![]() 「援助物資がメダン港で山積み」(2005年4月29日) 4月28日現在メダンのべラワン港に、インド洋津波大災害の被害を受けたアチェと北スマトラの2州に向けて外国から送られてきた支援物資が1,488TEUs(20フッターコンテナ換算)、まだ積み上げられたままになっている。その多くは医薬品、食糧、テント、毛布など難民の救援活動に有効なものばかりだが、中には車両103台も混じっている。この車両については先にブローラセンターが、救援物資の陰に隠れた密輸入品が混じっているのではないかとの疑惑を表明している。 タンボス・ナイボル、べラワン地区税関サービス事務所長は、「海外から届いた救援物資は4,073TEUs、車両は146台と53TEUsあり、大半は引き取られたが一部は荷受人が輸入手続をしないため港内に積み上げられたままになっている。ほとんどが今年1月に到着したものだ。」と述べている。荷受人が輸入許可手続を行っていないか、もしくは許可が下りているのに何らかの理由で引き取ろうとしていないか、そのどちらかだろう、と税関側は説明している。インドネシアは厳重な輸入管理制度が敷かれており、輸入者資格ライセンスを持たない者は輸入通関が難しい。また米・砂糖・自動車・衣類などは輸入規制がしかれ、品目別のライセンスを別途取得しなければならない。しかし政府は2005年度第21号商業大臣令で自然災害被災地救援を目的にした物資輸入手続の簡素化を行い、荷受人が誰であれ商業大臣の許可だけでどれでも輸入できるように一元化を図っている。 べラワン港コンテナヤードに最も長期間滞留しているのは1月16日に陸揚げされたコンテナで、シンガポールからインドネシア赤十字メダン支部宛てのもの。ほかのコンテナの荷受人を列挙すると、PMI Aceh, Rumah Sakit Zainal Abidin Banda Aceh, UNICEF, Departemen Sosial RI, Mabes TNI, Yakuum Emergency Unit, Bakornas, Posko Deplu, Aceh Sepakat, Rizal Nurdin Kepala Posko Satkorlak Bencana Alam Aceh dan Sumutほかさまざまな民間団体も混じっている。一方救急車を含む自動車の荷受人はMerlin Banda Aceh, Solidaritas Aide Humanitaire D'Urgence Medan, PMI Medan, Crisis Centre Medan, United Nation Population Fund Jakarta, PT Asia Rim Reliance Indonesia, World Vision Indonesia, FAO Medan。 大量の貨物がべラワン港のコンテナヤードを占拠しているため港湾荷役に不便が生じており、べラワン地区税関は荷受人に対して早急に貨物を引き取るよう要請している。 「コンパス紙への投書から」(2005年4月13日) 拝啓、編集部殿。わたしはゴルフクラブ用部品ウッドヘッド2個、アイアンヘッド1個、シャフト7本、グリップ9本をアメリカのインターネットショップで買いました。総額は411米ドルです。品物がアメリカから届き、ソロのUPSが722万ルピアというDuty & Tax請求書を出してきたとき、わたしは呆気にとられました。カルディッの税関が実際の商品価格の200%もの費用をいったいどのように計算できるものなのか?三ヶ月ほど前、わたしがほとんど同じような内容の総額300米ドルのものを取り寄せたとき、百万ルピアの関税が課されました。HS番号の記載に間違いがあったことが疑われます。ほとんど同じ品物が異なるHS番号に区分されるようなことがいったいどのように起こリうるものなのか?当の税関職員さんは、自分が記載したHS番号は正しいと言い張るのです。 もしそれが本当だとすれば、インドネシアにあるゴルフ道具はすべて合法的通関手続きを踏んでいないとわたしは断言できます。その理由は、お店で売られているゴルフ道具の値段は部品をアメリカから買うよりも安いからなのです。そのような計算方法が取られるのであれば、インドネシアでゴルフをプレーできる人はいなくなるでしょう。わたしが買ったものは、税関の規則に則して競売にふせられることが懸念されます。競売に参加できる権利を持つ人はだれなのでしょうか?これは特定悪徳職員が世間の品物を取り上げるための手管だろうと懸念されるのです。たいへんな失望を与える通関システムを秩序立て、あるいは職員を矯正することができるよう税関に期待しています。わたしはまた、何を行うことさえできないUPSにもいたく失望しています。[ソロ在住者、リザルZ] 「災害救援物資がべラワン港でまだ長期滞留」(2005年5月14日) メダンのべラワン港混雑の原因のひとつは、ニアスとアチェへの自然災害救援物資にある、と港湾運営会社ペリンドTが表明した。限られたスペースのべラワン港コンテナ集積ヤードに大量の救援物資コンテナが積み上げられているため港湾作業に障害が出ており、作業能率が低下しているというのがその主旨。 「集積能力7千TEUSのヤードに1,458TEUSの救援物資コンテナが置かれている。そのため通常の貨物物流が止まらないようにするためには、毎日総能力の65%でコンテナの出し入れを行わなければならなくなっている。べラワンの一月あたりのスループットは2万TEUSであり、一日のインは3千5百TEUSが限界だ。救援物資がいつまでたっても引き取られないで放置され、ヤードを占拠しているために、港湾荷役作業は能率が低下し、結局は船の接岸待ち日数が増加することになる。もう四ヶ月も放置されているコンテナが少なくなく、たとえば中国からの物資がその例だ。」とべラワン港コンテナターミナルのアバディ・スンビリン部長は語る。 同港コンテナターミナルは救援物資の入ったコンテナ荷役に対して費用徴収をしておらず、荷受人は早急にそれらのコンテナを引き取って港湾の混雑を減らすよう協力してほしい、ともかれは述べている。試算によれば、同港ターミナルが免除する荷役費用は10億ルピアに上っているとのこと。食料品や医薬品がコンテナの中で猛暑をこうむれば、品質劣化が予測されるために、せっかくの援助物資が無駄になるだろうし、また船会社とのデマレッジ処理も別途必要になるのではないかと同部長は気をもんでいる。 一方、北スマトラ州援助実施調整ユニットのヌルリサ・ギンティン副委員長は、大量の援助物資入りコンテナが港で山積みになっている事実を肯定する。副委員長によれば、一部の物品に対する商業大臣の許可が下りないために、コンテナの引き取りができないでいる、とのこと。「既にいくつかのオプションを商工大臣に提出しています。輸入許可決済チームをべラワンに送って現地で処理してはどうか、北スマトラ州知事に権限委譲してはどうか、などと。このユニットの最高責任者にあたる州知事や州庁の関連高官からも中央政府に輸入許可に関する手紙が出ていますが、ごらんのような状態です。」とかの女は説明している。 「アチェ救援物資の一部は輸入許可なしでも通関できる」(2005年5月16日) アチェ被災地への救援物資でべラワン港に滞留している貨物を国内に入れるにあたって、政府は最終的に輸入許可免除の措置を取った。インド洋津波大災害発生後、アチェと北スマトラの被災地住民に対する援助物資としてメダンのべラワン港に送られてきた貨物はコンテナで4,360本あり、そのうち844本が港の保税エリア内から国内に出されないままになっている。それらのコンテナは、通関書類が整っていないために輸入通関手続きにかけることができないものだ。また中には援助物資と抱き合わせで、密輸入が疑われている高級乗用車なども混じっている。それ以外にまた輸入通関手続き中の607本のコンテナがあり、それらが港から引き出せるのは時間の問題だそうだ。 アブリザル経済統括相は、税関総局、べラワン港運営機関、商業省輸入局長などの関係諸官庁と調整を取り、自然災害国家調整庁長官としての立場からユスフ・カラ副大統領が輸入許可免除措置を与えるよう指示した、と公表した。同時に物資運搬費用として20億ルピアが州政府に寄贈されている。 この副大統領指示に関連して商業相は、トラックのように輸入許可取得義務を負う物品で書類がまだ整えられていない輸入貨物に対し、アチェへの援助目的のものについては輸入許可を免除する大臣令をすでに発行したとの情報が流れている。トラックに限っては人道支援を目的に早急にアチェに送られるが、リムジンやセダンなどの高級車については必然性が疑われるため、調査の対象として残されることになる、と経済統括相は語っている。 「国内航空会社に燃料調達の危機」(2005年6月22日) 石油国際相場値上がりの影響を受けてプルタミナが販売するジェット航空機燃料価格も大幅に引き上げられているが、それにかけられている付加価値税(PPN)に、いま焦点があたっている。燃料価格の大幅引き上げでいくつかの航空会社では操業問題に発展しており、そうでない会社もいまやオペレーションコストの40%を占めようという燃料費に10%が上乗せされる状況を看過できなくなっていて、本質論へと問題が進展している。 もともとPPNは物品サービスが消費される場所を課税条件に持っており、国外に持ち出され、国外で消費されるものが課税対象外とされていたのは1994年度第11号法令第7条2項に示されているとおり。ところが2003年8月25日付けで大蔵大臣が、国内で購入される航空機燃料への課税を命じ、国外に持ち出されるものにも例外を認めないという決定を下した。おまけにその命令が1998年まで遡及することにされたため、プルタミナの未納税金額は9千7百億ルピアに膨れ上がった。プルタミナは2004年12月時点で6,580億を納税した上で、蔵相と国有事業体担当国務相にその規定の見直しを要請しているが、反応は見られていない。 ハッタ・ラジャサ運輸通信相はこの問題に関して、「国際合意に背くその規定はインドネシアのイメージを大きく失墜させるものであり、関係閣僚に文書で対応を求めているが、まだ反応はない。」とコメントしている。IATAも大蔵省が出したその規定が航空機燃料に関する国際協定に違反しているとの通告文書を今年三月、蔵相宛てに出している。運通相はその課税が合理性に欠けているだけでなく、国内空運業界の財務体質に悪影響をおよぼすとともに、近隣諸国への航路を持っている会社がシンガポールやマレーシアで燃料調達をし、国際航路を持っていない会社と条件面で不公平が起こり、健全な市場競争が妨げられる懸念がある点を重視して、早急な改善を求めている。 一方国税機関からPPN徴収と納税を迫られているプルタミナは、PPNを納めない航空会社には燃料を販売しない、と表明している。 「輸入禁止の中国産エビがインドネシアを通ってEU市場へ」(2005年7月18日) 中国産エビをインドネシア産と偽ってEUに輸出していたインドネシアの輸出業者7社がOLAF(EU反不正行為事務局)に摘発された。EUは中国産のエビから人体に有害なクロラムフェニコールを発見したため、食肉、はちみつ、エビ類などの輸入を2002年1月に禁止している。ところがインドネシアの輸出業者がその間に入って中国産のエビをインドネシアに輸入し、それをインドネシア産として原産地証明書を取得し、EUに輸出するということを行なっていた事実をOLAFが2003年と2004年の貿易実績から突き止めた。その調査の仕上げとしてOLAFは6月29日から7月13日まで、違反行為を行なっていたと見られるエビ輸出業者への訪問調査をインドネシアの各地で行い、事実を究明することに成功した。EU側が違反者と断定した7社のうち5社はその事実を認めているが、他の2社はその容疑を否定している。 インドネシアは先進諸国からGSP(特恵関税制度)適用恩典を与えられており、エビの場合だとEU輸入関税率は一般税率が12%に対しGSP適用税率では3.5%になるため、この恩典を利用できればEU域内での市場価格がたいへん有利になる。 しかしGSPが適用されるためには、インドネシアのローカルコンテンツが定められた割合を満たしていなければならず、それを満たしていれば商業省地方事務所に申請して原産地証明書フォームAを発行してもらい、その書類で輸入者が輸入通関時に恩典適用を申請できる仕組みになっている。中国産エビを用いた場合、インドネシアのローカルコンテンツがフォームA発行条件を満たせるようにするのはまず不可能に近く、輸出者は商業省への発行申請に虚偽データを使うことでそれを手に入れていた。 OLAFが摘発した7社は2003年から2004年までの間に1万2千トン、6千5百万ドル相当をEU域内に輸出している。この違反事件でインドネシア政府は窮地に立たされており、商業省は原産地証明書発行手続きをより注意深く行なうよう各地方事務所に指示するとともに、今回の問題に対する認識を徹底させるよう指導を強める方針であると表明した。一方EUに対しては、違反を行なった輸出者をEUは当然排除するだろうが、全国185のエビ輸出者全部を排除することのないようにと要請している。ディア・マウリダ商業省外国通商総局長は「政府は虚偽行為を行なった7社の処罰を行なう予定はなく、警告と統制を行なうことにしている。かれらはEUの輸入者から既に非難を浴びているから。」と述べている。 「インドネシアのエビ不正輸出追究が今度はアメリカから」(2005年7月21日) EU反不正行為事務局によるインドネシアのエビ輸出業者摘発に続いて今度はアメリカが、やはりインドネシアからのエビ輸入に関する不正行為の調査を行なう。このアメリカ側の不正調査は、EUのフォームA虚偽作成とは異なり、アメリカ政府が反ダンピング申し立てを適用しているタイ、ベトナム、インド、中国、エクアドル、ブラジルなどの産するエビをインドネシアのエビ輸出業者がアメリカへ輸出しているという疑惑に関わるもの。それらの適用対象国はアメリカへの直接輸出に際して輸出保証金を積まなければならず、この手続きはそれらの国からインドネシアへ、またインドネシアのエビ輸出者がアメリカへ輸出する場合は不要となる。 このインドネシア原産と偽った迂回輸出に関与しているインドネシア輸出業者として合衆国税関は4社のデータを持参し、7月19日から23日まで、それらの輸出者を訪問調査して白黒をつける予定にしており、中部ジャワ州の1社、東部ジャワ州の3社がその間調査を受けることになる。商業省外国通商総局長はアメリカの今回の疑惑調査に関しても、EUへの要請と同じ調子で、違反行為を行なった輸出業者への措置はおまかせするが、他のインドネシアのエビ輸出業者への制裁措置は取らないようにお願いしたい、と提言している。 アメリカの今年第一四半期の輸入元国はインドネシアが中国を抜いて二位に躍進しており、トップは依然としてタイ。インドネシアからアメリカへのエビ輸出は、1999年の1万6千トンから2004年は4万7千トンにまで伸びており、2005年は5万トンに達するだろうと見込まれている。 「PILKADA」(2005年8月1日) ここ数ヶ月、この単語が新聞に出ない日はないが、辞書を調べても載っていない。それもそのはず、これはPemilihan Kepala Daerah(地方首長選挙)を縮めた略語だ。7月25日に首長選挙結果に反発したブンクル州カウル住民が暴動を起こしたとのニュースが流れたが、これは落選した側が金で仕組んだヤラセとのこと。地方首長選挙の地下水流をなしているメカニズムに関して、ポンティアナッ在住の宗教家ウイリアム・チャン氏が提出している分析を見てみよう。 ある地の県令が地元著名人に数十億ルピアの金をオファーした。自分のファミリーのひとりと組んで今度の県令選挙に出馬してほしいという依頼だった。その県令は十分に知り抜いていた。地方首長の椅子は高い買い物であるということを。金の不要な高位者の椅子などないということを・・・・・。 当選した後、県令や市長たちはたいてい、何人もの地方議会議員や地元資本家に対して得票資金の分割返済をしなければならない。その借金返済資金を集めることに首長が没頭するために、住民の福祉向上プログラムは支離滅裂となる。幸いなことに、高官には年間の巨額な戦術資金が下りることになっているのだが。 とまれ、住民の中に飢餓水腫や栄養不良者が出ても、首長の念頭にはのぼらない。SBY大統領の警告が出される前、地方首長たちは週末ジャカルタにやってきて、月曜に地元に戻る生活をしていた。地元社会を足で見ることの少ないかれらには、地元の実態が十分見えていない。ところが資金回収者としては、小規模ワルンを破綻させ、つぶす必要のないパサルを解体に至らしめるモールの建設や国家資産売却などのメガプロジェクトを狙うのに熱心だ。地方首長は住民の正義と福祉を守護する行政官であるよりもむしろビジネスマンとして活発に活動している。 資金回収者たる地方首長は、国家国民としての社会生活システムと地方総選挙コミッションの働きの実態の中で生まれたものだ。地方総選挙コミッションは下の三点が弱い。まず、立候補者が規定条件に適合しているかどうかの判定。強要され、デモやら何やらを突きつけられると、本当は規定を満たしていなくても立候補者を通してしまう。だから諸方面が立候補者審査の客観性に疑念を抱いている。次に、選挙民数に関する正確なデータが混乱している。住民の中にはKTP(住民証明書)を複数持っている者がいるのだ。三つ目、投票する権利のない者が投じた無効票の選別能力を持っていない。公正な選挙が行なわれることへの期待からはるかに遠いところにピルカダの現実があるのだ。違反の兆候が見つかってもフォローアップがなされないため、住民の不満が地方総選挙コミッション事務所を抗議やデモのターゲットにしているのも当然と言える。住民は統制面がきわめて弱い地方首長選挙システムに失望し、不公正に扱われたと感じている。地方総選挙コミッションメンバーはもっとプロに徹しなければならない。問題あるメンバーに交代させるための候補者も用意しなければならない。総選挙コミッションの働きは、選挙結果に大きい影響を与えるものだ。 資金回収に没頭する地方首長の出現は、汚職撲滅全国プログラムにとって障害要因である。地方首長の頭の中は借金返済で一杯であり、住民福祉の向上がその頭で真剣に考えられるわけがない。中央政府はこれから先の5年間、そのような地方首長をどのように扱って行こうとしているのだろうか? 「メクラ判の原産地証明書発行」(2005年9月6日) 中国の繊維産業は半分以上が国有事業体であり、廉価な労働力を使っている上に国から補助金を得ている。中国から輸出される廉価な衣料品はいまやインドネシア国内市場を覆い尽くそうとしているのみならず、グローバル市場をも席捲しつつある。2002年1月に輸入割当制を廃止したアメリカ市場での中国産繊維製品輸入は増加の一途だが、インドネシア国内繊維業界が事業継続に青息吐息のこんな状況下にも関わらず、アメリカでのインドネシアからの繊維製品輸入も増加している。これは中国製品がインドネシアに輸入され、ラベルが取り替えられてあたかもインドネシア産のような外見を持たせられ、さらに原産地証明書までが添えられてアメリカに船積みされていることをうかがわせるものだ。 2003年12月のインドネシア繊維業協会役員と当時の商工相の発言を記した記事はそう述べている。実はアメリカの輸入割当制度廃止以前から、同じようなことが行われてきた。アメリカのクオータを受けたインドネシア政府が国内繊維業界にそれを割り当てるが、クオータは毎年期限があり、そして業界各社の生産が予定通りにできないことも起こる。その場合、クオータ自体が商品となり、売買される。その取引が国境を越えてもおかしいことはない。そんな流れの中である国の商人がインドネシアのクオータを買い、自分の商品をアメリカに輸出するためにインドネシアに向けて船積みする。インドネシアの受け入れ側はそれをアメリカ向けに船積みするさいに、必須条件であるインドネシアの原産地証明書を役所から取る。インドネシアでそれは難しいことではない。 クオータが廃止され、数量が無制限に変更されたとはいえ、反ダンピングやセーフガードはいつでも適用される態勢にある。そしていずれの国も、リスク管理の大原則であるリスク分散を行わないはずがない。 8月31日の国会第6委員会公聴会で繊維業協会のベニー・ストリスノ会長は、いまや中国側輸出者は商品をインドネシアに送る必要がまったくなくなり、かれらはインドネシアからの原産地証明書が届くのを待ってアメリカに直接船積みしているという事実をすっぱ抜いた。これまでもアメリカの輸入統計とインドネシアの輸出統計との間の大きい差が問題になることはあったが、今後は米国税関との間で電子式検証システムELVSを実施し、違反行為を減らす努力を政府は行わなければならない、と同会長は提案した。 国会第6委員会イルマディ・ルビス副議長は、従来は貨物がインドネシアでトランシップされたことから、まだ付加価値がインドネシア側にはあったが、そのような書類だけの問題に変わってくると何のメリットもなく、国内産業のポテンシャリティを損なうものでもあるため、政府は早急に対応を取るように、と発言した。現状は、商業省が行っている原産地証明書発行業務がメクラ判行政であることを意味している、 とのこと。それにたいしてベニー会長は、いまや原産地証明書発行業務は地方自治体の商業局に委ねられており、どこでも輸出者がマニュアル作成したあと最後に役所責任者のサインとハンコが押されて輸出者に渡されるだけであり、実際に貨物があるかどうかといったことの検査もなく、また発行者の業務を監督することも困難がある、と現行行政メカニズムの問題を説明している。 「都庁のマインドセットは如何?」(2005年10月20日) トランスペアレンシーインターナショナルインドネシア(TII)が今年2月に公表したサーベイでは、全国で最も腐敗した町が首都ジャカルタとのこと。それを読んだ大勢の読者は一様に、さもありなんとうなずいていた。あらゆるものが金次第というジャカルタを知る人にとっては、今さらなにを・・・ということかもしれない。 ある都庁指定業者は、工事プロジェクトをもらうためには50のデスクを通らなければならない、と語る。そのすべてに『委託金』が載る。出納局だけでも20のデスクを通る。相場としては5万ルピア札が一枚。だがお偉方には差をつけなければいけない。だから10万ルピア札になる。プロジェクトをもらうためのプロセスは、まず入札委員会から始まる。公定の入札参加費用とは別に、75万ルピアの契約費を納めなければならない。おまけに落札金額の2.5%が非公式に委員会に献上される。続いて監督者、出納管理者、プロジェクト管理者、そして出納局も。最終的に業者の手には10〜15%程度しか残らず、それよりもっと大きい金が都庁の役人たちにばらまかれる。業者はそんな裏口ゲームに乗らざるをえない、とかれは本音を明かす。でなければ入札には決して勝てないし、ましてや都庁の役人が他の業者の名前を借りて入札に割り込んで来るのだから。 都庁に使われる業者だけがそうではない。石油ガス関連の会社が都内で事業を始めるにあたって、まず都市ファシリティ建設許可手続きからスタートした。都市インフラ管理局に、都知事宛申請書を出す。すると、都市インフラ管理局、建物監督整備局、都市整備局、公共事業局、運輸局、公園局から成る合同チームの審査を受ける。用地現場視察が行われると、1千数百万ルピアの金が飛ぶ。それでうまく承認が得られたら、都市インフラ管理局から都知事承認書が手に入る。続いて都市整備局でブロックプランの指導を受け、都市整備次局で手続きに入る。都市整備局では高くても5千万ルピア程度の金が飛ぶ。そして次局では1〜3千万ルピア。それらは交渉次第で金額が決まる。その次、運輸局での交通影響分析。ここはやはり数千万ルピア。さらに次から次へと他の局に金を持って回る。 宅地開発デベロッパーも同じこと。許認可で金が動かないものは一つもないが、それとは別に法規が定めた事柄が巧みに利用されていく。住宅地区の開発を行えば、社会ファシリティ・一般ファシリティの建設がデベロッパーに義務つけられ、それらのファシリティは完成後地元自治体に移管されて、自治体の管理化に置かれる。行政側が何をするかと言えば、それらファシリティの維持費が高いから、それらは受け取らない、とくる。数百億のプロジェクトだと、それらファシリティの移管費用は数十億ルピアに達する、と業界者は語る。 首都商工会議所専務理事のナスルル・アリフィンは、会員企業からの、都庁の腐敗に関する苦情は絶えない、と語る。「中でも腹立たしいのは税金関連で、外資企業が投資をするさいにもっとも苦情の種になっている。かれらは巨額の和解金を出費しなければならず、かれらが結局ジャカルタから逃げ出す遠因になっている。ほかの問題は、行政管理が不透明であることだ。」と同専務理事は述べている。 「イ_アの腐敗度は依然最悪」(2005年12月9日) 香港に本拠を置く政治経済リスクコンサルタンシー(PERC)が最新の各国汚職度評価番付を公表した。アジアでは調査対象12カ国中インドネシアが依然最低。評点は劣悪10点満点でインドネシアは9.44。番付を見ると、アジアでクリーンナンバーワンはシンガポールで0.89。二位香港が1.22。三位以降は、日本、韓国、マレーシア、台湾、タイ、中国、インド、フィリピン、ベトナムと続いている。 各国在住外国人の目から見た評価を総合したこの調査結果は、それなりの国際規準が反映されていると見てよい。インドネシアに関する論評としてPERCは、賄賂がきわめて大きい欠点だと外国人の目に映っているが、SBY内閣からその撲滅プッシュがかかっており、法制度内での信頼性に疑問を感じるものの、同政府は対賄賂闘争のステップを進めている、と述べている。 PERCの調査結果についてインドネシアコラプションウオッチ(ICW)は、その結果はわれわれが毎日インドネシアで目にしている事実と現実の通りだ、とコメントした。「この調査結果は2003年の世銀報告に重ねられるもので、ハイコスト、紛糾した手続き、長い時間のロス、などが外国投資の足を引っ張る要因となる、という主張を裏書している。税関、国税、イミグレーションなど外国ビジネスマンにとってバイタルとなる機関がかれらへの便宜を優先していないし、プンリの激しさがコストをあまりにも高くしている。SBY大統領が唱導しているコルプシ撲滅については、今のところ抑圧的方式しか取られていない。つまり汚職者を捕らえて罰しようということだけであり、インフラの改善には手がつけられていない。すなわち法執行者のビヘイビヤは旧態然としたままだ。ここ一年間で挙げられ、判決を受けた汚職者は50人に満たない。予防的な対応、つまり投資システムや行政システムの整備はまだあまり行われていない。たとえば外国人が暫定居住許可(ITAS)や会社設立の手続きを行えば、プンリがすぐにかれらの目に焼き付けられる。商業省や法務省での長ったらしい手続きもすぐそのあとに控えている。」ICW副コーディネータはそう語っている。 「出版社に受難のISBN」(2006年1月23日) インドネシアでは出版社が書籍を出版する際に、ISBN番号の印刷が義務付けられている。ISBNとはInternational Standard Book Number。ISBN番号を採番するのは国立図書館で、言い換えれば国立図書館からISBN番号をもらわなければ出版社は書籍が出版できず、開店休業状態になってしまう。国立図書館のISBN窓口担当者は出版社の命綱を握っているようなもので、これがまたプンリ(不法徴収金)の温床と化している、と出版業界関係者が洩らした。 出版社は、書籍販売店網がバーコードを使って在庫管理を行っているので、ISBNを付けなければ市場に出せない。出版社は国立図書館側が必要とするすべての条件を満たしても、ISBNをすぐ入手できる保証にはならない。担当職員の個人口座に要求された金額を振り込んでも、いつまで待っても国立図書館側からはなしのつぶて。だからISBNを入手する前に大々的に出版記念プロモイベントなどを組もうものなら、十中八九とんでもないことになる。それどころか、いつまでたっても書籍を市場に流せず、在庫を倉庫に寝かせるだけということも頻繁に起こる。 ISBN番号だけだと料金は25,000ルピア、バーコードとセットにすれば65,000ルピアなので、国立図書館がひと月に得ている公的な金は毎月10億ルピア程度になるのではないか、とかれは言う。それだけの金を得ながら、担当職員はいったい何をしているのか?電話をかければ、「まだ処理が終わっていない。忙しい。」という言い訳か、それとも何人かの担当者にたらい回しにされるばかり。 国立図書館はISBN処理手続きについて、メカニズムがどうなっており、費用はいくらで、いつそれがもらえるのか、という標準化を行わなければならない。それがなされない限り、担当職員の汚職の舞台はいつまでも維持され、出版業界の進展に足かせがはめられ続けるだろう、とかれは述べている。 「大蔵省内監査報告」(2006年1月26日) 大蔵省内部の業務監査で、国費に関連する1,171件の逸脱行為が報告されたことが明らかにされた。大蔵省が公表した2005年第一〜第三四半期監督総局監査報告書によれば、発見された違反行為は3,331件でそのうち金銭の関与しないものが2,160件、1,171件は国費の関与する違反で、金額は6,013億ルピアと見積もられている。金銭の絡む違反のうち947件は国税総局内のもので、金額は5,715億ルピア、あとは主計総局、税関総局、予算総局、官房総局などに散らばっている。特に目立ったものとしては、135億ルピアの対外サービス支払いに対するPPhPasal26の27億ルピア徴収洩れ、完成品自動車輸入に対する奢侈品税未徴収、土地建物税64億ルピア未納税者に対する督促状未発行、期限の過ぎた督促状に対する強制執行命令書未作成、PPh200億ルピア納税不足に関する報告洩れ、ロイヤルティ海外送金のPPhPasal26徴税は実施されたがPPN113億ルピア徴税洩れ、など。 その定期監査の中で監督総局調査院は、特別調査対象の中にまだ国庫に納められていない不動産権利取得税35億ルピア、税金還付違反行為、還付金出金遅延、税務処理違反などが上がっており、調査院は事務所長に対する規律違反重制裁、と課長に対する軽制裁を与えるよう提言している。 国税総局はその監査報告に対するフォローアップを行い、1,426件総額7,449億ルピアと21.8万米ドル相当について対応処理を済ませたとハディ・プルノモ国税総局長が表明した。スリ・ムリヤニ・インドラワティ蔵相は、省内での汚職疑惑に関する証拠集めを汚職撲滅コミッションと協力して推進するよう、監督総局長に命じた、と語った。トップフォーカスは流出した国費を取り戻すことにあり、次いでそれを行った職員に対する法的措置を取るというウエートの置き方をしている。同相は省内に予防効果が生まれることを期待しているが、かといって省内のすべての職員が疑わしいと言っているわけではない、とコメントしている。 「盗伐材はマレーシアを目指す」(2006年2月8日) リアウ州ベンカリス県小シアッ川にリアウ州不法伐採撲滅チームが抜き打ち視察のボートを乗り入れたとき、それを見ていた悪徳役人からの情報が流れたようだ。ボートが上流に上がったところで、表面をきれいに削られた数十立米の木材ブロックを積んだ船が数隻発見されたが、船上にはひとりの人影さえ目にすることができなかった。川岸に設けられた集材基地には最先端の通信機器やコンピュータ器材がそろえられ、陸地側からのアクセス路が完全に遮断されている立地環境とその設備の対比に、関係者は目を見張った。だかそこからも、人間の姿は消えていた。船のひとつからパスポートが見つかった。インドラギリヒリル県トゥンビラハン移民局が発行したズナイディ名義のそのパスポートからは、その乗組員がマレーシアへ頻繁に往復していたことが明らかだ。リアウ州の不法伐採木材の大半はマレーシアに流れ込んでいるという噂を裏書する事実がまたひとつ見つかったようだ。たしかにマレーシアの非合法港に陸揚げするために船を出せば、わずか4時間の航海で到達するのだから。 リアウ州が不法伐採撲滅にエネルギーを注ぎはじめてから、今では11の県市で活動が活発化しているというのに、マレーシアとシンガポールへ向かう不法木材の勢いが下火になる徴候は少しもない。MSカバン林業相は、その二国がインドネシアの盗伐木材を低コストで入手して大もうけしている、と述べている。需要の高いのはクンパス、メランティ、ラミンなどの樹種。切出されたあと製材され、そして二辺あるいは四辺を削られてから船積みされる。撲滅チームはこの二ヶ月あまり、抜き打ち視察を頻繁に重ねており、盗伐木材の密輸出が堂々と、大々的に行われていたことをいやというほど思い知らされた。言い換えれば、その違法行為を取り締まるべき機関がまったく張子の虎と化し、法執行が消え失せてしまっているという事実が明らかになったのだ。 ベンカリス湾から小シアッ川をさかのぼることおよそ四時間。川の流れに沿って5百から1千メートルにわたる丸太いかだが下ってくるのが見られた。およそ80キロ上流までの間に、そんないかだはいくつもいくつも流されてくる。船外機付き小型ボートが引くそのいかだはあちらこちらの製材場に持ち込まれるのだ。河口から100キロ上流までの間、直径30から80センチの丸太が川を流れる光景は、日常茶飯のことだそうだ。製材場で20センチの角材や2センチ厚の板材にされた木は、積載能力50立米の船に積まれてマレーシアへ送り出される。3千本から9千本の木が、二週間単位で流出している。皮肉なことに、ベンカリス海峡周辺は海軍と水上警察の定期パトロール地区だというのに。 インドラギリヒリル県ガウン川上流にあるクルムタン動物保護区からも木材が切出され、小シアッ川と同じ活動が展開されている。ガウン川から送り出される製材や丸太はメランティ、クンパス、ラミンなどで、立米あたりの価格は12万から350万ルピアのレンジ。保護木材になっているラミンが盗伐者たちにとっては文字通り金の成る木であり、クルムタンからは週30立米の丸太が切出され、9〜10トンの製材にされている。かれらはオリジナルだが偽の林産物公正証明書を手に入れて堂々と輸送を行っている。クルムタンは、これまでテッソニロ、ブキッティガプル、マハトといった盗伐の楽園に新たに加わったプリマドンナだ。毎日およそ5キロにわたる丸太いかだが川を下り、密輸船は製材所から短時間でマレーシアに到着する。 リアウからマレーシアへの密輸ルートは二つある。ガウン川からジョホールのパシルグダンへ向かうものとタンジュンサマッを抜けてポートクランへ向かうもの。船はまずクアラガウンに投錨し、悪徳法執行者の案内を待つ。治安要員のガードが得られると、船はパシルグダンへ向かう。ポートクラン向けもまずクアラガウンに投錨し、そこからタンジュンダトッ、さらにタンジュンバライカリムンを経てポートクランに到る。もうひとつシンガポールに向かうルートは、タンジュンダトッからラボン島を通ってジュロンに向かう。 海軍と州警察は、この木材密輸のガード役を務めている治安要員の洗い出しを継続しているが、カバン林業相はすべての機関にいる悪徳職員が個々の分野で大がかりな犯罪行為を回転させる片棒を担いでいると見ている。林業省内からはじまって、税関、移民局、警察、海軍、陸軍、検察に至るまで、森林の保全を図り、盗伐材の輸送を取調べ、製材原木の由来をチェックし、国外に出航する船を監督し、国外に出る人間に許可を与え、水上海上での貨物の動きを見張るといったすべての局面に関与する機関にその不法行為を進める腐敗役人がいるというのだ。法治国家の中に作られた違法行為メカニズムの巨大な歯車が回転しなければ、今のように密輸出が堂々と、大々的に行われうるはずがない、という見方は大いにうなずけるものがある。そんな闇の行政機構を滅ぼせるだけの力が現行政権に果たしてあるのだろうか? 林業相はまた、森林不法伐採に反対しているマレーシアとシンガポールの政府が、盗伐材輸入をもっと厳しく取り締まってくれても良いはずだが、との希望を語っている。 「貧困は盗伐を目指す」(2006年2月16日) リアウ州の不法伐採は、まるで肉体を冒す悪性ガンだ。実行犯を捕らえても、まるで何事もなかったかのように、不法伐採は止むことがない。リアウ州4百万住民の22%を占める貧困者が飢餓を逃れるためにできることは不法伐採に手を染めることしかない。不法伐採事業主からチェーンソーを借り、不法行為を行って金をもらう。そんな住民が何人逮捕されようが、それに交替して金をもらいたい者は掃いて捨てるほどいる。捕まるのは現場で汗水たらして小額の金を得ている住民たちであり、巨額の金を不法に手に入れている不法伐採事業主たちは悠々と街中を徘徊しているのだ。悪徳治安職員や悪徳森林保全役人に保護され、最新鋭機器を不法事業に投入し、大勢の人間を使って、法規で禁止された行為を営々と行っている。人類に対する犯罪がやむことなく続けられている。 少なくとも過去10年間に渡って、リアウ州から何兆ルピアもの木材が毎年不法に国外へ流出した。最新データに基づけば、その金額は年間30兆だとも言われている。一方、リアウ州は石油ガス収入によって国内屈指の豊かな州になっているというのに、貧困住民の数は一向に減少しない。州予算は年々1.5兆ルピアのレベルを続けてきた。中でもベンカリス県プラウパダンは石油ガス生産地として年間260億ルピアの地元収入を得ている。そのおかげでベンカリスはリアウ州でナンバーワンの豊かな県であり、全国レベルで見ても第二位の豊かな県なのだ。ところが地域開発は統制がなく、昔からサゴとゴムの栽培で暮らしてきた地元民は、広範な土地の利権を石油会社と産業栽培権を持つ大企業に奪われ、また道路は荒れるがままに放置されている結果、まともな経済活動ができなくなっている。リアウ州全体で見ると、州道全長2,162.8キロのうち51%は破損しており、253キロは破壊が激しい。道路が破壊されれば、農林産品の輸送は時間がかかり、それと正比例して輸送コストが高くなる。競争力を失ったサゴやゴムの農園はいたるところで放置され、住民の生産活動はそこから姿を消している。そんな地元民の目の前に巨大な森林があり、不法伐採事業主がかれらを違法行為の仕事に招くのである。 プラウパダンのルキッ村にはベゲと呼ばれる不法伐採基地がある。木の壁とルンビア葺きの屋根を持つ小屋が並ぶこの基地では、大勢の人間が働いている。チェーンソーが貸し与えられ、そこで仮住まいを営みながら木を切出す。伐採者は一日2本から6本の木を切る。切出された幹は自転車の横に括り付けられて森林から出される。集積場に置かれた幹はトラックが定期的にやってきて運び出す。記者がルキッ村の第一ベゲにある集積場で見たのは、山のように野積みされた7百本のビンタゴルとメランティだ。プラウパダンにはそんなベゲが数十ヶ所あると言われている。各ベゲではおよそ50人の作業者が働いている。ペゲに集まってきているのは地元民だけでなく、近隣諸県からの出稼ぎ者も少なくない。ベンカリス、ロカンフル、プララワン、インドラギリヒリル、シアッ、カンパルの6県で盗伐に従事している人間は数十万人にのぼると推定されている。 かれらの大半は、自分が何をしているのかを知っている。だが地元自治体は、大企業に利権を与え、その見返りの地元収入を享受しているだけで、地元民の経済活動を支援する政策をなにひとつ行わないどころか、地元民の生計を支えてきたサゴやゴム農園を大企業に与えてしまった。かれらは何代にもわたって続けてきた生産活動から締め出され、わずかに残った土地での生産も道路インフラの悪化でコスト倒れとなり、生活を支えるために行えることはもう他にない、という状況に追い込まれているのだ。ノーチョイスだ、とかれらは言う。「政府がこれをしてはいけないと言うのなら、われわれが食っていけるようにしてくれ。」それは、単に不法伐採事業主が悪者ということだけで作られている構造ではない。「他人の助けになるようなことを何もしない、という原理が最も大きい利益をもたらす」というインドネシアの官僚コンセプトが悪性ガンの根源となっているにちがいない。 「コンパス紙への投書から」(2006年2月17日) 拝啓、編集部殿。2005年11月18日、ジャカルタのわたしの友人が、南スマトラ州バトゥラジャに住んでいるわたし宛に宅配便で小包を送ってくれました。友人は西ジャカルタ市クマンギサンのTIKI代理店に小包を託し、業者の担当者は、一週間以内に届くと言いました。ところが二週間を過ぎたというのに、小包はまだ届きません。結局友人はまたその代理店を訪れて、様子をたずねました。すると「受取人の住所が変わったので、もう一度チェックするように」と言われたそうです。友人がわたしにチェックすると、住所も携帯電話番号も正しいものでした。TIKI側はできるだけ早くわたしに連絡すると約束しました。 ところが待てど暮らせど何の連絡もありません。12月23日にたまたまジャカルタへ行く用事ができたので、わたしはその代理店に立ち寄って見ました。代理店の担当者がTIKI本社に電話してくれましたが、わたしに自分で話しをするように言うのです。TIKIの担当者は電話の向こうで、住所と電話番号が記載されているかどうかをチェックしろと言い張ります。そして何の解決も示そうとせず、「あなたの小包をこちらまで取りに来たらどうか?」と提案してくるのです。 こんなおかしな話はありません。わたしは送料の支払いが百%なされた小包が届くのを一ヶ月も待ったあげく、自分でそれを取りに来るように言われたのですから。わたしはこの宅配便業者にも、その代理店にもたいへん失望しました。かれらのサービスを利用しようとするひとには、十分警戒するようアドバイスしたいと思います。またその代理店に対しては、いとも簡単にその責任を回避する姿勢をわたしは批判します。その小包に納められた物がとても重要で、ある期限内に届かなければならないものだったら、どう責任を取るのでしょうか?[ 東バトゥラジャ在住、リリヤ ] 「政府も金利収入がほしい」(2006年2月20日) 大蔵省主計総局が、中央銀行国庫一般会計口座に置かれている60兆ルピアに上る現金の一部を一般市中銀行に移す意向を明らかにした。これは、政府資金がイ_ア銀行内でただ眠っているだけで生産性がないから、との理由説明がなされているが、ブルハヌディン・アブドゥライ_ア銀行総裁は、政府・中央銀行共に不利益を蒙る可能性が高いために、その計画は見合わせるよう意見具申を行った。その資金が一般市中銀行に移されると、市中銀行はそれを貸し付けに使う。それが貸し出された場合、政府が突然資金を必要としても、すぐにそれを引き上げることは難しい。そのため、その政府資金は柔軟性を持たなくなる。一方、その資金が貸し付けに流れなかった場合、銀行はその資金をイ_ア銀債に投資する。投資金額が膨れ上がれば、イ_ア銀は市中通貨コントロールのためのコストが大きくなる。 主計総局長は、イ_ア銀の通貨経営に負担を増やすことを望んでいるわけではないが、政府資金を市中銀行に出せば金利収入が得られるために、国庫にとって意義がある、とその考えを説明した。類似のことは2005年末に債務モラトリアム節約資金の一部3.5兆ルピアで既に実行済みだ、と同総局長は語る。既に市中に出された政府資金は2006年末に3千億ルピアの収入を国庫にもたらすことが決まっており、総額17.2兆ルピアのモラトリアム資金は更に段階的に市中に出される予定になっていて、政府はその資金を委ねる市中銀行を選抜し、選ばれた市中銀行には国債やイ_ア銀債を購入してその資金への保証を行わなければならないという条件が与えられることになっている。 ちなみに2005年末の銀行界資金状況は、当座預金281.4兆ルピア、定期預金565兆、貯金281.5兆、第三者資金総額は1,127.9兆、貸し付け総額695.6兆、イ_ア銀債投資総額54.2兆などとなっている。 「コンパス紙への投書から」(2006年3月1日) 拝啓、編集部殿。いつまでも回復しない経済状況が石油燃料大幅値上げで悪化の衝撃を受けているさなか、一握りの人々を雇用できている小規模事業の存続は祝福されてしかるべきものではないかと思います。ところが役人の中に、いまだに職務遂行の合間に私利をむさぼるチャンスを追求する者がいるのです。それを行っているのは東ジャカルタ市ドゥレンサウィッ郡役所社会保護秩序安寧課長A某です。 事業所実態調査という名目を振りかざし、A某は事業所(特に華人系商店)を、ブルーの制服を着た数人の秩安職員が乗った業務車輌を引き連れて熱心に訪問し、事業主にあれこれ許認可関係の些事を尋ねまわり、調査用紙を置いて行きます。尋ねられることは事業所所在証明、建築許可証、建築物使用許可証、環境保護認可(対象になっていない事業に対しても要求します)、会社登録証、土地建物税納税書、建物ステータスと賃貸契約書(秩安職務と全く無関係)などで、添付された職務要件書類はA某本人がサインし、町長、市長あるいは行政職員の活動を監督する政府機関への写しは何もありません。調査用紙にも出頭命令が記され、他機関への写しは何もなく、奇妙な内容であることは否めません。行政官僚の誰でもが住民に出頭命令を出せるわけではなく、ましてや郡役所の秩安課長ではそのレベルに達しません。 東ジャカルタ市庁のレターヘッドが使われ、関係部門への写しが何も出ていないというのはたいへん危険な状況です。それは上司あるいは監督機関の統制から離れ、公的業務が悪徳職員の私的用件に摩り替えられることを可能にするものであるためです。2005年11月にある市民が体験したことがらが、そのおそれを強く感じさせています。その市民は出頭命令に応じて郡役所に出かけましたが、役所職員の誰一人としてその出頭命令を知っている者がおらず、副郡長に尋ねてもまったく知らなかったという事実があるのです。また調査用紙に添付された許認可手続きの要件について、必要書類や手続き詳細、公定費用などの説明は何もなく、単にこの許可はいくら、あの認可はいくら、と非常識な金額を言うだけです。これは公職者のチャロ行為に該当するものであり、東ジャカルタ市長の対応措置をお願いしたいと思います。[ 東ジャカルタ市在住、エン・チンホン ] 「コンパス紙への投書から」(2006年3月2日) 拝啓、編集部殿。わたしはある会社の運転手をしています。2005年12月29日午前11時ごろ、わたしはポンドッキンダからジャカルタ〜ムラッ自動車道路に向かうパンジャン通りをピックアップを運転して走っていました。ITCプルマタヒジャウ前の三叉路で都庁陸運局職員がわたしを止めました。二人の職員は書類を調べ、自動車の状態を調べ、積荷とその書類を調べ、何も違反がないのが明らかになると、荷役許可証を要求しました。わたしの会社はジャカルタで、車もジャカルタで登録されており、荷役許可証は必要ないはずだと言いましたが、その悪徳職員は、なければならないと言い張り、和解金12万5千ルピアを出さないとボゴールで裁判する(奇妙な話だ)ぞ、と脅かすのです。わたしはそんな金を持っていないので、2万ルピアでどうかと言いましたが、拒否されました。どうしようもないので、わたしは会社に電話しました。わたしの上司はその悪徳職員に「違反は何で、あなたの名前と職員番号は何番か?」と尋ねると、そのふたりは返事ができず、隊長の名前だけを言いました。 そのあと、そのふたりは慌てて3万ルピアで良い、とわたしに言い、金を取ってすぐにわたしから離れました。このふたりの外見的特長は、ひとりはやせて背が低く、まっすぐな髪で30歳前後、もうひとりは上背があり、髪は刈上げていて40歳前後です。ふたりはピックアップ車を使っています。 このレフォルマシ期にあらを探し回って金を搾り取る悪徳職員が横行している昨今、かれらの言いがかりを助長させている荷役許可証などというものを、関係当局は早く廃止する方向で見直してもらいたいと思います。わたしの上司も、こんな崩壊した行政のためにビジネス環境は不愉快なものにされ、物価は高騰し、時間は無駄に浪費されている、と語っています。本物の陸運局悪徳職員とはまた別に、かれらの制服によく似た服を着て、同じように言いがかりをつけてくるごろつきも路上にいます。ごろつきにはまだ抵抗できますが、本物の制服を着たごろつきには公権力で脅かされるので、庶民はどうしようもありません。[ 東ジャカルタ在住、アグス ] 「コンパス紙への投書から」(2006年3月21日) 拝啓、編集部殿。最高裁判所勤務文民公務員応募者の受験番号の記された受験票をもらうため、わたしは2月7日にチュンパカプティの高等裁判所へ行きました。ところが、わたしの受験票はだれか他の人が先に受け取っていて、その名前の本人であるわたしはもらえないのです。受取表に書かれている名前をよく見ろと言われましたが、そこにはわたしの名前が手書きで書かれているものの、サインはわたしのものではありません。わたしは自分のKTPを示して苦情し、受験票を要求しましたが、担当職員は、「顔がよく似ていたので、他の人が持って行ったんだ。」と言うだけで、わたしの苦情に対処しようとはしません。受験票なしで試験が受けられるよう、説明書を書いてくれと頼みましたが、それも対応してくれません。わたしは15時に窓口が閉まるまでそこで待っていましたが、担当者は罪悪感など微塵も示さず、来年また受けなさい、と平気な顔をして言うのです。わたしのような目にあったのはわたしだけでなく、見た限りでは、かなりの人が同じ憂き目に会っているようでした。わたしはとても大きな不満を抱えて帰宅しました。応募条件審査をパスしたというのに、これまでの努力はすべて水の泡なのですから。公務員になるという夢はついえました。最高裁判所というのは、政府機関の中でも尊敬されるべき高等機関なのに、公務員採用試験でどうして他人の受験番号を別の者に売るようなことが行われているのでしょうか?そのようなことをする悪徳職員が最高裁判所に採用されているなんて、あってはならないことではありませんか?わたしの国民としての権利は踏みにじられました。法曹機関で働く人がどうして法の観念もなく、職業倫理も持っていないのでしょう?受験票を渡すとき、どうして本人かどうかのチェックがなされないのでしょう?わたし以外に大勢の人が同じ目に遭っていることは、受験票が売買されていることを示す証拠だと言えます。そしてそれは既に公然の秘密になっているのです。[ 東ジャカルタ市在住、デシ ] 「空港警備員がタクシーから罰金徴収」(2006年3月22日) スカルノハッタ空港で、タクシー運転手の違反を理由に空港警備員が罰金を徴収していたことが明らかになった。ブルーバードタクシー運転手ワヒユディン45歳は、空港構内に入るたびに警備員が違反を理由にして2万5千ルピアの金を出すように命じるため、3月19日16時ごろ、思い余って空港警察に訴え出た。そのときワヒユディンが客待ちをしていると、空港警備を委託されているPT ABB社の警備員が来て、違反を犯したという理由でかれを警備員詰所に連行した。詰所でワヒユディンは取調べを受け、違反を犯したので2万5千ルピアの罰金を支払うよう、最終的に命じられた。空港管理会社アンカサプラUの経営者決定書1998年第660/KK00/APII/98号に基づき、そこに定められた項目に違反するタクシーに対して警備員は罰金を徴収していたが、違反のメインは空港に未登録で空港タクシーのステッカーを貼っていないタクシーが乗客を乗せることを禁止する条項。ワヒユディンは、空港は公共スペースであるから、客を拾うタクシーを差別するのはおかしい、と主張してその規定に従っていなかった。警備員の罰金徴収は、1998年にその経営者決定書が出されてから始まり、それが依然として有効であるために徴収が今まで続けられていた。 ワヒユディンの訴えを受けたスカルノハッタ空港特別警察は、取調べを行ったあと、警察以外の者が交通違反の罰金を徴収するのは許されていない、との結論を出し、空港警備員のこれまでの行為が違反であると断定した。アンカサプラUの広報官も、空港管理側がタクシー運転手から罰金を徴収することは禁止されているため、警備員が本当に罰金徴収を行っていたのかどうか、確信がない、と語っている。 ところが、空港タクシーステッカーの有無は交通違反なのか、という議論が起こった。上記経営者決定書1998年第660/KK00/APII/98号は空港構内におけるタクシーの統制に関するもので、交通に関連することがらも含まれている。更にその違反行為に対して個々に罰金までが設定されており、空港管理を委託された警備会社はその決定書を実施する責任を負わされている。スカルノハッタ空港には30社から1千5百台のタクシーが登録されており、AIRPORT TAXI のステッカーが貼られている。ブルーバードタクシーは250台がそのステッカーを帯びているが、ワヒユディンの車はそうなっていない。アンカサプラUは、警備員が徴収していたのは正確にはオペレーションチャージで違反罰金でなく、2万5千ルピアは決定書に記された最低金額であり、また徴収された金は会社の収入になっていた、と表明しているが、今回の問題のために警備会社に対してオペレーションチャージの徴収をストップするよう指示を出した。 「国家リーダーのクオリティを嘆く〜コンパス紙への投書から」(2006年3月24日) 拝啓、編集部殿。昔わたしは国民学校の生徒で、大人になって教員となり、今は定年退職者です。わたしはいつも、国の指導者や高位高官になるのはとてもむつかしいことだと思っていました。たくさんの難しい条件があるのです。スマートで頭脳明晰。頭のよさは人並み以上。旺盛な民族意識。気高く、思慮深く、清い良心と高い熱意。民族と祖国への溢れんばかりの奉仕と怯惰なき闘争心。眼光は海山を射抜き、耳は虐待された赤児の泣き声も人々の飢えの叫びもはっきりと聞き届け、憲法とパンチャシラを暗記し、いかなる状況下にもそれを実現する能力を持つ。 ところが残念無念なことに、それらの条件は等閑に伏されてしまっているようです。あまりにも多く違背され、憲法に対してすら背いているのです。国の高官がスーパーヒーローになることを望んでいるわけではありませんが、少なくとも上のような能力を持ち、民衆の暮らしにより高い感受性を持っていてしかるべきです。高官たちの勤労エトスはとても簡単に理解できるように思えます。かれらの仕事は法規や政令の案を企画し、古いプログラムや政策を変更し、外国へ行って借金を求めたり、借金の返済を先延ばししたり、自分の給料を引き上げたり、石油燃料・電力基本料金・電話・運送費・水道・砂糖・肥料・税金・特定物品税などを引き上げたり、テープをカットしたりスピーチ原稿を読んだり、みんなで収穫のときに稲を刈ったり、あるいは今トレンドのみんなして無料肉団子を食べたりすることなのです。 国の高官も人間だということはわたしも理解していますが、かれらが国の高官に就任するときに聖なる書物を頭に戴き、国と国民のお世話をすると神の名において誓いを述べたのは、ただのレトリックだと言うのでしょうか? 今やわたしの考えは変わってしまいました。国の高官になるのはとても容易なことなのです。肉団子屋でもオジェッ引きでも、あるいはまだ青い学生さんでも、ゴールデンチャンスを与えられたら、できるに決まっています。[ スカブミ在住、スラジ ] 「公務員採用試験はビジネスの場」(2006年3月28日) 2005年度国家公務員募集10万人という壮大なリクルートプロセスが2005年12月から開始され、まずは応募申込書を手に入れようとその十数倍にのぼる人々が役所の前で押し合いへし合いを繰り広げたのがその第一歩。そしてそのときからビジネスは既に開始されていた。申込書が品切れになれば、金を払ってでもそれが欲しい人は何人もいる。応募申込書の受け付けは2006年1月21日からはじまり、2月4日に閉めきられた。 首都警察でも文民公務員の募集が行われた。KKN番付の上位にいる警察の文民公務員採用の場で、建前と本音に天と地ほどの差があることを、応募者は思い知らされることになる。東ジャカルタ市チジャントゥンで行われた応募受付に行ったハディの体験はこうだ。首都警察広報では応募受付は2006年1月30日から2月4日まで、毎日午前8時から14時まで行われると記されていた。ハディは2月2日午前8時に受付窓口に着いたが、窓口は開かない。午前11時ごろやっと開いたが、そのときには応募希望者がその一帯を立錐の余地もないほど埋め尽くしていた。ところが窓口に張り付いている希望者の受付事務が始まるどころか、警察内部者が後ろの方にいた応募者を連れて裏の扉から中へ入って行く。並んで待っている応募者に何の配慮もなく、それが堂々と行われているのだ。受付手続きはそんなコネを持つ応募者だけに行われている。しかもコネのない応募者の前でこれ見よがしに。時計が12時を指すと、「休憩時間になったので閉める」と気楽な声で告知する。13時30分ごろ、窓口が再開され、応募者はまた遅々として進まない行列に並ぶ。いつの間にか時計が15時を指し、担当官は「今日の受付は終わったので、また明日来てくれ」と言って窓口を閉めた。翌2月3日、ハディはまた朝8時に受付場所に行った。そして、受付のある建物内のホールで警察職員たちが一心にバドミントンに興じているのを目にして驚いた。応募者は続々とやってくるが、建物内に入れず、仕方なく表に列をなす。そんな状況をも、バドミントンで汗を流している職員たちは一顧だにしない。そして午前11時ごろ、やっとそれが終り、応募者はホール内に入って並ぶ。すぐに12時が来て、担当官は「金曜日の礼拝だ」と宣言して窓口を閉めた。ところが礼拝も昼食も終わっているはずなのに、時計が15時を指すまで窓口は再開されない。ただ昨日と同じように、警察内部者とコネをつけた応募者だけが裏の扉から中へ入り、かれらに対する受付事務だけが行われている。民主化の進んできたインドネシアだから、外にただ並ばせられていた応募者もいつまでも黙ってはいない。怒号や叫び声が飛び交うようになって窓口がやっと開かれたが、時すでに夕方。 提出された申込書に対して審査をかけるのが次のステップで、ここをパスすればいざ筆記試験に向かうことになる。この段階で行われるビジネスは、インドネシア情報ライン「コンパス紙への投書から(2006年3月21日)」にあるような受験票闇販売。いや、書類審査をパスしなかった者に受験資格を売り渡す手口はそればかりではない。内務省の募集に申し込んだ南ジャカルタ市ウルジャミに住むフリスカの体験は少し違う。筆記試験は全役所で2月11日に一斉に行われたが、その直前の2月9日にフリスカ宛てに手紙が届いた。1月27日の日付が入り、信書番号811.12/093/SJ と記されているその手紙には、あなたは内務省の書類審査をパスしませんでした、と書かれていた。かの女はがっかりした。ところが、その心の傷に手を突っ込んでかきまわすようなことが起こったのだ。筆記試験を受けることを諦めたフリスカに、2月14日、また内務省から手紙が届いた。中を開いてみると、日付はやはり1月27日で、信書番号は811.13/093/SJ となっており、内容は書類審査にパスしたので、筆記試験を受験することができると記されている。フリスカは募集条件に従って、申込書に切手を添付した返信用封筒を添えて提出していたが、そのふたつの通知はどちらも別の封筒にフリスカの住所が手書きで記されており、かの女が添付した返信用封筒は使われていない。内務省文民公務員募集委員会がどうしてそのような異なる内容の通知をしかもそのようなタイミングでかの女に送ってきたのか、フリスカははらわたの煮え繰り返る思いで役所の担当官に疑惑を向けている。 「顧客満足はどこに?〜コンパス紙への投書から」(2006年3月28日) 拝啓、編集部殿。2006年2月14日、わたしは三人の友人とタングランのBSDにあるカルフルで買い物しました。サニア印の食用油リフィル2リッター入りをふたりが6袋取りました。そのとき丁度プロモーション中で、ひとり3袋までと制限されていたのです。そのときわたしたちは効率のためにトローリーを一台だけ使っていました。 レジで支払う段になって、付近を監視していたスーパーバイザーがその食用油はひとり3袋までしか買えないのだ、と言いました。そのときわたしたち四人いっしょにその場にいたのです。わたしはその条件を破っていないというのに、そのスーパーバイザーは6袋も買ってはいけない、と命令口調で言い張ります。それどころかそのスーパーバイザーは、わたしがそれを再販するために買い漁っているなどと非難するのです。結局わたしと友人たちは、トローリーに入れた商品を何一つ買わないでカルフルを後にしました。このとても不愉快な事件に対するカルフル経営者の注意を促したいと思います。[ タングラン在住、チュン・フッ ] 「警察がISO9001を取得」(2006年5月12日) 西ジャカルタ市ダアンモゴッ通りにある首都警察交通局運転免許証統合サービス事務所は2002年までジャカルタのすべての運転免許証の発行業務を取り扱っていたが、その年の10月1日からSIM A(自家用四輪用)とSIM C(自動二輪用)の業務が都内各市警察本部に移管されたため、ダアンモゴッは西ジャカルタ市警察管区のSIM AおよびCと業務用や大型用のすべてを扱うように変わった。かつては芋の子を洗うようにごった返していたダアンモゴッがそれ以来静かな落ち着いた場所となった。ただし外国人向け運転免許証は各市警察に移管されなかったので、ジャカルタに住んでSIM A、Cをお持ちの外国人はみなさん、いまだにダアンモゴッに年一回詣でているはず。 住民に対するパブリックサービスが公務員の稼ぎ場になっているインドネシアで、運転免許証発行やその更新手続きが例外になることはありえない。そんな公共機関がISO認定を受けたとき、はたして贈収賄や不法徴収金はどうなるだろうか?ダアンモゴッの首都警察交通局運転免許証統合サービス事務所も今年はじめにISO9001を取得した。しかし都民の目の前にさらされている同事務所の姿は旧態然として何も変わらない。車の運転ができなくても、金さえ積めばテストをパスする。試験場を監督する警官が親切に手助けしてくれる。都内を自分で車を運転して走ってみれば、路上にいる運転者の大半が道路交通法規のいったい何を学んだのかと首を傾げるほかないドライバーたちで溢れかえっている。さらに悪名高い二輪運転者の道路逆走・赤信号無視・歩道上走行や歩道橋走行など、数え上げればきりがない。このあたりの詳細については拙作『ジャカルタドライバー考』< http://www.j-people.net/driver/index.htm >をご参照ください。 結果は交通事故の多発と死亡者負傷者の発生がうなぎのぼりで、鳥フルやデング熱による被害者数とは比べ物にならない。免許証取得を厳しくせよという声が出されると合格者数が減らされる。すると落ちた者は金を積んで合格する。結局のところ、何をどうしようが腐敗役人の手に金が乗ることになっている。免許証更新にしてもそうだ。更新時に申請書を窓口に入れるとき、金が徴収される。本来の規則では、視力検査は有料で、そして更新手続き料も徴収される。申請書をもらうためには手続き料を納めた証憑を示さなければならない。それらは公的に定められ、そしてそれぞれの窓口に金額が表示されている。ところが申請窓口には料金表示などなく、反対に料金は徴収しないという張り紙が出ていることさえある。しかしそこを無料で通ることはできないのだ。 ISO9001を取得したパブリックサービス機関でこのありさまだ。言うまでもなく都民から苦情が湧く。資格認定検査機関がダアンモゴッの腐敗の歴史を知らなかったとは言わせないぞ、と。申請者が腐ったものは隠して一言も触れず、検査機関は提出されたものを厳密に審査しましたと言うのかもしれない。まさか不法徴収金や収賄のSOPが作られているとも思えないが、ひょっとして・・・・という妄想すら湧いてくる。それとも検査機関は、サーティフィケートを与えることを条件に警察を搾っている剛の者なのかもしれない。 「郵便物が届かないのはなぜ?〜コンパス紙への投書から」(2006年5月31日) 拝啓、編集部殿。アメリカのAmazon.com に注文した書籍が無くなってしまいました。タングラン中央郵便局に届いていなければならないはずなのに、行方不明です。三つの小包の最初はState Terrorism and Political Identity in Inodnesiaという書籍で2006年2月20日に発送され、ジャカルタには3月14日ごろ到着しています。二つ目はNationalism and Ethnic Conflict in IndonesiaとSoeharto: a Political Biographyの二冊が入っており、2006年3月3日に発送されて3月27日ごろジャカルタに到着しており、三つ目はIndonesian Politics and Society: A Reader という書籍で、2006年3月4日に発送され、4月11日以前にはジャカルタに来ているはずです。その三つとも Standard International Shippingでの取り扱いになっています。この未着は盗難によるものでしょうか? 個人的に透明な公式説明を得るのが困難なので、国民に対する責任性向上を目的にタングラン中央郵便局に対して説明を要求します。外国から個人宛の郵便局経由の書籍発送は本人の手に届くことが保証されていないのでしょうか?書籍がもう二冊、小包でタングラン中央郵便局に届くことになっています。それも無くなってしまうのでしょうか?[ タングラン在住、スティアワン・アバディ ] 「郵便物が届かない理由はこれ〜コンパス紙への投書から」(2006年6月6日) 2006年5月31日付け記事「郵便物が届かないのはなぜ?〜コンパス紙への投書から」に対するジャカルタ第4郵便区からの回答が掲載されたのでご紹介したい。 背景、編集部殿。アメリカのAmazon.com に注文した5冊の書籍がひとつも届かないというスティアワン・アバディ氏の問題を調査しました。2006年5月2日にそのうちの3冊は受け渡しがなされました。5月12日にはもう一冊が本人の手に渡りました。もう一冊State Terrorism and Political Identity in Indonesia という書籍だけが未解決になっています。 その一冊も、関連諸官庁へのトレースを行っています。外国からの小包は既定の手続きを踏まなければなりませんので。問合せされたその書籍小包の問題に盗難という要素はまったく関係していません。われわれは郵便物を正当な受取者に届けることを使命と考えていますので。[ ジャカルタ第4郵便区広報、ユディ・クリスビヨノ ] 「自動車タイヤ規格適用に水漏れ」(2006年6月14日) 今年3月23日から自動車用タイヤにインドネシア製品規格(SNI)適用が始まったが、一部輸入者が合格マーク使用決定書(Surat Putusan Pemakaian Tanda)を偽造して品質チェックを免れる一方国内市場にその粗悪な商品を流しているため、制度の運用精度をもっと高めなければならない、とタイヤ事業者協会が表明した。同協会のアジズ・パネ(Aziz Pane)総長によれば、タイヤ輸入者の中に多種のタイヤを輸入しているが認証機関には品質規準を満たす一部のものしか届出をせず、合格サーティフィケートを得た後で基準をパスしない他の種類に対して虚偽のサーティフィケートを作っている者があるとのこと。そのため国が品質規準を定めたにもかかわらず、実際には市場に品質の粗悪な商品が流通しているということが起こっている。 消費者購買力が底をついているいま、国内メーカーが品質規準を満たすものを出荷している一方で品質のはるかに劣る廉価なタイヤが市場に出回っていて国内メーカーのシェアが食われており、規格適用がかえって違反者の行為を保護している形を出現させている。実は偽造なのだがサーティフィケートがあるためにかえってだれも品質に疑問を抱かないという状況が作り出されているというのである。タイヤの製品規格認定機関はいま、TUV, BPPT Serpong, Pusat Standardisasi Depdag, Balai Penelitian Mutu Yogyakarta, B4T Bandung, Pusat Standardisasi Depperinの6ヶ所が稼動している。粗悪な密輸入品がスマトラに大量に陸揚げされているのに加えて、正式に輸入されたものでさえ品質が国の規格に合わないものが素通りして市場に出ている実態に、国内タイヤ業界は大いに不満を表明している。 「腐敗の栄え」(2006年6月30日) 2006年4月19日15時ごろ、都庁建築物監視整備局長の指令で都庁秩序安寧チームが中央ジャカルタ市クマヨランニュータウン地区サンタニ通りに整列した。建築許可を得ていない不法建築物を撤去するための作戦行動がこれから開始されようとしている。質素な住宅街の中に作られた10軒一連の住居店舗がその作戦ターゲットだ。その敷地には二階建てを限度とする住居しか建てられないことになっているというのに、実際には4階建ての巨大な建築物が規準線オーバー、床面積係数違反、敷地面積係数違反をものともせずに聳え立っているのである。一方、撤去作戦ターゲットとなっている建築物への官憲の法執行に対抗するため、金で雇われたクマヨランの虎やFBR(ブタウィ協議フォーラム)に所属するあらくれたちも建物の周りを固めていた。 大勢の市民が見守る中でそのふたつの集団は対峙した。嵐の前の静けさ。二組の戦闘集団は睨み合いを続ける。ところが公権力を持つ都庁側がいつまでたっても行動を起こそうとしない。それが戦術なのか、それとも怖いのか、あるいは裏取引が既に終わっているということなのだろうか、いつまでたっても都庁職員の誰ひとりとして行動を起こさないのだ。見守る市民の眼は、少なくとも官憲が不法行為を行っている悪徳市民を取り締まるシーンを見たいという期待で輝いているというのに。そうしてその日は暮れ、都庁撤去チームは解散し、不法建築物は危機を脱した。戦勝気分に酔う傭兵気取りのごろつきたちは、町内の住民を嚇して回った。「当局に訴え出ようとする者はわれわれを相手にすることになる。」ごろつきたちは市民に対してそう宣言するのだった。 その不法建築物オーナーは30億ルピアを超える収入をあげ、役所に対して納めなければならない何億もの課金すらお目こぼしを受けている。犯している違反に科される罰金さえ免れているありさまだから、オーナーの懐から撃ち出される潤沢な実弾はホットマネーとなって行政治安機構のいたるところに流れ込んでいるにちがいない。違法行為のデータや証拠ははっきりしており、時間がたてばそれが合法へと変化するというものでもない。現場であからさまに繰り広げられる違法行為を放置したままのその実態は、法治が確立されていないことの実例のひとつだ。都市整備計画や建築基準を整えて都民を監督している都庁都市整備局はいったい何のために存在しているのだろうか? 皮肉なことに、郡役所の役人はそんな実態を見て見ぬふりだし、クマヨラン地区を管掌している国家官房クマヨラン都市開発統制監督庁もまるでわれ関せずの態をよそおっている。大金がばらまかれていないかぎりそれはありえないはずだ。統制と監督はいったいどこへ置き忘れられてしまったのだろう?きっと癒着はもう強固な基盤を築いているにちがいない。 「老齢者政府補助金トライアル」(2006年7月5日) 政府社会省は一部国民に社会保障援助金を毎月与えるトライアルを実施することを決めた。対象者として選ばれたのは、身体障害者、身寄りのない老齢者、独立戦争貢献者で、総勢3,750人になる。このトライアルは5州でのみ行われることになっており、西スマトラ州(651人)、南スマトラ州(753人)、西ジャワ州(760人)、中部ジャワ州(760人)、ヨグヤ特別州(826人)という内訳。 このトライアルは身体障害者社会保障向上に関する政令第43号の59条に沿ってのものであり、また同時に1996年5月29日に定められた全国老人の日の今年10周年を記念してのものでもある。対象者には一年間毎月30万ルピアが政府から支給され、国有郵便会社職員と地元行政機関の付き添い者が本人に現金を届けることになる。 社会相は老齢者に援助金を支給するこのトライアルに関連して、この事業は家族生活や社会生活の中で常に老齢者の地位と役割に尊敬と評価を与えている高貴な民族文化を反映するものだ、と次のように語った。長命は祝福すべき神の恵みである。同時に広い経験や深い知恵を持つ老人は人的資源として社会建設に役立てることができる。価値ある知恵や経験は長い人生を経る中でしか体得されないものであるため、われわれは老齢者を次世代の者にとってのお手本と位置付け、かれらにふさわしい場を用意しなければならない。そうすることは将来われわれ自身がそうなるという意味でも、たいへん意義深いことである。 「一度請求されたら逃げ道なし」(2006年7月7日) 首都の水道事業は都営上水道会社の独占事業だったが、1997年に外資導入による事業とサービスの向上を図って合弁会社が作られた。イギリスのテームズウオーターインターナショナルとの合弁会社PT Thames PAM Jaya はチリウン川の東側、フランスのリヨネーズデゾーとの合弁会社PT PAM Lyonnaise Jaya (通称Palyja)はチリウン川の西側を担当地域として都民に対する上水供給サービス事業を行うことになったが、役所と組んで行う公共サービス事業はいずこも大変なようだ。 西ジャカルタに住むイメルダの家はPalyja から水道サービスを受けている。2004年2月にその家の水道メーターが盗まれた。イメルダはすぐに警察と西ジャカルタ市タンジュンドゥレンのパリジャにその盗難を届け出た。すると窓口担当者は、新しいメーターを取り付けるからメーターの代金を払え、と言う。仕方なく言われた金額を払ったが、もらった領収書にはそれより小さい金額が書かれている。水道会社は会社と言いながらも役所の延長のようなものだ。役所がどんなところか知っているイメルダは、特にことを荒立てることもせずに帰宅した。ところがいつまでたっても、メーターを取り付けにやって来るパリジャ職員はひとりもない。一方水道メーターの検針は毎月やってくるから、検針員は必ず「メーターはどうした?」と尋ねる。事情を説明すると職員は報告書を作ってイメルダにサインを求める。同じことが毎月毎月繰り返され、イメルダはうんざりしてしまった。こんなことをしている間に、さっさとメーターを取り付けるようにしてくれたら良いじゃないの、とイメルダは思うが、検針員に事態を改善しようという気は爪の先ほどもないようだ。おまけに、毎月やってくる請求書には26M3相当分の使用料がチャージされていた。大人4人と赤ん坊1人が住んでいる店舗住宅での水道の使用料は微々たるものだ。過去の請求書を調べても、二桁になったことはほとんどないというのに。 7ヶ月たった9月20日、メーターを取り付けにパリジャ職員がやっとイメルダの家にやってきた。メーターが取り付けられ、これでこれまでのごたごたからやっと解放されたと思い、イメルダはホッとした。ところが、そうは問屋がおろさなかったのである。10月に受け取った請求書を見て、イメルダはあっと叫んだ。なんと使用量は348M3と記されているではないか!イメルダはすぐにまたパリジャの事務所を訪れて苦情した。今度は比較的早く職員が調べにやってきた。そうして判明したのは、新しいメーターの取り付けの際に作業不注意で水漏れを起こしていたという事実だ。ところがそんな事情とは無関係に、パリジャが既に出した348M3の請求を引っ込める気配はまったくない。11月に受け取った請求書も、水漏れのために97M3の使用量になっていた。イメルダはまた直談判をするためにパリジャの事務所を訪れたが、パリジャ側が支払い軽減措置を与えると言い、そして話を分割払いに持っていったとき、イメルダは開いた口がふさがらなかった。その水漏れが故意か事故かは何とも言えないにせよ、それを取り付けたパリジャ職員の不注意で起こったことだ。ところがそのためにメーターが回転したことだけを取り上げて、支払い責任が消費者にあるとパリジャ側は主張する。イメルダはあくまでも自分の側に支払い責任はない、と突っぱねた。その日は物別れに終わったが、その後この問題を解決しようというアプローチはパリジャ側から何一つない。問題は不確定のままで宙ぶらりん。請求書には毎回未払い金額として登場し、経理上それが未収入金に計上されているのは明らか。そしてイメルダがパリジャに苦情を申し入れるたびに「解決を協議しましょう」と相手は言うが、そんな状況をなにひとつ変えようともしない。間違いであれどうであれ、一度経理が記帳した金を消すことのできる人間はどうやらこの国にはいないようだ。 「法規違反は収入源」(2006年7月10日) 2006年6月13日付コンパス紙への投書"Usia Sekolah Menjadi Komoditas"から 拝啓、編集部殿。小中学校9年間の義務教育という政府の尊い目標はまだまだ多くの障害を現場に見出すことができるようです。実際、ほんとうにその通りなのですから。一年前の2005/2006教育年度にさえ、南タンブンのマグンジャヤ国立第6小学校に子供を入学させるために父兄は校舎費やもろもろの名目で数十万ルピアの費用を払わせられたのに加えて、その子が幼稚園を終了していても子供の年齢が入学時に規定年齢に達していない場合、別の費用が徴収されたのです。ふざけたことに、子供の年齢が規定から何ヶ月足りないかということで徴収金額に差がつけられました。たとえば、あと一ヶ月で規定年齢に達する場合は10万ルピア、三ヶ月不足していれば30万ルピアといったように。ただし最終的にはどうやってうまくネゴするか次第でしたが。 多くの父兄がそのありさまに不満を表明するものの、当局に届け出るには気後れが先に立ちます。子供の入学が拒まれたら家から遠い学校をまた探さなければなりませんし、よしんば入学できたとしてもあとでなにやかやと子供が標的にされるかもしれません。マグンジャヤ国立第6小学校の周辺は宅地開発が進み、学齢の子供数と学校の収容能力がアンバランスになっていることが悪徳学校経営者にチャンスを提供しているにちがいありません。関係諸方面、特にブカシと南タンブンの教育局は地域周辺部の監督を正しく行い、2006教育年度に同じことが繰り返されないよう、厳格な措置を取ってもらいたいと思います。[ ブカシ在住、パガ ] 「郵便局が宝くじ抽籤券を押し売り」(2006年7月14日) 2006年6月14日付コンパス紙への投書"Kantor Pos dan Kupon Undian"から 拝啓、編集部殿。わたしはソロ中央郵便局のここ数ヶ月間の行為にたいへん憤りを覚えています。というのは特別速達郵便を送るとき、自動車や何やかやが賞品についた宝くじ抽籤券がもらえるからというせりふで余分な金を置いていくように強制しているからです。一通当たり3,900ルピアで済むものが、結局6,000ルピアもかかっているのが実態なのです。奇妙なのは、領収書の金額欄がブランクになっており、手書きで6,000ルピアと書かれていることです。最初わたしはスタッフに、どうしてそんな費用を払ったのか、と怒りましたが、自分で郵便局へ行って担当者と議論したとき、それは郵便局の上からの指示であって客側には否応ないものだということがわかりました。 このような行為が消費者にたいへん負担を強いるものであるのは明らかです。宝くじ抽籤券というもので客を釣って、国有郵便会社は政府が定めた費用規定に違反して利益をあさっています。わたしの会社はまだそれを支払うことができるし、大きな影響を受けることもありませんが、わたしの気持ちはとても不愉快です。このようなごろつき行為はこのレフォルマシ時代から姿を消してもらうのがふさわしいではありませんか。手紙一通で2,100ルピアも余分な収入が入るなら、郵便会社はこの副収入でどれだけの資金をかき集めることになるのでしょうか?ましてやそれは、賞品付き宝くじ抽籤券などというもので労働なしに何かを得ることを期待する賭博を大衆に少しずつ教えることになるのではありませんか? 会社という立場から利益を求めるのは当然だとしても、郵便会社経営者は日々困窮の度を深めている一般大衆を広く援助し奉仕する心を持つべきではないでしょうか?[ カランアニャル在住、グラ・アグン ] 「海外出稼ぎ者を食い物に」(2006年7月25日) インドラマユに住むファッフディンは韓国へ出稼ぎに行こうと思い立ち、2005年1月10日に西ジャワ州労働局労働力配備コミティを通じて労働省本庁に韓国向け出稼ぎ労働者の登録申請を行った。コミティはファッフディンに、しばらくしたら本庁にチェックに行くように、とアドバイスした。バンドンで教育訓練を受けたあと、数ヶ月してからファッフディンはジャカルタの労働省本庁に確認をするために出向いた。かれの個人データは既に登録済みでおまけに韓国に既に送られており、IDナンバーももう与えられている、と本庁職員はかれに説明した。 ファッフディンはインドラマユに戻り、呼び出しが明日来るか明後日来るかと首を長くして待ったが連絡はない。そうこうしているうちに一年が経過し、かれは再びジャカルタの労働省本庁に出向いた。ところがおかしなことに、韓国向け出稼ぎ労働者派遣担当職員に尋ねたところ、名前は確かに記されているものの住所と生年月日が違っているとの返事が戻ってきた。そして反論を許さない口調でその職員は、データを改竄したのは地方労働局だ、と断言した。ファッフディンは戸惑った。前に尋ねたときには、かれの個人データはもう韓国に送られていて、雇用者とのマッチングさえできればかれは韓国へ出発できるまでになっていたはずだ。ところがいつの間にやら登録者の個人データが書き換えられてしまい、そんなデータに一致する人間がほんとうにいるのかどうか曖昧な状態になっている。ファッフディンの脳裏にピンと響くものがあった。 しばらく前、口入ブローカーがかれ自身や一緒に出稼ぎ登録を行った仲間にコンタクトしてきた。教育訓練をもう一度受けなおし、あるまとまった金をそのブローカーに渡せば、そのブローカーは韓国での仕事を短期間で見つける世話をしてくれるというオファーである。いつまでたっても本庁からの呼び出しが来ないので、ファッフディンや仲間たちはブローカーの話に乗ることにした。ところがそのブローカーも詐欺師だったようで、いつまでたってもその言葉通りのことは実現せず、数ヵ月後にファッフディンはそのブローカーに世話してもらうのを辞退して前に渡した金の半分を返してもらったということがあった。どうやら、そのブローカーと本庁担当職員が組んで登録者から金を搾り取ろうとしていたに違いない。ファッフディンが本庁の登録者台帳を見たとき、かれの頭の中でそれらの事件がひとつにつながった。 「警察にISOが取れたのはおかしい」(2006年8月3日) 2006年6月28日付コンパス紙への投書"Nomor Diganti, BPKB Dipersulit"から 拝啓、編集部殿。わたしは2000年以来スズキカタナを所有しており、ナンバープレートはB8410BGです。毎年STNK(自動車番号証明書)の更新は遅れたことがなく、今年もいままで通り一日で終わるだろうと思っていました。2006年5月20日にその手続を行ったところ、わたしのナンバープレートは2006年製のトヨタアバンザが今使っており、ダブっていることがわかりました。2006年5月31日、その番号の維持をするために西ジャカルタ市ダアンモゴッの交通警察統合サービスセンターに来るよう求められました。インデックス8BGの台帳にあるわたしの番号欄にはオーナーが別の名前になっているのです。警察の担当官が言うには、番号廃棄プロセスで担当者がミスをしたのが原因だとのことでした。本来消されるべきはB8411BGなのに、わたしの番号が消されてしまったのだそうです。わたしの番号が一旦消されたため、その番号がちょうど申請の出されたトヨタアバンザに与えられたということです。そこにトヨタアバンザオーナーの名前と住所が記載されていますが、わたしがそのひとと車のプレート番号をめぐって議論したところで、そのひとにしても番号は警察からもらっただけでしょうから何の解決にもならないのは明らかです。だったら、わたしが車の番号を変えるしかない、その担当官はそう言いました。結局わたしがB8411BGに変更することになり、時間のかかる長い手続を行いました。BPKB(自動車所有者帳)の訂正も、記録が見つからないという理由で2週間も時間を浪費されました。 警察側の事務手続きのミスだというのに、すべての負担をわたしが背負わされたのです。警察建物の前に「ISO取得のために市民の支援を」という垂れ幕がかけられていますが、ISOサーベイヤはわたしが体験したことを知っているのでしょうか?自分のミスを棚に上げてまるで市民が望んだかのように手続を強いる警察に、どうしてISO取得の支援を与えることができましょうか。ISOサーベイヤは評価の見直しを行うべきです。[ ジャカルタ在住、フェルセノ・プラヤッナ ] 「租税の住民搾取」(2006年8月11日) 2006年6月23日付コンパス紙への投書"NJOP PBB 2006 Melambung"から 拝啓、編集部殿。東ジャカルタ市ドゥレンサウィッのポンドッコピ地区住民は、土地建物税の課税対象金額査定が年々異常に上がっていくことに不服を表明します。上がり方はこのようになっています。 2002年クラスA24、平米当たり単価285,000ルピア、 2003年クラスA23、平米当たり単価335,000ルピア、 2004年クラスA16、平米当たり単価916,000ルピア、 2005年クラスA14、平米当たり単価1,147,000ルピア 2006年クラスA12、平米当たり単価1,416,000ルピア この土地の現在の取引相場は平米当たり485,000ルピアです。Hアスマッ通り、エンテン通り、スコラハン通り、スコラハンT通り一帯でサーベイを行えば平米あたりの正確な土地価格(課税対象金額)がわかるはずですので、当局はそれを行ってください。上の単価は実際の販売価格であり、広告に出された価格ではありません。またポンドッコピ町ポンドッコピ通りでの土地建物税税額通知書と比較してみてください。そちらは1,416,000ルピアでなく702,000ルピアになっています。 東ジャカルタ第二土地建物税サービス事務所の税額査定をもっと公平な課税対象金額にし、当該地所に対して出した通知書の見直しを行ってより妥当なものに変更するよう要請します。[ ポンドッコピ在住、サリジュン ] 「税務職員の住民搾取」(2006年8月14日) 2006年7月17日付コンパス紙への投書"Pungli Terselubung di KP PBB Jakarta Barat"から 拝啓、編集部殿。KSトゥブン通りにある西ジャカルタ第一とコサンビにある西ジャカルタ第二の土地建物税事務所はここ一年ほど誉められない行為を行い、住民に嫌な思いをさせています。売買のためにせよ、サーティフィケート取得のためにせよ、土地建物権利取得税を納めようと申請するたびに検証担当官が現地調査を行うよう命じます。その手続きが何日もかかるだけでなく、サーベイ担当官たちが送迎を要求し、そしてサーベイ結果も驚くようなものになるのです。サーベイチーフは一方的に土地建物税の課税金額を高く変えてしまいます。1970年代に建てられた白ペンキできれいに塗られただけの建物が、それまで平米当たり32万5千ルピアだったというのに平米当たり150万ルピアにされているのです。その奇妙さは異常なほどです。サーベイ担当官はまったくプロフェッショナリズムを持っておらず、建築物構造も理解していません。 結局銀行で既に納めた土地建物権利取得税に何百万ルピアもの不足が起こります。その何百万ルピアというのはアンダーテーブルで処理されます。つまり不法徴収金なのです。他に選択肢を持たない申請者はその搾取に応じるほかありません。土地建物税確定書を新しいのに再発行してくれと申請者が要請しても、決して応じてもらえません。一年に土地建物税確定書を異なる金額で二度発行することはできないのだとかれらはおかしな理由を主張するのです。 もし税務職員に正しいことを行う気持ちがあるなら、そんな誉められないことを行うよりも土地建物に対するセンサスを行うことから始めたらどうでしょうか?住民も毎年発行される土地建物税課税金額に対する法確定を得ることができます。KSトゥブン通りにある西ジャカルタ第一とコサンビにある西ジャカルタ第二の土地建物税事務所は土地建物税確定書がすでに発行されているというのに納められるべき税額に対する不確定を生んで住民に損失を与える行為を止めなさい。[ チュンカレン在住、ブディ・チャンドラ ] 「徴税はいまだに植民地時代」(2006年8月23日) 2006年7月8日付コンパス紙への投書"Petugas Pikun Mendata Pajak"から 拝啓、編集部殿。わたしはスカブミ市バロス町に木の柱だけで壁のない長屋風建築物を持っています。2003年に税務職員がふたりやってきて、その建物のデータを取りました。ひとりは30代、もうひとりは70歳前後でもうろく気味でした。数ヵ月後にその建物の2003年度税額確定通知書が発行され、その建物はA03クラスに区分されていて評価額は平米当たり80万ルピアとなっていましたので税務サービス事務所に不服を申請に行くと、まず納税しなければ不服は受け付けられないと言います。これではまるで徴税吏が好き勝手に納税額を決めていた植民地時代と同じじゃありませんか。わたしは結局諦めました。 2004年度税額確定通知書が発行された時、その建物はA02クラスにグレードアップされ、評価額は平米当たり96万ルピアになりました。今年の2006年度税額確定通知書ではなんとA01クラスに上がり、評価額は平米当たり120万ルピアになっています。税務当局にお尋ねしたいのは、壁のない木の柱にトタン屋根を載せた長屋の税額決定が本当にそんなやり方なのかということです。年々クラスがアップして行き、最後には星級ホテル並みになるのですか?土地建物税額を決めるための建物データを取るようもうろくしたひとを遣わすなんて、ほかに職員はいないのでしょうか?[ スカブミ在住、ベルナル・スラッナ ] 「制服の強盗団」(2006年9月6日) 2006年7月26日付コンパス紙への投書"Oknum Tramtib ala Prampok"から 拝啓、編集部殿。2006年7月19日13時30分ごろ、わたしは中央ジャカルタ市スネンラヤ通りにあるムナラエラ・ビル脇のカリリオ通りのアルタイビンモスクの前庭で、カキリマ屋台から果物サラダを買ってそれを味わっていました。するとそこにブルーの制服を着た一群の男たちが突然現われ、何の対話もあらばこそ、いきなり商人たちへの襲撃を始めたのです。屋台や商品、調理器具、そして売上金まで強奪しました。わが国では、民衆の庇護者とされている人たちはこのようなことをするものなのですね。 この国は今、さまざまな災厄に見舞われているというのに、自分の国の中で生計の資を一生懸命稼いでいる民衆に対して横暴な行為をどうして行わなければならないのでしょうか?わたしは一介の市民ですが、イ_ア国民が同じ民族の人間にいまだに植民地支配を受けているありさまを前にして悲憤に襲われています。 わが国の国民の庇護者たちよ。われわれは優しい民族であり、国には法律があるのです。もし手入れを行うというのなら、そんな暴力的で商人を経済的に困らせるようなやり方が取られるべきではありません。かれらはまっとうなやり方で生計の資を得ようとしているだけなのだから。ブルーの制服を着た男たちは本当に都庁秩安職員なのでしょうか、それとも強盗なのでしょうか?[ 南ジャカルタ在住、クルスム ] 「統計データ提出を拒む事業主は監獄行き」(2006年9月28日) 中央統計庁地方局のデータ収集活動に応じない事業主は監獄行きだ、とデポッ市地方局長が発言した。同局は2006年度経済センサスのデータ収集を9月末日を期限として進めているが、会社と事業に関するデータ要請に応じない会社が少なくなく、中でも非協力的な会社が40社あることからそれらの会社があくまでも無視するなら最後は強硬手段に訴える、と局長は警告している。統計に関する1997年第16号法令は、中央統計庁からのデータ要請には応じなければならないこととされており、それに違反すれば18ヶ月の入獄と2千5百万ルピアの罰金が科される。 データ提出を避けようとしている会社はそのデータが税徴収に使われることを怖れているためと同地方局長は見ているが、中には本社がデポッ市外にあって経営者は皆本社にいるという理由でデータ提出を拒む会社もある。2006年5月時点でデポッ市にある会社数は11万8千となっている。 「運転免許証は金とコネの世界」(2006年10月20日) 2006年8月22日付けコンパス紙への投書"Pungli SIM di Markas Polresto Bekasi"から 拝啓、編集部殿。首都警察長官がごろつき撲滅を推進している足元で、ブカシ警察本部の一部職員たちが組織暴力団同様の行為を行っています。かれらは運転免許証を新規に得たり、あるいは既存免許証の期限更新を行う小市民から公定タリフよりはるかに高額な金を搾り取っているのです。職員たちは故意に運転免許証手続を複雑で手がかかり、そして金がかかるようにしています。免許証係り職員は故意に警察職員を周旋屋にしたて、あるいは本物の周旋屋を使って自分たちの私的な利益を図っています。国警長官の約束した「シンプルで短時間のサービス」はスローガン倒れでしかなく、少なくともブカシ警察においてはそうであると言えます。 2006年7月14日、わたしはC種免許証(二輪車)の延長手続を行いました。たまたま個人のお抱え運転手になろうとしている人と一緒になりました。かれはA種免許証(自家用四輪車)の新規取得に来たのです。わたしは手続を自力でやろうと思っていました。ところが警察署構内の表にある駐車場に入ったとたん、大勢のチャロ(周旋屋)が獲物を探してうろついているのに出くわしました。明らかに警察職員という姿をしたひとが5人以上、チャロの中に混じって客を漁っています。その光景を目にしながら涼しい顔をしている監察官の姿には驚きました。 もっと驚いたのは、公定料金6万ルピアのC種免許証になんと18万5千ルピアも払わせられたことです。A種免許証の新規交付は10万ルピアもかからない(公定申請料金は7万5千ルピアです)ものが、なんと30万ルピアも徴収されました。C種免許証費用18万5千ルピアの明細は、視力テスト2万ルピア、保険、免許証ケース、高官のサイン費用8万5千ルピア。ところがA種免許証の新規交付費用30万ルピアの明細はいったい何のためなのかよくわかりません。A種もC種も窓口で不法徴収金を取るものの、領収書は何も出ないのですから。ある窓口でわたしが領収書を要求したところ、名札にJ・・・・と書かれた婦警はいきなり怒り出し、「あんたがあとで受け取る新しい免許証がその領収書よっ!」と不愉快そうな顔で吐き捨てました。 視力テストは免許証取得の条件になっているはずなのに、用紙にデータを書かせるだけで視力検査は何も行われません。テストのための費用2万ルピアはしっかり徴収するのに、これも領収書がありません。A種免許証の筆記テストもただの形式だけで、言われるだけの金を払えばだれでもパスするのです。要するに金とコネさえあれば何でも思いのままだということです。ブカシ警察本部の免許証手続サービスは出鱈目の極致です。チャロかコネを使わない限り、あるべきサービスを受けられると期待してはいけません。[ ブカシ在住、マルヨト ] 「プンチャッ街道で交通警官ガードサービスはいかが?」(2006年11月8日) 休日にプンチャッ(Puncak)やサファリパーク(Taman Safari)への行楽に繰り出した都民にとって、プンチャッ街道の渋滞はもう当たり前のことになっているのかもしれない。そんな車の列を脇に見て、白バイに先導された高級車が対向ニ車線道路のど真ん中をすらすらと突き進んで行く。そんな光景は都内の路上でもおなじみだから、ここでもやっぱり政府要人が特権をかさにきて庶民の困苦などどこ吹く風と自分に与えられた権力を享受しているのだと誰しも思うものだが、ところがどっこい。 その日の朝、スゲンは家族を乗せてランドクルーザーのハンドルを握っていた。ジャゴラウィ(Jagorawi)有料自動車道チアウィ(Ciawi)出口を出たら目の前は車の海。じりじりと動いては止まるという渋滞走行を続けながらガドッ(Gadog)の三叉路に向かって進む。三叉路の交通信号近くまで来た時、そのエリアの警備に就いていたと思われる警官がスゲンの車に近寄ってきた。スゲンの顔色が変わる。『休日の行楽にやってきたというのに、警察沙汰になっちゃあぶち壊しだ!』ところがその警官は終始にこやかな笑みを浮かべ、馬鹿丁寧なほど礼儀ただしい。スゲンが窓を下ろすとその警官は言った。「ガードは要りませんか?」 渋滞の中をのろのろ運転で山道を登って行けば、ガドッからサファリパークまでの12キロの道程に3時間ほどが費やされる。しかしこの警察ガードサービスを利用すれば、目的地までは数十分。もちろん無料であるはずがなく、警官は謝礼を要求するに決まっているが20〜30万ルピアの金でそんな楽ができれば言うことはない。スゲンは応じた。「じゃあ、お願いしますよ。」その警官は道路脇に止めたあった白バイに乗り、もうひとりの同僚に合図してからスゲンのランドクルーザーの斜め前までやってきて停まり、後ろに続くよう合図した。スゲンは対抗車線に乗り出して道路の中央を走る。もう一台の白バイがその後ろを伴走する。これは完全に政府要人の気分。こうして他の渋滞車輌を尻目にスゲンはすいすいとタマンサファリ交差点に到着し、約束した金額を渡してその特別サービスは終了した。しかし中にはタチの悪い警官がいて、約束した金額を渡しても「足りない」と言ってゴネる輩がいるから気をつけたほうがよい。この警官のアルバイトガードサービスはランドクルーザーやBMWX5、ホンダCRVなど高級車の新車を狙ってオファーしてくるので、庶民向け車種では相手にされない可能性が高い。 プンチャッ街道の所轄はボゴール警察署であるため、ボゴール警察交通ユニットにこの話を確認したところ、アルバイトガードサービスは違法であるとの返事が戻ってきた。ガードを行う場合は条件が定められており、行楽中の一般市民に対するガードはありえない。ましてや料金を定めて有料サービスを行うなどもってのほかだとの談。警察の交通ガードがつくのはVIP(政府高官や外国要人)、何台ものバスや車輌を連ねた団体の移動、消防車、救急車、葬儀車。それ以外ではせいぜい現金輸送くらい。同ユニット長は、プンチャッ街道は州道なので、国家警察、国軍憲兵隊、首都警察、西ジャワ州警察の職員が交通ガードを行う可能性がある、と付け加えた。 「使い捨て文化民族」(2006年11月23日) 2006年9月14日付コンパス紙への投書"Bangsa Indonesia Hanya Pengguna"から 拝啓、編集部殿。わが民族はますます混乱の度を強め、前途に不安を抱かせています。法執行は相手を選び、国家政策は言行不一致で、コルプシはますます蔓延の一途。自分個人や所属集団の利益のために売国を企てる者は怖気もなく国民の前にその姿をさらし、罪悪感など爪先ほども感じていません。 SBY大統領は再起を図ろうとしているわが民族にとって適切なひとですが、将軍として期待されている厳格な姿勢がまだ反映されていません。その結果、大統領を補佐するひとびとがてんでんばらばらに動き、あらゆるチャンスを自分のために利用しようとしています。国産品利用政策は十分に国民の耳に響いておらず、技術移転に関してはもっとお粗末なありさまです。このままではインドネシア民族はいつまでたっても物を作り出すことのできない使うだけの民族で、資本と技術を持つ創造的な他民族の「お客さん」にしかなれません。国内でテクノロジーの発展を望むSBY大統領は、取引のたびに補佐役に邪魔されているのが実態です。 われわれは買い手だから十分なネゴの余地を持っているというのに、先進国から技術移転を受けるチャンスをできるかぎり避けて活用しようとしません。たとえば海軍の艦艇調達に関して、かつて行われた東ドイツからの中古艦船購入の際の馬鹿げた体験から何ひとつ学ぼうとしていないのは明白です。なにしろ修理や儀装の費用が新船購入よりも高いというのですから。国内の造船所、中でもPT PAL は高い造船技術を持っているので、国外から購入しなければならない理由はありません。たとえ外国から購入しなければならないとしても、国内の造船所に作らせれば技術移転も同時に行われるでしょうに。海軍が戦闘艦6隻の調達のために造船技術においてドイツ、オランダあるいは韓国などよりも低いスペインに発注しようとしています。船はスペインの造船所で建造されるために技術移転もありません。おまけに武器装備はアフターサービスを真剣に行わないことで知られた東欧から取り寄せるというのです。自分自身のためにすら買うだけで作らないイ_ア民族にはもはや、海洋民族の誇りはかけらも残されていません。[ バンドン在住、ヘンドロウィヨノ ] 「悪徳交通警官が逮捕される」(2006年12月21日) 首都警察交通局は過去二ヶ月の間に悪徳交通警官30人を逮捕した。この30人は路上を通行中の運転者に交通違反を犯したと脅かして和解金を受け取っていた者たちで、市民からの届出で捕まった者や規律パトロール職員に現行犯で捕まった者もいる。この30人に対して首都警察は、警告、配置転換、降格あるいは入獄といった罰を与える予定。職務規定違反の警察官に対する入獄は昔から行われており、1日、1週間、1ヶ月などその期間はさまざま。 悪徳警官の中には12月4日から開始されたオートバイの左側車線走行の義務付けを理由に道路の中ほどを走っていた二輪車に対して違反切符を切ろうとし、「嫌なら和解金を出せ」と脅かして金を取るという手口がかなり使われていたもよう。副交通局長は、その規定が本格実施されるのは来年1月からでありいまのところはまだ社会告知期間であるためそれを破っても違反扱いはしないことになっている、と述べている。 「大統領の給料はいくら?」(2007年1月5日) 一国の大統領は高い報酬をもらっているものと誰しも思うものだが、インドネシアの場合はどうだろうか?大統領スポークスマンのアンディ・マララゲンがかつて表明したところによれば、SBY大統領は月給62,497,800ルピア、JK副大統領は42,548,670ルピアで、これはアブドゥラフマン・ワヒッ、メガワティ・スカルノプトリ歴代大統領の月給と変わっていないとのこと。大蔵省のデータによれば、大統領の基本給は30,240,000ルピアでそれに職務手当てが32,500,000ルピアついて総額62,740,000ルピアとなる。大臣・最高検長官・国軍総司令官・大蔵大臣と同レベルの政府高官などの場合は基本給5,040,000ルピアに職務手当てが13,608,000ルピアついて総額18,648,000ルピアでしかない。一方国会議長は基本給5,040,000ルピアに職務手当て18,900,000、パッケージ金2,000,000、コミュニケーション活動手当て4,968,000ルピアがついて総額30,908,000ルピアとなる。最高裁長官は基本給5,040,000ルピアに職務手当て18,900,000ルピアとパッケージ金450,000ルピアがついて総額24,390,000ルピア、会計監査庁長官の場合は基本給5,040,000ルピアに職務手当て18,900,000ルピアがついて総額23,940,000ルピアといったところ。地方首長を見てみると、州知事は基本給3,000,000ルピアプラス職務手当て5,400,000ルピアの8,400,000ルピア、県令・市長は基本給2,100,000ルピアプラス職務手当て3,780,000ルピアで総額5,880,000ルピアになっている。 国家警察長官は基本給504万ルピアに職務手当て1,360万ルピアがついて1,864万ルピア。最高裁や会計監査庁の上級職員の場合は長官と1千万ルピアの差がつけられている。ところが大統領をはじめとするそれら国家機構要職の給与よりはるかに高額の給与を得ている職がある。それはなにかと言えば、インドネシア銀行総裁の職だ。中央銀行総裁はかれが監督する全国の銀行界で業界者が得ているよりも大きい給与を与えられなければならないという理由からそのような状況になっているらしい。イ_ア銀総裁の基本給は29,880,000ルピア、市況手当て54,000,000ルピア、その他手当て合計11,000,000ルピアの総額94,880,000ルピアが毎月の給与額で、加えて業績手当てが年間546,000,000ルピア与えられ、また祝祭日には祝祭日手当てとして95,000,000ルピアが支給される。中央銀行の上層部が小さい所得ではおかしなことが起こるかもしれず、そのせいで国家経済が歪みを見せてはたいへんなことになるから、という理由をブルハヌディン・アブドゥラ現総裁が折に触れて説明している。たしかに大型国有銀行の経営者の中に利益配当を含めて年間64.5億ルピアという所得を得ている者がいる現状を中銀総裁の年間所得数値の正当性の根拠に置くことはできるが、本当に金だけが人間の行動原理の動因なのかという思いもまた避けられない。中銀総裁が天文学的給与をもらっているため、中銀上級幹部たちの給与もバランスが取られることになる。イ_ア銀行で上級副総裁の地位にいたアンワル・ナスティオンが会計監査庁長官に転出したが、かれは中銀副総裁のときに得ていた月額7,992万ルピアが上記の金額に暴落したことに最初は驚いたとのこと。 しかし正副大統領には上記の月給以外に20億ルピアという活動資金が用意されている。この活動資金は出金・支払い・清算メカニズムが本人の手を経ないので自由に使える金はあっても本人の収入とは言えない。それ以外にも正副大統領が外国を公式訪問すると国事行為手当てとして毎回2万5千ドル、夫人が同行すればプラス1万5千ドルを受け取れることになっているそうで、やはり国家の第一人者にはそれなりの報酬が用意されているということらしい。 「国家公務員の55%は役立たず」(2007年1月18日) タウフィッ・エフェンディ行政機構効用改善担当国務大臣が「現有360万人の文民公務員のうち55%はクオリティが低く、かれらは自宅待機させたほうがまともに職務を遂行している同僚の足を引っ張らないだけマシだ。」と発言した。かれらはただ給料をもらっているだけで職務への貢献はないに等しいとのこと。「かれらをすぐに首にするというようなことをする気はないが、かれらには教育プログラムを受けさせて能力向上を図ってもらうようにしたい。また省間あるいは自治体間で職員数がきわめてアンバランスになっており、ひとを移動させてその平均化をはかりたい。ある県には職員が2千人しかいないがほかの県では2万人いるというような実態になっている。これは正規公務員についての話だが、それ以外に90万人のやはりクオリティの低い契約職員がおり、かれらは無統制にあちらこちらに散らばっており、かれらを今後いったいどうしていくのかということも五里霧中だ。」大臣は開発会計監査庁が行った監査に関するパネルディスカッションの場でそう語った。 政府は文民公務員の人数適正化を年金プログラムを通して進めようとしている。このプログラムで退職する人数は10万から12万人が見込まれており、政府の年金負担は急上昇する。今いる公務員は80%が事務職であり、それは自然減耗にまかせて退職者の補充はしない。一方外交官・看守・看護人などいくつかの専門職はひとを増やす必要があるため、新規採用はそれだけにとどめる意向だ。 行政機構内で早急に改善が求められているいくつかの問題に対する対応方針として、まず業務のオンライン化が叫ばれている。中でも物品サービス調達とそれに対する国庫からの支払いが明瞭に開示され監視されるようにするために全公務員に背番号をつけるシングルアイデンティフィケーション番号(SIN)の実施、人間同士が集まって業務を行うと腐敗謀議に傾きやすいために業務の流れをオンライン化すること、オーバーラップしあっている1,850件の規則と投資を阻んでいる5千件の地方条例や規則を整備すること、その場その場でのインプロビゼーションでなく法治にもとづく国家として犯罪に関する法曹と矯正システムを改善することなどが上げられている。 「無為無能行政」(2007年2月16日) 2007年1月24日付けコンパス紙への投書"Sulitnya Melaporkan Kasus Flu Burung"から 拝啓、編集部殿。南ジャカルタ市畜産局のサービスにはたいへん失望させられました。それが欠陥行政システムのせいなのか、それともインドネシアでここ三年間猛威をふるっている鳥フルに対して関心も感受性も持たない一部の人間のせいなのか、わたしにはよくわかりませんが。 2007年1月15日、わたしは南ジャカルタ市畜産局に電話しました。そのときわたしはポンドッカレン地区を担当するタングラン市畜産局の電話番号がわからなかったのでそれを教えてもらおうとしたのです。畜産局をはじめすべての行政機関は全国の各地区を担当する役所の電話番号がわかって当然ではありませんか?そのリストを作って電話近くの壁に貼っておけばいいのです。ところがわたしが得た返事は、ゴマンとある言い訳を従えた「判らない」という言葉でした。そんな仕事のしかたで、インドネシアの鳥フル汚染拡大がどんどん進行しないと誰が言えるでしょうか。わたしの住んでいる地域では、毎日鶏が突然死していますがそれらの鶏オーナーたちは「鳥フルで死んだ」と言われることを極度に嫌っており、その事実をわたしは畜産局に通報したかったのです。政府は鳥フル対策に関する措置を大々的に報道しているけれども、現場レベルでその方針がそんな報道内容と同じレベルで実行されていないなら何の意味もありません。 わたしは最終的に知り合いから鳥フル対策詰所の電話番号を三つ入手しました。その詰所の電話番号にほとんど三時間電話し続けましたがいつまでも話中で、何をすることもできませんでした。[ タングラン在住、ヘルダ・ユシアナ ] 「墓守は月収250万ルピア」(2007年2月19日) 2006年10月31日付けコンパス紙への投書"Sudah Meninggal Masih Dipungli"から 拝啓、編集部殿。2005年はじめごろ、わたしどもは出産後間もなく死亡した愛し子を埋葬しました。家から場所が近かったので、愛し子を埋葬したのは東ジャカルタ市ポンドッコピーにあるポンドックラパ=マラカU公共墓地です。2006年初にわたしどもはブカシに引っ越しましたので、愛し子の墓参があまりなされなくなりました。2006年のラマダン月が始まる前日、多くのひとびとと同じようにわたしどももその子の墓参を行いました。ところが驚いたことに、愛し子の墓は手入れがなされず草も枯れ果てて長い間水をやっていないように見えました。一方その周辺の墓は草が青々として手入れも行き届いています。 墓に祈りを捧げたあとで、わたしどもはそのエリアの番をしている職員に尋ねました。するとその職員は軽やかに「毎月の手入れ賃をだれも払わないから放置されているのだ」と言います。その手入れ賃はひと月2万5千ルピアだそうで、もし手入れを希望するなら5か月分として12万5千ルピアを一括で払ってくれとその職員は言いましたが、わたしどもはとりあえずということで2か月分の5万ルピアを頼み込んで受けてもらいました。しかしその職員が担当しているエリアにはおよそ1百の墓があるのです。であればその職員は領収書も出さずに毎月250万ルピアというファンタスティックな収入を得ていることになり、またその手入れ賃がいったい何に使われているのかこの徴収金に関する責任は不明瞭です。職探しも困難なこのご時世に、その金額はたいへんなものではありませんか。インドネシアで生活するのは言うまでもなくたいへんなことなのです。生きている間は不法徴収金を搾り取られ、死んでからも相変わらず搾られるのですから。[ ブカシ在住、ロフマン ] 「アダムエアーチェックインカウンターで不正発覚」(2007年2月23日) 国内線国際線を問わず飛行機の乗客はスカルノハッタ空港チェックインカウンターで通称エアポートタックス正式名称パッセンジャーサービスチャージ(PSC)を支払っている。空港管理会社アンカサプラU企業秘書は、PSCは空港利用乗客から徴収するエアコン、トイレ、ベンチなど諸設備の利用対価だが発地でのみ徴収されトランジット乗客からは徴収されない、と述べている。この仕組みを悪用して乗客から受け取ったPSCの一部を着服していた組織ぐるみの犯罪が警察に摘発された。 スカルノハッタ空港の国内線PSCはひとり3万ルピアが徴収されており、同空港でチェックインした乗客はすべてその金額を徴収されてシールの領収書をもらっている。ところがアダムエアーのチェックインカウンター職員が組織ぐるみで、おまけに乗客から徴収したPSCの納入を受け取るアンカサプラU職員とも共謀してPSCの一部を着服し、着服分相当の乗客数をトランジット客だとして虚偽の報告を提出していたことが明るみに出た。警察が連行したこの事件の容疑者はアダムエアー職員が13人で、かれらはチェックインカウンター受付担当、チェックインカウンタースーパーバイザー、チェックイン管理担当とスーパーバイザー、トランジット旅客受付担当などの業務に就いていた。警察の取り調べに対して犯行は2006年8月から続けられていたと容疑者たちは述べているが、もっと以前から行われていた可能性があるため、裏付け捜査が進められている。この一味はすべてのフライトで犯行を行っていたのでなく、乗客数や上級管理者の監視状況次第で疑われにくい場合にだけそれを行っていたため、マニフェストの乗客数記録と入金の際の報告との突合せのために事件捜査は時間がかかる模様。一方2月19日に逮捕されたアンカサプラUの悪徳職員は警察の取調べと社内調査チームによる取調べを受けている。 「ボロブドゥル博物館で結婚パーティ」(2007年3月29日) 2007年2月12日付けコンパス紙への投書"Museum untuk Resepsi Pernikahan"から 拝啓、編集部殿。わたしは教師を職業とする仏教僧です。2007年2月4日にボロブドゥル遺跡壁面の彫刻画に関するセミナーと建造物の見学を開催しました。チャンディの一部に関する説明をしなければならなくなったので、わたしはカルマウィバンガ博物館を訪れることにしました。博物館の入口に立ったとき、館内で結婚式披露宴が行われていることにわたしはたいへん驚きました。受付にいる係員に尋ねたところ、披露宴に関する指示はよくわからない、との返事です。その係員によれば、その披露宴はPT Taman Wisata Candi Borobudur の役職者からの指示で行われているとのことでした。歴史と考古学の研究者としてわたしは各地の博物館をよく訪れますが、今回のようなことはいまだかつて見たことも聞いたこともありません。たいへん貴重なボロブドゥルの遺物を保存している博物館が結婚披露宴会場になっているのですから。 宴客の中にチャトラや未完成仏像に腰掛けているひとがおり、ケータリング業者は精出して料理を並べ、サテを焼く準備をしていました。チャンディの石が並べられた中庭は破損と言えなくとも汚されたのは確実です。博物館という雰囲気は消え失せて招待客であふれたパーティ会場に変わっていました。博物館の訪問客も中に入るのを躊躇していました。カルマウィバンガ博物館は世界文化遺産第592番として保護されなければならないボロブドゥル遺跡の一部ではないのですか?それとも、そうでないから外部者がだれでも自由に使ってよいものとPT Taman Wisata Candi Borobudur は認識しているのですか?ところが博物館の入口にも、入場券にも、次のような警告が明記されているのです。 「政府の許可なく文化遺跡の遺物を持ち去り、置き換え、取り去り、形や色を変え、修理しあるいは分離させ、また遺物や遺跡とその環境を故意に破壊した者はだれでも最長10年の入獄と最大1億ルピアの罰金が科される。(文化遺産遺物に関する1992年第5号法令第26条)」 PT Taman Wisata Candi Borobudur は運営予算が不足しているので博物館を結婚パーティに貸し出しているのでしょうか?[ バンドン在住、僧バドラ・ルチ ] 「役人姿の海賊たち」(2007年4月26日) 2007年1月19日付けコンパス紙への投書"Minta Minyak secara Paksa"から 拝啓、編集部殿。バージ船を曳航するタグボートの船長としてわたしどもは、ジャンビへの航海オーダーがあるといつも船主に苦情を訴えています。バタンハリ川に入ってカンプンラウとムアラサバを超えると必ず何人かの役人が現れて船に入って来ます。かれらは台帳を持ち、積荷・船名・船長名を控えます。そのあとは通例のタバコ銭の要求です。差し出す金額が小さいと、かれらは怒りまくってもっと出せと要求します。ところがそれだけで終わらず、かれらは燃料を要求します。パトロールのため、詰所の明りのため、その他いろいろな理由で。もし5人もの人間がそれぞれ30〜40リッター入り石油缶を持って船に上がってきたら燃料がいくらあろうとたまりません。それら悪徳役人に燃料を無理やり供出させられ、航海途中で燃料切れを起こしたら船長としての責任をどうやって果たせばよいでしょうか?船長としてかれらの無理強いを拒んだにもかかわらず、かれらは機関担当船員を嚇かして燃料を持って行ったこともあります。落ち着いて安全に航海できるよう、当局のご配慮をお願いします。[ パレンバン在住、ウカル ] 「官僚機構は独立生命体」(2007年4月30日) インドネシアの行政機構は国民サービスを行っておらず、それは独自のロジックを持つビジネス組織であって国民に官僚サービスを強いる集団である、ということを知らないインドネシア人はいない。今現在、1,850件の法規が屋上屋を重ねる錯綜状態で国民管理制度を作り上げており、それが388種もある行政サービスの実施を命じている。行政サービスというのは販売商品であり、法規が国民にそれを行わないと犯罪者として罰せられることを定めているため、行政は国民に対して金を払って犯罪者にならない道を選ぶかそれとも違反を行う犯罪者として刑罰を受ける道を選ぶかという選択を迫る。プンリ(pungli)と呼ばれる不法徴収金が跋扈する場がこうして作り上げられている。 行政機構の持つそのようなロジックに反対する命令を大統領や大臣が出しても、行政機構がそれを完全に無視するということすら起こっている。華人系インドネシア国籍者が住民管理手続きを行う際の条件のひとつに必ず入れられているインドネシア国籍証明書の廃止を命じたのはグスドゥル大統領の時代であるのに、その後メガワティ政権、ユドヨノ政権と代わったいまでもその命令に対する不服従が続けられている。国家機構上層部が決めたことを黙々と遂行するという、他の多くの国々で見られる官僚機構の姿はここにない。インドネシアのビューロクラシーは独立生命体なのだ。 だからこそ、行政改革というスローガンが声高に語られるが、意図されている改革は遅々として捗っていない。クリーンで透明で効率よくまた威厳のある政府という現代社会で指向されている行政機構はいまだにインドネシアに実現しておらず、またいつ実現するのかすら雲をつかむような話になっている。エコ・プラソジョ、インドネシア大学行政学教授はそんな状況に関して、灰色のビューロクラシーを享受している勢力があるために改革は捗っていないと述べている。そのような状況が政党や諸外部勢力によって資金集めや政治活動における大衆動員といったことに利用されているのだ。 「国家公務員の55%は役立たず」(2007年01月18日)で報道されたように、「現有360万人の文民公務員のうち55%はクオリティが低く、かれらは自宅待機させたほうがまともに職務を遂行している同僚の足を引っ張らないだけマシだ。かれらはただ給料をもらっているだけで職務への貢献はないに等しい。」と行政機構効用改善担当国務大臣が発言している。東カリマンタンのクタイカルタヌガラ県は住民人口20万に対して公務員が2万人いる。スラバヤのある地区は6千人いれば十分なのに2万5千人も公務員がいる。そしてひとりひとりの人材クオリティに目をやれば、能力もなくたいした仕事もせず、しかし職務のスムースな流れの足を引っ張るようなことを行っている人間が多すぎる。 地方自治が開始されてからはそこに事態をさらに歪める要素が出現した。地元政府が収入増を図ろうとしてさまざまな規則やサービスを追加し始めたのだ。言うまでもなく従来からあった国民犯罪者化の原理を持つメンタリティはまだ変化していないから、追加されるものがどんな性格を持つかは想像にあまりある。管理行政の秩序立て云々はお題目という面が強い。それを修正していくのは地元民の声と中央政府の指導であるものの、極端から極端に走るインドネシア型メンタリティのおかげで完全圧政に取って代わったのは他人の言うことに聞く耳を持たない自由放任だった。地元民による地元首長の直接選挙というパターンによって地方首長の多くはまるで小独立国の大統領になったように自分を見なし、州知事と県令が命令系統の上下から脱け出して同格であるかのように感じている実態を指摘する声もある。意識の中に生じたそのようなアナーキーのために中央政府が各地方現場の実態をつかみきれなくなりまた指導も行き届かなくなってしまっている状況を、中央政府の諸機関はほぼ一様に嘆いている。 行政機構効用改善担当国務省が行政改革の一プログラムとして、1,850件ある法規の整理を進めている。中にはその上位にある法令に違反しているものすらある。それと同時に、388種ある行政サービスを整理することも着手された。しかし既に内務省が行った全国の地方自治体条例規則8千件に対する審査で、そのうち2%は通商と物流を阻むもの31%は産業界がそれを遵守しても何のメリットもないものという判定が下され、それらは早急に廃止もしくは修正されるようにとの指示を2006年に全国の地方自治体に下したものの、今年はや4ヶ月たった現在、それらの地方規定が廃止あるいは修正された事実はひとつとしてない。利害の対立する一方がただ言っただけでは物事が回転して行かないのは、それを言われた側が独立生命体であることの証明にほかならない。国民管理に関する1,850件の法規のジャングルもその整理には時間がかかりそうだ。 「航空行政の腐敗構造」(2007年8月21・23日) 「許認可を得るために、まず個々のオペレータがだれにどのようなアプローチをかけるのか、それによって金額は違ってくる。そしてどんな状態の機体がチェックされるのか、運行ルートはどこなのか、そのような要因でそれぞれ違ってくる。いくら出せという売りオファーはなく、渡した金額で相手の反応を見るしかない。」ある定期航空会社の取締役はそう語る。1999年に行われた空運事業開放政策で民間航空会社が雨後のタケノコのごとく出現したが、それと同時に運通省内での収賄活動も旺盛な進展を示したようだ。 インドネシアで空運ビジネスを行うにあたってまず必要となるのは空運事業許可書(SIUP)であり、次にエアオペレータサーティフィケート(AOC)、航空機調達認可、運行ルート申請、乗務員ライセンス、航空機耐空性適合証、機体登録証明書などの手続きが続々と発生する。そのどれひとつとしてエクストラの金がからまないものはない。エクストラというのは、明らかに公定料金とは別の金を領収書なしに行政側の人間に渡すことを意味している。仲介する人間への手数料とは異なるものだ。その金は賄賂(suap)とも呼ばれ、また円滑金(uang pelicin)とも呼ばれている。贈収賄にはふたつの面があり、法規で定められた条件に不備であっても目をつぶって許認可を与えるよう求めたり審査検証プロセスを内容はどうあれ適当に切り上げて早く許認可を出すよう求めるという方向性と行政の権限をバックにして許認可を与えること自体を商品にするという方向性のふたつが相互に関わりあっており、国民と行政機構は互いにその一方だけを腐敗の元凶だと自己弁護して自らを正す行動がなかなか徹底しない。これは行政による民間事業監督にせよ住民管理にせよ変わるところは何もない。政府上層部はその状況を十分すぎるほど理解していても、「官僚機構は独立生命体」(2007年04月30日)で説明されているように政治家が行政機構を十分に統率できる状況はまだインドネシアに築きあげられていない。あらゆる省庁で腐敗スキャンダルが時折こぼれ出してくるが、どの省も監察総局という目付機構を備えていながらそんなありさまであり、大臣の引責辞任が起こらないのは腐敗組織の頂点にポッと置かれた人間にそこまで強いるのは酷だという空気が世間で常識化しているからかもしれない。 いくつかの民間航空会社上層部から得られた情報では、SIUPを苦労も時間もたいしてかけずに入手するために20〜30億ルピアのエクストラが支払われている。金額をできるだけ小さくしようとすればロビイング力が効果をもたらすが、それでも最低レベルのエクストラがなしには済まない。SIUP審査をパスするための条件をすべてクリヤーしてけちのつけようがなくとも結果は同じだ。金を渡さなければプロセスは延ばし延ばしにされる。AOCにもSIUPと同じレベルの金額が必要になる。AOCはSIUPよりもはるかに細かく厳しい条件がつけられており、ひとつでもクリヤーされていない条件があればそれをクリヤーするまでAOC交付はなされない。理屈はそうだが、いざすべての条件がクリヤーされても依然として交付されない。エクストラが言外の条件にされているのである。ならば条件はそこそこクリヤーさせておいて面倒なことには対応せず、その費用をエクストラに回してやればAOCが手に入る。 航空機調達時にもエクストラがかかる。購入あるいはリースを受ける機体の状態とそしてやはりアプローチの方法如何で金額は異なる。調達時には運通省の担当官にその機体を見せなければならないのだ。担当官が駄目だと言えばどんな好条件で入手できる機体でも没にされてしまう。だから航空会社は担当官に3〜4千万ルピアのエクストラを渡している。実際にいくらと相場が決められているわけでもないし、担当官もいくら出せとも言わない。ただそのときの状況や前例などを考慮しながら同時に担当官を敵に回さないようにして互いの立場から来る面子を維持できるようにしなければならない。そんな腹芸の中で自然と相場が決まっていく。担当官自身が航空機の書類をチェックするわけではない。だからそれをチェックする職員にも金が渡される。金はイージーカムイージーゴーの社会なのだ。運行ルート申請もエクストラと無縁でない。ただし金額はそのルートが肥えているか痩せているかで変わってくる。ジャカルタ〜スラバヤといった肥えたルートは5億ルピアだが、ジャカルタ〜パプアのように痩せたルートだと5千万ルピアで済む。 「ここ一年ほどは運通省の役人も自粛しており、金をもらうことに対しては斜に構えている。言うならば「伏せ」の状態だ。しかしこのエクストラは既に一種のビジネス習慣となっているために出さないというのはわれわれも気持ちいいものではない。要するに、相手の気持ちや立場などを互いに理解しあうということなのだ。」ある航空会社の業務担当取締役はそのように語っている。 報道界が入手したこの情報に関してユスマン・シャフィイ・ジャマル運通相は「民間航空会社は収賄を要求したり受け取った職員の名前を届け出るべきである。」とコメントした。この収賄問題に関連して運通省空運総局は文民捜査官によるチームを編成して捜査活動を開始させた。総局内では既に配置転換を受けた職員が出ているが、刑事処罰を与えるためには証拠がなければならない。「しかし領収書がないのが当たり前の贈収賄事件で証拠を入手するのは難しい。」空運総局長はそう述べている。 「寄贈パトロール艇の受領に障害」(2007年9月26日) 日本とアメリカからインドネシアに寄贈されようとしている海上パトロール艇142隻の成り行きに暗雲がただよっている。インドネシア海域における商業用船舶の海上での保安を確保するために日本のJICAから137隻、アメリカから5隻の海上パトロール艇の寄贈が合意されたものの、国際海事機構の規定にもとづく公式沿岸警備機関がインドネシアにないことからその実施が実現しないままになっている。ウントロ・スルヤ全国船主協会会長は、運輸通信省海運総局は海上パトロール艇を寄贈して国際商船保安システムを高めようとする国際的な意思にきわめて鈍感だ、と発言した。「われわれは海運総局の鈍感さにやきもきしている。インドネシア海域、中でもマラッカ海峡での国境水域の保安を高めるために海上パトロール艇の増強は急務であるというのに。」 ふたつの大洋とふたつの大陸にはさまれたインドネシアの地理的ポジションは国際関係に大きい付加価値を有するものであり、特に国際貿易海運の9割がマラッカ海峡を経由している日本に対する意味合いは大きい。ところが残念なことに運通省からはIMOリコメンデーションに応じた沿岸警備隊編成のコミットメントをフォローしようとする姿勢が見当たらず、案件が置き去りにされたままであるため数年前から行われてきた検討は何の効果もあげていない。挙句の果てにそのツケが今回ってきて、日本とアメリカからのパトロール艇寄贈が適正な対象機関がないために実現されないままになっている。これは数週間前にJICAがインドネシアの沿岸警備力増強を支援するためにパトロール艇3隻を寄贈した際に既に起こった問題であり、日本政府の出先機関であるJICAはその3隻を引き渡す相手が海軍なのか警察なのか、税関なのか海洋保安統制庁なのかで困惑してしまった。ウントロ・スルヤ会長はそのように状況を説明している。運通省がいま組んでいるマスタープランでは、沿岸警備隊の母体として運通省の下部組織である海洋海岸監視ユニットが予定されており、その組織は第一級エセロン職位者が統率して大統領の直接指揮下に入ることになっている。 サルウォノ・クスマアッマジャ海事専門家によれば、インドネシアの沿岸警備隊編成は全行政機関が純粋な視点から早急に支援と協力を行うべき問題であるとのこと。「世界の商船航路の十字路に位置するインドネシアの全海域の保安と国際航行の円滑さをインドネシアの沿岸警備隊は保証しなければならない。マラッカ海峡の海岸線の8割はインドネシアであり、その海峡におけるメリットをシンガポールやマレーシアが先取りするのを手をこまねいていてはならない。」同海事専門家はそう語る。 国際商船の航行秩序を統御し、またインドネシア海域が世界的危険ゾーンという評価を与えられないようにするために、全国船主協会はインドネシアの沿岸警備隊編成に協力を惜しまない、と会長は言う。「沿岸警備隊が編成されれば、そのような保安と秩序の維持だけでなくマラッカ海峡航行船舶からの国際収入が入るようになる。」会長はこの問題にあまり力の入らない運通省に対して力付けのアイデアをそのように提供している。 「ティラン」(2007年9月27日) 道路上で交通違反を犯したときに警官は交通違反切符を切る。インドネシアではそれをティラン(tilang)と呼ぶ。tiket pelanggaran lalu lintasつまりti(ket) (pe)lang(garan)というわけだ。tilangは名詞としても動詞としても使われる。インドネシアの交通警官は業務インセンティブとしてtilangを一回行うと500ルピアがもらえる決まりになっている。しかしいまどきの5百ルピアでは奨励や動機付けの価値はないに等しく、かえって違反者が差し出す和解金(uang damai)の受け取りを促進する効果をもたらすものになってしまっている。交通違反取締りは「プリ〜ッ、ジゴ」と呼ばれ、プリ〜ッとホイッスルを一声鳴らせばジゴつまり二十五の収入になると何十年も昔から揶揄されてきた。二十五というの何十年も昔の25ルピアのことで、今ではゴバン(五萬)が相場だそうだが既に定着した言い回しはエバーグリーンになっている。 そんな状況だからその決まりは改定しなければならない、と首都警察交通局上層部が考えた。たとえば交通違反罰金の20%を現場の警察官に、30%を管理業務部門に、そして残りの50%を国庫に納めるようにしてはどうか。褒美があってこそ人間ははじめて行動を起こす。年々3万人が交通事故で生命を失い、物質的損失は34兆ルピアに達するインドネシアで、交通違反を厳しく取り締まることは社会の安全にたいへん重要なことだ。ドライバーの交通意識を高めることは交通事故の防止に大きい効果を及ぼすものであり、貧しい交通警官がその職務の遂行に励むよう仕向けるためにインセンティブ向上は不可欠だ。と首都警察交通局上層部はそのように表明した。人間の行動への動機付けは金銭的物質的利益であるという人間観が正直に吐露されている表明だ。 2007年6月2日午前9時半ごろ、アセップは西ジャワ州カラワン県とスバン県の県境をボックス車で走行中だった。車の中にはレストランに届ける肉が入っている。ところが街道の前方で警察が検問を行っているのを目にしてアセップは驚いた。しかしいまさら後戻りはできない。検問中の警官は当然のように、やってきたアセップの車に停止を命じた。そして紋切りの運転免許証(SIM)と自動車番号証明書(STNK)のチェックを行う。ケチのつけようがなかった警官は次に積荷を調べ、そして運送状の提示を求めた。アセップは運送状の提示ができなかった。「そりゃおまえ違反だぞ。罰金は70万ルピアでいいか?嫌なら車と積荷は差し押さえだな。」商品の肉が傷むのを心配したアセップはその悪徳警官の言うがままに応じた。 「でもそんな大金はいま持ってないよ。」とアセップは言う。 「じゃあ、取って来い。それまでおまえの携帯電話を預かる。」 しかたなく自分の携帯電話を悪徳警官の手に渡したアセップはチカンペッまで戻ってATMから必要な金を引き出してきた。そして街道の検問場所まで戻ってきたが、検問はもう終了したらしくそこには人っ子一人いなかった。「交通違反罰金を携帯電話で払うのか・・・・?」アセップは天を仰いで嘆息した。 「警察と広域暴力団」(2007年9月28日) 悪徳警察官の行為に対する市民からの非難が絶えない現状に関連して国会第3委員会は国家警察長官に対し、悪徳警官の名前を世間に公表するように、と提案した。警察官のさまざまな悪徳行為に関する市民からの報告を国会は受けており、国民の保護者を自称する警察のそんなありさまは、たとえ一部の警官だけが行っているとしても警察のイメージを大きく傷つけるものであると批判している。特に地方農村部における警察の市民に対する姿勢は数十年前から変わっていない。 スタント国警長官はその提案に対し、警察内部改革を強く推進しているものの現場警察官の逸脱行為はいまだに多発しており中堅幹部を地方部に派遣して住民からの苦情を吸い上げる努力を継続しいると現状努力を説明し、現場の実情がまだ汚れているというのが事実であるとすればそれはクリーンにしなければならず今回の提案は真摯に受け止めて実現させる方向でフォローする、と語っている。国会議員のひとりは市民からの警察に対する苦情に関して、倫理規定を守らず背徳的行為を行う警官の数は地方部へ行くほど多い、と述べている。権限を悪用し、倣岸な姿勢で市民に接し、特に市民からの金銭搾取を日常茶飯事に行っている警官の姿に市民の非難は集まっている。過去においては、全国津々浦々まで組織の網の目を行き渡らせた警察が国民に対して見せているそのような姿は、どこか他の国へ行けば広域暴力団という名で呼ばれている組織とあまり違いのない印象を与えてきた。独立以来、陸海空警という四軍システムの中で国軍最高司令官の指揮下に置かれていた警察がそこから切り離されて大統領直轄の位置に置かれたのは、日常的に市民に接する警察の体質を改善するための第一歩だったようだ。政府はその後、国家警察長官交代を頻繁に行って警察組織の内部改革を進めている。 国会で取り上げられた警察の逸脱行為の中には、次のようなものが含まれている。 1)自動車運転者にティランを行なう場で金銭を要求する。 2)私利を得ることを目的に市民に倣岸な態度で接したり威嚇したりする。 3)市民にハリラヤのための心づけを強要する。 4)検問サインを出さず検問の目的も明らかにしないで、通行車両に対して検問を行う。 5)一般女性市民に対して性差別的な礼節に欠ける行為を行う。 6)市民に対して先入観に満ちた差別的な態度を示す。 7)麻薬禁制薬物取締りなどにおいて、明白な容疑や証拠品がないまま市民を逮捕する。 8)容疑者に自白を強要し、暴力をふるう。 9)取調べ調書を偽装したり改ざんする。 10)事件を届け出た者に捜査費用を支払わせる。 市民のひとりは、「路上で警官の姿を目にすると息苦しくなり、自分は何も落ち度がないことを自覚していながら警官が自分のところに来ないよう念願して全身が緊張で包まれる。」と語っている。警察内部では、警官が起こした逸脱行為に対する措置としてこれまで行われてきたのは配置転換や降格といったものがほとんどで、組織内での家族的な関係を優先するあまり厳しい制裁が避けられて懲罰効果の薄いものになっていた。スタント国警長官は組織内の文化改革を避けて通ることはできない、とコメントしている。 「路上にはごろつきがいっぱい」(2007年11月24日) 2007年10月19日付けコンパス紙への投書"Ulah Rombongan Mobil Pajabat Tnggi"から 拝啓、編集部殿。2007年10月3日10時20分ごろ、首都スディルマン通りのドゥクアタス橋からホテルインドネシア方面に向かう車線は極度に混雑していました。スリーインワン直後の時間帯ですから、それも無理はありません。わたしは高速車線側の真ん中の第二車線にいましたが、しばらくすると後ろからサイレンの音が近付いてきたのです。バックミラーを見ると、警護チームに守られた国政高官の一隊が第三車線を進んで来ているのがわかりました。 大型バイクに乗った先導警官はわたしを追い越したあと、第二車線に移ったのです。わたしは第二車線を空けようとして第三車線にじわじわと寄っていきましたが、いかんせん第三車線はびっしりの数珠繋ぎになっており、わたしの試みはなかなか実現できません。高官を乗せたナンバープレートRI30の車の運転手はわたしがかれの進行を邪魔しようとしているとでも思ったのでしょう、第二車線に移ったあと忍耐心も示さずにわたしの右横でジグザグ走行をして見せたのです。 わたしがもっと肝を冷やしたのは、RI30の後ろについていた警護車の護衛が窓から身を乗り出して路上のごろつきよろしくわたしに大声で怒鳴りつけたことです。わたしは窓を閉めていましたからどんな言葉が叫ばれたのかはまったく聞こえませんでしたが、そんな仕打ちに直面してわたしはただ呆気に取られて頭を振るばかりでした。これがその国政高官のメンタリティのあらわれだったのでしょうか?ジャカルタの交通渋滞など知ったことでなく、どうなっていようがそこを強引に押し渡るのですね。 公道では礼儀正しく振舞うよう運転手や護衛に注意することが国政高官にはできないのでしょうか。交通渋滞がお気に召さないのなら、ヘリコプターを使えばよいではありませんか。そうすればジグザグ走行したり怒鳴り散らしたりして無駄なエネルギーを消費する必要もないでしょうに。[ ジャカルタ在住、コルネリウス・ジュダブラフマ ] 2007年10月24日付けコンパス紙に掲載された保健省からの回答 拝啓、編集部殿。10月19日付けコンパス紙に掲載されたコルネリウス・ジュダブラフマさんの投書に関して説明したいと存じます。国政高官職にある保健大臣は往々にしてたいへん詰まった職務を抱えており、また重要な会議にも定刻に出席しなければなりません。2007年10月3日、大臣は東ジャワへの業務視察からジャカルタに戻り、たいへん重要な会議に出席することになっていました。ナンバープレートRI30の車が都内を大急ぎで通らなければならなかったのはそのためであり、公道を通行している多くの車両に不快感を与えたかもしれません。今回の出来事について保健大臣は陳謝を表明するとともに指摘されたご意見について今後一層の注意を向ける所存であります。[ 保健省公共コミュニケーションセンター長、リリ・スリスティヨワティ ] 「取りやすいところから取るだけという徴税のひずみ」(2007年12月12日) トレードセンター(卸商センター)内に店舗を構えている小規模販売業者からの徴税を本腰を入れて行えとインドネシア小売業者協会(Aprindo)が国税当局に要請した。都内にある25のデパートメントストアは事業利益の30%を所得税(PPh)として納税しているが、多数のトレードセンターに包囲されて販売高は顕著な減少を示しており、売上高はひどいところで4割減となっている。この悪化している25デパートメントストアの営業状況は毎月の納税額が3億ルピア程度減少する結果を招いており、政府はその税収減をトレードセンター内の小規模業者から取り戻さなければならない。「われわれは卸しセンターで営業している商人(小規模販売業者)たちがリテーラーとしてのNPWP(納税者番号)を与えられて確実に納税を行うことを希望している。」アプリンド税務システム技術チーム役員はそう述べている。 ジョーンズラングラサールの調査では、現在ジャカルタには30のトレードセンターがあり来年は8ヶ所であらたにトレードセンターがオープンする予定になっているとのこと。このようなジャカルタやスラバヤなど国内大都市でのトレードセンター隆盛傾向はラマヤナ(Ramayana)、マタハリ(Matahari)、ヨグヤ(Yogya)、リモ(Rimo)などデパートメントストア各社の営業を圧迫しており、デパートメントストアはトレードセンターの増加に反比例して業績の低下を余儀なくされている。 デパートメントストアとそれに近いロケーションにあるトレードセンターとの間では不公平な競争が展開されている、とアプリンドは主張する。デパートメントストアは利益の30%を納税するという収益構造を維持しなければならないのに対し、トレードセンター内販売者たちの大部分はそのような条件を負っていない。納税の負担を免れていればその分だけ販売価格の設定に自由度が増すし、ましてや不法輸入商品ともなればそれに関税輸入税の負担さえ免れることが加わってデパートメントストアにはまったく太刀打ちできない値付けが行われ、極端な低価格によって消費者がトレードセンターに引き寄せられて行く。「トレードセンター内に売り場を設けている商人たちの多くは、言ってみればカキリマ商人が商業センタービルに入ったようなものであり、そこである期間商売したあと姿を消すヒットエンドランビジネスを行っている。かれらは協会にも属さず、組織化される意思を持っていない。」アプリンド役員はそう語る。ヒットエンドランを行うのは税務署員に捕捉されないようにするためであり、かれらは永続的な事業活動を行い納税義務を果たすというフェアなビジネス姿勢を持っていない。 トレードセンターが増加し、これまで収税のひとつの柱となっていたデパートメントストアの売上が脅かされて必然的に税収が減少する。国税当局はやりやすいことだけを行っていれば、いずれ元も子もなくなってしまいかねない。政府がやりにくいことにも全力をあげて取り組んで公平さを世の中に実現しなければ、国の中のひずみはますます大きく根深いものになっていく。アプリンドの国税に対する要求は、政府がさまざまな面で抱えているこの種の弱さに向けられた警告でもある。 「年末のバンドゥン・ボンドウォソ」(2008年1月24・25日) 9世紀、ジョクジャに近いプランバナン村に建てられた美しいチャンディがある。チャンディ・ロロジョングランの別名を持つこのチャンディには絶世の美女ロロジョングラン姫と軍将バンドゥン・ボンドウォソの間に起こった故事の伝説が秘められている。 プランバナンを本拠とする王ラトゥ・ボコは巨人で強い力を誇り、周辺の諸王から怖れられていた。しかしラトゥ・プンギンとの戦いに敗れたラトゥ・ボコは戦場の露と消える。ラトゥ・プンギンの勝利はバンドゥン・ボンドウォソの助力に負うところが大きい。バンドン・ボンドウォソはプランバナンの地を本領にしたいとラトゥ・プンギンに申し出て快諾された。ラトゥ・ボコの宮廷を訪れたとき、ボンドウォソは王女ロロジョングランの美しさのとりことなり、王女を妻にしようと望んだ。父を殺した敵の手にわが身を委ねなければならない王女の思いはいかばかりだったことか。だがそれを拒む力は王女にない。しかしただ言いなりになって運命を甘受するだけの王女ではなかった。「わらわを妻にしたければ、1千のチャンディとふたつの深い泉をわらわのために一夜でお造りさふらへ。」 「むむっ。これは難題。」と思ったボンドウォソは、しかしにやりと笑って王女に言った。「わしがそなたの望みを満たしたなら、一切の恨み憎しみはさらりと流してわしに仕えるのだぞ。これは約束だ。」 こうしてふたりで決めた約束の日がやってきた。ボンドウォソは超能力を持つ父に助力を頼んだ。父は精霊の大軍を指揮することができる。夜のとばりがおりるころ、ボンドウォソとかれの配下、そして精霊の大軍が王宮の周りで仕事をはじめた。様子を見ていたロロジョングランは、あれよあれよと言う間にチャンディが次々と出来上がっていくのを見て驚いた。しかし1千のチャンディを作るには時間がかかる。夜はしんしんと更けてゆき、あちらこちらにチャンディの塔がそびえた。午前4時ごろにはあと5つのチャンディが完成すればよいだけとなった。泉もほとんで出来上がっている。『どうすればいいのかしら?』ふと王女の頭に考えがひらめいた。王女は女官たちを起こして香りのよい花びらをあちこちに撒かせ、さらに臼を搗かせた。精霊たちはもう夜が明けて花が開き、女たちが米を搗き始めたのだと思って仕事を止め、深い闇の世界へと次々に帰って行く。最後のチャンディひとつがもう少しで完成するところだというのに。ボンドウォソと配下の者がその仕事を続けるのは不可能だった。 ボンドウォソがロロジョングランの挑戦に敗れたのは明らかだった。王女を妻にすることはもうできない。しかし自分を謀った女たちを赦しておくことはできない。ボンドウォソの腹の中には怒りが煮えたぎっていた。「官女たちは全員男を知らずに年老いてしまえ。王女よ、お前もそうだ。だがお前だけは、その美しい生身の姿のままで石になれ。」ボンドウォソの呪いは女たちに的中した。こうしてプランバナン寺院の中央にあるチャンディの中にロロジョングランが永遠の生身を現代に残している。周辺地域に作られたチャンディ群はその後チャンディセウと呼ばれることになった。セウとはジャワ語で千を意味している。 ジャカルタ、2007年12月。西ジャカルタ市パンジャン通りでは例年のように工事が行なわれている。何の工事かといえば、歩道のコンクリートブロックを解体して新しいコンブロックに取り替えているのだ。同じようなあまり意味のない工事が、年末のある時期になるとあちこちで突然一斉に実施され、そして慌ただしく整然さもなしに竣工する。なされなければならない作業が何か欠落し、工事前よりひどい状態になって工事が終わる。 毎年年末になるといずこの省庁も取ってあった予算を消化するためにあらそってプロジェクトを行なう。取った予算が消化されなければ来年の予算が減らされるのだから、予算消化という目的を果たすために何かが行なわれることになる。何を行い、その結果がどうなったか?形の整った報告書さえできればよいのである。こうして支出予算として計上されていた公費は11ヶ月間ちょろちょろとしか使われなかったというのに、12月になって突然巨額の支出が発生する。予算消化率も年々上昇している。2005年の60%は2006年に82.4%、そして2007年は89.4%と精力的に膨らんだきた。 ともかく残ったその金を使わなければならないのだ。節約・倹約・合理性、そんなものは論外だ。高ければ高いほど良い。こうして2007年12月3〜14日バリで開かれた気候変動に関する国連会議のためにインドネシア政府デレゲーション80人が5泊で22億ルピアの宿泊料を支出した。ジンバランにあるフォーシーズンリゾートの5プライベートエステートとビラ39軒がこのデレゲーションのために借り上げられた。プライベートプールに囲まれた寝室3部屋のプライベートエステートは一泊2千6百ドル、ビラは一泊7百ドルだ。その標準料金を値切りもしないで支払えば一日の経費は3.7億ルピアとなる。5泊で18.5億ルピア、それにプラスプラス21%を加えれば22.4億ルピアとなる。飲食費・ランドリー・会議室使用などが加算されればそんな金額では済まないだろう。 毎年、年末が来ると政府の役人はバンドゥン・ボンドウォソになる。現代のバンドゥン・ボンドウォソたちは一晩で1千のチャンディを建てるようなことをしない。現代のバンドゥン・ボンドウォソたちは一晩で1千億ルピアを使い切ろうとするのである。 「官高民低」(2008年2月26日) 2007年11月12日付けコンパス紙への投書"Trauma Memperpanjang STNK di Samsat Polda Metro Jaya"から 拝啓、編集部殿。自動車のための書類手続きをわたしの一家はこれまでサービス業者を使って行なっていましたが、首都警察統合サービス事務所入り口に掲げられた「チャロ(周旋屋)を使って手続きをしないように」という看板に興味ひかれたので、一度自分でやってみるのも悪くないと考えました。2007年11月3日朝、わたしは兄のオートバイ(プレート番号B7044PU)の自動車番号証明書(STNK)延長と納税の手続きを自分で行うために首都警察統合サービス事務所を訪れました。ところが首都警察交通局職員のサービスがあまりにも悪いためにわたしはがっかりしてしまいました。案内カウンターの職員に質問すると、職員はわたしを阿呆扱いしてまともに教えてくれません。おまけに4階にはチャロがいっぱいいて、室内はとても整然で秩序ある状態とは言えません。 わたしは3年目に入ったオートバイのナンバープレート延長申請フォームに記入し、必要書類のコピーやKTP(住民証明書)のコピーを揃えて必要な条件をすべて満たしています。その申請を4階のUE窓口に提出しましたが、窓口担当者はわたしに2階へ行けと言うのです。わたしは正しい納税者として4階の警察職員に質問しました。すると、なんということでしょう。「だからキミ〜、STNK手続きがよくわからなかったらチャロを使うんだよ。」というのがそのセリフでした。おかしなことに、このフロアの窓口担当者たちは手続きにやってきたサービス業者からサービス金を受け取っており、自分で手続きを行う市民に対して親切さのかけらも示してくれません。わたしが2階のT番窓口に申請を提出したあと、BPKB(自動車所有者謄本)に「一週間後に来なさい」と書かれた紙片が添付されていました。その日、統合サービス事務所での用事が終わったときわたしはがっくりと疲れ切り、重いストレスとトラウマを抱えて帰宅したあと寝込んでしまったのです。 チャロのサービスを使わず自分で自動車のための書類手続きを行ったわたしの苦い体験がそれです。統合サービス事務所の警官がわたしをチャロだと批難したことでわたしの心はたいへん傷つきました。自動車税を納めるだけでもとても困難な目にあわされ、あっちやこっちの窓口へとピンポン玉扱いされたのです。国家警察がいつも使っている「民衆のパートナー、民衆のサーバント」というスローガンとわたしが現場で体験した事実は大違いだったのです。[ 南ジャカルタ在住、フェロ・マウラナ ] 2007年11月14日付けコンパス紙に掲載された首都警察交通局からの回答 拝啓、編集部殿。フェロ・マウラナさんからの11月12日付けコンパス紙に掲載された投書に関してお伝えしたいと存じます。フェロ・マウラナさんが南ジャカルタの統合サービス事務所で延長手続きを行ったプレート番号B7044PUはB6230SLJに変更されるために番号調整手続き処理の時間が必要だったのです。当初、その番号のオートバイは中央ジャカルタ統合サービス事務所に登録されていたのですが、番号調整手続きは南ジャカルタ統合サービス事務所で行われたのです。 B7044PUのレジスター原本は中央ジャカルタにあるため原本への登記は中央ジャカルタでなされなければならず、書類はまとめて各事務所間を移動するので時間がかかるのです。だからこれは、最初から南ジャカルタで登録されているケースとは違うプロセスを経て処理されることになったのです。ちなみにB6230SLJに対する納税通知書(SSPD)は2007年11月8日に発行されており、フェロ・マウラナさんは11月10日に納税したのでSTNKはその日に発行されました。 フェロ・マウラナさんが指摘されたことがらは統合サービス事務所の今後のサービス改善にとって有意義なものと考えます。[ 首都警察交通局登録管理次局長、ギリ・プルワント ] 「国民を罪に落とすのは罰金収入のため」(2008年3月6日) 2007年11月30日付けコンパス紙への投書"Petugas Manfaatkan Rambu Lalu Lintas Tidak Resmi"から 拝啓、編集部殿。2008年11月4日午前10時15分ごろ、ブカシからボゴールに向かう道中に通ったボゴール県チレンシ(Cileungsi)のチレンシ立体交差橋を超えたところで、交通警官がわたしを止めました。交通標識違反を犯したと言うのです。そこに止められていた車はわたし以外にもかなりたくさんありました。警官が指摘した違反というのは、多分交通の流れるべき方向を指示する小さな手製の標識だったのだろうと思います。チレンシ警官詰所に連れて行かれたわたしは、B巡査部長に対面しました。わたしが対面したその警官は傲慢な態度で挨拶もなしに切りこんできました。「おまえがこの免許証を手に入れたときにテストは受けたのか?それとももう目が弱って標識さえ見えなくなったのか?」わたしが黙っていると、その警官は更に高慢な口調で、わたしは違反切符を切られて罰金12万ルピアの裁判を受けなければならない、と言います。わたしは、その罰金をあなたに預けたら受領証はもらえるのか、と尋ねました。 すると警官は高慢な口調で続けます。「おまえは違反切符を食らったことがないのか?罰金を預けても、何ももらえるわけがない。しかし運転免許証(SIM)と自動車番号証明書(STNK)は取り上げられずに、すぐにここから出て行ける。」わたしは結局違反切符のほうを選びました。すると警官は、違反切符でSTNKを取り上げる、と言います。わたしは違反切符の場合SIMが取り上げられるはずだと言いましたが警官は、交通標識違反の違反切符ではSTNKが取り上げられるのだ、と言い張るのです。その部屋にやってきたひとりの若者が和解金として5万ルピアを別の警官に渡しているのを見て、わたしはすぐに警官に抗議しました。かれはどうしてすぐに解放されるのか、と。「ああ、そいつはヘルメット不着用だから軽い違反で済むんだ。」というのが警官の返事でした。うだうだと話を続けたあとで話は最終的に和解金に向かい、警官は7万5千ルピアを要求しました。「おまえはたいへん便宜を図ってもらったんだから、これを値切ったりしちゃいかんぞ!」わたしは侮辱に身を固くしたまま警官の言う通りに従ってその金額を渡しました。 わたしは法規が与える罰則については門外漢でよくわかりません。わたしはごく普通の一般市民なのです。しかし法執行者が市民を扱うやりかたがあのようなもので良いのだとは決して思いません。本当に職業に誠実で、市民を保護し市民に奉仕する法執行者がこの国にはまだまだほかにたくさんいるはずであることをわたしは信じてやみません。[ ブカシ在住、ドニ ] 「高層ビルの30%は消火設備が不備」(2008年4月1日) ジャカルタに7百ある高層ビルの内30%は火災対策ができていない、と都庁消防局長が表明した。消防局はそれら問題のあるビル管理者に対して、消火栓・消火器・煙探知機・スプリンクラー・ファイヤーリフトなどの消火設備を3ヶ月から12ヶ月の間に完備するよう命ずる警告書を既に送っているが、それら問題あるビルの管理者はまだ何の反応も示していないとのこと。3ヶ月から12ヶ月という幅のある期限は設置しなければならない設備内容に応じての差異である由。もし与えられた期限までに対応が取られない場合、都庁はそれらビル管理者に対して法的措置を取ると消防局長は述べている。 消防局長が高層ビルに厳しく火災対策を求めているのは、消防局が持っているはしご車が8階の高さまでしか達することができないためであり、高層ビルは十分な消火設備を調えておかなければもし火災が発生したならたいへんなリスクに直面するからだ。都庁消防局は消火活動に際して自力で行える部分に限界があり、諸方面からの支援がなければ十分な効果をあげることはむつかしい、と局長は言う。たとえば都内に設置されている消火栓は1,326ヶ所あるものの理想的には2千ヶ所が妥当な数で、その消火栓設置や維持も消防局の管轄外にある。既存消火栓の10%は故障していて使えず、また火災があって最寄の消火栓から取水しようとしたところ水がまったく出なかったということも時おり起こっている。「消火栓は公共設備であるため当方が管掌することはできない。当方はただそれを利用するだけという立場だ。おまけにそこに水を送るのは上水道会社テームズPAMジャヤとパリジャの仕事だが、かれらの都合次第という面も避けられない。」局長はそう語っている。 消防車の現有台数は145台で、消防局は5年先を見込んで60台ほどの台数追加をオーダーしているもののそれで消火パワーが潤沢になるとは言いがたい。職員数も5千人は必要とされているが今はまだ3,420人しかいない。「火事と喧嘩は江戸のはな」と謳われた往時の日本によく似て、しばらく前までは火事とタウランがジャカルタの「ハナ」になっていた。タウランは減少しているようだが火事の発生は相変わらず。2007年の火災発生は844件で死者15人、損害額は1,610億ルピア。2008年は2ヶ月間で火災発生56回、損害額は56億ルピアとなっている。 「納税させたいのに手続きを困難にしている税務署」(2008年4月4日) 2007年12月8日付けコンパス紙への投書"Wajib Pajak Sulit Membayar"から 拝啓、編集部殿。わたしは北ジャカルタ市スンテルに住んでいる、15年以上のキャリヤを持つ忠実な納税者です。政府は国民の納税を盛んにしようと大々的にキャンペーンを行っていますが、それに反して納税するのがどんどん難しくなっているのはオドロキです。毎月わたしは納税書(SSP)で納税を行います。最初は郵便局で納税していましたが、納税オンライン化がなされたので銀行で納税するようになりました。たいていの銀行はオンライン時間に合わせて午前8時半から11時まで、だれの納税でも受け付けていました。ところがそのうちに、口座保有者は午前8時半から10時まで、非口座保有者は10時から11時までというように細かく時間制限をするようになり、さらにそのうちに銀行は口座保有者の納税しか受け付けないようになったのです。それはまあ、口座を開けば納税できるわけで、たいした制限ではないのかもしれません。しかしその時間がいつもフルに使えるわけでもないのが問題です。たとえばオンラインが途切れてオフラインになったり、停電したり。銀行へ行くだけでも至る所交通渋滞ですから、時間とエネルギーの消耗はたいへんです。 イドゥルフィトリ大祭前はたいへんでした。わたしは2007年10月10日に銀行へ行きましたが、オフラインでした。翌11日に再度銀行へ行きましたが、今度は銀行が納税を受け付けてくれません。銀行はもうイドゥルフィトリ休暇に入っているわけです。結局わたしは10月23日に納税することができましたが、納税期限日を超過することになってしまいました。このことを嘆息している納税者が他にも大勢います。 銀行で納税者間の話から、スンテル地区を管区とする税務サービス事務所がエンガノ通りからプルンパンのワランバル通りに移転していることをわたしははじめて知りました。それが初耳だったひとが大半で、みんなワランバル通りというのがどこにあるのか一生懸命情報を求めていました。もうひとつ困ったことは、スンテル地区のコードが0042から0048に変更されたらしく、納税書をまた作り直さなければなりませんでした。このように何度も手間をかけさせられるのですから、納税者はみんなガックリです。 国税総局は好き勝手にそのような変更を行って納税者の手続きにエネルギーをかけさせ、納税者をウンザリさせることを平気で行っているのが実に不思議です。たとえばATMで納税できるというように、納税者がもっと簡便に納税が行えるようなシステムを作ったらどうでしょうか。納税書を持ってお金を納め、その納税書を持ってまた税務サービス事務所へ行き、毎回順番待ち行列に並んでたいへん時間を消耗しているのですから。[ 北ジャカルタ市在住、アント ] 2007年12月19日付けコンパス紙に掲載された国税総局からの回答 拝啓、編集部殿。アントさんからの12月8日付けコンパス紙に掲載された投書の内容について説明する必要があると存じます。銀行や郵便局での納税時間は2007年1月1日から国庫収入に関する大蔵大臣規則第99/PMK.06/2006号で定められており、納税銀行・外為銀行・納税郵便局は金額の如何に関わらず現金出納実施時間中に納税者や納付者が納める国庫収入金を受領しなければならないことになっています。 特にイドゥルフィトリ休暇に関連して当方は、2007年10月3日付けで納税納付締切日と当月納税分の申告締切日に関する規定第PER-143/PJ./2007号を出しており、2007年10月の公務員一斉休暇に合わせて納税と申告の締切日を別途定めてそれを2007年10月5日のコンパス紙とコンタン紙のふたつのマスメディアで広報しています。 税務サービス事務所管区の分割は国税モダン化の一貫として行われたもので、一部納税者の納税者番号(NPWP)内に記された税務サービス事務所コード番号が変更されます。これについては、納税者宛てに新しい登録証明書が発行されます。ジャカルタスンテルプラタマ税務サービス事務所管区の納税者には2007年11月2日の同プラタマ税務サービス事務所が稼動を開始する前に登録証明書が送られています。しかしその内のいくつかで、郵便が届かずに発信人戻りになったものがあり、登録証明書がまだ届いていない納税者には遺憾の意を表します。まだ登録証明書を受け取っていない納税者は税務サービス事務所宛てにその証明書を要請してください。[ 国税総局P2広報局長、ジョコ・スラメッ ] 「お役所仕事の典型例」(2008年6月17日) 2008年1月9日付けコンパス紙への投書"Insentif Dokter PTT di Daerah Terpencil Bermasalah"から 拝啓、編集部殿。わたしは東南スラウェシ州ワカトビ県で勤務した11人の臨時公務員(いわゆるPTT)医師のひとりです。8人は2007年4月1日から9月30日まで、3人は2007年5月1日から10月31日までが勤務期間でした。ワカトビ県は交通機関がたいへん不便なために辺境地区に区分されています。 ワカトビ県で勤務を始めるに際して県側は、地元インセンティブとしてひとり毎月250万ルピアを支給すると約束しました。ということは、11人の医師はそれぞれが6ヶ月の勤務期間で1千5百万ルピアの地元インセンティブを与えられるわけで、県はそのために1億6千5百万ルピアの資金を用意することを意味しています。わたしたちは毎月そのインセンティブが支給されるのを待ち、いつそれがもらえるのかとワカトビ県家族計画保健局に尋ねましたが、返事はいつも単なる約束でした。それでわたしたちは県令に面会することを求めたのですが、2007年6月に面会した県令は早急にその支給を実現させると約束したものの、それも結果は同じだったのです。9月になってその資金が用意されたことがわかりましたが、ワカトビ県1997年度予算に記された項目名称が誤っていたために支出できないという説明をもらいました。つまり予算項目には「文民公務員(PNS)医師向け追加給与」と書かれており、実際のわたしたち臨時公務員(PTT)医師にその名目で出金することはできないというのです。 2007年10月末にワカトビ県議会が予算修正会議を開いたあとでそのお金は間違いなく支給されるという約束をふたたびもらいました。そのときは11人それぞれの銀行口座が質問され、地元インセンティブひとり1千5百万ルピアの領収書にサインするよう求められました。11人の勤務期間が間もなく満了してそれぞれが故郷に帰るタイミングだったので、わたしたちはみんなその求めに応じたのです。ところがそれも再び単なる約束で終わってしまいました。ワカトビ県議会はいつまでたっても予算修正会議を開催せず、結局2007年12月末になってやっと会議が開かれたものの、「文民公務員(PNS)医師向け追加給与」問題の検討はなされませんでした。 わたしたちはただ疑問を述べているだけです。その小さくない金額の予算はいったいどうされようとしているのでしょうか?わたしたちは既にワカトビでの勤務を終えているのです。[ ボゴール県チビノン在住、クリスティ・エフィヤンティ ] 2008年1月21日付けコンパス紙に掲載されたワカトビ県庁からの回答 拝啓、編集部殿。クリスティ・エフィヤンティさんからの2008年1月9日付けコンパス紙に掲載された投書について、つぎのようにお知らせします。東南スラウェシ州ワカトビ県庁は2007年から一般医師には月額250万ルピア、専門医師には月額1千5百万ルピアのインセンティブ支給を開始し、2008年にはそれを2千万ルピアに引き上げるとともに公用車と官舎も提供するという方針を決定しています。 投書に記されている2007年の臨時公務員医師11人に対するインセンティブ支給が遅れたのは、ワカトビ県家族計画保健局2007年度予算に「文民公務員(PNS)医師向け追加給与」と書かれてあったからで、もちろんPTT医師とPNS医師は異なるものなのです。 2006年内務大臣規則第17号に従って本来それは「臨時公務員(PTT)医師向け追加給与」と書かれるべきものだったのです。なぜなら予算項目コードと費目コードが異なっているのですから。それらのコードが異なっていたために臨時公務員医師のためのインセンティブ出金が障害を受け、支給が遅れてしまいました。その遅延は2007年度予算の費目コードミスによって起こったことだと言えるでしょう。 2007年9月になって11人の臨時公務員医師は相談し、県家族計画保健局にそれぞれの口座番号を知らせることを合意しました。またかれらは6ヵ月分のインセンティブをまとめて受領証にサインしました。それはインセンティブが出金されたとき、それを受け取るために再度ワカトビを訪問する費用と時間とエネルギーを省くのが目的です。かれらの受領証はその出金がなされたときのために県一般会計局が保管しています。ワカトビ県2007年度予算内で11人の臨時公務員向けインセンティブは既に適切な費目コードに変更されており、あとは出金プロセスのフォローにかかるばかりとなりました。 ワカトビ県庁の名において県家族計画保健局は、ワカトビ県での勤務期間中に慈愛と奉仕の精神に満ちて務めを果たされた11人の臨時公務員医師に対して、インセンティブ支給にこのような遅延が発生したことを心よりお詫び申し上げます。[ ワカトビ県家族計画保健局長、ラ・オデ・ボア ] 「住民が嫌がることは密かにこっそりと」(2008年7月3日) 2008年2月22日付けコンパス紙への投書"Saluran Distribusi Gas Cair"から 拝啓、編集部殿。わたしの家が面している道路で三ヶ月ほど前、液化ガスのための配管工事が行われました。ところがおよそひと月ほど前、今度はわたしの家のフェンスから2メートルほど離れた場所に「高圧配管」という警告表示板が立ちました。その表示板には禁煙という表示も見られます。つまりは、液化ガス配管工事以来わたしの家がある場所は危険地域となったわけです。もしそれが高圧配管であるのなら、プルタミナ職員のだれひとりとしてこの地区住民を訪問しなかったのはどうしてなのでしょうか? わたしは政府の方針に反対するつもりはありませんが、わたしも隣人たちも話し合いに応じる意思は十分あるので、当局は好き勝手に事を進めるようなことをしないでほしいのです。今回のことでわたしたち住民は権利を侵害されたと感じています。関係当局は英慮をもって行動してください。[ デポッ市チマンギス在住、シェイラ ] 「罰金もネゴが必要?!」(2008年7月14日) 2008年2月15日付けコンパス紙への投書"Denda Tilang Lalu Lintas Tanpa Tanda Terima"から 拝啓、編集部殿。2008年1月14日、わたしは東ジャカルタのバイパスにある税関本庁向かいで、高速車線をオートバイで通っていたために交通違反切符を切られました。その違反切符には1月18日に簡易裁判に出頭するよう記されていましたが、その日は忙しくて出頭できませんでした。出頭はいつも違反日から2週間後であり、4日後の出頭なんて前例がありません。罰金を納めて取り上げられたC種運転免許証を返してもらうためにわたしが1月25日に東ジャカルタ地方裁判所を訪れると、受付窓口担当者はわたしの書類はもう東ジャカルタ地方検察署に送られたあとだと言うのです。わたしはその足で検察署へ行き、違反切符を差し出しました。しばらくしてから担当職員はわたしのC種免許証を返してくれましたが、罰金4万ルピアを納めろと言います。これまでの裁判所での経験から、罰金は3万ルピアではないのか、とわたしは尋ねました。東ジャカルタ地方検察署職員は、交通違反の罰金はもちろん自分が言った金額だと言いました。ところがわたしが領収書を要求しても出してくれません。これだと国庫に入るべき交通違反罰金がだれかの懐に入ってもわからないではありませんか。 気になったので、わたしは交通違反切符を切られた際の本当の罰金額がいくらかを調べました。インターネットで見つけた罰金表によると、二輪車の交通違反罰金は最大で2万5千ルピアとなっていました。そしてわたしが犯した違反は軽度の違反カテゴリーに入り、その場合の罰金は最高1万5千ルピアだったのです。[ ジャカルタ在住、アリフ・ウィバワ ] 「非を認めることが致命傷となるインドネシア」(2008年8月15日) 2008年4月8日付けコンパス紙への投書"Arogansi Petugas Bea dan Cukai Bandara Soekarno-Hatta"から 拝啓、編集部殿。2008年3月10日に国外から戻ってきたわたしども夫婦は実にひどい扱いに見舞われました。SJという名の女性税関職員が傲慢にもわたしどもをまるで密輸入者のように扱ったのです。X線透視装置のモニター画面を見ようともしないでその職員はいきなりわたしどものトランクを指し示し、検査台に置いて鍵を開くよう命じました。小さい子を連れていたのでその面倒も見ながら苦労してトランクを検査台に置きふたを開いてその検査に応じようとしたにもかかわらず、奇妙なことにその職員はほかの乗客を相手にして衣服のことで議論を続けているのです。わたしはそのそばでしばらく待ち、ついにその職員はわたしのトランクを調べに来ました。ところが中味をはっきりあらためようともせず、汚れた衣服が入っているプラスチック袋を指差してバッグを隠していると批難するではありませんか。言われたわたしはムッとして、「わたしは法律を十分に理解しており親族には警察官もいる。疑わしい物品を証拠として示す前にそんなことを言う権利はあなたにはない。」と言い返しました。おまけにわたしのトランクがX線透視装置の中を通っていたときあなたはモニター画面を見ていなかったではないか、とも。すると職員は傲慢な態度を続けて、そのトランクはわたしの前に議論した別の乗客の持ち物と思ったからだ、と言ったのです。そしてわたしに向かって、「あんたの態度は国を滅ぼすものだ」と粗野な口調でわたしを侮蔑した上、おかしなことに目の前に開かれているトランクを調べようともせず、ふたをしてX線に通せと命じたのです。 勘違いしたのを認めるのがこの職員は恥ずかしいのだと確信したので、わたしはそれを拒否し、自分の目で直にそのプラスチック袋の中味を確かめてくれと言いました。そこで言い合いをしているわたしたちに他の乗客の好奇の視線が集まっていたため、別の税関職員がその言い合いに割って入ってコンフリクトを鎮めました。 空港で通関オーソリティとして権限を振るっている税関総局職員は乗客の荷物検査を横暴な姿勢で行わないようにしてください。ただでさえ芳しくないわれわれの国際空港の評判を傲慢な税関職員の振舞いで一層おとしめるようなことがあってはならないのです。[ ジャカルタ在住、エコ・プルワント ] 「サボり役人たち」(2008年10月9日) 長い休暇のあとは、カレンダーの赤丸がもうなくなったというのに職場へ戻るのが億劫になる者も少なくないようだ。家族親族の暖かい情愛に包まれて過ごす幸福な日々を振り捨ててまでただ言いつけられたことをするだけのお勤めに出るなんて、できるかぎり避けたいものだ、と思っているひとは、「じゃ、そうすればいいじゃん。」という甘く無責任な身内の言葉に唯々諾々と従ってしまうにちがいない。 長期連休明け初日の出勤率の悪さは、職員の規律がこれ以上ないくらい甘い文民公務員にもっとも顕著に現われるように見える。ましてやここ数年、国民へのサービスが本分であるとくどいほど言われている公務員だから、サボれば世間の風当たりもいや増しに強くなろうというものである。 しかしそれにもめげずに首都ジャカルタで、2008年ルバラン休暇明け初日での都庁文民公務員の非完全出勤者は1千人を超えた。都庁地方監督庁と地方人事庁が行なった都庁全組織査察結果報告によれば、公務員総数9,833人のうちの完全出勤者は8,742人で、怠勤率11%という結果を見た。非完全出勤者1,091人の内訳は、281人が遅刻あるいは無断欠勤、病欠82人、自己都合欠勤(izinと呼ばれるもの)65人、有休451人、教育訓練参加79人、所外業務105人。部門ごとに見れば、庁レベルでは地方資産活性化投資管理庁が職員76人中25人が出勤しておらず最悪で、一方地方生活環境統制庁は職員132人中いない者9人で最高の出勤率だった。都庁26局の中で一番の低率は中等高等教育局で、248人中68人が出ておらず、地方収入局は148人中145人が出勤しており、最高率だった。都民の用に仕えるサービス事務所では、埋葬サービス事務所が82人中42人しか出勤していない。プリヤント副都知事は、怠業を行なった職員の状況をまず調べて本人の過失内容を確認した上で、手当のカットや公務員等級の引下げなどの処分を行なう、とコメントしている。 「大蔵省が悪質不良公務員39人を懲戒解雇」(2008年12月24日) 2008年中に大蔵省は510人の職員に対して規律違反処分を行なった。そのうち39人は重度の規律違反として解雇措置を与えられている。その39人は既にさまざまな処分が加えられたにもかかわらず改悛の姿勢なく不正行為を続けたために解雇措置を受けた。免職に至るまでの処分としては、警告書1から3、定期昇給延期、減俸、昇格延期、降格、免職などのステップがある。 2008年に起こった大蔵省の名を汚す最大の事件は5月30日タンジュンプリウッ港税関メインサービス事務所でのもので、KPK(汚職撲滅コミッション)が行なった抜打ち査察で通関書類検査担当機能職69人が収賄取調べを受けた。69人中で潔白が証明されたのはわずか17人しかいなかった。クロとされたうちの4人は収賄の罪で即座に免職され、その後解雇されて公務員ステータスを失っている。KPKの抜打ち査察では税関書類検査担当官のデスクに多数の現金入り封筒や銀行送金証憑などが置かれているのが見つかり、その合計金額は5億ルピアにのぼった。それらの贈賄を行なったのは輸出入者であり、通関に手心を加えてもらうのを目的としていたと判断されている。これだけを見れば民間が悪事を行い、それを見逃してもらうために官職者に贈賄したという形になるのだが、税関側も根拠のない課税金額査定を行なって納税金額不足を輸入者に通達し不足額と罰金の納入を命ずることをしばしば行なってきたから、常に正直に通関している者でも手心を加えてもらおうとして贈賄する気持ちになるのはありうることだろうと思われる。インドネシアの腐敗行為は他の国で見られるようなシンプルな背景をしておらず、単純な善悪でものが見れない奥深さを持っていることに留意する必要があるだろう。 「これが贈賄せずにいられることかッ!」(2008年12月24日) 2008年7月1日付けコンパス紙への投書"Pemerasan oleh Oknum Dinas Perhubungan DKI"から 拝啓、編集部殿。2008年6月16日日曜日15時ごろ、スズキピックアップを運転して西ジャカルタ市ダアンモゴッ(Daan Mogot)通りを通行中だったわたしは、西ジャカルタ市運通局の制服を着た職員に停車を命じられました。プレート番号B6508CFWのオートバイに乗ったその職員の名前はワヒユディです。かれが車の書類をチェックしたところ車検が7日前に切れていたようで、かれはラワブアヤターミナルにある西ジャカルタ市運通局本部に車を持っていくようわたしに命じました。 到着したあと事務所でかれが言うには、車は2ヶ月間差し押さえられるそうで、その間一日1万ルピアの預かり料がかかるとのことです。ということは、わたしの車は2ヶ月間で60万ルピアの差し押さえ費用を取られるということではありませんか。『こりゃあ搾取だ』とわたしは気付いたので、わたしはかれに「10万ルピアでどうか?」と尋ねました。するとかれは「そりゃ、できない。」と言いましたがドミンゴスという名の上司に尋ねに行ったのです。ドミンゴスは英雄ぶった態度でこう言いました。「自動車は差し押さえられなければならない。ただしあなたが15万ルピアを納めるというのなら・・・・・」 ほかに選択の余地がなかったため、わたしはその領収書のない罰金を職員に渡しました。現金15万ルピアがわたしの手からわたしを捕まえたワヒユディの手へと。実に不思議です!政府や汚職撲滅コミッションがあちこちの政府機関で腐敗行為撲滅活動を盛んに行っているというのに、首都交通局職員は私腹を肥やすために堂々と職務を悪用しているのですから。[ バンドン在住、ヤント ] |