会議の場からウオークアウトを行った。それに関してインドネシア事業者協会(アピンド)バタム支部長は「2006年バタムの最低賃金アップ率要求が50%というのは不合理だ。今企業の内実は10月の燃料費大幅引き上げの影響で身動きならない状況にあり、会社が従業員解雇を行わざるを得なくなったとき、その責任を負う者はだれもいない。それは人道性に欠ける。実業界は現状63万5千ルピアから10%引き上げて、せいぜい70万ルピアまでと提案しているが、労働界は適正生活需要102万8千ルピアの96%である988,260ルピアを2006年最低賃金に要求しており、あまりにも大きな開きのために歩み寄りのしようがない。労働界が主張をやわらげようとしないために、当方はウオークアウトした。」と語っている。
一方労働界代表の全国労組(SPSI)バタム支部長は、労働界の要求は最終数字という意味ではない、と語る。「州最低賃金が定められてから、バタム市最低賃金をそれ以下ではなく、またあまりそれからかけ離れて高いレベルにしないよう調節することができる。そのためにまず州最低賃金の検討がなされなければならない。実業界がウオークアウトしたとはいえ、三者協議は来週結論を下す最終会議が行われる。実業界がそれに出席しなければ、二者で結論を下すだけだ。」同会議での労働界代表者のひとりはそのように述べている。またバタム市労働局長も、実業界のウオークアウトは三者フォーラムに対する侮蔑である、とコメントしている。


「タングラン市2006年最低賃金」(2005年11月22日)
2006年の最低賃金を決めるタングラン市賃金評議会での三者会談は労使間での歩み寄りがなく、膠着状態になっている。今の市最低賃金である月額693,000ルピアに対しアピンド(事業者協会)は、今年9月に行われた適正生活需要サーベイ結果の761,000ルピアを来年の最低賃金に、と主張しているが、労働界は最初112万9千ルピアを提案したあと、何回かの会談のあとで最終的に、10月に労働界がサーベイした適正生活需要である840,000ルピアにその後の年間7%のインフレ予測を加えた903,000ルピアを2006年の最低賃金にせよ、と要求して互いに譲らないまま、会談は暗礁に乗り上げている。
その解決をどうするかについて三者間で話し合いが持たれ、アピンドの主張と労働界の主張の双方をリコメンデーションとしてタングラン市長が州知事に提出し、州知事に決めてもらってはどうか、という労働界側の提案が三者会談の合意に達し、州知事に下駄を預けるかっこうになっている。


「専横な税務職員」(2005年11月23日)
ニクマ・アルブギスさんは、都内チュンパカプティインダ住宅地にある土地156平米、建物総床面積200平米の住居のオーナー。この家を建てたのは2000年で、それ以来土地建物税を滞納したことがない。土地建物税は毎年10〜15%アップしており、それはそのエリアのほかの住民も同じ。
ニクマさん宛て2005年の土地建物税請求額が、目の玉が飛び出るほどアップした。2004年納税額は31万ルピアだったのに、2005年の税額通知書には77万3千ルピアと記されており、算定根拠のデータも変化している。建物面積は200平米から260平米に変わり、建物等級もA.05タイプからB.19タイプに移されているのだ。昨年から、いやそれ以前から、かの女は自分の家の造作を変えてもおらず、何の変化もないというのに、その間だれが調査に来たこともないにもかかわらず、このような変更がなされる。
かの女は税務署に抗議した。するとサーベイに人が来るという。税務署から人が来てサーベイしたあげく、間違ったことへの罪悪感もそぶりすら見せず、その調査官は260平米を210平米に訂正した。ところが建物等級については、直そうともしない。そして倣岸にもその調査官は「年間70万ルピア払うだけで奥さんはぎゃあぎゃあ言うが、あっちのメンテンに住んでるひとたちは何千万ルピアも払って平然としてるよ。」とニクマさんの面前で啖呵を切った。税務職員の倣岸さはその「公務員が国民にサービスするのでなく、国民が公務員にお仕えし、サービスするものだ」という姿勢に露骨に見てとれる。意を決したニクマさんは所轄税務署の役職者に何度も面会し、その不公平で非公正な徴税への不服を申し立てたが、最終的にかの女が得たのは、ジャカルタ第二セントラル税務サービス事務所長からの不服申し立て却下の公文書だった。理由はなにひとつそこに記されていない。おまけにその文書は日付が2005年6月24日となっていたのに、ニクマさんの手にそれが渡ったのはなんと9月6日で、それも所轄税務署にかの女が出向いたときに手渡されたものだ。その文書をもらうまで、かの女は何度も所轄税務署に電話で問い合わせたが、返事はいつも「プロセス中」。6月24日にプロセスは本当は終わっていたのに、事実など関係なく、その場その場で追及の矛先をかわせばよいという、その場限りの対応姿勢。公務員が、汚職、無責任、非能率、国民搾取、暴虐な権力者、といった汚点からきれいになるのはいつの日か?


「最低賃金に関するデモが活発化」(2005年11月24日)
首都圏をはじめ各地で23日、来年の最低賃金に対する不満を表明する労働者のデモが繰り広げられた。都内ではホテルインドネシア前ロータリーからタムリン通りを北上してモナスの独立宮殿に向かったデモ隊が道路を埋め尽くす整然とした陳情行動を示した。このデモは全国金属労連、首都労組、全ジャボタベッ労組連合とカラワン、セラン、チレゴンからの労働者を糾合して行われたもの。同じ日、別のデモ隊数百人が来年の首都最低賃金819,100ルピア見直しを迫って都庁に押しかけたが、しかしスティヨソ都知事は、「賃金評議会の中で三者が合意したことをわたしが変えるわけにはいかない。その協議の中に労働者代表も参加したではないか。」と固い姿勢を示した。都庁のデモ隊を統率していた全国金属労連議長は、2006年最低賃金があのような金額になっている事情を都知事もしくはその代理者に説明してもらいたいと要求したが、都庁側はそれに応対しなかった。
バンテン州セランでは、来年の最低賃金のアップを要求して数千人の労働者が州議会を包囲した。デモ隊の要求は州最低賃金を今の585,000ルピアから789,460ルピアにアップすること、ならびに県市最低賃金は26〜36%アップすることで、具体的にはチレゴン972,496ルピア、セラン891,234ルピア、パンデグラン836,445ルピア、タングラン県878,596ルピア、タングラン市903,000ルピアを要求している。
ブカシ市では、今の710,000ルピアから15%アップした816,500ルピアを来年の最低賃金に、という市労働局からの推薦を市議会第D委員会がすでに承認したが、労働界は20%アップを要求してそれに反対している。市議会議員第D委員会メンバーのひとりは、関係双方の要求の中間を取った15%アップが双方に受け入れられる結論ではないか、とコメントしている。


「中国へのトールマニュファクチャリング」(2005年11月25日)
飲食品製造業界の22社が中国の厦門地区にある同業メーカーに対してトールマニュファクチャリングをオーダーしている。全国飲食品事業者連合のトーマス・ダルマワン会長は、政府が誘導的な投資環境を育成していない状況下にあるため、トールマニュファクチャリングはいまや国内製造業界にとってトレンドになりつつある、と下のように語った。
「中央・地方政府がハイコスト経済をはぐくむ政策を維持する限り、国内生産者がもっと誘導的な環境を提供する国に生産活動を移すのは理の当然だ。トールマニュファクチャリングはインドネシアの事業家だけが行っているのでなく、グローバルに行われているものであり、安い生産コスト、巨大な市場、インドネシアを含めてアジア域内各国から地理的に近い距離にあることなどの理由で、インドネシア産業界が抱えているそのような要求に対する答えを中国が出している。インドネシア側のブランドを維持しながら、中国の生産者と共同で生産するこのトールマニュファクチャリングで、インドネシア企業は業績の向上と投資費用の抑制が実現できると期待している。今のまま推移すれば、インドネシアの飲食品生産者はすべての生産を国外で行い、製品を輸入して国内ディストリビューションを行うだけになってしまうかもしれない。そんな製造業の空洞化を防ぐよう、政府は対策を講じなければならない。」
インドネシアの対中国貿易は、2004年実績が輸出70億ドル輸入60億ドルという出超ではあるが、今後の傾向を見るなら予断を許さないものがある。実績中30%近くが飲食品だと語るトーマス会長は、これから進展していく中国との経済協力の中で、国内生産の空洞化が高まらないようにと、政府に警鐘を鳴らしている。


「工業団地入居率はまだ低い」(2005年11月26日)
首都圏の工業団地入居率は65.7%だ、とコールドウエルバンカーコマーシャルインドネシアが公表した。これはジャボデタベッ地区における2005年第三四半期のデータ。つまりは工業団地が整備してある土地の34%がいまだに休眠状態であることをそれは意味している。その原因としてインフラ整備が不十分であるため、その面での改善を工業団地運営者は続ける必要がある、とコールドウエル側はコメントしている。
ところで既存の工業団地がまだ飽和状態でないというのに、新規工業団地開発は進められており、今のところこれは2007年まで続くことがはっきりしている。首都圏では、タングランのミレニウムインダストリアルエステートが40Ha、ブカシのジャバベカ3が100Ha、デルタマスの250Haが2006年に新規供給され、さらにカラワンのブキッインダエクステンションが2007年に完成して265Haが供給に加わるという予定。それだけでなく、2005年末にはブカシファジャルインダストリアルが65Ha、モデルンチカンデが2006年に80Ha、という新たな供給も予定されている。


「首都最低賃金を見直せ、と都議会」(2005年11月28日)
都議会議員がスティヨソ都知事に対し、既に制定された2006年最低賃金に関する都知事令第2093号を改定するよう要請している。インガル・ジョシュア、ゴルカル会派議長、ムハンマッ・ルスリPPP会派副議長、アグス・ダルマワンPAN会派議員らが表明した見解は、2006年最低賃金に関する都知事の決定は労働者の苦しい生活の実態に目を閉じて事業家ばかりを擁護するものであり、部下から上がってきた報告だけを信じるのでなく、自ら労働者の生活実態を見聞し、また一度決めたからといって頑なにそれを押し通すことのないようにしなければならない、というもの。
「月額819,100ルピアという金額で独身者の生活は維持できず、月額90万ルピアを超えているのが妥当な線で、できればバタムと同じ月額1百万ルピアになるのがよい。首都の教員に1百万ルピアの追加手当が出されるようになっており、労働者も同じように扱ってやるべきだ。また今後は最低賃金決定も、公共輸送料金や水道料金と同じように、制定前に都議会の承認を得るべきである。」議員たちはそのようにコメントしている。


「PMA750社への調査継続」(2005年11月28日)
5年間連続赤字計上して法人所得税納税額ゼロを続けている750のPMA企業は、日本、韓国、シンガポール、台湾、オーストラリアそしてヨーロッパ数カ国の企業で、メインはアジアだと国会第11委員会のドラジャッ・ウィボウォ議員が語った。
しかし大蔵省は各企業の詳細調査をまだ続けており、その結果が出るまで会社名等の詳細は公表できない、と大蔵大臣は述べている。蔵相は先に、「調査で脱税が明らかになれば、国庫が受け取る権利が侵されていることになる。こんな仕事は人に好まれないものだが、国家は確立され、法は施行されなければならない。システムは回転しなければならない。」と語っている。このPMA750社に対する調査は、国税総局が税務について調べるだけでなく、税関総局、国家債権競売総局および大蔵省監督局も独自の調査を進めている。
PMA企業の赤字計上は外国の関連会社との間での価格移転問題をはらむものであり、従来からこの問題についてはむしろ及び腰できたインドネシア国税当局が、これまでに準備できた価格移転摘発への対応手法が効果を発揮できるものかどうかを試す試金石の機会とも言えるものの、マネーロンダリングの中で行われている会計上の諸トリックや価格移転に関する会計監査の包括的な手法がまだ確立されていない時点ではじまった今回のイシューがどのような成果をもたらすことになるのか、興味津々といったところ。中でも、公認会計士による会計監査を細かく規定する法的インフラが未整備で、また風土的に企業と会計士との癒着が起こりやすい背景を抱えながら今日に至っている税務監査システムから膿が掘り返されれば、また法規改正の嵐に見舞われる可能性も懸念されている。


「バンテン州2006年最低賃金」(2005年11月29日)
2006年最低賃金の内容検討が終わった、とバンテン州労働社会局長が明らかにした。州最低賃金は585,000ルピアから661,613ルピアに13%アップする。一方、県市別最低賃金は各地元からのリコメンデーションをそのまま承認した、とのこと。このためセランは796,000ルピア、チレゴン835,937ルピア、ルバッ750,000ルピア、パンデグラン755,000ルピア、タングラン県800,000ルピア、タングラン市802,500ルピアとなる。しかしこの決定に労働界は大きい不満を表明しており、労働者の要求に配慮を示さなかった州政府の姿勢に反発して、全国労組セラン支部では労働者の大規模デモを実施すると予告している。


「日本の時代から韓国の時代へ」(2005年11月29日)
11月18〜19日、釜山でのAPEC指導者会議のあと、SBY大統領は韓国経済界のリーディングポジションにある韓国電力公社、韓国道路公社、コリンドグループ、エスケイ・コーポレーション代表者と個別に会見し、インドネシアへの投資を促した。それら4社はより具体的な調査のためにインドネシア訪問を約束し、SBY大統領は韓国実業界からの投資に対して便宜をはかることを約束した。
最近のイ_ア〜韓国の経済関係は進展著しいものがあり、2004年の貿易高は100億ドルという史上最大規模を実現したし、韓国からの直接投資先としてインドネシアは、中国、アメリカに次ぐ第三位の地位を獲得し、投資高は68億ドルにのぼった。インドネシア国内には1千社の韓国企業が進出して百万人以上を雇用しており、60億ドルを輸出している。インドネシア国内には3万人の韓国籍者が居住していて、ビジネス居住者として最大勢力をなしており、韓国レストランの数は今では日本レストランの数をしのいでいる。一方韓国では2万5千人のインドネシア人が働いている。それほど緊密な関係を築いているイ_ア韓国関係の追い風に乗せて、インドネシア側は韓国からの更なる投資振興を呼びかけ、インドネシアを投資先に選ぶ理由が6つある、とSBY大統領が韓国経済界に対してPRした。すなわち;
1)インドネシアは世界でもっとも変化している国であるばかりか、憲法危機、種族コンフリクト、自然災害、テロ襲撃などを乗り越えることができた強靭な民族である。津波をものともせずに復興に努め、世界第三のデモクラシー大国になっている。
2)アチェ独立派との和平合意を筆頭に、国内の治安と安定が目覚しく向上している。インドネシアは依然テロリズム行動の影につきまとわれていると言われているが、治安機構は撹乱者の追及に大車輪の働きをしている。
3)インドネシア政府は成長重視、雇用重視、貧困国民擁護、ビジネス重視を方針としており、投資家の貢献を高く評価する。
4)さまざまな自然災害や原油価格高騰のような国際変動に見舞われていても、インドネシアは経済安定に努めている。今年上半期の経済成長は5.9%で、年間の5.8%成長が維持できることを政府は確信している。
5)政府は対汚職戦争と行政クオリティ改善を優先項目にあげている。いま政府は、州知事、国会議員、政府高官、市長・県令、銀行家、実業家たちを巻き込んだ大型汚職事件をいくつか調査中で、かれらのうちの何人かは犯した悪事に対して高い代償を支払うことになる。他の者も必ずかれらの跡を追うことになるだろう。
6)政府は投資家にとってよりベターな投資環境を醸成する努力を行っている。国会に提出された新たな投資法案がそれを示している。この法令は;
*国内外の投資家が同じ待遇を受ける
*利益本国送金の自由と外資企業のインドネシア化が実施されないことを保証する
*係争解決の特別条項がある
更に重要なこととして、民間投資が解放されている事業分野に関する詳細完全な規定、明白な投資インセンティブスキーム、事業許認可手続の簡素化も鋭意実現させていく、とSBY大統領は説明している。


「動産も封印対象にできる、と税法案検討チーム」(2005年11月30日)
税法案検討チームが、税務監査に非協力的な納税者の動産に対する封印措置権限を税務側に与える項目を追加することができる、と政府に提案した。現行法規内で税務側は、事務所など不動産に対する封印措置権限を与えられているが、狡猾な悪徳納税者は帳簿や書類など税務監査員が必要とする資料をトラックなどの移動性を有する動産に保管しておき、事務所が封印されてもそれらが監査員の手に渡らない工夫をするため、その対抗措置として提案されたもの。
新法案の中では税務監査において納税者は、少なくとも事業展開、資金と物品の流れ、毎月の銀行取引明細、株式、国内外の価格といったことに関する資料を監査員に提供しなければならず、それら必要な提出書類は税務監査実施が通知されてから一ヶ月以内に準備しなければならない。国税側の権限が増加することにバランスを取るため、監査内で発見された誤りを、手続を踏んで訂正する機会が納税者側にも与えられることになる。また国税側は監査結果を納税者側に知らせる義務を負い、また国税側の最終検討会議に納税者が出席する権利を持つ。監査結果をまとめる期限も設けられる。最終検討会議が行われなければ、税務監査結果は公式のものでなく、納税者は監査結果が公式なものかどうかを監視することができるようになる。この税務監査に必要な資料を提出せず、国税側の監査に非協力的な納税者に対しては、国税側が職務権限で納税額を決定することになる。


「生活費が大幅にアップ」(2005年11月30日)
10月1日に行われた石油燃料大幅値上げ後の生活コスト増に関して、インドネシア労組協会(Aspek)が行ったサーベイの結果が公表された。インドネシア労組協会はさまざまな企業の労組162組合をメンバーとする団体で、関与する労働者数は20万人を超える。2005年11月に行われたこのサーベイは、ジャカルタと西ジャワ州のさまざまな事業分野の企業労組組合員1千人を対象にして実施されたもの。対象者は事業セクター別に、銀行9%、製造業6%、サービス業6%、郵便通信20%、清掃サービス18%、看護21%、などといった内訳になっており、月収は最低30万から最高は9百万ルピア。
10月1日の石油燃料大幅値上げがサーベイ対象者に及ぼした影響は、交通費が平均53.8%アップし、就業中の食費に41.4%、家族の食費に51.5%、家賃に47.0%という経費増をもたらした。もっとも重い負担を蒙ったのは、月収1百万ルピア未満で貯蓄のない者たち。かれらは生活費が48%も上昇している。月収3百万から9百万ルピアの勤労者で、貯蓄を有し、住宅と自動車のローンを持っている階層は、生活費上昇率が33.6%と少し小さい。今年3月に行われた石油燃料値上げ後のサーベイで、収入の残りがある、と答えた者は60%いたが、第二回目の大幅値上げ後ではそれが25%に減少した。同協会ヤヌアル事務局長は、15%ものインフレと実生活費の高騰から、労働者勤労者の賃金は最低でも25%アップしなければならない、とコメントしている。


「大規模職場放棄が12月に起こる?」(2005年11月30日)
バンテン州連帯労組が11月26日付けの回状で、全バンテン州の労働者勤労者に大規模ストを呼びかけた。全国労組セラン支部のプジ・サントソ事務局長は、バンテン州2006年最低賃金に関する労働者の希望を無視した決定を行った州当局に対し、すでに予告した通り州内全労働者勤労者を糾合して12月中に大規模ストを行うことを決めた、と表明した。
「州内全企業の労働者勤労者は、仕事をストップしてデモに集まることになる。特定の日に一斉に業務ボイコットを行うこともあろうし、また職場を離れて州政府、県市庁舎などに大規模デモを行うこともあるだろう。」との事務局長の談。


「来年の最低賃金決定はやっと6州」(2005年12月1日)
11月26日時点で州別最低賃金が定められているのは、全国33州のうちまだ6州だけ。1999年労働大臣令第1号によれば、最低賃金は施行から60日前に定められなければならないと定められているが、律儀にそれを守ったのは西ジャワ州、バンテン州と首都ジャカルタのみ。ちなみにその6州とは:
西ジャワ州  2005年10月28日付け州知事令  最低賃金額447,654ルピア
首都ジャカルタ  2005年10月31日付け都知事令  最低賃金額819,100ルピア
バンテン州  2005年11月1日付け州知事令  最低賃金額661,613ルピア
NTT州  2005年11月11日付け州知事令  最低賃金額550,000ルピア
南スラウェシ州  2005年11月14日付け州知事令  最低賃金額612,000ルピア
中部ジャワ州  2005年11月21日付け州知事令  最低賃金額450,000ルピア
既に定まった35県市中で最低賃金の一番低いのは中部ジャワ州チラチャッ市の45万ルピア。州内各県市から最終リコメンデーションが知事のデスクに既に上がっているのは、バンカブリトゥン、ジョクジャ、東カリマンタン、中部カリマンタンの4州。


「SPT修正ができるようになる」(2005年12月1日)
改定税法案では、納税者にSPT(年次納税申告書)修正の機会が与えられる、と税法案編成チームリーダーが語った。これは優良納税者に与えられるチャンスであり、これを通して納税者が正しいSPT作成を行うようになることが期待されている、との談。インドネシアでこの種のチャンスが与えられるのは前代未聞のことだ、とも同リーダーは述べている。納税者が作成したSPTに誤りがあることが指摘された場合、これまではそれによって発生する不足納税額に加えて金利と罰金が納税者に課されていたが、新税法が施行されれば、納税者は税務署に提出したSPTを一年以内に修正することができ、不足納税額を納めるのは言うまでもないが、罰金と金利が免除される。このインセンティブの主旨はSPT確定期限が10年から5年に短縮されることと軌を一つにしている。新税法が2006年に施行されれば、2000年以前のSPTはその内容が確定されることになり、国税側の監査や納税不足追徴は行うことができない。
ところで、ハディ・プルノモ国税総局長は、税務面でのKKN発生は正しくないSPT作成がその原因だ、と語る。「正しくないSPTが作成され、納税申告者と税務職員との間に癒着が起こる。SPTが正しく作成されれば、KKNが生じる場が消滅する。」総局長はそう述べている。


「光学ディスク輸入規制」(2005年12月2日)
知的財産権保護と海賊版排斥を目的に掲げた光学ディスク輸入規制として2005年商業省外国通商総局長令第747号の施行が始まっているが、CD、VCD、DVDなどの光学ディスクが外国から送られてくる場合、税関の厳しい手続を通らなければ入手することができず、その手続を完璧に満たすために輸入者はさまざまな負担を余儀なくされており、実業界から不満の声があがっている。その規定によれば、輸入される光学ディスクはまず税関に留め置かれ、合法なものか不法複製版かをチェックされる。合法であれば、不法複製の対象になりやすいかどうかがチェックされる。輸入者は、その光学ディスク内のコンテンツを複製せず、また使用は自家用途に限る、という誓約書を作成しなければならず、その手続きのために輸入者は自分でジャカルタに赴かなければならない。
「この問題が引き起こす結果は致命的だ。外国から送られてくるディスクの中味がすべて不法複製されるようなものというわけでもない。社内用データとか個人や会社が購入した合法ソフトウエアだったり、あるいはデモ用ソフトや広告宣伝材料、結婚式ビデオというようなものも数多い。手続を規定した総局長令に従えば光学ディスク受取者は、それを複製せず個人用途として使うだけである、という誓約書を提出しなければならない。その誓約書は印紙を貼ってサインし、ジャカルタの外国通商総局輸入局長の承認を受けなければならず、その手続に受取者がみずからジャカルタに赴かなければならない。光学ディスクはコンパクトディスク、メモリーカード、USBストレッジなどの形態も含まれる。上のような規則のために、最もスピーディーに入手できるクーリエサービスを使っても税関に留め置かれ、ジャカルタで誓約書の手続をしてこなければ、いつまでたっても受け取れない。外国から送られてくる物は国内のあらゆる場所に届く。ジャカルタからとても離れているところもある。」そう訴えるのはサンジャヤ・コサシ、コンピュータ事業者協会東カリマンタン支部長。
このために広告デザイン作業の進行が遅れたり、社内用データが期日までに届かなかったりして業務が混乱し、おまけにジャカルタへの交通費として余分な費用が発生している。光学ディスク正式複製業者さえもが、この規定のおかげでたいへんな目にあっている。ディスクの内容チェックをサーベイヤインドネシアが行うが、その費用に一枚数百ドルが請求されるため、最終利用者はたいへんなコストアップを抱えることになる。このチェックはオープンソースソフトに対しても行われているとのこと。


「みんなやってる社内コルプシ:経理編」(2005年12月5日)
いずこの会社も、原則的には支払期日を決めている。そうでなければ売る側は値付けに困るし、資金回収計画も立たなくなる。しかし「決まりは破られるためにある」と豪語するインドネシア社会で、何をさておいても支払い期日優先をモットーにしている経理マネージャーはどのくらいいるのだろうか?ましてや、品物は入れるが請求書はいつまでたっても送ってこない管理ルーズな納入業者がひしめいていれば、いくら社内管理が素晴らしく回転している会社であっても、入荷データだけをもとに業者別支払い処理を行うわけにも行かず、ただでさえ忙しいのに他人のためにそんなことまでしてはいられず、社内規定の支払期日を何ヶ月もすぎてからポロリポロリとやってくる請求書の支払い処理が当たり前になって、モットーはただの紙切れと化すのである。そんな状況の中に置かれた経理マネージャー氏にとってみれば「社内規定の支払い期日が守られないのは、なにも自分が悪いからじゃない・・・・」。
さるメーカーXYZ社の経理マネージャーを訪ねて納入業者ABC社のオーナー社長が面会に来た。「まことに申し訳ありませんが、一月半前に納入した資材の支払いをお願いできませんか?」そう言いながら社長は請求書のコピーを差し出す。日付は一月前のもので、資材納入日は一月半前となっている。同社の購入資材支払い条件は納入日から30日後。
「今月は支払い申請がまだわたしのところに来ていないんですがねえ。」
「なんとかお願いしますよ。期日をもう半月も過ぎてるんだから・・・」
「いや、わたしにできるかぎりのことはもちろんやりますよ。」と言いながら経理マネージャーはデスクの上に山をなしている書類をほじくり返す。
「ああ、これだ。金額は・・・、2億8千万!」
経理マネージャーの目つきが変わったのを、社長氏は見逃さなかった。
「じゃあ、来週また来てくれませんか?今週中に片付けますから。」
「来週?いやあ、もう二週間も遅れているんで、とても待ってはいられません。電話で面会をお願いしたときに事情を話し、今日来いと言われたので今日まで待っていたんです。なんとか今日お支払いを・・・・」
「いや、そう言われても。いま会計士が休暇を取っているもので、わたしがその仕事もやってるわけで。ほれ、そのように。」と机上の書類の山をマネージャーは指差す。
「何とかわたしの支払いを優先してもらえませんかねえ。」
「ああ、なんとかなりますよ。」マネージャーは笑顔を見せるが、目は笑っていない。オーナー社長は合点した。
「本当は、うちの請求には即金の場合、マーケティングフィーとして1%の口銭がついてるんです。」
「そりゃ、どういう意味ですか?」
「つまり、キックバックがあるってことですよ。」
「オフィシャルなもの?それとも非公式に?」
「もちろん非公式でOK!書類なんかなにも出ません。もし今日現金をもらえるなら、そこから直接1%引いてくれていいですから。」
やっとマネージャーの目が笑った。
「今日すぐに、というのは無理だ。でもお役に立てるように努力しますから。そうですねえ、約束はできないが、二三日以内に。」
オーナー社長は仕方なくXYZ社を後にした。だが内心、かれは集金に成功したという確信を抱いていた。280万ルピアのためにあのマネージャーは大至急振り込み手続きをするだろう。
二日後、ABC社の口座に2億8千万ルピアが振り込まれているのが確認された。そしてほどなく、XYZ社の経理マネージャーから、振り込んだという連絡の電話が入った。キックバックの念押しと共に。
"Kalau bisa dipersulit, buat apa diberi kemudahan." 「困難にしてやれば金が転がり出てくる」という原理は、社内だけでなく、社会生活の中にも満ち溢れている。


「首都来年度最低賃金見直し」(2005年12月7日)
既に2005年10月31日付け都知事令で確定した首都ジャカルタの2006年最低賃金819,100ルピアが揺れている。スティヨソ都知事は、賃金評議会に対してその最低賃金額見直しを指示したことを明らかにした。都知事令が制定されて以来、都庁には連日のように労働者諸団体が陳情に押しかけて、騒然たる日々が続いている。労働団体マジョリティの主張は、今年のインフレ率に来年の見込みを加えた分だけの引き上げが当然だとして、現行最低賃金から25%のアップを要求しており、その要求金額は889、804ルピアとなる。都知事はそれに関し、既に定めた都知事令の内容は賃金評議会がリコメンドしたままのものであり、今回も賃金評議会が見直しを行うので、わたしが口を出す筋ではない、とコメントしている。一方、アデ・スプリヤッナ都議会議長は都庁職員の昇給率を指摘し、「25%にも満たない最低賃金アップ率では公平さという観点からおかしいと言わざるをえない。見直し結果が出れば、まず議会に提出してもらい、議会の承認を経た上で都知事令にしてもらうことになる。」と述べている。


「従業員60人にひとりは麻薬常習者」(2005年12月7日)
全国の労働者・勤労者150万人以上が麻薬違法薬品を常用している、と国家麻薬庁防止支援センター長官が明らかにした。今年2月の政府統計では労働者人口94,948,118となっているため、およそ60人にひとりが麻薬違法薬品を使っていることになる。トミー・ヤコブス同センター長官は「勤労者・労働者に対する生産性要求から会社内のコンフリクトまで、従業員にかかるプレッシャーがかれらを麻薬違法薬品使用に走らせる要素をなしている。よくある話は、労働意欲が高まるという口実で違法薬品が使われていることだ。」
状況をそう説明した上で同長官はNGOと企業に対し、会社職場内に麻薬違法薬品をはびこらせないよう、対応措置を取ってほしい、と要請した。地域によっては、予算がないためになんら措置が取られていないというところもあるが、NGOと企業が協力して反麻薬違法薬品キャンペーンを職場環境の中で実施し、その利用者を減らす努力を行って欲しい、と同長官は要望を語り、さらに、これまでの違法薬品製造所摘発で明らかになったことのひとつに、工場からの産業廃棄物が不法薬品の製造原材料にリサイクルされているという事実があり、企業は廃棄物にも注意を払ってほしい、とも述べて注意喚起と協力を要請した。


「みんなやってる社内コルプシ:倉庫編」(2005年12月12日)
MHG社は家庭用品組立メーカーで、製品の半分以上を輸出しており、そのためほとんど毎日、製品をコンテナ詰めする作業が行われている。平均10本以上のコンテナが毎日、MHG社の製品倉庫からタンジュンプリウッ港あるいはチャチン地区にある通関業者契約倉庫に送り出されているのだ。同社が輸出向け生産量を増やす計画を立てたことから、輸出担当マネージャーは通関業者をもう一社増やした。MHG社が新たに契約を結んだ通関業者は万全の業務態勢を整えて、初出荷の日を待った。そしてその日がやってきた。
初日の作業計画は日本向けコンテナ3本。倉庫プラットフォームにトラック運転手がコンテナを着けると、倉庫担当者がフォークリフトを使って貨物を積み付け、そのあとコンテナ扉を封印する。そして出荷OKの指示が出たら、トラックが港に向けて出発する、というのが業務の流れ。トラック運転手は通関業者の社員でもある。そして当日の午前9時ごろ、空コンテナが倉庫の前に勢ぞろいした。ところがMHG社倉庫担当社員たちはいつまでたっても作業を始めない。出荷される予定の製品はプラットフォームの奥に山積みされており、フォークリフトも少し離れた倉庫の隅に置かれていて、積み込み準備は整っているようにしか見えないのだが、作業員たちは別に何かで忙しいという雰囲気もなく、みんながなんとなくリラックスしている。作業は開始されず、時計は10時そして11時と無為な時を刻む。
その日が初仕事だということで、通関業者側のマネージャーが情況を見にやってきたのが11時過ぎ。何一つ仕事がなされていないのを見て驚き、運転手に尋ねた。
「到着が遅くなったのか?」
「いいえ、朝9時過ぎに到着したあと、こうやってじっと待ってますよ。」
「工場側がまだ準備してるのかな?」
「準備は整っているようにしか見えませんが。ほら、ここの倉庫の作業員はみんなああやってぶらぶらしてるばかりです。」
「むむ・・・。」
通関業者マネージャーは、既に顔合わせを終えていた倉庫の出荷担当主任を探した。
倉庫事務所に入って行くと、お茶を飲んでいた出荷担当主任が目ざとくかれを見つけて手招きした。握手し、お定まりの社交辞令を交わしたあと、主任がひそひそ話しに切り替えた。当惑顔が一瞬通関業者マネージャーの顔をよぎったが、その後は終始にこやかな顔で会話が続けられた。帰り際に通関業者マネージャーの言葉がちらりと聞こえた。「・・・・いやあ、今日はうっかりして用意してこなかったので。明日、今日の分も持たせますから、今日はなんとかお願いしますよ。・・・・」
翌日から、MHG社にコンテナを運んでくる運転手のポケットには、例外なく封筒が収められていた。


「アセアンシングルウインドウ協定成立」(2005年12月12日)
12月9日、クアラルンプルで開催された第11回アセアンサミットで、非公式経済大臣会議から三つの協定が公式に生まれた。2010年のアセアン自由市場実現を支える主要メカニズムの一部がこれだ。この三協定とは、アセアン域内統合通関システムに関するアセアンシングルウインドウの確立と実施、電気製品電子部品標準化、建築分野におけるプロフェッショナル活動標準化。アセアンシングルウインドウは、1998年3月1日のアセアン通関協定に新たな幕開けをもたらすもので、2005年9月28日にビエンチャンで開かれた第37回経済大臣会議決議のフォローアップでもある。
このアセアンシングルウインドウ方式が始まれば、アセアン域内に外から入ってくる輸入品は、加盟国のひとつが輸入通関を行ったあとは域内での動きが自由に行えるようになる。そのため各加盟国での輸入通関の規準とレベルが均一化される必要があり、加盟各国は早急にその標準化に着手する予定になっている。今現在イ_ア国会で審議されている改定通関法案の中には、第三者による通関を承認する条項が含まれている。加えて政府は、この新システムのためのパイロットプロジェクトを行う予定にしており、そのプロジェクト場所としてバタムが選ばれる可能性が高い。2006年にバタムでのトライアルの修正を行いながら、状況が許せば他の港への展開が進められる見込み。
電気製品電子部品標準化については英語名称がAgreement on The ASEAN Harmonized Electrical and Electronic Equipment Regulatory Regime となっているもので、そのカテゴリーアイテムの域内通商に対する障害を取り除く際の基本となるもの。


「合板産業が衰退」(2005年12月13日)
南カリマンタン州の合板産業が衰退の一途をたどっている。かつては活況を呈していた18の合板工場のうち5つが既に操業を止めた。原材料である材木供給が下降傾向を続けていること、そして中国やマレーシアなどの競合国に価格的に引き離されてしまったことなどのために、同州からの合板輸出は10%も低下している。国際市場における価格競争で、中国やマレーシア産はM3あたり240から260米ドルに対してインドネシア産は280から300米ドルであり、また船積み経費が競合国は25ドルなのにインドネシアは40ドルもかかっている。おまけにインドネシア産合板は防黴処理が不十分とのクレームも折々発生しているようだ。インドネシア森林ソサエティ南カリマンタン副支部長は、政府からの税制インセンティブと実業界が負担している不法徴収金の抑止推進がなされなければ、業界の下降トレンドは更に激しくなるだろう、と予測している。中でも既に構造的問題になってしまった木材密輸出防止を政府が真剣に行わないかぎり、競合国は潤沢な木材資源をインドネシアから廉価に調達し、国際市場でますますシェアを拡大していくのは疑いもない。同副支部長はそうコメントしている。


「破れかぶれか?納税者拡大」(2005年12月14日)
タックスレーシオは今の13.6%から19%に。納税者は360万人から1千9百万人に。税収は3百兆ルピアから6百兆に。国税総局が2009年に実現しなければならない目標がそれだ。国庫収入の8割を背負っている国税総局に与えられているこの常軌を逸したとさえ思える重荷に、「信じられない」と頭を振る人は多い。ここ数年常に大きい上昇カーブを描く年間税収目標をこなし続けてきた国税総局は、しかしこれまでと同じようにクールな雰囲気を漂わせている。
納税者番号保有者の多さが税収増を保証するものでないのは言わずもがなであるにせよ、少なくとも税というものに対する国民の意識向上には大きく貢献するにちがいない。おまけに納税者番号というひもが付いていれば、徴税の場に引き出すのもやりやすくなろうというもの。国税総局は、納税番号受給者1千万人を当座の目標として、その対象者を網ですくった。土地や高価な建物を持っている者、高級乗用車オーナー、ヨット所有者、国内外にいる株主、外国人居住者、そして非課税限度額を超えた収入を得ている正社員、モール・プラザ・商店街などの経済活動センターにいる事業主、高所得者向け住宅地区住人、・・・。そのリストから既に納税者番号を持っている者を消去して残った者に納税者番号を送りつける。総局はそれとは別に、パスポート受給者はかならず納税者番号を持つことを法務省移民局に協力要請し、クレジットカード保有者についても納税者番号保有を必須とした。9月1日からはじめられたこの納税者拡大で、10月20日には番号保有者1千万人目がSBY大統領から表彰状をもらうという式典まで行われた。しかし国税総局が行ったその納税者番号送りつけで、大勢の国民が当惑をあらわにした。三つも番号をもらった者。退職して悠悠自適の老後を送り始めた者。失職してほとんど収入のない者。そうでない者にしても、ほとんどすべてが、「番号をもらったあと、何をどうすればいいのか?」と当惑している。法規によれば、番号をもらった者にはSPTと呼ばれる年次納税申告書作成提出の義務が生じる。納税額がゼロでも、収入がゼロでも、義務は果たされなければならない。義務を怠れば、罰則が待ち受けている。
国税総局は、納税者番号送り付けを行うに当たって間違いも起こるだろうと考え、送られてきた納税者番号返却の機会も用意したが、返却できる理由にあげられたのは「既に納税者番号を持っている」「既に死亡している」のふたつだけ。
納税自主申告を原則にしているインドネシアで、政府が国民総申告方針に切り替えはじめたのはここ数年のこと。納税者番号非保有者は保有者より高い税率にして給与所得者全員に納税申告をさせようとのアイデアも改定税法案に盛り込まれているようだが、納税番号保有者1千9百万人を実現した後、何が行われることになるのか、なかなか興味深いことではある。1983年の税制改革以来、納税者番号は360万件発給された。262万が個人納税者、残りは法人納税者という内訳だ。ところがアクティブにSPTを提出して来るのは、そのうちの三割だけ。まずそれから手をつけなければならないという気がするのだが、はたして360万中10万そこそこがSPTを提出している事実から、それを1,000万に増やしてやれば、30万以上のSPTが提出され、納税額も3倍になるはずだ、というロジックが国税総局を動かしていなければいいのだが。


「チカンペッ自動車道に新ゲート建設」(2005年12月14日)
ジャカルタ〜チカンペッ有料自動車専用道路の混雑緩和を図るために、ジャサマルガが新しいゲートをオープンする予定。ジャサマルガのジャカルタ〜チカンペッ有料道路支社長によれば、道路沿いにある高級住宅地グランドウィサタのデベロッパーからの要請によって、ブカシティムールとチビトンの間、KM21地点にアクセスゲートを設けるとのこと。1千1百ヘクタールの地所を占めるグランドウィサタ住宅地区のデベロッパーであるドゥタプルティウィ社が高架連結道路を含むすべての工事を負担することになっており、ドゥタプルティウィは既に公共事業省から認可を得ている。この新ゲートがオープンすれば、これまでブカシティムールあるいはチビトンに集中していたコタレゲンダ、グラハカリマス、シナールコンパスウタマ、コンパスインダ、グラハフィラ等々のブカシ・チビトン・タンブン地区に散らばる住宅地とチカンペッ道路とのアクセスが分散されるため、道路上の混雑が緩和されるだろうと期待されている。
それとは別に、外部道路との接点を増やして自動車専用道路内の混雑を緩和させようとの検討は同支社内で進められており、既にデルタマス地区にアクセスするチカランティムールゲート(KM31地点)とKM68地点のコタブキッティンダゲートの企画については、公共事業省の承認が出れば、すぐに工事を始める予定になっている。


「新最低賃金を制定した州はやっと半分」(2005年12月15日)
今年12月12日時点で、州別最低賃金に関する地方首長令が制定されているのはやっと16州であり、全国33州のうちまだ半分に満たないレベルであることを、労働省賃金次局長が明らかにした。1999年の労働大臣令では、最低賃金は施行の60日前、つまり10月31日には制定されていなければならないことになっており、この遅れに関して労働大臣は11月25日に関係州知事宛てのリマインダ−を出している。既に制定された州別最低賃金一覧は下の通り。
州名 / 2005年最低賃金 / 2006年最低賃金 / 州知事令制定日(2005年)
リアウ諸島 / 557,000 / 760,000 / 11月23日
バンカブリトゥン / 560,000 / 640,000 / 12月6日
西ジャワ / 408,260 / 447,654 / 10月28日
首都ジャカルタ / 711,843 /819,100 / 10月31日
バンテン / 585,000 / 661,613 / 11月1日
中部ジャワ / 390,000 / 450,000 / 11月21日
ジョクジャ / 400,000 / 460,000 / 11月1日
東ジャワ / 340,000 / 390,000 / 12月8日
バリ / 447,500 / 510,000 / 10月27日
NTT / 450、000 / 550,000 / 11月11日
西カリマンタン / 445,200 / 512,000 / 10月31日
南カリマンタン / 536,300 / 629,000 / 11月29日
東南カリマンタン / 523,698 / 634,260 /
東カリマンタン / 600,000 / 684,000 / 11月10日
東南スラウェシ / 498,600 / 573,400 / 11月10日
南スラウェシ / 510,000 / 612,000 / 11月14日


「中部ジャワ州の斜陽産業で解雇が始まる」(2005年12月15日)
中部ジャワ州では、今年3月の石油燃料値上げ以来、21の繊維関係ならびに家具関係の会社が7,724人という大量解雇を実施している。もっとも顕著なのは繊維衣料品業界で、そのあとを家具業界が追随している。12月に入ってまたいくつかの企業で解雇が進められており、スコハルジョのPT Tyfountex社は235人の従業員を解雇した。同社は早期退職制度を設けて退職者を募り、予定人数に満たない部分は会社側の説得で減員を行った。この解雇は労使とも合意の上で進められていることで、同社はこれで総従業員数9千人から今年775人を減らしたことになる。プカロガンでもバティック産業が灰色の雲に覆われており、10月の石油燃料大幅値上げで数千人の解雇者が出てもおかしくない状況になっている。プカロガン市にある17のバティック製造会社では、二社がかなり大きい人数の解雇を行い、ほかはまだ少人数しか解雇されていない。


「大企業が大量解雇」(2005年12月16日)
世界最大の即席麺生産者であるPT Indofood Sukses Makmur 社が、年内に現従業員数5万人を4万6千人程度に減らしたい考えであることを明らかにした。この3千5百人から4千人規模の減員のために同社は今年1千3百億ルピアの退職金を用意しているが、この人員合理化は同社にとっても8百から1千億の人件費セーブをもたらすものである、とフランシスカス・ウェリラン同社副社長がジャカルタ証券取引所における企業情報公開発表の場で語った。同社は今年10月、2千9百人への自宅待機措置を既に実施している。今年同社は営業利益の黒字確保に困難な状況に直面しており、当初予定されていた子会社PT Bogasari Flour Mills の株式公開を延期することもその席上で公表した。
一方、大型繊維会社だったPT Texmaco Jaya も3千9百人の従業員に対する解雇を会社側が予定している。同社の生産設備稼働は大幅に減少しており、その状況に即した人員体制としては6百人で十分と判断されている。生産設備遊休状況は運転資金不足がもたらしているものであり、資金注入がなされれば再び人員を増やして生産増強にかかることにしている、とラビ・シャンカル同社代表取締役は述べている。


「改定税法案を診断する」(2005年12月16日)
既に国会に上程されている改定税法案は法案審議委員会が、2006年実施は無理であり、2007年から実施するように、と政府に勧告している。この改定案と2000年税法との間で何がどのように変わっているのだろうか。大きい変更点をまとめてみよう。
1)所得税タリフ: 個人所得税累進税率上限が35%から30%に下がる。法人所得税は30%の単一税率が段階的に引き下げられる。配当金法人所得税は35%から15%に下がる。
2)課税金額: 寄付金をはじめいくつかの経費項目が利益から控除できるようになる。非課税限度額が年間1千2百万ルピアとなる。
3)税務調査期限: 時効10年が5年に短縮される。
4)年次納税申告書(SPT)提出: 法人所得税SPT提出期限が延長される。オンライン申告が可能になる。
それら国民に緩和をもたらしてくれる変更とは別に、国会税法案審議委員会が問題視し、修正を要求している条項がいくつかある。飴ばかりをしゃぶらせてやろうという法案では決してないようだ。
1)納税者番号を得るための登録に関する手続では、納税者に便宜が図られなければならない。ところが第2A条(1)(2)(3)項を読む限りでは、納税義務が生じているにも関わらず遅れて登録申請をしているかどうかが調査され、もしそうであれば刑事罰を適用する、といった納税者をおびえさせる内容になっている。
2)国税職員が捜査権と口座凍結権を持つ問題。第44条2項kに職員の個人的推測だけを根拠にそれを行うことが可能にされており、この条項は納税者への圧迫ツールとして悪用される可能性が高いことから、消去するよう国会側が要請している。
3)封印に関しても、税務調査から帳簿・文書・書類などを隠そうとして置いてある場所、スペース、動産不動産を、推測を根拠に封印できることにされている。
4)第35条(1)(2)項では、銀行、公認会計士、公証人、税務コンサルタント、行政オフィスあるいはそれら以外の第三者に、捜査や調査を受けている納税者に関連する情報や証拠を求める権限が国税総局に与えられている。これは職業上の秘密に関連する職業倫理に反するものと判断される。
5)税関連刑事犯罪について、第13条(4)(5)項に、未納税金額に関連する刑事罰と行政罰が規定されているものの、税関連刑事犯罪が何を意味しているのかについて説明が何もなく、また時効以後の税額査定を許すその他の刑事犯罪についても、内容が不明。
6)モラルハザードの懸念。第38条には怠慢への罰則、第39条には故意でない事務的ミスへの罰則が定められており、怠慢でSPTを提出しなかった者、SPTを提出したが内容に誤り、不備、あるいは正しくないデータを添えた者が国庫収入に損失を与えた場合、3ヶ月から1年の拘留および、納税不足金額の1−2倍の罰金を納めることとなっている。この条項も悪徳職員による納税者犯罪化のツールにされる可能性が高い。
7)SPTに生活費明細を添付するよう個人納税者に義務付ける第3条(1)項の内容は、日常の家計を記帳する習慣を持たないため実際にどのくらいの支出をしているか正確に知らないインドネシア国民に余計な事務作業を強いるもので、納税者の基本的人権に対する侵害である。おまけに生活費は所得税課税計算から控除できるものでなく、まったく関連性がない。
8)納税者が過剰納税分の還付を求め、その内容が国税総局によって修正された場合、行政罰として罰金100%が科されるという第17D条(3)項について、罰金100%はあまりにも大きく、またこじつけを行っている印象がある。またこの条項は、納税者に還付申請をしないよう脅かすツールに使われる可能性が高い。
9)国税総局の査定に不服のある納税者に対するペナルティに関する第25条(7)項は、納税者にその不服分をまず納税するよう命じている。条文では「不服申し立ては納税義務と納税督促実施を遅らせるものではない」と記されており、この条項は悪徳職員による納税者への搾取に、あるいは国税総局への不服申し立てをしないよう納税者を脅かすことに利用されうる。不服申し立てを行う前にまず納税せよという内容は、悪徳税務職員の毒牙に納税者をさらすものである。悪徳税務職員が好き勝手に巨額の不足納税確定書を発行すればどうなるか・・・?このコンセプトは潔白前提原則に反しており、また発生税額の50%だけを納めることを義務付けた税務法廷に関する2002年第14号法令第36条(4)項の精神にも反している。
10)国税総局の決定に対して税務法廷に上訴しようとする納税者に、まず決定額の50%納税を命ずる条項は、国税総局が恣意的に巨額の不足納税額を決定する機会を与える。これも上述のポイント9)と同じで、悪徳税務職員によってもてあそばれる機会を作るのみならず、潔白前提原則に反している。
11)税務調査に関する問題。第29条(1)項、第31条(2)(3)項では、納税者の遵法性を試験するため、あるいは税法規の規定実施の枠内における他の目的のために、国税総局は調査を行う権限を有する、と記されているが、「他の目的のため」という言葉はあまりにも幅広い解釈が可能であることから、モラルハザードのリスクを生んでいる。おまけに税務調査官は調査結果を納税者に知らせる義務がなく、その調査に納税者が列席するのも納税者の権利でなく、国税側のお情けのような印象を与える。
12)税務職員による納税者の権利侵害について、第36A条(2)項では単に、故意に権限を悪用した職員、納税者の権利を侵害した職員は大蔵省内部部門に訴えることができる、とだけ記されているが、その内部部門とはいったい誰を指しているのか、国税総局から独立したものであるのかどうか、何の規定もない。


「みんなやってる社内コルプシ:購買編」(2005年12月19日)
ある工場では、メイン原料入荷の安定を図るためにサプライヤーを増やした。生産量が急激に増えているこの工場は、従来のように一社だけに頼っていると、そこの納入遅れで工場のアウトプットが大きい影響を受ける。突発的市場調達をすればコストがあがる。一定コストで安定的供給を受けるには、長期契約が一番良い。こうしてこの工場は、同一原料のサプライヤーをもう二社増やし、一挙に三社とした。
サプライヤー選択は工場経営陣がすべての決定を下した。その手足として動いたのが購買部門であるのは言うまでもない。その原料がサプライできそうな相手を十社ほど洗い出し、サンプルと見積もりを取り寄せたうえ、経営陣が選び出した候補者四社に対して契約書を示しながら交渉し、こうして最後に残った二社と購入契約が結ばれた。残念ながら価格は、従来からのA社と新規のB社は同じだが、もうひとつのC社は少し高い。だがC社は生産設備に大きい投資をしており、そのおかげで生産ロットごとの品質バラツキがきわめて小さいことを経営陣が理解していたため、価格高に対する抵抗はほとんどなかった。言い換えれば、A社とB社の原料を使ったときは製品不良率が高まる可能性が高いことを、それは意味している。
新サプライヤーからの納入が始まる前に、工場の購買と受け入れ倉庫のマネージャーが頻繁に相手方と業務の進め方についてコンタクトを持った。そして例のごとくひそひそ話しが交わされた。お互いに自分の会社の職務をつつがなくこなしていくためには、相互の理解と協力が必要であり、そんな関係を打ち立てるためには円滑費なしには済まない、というインドネシアの常識がそこでまた語られた。B社の営業担当者は即座に諒承した。ところがC社の方は、個人的には十分理解しているものの、現実にそれを行うのは難しい、と言う。C社経営陣はこの種の行為にきわめて否定的で、会社からそのための経費が出る可能性はゼロに近い、とC社の営業担当はこれまでの経験を物語った。その後納入が開始され、ニ三ヶ月は順調に過ぎた。B社からは期待通りのものが実現しているのに、C社からはなにもない。C社の担当者にほのめかせても、色よい話がない。こうしてある日、工場の購買マネージャーと倉庫マネージャーの間で、短い会話が交わされた。「そろそろやるか?」「よし、やろう。」
B社からの10.3トンの納入があった月、倉庫の受け入れ帳簿には10.5トンと記された。その月、C社からの10.5トンの納入は帳簿に10.3トンと記された。そんなことが数ヵ月繰り返された後、購買マネージャーはB社を訪れ、円滑費がもって出てもおかしくないのではないか、と要求を出した。要求はすぐに呑まれ、B社は納入時に発行する送り状の水増しを即座に始めた。水増し量は、誤差と思える程度にとどめること。実態は不足しているというのに、検収はすべてOKになった。誤差と思える程度の不足が毎回発生するC社から苦情が来たが、それをコルプシ策謀だと立証することは、だれにもできなかった。


「今年11月までの解雇者数」(2005年12月19日)
労働省の集計によれば、今年11ヶ月間の解雇件数は3,481件で、解雇者数は109,382人。昨年の年間データは件数4,099件、人数153,851人となっているが、そのいずれにせよ全国総数とは言えない、とガンディ・スガンディ労使紛争調停局長は語る。地方自治法が施行されて以来、全国レベルの正確な数値がつかめなくなった、と同局長は言う。州政府から中央政府へという流れだけでなく、県レベルから州レベルへという地方自治体の中でさえ、報告や情報の流れが的確に行われていない。「2005年11月の解雇に関する数値は、件数11解雇者9,511人となっているが、30州中わずか8州があげてきた報告数値の集計がそれだ。他の22州でまったく解雇が行われなかったはずがない。」
ソフィアン・ワナンディAPINDO会長は、2006年の前半6ヶ月は、実業界にとって守りに入る時期だ、と語る。「石油燃料大幅値上げが引き起こした諸問題に加えてこの先、電力料金値上げ、銀行金利上昇、最低賃金アップなどの要因が待ち構えている。新規投資や事業拡張などアグレッシブな手を打つのは難しい。反対に事業を縮小して力を蓄える企業の方が多くなるかもしれない。だからこそ、政府は投資環境の改善を強く推し進めなければならない。」同会長はそう語る。
イ_ア大学経済専門家ファイサル・バスリ教授は、30兆ルピアを超える今年の政府予算残高を農村部での労働集約プロジェクトに使用せよ、とアドバイスする。30兆が農村部に賃金として流れたら、その90%が消費物資の購入にあてられ、そのほとんどは国内産品であるため、一部産業で需要増が発生する。労働力がそこへ吸収されるようになって、3千億ルピアの経済効果を生むことになるだろう、との談。


「スラバヤで最低賃金反対デモ」(2005年12月20日)
2006年の最低賃金を定めた東ジャワ州知事令第188/286/KPTS/013/2005号の撤廃を要求して19日、スラバヤ周辺から集まった労働者が市内で大規模なデモを展開した。陳情行動はパハラワン通りの州庁舎からぺルニビルまでを埋め尽くして行われ、デモ隊は州知事への面会を要請したが、イマム・ウトモ東ジャワ州知事は州議会に出席していたため、デモ隊に顔を見せることは実現しなかった。州知事はこのデモに関して、各県市の首長と賃金コミッションが訂正を申し出てくれば州知事令の変更はありうるが、いくらデモ隊から懇請されても、わたしが自主的にそれを変更することはありえない、とデモ隊のターゲットがお門違いであることをほのめかせた。
数千人にのぼるデモ隊が道路をふさいだために,市内の州庁舎周辺は交通渋滞が発生した。昨日のこのデモに参加したのは、スラバヤ、パスルアン、モジョケルト、シドアルジョ、グルシッなどにある企業で働く労働者で、中にはルンクッにあるUDSolihin, PT Chiyoda, PT Inpex, PT Rajasa、またPT Maspion IVからも全従業員がこの行動に参加した。陳情行動が始まったあとも、しばらくするとルマジャンやジュンベルなど地方部からの労働者が続々と詰め掛けてきた。全国労連スラバヤ支部長は、スラバヤだけで8千から1万人が参加しており、最終的には2万人を超えるだろう、と大規模動員の成功を訴えていた。


「来年の昇給はインフレ率確保を」(2005年12月21日)
州別最低賃金は、その州内の会社にとって支払能力の下限をベースにする賃金保証であるため、最低賃金の算出方式にはその州のインフレ率と会社の支払い能力を要素として盛り込まなければならない。最低賃金算定はそのような方向で整備される必要がある。新任のエルマン・スパルノ労相は20日の経済閣僚会議のあとでそう語った。地元のインフレ率が最低賃金上昇の基本要素とされるため、その算定方式に基づけば、最低賃金の上昇は州のインフレ率より低くなることがない。
一方、既に州知事令が出されている2006年度最低賃金に対して、東ジャワ、西ジャワ、バンテン、バリ、南スラウェシ、中部スラウェシの諸州で20日、労働団体による見直し要求のデモが繰り広げられた。中部スラウェシ州パルでは、月額49万ルピアと定められた来年の最低賃金では生きていけないとして、地元福祉労組連盟がコーディネートしたデモ隊が65万ルピアへの改定を要求して気勢をあげた。デンパサルでもバリ労働者連帯に所属する労働者が州庁舎と州議会に陳情し、14%の賃金上昇では生活に困るとの要求を示した。バンドンではおよそ1千人のデモ隊が西ジャワ州庁舎前でデモを繰り広げ、閉鎖された表門を揺すったためにフェンスが破壊された。
2006年の最低賃金額に対する労働者の不満表明が相次いでいる中で、ソフィアン・ワナンディAPINDO会長は、実業界も困難な状況の中にいることを、労働者は理解して欲しい、と呼びかけた。「会社がまだ存続し、解雇が行われないというだけで、ありがたいことだ。金利率、石油、労賃、運送費、電気代、ありとあらゆるものが値上がりしているのだから。最低賃金は、実業界、労働界、政府が集まって、賃金評議会の中で協議され、合意されたことがらであり、問題は、労働者グループがあまりにもたくさんあり、労働者代表として協議に参加できず、またその結果を受け入れられないグループが存在していることだろう。実業界はインフレ率だけ従業員の賃金を上げてやってほしい。その上でまだ余力があれば、上乗せをしてあげればどうか。」同会長はそのように述べている。


「改定税法案に見る国税の暴虐」(2005年12月21日)
既に国会に上程されている改定税法案パッケージ内のひとつ、改定所得税法案の中に、国会が反対している問題が四つある。
まず第4条3項にある、一親等間での贈与に対する所得税課税だ。現行税制内でこれは非課税になっているため、課税対象への変更ということになる。この変更は、所得税を納めて入手してある資産を、一親等の家族に対する援助に使う際にまた課税しようというものであり、公平さが感じられず、また二重課税と考えられる。この規定は反対に、不当な方法で入手した資産を安く合法化する手段に利用される可能性もある。汚職などで入手した土地家屋を、親から贈与されたと称して納税すれば、一見合法的なものにしか見られず、また分離式最終課税であるため累進式の高税率は適用されない。
二つ目は、ホールディングカンパニーに対する二重課税問題で、第4条3項f(2)は株式会社が得た配当金や利益の一部が繰り返し課税されることを可能にしている。国会税法案審議委員会はこれを国税の暴虐と呼んでいる。
三つ目、販売と販促に関わる費用。法案では、この経費は税額計算から控除できるものにされていない。他の国ではたいていが控除できるものにされているというのに。
四つ目は、納税者番号を持たない納税者に対する制裁があげられている。同じ者が納税者番号を持っているかいないかで納める税額が違ってくるというのがこの条項で、税種によっては納税額が二倍も違ってくる。この条項は社会不穏を招く惧れがある。
というのは、今納税者番号を持っていない者の大部分は中下級所得層で、人数は数千万人にのぼる。かれらが納税者番号を持とうとしないのは、その意味合いを理解しておらず、また国税総局の悪イメージを怖がっているからであり、この社会層は容易に国税総局悪徳職員の搾取と圧迫の餌食になりかねない。インドネシアの勤労者の多くも所得税を納めているものの納税者番号を持っていない。かれらを雇用する会社が所得税を源泉徴収して納税しているため、自分自身で税務署と関係を持つ必要がなく、だから納税者番号を持とうとしない。改定税法案では、そんなかれらが納税者番号を持っていないというだけで高い税率が課され、納税額が増加し、手取額が減る。
大きく焦点の当たっているのはそれらのポイントだが、SBY大統領以下が諸階層からの提案を受け入れると述べているにもかかわらず、法案内の条項や規定に対して頑強に自分の主張を言い張っている。国税総局は、納税者の呼称を従来のwajib pajak(納税義務者)から提案されているpembayar pajak (税金支払い者)に変える意思を持っていない。


「ブカシ県2006年最低賃金」(2005年12月22日)
ブカシ県・市の2006年度最低賃金に関する西ジャワ州知事令第561/Kep.1392-Bangsos/2005号が2005年12月19日付で制定された。2006年1月1日からの実施と定められたブカシ県・市の最低賃金は産業セクターによる分類で、下のようになっている。
ブカシ県
a。最低賃金 Rp824,026.34
  対象セクター : 自動車完成品、化学医薬品、生ゴム製造、製紙、発電と石油ガス鉱業、ベースメタル、自動車部品、家電製品。
b。最低賃金 Rp822,073.67
  対象セクター : 楽器、通信機器部品、自動車サブ部品、家電品用部品、建設、商業サービス。
c。最低賃金 Rp820、121.00
  対象セクター : 木材、衣料品、銀行・保険、星級ホテル・レストラン、輸出入業、家庭事務所用プラスチック・ガラス、家電品用サブ部品、紙プラスチック包装、繊維。
ブカシ市
a。最低賃金 Rp824,000.00
  対象セクター : 自動車完成品、化学医薬品、生ゴム製造・製紙・プラスチックシート、自動車部品、ベースメタル、飲食品、金属加工、包装・ベースケミカル、家電品用部品、木材輸出、三分の二以上を輸出している繊維衣料品。
b。最低賃金 Rp820,500.00
  対象セクター : 銀行・保険、星級ホテル、輸出入業、卸売業、国内販売を主にしている繊維衣料品、玩具・アクセサリー、履物、畜産、家具、印刷・出版、家庭事務所用品用プラスチック加工。
c。最低賃金 Rp795,000.00
  対象セクター : 修理サービス、商店・小売業、学校・病院等社会サービス
この決定に対して、労働界も実業界もそれぞれが「低すぎる」「高すぎる」と反対を表明している。


「税収目標達成に大口納税者を追え!」(2005年12月23日)
今年の改定予算税収目標国税総局分302兆ルピアに対して、12月1日時点での税収実績は51兆不足していた。しかし15日間で26兆が回収されたため、あとは15日間で25兆ルピアが確保され、今年度税収予算がまっとうされることを最大限に期待している。国税総局長から各税務サービス事務所に対して檄が飛んだ。中でも期待されているのは、産業センター地域に集まっている大口納税者からの税収確保。
21日、バタムで新たに開設されたメディアムタックスオフィス(MTO)は、大型納税者を担当するラージタックスオフィス(LTO)に対応するものだが、最先端の設備とプログラムを使った29のタックスオフィスは全国の税収の65%を担っており、バタムのMTOはジャカルタ外ではじめてのもの。バタムMTOの税収はリアウ州全体の1.9兆ルピアのうち30%を占めている。
「バタムMTOは初年度10%増、二年目は20%増を実現しうるものだ。その担当下には193のPMA企業と107の大型企業があり、担当地区の税収源泉となっているのだから。」国税総局長はバタムMTO開所式典の場で、税収確保業務のターゲットをそのように示唆した。


「また大量解雇1千5百人」(2005年12月23日)
養鶏をコアビジネスにしているシエラッ・グループが1千5百人を解雇した。PTシエラップロデュ−ス社はコアビジネスに関わっていない子会社ニ社を売却する予定にしており、その二社の従業員8百人に加えて人員合理化を目的に7百人を過去二ヶ月間で解雇した。このため、従来は6千人いた同グループの従業員は4千5百人に減少している。エコ・サンジョヨ、シエラップロデユース社取締役社長は、この解雇で毎月20から30億ルピアの経費節減が可能になる、と述べている。同グループが売却を予定している子会社とは、医薬品と動物用ビタミンを生産するPT Biotek Indonesia および国際レストランチェーンWendy'sのインドネシアにおけるライセンスを保有しているPT Wendy Citarasa 、そしてHartz Chicken Buffet Restaurant を経営しているPT Sierad Pangan の三つ。それらの会社は過去二年間で黒字転換ができず、経済状況も悪化していることから来年の売却が決断されたもので、購入希望者は既にある、とのこと。ウエンディズは来年初に売り渡したいと同社は希望しているが、ライセンス保有者のウエンディズインターナショナルの了承がおりなければならず、思うに任せない要素があることを同社長はほのめかしている。


「東ジャワ州2006年最低賃金見直し」(2005年12月24日)
スラバヤで今週初めに労働者の大規模な2006年最低賃金反対デモが行われた。イマム・ウトモ東ジャワ州知事はそれに反応して、既に制定した州知事令第188/286/KPTS/013/2005号の中に定めた655,500ルピアの施行を保留し、見直しを再度行うように各地方首長に差し戻した。その州知事の姿勢に対して、実業界が強く反発している。
アピンドを代表して賃金評議会のメンバーになっているジョンソン・シマンジュンタッは、「賃金評議会の席に連ならなかった勢力からの圧力で、既に制定された州知事令が変更される、というのは根拠に欠けることだ。このようなことが行われれば、東ジャワ州産業界に悪しき前例を残すことになる。州庁舎前でデモを行い、655,500ルピアの最低賃金に反対し、更に上乗せを要求したいくつかの労働団体は、国民労組(SPN)、民衆労組(SBR)、および非労働者グループなどであり、賃金評議会に参加しなかった者たちだ。」と正規の場での協議に加わらず、力ずくで横車を押すような勢力に譲歩する州知事の姿勢に不満を表明した。賃金評議会に参加し、州知事に対するリコメンデーションにサインしたのは、SPSI、Sarbumusi、SBSI、Gasbiindo、SP-BUNなど。


「みんなやってる社内コルプシ:生産〜品管編」(2005年12月26日)
「昨日の生産分1,382個はそこに置いてあるから、よろしく頼むよ。うちの取り分は24個だ。」
「よし、こっちの分け前はいつも通りだな。こっちは現金さえもらえりゃいいんだから。」
生産部完成工程の職長が品質管理の職長と会話している。はて、何をしようと言うのだろう?この工場では家庭用電圧安定器を製造している。
後で品質管理の職長が部下に、生産部の職長の言葉を繰り返した。その日の夕方、品質管理部門から生産部に35個の不合格品が戻された。本当に規準を満たさない11個と、まったく問題のない24個が逆戻りし、日報には不合格品35個が生産工程に戻されたことが記載された。
35個を受け取った生産部は11個を修正のためにまたラインに戻し、24個は部品置き場がいっぱいだという理由で製品倉庫に預けた。製品倉庫主任もこのコルプシ策謀に一口乗っているため、倉庫がどんな状況であろうとノーは決して言わない。こうして二ヶ月ほどがたち、生産部完成工程の職長が倉庫主任に連絡した。
「X月X日の24個は今日、出荷できるかな?」
「ああ、今日はOO方面にトラックが三つ出る予定になってる。かなりの量だから、分割する必要もない。」
「じゃあ、いつもの住所にその24個を下ろしといてくれ。謝礼はいつもと同じだ。」
倉庫主任はオッケーの言葉と共に行動を開始した。配送係りから今日の予定を確認する。そして4百個というロットが積まれるトラックに24個の追加を指示した。大手電気店の倉庫と中級卸販売店という二ヶ所に加えてもうひとつ別の行き先が運転手に指示される。配送伝票が付かない24個がそのトラックに積み込まれた。会社の正門ゲートを通る際、警備員は配送伝票の数字を見、トラックの荷台を一瞥しただけで、OKを出した。
こうして白昼堂々と闇から闇に移された一級品質の製品は、市場小売価格の50%から80%引きで一般商店に持ち込まれたり、あるいは住宅地をピックアップで回る巡回商人に売り渡され、超廉価で最終消費者の手に渡っている。


「労働5問題の解決を」(2005年12月26日)
現行労働法改定に関するエルマン・スパルノ新労働相のコメントに関連してアピンドは、労働法改定だけでなく、労働関連5問題の解決も劣らず重要であり、政府は2006年中にそれらを解決するための十分な努力を払って欲しい、と要請した。その5問題についてアピンド=全国事業者評議会の法制度労使関係部会長は、こう再確認している。
1)2000年法令第21号が数万の労働組合誕生を推し進めた元凶であるため、早急に改正されなければならない。わずか10人のメンバーがいれば組合が編成でき、労働界との統一が取れた話がまったく進められなくなってしまっている。ある組合とAという交渉がまとまっても、別の組合がBでなければだめだと言ってそれをご破算にする実態が生まれている。
2)2003年第13号法令「労働法」の、解雇の際の事業者側に対する重すぎる補償と、解雇に行政が干渉することを許している条項は改定されなければならない。労働界はその条項がなくなれば、事業者が好き勝手に従業員の首切りを行うという不安を抱いているが、現実にはそんなことは起こっていない。
3)最低賃金に関する1999年労働大臣令第1号のシステムはロスが大きい。毎年定めなければならないので、毎年全国的な大騒ぎを繰り返している。ところが最低賃金というのは、勤続1年未満の独身者を対象にしたものであり、大半の労働者はそのカテゴリーにあてはまらない。
4)スト・職場放棄問題。ストは交渉が合意に達しなかったときに労働者が振るう権利だが、公正な規則に従って行われなければならない。
5)従業員に対する保険をはじめとする、投資環境に対して不健全な地方規則を、政府は指導整備するべきである。雇用者は従業員を労働保険に加入させているが、それに上乗せして地元自治体が別の保険加入を強制しているようなケースが多く見られる。
最後にアピンドは労働省に対し、勤労者労働者に対する技能訓練を充実させ、より高いレベルに引き上げるプログラムを実施してほしい、と要請した。技能サーティフィケートを持つことで、高い競争力と生産性を身に付けた人材が雇用されるようになれば、産業界の業績向上に大きい助けとなるに違いない、と実業界は期待している。


「2006年度州別最低賃金」(2005年12月27日)
労働省のデータによれば、12月26日現在で2006年最低賃金を定めた州は全国33州中25州となった。最低は東ジャワ州の390,000ルピア、続いて西ジャワ州447,654.28ルピア、中部ジャワ州450,000、ジョクジャ特別州460,000、バリ州510,000といった順。最高はアチェ特別州の82万ルピアとなっている。例年最高の首都ジャカルタは81万9千1百ルピアで第二番目。
アチェは775,000ルピアという適正生活需要を100%以上満たしている。一方東ジャワ州は、適正生活需要が580,054ルピアなので、最低賃金はそれより33%低いことになる。
ところで東南スラウェシ州は、2003年労働法および2005年労相令に反して、適正生活需要ではなく最低生活需要を指標として2006年最低賃金を定めたことが明らかにされた。最低生活需要算出要素は43品目だったが、適正生活需要の場合は46品目を用いるよう増やされている。同州知事が定めた2006年最低賃金は573,400ルピアで、2005年の498,600ルピアから15%アップしている。労働省はこの問題について、最低賃金決定は法規通りに行われなければならないが、東南スラウェシ州知事が行ったことはそれなりの情況に迫られてのことと思われ、労働省は規定違反という面を重視することはしない、との姿勢を打ち出している。


「東カリマンタン州で最低賃金見直し」(2005年12月28日)
東カリマンタン州知事令第561/K.348/2005号ですでに684,000ルピアと定められた2006年最低賃金を見直すよう、州知事が賃金評議会に指示した。その2006年最低賃金決定に際してはインフレ率基準値として14%が使われているが、現実には同州のインフレ率11月累計実績は16%、そして12月末では18%が見込まれており、その開きがかなり大きくなっていることから、州知事が見直しを指示したもの。ちなみに同州の2005年最低賃金は630,000ルピア。
州内の適正生活需要を見ると、もっとも低いのはサマリンダの764,000ルピア。しかし中には100万ルピアを超える地区もある。2006年最低賃金に関する州知事令が制定されると、労働団体は反対デモを行って州最低生活需要である754,000ルピアへの改定を要求していた。実業界はこの改定問題について、賃金評議会が規定のメカニズムに従って算定することに反対する意図は無いが、算定規準は最低生活需要にせよ、適正生活需要にせよ、インフレ率にせよ、それだけが決定要因ではなく、会社の支払い能力つまり客観的な会社の情況も考慮されなければならない、とコメントしている。


「来年の保険業界」(2005年12月28日)
ロスレーシオの増大が事業利益の大幅な減少を招いていることから、保険業界は来年から保険引受をセレクティブに行う傾向を強めようとしている。「利益確保のためにあらゆる支出を抑えること、特にクレーム支払いを減少させて費用効率を高めることは重要なステップであり、リスク選別を厳しく行い、また競争力のある保険料率を設定することも避けられない戦略だ。」と業界者は語る。リスク選別とは保険加入申し込みから証券発行までのプロセスを、厳しいチェックをかけて行っていくことを意味している。
2005年の保険クレーム多発は、保険料率設定ファクターであるロスレーシオの増大をもたらした。今年の自然災害の多さのために、ロスレーシオは40%をはるかに超えている。ロスレーシオポジションが上がっているために引当金が増加し、結果的に利益が削り取られているのが実態で、ロスレーシオが50%を超えれば利益がほとんどないも同然となるのは人件費をはじめとする事業経費が高いから、とのこと。
大蔵省のデータによれば、保険業界が2004年に支払ったクレームは5.2兆ルピアで、2003年の5.3兆とほとんど横ばい。また一般保険協会のデータは、2000年が5.1兆、2001年は跳ね上がって5.7兆、2002年5.2兆という推移を示している。一方でプレミアム収入は顕著な増加を見せており、2000年6.9兆ルピア、2001年10.3兆、2003年14.5兆、2004年16.7兆という上昇カーブを描いている。


「従業員が強盗に早変わり」(2005年12月29日)
勤続四年になるが、一週間に三日くらいしか出勤しない規律欠如の運転手に解雇を言い渡したところ、その運転手が事務所で強盗をはたらいてから逃走するという事件が27日早朝に起こった。その舞台になったのは、南ジャカルタ市マンパンプラパタン地区にあるムルティカビル4階406号室を事務所にしているPTクレイシンインドネシア社。同社は携帯電話アクセサリー取り扱い事業を行っている。
27日午前7時45分ごろ、クレイシンの従業員サンドラワティがいつものように出勤したところ、解雇を言い渡されたヘル・ウィディアントが事務所の中にいた。ヘルはサンドラに刃物を示して抵抗しないよう脅し、一緒にいた覆面姿のヘルの仲間ふたりがサンドラの手足をコンピュータマウスのケーブルでしばり、口にガムテープを貼って同社取締役韓国人イン・ソーチョンの執務室に閉じ込めた。その後出勤してきた従業員ひとりひとりを同じように縛り上げ、総勢9人が取締役室に閉じ込められた。その中には、オフィスボーイをしているヘルの実の兄と弟も含まれている。言うまでもなく、イン・ソーチョン取締役も9人の中のひとり。
従業員を全員閉じ込めてから事務所の表扉に「会議中」の札をかけ、中から扉の鍵を閉める。スリ・ワヒユニ取締役代理の戒めを一旦解いて、金庫を開けるよう命じた。金庫の中に眠っていたのは7万5千米ドルと2千5百万ルピア。それを手に入れた三人の盗賊は、被害者たちが身に着けていた貴金属装身具や携帯電話を取り上げ、全員が縛り上げられているのを確認してから姿を消した。警察はその三人を追っている。


「最低賃金は毎年提示されなければならない、と労組連盟」(2005年12月29日)
インドネシア福祉労組連盟が最低賃金の廃止に反対している。エルマン・スパルノ労相がしばらく前に表明した、基本給・地区のインフレ率・企業の支払能力に基づく最低賃金算出公式に関連して、同連盟が要望したのがこれ。レクソン・シラバン同連盟議長は、最低賃金に従って賃金給与をもらっている従業員は全国で13%しかいない、と実情を物語った。フォーマルセクターで働く4千4百万労働者のうちわずか13%しか最低賃金制度の恩恵をこうむっておらず、残りの労働者は会社の支払能力と大量の失業者という現実の中で、最低賃金に満たなくとも失業するよりはマシとして低賃金に甘んじている。そんな状況であるがために、州別最低賃金が定められなくなれば、87%の労働者には手がかりが消滅し、社会保全上の混乱が労働者に抑圧をもたらすことになりかねないため、これまで通り毎年、最低賃金の提示がなされる必要がある、とその理由を説明している。
最低賃金にまつわる問題について同議長は、今の定例的な陳情騒ぎはシステム上の欠点があるため、改善されなければならない、とその方策を示唆した。同議長の提案によれば、現行制度では、支払能力が一様でない実業界に対し、それを無視して一様の義務付けを行っていることに不合理があるとのこと。「輸出指向の大企業と国内市場を専門にしている中小企業の区別がなされていない。有名ブランドの靴を生産している輸出指向の会社と国内向け生産者、5星級ホテルとジャスミン級ホテル、大手チェーンレストランと小規模飲食店を同じように扱えるわけがない。最低賃金が給与の指標として扱われるなら、労働者の福祉達成は決して実現しないだろう。州別最低賃金は全労働者の中でもっとも少ない賃金をもらう者にとってのものであるべきだが、今は賃金支払いの平均参照値という意味を持たされている。」同議長はそう語っている。


「続・東カリマンタン州で最低賃金見直し」(2005年12月30日)
東カリマンタン州知事が賃金評議会に対して2006年州別最低賃金の見直しを指示したことは既に報道されているが、労使政府の三者協議機関である賃金評議会の事業者側代表がその修正を拒んでおり、既に評議会が都知事に提出した推薦金額である684,000ルピアは変更しないことを主張して協議は硬直している。マスリ・ハディ同州労働局長によれば、既に評議会が決定した2006年最低賃金がむりやり引き上げられれば従業員解雇は避けられない、と事業者側が強く主張しており、仲介の糸口がつかめないでいるとのこと。一方同州労働団体は、州知事令の数字は絶対承服できないとして、引き上げがなされないなら一斉大規模職場放棄が起こる、と宣言している。労働者側はこの罷業を来週から開始する予定にしているため、1月早々からの就業に異変が起こることが予想されている。


「パスルアンでも最低賃金上方修正要求」(2005年12月31日)
29日、東ジャワ州パスルアン県で、およそ2千5百人の労働者が県庁前で陳情行動を展開した。デモ隊が要求したのは、2006年最低賃金を適正生活需要である739,000ルピアまで引き上げること。既に定められた2006年パスルアン県最低賃金は665,000ルピアとなっている。
要求を掲げたデモ隊代表とそれに応対した県令代理との間の議論は紛糾したが、最終的に県庁側は県の適正生活需要である739,000ルピアが県最低賃金候補であることに同意した。しかし県側は、同県事業者協会が2006年最低賃金の665,000ルピアを変更する意思がないことも明らかにしている。