インドネシア「腐敗の姿」情報2005〜10年


「ブカシ市がアチェ被災者向け援助物資購入者を募る」(2005年2月18日)
インド洋津波大災害の被害を受けたアチェ民衆への援助を集めていたブカシ市庁は、援助物資をアチェへ送り込んでいたルートが相次いで物資取り扱いをやめたために市民が寄付した古着、即席麺、瓶詰飲料水、乾燥食品などの援助物資が送り先を失って野ざらしになっていることに鑑み、それらを売却してその浄財をアチェ被災者に寄付することを決めた。
ブカシ市アチェ共感連帯ポスコのパライ・サイド主事は、「ブカシ県やブカシ赤十字とも連絡を取ったが、いずこも似たような状況にあり、このまま放置してゴミにするわけにもいかず、人道支援の意義を尊重してそれらを現金の形に換えてアチェ民衆への援助に充当することにした。」と説明している。諸民間団体にそれらの物資送付の協力を申し入れたが、アチェ民衆はもはやそのような物品援助を必要としていない、として断られ、自力で送ることを検討したものの、送付物品の価値をはるかに超える費用と、現地で本当に有効利用されるかどうかわからない、という問題のために、ブカシ市は集まった援助物資の利用法を変更した。当面の目標はおよそ5トンにのぼる古着で、それらはまだ使用に耐えるものであり、これを1千万から1千5百万ルピアで購入する者をブカシ市は求めている。今のところアフマッ・ズルファイ、ブカシ市長が名乗りをあげており、市長は個人的にそれを購入してブカシとガルッの貧困家庭に配布する考えでいる。即席麺などの食品や飲料水は、アチェからブカシに移ってきた被災者およそ百人に寄贈するとともに、かれらの学齢の子供たちにも就学のための援助を与えようとブカシ市は計画している。同ポスコの帳簿によれば、集まっている寄贈品は衣類3,645袋と478箱、即席麺等の食品634箱、飲料水112箱、ミルク9箱、米8袋、医薬品12.5キロ、寄付金2.6億ルピア、運営費2千2百万ルピアとなっている。


「カキリマ商人からの不法徴収金は一日14億ルピア」(2005年3月18日)
首都ジャカルタには14万人を超えるカキリマ商人がいる。かれらカキリマ商人にも組織があり、インドネシアカキリマ商人協会(APKLI)ジャカルタ支部では所属する14万人を超える商人たちを取りまとめ、その声を代弁している。ちなみに首都支部が把握している地域図を見ると、カキリマ商人は35,626人が南ジャカルタ市におり、続いて中央ジャカルタ市に33,070人、東ジャカルタ市30,007人、北ジャカルタ市22,601人で以外に西ジャカルタ市には19,251人が営業しているだけとなっている。
かれらは市場の脇や道路脇、あるいは駐車場といった人通りの繁華な場所に仮設売店を設け、毎日商品を並べて販売しているが、毎日何人もの役人や地回りのやくざ者がやってきてはさまざまな名目で現金を要求するため、法的にも腕力的にも弱者であるかれらはそのような形態の搾取から逃れるすべを持っていない。協会の調べでは、商人一軒あたり一日に取られる不法徴収金は5千から1万5千ルピアとのことで、概算すれば一日14億ルピアの不法徴収金が路上で動いていることになる。運送機関の世界で動いている不法徴収金はまた別だ。
1997年以来クリスモンに襲われたインドネシアでは、企業倒産が相次ぎ、大勢の失業者が生まれ、ジャカルタにとどまったかれらの多くは、その日暮らしのカキリマ商売の世界に入って行った。急増したカキリマ商人を秩序付ける必要が生まれ、都庁は急遽、特定地区をカキリマ商人ビジネス地区に指定してかれらに場所を提供し、そこでは行政サービスの対価として設定されている課金徴収も廃止された。しかしAPKLIは、西ジャカルタ市ラワブアヤや南ジャカルタ市パサルミングに設けられたカキリマ地区での方が不法徴収金が激しい、とコメントしている。協会は都庁に対し、公的にはないはずの課金が不法徴収金として取られている現状はきわめて不明朗であり、都庁はむしろ課金を設定して金額を明示し、またその用途を明らかにするようにして状況を改善してほしい、と要請している。また金を搾取しに来るやくざ者に対抗するため、同協会は会員の間でタスクフォースを編成する計画でいる。


「援助物資がメダン港で山積み」(2005年4月29日)
4月28日現在メダンのべラワン港に、インド洋津波大災害の被害を受けたアチェと北スマトラの2州に向けて外国から送られてきた支援物資が1,488TEUs(20フッターコンテナ換算)、まだ積み上げられたままになっている。その多くは医薬品、食糧、テント、毛布など難民の救援活動に有効なものばかりだが、中には車両103台も混じっている。この車両については先にブローラセンターが、救援物資の陰に隠れた密輸入品が混じっているのではないかとの疑惑を表明している。
タンボス・ナイボル、べラワン地区税関サービス事務所長は、「海外から届いた救援物資は4,073TEUs、車両は146台と53TEUsあり、大半は引き取られたが一部は荷受人が輸入手続をしないため港内に積み上げられたままになっている。ほとんどが今年1月に到着したものだ。」と述べている。荷受人が輸入許可手続を行っていないか、もしくは許可が下りているのに何らかの理由で引き取ろうとしていないか、そのどちらかだろう、と税関側は説明している。インドネシアは厳重な輸入管理制度が敷かれており、輸入者資格ライセンスを持たない者は輸入通関が難しい。また米・砂糖・自動車・衣類などは輸入規制がしかれ、品目別のライセンスを別途取得しなければならない。しかし政府は2005年度第21号商業大臣令で自然災害被災地救援を目的にした物資輸入手続の簡素化を行い、荷受人が誰であれ商業大臣の許可だけでどれでも輸入できるように一元化を図っている。
べラワン港コンテナヤードに最も長期間滞留しているのは1月16日に陸揚げされたコンテナで、シンガポールからインドネシア赤十字メダン支部宛てのもの。ほかのコンテナの荷受人を列挙すると、PMI Aceh, Rumah Sakit Zainal Abidin Banda Aceh, UNICEF, Departemen Sosial RI, Mabes TNI, Yakuum Emergency Unit, Bakornas, Posko Deplu, Aceh Sepakat, Rizal Nurdin Kepala Posko Satkorlak Bencana Alam Aceh dan Sumutほかさまざまな民間団体も混じっている。一方救急車を含む自動車の荷受人はMerlin Banda Aceh, Solidaritas Aide Humanitaire D'Urgence Medan, PMI Medan, Crisis Centre Medan, United Nation Population Fund Jakarta, PT Asia Rim Reliance Indonesia, World Vision Indonesia, FAO Medan。
大量の貨物がべラワン港のコンテナヤードを占拠しているため港湾荷役に不便が生じており、べラワン地区税関は荷受人に対して早急に貨物を引き取るよう要請している。


「災害救援物資がべラワン港でまだ長期滞留」(2005年5月14日)
メダンのべラワン港混雑の原因のひとつは、ニアスとアチェへの自然災害救援物資にある、と港湾運営会社ペリンド?が表明した。限られたスペースのべラワン港コンテナ集積ヤードに大量の救援物資コンテナが積み上げられているため港湾作業に障害が出ており、作業能率が低下しているというのがその主旨。
「集積能力7千TEUSのヤードに1,458TEUSの救援物資コンテナが置かれている。そのため通常の貨物物流が止まらないようにするためには、毎日総能力の65%でコンテナの出し入れを行わなければならなくなっている。べラワンの一月あたりのスループットは2万TEUSであり、一日のインは3千5百TEUSが限界だ。救援物資がいつまでたっても引き取られないで放置され、ヤードを占拠しているために、港湾荷役作業は能率が低下し、結局は船の接岸待ち日数が増加することになる。もう四ヶ月も放置されているコンテナが少なくなく、たとえば中国からの物資がその例だ。」とべラワン港コンテナターミナルのアバディ・スンビリン部長は語る。
同港コンテナターミナルは救援物資の入ったコンテナ荷役に対して費用徴収をしておらず、荷受人は早急にそれらのコンテナを引き取って港湾の混雑を減らすよう協力してほしい、ともかれは述べている。試算によれば、同港ターミナルが免除する荷役費用は10億ルピアに上っているとのこと。食料品や医薬品がコンテナの中で猛暑をこうむれば、品質劣化が予測されるために、せっかくの援助物資が無駄になるだろうし、また船会社とのデマレッジ処理も別途必要になるのではないかと同部長は気をもんでいる。
一方、北スマトラ州援助実施調整ユニットのヌルリサ・ギンティン副委員長は、大量の援助物資入りコンテナが港で山積みになっている事実を肯定する。副委員長によれば、一部の物品に対する商業大臣の許可が下りないために、コンテナの引き取りができないでいる、とのこと。「既にいくつかのオプションを商工大臣に提出しています。輸入許可決済チームをべラワンに送って現地で処理してはどうか、北スマトラ州知事に権限委譲してはどうか、などと。このユニットの最高責任者にあたる州知事や州庁の関連高官からも中央政府に輸入許可に関する手紙が出ていますが、ごらんのような状態です。」とかの女は説明している。


「アチェ救援物資の一部は輸入許可なしでも通関できる」(2005年5月16日)
アチェ被災地への救援物資でべラワン港に滞留している貨物を国内に入れるにあたって、政府は最終的に輸入許可免除の措置を取った。インド洋津波大災害発生後、アチェと北スマトラの被災地住民に対する援助物資としてメダンのべラワン港に送られてきた貨物はコンテナで4,360本あり、そのうち844本が港の保税エリア内から国内に出されないままになっている。それらのコンテナは、通関書類が整っていないために輸入通関手続きにかけることができないものだ。また中には援助物資と抱き合わせで、密輸入が疑われている高級乗用車なども混じっている。それ以外にまた輸入通関手続き中の607本のコンテナがあり、それらが港から引き出せるのは時間の問題だそうだ。
アブリザル経済統括相は、税関総局、べラワン港運営機関、商業省輸入局長などの関係諸官庁と調整を取り、自然災害国家調整庁長官としての立場からユスフ・カラ副大統領が輸入許可免除措置を与えるよう指示した、と公表した。同時に物資運搬費用として20億ルピアが州政府に寄贈されている。
この副大統領指示に関連して商業相は、トラックのように輸入許可取得義務を負う物品で書類がまだ整えられていない輸入貨物に対し、アチェへの援助目的のものについては輸入許可を免除する大臣令をすでに発行したとの情報が流れている。トラックに限っては人道支援を目的に早急にアチェに送られるが、リムジンやセダンなどの高級車については必然性が疑われるため、調査の対象として残されることになる、と経済統括相は語っている。


「石油燃料密売はなくならない」(2005年6月29日)
石油燃料密輸出は相変わらず続いている。原理は単純に国内外の価格差によるものであり、国民の経済力に合わせて政府が補助金を付けた廉価燃料が国内で購入でき、一方国外ではそれよりはるかに高い国際相場で売買されているから、国外に持ち出せば鞘が抜けるという寸法だ。
今年3月、政府はその価格差を小さくしようと補助金撤廃を錦の御旗にし、反対の声を押し切って石油燃料値上げを行ったが、ここにきて原油国際相場がまた高騰しているため、国内外価格差がいつまでも縮まらないという現実がある。27日に報道された台湾タンカーへの軽油528トン密売事件摘発は、似たような密売の大海の一滴だろうと見られている。中部ジャワ州チラチャッで摘発されたその事件では、国内小売定価リッターあたり2,100ルピアの軽油を大量に貯えていた隠匿者が、台湾船にリッター4,400ルピアで販売しようとしたもので、隠匿者はその取引から11.5億ルピアの大もうけを期待したが、かえって犯罪者としての姿をさらすことになった。
プルタミナのムスティコ・サレ副社長は、110万キロリットルの流通石油燃料のうち20%は国外に密輸出されていると語る。密輸出とは輸出許可を持たない者による外国勢に対する販売を含んでおり、先のチラチャッ事件のような国内で外国船に販売するというものも含まれている。そのようにして国外に出た石油燃料を皮肉なことに、プルタミナはふたたび国際相場で輸入していると同副社長は述べている。政府が国内で集めた国民の税金の一部が燃料隠匿密売者に掠め取られているというメカニズムがそこで動いているのである。
石油燃料供給ネットワークの中で、地方に置かれたプルタミナデポからガソリンスタンドへ、あるは漁船へと燃料が売り渡される。燃料隠匿者はガソリンスタンドから目立たぬよう、しかし頻繁に燃料を購入する。たっぷり貯えられると外国のタンカーと売買交渉を始め、一方漁船の中には、漁には不熱心だが、タンク一杯に満たした燃料を沖合いで外国船に小売する者がいる。場合によっては漁の水揚げより儲かるから、人間は楽な方を選ぶにちがいない。
大型タンクローリーが十数台もやってきて、普段そんなことが行われていない場所で停泊しているタンカーに大量の給油をしていれば、人の目につかないはずがない。そんな異常なことを目にしたら、不審を抱こう。不審なことに口を開くと、権力者が銃を手にした兵隊を送り込んでくるという時代ではもうないのだから、と有識者は声を大にして呼びかけている。


「PILKADA」(2005年8月1日)
ここ数ヶ月、この単語が新聞に出ない日はないが、辞書を調べても載っていない。それもそのはず、これはPemilihan Kepala Daerah(地方首長選挙)を縮めた略語だ。7月25日に首長選挙結果に反発したブンクル州カウル住民が暴動を起こしたとのニュースが流れたが、これは落選した側が金で仕組んだヤラセとのこと。地方首長選挙の地下水流をなしているメカニズムに関して、ポンティアナッ在住の宗教家ウイリアム・チャン氏が提出している分析を見てみよう。
ある地の県令が地元著名人に数十億ルピアの金をオファーした。自分のファミリーのひとりと組んで今度の県令選挙に出馬してほしいという依頼だった。その県令は十分に知り抜いていた。地方首長の椅子は高い買い物であるということを。金の不要な高位者の椅子などないということを・・・・・。
当選した後、県令や市長たちはたいてい、何人もの地方議会議員や地元資本家に対して得票資金の分割返済をしなければならない。その借金返済資金を集めることに首長が没頭するために、住民の福祉向上プログラムは支離滅裂となる。幸いなことに、高官には年間の巨額な戦術資金が下りることになっているのだが。
とまれ、住民の中に飢餓水腫や栄養不良者が出ても、首長の念頭にはのぼらない。SBY大統領の警告が出される前、地方首長たちは週末ジャカルタにやってきて、月曜に地元に戻る生活をしていた。地元社会を足で見ることの少ないかれらには、地元の実態が十分見えていない。ところが資金回収者としては、小規模ワルンを破綻させ、つぶす必要のないパサルを解体に至らしめるモールの建設や国家資産売却などのメガプロジェクトを狙うのに熱心だ。地方首長は住民の正義と福祉を守護する行政官であるよりもむしろビジネスマンとして活発に活動している。
資金回収者たる地方首長は、国家国民としての社会生活システムと地方総選挙コミッションの働きの実態の中で生まれたものだ。地方総選挙コミッションは下の三点が弱い。まず、立候補者が規定条件に適合しているかどうかの判定。強要され、デモやら何やらを突きつけられると、本当は規定を満たしていなくても立候補者を通してしまう。だから諸方面が立候補者審査の客観性に疑念を抱いている。次に、選挙民数に関する正確なデータが混乱している。住民の中にはKTP(住民証明書)を複数持っている者がいるのだ。三つ目、投票する権利のない者が投じた無効票の選別能力を持っていない。公正な選挙が行なわれることへの期待からはるかに遠いところにピルカダの現実があるのだ。違反の兆候が見つかってもフォローアップがなされないため、住民の不満が地方総選挙コミッション事務所を抗議やデモのターゲットにしているのも当然と言える。住民は統制面がきわめて弱い地方首長選挙システムに失望し、不公正に扱われたと感じている。地方総選挙コミッションメンバーはもっとプロに徹しなければならない。問題あるメンバーに交代させるための候補者も用意しなければならない。総選挙コミッションの働きは、選挙結果に大きい影響を与えるものだ。
資金回収に没頭する地方首長の出現は、汚職撲滅全国プログラムにとって障害要因である。地方首長の頭の中は借金返済で一杯であり、住民福祉の向上がその頭で真剣に考えられるわけがない。中央政府はこれから先の5年間、そのような地方首長をどのように扱って行こうとしているのだろうか?


「石油燃料欠乏のさなかに、自国産燃料が消えている」(2005年8月9日)
8月3日、タンジュンバライカリムンの沖50海里の地点で、他の船に積荷を渡していたと見られる船舶が海軍パトロール艇に拿捕された。この船は軽油120トンを積んだインドネシアのミニタンカー「ジャヤスクセス」号で、ホンジュラス船籍の「アイワ丸」に接舷して軽油を移し変えていたところを海軍に発見されたもの。ジャヤスクセス号はタンジュンバライカリムン海軍基地に連行されたが、アイワ丸は乗員が機関の故障だと説明したため、釈放された。ジャヤアクセス号を連行する際、同船乗組員がパトロール艇乗員に「釈放してくれれば1億5千万ルピア」と持ちかけたとの話が伝わっている。
海洋国家インドネシアの海の上の国境は犯罪者による不法侵犯が容易に行われる場所で、2004年中盤以来87隻が既に官憲に取り押さえられている。もっとも顕著なのが不法伐採木材の密輸出であり、今年2月にはパプアから30万立米のメルバウ丸太を積んで中国に向かっていた船が捕らえられたが、不法木材シンジケートが「それを放してくれたら18億ルピア」という話をもちかけたという。積荷の価値が数兆ルピアという膨大なものだけに、賄賂の金額もプロポーショナルのよう。メルバウ不法伐採密輸事業はきわめて国際的で、現地たるインドネシアにはじまり、マレーシア、シンガポール、中国、インドなど関わっている人間は国際色豊か。カリマンタンでもやはりチュコンと呼ばれる裏ビジネスの首魁が、不法伐採木材をマレーシア領に運び出す際にトラック1台につき5百万ルピアを国境監視の役人に渡し、現場役人はそれを上司に差し出して分け前にあずかるので、密輸品が大手をふって国境を通過している。
ところで、石油燃料値上げと欠乏のダブルパンチを国民に与えている政府のエネルギー行政の片隅で、8月3日に起こったような石油燃料密売が頻繁に行われている。地方の製油所から消費地に向けて送られる石油燃料は、タンカーが使われることが多い。タンカーは海岸から遠く離れた沖合いで買い付け船とランデブーし、あるいは別の場所に立ち寄って、積荷の一部を売り渡す。関係者はその行為を「ションベン」と呼んでいる。
2004年11月、60トンを超える不法石油燃料を積んだLCT5隻がマハカム河口で州警察に捕まった。それらの船はバリッパパン沖で製油所から積み出したタンカーのションベンを受けたものらしい。東カリマンタン州では、毎月百万リッターつまり1千トンがそのようなションベン行動で国内の正規流通ルートから消えているものと警察やプルタミナ関係者は見ている。


「油断!」(2005年9月16日)
石油燃料最値上げの予定を前にして、都内でも灯油の品薄が顕著になりはじめているが、首都警察は1千5百人の職員を動員して首都圏一円でおよそ二ヶ月間にわたって展開している石油燃料流通に関わる違法行為摘発作戦で、54人の容疑者を逮捕し、さまざまな油種を317トン押収した。
チプトノ首都警察広報部長は、石油ガスに関する2001年法令第22号で規定されている、加工、輸送、保管、販売の各行為についてのライセンスの有無がポイントだと述べている。タングランには石油燃料販売代理店が52社あるが、月間需要の1千5百万リッターを上回る2千9百万リッターのデリバリーオーダー(DO)が出ており、13の架空代理店がDOを出している由。摘発作戦はプルタミナデポ、代理店、輸送基地、小売機関などをしらみつぶしに調べてまわる方式で、発見された違反の多くは軽油灯油の隠匿ならびに混合水増し行為、あるいは産業界への闇販売。しかし流通違反対象はほとんどすべての油種にわたっている。


「都庁のマインドセットは如何?」(2005年10月20日)
トランスペアレンシーインターナショナルインドネシア(TII)が今年2月に公表したサーベイでは、全国で最も腐敗した町が首都ジャカルタとのこと。それを読んだ大勢の読者は一様に、さもありなんとうなずいていた。あらゆるものが金次第というジャカルタを知る人にとっては、今さらなにを・・・ということかもしれない。
ある都庁指定業者は、工事プロジェクトをもらうためには50のデスクを通らなければならない、と語る。そのすべてに『委託金』が載る。出納局だけでも20のデスクを通る。相場としては5万ルピア札が一枚。だがお偉方には差をつけなければいけない。だから10万ルピア札になる。プロジェクトをもらうためのプロセスは、まず入札委員会から始まる。公定の入札参加費用とは別に、75万ルピアの契約費を納めなければならない。おまけに落札金額の2.5%が非公式に委員会に献上される。続いて監督者、出納管理者、プロジェクト管理者、そして出納局も。最終的に業者の手には10〜15%程度しか残らず、それよりもっと大きい金が都庁の役人たちにばらまかれる。業者はそんな裏口ゲームに乗らざるをえない、とかれは本音を明かす。でなければ入札には決して勝てないし、ましてや都庁の役人が他の業者の名前を借りて入札に割り込んで来るのだから。
都庁に使われる業者だけがそうではない。石油ガス関連の会社が都内で事業を始めるにあたって、まず都市ファシリティ建設許可手続きからスタートした。都市インフラ管理局に、都知事宛申請書を出す。すると、都市インフラ管理局、建物監督整備局、都市整備局、公共事業局、運輸局、公園局から成る合同チームの審査を受ける。用地現場視察が行われると、1千数百万ルピアの金が飛ぶ。それでうまく承認が得られたら、都市インフラ管理局から都知事承認書が手に入る。続いて都市整備局でブロックプランの指導を受け、都市整備次局で手続きに入る。都市整備局では高くても5千万ルピア程度の金が飛ぶ。そして次局では1〜3千万ルピア。それらは交渉次第で金額が決まる。その次、運輸局での交通影響分析。ここはやはり数千万ルピア。さらに次から次へと他の局に金を持って回る。
宅地開発デベロッパーも同じこと。許認可で金が動かないものは一つもないが、それとは別に法規が定めた事柄が巧みに利用されていく。住宅地区の開発を行えば、社会ファシリティ・一般ファシリティの建設がデベロッパーに義務つけられ、それらのファシリティは完成後地元自治体に移管されて、自治体の管理化に置かれる。行政側が何をするかと言えば、それらファシリティの維持費が高いから、それらは受け取らない、とくる。数百億のプロジェクトだと、それらファシリティの移管費用は数十億ルピアに達する、と業界者は語る。
首都商工会議所専務理事のナスルル・アリフィンは、会員企業からの、都庁の腐敗に関する苦情は絶えない、と語る。「中でも腹立たしいのは税金関連で、外資企業が投資をするさいにもっとも苦情の種になっている。かれらは巨額の和解金を出費しなければならず、かれらが結局ジャカルタから逃げ出す遠因になっている。ほかの問題は、行政管理が不透明であることだ。」と同専務理事は述べている。


「団結インドネシア内閣リシャッフル」(2005年12月6日)
SBY大統領は5日夜、ジョクジャカルタの大統領宮殿で内閣リシャッフル人事を発表した。6大臣ポストで交代が行われる。
[ 経済統括大臣 ]
現職 Aburizal Bakrie  新ポストは国民福祉統括大臣
前メガワティ内閣大蔵大臣 Boediono  新ポストは経済統括大臣
[ 国民福祉統括大臣 ]
現職 Alwi Shihab  大使に転出
現経済統括大臣 Aburizal Bakrie  新ポストは国民福祉統括大臣
[ 大蔵大臣 ]
現職 Yusuf Anwar  大使に転出
現国家開発企画庁長官 Sri Mulyani Indrawati  新ポストは大蔵大臣
[ 工業大臣 ]
現職 Andung Nitimiharja  転出先未定
現労働大臣 Fahmi Idris  新ポストは工業大臣
[ 労働大臣 ]
現職 Fahmi Idris  新ポストは工業大臣
現国会第5委員会副議長(PKB役員) Erman Suparno  新ポストは労働大臣
[ 国家開発企画庁長官 ]
現職 Sri Mulyani Indrawati  新ポストは大蔵大臣
現国会第11委員会議長(ゴルカル役員) Paskah Suzetta  新ポストは国家開発企画庁長官

新閣僚の顔ぶれから、今回の経済閣僚交代人事は政権強化の狙いが感じられ、SBY内閣の産業界底上げ姿勢がトーンダウンした、という印象を政治観測筋や実業界は抱いている。


「イ_アの腐敗度は依然最悪」(2005年12月9日)
香港に本拠を置く政治経済リスクコンサルタンシー(PERC)が最新の各国汚職度評価番付を公表した。アジアでは調査対象12カ国中インドネシアが依然最低。評点は劣悪10点満点でインドネシアは9.44。番付を見ると、アジアでクリーンナンバーワンはシンガポールで0.89。二位香港が1.22。三位以降は、日本、韓国、マレーシア、台湾、タイ、中国、インド、フィリピン、ベトナムと続いている。
各国在住外国人の目から見た評価を総合したこの調査結果は、それなりの国際規準が反映されていると見てよい。インドネシアに関する論評としてPERCは、賄賂がきわめて大きい欠点だと外国人の目に映っているが、SBY内閣からその撲滅プッシュがかかっており、法制度内での信頼性に疑問を感じるものの、同政府は対賄賂闘争のステップを進めている、と述べている。
PERCの調査結果についてインドネシアコラプションウオッチ(ICW)は、その結果はわれわれが毎日インドネシアで目にしている事実と現実の通りだ、とコメントした。「この調査結果は2003年の世銀報告に重ねられるもので、ハイコスト、紛糾した手続き、長い時間のロス、などが外国投資の足を引っ張る要因となる、という主張を裏書している。税関、国税、イミグレーションなど外国ビジネスマンにとってバイタルとなる機関がかれらへの便宜を優先していないし、プンリの激しさがコストをあまりにも高くしている。SBY大統領が唱導しているコルプシ撲滅については、今のところ抑圧的方式しか取られていない。つまり汚職者を捕らえて罰しようということだけであり、インフラの改善には手がつけられていない。すなわち法執行者のビヘイビヤは旧態然としたままだ。ここ一年間で挙げられ、判決を受けた汚職者は50人に満たない。予防的な対応、つまり投資システムや行政システムの整備はまだあまり行われていない。たとえば外国人が暫定居住許可(ITAS)や会社設立の手続きを行えば、プンリがすぐにかれらの目に焼き付けられる。商業省や法務省での長ったらしい手続きもすぐそのあとに控えている。」ICW副コーディネータはそう語っている。


「Romaはインドネシアにある」(2005年12月29日)
ルイ・ビトン、プラダ、ジャック・ニクラウスなどの一流ブランド衣料品がたったの2〜3万ルピア。ベルニーニ、D&G、ヒューゴ・ボスでも3万5千ルピアという値段。コートや皮ジャンでも7万まではしない。ジャカルタのモールに行けば150万以下では絶対に買えないし、ものによっては6百万ルピアもするというのに、ここではその百分のなにがし。ここはジャカルタでもなければその近郊でもない。ジャカルタからはるかに離れた東の果て、マレーシアのサバ州タワウと踵を接する東カリマンタン州の国境の町、ヌヌカンだ。
街中の商店脇や道端に所狭しと吊り下げられた衣料品。一流ブランド品がそんな中に混じって、名前も聞いたことのないような三流ブランド品と同居している。商人や流通業者たちはその扱い商品をRomaと呼ぶ。イタリアの首都とは何の関係もない。れっきとしたインドネシア語、Rombengan Malaysia (マレーシアぼろ布)の頭を取った造語だ。言うまでもなくマレーシア側のタワウから流れてきた古着が多数を占めているが、すべて古着とは限らない。工場から流れてきた生産品の残りものや商店から流されて来た陳列品も混じっている。それらはれっきとした新品なのだ。とはいえ工場も商店も、それらをまともに販売することはできない。陳列品の場合は、新モード商品にその場を譲ったあと、それまで持っていた価値が二束三文に暴落する。工場から流れてきた一流ブランド品は、決して贋造品ではないのだが、本来廃却されなければならないものだ。そのあたりの事情は、こう説明すればわかりやすいかもしれない。
一流ブランドオーナーは縫製賃の安いところへデザイン登録した製品の製造を発注する。注文が1万着だとすれば、縫製工場側は不良を見込んで1万1千着作る。選別されて1万着の受け渡しが終わると、残った1千着は廃却されなければならない。ところがそんなもったいないことをする縫製工場は稀。選別ではねられた不良品が4百着あれば、その不良品とまともな6百着を全部まとめて工場は売りに出す。不良品は不良品のマーケットがあるため、ブローカーはそれをれっきとした商品として扱う。
捨てられる運命のそんな品物が集まってくるこの市場は掃き溜めであり、だからそこに集まってきた品物は文字通りRomaなのである。このようにして隣国の掃き溜めからインドネシアに流れ込んでくるゴミくずは、決して衣料品ばかりではない。
タワウとヌヌカンの間をフェリーが往復している。ヌヌカンからタワウへはひとり6万5千ルピア払っておよそ1時間の船の旅。タワウからは2百人乗りフェリーがひとり25リンギッの船賃でヌヌカンにやってくる。しかしRomaは普通そのフェリーに乗らない。古着は木造船に乗ってやってくる。この船は古着を2〜3百袋積むことができ、およそ2時間かけての航海で1千万ルピアを手に入れる。だからこの船を使えるのは、そしてRoma輸入ビジネスを行えるのは、資金力のある業者に限られる。大きな布袋に入ったRomaは、その中に30から50着の衣料品を納めたまま、到着と同時に1袋15万から20万ルピアで商人に売り渡される。商人は中味を見ることなく、大きな布袋のまま商品を買うことになる。このスタイルはジャカルタのタナアバンでも行われているやり方で、「袋の中の猫を買う」スタイルだ。「こりゃ、博打のようなもんだ。中味がよけりゃ大もうけだが、どうしようもない古着ばかりだと、別の袋でその損をカバーしなきゃならなくなる。」商人のひとりはそう語る。Romaはヌヌカンの地元市場を消費地にしているのではない。わずか11万6千人というヌヌカン県の人口なのだ。ヌヌカンから一部は南スラウェシのパレパレやマカッサルに流される。12時間かかる定期船が8万5千ルピアで目的地まで運んでくれる。あるいは同じカリマンタンの海岸沿いの町、サマリンダ、ボンタン、バリッパパンへ。それらの町を中継地として、Romaはもっと大きい消費地ジャワ島へと流れていく。
50着入り袋が15万ルピアであれば、1着平均3千ルピアが原価だ。それに輸送費やマージンが乗る。一着2万から3万ルピアの値付けで、商人は十分な利益を手に入れる。消費者にとっても、一流ブランド品がそんな激安価格で手に入るなら垂涎もの。全国津々浦々にある低所得層向けパサルがRomaの最終マーケットなのだ。そう、Romaはすべての道に流れ込む。


「大蔵省内監査報告」(2006年1月26日)
大蔵省内部の業務監査で、国費に関連する1,171件の逸脱行為が報告されたことが明らかにされた。大蔵省が公表した2005年第一〜第三四半期監督総局監査報告書によれば、発見された違反行為は3,331件でそのうち金銭の関与しないものが2,160件、1,171件は国費の関与する違反で、金額は6,013億ルピアと見積もられている。金銭の絡む違反のうち947件は国税総局内のもので、金額は5,715億ルピア、あとは主計総局、税関総局、予算総局、官房総局などに散らばっている。特に目立ったものとしては、135億ルピアの対外サービス支払いに対するPPhPasal26の27億ルピア徴収洩れ、完成品自動車輸入に対する奢侈品税未徴収、土地建物税64億ルピア未納税者に対する督促状未発行、期限の過ぎた督促状に対する強制執行命令書未作成、PPh200億ルピア納税不足に関する報告洩れ、ロイヤルティ海外送金のPPhPasal26徴税は実施されたがPPN113億ルピア徴税洩れ、など。
その定期監査の中で監督総局調査院は、特別調査対象の中にまだ国庫に納められていない不動産権利取得税35億ルピア、税金還付違反行為、還付金出金遅延、税務処理違反などが上がっており、調査院は事務所長に対する規律違反重制裁、と課長に対する軽制裁を与えるよう提言している。
国税総局はその監査報告に対するフォローアップを行い、1,426件総額7,449億ルピアと21.8万米ドル相当について対応処理を済ませたとハディ・プルノモ国税総局長が表明した。スリ・ムリヤニ・インドラワティ蔵相は、省内での汚職疑惑に関する証拠集めを汚職撲滅コミッションと協力して推進するよう、監督総局長に命じた、と語った。トップフォーカスは流出した国費を取り戻すことにあり、次いでそれを行った職員に対する法的措置を取るというウエートの置き方をしている。同相は省内に予防効果が生まれることを期待しているが、かといって省内のすべての職員が疑わしいと言っているわけではない、とコメントしている。


「盗伐材はマレーシアを目指す」(2006年2月8日)
リアウ州ベンカリス県小シアッ川にリアウ州不法伐採撲滅チームが抜き打ち視察のボートを乗り入れたとき、それを見ていた悪徳役人からの情報が流れたようだ。ボートが上流に上がったところで、表面をきれいに削られた数十立米の木材ブロックを積んだ船が数隻発見されたが、船上にはひとりの人影さえ目にすることができなかった。川岸に設けられた集材基地には最先端の通信機器やコンピュータ器材がそろえられ、陸地側からのアクセス路が完全に遮断されている立地環境とその設備の対比に、関係者は目を見張った。だかそこからも、人間の姿は消えていた。船のひとつからパスポートが見つかった。インドラギリヒリル県トゥンビラハン移民局が発行したズナイディ名義のそのパスポートからは、その乗組員がマレーシアへ頻繁に往復していたことが明らかだ。リアウ州の不法伐採木材の大半はマレーシアに流れ込んでいるという噂を裏書する事実がまたひとつ見つかったようだ。たしかにマレーシアの非合法港に陸揚げするために船を出せば、わずか4時間の航海で到達するのだから。
リアウ州が不法伐採撲滅にエネルギーを注ぎはじめてから、今では11の県市で活動が活発化しているというのに、マレーシアとシンガポールへ向かう不法木材の勢いが下火になる徴候は少しもない。MSカバン林業相は、その二国がインドネシアの盗伐木材を低コストで入手して大もうけしている、と述べている。需要の高いのはクンパス、メランティ、ラミンなどの樹種。切出されたあと製材され、そして二辺あるいは四辺を削られてから船積みされる。撲滅チームはこの二ヶ月あまり、抜き打ち視察を頻繁に重ねており、盗伐木材の密輸出が堂々と、大々的に行われていたことをいやというほど思い知らされた。言い換えれば、その違法行為を取り締まるべき機関がまったく張子の虎と化し、法執行が消え失せてしまっているという事実が明らかになったのだ。
ベンカリス湾から小シアッ川をさかのぼることおよそ四時間。川の流れに沿って5百から1千メートルにわたる丸太いかだが下ってくるのが見られた。およそ80キロ上流までの間に、そんないかだはいくつもいくつも流されてくる。船外機付き小型ボートが引くそのいかだはあちらこちらの製材場に持ち込まれるのだ。河口から100キロ上流までの間、直径30から80センチの丸太が川を流れる光景は、日常茶飯のことだそうだ。製材場で20センチの角材や2センチ厚の板材にされた木は、積載能力50立米の船に積まれてマレーシアへ送り出される。3千本から9千本の木が、二週間単位で流出している。皮肉なことに、ベンカリス海峡周辺は海軍と水上警察の定期パトロール地区だというのに。
インドラギリヒリル県ガウン川上流にあるクルムタン動物保護区からも木材が切出され、小シアッ川と同じ活動が展開されている。ガウン川から送り出される製材や丸太はメランティ、クンパス、ラミンなどで、立米あたりの価格は12万から350万ルピアのレンジ。保護木材になっているラミンが盗伐者たちにとっては文字通り金の成る木であり、クルムタンからは週30立米の丸太が切出され、9〜10トンの製材にされている。かれらはオリジナルだが偽の林産物公正証明書を手に入れて堂々と輸送を行っている。クルムタンは、これまでテッソニロ、ブキッティガプル、マハトといった盗伐の楽園に新たに加わったプリマドンナだ。毎日およそ5キロにわたる丸太いかだが川を下り、密輸船は製材所から短時間でマレーシアに到着する。
リアウからマレーシアへの密輸ルートは二つある。ガウン川からジョホールのパシルグダンへ向かうものとタンジュンサマッを抜けてポートクランへ向かうもの。船はまずクアラガウンに投錨し、悪徳法執行者の案内を待つ。治安要員のガードが得られると、船はパシルグダンへ向かう。ポートクラン向けもまずクアラガウンに投錨し、そこからタンジュンダトッ、さらにタンジュンバライカリムンを経てポートクランに到る。もうひとつシンガポールに向かうルートは、タンジュンダトッからラボン島を通ってジュロンに向かう。
海軍と州警察は、この木材密輸のガード役を務めている治安要員の洗い出しを継続しているが、カバン林業相はすべての機関にいる悪徳職員が個々の分野で大がかりな犯罪行為を回転させる片棒を担いでいると見ている。林業省内からはじまって、税関、移民局、警察、海軍、陸軍、検察に至るまで、森林の保全を図り、盗伐材の輸送を取調べ、製材原木の由来をチェックし、国外に出航する船を監督し、国外に出る人間に許可を与え、水上海上での貨物の動きを見張るといったすべての局面に関与する機関にその不法行為を進める腐敗役人がいるというのだ。法治国家の中に作られた違法行為メカニズムの巨大な歯車が回転しなければ、今のように密輸出が堂々と、大々的に行われうるはずがない、という見方は大いにうなずけるものがある。そんな闇の行政機構を滅ぼせるだけの力が現行政権に果たしてあるのだろうか?
林業相はまた、森林不法伐採に反対しているマレーシアとシンガポールの政府が、盗伐材輸入をもっと厳しく取り締まってくれても良いはずだが、との希望を語っている。


「緑地を占拠しているガソリンスタンドを強制移転」(2006年2月13日)
都内の緑地指定地域に作られたガソリンスタンドが折に触れて問題視されてきたが、それらのスタンドの営業許可期限が切れたあと、それを延長させないようにし、その場所から強制移転させる方針を都庁が進めており、今年は7ヶ所のスタンドがその対象となる。ガソリンスタンドオーナーはスタンドを解体し、事業を継続したい場合は自分で場所を探して新たに許可を申請することになる。今回対象に揚げられているのは、トゥベッ地区ラパガンロスのガソリンスタンド、ハヤムウルッ通りにある二ヶ所、クイタン地区の二ヶ所、キヤイタパ通りの一ヶ所とプリンティスクムルデカアン通りの一ヶ所の合計7スタンド。ラパガンロスのスタンドは前メガワティ大統領の夫、タウフィッ・キーマスの所有と言われている。
スタンドの中には1994年から1995年にかけて営業許可が切れているが、営業は続けられ、また行政府からも厳しい措置は取られないまま現在に至っているものがあり、あるいは2005年末に許可が切れたものもある。スティヨソ都知事は緑地を占拠して営業しているガソリンスタンドに関して、2005年都知事指令第138号で事業許可あるいは事業許可リコメンデーションを出さないように指示し、その後強制移転措置を行うというプログラムを今回はじめて展開する。都内には期限の切れるガソリンスタンドが32ヶ所あり、2010年までかけて段階的に緑地指定地域からガソリンスタンドを締め出す計画になっている。


「貧困は盗伐を目指す」(2006年2月16日)
リアウ州の不法伐採は、まるで肉体を冒す悪性ガンだ。実行犯を捕らえても、まるで何事もなかったかのように、不法伐採は止むことがない。リアウ州4百万住民の22%を占める貧困者が飢餓を逃れるためにできることは不法伐採に手を染めることしかない。不法伐採事業主からチェーンソーを借り、不法行為を行って金をもらう。そんな住民が何人逮捕されようが、それに交替して金をもらいたい者は掃いて捨てるほどいる。捕まるのは現場で汗水たらして小額の金を得ている住民たちであり、巨額の金を不法に手に入れている不法伐採事業主たちは悠々と街中を徘徊しているのだ。悪徳治安職員や悪徳森林保全役人に保護され、最新鋭機器を不法事業に投入し、大勢の人間を使って、法規で禁止された行為を営々と行っている。人類に対する犯罪がやむことなく続けられている。
少なくとも過去10年間に渡って、リアウ州から何兆ルピアもの木材が毎年不法に国外へ流出した。最新データに基づけば、その金額は年間30兆だとも言われている。一方、リアウ州は石油ガス収入によって国内屈指の豊かな州になっているというのに、貧困住民の数は一向に減少しない。州予算は年々1.5兆ルピアのレベルを続けてきた。中でもベンカリス県プラウパダンは石油ガス生産地として年間260億ルピアの地元収入を得ている。そのおかげでベンカリスはリアウ州でナンバーワンの豊かな県であり、全国レベルで見ても第二位の豊かな県なのだ。ところが地域開発は統制がなく、昔からサゴとゴムの栽培で暮らしてきた地元民は、広範な土地の利権を石油会社と産業栽培権を持つ大企業に奪われ、また道路は荒れるがままに放置されている結果、まともな経済活動ができなくなっている。リアウ州全体で見ると、州道全長2,162.8キロのうち51%は破損しており、253キロは破壊が激しい。道路が破壊されれば、農林産品の輸送は時間がかかり、それと正比例して輸送コストが高くなる。競争力を失ったサゴやゴムの農園はいたるところで放置され、住民の生産活動はそこから姿を消している。そんな地元民の目の前に巨大な森林があり、不法伐採事業主がかれらを違法行為の仕事に招くのである。
プラウパダンのルキッ村にはベゲと呼ばれる不法伐採基地がある。木の壁とルンビア葺きの屋根を持つ小屋が並ぶこの基地では、大勢の人間が働いている。チェーンソーが貸し与えられ、そこで仮住まいを営みながら木を切出す。伐採者は一日2本から6本の木を切る。切出された幹は自転車の横に括り付けられて森林から出される。集積場に置かれた幹はトラックが定期的にやってきて運び出す。記者がルキッ村の第一ベゲにある集積場で見たのは、山のように野積みされた7百本のビンタゴルとメランティだ。プラウパダンにはそんなベゲが数十ヶ所あると言われている。各ベゲではおよそ50人の作業者が働いている。ペゲに集まってきているのは地元民だけでなく、近隣諸県からの出稼ぎ者も少なくない。ベンカリス、ロカンフル、プララワン、インドラギリヒリル、シアッ、カンパルの6県で盗伐に従事している人間は数十万人にのぼると推定されている。
かれらの大半は、自分が何をしているのかを知っている。だが地元自治体は、大企業に利権を与え、その見返りの地元収入を享受しているだけで、地元民の経済活動を支援する政策をなにひとつ行わないどころか、地元民の生計を支えてきたサゴやゴム農園を大企業に与えてしまった。かれらは何代にもわたって続けてきた生産活動から締め出され、わずかに残った土地での生産も道路インフラの悪化でコスト倒れとなり、生活を支えるために行えることはもう他にない、という状況に追い込まれているのだ。ノーチョイスだ、とかれらは言う。「政府がこれをしてはいけないと言うのなら、われわれが食っていけるようにしてくれ。」それは、単に不法伐採事業主が悪者ということだけで作られている構造ではない。「他人の助けになるようなことを何もしない、という原理が最も大きい利益をもたらす」というインドネシアの官僚コンセプトが悪性ガンの根源となっているにちがいない。


「政府も金利収入がほしい」(2006年2月20日)
大蔵省主計総局が、中央銀行国庫一般会計口座に置かれている60兆ルピアに上る現金の一部を一般市中銀行に移す意向を明らかにした。これは、政府資金がイ_ア銀行内でただ眠っているだけで生産性がないから、との理由説明がなされているが、ブルハヌディン・アブドゥライ_ア銀行総裁は、政府・中央銀行共に不利益を蒙る可能性が高いために、その計画は見合わせるよう意見具申を行った。その資金が一般市中銀行に移されると、市中銀行はそれを貸し付けに使う。それが貸し出された場合、政府が突然資金を必要としても、すぐにそれを引き上げることは難しい。そのため、その政府資金は柔軟性を持たなくなる。一方、その資金が貸し付けに流れなかった場合、銀行はその資金をイ_ア銀債に投資する。投資金額が膨れ上がれば、イ_ア銀は市中通貨コントロールのためのコストが大きくなる。
主計総局長は、イ_ア銀の通貨経営に負担を増やすことを望んでいるわけではないが、政府資金を市中銀行に出せば金利収入が得られるために、国庫にとって意義がある、とその考えを説明した。類似のことは2005年末に債務モラトリアム節約資金の一部3.5兆ルピアで既に実行済みだ、と同総局長は語る。既に市中に出された政府資金は2006年末に3千億ルピアの収入を国庫にもたらすことが決まっており、総額17.2兆ルピアのモラトリアム資金は更に段階的に市中に出される予定になっていて、政府はその資金を委ねる市中銀行を選抜し、選ばれた市中銀行には国債やイ_ア銀債を購入してその資金への保証を行わなければならないという条件が与えられることになっている。
ちなみに2005年末の銀行界資金状況は、当座預金281.4兆ルピア、定期預金565兆、貯金281.5兆、第三者資金総額は1,127.9兆、貸し付け総額695.6兆、イ_ア銀債投資総額54.2兆などとなっている。


「コンパス紙への投書から」(2006年2月21日)
拝啓、編集部殿。2005年10月初め、わたしは電話を引こうと思って、タングラン市チルドゥッのメンチョンにあるテルコム事務所に要請し、147番の担当者に連絡をつけてもらいました。ところがその担当者が言うには、調べた結果、わたしのエリアは電話線が通っていないとの返事です。実際にわたしの家の前を電話線が通っていることを知っているわたしは、その返事を聞いて「こりゃだめだ」と思いました。ところが、それから数週間後、わたしの家の裏手に住む隣人の家に電話がついたことを耳にして、わたしは驚いてしまいました。その隣人は設置費として100万ルピア払ったそうです。その数日後、隣の家の住人が90万ルピア払って電話をつけました。それらの事実をもとにわたしは設置申請を提出し、ウエイティングリストに載りました。そして設置時期を決めたいので、147番に何回も電話しましたが、その都度聞かされた返事は「電話線が通っていない」というものです。2006年1月12日、わたしはチルドゥッのクレオにあるテルコム事務所を訪れて設置時期を尋ねたところ、耳のたことなってしまった「電話線が通っていない」という返事を再び聞かされました。
これは、わたしが公定料金以上の金を払おうとしないために起こっていることなのでしょうか?番号売買という違反行為を行うための手口として、電話線が通っていないという返事をするのは、ありうることなのでしょうか?[ チルドゥッ在住、ニクソン ]


「コンパス紙への投書から」(2006年3月2日)
拝啓、編集部殿。わたしはある会社の運転手をしています。2005年12月29日午前11時ごろ、わたしはポンドッキンダからジャカルタ〜ムラッ自動車道路に向かうパンジャン通りをピックアップを運転して走っていました。ITCプルマタヒジャウ前の三叉路で都庁陸運局職員がわたしを止めました。二人の職員は書類を調べ、自動車の状態を調べ、積荷とその書類を調べ、何も違反がないのが明らかになると、荷役許可証を要求しました。わたしの会社はジャカルタで、車もジャカルタで登録されており、荷役許可証は必要ないはずだと言いましたが、その悪徳職員は、なければならないと言い張り、和解金12万5千ルピアを出さないとボゴールで裁判する(奇妙な話だ)ぞ、と脅かすのです。わたしはそんな金を持っていないので、2万ルピアでどうかと言いましたが、拒否されました。どうしようもないので、わたしは会社に電話しました。わたしの上司はその悪徳職員に「違反は何で、あなたの名前と職員番号は何番か?」と尋ねると、そのふたりは返事ができず、隊長の名前だけを言いました。
そのあと、そのふたりは慌てて3万ルピアで良い、とわたしに言い、金を取ってすぐにわたしから離れました。このふたりの外見的特長は、ひとりはやせて背が低く、まっすぐな髪で30歳前後、もうひとりは上背があり、髪は刈上げていて40歳前後です。ふたりはピックアップ車を使っています。
このレフォルマシ期にあらを探し回って金を搾り取る悪徳職員が横行している昨今、かれらの言いがかりを助長させている荷役許可証などというものを、関係当局は早く廃止する方向で見直してもらいたいと思います。わたしの上司も、こんな崩壊した行政のためにビジネス環境は不愉快なものにされ、物価は高騰し、時間は無駄に浪費されている、と語っています。本物の陸運局悪徳職員とはまた別に、かれらの制服によく似た服を着て、同じように言いがかりをつけてくるごろつきも路上にいます。ごろつきにはまだ抵抗できますが、本物の制服を着たごろつきには公権力で脅かされるので、庶民はどうしようもありません。[ 東ジャカルタ在住、アグス ]


「コンパス紙への投書から」(2006年3月21日)
拝啓、編集部殿。最高裁判所勤務文民公務員応募者の受験番号の記された受験票をもらうため、わたしは2月7日にチュンパカプティの高等裁判所へ行きました。ところが、わたしの受験票はだれか他の人が先に受け取っていて、その名前の本人であるわたしはもらえないのです。受取表に書かれている名前をよく見ろと言われましたが、そこにはわたしの名前が手書きで書かれているものの、サインはわたしのものではありません。わたしは自分のKTPを示して苦情し、受験票を要求しましたが、担当職員は、「顔がよく似ていたので、他の人が持って行ったんだ。」と言うだけで、わたしの苦情に対処しようとはしません。受験票なしで試験が受けられるよう、説明書を書いてくれと頼みましたが、それも対応してくれません。わたしは15時に窓口が閉まるまでそこで待っていましたが、担当者は罪悪感など微塵も示さず、来年また受けなさい、と平気な顔をして言うのです。わたしのような目にあったのはわたしだけでなく、見た限りでは、かなりの人が同じ憂き目に会っているようでした。わたしはとても大きな不満を抱えて帰宅しました。応募条件審査をパスしたというのに、これまでの努力はすべて水の泡なのですから。公務員になるという夢はついえました。最高裁判所というのは、政府機関の中でも尊敬されるべき高等機関なのに、公務員採用試験でどうして他人の受験番号を別の者に売るようなことが行われているのでしょうか?そのようなことをする悪徳職員が最高裁判所に採用されているなんて、あってはならないことではありませんか?わたしの国民としての権利は踏みにじられました。法曹機関で働く人がどうして法の観念もなく、職業倫理も持っていないのでしょう?受験票を渡すとき、どうして本人かどうかのチェックがなされないのでしょう?わたし以外に大勢の人が同じ目に遭っていることは、受験票が売買されていることを示す証拠だと言えます。そしてそれは既に公然の秘密になっているのです。[ 東ジャカルタ市在住、デシ ]


「国家リーダーのクオリティを嘆く〜コンパス紙への投書から」(2006年3月24日)
拝啓、編集部殿。昔わたしは国民学校の生徒で、大人になって教員となり、今は定年退職者です。わたしはいつも、国の指導者や高位高官になるのはとてもむつかしいことだと思っていました。たくさんの難しい条件があるのです。スマートで頭脳明晰。頭のよさは人並み以上。旺盛な民族意識。気高く、思慮深く、清い良心と高い熱意。民族と祖国への溢れんばかりの奉仕と怯惰なき闘争心。眼光は海山を射抜き、耳は虐待された赤児の泣き声も人々の飢えの叫びもはっきりと聞き届け、憲法とパンチャシラを暗記し、いかなる状況下にもそれを実現する能力を持つ。
ところが残念無念なことに、それらの条件は等閑に伏されてしまっているようです。あまりにも多く違背され、憲法に対してすら背いているのです。国の高官がスーパーヒーローになることを望んでいるわけではありませんが、少なくとも上のような能力を持ち、民衆の暮らしにより高い感受性を持っていてしかるべきです。高官たちの勤労エトスはとても簡単に理解できるように思えます。かれらの仕事は法規や政令の案を企画し、古いプログラムや政策を変更し、外国へ行って借金を求めたり、借金の返済を先延ばししたり、自分の給料を引き上げたり、石油燃料・電力基本料金・電話・運送費・水道・砂糖・肥料・税金・特定物品税などを引き上げたり、テープをカットしたりスピーチ原稿を読んだり、みんなで収穫のときに稲を刈ったり、あるいは今トレンドのみんなして無料肉団子を食べたりすることなのです。
国の高官も人間だということはわたしも理解していますが、かれらが国の高官に就任するときに聖なる書物を頭に戴き、国と国民のお世話をすると神の名において誓いを述べたのは、ただのレトリックだと言うのでしょうか?
今やわたしの考えは変わってしまいました。国の高官になるのはとても容易なことなのです。肉団子屋でもオジェッ引きでも、あるいはまだ青い学生さんでも、ゴールデンチャンスを与えられたら、できるに決まっています。[ スカブミ在住、スラジ ]


「公務員採用試験はビジネスの場」(2006年3月28日)
2005年度国家公務員募集10万人という壮大なリクルートプロセスが2005年12月から開始され、まずは応募申込書を手に入れようとその十数倍にのぼる人々が役所の前で押し合いへし合いを繰り広げたのがその第一歩。そしてそのときからビジネスは既に開始されていた。申込書が品切れになれば、金を払ってでもそれが欲しい人は何人もいる。応募申込書の受け付けは2006年1月21日からはじまり、2月4日に閉めきられた。
首都警察でも文民公務員の募集が行われた。KKN番付の上位にいる警察の文民公務員採用の場で、建前と本音に天と地ほどの差があることを、応募者は思い知らされることになる。東ジャカルタ市チジャントゥンで行われた応募受付に行ったハディの体験はこうだ。首都警察広報では応募受付は2006年1月30日から2月4日まで、毎日午前8時から14時まで行われると記されていた。ハディは2月2日午前8時に受付窓口に着いたが、窓口は開かない。午前11時ごろやっと開いたが、そのときには応募希望者がその一帯を立錐の余地もないほど埋め尽くしていた。ところが窓口に張り付いている希望者の受付事務が始まるどころか、警察内部者が後ろの方にいた応募者を連れて裏の扉から中へ入って行く。並んで待っている応募者に何の配慮もなく、それが堂々と行われているのだ。受付手続きはそんなコネを持つ応募者だけに行われている。しかもコネのない応募者の前でこれ見よがしに。時計が12時を指すと、「休憩時間になったので閉める」と気楽な声で告知する。13時30分ごろ、窓口が再開され、応募者はまた遅々として進まない行列に並ぶ。いつの間にか時計が15時を指し、担当官は「今日の受付は終わったので、また明日来てくれ」と言って窓口を閉めた。翌2月3日、ハディはまた朝8時に受付場所に行った。そして、受付のある建物内のホールで警察職員たちが一心にバドミントンに興じているのを目にして驚いた。応募者は続々とやってくるが、建物内に入れず、仕方なく表に列をなす。そんな状況をも、バドミントンで汗を流している職員たちは一顧だにしない。そして午前11時ごろ、やっとそれが終り、応募者はホール内に入って並ぶ。すぐに12時が来て、担当官は「金曜日の礼拝だ」と宣言して窓口を閉めた。ところが礼拝も昼食も終わっているはずなのに、時計が15時を指すまで窓口は再開されない。ただ昨日と同じように、警察内部者とコネをつけた応募者だけが裏の扉から中へ入り、かれらに対する受付事務だけが行われている。民主化の進んできたインドネシアだから、外にただ並ばせられていた応募者もいつまでも黙ってはいない。怒号や叫び声が飛び交うようになって窓口がやっと開かれたが、時すでに夕方。
提出された申込書に対して審査をかけるのが次のステップで、ここをパスすればいざ筆記試験に向かうことになる。この段階で行われるビジネスは、インドネシア情報ライン「コンパス紙への投書から(2006年3月21日)」にあるような受験票闇販売。いや、書類審査をパスしなかった者に受験資格を売り渡す手口はそればかりではない。内務省の募集に申し込んだ南ジャカルタ市ウルジャミに住むフリスカの体験は少し違う。筆記試験は全役所で2月11日に一斉に行われたが、その直前の2月9日にフリスカ宛てに手紙が届いた。1月27日の日付が入り、信書番号811.12/093/SJ と記されているその手紙には、あなたは内務省の書類審査をパスしませんでした、と書かれていた。かの女はがっかりした。ところが、その心の傷に手を突っ込んでかきまわすようなことが起こったのだ。筆記試験を受けることを諦めたフリスカに、2月14日、また内務省から手紙が届いた。中を開いてみると、日付はやはり1月27日で、信書番号は811.13/093/SJ となっており、内容は書類審査にパスしたので、筆記試験を受験することができると記されている。フリスカは募集条件に従って、申込書に切手を添付した返信用封筒を添えて提出していたが、そのふたつの通知はどちらも別の封筒にフリスカの住所が手書きで記されており、かの女が添付した返信用封筒は使われていない。内務省文民公務員募集委員会がどうしてそのような異なる内容の通知をしかもそのようなタイミングでかの女に送ってきたのか、フリスカははらわたの煮え繰り返る思いで役所の担当官に疑惑を向けている。


「鉄道会社は国民と職員のための公益機関」(2006年4月8日)
首都近郊鉄道電車のスルポン〜タナアバン線でスディマラからスルポンまでの切符を買おうとしたナワは面食らってしまった。スディマラ駅の切符売り場にいた窓口女性は、隣の同僚の方に身体を回して「ねえ、スルポン行きの切符はどこにあったかしら?」と尋ねている。しばらく探した挙句、料金1千ルピアの切符がやっと見つかった。スディマラからスルポンまでは二駅。わずか6キロの距離だ。髪を肩まで垂らした窓口女性は、まるで珍しいものでも見るかのようにナワを見た。ナワが不審を抱いた。ナワが尋ねると、そんな短い距離で切符を買う乗客なんかいやしない、と言うのだ。もっとずっと遠い駅までだって切符なしで乗るひとがいっぱいいる。疑問がナワを襲った。それほど大量の無賃乗客を運んでいるPT KA(国有鉄道会社)は企業なのか公共機関なのか?一面では切符を買おうとしない乗客がおり、職員がそれを放置しているため、あたかも公益性公共機関の様相を呈している。しかしPT KAは国有事業体であり、事業に応じた報酬をサービス享受者から徴収する権利を持っている。だからこそ乗客は、支払った料金に見合うクオリティのサービスを要求することができるのだ。安全快適で、早く、そして予定通りの時間に運行するように、と。しかしそんな正循環は見られない。3月初旬に2日連続して起こった事故が、その正反対の状況を象徴しているかのようだ。スルポン〜タナアバン線のクバヨランラマ駅手前を走行中に、屋根上乗客の重みで車輌の屋根がめり込んだ事故で31人が怪我をした。怪我人の大半は屋根の上に乗っていた者たちだ。翌日は、ボゴール〜ジャカルタコタ線でゴンダンディア駅近くの高架路を走行中、送電線がたわんで屋根上乗客を襲い、四人が死亡した事故があった。鉄道会社側は、禁止されている列車の屋根に乗ったからそんな被害を蒙ったのだと乗客を非難し、一方乗客側は、鉄道会社が乗客数に見合うだけの車輌を用意しないために、ぎゅうぎゅう詰めの車内に入れない者を屋根に乗らざるを得ない状況にしているのだ、と会社側を非難した。これは何十年も昔から事故が起こるたびに聞かされてきた議論だ。鉄道会社のデータでは、近郊鉄道電車の一日当たり切符販売枚数は45万枚で、その62%がボゴール〜ジャカルタ線、26%がブカシ〜ジャカルタ線、9%がスルポン〜タナアバン線、3%がタングラン〜ジャカルタ線という内訳。切符を買わないで乗車する無賃乗客は一日1万5千人と推測されている。
そんな無賃乗客への検札システムがないわけでもない。車掌は検札のために列車内を回り、切符の有無を調べている。ところが、かれらはおかしなことを行っているのだ。ボゴール行きエコノミー電車に乗ったパナギアンは、車掌が検札に回ってきたとき、規則通りの処理をしていないことに気がついた。無賃乗客は、お目こぼしをしてもらおうと思って車掌に1千ルピアを渡している。車掌の方も、正規の料金を受け取って切符を切るよりも、むしろその方を期待している様子がありありだ。正規料金で切符を買わせれば2千5百ルピアの収入になるが、1千ルピアで目こぼししてやれば、会社は1千5百ルピアの損となる。パナギアンは車掌の行為が許せず、駅長に訴えることにした。ボゴール駅でパナギアンは駅長室に入った。思いがけないことに、駅長はその車掌の行為を正当化したのだ。「民衆が貧困に喘いでいるこの時期に、無賃乗客に5千ルピアの罰金を科すなんて不可能な話だ。車掌は間違ったことをしていない。受け取った1千ルピアは会社に納めることになるのだから。」駅長はそのように部下の行為を弁護した。パナギアンは問うた。「記録もつけず、受け取った総額がいくらになったのかわかりもしないものが、どうやって会社に入金できるのか?」すると近くにいた駅員のひとりが激昂してパナギアンをなじった。かれはさっさと駅長室をあとにした。
「わたしは以前、ひとりの車掌から話を聞いたことがある。無賃乗客から集めたひとり1千ルピアの金は、機関士と駅長がバギバギするのだそうだ。会社の経理に納められることなど決してない。いったいどっちの話が本当なのか?」パナギアンはそのように疑念をぶつけている。


「最近のガンビル駅」(2006年5月9日)
2006年4月7日、ジャカルタのガンビル駅からスラバヤに向かう予定のケリーは夕方、駅舎に入った。ロビーにはいつも溢れかえっていて目障りなチャロの姿がなく、整然として美しい。それもそのはず、駅舎内には国有鉄道会社が外注した民間警備会社の警備員が制服姿にハンディトーキーを手にして右往左往しているのだから。プラットフォームに出たケリーは乗客用ベンチが余り用意されていないので、少し離れた場所にある花壇の縁に腰を下ろした。そこはちょうど機関車が止まる位置に当たる。ケリーが乗る列車はもっと遅い時間に出る。かれはそこで時間をつぶしながら、やってくる列車にひとびとが乗るのを眺めていた。そうして、長距離列車がやってくるたびに民間警備会社の警備員が機関車の周りに集まってくることに気が付いた。どうやら同じ警備員でありながら私服姿の者がふたりいるようだ。そのうちのひとりはハンディトーキーを持っており、そして制服組みがみんなかれに敬礼しているので、どうやらその男は指揮官のように思われた。一見したところ、かれら警備員は無賃乗客が機関車に入り込むのを防止しているように見えた。ところがいくつもの列車がやってきては発車するのを見ているうちに、本当はそうでないことにケリーは気が付いたのだ。列車が発車時間を待っていると、何人かの男が機関車のそばに来て機関手に話し掛ける。するとさっきの私服の男が出てきてその会話に割り込み、機関手に話し掛けていた男はポケットから何かを取り出して手の中に入れ、私服の男と握手してから機関車の中に入って行く。発車時間になると、機関手が私服の男と握手してから運転席に就き、出発して行った。どうやら民間警備会社の警備員も昔から続けられてきた鉄道の悪弊である、会社に損をさせて個人みんなが得をするメカニズムにすぐ適応したようだ。
座っているケリーをしばらく前から気にしていた私服の男は、ついにケリーのそばに寄って来た。
「あんた、切符は持ってるの?」
「ああ、いや・・・・」
「持ってなかったらオレが乗せてやるよ。どこまで行くんだね?」
「スラバヤへ。」
「そうか。金はいくら持ってる?」
「あんまり持ってない。」
「切符を買うより安く乗れるんだから、多少は払わなきゃな。」
入ってきた列車の機関車に近付く者の姿を目の端に捉えた私服の男は、ケリーとの話を中断して機関車に向かった。ケリーはそれを潮時とばかり、その場を離れた。ケリーの乗る列車はまだ時間がある。国有鉄道会社がチャロ締め出しに努力してクリーンな鉄道に変えていくと宣言しているが、結局は別の形の組織立った腐敗行為に摩り替わっただけではないのか?ケリーの頭をそんな言葉がよぎった。


「警察がISO9001を取得」(2006年5月12日)
西ジャカルタ市ダアンモゴッ通りにある首都警察交通局運転免許証統合サービス事務所は2002年までジャカルタのすべての運転免許証の発行業務を取り扱っていたが、その年の10月1日からSIM A(自家用四輪用)とSIM C(自動二輪用)の業務が都内各市警察本部に移管されたため、ダアンモゴッは西ジャカルタ市警察管区のSIM AおよびCと業務用や大型用のすべてを扱うように変わった。かつては芋の子を洗うようにごった返していたダアンモゴッがそれ以来静かな落ち着いた場所となった。ただし外国人向け運転免許証は各市警察に移管されなかったので、ジャカルタに住んでSIM A、Cをお持ちの外国人はみなさん、いまだにダアンモゴッに年一回詣でているはず。
住民に対するパブリックサービスが公務員の稼ぎ場になっているインドネシアで、運転免許証発行やその更新手続きが例外になることはありえない。そんな公共機関がISO認定を受けたとき、はたして贈収賄や不法徴収金はどうなるだろうか?ダアンモゴッの首都警察交通局運転免許証統合サービス事務所も今年はじめにISO9001を取得した。しかし都民の目の前にさらされている同事務所の姿は旧態然として何も変わらない。車の運転ができなくても、金さえ積めばテストをパスする。試験場を監督する警官が親切に手助けしてくれる。都内を自分で車を運転して走ってみれば、路上にいる運転者の大半が道路交通法規のいったい何を学んだのかと首を傾げるほかないドライバーたちで溢れかえっている。さらに悪名高い二輪運転者の道路逆走・赤信号無視・歩道上走行や歩道橋走行など、数え上げればきりがない。このあたりの詳細については拙作『ジャカルタドライバー考』< http://www.j-people.net/driver/index.htm >をご参照ください。
結果は交通事故の多発と死亡者負傷者の発生がうなぎのぼりで、鳥フルやデング熱による被害者数とは比べ物にならない。免許証取得を厳しくせよという声が出されると合格者数が減らされる。すると落ちた者は金を積んで合格する。結局のところ、何をどうしようが腐敗役人の手に金が乗ることになっている。免許証更新にしてもそうだ。更新時に申請書を窓口に入れるとき、金が徴収される。本来の規則では、視力検査は有料で、そして更新手続き料も徴収される。申請書をもらうためには手続き料を納めた証憑を示さなければならない。それらは公的に定められ、そしてそれぞれの窓口に金額が表示されている。ところが申請窓口には料金表示などなく、反対に料金は徴収しないという張り紙が出ていることさえある。しかしそこを無料で通ることはできないのだ。
ISO9001を取得したパブリックサービス機関でこのありさまだ。言うまでもなく都民から苦情が湧く。資格認定検査機関がダアンモゴッの腐敗の歴史を知らなかったとは言わせないぞ、と。申請者が腐ったものは隠して一言も触れず、検査機関は提出されたものを厳密に審査しましたと言うのかもしれない。まさか不法徴収金や収賄のSOPが作られているとも思えないが、ひょっとして・・・・という妄想すら湧いてくる。それとも検査機関は、サーティフィケートを与えることを条件に警察を搾っている剛の者なのかもしれない。


「腐敗の栄え」(2006年6月30日)
2006年4月19日15時ごろ、都庁建築物監視整備局長の指令で都庁秩序安寧チームが中央ジャカルタ市クマヨランニュータウン地区サンタニ通りに整列した。建築許可を得ていない不法建築物を撤去するための作戦行動がこれから開始されようとしている。質素な住宅街の中に作られた10軒一連の住居店舗がその作戦ターゲットだ。その敷地には二階建てを限度とする住居しか建てられないことになっているというのに、実際には4階建ての巨大な建築物が規準線オーバー、床面積係数違反、敷地面積係数違反をものともせずに聳え立っているのである。一方、撤去作戦ターゲットとなっている建築物への官憲の法執行に対抗するため、金で雇われたクマヨランの虎やFBR(ブタウィ協議フォーラム)に所属するあらくれたちも建物の周りを固めていた。
大勢の市民が見守る中でそのふたつの集団は対峙した。嵐の前の静けさ。二組の戦闘集団は睨み合いを続ける。ところが公権力を持つ都庁側がいつまでたっても行動を起こそうとしない。それが戦術なのか、それとも怖いのか、あるいは裏取引が既に終わっているということなのだろうか、いつまでたっても都庁職員の誰ひとりとして行動を起こさないのだ。見守る市民の眼は、少なくとも官憲が不法行為を行っている悪徳市民を取り締まるシーンを見たいという期待で輝いているというのに。そうしてその日は暮れ、都庁撤去チームは解散し、不法建築物は危機を脱した。戦勝気分に酔う傭兵気取りのごろつきたちは、町内の住民を嚇して回った。「当局に訴え出ようとする者はわれわれを相手にすることになる。」ごろつきたちは市民に対してそう宣言するのだった。
その不法建築物オーナーは30億ルピアを超える収入をあげ、役所に対して納めなければならない何億もの課金すらお目こぼしを受けている。犯している違反に科される罰金さえ免れているありさまだから、オーナーの懐から撃ち出される潤沢な実弾はホットマネーとなって行政治安機構のいたるところに流れ込んでいるにちがいない。違法行為のデータや証拠ははっきりしており、時間がたてばそれが合法へと変化するというものでもない。現場であからさまに繰り広げられる違法行為を放置したままのその実態は、法治が確立されていないことの実例のひとつだ。都市整備計画や建築基準を整えて都民を監督している都庁都市整備局はいったい何のために存在しているのだろうか?
皮肉なことに、郡役所の役人はそんな実態を見て見ぬふりだし、クマヨラン地区を管掌している国家官房クマヨラン都市開発統制監督庁もまるでわれ関せずの態をよそおっている。大金がばらまかれていないかぎりそれはありえないはずだ。統制と監督はいったいどこへ置き忘れられてしまったのだろう?きっと癒着はもう強固な基盤を築いているにちがいない。


「盗難被害者はみんなの食いもの」(2006年7月5日)
二輪車を盗まれたひとはどうするのだろうか?泣き寝入りをするひとが少なくないのは、それが損害を最小限にとどめる最善の方策であることを知っているからではあるまいか?警察に被害届けを出し、警察が犯人を捕らえて盗まれた自分の二輪車を取り返すようにしてもらいたい。しかしそんな希望が実現する例はどのくらいあるだろうか?イ_アのひとびとが聞かせてくれる話によれば、盗まれたものが戻るどころか、悪徳警官がやってきては捜査費を要求し、挙句の果てに見つけた犯人と被害者を両天秤にかける。犯人には逮捕されないためにはいくら払えるのかと問い、被害者には逮捕して欲しければそれ以上払え、と言う。搾取できる金づるがなくならないよう、悪徳警官たちは犯人を見つけても逮捕することはほとんどない、という話を地元のひとたちはわたしの耳に入れてくれる。
では、そんな面倒はやめて保険請求を。ところが警察が発行する紛失証明書を提出しなければ保険金は下りない。盗難を届に警察に行くと、そこに出てきた悪徳警官が「お前のもらう保険金はオレと山分けだ。」と言い出し、たいていの市民はそれを呑んでしまう。自動車盗難が発生すると、もうひとつの手続きをしろと警察が言う。その自動車のプレート番号を抹消する手続きだが、高級車になると不法手数料は1千万ルピアにも達する。抹消手続きは犯人が盗難車を自由に再販できないようにするためだと説明し、この手続きを行わなければ盗難車リストに載せることができないため警察の捜査対象にならないから、車は決して戻ってこない、と言葉巧みに説得されて、金を払ってその手続きを依頼する。悪徳警官自身がそれを請負うこともあるが、警官の親類縁者がチャロと呼ばれる斡旋役になって橋渡しをすることも多い。
ローンで二輪車を買ったひとが完済前に盗まれたら、保険はどうなるのだろうか?それを正確に理解した上でローン契約書にサインしているひとはいるのだろうか。デウィはヤマハミオを買って3ヵ月後に盗まれた。三ヶ月間に総額4百万ルピアのローン返済を行っていたが、その金は1ルピアもデウィの手元に戻ってこなかった。ローン返済期間中の盗難保険は、二輪車本体定価マイナス既に支払われたローン金額が保険会社からリース会社に渡されることになっていた。そしてローン総額から二輪車本体価格を引いた金額を金利と呼ぶなら、リース会社に対する金利支払い責任をリース会社は消費者に負わせていたのだ。このからくりのおかげでデウィは4百万ルピアを金利支払いに充当させられてしまい、リース会社からデウィに払い戻すべき金はゼロとなった。
「4百万ルピア払って三ヶ月間ミオをレンタルしたようなものだけど、どうしてそんなに高いのよ!」デウィの嘆息が聞こえてくる。


「法規違反は収入源」(2006年7月10日)
2006年6月13日付コンパス紙への投書"Usia Sekolah Menjadi Komoditas"から
拝啓、編集部殿。小中学校9年間の義務教育という政府の尊い目標はまだまだ多くの障害を現場に見出すことができるようです。実際、ほんとうにその通りなのですから。一年前の2005/2006教育年度にさえ、南タンブンのマグンジャヤ国立第6小学校に子供を入学させるために父兄は校舎費やもろもろの名目で数十万ルピアの費用を払わせられたのに加えて、その子が幼稚園を終了していても子供の年齢が入学時に規定年齢に達していない場合、別の費用が徴収されたのです。ふざけたことに、子供の年齢が規定から何ヶ月足りないかということで徴収金額に差がつけられました。たとえば、あと一ヶ月で規定年齢に達する場合は10万ルピア、三ヶ月不足していれば30万ルピアといったように。ただし最終的にはどうやってうまくネゴするか次第でしたが。
多くの父兄がそのありさまに不満を表明するものの、当局に届け出るには気後れが先に立ちます。子供の入学が拒まれたら家から遠い学校をまた探さなければなりませんし、よしんば入学できたとしてもあとでなにやかやと子供が標的にされるかもしれません。マグンジャヤ国立第6小学校の周辺は宅地開発が進み、学齢の子供数と学校の収容能力がアンバランスになっていることが悪徳学校経営者にチャンスを提供しているにちがいありません。関係諸方面、特にブカシと南タンブンの教育局は地域周辺部の監督を正しく行い、2006教育年度に同じことが繰り返されないよう、厳格な措置を取ってもらいたいと思います。[ ブカシ在住、パガ ]


「海外出稼ぎ者を食い物に」(2006年7月25日)
インドラマユに住むファッフディンは韓国へ出稼ぎに行こうと思い立ち、2005年1月10日に西ジャワ州労働局労働力配備コミティを通じて労働省本庁に韓国向け出稼ぎ労働者の登録申請を行った。コミティはファッフディンに、しばらくしたら本庁にチェックに行くように、とアドバイスした。バンドンで教育訓練を受けたあと、数ヶ月してからファッフディンはジャカルタの労働省本庁に確認をするために出向いた。かれの個人データは既に登録済みでおまけに韓国に既に送られており、IDナンバーももう与えられている、と本庁職員はかれに説明した。
ファッフディンはインドラマユに戻り、呼び出しが明日来るか明後日来るかと首を長くして待ったが連絡はない。そうこうしているうちに一年が経過し、かれは再びジャカルタの労働省本庁に出向いた。ところがおかしなことに、韓国向け出稼ぎ労働者派遣担当職員に尋ねたところ、名前は確かに記されているものの住所と生年月日が違っているとの返事が戻ってきた。そして反論を許さない口調でその職員は、データを改竄したのは地方労働局だ、と断言した。ファッフディンは戸惑った。前に尋ねたときには、かれの個人データはもう韓国に送られていて、雇用者とのマッチングさえできればかれは韓国へ出発できるまでになっていたはずだ。ところがいつの間にやら登録者の個人データが書き換えられてしまい、そんなデータに一致する人間がほんとうにいるのかどうか曖昧な状態になっている。ファッフディンの脳裏にピンと響くものがあった。
しばらく前、口入ブローカーがかれ自身や一緒に出稼ぎ登録を行った仲間にコンタクトしてきた。教育訓練をもう一度受けなおし、あるまとまった金をそのブローカーに渡せば、そのブローカーは韓国での仕事を短期間で見つける世話をしてくれるというオファーである。いつまでたっても本庁からの呼び出しが来ないので、ファッフディンや仲間たちはブローカーの話に乗ることにした。ところがそのブローカーも詐欺師だったようで、いつまでたってもその言葉通りのことは実現せず、数ヵ月後にファッフディンはそのブローカーに世話してもらうのを辞退して前に渡した金の半分を返してもらったということがあった。どうやら、そのブローカーと本庁担当職員が組んで登録者から金を搾り取ろうとしていたに違いない。ファッフディンが本庁の登録者台帳を見たとき、かれの頭の中でそれらの事件がひとつにつながった。


「警察にISOが取れたのはおかしい」(2006年8月3日)
2006年6月28日付コンパス紙への投書"Nomor Diganti, BPKB Dipersulit"から
拝啓、編集部殿。わたしは2000年以来スズキカタナを所有しており、ナンバープレートはB8410BGです。毎年STNK(自動車番号証明書)の更新は遅れたことがなく、今年もいままで通り一日で終わるだろうと思っていました。2006年5月20日にその手続を行ったところ、わたしのナンバープレートは2006年製のトヨタアバンザが今使っており、ダブっていることがわかりました。2006年5月31日、その番号の維持をするために西ジャカルタ市ダアンモゴッの交通警察統合サービスセンターに来るよう求められました。インデックス8BGの台帳にあるわたしの番号欄にはオーナーが別の名前になっているのです。警察の担当官が言うには、番号廃棄プロセスで担当者がミスをしたのが原因だとのことでした。本来消されるべきはB8411BGなのに、わたしの番号が消されてしまったのだそうです。わたしの番号が一旦消されたため、その番号がちょうど申請の出されたトヨタアバンザに与えられたということです。そこにトヨタアバンザオーナーの名前と住所が記載されていますが、わたしがそのひとと車のプレート番号をめぐって議論したところで、そのひとにしても番号は警察からもらっただけでしょうから何の解決にもならないのは明らかです。だったら、わたしが車の番号を変えるしかない、その担当官はそう言いました。結局わたしがB8411BGに変更することになり、時間のかかる長い手続を行いました。BPKB(自動車所有者帳)の訂正も、記録が見つからないという理由で2週間も時間を浪費されました。
警察側の事務手続きのミスだというのに、すべての負担をわたしが背負わされたのです。警察建物の前に「ISO取得のために市民の支援を」という垂れ幕がかけられていますが、ISOサーベイヤはわたしが体験したことを知っているのでしょうか?自分のミスを棚に上げてまるで市民が望んだかのように手続を強いる警察に、どうしてISO取得の支援を与えることができましょうか。ISOサーベイヤは評価の見直しを行うべきです。[ ジャカルタ在住、フェルセノ・プラヤッナ ]


「租税の住民搾取」(2006年8月11日)
2006年6月23日付コンパス紙への投書"NJOP PBB 2006 Melambung"から
拝啓、編集部殿。東ジャカルタ市ドゥレンサウィッのポンドッコピ地区住民は、土地建物税の課税対象金額査定が年々異常に上がっていくことに不服を表明します。上がり方はこのようになっています。
2002年クラスA24、平米当たり単価285,000ルピア、
2003年クラスA23、平米当たり単価335,000ルピア、
2004年クラスA16、平米当たり単価916,000ルピア、
2005年クラスA14、平米当たり単価1,147,000ルピア
2006年クラスA12、平米当たり単価1,416,000ルピア
この土地の現在の取引相場は平米当たり485,000ルピアです。Hアスマッ通り、エンテン通り、スコラハン通り、スコラハン?通り一帯でサーベイを行えば平米あたりの正確な土地価格(課税対象金額)がわかるはずですので、当局はそれを行ってください。上の単価は実際の販売価格であり、広告に出された価格ではありません。またポンドッコピ町ポンドッコピ通りでの土地建物税税額通知書と比較してみてください。そちらは1,416,000ルピアでなく702,000ルピアになっています。
東ジャカルタ第二土地建物税サービス事務所の税額査定をもっと公平な課税対象金額にし、当該地所に対して出した通知書の見直しを行ってより妥当なものに変更するよう要請します。[ ポンドッコピ在住、サリジュン ]


「税務職員の住民搾取」(2006年8月14日)
2006年7月17日付コンパス紙への投書"Pungli Terselubung di KP PBB Jakarta Barat"から
拝啓、編集部殿。KSトゥブン通りにある西ジャカルタ第一とコサンビにある西ジャカルタ第二の土地建物税事務所はここ一年ほど誉められない行為を行い、住民に嫌な思いをさせています。売買のためにせよ、サーティフィケート取得のためにせよ、土地建物権利取得税を納めようと申請するたびに検証担当官が現地調査を行うよう命じます。その手続きが何日もかかるだけでなく、サーベイ担当官たちが送迎を要求し、そしてサーベイ結果も驚くようなものになるのです。サーベイチーフは一方的に土地建物税の課税金額を高く変えてしまいます。1970年代に建てられた白ペンキできれいに塗られただけの建物が、それまで平米当たり32万5千ルピアだったというのに平米当たり150万ルピアにされているのです。その奇妙さは異常なほどです。サーベイ担当官はまったくプロフェッショナリズムを持っておらず、建築物構造も理解していません。
結局銀行で既に納めた土地建物権利取得税に何百万ルピアもの不足が起こります。その何百万ルピアというのはアンダーテーブルで処理されます。つまり不法徴収金なのです。他に選択肢を持たない申請者はその搾取に応じるほかありません。土地建物税確定書を新しいのに再発行してくれと申請者が要請しても、決して応じてもらえません。一年に土地建物税確定書を異なる金額で二度発行することはできないのだとかれらはおかしな理由を主張するのです。
もし税務職員に正しいことを行う気持ちがあるなら、そんな誉められないことを行うよりも土地建物に対するセンサスを行うことから始めたらどうでしょうか?住民も毎年発行される土地建物税課税金額に対する法確定を得ることができます。KSトゥブン通りにある西ジャカルタ第一とコサンビにある西ジャカルタ第二の土地建物税事務所は土地建物税確定書がすでに発行されているというのに納められるべき税額に対する不確定を生んで住民に損失を与える行為を止めなさい。[ チュンカレン在住、ブディ・チャンドラ ]


「不法伐採木材が貯めこまれている」(2006年8月22日)
Asmindo(家具手工芸品協会)のアンバル・チャヒヨノ会長は、イ_アで非合法に伐採された木材が中国で大量にストックされており、一方国内の家具手工芸品業界は原料入手難のために生産活動すら思うにまかせず、それに追い討ちをかけるようにパプアの森林分野における投資計画が中国から出されたことに対して強い反対を表明している。アスミンドはイリーガルロギングを撲滅するためにコミュニティロギングを提唱して東南スラウェシ州南コナウェ県でそのモデル活動を行っているNGOのTelapak との間で協力覚書を結んだが、席上でトゥラパッの役員ならびに列席したイギリス環境調査局職員は、インドネシアのパプアから中国に毎月30万立米のメルバウ丸太を密輸出するシンジケートが暗躍しており、中国に輸入された丸太は更に中国で床材に加工されて欧米に輸出されているという調査結果を報告した。パプアで中国が大量に行っている不法伐採や盗伐の実態はThe Last Frontier と題する報告書に詳しく述べられている。アスミンドのアンバル会長は、コミュニティロギングこそが公的に承認された木材を使って製造活動を行うイ_アの家具工芸品産業にとってのサバイバルの道である、と述べている。
民衆経済にプロフィットをもたらす植樹という企画は林業省住宅協同組合も振興に努めており、チーク優良株の植樹を初期投資3百万ルピアで5年間行うというチーク樹育成協力プログラムを国民に対してオファーしており、このプログラムに参加すれば1千から1千5百万ルピアのリターンが得られる、と宣伝している。


「徴税はいまだに植民地時代」(2006年8月23日)
2006年7月8日付コンパス紙への投書"Petugas Pikun Mendata Pajak"から
拝啓、編集部殿。わたしはスカブミ市バロス町に木の柱だけで壁のない長屋風建築物を持っています。2003年に税務職員がふたりやってきて、その建物のデータを取りました。ひとりは30代、もうひとりは70歳前後でもうろく気味でした。数ヵ月後にその建物の2003年度税額確定通知書が発行され、その建物はA03クラスに区分されていて評価額は平米当たり80万ルピアとなっていましたので税務サービス事務所に不服を申請に行くと、まず納税しなければ不服は受け付けられないと言います。これではまるで徴税吏が好き勝手に納税額を決めていた植民地時代と同じじゃありませんか。わたしは結局諦めました。
2004年度税額確定通知書が発行された時、その建物はA02クラスにグレードアップされ、評価額は平米当たり96万ルピアになりました。今年の2006年度税額確定通知書ではなんとA01クラスに上がり、評価額は平米当たり120万ルピアになっています。税務当局にお尋ねしたいのは、壁のない木の柱にトタン屋根を載せた長屋の税額決定が本当にそんなやり方なのかということです。年々クラスがアップして行き、最後には星級ホテル並みになるのですか?土地建物税額を決めるための建物データを取るようもうろくしたひとを遣わすなんて、ほかに職員はいないのでしょうか?[ スカブミ在住、ベルナル・スラッナ ]


「制服の強盗団」(2006年9月6日)
2006年7月26日付コンパス紙への投書"Oknum Tramtib ala Prampok"から
拝啓、編集部殿。2006年7月19日13時30分ごろ、わたしは中央ジャカルタ市スネンラヤ通りにあるムナラエラ・ビル脇のカリリオ通りのアルタイビンモスクの前庭で、カキリマ屋台から果物サラダを買ってそれを味わっていました。するとそこにブルーの制服を着た一群の男たちが突然現われ、何の対話もあらばこそ、いきなり商人たちへの襲撃を始めたのです。屋台や商品、調理器具、そして売上金まで強奪しました。わが国では、民衆の庇護者とされている人たちはこのようなことをするものなのですね。
この国は今、さまざまな災厄に見舞われているというのに、自分の国の中で生計の資を一生懸命稼いでいる民衆に対して横暴な行為をどうして行わなければならないのでしょうか?わたしは一介の市民ですが、イ_ア国民が同じ民族の人間にいまだに植民地支配を受けているありさまを前にして悲憤に襲われています。
わが国の国民の庇護者たちよ。われわれは優しい民族であり、国には法律があるのです。もし手入れを行うというのなら、そんな暴力的で商人を経済的に困らせるようなやり方が取られるべきではありません。かれらはまっとうなやり方で生計の資を得ようとしているだけなのだから。ブルーの制服を着た男たちは本当に都庁秩安職員なのでしょうか、それとも強盗なのでしょうか?[ 南ジャカルタ在住、クルスム ]


「運転免許証は金とコネの世界」(2006年10月20日)
2006年8月22日付けコンパス紙への投書"Pungli SIM di Markas Polresto Bekasi"から
拝啓、編集部殿。首都警察長官がごろつき撲滅を推進している足元で、ブカシ警察本部の一部職員たちが組織暴力団同様の行為を行っています。かれらは運転免許証を新規に得たり、あるいは既存免許証の期限更新を行う小市民から公定タリフよりはるかに高額な金を搾り取っているのです。職員たちは故意に運転免許証手続を複雑で手がかかり、そして金がかかるようにしています。免許証係り職員は故意に警察職員を周旋屋にしたて、あるいは本物の周旋屋を使って自分たちの私的な利益を図っています。国警長官の約束した「シンプルで短時間のサービス」はスローガン倒れでしかなく、少なくともブカシ警察においてはそうであると言えます。
2006年7月14日、わたしはC種免許証(二輪車)の延長手続を行いました。たまたま個人のお抱え運転手になろうとしている人と一緒になりました。かれはA種免許証(自家用四輪車)の新規取得に来たのです。わたしは手続を自力でやろうと思っていました。ところが警察署構内の表にある駐車場に入ったとたん、大勢のチャロ(周旋屋)が獲物を探してうろついているのに出くわしました。明らかに警察職員という姿をしたひとが5人以上、チャロの中に混じって客を漁っています。その光景を目にしながら涼しい顔をしている監察官の姿には驚きました。
もっと驚いたのは、公定料金6万ルピアのC種免許証になんと18万5千ルピアも払わせられたことです。A種免許証の新規交付は10万ルピアもかからない(公定申請料金は7万5千ルピアです)ものが、なんと30万ルピアも徴収されました。C種免許証費用18万5千ルピアの明細は、視力テスト2万ルピア、保険、免許証ケース、高官のサイン費用8万5千ルピア。ところがA種免許証の新規交付費用30万ルピアの明細はいったい何のためなのかよくわかりません。A種もC種も窓口で不法徴収金を取るものの、領収書は何も出ないのですから。ある窓口でわたしが領収書を要求したところ、名札にJ・・・・と書かれた婦警はいきなり怒り出し、「あんたがあとで受け取る新しい免許証がその領収書よっ!」と不愉快そうな顔で吐き捨てました。
視力テストは免許証取得の条件になっているはずなのに、用紙にデータを書かせるだけで視力検査は何も行われません。テストのための費用2万ルピアはしっかり徴収するのに、これも領収書がありません。A種免許証の筆記テストもただの形式だけで、言われるだけの金を払えばだれでもパスするのです。要するに金とコネさえあれば何でも思いのままだということです。ブカシ警察本部の免許証手続サービスは出鱈目の極致です。チャロかコネを使わない限り、あるべきサービスを受けられると期待してはいけません。[ ブカシ在住、マルヨト ]


「プンチャッ街道で交通警官ガードサービスはいかが?」(2006年11月8日)
休日にプンチャッ(Puncak)やサファリパーク(Taman Safari)への行楽に繰り出した都民にとって、プンチャッ街道の渋滞はもう当たり前のことになっているのかもしれない。そんな車の列を脇に見て、白バイに先導された高級車が対向ニ車線道路のど真ん中をすらすらと突き進んで行く。そんな光景は都内の路上でもおなじみだから、ここでもやっぱり政府要人が特権をかさにきて庶民の困苦などどこ吹く風と自分に与えられた権力を享受しているのだと誰しも思うものだが、ところがどっこい。
その日の朝、スゲンは家族を乗せてランドクルーザーのハンドルを握っていた。ジャゴラウィ(Jagorawi)有料自動車道チアウィ(Ciawi)出口を出たら目の前は車の海。じりじりと動いては止まるという渋滞走行を続けながらガドッ(Gadog)の三叉路に向かって進む。三叉路の交通信号近くまで来た時、そのエリアの警備に就いていたと思われる警官がスゲンの車に近寄ってきた。スゲンの顔色が変わる。『休日の行楽にやってきたというのに、警察沙汰になっちゃあぶち壊しだ!』ところがその警官は終始にこやかな笑みを浮かべ、馬鹿丁寧なほど礼儀ただしい。スゲンが窓を下ろすとその警官は言った。「ガードは要りませんか?」
渋滞の中をのろのろ運転で山道を登って行けば、ガドッからサファリパークまでの12キロの道程に3時間ほどが費やされる。しかしこの警察ガードサービスを利用すれば、目的地までは数十分。もちろん無料であるはずがなく、警官は謝礼を要求するに決まっているが20〜30万ルピアの金でそんな楽ができれば言うことはない。スゲンは応じた。「じゃあ、お願いしますよ。」その警官は道路脇に止めたあった白バイに乗り、もうひとりの同僚に合図してからスゲンのランドクルーザーの斜め前までやってきて停まり、後ろに続くよう合図した。スゲンは対抗車線に乗り出して道路の中央を走る。もう一台の白バイがその後ろを伴走する。これは完全に政府要人の気分。こうして他の渋滞車輌を尻目にスゲンはすいすいとタマンサファリ交差点に到着し、約束した金額を渡してその特別サービスは終了した。しかし中にはタチの悪い警官がいて、約束した金額を渡しても「足りない」と言ってゴネる輩がいるから気をつけたほうがよい。この警官のアルバイトガードサービスはランドクルーザーやBMWX5、ホンダCRVなど高級車の新車を狙ってオファーしてくるので、庶民向け車種では相手にされない可能性が高い。
プンチャッ街道の所轄はボゴール警察署であるため、ボゴール警察交通ユニットにこの話を確認したところ、アルバイトガードサービスは違法であるとの返事が戻ってきた。ガードを行う場合は条件が定められており、行楽中の一般市民に対するガードはありえない。ましてや料金を定めて有料サービスを行うなどもってのほかだとの談。警察の交通ガードがつくのはVIP(政府高官や外国要人)、何台ものバスや車輌を連ねた団体の移動、消防車、救急車、葬儀車。それ以外ではせいぜい現金輸送くらい。同ユニット長は、プンチャッ街道は州道なので、国家警察、国軍憲兵隊、首都警察、西ジャワ州警察の職員が交通ガードを行う可能性がある、と付け加えた。


「国有電力会社が利用者を搾取」(2006年11月29日)
2006年9月14日付コンパス紙への投書"Arogansi PLN Bantar Gebang"から
拝啓、編集部殿。ボジョンメンテン住宅地にあるわが家に2006年6月26日、PLNブカシ県バンタルグバンUPP職員5人が警官ひとりを伴って調査に訪れました。そのとき家にいたのはプンバントゥと10歳の子供だけで、わたしと夫は仕事に出ていました。プンバントゥがわたしに電話してきて調査があることを知らせてくれたので、わたしは職員に自分が家に戻るまで調査を待って欲しいと頼みました。しかし職員たちはわたしの頼みを無視して調査を行ったのです。わたしが家に着いたとき、プンバントゥはわたしに赤い紙を一枚差し出しました。そこにはなんと、PLNのものでない封印がふたつ発見されたので電力供給の停止を防ぐために6月27日にPLNに出頭せよ、と書かれていました。わたしも夫も、これまで一度も電力メーターや電気の引き込み線を触ったことも部品を交換したこともないので、それには驚いてしまいました。三年前に同じような調査チームが訪れて調べたときも、問題は何ひとつなかったというのに。
指示された日にPLNブカシ県バンタルグバンUPP事務所を訪れて統制担当スーパーバイザーに面会すると、罰金として2,037,060ルピアを支払うよう命じられました。わたしは封印を変えたこともいじくったこともないので、そんな大きな金額は払えないと抗議しました。ところがPLN側はその罰金を8月の請求書の中に加えてきたのです。わたしはPLNブカシ県バンタルグバンUPP事務所のマネージャーに面会を求め、6月26日に行われた調査に関して手続上不適当であったことを抗議しました。マネージャーはその手続にミスがあったことを認めましたが、請求された罰金は支払われなければならないと主張し、頑として帳消しに応じません。[ ブカシ在住、ロナサリ ]


「バタムから他地域へ免税輸入品横流し」(2006年12月21日)
バタム島内での消費を名目に輸入許可を得たブラジル産鶏肉が島外に流されている。家禽販売情報センター役員は12月12日、シンガポールから輸入されたブラジル産鶏肉6万トンの一部がジャカルタをはじめジャワやスマトラに流されている徴候が認められると語った。同役員の話しによれば、普段地元の養鶏業者から供給を得ている鶏肉加工会社の中に購入をストップしているところがあるとのこと。はっきりした横流し量はサーベイをかけなければわからないが、既に行われた調査結果からそれらの加工会社はバタムから鶏肉を仕入れていることが判明している由。それが始まったのは、今年6〜9月に鶏肉が値上がりした際ローカル産ボンレスはキロ当たり2万6千ルピアになったところブラジル産と見られる冷凍輸入ボンレスが2万2千ルピアの価格でジャワ島に出回るようになった時期からではないか、と同役員は推測している。
バタムへの輸入自体は許可に則して正規の通関を経て行われたものであるが、条件はバタム島内での消費に限定されており島外への流出は許可違反となる。スマトラでも南スマトラ州にバタムからと見られる輸入鶏肉が出回っており、同役員は国内養鶏産業保護のためにその許可に基づいてバタムに輸入される鶏肉から輸入税を徴税せよと政府に求めている。そもそも国内養鶏産業は十分な供給能力を持っているのに輸入許可が出されたこと自体がおかしい、と同役員は批判している。


「悪徳交通警官が逮捕される」(2006年12月21日)
首都警察交通局は過去二ヶ月の間に悪徳交通警官30人を逮捕した。この30人は路上を通行中の運転者に交通違反を犯したと脅かして和解金を受け取っていた者たちで、市民からの届出で捕まった者や規律パトロール職員に現行犯で捕まった者もいる。この30人に対して首都警察は、警告、配置転換、降格あるいは入獄といった罰を与える予定。職務規定違反の警察官に対する入獄は昔から行われており、1日、1週間、1ヶ月などその期間はさまざま。
悪徳警官の中には12月4日から開始されたオートバイの左側車線走行の義務付けを理由に道路の中ほどを走っていた二輪車に対して違反切符を切ろうとし、「嫌なら和解金を出せ」と脅かして金を取るという手口がかなり使われていたもよう。副交通局長は、その規定が本格実施されるのは来年1月からでありいまのところはまだ社会告知期間であるためそれを破っても違反扱いはしないことになっている、と述べている。


「国家公務員の55%は役立たず」(2007年1月18日)
タウフィッ・エフェンディ行政機構効用改善担当国務大臣が「現有360万人の文民公務員のうち55%はクオリティが低く、かれらは自宅待機させたほうがまともに職務を遂行している同僚の足を引っ張らないだけマシだ。」と発言した。かれらはただ給料をもらっているだけで職務への貢献はないに等しいとのこと。「かれらをすぐに首にするというようなことをする気はないが、かれらには教育プログラムを受けさせて能力向上を図ってもらうようにしたい。また省間あるいは自治体間で職員数がきわめてアンバランスになっており、ひとを移動させてその平均化をはかりたい。ある県には職員が2千人しかいないがほかの県では2万人いるというような実態になっている。これは正規公務員についての話だが、それ以外に90万人のやはりクオリティの低い契約職員がおり、かれらは無統制にあちらこちらに散らばっており、かれらを今後いったいどうしていくのかということも五里霧中だ。」大臣は開発会計監査庁が行った監査に関するパネルディスカッションの場でそう語った。
政府は文民公務員の人数適正化を年金プログラムを通して進めようとしている。このプログラムで退職する人数は10万から12万人が見込まれており、政府の年金負担は急上昇する。今いる公務員は80%が事務職であり、それは自然減耗にまかせて退職者の補充はしない。一方外交官・看守・看護人などいくつかの専門職はひとを増やす必要があるため、新規採用はそれだけにとどめる意向だ。
行政機構内で早急に改善が求められているいくつかの問題に対する対応方針として、まず業務のオンライン化が叫ばれている。中でも物品サービス調達とそれに対する国庫からの支払いが明瞭に開示され監視されるようにするために全公務員に背番号をつけるシングルアイデンティフィケーション番号(SIN)の実施、人間同士が集まって業務を行うと腐敗謀議に傾きやすいために業務の流れをオンライン化すること、オーバーラップしあっている1,850件の規則と投資を阻んでいる5千件の地方条例や規則を整備すること、その場その場でのインプロビゼーションでなく法治にもとづく国家として犯罪に関する法曹と矯正システムを改善することなどが上げられている。


「2006年のコルプシ金額が大幅増」(2007年2月1日)
インドネシアコラプションウオッチ〔ICW〕がまとめた2006年に発生したコルプシ〔腐敗)行為は161件総額14.4兆ルピアにのぼり、急激な増加が見られることが指摘された。ちなみに2005年は125件総額5.3兆ルピア、2004年は153件4.3兆ルピアとなっている。ICWの統計は全国83のマスメディアで報道されたコルプシ事件をモニターしたもの。
2006年の状況についてICWのダナン・ウィドヨコ、コーディネータ代表は、発生件数は大きく変化していないものの質的内容は大幅にアップしている、とコメントした。2006年のコルプシ事件は行政セクターが最も多い47件で、また今後警戒を厳しくしなければならないのは地方首長選挙や総選挙に関連する部分だ、と警告している。金額面から見ると、銀行セクターは件数的に微々たるものだが金額は3.23兆ルピアで首位を占めている。続いて住宅土地セクターが3.21兆、さらにエネルギー電力セクターが3.09兆。コルプシ手口は主に金額水増し、予算逸脱、横領着服などで占められている。
地方代表議会コルプシ防止作業チームは、インドネシアのコルプシ撲滅プロセスは進歩があるものの進展はまだあまりにも小さく、相手を選別しながら対処していくありかたが顕著に見受けられる、とコメントしている。汚職撲滅コミッションをはじめとするコルプシ撲滅機関は活動の焦点をしぼるべきであり、国庫から巨額の金を抜き取る事件をターゲットにするのか、それとも国民生活に直接損失を与える事件を追跡するのか、方針を明らかにするべきである、とも地方代表議会は述べており、それに対してタウフィクラフマン・ルキ汚職撲滅コミッション長官は、今年は摘発件数を増やすだけでなく質的な内容をも高めていく方針にしており、インドネシアの国際的腐敗指数がさらに改善されるよう努めるのが目標だ、と語っている。


「無為無能行政」(2007年2月16日)
2007年1月24日付けコンパス紙への投書"Sulitnya Melaporkan Kasus Flu Burung"から
拝啓、編集部殿。南ジャカルタ市畜産局のサービスにはたいへん失望させられました。それが欠陥行政システムのせいなのか、それともインドネシアでここ三年間猛威をふるっている鳥フルに対して関心も感受性も持たない一部の人間のせいなのか、わたしにはよくわかりませんが。
2007年1月15日、わたしは南ジャカルタ市畜産局に電話しました。そのときわたしはポンドッカレン地区を担当するタングラン市畜産局の電話番号がわからなかったのでそれを教えてもらおうとしたのです。畜産局をはじめすべての行政機関は全国の各地区を担当する役所の電話番号がわかって当然ではありませんか?そのリストを作って電話近くの壁に貼っておけばいいのです。ところがわたしが得た返事は、ゴマンとある言い訳を従えた「判らない」という言葉でした。そんな仕事のしかたで、インドネシアの鳥フル汚染拡大がどんどん進行しないと誰が言えるでしょうか。わたしの住んでいる地域では、毎日鶏が突然死していますがそれらの鶏オーナーたちは「鳥フルで死んだ」と言われることを極度に嫌っており、その事実をわたしは畜産局に通報したかったのです。政府は鳥フル対策に関する措置を大々的に報道しているけれども、現場レベルでその方針がそんな報道内容と同じレベルで実行されていないなら何の意味もありません。
わたしは最終的に知り合いから鳥フル対策詰所の電話番号を三つ入手しました。その詰所の電話番号にほとんど三時間電話し続けましたがいつまでも話中で、何をすることもできませんでした。[ タングラン在住、ヘルダ・ユシアナ ]


「アダムエアーチェックインカウンターで不正発覚」(2007年2月23日)
国内線国際線を問わず飛行機の乗客はスカルノハッタ空港チェックインカウンターで通称エアポートタックス正式名称パッセンジャーサービスチャージ(PSC)を支払っている。空港管理会社アンカサプラ?企業秘書は、PSCは空港利用乗客から徴収するエアコン、トイレ、ベンチなど諸設備の利用対価だが発地でのみ徴収されトランジット乗客からは徴収されない、と述べている。この仕組みを悪用して乗客から受け取ったPSCの一部を着服していた組織ぐるみの犯罪が警察に摘発された。
スカルノハッタ空港の国内線PSCはひとり3万ルピアが徴収されており、同空港でチェックインした乗客はすべてその金額を徴収されてシールの領収書をもらっている。ところがアダムエアーのチェックインカウンター職員が組織ぐるみで、おまけに乗客から徴収したPSCの納入を受け取るアンカサプラ?職員とも共謀してPSCの一部を着服し、着服分相当の乗客数をトランジット客だとして虚偽の報告を提出していたことが明るみに出た。警察が連行したこの事件の容疑者はアダムエアー職員が13人で、かれらはチェックインカウンター受付担当、チェックインカウンタースーパーバイザー、チェックイン管理担当とスーパーバイザー、トランジット旅客受付担当などの業務に就いていた。警察の取り調べに対して犯行は2006年8月から続けられていたと容疑者たちは述べているが、もっと以前から行われていた可能性があるため、裏付け捜査が進められている。この一味はすべてのフライトで犯行を行っていたのでなく、乗客数や上級管理者の監視状況次第で疑われにくい場合にだけそれを行っていたため、マニフェストの乗客数記録と入金の際の報告との突合せのために事件捜査は時間がかかる模様。一方2月19日に逮捕されたアンカサプラ?の悪徳職員は警察の取調べと社内調査チームによる取調べを受けている。


「2006年の腐敗状況」(2007年3月8日)
トランスペアレンシーインターナショナルインドネシア(TII)が2006年CPI(腐敗認識指数)サーベイ結果を公表した。全国32都市のビジネス従事者1,760人を対象に行われたサーベイによれば、法曹界、警察、軍が収賄行為で上位を占めている。このサーベイ回答者に選ばれた者はすべて商業事業許可を持ちまた納税者番号を保有しており、89%がローカル企業で占められ11%が外資企業となっている。
回答によれば、公共機関はあらゆる手続きに対して常に円滑金を徴収し、回答者はその金を払っている。公共事業に関連しては、贈賄が行われるのは契約が完了したとき、入札で勝者になったとき、公共指定業者として支払を受けるときという順位になっている。法曹界は百%みずから賄賂要求を出し、原告被告は仕方なくその金を払っている。警察と軍については、賄賂のやりとりは事業者のイニシアティブも半分くらいある。
2006年サーベイでCPIは次のような結果になっている。法曹界100%、税関95%、イミグレーション90%、地方議会90%、国家会計サービス事務所86%、地方自治体労働局84%、地方自治体居住地域インフラ局82%、事業許認可機関82%、土地登記庁87%、軍80%。トドゥン・ムリヤ・ルビスTII役員代表は、贈賄の大半は役人の側から要求が出されており、腐敗行為の手口はますます巧みになりまた要求金額も高額化している、とコメントしている。
どちらが賄賂のイニシアティブを取るかということを示す腐敗相互作用については、次のような結果が示されている。トップは警察の55%、次いで軍53%、裁判所51%、土地登記庁48%、イミグレーション47%、税関44%、地方議会43%、地方政府38%、国家会計サービス事務所34%、地方自治体居住地域インフラ局34%。一方大幅に低下した機関もあり、国税総局23%、PLN25%、テルコム18%などは清浄化が進んでいる印象を受ける。


「腐敗都市番付」(2007年3月15日)
トランスペアレンシーインターナショナルインドネシア(TII)が全国32都市の腐敗度番付を公表した。これは2006年10月から12月までの間にTIIがそれらの都市の事業者、総数1,760人、に対して行ったサーベイ結果をまとめたもので、「ジャカルタが最悪ではないか?」という思惑は覆されている。ジャカルタでは333事業者から回答が集められ、腐敗認識指数(CPI)は4.00で番付では第26位にある。32都市のトップはパランカラヤでCPIは6.61、ジョクジャは5位でCPI5.59、8位パダン、9位スマラン、12位バリッパパン、17位メダン、19位タングラン、20位バタム、22位スラバヤ、23位ブカシ。チレゴンは28位、デンパサル29位、ゴロンタロ30位、マタラム31位、マウメレが最下位の32位でCPIは3.22。
それに対して各地域行政府首長の反コルプシ評価が別に行われおり、CPIが最下位のマウメレで市長の反コルプシ評価は25位にあり、ジャカルタ首都特別区首長の26位を一頭抜きん出ている。デンパサルもCPIは29位だが市長評価は21位にある。TIIによれば地元首長の反コルプシ評価は事業活動の障害除去に関する活動に基づくもので、その中には公共サービスのレベル、法執行、事業者と行政官吏間の贈収賄といった要素がメインをなしている。今回のサーベイではCPIが低い都市の多くで首長の評価が高いという傾向が見られており、TIIはそれを首長のコミットメントがまだ不足していることを示すものと解説しているが、これは生み出した結果でものごとを評価するよりもそれに関わっている際の姿勢で評価しがちなインドネシアの精神風土がもたらしているものであるように思われる。
今回のサーベイでも賄賂が腐敗行為のメインを占め、358件の中で賄賂要求は43%に達している。賄賂は政府の物品サービス調達時にもっとも多く発生する。その中では建設プロジェクトでの闇リベート、円滑金、「ありがとう」金などが多い。そして回答者の42%はその金を役人に与えることは当たり前のことだと考えている。トドゥン・ムリヤ・ルビスTII理事は、外国企業と地元企業の間で異なる傾向が見られるとコメントした。ローカルの中小事業主の間にはクリーンなビジネス行為を希求する傾向が強まっている。一方外国企業や地元の大資本企業は腐敗・癒着的ビジネス行為をいとも容易に行っている。腐敗ビジネス行為は入札、事業許認可、建設プロジェクトなどに関連して発生する贈収賄行為が多い。事業者からの回答では、州政府労働局での贈賄要求が84%、居住地域インフラ局で82%、事業許認可手続きでも同じ程度のレベルにある。同理事はそうコメントしている。


「水道会社は大金持ち」(2007年3月20日)
2007年2月8日付けコンパス紙への投書"Tagihan PAM Boleh Ditunggak"から
拝啓、編集部殿。2006年7月31日、借家人がわたしの持ち家から一言の話もなく鍵も返さずに姿を消しました。そのため8月1日にすぐ、わたしどもは水道、電気、電話の支払状況をチェックし、十分なデータを入手しました。ところが2006年9月18日、975,250ルピアの滞納請求が来たためわたしは東ジャカルタ市ドゥレンサウィッのダルマガ通りにある水道会社にその明細のプリントアウトを依頼し、借家人が2006年1月から水道料金を滞納していたことを知りました。そしてその家の水道も2006年8月7日に封印されました。
わたしはその滞納金額を清算しましたが、まったくすっきりしないものを感じています。7ヶ月間も連続して支払われていない水道は1月から7月までの間に封印されて当たり前ではありませんか。少なくとも水道会社は20稼働日X7ヶ月の140日という日数を無為に費やしています。請求書の裏側には上水供給停止とその再開に関する規定がプリントされているというのに。そこには「期限日から5日を経過して支払を滞納した利用者は上水供給を暫定的に停止する」と記されているのです。そして最近行われたその家の水道の封印は、その家にだれもおらずまたフェンスに鍵がかかっているときになされました。つまり封印に来た職員はフェンスを乗り越えたわけです。供給再開も同じような状況下に行われました。
わたしが水道会社事務所で別の職員に尋ねたとき、利用者は料金を好きなように支払えばよい、とその職員は言いました。つまり何ヶ月滞納していても、一番最新の請求分だけを支払えばそれでよいというのです。そのようなことはPLNやテルコムではありえません。それはつまり水道会社がお金をたっぷり持っていて、滞納者に規律正しく請求しないでも滞納金の穴埋めができるということを意味しているにちがいありません。それでは水道会社自身も利用者も損をします。わたしは水道会社経営者の業務改善を希望します。国や一般利用者に損をさせることのないように。[ ジャカルタ在住、スシ・ムリヤティ ]


「役人姿の海賊たち」(2007年4月26日)
2007年1月19日付けコンパス紙への投書"Minta Minyak secara Paksa"から
拝啓、編集部殿。バージ船を曳航するタグボートの船長としてわたしどもは、ジャンビへの航海オーダーがあるといつも船主に苦情を訴えています。バタンハリ川に入ってカンプンラウとムアラサバを超えると必ず何人かの役人が現れて船に入って来ます。かれらは台帳を持ち、積荷・船名・船長名を控えます。そのあとは通例のタバコ銭の要求です。差し出す金額が小さいと、かれらは怒りまくってもっと出せと要求します。ところがそれだけで終わらず、かれらは燃料を要求します。パトロールのため、詰所の明りのため、その他いろいろな理由で。もし5人もの人間がそれぞれ30〜40リッター入り石油缶を持って船に上がってきたら燃料がいくらあろうとたまりません。それら悪徳役人に燃料を無理やり供出させられ、航海途中で燃料切れを起こしたら船長としての責任をどうやって果たせばよいでしょうか?船長としてかれらの無理強いを拒んだにもかかわらず、かれらは機関担当船員を嚇かして燃料を持って行ったこともあります。落ち着いて安全に航海できるよう、当局のご配慮をお願いします。[ パレンバン在住、ウカル ]


「官僚機構は独立生命体」(2007年4月30日)
インドネシアの行政機構は国民サービスを行っておらず、それは独自のロジックを持つビジネス組織であって国民に官僚サービスを強いる集団である、ということを知らないインドネシア人はいない。今現在、1,850件の法規が屋上屋を重ねる錯綜状態で国民管理制度を作り上げており、それが388種もある行政サービスの実施を命じている。行政サービスというのは販売商品であり、法規が国民にそれを行わないと犯罪者として罰せられることを定めているため、行政は国民に対して金を払って犯罪者にならない道を選ぶかそれとも違反を行う犯罪者として刑罰を受ける道を選ぶかという選択を迫る。プンリ(pungli)と呼ばれる不法徴収金が跋扈する場がこうして作り上げられている。
行政機構の持つそのようなロジックに反対する命令を大統領や大臣が出しても、行政機構がそれを完全に無視するということすら起こっている。華人系インドネシア国籍者が住民管理手続きを行う際の条件のひとつに必ず入れられているインドネシア国籍証明書の廃止を命じたのはグスドゥル大統領の時代であるのに、その後メガワティ政権、ユドヨノ政権と代わったいまでもその命令に対する不服従が続けられている。国家機構上層部が決めたことを黙々と遂行するという、他の多くの国々で見られる官僚機構の姿はここにない。インドネシアのビューロクラシーは独立生命体なのだ。
だからこそ、行政改革というスローガンが声高に語られるが、意図されている改革は遅々として捗っていない。クリーンで透明で効率よくまた威厳のある政府という現代社会で指向されている行政機構はいまだにインドネシアに実現しておらず、またいつ実現するのかすら雲をつかむような話になっている。エコ・プラソジョ、インドネシア大学行政学教授はそんな状況に関して、灰色のビューロクラシーを享受している勢力があるために改革は捗っていないと述べている。そのような状況が政党や諸外部勢力によって資金集めや政治活動における大衆動員といったことに利用されているのだ。
「国家公務員の55%は役立たず」(2007年01月18日)で報道されたように、「現有360万人の文民公務員のうち55%はクオリティが低く、かれらは自宅待機させたほうがまともに職務を遂行している同僚の足を引っ張らないだけマシだ。かれらはただ給料をもらっているだけで職務への貢献はないに等しい。」と行政機構効用改善担当国務大臣が発言している。東カリマンタンのクタイカルタヌガラ県は住民人口20万に対して公務員が2万人いる。スラバヤのある地区は6千人いれば十分なのに2万5千人も公務員がいる。そしてひとりひとりの人材クオリティに目をやれば、能力もなくたいした仕事もせず、しかし職務のスムースな流れの足を引っ張るようなことを行っている人間が多すぎる。
地方自治が開始されてからはそこに事態をさらに歪める要素が出現した。地元政府が収入増を図ろうとしてさまざまな規則やサービスを追加し始めたのだ。言うまでもなく従来からあった国民犯罪者化の原理を持つメンタリティはまだ変化していないから、追加されるものがどんな性格を持つかは想像にあまりある。管理行政の秩序立て云々はお題目という面が強い。それを修正していくのは地元民の声と中央政府の指導であるものの、極端から極端に走るインドネシア型メンタリティのおかげで完全圧政に取って代わったのは他人の言うことに聞く耳を持たない自由放任だった。地元民による地元首長の直接選挙というパターンによって地方首長の多くはまるで小独立国の大統領になったように自分を見なし、州知事と県令が命令系統の上下から脱け出して同格であるかのように感じている実態を指摘する声もある。意識の中に生じたそのようなアナーキーのために中央政府が各地方現場の実態をつかみきれなくなりまた指導も行き届かなくなってしまっている状況を、中央政府の諸機関はほぼ一様に嘆いている。
行政機構効用改善担当国務省が行政改革の一プログラムとして、1,850件ある法規の整理を進めている。中にはその上位にある法令に違反しているものすらある。それと同時に、388種ある行政サービスを整理することも着手された。しかし既に内務省が行った全国の地方自治体条例規則8千件に対する審査で、そのうち2%は通商と物流を阻むもの31%は産業界がそれを遵守しても何のメリットもないものという判定が下され、それらは早急に廃止もしくは修正されるようにとの指示を2006年に全国の地方自治体に下したものの、今年はや4ヶ月たった現在、それらの地方規定が廃止あるいは修正された事実はひとつとしてない。利害の対立する一方がただ言っただけでは物事が回転して行かないのは、それを言われた側が独立生命体であることの証明にほかならない。国民管理に関する1,850件の法規のジャングルもその整理には時間がかかりそうだ。


「プンリ」(2007年6月28日)
プンリ(pungli)というインドネシア語がある。一見中国語のように聞こえる言葉だが不法徴集金(pungutan liar)という二語を縮めたものだ。インドネシアでプンリは社会システムになっており、日常活動の中でそれに直面する者はだれもが当たり前のようにそれに対応している。権力と数の圧制を前にして、個々人の力がいかに弱いものであるかということを実感させてくれるのがこのプンリではあるまいか。
街道や港湾は、そして役所の公共サービスも、昔からこのプンリの巣窟だった。南スマトラ州ムアラエニムから一路南下してスンダ海峡に面するバコフニ港まで到着する間に、貨物を積んで走るトラックの運転手は15万から20万ルピアのプンリを覚悟しなければならない。ムアラエニムで果物を栽培している農園主は、毎週一回荷を積んでジャカルタまでトラックを走らせるがプンリの爪から免れたことはない、と語る。一回に取られる金は2千から5千ルピア程度だとはいえ、トラックの重量を量る計量ブリッジに入ると金額は跳ね上がる。ランプン州で公式に稼動している計量ブリッジはひとつしかない。ところがもうはるか昔に作られて今では壊れて機能していない計量ブリッジも県の職員が出張っていて、トラックがそこを素通りするのを許さない。トラック運転手たちが街道を走っていても、いつ制服を着た交通局職員に止められないかとびくびくもの。街道を周遊している職員はひとりだけではないのだ。そしてまた、街道の随所に設けられたトラック検問ポストもある。たとえひとりに一回3千ルピア渡すだけだとしても、数十人からプンリの支払いを要求されるから出費は必ず十数万ルピアになってしまう。役人の側は積荷の重量オーバーから無届運送業の検問まで、ありとあらゆる理由をつけてトラックを取調べようとする。書類がすべて完備されていても無料で役人の「サービス」を受けられるものではないのだ。役人が法規に従って行う法執行はどういうわけかこの地で公共サービスという名前で呼ばれている。ランプン州のスマトラ中央街道を通るムアラエニムからのトラックに対して、地元の交通局職員は事業許可証や荷役許可証の提示をトラック運転手に求める。南スマトラ州のトラックが荷を積んでランプン州を通過するというだけなのに、他州の事業許可を調べてどうしようと言うのか?積荷がどこで積まれてどこで下ろされるのかが明記された書類があるのに、いったい何を調べようというのか?
書類の完備は必須条件なのだ。揃っていなければどんな因縁をつけられるかわからない。その交渉の結果プンリ金額が跳ね上がる。だから少額のプンリを払っておけば物事は無難にはかどるのさ。なにしろ金はイージーカムイージーゴーだから、出し惜しみするけちなやからは人間性が疑われる。庶民にとって毎日を生きるための人生訓はきっとそんなものだろう。社会システムとしてのプンリには実に民族的な諸要因がからまっているようだ。


「航空行政の腐敗構造」(2007年8月21・23日)
「許認可を得るために、まず個々のオペレータがだれにどのようなアプローチをかけるのか、それによって金額は違ってくる。そしてどんな状態の機体がチェックされるのか、運行ルートはどこなのか、そのような要因でそれぞれ違ってくる。いくら出せという売りオファーはなく、渡した金額で相手の反応を見るしかない。」ある定期航空会社の取締役はそう語る。1999年に行われた空運事業開放政策で民間航空会社が雨後のタケノコのごとく出現したが、それと同時に運通省内での収賄活動も旺盛な進展を示したようだ。
インドネシアで空運ビジネスを行うにあたってまず必要となるのは空運事業許可書(SIUP)であり、次にエアオペレータサーティフィケート(AOC)、航空機調達認可、運行ルート申請、乗務員ライセンス、航空機耐空性適合証、機体登録証明書などの手続きが続々と発生する。そのどれひとつとしてエクストラの金がからまないものはない。エクストラというのは、明らかに公定料金とは別の金を領収書なしに行政側の人間に渡すことを意味している。仲介する人間への手数料とは異なるものだ。その金は賄賂(suap)とも呼ばれ、また円滑金(uang pelicin)とも呼ばれている。贈収賄にはふたつの面があり、法規で定められた条件に不備であっても目をつぶって許認可を与えるよう求めたり審査検証プロセスを内容はどうあれ適当に切り上げて早く許認可を出すよう求めるという方向性と行政の権限をバックにして許認可を与えること自体を商品にするという方向性のふたつが相互に関わりあっており、国民と行政機構は互いにその一方だけを腐敗の元凶だと自己弁護して自らを正す行動がなかなか徹底しない。これは行政による民間事業監督にせよ住民管理にせよ変わるところは何もない。政府上層部はその状況を十分すぎるほど理解していても、「官僚機構は独立生命体」(2007年04月30日)で説明されているように政治家が行政機構を十分に統率できる状況はまだインドネシアに築きあげられていない。あらゆる省庁で腐敗スキャンダルが時折こぼれ出してくるが、どの省も監察総局という目付機構を備えていながらそんなありさまであり、大臣の引責辞任が起こらないのは腐敗組織の頂点にポッと置かれた人間にそこまで強いるのは酷だという空気が世間で常識化しているからかもしれない。
いくつかの民間航空会社上層部から得られた情報では、SIUPを苦労も時間もたいしてかけずに入手するために20〜30億ルピアのエクストラが支払われている。金額をできるだけ小さくしようとすればロビイング力が効果をもたらすが、それでも最低レベルのエクストラがなしには済まない。SIUP審査をパスするための条件をすべてクリヤーしてけちのつけようがなくとも結果は同じだ。金を渡さなければプロセスは延ばし延ばしにされる。AOCにもSIUPと同じレベルの金額が必要になる。AOCはSIUPよりもはるかに細かく厳しい条件がつけられており、ひとつでもクリヤーされていない条件があればそれをクリヤーするまでAOC交付はなされない。理屈はそうだが、いざすべての条件がクリヤーされても依然として交付されない。エクストラが言外の条件にされているのである。ならば条件はそこそこクリヤーさせておいて面倒なことには対応せず、その費用をエクストラに回してやればAOCが手に入る。
航空機調達時にもエクストラがかかる。購入あるいはリースを受ける機体の状態とそしてやはりアプローチの方法如何で金額は異なる。調達時には運通省の担当官にその機体を見せなければならないのだ。担当官が駄目だと言えばどんな好条件で入手できる機体でも没にされてしまう。だから航空会社は担当官に3〜4千万ルピアのエクストラを渡している。実際にいくらと相場が決められているわけでもないし、担当官もいくら出せとも言わない。ただそのときの状況や前例などを考慮しながら同時に担当官を敵に回さないようにして互いの立場から来る面子を維持できるようにしなければならない。そんな腹芸の中で自然と相場が決まっていく。担当官自身が航空機の書類をチェックするわけではない。だからそれをチェックする職員にも金が渡される。金はイージーカムイージーゴーの社会なのだ。運行ルート申請もエクストラと無縁でない。ただし金額はそのルートが肥えているか痩せているかで変わってくる。ジャカルタ〜スラバヤといった肥えたルートは5億ルピアだが、ジャカルタ〜パプアのように痩せたルートだと5千万ルピアで済む。
「ここ一年ほどは運通省の役人も自粛しており、金をもらうことに対しては斜に構えている。言うならば「伏せ」の状態だ。しかしこのエクストラは既に一種のビジネス習慣となっているために出さないというのはわれわれも気持ちいいものではない。要するに、相手の気持ちや立場などを互いに理解しあうということなのだ。」ある航空会社の業務担当取締役はそのように語っている。
報道界が入手したこの情報に関してユスマン・シャフィイ・ジャマル運通相は「民間航空会社は収賄を要求したり受け取った職員の名前を届け出るべきである。」とコメントした。この収賄問題に関連して運通省空運総局は文民捜査官によるチームを編成して捜査活動を開始させた。総局内では既に配置転換を受けた職員が出ているが、刑事処罰を与えるためには証拠がなければならない。「しかし領収書がないのが当たり前の贈収賄事件で証拠を入手するのは難しい。」空運総局長はそう述べている。


「寄贈パトロール艇の受領に障害」(2007年9月26日)
日本とアメリカからインドネシアに寄贈されようとしている海上パトロール艇142隻の成り行きに暗雲がただよっている。インドネシア海域における商業用船舶の海上での保安を確保するために日本のJICAから137隻、アメリカから5隻の海上パトロール艇の寄贈が合意されたものの、国際海事機構の規定にもとづく公式沿岸警備機関がインドネシアにないことからその実施が実現しないままになっている。ウントロ・スルヤ全国船主協会会長は、運輸通信省海運総局は海上パトロール艇を寄贈して国際商船保安システムを高めようとする国際的な意思にきわめて鈍感だ、と発言した。「われわれは海運総局の鈍感さにやきもきしている。インドネシア海域、中でもマラッカ海峡での国境水域の保安を高めるために海上パトロール艇の増強は急務であるというのに。」
ふたつの大洋とふたつの大陸にはさまれたインドネシアの地理的ポジションは国際関係に大きい付加価値を有するものであり、特に国際貿易海運の9割がマラッカ海峡を経由している日本に対する意味合いは大きい。ところが残念なことに運通省からはIMOリコメンデーションに応じた沿岸警備隊編成のコミットメントをフォローしようとする姿勢が見当たらず、案件が置き去りにされたままであるため数年前から行われてきた検討は何の効果もあげていない。挙句の果てにそのツケが今回ってきて、日本とアメリカからのパトロール艇寄贈が適正な対象機関がないために実現されないままになっている。これは数週間前にJICAがインドネシアの沿岸警備力増強を支援するためにパトロール艇3隻を寄贈した際に既に起こった問題であり、日本政府の出先機関であるJICAはその3隻を引き渡す相手が海軍なのか警察なのか、税関なのか海洋保安統制庁なのかで困惑してしまった。ウントロ・スルヤ会長はそのように状況を説明している。運通省がいま組んでいるマスタープランでは、沿岸警備隊の母体として運通省の下部組織である海洋海岸監視ユニットが予定されており、その組織は第一級エセロン職位者が統率して大統領の直接指揮下に入ることになっている。
サルウォノ・クスマアッマジャ海事専門家によれば、インドネシアの沿岸警備隊編成は全行政機関が純粋な視点から早急に支援と協力を行うべき問題であるとのこと。「世界の商船航路の十字路に位置するインドネシアの全海域の保安と国際航行の円滑さをインドネシアの沿岸警備隊は保証しなければならない。マラッカ海峡の海岸線の8割はインドネシアであり、その海峡におけるメリットをシンガポールやマレーシアが先取りするのを手をこまねいていてはならない。」同海事専門家はそう語る。
国際商船の航行秩序を統御し、またインドネシア海域が世界的危険ゾーンという評価を与えられないようにするために、全国船主協会はインドネシアの沿岸警備隊編成に協力を惜しまない、と会長は言う。「沿岸警備隊が編成されれば、そのような保安と秩序の維持だけでなくマラッカ海峡航行船舶からの国際収入が入るようになる。」会長はこの問題にあまり力の入らない運通省に対して力付けのアイデアをそのように提供している。


「警察と広域暴力団」(2007年9月28日)
悪徳警察官の行為に対する市民からの非難が絶えない現状に関連して国会第3委員会は国家警察長官に対し、悪徳警官の名前を世間に公表するように、と提案した。警察官のさまざまな悪徳行為に関する市民からの報告を国会は受けており、国民の保護者を自称する警察のそんなありさまは、たとえ一部の警官だけが行っているとしても警察のイメージを大きく傷つけるものであると批判している。特に地方農村部における警察の市民に対する姿勢は数十年前から変わっていない。
スタント国警長官はその提案に対し、警察内部改革を強く推進しているものの現場警察官の逸脱行為はいまだに多発しており中堅幹部を地方部に派遣して住民からの苦情を吸い上げる努力を継続しいると現状努力を説明し、現場の実情がまだ汚れているというのが事実であるとすればそれはクリーンにしなければならず今回の提案は真摯に受け止めて実現させる方向でフォローする、と語っている。国会議員のひとりは市民からの警察に対する苦情に関して、倫理規定を守らず背徳的行為を行う警官の数は地方部へ行くほど多い、と述べている。権限を悪用し、倣岸な姿勢で市民に接し、特に市民からの金銭搾取を日常茶飯事に行っている警官の姿に市民の非難は集まっている。過去においては、全国津々浦々まで組織の網の目を行き渡らせた警察が国民に対して見せているそのような姿は、どこか他の国へ行けば広域暴力団という名で呼ばれている組織とあまり違いのない印象を与えてきた。独立以来、陸海空警という四軍システムの中で国軍最高司令官の指揮下に置かれていた警察がそこから切り離されて大統領直轄の位置に置かれたのは、日常的に市民に接する警察の体質を改善するための第一歩だったようだ。政府はその後、国家警察長官交代を頻繁に行って警察組織の内部改革を進めている。
国会で取り上げられた警察の逸脱行為の中には、次のようなものが含まれている。
1)自動車運転者にティランを行なう場で金銭を要求する。
2)私利を得ることを目的に市民に倣岸な態度で接したり威嚇したりする。
3)市民にハリラヤのための心づけを強要する。
4)検問サインを出さず検問の目的も明らかにしないで、通行車両に対して検問を行う。
5)一般女性市民に対して性差別的な礼節に欠ける行為を行う。
6)市民に対して先入観に満ちた差別的な態度を示す。
7)麻薬禁制薬物取締りなどにおいて、明白な容疑や証拠品がないまま市民を逮捕する。
8)容疑者に自白を強要し、暴力をふるう。
9)取調べ調書を偽装したり改ざんする。
10)事件を届け出た者に捜査費用を支払わせる。
市民のひとりは、「路上で警官の姿を目にすると息苦しくなり、自分は何も落ち度がないことを自覚していながら警官が自分のところに来ないよう念願して全身が緊張で包まれる。」と語っている。警察内部では、警官が起こした逸脱行為に対する措置としてこれまで行われてきたのは配置転換や降格といったものがほとんどで、組織内での家族的な関係を優先するあまり厳しい制裁が避けられて懲罰効果の薄いものになっていた。スタント国警長官は組織内の文化改革を避けて通ることはできない、とコメントしている。


「インドネシアの反マネーロンダリング実施度は?」(2007年10月31日)
マネーロンダリング取締り機関としてインドネシア銀行内に設けられた通貨決済分析報告センター(PPATK)が2007年9月30日までに受け取った疑惑通貨決済報告は11,347件に達した。しかしそのうちの9割方を占める10,555件は銀行界からのものでノンバンクからの報告がきわめて低調であるため同センターは大統領と蔵相に対し、ノンバンクに向けての遵法指導を盛んにするよう要請を行った。
銀行界からの疑惑通貨決済の届出件数は、国有銀行4行が2,775件、民間58行が4,078件、地方開発銀行26行が2,353件、外国銀行11行が1,074件、合弁銀行13行が251件、国民貸付銀行7行が24件という内容。一方低調なノンバンクからの届出明細は、証券会社17社が87件、外貨交換商18社が108件、年金ファンド1社が1件、ローン貸付機関11社が101件、投資マネージャー3社が6件、保険会社19社が489件という内容になっている。
金融活動作業部会のアジアパシフィックグループが10月29日から11月12日までインドネシアにおけるマネーロンダリング取締り状況の監査を行うため、同センターはその極端な爬行性を修正する努力を早急に行わなければならない。金融活動作業部会は条約加盟国の反マネーロンダリング取締り活動実施状況に応じて不活発な国をブラックリストに載せるという措置は廃止したものの劣悪な国を世界に向けて公表することは続けており、インドネシアがそのようなランクに位置付けられれば国際通貨決済にさまざまな困難が課されることになるため同センターは神経を使っている。また既に国会に上程されているマネーロンダリング犯罪撲滅と防止に関する法令改定案審議がいまだに完了していないこともその監査の中で減点の対象となる可能性が高いことを懸念している。ちなみに同法案は2007年国会立法プログラムの中に予定され、2006年10月10日に大統領が国会に提出したものだ。それに関して国会指導部が第3委員会にそのフォローを今月中に行うよう求めることを約束したと同センターは述べている。


「路上にはごろつきがいっぱい」(2007年11月24日)
2007年10月19日付けコンパス紙への投書"Ulah Rombongan Mobil Pajabat Tnggi"から
拝啓、編集部殿。2007年10月3日10時20分ごろ、首都スディルマン通りのドゥクアタス橋からホテルインドネシア方面に向かう車線は極度に混雑していました。スリーインワン直後の時間帯ですから、それも無理はありません。わたしは高速車線側の真ん中の第二車線にいましたが、しばらくすると後ろからサイレンの音が近付いてきたのです。バックミラーを見ると、警護チームに守られた国政高官の一隊が第三車線を進んで来ているのがわかりました。
大型バイクに乗った先導警官はわたしを追い越したあと、第二車線に移ったのです。わたしは第二車線を空けようとして第三車線にじわじわと寄っていきましたが、いかんせん第三車線はびっしりの数珠繋ぎになっており、わたしの試みはなかなか実現できません。高官を乗せたナンバープレートRI30の車の運転手はわたしがかれの進行を邪魔しようとしているとでも思ったのでしょう、第二車線に移ったあと忍耐心も示さずにわたしの右横でジグザグ走行をして見せたのです。
わたしがもっと肝を冷やしたのは、RI30の後ろについていた警護車の護衛が窓から身を乗り出して路上のごろつきよろしくわたしに大声で怒鳴りつけたことです。わたしは窓を閉めていましたからどんな言葉が叫ばれたのかはまったく聞こえませんでしたが、そんな仕打ちに直面してわたしはただ呆気に取られて頭を振るばかりでした。これがその国政高官のメンタリティのあらわれだったのでしょうか?ジャカルタの交通渋滞など知ったことでなく、どうなっていようがそこを強引に押し渡るのですね。
公道では礼儀正しく振舞うよう運転手や護衛に注意することが国政高官にはできないのでしょうか。交通渋滞がお気に召さないのなら、ヘリコプターを使えばよいではありませんか。そうすればジグザグ走行したり怒鳴り散らしたりして無駄なエネルギーを消費する必要もないでしょうに。[ ジャカルタ在住、コルネリウス・ジュダブラフマ ]
2007年10月24日付けコンパス紙に掲載された保健省からの回答
拝啓、編集部殿。10月19日付けコンパス紙に掲載されたコルネリウス・ジュダブラフマさんの投書に関して説明したいと存じます。国政高官職にある保健大臣は往々にしてたいへん詰まった職務を抱えており、また重要な会議にも定刻に出席しなければなりません。2007年10月3日、大臣は東ジャワへの業務視察からジャカルタに戻り、たいへん重要な会議に出席することになっていました。ナンバープレートRI30の車が都内を大急ぎで通らなければならなかったのはそのためであり、公道を通行している多くの車両に不快感を与えたかもしれません。今回の出来事について保健大臣は陳謝を表明するとともに指摘されたご意見について今後一層の注意を向ける所存であります。[ 保健省公共コミュニケーションセンター長、リリ・スリスティヨワティ ]


「カンプンボンチョス」(2008年1月17日)
西ジャカルタ市パルメラ郡コタバンブスラタン町にあるカンプンボンチョス(Kampung Boncos)は西ジャカルタ市当局と同町住民にとって目の上のたんこぶになっている。カンプンボンチョスは開発の波から取り残された5Haの空き地で、いくつかの企業がその土地の所有権を主張して係争のさ中にあるため開発の手が着けられないままになっている。河川敷であろうが高架道路下であろうが、はたまた裁判中の土地であろうが、あいている土地があればだれかが勝手に使うのが当たり前のジャカルタだから、その空き地には不法居住者が掘っ立て小屋を建てて住み着いている。住み着いた者たちの生業がまともであれば目くじらを立てる人間は数少ないが、そこに住み着いた者たちのビジネスは麻薬・禁制薬物販売であり周辺住民の中でそのビジネスに関わりを持つ者が増加したから町内会も目くじらを立てようというもの。おまけにそこがメキメキと頭角をあらわして西ジャカルタ市における麻薬・禁制薬物のメッカになったことから、市当局としてもただ手をこまねいて見ているだけではすまなくなった。
空き地には周辺住民がやはり勝手にゴミを捨てる。地元で雇っているゴミ収集人も遠くまでゴミを運ぶのが面倒だから集めたゴミを近い空き地に放り出す。だからカンプンボンチョスはゴミの中の集落だ。そこに建てた何軒もの掘っ立て小屋におよそ2百人が暮らしており、麻薬・禁制薬物の無法地帯と化している。外部からエリア内に入ってきた者がこの集落に近付くためのアクセス路には数名の若者がたむろしていて、やってきた外来者を鋭い目付きで品定めしている。
周辺地区はロワーミドル層の密集住宅地であり、字長(RW)のひとりは、カンプンボンチョスの不法集落を強制排除するよう市当局に要請した、と語っている。かれによれば、毎週少なくともひとりが警察に麻薬関連で逮捕されており、薬物過剰摂取で死者が住民から出た事件はもう数え切れない、とのこと。「去年だけでも薬物による死人は数十人出た。10〜12歳の子供がほんのわずかなチップ銭ほしさに麻薬購入者をカンプンボンチョスの中まで案内している。」
別の字長は「カンプンボンチョスの麻薬売人たちに対する住民の我慢はもう限界に達している。市当局は早くかれらに強制排除措置を取ってほしい。われわれは法に従いたいのだ。ストリートジャスティスを行ないたいわけではないのだから。」と不穏な発言をしている。カンプンボンチョスのエリア内に入る用があるときには最大限の警戒を強いられる、と語る若者が住民の中に少なくない。「逮捕人数ノルマを稼ぐために、不良刑事がこっちを麻薬購入者にでっちあげるから。」悪事がほかの悪事を誘発する姿をわれわれはここでも目にすることができる。


「年末のバンドゥン・ボンドウォソ」(2008年1月24・25日)
9世紀、ジョクジャに近いプランバナン村に建てられた美しいチャンディがある。チャンディ・ロロジョングランの別名を持つこのチャンディには絶世の美女ロロジョングラン姫と軍将バンドゥン・ボンドウォソの間に起こった故事の伝説が秘められている。
プランバナンを本拠とする王ラトゥ・ボコは巨人で強い力を誇り、周辺の諸王から怖れられていた。しかしラトゥ・プンギンとの戦いに敗れたラトゥ・ボコは戦場の露と消える。ラトゥ・プンギンの勝利はバンドゥン・ボンドウォソの助力に負うところが大きい。バンドン・ボンドウォソはプランバナンの地を本領にしたいとラトゥ・プンギンに申し出て快諾された。ラトゥ・ボコの宮廷を訪れたとき、ボンドウォソは王女ロロジョングランの美しさのとりことなり、王女を妻にしようと望んだ。父を殺した敵の手にわが身を委ねなければならない王女の思いはいかばかりだったことか。だがそれを拒む力は王女にない。しかしただ言いなりになって運命を甘受するだけの王女ではなかった。「わらわを妻にしたければ、1千のチャンディとふたつの深い泉をわらわのために一夜でお造りさふらへ。」
「むむっ。これは難題。」と思ったボンドウォソは、しかしにやりと笑って王女に言った。「わしがそなたの望みを満たしたなら、一切の恨み憎しみはさらりと流してわしに仕えるのだぞ。これは約束だ。」
こうしてふたりで決めた約束の日がやってきた。ボンドウォソは超能力を持つ父に助力を頼んだ。父は精霊の大軍を指揮することができる。夜のとばりがおりるころ、ボンドウォソとかれの配下、そして精霊の大軍が王宮の周りで仕事をはじめた。様子を見ていたロロジョングランは、あれよあれよと言う間にチャンディが次々と出来上がっていくのを見て驚いた。しかし1千のチャンディを作るには時間がかかる。夜はしんしんと更けてゆき、あちらこちらにチャンディの塔がそびえた。午前4時ごろにはあと5つのチャンディが完成すればよいだけとなった。泉もほとんで出来上がっている。『どうすればいいのかしら?』ふと王女の頭に考えがひらめいた。王女は女官たちを起こして香りのよい花びらをあちこちに撒かせ、さらに臼を搗かせた。精霊たちはもう夜が明けて花が開き、女たちが米を搗き始めたのだと思って仕事を止め、深い闇の世界へと次々に帰って行く。最後のチャンディひとつがもう少しで完成するところだというのに。ボンドウォソと配下の者がその仕事を続けるのは不可能だった。
ボンドウォソがロロジョングランの挑戦に敗れたのは明らかだった。王女を妻にすることはもうできない。しかし自分を謀った女たちを赦しておくことはできない。ボンドウォソの腹の中には怒りが煮えたぎっていた。「官女たちは全員男を知らずに年老いてしまえ。王女よ、お前もそうだ。だがお前だけは、その美しい生身の姿のままで石になれ。」ボンドウォソの呪いは女たちに的中した。こうしてプランバナン寺院の中央にあるチャンディの中にロロジョングランが永遠の生身を現代に残している。周辺地域に作られたチャンディ群はその後チャンディセウと呼ばれることになった。セウとはジャワ語で千を意味している。
ジャカルタ、2007年12月。西ジャカルタ市パンジャン通りでは例年のように工事が行なわれている。何の工事かといえば、歩道のコンクリートブロックを解体して新しいコンブロックに取り替えているのだ。同じようなあまり意味のない工事が、年末のある時期になるとあちこちで突然一斉に実施され、そして慌ただしく整然さもなしに竣工する。なされなければならない作業が何か欠落し、工事前よりひどい状態になって工事が終わる。
毎年年末になるといずこの省庁も取ってあった予算を消化するためにあらそってプロジェクトを行なう。取った予算が消化されなければ来年の予算が減らされるのだから、予算消化という目的を果たすために何かが行なわれることになる。何を行い、その結果がどうなったか?形の整った報告書さえできればよいのである。こうして支出予算として計上されていた公費は11ヶ月間ちょろちょろとしか使われなかったというのに、12月になって突然巨額の支出が発生する。予算消化率も年々上昇している。2005年の60%は2006年に82.4%、そして2007年は89.4%と精力的に膨らんだきた。
ともかく残ったその金を使わなければならないのだ。節約・倹約・合理性、そんなものは論外だ。高ければ高いほど良い。こうして2007年12月3〜14日バリで開かれた気候変動に関する国連会議のためにインドネシア政府デレゲーション80人が5泊で22億ルピアの宿泊料を支出した。ジンバランにあるフォーシーズンリゾートの5プライベートエステートとビラ39軒がこのデレゲーションのために借り上げられた。プライベートプールに囲まれた寝室3部屋のプライベートエステートは一泊2千6百ドル、ビラは一泊7百ドルだ。その標準料金を値切りもしないで支払えば一日の経費は3.7億ルピアとなる。5泊で18.5億ルピア、それにプラスプラス21%を加えれば22.4億ルピアとなる。飲食費・ランドリー・会議室使用などが加算されればそんな金額では済まないだろう。
毎年、年末が来ると政府の役人はバンドゥン・ボンドウォソになる。現代のバンドゥン・ボンドウォソたちは一晩で1千のチャンディを建てるようなことをしない。現代のバンドゥン・ボンドウォソたちは一晩で1千億ルピアを使い切ろうとするのである。


「国民を罪に落とすのは罰金収入のため」(2008年3月6日)
2007年11月30日付けコンパス紙への投書"Petugas Manfaatkan Rambu Lalu Lintas Tidak Resmi"から
拝啓、編集部殿。2008年11月4日午前10時15分ごろ、ブカシからボゴールに向かう道中に通ったボゴール県チレンシ(Cileungsi)のチレンシ立体交差橋を超えたところで、交通警官がわたしを止めました。交通標識違反を犯したと言うのです。そこに止められていた車はわたし以外にもかなりたくさんありました。警官が指摘した違反というのは、多分交通の流れるべき方向を指示する小さな手製の標識だったのだろうと思います。チレンシ警官詰所に連れて行かれたわたしは、B巡査部長に対面しました。わたしが対面したその警官は傲慢な態度で挨拶もなしに切りこんできました。「おまえがこの免許証を手に入れたときにテストは受けたのか?それとももう目が弱って標識さえ見えなくなったのか?」わたしが黙っていると、その警官は更に高慢な口調で、わたしは違反切符を切られて罰金12万ルピアの裁判を受けなければならない、と言います。わたしは、その罰金をあなたに預けたら受領証はもらえるのか、と尋ねました。
すると警官は高慢な口調で続けます。「おまえは違反切符を食らったことがないのか?罰金を預けても、何ももらえるわけがない。しかし運転免許証(SIM)と自動車番号証明書(STNK)は取り上げられずに、すぐにここから出て行ける。」わたしは結局違反切符のほうを選びました。すると警官は、違反切符でSTNKを取り上げる、と言います。わたしは違反切符の場合SIMが取り上げられるはずだと言いましたが警官は、交通標識違反の違反切符ではSTNKが取り上げられるのだ、と言い張るのです。その部屋にやってきたひとりの若者が和解金として5万ルピアを別の警官に渡しているのを見て、わたしはすぐに警官に抗議しました。かれはどうしてすぐに解放されるのか、と。「ああ、そいつはヘルメット不着用だから軽い違反で済むんだ。」というのが警官の返事でした。うだうだと話を続けたあとで話は最終的に和解金に向かい、警官は7万5千ルピアを要求しました。「おまえはたいへん便宜を図ってもらったんだから、これを値切ったりしちゃいかんぞ!」わたしは侮辱に身を固くしたまま警官の言う通りに従ってその金額を渡しました。
わたしは法規が与える罰則については門外漢でよくわかりません。わたしはごく普通の一般市民なのです。しかし法執行者が市民を扱うやりかたがあのようなもので良いのだとは決して思いません。本当に職業に誠実で、市民を保護し市民に奉仕する法執行者がこの国にはまだまだほかにたくさんいるはずであることをわたしは信じてやみません。[ ブカシ在住、ドニ ]


「規則執行者はすぐ転ぶ」(2008年3月18日)
2007年11月27日付けコンパス紙への投書"Pemutusan PLN Dapat Dibatalkan dengan Imbalan"から
拝啓、編集部殿。2007年11月17日土曜日午前10時半ごろ、わたしが学校で勤務に就いているとき、電気代の支払いが遅れたことを理由にPLNが家への給電を止めに来ているという子供からの電話に驚かされました。わたしは電気代の支払いを期限内に済ませなかったことなど一度もありませんので、支払遅れの心当たりはまったくありません。だのにPLNは突然電気を止めにわが家へやってきたのです。おまけに支払期限日の20日にまだなったいないのですから、今月の支払い遅れなどということもありえないではありませんか。ともあれ、わたしは学校側に私用外出を願い出てすぐに自宅へ戻りました。幸いにも、学校と自宅の距離は歩いて行ける近さなのです。わたしが家に着くとPLN職員は、電力供給停止通知書を即座にわたしに示しました。支払遅れが理由だと言うのです。その通知書には、2ヶ月以内に滞納金額を完済しなければ給電設備をすべて取り去るという威嚇まで記されています。わたしはまだ支払い遅れをしていない、とそのPLN職員に抗議しました。するとそのPLN職員は、2007年11月から規則が変更されて支払締め切りは15日になったのだとブルーのステッカーをわたしに示すのです。そこには「支払期間は6日から15日まで」と記されていました。
消費者に対してろくに啓蒙告知もしないで一方的に新しい規則をスタートさせ、電力供給停止というとても重い罰を与えようというのですからPLNはもの凄い会社なのですね。もしわたしがはじめて知ったその新規則が実施されたとしても、わたしの支払遅れはたったの2日ではありませんか。PLNはどうして即座にそんなに厳しい罰を与えようとするのですか?
とても困惑して途方に暮れているわたしを見たそのPLN職員は、もし今日中にその滞納分を支払うなら電力供給停止処分に手心を加えてもよい、とアプローチしてきました。もちろんご本人にもタバコ銭と称する報酬が与えられるようあけすけに要求するのです。電気が来なくなった家の中の生活を想像したわたしは一も二もなくそれに同意してPLN職員が要求する金をわたすと、すぐに最寄のATMに走りました。[ 南ジャカルタ市トゥベッ在住、マリア・パトリシア・ジェニー ]


「お役所仕事の典型例」(2008年6月17日)
2008年1月9日付けコンパス紙への投書"Insentif Dokter PTT di Daerah Terpencil Bermasalah"から
拝啓、編集部殿。わたしは東南スラウェシ州ワカトビ県で勤務した11人の臨時公務員(いわゆるPTT)医師のひとりです。8人は2007年4月1日から9月30日まで、3人は2007年5月1日から10月31日までが勤務期間でした。ワカトビ県は交通機関がたいへん不便なために辺境地区に区分されています。
ワカトビ県で勤務を始めるに際して県側は、地元インセンティブとしてひとり毎月250万ルピアを支給すると約束しました。ということは、11人の医師はそれぞれが6ヶ月の勤務期間で1千5百万ルピアの地元インセンティブを与えられるわけで、県はそのために1億6千5百万ルピアの資金を用意することを意味しています。わたしたちは毎月そのインセンティブが支給されるのを待ち、いつそれがもらえるのかとワカトビ県家族計画保健局に尋ねましたが、返事はいつも単なる約束でした。それでわたしたちは県令に面会することを求めたのですが、2007年6月に面会した県令は早急にその支給を実現させると約束したものの、それも結果は同じだったのです。9月になってその資金が用意されたことがわかりましたが、ワカトビ県1997年度予算に記された項目名称が誤っていたために支出できないという説明をもらいました。つまり予算項目には「文民公務員(PNS)医師向け追加給与」と書かれており、実際のわたしたち臨時公務員(PTT)医師にその名目で出金することはできないというのです。
2007年10月末にワカトビ県議会が予算修正会議を開いたあとでそのお金は間違いなく支給されるという約束をふたたびもらいました。そのときは11人それぞれの銀行口座が質問され、地元インセンティブひとり1千5百万ルピアの領収書にサインするよう求められました。11人の勤務期間が間もなく満了してそれぞれが故郷に帰るタイミングだったので、わたしたちはみんなその求めに応じたのです。ところがそれも再び単なる約束で終わってしまいました。ワカトビ県議会はいつまでたっても予算修正会議を開催せず、結局2007年12月末になってやっと会議が開かれたものの、「文民公務員(PNS)医師向け追加給与」問題の検討はなされませんでした。
わたしたちはただ疑問を述べているだけです。その小さくない金額の予算はいったいどうされようとしているのでしょうか?わたしたちは既にワカトビでの勤務を終えているのです。[ ボゴール県チビノン在住、クリスティ・エフィヤンティ ]
2008年1月21日付けコンパス紙に掲載されたワカトビ県庁からの回答
拝啓、編集部殿。クリスティ・エフィヤンティさんからの2008年1月9日付けコンパス紙に掲載された投書について、つぎのようにお知らせします。東南スラウェシ州ワカトビ県庁は2007年から一般医師には月額250万ルピア、専門医師には月額1千5百万ルピアのインセンティブ支給を開始し、2008年にはそれを2千万ルピアに引き上げるとともに公用車と官舎も提供するという方針を決定しています。
投書に記されている2007年の臨時公務員医師11人に対するインセンティブ支給が遅れたのは、ワカトビ県家族計画保健局2007年度予算に「文民公務員(PNS)医師向け追加給与」と書かれてあったからで、もちろんPTT医師とPNS医師は異なるものなのです。
2006年内務大臣規則第17号に従って本来それは「臨時公務員(PTT)医師向け追加給与」と書かれるべきものだったのです。なぜなら予算項目コードと費目コードが異なっているのですから。それらのコードが異なっていたために臨時公務員医師のためのインセンティブ出金が障害を受け、支給が遅れてしまいました。その遅延は2007年度予算の費目コードミスによって起こったことだと言えるでしょう。
2007年9月になって11人の臨時公務員医師は相談し、県家族計画保健局にそれぞれの口座番号を知らせることを合意しました。またかれらは6ヵ月分のインセンティブをまとめて受領証にサインしました。それはインセンティブが出金されたとき、それを受け取るために再度ワカトビを訪問する費用と時間とエネルギーを省くのが目的です。かれらの受領証はその出金がなされたときのために県一般会計局が保管しています。ワカトビ県2007年度予算内で11人の臨時公務員向けインセンティブは既に適切な費目コードに変更されており、あとは出金プロセスのフォローにかかるばかりとなりました。
ワカトビ県庁の名において県家族計画保健局は、ワカトビ県での勤務期間中に慈愛と奉仕の精神に満ちて務めを果たされた11人の臨時公務員医師に対して、インセンティブ支給にこのような遅延が発生したことを心よりお詫び申し上げます。[ ワカトビ県家族計画保健局長、ラ・オデ・ボア ]


「住民が嫌がることは密かにこっそりと」(2008年7月3日)
2008年2月22日付けコンパス紙への投書"Saluran Distribusi Gas Cair"から
拝啓、編集部殿。わたしの家が面している道路で三ヶ月ほど前、液化ガスのための配管工事が行われました。ところがおよそひと月ほど前、今度はわたしの家のフェンスから2メートルほど離れた場所に「高圧配管」という警告表示板が立ちました。その表示板には禁煙という表示も見られます。つまりは、液化ガス配管工事以来わたしの家がある場所は危険地域となったわけです。もしそれが高圧配管であるのなら、プルタミナ職員のだれひとりとしてこの地区住民を訪問しなかったのはどうしてなのでしょうか?
わたしは政府の方針に反対するつもりはありませんが、わたしも隣人たちも話し合いに応じる意思は十分あるので、当局は好き勝手に事を進めるようなことをしないでほしいのです。今回のことでわたしたち住民は権利を侵害されたと感じています。関係当局は英慮をもって行動してください。[ デポッ市チマンギス在住、シェイラ ]


「罰金もネゴが必要?!」(2008年7月14日)
2008年2月15日付けコンパス紙への投書"Denda Tilang Lalu Lintas Tanpa Tanda Terima"から
拝啓、編集部殿。2008年1月14日、わたしは東ジャカルタのバイパスにある税関本庁向かいで、高速車線をオートバイで通っていたために交通違反切符を切られました。その違反切符には1月18日に簡易裁判に出頭するよう記されていましたが、その日は忙しくて出頭できませんでした。出頭はいつも違反日から2週間後であり、4日後の出頭なんて前例がありません。罰金を納めて取り上げられたC種運転免許証を返してもらうためにわたしが1月25日に東ジャカルタ地方裁判所を訪れると、受付窓口担当者はわたしの書類はもう東ジャカルタ地方検察署に送られたあとだと言うのです。わたしはその足で検察署へ行き、違反切符を差し出しました。しばらくしてから担当職員はわたしのC種免許証を返してくれましたが、罰金4万ルピアを納めろと言います。これまでの裁判所での経験から、罰金は3万ルピアではないのか、とわたしは尋ねました。東ジャカルタ地方検察署職員は、交通違反の罰金はもちろん自分が言った金額だと言いました。ところがわたしが領収書を要求しても出してくれません。これだと国庫に入るべき交通違反罰金がだれかの懐に入ってもわからないではありませんか。
気になったので、わたしは交通違反切符を切られた際の本当の罰金額がいくらかを調べました。インターネットで見つけた罰金表によると、二輪車の交通違反罰金は最大で2万5千ルピアとなっていました。そしてわたしが犯した違反は軽度の違反カテゴリーに入り、その場合の罰金は最高1万5千ルピアだったのです。[ ジャカルタ在住、アリフ・ウィバワ ]


「警察のもうひとつの顔?!」(2008年7月25日)
2008年3月10日付けコンパス紙への投書"Polisi Sita Barang Tanpa Memberikan Tanda Terima"から
拝啓、編集部殿。2008年2月21日21時45分ごろ、タングラン県ルゴッ郡ボジョンナンカ村ダサナインダ住宅地区のわが家に6人のひとがやってきました。B8096AAというナンバープレートのついたいすゞパンサーに乗ってやってきたかれらを夫が応対しました。最初かれらはキジャンのギヤについて尋ねたいようなふりをし、そのあといきなり夫を捕まえて家の外に引きずり出して暴行したので夫はひどく痛めつけられました。そのあと夫はパンサーの中に放り込まれて拘束されました。かれらのひとりはわたしを威嚇して紙にサインするよう命じましたが、それが何の書類なのかわたしには読む機会すら与えられませんでした。ショックと恐怖でわたしはただかれらが命じるままに従いました。あとでわかったことは、その紙はチポンド警察署長がサインした逮捕令状(Pol: Sp.Kap/2/II/2008/Reskrim)だったのです。2008年2月21日付けのその逮捕令状には横領と刑法典第372条違反を告発する警察報告書Pol: LP/173/K/II/2008/Sektor Cipondohに基づくという容疑内容が記されていました。
翌22日、わたしは隣組長の付き添いでチポンド警察署員に面会するため警察署を訪れましたが目指す相手は不在でした。それで店に戻ったところ、手錠をはめられた夫と一緒に5人のひとたちが店にいました。かれらは二輪車と四輪ピックアップ車を含めて店内のあらゆる物を証拠品として押収しましたが、二輪車とピックアップの預り証は出たもののエンジンや部品などその他の物は何ひとつ預り証をもらうことができませんでした。夫はいまタングラン刑務所に預かりの身となっており、夫を逮捕したかれらは土地登記証書や現金1億ルピアあるいはその他の金になるものを何でも用意しておけ、と要求しています。[ タングラン在住、エルナ・クルニアサリ ]


「潜入特報!これが密輸入現場だ」(2008年7月28〜30日)
リアウ州プカンバル市ヌラヤン通り。ふだんは静かなその通りを官憲の車が賑やかにサイレンを鳴らして続々と通り過ぎていく。市警察機動旅団の制服でオートバイ4台に分乗した8人が通り過ぎると、次は緑色の迷彩服に身を包んだ陸軍兵士が3台のオートバイで走り去った。そのあとから文民公務員姿の男たちが、さらに空軍兵士の一団までもが同じ方向に急行する。作戦行動用軍装でものものしく小銃を立てた兵士たちがジープに乗って通り過ぎて行く。およそ2時間にわたってヌラヤン通りにそんな光景が展開されているというのに、その辺り一帯で仕事をしている住民たちはまったく平静そのものだ。路上をサイレンを鳴らして通り過ぎる一団を見送ろうともせずに日々の仕事に精出している。突発事件が起こったときの緊張感はそんな地元民の姿からまったく感じられない。
ヌラヤン通りをしばらく走ると、シアッ(Siak)川沿いに1ヘクタールほどの船着場がある。さまざまな官憲部隊はそこにやってきてていたのだ。船着場には5百トン級の木造機船が2隻接岸しており、その一隻は荷降ろしの真っ最中だった。40台を超える大型トラックやコンテナ車がその一帯に駐車しており、大勢の荷降ろし作業者がそれらの貨物車両に貨物をどんどん積込んでいく。
船が接岸している埠頭のそばにキャンティンがあり、がっしりした体躯に髪を短く刈上げた中年の男がテーブルを前にして座っている。やってきた官憲部隊の代表者がその男に近付くと男はテーブルに札束を置いた。代表者は札束をわしづかみすると仲間の方に戻っていく。テーブルをはさんでの会話は一切ない。札束をバッグにしまうとその官憲部隊はまたサイレンを鳴らしながらもと来た道を引き返していく。続いてやってきた別の部隊がまったく同じことをしてまた帰っていく。これはいったい何が行われているのだろうか?2008年2月のある日、まったく別の取材にやってきた全国紙の記者が偶然目にした光景がそれだった。
シアッ川沿いにはそのような船着場が6ヶ所あり、数人の地元資産家たちがそこを所有して運営している。そのうちのひとつ、ムレブン村の船着場で接岸中の船から貨物が降ろされている最中を国家警察が急襲した。この船着場はハントゥア通りから脇道に入って10キロも走ったところにあり、そこに至るまでにはパーム椰子農園の中を抜けて行く以外に道がなく、似たような光景の中を似たような道がさまざまに枝分かれしているためにうっかりすればまったく別の場所に出てしまう。船着場までは4ヶ所のガードポストを通過しなければならず、その三つはパーム椰子農園会社の警備員がガードしているが船着場から1キロ手前の最後のポストにはムラユフルバラン義勇兵と自称する民兵が詰めている。船が荷降ろしのために接岸するとかれら義勇兵は外部者がそこを通ることを厳禁し、大型トラックの通行だけを認める。パーム椰子農園会社がそれら大型トラックの農園内通行を禁止することはできない。もしそんなことをすればどんな結末が待ち構えているかを農園経営者は知り尽くしているのだ。
船着場ではおよそ3百人の荷役作業者が船から貨物を次々と運び出してはトラックに積込んでいる。そして現場には小銃を持った6人ほどの警察署員が要所要所に散って警備に当たっている。この光景は船が深夜2時に接岸しようが何時に来ようがまったく変わらない。昼夜を問わず最高の効率で行われている経済活動がそこにある。残念なことに、インドネシアでわれわれが目にする効率の高い経済活動はたいていが悪事の中におけるものだ。そんな中に数十人の国家警察捜査員が踏み込んだ。修羅場は展開されず、重要参考人が何人もおとなしく縛についた。国家警察は一ヶ月も前からプカンバルに秘密捜査員を送り込んで不法輸入の現場を抑える準備を進めていたのだ。船長はそれらの積荷がリアウ島嶼州タンジュンピナンから積み出されたことを示す書類を示したものの、船員たちはマレーシアのポートクランから直接プカンバルを目指してシアッ川を遡行してきたことを証言した。
現場にあった貨物のすべては警察が押収して臨時に借り上げた三ヶ所の倉庫に送った。移動のためにトラック延べ78台が使われ、広さ4百平米高さ6メートルの3ヶ所のスペースに山積みされて一杯になったが、船着場にはまだトラック12台分の貨物が収容先がないため残されているありさまだ。反物・カーペット・プラスチック素材・自動車やディスペンサー用部品・食品・飲料・玩具・ミニバイクその他ありとあらゆる雑貨品がその山なす密輸入品の明細であり、およそ1千億ルピアと見積もられる密輸入品の明細を調べるだけで10日かかった、と国家警察職員のひとりは語っている。通常は船から降ろされた貨物を積込んでトラックはそのままジャカルタやメダンその他いくつかの都市に向かって出発して行く。残った貨物はリアウ州警察テナヤンラヤ署から4百メートルほど離れた倉庫に保管される。
国家警察は地元の名士である印華系のAlを主犯とし、その船着場の共同オーナーである数人ならびに船長や船員など十数人を逮捕して取り調べを開始した。Alは砂糖ビジネスでのし上がってきた男で、地元警察に顔が利くことからかれの密輸ビジネスにはこれまでも地元警察が関与していた。キャンティンのテーブルでやってきた官憲部隊に札束を渡していた男は州警察職員だったことが明らかになっている。


「洪水の恵み」(2008年8月4・5日)
乾季と雨季のニシーズン制であるインドネシアで、乾季の干ばつ雨季の洪水土砂崩れは年中行事の自然災害だ。首都ジャカルタばかりか、全国どこへ行こうが雨季の洪水襲来を喜ぶ国民はいない、とだれしも思うところだが、毎年襲来する洪水を待ち望んでいる村がリアウ(Riau)州にあった。
カンパル(Kampar)川の支流にはさまれたカンパル県東シアッヒリル(Siak Hilir)郡ムントゥリッ(Mentulik)村の住民たちは、川が氾濫すると嬉々として小船で漕ぎ出して行く。人口7百人前後のこの村から数百人の男たちが総出で村を後にするのだ。小型船外機をつけた小船には予備燃料と食糧、そして忘れてならないチェーンソーが積込まれる。このひと村あげての出征には各家が資金を注ぎ込むことになる。普段から貯えのある家はなんら問題ないが、その日暮らしの家でさえこの年に一度の恵みの日になると、後れを取ってはならじと借金してまで仕度を調えて出征していく。借金は村で店開きしているワルンの店主から。借りるのは米・おかず・燃料などで、一軒で30〜100万ルピアの借金になる。ワルンの店主はその出征に参加しないで村に残るが、数日間村の男が昼間は一斉にいなくなるため、その間に葬式が出ると埋葬が大仕事になる、とかれは語る。
村人たちは2〜4人組みになって小船で上流に向かう。およそ2時間ほど川を遡行すると国有林に入る。かれらは国有林の中を市場価格の高い木を探して徘徊し、目当ての木が見つかれば森林の中にチェーンソーのうなりがこだまする。仕事は夕方まで続けられ、夜が近付くとかれらは一旦村に帰る。そして翌朝、前日し残した仕事に取り掛かる。切り倒した木は数本集めて束ね、村に向けて押し流す。村人たちの作業は手早くそしてぬかりない。かれらが時間を惜しんで仕事するのは、洪水であふれた水がいつ引いてしまうかわからないからだ。水が減ってしまえば切り倒した木を村へ運ぶのは不可能になる。かれらの出征はこうして水量が大きい間毎日続けられる。ひと村あげて行われているこの活動は、言うまでもなく盗伐、不法伐採なのである。
2008年3月にカンパル川を襲った洪水でムントゥリッ村住民が手に入れた丸太はおよそ3千5百本。カンパル川支流沿いに置かれたそれらの丸太は直径が30センチから1メートルくらいまでさまざまで、樹種はメランティが多少混じっているが大半はいろいろな南洋樹だ。この木は木材業者に売却され、収入は村の会計が子供の学費や村人の住居あるいは道路インフラ補修に使う。ところが木を村から外へ運び出すための道路が激しく破損しているため、自動車が通ることは不可能だ。結局村人たちは手に入れた木材を使ってトラックが通れるよう道路補修を始めた。これは補修というより建設に近い。
川底を浚って砂や石を集め、道路を平らにならす。場所によってはせっかく採ってきた丸太を敷き詰めた上に砂や石を敷いて道路にする。こうして村人たちの勤労奉仕による村道建設が4月終わり近い日に完了した。ところが2008年4月29日、集めた丸太を送り出すために村民たちが作った道路を通って、まるでその完成を待っていたかのように国軍・国家警察・カンパル県森林局関係者の混成部隊およそ3百人が村にやってきたのだ。言うまでもなく、不法伐採木材の押収が目的だった。
最初は村をあげて反感と抵抗姿勢が示され、押収した丸太を運び出すためのトラックの前で座り込みをしたり、橋を切り落としてトラックが出られないようにしようとしたり、村人たちはさまざまな行動を示したが、やってきた混成部隊指揮官は貧しい村人に同情的だったようだ。村役への説得が行われ、村人たちもそれが違法行為であることを認識していたことなど種々の要因が相まって反抗は長続きせず、混成部隊はその日見張り要員を村に残してトラック20台分の比較的小さい丸太と共に帰途についた。大きい丸太は建機と大型トラックを持ち込んで村から運び去ることになる。そして道路補修に使われた丸太も持ち去れらることは明らかで、村道は再び激しい損壊状態に戻る運命だ。
村役は村人たちの勤労奉仕の成果である道路だけは残して欲しいと頼んだが、道路補修の件は県令に必ず伝えるから、という混成部隊指揮官の返事で希望は打ち砕かれてしまった。昔からムントゥリッ村に恵みをもたらしてきたカンパル川の洪水は来年もやってくるに違いない。そのとき、村人たちはそれを恵みとするのだろうか、それとも全国他の場所と同じように災厄とすることになるのだろうか?


「プンリが2割増」(2008年8月25・26日)
汚職撲滅コミッション(KPK)の諸政府機関に対する抜打ち査察は活発の度を増しているというのに、それをあざ笑うかのように行政機関が行っているプンリ(不法徴収金)収奪も激しさを増している。2008年上半期に工業セクターが搾り取られたプンリ金額は20%近く増加して1.8億米ドルに上ったとガジャマダ大学の工業経済オブザーバーが報告した。これは世銀とインドネシア統治改革パートナーシップが発表した調査データにもとづいており、その調査ではプンリの激しい四分野が次のように指摘されている。
1)商業・新規投資・工場拡張を管掌する許認可行政
2)政府と民間のプロジェクト入札に関連する諸活動
3)上級公務員の担当配置換えと新規公務員採用方針に関連するもの
4)物品サービス流通に関連する行政サービス
それら四分野に対するKPKやBPKP(開発会計監査庁)の査察がもっと頻繁に行われれば、大勢の贈賄市民と収賄役人が水面上に姿を現すようになるだろうとオブザーバーは語っている。
工業セクターのプンリ負担は年間3億米ドルと言われているが、今年はそれが4億ドルに跳ね上がるだろうとの予想が一般的だ。プンリは行政サービス、特に許認可に関連して役人が市民から取り立てる金であり、役人が自分に不利な公権力執行をすることを恐れて市民はプンリに従う。下はKTP(住民証明書)や運転免許証から上は企業の税務・労働あるいは事業内諸分野の監督に関連するものまで、金額も頻度も千差万別だ。加えてビジネス利益の一部をやくざよろしく貢納金として搾り取ろうとする。
もうひとつプンリの主要ドメインになっているのは上記4)の物流分野であり、その主たる狩場は公道と海港空港。長距離貨物運送はプンリの重い負担に打ちひしがれており、スマトラからジャカルタへ陸上輸送された果物は外国産不法輸入果物より高い価格でスーパーマーケットの棚に並んでいる。ジャカルタのタンジュンプリウッ港では、コンテナターミナルで反プンリキャンペーンを開始したとたんに港内作業がスローダウンした。ターミナルゲートでは通過車両の足止め戦術が取られたためにコンテナトラックが長蛇の列をなし、港内道路や港外周辺道路がびっしり埋まる大渋滞が現出して輸出コンテナの積み残しや輸入コンテナの搬出遅れが続出した。プンリ粛清派に対する大逆襲としか言いようがない。
そんな現象からインドネシアの行政機構はすべて腐敗のかたまりであるかのように外国人は思い勝ちだが、それは少々ナイーブすぎる。国家行政機構ではほとんどすべての部門の中に監察機能が設けられており、定められた公務員規律の徹底を図ろうとする体制は整えられているのだ。つまり行政機構の中に善悪観念が存在していないということでは決してないのである。ただし過去の歴史を振り返れば、悪のほうが優勢な時代が長期にわたって継続していたことも確かであって、善と悪のコンフリクトは止むことなく続いている。インドネシア社会で特徴的なのは、善はもっぱら住民生活のミクロコスモスの中に繁茂している一方、マクロコスモスにおいては悪が優勢という構図が数世紀にわたって実践されてきたことで、それが独立後60年以上過ぎてもほとんど変化しておらず、この民族が植民地支配者から実に多くのことを学んで身につけたことを示している。ジャワ島内だけでそうなのだから、人材と教育に乏しく監察機能が多勢に無勢となっているジャワ島外で、経済的に豊かな地方はプンリの激しさがジャワをはるかにしのいでいるところすら存在している。
前政権から現政権に変わってビジネス活性化の旗印が大々的に掲げられ、地方政府のビジネス許認可行政にワンストップサービスという手法を取り込むことが進められた。世界情勢に聡い人材を擁する県市はいち早くその本質を具現化させることに成功したが、形だけそれに倣った旧来型メンタリティの行政府は多数の机を用意し、そこを巡る手続きを申請者に行わせて金を落とさせるプンリ行動を依然として継続している。独立以来、政治体制は変遷してきているものの、その体制を支える行政機構のメンタリティにさしたる変化は起こっておらず、役人の大半は(ということはつまり国民の大半という意味でもあるのだが)ホモホミニルプス世界の生き物であることをやめようとしていない。
プンリは明らかに、他国ではビジネスオンリーの経済活動に重いコスト負担を追加するものであり、そのツケは世に出される製品やサービスに上乗せされて料金価格を高いものにしている。インドネシアはハイコスト経済の国なのである。


「密輸品は後を絶たず」(2008年10月7日)
2008年9月24日夕刻、バタム海軍基地所属のパトロール艇がサンブ(Sambu)島東海域を航行中のマレーシアの小型木造船第2キングビー号を臨検したところ、大量の密輸品が発見された。マレーシアのバトゥパハッ(Batu Pahat)からバタム島バトゥアンパル(Batu Ampar)港を目指して航行していたこの船でパトロール艇乗組員は船腹に隠されていたラップトップコンピュータ218台、スピーカー、ミルク、果物缶詰、プラスチック袋などを発見し、それらの物品は航海マニフェストに記載されていなかったため、パトロール艇が密輸品として押収した。最終的に税関に引き渡されることになるそれら密輸品の内容は、コンピュータはブランド別に東芝6台、HP14台、エーサー101台、コンパック74台、アスパイヤワン2台などとなっており、またそれら密輸品の総額は40億ルピアと見積もられている。
同基地上級士官はバタムでの密輸について、はるか昔から行なわれてきたことで、密輸入品ディストリビュータは地元に諜報ネットワークを持っており、密輸の実施に際しては海運会社やその代理店を引き込んで密輸品が表面上に出ないようにしている、と語る。もし運び屋が捕まっても自分たちに累は及ばない。バタムにはこのような不法輸入品が大量に流れ込んでいる。海軍上級士官はそう語っている。


「だからみんなが警察を避けたがる」(2008年10月29日)
2008年5月14日付けコンパス紙への投書"Menyesal Telah Melaporkan Pencurian kepada Polisi"から
拝啓、編集部殿。わたしの家で発生した泥棒事件を警察に届け出たことをわたしは心から悔やんでいます。泥棒事件は2008年4月10日午前4時半ごろ発生し、犯人ひとりがわたしのダイハツロッキーのダッシュボードからスピードメーターパネルをはずしてプラスチック袋に入れたとき、わが家の運転手が犯人を取り押さえました。犯人を縛り上げてからわたしは隣組長に事件を報告し、犯人は北スマトラ州メダンバル警察署に引き渡されました。警察は犯人を逮捕し、そして犯人が盗もうとしたスピードメーターパネルとカーラジオを証拠品として押収したのです。このような事件はわたしの周りではありふれたものになっています。
わたしは日々ダイハツロッキーを使ってパーム椰子園の仕事をしていますが、この事件の結果わたしの車は使えなくなってしまいました。警察が押収した証拠品を一時的に返してくれるよう、わたしはメダンバル警察署担当官に何度も頼みました。警察や裁判所が必要とするときはいつでも提出するからという誓いに加えて、その内容を印紙を貼った証書にして提出するからとも約束しましたが、担当官は上司が許可しないと言ってわたしの希望を聞いてくれません。わたしの車はもう一ヶ月にもわたって使用することができず、盗難事件被害者だというのに損失を蒙っています。警察の協力者である市民に対して警察は困難を与えるべきでないし、ましてや犯罪者を捕まえたのだから表彰されてもおかしくないのに、と捜査官になんどもわたしは苦情しました。つまりわたしは、泥棒事件を警察に届けたことをたいへん後悔しているのです。
警察が押収した証拠品がきわめて重要で死活問題に関わるものである場合、それを保有者に暫定的に戻す手続きが警察にはあるはずです。ましてやその証拠品は事件の証人であるこのわたしの所有物なのですから。警察高官は警察の職務を特に被害者となった国民の利害と合わせるようにして、警察の協力者たる市民に二度と警察に届け出ないような気にさせないようにしてほしい、と希望します。[ 北スマトラ州メダン在住、ロビンソン・シトゥプ ]


「大蔵省が悪質不良公務員39人を懲戒解雇」(2008年12月24日)
2008年中に大蔵省は510人の職員に対して規律違反処分を行なった。そのうち39人は重度の規律違反として解雇措置を与えられている。その39人は既にさまざまな処分が加えられたにもかかわらず改悛の姿勢なく不正行為を続けたために解雇措置を受けた。免職に至るまでの処分としては、警告書1から3、定期昇給延期、減俸、昇格延期、降格、免職などのステップがある。
2008年に起こった大蔵省の名を汚す最大の事件は5月30日タンジュンプリウッ港税関メインサービス事務所でのもので、KPK(汚職撲滅コミッション)が行なった抜打ち査察で通関書類検査担当機能職69人が収賄取調べを受けた。69人中で潔白が証明されたのはわずか17人しかいなかった。クロとされたうちの4人は収賄の罪で即座に免職され、その後解雇されて公務員ステータスを失っている。KPKの抜打ち査察では税関書類検査担当官のデスクに多数の現金入り封筒や銀行送金証憑などが置かれているのが見つかり、その合計金額は5億ルピアにのぼった。それらの贈賄を行なったのは輸出入者であり、通関に手心を加えてもらうのを目的としていたと判断されている。これだけを見れば民間が悪事を行い、それを見逃してもらうために官職者に贈賄したという形になるのだが、税関側も根拠のない課税金額査定を行なって納税金額不足を輸入者に通達し不足額と罰金の納入を命ずることをしばしば行なってきたから、常に正直に通関している者でも手心を加えてもらおうとして贈賄する気持ちになるのはありうることだろうと思われる。インドネシアの腐敗行為は他の国で見られるようなシンプルな背景をしておらず、単純な善悪でものが見れない奥深さを持っていることに留意する必要があるだろう。


「これが贈賄せずにいられることかッ!」(2008年12月24日)
2008年7月1日付けコンパス紙への投書"Pemerasan oleh Oknum Dinas Perhubungan DKI"から
拝啓、編集部殿。2008年6月16日日曜日15時ごろ、スズキピックアップを運転して西ジャカルタ市ダアンモゴッ(Daan Mogot)通りを通行中だったわたしは、西ジャカルタ市運通局の制服を着た職員に停車を命じられました。プレート番号B6508CFWのオートバイに乗ったその職員の名前はワヒユディです。かれが車の書類をチェックしたところ車検が7日前に切れていたようで、かれはラワブアヤターミナルにある西ジャカルタ市運通局本部に車を持っていくようわたしに命じました。
到着したあと事務所でかれが言うには、車は2ヶ月間差し押さえられるそうで、その間一日1万ルピアの預かり料がかかるとのことです。ということは、わたしの車は2ヶ月間で60万ルピアの差し押さえ費用を取られるということではありませんか。『こりゃあ搾取だ』とわたしは気付いたので、わたしはかれに「10万ルピアでどうか?」と尋ねました。するとかれは「そりゃ、できない。」と言いましたがドミンゴスという名の上司に尋ねに行ったのです。ドミンゴスは英雄ぶった態度でこう言いました。「自動車は差し押さえられなければならない。ただしあなたが15万ルピアを納めるというのなら・・・・・」
ほかに選択の余地がなかったため、わたしはその領収書のない罰金を職員に渡しました。現金15万ルピアがわたしの手からわたしを捕まえたワヒユディの手へと。実に不思議です!政府や汚職撲滅コミッションがあちこちの政府機関で腐敗行為撲滅活動を盛んに行っているというのに、首都交通局職員は私腹を肥やすために堂々と職務を悪用しているのですから。[ バンドン在住、ヤント ]


「役人の親切なのは腹に一物ある証拠」(2009年1月16日)
2008年6月25日付けコンパス紙への投書"Birokrasi Berujung Uang"から
拝啓、編集部殿。2008年6月2日、わたしども7人のチームは西ジャワ州インドラマユ県の農民調査を行うため、通例の調査許可手続きを行いました。何事によらず調査活動は民族統一庁の名前で出される地元行政機構の許可を得なければなりません。
インドラマユに着いたわたしどもはバンドン民族統一庁からインドラマユ民族統一庁への調査許可手続きを行いました。いまこの手続きはインドラマユ県秩序安寧局が担当しています。わたしどもを受け付けてくれた職員はてきぱきと処理を行い、またわたしどもにとても愛想良く親切にしてくれたので、このような役所があることを最初わたしどもは誇りに感じました。ところが最後の最後になって行き着くところは金ということが明らかになったため、その誇りは無残にも打ち砕かれてしまったのです。
調査チームメンバーのふたりが許可証を取りに行ったところ、ひとり5万ルピアずつ10万ルピアを払うよう要求されました。ふたりはその要求に驚いて半額だけ払って戻ってきました。7人のメンバー全員が許可証を取りに行ったら35万ルピアも払わなければなりません。わたしどもはこれまで西ジャワ州の各地で調査許可手続きを行っていますが、許可証をもらうのに金を要求されたのは今回がはじめてです。金額のことをとやかく言っているのでなく、このような公務員のメンタリティからわれわれはいったいいつになったら抜け出せるのでしょうか?[ スムダン在住、エカ・プラスティヤ ]


「腐敗の親玉は相変わらず」(2009年1月29日)
トランスペアレンシーインターナショナルインドネシア(TII)が2008年9月〜12月に2,371人のビジネスマン、1,074人の公共サービス機関管理職、396人の社会人名士を対象に行った賄賂行為に関するサーベイの結果がIndex Suap 2008(2008年賄賂指標)と題する白書となって刊行された。トドゥン・ムリヤ・ルビスTII理事会首席はその結果について、「法の確立を推進しなければならない公共機関が激しく腐敗しているのはたいへん皮肉なことだ。警察・検察・裁判所など法曹機関がもっとも遅れているように見える。」とコメントした。サーベイ結果を見ると、賄賂がもっとも激しく行なわれているのは警察で、比率は48%、平均賄賂金額は227万ルピアとなっている。サーベイの内容は、ビジネスマン・社会名士と警察役職者との間に起こったコンタクト件数をまず算出し、そのうち何回贈収賄が行なわれたかというのが比率として取られている。警察については1,218件のコンタクトを回答者が表明し、その中で贈収賄を伴ったものが48%あったということだ。2位税関の比率は41%となっている。
サーベイ結果報告は次のとおり。
順位) 公共機関名  平均賄賂額(万ルピア)
1)警察 227
2)税関 327
3)イミグレーション 281
4)道路運送交通局 154
5)地方自治体・市庁 422
6)国土庁 756
7)港湾運営国有会社プリンド 268
8)裁判所 1億241
9)人権法務省 395
10)空港運営国有会社アンカサプラ 206
11)地方税務署 471
12)保健省 574
13)国税総局本庁 850
14)食品薬品監督庁 444
15)インドネシアウラマ評議会(MUI) 168
このサーベイでは立場を変えて、公職者が民間人から収賄を奨められたときどう対応するかという質問も織り込まれ、1,074人の公共サービス機関役職者からの回答が集計された。その結果を見ると、絶対に拒否するが58%、多分拒否するだろう25%、多分受け取るだろう15%、絶対に受け取る1%という公職者の姿勢が示されている。しかし「かつて賄賂行為を報告したことがあるか?」との問いに対しては、イエスが6%、ノーが94%で、上司にも法的機関にせよだれにも沈黙を守っている姿が浮き彫りにされている。


「獲物を狙う狼はどこにでもいる」(2009年4月1日)
2008年8月6日付けコンパス紙への投書"Membayar Pajak Bandara Dua Kali"から
拝啓、編集部殿。2008年7月17日にわたしと妻は、わたしの両親が16時25分ジャカルタ発パダン行きバタビアエアーに乗るのでスカルノハッタ空港へ送って行きました。15時に老齢の両親のチェックイン手続を手伝ったところバタビアエアー職員が、「ここでエアポートタックスを支払っておけばあとでエアポートタックス支払窓口で列に並ぶ必要がなく、そのまま乗客待合室にはいれますから」と言って奨めるので、わたしはその場で二人分6万ルピアを払い、領収ステッカーを搭乗券に貼ってもらいました。
ところが待合室に向かった両親から後で聞いた話によると、そのまま待合室に入ろうとした両親をアンカサプラ職員が列に並ばせてエアポートタックス6万ルピアの支払いを命じたのです。両親は6万ルピアをもう払ってあると説明しましたが、その職員はあれこれと理由をつけて支払いを強要しました。両親は口論するのが嫌だったし、予定していた飛行機に乗れなくなるのではないかという不安から、仕方なくまた6万ルピアを払いました。
わたしは6万ルピアを問題にしているのではありません。老人の無知や弱みにつけこんでエキストラ収入を無体な方法で得ようとする不良職員のモラルはそこまで低劣なのですか?[ ジャカルタ在住、ヤン・フスナイディ ]
2008年8月19日付けコンパス紙に掲載されたPTアンカサプラ?からの回答
拝啓、編集部殿。2008年8月6日付けコンパス紙に掲載されたヤン・フスナイディさんからの投書について、当方はヤンさんとコンタクトしようと努めていますが8月8日現在まだ連絡が取れておりません。当方は現場で起こったできごとの詳細、特にPTアンカサプラ?職員がそれに関わったかどうか、をヤンさんからおうかがいしたいと望んでおります。パッセンジャーサービスチャージを支払った乗客は、レシートが搭乗券に貼られますので、パッセンジャーサービスチャージを理由にして不正に金銭を徴収しようとする者に対しては、そのレシートを示して支払いを拒否する権利があります。チェックインエリアと乗客待合室に向かうエリアには、PTアンカサプラ?、保険会社、移民局、テナントなどから個々に職務と権限を与えられたさまざまなひとがいます。
電話番号(021)5505021のわたしども宛てにコンタクトしてくださるよう、ヤンさんにお願いします。あなたのご両親がどんな目にあわれたのか、その詳細をお聞きして今後のサービスをよりよいものにするためにフォローアップしたいと考えております。あるいは適切な関係当局に届け出ていただいてもかまいません。[ PTアンカサプラ?広報担当、トリスノ・ヘルヤディ ]


「牛肉にもマフィアがいる」(2009年4月3日)
2008年9月23日付けコンパス紙への投書"Mafia Bisnis Daging Sapi Impor"から
拝啓、編集部殿。特定の国から輸入された牛肉を食べると人体に危険であるという警告記事が最近たくさんの印刷メディアに掲載されています。このビジネスにロビー活動とマネーパワーが関わっていることは当方も承知の事実です。高インフレ率がインドネシア国民の福祉をこそぎ落とすのを誰もが懸念しているとき、食糧は生活基幹物資としてその価格を手の届く範囲に安定させなければなりません。しかしいくつかの国々やビジネスマンたちはただ膨大な利益を得ることだけを望み、インドネシア国民の福祉や健康への配慮など持ち合わせているようには見えません。そんなかれらがオファーする牛肉はブラジルのものより三倍も高い価格になっています。ところがかれらはこんな嘘を言いふらすのです。「口蹄病を注射で克服しようとしても安全にはならない」と。
かれらはブラジルが世界最大の牛肉輸出国で、ヨーロッパや中東に大量に輸出している事実を隠します。かれらは自分たちの独占的な地位を守り、インドネシアの消費者からもっとたくさん利益をかき集めようと努めるのです。その結果インドネシア国民は他の選択肢を持たないまま高い牛肉を買わされています。アントン・アプリヤントノ農業相はブラジルを訪れてブラジル産牛肉の輸入契約書にサインしました。ブラジル産牛肉は安いので、たくさんの会社も同じような契約書にサインしています。しかし牛肉マフィアたちは、ブラジル産牛肉は人間の健康に悪影響を与えるというデマを流し続けているのです。[ 駐インドネシアブラジル大使、エドムンドSフジタ ]


「公務員は金儲けが得意」(2009年6月9日)
2008年10月6日付けコンパス紙への投書"Otonomi Daerah dan Pungli di Jalan"から
拝啓、編集部殿。地方自治の実施が始まってから、わたしは小さい事業を始めました。大規模事業者が公的プンリ(役人が取り立てる不法徴収金)を嘆いているように、わたしもかれらと同じ運命をたどっています。皮肉なことに、政府行政機関の一端にいる運輸交通局がプンリの顕著な役割を担っているのです。
タングラン市ダアンモゴッ(Daan Mogot)通りkm21の車両重量検査ポストを見てください。この検査ポストはあらゆる商業車にとって一般道路に置かれた料金所になっています。小型ピックアップまで含めてありとあらゆる商業用車両がそのポストに入るよう強制され、決められた料金を支払うよう命じられています。そこを避けて別のルートを取ってみても、走行効率や経済性の点から、結局そこを通るのがベストになってしまうのです。金を支払うとくれる切符には、許容される範囲での積載重量超過のためにこの課金が徴収されると明記されているものの、ポストに入った車は重量測定などなにもなしに、みんな一様に切符を渡されて金を徴収されます。計量ブリッジはスイッチが切られているのですから。
ダアンモゴッ通りkm21が毎日得ている収入の巨大さは想像に余りあります。この料金所には職員が10人ほど詰めており、加えてそこからほど近い場所に3〜5人の監視員がいて、ポストに入れようとするのを振り切って逃げる車を追跡するためにスタンバイしています。この料金所は朝から夜まで活動しており、積荷を降ろした後の状態でそこを通るトラック運転手さえそのポストに入るよう強制されるので運転手たちは驚いています。
KPK(汚職撲滅コミッション)はわたしどものような者にも支援を与えてくれるのでしょうか?この状態をまともなものにしてくれるよう求めたいのですが、行政機構内のどの機関に訴えればよいのかわたしにはわかりません。チュンカレンのラワブアヤにある都庁運輸交通局の巣窟周辺では、何らかの交通違反を見つけて袖の下を払わせようと目を皿のようにしている職員が大勢います。みんなストランを追い求めて競争しているのです。汚職撲滅は継続的持続的に行なわれなければなりません。汚職はインドネシアの貧困の原因のひとつなのですから。[ 西ジャカルタ市カリドラス在住、ワルディミン ]


「刑務所は世間の縮図」(2009年7月3日)
2008年11月17日付けコンパス紙への投書"Biaya Besuk di LP Cipinang"から
拝啓、編集部殿。東ジャカルタ市チピナン社会復帰院(刑務所)の表門に「費用徴収はありません」という文句が掲げられていますが、実態はそれと大違いです。2008年11月3日と5日の2回、わたしはチピナン社会復帰院にいる友人を見舞いました。実に何回も看守との間で手続があり、そのたびに金を払わなければなりません。KTP(住民証明書)を預け、携帯電話を預け、面会室での手続に加えて被面会者を呼んでもらうためにまた金です。出費をすべて合計したらなんと2万ルピアになりました。
表門には面会時間が16時までと書かれていますが15時にはもう入門が禁止され、門番に金を渡してやっと入れてもらえる始末です。実に嘆かわしいありさまです。[ ジャカルタ在住、ビドゥアント ]


「お役人様の無責任は当たり前?!」(2009年8月4日)
2009年1月30日付けコンパス紙への投書"Sertifikat Hilang di BPN Jakarta Pusat"から
拝啓、編集部殿。2006年6月にわたしは国土管理庁中央ジャカルタ事務所に土地証書作成を申請し、その手続をムヒディンさんに委任しました。必要な書類はすべて用意し、公式費用も国土管理庁職員が要求する非公式費用もすべて支払いました。委任受託者のムヒディンさんは毎週定期的に国土管理庁中央ジャカルタ事務所を訪れてプロセスの進展状況をモニターしました。
2008年3月、土地証書が出来上がったので国土管理庁中央ジャカルタ事務所へ取りに来るようにと同庁職員が連絡してきましたのでそのピックアップに赴いたところ、その証書は紛失したと職員に言われて愕然としました。証書は国土管理庁中央ジャカルタ事務所長室で紛失したのだそうです。聞くところによると、紛失した証書はわたしのものを含めて15件だったそうで、わたしは紛失した証書が何者かに悪用されることを懸念して同事務所に対し、即刻紛失証明書を発行するとともに証書の再発行手続を開始するよう要請しました。なぜならその紛失は明らかに国土管理庁職員のミスによるものなのですから。しかし国土管理庁中央ジャカルタ事務所側は紛失した証書を探すので1ヶ月間待ってほしいとわたしに求めたのです。15枚もの証書が一度に事務所長室でなくなるなんて・・・・・。
それ以降もわたしの委任受託者は毎週国土管理庁中央ジャカルタ事務所を訪れて進展をモニターしていますが、同庁事務所職員は「来週には必ず見つかる」というその場しのぎの返事ばかりです。あれからもう一年近く経過していますが、紛失した証書の対応がどのように取られるのか、国土管理庁事務所からの明確な表明は何ひとつありません。[ 中央ジャカルタ市クマヨラン在住、トゥティ・スリヤティ ]


「拘置所で殴られたくなかったら・・・・」(2009年8月6日)
2009年1月5日付けコンパス紙への投書"Sediakan Dana agar Tak Digebuki Polisi"から
拝啓、編集部殿。東ジャカルタ市警のお歴々にはとても失望しました。2008年12月1日、わたしは東ジャカルタ市警に拘留された隣人を見舞いに行きました。かれは路上のゴロツキとして逮捕されたのです。かれは警察に拘留されている間ズボンをはくのを禁じられ、逮捕状も拘置命令書もそして法律援護すら与えられていないことを知ってわたしは驚きました。そのわたしの隣人は路上ゴロツキなどでは決してなく、ましてや警察調書に書かれている恐喝行為などまったくしていません。
わたしの知っているかぎりでは、かれはわたしの住んでいる字(RW)で物売りをしているカキリマ商人から課金を徴収する役割を振り当てられた担当者であり、その任命は字住民が承認していて徴収課金は字住民のために使われている、責任のはっきりしたものなのです。だからかれは恐喝行為などしておらず、課金を徴収していただけであり、おまけにかれ自身もカキリマ商人を定業としていて課金を支払っている他の商人たちの仲間なのです。
かれが捕えられてから警官がかれの妻に100万ルピアを払うよう要求したようです。「今晩殴られたくなかったら100万ルピアを用意するように。」と言って。しかしかれの妻は50万ルピアしか差し出せなかったそうです。わたしは弁護士を手配してかれを援助しようとしましたが、拘留は保留されました。かれと一緒に逮捕された本物ゴロツキ数人が拘留されなかったことから、わたしはかれの逮捕が誤ってなされたものであることを確信しています。国警長官のゴロツキ撲滅プログラムはもちろん素晴らしいものですが、現場でなされていることは住民であるわれわれに失望を与えるものです。
悪事を犯していないわたしの隣人がスケープゴートにされ、東ジャカルタ市警の悪徳高官が業績を上げるために国警長官の命じたターゲットを満たすための道具になるようなことはやめてください。[ 東ジャカルタ市クラマッジャティ在住、ユディ・ハルヨノ ]


「インドネシアの没落はコルプシのせい」(2009年8月8日)
2009年1月7日付けコンパス紙への投書"Keterpurukan Indonesia akibat Korupsi")から
拝啓、編集部殿。インドネシアの没落はまず、行政官僚がシステマチックに行なっている慢性的なKKN(汚職・癒着・縁故主義)の結果です。それどころか政府機関で行なわれているKKNは、採用にはじまって配属・教育・昇進そして停年退職決定書交付に至るまで連綿とつながっているというのが一般常識になっています。行政官僚が国家予算や地方政府予算に対してコルプシ(腐敗行為)を行なっていることも一般常識になっています。一般国民はKTP(住民証明書)・SIM(運転免許証)・パスポート・IMB(建物建築許可書)・土地証書・さまざまな許認可の手続、さらにいろいろなプンリ(不法徴収金)に余分な金を払うものだという認識を抱いています。コルプシが行なわれるのは行政官僚が自分の生計の資を得るためです。
コルプシを撲滅するために国・政府は行政官僚に十分な給料を与え、家族を含めてその妥当な生活需要を満たすようにしなければなりません。もしそんな給料レベルでさえまだコルプシを行なう者がいれば、その者は重罪に処せられなければなりません。必要なら死刑もやむをえないでしょう。もっと重要でしかしもっと困難なのは、官僚のモラルを正すことです。その根源にメスが入らないかぎり、大統領がどんなにすばらしいプログラムを実施しようとも効果は期待できません。コルプシ実行者に厳しい対策を取っているSBY−JK政権のような政府はこれまでなかったことを誰もが認めざるをえないのではありませんか?ところがそれですらまだ粛清が行き渡っておらず、われわれはアセアンにおけるコルプシチャンピオンの座を維持し続けており、まったく面目などあったものではありません。
次期大統領がだれになろうと就任後の早い時期に、真の専門家でプロフェッショナルなひとたちが企画した行政革命が行われなければなりません。行政現場にもプロフェッショナルとしてのキャリヤーを持つひとびとを配置しなければなりません。高官職に政党の息のかかった人間を就任させるのはだめです。その高官と政党は必ず共生関係を結んで、はてはコルプシに行き着くことが目に見えているではありませんか?[ デンパサル在住、アセップ・アリフィン・スンジャヤ ]


「仲間をかばうのはうるわしい行為」(2009年8月11日)
2009年1月24日付けコンパス紙への投書"Premanisme oleh Keluarga Polri"から
拝啓、編集部殿。わたしは巷にいるゴロツキを撲滅して社会生活をよりよくしようとする国家警察長官の方針に敬意を表するものですが、警察内部にあるゴロツキ行為も同時に撲滅して欲しいと希望しています。
わたしの妻が警察長補の階級にあるランプン州警察中級将校の息子に殴られた事件をわたしは問題にしているのです。この事件は交通問題における誤解に端を発したもので、わたしの妻に対する暴力事件に発展しました。事件は2008年10月10日に起こり、わたしはその日のうちにこの事件をランプン州警察本部に届け出ました。しかし多分その加害者が州警察の警察長補の息子だからなのでしょう、この事件の取扱いはバンダルランプン市警に移管され、更に東タンジュンカラン署までおろされました。東タンジュンカラン署はまったく不合理な理由でこの問題に決着をつけるのを避けているという印象を与えています。加害者は別の都市で大学に学んでいるため休暇で帰省するのを待っている、という奇妙な理由がまかり通るのには失望させられました。警察の取調べ出頭命令書よりも大学のテストのほうが効力が強く、休暇にならなければ取調べができないとはいったいどういうことでしょうか。一切何の進展もなく、もう3ヶ月が経過しています。
加害者がだれかを見たうえで対応するこんなやりかたはやめて、事件解決を早急におこなうよう国家警察長官に要請します。昨今の法的透明性にもとづくなら、民衆の庇護者である警察高官の息子が犯したこのような事件は警察の面目にたっぷり泥を塗る破廉恥行為ではありませんか?被害者であるわたしのほうは、今後もモニターを続けます。国民は法を犯した者に対する警察の措置が透明に行なわれているのかそれとも相手次第の選り好みが行われているのかを判別することができるのです。[ ランプン在住、アルディアン ]


「収賄税関職員の裁判が始まる」(2009年10月1日)
2008年5月30日に税関総局内部遵法チームとKPK(汚職撲滅コミッション)がタンジュンプリウッ港税関メインサービス事務所で行った抜打ち査察で、通関書類検査担当官の机に現金や送金証憑の入った封筒多数が発見された。現金の金額は480万ルピア、8百万ルピア,9百万ルピア、1千4百万ルピアなどさまざまで、送金証憑は4千7百万や5千7百万といったものがあった。それらは輸入者が通関に手心を加えてもらうために税関検査担当官に渡した贈賄金で、その受け渡しは清掃係りが仲介していた。
そのときに逮捕された四人のうちのひとり、アグス・シャフィイン・パネに対する公判が2009年7月13日にジャカルタ汚職特別法廷で開始され、KPK公訴チームは、2008年1月から5月までアグスが行なった腐敗行為に対して3年6ヶ月の入獄と罰金2億5千万ルピアもしくは6ヶ月の追加入獄を求刑した。公訴チームの罪状告発によれば、アグスは2008年1月〜5月の間アヤンから7,675万ルピア、1月と5月にスワンディから3百万ルピア、3月〜5月の間ヘルノト・プラノトから2,200万ルピア、4月20日と5月の初旬・下旬にアグス・スバンディから90万ルピア、5月2日・9日・23日にスバギヨから1,200万ルピア、そして1月と2月にはムハンマッ・ユスフから6百万ルピア、ロビー・アリトナンから80万ルピアなど巨額な収賄を行なっていた。


「税関はいつも腐敗番付の上位」(2009年10月1日)
2008年7月18日付けコンパス紙への投書"KPK turun, Aparat Mengulur Waktu Pelayanan"から
拝啓、編集部殿。KPK(汚職撲滅コミッション)が税関事務所の抜打ち査察を行い、職員が何人か逮捕されました。ところが賄賂が大好きなかれらの狡猾さには限りがありません。かれらは職務を怠るどころか、業務を延々と長引かせ、約束を大安売りし、本質的に必要もないあれこれのデータ追加を要求し、その裏で賄賂を出させるという職業替えを行なっているのですす。タウフィッ・エフェンディ官僚効用改善担当国務大臣はそのような職業替えを防ぐグランドストラテジーという名の手段を用意したのですが、それは上位者からの継続的な監視と処分措置なくしては効果を持たないものでした。
まったく素人でしかない公僕に輸入者であるわたしはおもちゃ扱いされています。席を外している、机の上にメッセージを置いてきたのに電話をかけても要領を得ない、等々・・・。公務員の業績を低下させることがらをその者の上司にクレームしてすぐ上司に対処してもらう権利が国民に与えられてしかるべきではないでしょうか。またそのように上司に訴えた国民に対して相応の保護が与えられなければなりません。[ ジャカルタ在住、カルナント ]
2008年7月29日付けコンパス紙に掲載された税関からの回答
拝啓、編集部殿。2008年7月18日付けコンパス紙に掲載されたカルナントさんの当初に関してお伝えします。ジャカルタタンジュンプリウッ港A級税関メインサービス事務所での通関業務に関する監督とサービスの手続はすべて、業務プロセス時間の確定を含めて優良サービス原則を重点に置いた現行規定に即して行なわれることが義務付けられております。もし通関サービス利用者が情報を求めたりあるいは苦情を届け出る場合、タンジュンプリウッ港A級税関メインサービス事務所のサービスパフォーマンスに関する苦情であれば、北ジャカルタ市タンジュンプリウッ港内パベアン通りNo.1の税関メインサービス事務所一階にいるクライエントコーディネータに直接届け出ることができます。電話番号(021)4301249Ext206/207、ファックス(021)43931365、Eメールはkpubcpriok@gmail.comです。
当方の記録によると、コンパス紙の投書に記された内容の苦情を提出した輸入者はありません。輸入者を自称されているものの会社名を記載されなかったカルナントさんが情報もしくは証拠をお持ちであるなら、税関機構内で職員の職務規律を監督する内部コンプライアンス担当に連絡できるよう、早急に当方に届け出てください。
ジャカルタタンジュンプリウッ港A級税関メインサービス事務所は2007年7月に発足して以来、プロフェッショナリズムを捧持し、一貫性をもって行政改革の進行にあたり、継続的に評価の見直しを行なって実行に反映させることをコミットメントにしております。[ タンジュンプリウッ港税関メインサービス事務所情報サービスコンプライアンス指導課長、ハリヨ・リマンセト ]


「汚職がいっぱい」(2009年11月14日)
2009年3月28日付けコンパス紙への投書"Kecurangan Petugas Loket Tol"から
拝啓、編集部殿。2009年3月6日(金)、わたしはバンドンからブカシに車で移動しました。プルバルニ(Purbaleunyi)自動車専用道西パダラランゲートを午前8時半に入り、西チカランゲートを午前9時半に出ました。その区間の自動車道利用料金としてわたしは3万ルピアをゲートの職員に渡しました。その料金ブースは右側(東側)にある2番ゲートです。
ゲート職員は領収券をわたしにくれましたが、それは通常のプリントアウト片でなくゲート名と料金がマトリクスになっている切符(通し番号A070227)でした。そして料金ブース内のモニターには「入場ゲート:チビトゥン、1,000ルピア」という表示が見えました。わたしは時間がなかったのでゲートをそのまま通過し、職員の不正行為を届け出ませんでした。自動車専用道路運営会社マネージメントはその不良職員を厳罰に処してください。そして不正を行なうチャンスをかれらに与えているマトリクスタイプの切符の使用を早急にストップしてください。[ バンドン在住、イルマン・マウンチュ ]


「外国留学公務員は給与カット」(2009年11月30日)
2009年3月18日付けコンパス紙への投書"PNS Belajar di Luar Negeri"から
拝啓、編集部殿。国内で学ぶ以上のものを得たいと望むため、修士課程博士課程の外国留学を選択するのは大学教官としてごく当然のことです。しかし文民公務員には拒みようのない不利な帰結が待ち受けています。それは教官としての機能職手当が、国家官房からの通知書を受取ってから8ヵ月後に支給停止になるということなのです。以前はあまり感じていませんでしたが、これはたいへん不公平なことだと思います。他の文民公務員ステータスの大学教官たちもきっとそう思っているにちがいありません。今回わたしが得た奨学金は外国借款にもとづくものでなく、わたしの教授のプロジェクトによるものであり、国家予算からのものではないのですから。
教員・教官に関する2005年法令第14号が出されたことでそんな不公平のもやもやを解消する涼風が吹き渡りました。その法令の第八章に有給休暇に関することがらが取り上げられており、第72条2項には「教官は研究や調査あるいは学問・技術・芸術の学習のために、給与を満額保証されて有給休暇が与えられる」と謳われています。この法令はすでに施行されていて、外国で学んでいる教官は機能職手当をカットされることなく給与を満額受取っているのでしょうか?外国で学んでいる者は働いていないということで給与の一部がカットされてきたのでしょうが、それはなんという残忍な仕打ちでしょう。教官の仕事は学びそして教えることです。外国で学んでいても、仕事をしているということになるのではありませんか?[ ボゴール在住、アブドゥル・ワヒッ ]


「都庁職員は7万8千人」(2009年12月8日)
2009年度ジャカルタ都庁職員総数は77,880人で、最大多数は第三級公務員で占められており、その数は37,102人にのぼる。いちばん少ないのは686人という第一級公務員。管理職は6,676人おり、第四級エセロンが5,566人で大多数を占め、次いで第三級エセロンが655人という裾野のたいへんひろいピラミッドを形成している。非管理職は71,204人で、そのうちの27,014人はスタッフ、残る44,190人は機能職担当者となっている。


「役人にビューロクラシーは当たり前」(2010年2月12日)
2009年4月13日付けコンパス紙への投書"Birokrasi Proses Masuk Deplu"から
拝啓、編集部殿。しばらく前、外務省は従業員採用がKKN汚染の少ないもっともクリーンな国家機関であるということで、ハサン・ウィラユダ外相がタウフィッ・エフェンディ官僚活力化担当国務相から表彰されていました。これは賞賛に値します。しかしわたしの目には、外務省の公務員採用プロセスに無用なビューロクラシーがたくさんからまっているように見えるのです。
たとえば求人応募者は労働省のイエローカードを持っていなければなりません。イエローカードにどれほどの意味合いがあると言うのでしょうか?就職希望者の個人データを得るためだというのなら、何百万人もの人間がイエローカードなしに民間会社で職を得ているのはいったいどういうことですか?労働省に届け出る人間だけが公務員になれるということなのですか?
そして、海外で得たすべての学業証明書は国民教育省で認定を受けなければなりませんが、この決まりはたいへん差別的です。その認定を得るために申請者がどれほど長期間待たされるかということを外務省は知っているのですか?数週間?数ヶ月?客観的事実を知るために経験者に尋ねてみてください。UCLA、バークレー、スタンフォード、イェール、テキサス(オースティン)・・・・。どんな有名校を卒業していても関係ありません。国内の大学を出た人とくらべてみてください。失礼ながら、評判なぞ聞いたこともない私立大学卒業生でさえ、即座に応募ができるというのに。
素行証明書の問題もあります。その証明書は期限付きなのですよ。外務省職員募集に応募した大学生の中で、犯罪履歴を持つひとはいったい何パーセントいたでしょうか?一次審査をパスした者に対してだけ麻薬覚せい剤テストをしたらどうなのでしょう?
以上のことがらは見直しがなされるべきビューロクラシーだとわたしは思います。ご検討ください。[ 西ジャカルタ在住、ヌルレイラ ]
2009年4月16日付けコンパス紙に掲載された外務省からの回答
拝啓、編集部殿。2009年4月13日付けコンパス紙に掲載されたヌルレイラさんの投書に関連して、外務省は文民公務員採用プロセスを、2002年政令第11号で変更された文民公務員採用に関する2000年政令第98号と文民公務員採用に関する2000年政令第98号の実施規則に関する国家公務員人事庁長官決定書というふたつの現行法規に則して行なっていることをお伝えします。
外務省の文民公務員採用プロセスはISO9001:2008に合格しており、2002年以来現行システム通りに実施されていることを検証するために省内監査と認定庁の外部監査を受けています。[ 外務省人事局長、プリヨ・イスワント ]


「プンリにはもううんざり」(2010年2月15日)
2009年4月24日付けコンパス紙への投書"Bosan Membayar Pungutan Liar"から
拝啓、編集部殿。わたしはあまりにも頻繁にプンリ(不法徴収金)を支払わせられているので、コルプシ(腐敗行為)撲滅にはきわめて悲観的です。しかしそんな暴虐を蒙りながらわたしはただ黙って傍観者を決め込んでいていいのでしょうか?このような沈黙は罪ではないのでしょうか?
何年にもわたって住民証明書や家族登録書等々の手続を南ジャカルタ市クバヨランバル地区の町役場(Kantor Kelurahan)で行なうたびに不透明な徴収金を払わせられてきました。わたしがたいした広さもないジャカルタ郊外部にある親が残した土地の登記書を国土管理庁事務所で手続しようとしたとき、窓口職員はわたしが既に支払いを済ませた公式料金とは別に高額の円滑金を支払うよう要求したのです。わたしはそれを拒否しました。
すると何が起こったかと言えば、わたしの書類をかれらは処理しないまま放置したのです。おかげで1年半の間にわたしは十数回土地管理庁事務所を訪れることになりました。そしてあるとき、わたしの書類が行方不明になり、だれも責任を取ろうとしません。わたしが怒って高官職者のひとりに会わせろとねじこんだらかれらはやっと書類を探して処理し始めました。その登記書は数ヶ月前に処理が完了しましたが、わたしの憤りはいまだに癒えることがありません。
ジャカルタのタナアバン鉄道駅切符売場でも、何年にもわたってコルプシが続けられています。売場窓口職員はブガワン号のエコノミークラス乗車券販売でいつも2〜3千ルピアをコルプシします。それに苦情すると同行者が全然飛び離れた座席番号を与えられたり、あるいは臭いトイレの傍の座席に座らせられたりするのです。人間性のかけらも感じられません。他の窓口でも同じようなコルプシが毎日行なわれ、数百数千の貧しい弱者から何年もやむことなく金がまきあげられるのです。
公共サービスで強要される不法徴収金を支払うのはもうウンザリです。このようなことがらにもっと配慮するよう、関係当局にお願いします。[ ジャカルタ在住、スリヨ ]


「贈収賄は汚職でない!?」(2010年2月16日)
2010年1月26日付けコンパス紙への投書"Penerima dan Pemberi Suap Dikategorikan Koruptor"から
拝啓、編集部殿。去る1月11日に放送されたTV Oneイブニングニュースの中のアルタリタ・スリヤニが拘置されているポンドッバンブ拘置所内における贅沢なファシリティに関する報道の中で、人権法務省ジャカルタ地方事務所長がインタビューに応じて発言した内容は実に視聴者をがっかりさせるものでした。ジャカルタ地方事務所長はアルタリタ通称アインの立場について、かの女はコルプトル(koruptor)でなく単に贈賄事件に関わっただけだと発言したのです。その発言内容はわが国の法曹機関高官職者である地方事務所長の取るべき姿勢をまったく示していません。
汚職犯罪撲滅に関する1999年法令第31号に関連する2001年法令第20号の第5・6・11・12・13条で、贈収賄はコルプシ(korupsi)行為であるという明白な定義付けがなされているではありませんか。インドネシア語大辞典には、コルプシ犯罪実行者はコルプトルと呼ばれると記されています。ところが人権法務省ジャカルタ地方事務所長はコルプトルの定義について、国の金をくすねた者という理解に立っているに違いありません。
このようにコルプシという言葉の定義を縮小歪曲するのは、一般大衆国民に誤った観念を植え付けるものです。多分一般大衆は既にコルプトルという言葉について、国の金を私腹に流し込んだ公職高官を指すという理解を持っているのかもしれません。その結果大勢のひとびとが贈収賄者はコルプトルの分類に入るのだという意識を持っていないのも実情です。そんな一般大衆の法知識、特にコルプシ犯罪についての観念を向上させるためにも、人権法務省ジャカルタ地方事務所長は法曹機関高官職者としての立場から国民の正しい法的理解の促進に努めるべきではないでしょうか。[ プロボリンゴ在住、フィサル・クルニアワン ]


「刑務所は地獄の一丁目」(2010年3月10日)
2009年6月30日付けコンパス紙への投書"Siapkan Uang untuk Besuk Tahanan di Lapas"から
拝啓、編集部殿。わたしは妻でふたりの娘の母親です。夫はいま法的措置を受けており、ブカシのブラッカパル刑務所に留置されています。去る6月18日に面会に行ったとき、夫がこんなことを言ったのでびっくりしました。「もし面会や見舞いに来たいばあいは、1万ルピアと2万ルピア紙幣を混ぜて合計7万ルピア以上の金を用意しなければならない。」
その金は何のためかと夫に尋ねると、「ここはそうなってるんだ。」という夫の返事でした。それは開錠金というものだそうで、その決まりに従わなければ囚人房から出してもらえないのです。わたしはその話を聞いて驚きました。服役者の家族はみんな経済的に困っているというのに、そんな状態を利用して搾取を行なう人間がいるのです。その日わたしは節約のために子供を連れず、乗り合いバスを3回乗り継いでやってきたというのに。
最低7万ルピアの金で面会できるのはたったの30分だけ。もっと長時間面会したければ「待ち金」を上乗せしなければなりません。わたしはそのとき、そんなことを全然知らず、待ち金を追加しなかったために番人に帰れと言われました。
ブカシのブラッカパル刑務所責任者に確認したいと思います。服役者や留置者とその家族との面会は与えられた権利ではないのですか?面会室の入り口には「金を渡してはならない」とはっきり掲示されているというのに、実際は明らかに金が要求されています。「管理費は?中からそう言われなかったかい?」という言葉がささやき声であるにしても。
しかしどうしても服役者と会わなければならない用事があるのに家族に金がない場合はどうなるのですか?服役者とその家族の権利は、そして正義はどこへ行ったのですか?開錠金や待ち金を要求する不良職員を処分してください。このような慣習は昔から行なわれていることのようですが、服役者との面会は無料でできるはずではなかったでしょうか?[ ブカシ在住、ウラン ]


「森林セクター腐敗も密雲の下」(2010年3月26日)
森林セクターで横領着服されている国庫収入は権限を握っている高官と木材事業者の懐に流れ込んでいる、とヒューマンライツウオッチが公表した。不法に奪われているそれらの金は不法伐採・脱税・不正経営などに由来するもので、公正なステップを踏んで行なわれたなら国庫に入る金額は年間20兆ルピアにのぼるが、腐敗行為のためにまるごと国庫に入っていない。その中で最大のポーションは不法伐採が占めており、インドネシアで行なわれている伐採のほとんどすべてが不法だと言っても過言でない、とヒューマンライツウオッチ役員は述べている。次いで、政府は認めようとしないが政府が定めた丸太販売価格が相場から大きく逸脱したものになっていて、あたかも丸太購入会社に対して補助金を与えているようなかっこうになっている。この差額の損失はもちろん国庫に入るべき金が途中で蒸発しているようなものだ。2002年以来メランティはM3あたり50万ルピアという指標価格が定められているが、現在の市中相場は200万ルピアに達している。
そのような状況を悪化させ継続させているのは国庫に損失を与えている不良公務員が野放しにされており、また一般国民に対する情報も最小限にしか公表されないため、国民の知識は実態からあまりにも遠いところにあって改善要求の声が立ち上ってこない。インドネシアの森林行政がそのような密雲に覆われた状況であるがために、国際社会の気候変動や森林保存に関連する援助がインドネシアに対してはいまひとつ盛り上がりを欠いている、と同役員は発言した。なぜなら資金を出す側にとって、その資金がほんとうに狙った目標のために使われているのか、それとも賄賂の中に混ぜられているのかの確信が持てないからだ、とかれは現状を批判している。


「美徳不在文化?!」(2010年3月27日)
2009年6月17日付けコンパス紙への投書"Fenomena Gunung Es pada Setiap Pelaksana UN"から
拝啓、編集部殿。全国修業試験で33校に受験者の不正行為が発見されたのは毎年発生している氷山の一角現象です。おかしなのは、全国試験主催者である教育規準国家庁がそのシステマチックな不正行為がどのように行なわれたのかを糾明しようとせず、再試験を喜んで行なおうとしたその姿勢です。もしそのロジックが使われるのであれば、解答用紙に問題のあったすべての生徒に再試験の機会が与えられなければなりません。
わが国はまともでない高官職者のロジックで組み立てられていたのです。過ちやごまかしが見つかっても許してもらえるのです。だから同じロジックで誰でもコルプシを行なってよく、見つかったならばくすねた公金を返すかぎり和解を誘いかけて良いのです。
その結果、だれでも盗みをすることができ、見つからなければ問題なし、見つかったとしても和解を誘って妥協するのです。このような教育システムでどんな人間が生み出されるのか、想像がつきません。われわれには手本にしうるガイダンスやスタンダードがなく、それどころかインドネシアの教育規準を主管する政府機関でさえそれを持っていません。正直さ・公正さ・責任感・客観性などを原理に持っている生徒や学校はかわいそうです。そんなものはこの国にまだないと思われているのですから。[ サンバス在住、エルマル・アグスティアン ]


「どうして犯罪が多いのか?」(2009年3月31日)
2009年6月23日付けコンパス紙への投書"Berbagai Pungli di Lingkungan Rumah Tahanan"から
拝啓、編集部殿。わたしのファミリーのひとりが、法的な問題があって東ジャカルタ市ポンドッバンブ(Pondok Bambu)拘置所に拘留されています。さまざまな法律プロセスから拘留されている現状に至る数多くのステップで逸脱行為(賄賂や搾取)が行なわれているのを、わたしは目の当たりにしました。だれかがポンドッバンブ拘置所に入れられると、拘置所職員のポケットに金が流れ込んでいくのです。
面会人がやってきて受付がなされてから面会が終わって拘置者が房にもどるまでに徴収される不法な金は次のようなものです。面会受付5千ルピア、面会人身体検査5千ルピア、拘置者呼び出し5千ルピア、拘置者の帰房1万ルピア。それとは別に拘置者はひと月25万ルピアの房賃とひと月10万ルピアの寝場料を払います。これはエコノミークラスの相場です。面会時間は一日2回ありますので、百人の拘置者がいれば拘置所内で職員が取り立てている金はいったいどのくらいになるのでしょうか?
面会に行く拘置者の家族縁者に丸見えのこの状況を拘置所長は知っているのでしょうか?たいへんな皮肉は塀の外に「不法徴収金フリーゾーン」と大書された幕が掲げられていることで、塀の内側では不法な金の徴収が何の障害もなく繰り広げられているのはフリーのもうひとつの意味に違いありません。拘置所職員はその幕の文字が読めないのでしょうか?もし文盲だったらどうして国家公務員になれたのでしょう?あるいはその言葉の意味が自分たちの行為をバックアップするものだとでも理解しているに相違ないのでしょう。
実に優遇されている拘置者もいます。面会は所長室を使い、面会者は所長官舎に車を停めているのです。その拘置者は検察官収賄事件の関係者のようです。わたしが上で書いたことがらを証明する証拠品はなにもありませんが、この投書が関係当局の捜査の根拠となることを願っています。インドネシアでどうしてたくさんの犯罪が起こるのか、特に麻薬のような巨額の金が動く犯罪が、ということの答えが今やっとわかりました。拘置所も刑務所も金次第でさまざまな恩典が得られるからです。[ 西ジャカルタ市在住、アレックス ]


「赤十字職員の腐敗行為は腐ったたまご」(2010年4月2日)
2009年6月12日付けコンパス紙への投書"Sumbang Darah Diberi Telur Busuk"から
拝啓、編集部殿。わたしはボランティア献血者で、もう70回も献血しました。血液を必要としているひとたちに分けてあげるのは実に気持ちのよいものです。ところが2009年2月13日にわたしは不愉快な体験をしました。献血者は用意されている数種の食べ物のひとつがもらえるのですが、わたしはゆで卵をもらって食べようとしたら腐っていたのです。別の卵を取っても腐っており、殻をむいては捨てるということを3回も繰り返しました。
2009年5月19日にわたしはまた献血をしに行きました。そして同じことがまた起こったのです。わたしは5回も腐ったゆで卵の殻をむいたわけです。
わたしが献血したのはジャカルタのクラマッラヤ通りにあるインドネシア赤十字社の本部です。建物はたいへん立派ですが、行なわれているサービスは理解に苦しむものです。赤十字のジャカルタ本部ですらそんなありさまですから、地方部ではいったいどんなことが繰り広げられているのだろうか、と献血者のわたしは思いました。[ ジャカルタ在住、アントン・サガラ ]
2009年7月6日付けコンパス紙に掲載された赤十字社からの回答
拝啓、編集部殿。2009年6月12日のコンパス紙に掲載されたアントン・サガラさんからの投書に関して次の通りお伝えします。当社は定期的に71回も献血を続けていらっしゃるアントン・サガラさんに賞賛を進呈いたします。これは一般社会、中でも青年層がお手本とするべき優れた行いです。
アントン・サガラさんが2009年2月13日と5月29日に体験されたできごとに関して当方はお詫びを申し上げたいと存じます。そのできごと並びに当方が行なった調査にもとづいて、当方職員に対する具体的な管理制裁措置が取られました。
当方はアントン・サガラさんにお会いして親交を深め、またお詫びを直接申し上げるために投書の住所を訪れましたが、隣組長の管理台帳にはその名前が載っていませんでした。当方はアントン・サガラさんの住所を調査し、献血者カードに記載されているブカシの住所をも訪れましたが、そこで得た情報はアントン・サガラさんがマランに転居したというものでした。[ 赤十字首都支部地方理事会事務局長、イルワン・ヒダヤッ ]


「車検はプンリの巣窟」(2010年4月7日)
2009年6月9日付けコンパス紙への投書"Pungli di Tempat Pengujian Kendaraan Bermotor"から
拝啓、編集部殿。わたしの妻エフィヤンティ・アドハム名義の1996年製ピックアップ車B9556XEの車検を南ジャカルタ市ジャガカルサで受けるさいに、車検場職員とのトラブルが何度も起こっています。車検記録帳が一杯になって新しい記録帳に代えるたびに担当職員は数万ルピアの金を要求します。どの条例にそれが載っているのか尋ねたところ、その職員は上司に報告しに行きました。もちろんそんな条例はないので、その職員はそれ以上金を要求しませんでした。つまり車検記録帳代というのはプンリ(不法徴収金)なのです。車検費というのは、記録帳代・車の両サイドに記される車検有効期間のプリント代等々を含んでいるはずです。なのに車検有効期間をプリントする担当職員は、作業のたびに5千ルピアを要求します。6ヶ月ほど前、わたしはその職員に2千ルピアを渡してみましたが、その職員は2千ルピア紙幣をもんでしわくちゃにしてからわたしに返し、5千ルピアを言い張りました。その金もプンリです。
車の車検有効期間は2009年5月19日までとなっていました。5月19日は車検がまだ有効なので、遅くとも5月20日に車検を行えばよいのです。ところが2009年5月20日午前9時にジャガカルサの車検場へ行ったところ、窓口で出された料金支払請求書には追加チャージという名目で罰金2万ルピアが科されました。わたしが窓口職員に、まだ有効期間内なのだから罰金は科さないでほしいと言うと、窓口職員は上司に直接言ってくれと言います。
それでわたしはそこの管理職者に、2009年5月19日まで有効なのだから遅れたわけではない、と説明したところ、その相手はこう言いました。「罰金を払うのが嫌なら、わたしが払っておきましょう。」
わたしはそれを断り、条例で払うように定められているのなら払います、と言いましたが別の役職者はこう言ったのです。「罰金を払わなければ車検は受けられない。都知事に報告したければどうぞ・・・・」[ 南ジャカルタ在住、サティア・シトルス ]


「腐敗した土地証書手続」(2010年4月19日)
2009年8月14日付けコンパス紙への投書"Birokrasi di Badan Pertanahan Solo"から
拝啓、編集部殿。この国の行政がまったく無秩序であることをわたしはいま本当に実感しています。わたしと父は中部ジャワ州ソロのモギンシディ通りにあるソロ市国土管理庁で土地証書の名義変更を行なったとき、それに直面したのです。
2008年7月、わたしと父は土地所有証書の名義変更を申請しました。そのときわたしたちは公式料金プラスプラスプラスを支払いましたが、領収書はありません。その申請によって土地測量が行われることになっていますが、2008年10月10日にやっとそれが実行されました。そのときも国土管理庁は費用を要求しましたが、わたしたちはその要求に応じませんでした。最初かれらに払ったプラスプラスプラスの中でそれらの費用は支払われていると考えたからです。名義変更は2008年11月にできると約束されました。
11月に国土管理庁へ行くと、係員は12月にできると言います。それ以降ずっとそんな調子で、毎月末に書類がいつできあがるのか尋ねに行くと返事は常に翌月末なのです。いったいいつまでまたなければならないのでしょうか?わたしはこの投書を通じてSBY大統領に、国土管理庁の業務を本庁から各市事務所に至るまでクリーンにするべく関心を払っていただきたいと希望します。「一緒ならやれる」という約束ではありませんか。国土管理庁は根こそぎ改革の必要な役所のひとつなのです。[ タングラン在住、アディ・スレンドロ ]


「たかり精神の住民行政」(2010年4月24日)
2009年7月8日付けコンパス紙への投書"Pengalaman Urus Surat Pindah"から
拝啓、編集部殿。夫がスマトラに転勤になったので、2009年6月18日午前10時半ごろわたしはスマランのバニュマニッ郡役所に転居証明書(Surat Pindah)の手続に行きました。女性の窓口担当者が言うには、転居証明書は二週間でできるとのことでした。わたしが一週間でできないかと尋ねるとその担当者は同僚と相談し、14時ごろエディさんに会って頼んでみたらと勧めました。最初その担当者は転居証明書作成が無料だと言ったのに、わたしにいくらでもいいからと援助費を要求し、わたしには転居証明書手続き中を示す受領証をくれただけで、渡した金の領収者はなにももらえません。
エディさんと約束した6月24日にわたしが電話するとエディさんは、証明書はまだできておらず、わたし自身が住民管理局へ行ってエマさんに会ったらどうか、と勧めました。その日14時ごろわたしが住民管理局へ行くとエマさんは25日朝渡せるようにすると約束し、わたしの証明書を優先するよう担当者にメモを作らせるから援助金を、と要請しました。しかし前回と同様、領収書はありません。今回の体験からわたしは、基本的な公共サービスですら公務員の行為があのようなものであるのに、政府はいったいどのようにしてコルプシを撲滅しようとしているのかと疑問が湧きました。
このような証明書発行手続は通常と特別の二つの窓口を作ったらどうでしょうか?わたしがバリッパパンに住んでいたころ、郡役所のKTP(住民証明書)手続はいくつかの選択肢が用意されていました。1日・3日・7日という所要日数ごとに異なる料金が設定されており、公式領収書も出ます。住民は自分の都合に応じて所要日数を選択し、料金の高低は妥当なものとして納得するのです。[ スマラン在住、ブディ・アフィファ ]


「土地売買税を公証人が着服」(2010年4月26日)
国税総局は土地建物売買に関わる税金を国庫に納めず、土地建物購入者には偽造納税証票を渡していた公証人を摘発した。この種の税金着服は、公証人が本当に納税したかどうかを尋ねる土地建物購入者が皆無に近いだけに、悪徳公証人が利用しやすい抜け穴だと国税総局諜報捜査局長代行が語っている。
公証人は公正証書発行が主業務だが、インドネシアでは土地の売買等に関する証書を作成するPPAT(土地証書作成公職者)制度が1998年に整備され、公証人の多くがPPATライセンスを取得している。街中で見かけるNotarisの看板にはほとんどPPATが併記されていることから、公証人にとってこの分野のビジネスは大きなポーションを占めるものであるにちがいない。
土地建物の売買を行なった場合、まずその売買証書をPPATに作成してもらう。その証書にもとづいて国土庁(Badan Pertanahan Nasional)に土地所有者の名義変更を申請し、新しい土地権利証書を発行してもらう。更に土地建物売買に関わる納税があり、販売者購入者ともに納税をしなければならない。販売者は売買金額の5%をPPh Pasal4(第4条所得税)として最終課税される。購入者は土地建物権利取得税が課税され、売買金額あるいは土地建物税課税金額であるNJOP(課税対象物件販売価額)のいずれか高いほうの5%を納税しなければならない。もちろん名義変更手続や納税は本人が自分で行なってよいわけだが、公証人はそれらの手続を代行してくれる。名義変更は新しい土地権利証書がなければすまないからこちらのごまかしは難しいが、納税のほうは金を預かって納税書をごまかせば調査が入らないかぎり悪事のやり放題ということも可能だ。
国税総局が摘発した悪徳公証人はふたりで、ジャボタベッ地区で活躍しているリアルエステート会社の協力公証人として活動してきた。その会社が開発した住宅地はたくさんの物件が販売済みだが、公証人ふたりは取り扱った売買の8割がたを納税しておらず、かれらは多数の偽造納税書を作っている。土地建物の売買は金額が大きいため、今回の事件のように横領着服によって取りこぼしになっていた金額も巨大なものではないかと国税総局は見ており、この分野にメスを入れて徴税金額増をはかることを考えている。
しかし消費者法律援護機関専務理事は、土地建物権利取得税の調査は昔の年一回から今は毎月実施されるように変わっており、その種のごまかしは長続きしないようになっている、と言う。「ましてや今は国土庁からの検証も入るようになっている。それよりもっと大きな取りこぼしは販売者購入者公証人が合意して売買金額を過少申告することだ。これは開発地の新築住宅ではなかなかできないが、中古の土地建物の場合はほとんどみんなが行なっているものと思われる。」正直者は愚か者という原理による脱税を国税総局はどうやって防止するのだろうか?


「公証人を食いものにする国土庁」(2010年4月26日)
2009年8月7日付けコンパス紙への投書"Tarif Gelap di Badan Pertanahn Nasional"から
拝啓、編集部殿。2009年7月13日月曜日、わたしはバンテン州タングラン市国土庁管理課長室で男性の公証人事務所職員がそこの女性課長に怒りと苦情を向けている現場を目にしました。土地売買証書フォームをもらいにきたその男性は、国土庁側があれやこれやと理由をつけて自分の用事をまったく無視するためにもう3時間も無駄に時間を過ごしているのです。
そして12時になりました。するとその休憩時間に管理課職員がひとり管理課長室に入ってきて、その男性と口げんかしている女性課長の味方をしたのです。傲慢な口調でその職員は公証人事務所を侮蔑する言葉を口にし、ボスは正しいのだということを主張しました。公証人事務所で働く人間としてわたしは、非協力的で侮蔑的な国土庁の待遇をいやというほど経験しています。公証人事務所職員は、国土庁が途方もない闇料金を吹っかけてくるのに馴れっこになっているのです。
わたしが勤めている公証人事務所のノータリーはしばしばこう言って状況を嘆きます。「わたしたちは苦労して学問を修め、職業の品位と権威を高く捧持する公証人という職に就いた。ところが公証人になって国土庁と協働するようになると、高い学問を持っていた公証人は愚者になる。わたしたちはプロフェッショナリズムや創造性を圧殺する国土庁の日常業務にしたがわせられてしまう。」
SBY第二次内閣が強力洗剤で徹底的にクリーンにしなければならない一番の役所は国土庁です。本当に汚れきっているのですから。[ タングラン在住、ジャエヌディン ]


「大蔵省内清浄化はどうなる?」(2010年6月3・4日)
スリ・ムリヤニ・インドラワティ蔵相が現職の座から世銀専務理事の座に横滑りしたのはバンクセンチュリー事件にからめた反スリ・ムリヤニ勢力による追放劇と一般に目されているが、どうやらその底にあったのは腐敗行政に対する改革を一番熱心に行なっていたかの女の行動を封じ込めようとする腐敗勢力の反撃だったようだ。
省内清浄化の矛先は腐敗した金を集める原動力となっていた省内三部門にまず向けられた。国家会計サービス事務所・税関総局・国税総局がその三部門だ。税関と国税は国民と国庫から金を集め、国家会計サービス事務所は国家予算の収入支出を管理する部門であるにもかかわらず国庫から金を集めた。その手口は、政府機関が予算を使うさいに金を出さず、一部を上納させてからはじめて既に承認されている予算を国庫から支出するという形で行なわれていた。汚職撲滅コミッションが2008年6〜9月に中央と地方の313行政機関を対象に行ったサーベイでその状況が浮き彫りにされている。
そのようにして集められた腐敗金は行政・立法・司法のあちらこちらに流されて巨大な腐敗構造を長年にわたって築き上げてきた。だからそれが一大統領、ましてや一大臣の懸命な働きですぐにどうこうなるというものではありえない。長年にわたって築き上げられ今もって増殖を活発に進めているそのマス腐敗構造を改革するのに20年では終わらないかも知れない、とスリ・ムリヤニ蔵相は語っている。
スリ・ムリヤニ蔵相が就任して間もなく省内清浄化を宣言したとき、省内の反発も小さいものではなかった。三大腐敗部門のひとつである税関の総局長を拝命したアンワル・スプリヤディは就任当初、総局内に強い反抗姿勢が公に出現したと当時を回想する。その対応としてこのノンキャリア総局長は蔵相と諮って2008年5月30日、汚職撲滅コミッションを巻き込んだ抜打ち視察をタンジュンプリウッ港税関メインサービス事務所で行ない、通関書類検査部門で多数の検査官の業務机から総額5億ルピアにのぼる収賄金を摘発した。この視察には大臣も加わっている。4人の書類検査官が収賄現行犯で逮捕され、かれらに刑事裁判で有罪判決が下された。
スリ・ムリヤニ蔵相は国税総局にもノンキャリアのダルミン・ナスティオン総局長を起用して総局内の清浄化と収税引上げを推進させた。ダルミン国税総局長は2008年に、政府が取りきれていない税金額は取れるべき税収総額860兆ルピアの35%に当たる300兆もある、と報告している。その300兆ルピアは本来国庫に入ってくる筋のものだが、国庫に入らずに賄賂や公務員による不法徴収金となって消えているということだ。マクロ的に見るなら、GDPの20%が国庫への税収となって当然と考えられるにもかかわらず現実には14%でとどまっており、取れるべき金額と実態の間に6%というタックスギャップが存在していると言うことができる。その300兆ルピアは一部が納税義務を負っている本人の手に戻っているにせよ、大部分は国政に関与している人々の間にアングラマネーとして流されている。
国税総局の業務遂行が百パーセント自己完結で終わるわけがない。同等の様々な国家機関から立法界司法界に巣食うマフィアやゴロツキ役人に至るまで国税職員の業務遂行に手を貸し、そして謝礼を要求する者たちがゴマンといる。クリーンな国事遂行のために角突合せていがみ合うよりも、周囲の組織・個人の関係者と協力し合い和気藹々と職務を果たすことを人間のより優れた行動と位置付け、さらに仲間のだれかの手に金が入ったらそれを分け合うのが美徳であると考える文化の中で、人間がどんなビヘイビヤを取るかは想像に余りある。総局の幹部職員はヒラ職員に上納金を割当て、ヒラ職員が国民から簿外の金を入手する根拠を与える。幹部職員はその上納金を総局外の組織や個人の関係者・協力者に配ってまわる。その行動をかれらは、自分が属す組織の業績を確実なものにさせ、職員の活動を円滑にさせるための必要経費だ、と考えているのだ。
国税総局職員が簿外で入手する金を干し上げることが総局内清浄化の大きな柱だと考えるスリ・ムリヤニ蔵相は省内清浄化に着手したあとで国税や税関を取り巻くアングラマネーの受け皿にいる者たちに対し、「国税も税関も、もはやあなたたちのATMではない。」と宣言したことがある。するとこんな反応が返ってきた。「わあ、今後は全部ひとり占めか!」
大蔵省だけが清浄化を独行しても、からみあう他の行政機関が旧態然たるメンタリティとビヘイビヤで終始するなら国政の清浄化はおぼつかない。大蔵省内の清浄化推進パワーだった大臣が現職の座を離れたら行政改革プロジェクトのもっとも本質的な部分はいったいどうなるのだろうか?
スリ・ムリヤニが行政分野の現職でなくなりインドネシアからもいなくなったあと、腐敗勢力の盛り返しははたして従来以上の激しさでこの国の腐敗度を上昇させるのだろうか?


「また動き出した盗伐マフィア」(2010年6月23日)
不法伐採マフィアが活動を再開した。2005年に政府が総力をあげて抑え込んだ国際的盗伐組織がまたインドネシアから木材を盗み出そうとしている。そのターゲットになっているのは国際市場で高価な貴重材で、政府が輸出禁止もしくは数量規制をかけているものばかり。
5月半ばに西パプア州の沖合い海上で拿捕された外国船には、1万6千本(3万2千立米)のメルバウが積込まれていた。メルバウはいまや国際市場で1千ドルの高値が付いているとのこと。国内市場では加工前の丸太で立米あたり300〜400万ルピア、加工されたものは800〜1,000万ルピアに達する。
メルバウを集荷していた外国船はパプアの沖合いに停泊し、切り出された丸太をインドネシア側の不法伐採者がソロン港やビントゥ二港から国内の他港に運び出すふりをして小型船に積んで送り届けていた。パプアの港から積み出されるさいにそのメルバウは2005年以前に伐採されたものという証明書が添付されていたが、当局者はその書類を偽造だと見ている。
また東カリマンタン州タラカンでもメランティとクルイン3万本6万立米がやはり沖合いに停泊していた外国船に積込まれており、こちらは民衆が小規模に行なっている木材であることを証明する由来証明書が添付されていたが、民衆の手の届くところにメランティはもうないことが明らかになっているため、その証明書も偽造あるいは虚偽のものだろうと当局者は見ている。
そのように離れた別の場所で類似の盗伐材密輸出の手口が使われていることから森林省では国際マフィアのインドネシアをターゲットにした暗躍がふたたび活発化しはじめたとして警戒を強めることにしている。2005年の大作戦でも国際マフィアに通じている国内木材業者の名前は公然の秘密になっているが、正業と悪事を取り混ぜて行なっているかれらに対する法的措置はまだ十分に行なわれていない。加えて中央政府と地方政府の利害の対立といった旧来からの不健全な構図が現場での法執行を難しいものにしている。


「現場の役人はみんな搾取者」(2010年7月16日)
2010年5月4日付けコンパス紙への投書"Tarif Tak Resmi Perpanjang Izin Pakai Tanah Makam"から
拝啓、編集部殿。2010年3月1日にわたしは兄弟の墓地用地使用の延長手続を行いにジャカルタのカレッビヴァッ(Karet Bivak)公共墓地へ出向きました。制服を着た職員がわたしに話しかけてきました。3年間の延長手続費用は15万ルピアだと言います。それはどの職員に頼んでも同じなのだそうです。
しかし掲示されている公共料金は一番高額のAA.1グレード用地使用の場合で10万ルピアとなっています。三年前にわたしが支払ったのは8万ルピアだったと記憶しています。その職員は申請用紙代1万ルピア、タイプ費用2万ルピアの追加料金がかかるからだと説明しました。
わたしが手続に必要な書類をその職員に渡すと、職員はわたしにしばらく待つよう言いました。ほどなく呼ばれて延長許可書ができたと言われましたが、内容をチェックしたら、申請者の欄にわたしでなく別人の名前がタイプされているではありませんか。わたしが苦情するとその職員はいともあっさりと、「なんでさっきそう言わなかったのか?次の延長のときに変更するよ。」と言いました。申請用紙に記入したのはわたしでなくその職員だったというのに。
わたしはむしゃくしゃしてすぐにその場をあとにしました。[ タングラン在住、バフティアル・ジャムルッ ]
2010年5月12日付けコンパス紙に掲載された中央ジャカルタ市行政都市墓地課長からの回答
拝啓、編集部殿。バフティアル・ジャムルッさんからの2010年5月4日付けコンパス紙に掲載された投書に関して、延長記録簿を調べたところ2010年3月1日の延長申請者の中にバフティアルさんの名前は見当たりませんでした。三年延長の第一回目は料金が半額になります。
今後そのような問題が発生した場合は、公共墓地事務所に掲示されている職員の写真に添えられている名前と公務員基本番号を必ず届け出てください。[ 中央ジャカルタ市行政都市墓地課長、ハエル・ダロジャッ ]


「盾突く輩はぶった切るお役人」(2010年8月3日)
2010年5月21日付けコンパス紙への投書"Petugas Dinas Kependudukan Jemput Santri Penulis Surat"から
拝啓、編集部殿。2010年4月19日、東ジャワの一新聞読者投書欄にKTP作成手続における不法徴収金疑惑に関する投稿をしたのが原因で、いまプサントレンに入っているわたしの友人は東ジャワ州スムヌップ県市民登録住民管理局職員ふたりに連行され、局長に対面させられました。
市民登録住民管理局事務所で局長と職員に1時間半の尋問を受けた友人は投書の内容を訂正するように要求されました。それどころか友人によれば、訂正しないなら一生KTP手続サービスは受けられない、と局長が脅かしたそうです。
友人は村役場でKTP手続を行なったところ、1〜2日でできるよう10万ルピアを払えと村役のひとりに言われ、友人はそれを拒否しました。そのことを友人は東ジャワの新聞に投書したのです。
自分のその体験とは無関係に、かれはスムヌップ県のKTP作成に不法徴収金疑惑があることを口に出していました。それは言わば公然の秘密になっています。早くできるように、何倍もの金を払わなければならない。そうしなければKTPができあがるのは6ヶ月〜1年先になってしまうのです。
国民のひとりとしてわたしは、投書した友人を連行して脅かした市民登録住民管理局の行為を受け入れることができません。投書内容に同意できないのであれば、その投書に対する反論を掲げるのがあるべき姿であり、お尋ね者よろしく役所に連行して尋問し、威嚇を与えるようなことが行なわれてはならないのです。インドネシアの行政とはこのようなものなのですか?[ スムヌップ在住、アリブディン ]


「コルプシやってりゃ、人生はサイコー」(2010年10月15日)
2010年9月30日付けコンパス紙への投書"Korupsi, Perangkap, dan Tikus"から
拝啓、編集部殿。コルプシはこの地に深く根を張り、文化と化しています。VOC(オランダ東インド会社)時代からそうであり、VOCが崩壊したのもコルプシが原因でした。これまでのところ、コルプシを撲滅するのはたいへん困難です。服役中のコルプシ犯罪者が恩赦や特赦を得たニュースを読んで、わたしは中学校時代の先生の言葉を思い出しました。
ワヤンという名前のわたしの先生はこう言いました。「いちばんオイシイのはコルプシだ。何十億ルピアも汚職したところで、入獄はせいぜい2年半。先生は何十年も奉職しているが、そんな大金に触ったこともない。」
インドネシアのコルプシは雨季のカビのようなもので、時間と共にどんどんはびこって行くばかり。コルプシを専門に対処する機関があるにもかかわらず。KPKがあり、ICWが監視を行い、反汚職法すら既にあるというのに・・・。
どうやら、それらのネコや罠もネズミたちを恐がらせるのに不十分みたいですね。その結果ネズミたちは国民の金を蝕み通し。コルプシ犯罪者に与えられる刑罰も軽いものです。もちろん、かれらには入獄と罰金の刑罰が与えられますが、比較的軽い刑罰なので、コルプシ犯罪者が懲りる気配など少しもありません。中国のやり方をわれわれも見習えば、コルプシを行なう度胸のある者は大幅に減るでしょう。中国でコルプシは死刑を意味しています。わが国でコルプシ犯罪者に与えられる刑罰と比較してみるとよいでしょう。人道主義を口実に、コルプシ犯罪者に死刑を与えることは否定されています。コルプシ行為が人道主義から外れていることを、われわれはみんな忘れているのです。[ ジャカルタ在住、リザル ]


「5億ルピアはどこへ行く?」(2010年10月25日)
2010年9月22日付けコンパス紙への投書"Biaya Pengambilan SPPT PBB"から
拝啓、編集部殿。ボゴール県グヌンプトリ郡のコタウィサタ住民は、土地建物税税額通知書をグヌンプトリ郡チアンサナ村の町役場で受取るさいに5万ルピアの支払を強いられています。コタウィサタにはおよそ1万戸の家庭があり、そこで徴収されている金額は年間に5億ルピアに達すると思われます。
わたしが苦情すると町役場職員は、この徴収金は2004年から実施されているものだと言い、領収書を発行しました。
この関連で、関係当局はその徴収金を確実に処理するよう要請します。住民は自ら意識を持って納税しているのであり、にもかかわらず一部の人間がいまだに出納費用だの課金だのと口実を設けて余分に金を取ろうとしているのが実情です。この5万ルピアは土地建物税税額通知書に公式に記載された徴税額とは関係のないものです。[ ボゴール県在住、ワンディ ]


「腐敗公務員を取り締まれ!」(2010年12月3日)
2010年10月5日付けコンパス紙への投書"Rukan Dibangun, Halte Kendaraan Umum Dibongkar"から
拝啓、編集部殿。西ジャカルタ市クンバガン郡メルヤウタラ町のカルフルエクスプレス前にあるメルヤイリルラヤ通りのバス停取り壊しに関わっている西ジャカルタ市悪徳職員を西ジャカルタ市長は厳罰に処さなければなりません。
西ジャカルタ市が2年前にクンバガン郡メルヤウタラ町メルヤイリルラヤ通り1番地の住居前の歩道に設けた停留所はたいへん住民の役に立っており、特に周辺地区に住む学校生徒たちが乗り合いバスを待つのにとても大きい便宜をもたらしています。
ところがその住居を持主が売却し、住居が取り壊されて住居店舗が建てられつつあり、その家の前にある停留所も取り壊されてしまいました。停留所が取り壊された理由は明らかにされておらず、地元役所の不良職員がそれに関与している可能性は大きいのです。
4階建て非居住用建物建築許可書は西ジャカルタ市の役所が既に発行しており、現場仮倉庫に張られた黄地に黒色で書かれた表示板がそれを物語っています。ところがそこに書かれていなければならない施主の名前は地色の黄色で故意に隠されているのです。[ 西ジャカルタ市在住、エコ・アブドゥラフマン ]


「市民に困難を与えるのが役人のつとめ」(2010年12月6日)
2010年10月28日付けコンパス紙への投書"Narapidana Dirugikan oleh Administrasi Hukum"から
拝啓、編集部殿。刑期を終えたというのに解放されず、出獄の遅れている囚人がたくさんいます。それはかれらの刑期を一週間どころか何ヶ月も長引かせる結果をもたらしているのです。
わたしは最近、ジャカルタ麻薬刑務所に服役中の兄弟の援助を行ないました。かれとふたりの仲間は麻薬を使ったために入獄を余儀なくされたのです。かれらは1年4ヶ月の入獄判決を受けましたが、かれらのひとり、ASは仮出獄の恩典を得ています。
ところがおかしなことにその刑務所のレジスター担当官は、判決文がまだ下ろされず、刑務所に送られてきていない、と言いましたので、わたしは西ジャカルタの裁判所と検察庁を訪れて判決文について尋ねました。検察庁の担当職員が調べたところ、その三人に対する判決文はもう送付済みである、言い換えるとジャカルタ麻薬刑務所職員がピックアップしている、とのことでした。わたし自身、判決文は送付済みであるという記載を読みました。西ジャカルタ地方検察庁担当職員は、三人のうちひとりが仮出獄をしていながら判決文が届いていないということはありえない、と言いました。
当局に対してお願いします。司法に関する管理手続を正しく整備して、小市民が損をすることのないようにしてください。[ 西ジャカルタ市在住、フスナ ]


「服役囚との面会条件はタバコ」(2010年12月7日)
2010年10月7日付けコンパス紙への投書"Besuk di LP Klaten"から
拝啓、編集部殿。タバコを持たないで中部ジャワ州クラテンの社会更生院(旧名刑務所)服役者に面会しようなどと思ってはいけません。
去る8月21日、兄弟に面会のためそこを訪れたわたしはとても不快な体験をしました。
面会時間は午前11時からと表示されているにも関わらず、表門が開くまで2時間ほど待たされました。待っている間わたしは他の面会者たちと話をしましたが、かれらは一様に、面会のたびに更生院職員にタバコを進呈しなければならない、と不満を述べていました。
表門が開いたとき、その話が本当であることが実証されました。職員は面会者をチェックして、タバコを持って来ている者を先に中へ入れたのです。職員はその面会者たちともう顔なじみになっているようでした。
わたしが面会室に入る番が来て、兄弟と話しているとき、身分の不明な男がやってきて「面会の条件になっているタバコを持って来ていますか?」と尋ねました。わたしが「持っていない」と答えるとその男はすぐに、「じゃあ、面会はそこまでにしてください。」と言うのです。わたしが抗議しても、そういう規則になっているのだ、と返事するだけで、わたしが強く苦情するとその男は、「制服を着ている職員に命じられてやっているのだ」と答えました。わたしが制服を着ている職員にそのことを抗議すると、その職員はわたしの抗議が聞こえない顔をしてどこかへ行ってしまいました。[ ジョクジャ在住、アグス ]