「インドネシア市場情報2006年」


「Clearシャンプーに2千7百億の広告宣伝費」(2006年1月4日)
2005年の広告宣伝市場は23兆ルピアに達し、2004年から5%成長した、とニールセンメディアリサーチが報告した。最大シェアを握る媒体は例年のごとくテレビで、全体の70%を占めている。数あるテレビ媒体の中では、RCTIが広告収入高でナンバー1となった。新聞は26%、雑誌は5%といったシェア配分。製品広告ではトイレタリーと化粧品が成長凄まじく、2004年から33%の増加を示している。中でも激しい宣伝ドライブがかかったのはヘアーケア商品で、Clear Anti Ketombe には総額2千7百億ルピアが投入された。このカテゴリーではほかにDove やSunsilk Nutrient が目立っている。別カテゴリーでもExtra Joss が昨年の二倍もの広告費用を注ぎ込んで華々しい宣伝を展開した。昨年実績に対して伸び率の著しいカテゴリーは、タバコ、ヘアーケア商品、通信機器、オートバイ、メディアとプロダクションハウス、銀行金融界、健康飲料、石鹸、企業広告・公共サービス広告、洗顔用商品がトップ10をなしている。


「都内シーフード屋台のメッカはプチェノガン通り」(2006年1月9日)
夕方から道路両側にシーフードの屋台店が7百メートルに渡って軒を並べて開店する中央ジャカルタ市プチェノガン通り(Jl Pecenongan)。かつては安くてうまいシーフードを食べさせてくれるメッカだったこの通りも、最盛期を超えてスラム化が進んでおり、ごみごみして薄汚い印象を与えている。都庁は今年、この地区の再活性化をはかる方針を決めている。
プチェノガン通りで営業しているテント屋台は32軒以上。そして飲み物を売る商人や軽食を作って売る屋台も数多い。休日前夜などには、飲み物商人の一晩の利益は40万から50万ルピアに達するそうだ。シーフード屋台の方も一晩70万ルピアは下らず、時には1百万ルピアを超えることもある。ここへやってくるのは、家族連れが大半。5人から10人くらいの大ファミリーが一度に押しかけてくる。外国人の姿も少なくない。イタリー人、インド人、アメリカ人、日本人・・・・・。
テント屋台の大半は祖父母の時代から引き継がれたきたもの。中には持ち主が代わって二年ほど前からやっている店もある。都庁はこの地区の再活性化を図ることで、都の収益増を期待している。


「デポッにハードディスカウント店がオープン」(2006年1月13日)
PTヘロースーパーマーケットがデポッに大型ディスカウントショップをオープンする。ヘロースーパー、ジャイアント、薬局ガーディアン、コンビニエンスストアのスターマートを全国に260店設置し、1万8百人を雇用している同社がデポッに開店を予定している店は、Mitra Toko Diskon。床面積1千5百平米の大型店舗の中は、国内にこれまでなかった新コンセプトによるパレット方式商品陳列と簡素なレイアウトで、店内の飾りつけはほとんどない。徹底的なオペレーション経費カットで商品価格を抑えに抑え、大きいディスカウントを実現するというコンセプトの実施を目指している同店で扱われる1千アイテム以上の商品は、生鮮アイテムはなく、国産日用品がメインになる。販売ターゲットは中流から下の階層で、市場で物価が高騰しているさなかに、この廉価店を代替マーケットとしてオファーし、低所得層市場に斬り込むかまえ。


「CDMA携帯電話の競合激化」(2006年1月17日)
インドネシアの携帯電話市場は、長い間GSM方式のひとり天下だったが、ここ数年CDMA方式オペレータの増加とともにその利用者も顕著な上昇を示している。2003年にCDMA方式携帯電話契約者数は267,654件だったが、2004年は197万を数え、2005年6月には438万に達したというから、その勢いは凄まじいものがある。
固定電話事業を行っているPTテルコムが運営するフレクシ(Flexi)は、2005年末で410万利用者を抱えているとのこと。かつてラテリンドという名前だったバクリテルコムが売るエシア(Esia)は2005年末で40万オーバーの利用者を擁し、2004年末の25万から大上昇。モバイル8のフレン(Fren)は昨年末で130万の利用者を持ち、インドサットのスタルワン(Star One)顧客は昨年末時点で10万で、東ジャワのスラバヤとマランではプリマセルが容量10万回線分の施設を建設済みだ。
インドネシア市場に3G導入の波が押し寄せたとき、政府は使用周波数帯の調整を行ってフレクシとスタルワンを800MHzに移させた。エシアとフレンにとっては、競合大手の周波数変更による手間取りが追い風になったにちがいない。今やエシアはインドサットとの間でネットワーク共用提携を行っており、エシアはサービスエリアを一気に全国レベルに引き上げたかっこう。携帯電話市場で料金が数年前から30%ほど低下しているが、価格破壊の先鞭をつけたのがそのエシアで、低料金と長通話時間を市場に持ち込み、市場全般の料金体系を引き下げたことは特筆に価する。


「ディスカウントショップの将来性は高い」(2006年1月30日)
大規模小売業界は今後一層ディスカウントショップビジネスへの傾倒を深めるだろう、とACニールセンがコメントした。既にそれを行っている業者はPT Matahari Putra Prima のカットプライス・ディスカウントショップとへローグループのミトラ・トコディスコンのふたつ。
購買力が低下したインドネシアの消費市場にとってディスカウントショップは高い将来性を持っている、とACニールセンは説明する。その店の価格は安い、ということを消費者に印象付けることができれば半ば成功したも同じであり、そのためにはオペレーションコストを可能なかぎり切り詰める必要があり、冷房も節約し、店内インテリアも簡素に努め、商品陳列も限られた棚を最大限に利用するために、店内は一見倉庫のように見える。店内に置かれる商品は回転の速い日常必需品がメインで、各品目について人気の高い5ブランド程度が置かれ、店内陳列スペースは常に商品で満たされている状態に保たなければならない。そのコストダウンを販売価格に反映させ、ハイパーマーケットより安い値付けができれば、発展間違いなしである、とACニールセンはコメントしている。


「ロンボッのダイヤ」(2006年2月1日)
グラバ(gerabah)。粘土を焼いて作られた台所用具を指す言葉。かめ、なべ、釜、鉢、椀、土瓶、皿・・・。素朴な味わいに加えて実用性も備えている。グラバの本場はロンボッ。人はそれをロンボッのダイヤモンドと呼ぶ。もちろん実用品ばかりではない。人型や動物の形をした置物も数多く作られている。屋根の上に置いて落雷除けのまじないに使われるものもある。重厚感に満ちた茶色や黒色の什器は、人間の暮らしに安らぎをもたらしてくれる。
ロンボッのグラバは伝統工芸品。どうしてグラバ製作の伝統がロンボッに出来上がったのだろうか。ロンボッ先住民ササッ族が伝えてきた民話の中にその秘密が語られている。ササッ族の間では、いまだにリンジャニ女神信仰が受け継がれている。あるとき女神は、米をどのようにして炊こうかと思案している夫婦に、一羽の鳥をつかわした。その鳥、マヌッブレは、女神の教えを人間に伝えた。山で取れる粘土を使って釜を作るのだ。こうして、釜、水差し、かめ、皿、コップなどが作られるようになった。最初それらの什器は、自分の需要を満たすためにだけ作られていたが、そのうち専門化が起こり、その村で得意なものがたくさん作られるようになると、自分の村で不得意なものを作る別の村にそれを持っていってバーターが行われるようになった。しかしそのうちに結婚でやってきた他所の村の女が自分の得意なものを作るようになって、村の中で自給が進んでいった、というグラバ作りの歴史も聞かされる。ロンボッには、グラバの材料である黒色や赤色の粘土がたっぷり取れる。白い粘土もたくさんある。
ロンボッのグラバは1990年代に黄金時代を迎えた。当時、グラバから得た金でハジ巡礼にのぼったロンボッの人々は多い。粘土をこねて砂を混ぜる。ろくろも使わないで形を作り、石で叩きながら什器の厚みをおよそ2ミリの均一なものにしていく。村の老女たちがそんな伝統的な製法で作る什器は、寸分たがわないサイズで出来上がる。グラバを作るのは女の仕事なのだ。小さいころから祖母や母親を手伝いながら、女たちはグラバ作りの技術を身につけていく。男たちは決してグラバ作りに関わろうとしない。女たちが作ったグラバを売りに行くだけ。「男はグラバを作ったりしないよ。オカマだと思われちゃうもの。」女たちはそう言って笑う。
伝統的な製法だと、15センチ程度の水差しが一週間に40個くらいできる。大きいかめだと数個だ。水差しはひとつ1,500ルピア、大きいかめでも一個1万ルピア。インドネシアではほとんどあらゆるものがそうだが、市場での販売価格に比べて生産者の手に入る金額は可哀想になるほど小さい。流通段階で大半の利益が吸い上げられていく。そうであっても、ロンボッのグラバは世界市場に輸出されている。2004年は539トンが30カ国に輸出された。外貨収入は93.5万ドル。バリのアートショップにも送り出されているが、大型トラック一台をバリに送れば、石油燃料値上げ後のいま運送料は2百万ルピアもかかる。国内で売れば利益は縮小する一方だが、輸出の方が大きい利益が取れる。ロンボッのダイヤはアメリカへ、日本へ、ヨーロッパへ、送り出されている。


「ディスカウントショップ新規参入」(2006年2月1日)
Super Indoの店名でスーパーマーケットチェーンを運営しているPT Lion Super Indo が、ディスカウントショップ業界に乗り出すことを明らかにした。1月27日にブカシのスペリンドボロブドゥルを改装してオープンしたディスカウントショップがその第一号店。Super Indo Pasar Murahと命名されたこの店では4千アイテムの商品が取り扱われ、日用品をメインに魚・肉・野菜などの生鮮食材も販売されている。ディスカウントショップのコンセプトに洩れず、この店も簡素なインテリア、電力使用制限、経済的陳列方式など極力コストを切り詰めた営業方式を打ち出している。
同社は1997年にサリムグループとベルギーのデルヘイズの合弁で設立された会社で、現在国内8都市に46店のスーパーマーケットを運営している。同社のディスカウント業界進出は、本筋のスーパーマーケットビジネスを維持しながら多様化を進めていくという主旨であり、年内にディスカウント店5店を開店する計画を立てている。


「エイボン化粧品が撤退」(2006年2月7日)
エイボンプロダクツが昨年11月に公表したグローバルリストラクチャリングの一環として、インドネシアにおける同社の事業を百%閉めてしまうことをPTエイボンインドネシアが公式に告知した。これは同社が行った臨時株主総会での結論に基づいて公表されたもので、同社はここ数年間赤字が継続していたことならびに将来における事業好転のきっかけが見つからないことなどからその結論に達したもの。同社は南ジャカルタ市チランダッに工場を持ち、同社の製品を全国展開してきたが、同社経営陣はその分析結果について、インドネシアにおける事業好転のためにはかなり巨額の投資が必要であり、本社の事業戦略にはその余裕が無いこと、すでに累積で数百万ドルの赤字を生んでいる現状を継続する必然性がないことなどの状況を考慮してインドネシアからの撤退を決めた、と語っている。インドネシアからの撤退は、エイボン社が他の市場で行っている事業にまったく影響を及ぼす要素がないため、比較的スムースに撤退の結論が出せたとも説明されている。
エイボン社がインドネシアでの事業をストップしてしまった後は、エイボン製品はインドネシアで何一つ販売されなくなる。市場でこれまでエイボン製品を扱っていたディ−ラーや代理店は、輸入をして販売を継続することもなくなる。PTエイボンインドネシア社は30日以内に事業活動を完全ストップするため、工場の6百人前後の職員も解雇されることになる。同社経営陣は、決して労働争議などが起こることなく工場を閉鎖し、円満に撤退したい、と語っている。


「ロティ・ブティック」(2006年2月9日)
シンガポールベースのブレッドトークの向こうを張って、マレーシアからブレッドストーリーがジャカルタで販売チェーンを広げつつある。roti butik と呼ばれているファッショナブルなブランドパン専門店フランチャイズは、ブレッドトークの大ヒットで二匹目のどじょうに興味を抱く事業者を招き寄せている。ブレッドストーリーは2002年にマレーシアで操業を始め、今ではマレーシア国内に20店、クエートに2店、シドニーに1店、インドネシアでは2月2日にブロッケムのパサラヤグランデに4店目を開店させた。今年はサンフランシスコとドイツに出店を計画している。ブレッドストーリーは2006年中にジャワ島でフランチャイズ20店、またマカッサル、マナド、バリッパパン、ポンティアナッなどジャワ島外での開店をも積極的に計画している。ブレッドストーリーは百種類の製品を持っており、各店舗ではそのうち80種類が6千から9千ルピアまでの価格で販売されている。フランチャイズ権は1店舗15億ルピアだが、6年間の期限で、18ヶ月で資本回収がなされるのをスタンダードにしている。一店舗一ヶ月の売上高は5億ルピアがターゲット。
今インドネシアではロティ・ブティックの競合がしのぎをけずっており、ブレッドトークやブレッドストーリー以外にも、Roti Boy や2nd Bite などさまざまなパン専門店の屋号をあちこちで目にすることができる。事業家の中には更に新手のブランドを求めて、オーストラリアや日本のロティ・ブティックをインドネシア市場に呼び込もうという動きも出てきているようだ。


「日用必需品販売が低下」(2006年2月13日)
日用生活消費アイテム販売が激減した、とACニールセンが報告した。2005年の販売は1〜10月の実績が対前年比19.5%という増加を示したというのに、11月〜12月の販売は前年から12%しか伸びておらず、例年だとルバラン〜クリスマス〜新年と続く販売シーズンのために他の時期よりも売上が伸びるパターンが出現していたにもかかわらず、2005年はかえって売上の伸びが小さくなってしまい、年間成長率は17%となった。この販売の低下は石油燃料大幅値上げとそれによって引き起こされた大量解雇の波が消費者の購買力を大きく殺いでしまったことを実証している。2006年の見込みについてACニールセンのビジネス開発小売担当理事は、電力基本料金値上げが実施されなければ12〜15%の成長となるだろうが、値上げが起これば小売業界はひっくり返ってしまうだろう、と語っている。
2005年の小売販売で食品は19.4%の成長を示し、非食品は15.4%しか増加しなかった。食品の成長は今年も同じ程度の伸びが見込まれ、あるいは更に高まる可能性もある、と同理事は述べている。その理由について、消費者が外食の支出を減らす可能性があげられている。つづいて非食品カテゴリーで成長が期待されるものはトイレタリー製品17%、家庭用品15%、医薬品10%といったところ。


「ミニマーケット業界が盛況」(2006年2月15日)
2005年のコンシューマーグッズ市場は57.2兆ルピアに達し、2004年の48.6兆ルピアから大きく上昇した。2004年も2003年の40.1兆から同じくらい増加している。この市場にはいくつかの業態があるが、その中でたいへん顕著な増加を示したのがミニマーケット業界だ、とACニールセンインドネシアが報告した。ミニマーケットの売上は2004年の3.9兆ルピアから昨年は5.8兆ルピアとなり、売上金額が5割増となったほか、市場総売上の中でのシェアも8%から10%に上昇した。全国のミニマーケット店舗総数は2004年の5,604店から昨年は6,191店へと増加しており、その売上増を支えている。ミニマーケットの大活躍は、在来型の商店やワルンのシェアを奪っている趣が強く、在来店舗の売上は38.7兆ルピアで2004年から12.5%しか伸びていない。
そんな状況に在来商店は強く反発しており、パサルの向かいに開店したり、住宅地の中に何軒も開店したりしている現状を政府は放置することなく、ミニマーケットの開店場所にゾーン制を設けて規制せよ、と全国パサル商人協会会長は主張している。首都ジャカルタでは、2002年都条例第2号によれば、売り場面積2百平米までの民間パサル事業は、地元パサルから半径500メートルの距離を置き、地元の生活道路に面していることとなっている。


「スナヤンシティは4月末のオープン」(2006年2月16日)
都内スナヤンにあるブンカルノスポーツコンプレックスに建設中のスナヤンシティは既に最終仕上げ段階に入っており、デベロッパーであるアグンポドモログループの子会社で、スナヤンシティの運営管理を統括するPT Manggala Gelora Perkasa は、4月末のオープンを予定していると公表した。1.25兆ルピアをかけて7.6Haの土地に建設されたスナヤンシティは、ショッピングセンター、オフィス、ホテル、アパートメントをインテグレートした最先端を行くファシリティであり、ジャカルタで一番モダンなライフスタイルを具現する新しいスポットとして中上流階層を引き寄せることができるものと期待されている。このプロジェクトはもともと別のデベロッパーが着手していたが、計画が途中で挫折したためにアグンポドモログループがあとを引き継いでこの完成にこぎつけた。ショッピングセンターには三つの大型テナントがアンカーとして入居することになっている。イギリス系百貨店のデベンハムズ、日系家電品販売のベスト電器、フィットネスセンターのフィットネスファーストプラスがそれ。総スペースの90%は既に売却済みで、都内にまた新たな大型ショッピングセンターがオープンすることになる。


「プリンター販売は多機能タイプにシフト」(2006年2月27日)
2005年のプリンター販売は、インクジェット方式多機能プリンターが大幅な増加を示したことを、インターナショナルデータコーポレーションが報告した。その報告によれば、インクジェット方式多機能プリンター販売台数は、2003年が22,300台、2004年が58,400台そして2005年は一気に10万1千台に増加したとなっている。一方、単一機能インクジェット方式プリンターの2005年販売台数は、前年から12%しか伸びていない。
ここ二年間で、インクジェット方式プリンターの人気は急増しており、しかも多機能タイプの価格が低下したことも手伝って、単価100〜299ドルのローエンド機種で、各ベンダーは激しい販売競争を展開している。2003年に市場にマルチ機能タイプが紹介されはじめたとき、モノ機能タイプとの価格差は5倍以上もあった。ところがいまや価格差は2倍程度にまで縮まっており、プリント、スキャン、ファックス、フォトコピーなどの諸機能がひとつに納められたオールインワンプリンターが百ドル前後で手に入るようになっている。インクジェット方式を見るなら、従来は単一機能プリンターが主力を占めて市場の80%シェアを有していたが、ローエンドの価格低下、オフィススペースの有効活用、対価格効率の良さ、などから、消費者の選択はマルチ機能タイプに移りつつある。この分野で市場をリードしているのはヒューレットパッカードで、市場シェアの50%を握り、他の競合二社を引き離している。


「CD買うならインドネシアで」(2006年2月28日)
音楽CDの価格が下がっている。海賊版ではなくて合法盤なのに、一枚7〜9万ルピアだった洋盤CDが5万ルピア程度に下がっている。ユニバーサルミュージックインドネシアの話では、アーチストロイヤルティ、製造、販売、流通などの諸経費を切り詰めることで小売価格を抑えたそうだ。アーチストロイヤルティの引き下げディ−ルは、アーチストにとっても背水の陣だったかもしれない。パッケージもクオリティを下げ、大いに簡素化することで廉価版を実現させた。EMIミュージックインドネシアも同じ道を歩んでいる。それでも音楽自体の品質は下げていない、と出版社は強調する。一枚1万ルピアしない海賊版との価格差を縮めること、最近優勢一途のオンラインショップでのダウンロードものとの競合といった音楽CD業界への逆風が、この価格カットをもたらしたようだ。音楽CD製造業界はこれを契機として、これまでヒット曲を集めたコンピレーションものに傾いていた市場の嗜好を、アルバムに戻そうと計画している。一枚しか買えないから中味は氏素性の知れ渡ったヒット曲を、という消費者の心理が、二枚買えるんだから有名でない他の曲も聴いてみたいという心理に移行するかどうかは、今後を待つばかりのようだ。


「コリアタウンは半年後にオープン」(2006年3月2日)
北ジャカルタ市クラパガディン地区とプリンティスクムルデカアン通りをはさんで南側に隣接している東ジャカルタ市プロマス地区。その広大なエリアの24Haを使って、大規模な建設工事が進められている。PTコリアワールドトレードセンターインドネシア(KWTCI)が都庁合弁デベロッパーPTプンバグナンプロマスジャヤと共同で建設中のコリアタウンがそれ。このコリアタウンでは、自動車センター、モール、娯楽施設、スポーツ施設、そして韓国の伝統家屋までが最後の仕上げに入っている。今年8月にはソフトオープンし、全面完成は11月の予定。およそ3百ユニットのオフィススペースは、韓国からのテナント申込みが相次いでいるという。コリアタウン運営者のKWTCIは、韓国とインドネシアの中小企業に入居してもらうのが理想だと語る。サムスン、LG、ダイウ、ヒュンダイなどの大手企業、そして韓国大手小売業のロッテマートが、このコリアタウンに既にスペースを手配しているそうだ。韓国外ではピザハットとスターバクスが入居を予定している。
韓国とインドネシアのビジネスマンが同じエリアの中で事業活動を行うというこのコンセプトのユニークさは、必ずやインドネシアのビジネス界にとって魅力的なものとなるに違いない、とKWTCIは確信している。韓国のIT、繊維・衣料、自動車、その他製造産業界はこのコリアタウンへの進出に熱意を示しており、インドネシアの実業界は是非このチャンスを捕まえてほしい、とKWTCI代表取締役は呼びかけている。韓国とインドネシアのビジネスを結びつける場としてのコリアタウンには、展示会場と会議場施設も備えられる。オープン後の二年間で、韓国からコリアタウンへの投資は1億ドルに達し、また2006年末までにコリアタウンでは2千人の新規雇用が発生する、と見込まれている。


「化粧品業界も厳しい時代に直面」(2006年3月9日)
インドネシアの化粧品市場はボディケア製品が15〜20兆ルピア、メイク製品が5〜7兆ルピアで、購買層は15歳から30歳とされている。ところがご多聞に洩れず、石油燃料大幅値上げによる購買力低下がここにも影を落としており、2006年1〜2月の売れ行きは、2005年同月実績から20%も減少してしまった。購買力低下はミドルクラスがもっとも甚大な影響を蒙っていて、支出を衣食住や子供の教育に優先させる結果、自分用に使える金額が大幅に減ってしまっている。ミドルクラスとは月収150万ルピアのレベルを指しており、その階層向け化粧品はほとんどのメーカーが単価2万ルピアを上限に価格を設定している。モイスチャライザー、洗顔剤、香水などのボデイケア製品は単価4〜5千ルピアだが、メイク製品になると口紅が1万から1万7千ルピア、白粉は2万から2万5千ルピアといった値付け。そこに来て、化粧品の世界でも中国産輸入ものが大攻勢をかけてきており、魅力的なパッケージの口紅がわずか5千ルピアで売られている。この状況を乗り切るために、PTムスティカラトゥをはじめ地元化粧品メーカーは、徹底的な合理化を推し進めなければならない、と決意をあらたにしている。


「携帯電話利用者登録は危機的状況」(2006年3月16日)
携帯電話プリペイドカード利用者のアイデンティティ登録がはかどっていない。この登録は2006年4月28日で締め切られることになっているが、今年3月初旬の登録者数はやっと1,730万番号で、全体の35%弱にすぎない。各携帯電話オペレータの登録者数は下のようになっている。
Telkomsel 2006年3月6日時点 824万2千番号 総利用者の33%
Indosat 2006年3月2日時点 484万4千番号 総利用者の35%
Excelcomindo 2006年3月7日時点 2,976,816番号 総利用者の42%
Mobile-8 2006年3月9日時点  263,675番号  総利用者の23%
Telkom 2006年3月8日時点  732,270番号  総利用者の26%
Bakrie Telecom 2006年3月6日時点 224,539番号 総利用者の44%
Sampoerna 2006年3月10日時点  7,793番号  総利用者の78%
Natrindo 2006年3月6日時点   4,158番号  総利用者の34%
情報通信担当国務省ではこの状況をきわめて遺憾としており、このままでは焦げ付き番号が大量に発生するため、利用者にもっと働きかけるよう各オペレータに要請しているが、オペレータ側も、これまでテレビやマスメディア広告、街頭広告、トークショーや地方部へのロードショーなどありとあらゆる手段を尽くしており、どうすればいいのか、と思案投げ首の態。
インドネシア電気通信利用者協会事務局長はこの状況に関連して、もし半分近い利用者が登録しないまま期限が来た場合、オペレータと政府がそれらの番号をブロックすることはありえないだろう、と語る。大量の利用者をブロックした場合に生じるロスにオペレータが目を塞ぐとは考えられないし、行政側も法的な告訴が提出される可能性を軽視しているわけでもない。「今回の全国プロジェクトが半年間というのは短すぎるのではないか?少なくとも一年間の時間をかける必要があるように思われる。」と同事務局長は語っている。しかし情報通信担当国務大臣は、期限延長はせず、また期限までに登録が行われなかったプリペイド番号は使用が必ずブロックされる、と断言しているが。


「ローコストキャリアーで失敗しないために」(2006年3月17日)
インドネシアで廉価料金航空会社が雨後のたけのこのように登場してきたのは2001年9月11日事件のあと。その事件が先進国の航空産業界に構造変革をもたらし、ダブついた機体を安く発展途上国の航空会社に貸し出したことで、インドネシアにもたくさんの航空会社が誕生した。中にはそんな中古レンタル航空機を二機しか持っていないという航空会社が設立され、認可を取ってすぐに運行を開始したというケースもある。それまで国内航空路は数社の寡占状態でしかなかったところに多数の新設会社が参入してきたため、乗客争奪は激化し、料金は低下して行った。ジャカルタ〜ジョクジャ間の鉄道料金が18万ルピアというところに、20万ルピアという飛行機料金がぶつけられ、飛行機乗客はお金持ちというこれまでのステータスが崩壊し、中低所得層まで飛行機に乗れる時代が到来した。おかげで普段着にゴムぞうりをつっかけ、ひもでしばったダンボール箱を手にして、自分が座りたい場所を探して機内をうろつく乗客がたくさん搭乗するようになり、飛行機大衆化時代が幕を開けた。
廉価料金航空会社は、徹底的なコストダウンを図って、低料金での採算を工夫している。乗客への食事コストダウンをすべての航空会社が行っている。調査によれば、乗客が食べるのは飛行機に積んだ食事のわずか20%という報告がある。極力軽い食べ物を量を減らして乗客に与えることで、乗客ひとりのコストが1〜2ドル節約できる。年間55万人の乗客からそれだけのコスト節減ができれば、たいへんな金額になることはまちがいない。ライオンエアーは、ファーストクラス乗客に出す食事にアルミフォイルを使うことをやめた。2003年に食事関連でライオンエアーが達成したコストダウンは1千2百万ドルだそうだ。バタビアエアーも月間25億ルピアのコストセーブができている。ガルーダ航空のローコスト部門として編成されたシティリンクでも、水とキャンディしか出てこない。食事の世話をしなくてよいから、客室乗務員数は最低限でよくなる。B737−300でキャビン乗務員は3人だけ。乗客クラスはエコノミーだけにし、また全路線で使用する機種も単一にして合理化とスケールメリットを追求した。空港施設の利用も節約する。ボーディングブリッジも空港内旅客バスも無料では使えない。機体をエプロンのなるべくターミナルビルに近い場所に着け、乗客には徒歩でターミナルに入ってもらうのが一番安上がりということになるのだが・・・。そのようにして下げたコストの対極に、超廉価料金がある。
超廉価チケットは、言うまでもなく、さまざまな条件がつけられている。ノーマルチケットだと3ヶ月以内のリファンドが可能だが、超廉価版はそれが認められない。また発券もノーマルよりずっと早いタイミングで行われる。週日と週末の料金が異なっている。もうひとつ特徴的なのは、同じ飛行機の同じクラスなのに、料金がさまざまに異なるフレクシフェアが使われていること。2004年に創設42周年を迎えたムルパティ航空は、国内線で4万2千ルピア、国際線で42ドルの切符を42日間オファーした。全ルートで各フライトにその料金の座席が5つだけ用意され、購入希望者の間で抽選を行って販売した。この企画は好評で、ジャカルタのムルパティ事務所には毎日平均80人が詰め掛けたそうだ。ライオンエアーは超廉価座席を週日は50%、週末は20%用意した。廉価チケット料金も一律でなく、最大60%までのディスカウントが与えられた。また低料金を実現させるために比較的高いロードファクターを設定している航空会社は、乗客数が経済性に合わないと「テクニカルプロブレム」を理由にしてフライトを取り消し、乗客を次ぎのフライトに移してロードファクターを高める傾向があり、そのせいでフライトスケジュールは一日5便あっても、実態は3便しか飛んでいないということも起こりうる。外国の廉価料金航空会社も積極的に安い料金をオファーしている。マレーシアのエアエイシアはメダン〜クアラルンプルを109,999ルピアという驚くような価格で販売した。ただし、新聞に大々的に掲載された破格の料金が一律のものでないことに注意する必要がある。その料金の切符はたとえば10枚しか販売されず、他の座席はもっと高い料金になっている。新聞に出ている料金を単一のものと勘違いし、価格を確認しないで発券させると後でいろいろ面倒なことになる可能性があるので、注意する必要がある。インドネシアでは何かを買う際に、価格が表示されていても売り手に値段を確認するほうが間違いが起こらない。またキャッシュオンデリバリーが売買の基本であることも、生活上の鉄則としておいたほうが良いだろう。


「ローコストキャリアーで失敗しないように(その一)」(2006年3月21日)
2006年1月21日19時30分バリ発ジャカルタ行のAwair航空QZ7513便は、エンジン不調のため乗客の安全を優先して飛行を取りやめる、とジャカルタのAwairから宿泊中のホテルに電話が入った。会社の研修ツアーでバリに来ているアデの一行は81人。Awair側は提案した。11人を14時発の便に早め、残り70人は次の23時50分発のフライトに変えてはどうか、と。
「それは無理だわ。だってプログラムが全部終了するのが17時なんですから。それに23時50分発だとあまりにも夜遅くて、ジャカルタに着いた後困ります。女子社員もたくさん混じってるんだから、そんな夜中に女性がひとりで空港から自宅に帰るなんて、考えられませんよ。もし何かあったら、誰が責任を取れますか?こうしてはどうかしら。みんなもう一泊して、あしたのフライトでジャカルタへ帰るようにしてくれません?ホテル代はAwair持ちで。」アデの逆提案は言下にノー。他に選択の余地はなく、81人が23時50分のフライトに変更となる。スケジュール通りホテルをチェックアウトしてグラライ空港に行ったが、4時間も余分に時間をつぶさなければならず、夕食も予定外の出費となる。23時50分が過ぎても搭乗アナウンスはなく、眠気と不安で朦朧としている中、0時5分にやっと搭乗が開始され、テークオフは0時15分。順調な飛行で無事にスカルノハッタに到着したものの、夜の夜中の空港からみんなどうやって家まで帰ろうかと相談し、結局バスを一台チャーターして深夜の都内をぐるぐる回る結果となった。廉価航空券で安上がりと思っていた81人は、最後の最後でとんだどんでん返しに遭ってしまった。
2006年1月2日、エディはクアラルンプルからエアエイシアAK938便でメダンに戻ってきた。メダン空港に着いて、ターンテーブルから機内預かりにしたバッグを取る。驚いたことに、ファスナー式なので錠前をつけておいたそのバッグから南京錠が姿を消していた。エディはすぐにバッグを開いて中を確認する。マレーシアで土産に買った腕時計二個は中にあった。でもちょっと変だ。よく調べると、時計のパッケージはあるのに、中味が消え失せている。その腕時計は安いものではなかった。その二個の値段は、エディがエアエイシアの切符に支払った金額より高かったのだ。KLでチェックインしたときの荷物監視の厳しさから、まさかこんなことになるとは夢想もしていなかっただけに、エディは怒りと失望で腰が抜けてしまった。これをクレームしたところで、エアエイシアが賠償するはずもないだろう、と思いつつ、エディはエアエイシアのウエッブサイトにその苦情を書き送った。そして案の定の返事が来た。航空会社からの返事は「あなたの苦情は確かに承りました。」という冷たいものだった。


「ローコストキャリアーで失敗しないように(その二)」(2006年3月23日)
ジャカルタに住むノファは、オーストラリアのシドニーに住んでいる姉のところでホリデーを楽しもうと計画した。だがフツーの会社員であるノファの貯えは潤沢でない。「どうすれば安く行けるかしら?」と探し回った挙句、バリの航空会社エアパラダイスを使うことにした。往復の航空運賃がプロモ料金で454米ドル。これより安い料金は、他の航空会社では見当たらない。ノファはエアパラダイスのオフィスで2005年11月26日発の切符を買った。そしていざ、その日が来た。空港へ来たノファはチェックインカウンターを探す。しかしカウンター内に係員の姿は見られず、カウンター周辺に他の乗客の姿も見えない。不審な思いでカウンターに近付いたノファは、そこに一片の紙が貼られているのに気が付いた。2005年11月23日をもってエアパラダイスは閉鎖した、という案内だ。困っているノファに事情を察した空港職員が声をかけた。「エアパラダイスの客はあっちの航空会社で引き受けてくれるよ。料金も安くしてくれる。」
ところがそこへ行ってみると、エアパラダイスの切符を払い戻してくれるわけでもなく、追加料金を取って運んでくれるだけということがわかった。しかしエアパラダイスの切符代とその追加料金をトータルすれば、他よりも高い料金になる。ノファはエアパラダイスの事務所に電話したが、ただ呼び出し音が続くばかり。しかたなくそこまで足を運んでみたが、表扉はロックアウトされており、経営に行き詰まったので閉鎖したことを顧客に詫びる内容の張り紙だけがそこにあった。エアパラダイスを利用する予定だった顧客はこちらへ連絡ください、という電話番号に問い合わせてみたところ、「エアパラダイスから流れたお客は当方が引き受けます」という割には、しっかり別料金を取る商魂のたくましさ。「この切符はどうなるのよ?」と泣くに泣けないノファ。
2005年12月18日、プルナワンはパレンバンからジャカルタのスカルノハッタ空港にアダムエアーで飛んだ。12月25日にバンドンで結婚式を挙げる予定なのだ。ところが、ルンルンだったかれは失望のどん底に突き落とされることになる。出発が2時間半遅れたことにでなく、かれの花婿衣装を詰め込んだトランクが紛失したことに。そのトランクがパレンバンで無くなったのか、ジャカルタ到着後になくなったのか、はっきりしたことはわからない。ただ、スカルノハッタ空港でのバゲージピックアップは、アダムエアー職員のクレームタグチェックも行われておらず、他人のトランクを好き勝手に持っていくことも容易にできる状況だったことをかれは自分の目で見ている。プルナワンのクレームに対してアダムエアー側は、2005年12月31日付の封書で回答をよこしてきた。乗客の荷物に関するクレームは受けられない、と航空券に記してある通りです、と。


「タクシーは供給過剰」(2006年3月25日)
首都圏のタクシーは4万2千5百台あるが、稼動しているのは7割程度で、オペレータの中には半分しか稼動させていないところもある。昨年のタクシー料金値上げで乗客がタクシー離れを起こし、過剰サプライが起こっているために、その対応として稼動を間引いている結果の7割稼動だ、と陸運協会首都支部長が語った。協会のデータによれば、首都のタクシーは2万6千台、タングラン地区で9千台、デポッとブカシでそれぞれ7千5百台が登録されている。またタクシーオペレータは首都が40社、タングラン・デポッ・ブカシはそれぞれ35社前後。
ブルーバードグループのプルノモ・プラウィト取締役社長は、今年に入ってから乗客数が10%減少した、と語る。そして経費増大、賃金上昇などによって大幅なコストアップとなっているため、タクシー会社の中には、車輌を業務に就かせないようにしてコストセーブをはかっているところすらある。タクシー料金は過去一年で二倍になった。一方石油燃料大幅値上げのために消費者は購買力の低下をきたしている。さらに、かつてタクシーを使っていた消費者の中に、二輪車をメインに自家用車の使用に転換した層がある。自動車購入ローンの利用がいっとき、たいへん容易になった時期があり、その傾向に拍車がかかった。また昨年10月の第二次バリ爆弾テロ事件で、外国人観光客の足も遠のいた。それらの要因がタクシー乗客減をもたらしている。同社長はそう分析する。
もうひとつ、ブルーバードタクシーにとって、面白くない現象がある。他のタクシーが、色、シンボルマーク、デザインなどをブルーバードそっくりに作っている、と言うのだ。ブルーバードのデザイン模倣は昔から行われていたが、最近ではあからさまの度合いが増しており、またその問題に関する政府の関心も薄くなっている、と同社長は語る。
都内のタクシーは2万5千台で十分だそうだが、郊外からも都内にタクシーが入ってくるので、過剰サプライは期せずして起こる。都庁は既に飽和状態の現状に鑑み、新規のタクシー認可はおろさない方針にしている。


「国内家電品販売は低迷」(2006年3月30日)
エレクトロニクスマーケタークラブ(EMC)が公表した今年2月の全国家電品販売状況は、アイテムによって12〜18%の対前年同期比ダウン。TV532,806台、冷蔵庫223,023台、エアコン85,662台、洗濯機106,964台というのが今年1〜2月累計の明細。EMCスポークスマンのハンドコ・スティオノは、消費者の購買力低下がまだ国内市場を覆っている、と分析する。「需要が減少したわけではないと思う。ただその需要がEMCメンバーでないメーカーにシフトしているため、国内販売統計に出てこないということかもしれない。」
EMCメンバーは34社あり、そのほとんどが国内で生産工場を持っている。Akari, Panasonic, LGEIN, Sanyo, Sharp, Toshiba, Hitachi, Polytron, Sanken, Samsung など大手ブランドはすべてメンバーになっている。EMCデータによれば、2月の国内家電品販売実績はTV252,460台で前年同月の306,783台から18%減少、冷蔵庫104,053台で前年の123,093台から16%ダウン、エアコン43,878台で前年同月実績の49,950台から12%ショート、洗濯機は49,341台で前年の56,987台から13%低下した。工業省は、国内市場で出回っている問題ある家電品に対する監督を厳しくする方針。


「サワガン地区は観賞魚養殖センター」(2006年4月4日)
熱帯魚養殖ビジネスがいま中小事業界で脚光を浴びている。石油燃料大幅値上げがもたらした購買力低下とコストアップでいずれの業界も青息吐息の昨今、熱帯魚ビジネス、中でも外国のバイヤーをつかんでいる輸出業者は、従来と変わらぬ余裕綽々とした涼しい顔で日常業務にいそしんでいる。熱帯魚養殖ビジネスは中小資本が大半で、この業界を統合して外国向け供給を安定的に育成してやれば、地元税収に貢献するのは疑いもない。そのために、中央ジャカルタ市ジョハルバルに熱帯魚中小事業開発センターが発足することになった。このセンターは来年の稼動を目指して準備に取り掛かっている。このセンターでは、養殖に関する職業訓練から市場開発まで、中小事業者が望む業界支援が行われることになっている。都庁中小事業コペラシ局長は、熱帯魚は1.4億ドルの潜在的輸出売上を持っている、と語る。熱帯魚養殖は比較的容易で、しかも事業者の収入増に大きく貢献するものであるとのこと。従来のビジネス方式では、養殖家一軒でひと月50〜100万ルピアの利益があがった。これは一軒がひと月1千匹売ると仮定してのものだが、一軒の養殖家が販売用に用意できるのは万の単位になる。そのため、商品在庫を蓄えることのできる施設があれば、養殖家は共同で熱帯魚のマーケティングを行うことができる。一軒の養殖家では対応できない大量の注文も、貯蓄施設から供給することができる。この貯蓄施設はそこで小売を行うためのものでなく、商品を貯蓄し、選別し、また養殖魚の医療も行うための場所だ。
貯蓄施設があれば商品の販売価格がより安定する。これまで養殖家は仲買人と取引を行ってきたが、小規模生産者の商品を受け入れて貯蓄するかれらはその売買の場で巧みに価格を抑え込むため、養殖家の収入が満足できるものになるケースはほとんどなかった。貯蓄施設が生産者の側に取込まれたら、生産者は売れ残りを心配して値引きに応じていた従来の売り方から解放される。また魚の選別もこれまで思うにまかせなかったが、今後はサイズ区分されたものに定価を持たせることができるので、これも販売時の強みとなる。ある養殖家は、趣味が嵩じてビジネスを始めたと語る。かれは4年前に1千万ルピアの資本金で、水槽50個、ネオンテトラとレッドノーズを各2千匹購入した。今では水槽が250個、魚は数万匹に上っている。これまでかれはブカシの仲買人に商品を売り渡していた。輸出先はシンガポール。養殖家組合は輸出業者からコンタクトを受けると、生産者を何軒も回って買い付けしていたが、貯蓄施設ができることによって、生産者は商品をそこへ持ち込み、輸出業者が調達に来ればそこにある商品をいくらでも供給することができるようになる。輸出業者と直接取引きするほうが価格の透明性ははるかに高い。魚の種類で需要が集中しているのはレッドノーズとネオンテトラ。輸出の需要が一番高いのはMサイズのものだそうだ。魚を稚魚から養殖して商品にするまでに3ヵ月半かかる。
デポッ市漁業課のデータでは、2005年の熱帯魚生産は3,055万匹で、そのうち2,201万匹はサワガン(Sawangan)郡で生産されたもの。サワガンはジャボタベッ地区における観賞魚養殖の中心地になっている。


「プリンター販売は15%増」(2006年4月11日)
2005年のプリンター市場は140万台で、2003年からほぼ倍増したとインターナショナルデータコーポレーションが報告した。2003年の実績は80万台で、2004年が120万台という推移。2005年第三四半期は対前期比17%のショートとなったものの、第四四半期では対前期比5割増となり、年間実績は前年を15%上回る伸びを示した。140万台中130万台は単一機能プリンターで占められ、その中でもインクジェット方式が一番人気が高い。徐々にとはいえ多機能型も増加傾向を示しており、レーザータイプではサムスンがHPと競り合う低価格をオファーしている。インクジェットタイプ単一機能プリンターはキャノンがほんの僅差でHPを抑えてトップに立っている。この先5年間の中で多機能型プリンターはドラマチックな発展を示すだろうとIDCは予測している。プリンター市場の中でわずか9%のシェアしかない多機能型ではあるが、2005年の伸びは74%に達しており、単一機能型の12%という成長率を圧倒的に凌駕している。これは特に各メーカーの価格政策に負うところが大きく、2003年に市場に登場してきたときには単一機能型と5倍の価格差があったというのに、それが今では2倍に縮まっているし、単価が100米ドルを切る品番も多数市場に出されていることがその成果を生んでいるようだ。
ところで、プリンターの輸入関税が今年3月末から0%になったために、小売価格に3%ほどの影響がもたらされて販売増につながるのではないかと業界側は期待している。政府はITアグリーメントに関連して87アイテムの輸入関税を0%にする方針を昨年末に固めており、プリンターに対するこの措置はその一環。キャノンのインドネシア代理店は、この措置で今年の販売台数は10%増が期待できると述べている。


「ボディケア製品専門店が増加」(2006年4月12日)
ボディケア製品をメインに取り扱う専門店が増加している。スーパーマーケット、ミニマーケット、ハイパーマーケットを除く専門店舗数は2003年末時点で179ヶ所あったが、その一年後には218ヶ所に増えており、そして2005年末には279ヶ所となった。従来のメインプレーヤーだったデーリーファームインドネシアグループのShop in、Guardian 、ファロスグループのCentury 、マタハリグループのBoston に加えて、最近では英国系のBoots や香港系のWatson もジャカルタに店を開設した。その二ブランドはこれまで国内のボディケアショップに見られなかったワンストップショッピングコンセプトを持ち込んできている。このようなボディケアショップ利用者は女性だけでなく、メトロセクシュアル男性も重要な顧客になっているとのこと。メトロセクシュアル男性は月収が1千5百万ルピアのラインにおり、毎月3〜5百万ルピアをショッピングに費やしている。ボディケア製品が社会生活上の必需品と化す傾向は強いものがあり、ACニールセンの推定では、トラディショナル商店におけるこの種商品の市場は2004年で7.5兆ルピアに達している。一方モダンマーケットでは2004年の市場は5.2兆ルピアだったとのこと。


「航空会社淘汰の年の幕開けか?」(2006年4月13日)
今年1月から、Bayu Air, Bouraq, Bali Air, Star Air の四定期旅客航空会社が運行を停止している。2000年に政府運通省が空運会社設立条件を緩めて以後、それまで5社だったインドネシアの航空会社に増加が始まり、911事件以後に起こった航空機レンタル市場大変革のおかげでその数は28社にまで膨らんだ。競争激化による航空運賃低下とそれに応えた中低所得層消費者の空の足選択で航空機乗客数は激増し、多くの航空会社が華々しい業績を謳歌していたが、原油値上がりがもたらした航空機用燃料価格高騰で航空会社の経営に赤ランプが点灯するようになってきた。こうして暫定的に事業をストップしようという航空会社がちらほらと出るようになってきたのである。
2003年にはリッター当たり2,310ルピアだった航空機用燃料は、2006年4月のいま5,335ルピアとなっていて二倍を超えている。総経費の40%を占めると言われる燃料費が経費を大きく押し上げていることが、ほとんどの新設航空会社に従来のビジネス方針を続けられなくしているのは明らかだ。もうひとつの問題は、乗客数の多い路線に新設航空会社が競って参入していたことで、乗客数増大による経済メリットを多くの会社があまり享受できないままビジネス環境悪化という時期に突入してしまったということがあげられる。
2005年の空運旅客総数は2,890万人で、2004年の2,370万人から22%の増加を示したが、多くの航空会社にとってパイの分け前が大きくなった印象はほとんど感じられていない。空運オペレータにとって、航空機用燃料購入と航空券販売の売上から納めるPPNの負担が、利益の減少によってますます重荷に感じられている昨今だ。


「サリアユが都市バス内でアロマテラピープロモ」(2006年4月14日)
コスメティック市場拡大に伴って業界のシェア争奪は激化の道をたどっている。そんな状況の中でマルタティラアル・グループは、都市バス内でのアロマテラピープロモーションを一ヶ月ほど前から開始した。都市部でいくつかのルートを運行しているエアコン特急バス(Patas AC)の中にアロマテラピーの香りを漂わせ、鳥のさえずりや滝の水音をBGM代わりに流して、乗客に実体験を持たせようという企画がこれ。この企画は首都だけでなく、バンドン、スマラン、ジョクジャ、スラバヤでも実施されている。バスの中では三つの箱からライム、タンジュン花、バラ、イランイラン、ビャクダンなどの香りが6分置きに放出され、水音や鳥の声のオーディオは15分置きに聞こえてくる。
サリアユブランド化粧品の生産者であるマルタティラアル社の販売普及担当取締役は、ここ数年自然の香りをフィーチャーした商品に人気が集まっている、と言う。同社はコスメティック製品に自然の香りを持たせる方針を数年前に開始し、2007年には全製品に対するその方針実施が完了する予定。同社のブランドマネージャーは、SARI AYU は市場シェアの50%に達している、と表明する。同社の商品ラインは、クレンジング、トニック、モイスチャライザー、ファンデーション、口紅、ボディローション、ボディコロンなど30カテゴリーに上り、価格は一個6千6百ルピアから2万5千ルピアまでのレンジ。マルタティラアル・グループにとってサリアユ化粧品は事業の大きい柱であり、同社事業の50%がサリアユに関わっている。同社製品は人間にとって安全な天然素材のみを使用しているとのこと。肌に安全で、環境に優しく、消費者に安心感を与える製品つくりが同社のモットーだ。もうひとつ同社がその事業の中で負っているミッションはインドネシア文化の保存であり、インドネシア女性の完璧な天然の美作りに貢献すること。調和の取れた生活にはバランスが必要で、外見上の美しさは安定的な精神で補完されなければならず、その結果として最大限のパフォーマンスが生み出されることになる。精神の安定さは、宗教心、ヨガ、落ち着いた環境へ行って休日を過ごすこと、読書や絵画などの趣味に時間をさくことなどがもたらしてくれる。それに加えてアロマテラピーも精神に安定をもたらすものであり、ホリスティックケア、水浴、マッサージ、焚香、顔や身体に潤いと手入れを与えることなどを通してそれを実現することができる。インドネシアで最初にアロマテラピーシリーズを発売したのがサリアユ化粧品で、この方針はグローバルコンパクトに関わっている、と同社は説明している。


「光ファイバーネット使用料は高額」(2006年4月17日)
高速インターネットはインドネシアでまだまだ広がりそうにない。問題のひとつは、光ファイバーネットワーク使用料があまりにも高額であるためだ。その原因のひとつに、このビジネスを行っているのがまだ一握りの会社だけという寡占状況があげられる。だからこそ政府は、最高最低料金を設定してブラケット制を進めなければならない。インドネシアのインターネット普及のためには、その使用料がもっと低くなければならないのは言うまでもない。インターナショナルテレコミュニケーションユニオンのデータによれば、インドネシアのインターネット利用率は0.4%でしかない。シンガポール52.5%、マレーシア12%、タイ2.4%、フィリピン1%に比べてもはるかに見劣りしている。世界150カ国ランキング中のインドネシアのポジションは124番目。
光ファイバーは信頼度の高いトランスミッションメディアだ。いま国内で光ファイバーネットワークサービスを行っているのは、PT Telkom, PT Indosat, PT Indonesia Connect Plus (Icon), PT Excelcomindo Pratama の四社。PT Icon は国有電力会社PLNの子会社にあたる。それらの会社は自社ビジネスのための独占使用に強く傾斜しており、他のオペレータに対する利用料金はとても高くなる傾向にある。ネットワークの利用はE−1と呼ばれるゲートウエー単位で計算されるのが一般的で、E−1は電話線30回線分に相当し、電送容量は毎秒2メガビット。それら四社が設置した光ファイバーネットワークを利用する際の料金がより安くなることでより多くのインターネット利用者が高速通信のメリットを享受できるようになるのだが、設備オーナーが他の競争相手に差をつけるために高い料金を設定すれば、非オーナーはそれを利用することに躊躇する。これでは国民に対する普及が進展しない。情報通信担当国務相が、わが国の光ファイバーネットワーク利用料金はあまりにも高いと語っているのは残念ながらその通りなのだ。各社が出しているE−1ひと月当たりの料金は下のようになっている。これは契約期間が1〜2年の場合だ。
PT Telkom 距離25キロ・料金972万ルピア、300キロ・3,045万ルピア、600キロ・3,697万ルピア、900キロ・4,582万ルピア、1,070キロ・5,670万ルピア
PT Icon 距離25キロ・料金460万ルピア、300キロ・980万ルピア、600キロ・1,200万ルピア、900キロ・1,360万ルピア、1,070キロ 1,600万ルピア
PT XL 距離25キロ・料金151万ルピア、300キロ・521万ルピア、600キロ・1,065万ルピア、900キロ・1,639万ルピア、1,070キロ・2,050万ルピア 


「サリパシでゲタウエー」
中央ジャカルタ市タムリン通りに面するホテルサリパンパシフィックは、The Getaway と銘打った週末宿泊パッケージをオファーしている。この家族向け週末宿泊パッケージは、フィエスタレストランでの朝食、フィットネスファシリティ・サウナ・水泳プールの無料利用、12歳未満のお子様にチェックイン時にプレゼントがあり、そしてサリナデパートでのお買い物10%割引の特典もついている。朝食は大人二名12歳未満のお子様二名がこのパッケージに含まれている。料金のほうは、一泊パッケージが45万から75万ルピア、二泊パッケージが85万から145万ルピア、三泊パッケージは127.5万から217.5万ルピアで、料金に幅があるのはスタンダード、デラックス、パシフィックという客室のランクによるため。最高級のパシフィックルーム利用客は、他にもいくつかの特典が与えられ、同ランク顧客専用のパシフィックラウンジで朝食を取ることも可能。尚、料金は税サービス料別とのこと。[ 2006年4月 ]


「怒涛の中国産品流入」(2006年4月27日)
全国パサル商人協会(APPSI)は政府に対し、国内市場に怒涛のように進入してくる中国産品を放置すれば国内製造産業は死滅するおそれがあるとして、本腰を入れた対策を取るよう警告を発した。輸入品が著しく増加しているため国産品の影が薄くなっているマーケットは、ジャカルタのタナアバン市場、マンガドゥア市場、ジャティヌガラ市場、チプリル市場など。ハサン・バスリ同協会会長によれば、衣料品のみならず履物も市場で輸入品が氾濫しており、対抗できなくなった国内生産者がひとつまたひとつと脱落している、との談。輸入品はそれらの拠点市場から小規模商人の手を経て広範に一円に拡大しており、国内産品より魅力的で高品質、しかも廉価であることから、消費者は例外なく輸入品に手を伸ばしている。それら輸入品のすべてが正しく輸入通関を行っているわけでなく、そのため価格は一層有利なものになっている。中国産Gパンは市場で一着4万〜7万ルピアで販売されているが、正直に関税を払っていれば、そんな値付けができるはずがない、とハサン会長はコメントする。素材生地が一段悪い国産Gパンでも一着5万〜8万ルピア。靴でさえ輸入品は市場で5万〜8万ルピアという値がつけられている。市場にそれらの商品を卸している輸入者は、国内で需要の高いムスリム衣装や女性用ブラウスなどの売れ筋商品の輸入量をこれから更に増やそうとしているらしい。現在既に市場を牛耳っている商品は女性服・子供服・靴・バッグなど。タナアバン市場での調査によれば、輸入品比率は女性服が60%、子供服50%、ムスリム衣装は30%弱とのこと。ジャティヌガラ市場では靴の70%、バッグの50%が輸入品とのことだが、マンガドゥア市場では輸入品の比率がもっと高く、80%に達しているものと見られている。それら輸入品の中でメインを占めているのが中国産品で、他には韓国産服地、インドやタイ産のスカーフなどが人気筋。
衣料品アクセサリー卸業協会は会員会社が165のブランドをもって製品を市場に流していたが、そのうち40%は輸入品との競争に敗れて製造をやめてしまい、今ではトレーディングカンパニーに変身してしまっている。正規の輸入通関を経ないで国内に入っている不法輸入品は凄まじい勢いで膨張しており、2005年は2004年の1.8倍になったとの情報を漏らす関係者もいて、ハサン・バスリAPPSI会長は商業省と税関に対して対策を講じるよう要請している。因みに中国のインドネシア向け輸出統計とインドネシアの中国からの輸入統計を比べると、中国産品の激増と不法輸入の増加がよくわかる。
年 / インドネシアの輸入額 / 中国からの輸出額 (金額は億ドル)
2001 / 1.35 / 2.99
2002 / 1.68 / 3.40
2003 / 1.67 / 4.31
2004 / 1.65 / 4.64
2005 / 2.03 / 7.70


「ジャカルタ証取は目を見張る利回り」(2006年5月1日)
2001年にジャカルタ証券取引所に投資された外国からの資金は5年後のいま、5.3倍という高いリターンを享受している、とジャカルタ証取通商担当理事が語った。同理事の語っている意味合いは、5年間で増加した総合株価指数(IHSG)と5年前の為替レートというふたつの要因を合算した結果、5年前に100万ドルをジャカルタ証取に投資した外国投資家はその元金が530万ドルに今なっているということを言っている。言うまでもなく、昨今のルピア高もその5.3倍という高利回りを生む面に大きく貢献しているが、アジア近隣諸国の政情不安のために、あるいは欧米を嫌う中東ファンドが投資先としてインドネシアを選択していることで外国資金の流入の勢いがまだまだ弱まらない状況から、為替レートもIHSGもこの先当面上昇機運が続くものと見られており、それらがもう1段落アップすれば5.3倍どころでなくなる可能性も高い。同理事は、もし5.3倍より低い利回りしか享受できていないなら、ファンドマネージャーの業績不十分にちがいない、と資金主をけしかけている。ホットマネーの出入りは証券市場にとって当たり前のことであり、ジャカルタ証取に魅力があるかぎり、出て行ったファンドも結局はまた戻ってくるものだ、と短期ポートフォリオファンドの一斉引き上げによる暴落懸念の声に対して同理事は強い自信を表明している。


「スタバが第39号店をオープン」(2006年5月3日)
スターバクスコーヒーが都内スディルマンプレースに4月30日、第39号店をオープンした。米国シアトルを本拠とするスターバクスコーヒーのインドネシアにおける独占ライセンス保有者であるPT Sari Coffee Indonesia は大型国内小売事業者PT Mitra Adi Perkasa のグループ会社で、シャムスル・ヌルサリムを大御所とするこのグループにはそごうやリーボック、ミズノ、オシュコシュ・ビゴッシュなども名前を連ねている。
スターバクス第一号店は2002年5月17日にジャカルタのプラザインドネシアにオープンし、その後も首都を中心に各所に店舗を開設しており、人が集まる場所にはたいていスターバクスの看板が見られる状況になっている。ジャカルタに比べて地方都市への展開がまだ顕著でなく、既にオープンしたのはスラバヤ、バリ、メダン、バンドンなどで、ほかの都市からもフランチャイズの申し出が出されているが同社は比較的慎重な対応をしているようだ。
30日の第39号店オープニングと時を合わせて、スタバは今年の夏向きフラプチーノニューフレーバー発売を始めた。スタバのフラプチーノラインナップに今年加わったのはバナナクリームフラプチーノで、これは北米でこの夏に発売予定のものらしい。


「日常生活用品市場は6年間同じ顔ぶれ」(2006年5月4日)
過去6年間、インドネシア小売市場に新規参入したコンシューマーグッズリテーラーは国内外のいずれからも一社もない、とインドネシア小売業者協会事務局長が語った。「カルフルがインドネシアに入ってから、2000年以来新規モダンリテーラーはひとつも出現していない。協会に市場状況を問い合わせてくる事業者はひっきりなしだが、購買力低下のために誘導的でない市場に参入することを躊躇しているようだ。中にはデータを求め、法制度を尋ね、コンサルタントと契約までしながら、結局計画を取りやめてしまったところもある。かれらがなぜ挫けたのかは判らない。」同事務局長はそう物語る。
その結果、インドネシア国内の生活用品小売販売業界は昔からの顔ぶれが続いている。そごうスーパーマーケットを経営するPT Mitra Adiperkasa、マタハリスーパーマーケット・ハイパーマート・カットプライスディスカウントショップを経営するマタハリグループ、へロースーパーマーケット・ジャイアントハイパーマーケット・ミトラディスカウントショップを経営するへローグループ、ミニ・スーパー・ハイパーの三形態マーケットを経営するアルファ、スーパーマーケットチェーンのライオンスペリンド、ラマヤナスーパーマーケット、ヨグヤスーパーマーケット、ハリハリスーパーマーケット、ティップトップスーパーマーケット、ナガスーパーマーケットなどが国内小売市場で6年一日のごとく競合を繰り広げている。
これから新規参入しようとする会社は、業態によって条件は異なるものの、ミニマーケットなら250〜500億ルピアを投資して一店5億ルピアかかる店舗を50〜100店オープンする必要があるだろう。スーパーマーケットなら5店以上オープンする必要があるため、最低でも250億ルピアの投資が必要で、ハイパーマーケットは1店だけでも構わないが、そのための投資は最低300億ルピア必要だと同事務局長は述べている。


「ジャボタベッのホテル営業状況」(2006年5月8日)
インドネシア銀行が発表したジャボタベッ地区のホテル営業状況サーベイ結果によれば、3月の客室稼動率は3星級が2月の65%から68%に、4星級は62%から70%、5星級は47%から60%にアップした。客室稼動は全般的にアップしたにも関わらず、一泊あたりの宿泊料金は4星級ホテルで2月の415,285ルピアが376,061ルピアに、5星級では735,266ルピアから713,157ルピアに低下している。


「今年のルバランは廉価衣料品で溢れそう」(2006年5月16日)
今年の衣料品市場はかつてなかったほどリスクの高い年だ、と衣料品生産業者が語っている。国内衣料品市場は毎年やってくるイドゥルフィトリ祭礼が販売ピークとなっており、生産流通業界はそれにあわせて年間の製造・仕入れ・販売計画を組んでいるが、労働法改定反対デモや労働者の工場操業妨害の影響で衣料品輸出業界が既に受注していた5月6月の欧米向け輸出予定分に2億ドル相当のキャンセルが出たことから、今年10月のイドゥルフィトリ祭礼に向けて製品ストックを積み上げていく予定にしていた中小の縫製事業者は計画が立たなくなってしまったとして、中には会社倒産を視野に入れながら様子見に移ったところもある。
中央ジャカルタ市パルメラで縫製事業を営んでいるある事業主は、30年間の事業経験の中でこれほど困難な年はかつてなかったと語る。「ルバランに向けて商品ストックを増やしていく度胸はもう持てない。市場はズタズタになっていて、ひとつ間違えれば再起不能の大赤字になる。大手も中小も厳しい状況にいるのは同じだが、高利の融資を求めたり持株を売却して借金を返済するようなことは中小事業者にはできない。われわれにとって唯一のチョイスは、事業を倒産させ、資産を売却して従業員に退職金を渡すことだけだ。」西ジャカルタ市スレンセンにもうひとつムスリム衣装専門縫製工房を持っているかれは、ここ三ヶ月ほど卸業者が仕入れ量を手控えている、と明かす。中国産ムスリム衣装もインドネシアに流れ込んできているのだ。そして同時にこの三ヶ月でかれの商売仲間だったプカロガン出身縫製事業者の多くが倒産している。昔の黄金時代には、空き地があればそこにバラックを建て、ミシンを置いて住民を集めるだけで縫製ビジネスは大儲けした。国民の購買力が大きく低下し、それを狙って超廉価の中国産衣料品が不法に国内に流れ込んでいるいま、そんなことをする人間はもうひとりもいない。繊維業協会によれば、中国産不法輸入衣料品は既に国内市場の50%シェアを奪っているそうだ。輸出向け製品のキャンセルを受けた輸出工場は、それを捌くために国内市場を頼みとする可能性が高い。今年のルバランシーズンが衣料品の投売り合戦の場になれば、中小生産者がそこに加わる余地はなくなるにちがいない。


「首都圏に宝石センターがオープン」(2006年5月17日)
タングラン県チプタッに宝石センターがオープンした。住所はJalan Elang 1, Kampung Sawah Lama, Ciputat, Kabupaten Tangerang でインドネシア語名称はSentra Batuan Ciputat 。インドネシアには多種多様な天然石があり、その中に宝石が隠れている。それらの天然石から宝石を取り出して加工することで大きい付加価値をつけることができる。インドネシアの天然石輸出は年間4〜5百万ドルにしかならないが、宝石輸出は年間2.8億ドルになっており、その付加価値の大きさをそこに見ることができる。センターの開所式に出席した工業省中小事業総局長はそうスピーチした。このセンターの発起人であるルルッ・スミアルソは、国内に石に関するセンターがまだないのでこのセンターをオープンしたと語る。石の加工、リサーチ、マーケティングなど石にまつわる経済活動のセンターになることを期待しているとのことだ。従来首都圏で宝石貴石を探すひとびとが集まっていたのは東ジャカルタ市のラワブニン市場だが、この施設が作られたことでより学術的なセンターが首都圏に誕生したことになる。


「カルフルで商品を売りたい〜コンパス紙への投書から」(2006年5月30日)
拝啓、編集部殿。わたしは中流消費者向け商品の拡売に努めている事業者です。わたしの商品がハイパーマーケットのカルフルで販売されることを望み、わたしはカルフルにコンタクトしました。その商談の中でカルフル側はわたしの商品を取り扱うことに同意し、条件を示しました。それは1店1アイテムにつき350万ルピアというリスティングフィーを納めることで、カルフルは21店舗を運営しており、わたしは8アイテムを販売したかったので、総額5.88億ルピアという貢納金をカルフルに払わなければなりません。それ以外にメーラープロモーション費用とアドバルーンレンタル費2.31億ルピアを負担せねばならず、合計8.19億ルピアの投資が必要なのです。わたしの商品は単価4千ルピアのものなので、その投資を回収するのにいったい何袋販売しなければならないのか、気が遠くなりそうです。中規模会社ですら負担するのがたいへん困難な条件であれば、小規模会社にとってはまったく不可能でしかないことをカルフルは理解しようとしません。グローバル競争時代に外国からの商品と争わなければならないわれわれにとって、国内での販売にまで外国企業から困難な目にあわせられているのではたまりません。
このように好き勝手な行為をいつまでも放置していれば、われわれのような中小企業は自国内での販売すらできなくなって倒産していくのが目に見えています。最後に残るのは資金を潤沢に持っている多国籍巨大企業だけになってしまいます。カルフルのビジネス制限に対する関係当局の措置をわれわれ中小事業者は心待ちにしています。[ ジャカルタ在住、アディ ]


「クレジットカードEMV規格切替え」(2006年6月7日)
マグネチック方式からチップ方式に世界中のクレジットカードを変更するEMV規格に関してマスターカード東南アジア地域アカウントリーダーが、インドネシアで発行されたクレジットカードが2008年にまだ新規格に変更されなくとも、そのためにブラックリストに載ることはない、と言明した。シンガポールマスターカード副社長でもある同リーダーは、「2008年を期限とするEMV規格への切替えはインドネシア政府が決定したことであり、その遂行はインドネシア政府に一任している。マスターカードが日程目標を与えたことは一度もなく、切替え目標は国内状況を一番良く知っているインドネシア政府が決めている。イ_ア政府はもちろんその計画が実現するように銀行界を指導監督してそれをやり遂げるだろうが、政府の日程が守れないカード発行者が出たとしても、そのためにブラックリストに載るようなことはない。」と表明した。インドネシア銀行は旧タイプクレジットカードから新方式のものへの切替えについて、今年9月から開始して2008年には完了するという日程を組んでいる。


「クレジットカード会社が回収を積極化」(2006年6月9日)
不良債権が増加しているために、クレジットカードオペレータは債権回収に一層力を注ぐ構えでいる。2005年末時点での不良債権は1.8兆ルピアでこれは未返済残高17.6兆ルピアの10.2%に当たり、イ_ア銀行の許容限度である5%を大幅に越えている。業界者は、不良債権発生は避けられるものでなく、その回収に力を入れるのはクレジットカードビジネスにおいて当然のことだ、と述べているものの、イ_ア銀行は不良債権を持つ利用者との間で返済リスケを行えばどうかとも提案している。無担保債権であるクレジットカードの返済金利率が年間48%にも達していることが購買力を失った消費者の債務返済に困難を与えていることも否めない。イ_ア銀行はまた、クレジットカード発行者22社のうち与信対象者の選択をほとんど行っていないところが数社あり、そのような行為が不良債権を生み出すもとになっている、と批判している。その数社は住民証明書(KTP)のフォトコピーさえ提出すれば相手にクレジットカードを与えており、業界での発行枚数競争が沈静化しつつある中でのその行動に疑問の声が投げかけられている。


「都内大規模小売業は店じまいせよ」(2006年6月13日)
スタンドアローンの独立した建物で大規模小売業を営みたければジャカルタの外でどうぞ。民間マーケットに関する2002年都条例第2号の改定作業が今年7月完了を目途に進められているが、その中には床面積5千平米を超える小売店はショッピングセンターの中でのみ営業が許可されるという条文が入ることになっている。在来型のパサルや一般商店とモダンマーケットの間のコンフリクトを調整し、小規模商人や一般商店を保護するのがその目的であるとはいえ、現状自体が都条例第2号に則していない点も多々実例が散見されている。たとえば100〜200平米のモダン小売商店は在来型パサルから0.5キロ以上離れていなければならず、200〜1,000平米では1キロ離れ、1,000〜2,000平米は1.5キロ、2,000〜4,000平米だと2キロ、4,000平米を超えると2.5キロ以上離れなければならないとされているが、実態はその通りになっていない。ともあれ民族資本が百%の中小規模小売商店を保護するために大規模小売業者が自己所有している土地建物に店を開くのを禁じるという都庁の方針に対して、大規模小売業界は反対の声を上げている。
そのような条例内容が施行されると店を閉めなければならなくなるのは、たとえばオランダ系のマクロ(Makro)だと全19店舗中のクラパガディン(Kelapa Gading)店、パサルボ店(Pasar Rebo)、メルヤ(Meruya)店がそれに該当するし、またフランス系のカルフル(Carrefour)は全22店中のチュンパカプティ(Cempaka Putih)店、ルバッブルス(Lebak Bulus)店、プリインダ(Puri Indah)店、MTハルヨノ(Haryono)店の四店が営業できなくなる。


「インドメーカーも二輪車生産に参入」(2006年6月13日)
インドネシアは世界第三位の二輪車市場だ。一位は中国の1,200万台、二位はインドの650万台、そして三位がインドネシアで500万台となっている。インドネシアオートバイ産業協会(AISI)のデータによれば、オートバイ国内市場は年々拡大を続けて2005年には前年から3割増の508.9万台を記録した。メーカー別に見れば市場をリードしているのはホンダで260万台を占め、マーケットシェアの52%を握っている。二位はヤマハの123万台、三位スズキ109万台、続いてカワサキ7.7万台、カンゼン1.9万台、キムコ1.5万台、ピアジオ915台といった顔ぶれで、日本勢上位三社が97%のシェアを握って寡占状態になっている。カンゼン(Kanzen)はかつての商工大臣リニ・スワンディが率いる新設インドネシアメーカーで、キムコ(Kymco)は台湾メーカー。ピアジオ(Piaggio)はインドネシアでVespaブランドスクーターを生産してきたイタリアメーカーだが、二サイクルエンジン規制で生産量ががた落ちになっている。2005年の二輪車市場は金融界が消費者ローンに力を入れたために自動車購入ローンが空前の盛況を見せ、また石油燃料値上がりで四輪車から維持費の安い二輪車に移った消費者の増加も手伝って前代未聞の販売量を示したものの、10月の石油燃料大幅値上げで消費者購買力が激減した結果その後の販売量は顕著に減少した。ローン返済不能で1百万台が回収されたというニュースもまだ耳に新しい。
そんなインドネシア市場にインドの二輪車メーカーが参入してきた。TVS Motor Company がカラワンのスルヤチプタ(Surya Cipta)工業団地に20Haの用地を準備し、4千5百万米ドルを投じて大規模工場を建設したのである。会社創立が1984年にさかのぼるTVS社は1986年以来日本の二輪車メーカースズキと技術提携を続け、その契約関係は2001年に完了した。今ではアジア、南米、ヨーロッパの32カ国に製品を輸出しており、更に海外生産拠点を持つという次のステップの白羽の矢はインドネシアに刺さった。会社設立以来インド国内でホンダやバジャイとの競争にもまれてきたTVSは国内第三位の二輪車メーカーとして確たる基盤を築き上げており、国内に3工場を運営して世界の二輪車生産番付では第7位に名を連ねている。R&Dにも力を注ぎ、同社のTQM実践に対しては2002年に日本科学技術連盟からデミング賞が贈られている。同社の製品は燃費の良さと低排ガス汚染という消費者の要求が今後ますます高まるであろう二要素を強く指向したもの。製品レンジはエンジン排気量100ccから150ccまでのオートバイ4機種、オートマチックスクーター1機種、70ccモペット1機種に渡り、1990年度の売上高3千万米ドルに過ぎなかったものが、2004年度には7.4億ドルを記録するまでに成長した。TVS社はインドネシア工場を東南アジア域内への供給拠点に位置付けており、国内市場のみならずAFTAならびにアセアンとの経済協定を結んでいる諸国への輸出をも睨んだ布石であることは歴然としている。


「ヨーロッパの有名デパートがイ_アに進出」(2006年6月16日)
インドネシアに進出しているヨーロッパ系の大手デパートはマークス&スペンサーとデベンハムズなどイギリス勢の独占状況だが、今後さらにいくつかのデパートが進出してくる予定だ、とハンダカ・サントサ小売業者協会会長が発言した。進出が予定されているのはハロッズとハーベイニコルでこれもイギリス勢であり、負けてならじとフランスからもギャラリーラファイエットがやってくる。
ヨーロッパ系デパートの大手は既にシンガポールとマレーシア市場を埋めており、次はインドネシアの番で、各デパートは一様にインドネシアの小売市場は魅力的だと述べている。外国小売業者のインドネシア側パートナーとなってデベンハムズ、マークス&スペンサー、ブーツ、ザラなどを呼び込んでいるPT Mitra Adiperkasa 社取締役は、外国小売業者がイ_アに進出する際のターゲット市場はアッパーミドルクラスだと語っている。2004年に行われたサーベイによればイ_アのアッパーミドルクラスは4千4百万人もいるとのことで、そのシェアに与りたい外国系小売業者は後を絶たないようだ。
また高級ショッピングセンターもこの先まだ続々と建設される予定であり、外国系有名デパートが店開きするためのインフラにも事欠かない。2006年半ばにはSenayan City、年末にはGrand Indonesia、2007年にはGandaria Main Street、Pacific Place、Kota Casablanca、2008年はPlaza Indonesiaの拡張計画など多数の予定が目白押しに並んでいる。


「一般商店の販売がミニマーケットに食われている」(2006年6月19日)
日常生活用品51カテゴリーの小売販売シェアは一般商店からミニマーケットに移行している、とACニールセンインドネシアがサーベイ結果を報告した。同社が毎年行っている調査によれば、51種の生活用品販売シェアは2001年に一般商店75.2%、ハイパー・スーパー20.1%、ミニマーケット4.7%だったが、2004年には69.6%:22.2%:8.2%、2005年は67.6%:22.2%:10.2%という比率に変化しており、2004年から2005年へは2%相当が一般商店からミニマーケットに移ったことが明らかになった。ちなみに毎年のシェア推移は下の通り。(数字は%)
販売区分 / 2001年 / 02年 / 03年 / 04年 / 05年
一般商店 / 75.2 / 74.8 / 73.7 / 69.6 / 67.6
ハイパー・スーパー / 20.1 / 20.2 / 21.0 / 22.2 / 22.2
ミニマーケット / 4.7 / 4.9 / 5.3 / 8.2 / 10.2
51の品目区分にタバコを加えると、2005年のシェアは一般商店が84%に跳ね上がる。ACニールセンは対象カテゴリーを50数種に絞らず、全日常生活用品で調査すれば一般商店のシェアは90%を超えるだろうとコメントしている。この調査の対象とされた51カテゴリーの2005年の総市場は59.05兆ルピア。月に一度ハイパーマーケット、毎日の買い物はミニマーケット、そして二日に一度はトラディショナルなパサルを訪れる、というのが最近の消費者の買い物行動だそうだ。


「メガグロドッ」(2006年6月20日)
衣料品はタナアバン(Tanah Abang)、家電や産業機器はグロドッ(Glodok)という時代がかつてあった。いや、今でもそうだ、と反論するひとも少なくないにちがいない。それらの場所は広いジャカルタの、そしてインドネシア全土の総本山として取扱い商品と密接に結び付けられ、流通業者や職業上で専門的なものを必要とするプロたちが品物を求めてそこへ集まってきた。国内流通機構の元締め的位置付けを得たそれらの卸センターは、都内からだけでなくほかの都市からも仕入れのために流通業者が買い付けにやってくるマーケットだった。当時の首都ジャカルタにおける一般庶民のモビリティは町内からほとんど外に出ないような低いレベルにあり、町外でもせいぜいベチャに乗って近場のパサルや親族の家を訪問する程度であって、仕事や買い物のために十数キロも街中を往来するようなことは日常のアクティビティになっていなかった時代だ。だから国内観光旅行も定着しておらず、今のように他州からインドネシア人観光客がバリやジョクジャに押しかけるようなことは比較的近い過去に始まった現象である。言うまでもなくひとびとの心理の中にも、旅は訪問先の家に至る危険な道程であって、賊や病や敵意・搾取などの間を無事に潜り抜けて行かねばならない茨の道であるという観念の方が強かったようだ。ジャカルタの中流市民がバリに遊びに行こうと考えるのはまだまだ常識はずれの感覚だった。今からほんの三十数年前、ジャカルタはそんな状況の真っ只中にあった。
そんな時代であればこそ、タナアバンやグロドッが黄金時代を謳歌できたのだろう。今では都内各所に卸しセンターや専門店が林立しており、消費者を一手に引き寄せることができなくなってしまったのだから。ではあっても長期に渡って確立された名前と実力はまだまだ客寄せの力を持っている。コタ(Kota)と呼ばれるジャカルタ中華街のメイン商業センターとしてコタの代名詞にもなっているグロドッでは、中規模から大手の店は一日1億から5億ルピアを売り上げるし、1千5百店もある小規模店舗でも一日平均2千万ルピアの売上がある。合計すれば一日3百億ルピアの金が動いているグロドッはいまだにインドネシア経済の心臓部をなしていると言っても過言ではあるまい。1998年5月暴動にからんで、グロドッがインドネシア産業にどれほどの意味を持っているのかを示した逸話がある。大暴動で多くの建物が焼かれ、破壊され、商品が掠奪された。印華系商店主の多くが国外に脱出し、グロドッは三週間ゴーストタウンと化した。そのとき、今はバンテン(Banten)州となった当時西ジャワ州チレゴン(Cilegon)のとある工場で高圧パイプにひび割れができ、パイプ交換をしなければならなくなったがスペアがない。知っている限りの店を当たったがどこも在庫を持っていない。グロドッだったらいくらでもあるとどの店も異口同音に言うが、グロドッは閉まったままだ。そうこうしているうちに二週間が過ぎ、その工場は機械が稼動できないためにその間半休眠状態を余儀なくされた。八方手を尽くしてグロドッのある商店主まで連絡をつけ、必要なわずか1.5メートルのパイプ一本を買う段取りまで漕ぎつけたが、グロドッ地区の店まで取りに行くのをだれもが怖がって行こうとしない。業を煮やした工場経営者は軍に依頼して完全武装の護衛を付け、グロドッまで乗り込んだという話がそれだ。暴動が吹き荒れたジャカルタから何百キロも離れているその工場も、暴動のあおりを受けて二週間操業できなくなったのである。それがグロドッの持つ意味合いなのだ。
1990年代以降のグロドッ地区はすでに飽和状態となっており、新たな発展性は期待できなくなってしまった。周辺道路は渋滞が継続し、駐車スペースを探すのさえ苦労しなければならない。土地の価格は平米当たり1〜1.2億ルピアで、賃貸するなら1億以上は確実だ。独立以後のグロドッの発展を支えた世代は時の流れと共に否が応でも現役を退き、世代交代が進んで行く。考え方の異なる二代目たちは、すでに国内総本山でなくなったグロドッの変貌をひしひしと感じてその対策を練っていた。都内各所に卸センターが続々と建設され、大規模家電専門店が開店し、おまけにスリーインワン道路交通規制地域がコタ駅まで拡大されたことで、危機感はいやが上にも高まっていった。
こうしてグロドッ界隈の二代目若旦那たちが集まって2005年8月、クマヨラン(Kemayoran)にオープンしたのがメガグロドッ(Mega Glodok)。二代目たちはたいていが外国で大学教育を受けた新進気鋭のヤングビジネスマンであり、最先端のアイデアを実現しようとの意欲に燃えてグロドッの引越し先を作った。メガグロドックマヨラン(Mega Glodok Kemayoran)は電子技術機器、産業機器、家電品、通信機器などを商う一大スーパーブロックなのだ。そこにはモール、住居店舗、オフィス、アパートなどが集まり、グロドッより明るくて快適な空間の中でグロドッ式ビジネスが行われている。
クマヨラン地区の6Haの土地に建設されたメガグロドックマヨランは11階建てインテリジェントビルで、6フロアは小中規模の販売店が入居している。店舗スペースは基本的に買取りだが、外資系販売店には賃貸も行う。このビルにハイパーマーケットを呼んで人の動員を図ることも可能だったが、顧客セグメントが違っているため無意味なことはやめた、と二代目たちが設立したPT Jakarta Kemayoran Properti のサスミタ・ウィナタ社長は言う。限定された商品セクターを求めてやってくる消費者がその関連で興味を持つ商品は自動車やホームファーニッシングだろう。だからメガグロドッにはインテリアアクセサリー関連のスーパーマーケットHome Cientro が入っている、と同社長は説明する。中古車ディーラーにも60店のショールームが用意されており、そのレンタル料はひと月1千8百万ルピアとのこと。また将来的にはそれら中古車ディーラーの扱い商品を集めてウエッブサイトに載せるアイデアもある。購買者はまずネットで写真、スペック、価格などをチェックし、現物を見にやってくればよい。気に入ればその場で売買成立だ。
メガグロドックマヨランは売場の70%が既に売れてその半分ほどが入居済み。近いうちに3百のコンピュータ販売店も入居する予定になっている。クマヨラン地区の開発に12投資家が名乗りをあげているが、建設を実現させた商業施設はメガグロドックマヨランが一番手。計画として出来上がっているものは558メートルの世界最高建築物となる予定のムナラジャカルタ(Menara Jakarta)、ジャカルタオートセンターなど。クマヨラン地区に建っているのはアパートメントの方が多く、ブロッサム(Blossom)、メディテラニア(Mediterania)、プラッソ(Plasso)などが先に稼動している。


「携帯電話市場は1千万台に」(2006年6月21日)
今年のインドネシア携帯電話市場は昨年から25%増えて数量1千万台金額14兆ルピア市場になる、と業界者が語った。インドネシアの携帯電話は2005年に8百万台を販売したが、2006年はそれから25%増加する、とLGエレクトロニクスインドネシア社携帯電話部門のジェネラルマネージャーは予測している。その予測は全国携帯電話協会のものとほぼ同じで、2004年の販売台数650万台は年々30%増になるだろうとの予測を同協会は先に表明している。
インドネシアでは電話オペレータによる電話機を無料にした抱き合わせ販売がまだ行われていないにもかかわらず、販売は今後も増加傾向をたどるものと見られている点がユニークで、しかも商品レンジ別でもロワーモデルが43%、中級モデルが30%、上級モデルが27%という比率も他の国と異なっている、とのこと。ロワーモデルとは単価50万から100万ルピアのレンジ、中級は単価200万ルピアまで、上級品は単価が200万ルピアを超えるものと定義されている。抱合せ販売は今後3G機種が増加していくこと、3G機種は高価であることなどからこの販売手法が増加することをメーカー側は期待しており、LG社は各電話オペレータとその戦略の検討に入っている。
ノキアインドネシアのジェネラルマネージャーはジャワ島が携帯電話販売の6割を占めており、また機種セグメントもミドルから下のものがきわめて優勢であることから、ジャワ島での普及率拡大と上級機種へのグレードアップでこの先まだまだビジネスは大きく発展していくだろうとその将来性への期待を語っている。


「ラスナエピセントラム」(2006年6月23日)
南ジャカルタ市クニガン(Kuningan)地区ラスナサイッ(Rasuna Said)通りにバクリグループがメガスーパーブロックを建設する。建設工事は今年7月に着工され、10年の歳月をかけて完成させる予定の遠大なものだ。世界にある多くのスーパーブロックは5〜15ヘクタールという規模だが、このメガスーパーブロックは50ヘクタールという規模のもので、メガスーパーブロックと呼ばれるのにふさわしい。そこにはオフィス、ホテル、アパートメント、ギャラリー、リテールウォーク、TVスタジオ、コンサートホールなど多種多様なプロパティが勢ぞろいする。ラスナエピセントラム(Rasuna Epicentrum)と名付けられたこのブロックは、特徴的なふたつのビルをアイコンとして持つ予定。ひとつはユニークな曲線でデザインされた48階建てバクリタワーで、その曲線はインドネシアに古来から伝わる短剣クリスからイメージを得たものだ。もうひとつはANTVスタジオビル。それらのビルは都内中心部に造られたアパート団地となっているタマンラスナ(Taman Rasuna)のど真ん中を流れている川の岸辺に建てられる予定であり、またその川も将来水上観光スポットに変身させる企画が立てられている。
このスーパーブロックの中心はエピセントラムウオークで、そこは250メートルのセミアウトドア遊歩道になっており、道にはショップ、カフェ、レストランが並ぶ。この道はコンサートホールとANTVスタジオを両ターミナルとして結ぶものだ。リバーサイドを利用して造られるこの遊歩道コンセプトはジャカルタで最初のものであり、川を再活性化してアーバンライフに新たな趣をもたらすものとして都民を喜ばせるだろうことは疑いない。このブロックの中には大型造形美術も潤いを与えることになる。
歩行者に優しくないジャカルタで、このスーパーブロックは建物の間に10メートル幅の歩行者専用スペースを取る。噴水、トロピカル植物や立ち木、アート、キオスクなどがおよそ5百メートルのそんなスペースを彩る。さらにブロック内の足として公共用路面電車が訪問客を随所に運ぶ。この路面電車はラスナサイッ通りを通るモノレールの駅に接して訪問客の足の便を確保することになっている。それとは別にカサブランカ(Casablanca)通りからこのスーパーブロックへ入ると、地上二階レベルがブロックの端から端までつながっているため、天候のいかんに関係なくブロック内を移動することができる。建物同士もスカイウオークで結ばれ、また地下駐車場も地下三階で各駐車場が結び合わされるため、ブロック外の道路が渋滞していれば、地下三階を移動して空いている道路に近い駐車場から外へ出ることもできる。


「ドーナツはお好き?」(2006年6月29日)
ここ数年、ドーナツが庶民生活の中で大きい人気を集めている。大流行をきたす前は、ダンキンドーナツ(Dunkin' Donuts)をはじめ一部の外国ブランドフランチャイズが独自のセクターのファンを確保して市場を形成していたが、今では地元ブランドから道端ドーナツ売りまで登場して大盛況。そしてハイパーマーケットにはオランダ直輸入のドーナツまで並べられるありさま。
アメリカが世界に向けて売り出したダンキンドーナツは、今イ_ア国内に2百の店舗を持つまでに成長した。昨今のインドネシアにおけるドーナツ大流行のベースをこのダンキンドーナツが築いたと言っても過言ではあるまい。そんな中にあってシンガポールブランドのパンケーキブティックであるブレッドトーク(Bread Talk)をインドネシアに呼び込んだジョニー・アンドレアン(Johnny Andrean)が今度は独自のドーナツショップJ.Coを開店した。そしてあのブレッドトーク現象がJ.Coの店で再現されたから、誰もが驚き、そしてJ.Coの店に走った。このあたりのストーリーは< http://www.j-people.net/news1001/news0605.htm (2006年5月4日)「ジョニー・アンドレアン」> をご参照ください。
小麦粉に砂糖とバターを混ぜてイーストを加え、できたドウをリング形に作って油で揚げればできあがり、というドーナツはだれでも比較的容易に作ることができる。ましてや揚げ物だから道端にドーナツ屋が出現するのもインドネシアならではのこと。とはいえ独自のブランド名で看板を出したマーケットリーダーたちは、他店から差をつけようと切磋琢磨している。ドウには何か別のものを加えて特徴を出し、トッピングにもさまざまなアイデアを加える。かれらアッパーミドルを対象とするリーダーたちとは別にロワークラスを対象とするメーカーも独自のブランドをつけて売り出している。インドマレッ(Indomaret)の店でよく目にするHot Donatはそのひとつ。半ダース5,500ルピアのセット売りも、バラ売りにすれば1個1千から1千5百ルピアの値がつけられる。アッパーミドルクラス対象の店で売られているドーナツが1個4,500ルピアもするのと好対照。安いドーナツを見つけるのは簡単だ。パサルでも、ワルンでも、道端でも、そして陸橋やら都内バスの中でも。
アッパーミドル対象のドーナツ売店は、人の流れの繁華な場所にきれいに飾ったカウンターを置き、清潔なケースの中に商品を並べて制服姿の女店員が相手をしてくれる。ダンキンドーナツ、マスターリング(Master Ring)、マスタードーナツ(Master Donut)、ミスタードーナツ(Mister Donut)、そして最新のフェノメナであるJ.Coというこのクラスにまた新たに外国から市場参入がある。ジャカルタのハイクラスモールとしてソフトローンチしたスナヤンシティにオープンするアメリカブランドのクリスピクリーム(Crispy Cream)がそれだ。
アメリカ人のドーナツの好みとイ_ア人のそれとは異なっている、とPT Dunkindo Lestari のジェネラルマネージャーは洩らす。ダンキンドーナツがイ_アに進出してきたとき、アメリカ風のこくがあってしっかりお腹に溜まる感じのドーナツに大勢の消費者が抵抗を感じた。だからインドネシアではもっと柔らかく軽いものにして消費者の嗜好に合わせたが、最近の嗜好はまた変わり始めている、とかれは言う。つまりアメリカ風のものがより受け入れられるようになってきていると言うのだ。ドーナツの数あるバラエティの中でイ_ア人のお好みはチョコレート、チーズ、ピーナツ、ストロベリーだそうだ。昔からあまり変化はなく、ベーシックな味のものを好むとのこと。


「よく売れている日用消費物資は何?」(2006年7月6日)
2005年5月から2006年4月までの日常生活必需品小売販売はその前の一年間の実績59兆ルピアから13%上昇しており、2005年10月1日の石油燃料大幅値上げの影響が見当たらないことをACニールセンインドネシアが明らかにした。日用消費物資購入は時代時代で変化しており、1980年代は低カロリー、1990年代は低脂肪、そして今はアンティオキシダントやガン予防あるいは健康食品への傾倒が顕著に見られる。緑茶カテゴリーは2005年7〜8月に8億ルピアの販売だったが、2006年3〜4月では99億ルピアに激増している。販売増につれて商品バラエティが増加するのは世の常で、2004年3〜4月の6種類は2005年1〜2月に8種となり、2006年1〜2月は24種となり、さらに3〜4月には28種類へと増加している。乳幼児向け粉ミルクも同じで、今ではDHA、AA、オメガ3、プリバイオティックなどの要素があるものとないもので売れ行きが大きくちがっている。
それら以外にも、即席麺、ビスケット、コーヒー、そして香水や整髪料なども販売増に貢献している。カテゴリー別では下のような商品がインドネシアでよく売れているものだ。( )内はルピア金額。
食品 :  即席麺(1.1兆)、粉ミルク(0.89兆)、ビスケット(0.61兆)
ボディケア : 浴用石鹸(0.27兆)、スキンケア製品(0.20兆)、コロン等香水(0.15兆)
家庭用品 : 洗剤(0.59兆)、殺虫剤(475億)、洗濯柔軟材(438億)
医薬品 : ビタミン(676億)、風邪頭痛薬(469億)、胃薬(258億)


「テルコムのキャンペーンが大好評裡に終了」(2006年7月10日)
PT Telkom が4月1日から6月30日まで行ったウイークエンドネットキャンペーンで、テルコムダイヤルアップインターネットアクセス利用者は68万番号に増加した。既に終わってしまったこのウイークエンドネットは、家庭にある固定電話機からテルコムの080989999にダイヤルアップし固定ユーザーネームとパスワードを入力すると即座にインターネットにアクセスできるTelkomNet Instanと同じものだが、毎週土曜日と日曜日に限ってキャンペーン期間中の料金がアクセスチャージと電話料金オールインで1分当たり100ルピアになるという破格のものだった。
同社のマーケティング広報担当副社長はそのキャンペーン成果に関して、4月から6月までの平均利用者数は3月実績に対して土曜日で8.8%、日曜日は14.8%もアップしたし、ウイークデーですら2.2%増加しており、顕著な効果があったと表明している。アクセス利用者についても、それまでの60万番号から68万番号へと10%を超える増加があった。利用時間については土曜日が17.4%、日曜日で27.1%、おまけにウイークデーも3.1%の増加が見られた。地域別に見ると、西ジャワ州の上昇が最大だったとのこと。
ところで同社は、Speedyと命名したブロードバンドインターネットサービスの一斉展開を7支店22都市で開始した。これまでスピーディはメダン、ジャカルタ、ボゴール、バンドン、スマラン、スラバヤ、マカッサル、デンパサルなどの主要都市でコマーシャルベースのサービスが既に始まっていたが、22都市にまで拡大したことで同社は全国展開の段階に至ったとしている。スピーディに関する営業目標は今年新規利用者40万番号を獲得し、総利用者数47万2千番号にすること。2005年末時点でのスピーディ利用者は30,662番号だったが、今年5月時点では43,168番号になり、1番号当たりの平均収益はひと月49万8千ルピアとなっている。スピーディは高速インターネットアクセスを可能にするADSL技術を用いたブロードバンドアクセスサービスで、テルコム側によれば通常のダイヤルアップアクセスに比べて6倍のスピードアップになるとのこと。また将来的にはこのスピーディサービスをWiMax と組み合わせる方向で同社は検討を進めている。


「国内固定電話利用は減少傾向」(2006年7月11日)
PTテルコムの固定電話国内利用収入が減少している。同社の会計報告を見ると、2005年の固定電話国内利用収入は10.27兆ルピアで、2004年の10.55兆ルピアからダウンした。これはローカル通話とインターローカル通話の双方で収入が減少したため。テルコムは固定電話サービス利用者1番号あたり32,600ルピアの月額固定費を870万番号から徴収している。それらの利用者が2005年に使ったローカルとインターローカル電話料金総額は7.2兆ルピアで、2004年実績から2千2百億ルピアも減少してしまった。一方国際電話はダイヤル直通007が市場シェアの52%を奪い、昨年はインとアウトの双方で5.5億分という通話時間に達した。そのため全体から見れば2005年年間では1,270万通話で使用度数677億となり、またフレクシ移動電話の36億秒の度数を加えれば2004年実績から28%上昇したことになる。フレクシは今や231都市に1,448基のBTSを擁している。


「プラザインドネシア拡張プロジェクトは今月着工予定」(2006年7月13日)
ジャカルタの中心部に位置するプラザインドネシアが国内最初の高級モダンショッピングセンターとして誕生したのは1990年。そしてその翌年にグランドハイヤットホテルがオープンした。そのプラザインドネシアが更にオフィスとレジデンシャル施設を加えようとしていた矢先に、インドネシアは通貨危機に見舞われた。当時都内いたるところで計画中あるいは建設中だったプロジェクトのすべてが、工事の進行を一斉に頓挫させた。あれから8年が過ぎ、プラザインドネシアはかつて描いた計画の実現に取り掛かった。プラザインドネシア拡張プロジェクトはオフィススペース41フロア、アパートメント47フロア、小売スペース6フロア総面積220,998平米という巨大なランドマーク建設工事だ。工費1.3億ドルのこの建設工事をサンヨン建設が落札した。今月から始まる建設工事は、小売施設が22ヶ月、オフィスと高級アパートメントの両タワーが33ヶ月の工期を予定しており、2009年にはすべてが稼動を開始することになっている。


「日本の小売セクターがイ_アに進出」(2006年7月27日)
日本の小売業界がインドネシアへの進出を希望している。ACニールセン調査によれば、日本の小売セクターで拡張指向の強い業界はユニー・平和堂・泉屋などの大型スーパーマーケットと、セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートなどのコンビニエンスストアとのこと。また西武・そごう・高島屋・伊勢丹・三越・大丸・松坂屋などの百貨店もそれに並ぶ。
日本からイ_アに進出しているいくつかの小売業者のパートナーを務めているPT Mitra Adiperkasa は、そごうデパートメントストアや紀伊国屋書店を国内数都市にオープンし、また近々ジャカルタに西武デパートメントストアを再開させる予定にしている。インドラワナ・ウィジャヤ同社取締役は、日本をはじめ諸外国の小売業者はアッパーミドル層から上を対象セグメントにしている、と語る。「外国の小売業者はブランド商品をイ_ア国内に持ち込んでくる。外国のブランド商品に関心を持つのはアッパーミドルから上だ。日本の小売業界がイ_アへの進出を望んでいるのは、国内のストラテジックな場所に続々とモールが建設されているためではないだろうか。結局、新たな高級モールがどんどん小売業者にスペースをオファーしているため、外国の小売業者にとっても大きいチャンスが開かれているということだ。」同取締役はそのように述べている。


「ジャカルタ近郊電車でも電子式チケット」(2006年8月1日)
首都圏近郊電車の乗車券をシンガポールやマレーシアで使われているような電子式チケットに変えていく、と運通省のスミノ・エコ・サプトラ鉄道総局長が表明した。「総局はいま切符を持たない者が駅構内に入れないように外部者の侵入を遮断する駅施設改装を行っているが、この工事は2007年からスタートを予定している近郊電車乗車券の電子化に備えてのものである。この電子化はシンガポールのMRTで使われているようなものか、もしくはタッチスクリーンが使われることになる。このシステム変更のために近郊電車区域内の全駅にそれに応じた設備を備える予定で、そのシステムが稼動すれば鉄道職員や車掌が大勢車内に乗務して乗客と接触しているいまのような状況が改善される。今のマニュアルによる乗車券販売収入は30%が水漏れを起こしていると推測されているが、電子式チケットは何も物言わず、すべてがオートメ化されて逸脱行為が行われる余地を一掃してくれる。」スミノ総局長はそう語って、電子式チケットが無賃乗客と鉄道職員との間のネゴをシャットアウトし、これまで盛んに行われていたかれらの間の贈収賄をなくしてくれることへの期待を表明している。
新システムのトライアルが2007年初にタナアバン〜スルポン線で開始されることを総局長は明らかにした。今行われている複線化工事の完了と共にタナアバン〜スルポン線にはエアコン付き新車両が投入され、乗車券システムも一新される。今現在複線化工事は2割方進展しており、完了は来年2月の予定。同線のプロジェクトには20のコントラクターが参加し、3千9百億ルピアの工費をかけて線路敷設から駅舎改装、そして駅を数ヶ所増設するといったことまで計画されている。この路線に投入されるエアコン付き新車両とは日本から輸入される160輌の中古車両のうち7月24日に揚陸された16輌のこと。


「コンビニチェーンACIが撤退」(2006年8月4日)
最盛期には一店あたり一日7〜8百万ルピアの売上をあげていたコンビニエンスストアチェーンのACIがついに小売事業から撤退する。イ_アのミニマーケット/コンビニエンスストア業界のはしりとしてインドマルッ(Indomaret)とともにモダンマーケット小売市場の進展に貢献したPT Multidaya Ritelindo が売上激減でジャボタベッ地区60店の経営が立ち行かなくなり、今年3月から整理を進めていた同社も結局全店閉鎖の結論を下した。
ACI(Aku Cinta Indonesia)の屋号で住宅地密着を指向したこのコンビニチェーンは2003年以来首都圏でのハイパーマーケットブームの波に押されて売上が4割減まで低下し、結局それを乗り越えることができなかった。ファキ・シュハダ(Faqih Syuhada)業務担当取締役は、ハイパーマーケットを主体とする大型小売店に容易に許可を与えたことで消費者の流れが変化し、それがこの結果をもたらした、と述べている。「イ_ア消費者はショッピングをひとつの行楽ととらえている。そのために広いスペースにたくさんの商品が置かれ、整然として快適で、大勢で出かけることのできるハイパーマーケットに行くことを選択する。反対にコンビニやミニマーケットは、そこへ買い物に行って何が買えるのかという見方をする。小規模モダンマーケットのコンセプトがまだ十分に理解されていない。」そのように同取締役は語っている。


「ガルーダ航空も民有化される予定」(2006年8月9日)
国有事業体担当国務省が、139の国有事業体を整理統合して80から85にまとめる計画を明らかにした。スギハルト国務相はその内容について、37事業体はこれまで通りスタンドアローンとし、37事業体は統合して15程度に減らし、35事業体はこれから新設する6から8の持株会社の傘下に収め、また30事業体は政府持株を民間資本に移管する、と説明している。民有化される30事業体の中には下のような会社が含まれている。
PT Bank Niaga Indonesia Tbk
PT Bank Tabungan Negara
PT Timah Tbk
PT Aneka Tambang Tbk
PT INTI
PT Atmindo
PT Rekayasa Industri
PT Indra Karya
PT Virama Karya
PT Wijaya Karya
PT Bina karya
PT Indah Karya
PT Yodya Karya
PT SIER (minoritas)
PT Surveyor Indonesia
PT Sucofindo
PT Perusahaan Gas Negara
PT Semen Baturaja
PT Kertas Blabak
PT Kertas Padalarang
PT Kertas Basuki Rahmat
PT Krakatau Steel
PT Cambrics Prissima
PT KIW (minoritas)
PT Garuda Indonesia
PT Merpati
PT Jasa Marga
今回の企画に関して同国務省は国有事業体のそれぞれに5つのオプションを設定した。現状維持、合併、持株会社編成、民有化、閉鎖がそれで、事業体の条件に応じてそのオプションのひとつを適用するというもの。現状維持の条件は、資本が確固としており、市場に平衡をもたらす機能を持ち、セクター内で優良企業となる潜在性を持っていること。合併の条件は、効率性、同一業種で市場セグメントも共通、競合が激しい、事業体の存続に不安がある、他の事業体と合併できる。ホールディング会社編成は、ビジネスパースペクティブが認められ、業種と市場セグメントは異なるが同一セクター内にあることで、建設セクター・農園セクター・医薬品セクターの分野で持株会社を編成する。民有化は、株式会社になっており、テクノロジーが早く転変する事業セクターで競争力を持ち、治安国防分野に関与しておらず、また民間に閉鎖されている天然資源を取り扱わず、資本市場に定められている条件を満たすこと。閉鎖は、過去5年間連続して赤字であり、資本金がマイナスで事業競争が激しく、公共サービス義務を負わされていないこと。
民有化についてスギハルト国務相は、これまで民有化された国有事業体は経営状況が好転しており、今回の民有化も良い効果をもたらすことを確信している、と語った。売上高当期純利益率は民有化前9.2%だったものが24.7%にまで向上しており、事業効率は517%から713%にアップしている。また資本債務比率は413%から204%に低下している、と詳細を説明している。


「今年の独立記念日にホテル宿泊パッケージ」
独立記念日が今年も近付いている。今年の8月17日でイ_アは独立を宣言してから61歳を迎えるので、南ジャカルタ市ラスナサイッ(Jl HR Rasuna Said)通り南にあるグランメリアホテル(Hotel Gran Melia Jakarta)が特別宿泊パッケージを用意した。名付けて61st Independence Day Package というこの企画の一部屋一泊の料金がなんと61万ルピア++。この料金にはデラックスルームでの宿泊とカフェグランフィアでの朝食が込みになっており、もし二泊以上する場合はやはりカフェグランフィアでのビュッフェ式夕食もサービスされる。ホテル滞在中に無料で利用できるファシリティもたくさんで、プールやフィットネスセンターの利用はチャージされない。フィットネスセンターには最新鋭のエクササイズ機器がそろえられ、またサウナ、スチームバス、ジャクチも完備されており、おまけに3階には220メートルのランニングコースまで用意されているので、「運動のためによそへ行く必要はまったくありません。」とホテル側は強調している。宿泊客は駐車料金がかからず、また朝は有力全国紙も無料で配達される。
今年の独立記念日は8月17日が木曜日、そしてウイークエンド明けの21日月曜日もイスラミラジの休日になっており、場合によっては5連休も不可能でない。そのため同ホテルでは、この特別パッケージを2006年8月15日から22日まで適用することにして、全428室が埋まることを期待しつつ顧客の到来を待ちわびている。[ 2006年8月 ]


「首都に小売スペースはもっと増える」(2006年8月10日)
活発な建設ラッシュの只中にある首都ジャカルタは2006〜2008年ピリオドでも多量のスペース供給が実現すると見込まれており、特に小売スペースは2008年に3百万平米に達するものと予測されている。ジョーンズラングラサールインドネシアの小売賃貸分野担当取締役は、今現在建築中あるいは建築準備に入ったプロジェクトを総合すると、2008年末までに1百万平米のスペース増が起こる、と表明した。グランドインドネシア、スナヤンシティ、パシフィックプレース、ジャカルタシティセンターなど一連の大型プロジェクトがそのスペース増の根幹をなしており、それに加えて多数のデベロッパーが、店舗住宅、ミニマーケット、スーパーマーケット、ハイパーマーケットの建築を進めていて総合すれば1百万平米の小売スペースが首都に追加されることになる。
インドネシアプロパティウオッチ所属の専門家によれば小売スペースの建築コストは平米当たり200万から350万ルピアとのことで、大量の小売スペース供給にデベロッパーが投資している金額の大きさが推測される。ちなみに店舗住宅の場合は平米当たり200〜250万ルピア、大型モールは350万ルピアレベルとのこと。小売スペースにせよ、住居スペースにせよ、ジャカルタは既に飽和状態だとの声が何年も前からあがっているのとは裏腹に、建設業界は積極的なビル建設を続けている。本当に飽和状態かどうかの議論は別にしてジョーンズラングラサールインドネシアのルシ・ルマンティル会長は、売場面積(u)あたりの人口密度をアジア諸都市と比べるとジャカルタの密度は低い方だとコメントしている。同会長が示すデータは下の通り。
都市 / 人口(万人) / 小売スペース(万u) / 密度(人/u)
香港 / 700 / 950 / 0.7
シンガポール / 440 / 250 / 1.7
バンコック / 970 / 450 / 2.2
ジャカルタ / 750 / 240 / 3.1
マニラ / 1,130 / 300 / 3.7
今後のモダンリテールマーケットの傾向について上述の小売賃貸分野担当取締役は、従来のテナント売り渡しスタイルは減少し、賃貸型に移行していくだろうと解説する。これは建てたビルへの顧客誘店を最大限に高めるためにビル全体を統一的なコンセプトでまとめる必要があり、そのために必然的に賃貸方式が有力になっていくからだ。集客力に欠けるモールはテナントミックスが統制できておらずマーケットコンセプトの焦点がぼやけているためであり、既に売り渡してしまったテナントスペースにモール運営者が希望する特徴を求めてもすべて応じてもらえるかどうかわからない。賃貸テナントであればこそ、その整理統合が行いやすく、その結果集客力が高まることで双方がメリットを享受できる。同取締役はそう述べている。


「小売業界は積極的に新店舗をオープン」(2006年8月11日)
今年上半期の小売業界は概ね売上の伸びを記録したが、新店舗オープンによる販売ネットワーク拡張がなければ販売増はおぼつかないのではないか、とパニン証券のアナリストが分析している。ジャカルタ証取上場小売企業の今年上半期の業績は下の通り。
会社 / 2006年上半期売上高 / 2005年上半期売上高 / 対前年比
Matahari Putra Prima / 3.36兆ルピア / 2.78兆ルピア / 120.9(%)
Hero Supermarket / 2.28 / 1.95 / 116.4
Ramayana Lestari Sentosa / 1.75 / 1.61 / 108.8
Mitra Adiperkasa / 1.52 / 1.30 / 116.7
Rimo Catur Lestari / 0.096 / 0.109 / 88.1
Metro Supermarket Realty / 0.017 / 0.017 / 100.2
小売業界今年上半期の業績は昨年10月の石油燃料大幅値上げの影響によって横ばいがせいぜいというところであるため、意外な業績の伸びは販売拠点の増加に支えられている面が強い。たとえばラマヤナは8.8%の上昇を示したが、開業1年以上の店舗における売上増は1%しかなく、7.8%の増加は新店舗における売上がもたらしている。
上半期は基本的に売上が伸びず、新学期・ルバラン・クリスマス・新年が控えている下半期に売上増のチャンスが待ち構えているのだが、どん底に落ちた国民購買力と業界内での競争激化によって売上高は低空飛行に向かう可能性が強く、新店舗オープンが伴わない場合は一桁台の伸びしか期待できないのではないか、とアナリストは見ている。イ_ア最大の小売企業マタハリも、今年の売上アップは新規開店したデパートとハイパーマーケットのおかげだ、と同社取締役が述べている。同社売上は65%がデパートからのものであり、同社は今年3〜5軒のデパートと9〜10軒のハイパーマーケットを開店する予定にしている。一方、ヘロスーパーマーケットは今年2千5百億ルピアの予算を計上して60店の新規オープン計画を組んでいる。


「電話とコンピュータの利用統計」(2006年8月29日)
イ_アの一般家庭では携帯電話の方が固定電話より頻繁に使われており、一方コンピュータを使っている家庭は大変少ないという実態が、2005年に中央統計庁が行った全国社会経済調査から明らかになった。イ_ア全国の5,880万世帯の中で固定電話を設置している家庭は770万しかなく、普及率は13.1%しかない。ところが総世帯数の中で1,170万世帯が携帯電話を使っており、その普及率は20%に上る。1,170万のうちでおよそ9百万世帯が都市部におり、農村部は微々たる数値でしかない。
都市部では百世帯のうち18世帯が携帯電話と固定電話を持ち、携帯電話利用者の66.3%は利用番号がひとつだけだが残りはふたつ以上の番号を使っている。固定電話利用者770万世帯の0.5%が貧困家庭であり、携帯電話保有者1,170万世帯のうち約1百万世帯も貧困家庭だ。これはつまり、貧困家庭1百世帯のうち2軒が固定電話と携帯電話の両方を持っていることを意味している。固定電話と携帯電話の両方を持っている家庭の半分以上が労働者・勤労者で、それ以外の34.5%が事業家、そして8.6%が不労所得者となっている。
地理的に見ると、リアウ島嶼州の携帯電話普及率がイ_アでトップランクに位置している。首都ジャカルタの携帯電話保有率は全家庭数の50%だが、リアウ島嶼州はなんと53.9%に達しており、第三位はジョクジャの39%、そして東カリマンタンの36%、バリ35%と続く。最低は東ヌサトゥンガラでわずか5.4%。
一方、コンピュータ普及状況についてその調査は、全国5,880万世帯中コンピュータを持っている家庭が220万しかないことを報告している。普及率はわずか3.7%。220万家庭のうち2百万は都市部におり、農村部は20万だ。コンピュータ保有家庭220万中でインターネットにアクセスしているのは27%に過ぎない。この数値は東南アジアでも低い部類に属すと見られている。
インターネット利用状況については、5,880万世帯の1.6%がワルネットを利用しており、1.8%が学校やオフィス、そしてその他と答えたのが0.3%ある。ワルネット利用家庭はほとんどが都市部で、都市部の1百世帯中3世帯がそれを行っている。


「カルフルの安売りに反対」(2006年9月11日)
2006年7月24日付コンパス紙への投書"Dumping Carrefour dan Citibank"から
拝啓、編集部殿。2006年7月8日(土)9日(日)の二日間、あるモールの駐車場ではこれまで見たこともないほどの賑わいで、周辺の路上まで駐車する車が溢れていました。モールに入ったところ、そこに入居しているカルフルが特別セールを行っており、シティバンクのクレジットカードで支払いをするとオートバイ以外は何でも2割引きの大安売りになっているのです。どこのショッピングセンターでも日用必需品、中でも飲食品は2〜5%という薄利で小売されていますので、衣料品以外にそんな安売りをしているところはありません。経済的に窮乏している人が大勢いるというこんなご時世に、対象クレジットカードを持っている人がそれを利用して限度一杯まで自分が必要でもないものをただ値段が安いために買いまくっており、その中には他のパサルでそれを再販しようとしている人がいるのに疑いありません。そこでの値引き価格が近隣トラディショナルマーケットの卸価格より安いので、モールの周辺にいる零細商人がその犠牲になるのです。
カルフルとシティバンクが共同で行ったその行為は、他の零細商人に損害を与えるダンピング行為だ、とわたしは思います。キャピタリズムに毒されたそのような行為はわが国経済にとってマイナスをもたらすものです。国内大都市に林立しているハイパーマーケットが場所の上からも広さの点でも規則を破っているのは明らかではありませんか。自分の本国ですら、そんな広さの店をそれほどトラディショナルマーケットの近くにオープンするのは禁じられているというのに、わが国にやってきた途端そんなことに関心を示すひとはひとりもいません。借金を勧めて民衆に消費行動を煽ることは、先年韓国で発生したクレジットカード発行会社の倒産に見られるように、とても危険な経済状況を生みます。わたしは政府と事業競争監視コミッションが上記のダンピング行為を調査することを望みます。[ 東ジャカルタ在住、スリ・マルヨノ ]


「商店の規制時間外営業を取り締まれ」(2006年9月15日)
大規模小売業もしくは販売店の多いチェーン商店が24時間営業を行っており、これは首都の規定に違反しているだけでなく小規模業者との競争に不公平をもたらすものであるため、当局は規制を行わなければならない、とリテールマネージメントセンター役員が発言した。都の規定によれば、民間小売業の営業時間は9時から22時、スーパーマーケットは10時から22時と定められており、その時間以外に営業したい場合はある期間だけの特例免除許可を都知事から得なければならない。ところがハイパーマート、アルファマート、サークルK、マクドナルドなどは24時間営業を行っており、本来なら大きい資本を持ち、多数の店舗を擁して幅広く地域をカバーしている店はむしろ営業時間を短くし、中小業者に長い営業時間を与えてバランスの維持をはかるべきである。「大型モダンマーケットは営業時間を10時から18時までに制限するよう、当方は提案している。」と同役員は述べている。売場面積1万平米以上の店は郊外部にだけ許可し、街中にはオープンさせないこと、あるいは販売店網が10店以上あるチェーンも営業時間を短くさせるなどの規制を行い、街中にいる中小事業者が市場競争から脱落して行かないように行政は保護するべきである、と同役員は主張している。


「海外ローミング手続したのに受信しかできない」(2006年9月15日)
2006年8月1日付コンパス紙への投書"SMS Luar Negeri Telkomsel"から
拝啓、編集部殿。2006年7月6日、わたしはプマタンシアンタルのテルコムセル・グラパリショップを訪れ、携帯電話ハローカードのダイヤル直通国際通話と海外ローミングを自分の携帯電話でアクティブにしました。それはシンガポールへ行くための準備です。翌日わたしは111番に確認のために電話し、オペレータからわたしの電話番号が海外直通とローミングがOKになっているとの返事をもらいました。つまりわたしが外国にいても、電話での発信受信ならびにSMSの送信受信が問題なく行えるということです。
2006年7月8日、わたしはシンガポールに着くとすぐプマタンシアンタルに居る妻にSMSを送ることをトライしました。ところが何度発信しても、常にsending message failed というレスポンスが出るばかりです。妻のシンパティカードの番号+6281362177XXXは間違いなく、またメッセージセンター+6281100000にもSMSを送ってみましたが成功しません。同じハローカードを持っている人宛や別のプロバイダーにも送ってみましたがやはり駄目でした。それで結局シンガポールのプリペイドカードStarを買ってトライしたところ、今度は成功しました。ところが妻がわたしのStarの番号にSMSを送ってもfail になるのですが、そのくせSMS発信料金はしっかり引き落とされているのです。ハローカードを使っているわたしの友人からStarの番号にSMSをトライしてもらいましたが、結果は妻の場合と同じでした。インドネシアにいてテルコムセルの番号を使っている10人に対してわたしはStarからSMSを送って返信するよう依頼しましたが、かれらのだれひとりとして発信できた人はおらずすべてfail でした。ところがおかしなことに、かれらからわたしのハローカード宛のSMS発信はできるのです。つまりわたしが買ったStarからインドネシア宛の送信はできるのにインドネシアからStar宛の送信はできず、わたしが持ってきたハローカードはインドネシアからの受信ができるのに送信はできないという現象が起こっていたのです。送信するときにはStarのカードを入れ、返事を読むときにはハローカードを入れ直すという大変厄介な作業をわたしは延々と強いられたのでした。毎回携帯電話器を開いてはカードを入れ直すという面倒な作業にわたしはとてもうんざりさせられました。シンガポールに数日間滞在しましたが、テルコムセルからたいへんな損害を受けた思いです。ハローカードからの送信ができないためにEバンキングがまったく使えなかったことで、わたしはさまざまな決済に大変な支障を蒙ったのです。[ プマタンシアンタル在住、イルワン・シナガ ]


「J.COドーナツの来店客は一日2千5百人」(2006年9月18日)
かつてパンのブティックショップという新コンセプトをイ_アに持ち込んで大ヒットさせたブレッドトークと、今度はドーナツで二匹目のどぜうをヒットさせているJ.CO のオーナー、ジョニー・アンドレアンが、イ_アのショッピングモールのテナント料は不公平感がある、と発言した。広大なスペースを占有している大規模小売業と、ブレッドトークやJ.COのような小規模小売業では平米あたりのテナント料金にたいへんな差がついている。大手のテナント、特にアンカーテナントはたいへん優遇されており、その不足分を小規模業者にチャージして補填しているとしか思えない、とジョニー・アンドレアンはアジアショッピングセンター評議会年次会議で発言した。
かれが調べたデータでは、売場面積1万平米・集客一日1万人のハイパーマーケットはテナント料が平米あたり月10米ドルを切っており、床面積1.5万平米・集客一日6千人のデパートも10米ドルに達しない。床面積2千平米・集客一日8千人の飲食店業は15米ドルだが、面積100平米・集客一日1.5千人のブレッドトーク店舗は40米ドルを切っているものの、床面積150平米・集客一日2.5千人のJ.COドーナツ店は40米ドルになっている。
その批判に対してインドネシアショッピングセンター運営者協会のアンドレアス・カルタウィナタ会長は、床面積の広さでテナント料に差をつけるような料金体系にはしていない、と反論する。「モール運営者は集客力を持たせるために著名な小売店が入居することを切望している。そのためにテナント料を値引いて魅力を持たせるのは常套手段であり、また大規模購入者に安い単価を与えるのも経済法則と言ってよい。かれらは広大な面積を借りるため、かれらが支払う金額も巨額になっている。」同会長はそう説明している。


「スズキAPVは失敗作?!」(2006年9月19日)
2006年8月12日付コンパス紙への投書"Pengalaman dengan Suzuki APV"から
拝啓、編集部殿。わたしは2006年7月初めに会社が買ったスズキAPVの新車に乗っています。運転し始めてからおよそ一ヶ月たったころ、エンジン音が耳障りになってきたのでスズキのディーラー、ジャカルタのAヤニ通りにあるPT Bypassindo Jayaindah を訪れてクレームしました。するとその症状の原因が、車の下に取り付けられているトランスミッション部分にぶつけた痕があるためと判明しました。何かにぶつけた覚えはわたしにはまったくなく、唯一の可能性としてその車を洗車したときに洗浄機が当たったのではないかということに思い至りました。ディーラーは責任がオーナーにあるとしてクレームを拒否したので、修理費用110万ルピアはわたしが負担しました。
これはスズキAPVオートマチック車オーナーの皆さんにとっての教訓です。決して洗浄機で洗車しないように、またpolisi tidur (自動車のスピードを殺すために地面に作った突起)にも気を付けましょう。オートマ車のトランスミッションは地面とほんの数センチしか離れていないのですから。トランスミッションを車のシャーシ下に取り付けてただのブリキ状のカバーで保護してあるだけというのは危険すぎませんか?いろいろなものがぶつかる可能性が高いので、この設計は失敗作ではないかとわたしは思います。
わたしの車の修理にはほぼ一週間を要しました。それは複雑な修理をしたからでなく、インドモビル社から交換部品が届くのが遅かったからです。"Suzuki, Kami peduli" という語呂合わせスローガンが本気でなされているとは思えません。[ ブカシ在住、メーラ・ディナタ ]
9月5日付コンパス紙に掲載されたインドモビル社からの回答
ブカシ在住、メーラ・ディナタさんからの2006年8月12日付コンパス紙への投書に関して説明いたします。問題は2006年8月29日に解決いたしました。[ インドモビル社広報担当、プリヨ ]


「イ_アの消費者は実質好み」(2006年9月25日)
イ_アの都市部に住む消費者は特定モダンマーケットへの志向をあまり強く持っていないことをACニールセンインドネシアの調査が示している。ひと月に二つもしくは三つの異なるモダンマーケットを訪れて買い物をするというのがジャカルタ・スラバヤ・バンドンの消費者の一般的な姿だ。中には異なる6つの店を訪れる者もいる。特にある店をひいきにして買い物は必ずそこでという消費者は少なく、その折々で必要な商品を割引販売している店が選択される傾向にある。スーパーマーケットやハイパーマーケットなど買い物する店を決めている人は28%、二つの店を二股かけている人は42%、三つ股派は20%。訪問頻度はミニマーケットが最大で、次がスーパーマーケット、更にハイパーマーケットという順位になっている。会員カードシステムを使って消費者をつなぎとめようと各店はアイデアをしぼっているが、イ_アではヨーロッパほどうまく成果が上がっていない。
2004年と2005年で消費者がひと月に訪れる店数がどのように変化したかを、下のデータが示している。
店数 / 2004年 / 2005年
1 / 33 / 28
2 / 34 / 42
3 / 22 / 20
4 /  6 /  6
5 /  4 /  3
6 /  − /  1
(数字は%)


「国産デスクトップコンピュータの売れ行き好調」(2006年9月27日)
インターナショナルデータコーポレーションによれば、ローカル製デスクトップコンピュータの販売が伸びている。今年第二四半期の国内デスクトップ市場では、台湾製Acerが4,201台でトップを独走中。その後を国産Zyrexが3,078台で猛烈に追い上げている。三位はMugenの1,137台、四位Relion755台と続いた後やっとHPが528台で5位に登場し、今年第一四半期の二位からは大幅の転落。総市場は38,667台だった。一方PCマーケットの今年第二四半期は292,792台という市場ボリュームで、こちらの方はグローバルブランドが圧倒的な強さを示し、HP、Acer、Dell、Toshiba、Lenovoがベストファイブを奪い全体の31%シェアを占めている。Zyrexは7,897台で6位に登場する。国産勢の伸びはハイパーマーケットやスーパーストアーへの進出が効果をもたらしたものと見られ、IT知識に強くない消費者のキャッチがうまく進展していることを窺わせている。


「イ_アのリッチは5百万世帯」(2006年10月2日)
Centre for Customer Satisfaction and Loyalty が、イ_アはブランドもの高級ファッションとアクセサリーの一大潜在市場である、と論評している。同センターが行ったサーベイによれば、イ_アにはそれらの商品に大金を喜んで支出する5百万世帯が存在するとのこと。2006年6月に行われたイ_アのリッチ階層1千人を対象にしたライフスタイルに関するそのサーベイは、ブランドものアパレルの販売が年平均40〜50%のペースで増加している事実を捉えている。イ_アのリッチ層は自己主張やステータスシンボルとしての高級ブランド品購入志向がたいへん強く、そのための出費を惜しまない。リッチ層5百万世帯は三つの階層に分解できる。まず超リッチ層はアパレルやアクセサリーに年間10〜20億ルピアを支出し、それにダイヤモンドなどの宝飾品を加えれば30億ルピアを消費する。購入する商品の単価は平均2〜3億ルピアだ。この超リッチ層は企業オーナーや著名な専門的プロフェッショナルたちで、年収は70億ルピア以上を得ている。かれらは他の人間には容易に持つことができない商品を狙う。たとえばエルメス。
次のリッチ層は金が有り余っているが超リッチ層に及ばないレベルで、年収20〜30億ルピアを得ている会社役員がこの層を形成している。かれらがターゲットにする商品は単価が2〜3千万ルピアのもので、代表的なブランドはルイビトン、グッチ、イブサンローランなど。第三の層はマスリッチ層で、年収2〜10億ルピアのシニアマネージャークラス。この層はゲスやザラに手を出す。イ_アの高級品志向リッチ階層の購買力に目をつけた高級ブランドが最近続々とイ_アへの進出を進めており、商品選択の幅はどんどん広がっている。かれらは単にアメリカ、フランス、イギリスなどエスタブリッシュされた国の高級ブランドだけでなく、トルコやボリビアなどの高級ブランドにも差別なしに手を出していく。


「新車購入ローンは大幅減」(2006年10月2日)
国民購買力の低下による自動車販売台数激減と歩を一にして新車購入ローン利用も減少していることをアストラクレジット社販売担当オフィサーが明らかにした。その談によれば、昨年10月の石油燃料大幅値上げ後も新車購入者のローン利用がなくなったわけではないが、購入者の減少に加えて新車購入を諦めて中古車購入に方針を変えた消費者が増えている、とのこと。昨年の同社の資金貸付用途は65%が新車購入ローン、35%が中古車購入ローンという配分になっていた。しかし今年はどうやらそれが55%対45%になりそうである、との由。
同社の車輌購入ローンは、アストラグループ取扱い新車(トヨタ、ダイハツ、いすゞ、日産ディーゼル、BMW、プジョー)、グループ非取扱い新車、中古車(ショールーム及び個人扱い)、二輪車、5トン超商業車という5つのカテゴリーに区分されており、昨年同社は7万台の購入に9.8兆ルピアの貸付を行った。ほとんどすべてが四輪車で、二輪車はせいぜい5%とのこと。同社の今年の営業計画は5万台に対する6.4兆ルピアの貸付で、8月時点で既に4兆ルピアの実績をあげている。


「南ジャカルタ市の特産物は何?」(2006年10月4日)
南ジャカルタ市は将来の産業育成方針をサービス業の町にすることに決めた。これは土地の広さに余裕がなくなってきたことと都市環境に即した性格によるためで、南ジャカルタ市は商業オフィスセンターを抱えている一方、首都の地下水供給のための雨水浸透地区の維持という重要な使命を負っている。いま産業のメインは商業ホテルレストランであり、汚染のない環境に優しい地域に転換させるためにサービス業をメインにした方向性を都庁商工局がそのように決定した。都市整備20ヵ年計画のマスタープランでも、南ジャカルタ市は住宅地区・雨水浸透地区・ビジネス地区と規定されている。土地面積145.73平方キロ、人口170.4万人の南ジャカルタ市住民が従事している職業は商業ホテルレストランが38%を占めている。製造業従事者は11%、金融輸送通信建設は25%。商業施設はモールが14ヶ所に市場が27ヶ所。中小企業は7,371軒で3万5千人を雇用し、投資総額は2,184億ルピアにのぼっている。
製造業は378社で3千2百人を雇用し、投資総額は401億ルピアとなっている。業種は、紙と印刷物、化学、ゴム、飲食品、木製品、繊維衣料品、金属機械、運送機器と修理、家電品など。この南ジャカルタ市は2005年に首都の地元収入に2.5兆を納めて大きい貢献をしている。同時期に中央政府が南ジャカルタ市から得た収入は9兆ルピア。南ジャカルタ市長は、これまで南ジャカルタ市の特産物が何もなかったことから、何か特徴のある特産品を振興させようと計画している。


「これから中古車販売が盛り上がる」(2006年10月5日)
今年もルバランが近付いており、今年どん底に落ちた四輪車販売、中でも中古車販売が息を吹き返すチャンス到来と業界者は期待している。南ジャカルタ市マンパンプラパタンにあるジャヤアバディモトルは、昨年10月の石油燃料大幅値上げを境としてそれ以前の月間販売台数20台弱は10台強に半減してしまった。店長は、「これでもまだ良い方だ。クラパガディンやクマヨラン、あるいはデポッ市マルゴンダあたりはもっとひどい。」と語る。クリスモンにイ_アが襲われたとき、中古車販売がブームになった。あの頃は良かった、とかれは往時を懐かしむ。しかしルバラン前も例年中古車ブームがやってくる。平常月が10台程度の売上なら、ルバラン前は15台程度にアップする。
ディアンモビルのセールスマンは語る。「ルバラン前にたいていの国民は故郷に戻ってルバランを実家で祝う。帰省に公共交通機関を使うのはいまひとつ快適さに欠けるので、多くはマイカーを使うことを好む。自分の車かもしくは運転手付きレンタカーのチャーターだが、チャーター料金よりも中古車を買う方が普通は安い。中古車を買ってその期間利用する方が、公共交通機関やチャーターより便利で安上がりだ。チャーターが一日50万ルピアなら、10日借りれば5百万ルピアになる。ひと月で1千5百万。ガソリン代は自己負担。もし中古車を買って10日後にまた売り払うなら、その差額は6〜7百万ルピアくらいだ。他の方法とどっちが出費が少ないかが検討ポイントになる。」
マディナモビリンドはルバラン前のセールスシーズンに20台の中古車ストックを持った。ダイハツタルナ(2001年製)の販売価格は7千〜7千5百万ルピア、起亜ヴィスト(2001年製)で5千8百万ルピア、いすゞパンサー(1997年製)だと6千5百万ルピア、トヨタキジャンLGX(2003年製)は1億3千万ルピア、スズキサイドキック(1997年製)は6千万ルピア。キアラモビルはもっとお手ごろ価格の商品を揃えている。ダイハツエスパス1.6(1996年製)は3千6百万ルピア、トヨタキジャンLX(2001年製)は8,750万ルピア、スズキカタナGX(1994年製)3千8百万ルピア、スズキサイドキック(2001年製)7,750万ルピア、コロナ(1996年製)6千万ルピア。日本車は価格が安定しているがヨーロッパ車は中古車になると価格が暴落する。ジャヤアバディモトルではオペルブレーザー(1997年製)3千9百万〜5千万ルピア、BMW318は6千5百万ルピア、ジャガーXタイプ(2003年製)は3.5億ルピア、メルセデスE2000(1996年製)1.15億ルピア、BMW520(1997年製)4千5百万ルピア。ヨーロッパ車中古品は燃料を浪費し、また部品が探しにくく価格も高いために価格の落ち方が激しいと中古車ディーラーはその理由に触れている。


「インターネット広告が隆盛」(2006年10月6日)
今年、オンライン広告は昨年から25〜27%増加するものと見られている。過去数年間は10〜15%というレンジだったことから、インターネット広告にいま焦点が当たり始めているようだ。ISP協会は今年の広告宣伝費収入が5百億ルピアに達するとの予測を立てているが、これは国内広告宣伝総市場28兆ルピアの0.02%でしかない。サプト同協会会長は今年のその変化について、国内マクロ経済の好転、国民社会のインターネット需要への認識の高まり、国内インターネット網の一層の充実という三点がその基盤をなしている、と言う。インターネット広告の増加はそれらの三ポイントに負うところが大きく、学校休みや休日といった要素の影響はあまり受けていない。コンテントサプライヤーの中にはワールドカップのような特別イベントが広告収入増をもたらしているところもあるが、日常的な広告についてはコンテントスタイルが商品のマーケットセグメントにフィットすることを広告主の多くは条件にしている。国内のオンライン広告は、テレビ・ラジオ・印刷物などの広告メディアに比べてまだあまりにも劣勢であるが、それだけ今後の発展が期待できるということかもしれない。アメリカでオンライン広告は総市場の8%を占めている。


「単機能プリンター販売は今後激減する」(2006年10月10日)
インクジェット方式単機能プリンターは今年140万台市場が見込まれているが、多機能型の価格低下が進んでいるために激しい勢いで取って代わられることになるだろう、と業界者が語った。単機能プリンターはこれからどんどんと販売が減少して多機能型にシフトし、2010年には今年見込まれている140万台は80万台まで低下しそうだ、とPT Datascrip キャノン部門担当取締役が発言した。一方多機能型も2010年には今の20万台が80万台となり、シェアは五分五分になるだろうとのこと。その徴候として同取締役は、単機能プリンターにとって毎年大きなセールスシーズンとなる6月7月の需要期は今年、予想外に小さな売れ行きしか達成できなかったことを上げている。市場では消費者の選択が多機能型にシフトしていることが推測され、廉価であることがメリットだった単機能型に比べて多機能型の価格低下が大きくなっているために、消費者が受ける割安感が予想以上に高まっているのではないかと業界では見ている。
パソコン市場の拡大と歩を一にしてプリンター販売も増加しているが、インクジェット方式単機能プリンターについては今後低下の一途をたどるものと見られており、2007年の販売台数は今年見込みから14%下がった120万台が見込まれている。一方多機能型は今年見込みの20万台からほぼ倍増の38万台が来年予測数値とされている。ところで単機能プリンター市場でのキャノンのシェアについて同取締役は、今年58万台という売上目標の達成を確信している、と語る。54%という市場トップシェアは維持できるとの談。また多機能型も5万台のターゲットはクリヤーして27%シェアを奪えるものと見ている。今年上半期の実績では、単機能型33万台、多機能型2万4千台という台数が既に消化されており、同社は今年のプリンター販売にドライブをかけようとして単機能と多機能のそれぞれに6タイプの新製品を既に発売している。


「モダンマーケットでの化粧品販売が大躍進」(2006年10月11日)
在来型マーケットとモダンマーケット間の化粧品販売シェアが20%も逆転していることを業界者が明らかにした。これは経済危機以後さまざまな種類のモダンマーケットがイ_アに出現し、消費者もイメージと強く関連している化粧品の購入をモダンマーケットで行う傾向が高まっているためで、従来ロワーミドル層以下のひとびとは在来型パサルでの買い物をもっぱらにしていたが、この階層にもモダンマーケットへ出かける傾向が生じている。
ハイパー、スーパー、ミニといったモダンマーケットは、空調の効いた買い物場所、快適な雰囲気、秩序や清潔さが常に維持され、治安も確保されて、インテリアも見ていて楽しい。一方在来型のパサルは地面が濡れていて足が汚れるのが普通であり、汚く、臭く、整然さがあまり感じられず、また往々にして治安が維持されていない。在来型パサルはこのままではじり貧が必定で、まず市場建物を空調の効いた、もっと明るく清潔な場所に変えなければ衰退するばかりだ、と関係者は訴えている。
マルタティラアルグループのブライアン・ティラアル代表取締役は、同社のサリアユ製品は暫く前まで在来型マーケットで90%の売上を得ていたが、今ではそれが70%に減少していると述べている。バイオコスメティック製品などは既に在来型とモダンで同じ比率になっている。この傾向は在来型パサルが改装されるまで継続するだろうと見られており、同代表取締役は全国の地方自治体に対し早急にパサルの環境整備を進めるように提案している。


「インドサットフリートーク企画に消費者が反対」(2006年10月16日)
インドサットは2006年9月23日から2007年1月9日までの期間、同社のMentari, Matrix, IM3 利用者同士の間で午前0時から午前6時まで通話やSMS送信が無料になるというFreetalk プログラムを開始したところ、消費者からの強い反対にあったためにしばらくそのプログラムを停止することにした。
インドサット社統合マーケティング・ロイヤルティ担当責任者によれば、消費者が反対している理由のメインはこのラマダン月の厳粛な雰囲気を損なう恐れがあるというもの。国民教育省からの苦情は、そのプログラムのために学校での授業時間中、学生生徒が勉学に集中できなくなる、という理由をあげている。
インドサットはこのフリートークプログラムを開始するまで、夜11時から朝7時まで30秒250ルピアという廉価タリフを適用していたがいざそのフリートークプログラムが開始されると、インドサット利用者同士の通話・SMSはそれ以前に比べて平日で6割、週末は7割も利用度が高まっていた。利用度が急上昇したのは中部ジャワと東ジャワ地区。同社はフリートークプログラムを当面停止して、イドゥルフィトリ明けにその後の方針を検討することにしている。その間インドサットは同日内に1万ルピア以上を利用した顧客に対してさらに1万ルピアまでの利用を無料サービスするという50%割引プログラムを実施している。このサービス利用者は全利用者中の20%を超えているとのこと。


「家電品市場に大きい歪」(2006年10月16日)
エレクトロニクスマーケタークラブ(EMC)が政府に対し、外国産品流入で歪んだ国内家電品市場の正常化を行うよう要請している。ヒンドラタEMCスポークスマンは、平行輸入された家電品は税金を納めておらずまた再生中古品が大量に国内市場に出回っているため、国内市場の歪みが大きくなる一方であることを指摘した。今年8月までの白物国内販売台数は軒並み前年同期実績を下回っており、最大はエアコンの23%ショート、冷蔵庫は13%、テレビ10%、洗濯機3%とすべてがショートしている。国内で生産活動を行っているブランドの海外生産品が指定代理店以外の者によって平行輸入されており、政府からの真剣な対応がいまだに取られていない。そのためにEMCは早急に奢侈品税の軽減もしくは廃止措置を政府が実施するよう求めている。奢侈品税がなくなれば平行輸入品とのコスト競争力はかなり接近すると同スポークスマンは述べている。


「使い捨て文化の国?!」(2006年10月16日)
チャンドラの自宅のテレビはネズミが中でションベンをかけたせいで使えなくなってしまった。かれは修理しようと思ってそのメーカーのサービスセンターに電話したところ、技術者がかれの家にやってきて修理を試みた。しかし修理は成功せず、その技術者は部品交換が必要だと言って報告書を作った。しばらくしてサービスセンターからチャンドラ宛に電話が入り、部品価格は85万ルピアだと連絡してきたのでかれはそれでいいから修理してくれと頼んだ。それから1ヶ月ほどしてサービスセンターからまた連絡が入り、部品の価格は125万ルピアだと言う。チャンドラはそれで構わないから修理してくれと頼んだ。ところがまたそれから何の音沙汰もなし。チャンドラは再びサービスセンターに電話し、また技術者がやってきた。前回来たのとは別人のその技術者はまたテレビを分解し、故障した部品を取り外して持って帰った。それからまた1ヶ月が経過し、サービスセンターからやっと連絡が来たが今度はチャンドラが修理を断った。なんと部品の価格は6百万ルピアだと言うのだ。部品をそんな高い価格で買うのは馬鹿げている。チャンドラはこれまでそのメーカーのファンだったが、きわめてお粗末なサービス姿勢を体験したいま、将来またそのメーカーの製品を買うべきかどうかで悩んでいる。


「ルバランの季節、パルセルの季節」(2006年10月18日)
ルバランの時期にはイドゥルフィトリを祝うムスリムの間で贈答品をやりとりする習慣がイ_アにある。もちろん必ずしもムスリム同士でなければならないという決まりはなく、非ムスリムからムスリムへあるいはムスリムから非ムスリムへという流れも存在しているが、非ムスリム同士でというのはあまり聞いたことがない。ムスリムの大祭を祝ってプレゼントをやりとりするというものなので、その祝いに加わらないひとには無縁のものだろう。
さて、ムスリムのほとんどが贈答品をやりとりするということはそこに巨大な贈答品市場が出現するということだ。パルセル(parsel)と称する箱や籠に入った贈り物は平均的なところで1セット数十万ルピア程度だがひとりが何人にもそれを贈るために膨大な量にのぼる。注文を受けてパルセルを用意し注文された配達先に届けるという事業を行うパルセル業者も多数にのぼり、業界総売上は2百億ルピアに達する。その一方でパルセル業者は使わずにみずからハイパーマーケットで箱や籠と中味を買い、自分でセットにして自分で届ける一般庶民もたくさんいて、ルバラン贈答品経済の規模はいったいどのくらいのサイズになるのか、2百億ルピアなど足元にも及ばないのではないかと思われる。かてて加えて、イドゥルフィトリの日には新しい服を着るのが習慣で、さらにはアッパーミドルクラスに向けてホテルの宿泊パッケージや親睦のためのブカプアサブルサマ企画などがオファーされ、支出は増加し巨大な経済が回転する。そのためラマダン月はイスラム社会にとって最大のビジネスシーズンだと語る事業家は目白押しで、本来厳粛な宗教的雰囲気の中で個人の信仰心を見つめ直すべきものがコンシューマリズムの狂乱に陥っている、と一部イスラム知識人の顰蹙を買っている様相はクリスマスと似たようなものかもしれない。
箱や籠に入るものは飲食品の詰め合わせがメインだが、衣料品、食器や台所用品、家電品などを入れたものもある。悪質なパルセル業者は賞味期限の過ぎた飲食品をこの時期大量に捌くようで、パルセル業者が届けてきたパルセル内の飲食物には気をつける必要がある。
ところで日本でも昔そうであったように、季節の贈答品が官公庁に向かうとKKNの香りが立ち込めるため、腐敗撲滅コミッションが官公庁と高官職者に対してパルセル受取禁止令を出した。するとパルセル商協会がコミッションに泣きついた。それを禁止されると業界売上が3割減になるという。つまりは、間接的にせよ公職者にばらまかれている金が60億にも上るということだ。それに関連してマダニ職業人ソサエティが同コミッションを訪問して官公庁と高官職者へのパルセルに関する実態を報告したが、それによるとなんと、高官職者の子弟がこの時期に俄パルセル業を始めるのだそうだ。一個25万ルピア程度の飲食品が入ったパルセルを扱っている業者がコミッションの禁令を本当に嘆いているかどうかは疑問だ、と同ソサエティは語る。その禁止令の影響はクリスタルの置物やフルセットホームシアターのパルセルあるいは場合によって現ナマ実弾の入ったパルセルを扱うかれら俄業者がもっとも大きく受けるはずだ、とのこと。高官の地位にある自分の親にパルセルを贈りたいのは誰かということはその子弟がいちばんよくつかんでいる。親の役職にバーティカルあるいはホリゾンタルに関係している者、仲間、知り合い、さらには親に接近したいビジネスマン。思惑や隠れた意図などがそこにからみ、公共サービス業務上やビジネス上の利権に手心が加えられることを期待する。それを仲介するのが高官職者の親族であれば、守秘に対する信頼性も高まろうというもの。
公権力を扱う者の親族がその立場を利用して専権的にビジネスを行うというあり方は独立以来連綿と続けられてきたが、オルバ崩壊でそれらが消え去ったと見るのは浅慮というもののようだ。


「プラザインドネシアのそごうが閉店」(2006年10月18日)
都内の老舗高級ショッピングセンターのひとつであるプラザインドネシアに入っているそごうデパートが2007年第二四半期に店を閉める予定であることをPT Mitra Adiperkasa が明らかにした。ミトラアディプルカサ社によれば、2007年2月にテナント契約期限が来るそごうデパートはそれを機会に閉店するとのこと。これはそごうの販売業績とは無関係で、プラザインドネシア側が企画しているプライムリテールスペース戦略に沿ってミトラアディプルカサが対応を合わせていこうとしているため。高級ブティックでプラザ内を埋めようとしているその戦略に応じて、そごうが占めていた1万7千平米の売場には同社が持っているさまざまな外国高級ブランドのブティックが出店することになる。
1990年にプラザインドネシアにオープンしたそごうの今回の閉店がそごうデパートのビジネス縮小を意味しているわけではまったくなく、ミトラアディプルカサは反対にそごうのコタカサブランカへの出店をはじめ都内でのそごうのビジネス拡張を計画している。現在そごうはジャカルタでプラザインドネシア、モールクラパガディン、プラザスナヤン、ポンドッキンダモール2の四ヶ所、スラバヤではガラクシモールとトゥンジュガンプラザ4の二ヶ所、バンドンのパリスファンジャファ、バリ・ヌサドゥアのバリコレクション、メダンのサンプラザなどに開店して幅広く営業を行っている。なお、プラザインドネシアのそごうデパートは閉められるが、地階にあったスーパーマーケットはフードホールと名を変えて営業を続けることになっており、その店内にはレストランも設けられる予定。
一方、やはりミトラアディプルカサ社が代理権を持っている日系デパートの西武は、プラザインドネシアと道路を隔てて向かいにある現在建設中のモールグランドインドネシアで開店することが決まっている。


「マッサージビジネス興隆」(2006年10月20日)
首都圏のマッサージビジネスは隆盛の一途だ。かつてマッサージ業はカンプンの民家や中国人街の治療所と相場が決まっていたのに、いまでは道端マッサージからショッピングセンターの豪勢なサロンまでがその仲間入りをしていやが上にも分厚い層を形成している。マッサージ師は年寄りから若者まで男女多彩で、素手や木製器具を使ってコリをもみほぐしたりツボを刺激し、あるいは高価な電気式器具で身体の調子を整えてくれる。電気式器具のオペレータだと月収65万ルピア程度にしかならないが、マッサージ師としての腕をつければ月収は2百万ルピアも夢でない。
都市生活の中で否応なく浴びるストレス、多忙な都市生活ゆえの運動不足などがこのマッサージビジネスを盛んにしているのは言うまでもない。こうして多くの都民が凝った神経をほぐし身体の血行をよくするためにマッサージを求め、首都のマッサージビジネスが興隆するという筋書きだ。
中央ジャカルタ市ITCロキシーにある電気器具を使ったマッサージは身体と脚に分かれていてそれぞれが15分間5千ルピア。両方やれば1万ルピアになる。同じビルの別のフロアーでは、PIJAT REFLEKSI という看板が出ている一角でマッサージ師が素手で身体を揉んでくれる。こちらは1時間2万ルピア。北ジャカルタ市プルイッスラタンラヤ通りにあるNano Healthy Family は元々中国産マッサージ機器のプロモーションの場としてオープンした。会社が輸入した機器を購入希望者にトライしてもらうための場所で、気に入って買ってくれればその顧客は自宅でマッサージということになるが、なんとその店内に整えられた豪奢で贅沢な設備に客が悦んだ。大きくて快適なソファーに個人用ビデオスクリーンが付き、ヘッドフォーンをかぶってシートに身体を埋めれば、これはまるで飛行機のビジネスクラスに乗っているような快楽。店内にずらりと並んだそんなシートのひとつに寝っ転がると、百人いるマッサージ師のひとりが身体、手、脚を揉んでくれる。10時から13時まではモーニングサービスタイムで90分2万5千ルピア、13時を過ぎると90分4万ルピアとなる。
インドネシア医療マッサージ師協会では職業認定制度を開始しており、知識と技能レベルが標準に達した者を正式認定するシステムが動き出している。揉んでもらって身体の調子が悪くなったといった事故が起こらないように消費者はご注意を、と同協会は呼びかけている。


「これからはカラープリンターの時代」(2006年10月20日)
新しいテクノロジーフィーチャーと価格低下のために国内カラープリンター販売は今後年々40%の増加率が期待できる、と業界者が語った。国内のプリンター市場はいま白黒プリンターのシェアが80%で圧倒的に優勢。PT Astra Graphia のプリンターチャンネルビジネスチーフエグゼキュティブによれば、性能の改良と価格の低下でカラープリンター需要は急速に伸びているとのこと。最大需要はSOHO向けに百万ルピア未満の価格帯のもの。「消費者はインクジェットよりもレーザープリンターの方が能率が良いことを理解している。インクジェットプリンターは値段が安いが使用コストはレーザーより割高だから。今後白黒プリンターの販売はほどなくして頭打ちになるだろう。カラーケーパブルフィーチャーが付かないものは市場から脱落するしかない。」PT アストラグラフィアはレーザープリンター生産に力を入れているフジゼロックスの販売代理店。
現在市場では価格の低下によって多機能型インクジェットプリンターが優位を占めており、レーザープリンターはシェアがまだ10%に達していない。フジゼロックスはプリンター生産だけでなく、ビジネス用オフィス機器分野でフォトコピー機からドキュメントセンターに至る幅広い商品を下は1百万ルピア未満から上は数十億ルピアまでの価格で取り揃えている、と同エグゼキュティブは紹介している。今月同社はイ_ア国内で新型レーザープリンター2機種を発売している。


「ルバラン期に首都で流通する現金は24兆ルピア」(2006年10月23日)
イ_ア銀行は今年のルバラン期に市中への現金供給準備資金として19兆ルピアを用意する。イ_ア銀総裁によれば、その金額はこの先三ヶ月を十分に回せる金額であるとのこと。イ_ア銀は長期休暇とイドゥルフィトリ大祭で市中の現金需要が増加するため、ATMの現金補充が励行されるよう銀行界に要請しており、ほとんどの銀行は10月26日から業務を再開する予定にしている。
BNI銀行は10月後半の現金需要に備えて8.3兆ルピアを用意することにしている。特にイドゥルフィトリの10日前からその翌日までの期間は3.7兆ルピアを全国2,272のATMに供給する態勢を整えている。昨年のルバラン期の実績では2.5兆ルピアが記録されており、今年はその5割増が予測されているため同行では3.7兆を用意している。今年5月からATM経由の現金引き出し額が全国で5兆ルピア台に上昇していることが8.3兆の根拠だと同行は説明している。同行はルバラン前後の一斉休暇期間について、10月21日と23日は全国216支店でプルタミナへの支払と納税受付だけを行い、26・27日は現金出納や手形決済を行う予定。
BRI銀行はATMへの現金供給のために1.5兆ルピアを用意している。その金額は10月20日から29日までの現金需要をカバーするに十分なものと同行では見ている。BRI銀行は全国に974台のATMを設けている。
イ_ア銀行によれば、今年のルバラン期に首都圏で流通する現金は24兆ルピアに達するだろうとのこと。これは昨年実績の15.9兆ルピアから34%のアップだ。ミランダ・グルトム、イ_ア銀上級副総裁は国民に対し、現金は潤沢に用意されているので現金不足が起こるような心配はまったく無用である、と呼びかけている。


「マッサージ店の老舗はブルシセハッ」(2006年10月23日)
マッサージ嬢とのセックス付きという汚れたイメージが一般的だったモダンマッサージパーラー界に健全なサービスを持ち込んだ老舗が1983年5月10日にPasar Mayestik に開店したGriya Bersih Sehat 。バンドン工科大学で土木建築工学士号を得たハリオノが興したこのビジネスはかれの思惑通りにぴたりと当たった。パサルマイェスティッに店を開く前、かれは1978年からすでにマッサージ事業を開始している。今では都内に6店、そしてバンテン州アニエルとバンドンにも各1店。サービス業であるブルシセハッにとってサービスの標準化は避けて通れないものであり、2000年6月にパサルマイェスティッ店でまずISO9002:1994の認定を受けた。さらにジャカルタの全支店はISO9001:2000の取得に成功し、バンドン支店も2006年3月にISOを取得した。ISO以外にも、都知事から2004年にAdhikarya Wisata の賞を受けている。
ブルシセハッは在留日本人層のお気に入りとなり、その後日本レストランMidori を店内に設けて来店客へのサービス向上を図っている。ハリオノはさらにビジネス拡大を図ってGriya Anyer そして美容サロンKirei を2003年9月、ビンタロにオープンした。それらの会社はDayuグループの傘下に置いたが、ダユグループはハリオノのファミリー経営である。ブルシセハッではマッサージだけでなくルルールのサービスも用意している。各店で異なっているとはいえ料金は決して安くない。それでもサービス内容にはそれだけの価値があるとハリオノは言い切る。たとえばパサルマイェスティッ店でマッサージは1時間8万ルピア、ルルールは90分で13万5千ルピア。それでもホテルサヒッ(Hotel Sahid)と比べればまだ安い。ホテルサヒッではマッサージが10万ルピア、ルルールは18万5千ルピアだそうだ。
ハリオノの経営戦略は従業員を定着させること、そして不安なく安心して働いてもらうこと。従業員が頻繁に入れ替わっては、顧客に安心感が生まれない。従業員が不安や怒りを心に秘めて客に接するなら、顧客の快適さは減少する。サービス業にとって当たり前のことだが、それができている会社はあまりない。だからブルシセハッは従業員に健康保険を用意し、また55歳まで勤続した者に年金を与えることにしている。
「従業員のジョブホッピングはできるだけ起きないようにすること。それが起こると会社も損をする。従業員には毎日安心感と楽しさを仕事の中で感じるようにしてやることだ。」ハリオノはそう語っている。


「イドゥルフィトリ当日も多くの店がオープンする」(2006年10月23日)
イドゥルフィトリ祭日もモダン小売店の大半は店開きする。モダン小売店とはハイパーマーケット、スーパーマーケット、ミニマーケット、そしてモールなどに入っている店舗を指している。一方、トラディショナル小売店に分類されるのはパサルや一般商店。イ_ア小売業者協会(Aprindo)のハンダカ・サントサ会長は、国内の全モダン小売業者に対して消費者への物資供給という面からイドゥルフィトリ当日も店をオープンするよう呼びかける手紙を送ったと表明している。その反応として90%のモダン小売業者はイドゥルフィトリ当日も開店する予定にしているとのこと。トラディショナル小売店にも店を開くよう希望を表明したので、店を開くところがあるかもしれない、との談。
イドゥルフィトリ当日はそれまでと打って変わって客足が落ちることが予想されるため、コスト対売上効果は低下するだろうがそのように計算ずくでビジネスを行っていては顧客に満足してもらうサービス提供は覚束ない、と同会長は協会会員に訴えている。ましてやジャカルタでのルバラン休暇を求めて地方から上京してくる人たちにとって、せっかくジャカルタへ来たのに店は全部閉まっていたのでは失望を土産にしてもらうことになるので、できるだけすべての店が普段と同じように営業するよう希望するとの弁。イドゥルフィトリ初日は、従業員に朝の礼拝と家族親族との間の親睦の機会を与えるため、開店時間は昼頃になるものと見られている。
一方都営パサル管理会社PD Pasar Jaya の代表取締役は今年も昨年と同じパターンが繰り返されるものと見ており、トラディショナルマーケットの商人の70%はルバランとその後の三日間店を閉めるだろう、と語った。30%程度がルバラン当日も営業を続けるのではないかとのこと。都民の多くが帰省するため需要が大幅に減少するので、パサルの商人たちに営業を続けるよう呼びかける必要はないだろう、と同代表取締役は述べている。


「ロンボッの真珠養殖産業」(2006年10月30・31日)
西ヌサトゥンガラ州ロンボッ(Lonbok)島のスンギギ(Senggigi)海岸に足を踏み入れたら、大勢の物売りが集まって来ること請け合いだ。かれらの中にはチェス盤ほどの大きさの箱をぶら下げている者がおり、箱のふたを開いて目の前に突きだして来る。そこにあるのは、指輪、ペンダント、イヤリング、ピアス、ブレスレット、ネックレスなど実にさまざまなデザインのさまざまな装身具。そしてほとんどすべてにわたって必ず真珠の粒が付いている。かれらは普通、1個5万ルピアから7万5千ルピア程度の価格で最初の値付けを行う。そりゃ安い、と思うなかれ。慌てて財布を出す必要はない。「ふ〜ん」と興味のなさそうな顔を見せれば、物売りの方から値下げをしてくる。巧みな心理作戦を織り交ぜてうまく値切ってやれば、1個1万5千から2万ルピア程度まで下がる。タワルムナワルはこの島でも有効だ。値切って気色張る物売りはまともな商売人ではない。
ところが今度は反対に、『そんな安い値段がつくのならひょっとしてニセモノでは?』という疑念に取りつかれても不思議はない。気後れしないで物売りに尋ねれば良い。「まさか、イミテーションじゃないだろうな?」すると物売りはライターを取り出して粒真珠をあぶる。もし溶けて燃えたら、正真正銘プラスチック製のイミテーション。本物だと判別がついたところで、まだ腑に落ちない。ジャカルタでは何百万ルピアもするというのに、ここではなんでそんな値段?その理由は簡単。ロンボッがパールアイランドだからだ。西ヌサトゥンガラ州の特産品は真珠。生産量は年1.8トンで過去5年間の輸出実績は年平均103万米ドルに上る。
養殖真珠は大きく分けて二種類ある。海水産と淡水産。真珠の価格は品質によって1グラム当たり10万ルピアから100万ルピア以上の価格帯に渡っている。海水産パールは、ロー、C、B、A、AA、AAAの6グレードに分かれている。表面の状態、輝き、形、色がそのグレードを決める。表面はきれいで瑕がなく、輝きが優れ、完全な球体で色が美しいものほどグレードが高い。グレードが高いほど値段も高い。淡水産パールの方は価格が1個2千から3万ルピアのレンジにあり、完全な球体で見栄えがよいものほど値段が高い。楕円形のものは1個2千から5千ルピアで売られているが、球体がつぶれた饅頭型の方が1個1.1万から3万ルピアと高い。淡水産パールはたいてい楕円形か饅頭型で、球体は稀だ。色も着色されるために多彩である。
淡水産は母貝に挿核を何度も行うので、ひとつの貝が5から7個の真珠を産するが、海水産ではそれができない。淡水産パールの価格が安い秘密がそこにある。一見、海水産と淡水産の区別は難しいが、形状とサイズでおおよその見当がつく。淡水産パールは小さめで、球体をしていないのが普通だから。
西ヌサトゥンガラ州の真珠生産はまだ最大限とは言えない。生産能力は年間3.7トンと計算されているが、いまだにその半分程度なのである。面積から見ても、真珠養殖が可能なエリアは23,381Haあるとされているのに、今養殖に使われている広さは8,478Haで三分の一程度。ところがそれほどの余力を残していながら、ここ数年の真珠生産は下降傾向を示している。西ロンボッで真珠養殖事業を行っているPT Budaya Mutiara の代表取締役は5〜10%の減少が見られると語る。1989年に操業を開始したこの会社は年間100キログラム前後の海水産パールを生産して全数を日本に輸出している。生産品はすべてハイグレードだ。
西ヌサトゥンガラ州の真珠生産が下降している要因の大きいものにふたつある。木材盗伐による森林破壊が進行の度合いを強めていること。真珠の養殖は穏やかで安定した状態の海を必要としているが、森林が破壊されることで海が汚れ、海水が濁る。雨季の雨は森林が破壊された山から一気に土砂や木々を海に押し流して海水を汚すのである。汚れた海水は母貝を弱らせ、死にいたらしめる。母貝が死ねば真珠養殖は失敗で、あとは貝殻装飾品製造者に死んだ母貝を売り払う以外にできることはない。PT Budaya Mutiara 社はギリグデの1千5百Haの海を定期的に清掃して母貝の保全に努力しているが、これは本来なら必要のない出費につながっている。
もうひとつの問題は、真珠の泥棒だ。昔の泥棒は母貝ごと盗んでいったが、今は中味だけを盗む。十分に育った真珠だけを盗んで貝はそのまま残していくから、いざ収穫時に開けてびっくりとなる。盗賊は海中に潜って四時間ほど出たり入ったりしながら仕事をするらしい。泥棒問題はすべての養殖業者が被害にあっており、珍しい問題ではなく、そうしてまた撲滅しきれない問題になっている。盗みは地元民が行うのでなく、盗賊は別の村からやってくるそうだ。そして盗んだ真珠はよその町で売り捌く。盗難被害はかなり大きいもので、かなりな金額にのぼっている。PT Budaya Mutiara 社は年間の盗難被害が6キロに上るそうで、それは真珠3千個に相当している。大自然を相手に精魂込めてできるかぎりの仕事をしても、その成果の一部が人間の手によって洩れこぼれて消えてしまうという状況は、生産者の増産意欲を殺いでいる。
加えて国内市場でも、中国産淡水パールが超廉価価格で出回っており、不法輸入品が国内市場に大きな歪をもたらしているのは衣料品・玩具・家電品など他のセクターと同じような状況だ。三重苦、四重苦の真珠養殖産業の未来も暗雲の真っ只中にある。


「市中からの現金回収が始まる」(2006年10月31日)
二日間のイドゥルフィトリ大祭が明けた10月26日、都内大半の銀行はオープンしたがたいへんな混雑を見せた店と閑古鳥が鳴いた店との明暗がくっきり。市中に出回った現金が商店に回り、たまりにたまった現金が26日になってやっと銀行に持ち込まれた。その日中央銀行まで流れてきた現金はジャカルタで3,607億ルピア、地方部で1.6兆ルピアの合計2兆。中央銀行への預託を行ったのは343銀行だが、わずか12億ルピアしか持ち込まなかった銀行もある。一方中央銀行からの全国向け現金支出はその日3,028億ルピア。
イ_ア銀行は10月前半、市中に通貨量を19兆ルピア分追加流通させたため、2006年9月末の現金流通量153.6兆は10月18日時点で170.7兆に上昇した。過去の実績から、ルバラン期のために増加した市中の通貨は2週間程度でふたたび中央銀行に戻ることが予測されている。26日の銀行間決済はまだウオームアップ状態で、オンラインによる一括決済は11,441件66.3兆ルピアで終わった。今年の平常日の平均が27,551件113.6兆ルピアであるのに対し、やっとその半分といった程度。


「人気急上昇中の美容サロンがスナヤンシティに」(2006年11月1日)
南ジャカルタ市にあるプラザスナヤンの向かいにオープンした、高級ブティックを集めたミニマリストモールのスナヤンシティに今人気上昇中の美容サロンがある。紫色を基調にした配色とヨーロッパ調クラシックデザインでインテリアを統一したこの華麗な美容サロンはその名もドゥグラムブティックサロン(D'glam Boutique Salon)。オープンしたのはつい最近の今年7月で、お気に入りとなった来店客がひきもきらずに訪れている。魅惑的で家庭的な店内の雰囲気は顧客をゆったりとくつろがせてくれる。壁に貼られた楕円形の大きな鏡の前にはシックな机と椅子が置かれ、机の上にはなんと小型モニターテレビがセットされていて、熟練ヘアードレッサーに頭を調えてもらっている間の無聊を慰めてくれること請け合い。
散髪・お手入れ・分析・マニキュアペディキュアスパ・マッサージ・ラウンジ・ミニカフェと機能的に分けられ配置された店内の中央に置かれたステージが洗髪スペースになっているのもこの店の特徴のひとつ。洗髪のために仰向けに反り返るとステージの上のドームに星空を見る形となり、ぼんやりと天井を眺める所在無さから顧客を救ってくれる。特別待遇を求める顧客にはVIPルームも用意されている。眼下にスナヤンゴルフコースとラグーンを眺めながらサービスを受けることのできるVIPルームは引く手数多で、オーナーはもうひとつ部屋を増やすことを検討中。
競争の激しい美容サロンビジネスに参入して瞬く間にこの成功を築いたオーナーのディナ・レスタリは今29歳。このドゥグラムブティックサロンがかの女にとって生まれてはじめてのビジネスだそうだ。一週間に4回は美容サロンに通っていたというディナはいつしか自分のサロンを持つことを夢見るようになった。はじめてこの業界に参入する人間は普通、スナヤンシティのような場所に店開きするのに臆するものだが、ディナは違った。トリサクティ大学の法科で学んだ才色兼備のかの女には秘めた計算があったにちがいない。10年以上の経験を持つ四人の美容師ムルサッ、ライディ、アリス、ヘンドロと手を組んだディナは、スタイルを持つ美しくて魅惑的(glamor)な都会人のための店にすることを目標にしてドゥグラムの経営にあたっている。だがそれだけでは今ひとつ、ここしかない、という差をつけるには物足りない。世界各地を巡ってその何かを探し求めたディナは、フランスの自然派整髪用品メーカーであるレオノール・グレイルを見出した。そのインドネシアにおけるディストリビューターになったディナはいまやもうひとつのビジネスも手がけはじめている。
今年8月にジャカルタを訪れた2006年ミスユニバースのズライカ・リベラ・メンドーサも来店したこのドゥグラムブティックサロンは意外にも、とてもお手ごろな料金でお客を待っている。


「XL利用者が急増」(2006年11月4日)
携帯電話オペレータPT Excelcomindo Pratama 社の2006年第3四半期顧客総数は840万番号となり、前年同期実績の590万から43%も増加した。この増加に合わせて同社の設備投資も上昇しており、BTSの増設で第3四半期末の総数は6,052基に達し、昨年の3,620基から67%も増えた。投資金額も昨年第3四半期の8,920億ルピアから今年の第3四半期は11%増えて9,880億ルピアとなっている。今年ルバラン期のSMSトラフィック激増を見込んで同社は平常期の毎秒1千1百件を1千8百件まで引き上げる容量追加も行っており、今年10月24日には平常日の2倍にあたる一日8千万件のSMSを問題なく処理することに成功している。


「ブカシの乞食村」(2006年11月6日)
夜8時半、この村はまるで今目覚めたかのように賑わいはじめた。子供たちは路地で走り回り、大人の男たちが数人、ワルンの脇でカランボルを遊び始める。そこから近い別のワルンでは大人の女4人男2人が商売道具の準備をしている。男は太鼓、女はテレコを納めた箱を持っている。ここブカシ市メダンサトリア郡カリバル町のプロニャマンとカンプンバルのニ部落からかれらおもらい乞食とプガメンたちが都内のパサルにこれから出かけようというのだ。
75歳のスキルマンはワルンの隣につながっている貸し部屋に戻ってきた。目の悪いかれはバッグの中から手探りで部屋の鍵を取り出してゆっくりとドアを開く。頭も顔を覆っているひげも真白のかれは4年前から左目に白内障を患い、右目も良く見えなくなっている。1.5x2メートルのその部屋は木のベッドで半分が埋まっており、部屋の隅には安物の棚が置かれている。はいていたズボンを脱いでサロンにはきかえてから、かれは今日の稼ぎを数えはじめる。夕方から夜までの稼ぎで得た金は3万3千5百ルピア。「今日わしゃマグリブから出かけてさっき帰ってきたんじゃが、今年のプアサはみんなよく喜捨をしてくれるようになった。ほれ、小銭と札がこんなに。おまけにミカンを四つも。」自宅をスマランに持つスキルマンは4年前に目を患ってから毎年ラマダン月のおもらい乞食で稼ぐために上京するようになり、2年前からここに定住するようになった。家賃は電気代込みで月7万5千ルピア。ついこの前までは5万ルピアだったとスキルマンは言う。目を患う前かれは子供相手の手品で稼いでいた。しかし最近の子供は手品よりもブラスチック玩具の方を好むようになったそうだ。目を悪くしたかれは稼業を乞食に変えた。ブカシから東ジャカルタのチャクンまで何キロも歩くのがかれの日課となった。パサルなど人の集まる場所でおもらいをするためだ。
プロニャマンとカンプンバルの二部落は乞食村として知られている。ブカシグランドモールショッピングセンターの裏で、クランジ鉄道駅からも近い位置にあるそのニ部落は、面積1ヘクタール未満だがそれぞれ65世帯と100世帯が住んでいる。勤め人や商売人がいないわけでは決してないのだが、住民の大半は乞食、プガメン、廃品回収業などを稼業としており、ブカシ一帯では乞食村という名前の方がよく通っている。
しかしそんな稼業ではあっても、かれらは道端に寝るような浮浪者暮らしとは無縁で、スキルマンのような貸し部屋や小さいながらも借家を借りて住んでいる。1.5x2メートルの部屋に三人が住んでいるというところもあるにはあるが。スキルマンのようにその村に住み着いた者もあれば、ルバラン期の季節労働者としてニ三週間だけ部屋を借りる者もいる。かれらはたいていインドラマユ、トゥガル、スマランなど中部ジャワや西ジャワの出身者だ。乞食村と呼ばれていることを決してよしとしているわけではないが、村は秩序整然としており治安も悪くないことに村役たちは誇りを抱いている。


「今年のプリンター市場拡大は30%増」(2006年11月7日)
今年の国内プリンター販売は昨年から30%増加するだろうと業界者が語った。ヒューレットパッカードインドネシア(HP)のイメージング・プリンティンググループ販売担当取締役によれば、第三四半期の販売は第二四半期から低下するだろうが、年間では2005年の3割増となりそうだ、と市場予測を語った。IDCの統計によれば、今年第二四半期の国内販売はHP社のシェアがレーザージェットモノプリンターで87.5%、カラーで82.8%、またインクプリンターでも単機能が39%、多機能が71%という数値が示されている。
同社は今年レーザーとインクの両タイプをそれぞれ30機種市場に発売した。今年の市場はレーザーカラープリンターの需要の伸びが見られるものの、ローエンドはモノクロレーザープリンターがまだ圧倒的に優勢であるとのこと。インクジェットプリンターについてはデスクジェットローエンドがメインを占めている中で多機能型へのシフト傾向が見られる。グラフィックプリンターセクターに同社はZシリーズデザインジェットプリンターを10月に発売したが、統計数値はまだ入手できないものの売れ行きは好調で市場リーダーとなるのは間違いないと同取締役は感触を述べている。
今後もプリンター市場では多機能型がスキャナーを駆逐してそのマーケットを取り込んでいく傾向が確実視されており、マーケットの拡大はまだまだ継続するものと見られている。


「首都圏にまたモールがオープン」(2006年11月8日)
ジャボタベッ(Jabotabek)地区に新規オープンした三つのモールが首都圏ショッピングセンタースペースを19.5%増加させた。ボゴールのベラノバカントリーモール(Bellanova Country Mal)、東ジャカルタ市のタマンミニに隣接するタミニスクエア(Tamini Square)、タングランのスルポンタウンスクエア(Serpong Town Square)がそのモールで、そのためにショッピングセンター売却スペースの総供給量が増加している。一方首都圏のショッピングセンタースペース需要は今年第三四半期に前期から0.6%アップしてスペース占有率が96.7%となったが、これはモールタマンアングレッ(Mal Taman Anggrek)とクラマッジャティインダ(Kramat Jati Indah)で小規模小売業者のテナントが増加したため。
今年第三四半期の対前年比を見ると、スペース占有率は上記の96.7%で1.8%増加したほか、スペースストックは7.5%アップし、また賃貸料も3.6%上がっている。月別に見れば賃貸料は安定しており、平米当たり30.5万ルピアというレベルにある。
売却スペースのほうは今年7月に0.4%増加して94.2%となった。これはジャカルタシティセンター(Jakarta City Center)とチリリタン卸センター(Pusat Grosir Cililitan)での小売スペース売却によるもの。その月には併せて平米当たりの売却価格も上昇しており、47,351,804ルピアから47,940,389ルピアとなっている。この価格上昇はメガグロドックマヨラン(Mega Glodok Kemayoran)の小売スペース価格調整に大きく影響されている。


「インドネシアは携帯電話大国」(2006年11月9日)
GSMシステム携帯電話オペレータの成長に促されて、アジア太平洋地区の携帯電話利用者は過去三年間で倍増した。同地区の携帯電話普及率は30%で、これはその地区に住む26億人がまだ携帯電話を使っていないことを意味している。今年9月までに新規登録は1.6億番号に達し、その7割は中国・インド・パキスタンが占めているが、インドネシアもバングラデシュやベトナムと肩を並べて大きな増加数を誇っている。
イ_ア情報通信担当国務省逓信総局のデータでは、国内携帯電話登録者総数は5,298万番号でそのうちの9割にあたる4,806万番号がGSM方式。イ_アの携帯電話利用者数はアジア太平洋地区で第4位であり、全体の6%シェアを占めている。因みにInforma, Telecoms & Media のリサーチデータによれば、2006年末に予測される携帯電話人口は次のようになっている。
国 / 利用者数(万番号) / 普及率(%) / 域内シェア(%)
中国 / 4億4,218 / 34 / 43
インド / 1億2,932 / 12 / 13
日本 / 9,956 / 78 / 10
インドネシア / 6,262 / 28 / 6
パキスタン / 4,724 / 29 / 5
韓国 / 4,103 / 81 / 4
フィリピン / 3,983 / 46 / 4
タイ / 3,591 / 54 / 3
マレーシア / 2,337 / 85 / 2


「衣料品ブティックが増加傾向」(2006年11月9日)
これまで百貨店のフロアで競合するブランド同士が一堂に会するというスタイルが一般的だったファッション衣料品販売の世界にブティック化の波が押し寄せている。インドネシアショッピングセンター運営者協会(APPBI)会長は、小売業者が自分の専用店舗を持ち、あるいは売場面積を広げようとする傾向が目立ち始めており、モールでの個別ブランド専門店は10〜15%増加している、と述べている。また従来はおよそ百平米前後だったブティックの床面積が150〜200平米に広がっていて、その傾向を捌くためにショッピングセンター側はブティック用スペースを増やす方向で対応している。モールにブランド専門店を持とうとする小売業者は増加傾向にあるが、マジョリティはまだPT Mitra Adiperkasa とPT Mahagaya Perdana が占めているとのこと。
この傾向はアッパーミドルクラスが特定ブランド商品に対してより多くの陳列品からの選択を求めるようになってきたためで、限られたスペースを多くのブランドに分配している百貨店にはその対応が困難であり、必然的に各ブランドは自己専用売場スペースを確保する方向に動きブティック増加という現象に至っている、と業界者は分析している。その傾向はアッパーミドルを対象にした百貨店が都内に著しく増加したためにドライブがかかっているとのこと。消費者は他人が着ていないエクスクルーシブなものを一層強く求めるようになっており、同じ商品を大量販売する百貨店を避けて専門性のより高いブティックに向かう傾向が強まっている。


「ニッサンが顧客満足度ナンバーワン」(2006年11月13日)
往時は月単位で待たされていた新車納入が、最近は驚くほどスピーディになっている。J.D.Powers Asia Pacific が毎年公表しているIndonesia Sales Satisfaction Index 2006年版によれば、2005年の新車納入日数30日は2006年に15日へと半減したとのこと。メーカー別ではニッサンが8日、トヨタは昨年の44日から今年は18日へと凄まじい短縮を行っている。
このサーベイは2005年12月から2006年6月までに新車を購入した1,834人を対象に行われたもので、2006年6月から8月までの三ヶ月間に面談調査が行われた。顧客サービスの満足度を図る要素として、納入プロセス、販売担当者、書類取扱、納入タイミング、ディーラーファシリティ、支払いの6ポイントに関して消費者の意見が集められ、自動車産業全体の満足度インデックスは757ポイントで、ニッサンは769ポイントを得て業界トップ、続いてトヨタも763ポイントという僅差で二位につけている。ニッサンは書類取扱以外がすべてトップのポイント、トヨタは書類取扱でトップのポイントを得た。この日系二社がイ_アにおける自動車業界顧客満足度レベルのハイランクに位置付けられている。


「テルコムセル社は事業好調」(2006年11月15日)
今年1月から9月までの間に国内最大の携帯電話オペレータであるPTテルコムセルは、プリペイドで40%ポストペイドで14%も売上を伸ばした。プリペイドサービスは同社の売上の72%を占めており、今年の18兆ルピアという売上は前年から40%増し。ポストペイドサービスも3.7兆ルピアの売上を得て昨年から14%増加している。一方国際ローミングは6千億ルピアで昨年から4%減、そしてインターコネクションは2.7兆ルピアに上って昨年から21%アップした。同社は利用者に対する特別サービスを行っており、フリーSMS送信、通話時間延長、イニシャルカードへのボーナスダウンロードなどのプログラムが実施されている。
非音声データ通信サービスの今年9ヶ月の売上は5.9兆ルピアで、これは前年同期から44%の増加。同社のサービス利用者数はプリペイドで3,084万人ポストペイドで163万人の合計3,247万人となっている。利用者ひとり当たりの平均売上高はポストペイドが27.7万から29,9万ルピア、シンパティカード利用者は8.2〜8.3万ルピア、Asカード利用者は4.1〜5.2万ルピアとなっている。同社は今年はじめにシンパティ利用者に対して非繁忙時間帯での同社利用者間通話料金割引システムを開始し、さらに22時から22時59分までは30秒ごとに300ルピアという特別料金も適用している。


「安い!タナアバンの超廉価品」(2006年11月20日)
女子大生のティヤス23歳は衣料品販売をサイドジョブにしている。「仕入れはタナアバンよ。安いし素敵な商品がいっぱい。」
タナアバン市場は東南アジア最大の繊維衣料品卸売り市場だが、個人が大勢まとめ買いをしにやってくる。自分や家族が使うためでもよし、あるいはそれを再販して稼いでもよし。デザインもさまざまなら素材もいろいろ。それでいて価格はクレージー。Tシャツ1ダース、色も四色取り混ぜてのお値段は14万4千ルピア。もし少量買いだと最低三枚で価格は一枚1万5千ルピア。バラ売で一枚1万5千ルピアの女性用部屋着は1ダース買えば一枚1万4千5百ルピア、バラで2万2千ルピアの寝巻きは1ダースで24万ルピア。短パンはバラ売りで一枚1万9千ルピアだがダースで買うと一枚あたり1万8千ルピアになる。
タングランのチココルに住むワティ30歳は、お腹が大きくなった友人たちに出産準備は60万ルピア持ってタナアバンへ行けば全部そろうから、と宣伝している。おむつ、ベビー服、ベビーパンツ、靴下、手袋、入浴セット、枕や毛布、哺乳瓶セット、抱き布、妊婦用胴衣やらバケツ、入浴用品など一切合財を60万ルピアで買ってくることができる。
首都圏の衣料品小売業者はたいていがタナアバンで仕入れをしている。かれらは大量に買って単価を下げ、利益を大きくしようとする。いや首都圏ばかりではない。国内の諸都市からも仕入れ商人がタナアバンへやってくる。かれらは大量の荷を送ったりみずから担いで故郷に帰り、地元の小売業者に納入する。それどころか、かつてはアジア域内や中近東アフリカからも買い付け商人がやってきた。タナアバン近辺にアフリカ人の姿が目立つのはその名残である。大勢の人間を招き寄せるタナアバン市場では膨大な金が回転しており、それを慕ってカキリマ商人も集まってくる。
10年前、タナアバン市場が黄金時代を謳歌していたころ、国内繊維産業はピークに達し、衣料品を製造する縫製工場があちこちに作られた。縫製家内工業センターが西ジャカルタ市タンボラ地区やタングランのチパドゥ、チプリルなどに生育したのもその時代だ。ところが今や中国産やベトナム産超廉価衣料品の大攻勢で、タナアバン市場では国産品を探すのすら困難になっている。おかげで繊維製造業界や縫製家内工業は続々と倒産しているありさまだ。しかし民衆の購買意欲は少しも衰えを見せない。


「車体の擦り傷修理は道端で」(2006年11月30日)
ジャカルタでは道端が店を持たない者たちの商売に利用されている。その中には、商人だけでなく四輪二輪自動車の洗車やらアクセサリー取り付け、果ては車体塗装修理といった商売まで行っている者がいる。塗装修理職人が集まっているのは中央ジャカルタ市プジョンポガンラヤ通り(Jl Pejompongan Raya)の水道会社前やスネン地区などだ。
プジョンポガン通りの道端でミニバス海軍公用車のフロントとドアをサンドペーパー掛けしていた職人の話では、その車は朝と夕方使用されるのでその間の時間はここに来て車体の傷の再塗装をしているそうだ。その日が二日目だと言う。傷が入った部分の塗装をはがしてパテを塗り、サンドペーパーで表面をこすってならす。そのあとボディと同じ塗料を使って塗れば元通りの身体になる。小さな引っかき傷だと塗料を薄く塗るだけで済むものもある。そういう経済的な修理は3万から5万ルピア。料金は客との交渉で決まる。そこへやってくるお客さんはタクシーや乗合アンコッの運転手から個人雇いの運転手まで幅広い。みんな口コミで超廉価サービスを求めてやってくる。個人雇い運転手が高級乗用車を持ってくることも少なくない。車を傷つけた場合、かれらはトアン(ご主人様)に知られると自分の立場が悪くなるため、トアンの知らないうちに早くそれを修理したい。かといってそれほど自己資金に余裕があるわけでもない。それらの必要性を満たしてくれるのがこの道端塗装職人たちなのである。なにしろ、超廉価でできる軽い傷の修理はなんと10分以内に終わってしまうのだから。
中古自動車販売ショールームがかれらの常連客になっている。タナアバン界隈のその手のショールームは何軒もお得意さんになっており、ショールームが新たな商品を入手するとたいてい上塗り注文が来る。これはボディそのままの状態で塗料を上掛けするという仕事で、一度塗料を落としてパテを塗り、表面を磨くという作業は行わない。そのため通常はキジャンや90年代中盤ころの乗用車が大半を占める中古車ショールームの新商品は、一台50万ルピアの料金で上塗りされる。アンコッの場合は値が上がる。ボディの塗装修理は90万〜175万ルピアで、塗料上掛けは100万ルピア近く。そこへやってくるアンコッはほとんどがベンヒル〜ロクシールートのもの。もし塗装を全部はがし、パテを塗ってきちんと再塗装しようと思うなら料金は250万から400万ルピアで、これも客と職人との交渉で決まる。
職人たちは午前8時ごろに「職場」にやってきて、緑陰に塗装道具や缶入り塗料、簡易溶接器具などを置いて客が来るのを待つ。店じまいは16時だが、ルバランのような長期休みになると20時まで営業する。ボディ全体の再塗装は超特急で4日かかる。そんな大仕事はひと月に2〜4台あるそうだ。もっと簡単な修理は一日に3〜4台。塗料選択の目はばっちり保証付きだ、と職人たちは言う。なにしろ10年選手という道端塗装職人もいるのだから。客の求めに応じて使われる塗料は一缶3万ルピアから数十万ルピア。個人や法人に雇われた運転手の失敗を助うためにも、かれら道端塗装職人は力強い味方なのである。


「チアテルに花の大農園を建設」(2006年12月13日)
韓国フロリスト協会がインドネシアの企業と共同で西ジャワ州に広大な花の農園を建設する。2千8百ヘクタールの農園が作られるのは温泉施設があるので有名な西ジャワ州スバン県チアテル。このプロジェクトに参加するインドネシア側企業はPT Indosky Media で8千億ルピアを投じて2007年に花農園を建設する予定。世界最大規模となるこの農園には種苗開発センターや競り市場が設けられ、世界中から買い付け業者が集まって厳選された製品を購入し、そこから世界に向けてどんどん輸出されていく、というシナリオが描かれている。韓国フロリスト協会は、インドネシアで生産すれば国際市場で価格競争力を持てる花や観葉植物が2百種ほどあり、その商業生産、研究開発、生産技術、包装テクニックなど最先端の技術を応用して輸出志向産業に育てることができると述べている。事業を開始して一年後には、この農園を会場として国際的な花のフェスティバルを開催する企画が早くも立てられている。そのフェスティバルはインドネシア民族決起百周年を記念してのものとなる。


「首都圏で自動点灯オートバイを販売せよ」(2006年12月14日)
首都警察が二輪車販売業界に対し、走行時にヘッドライトが自動点灯するオートバイの販売を要請した。各ブランドの販売代理権を持つ販売会社は、可能であるが生産者との打ち合わせが必要と返事した由。この自動点灯ヘッドライトはDaylight Running Lamps あるいはDaytime Running Lights と呼ばれているもので、1977年にスエーデンで実用化され、1987年にイギリス、1990年にカナダでも使用が始まっている。もともとは日中でも霧が降りることのよくある北の国で始まったアイデアが、自分の存在を視認させて事故を防止するために南国でも使われるようになるのは面白い。インドネシアの交通習慣の中で周囲の他車に自分の存在を示すビヘイビアは重要なポジションに置かれているため、この白昼の点灯走行はどうして今までなされなかったのかと思われるほど当を得た方針であると思われる。イ_アの交通習慣についての詳細は「ジャカルタドライバー考」をご参照ください。
首都警察は自動点灯オートバイが首都圏で販売されるよう要請したが、二輪車販売業界はマスプロ効果を考慮して全国一律に販売されるようにしてはどうかと逆提案している。


「ガルーダ航空のグループ割引」(2006年12月19日)
ガルーダ航空が小グループ割引料金を発表した。このプロモーションは2006年12月から2007年2月28日までの期間限定で、小グループとは最少5人が同一フライトに乗るのが条件。ジャカルタ発国際線の目的地別ひとり当たり料金は下のようになっている。
Kuala Lumpur USD125から
Bangkok USD155から
Saigon USD240から
Hongkong USD240から
Guangzhou USD190から
Shanghai USD390から
Beijing USD400から
Tokyo/Osaka USD480から
Perth/Darwin USD290から
Brisbane/Melbourne/Sydney USD390から
2〜11歳の子供に適用される子供料金は大人料金の75%。上の料金には税金と燃料サーチャージが含まれていない。
お問い合わせは24時間コールセンター電話0807 1 807807 または(021)2351-9999。詳しい情報はwww.garuda-indonesia.comで。


「マレーシア航空もスペシャルオファー」(2006年12月20日)
マレーシア航空がジャカルタ発国際線のスペシャルオファーを行っている。ジャカルタ〜クアラルンプル一日5便運行が2006年12月1日から開始されたのを記念して出されたこのスペシャルオファーは販売期限が2007年1月31日までで使用期限は2007年3月31日まで。ただし2006年12月20日から31日までの期間は使用できない。この料金はエコノミークラスに限定され、また税金とサーチャージは含まれていない。目的地別往復料金は次の通り。
Kuala Lumpur USD88
Bangkok, Saigon, Cebu USD208
HongKong Kunming USD288
Beijing, Shanghai, Taipei, Kaohsiung, Seoul, Tokyo, Nagoya, Osaka, Karachi, Delhi, Mumbai, Hyderabad, Male, Chennai, Bangalore, Dhaka, Colombo USD388
London, Paris, Zurich, Rome, Stockholm USD588
お問い合わせと予約は最寄の旅行代理店あるいはwww.malaysiaairlines.com にとのこと。


「都内駐車料金がアップ」(2006年12月22日)
都庁は都心部の交通渋滞緩和を名目に2007年1月から一部エリアでの駐車料金引き上げを計画している。そのトライアルとして12月11日から、クラパガディンのBoulevard Barat、ブロッケム(Blok M)、マイェスティッ(Mayestik)など15ヶ所で新料金の徴収が開始された。都駐車管理庁は都下の163ヶ所を駐車抑制地区に指定している。駐車抑制地区は出入り口としてゲートがあり駐車料金徴収がコンピュータ化されているのが6ヶ所、路上の道路脇でゲートのないノンゲートというのが157ヶ所で、ゲート式は駐車基本料金が3千ルピア、ノンゲートは1千5百ルピアとなる。既にトライアルが始められた場所ではそれらの新駐車料金が徴収されている。ちなみに残る12ヶ所のトライアル地区はJl Barito, Jl Birah III, Jl Faletehan I, Jl Mahakam Raya, Jl Melawai Raya, Jl Panglima Polim, Jl Raden Patah I, Jl Sultan Hasanuddin, Jl Tabah Raya, Jl Wolter Monginsidi, Jl Cipete Raya, Jl Pondok Rabu となっている。


「新規映画館チェーンがオープン」(2006年12月27日)
かつてインドネシア人の娯楽のナンバーワンは映画という時代があった。オランダ時代から映画館は若者たちにとって人気のある場所で、都内各町の繁華街にはたいてい映画館があった。今はくすんでしまったが往時の建物のまま映画館として営業を続けているところも少なくない。パサルバルのグドゥンクスニアン(Gedung Kesenian)でさえ一時期は映画館になっていたこともある。1987年に全国で2,306スクリーンを数えた映画ビジネスは1990年に3,048スクリーンに増加したが、1994年には2,292スクリーンに減少し、1998年には1,143スクリーンにまで縮小してしまった。今全国で営業している映画館は118軒441スクリーンで、そのうち319スクリーンがスタジオ21、122スクリーンは非スタジオ21という業界の配置になっている。そのような映画産業没落の中で業界を支えてきたのがStudio 21 であり、今はCineplex 21 と名前を変えているが、ひとり気を吐くこのチェーンだけが新着洋画の上映を進めてきたため独占という非難が常についてまわったのはあらゆる業界ジャイアントに共通の宿命。ともあれ最近まで新着映画を鑑賞するならスタジオ21とされていた常識がいま新たなライバルを迎えて崩れつつある。最近バンドンにオープンしたBlitzmegaplex がスタジオ21グループに対抗しようと乗り出してきたのだ。より広い客席により大きいスクリーン、そして上映ナンバーも洋画・国産から個人制作ものまで豊富にしかも他より安い料金で。
ブリッツメガプレックスは映画館というより総合エンターテイメントをお客に提供することを使命に掲げている。そのため館内にはバー・ビリヤード・音楽ダウンロード・キャンディバーなどが設けられ、お客を長居させようというポリシーがひしひしと感じられる。一号館はバンドンで営業を開始したが、来年はジャカルタへの進出を計画しており、都内SCBDのパシフィックに一千二百席の館を、さらにグランドインドネシアには3千2百席の館をオープンする予定にしている。