インドネシア市場情報2006〜07年


「Clearシャンプーに2千7百億の広告宣伝費」(2006年1月4日)
2005年の広告宣伝市場は23兆ルピアに達し、2004年から5%成長した、とニールセンメディアリサーチが報告した。最大シェアを握る媒体は例年のごとくテレビで、全体の70%を占めている。数あるテレビ媒体の中では、RCTIが広告収入高でナンバー1となった。新聞は26%、雑誌は5%といったシェア配分。製品広告ではトイレタリーと化粧品が成長凄まじく、2004年から33%の増加を示している。中でも激しい宣伝ドライブがかかったのはヘアーケア商品で、Clear Anti Ketombe には総額2千7百億ルピアが投入された。このカテゴリーではほかにDove やSunsilk Nutrient が目立っている。別カテゴリーでもExtra Joss が昨年の二倍もの広告費用を注ぎ込んで華々しい宣伝を展開した。昨年実績に対して伸び率の著しいカテゴリーは、タバコ、ヘアーケア商品、通信機器、オートバイ、メディアとプロダクションハウス、銀行金融界、健康飲料、石鹸、企業広告・公共サービス広告、洗顔用商品がトップ10をなしている。


「奇妙な体験」(2006年1月11日)
「世の中にはいろいろと変わった、あるいは不思議な体験をお持ちの方がいらっしゃいます。」という台詞はもう昔語りでも、不思議な体験は時空を超えて発生します。南ジャカルタ市プジャテンに住むマヤさんに、その奇妙な体験を物語ってもらいましょう。
「わたしは南ジャカルタのパサルミングにあるアルファスーパーマーケットでチョックスというブランド名の袋入りチョコキャンディを買いました。製造者はPT PVMインドネシアで、正味重量150グラム、賞味期限28−02−07と記されています。チョコキャンディは一個ずつ包装されてわたしが買った袋の中に入っています。それを一個ずつ取り出しては賞味して楽しんでいたわたしは、あるときわたしの指が取り出した個装袋の感触がほかのと違っているのに気付き、不審を覚えました。中身がほかのキャンディのように固くないのです。
取り出した個装袋は他のものと同様、しっかりと封がなされており、製造工程の中でちゃんと機械を通ってきたことは明らかです。でもその中身をじっくりと観察したところ、なにやらきたならしいもののように見えました。それで、周りの人たちを呼んでその個装袋を開けたところ、なんと中から出てきたのは、どろどろに汚れて悪臭を放つ、パサルや市バスの中で流通しているような1千ルピア札が一枚でした。どうしてこんなことが起こり得るのでしょう?
PT PVM社の作業員の中に、自分は陰に隠れたまま他人を困らせて楽しむ不良従業員がいるのは間違いありませんが、そんな人間はわたしたちの周りにいくらでもいます。工場の製造工程の中でどこで汚れた1千ルピア紙幣がキャンディの中に混入されたのかわかりませんが、そのあとの包装や袋詰め作業、そして品質保証といったいくつもの工程をこうも簡単に潜り抜けてくることが可能なのはどういうことなのでしょうか?ましてや商品はチョコキャンディであり、小さい子供たちが喜んで食べる商品であり、食品衛生面での品質保全はいくら行ってもやりすぎることはないくらい重要なことなのに、この会社の経営者がそれを知らないはずはないと思います。それとも子供がきたならしい1千ルピア札を大当たり景品と思って喜ぶとでも考えているのでしょうか。この会社には、今後衛生を含めた品質保証をさらに向上させてもらいたいと思います。」
なかなか厳しいご意見でしたが、マヤさん、どうもありがとうございました。ところでその1千ルピア紙幣はどうされましたか?
「ええ、どっかで使っちゃいましたわ。」
・・・・!


「デポッにハードディスカウント店がオープン」(2006年1月13日)
PTヘロースーパーマーケットがデポッに大型ディスカウントショップをオープンする。ヘロースーパー、ジャイアント、薬局ガーディアン、コンビニエンスストアのスターマートを全国に260店設置し、1万8百人を雇用している同社がデポッに開店を予定している店は、Mitra Toko Diskon。床面積1千5百平米の大型店舗の中は、国内にこれまでなかった新コンセプトによるパレット方式商品陳列と簡素なレイアウトで、店内の飾りつけはほとんどない。徹底的なオペレーション経費カットで商品価格を抑えに抑え、大きいディスカウントを実現するというコンセプトの実施を目指している同店で扱われる1千アイテム以上の商品は、生鮮アイテムはなく、国産日用品がメインになる。販売ターゲットは中流から下の階層で、市場で物価が高騰しているさなかに、この廉価店を代替マーケットとしてオファーし、低所得層市場に斬り込むかまえ。


「米を主食にする家庭は全国の83%」(2006年1月18日)
全国の国民世帯のうち82.7%が米を主食にしていることをインドネシア貧困調査プログラムが公表した。この調査で報告されたのは、米を主食にしている家庭は都市部の非貧困家庭で95.5%貧困家庭で85.8%で全体は94.5%、一方農村部では非貧困家庭で72.3%貧困家庭でも72.1%で全体は72.3%、全国合算では非貧困家庭の82.7%貧困家庭の76.5%全体で82.7%が米を食糧のメインとして消費しているという内容。一方米作農民を見てみると、都市部で27.7%農村部で26.6%全体で26.8%という数字になっており、皮肉なことに米作農民が米を主食にできていないという矛盾が浮き彫りにされている。


「ディスカウントショップの将来性は高い」(2006年1月30日)
大規模小売業界は今後一層ディスカウントショップビジネスへの傾倒を深めるだろう、とACニールセンがコメントした。既にそれを行っている業者はPT Matahari Putra Prima のカットプライス・ディスカウントショップとへローグループのミトラ・トコディスコンのふたつ。
購買力が低下したインドネシアの消費市場にとってディスカウントショップは高い将来性を持っている、とACニールセンは説明する。その店の価格は安い、ということを消費者に印象付けることができれば半ば成功したも同じであり、そのためにはオペレーションコストを可能なかぎり切り詰める必要があり、冷房も節約し、店内インテリアも簡素に努め、商品陳列も限られた棚を最大限に利用するために、店内は一見倉庫のように見える。店内に置かれる商品は回転の速い日常必需品がメインで、各品目について人気の高い5ブランド程度が置かれ、店内陳列スペースは常に商品で満たされている状態に保たなければならない。そのコストダウンを販売価格に反映させ、ハイパーマーケットより安い値付けができれば、発展間違いなしである、とACニールセンはコメントしている。


「ロンボッのダイヤ」(2006年2月1日)
グラバ(gerabah)。粘土を焼いて作られた台所用具を指す言葉。かめ、なべ、釜、鉢、椀、土瓶、皿・・・。素朴な味わいに加えて実用性も備えている。グラバの本場はロンボッ。人はそれをロンボッのダイヤモンドと呼ぶ。もちろん実用品ばかりではない。人型や動物の形をした置物も数多く作られている。屋根の上に置いて落雷除けのまじないに使われるものもある。重厚感に満ちた茶色や黒色の什器は、人間の暮らしに安らぎをもたらしてくれる。
ロンボッのグラバは伝統工芸品。どうしてグラバ製作の伝統がロンボッに出来上がったのだろうか。ロンボッ先住民ササッ族が伝えてきた民話の中にその秘密が語られている。ササッ族の間では、いまだにリンジャニ女神信仰が受け継がれている。あるとき女神は、米をどのようにして炊こうかと思案している夫婦に、一羽の鳥をつかわした。その鳥、マヌッブレは、女神の教えを人間に伝えた。山で取れる粘土を使って釜を作るのだ。こうして、釜、水差し、かめ、皿、コップなどが作られるようになった。最初それらの什器は、自分の需要を満たすためにだけ作られていたが、そのうち専門化が起こり、その村で得意なものがたくさん作られるようになると、自分の村で不得意なものを作る別の村にそれを持っていってバーターが行われるようになった。しかしそのうちに結婚でやってきた他所の村の女が自分の得意なものを作るようになって、村の中で自給が進んでいった、というグラバ作りの歴史も聞かされる。ロンボッには、グラバの材料である黒色や赤色の粘土がたっぷり取れる。白い粘土もたくさんある。
ロンボッのグラバは1990年代に黄金時代を迎えた。当時、グラバから得た金でハジ巡礼にのぼったロンボッの人々は多い。粘土をこねて砂を混ぜる。ろくろも使わないで形を作り、石で叩きながら什器の厚みをおよそ2ミリの均一なものにしていく。村の老女たちがそんな伝統的な製法で作る什器は、寸分たがわないサイズで出来上がる。グラバを作るのは女の仕事なのだ。小さいころから祖母や母親を手伝いながら、女たちはグラバ作りの技術を身につけていく。男たちは決してグラバ作りに関わろうとしない。女たちが作ったグラバを売りに行くだけ。「男はグラバを作ったりしないよ。オカマだと思われちゃうもの。」女たちはそう言って笑う。
伝統的な製法だと、15センチ程度の水差しが一週間に40個くらいできる。大きいかめだと数個だ。水差しはひとつ1,500ルピア、大きいかめでも一個1万ルピア。インドネシアではほとんどあらゆるものがそうだが、市場での販売価格に比べて生産者の手に入る金額は可哀想になるほど小さい。流通段階で大半の利益が吸い上げられていく。そうであっても、ロンボッのグラバは世界市場に輸出されている。2004年は539トンが30カ国に輸出された。外貨収入は93.5万ドル。バリのアートショップにも送り出されているが、大型トラック一台をバリに送れば、石油燃料値上げ後のいま運送料は2百万ルピアもかかる。国内で売れば利益は縮小する一方だが、輸出の方が大きい利益が取れる。ロンボッのダイヤはアメリカへ、日本へ、ヨーロッパへ、送り出されている。


「ディスカウントショップ新規参入」(2006年2月1日)
Super Indoの店名でスーパーマーケットチェーンを運営しているPT Lion Super Indo が、ディスカウントショップ業界に乗り出すことを明らかにした。1月27日にブカシのスペリンドボロブドゥルを改装してオープンしたディスカウントショップがその第一号店。Super Indo Pasar Murahと命名されたこの店では4千アイテムの商品が取り扱われ、日用品をメインに魚・肉・野菜などの生鮮食材も販売されている。ディスカウントショップのコンセプトに洩れず、この店も簡素なインテリア、電力使用制限、経済的陳列方式など極力コストを切り詰めた営業方式を打ち出している。
同社は1997年にサリムグループとベルギーのデルヘイズの合弁で設立された会社で、現在国内8都市に46店のスーパーマーケットを運営している。同社のディスカウント業界進出は、本筋のスーパーマーケットビジネスを維持しながら多様化を進めていくという主旨であり、年内にディスカウント店5店を開店する計画を立てている。


「エイボン化粧品が撤退」(2006年2月7日)
エイボンプロダクツが昨年11月に公表したグローバルリストラクチャリングの一環として、インドネシアにおける同社の事業を百%閉めてしまうことをPTエイボンインドネシアが公式に告知した。これは同社が行った臨時株主総会での結論に基づいて公表されたもので、同社はここ数年間赤字が継続していたことならびに将来における事業好転のきっかけが見つからないことなどからその結論に達したもの。同社は南ジャカルタ市チランダッに工場を持ち、同社の製品を全国展開してきたが、同社経営陣はその分析結果について、インドネシアにおける事業好転のためにはかなり巨額の投資が必要であり、本社の事業戦略にはその余裕が無いこと、すでに累積で数百万ドルの赤字を生んでいる現状を継続する必然性がないことなどの状況を考慮してインドネシアからの撤退を決めた、と語っている。インドネシアからの撤退は、エイボン社が他の市場で行っている事業にまったく影響を及ぼす要素がないため、比較的スムースに撤退の結論が出せたとも説明されている。
エイボン社がインドネシアでの事業をストップしてしまった後は、エイボン製品はインドネシアで何一つ販売されなくなる。市場でこれまでエイボン製品を扱っていたディ−ラーや代理店は、輸入をして販売を継続することもなくなる。PTエイボンインドネシア社は30日以内に事業活動を完全ストップするため、工場の6百人前後の職員も解雇されることになる。同社経営陣は、決して労働争議などが起こることなく工場を閉鎖し、円満に撤退したい、と語っている。


「日用必需品販売が低下」(2006年2月13日)
日用生活消費アイテム販売が激減した、とACニールセンが報告した。2005年の販売は1〜10月の実績が対前年比19.5%という増加を示したというのに、11月〜12月の販売は前年から12%しか伸びておらず、例年だとルバラン〜クリスマス〜新年と続く販売シーズンのために他の時期よりも売上が伸びるパターンが出現していたにもかかわらず、2005年はかえって売上の伸びが小さくなってしまい、年間成長率は17%となった。この販売の低下は石油燃料大幅値上げとそれによって引き起こされた大量解雇の波が消費者の購買力を大きく殺いでしまったことを実証している。2006年の見込みについてACニールセンのビジネス開発小売担当理事は、電力基本料金値上げが実施されなければ12〜15%の成長となるだろうが、値上げが起これば小売業界はひっくり返ってしまうだろう、と語っている。
2005年の小売販売で食品は19.4%の成長を示し、非食品は15.4%しか増加しなかった。食品の成長は今年も同じ程度の伸びが見込まれ、あるいは更に高まる可能性もある、と同理事は述べている。その理由について、消費者が外食の支出を減らす可能性があげられている。つづいて非食品カテゴリーで成長が期待されるものはトイレタリー製品17%、家庭用品15%、医薬品10%といったところ。


「ミニマーケット業界が盛況」(2006年2月15日)
2005年のコンシューマーグッズ市場は57.2兆ルピアに達し、2004年の48.6兆ルピアから大きく上昇した。2004年も2003年の40.1兆から同じくらい増加している。この市場にはいくつかの業態があるが、その中でたいへん顕著な増加を示したのがミニマーケット業界だ、とACニールセンインドネシアが報告した。ミニマーケットの売上は2004年の3.9兆ルピアから昨年は5.8兆ルピアとなり、売上金額が5割増となったほか、市場総売上の中でのシェアも8%から10%に上昇した。全国のミニマーケット店舗総数は2004年の5,604店から昨年は6,191店へと増加しており、その売上増を支えている。ミニマーケットの大活躍は、在来型の商店やワルンのシェアを奪っている趣が強く、在来店舗の売上は38.7兆ルピアで2004年から12.5%しか伸びていない。
そんな状況に在来商店は強く反発しており、パサルの向かいに開店したり、住宅地の中に何軒も開店したりしている現状を政府は放置することなく、ミニマーケットの開店場所にゾーン制を設けて規制せよ、と全国パサル商人協会会長は主張している。首都ジャカルタでは、2002年都条例第2号によれば、売り場面積2百平米までの民間パサル事業は、地元パサルから半径500メートルの距離を置き、地元の生活道路に面していることとなっている。


「プリンター販売は多機能タイプにシフト」(2006年2月27日)
2005年のプリンター販売は、インクジェット方式多機能プリンターが大幅な増加を示したことを、インターナショナルデータコーポレーションが報告した。その報告によれば、インクジェット方式多機能プリンター販売台数は、2003年が22,300台、2004年が58,400台そして2005年は一気に10万1千台に増加したとなっている。一方、単一機能インクジェット方式プリンターの2005年販売台数は、前年から12%しか伸びていない。
ここ二年間で、インクジェット方式プリンターの人気は急増しており、しかも多機能タイプの価格が低下したことも手伝って、単価100〜299ドルのローエンド機種で、各ベンダーは激しい販売競争を展開している。2003年に市場にマルチ機能タイプが紹介されはじめたとき、モノ機能タイプとの価格差は5倍以上もあった。ところがいまや価格差は2倍程度にまで縮まっており、プリント、スキャン、ファックス、フォトコピーなどの諸機能がひとつに納められたオールインワンプリンターが百ドル前後で手に入るようになっている。インクジェット方式を見るなら、従来は単一機能プリンターが主力を占めて市場の80%シェアを有していたが、ローエンドの価格低下、オフィススペースの有効活用、対価格効率の良さ、などから、消費者の選択はマルチ機能タイプに移りつつある。この分野で市場をリードしているのはヒューレットパッカードで、市場シェアの50%を握り、他の競合二社を引き離している。


「CD買うならインドネシアで」(2006年2月28日)
音楽CDの価格が下がっている。海賊版ではなくて合法盤なのに、一枚7〜9万ルピアだった洋盤CDが5万ルピア程度に下がっている。ユニバーサルミュージックインドネシアの話では、アーチストロイヤルティ、製造、販売、流通などの諸経費を切り詰めることで小売価格を抑えたそうだ。アーチストロイヤルティの引き下げディ−ルは、アーチストにとっても背水の陣だったかもしれない。パッケージもクオリティを下げ、大いに簡素化することで廉価版を実現させた。EMIミュージックインドネシアも同じ道を歩んでいる。それでも音楽自体の品質は下げていない、と出版社は強調する。一枚1万ルピアしない海賊版との価格差を縮めること、最近優勢一途のオンラインショップでのダウンロードものとの競合といった音楽CD業界への逆風が、この価格カットをもたらしたようだ。音楽CD製造業界はこれを契機として、これまでヒット曲を集めたコンピレーションものに傾いていた市場の嗜好を、アルバムに戻そうと計画している。一枚しか買えないから中味は氏素性の知れ渡ったヒット曲を、という消費者の心理が、二枚買えるんだから有名でない他の曲も聴いてみたいという心理に移行するかどうかは、今後を待つばかりのようだ。


「化粧品業界も厳しい時代に直面」(2006年3月9日)
インドネシアの化粧品市場はボディケア製品が15〜20兆ルピア、メイク製品が5〜7兆ルピアで、購買層は15歳から30歳とされている。ところがご多聞に洩れず、石油燃料大幅値上げによる購買力低下がここにも影を落としており、2006年1〜2月の売れ行きは、2005年同月実績から20%も減少してしまった。購買力低下はミドルクラスがもっとも甚大な影響を蒙っていて、支出を衣食住や子供の教育に優先させる結果、自分用に使える金額が大幅に減ってしまっている。ミドルクラスとは月収150万ルピアのレベルを指しており、その階層向け化粧品はほとんどのメーカーが単価2万ルピアを上限に価格を設定している。モイスチャライザー、洗顔剤、香水などのボデイケア製品は単価4〜5千ルピアだが、メイク製品になると口紅が1万から1万7千ルピア、白粉は2万から2万5千ルピアといった値付け。そこに来て、化粧品の世界でも中国産輸入ものが大攻勢をかけてきており、魅力的なパッケージの口紅がわずか5千ルピアで売られている。この状況を乗り切るために、PTムスティカラトゥをはじめ地元化粧品メーカーは、徹底的な合理化を推し進めなければならない、と決意をあらたにしている。


「コンパス紙への投書から」(2006年3月15日)
拝啓、編集部殿。2月第一週、いくつかの新聞に携帯電話オペレータEsiaの見開き大広告が掲載されました。その中に、ネクシアンのハンドセットがイニシャルカードバウチャー込み30万ルピアという価格でオファーされていたのです。発売初日、案の定数百人が店の前に長蛇の列を作りました。かく言うわたしもその中のひとりです。ところがバンドンのエシアセンター店に用意された商品はたったの20セット。二日目も三日目も、購入希望者が押しかけているというのに、店員はストック切れと言うだけです。ところが市内各所のアウトレットディ−ラーでは、その商品の在庫が潤沢に供給されていました。話では、発売の一週間前にはディ−ラーに商品が入荷し、そこでは37万5千ルピアから42万5千ルピアという価格で売られていました。エシアの広告にいったいどれだけの人が騙されたことでしょう。
エシアほどの大会社が、市場の小商人のようなトリックを使うのですか?それともエシアも、ハンドセットビジネスマフィアと組んだためにかれらの犠牲になった、とでも言うのでしょうか?それともエシアに騙された消費者が愚かだったということでしょうか?三日間、消費者は何の成果もなしに右往左往しただけなのですから。この次エシアは、消費者の鼻面を引き回すどんなトリックを見せてくれるのでしょうか?[ バンドン在住、アルダナ・ウィボウォ ]


「顧客満足はどこに?〜コンパス紙への投書から」(2006年3月28日)
拝啓、編集部殿。2006年2月14日、わたしは三人の友人とタングランのBSDにあるカルフルで買い物しました。サニア印の食用油リフィル2リッター入りをふたりが6袋取りました。そのとき丁度プロモーション中で、ひとり3袋までと制限されていたのです。そのときわたしたちは効率のためにトローリーを一台だけ使っていました。
レジで支払う段になって、付近を監視していたスーパーバイザーがその食用油はひとり3袋までしか買えないのだ、と言いました。そのときわたしたち四人いっしょにその場にいたのです。わたしはその条件を破っていないというのに、そのスーパーバイザーは6袋も買ってはいけない、と命令口調で言い張ります。それどころかそのスーパーバイザーは、わたしがそれを再販するために買い漁っているなどと非難するのです。結局わたしと友人たちは、トローリーに入れた商品を何一つ買わないでカルフルを後にしました。このとても不愉快な事件に対するカルフル経営者の注意を促したいと思います。[ タングラン在住、チュン・フッ ]


「国内家電品販売は低迷」(2006年3月30日)
エレクトロニクスマーケタークラブ(EMC)が公表した今年2月の全国家電品販売状況は、アイテムによって12〜18%の対前年同期比ダウン。TV532,806台、冷蔵庫223,023台、エアコン85,662台、洗濯機106,964台というのが今年1〜2月累計の明細。EMCスポークスマンのハンドコ・スティオノは、消費者の購買力低下がまだ国内市場を覆っている、と分析する。「需要が減少したわけではないと思う。ただその需要がEMCメンバーでないメーカーにシフトしているため、国内販売統計に出てこないということかもしれない。」
EMCメンバーは34社あり、そのほとんどが国内で生産工場を持っている。Akari, Panasonic, LGEIN, Sanyo, Sharp, Toshiba, Hitachi, Polytron, Sanken, Samsung など大手ブランドはすべてメンバーになっている。EMCデータによれば、2月の国内家電品販売実績はTV252,460台で前年同月の306,783台から18%減少、冷蔵庫104,053台で前年の123,093台から16%ダウン、エアコン43,878台で前年同月実績の49,950台から12%ショート、洗濯機は49,341台で前年の56,987台から13%低下した。工業省は、国内市場で出回っている問題ある家電品に対する監督を厳しくする方針。


「プリンター販売は15%増」(2006年4月11日)
2005年のプリンター市場は140万台で、2003年からほぼ倍増したとインターナショナルデータコーポレーションが報告した。2003年の実績は80万台で、2004年が120万台という推移。2005年第三四半期は対前期比17%のショートとなったものの、第四四半期では対前期比5割増となり、年間実績は前年を15%上回る伸びを示した。140万台中130万台は単一機能プリンターで占められ、その中でもインクジェット方式が一番人気が高い。徐々にとはいえ多機能型も増加傾向を示しており、レーザータイプではサムスンがHPと競り合う低価格をオファーしている。インクジェットタイプ単一機能プリンターはキャノンがほんの僅差でHPを抑えてトップに立っている。この先5年間の中で多機能型プリンターはドラマチックな発展を示すだろうとIDCは予測している。プリンター市場の中でわずか9%のシェアしかない多機能型ではあるが、2005年の伸びは74%に達しており、単一機能型の12%という成長率を圧倒的に凌駕している。これは特に各メーカーの価格政策に負うところが大きく、2003年に市場に登場してきたときには単一機能型と5倍の価格差があったというのに、それが今では2倍に縮まっているし、単価が100米ドルを切る品番も多数市場に出されていることがその成果を生んでいるようだ。
ところで、プリンターの輸入関税が今年3月末から0%になったために、小売価格に3%ほどの影響がもたらされて販売増につながるのではないかと業界側は期待している。政府はITアグリーメントに関連して87アイテムの輸入関税を0%にする方針を昨年末に固めており、プリンターに対するこの措置はその一環。キャノンのインドネシア代理店は、この措置で今年の販売台数は10%増が期待できると述べている。


「ボディケア製品専門店が増加」(2006年4月12日)
ボディケア製品をメインに取り扱う専門店が増加している。スーパーマーケット、ミニマーケット、ハイパーマーケットを除く専門店舗数は2003年末時点で179ヶ所あったが、その一年後には218ヶ所に増えており、そして2005年末には279ヶ所となった。従来のメインプレーヤーだったデーリーファームインドネシアグループのShop in、Guardian 、ファロスグループのCentury 、マタハリグループのBoston に加えて、最近では英国系のBoots や香港系のWatson もジャカルタに店を開設した。その二ブランドはこれまで国内のボディケアショップに見られなかったワンストップショッピングコンセプトを持ち込んできている。このようなボディケアショップ利用者は女性だけでなく、メトロセクシュアル男性も重要な顧客になっているとのこと。メトロセクシュアル男性は月収が1千5百万ルピアのラインにおり、毎月3〜5百万ルピアをショッピングに費やしている。ボディケア製品が社会生活上の必需品と化す傾向は強いものがあり、ACニールセンの推定では、トラディショナル商店におけるこの種商品の市場は2004年で7.5兆ルピアに達している。一方モダンマーケットでは2004年の市場は5.2兆ルピアだったとのこと。


「サリアユが都市バス内でアロマテラピープロモ」(2006年4月14日)
コスメティック市場拡大に伴って業界のシェア争奪は激化の道をたどっている。そんな状況の中でマルタティラアル・グループは、都市バス内でのアロマテラピープロモーションを一ヶ月ほど前から開始した。都市部でいくつかのルートを運行しているエアコン特急バス(Patas AC)の中にアロマテラピーの香りを漂わせ、鳥のさえずりや滝の水音をBGM代わりに流して、乗客に実体験を持たせようという企画がこれ。この企画は首都だけでなく、バンドン、スマラン、ジョクジャ、スラバヤでも実施されている。バスの中では三つの箱からライム、タンジュン花、バラ、イランイラン、ビャクダンなどの香りが6分置きに放出され、水音や鳥の声のオーディオは15分置きに聞こえてくる。
サリアユブランド化粧品の生産者であるマルタティラアル社の販売普及担当取締役は、ここ数年自然の香りをフィーチャーした商品に人気が集まっている、と言う。同社はコスメティック製品に自然の香りを持たせる方針を数年前に開始し、2007年には全製品に対するその方針実施が完了する予定。同社のブランドマネージャーは、SARI AYU は市場シェアの50%に達している、と表明する。同社の商品ラインは、クレンジング、トニック、モイスチャライザー、ファンデーション、口紅、ボディローション、ボディコロンなど30カテゴリーに上り、価格は一個6千6百ルピアから2万5千ルピアまでのレンジ。マルタティラアル・グループにとってサリアユ化粧品は事業の大きい柱であり、同社事業の50%がサリアユに関わっている。同社製品は人間にとって安全な天然素材のみを使用しているとのこと。肌に安全で、環境に優しく、消費者に安心感を与える製品つくりが同社のモットーだ。もうひとつ同社がその事業の中で負っているミッションはインドネシア文化の保存であり、インドネシア女性の完璧な天然の美作りに貢献すること。調和の取れた生活にはバランスが必要で、外見上の美しさは安定的な精神で補完されなければならず、その結果として最大限のパフォーマンスが生み出されることになる。精神の安定さは、宗教心、ヨガ、落ち着いた環境へ行って休日を過ごすこと、読書や絵画などの趣味に時間をさくことなどがもたらしてくれる。それに加えてアロマテラピーも精神に安定をもたらすものであり、ホリスティックケア、水浴、マッサージ、焚香、顔や身体に潤いと手入れを与えることなどを通してそれを実現することができる。インドネシアで最初にアロマテラピーシリーズを発売したのがサリアユ化粧品で、この方針はグローバルコンパクトに関わっている、と同社は説明している。


「怒涛の中国産品流入」(2006年4月27日)
全国パサル商人協会(APPSI)は政府に対し、国内市場に怒涛のように進入してくる中国産品を放置すれば国内製造産業は死滅するおそれがあるとして、本腰を入れた対策を取るよう警告を発した。輸入品が著しく増加しているため国産品の影が薄くなっているマーケットは、ジャカルタのタナアバン市場、マンガドゥア市場、ジャティヌガラ市場、チプリル市場など。ハサン・バスリ同協会会長によれば、衣料品のみならず履物も市場で輸入品が氾濫しており、対抗できなくなった国内生産者がひとつまたひとつと脱落している、との談。輸入品はそれらの拠点市場から小規模商人の手を経て広範に一円に拡大しており、国内産品より魅力的で高品質、しかも廉価であることから、消費者は例外なく輸入品に手を伸ばしている。それら輸入品のすべてが正しく輸入通関を行っているわけでなく、そのため価格は一層有利なものになっている。中国産Gパンは市場で一着4万〜7万ルピアで販売されているが、正直に関税を払っていれば、そんな値付けができるはずがない、とハサン会長はコメントする。素材生地が一段悪い国産Gパンでも一着5万〜8万ルピア。靴でさえ輸入品は市場で5万〜8万ルピアという値がつけられている。市場にそれらの商品を卸している輸入者は、国内で需要の高いムスリム衣装や女性用ブラウスなどの売れ筋商品の輸入量をこれから更に増やそうとしているらしい。現在既に市場を牛耳っている商品は女性服・子供服・靴・バッグなど。タナアバン市場での調査によれば、輸入品比率は女性服が60%、子供服50%、ムスリム衣装は30%弱とのこと。ジャティヌガラ市場では靴の70%、バッグの50%が輸入品とのことだが、マンガドゥア市場では輸入品の比率がもっと高く、80%に達しているものと見られている。それら輸入品の中でメインを占めているのが中国産品で、他には韓国産服地、インドやタイ産のスカーフなどが人気筋。
衣料品アクセサリー卸業協会は会員会社が165のブランドをもって製品を市場に流していたが、そのうち40%は輸入品との競争に敗れて製造をやめてしまい、今ではトレーディングカンパニーに変身してしまっている。正規の輸入通関を経ないで国内に入っている不法輸入品は凄まじい勢いで膨張しており、2005年は2004年の1.8倍になったとの情報を漏らす関係者もいて、ハサン・バスリAPPSI会長は商業省と税関に対して対策を講じるよう要請している。因みに中国のインドネシア向け輸出統計とインドネシアの中国からの輸入統計を比べると、中国産品の激増と不法輸入の増加がよくわかる。
年 / インドネシアの輸入額 / 中国からの輸出額 (金額は億ドル)
2001 / 1.35 / 2.99
2002 / 1.68 / 3.40
2003 / 1.67 / 4.31
2004 / 1.65 / 4.64
2005 / 2.03 / 7.70


「日常生活用品市場は6年間同じ顔ぶれ」(2006年5月4日)
過去6年間、インドネシア小売市場に新規参入したコンシューマーグッズリテーラーは国内外のいずれからも一社もない、とインドネシア小売業者協会事務局長が語った。「カルフルがインドネシアに入ってから、2000年以来新規モダンリテーラーはひとつも出現していない。協会に市場状況を問い合わせてくる事業者はひっきりなしだが、購買力低下のために誘導的でない市場に参入することを躊躇しているようだ。中にはデータを求め、法制度を尋ね、コンサルタントと契約までしながら、結局計画を取りやめてしまったところもある。かれらがなぜ挫けたのかは判らない。」同事務局長はそう物語る。
その結果、インドネシア国内の生活用品小売販売業界は昔からの顔ぶれが続いている。そごうスーパーマーケットを経営するPT Mitra Adiperkasa、マタハリスーパーマーケット・ハイパーマート・カットプライスディスカウントショップを経営するマタハリグループ、へロースーパーマーケット・ジャイアントハイパーマーケット・ミトラディスカウントショップを経営するへローグループ、ミニ・スーパー・ハイパーの三形態マーケットを経営するアルファ、スーパーマーケットチェーンのライオンスペリンド、ラマヤナスーパーマーケット、ヨグヤスーパーマーケット、ハリハリスーパーマーケット、ティップトップスーパーマーケット、ナガスーパーマーケットなどが国内小売市場で6年一日のごとく競合を繰り広げている。
これから新規参入しようとする会社は、業態によって条件は異なるものの、ミニマーケットなら250〜500億ルピアを投資して一店5億ルピアかかる店舗を50〜100店オープンする必要があるだろう。スーパーマーケットなら5店以上オープンする必要があるため、最低でも250億ルピアの投資が必要で、ハイパーマーケットは1店だけでも構わないが、そのための投資は最低300億ルピア必要だと同事務局長は述べている。


「首都圏に宝石センターがオープン」(2006年5月17日)
タングラン県チプタッに宝石センターがオープンした。住所はJalan Elang 1, Kampung Sawah Lama, Ciputat, Kabupaten Tangerang でインドネシア語名称はSentra Batuan Ciputat 。インドネシアには多種多様な天然石があり、その中に宝石が隠れている。それらの天然石から宝石を取り出して加工することで大きい付加価値をつけることができる。インドネシアの天然石輸出は年間4〜5百万ドルにしかならないが、宝石輸出は年間2.8億ドルになっており、その付加価値の大きさをそこに見ることができる。センターの開所式に出席した工業省中小事業総局長はそうスピーチした。このセンターの発起人であるルルッ・スミアルソは、国内に石に関するセンターがまだないのでこのセンターをオープンしたと語る。石の加工、リサーチ、マーケティングなど石にまつわる経済活動のセンターになることを期待しているとのことだ。従来首都圏で宝石貴石を探すひとびとが集まっていたのは東ジャカルタ市のラワブニン市場だが、この施設が作られたことでより学術的なセンターが首都圏に誕生したことになる。


「カルフルで商品を売りたい〜コンパス紙への投書から」(2006年5月30日)
拝啓、編集部殿。わたしは中流消費者向け商品の拡売に努めている事業者です。わたしの商品がハイパーマーケットのカルフルで販売されることを望み、わたしはカルフルにコンタクトしました。その商談の中でカルフル側はわたしの商品を取り扱うことに同意し、条件を示しました。それは1店1アイテムにつき350万ルピアというリスティングフィーを納めることで、カルフルは21店舗を運営しており、わたしは8アイテムを販売したかったので、総額5.88億ルピアという貢納金をカルフルに払わなければなりません。それ以外にメーラープロモーション費用とアドバルーンレンタル費2.31億ルピアを負担せねばならず、合計8.19億ルピアの投資が必要なのです。わたしの商品は単価4千ルピアのものなので、その投資を回収するのにいったい何袋販売しなければならないのか、気が遠くなりそうです。中規模会社ですら負担するのがたいへん困難な条件であれば、小規模会社にとってはまったく不可能でしかないことをカルフルは理解しようとしません。グローバル競争時代に外国からの商品と争わなければならないわれわれにとって、国内での販売にまで外国企業から困難な目にあわせられているのではたまりません。
このように好き勝手な行為をいつまでも放置していれば、われわれのような中小企業は自国内での販売すらできなくなって倒産していくのが目に見えています。最後に残るのは資金を潤沢に持っている多国籍巨大企業だけになってしまいます。カルフルのビジネス制限に対する関係当局の措置をわれわれ中小事業者は心待ちにしています。[ ジャカルタ在住、アディ ]


「意外に小さいイ_ア人の買い物支出額統計」(2006年6月3日)
ACニールセンがアジア域内での国別月間平均買い物支出金額を報告した。それによれば、トップは香港の387ドルで、二位が韓国の381ドル、更に台湾373ドル、シンガポール308ドル。それらトップグループに多少差がつけられている第二グループのトップはマレーシアの153ドル、続いてタイ122ドル、スリランカ117ドル、中国115ドル、ベトナム111ドル。そして第三グループはインドネシアとフィリピンが74ドル、インド57ドルといった順位。今世界の小売業界はアジアへの進出に熱が入っており、中でも個人所得が増加している中国がひとつのターゲットになっている。問題はどうやって自分の店に買い物客を誘い込むかが焦点で、各社ともにその点に関してしのぎを削っている。魅力を発散させて客を誘店することに業界が熱中しているために、アジアの中流層は街中にある商店で何かしら新しいものを見出す毎日だそうだ。ACニールセンが今年2月から3月にかけて中国で行ったサーベイで1千5百人の大人消費者と観光客から得た中国人の消費行動ポリシーは、買い物とはどこかへ出かけた場合に必ず行わなければならない行動になっている由。どうやらこれは、東アジア一帯に共通の文化であるに違いない。


「都内大規模小売業は店じまいせよ」(2006年6月13日)
スタンドアローンの独立した建物で大規模小売業を営みたければジャカルタの外でどうぞ。民間マーケットに関する2002年都条例第2号の改定作業が今年7月完了を目途に進められているが、その中には床面積5千平米を超える小売店はショッピングセンターの中でのみ営業が許可されるという条文が入ることになっている。在来型のパサルや一般商店とモダンマーケットの間のコンフリクトを調整し、小規模商人や一般商店を保護するのがその目的であるとはいえ、現状自体が都条例第2号に則していない点も多々実例が散見されている。たとえば100〜200平米のモダン小売商店は在来型パサルから0.5キロ以上離れていなければならず、200〜1,000平米では1キロ離れ、1,000〜2,000平米は1.5キロ、2,000〜4,000平米だと2キロ、4,000平米を超えると2.5キロ以上離れなければならないとされているが、実態はその通りになっていない。ともあれ民族資本が百%の中小規模小売商店を保護するために大規模小売業者が自己所有している土地建物に店を開くのを禁じるという都庁の方針に対して、大規模小売業界は反対の声を上げている。
そのような条例内容が施行されると店を閉めなければならなくなるのは、たとえばオランダ系のマクロ(Makro)だと全19店舗中のクラパガディン(Kelapa Gading)店、パサルボ店(Pasar Rebo)、メルヤ(Meruya)店がそれに該当するし、またフランス系のカルフル(Carrefour)は全22店中のチュンパカプティ(Cempaka Putih)店、ルバッブルス(Lebak Bulus)店、プリインダ(Puri Indah)店、MTハルヨノ(Haryono)店の四店が営業できなくなる。


「インドメーカーも二輪車生産に参入」(2006年6月13日)
インドネシアは世界第三位の二輪車市場だ。一位は中国の1,200万台、二位はインドの650万台、そして三位がインドネシアで500万台となっている。インドネシアオートバイ産業協会(AISI)のデータによれば、オートバイ国内市場は年々拡大を続けて2005年には前年から3割増の508.9万台を記録した。メーカー別に見れば市場をリードしているのはホンダで260万台を占め、マーケットシェアの52%を握っている。二位はヤマハの123万台、三位スズキ109万台、続いてカワサキ7.7万台、カンゼン1.9万台、キムコ1.5万台、ピアジオ915台といった顔ぶれで、日本勢上位三社が97%のシェアを握って寡占状態になっている。カンゼン(Kanzen)はかつての商工大臣リニ・スワンディが率いる新設インドネシアメーカーで、キムコ(Kymco)は台湾メーカー。ピアジオ(Piaggio)はインドネシアでVespaブランドスクーターを生産してきたイタリアメーカーだが、二サイクルエンジン規制で生産量ががた落ちになっている。2005年の二輪車市場は金融界が消費者ローンに力を入れたために自動車購入ローンが空前の盛況を見せ、また石油燃料値上がりで四輪車から維持費の安い二輪車に移った消費者の増加も手伝って前代未聞の販売量を示したものの、10月の石油燃料大幅値上げで消費者購買力が激減した結果その後の販売量は顕著に減少した。ローン返済不能で1百万台が回収されたというニュースもまだ耳に新しい。
そんなインドネシア市場にインドの二輪車メーカーが参入してきた。TVS Motor Company がカラワンのスルヤチプタ(Surya Cipta)工業団地に20Haの用地を準備し、4千5百万米ドルを投じて大規模工場を建設したのである。会社創立が1984年にさかのぼるTVS社は1986年以来日本の二輪車メーカースズキと技術提携を続け、その契約関係は2001年に完了した。今ではアジア、南米、ヨーロッパの32カ国に製品を輸出しており、更に海外生産拠点を持つという次のステップの白羽の矢はインドネシアに刺さった。会社設立以来インド国内でホンダやバジャイとの競争にもまれてきたTVSは国内第三位の二輪車メーカーとして確たる基盤を築き上げており、国内に3工場を運営して世界の二輪車生産番付では第7位に名を連ねている。R&Dにも力を注ぎ、同社のTQM実践に対しては2002年に日本科学技術連盟からデミング賞が贈られている。同社の製品は燃費の良さと低排ガス汚染という消費者の要求が今後ますます高まるであろう二要素を強く指向したもの。製品レンジはエンジン排気量100ccから150ccまでのオートバイ4機種、オートマチックスクーター1機種、70ccモペット1機種に渡り、1990年度の売上高3千万米ドルに過ぎなかったものが、2004年度には7.4億ドルを記録するまでに成長した。TVS社はインドネシア工場を東南アジア域内への供給拠点に位置付けており、国内市場のみならずAFTAならびにアセアンとの経済協定を結んでいる諸国への輸出をも睨んだ布石であることは歴然としている。


「ヨーロッパの有名デパートがイ_アに進出」(2006年6月16日)
インドネシアに進出しているヨーロッパ系の大手デパートはマークス&スペンサーとデベンハムズなどイギリス勢の独占状況だが、今後さらにいくつかのデパートが進出してくる予定だ、とハンダカ・サントサ小売業者協会会長が発言した。進出が予定されているのはハロッズとハーベイニコルでこれもイギリス勢であり、負けてならじとフランスからもギャラリーラファイエットがやってくる。
ヨーロッパ系デパートの大手は既にシンガポールとマレーシア市場を埋めており、次はインドネシアの番で、各デパートは一様にインドネシアの小売市場は魅力的だと述べている。外国小売業者のインドネシア側パートナーとなってデベンハムズ、マークス&スペンサー、ブーツ、ザラなどを呼び込んでいるPT Mitra Adiperkasa 社取締役は、外国小売業者がイ_アに進出する際のターゲット市場はアッパーミドルクラスだと語っている。2004年に行われたサーベイによればイ_アのアッパーミドルクラスは4千4百万人もいるとのことで、そのシェアに与りたい外国系小売業者は後を絶たないようだ。
また高級ショッピングセンターもこの先まだ続々と建設される予定であり、外国系有名デパートが店開きするためのインフラにも事欠かない。2006年半ばにはSenayan City、年末にはGrand Indonesia、2007年にはGandaria Main Street、Pacific Place、Kota Casablanca、2008年はPlaza Indonesiaの拡張計画など多数の予定が目白押しに並んでいる。


「一般商店の販売がミニマーケットに食われている」(2006年6月19日)
日常生活用品51カテゴリーの小売販売シェアは一般商店からミニマーケットに移行している、とACニールセンインドネシアがサーベイ結果を報告した。同社が毎年行っている調査によれば、51種の生活用品販売シェアは2001年に一般商店75.2%、ハイパー・スーパー20.1%、ミニマーケット4.7%だったが、2004年には69.6%:22.2%:8.2%、2005年は67.6%:22.2%:10.2%という比率に変化しており、2004年から2005年へは2%相当が一般商店からミニマーケットに移ったことが明らかになった。ちなみに毎年のシェア推移は下の通り。(数字は%)
販売区分 / 2001年 / 02年 / 03年 / 04年 / 05年
一般商店 / 75.2 / 74.8 / 73.7 / 69.6 / 67.6
ハイパー・スーパー / 20.1 / 20.2 / 21.0 / 22.2 / 22.2
ミニマーケット / 4.7 / 4.9 / 5.3 / 8.2 / 10.2
51の品目区分にタバコを加えると、2005年のシェアは一般商店が84%に跳ね上がる。ACニールセンは対象カテゴリーを50数種に絞らず、全日常生活用品で調査すれば一般商店のシェアは90%を超えるだろうとコメントしている。この調査の対象とされた51カテゴリーの2005年の総市場は59.05兆ルピア。月に一度ハイパーマーケット、毎日の買い物はミニマーケット、そして二日に一度はトラディショナルなパサルを訪れる、というのが最近の消費者の買い物行動だそうだ。


「国際的大看板でもサービスに期待は禁物」(2006年6月20日)
2006年5月29日付けコンパス紙への投書"Pesan Antar McD Mengecewakan"から
拝啓、編集部殿。2006年5月5日23時半ごろ、わたしはMcDの出前を頼もうと思って14045番に電話しました。電話がつながったのに受け手の声がせず、先方の周囲からの雑談や笑い声が聞こえるばかりです。電話を切ってもう一度電話するとオペレータが出ました。わたしはもう何度も出前を注文しているのでMcD側のデータベースに入っているらしく、オペレータはいつもこちらの電話番号から注文主であるわたしの名前をすぐ口にするのです。ところが今回のオペレータはわたしの電話番号、名前、住所を尋ねました。データベースにあるでしょう、と言うと、コンピュータはもうオフになっているからわからないとの言い訳です。そしてどこの店が一番近いですか、と尋ねるのでガジャマダ通り店だと答えましたが、そんなことはオペレータの方が詳しいのではないでしょうか?
メニューのセットものをふたつ注文して値段を尋ねたら、システムエラーでわかりません、という返事です。24時を過ぎても出前はやってこず、電話での確認もありません。うんざりしたうえに眠くなったので、寝ることにしました。0時35分ごろ家の電話が鳴りましたが、受話器を取り上げるとすぐ切れました。わたしはそれがMcDからの確認電話だと思い、しばらくの間もう一度かかってくるのを待ちましたが、電話は沈黙したままでした。先方が確認を取れなかったということはその注文も取り消しになるだろうとわたしは考え、わたしはまたベッドに入りました。ところが深夜1時10分ごろ家のベルが何度も鳴らされたのです。McDの配達人が門前にいました。わたしは、あまりにも遅いのでもういらない、と言いましたが配達人は引き下がらず、「奥さんがさっき注文したので、いまわたしがこれを届けに来たんです。キャンセルするなら14045番に電話してください。」と言います。わたしはすぐに14045番に電話して一部始終を伝えましたが、オペレータはただ「ガジャマダ店のMcDに電話してください。」と言うだけで問題を解決しようという姿勢はまるで見られません。それ以上言い合いをするのも面倒なので、とても不愉快でしたが仕方なくそのお金を払いました。[ ジャカルタ市チデン在住、ディナ・ラフミ ]


「携帯電話市場は1千万台に」(2006年6月21日)
今年のインドネシア携帯電話市場は昨年から25%増えて数量1千万台金額14兆ルピア市場になる、と業界者が語った。インドネシアの携帯電話は2005年に8百万台を販売したが、2006年はそれから25%増加する、とLGエレクトロニクスインドネシア社携帯電話部門のジェネラルマネージャーは予測している。その予測は全国携帯電話協会のものとほぼ同じで、2004年の販売台数650万台は年々30%増になるだろうとの予測を同協会は先に表明している。
インドネシアでは電話オペレータによる電話機を無料にした抱き合わせ販売がまだ行われていないにもかかわらず、販売は今後も増加傾向をたどるものと見られている点がユニークで、しかも商品レンジ別でもロワーモデルが43%、中級モデルが30%、上級モデルが27%という比率も他の国と異なっている、とのこと。ロワーモデルとは単価50万から100万ルピアのレンジ、中級は単価200万ルピアまで、上級品は単価が200万ルピアを超えるものと定義されている。抱合せ販売は今後3G機種が増加していくこと、3G機種は高価であることなどからこの販売手法が増加することをメーカー側は期待しており、LG社は各電話オペレータとその戦略の検討に入っている。
ノキアインドネシアのジェネラルマネージャーはジャワ島が携帯電話販売の6割を占めており、また機種セグメントもミドルから下のものがきわめて優勢であることから、ジャワ島での普及率拡大と上級機種へのグレードアップでこの先まだまだビジネスは大きく発展していくだろうとその将来性への期待を語っている。


「保証期間中の修理はしない」(2006年6月26日)
2006年5月24日付けコンパス紙への投書"Buruk, Purnajual HP Motorola"から
拝啓、編集部殿。わたしのモトローラハンドセット、モデルA780が2006年4月11日突然作動しなくなりましたので、すぐにサービスセンターに持ち込みました。担当者は、たぶん機械を交換しなければならないだろうから、一週間時間がかかる、と言いました。修理が終わったら電話するので、それまで待っていてください、とのことです。二週間ほど待ちましたが電話はなく、こちらから電話すると担当者は「調べます」と言っただけで切れました。5月3日にわたしが再度電話すると相手は、技術者が休んでいるので2日後に電話してくれと言います。それで5月5日に電話したところ、機械を交換しなければならないが注文を出すに当たって休暇中の責任者が出社するのを待たなければならない、と説明し、4日後にまた電話してくれと言いました。5月9日に電話すると、機械はもう発注したのであとはサービスが終わるのを待っていてくださいと言い、サービスセンターの方から連絡するからわたしの方から電話しないように、と言いました。発注した機械がいつ届くのかを尋ねると、「わからない。待っているだけだ。」という返事です。わたしはすぐモトローラ・ヘルプデスクに苦情をEメールしましたがそれに対する返事はありません。修理に時間がかかるかも知れませんが、これまでの経過から最初の三週間わたしのハンドセットはほったらかしにされた印象が強いのです。わたしのハンドセットの保証は2006年8月に期限がきます。修理を早く行ってくれるようわたしはモトローラに要求します。モトローラのアフターサービスがこんなにひどいとは想像もしませんでした。[ ジャカルタ在住、メトディウス・アンウィル ]


「インドネシアの消費者保護」(2006年6月26日)
本サイトに掲載されている一連のコンパス紙への投書を読めば、インドネシアにおける消費者保護の実態が把握できる。消費者保護法も1999年第8号法令として制定されているが、行政をはじめとする公的機関から企業に至るまで、いったいどこまでその法律の本質を理解しその実施に努めているのだろうかという印象の方が強い。GCGについても似たり寄ったりだ。
そんな中で一服の清涼剤にできる判決が駐車場での車輌盗難に関して下ったのは「セキュアパーキングが敗訴」(2006年3月20日)の記事に見られる通りであるものの、セキュアパーキング側からの再審請求はどうやらまだ実行に移されていないようだ。ともあれ、被告側が主張した駐車券の裏側にプリントされている「駐車場内にある間に起こった車あるいは車内の物品の紛失、および車輌の破損は自動車オーナーの責任に帰す」という約款条項によって免責となることについては、消費者保護法第18条に定められている「責任を消費者に移転する定型条文を謳うことの禁止」に違反しているとの判決が下されて最高裁もそれを支持した。ところがその約款内容は駐車に関する1999年都条例第5号第36条(2)項に基づくものであるため、州の規定が消費者保護法に違反していると結論付けることができるのだが、都条例の修正を要求する声はまだ聞こえてこない。法律問題はそれとして、首都の駐車問題に関わる消費者保護についてはその裏側に厄介な背景が存在している。
首都の駐車システムは都条例で規定され、駐車料金は都知事令で定められている。駐車料金は駐車禁止場所以外の路上もしくは有料駐車施設で駐車する際に徴収される。つまり民間駐車場会社が徴収する料金は都が決めた公定料金である。都庁は路上駐車の料金を慮って全体の駐車料金を決め、民間駐車場会社は安すぎる料金に対して行政側に補償を求める。その結果が都条例の内容になって出現している。つまり安い公定料金では事故や損害の補償はしかねるというのが民間駐車場会社の本音にちがいない。一時間わずか2千ルピアの収入で、しかもそのうちの大きいポーションを建物管理会社と都庁に納めているのに、自動車盗難が起これば億の金額を弁償しなければならないとなると、だれしもその計算に首を傾げざるを得ないのではあるまいか。「職員を訓練し規律を高めて保安管理をきっちり行えばそれはできる。」という話はどこかよその国でのことであって、インドネシアでそれはないものねだりに近いという印象をイ_ア経験者たちは感じるはずだ。民間駐車場会社に車を置けば、駐車場を出るときは駐車券を職員に渡して料金を払うことになっている。駐車券を渡せないときはSTNK(自動車番号証明書)を提示しなければならないことになっている。なっていることは山のようにあるが、それが百%行われていないのがインドネシアであって、前提だけを協議して物事を決めるが実態はそれと正反対のことが進行する、というのは政府から民間企業までこれも実例が山ほどある。だから民間駐車場会社が駐車券云々のプロセスを盾に取り、起こりえないことが起こったならそれは自動車オーナーの責任であるなどと言っても、そんな主張はたわごとにしか聞こえない。現実に何台もの四輪車二輪車が民間駐車場会社の管理する駐車場から消え失せているのだから。
セキュアパーキング側は、今回のような判例が作られると都庁も今後たいへんなことになりかねない、と言う。なぜなら路上駐車した車が盗まれた場合、路上駐車を管理している駐車管理庁がその保管責任を追求されることになるからだ。駐車料金徴収も都庁職員でなく身代わり駐車番が行っており、都庁職員による現場管理はないに等しい。代行駐車番に課されているのは、駐車管理庁が定めた、場所によって妥当と思われるノルマ金額の納金であって、その場所で本当はその日いくらの水揚げがあったのかについては代行駐車番本人しか知らないというのが実情だ。路上駐車した車が車上荒らしに遭い、それどころか車輌盗難にあったとしても、これまで車輌オーナーは警察と保険会社以外に話を持っていく先がなかった。この判例で駐車管理者が責任を追及されることが始まれば、都庁駐車管理庁はたいへんなリスクを背負い込むことになる。代行駐車番が盗賊に便宜を図って起こす盗難はこれまでもあったが、それに加えて更に懸念されるのは、現場にいる全員が口裏を合わせて、存在もしなかった自動車が盗まれたと狂言を打つ惧れまで出てくるだろうということなのである。なぜなら路上駐車エリアにおけるそのような犯罪への対応はこれまでなにひとつなかったのだから。
この問題がこの先どうなっていくのかはよくわからない。ただ感覚的に言えることは、職員を訓練し規律を高め、保安管理をきっちり行って盗難事故を防ぐという人間教化と組織機能強化に向かうよりも、駐車料金を高くして保険で処理するというハイコスト経済に進む可能性の方がはるかに高いのではないかということだ。なぜなら実にさまざまな局面で、事故予防を目指して人間を教化することよりも発生してくる事故に対応することの方が選択され、その費用の補填のためにハイコスト経済に向かうのが伝統的な結論の出し方だったからだ。しかし保険で処理しようにも、安すぎる保険料では経済論理が成り立たない。結果的に駐車料金は桁違いの値上がりを招きそうだ。その場合、年間に支払う駐車料金を想定して、それが自分で車輌盗難保険に入るよりはるかに大きい支出になるのであれば、自動車オーナーは自分で盗難保険に入るから駐車料金は安く抑えてくれという声を上げるかもしれない。結果的に消費者保護は、消費者が自分を保護する方向に向かうことになる。自分の身を守るのは自分。それがインドネシアにおける消費者保護の本質かもしれない。


「よく売れている日用消費物資は何?」(2006年7月6日)
2005年5月から2006年4月までの日常生活必需品小売販売はその前の一年間の実績59兆ルピアから13%上昇しており、2005年10月1日の石油燃料大幅値上げの影響が見当たらないことをACニールセンインドネシアが明らかにした。日用消費物資購入は時代時代で変化しており、1980年代は低カロリー、1990年代は低脂肪、そして今はアンティオキシダントやガン予防あるいは健康食品への傾倒が顕著に見られる。緑茶カテゴリーは2005年7〜8月に8億ルピアの販売だったが、2006年3〜4月では99億ルピアに激増している。販売増につれて商品バラエティが増加するのは世の常で、2004年3〜4月の6種類は2005年1〜2月に8種となり、2006年1〜2月は24種となり、さらに3〜4月には28種類へと増加している。乳幼児向け粉ミルクも同じで、今ではDHA、AA、オメガ3、プリバイオティックなどの要素があるものとないもので売れ行きが大きくちがっている。
それら以外にも、即席麺、ビスケット、コーヒー、そして香水や整髪料なども販売増に貢献している。カテゴリー別では下のような商品がインドネシアでよく売れているものだ。( )内はルピア金額。
食品 :  即席麺(1.1兆)、粉ミルク(0.89兆)、ビスケット(0.61兆)
ボディケア : 浴用石鹸(0.27兆)、スキンケア製品(0.20兆)、コロン等香水(0.15兆)
家庭用品 : 洗剤(0.59兆)、殺虫剤(475億)、洗濯柔軟材(438億)
医薬品 : ビタミン(676億)、風邪頭痛薬(469億)、胃薬(258億)


「今年の新製品発売は少ない」(2006年7月12日)
日用消費アイテム新製品の小売市場投入が緩慢になってきていることをACニールセンインドネシアが報告した。データによれば食品と非食品の新製品市場投入件数は次のようになっている。
年 / 食品件数 / 非食品件数
2002 / 2,022 / 2,637
2003 / 2,151 / 3,328
2004 / 2,211 / 3,387
2005 / 2,180 / 3,453
2006 /   714 / 1,148 2006年は1月〜5月のみ
今年の食品と非食品の比率は前年とあまり変わっていないものの、件数ではやっと3分の1でしかない。モダンマーケットサプライヤー協会事務局長はこの現象について、今年は昨年から28%ダウンするだろうと語っている。購買力低下のために新製品発売を先延ばしする傾向がサプライヤーに生じていること、またモダンマーケットがサプライヤーに課している高額のリスティングフィーも新製品発売コストを押し上げているために発売自体をひかえる傾向を生んでいることなどがその要因となっている。しかし今年後半に向かってはルバラン・クリスマス・新年といった販売シーズンに入るため、今年8月9月には新発売キャンペーンが増加するのではないかと同事務局長は予測している。通常新製品発売をサプライヤーに煽るのは、乳児用粉ミルクに添加される栄養素の流行に見られるような消費者の選択規準の変化や利便性を高める新商品の発売に刺激されるといったものが多くを占めている。


「日本の小売セクターがイ_アに進出」(2006年7月27日)
日本の小売業界がインドネシアへの進出を希望している。ACニールセン調査によれば、日本の小売セクターで拡張指向の強い業界はユニー・平和堂・泉屋などの大型スーパーマーケットと、セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートなどのコンビニエンスストアとのこと。また西武・そごう・高島屋・伊勢丹・三越・大丸・松坂屋などの百貨店もそれに並ぶ。
日本からイ_アに進出しているいくつかの小売業者のパートナーを務めているPT Mitra Adiperkasa は、そごうデパートメントストアや紀伊国屋書店を国内数都市にオープンし、また近々ジャカルタに西武デパートメントストアを再開させる予定にしている。インドラワナ・ウィジャヤ同社取締役は、日本をはじめ諸外国の小売業者はアッパーミドル層から上を対象セグメントにしている、と語る。「外国の小売業者はブランド商品をイ_ア国内に持ち込んでくる。外国のブランド商品に関心を持つのはアッパーミドルから上だ。日本の小売業界がイ_アへの進出を望んでいるのは、国内のストラテジックな場所に続々とモールが建設されているためではないだろうか。結局、新たな高級モールがどんどん小売業者にスペースをオファーしているため、外国の小売業者にとっても大きいチャンスが開かれているということだ。」同取締役はそのように述べている。


「免税店業界の市況好転」(2006年8月1日)
ここ半年ほどの間に免税店が増加している。インドネシア免税店協会が明らかにしたところでは、ジャカルタだけでもDuty Free Tama とDuty Free HKS の二社が業界に新規参入しており、バリ、メダン、スラバヤ、バタムなどでも店舗が増えている。エクスパットの来店が増えているので、外国人勤労者を雇用する会社が増えているのではないか、と同協会専務理事は述べている。今協会の会員会社は20を超えており、かれらは空港や市内に店を開いて外国人観光客やエクスパットたちの来店を待ち構えている。2005年10月1日のバリ第二次爆弾テロ事件のあと業界の売上は半減した。これは総売上の60%をバリ在の免税店が埋めているため、特に業界への影響が大きかったということだ。バリに負けじとジャカルタの免税店業界も大きいポーションを占めている。最近発生したジョクジャ中部ジャワ大震災やジャワ島南岸地震津波災害は免税店業界になんらの影響も及ぼしていない。業界が心配しているのは各国政府が国民に対して出す渡航勧告。免税店の上得意は韓国・日本・台湾の外国人観光客やエクスパットたちだそうだ。


「お客の安全?知ったこっちゃないねえ」(2006年8月2日)
2006年6月26日19時ごろ、ニンルムはポンドッキンダモール1一階にあるブティックの売場で服を買おうとしていた。よさそうなパンタロンを選ぶと試着室に入る。試着するため靴を脱いで足を下におろしたとたん、かなり強い電流がニンルムの足を襲った。はっとして足元を見ると、床の上にあるエアコンパネルの鉄板をかの女の足が踏んでいるではないか。すぐに足をあげて靴をはいたが、ニンルムの左半身は力が抜けてうずき、左足の指は青くなっている。かの女は売場にいる店員にそのことを苦情した。するとその女性は軽い口調で「靴をはかなかったらあのパネルは感電するわよ。」と言う。
「何か置いてカバーしたらどう?」
「厚紙を置いたって、どうせ踏まれてボロボロになるだけでしょ。」
ラグカーペットを敷くなり、厚手のガムテープを貼るなり、お客を危険な目にあわせないために何かできるんじゃないかしら。少なくとも、「靴を脱がないように」という張り紙をしておくくらいのことがどうしてできないのでしょう。それなのに、客の安全なんか知ったことじゃないという態度をその店員は示す。大いにむかついたニンルムは『何も買ってやるもんか!』と内心悪態をついてその売場を離れた。
その大型エアコンの鉄板にはかなり強い電流が流れており、自分はよく失神しなかったものだとニンルムは今でもあきれている。


「コンビニチェーンACIが撤退」(2006年8月4日)
最盛期には一店あたり一日7〜8百万ルピアの売上をあげていたコンビニエンスストアチェーンのACIがついに小売事業から撤退する。イ_アのミニマーケット/コンビニエンスストア業界のはしりとしてインドマルッ(Indomaret)とともにモダンマーケット小売市場の進展に貢献したPT Multidaya Ritelindo が売上激減でジャボタベッ地区60店の経営が立ち行かなくなり、今年3月から整理を進めていた同社も結局全店閉鎖の結論を下した。
ACI(Aku Cinta Indonesia)の屋号で住宅地密着を指向したこのコンビニチェーンは2003年以来首都圏でのハイパーマーケットブームの波に押されて売上が4割減まで低下し、結局それを乗り越えることができなかった。ファキ・シュハダ(Faqih Syuhada)業務担当取締役は、ハイパーマーケットを主体とする大型小売店に容易に許可を与えたことで消費者の流れが変化し、それがこの結果をもたらした、と述べている。「イ_ア消費者はショッピングをひとつの行楽ととらえている。そのために広いスペースにたくさんの商品が置かれ、整然として快適で、大勢で出かけることのできるハイパーマーケットに行くことを選択する。反対にコンビニやミニマーケットは、そこへ買い物に行って何が買えるのかという見方をする。小規模モダンマーケットのコンセプトがまだ十分に理解されていない。」そのように同取締役は語っている。


「小銭は受け付けないゲーセン」(2006年8月10日)
2006年6月21日付コンパス紙への投書"Fun City dan Koin Rupiah"から
拝啓、編集部殿。2006年6月2日15時過ぎ、スルポンタウンスクエアのファンシティでわたしは不快な体験をしました。子供たちを連れて遊びに行き、ファンシティで遊ぶのはコインを使うので2万ルピアを払って1個1千ルピアのコイン20個と交換しました。子供たちはもっと遊びたいと言うので、最後の1個で打ち切らせることにし、コインをもう1個求めました。そのときわたしは、5百ルピアコインひとつ、2百ルピアコインふたつ、1百ルピアコインひとつを出して遊戯用コイン1個を求めましたが、なんと不愉快なことにキャッシャーはそのお金を拒否したのです。わたしが出したのは正規のお金ですので、わたしはその従業員に抗議しました。そして結局そのキャッシャーは怒り散らしながら受け付けてはくれました。子供がもう1個だけと言うので、わたしはまた同じ組み合わせのお金を出してコインを求めましたが、キャッシャーはまた拒絶しました。わたしが現場マネージャーに会って抗議すると、ここでは5百ルピアコインより小さいお金は受け付けないことになっている、と言うのです。理由は単に、ファンシティのトップの規定に従って職務を果たしているだけだとのことでした。[ タングラン在住、ディアナ ]


「首都に小売スペースはもっと増える」(2006年8月10日)
活発な建設ラッシュの只中にある首都ジャカルタは2006〜2008年ピリオドでも多量のスペース供給が実現すると見込まれており、特に小売スペースは2008年に3百万平米に達するものと予測されている。ジョーンズラングラサールインドネシアの小売賃貸分野担当取締役は、今現在建築中あるいは建築準備に入ったプロジェクトを総合すると、2008年末までに1百万平米のスペース増が起こる、と表明した。グランドインドネシア、スナヤンシティ、パシフィックプレース、ジャカルタシティセンターなど一連の大型プロジェクトがそのスペース増の根幹をなしており、それに加えて多数のデベロッパーが、店舗住宅、ミニマーケット、スーパーマーケット、ハイパーマーケットの建築を進めていて総合すれば1百万平米の小売スペースが首都に追加されることになる。
インドネシアプロパティウオッチ所属の専門家によれば小売スペースの建築コストは平米当たり200万から350万ルピアとのことで、大量の小売スペース供給にデベロッパーが投資している金額の大きさが推測される。ちなみに店舗住宅の場合は平米当たり200〜250万ルピア、大型モールは350万ルピアレベルとのこと。小売スペースにせよ、住居スペースにせよ、ジャカルタは既に飽和状態だとの声が何年も前からあがっているのとは裏腹に、建設業界は積極的なビル建設を続けている。本当に飽和状態かどうかの議論は別にしてジョーンズラングラサールインドネシアのルシ・ルマンティル会長は、売場面積(?)あたりの人口密度をアジア諸都市と比べるとジャカルタの密度は低い方だとコメントしている。同会長が示すデータは下の通り。
都市 / 人口(万人) / 小売スペース(万?) / 密度(人/?)
香港 / 700 / 950 / 0.7
シンガポール / 440 / 250 / 1.7
バンコック / 970 / 450 / 2.2
ジャカルタ / 750 / 240 / 3.1
マニラ / 1,130 / 300 / 3.7
今後のモダンリテールマーケットの傾向について上述の小売賃貸分野担当取締役は、従来のテナント売り渡しスタイルは減少し、賃貸型に移行していくだろうと解説する。これは建てたビルへの顧客誘店を最大限に高めるためにビル全体を統一的なコンセプトでまとめる必要があり、そのために必然的に賃貸方式が有力になっていくからだ。集客力に欠けるモールはテナントミックスが統制できておらずマーケットコンセプトの焦点がぼやけているためであり、既に売り渡してしまったテナントスペースにモール運営者が希望する特徴を求めてもすべて応じてもらえるかどうかわからない。賃貸テナントであればこそ、その整理統合が行いやすく、その結果集客力が高まることで双方がメリットを享受できる。同取締役はそう述べている。


「小売業界は積極的に新店舗をオープン」(2006年8月11日)
今年上半期の小売業界は概ね売上の伸びを記録したが、新店舗オープンによる販売ネットワーク拡張がなければ販売増はおぼつかないのではないか、とパニン証券のアナリストが分析している。ジャカルタ証取上場小売企業の今年上半期の業績は下の通り。
会社 / 2006年上半期売上高 / 2005年上半期売上高 / 対前年比
Matahari Putra Prima / 3.36兆ルピア / 2.78兆ルピア / 120.9(%)
Hero Supermarket / 2.28 / 1.95 / 116.4
Ramayana Lestari Sentosa / 1.75 / 1.61 / 108.8
Mitra Adiperkasa / 1.52 / 1.30 / 116.7
Rimo Catur Lestari / 0.096 / 0.109 / 88.1
Metro Supermarket Realty / 0.017 / 0.017 / 100.2
小売業界今年上半期の業績は昨年10月の石油燃料大幅値上げの影響によって横ばいがせいぜいというところであるため、意外な業績の伸びは販売拠点の増加に支えられている面が強い。たとえばラマヤナは8.8%の上昇を示したが、開業1年以上の店舗における売上増は1%しかなく、7.8%の増加は新店舗における売上がもたらしている。
上半期は基本的に売上が伸びず、新学期・ルバラン・クリスマス・新年が控えている下半期に売上増のチャンスが待ち構えているのだが、どん底に落ちた国民購買力と業界内での競争激化によって売上高は低空飛行に向かう可能性が強く、新店舗オープンが伴わない場合は一桁台の伸びしか期待できないのではないか、とアナリストは見ている。イ_ア最大の小売企業マタハリも、今年の売上アップは新規開店したデパートとハイパーマーケットのおかげだ、と同社取締役が述べている。同社売上は65%がデパートからのものであり、同社は今年3〜5軒のデパートと9〜10軒のハイパーマーケットを開店する予定にしている。一方、ヘロスーパーマーケットは今年2千5百億ルピアの予算を計上して60店の新規オープン計画を組んでいる。


「イ_ア人が自動車を選ぶとき」(2006年8月30・31日)
インドネシア人が自動車を買うときは、まず価格が最初の検討要因となる。都市部では社会的ステータスシンボルとしての意味合いから価格を無視した選択を行うひともいるが決してマジョリティではない。大多数一般のひとびとはまず購入予算を設定し、そのレンジに入る車種を比較検討のまな板に載せる。そこで加えられる検討の中には再販売価格が比較的優先度の高い要因となる。つまり将来その車を売却するときに価格があまり落ちないもの、という要因が購入車種の選択に方向性を与えるということだ。
いや自分はそうじゃない、というひとたちもいる。このひとたちはスタイルを優先する別のグループを形成している。スタイル、つまりボディデザインである。その証拠が最近大流行のSUV機種ブームで、近ごろは街中に出ればこのタイプが大量に走っているのに気が付くにちがいない。SUVは決して燃費効率が良いわけではないが、なぜかイ_ア人にはあのスタイルが目新しく、そしてお気に召したようだ。昔からそのタイプの車種がなかったわけではないが、今のようなブームになったことはない。
イ_ア人が車を選ぶときにもうひとつの要因がある。家族が大勢集まることが日常生活の中に大きなウエイトを占めてきたイ_アの生活習慣が否応なしに求めた条件は、できるだけ大勢の人間が乗れること。キジャンが1970年代終りに発売されて以来ナンバーワン大衆車の座を独占してきたのはその要因のたまものではないだろうか。いまその要因を満たす車種として顧客を奪い合っているのは、キジャン、アバンザ、ゼニア、スズキAPVなどだが、自動車販売台数シェアから見てもこのカテゴリーが最大ポーションを占めている。しかし大穴だらけの破損道路や雨季の深い水溜りまでクリヤーできるものを求めると、やはり過去何十年間にも渡って王座を維持してきたキジャンに軍配が上がりそうだ。
昨年10月の石油燃料大幅値上げでガソリンや軽油に対するドライバーの意識が変化した。いや、会社がガソリン代を負担してくれているひとにとってはどうでもよい話なのだが・・・。燃費やメンテコストの経済性に目が向きはじめてはいるものの、本気で経済性を問題にした多くのひとは一足飛びに四輪から二輪に移ってしまい、二輪車登録台数をますます増加させる結果をもたらしてしまった。だからまだ四輪に乗っているひとたちにとって燃費やメンテコストの経済性は検討要因の中でそれほど高い位置付けに置かれているわけではない。それよりも、購入者は自分が買う車の中にアクセサリーがたくさん詰め込まれているのを喜ぶ。カーラジオ・CDプレーヤー、シートやヘッドレストに付けるカバーやクッション、ドアサイドのステップ、バンパーの補強パイプ、アラーム等々。サンルーフ付きの車は人気バツグン。イ_アのような土地柄でサンルーフにどれだけ実用性があるのか疑問だが、購買者は多少の価格差は問題にしないでそれを求める。あるカーディーラーによれば、サンルーフ付きは輸入完成車以外になく、輸入完成車は国内組立車よりも値段が高く、その高価な輸入完成車を持っていることは人生における成功の甘き香りを漂わせていることに他ならないからだそうだ。
それらの要因を眺めてみると、経済合理性に匹敵する強さで、いやそれより優勢かもしれないが、エモーショナルな要因が車種選択の鍵を握っているように思える。理性よりも感情の赴くままに巨額の金を支出してよしとしているのが一般的なイ_ア人であると結論付けても決して間違っていないようだ。自動車業界の各社販売企画者がそれを認めているから、これは否定できない事実にちがいない。その結論を裏書するような事実がもうひとつある。自動車購入者は車内のアクセサリー類がたくさん詰め込まれているのを好む一方で、自動車の機能やメカニズムに関連する最新テクノロジーが目に見えないあちこちに散りばめられていても、それが選択要因になることはほとんどない。ましてやエアバッグやアンチロックブレーキをはじめとする安全対策が施された車を、よりたくさんの金額を支出して手に入れようとする姿勢はあまり見られない。
内容がどうあれ高価なものを持っていることが社会的ステータスシンボルであるとしているひとたちがいる。かれらにとっては、最新テクノロジーが施されていようがいまいが、それはどちらでもよいことだ。しかし購買力が低下したひとたちも大勢いる。かれらにとっては新車を持つことが社会的な権勢のシンボルだ。しかし価格は安いほどよい。そのような需要に応えようとする供給者が何をするかは想像にあまりある。結局は盛りだくさんな機能とメカニズムを装備した最初の設計から落とせる限りダウンスペックさせたバリエーションが市場に出されて行く、と業界者のひとりは語っている。
面白いパラドックスがある。そう前置きしてかれは続けた。「安全設計を含めて車のハイテク装備への理解が深ければ深いほど、運転者は安全運転を心がける。その反対に街中を高速でぶっ飛ばしているドライバーの大半が、安全装備もろくになされていない車にハゲ坊主タイヤを着けて走っている。」たしかにジャカルタの街中を車を運転して走ればよくわかる。自分が走っている車線の前に右から左から割り込んでくる車がある。前を走っていた車が突然止まり、停車可でもない場所で乗客を下ろす。ウインカーも出さずに車線変更や右左折を行い、変わったばかりの赤信号をスピードを上げて押し渡る。左側から追い越しをかけ、交通標識は無視し、路肩を高速で突っ走る。スピード違反はこの国で取締りの対象になったことがない。それら自動車運転者の行動については、拙作「ジャカルタドライバー考」が参照できるので、西祥郎ライブラリーをどうぞご覧ください。
そんなビヘイビヤをふりまくジャカルタドライバーの数の多さと自分が運転している車の機能やメカに関する知識の深さは反比例の関係にあるのだというかれの説に、どうやらわたしも賛成しそうだ。


「保証期間中の修理はしたくない」(2006年9月4日)
2006年7月20日付コンパス紙への投書"Purnajual Printer Kodak"から
拝啓、編集部殿。わたしは2005年7月13日にコダックのプリンター「ドックプラス」を購入しました。最初はちゃんと機能していましたが、そのうちに調子がおかしくなってしまいました。インクと紙が同時に使い果たされるという構造になっているはずなのに、紙は残っているけれどもインクが無くなったというインジケータが点灯するのです。それでわたしはそのプリンターをジャカルタのコダックデジタルサービスセンターに持ち込みました。修理がなされたということで、そのプリンターはわたし宛に送り返されてきましたが、故障は全然治っていません。それでまたクレーム修理を依頼しましたが、また同じ状態で返送されてきました。ところがそれだけでなく、買った時からセットしたままにしてあったカメラドックが無くなっているではありませんか。もうひとつ奇妙なことは、プリンターの製番が毎回違っているのです。最初の返送時には保証書が付いていませんでした。ところが二度目の返送時には保証書が付けられていました。これはひょっとして、わたしのプリンターは修理されず、適当に中古品を戻してきただけということかも知れません。わたしは修理依頼をする際に、内容説明とEメールアドレスと電話番号を書いたメモを添えて置きましたが、サービスセンターからは何の反応もありません。
わたしはサービスセンターのそんな対応の仕方にたいへん失望しました。ジャカルタで修理されるのを期待していたのですが、故障したままなのです。これはわたしのプリンターがまだ保証期間内であるためでしょうか?保証期間が満了するまでは何もせず、期限が切れたらはじめて修理し、その費用を請求するという方針なのでしょうか?そのサービスセンターはコダックの公式サービスセンターだという話ですが、そこのサービスはわたしに失望と悲痛しか与えてくれません。[ ジョクジャ在住、ヌグロホ・ウィボウォ ]


「カルフルの安売りに反対」(2006年9月11日)
2006年7月24日付コンパス紙への投書"Dumping Carrefour dan Citibank"から
拝啓、編集部殿。2006年7月8日(土)9日(日)の二日間、あるモールの駐車場ではこれまで見たこともないほどの賑わいで、周辺の路上まで駐車する車が溢れていました。モールに入ったところ、そこに入居しているカルフルが特別セールを行っており、シティバンクのクレジットカードで支払いをするとオートバイ以外は何でも2割引きの大安売りになっているのです。どこのショッピングセンターでも日用必需品、中でも飲食品は2〜5%という薄利で小売されていますので、衣料品以外にそんな安売りをしているところはありません。経済的に窮乏している人が大勢いるというこんなご時世に、対象クレジットカードを持っている人がそれを利用して限度一杯まで自分が必要でもないものをただ値段が安いために買いまくっており、その中には他のパサルでそれを再販しようとしている人がいるのに疑いありません。そこでの値引き価格が近隣トラディショナルマーケットの卸価格より安いので、モールの周辺にいる零細商人がその犠牲になるのです。
カルフルとシティバンクが共同で行ったその行為は、他の零細商人に損害を与えるダンピング行為だ、とわたしは思います。キャピタリズムに毒されたそのような行為はわが国経済にとってマイナスをもたらすものです。国内大都市に林立しているハイパーマーケットが場所の上からも広さの点でも規則を破っているのは明らかではありませんか。自分の本国ですら、そんな広さの店をそれほどトラディショナルマーケットの近くにオープンするのは禁じられているというのに、わが国にやってきた途端そんなことに関心を示すひとはひとりもいません。借金を勧めて民衆に消費行動を煽ることは、先年韓国で発生したクレジットカード発行会社の倒産に見られるように、とても危険な経済状況を生みます。わたしは政府と事業競争監視コミッションが上記のダンピング行為を調査することを望みます。[ 東ジャカルタ在住、スリ・マルヨノ ]


「商店の規制時間外営業を取り締まれ」(2006年9月15日)
大規模小売業もしくは販売店の多いチェーン商店が24時間営業を行っており、これは首都の規定に違反しているだけでなく小規模業者との競争に不公平をもたらすものであるため、当局は規制を行わなければならない、とリテールマネージメントセンター役員が発言した。都の規定によれば、民間小売業の営業時間は9時から22時、スーパーマーケットは10時から22時と定められており、その時間以外に営業したい場合はある期間だけの特例免除許可を都知事から得なければならない。ところがハイパーマート、アルファマート、サークルK、マクドナルドなどは24時間営業を行っており、本来なら大きい資本を持ち、多数の店舗を擁して幅広く地域をカバーしている店はむしろ営業時間を短くし、中小業者に長い営業時間を与えてバランスの維持をはかるべきである。「大型モダンマーケットは営業時間を10時から18時までに制限するよう、当方は提案している。」と同役員は述べている。売場面積1万平米以上の店は郊外部にだけ許可し、街中にはオープンさせないこと、あるいは販売店網が10店以上あるチェーンも営業時間を短くさせるなどの規制を行い、街中にいる中小事業者が市場競争から脱落して行かないように行政は保護するべきである、と同役員は主張している。


「スズキAPVは失敗作?!」(2006年9月19日)
2006年8月12日付コンパス紙への投書"Pengalaman dengan Suzuki APV"から
拝啓、編集部殿。わたしは2006年7月初めに会社が買ったスズキAPVの新車に乗っています。運転し始めてからおよそ一ヶ月たったころ、エンジン音が耳障りになってきたのでスズキのディーラー、ジャカルタのAヤニ通りにあるPT Bypassindo Jayaindah を訪れてクレームしました。するとその症状の原因が、車の下に取り付けられているトランスミッション部分にぶつけた痕があるためと判明しました。何かにぶつけた覚えはわたしにはまったくなく、唯一の可能性としてその車を洗車したときに洗浄機が当たったのではないかということに思い至りました。ディーラーは責任がオーナーにあるとしてクレームを拒否したので、修理費用110万ルピアはわたしが負担しました。
これはスズキAPVオートマチック車オーナーの皆さんにとっての教訓です。決して洗浄機で洗車しないように、またpolisi tidur (自動車のスピードを殺すために地面に作った突起)にも気を付けましょう。オートマ車のトランスミッションは地面とほんの数センチしか離れていないのですから。トランスミッションを車のシャーシ下に取り付けてただのブリキ状のカバーで保護してあるだけというのは危険すぎませんか?いろいろなものがぶつかる可能性が高いので、この設計は失敗作ではないかとわたしは思います。
わたしの車の修理にはほぼ一週間を要しました。それは複雑な修理をしたからでなく、インドモビル社から交換部品が届くのが遅かったからです。"Suzuki, Kami peduli" という語呂合わせスローガンが本気でなされているとは思えません。[ ブカシ在住、メーラ・ディナタ ]
9月5日付コンパス紙に掲載されたインドモビル社からの回答
ブカシ在住、メーラ・ディナタさんからの2006年8月12日付コンパス紙への投書に関して説明いたします。問題は2006年8月29日に解決いたしました。[ インドモビル社広報担当、プリヨ ]


「理性を放棄する消費者たち」(2006年9月21日)
特定クレジットカード保有者に対して25%もの割引を与える特別セールは消費者から合理性を奪って感情の虜にし、消費者の買い物は3〜4割増になる、とトリサクティ大学マーケティングクラブ創設者が語った。「割引セールというものは商店が行うもので、消費者はそれを合理的に受け入れている。ところがその方式の特別セールはクレジットカード保有者がターゲットとされている。ということは対象がアッパーミドル層であり、かれらは大もうけをしようとして非合理的な行動を示す。たとえば10万ルピアの割引を得るためにレジで1時間半も並ぶ。かれらが役所で何らかの書類手続を行う場合、並んで待たされるのが面倒だから10万ルピア程度の金はあっさりと出て行くのが普通なのに。他にも、その特別セールのおかげでかれらは不要不急にも関わらず商品を余分に買う。普段は30万ルピアくらいで買い物を切り上げるところ、無理して百数十万ルピアの買い物をする。一方カード会社はハイパーマーケットでのその特別セールプロモに何十億ルピアもの広告宣伝費を使うが、カード利用者増加に成功している。」
マルタティラアル社代表取締役も、販売者は消費者の感情を虜にすることが求められている、と言う。「今や消費者はたいへんエモーショナルに行動する。理性よりエモーションの方が圧倒的に優勢だ。これは男性女性の双方に言える。消費者がエモーショナルになっているからこそ、企業は消費者に失望を与えないようにしなければならない。」ブライアン・ティラアル代表取締役はそう述べている。


「イ_アの消費者は実質好み」(2006年9月25日)
イ_アの都市部に住む消費者は特定モダンマーケットへの志向をあまり強く持っていないことをACニールセンインドネシアの調査が示している。ひと月に二つもしくは三つの異なるモダンマーケットを訪れて買い物をするというのがジャカルタ・スラバヤ・バンドンの消費者の一般的な姿だ。中には異なる6つの店を訪れる者もいる。特にある店をひいきにして買い物は必ずそこでという消費者は少なく、その折々で必要な商品を割引販売している店が選択される傾向にある。スーパーマーケットやハイパーマーケットなど買い物する店を決めている人は28%、二つの店を二股かけている人は42%、三つ股派は20%。訪問頻度はミニマーケットが最大で、次がスーパーマーケット、更にハイパーマーケットという順位になっている。会員カードシステムを使って消費者をつなぎとめようと各店はアイデアをしぼっているが、イ_アではヨーロッパほどうまく成果が上がっていない。
2004年と2005年で消費者がひと月に訪れる店数がどのように変化したかを、下のデータが示している。
店数 / 2004年 / 2005年
1 / 33 / 28
2 / 34 / 42
3 / 22 / 20
4 /  6 /  6
5 /  4 /  3
6 /  − /  1
(数字は%)


「国産デスクトップコンピュータの売れ行き好調」(2006年9月27日)
インターナショナルデータコーポレーションによれば、ローカル製デスクトップコンピュータの販売が伸びている。今年第二四半期の国内デスクトップ市場では、台湾製Acerが4,201台でトップを独走中。その後を国産Zyrexが3,078台で猛烈に追い上げている。三位はMugenの1,137台、四位Relion755台と続いた後やっとHPが528台で5位に登場し、今年第一四半期の二位からは大幅の転落。総市場は38,667台だった。一方PCマーケットの今年第二四半期は292,792台という市場ボリュームで、こちらの方はグローバルブランドが圧倒的な強さを示し、HP、Acer、Dell、Toshiba、Lenovoがベストファイブを奪い全体の31%シェアを占めている。Zyrexは7,897台で6位に登場する。国産勢の伸びはハイパーマーケットやスーパーストアーへの進出が効果をもたらしたものと見られ、IT知識に強くない消費者のキャッチがうまく進展していることを窺わせている。


「イ_アのリッチは5百万世帯」(2006年10月2日)
Centre for Customer Satisfaction and Loyalty が、イ_アはブランドもの高級ファッションとアクセサリーの一大潜在市場である、と論評している。同センターが行ったサーベイによれば、イ_アにはそれらの商品に大金を喜んで支出する5百万世帯が存在するとのこと。2006年6月に行われたイ_アのリッチ階層1千人を対象にしたライフスタイルに関するそのサーベイは、ブランドものアパレルの販売が年平均40〜50%のペースで増加している事実を捉えている。イ_アのリッチ層は自己主張やステータスシンボルとしての高級ブランド品購入志向がたいへん強く、そのための出費を惜しまない。リッチ層5百万世帯は三つの階層に分解できる。まず超リッチ層はアパレルやアクセサリーに年間10〜20億ルピアを支出し、それにダイヤモンドなどの宝飾品を加えれば30億ルピアを消費する。購入する商品の単価は平均2〜3億ルピアだ。この超リッチ層は企業オーナーや著名な専門的プロフェッショナルたちで、年収は70億ルピア以上を得ている。かれらは他の人間には容易に持つことができない商品を狙う。たとえばエルメス。
次のリッチ層は金が有り余っているが超リッチ層に及ばないレベルで、年収20〜30億ルピアを得ている会社役員がこの層を形成している。かれらがターゲットにする商品は単価が2〜3千万ルピアのもので、代表的なブランドはルイビトン、グッチ、イブサンローランなど。第三の層はマスリッチ層で、年収2〜10億ルピアのシニアマネージャークラス。この層はゲスやザラに手を出す。イ_アの高級品志向リッチ階層の購買力に目をつけた高級ブランドが最近続々とイ_アへの進出を進めており、商品選択の幅はどんどん広がっている。かれらは単にアメリカ、フランス、イギリスなどエスタブリッシュされた国の高級ブランドだけでなく、トルコやボリビアなどの高級ブランドにも差別なしに手を出していく。


「南ジャカルタ市の特産物は何?」(2006年10月4日)
南ジャカルタ市は将来の産業育成方針をサービス業の町にすることに決めた。これは土地の広さに余裕がなくなってきたことと都市環境に即した性格によるためで、南ジャカルタ市は商業オフィスセンターを抱えている一方、首都の地下水供給のための雨水浸透地区の維持という重要な使命を負っている。いま産業のメインは商業ホテルレストランであり、汚染のない環境に優しい地域に転換させるためにサービス業をメインにした方向性を都庁商工局がそのように決定した。都市整備20ヵ年計画のマスタープランでも、南ジャカルタ市は住宅地区・雨水浸透地区・ビジネス地区と規定されている。土地面積145.73平方キロ、人口170.4万人の南ジャカルタ市住民が従事している職業は商業ホテルレストランが38%を占めている。製造業従事者は11%、金融輸送通信建設は25%。商業施設はモールが14ヶ所に市場が27ヶ所。中小企業は7,371軒で3万5千人を雇用し、投資総額は2,184億ルピアにのぼっている。
製造業は378社で3千2百人を雇用し、投資総額は401億ルピアとなっている。業種は、紙と印刷物、化学、ゴム、飲食品、木製品、繊維衣料品、金属機械、運送機器と修理、家電品など。この南ジャカルタ市は2005年に首都の地元収入に2.5兆を納めて大きい貢献をしている。同時期に中央政府が南ジャカルタ市から得た収入は9兆ルピア。南ジャカルタ市長は、これまで南ジャカルタ市の特産物が何もなかったことから、何か特徴のある特産品を振興させようと計画している。


「サービス業界への消費者満足度は低い」(2006年10月5日)
家庭消費アイテム製造セクターに対するよりもサービスセクターに対する消費者の満足度の方が低いことを最新のサーベイが示している。フロンティアコンサルティンググループが報告したインドネシアCSインデックスによれば、サービスセクターへの満足度は家庭消費アイテムより低いレベルにあり、それは消費者の期待度が高いことを表しているとのこと。サービス業界にとっては商品内容の差別化を行い、サービスの質的向上を図らなければならない、と同コンサルティンググループ会長が解説した。消費者の満足度は宣伝広告の受け取り方に影響され、特に家庭消費アイテムはその傾向が強い。そのために品質が同等の商品であっても消費者の満足度が異なるということは起こる。「これは宣伝広告という要素がいかにCSに重要であるかを示している。マーケットリーダーで広告宣伝費も大きいという商品はまずCSレベルが高い。サービスセクターでは、与えられたクオリティがそのサービスへの期待度を満たしていたとしても、その状態が将来的に永続することを確信していない消費者が多い。サービスセクターにとってクオリティ維持はきわめてチャレンジングな問題である。」同会長はそう述べている。


「インターネット広告が隆盛」(2006年10月6日)
今年、オンライン広告は昨年から25〜27%増加するものと見られている。過去数年間は10〜15%というレンジだったことから、インターネット広告にいま焦点が当たり始めているようだ。ISP協会は今年の広告宣伝費収入が5百億ルピアに達するとの予測を立てているが、これは国内広告宣伝総市場28兆ルピアの0.02%でしかない。サプト同協会会長は今年のその変化について、国内マクロ経済の好転、国民社会のインターネット需要への認識の高まり、国内インターネット網の一層の充実という三点がその基盤をなしている、と言う。インターネット広告の増加はそれらの三ポイントに負うところが大きく、学校休みや休日といった要素の影響はあまり受けていない。コンテントサプライヤーの中にはワールドカップのような特別イベントが広告収入増をもたらしているところもあるが、日常的な広告についてはコンテントスタイルが商品のマーケットセグメントにフィットすることを広告主の多くは条件にしている。国内のオンライン広告は、テレビ・ラジオ・印刷物などの広告メディアに比べてまだあまりにも劣勢であるが、それだけ今後の発展が期待できるということかもしれない。アメリカでオンライン広告は総市場の8%を占めている。


「単機能プリンター販売は今後激減する」(2006年10月10日)
インクジェット方式単機能プリンターは今年140万台市場が見込まれているが、多機能型の価格低下が進んでいるために激しい勢いで取って代わられることになるだろう、と業界者が語った。単機能プリンターはこれからどんどんと販売が減少して多機能型にシフトし、2010年には今年見込まれている140万台は80万台まで低下しそうだ、とPT Datascrip キャノン部門担当取締役が発言した。一方多機能型も2010年には今の20万台が80万台となり、シェアは五分五分になるだろうとのこと。その徴候として同取締役は、単機能プリンターにとって毎年大きなセールスシーズンとなる6月7月の需要期は今年、予想外に小さな売れ行きしか達成できなかったことを上げている。市場では消費者の選択が多機能型にシフトしていることが推測され、廉価であることがメリットだった単機能型に比べて多機能型の価格低下が大きくなっているために、消費者が受ける割安感が予想以上に高まっているのではないかと業界では見ている。
パソコン市場の拡大と歩を一にしてプリンター販売も増加しているが、インクジェット方式単機能プリンターについては今後低下の一途をたどるものと見られており、2007年の販売台数は今年見込みから14%下がった120万台が見込まれている。一方多機能型は今年見込みの20万台からほぼ倍増の38万台が来年予測数値とされている。ところで単機能プリンター市場でのキャノンのシェアについて同取締役は、今年58万台という売上目標の達成を確信している、と語る。54%という市場トップシェアは維持できるとの談。また多機能型も5万台のターゲットはクリヤーして27%シェアを奪えるものと見ている。今年上半期の実績では、単機能型33万台、多機能型2万4千台という台数が既に消化されており、同社は今年のプリンター販売にドライブをかけようとして単機能と多機能のそれぞれに6タイプの新製品を既に発売している。


「モダンマーケットでの化粧品販売が大躍進」(2006年10月11日)
在来型マーケットとモダンマーケット間の化粧品販売シェアが20%も逆転していることを業界者が明らかにした。これは経済危機以後さまざまな種類のモダンマーケットがイ_アに出現し、消費者もイメージと強く関連している化粧品の購入をモダンマーケットで行う傾向が高まっているためで、従来ロワーミドル層以下のひとびとは在来型パサルでの買い物をもっぱらにしていたが、この階層にもモダンマーケットへ出かける傾向が生じている。
ハイパー、スーパー、ミニといったモダンマーケットは、空調の効いた買い物場所、快適な雰囲気、秩序や清潔さが常に維持され、治安も確保されて、インテリアも見ていて楽しい。一方在来型のパサルは地面が濡れていて足が汚れるのが普通であり、汚く、臭く、整然さがあまり感じられず、また往々にして治安が維持されていない。在来型パサルはこのままではじり貧が必定で、まず市場建物を空調の効いた、もっと明るく清潔な場所に変えなければ衰退するばかりだ、と関係者は訴えている。
マルタティラアルグループのブライアン・ティラアル代表取締役は、同社のサリアユ製品は暫く前まで在来型マーケットで90%の売上を得ていたが、今ではそれが70%に減少していると述べている。バイオコスメティック製品などは既に在来型とモダンで同じ比率になっている。この傾向は在来型パサルが改装されるまで継続するだろうと見られており、同代表取締役は全国の地方自治体に対し早急にパサルの環境整備を進めるように提案している。


「家電品市場に大きい歪」(2006年10月16日)
エレクトロニクスマーケタークラブ(EMC)が政府に対し、外国産品流入で歪んだ国内家電品市場の正常化を行うよう要請している。ヒンドラタEMCスポークスマンは、平行輸入された家電品は税金を納めておらずまた再生中古品が大量に国内市場に出回っているため、国内市場の歪みが大きくなる一方であることを指摘した。今年8月までの白物国内販売台数は軒並み前年同期実績を下回っており、最大はエアコンの23%ショート、冷蔵庫は13%、テレビ10%、洗濯機3%とすべてがショートしている。国内で生産活動を行っているブランドの海外生産品が指定代理店以外の者によって平行輸入されており、政府からの真剣な対応がいまだに取られていない。そのためにEMCは早急に奢侈品税の軽減もしくは廃止措置を政府が実施するよう求めている。奢侈品税がなくなれば平行輸入品とのコスト競争力はかなり接近すると同スポークスマンは述べている。


「使い捨て文化の国?!」(2006年10月16日)
チャンドラの自宅のテレビはネズミが中でションベンをかけたせいで使えなくなってしまった。かれは修理しようと思ってそのメーカーのサービスセンターに電話したところ、技術者がかれの家にやってきて修理を試みた。しかし修理は成功せず、その技術者は部品交換が必要だと言って報告書を作った。しばらくしてサービスセンターからチャンドラ宛に電話が入り、部品価格は85万ルピアだと連絡してきたのでかれはそれでいいから修理してくれと頼んだ。それから1ヶ月ほどしてサービスセンターからまた連絡が入り、部品の価格は125万ルピアだと言う。チャンドラはそれで構わないから修理してくれと頼んだ。ところがまたそれから何の音沙汰もなし。チャンドラは再びサービスセンターに電話し、また技術者がやってきた。前回来たのとは別人のその技術者はまたテレビを分解し、故障した部品を取り外して持って帰った。それからまた1ヶ月が経過し、サービスセンターからやっと連絡が来たが今度はチャンドラが修理を断った。なんと部品の価格は6百万ルピアだと言うのだ。部品をそんな高い価格で買うのは馬鹿げている。チャンドラはこれまでそのメーカーのファンだったが、きわめてお粗末なサービス姿勢を体験したいま、将来またそのメーカーの製品を買うべきかどうかで悩んでいる。


「プラザインドネシアのそごうが閉店」(2006年10月18日)
都内の老舗高級ショッピングセンターのひとつであるプラザインドネシアに入っているそごうデパートが2007年第二四半期に店を閉める予定であることをPT Mitra Adiperkasa が明らかにした。ミトラアディプルカサ社によれば、2007年2月にテナント契約期限が来るそごうデパートはそれを機会に閉店するとのこと。これはそごうの販売業績とは無関係で、プラザインドネシア側が企画しているプライムリテールスペース戦略に沿ってミトラアディプルカサが対応を合わせていこうとしているため。高級ブティックでプラザ内を埋めようとしているその戦略に応じて、そごうが占めていた1万7千平米の売場には同社が持っているさまざまな外国高級ブランドのブティックが出店することになる。
1990年にプラザインドネシアにオープンしたそごうの今回の閉店がそごうデパートのビジネス縮小を意味しているわけではまったくなく、ミトラアディプルカサは反対にそごうのコタカサブランカへの出店をはじめ都内でのそごうのビジネス拡張を計画している。現在そごうはジャカルタでプラザインドネシア、モールクラパガディン、プラザスナヤン、ポンドッキンダモール2の四ヶ所、スラバヤではガラクシモールとトゥンジュガンプラザ4の二ヶ所、バンドンのパリスファンジャファ、バリ・ヌサドゥアのバリコレクション、メダンのサンプラザなどに開店して幅広く営業を行っている。なお、プラザインドネシアのそごうデパートは閉められるが、地階にあったスーパーマーケットはフードホールと名を変えて営業を続けることになっており、その店内にはレストランも設けられる予定。
一方、やはりミトラアディプルカサ社が代理権を持っている日系デパートの西武は、プラザインドネシアと道路を隔てて向かいにある現在建設中のモールグランドインドネシアで開店することが決まっている。


「マッサージビジネス興隆」(2006年10月20日)
首都圏のマッサージビジネスは隆盛の一途だ。かつてマッサージ業はカンプンの民家や中国人街の治療所と相場が決まっていたのに、いまでは道端マッサージからショッピングセンターの豪勢なサロンまでがその仲間入りをしていやが上にも分厚い層を形成している。マッサージ師は年寄りから若者まで男女多彩で、素手や木製器具を使ってコリをもみほぐしたりツボを刺激し、あるいは高価な電気式器具で身体の調子を整えてくれる。電気式器具のオペレータだと月収65万ルピア程度にしかならないが、マッサージ師としての腕をつければ月収は2百万ルピアも夢でない。
都市生活の中で否応なく浴びるストレス、多忙な都市生活ゆえの運動不足などがこのマッサージビジネスを盛んにしているのは言うまでもない。こうして多くの都民が凝った神経をほぐし身体の血行をよくするためにマッサージを求め、首都のマッサージビジネスが興隆するという筋書きだ。
中央ジャカルタ市ITCロキシーにある電気器具を使ったマッサージは身体と脚に分かれていてそれぞれが15分間5千ルピア。両方やれば1万ルピアになる。同じビルの別のフロアーでは、PIJAT REFLEKSI という看板が出ている一角でマッサージ師が素手で身体を揉んでくれる。こちらは1時間2万ルピア。北ジャカルタ市プルイッスラタンラヤ通りにあるNano Healthy Family は元々中国産マッサージ機器のプロモーションの場としてオープンした。会社が輸入した機器を購入希望者にトライしてもらうための場所で、気に入って買ってくれればその顧客は自宅でマッサージということになるが、なんとその店内に整えられた豪奢で贅沢な設備に客が悦んだ。大きくて快適なソファーに個人用ビデオスクリーンが付き、ヘッドフォーンをかぶってシートに身体を埋めれば、これはまるで飛行機のビジネスクラスに乗っているような快楽。店内にずらりと並んだそんなシートのひとつに寝っ転がると、百人いるマッサージ師のひとりが身体、手、脚を揉んでくれる。10時から13時まではモーニングサービスタイムで90分2万5千ルピア、13時を過ぎると90分4万ルピアとなる。
インドネシア医療マッサージ師協会では職業認定制度を開始しており、知識と技能レベルが標準に達した者を正式認定するシステムが動き出している。揉んでもらって身体の調子が悪くなったといった事故が起こらないように消費者はご注意を、と同協会は呼びかけている。


「これからはカラープリンターの時代」(2006年10月20日)
新しいテクノロジーフィーチャーと価格低下のために国内カラープリンター販売は今後年々40%の増加率が期待できる、と業界者が語った。国内のプリンター市場はいま白黒プリンターのシェアが80%で圧倒的に優勢。PT Astra Graphia のプリンターチャンネルビジネスチーフエグゼキュティブによれば、性能の改良と価格の低下でカラープリンター需要は急速に伸びているとのこと。最大需要はSOHO向けに百万ルピア未満の価格帯のもの。「消費者はインクジェットよりもレーザープリンターの方が能率が良いことを理解している。インクジェットプリンターは値段が安いが使用コストはレーザーより割高だから。今後白黒プリンターの販売はほどなくして頭打ちになるだろう。カラーケーパブルフィーチャーが付かないものは市場から脱落するしかない。」PT アストラグラフィアはレーザープリンター生産に力を入れているフジゼロックスの販売代理店。
現在市場では価格の低下によって多機能型インクジェットプリンターが優位を占めており、レーザープリンターはシェアがまだ10%に達していない。フジゼロックスはプリンター生産だけでなく、ビジネス用オフィス機器分野でフォトコピー機からドキュメントセンターに至る幅広い商品を下は1百万ルピア未満から上は数十億ルピアまでの価格で取り揃えている、と同エグゼキュティブは紹介している。今月同社はイ_ア国内で新型レーザープリンター2機種を発売している。


「マッサージ店の老舗はブルシセハッ」(2006年10月23日)
マッサージ嬢とのセックス付きという汚れたイメージが一般的だったモダンマッサージパーラー界に健全なサービスを持ち込んだ老舗が1983年5月10日にPasar Mayestik に開店したGriya Bersih Sehat 。バンドン工科大学で土木建築工学士号を得たハリオノが興したこのビジネスはかれの思惑通りにぴたりと当たった。パサルマイェスティッに店を開く前、かれは1978年からすでにマッサージ事業を開始している。今では都内に6店、そしてバンテン州アニエルとバンドンにも各1店。サービス業であるブルシセハッにとってサービスの標準化は避けて通れないものであり、2000年6月にパサルマイェスティッ店でまずISO9002:1994の認定を受けた。さらにジャカルタの全支店はISO9001:2000の取得に成功し、バンドン支店も2006年3月にISOを取得した。ISO以外にも、都知事から2004年にAdhikarya Wisata の賞を受けている。
ブルシセハッは在留日本人層のお気に入りとなり、その後日本レストランMidori を店内に設けて来店客へのサービス向上を図っている。ハリオノはさらにビジネス拡大を図ってGriya Anyer そして美容サロンKirei を2003年9月、ビンタロにオープンした。それらの会社はDayuグループの傘下に置いたが、ダユグループはハリオノのファミリー経営である。ブルシセハッではマッサージだけでなくルルールのサービスも用意している。各店で異なっているとはいえ料金は決して安くない。それでもサービス内容にはそれだけの価値があるとハリオノは言い切る。たとえばパサルマイェスティッ店でマッサージは1時間8万ルピア、ルルールは90分で13万5千ルピア。それでもホテルサヒッ(Hotel Sahid)と比べればまだ安い。ホテルサヒッではマッサージが10万ルピア、ルルールは18万5千ルピアだそうだ。
ハリオノの経営戦略は従業員を定着させること、そして不安なく安心して働いてもらうこと。従業員が頻繁に入れ替わっては、顧客に安心感が生まれない。従業員が不安や怒りを心に秘めて客に接するなら、顧客の快適さは減少する。サービス業にとって当たり前のことだが、それができている会社はあまりない。だからブルシセハッは従業員に健康保険を用意し、また55歳まで勤続した者に年金を与えることにしている。
「従業員のジョブホッピングはできるだけ起きないようにすること。それが起こると会社も損をする。従業員には毎日安心感と楽しさを仕事の中で感じるようにしてやることだ。」ハリオノはそう語っている。


「ロンボッの真珠養殖産業」(2006年10月30・31日)
西ヌサトゥンガラ州ロンボッ(Lonbok)島のスンギギ(Senggigi)海岸に足を踏み入れたら、大勢の物売りが集まって来ること請け合いだ。かれらの中にはチェス盤ほどの大きさの箱をぶら下げている者がおり、箱のふたを開いて目の前に突きだして来る。そこにあるのは、指輪、ペンダント、イヤリング、ピアス、ブレスレット、ネックレスなど実にさまざまなデザインのさまざまな装身具。そしてほとんどすべてにわたって必ず真珠の粒が付いている。かれらは普通、1個5万ルピアから7万5千ルピア程度の価格で最初の値付けを行う。そりゃ安い、と思うなかれ。慌てて財布を出す必要はない。「ふ〜ん」と興味のなさそうな顔を見せれば、物売りの方から値下げをしてくる。巧みな心理作戦を織り交ぜてうまく値切ってやれば、1個1万5千から2万ルピア程度まで下がる。タワルムナワルはこの島でも有効だ。値切って気色張る物売りはまともな商売人ではない。
ところが今度は反対に、『そんな安い値段がつくのならひょっとしてニセモノでは?』という疑念に取りつかれても不思議はない。気後れしないで物売りに尋ねれば良い。「まさか、イミテーションじゃないだろうな?」すると物売りはライターを取り出して粒真珠をあぶる。もし溶けて燃えたら、正真正銘プラスチック製のイミテーション。本物だと判別がついたところで、まだ腑に落ちない。ジャカルタでは何百万ルピアもするというのに、ここではなんでそんな値段?その理由は簡単。ロンボッがパールアイランドだからだ。西ヌサトゥンガラ州の特産品は真珠。生産量は年1.8トンで過去5年間の輸出実績は年平均103万米ドルに上る。
養殖真珠は大きく分けて二種類ある。海水産と淡水産。真珠の価格は品質によって1グラム当たり10万ルピアから100万ルピア以上の価格帯に渡っている。海水産パールは、ロー、C、B、A、AA、AAAの6グレードに分かれている。表面の状態、輝き、形、色がそのグレードを決める。表面はきれいで瑕がなく、輝きが優れ、完全な球体で色が美しいものほどグレードが高い。グレードが高いほど値段も高い。淡水産パールの方は価格が1個2千から3万ルピアのレンジにあり、完全な球体で見栄えがよいものほど値段が高い。楕円形のものは1個2千から5千ルピアで売られているが、球体がつぶれた饅頭型の方が1個1.1万から3万ルピアと高い。淡水産パールはたいてい楕円形か饅頭型で、球体は稀だ。色も着色されるために多彩である。
淡水産は母貝に挿核を何度も行うので、ひとつの貝が5から7個の真珠を産するが、海水産ではそれができない。淡水産パールの価格が安い秘密がそこにある。一見、海水産と淡水産の区別は難しいが、形状とサイズでおおよその見当がつく。淡水産パールは小さめで、球体をしていないのが普通だから。
西ヌサトゥンガラ州の真珠生産はまだ最大限とは言えない。生産能力は年間3.7トンと計算されているが、いまだにその半分程度なのである。面積から見ても、真珠養殖が可能なエリアは23,381Haあるとされているのに、今養殖に使われている広さは8,478Haで三分の一程度。ところがそれほどの余力を残していながら、ここ数年の真珠生産は下降傾向を示している。西ロンボッで真珠養殖事業を行っているPT Budaya Mutiara の代表取締役は5〜10%の減少が見られると語る。1989年に操業を開始したこの会社は年間100キログラム前後の海水産パールを生産して全数を日本に輸出している。生産品はすべてハイグレードだ。
西ヌサトゥンガラ州の真珠生産が下降している要因の大きいものにふたつある。木材盗伐による森林破壊が進行の度合いを強めていること。真珠の養殖は穏やかで安定した状態の海を必要としているが、森林が破壊されることで海が汚れ、海水が濁る。雨季の雨は森林が破壊された山から一気に土砂や木々を海に押し流して海水を汚すのである。汚れた海水は母貝を弱らせ、死にいたらしめる。母貝が死ねば真珠養殖は失敗で、あとは貝殻装飾品製造者に死んだ母貝を売り払う以外にできることはない。PT Budaya Mutiara 社はギリグデの1千5百Haの海を定期的に清掃して母貝の保全に努力しているが、これは本来なら必要のない出費につながっている。
もうひとつの問題は、真珠の泥棒だ。昔の泥棒は母貝ごと盗んでいったが、今は中味だけを盗む。十分に育った真珠だけを盗んで貝はそのまま残していくから、いざ収穫時に開けてびっくりとなる。盗賊は海中に潜って四時間ほど出たり入ったりしながら仕事をするらしい。泥棒問題はすべての養殖業者が被害にあっており、珍しい問題ではなく、そうしてまた撲滅しきれない問題になっている。盗みは地元民が行うのでなく、盗賊は別の村からやってくるそうだ。そして盗んだ真珠はよその町で売り捌く。盗難被害はかなり大きいもので、かなりな金額にのぼっている。PT Budaya Mutiara 社は年間の盗難被害が6キロに上るそうで、それは真珠3千個に相当している。大自然を相手に精魂込めてできるかぎりの仕事をしても、その成果の一部が人間の手によって洩れこぼれて消えてしまうという状況は、生産者の増産意欲を殺いでいる。
加えて国内市場でも、中国産淡水パールが超廉価価格で出回っており、不法輸入品が国内市場に大きな歪をもたらしているのは衣料品・玩具・家電品など他のセクターと同じような状況だ。三重苦、四重苦の真珠養殖産業の未来も暗雲の真っ只中にある。


「人気急上昇中の美容サロンがスナヤンシティに」(2006年11月1日)
南ジャカルタ市にあるプラザスナヤンの向かいにオープンした、高級ブティックを集めたミニマリストモールのスナヤンシティに今人気上昇中の美容サロンがある。紫色を基調にした配色とヨーロッパ調クラシックデザインでインテリアを統一したこの華麗な美容サロンはその名もドゥグラムブティックサロン(D'glam Boutique Salon)。オープンしたのはつい最近の今年7月で、お気に入りとなった来店客がひきもきらずに訪れている。魅惑的で家庭的な店内の雰囲気は顧客をゆったりとくつろがせてくれる。壁に貼られた楕円形の大きな鏡の前にはシックな机と椅子が置かれ、机の上にはなんと小型モニターテレビがセットされていて、熟練ヘアードレッサーに頭を調えてもらっている間の無聊を慰めてくれること請け合い。
散髪・お手入れ・分析・マニキュアペディキュアスパ・マッサージ・ラウンジ・ミニカフェと機能的に分けられ配置された店内の中央に置かれたステージが洗髪スペースになっているのもこの店の特徴のひとつ。洗髪のために仰向けに反り返るとステージの上のドームに星空を見る形となり、ぼんやりと天井を眺める所在無さから顧客を救ってくれる。特別待遇を求める顧客にはVIPルームも用意されている。眼下にスナヤンゴルフコースとラグーンを眺めながらサービスを受けることのできるVIPルームは引く手数多で、オーナーはもうひとつ部屋を増やすことを検討中。
競争の激しい美容サロンビジネスに参入して瞬く間にこの成功を築いたオーナーのディナ・レスタリは今29歳。このドゥグラムブティックサロンがかの女にとって生まれてはじめてのビジネスだそうだ。一週間に4回は美容サロンに通っていたというディナはいつしか自分のサロンを持つことを夢見るようになった。はじめてこの業界に参入する人間は普通、スナヤンシティのような場所に店開きするのに臆するものだが、ディナは違った。トリサクティ大学の法科で学んだ才色兼備のかの女には秘めた計算があったにちがいない。10年以上の経験を持つ四人の美容師ムルサッ、ライディ、アリス、ヘンドロと手を組んだディナは、スタイルを持つ美しくて魅惑的(glamor)な都会人のための店にすることを目標にしてドゥグラムの経営にあたっている。だがそれだけでは今ひとつ、ここしかない、という差をつけるには物足りない。世界各地を巡ってその何かを探し求めたディナは、フランスの自然派整髪用品メーカーであるレオノール・グレイルを見出した。そのインドネシアにおけるディストリビューターになったディナはいまやもうひとつのビジネスも手がけはじめている。
今年8月にジャカルタを訪れた2006年ミスユニバースのズライカ・リベラ・メンドーサも来店したこのドゥグラムブティックサロンは意外にも、とてもお手ごろな料金でお客を待っている。


「今年のプリンター市場拡大は30%増」(2006年11月7日)
今年の国内プリンター販売は昨年から30%増加するだろうと業界者が語った。ヒューレットパッカードインドネシア(HP)のイメージング・プリンティンググループ販売担当取締役によれば、第三四半期の販売は第二四半期から低下するだろうが、年間では2005年の3割増となりそうだ、と市場予測を語った。IDCの統計によれば、今年第二四半期の国内販売はHP社のシェアがレーザージェットモノプリンターで87.5%、カラーで82.8%、またインクプリンターでも単機能が39%、多機能が71%という数値が示されている。
同社は今年レーザーとインクの両タイプをそれぞれ30機種市場に発売した。今年の市場はレーザーカラープリンターの需要の伸びが見られるものの、ローエンドはモノクロレーザープリンターがまだ圧倒的に優勢であるとのこと。インクジェットプリンターについてはデスクジェットローエンドがメインを占めている中で多機能型へのシフト傾向が見られる。グラフィックプリンターセクターに同社はZシリーズデザインジェットプリンターを10月に発売したが、統計数値はまだ入手できないものの売れ行きは好調で市場リーダーとなるのは間違いないと同取締役は感触を述べている。
今後もプリンター市場では多機能型がスキャナーを駆逐してそのマーケットを取り込んでいく傾向が確実視されており、マーケットの拡大はまだまだ継続するものと見られている。


「インドネシアは携帯電話大国」(2006年11月9日)
GSMシステム携帯電話オペレータの成長に促されて、アジア太平洋地区の携帯電話利用者は過去三年間で倍増した。同地区の携帯電話普及率は30%で、これはその地区に住む26億人がまだ携帯電話を使っていないことを意味している。今年9月までに新規登録は1.6億番号に達し、その7割は中国・インド・パキスタンが占めているが、インドネシアもバングラデシュやベトナムと肩を並べて大きな増加数を誇っている。
イ_ア情報通信担当国務省逓信総局のデータでは、国内携帯電話登録者総数は5,298万番号でそのうちの9割にあたる4,806万番号がGSM方式。イ_アの携帯電話利用者数はアジア太平洋地区で第4位であり、全体の6%シェアを占めている。因みにInforma, Telecoms & Media のリサーチデータによれば、2006年末に予測される携帯電話人口は次のようになっている。
国 / 利用者数(万番号) / 普及率(%) / 域内シェア(%)
中国 / 4億4,218 / 34 / 43
インド / 1億2,932 / 12 / 13
日本 / 9,956 / 78 / 10
インドネシア / 6,262 / 28 / 6
パキスタン / 4,724 / 29 / 5
韓国 / 4,103 / 81 / 4
フィリピン / 3,983 / 46 / 4
タイ / 3,591 / 54 / 3
マレーシア / 2,337 / 85 / 2


「衣料品ブティックが増加傾向」(2006年11月9日)
これまで百貨店のフロアで競合するブランド同士が一堂に会するというスタイルが一般的だったファッション衣料品販売の世界にブティック化の波が押し寄せている。インドネシアショッピングセンター運営者協会(APPBI)会長は、小売業者が自分の専用店舗を持ち、あるいは売場面積を広げようとする傾向が目立ち始めており、モールでの個別ブランド専門店は10〜15%増加している、と述べている。また従来はおよそ百平米前後だったブティックの床面積が150〜200平米に広がっていて、その傾向を捌くためにショッピングセンター側はブティック用スペースを増やす方向で対応している。モールにブランド専門店を持とうとする小売業者は増加傾向にあるが、マジョリティはまだPT Mitra Adiperkasa とPT Mahagaya Perdana が占めているとのこと。
この傾向はアッパーミドルクラスが特定ブランド商品に対してより多くの陳列品からの選択を求めるようになってきたためで、限られたスペースを多くのブランドに分配している百貨店にはその対応が困難であり、必然的に各ブランドは自己専用売場スペースを確保する方向に動きブティック増加という現象に至っている、と業界者は分析している。その傾向はアッパーミドルを対象にした百貨店が都内に著しく増加したためにドライブがかかっているとのこと。消費者は他人が着ていないエクスクルーシブなものを一層強く求めるようになっており、同じ商品を大量販売する百貨店を避けて専門性のより高いブティックに向かう傾向が強まっている。


「ニッサンが顧客満足度ナンバーワン」(2006年11月13日)
往時は月単位で待たされていた新車納入が、最近は驚くほどスピーディになっている。J.D.Powers Asia Pacific が毎年公表しているIndonesia Sales Satisfaction Index 2006年版によれば、2005年の新車納入日数30日は2006年に15日へと半減したとのこと。メーカー別ではニッサンが8日、トヨタは昨年の44日から今年は18日へと凄まじい短縮を行っている。
このサーベイは2005年12月から2006年6月までに新車を購入した1,834人を対象に行われたもので、2006年6月から8月までの三ヶ月間に面談調査が行われた。顧客サービスの満足度を図る要素として、納入プロセス、販売担当者、書類取扱、納入タイミング、ディーラーファシリティ、支払いの6ポイントに関して消費者の意見が集められ、自動車産業全体の満足度インデックスは757ポイントで、ニッサンは769ポイントを得て業界トップ、続いてトヨタも763ポイントという僅差で二位につけている。ニッサンは書類取扱以外がすべてトップのポイント、トヨタは書類取扱でトップのポイントを得た。この日系二社がイ_アにおける自動車業界顧客満足度レベルのハイランクに位置付けられている。


「インドネシアで大金を使うのは香港人」(2006年11月20日)
ビザインターナショナルアジアパシフィックが明らかにしたデータによれば、2005年にインドネシアを訪れた550万人の外国人の中でビザカードを使ってイ_ア国内に落とされた金は5.6兆ルピアにのぼったとのこと。その金は宿泊費や買物に支出されたもので、支出先のトップは男性女性用衣料品と手工芸品となっている。2005年のその金額は2004年から2割増の数字。最新データでは、男女用衣料品が1,380億ルピア、アート手工芸品1,320億ルピアで、また伸び率の著しいのは女性専用製品が160%、トランク・革製品が102%の増加という数値。たくさんお金を落としてくれるのはオーストラリア人・アメリカ人・日本人という順位。お金がたくさん落とされる場所はバリ・ジャカルタ・バタムという順位。しかしひとりあたりの支出金額を見ると、香港人がトップで次いでロシア人・イギリス人という順位。ビザインターナショナルのこの統計はサーベイによるものでなく取引決済データが分析されている。


「保証期間中の修理は治さないのが常識?!」(2006年11月20日)
2006年9月9日付コンパス紙への投書"Garansi Samsung Mengecewakan"から
拝啓、編集部殿。わたしの母はジャカルタフェアーでPT アルファリンクが大きい割引を付けたサムスンのデジタルカメラを買いました。ところがプリントすると写真がぼやけています。わたしがサムスンサービスセンターに電話すると、都内ハルコマンガドゥアにあるPT デジタルサービスサムスンにコンタクトするように言われました。そこを訪れてカメラをチェックしてもらったところ、ICに故障があるということでカメラを修理してもらうために先方に委ねて帰りました。修理が終わったら連絡してくれるということでした。ところが三週間過ぎても連絡がないためにわたしのほうから電話してみたところ、長い呼び出し音のあとでやっと電話に出た職員が「ICが壊れていて部品が来るのを待っている」と説明してくれました。部品がいつ届くのか予定を尋ねても、いつ来るのかわからないという返事です。舌戦に疲れたため、相手は部品が届いたらすぐに電話で連絡すると約束して電話を切りました。一週間後に先方から修理が終わったという電話が入り、わたしは今から取りに行くと相手に告げましたがいざそこに着いたら長い時間待たされ、買ったときの領収書と保証書は返してもらえません。カメラを倉庫に置いた時にそれらの書類はどこかに紛れ込んだということで、見つけたら郵便で送り返すと約束してくれましたがいまだに当方の手元に戻されていません。
カメラは修理されたことになっていますが、画像はいまだにぶれてぼやけています。サムスンのデジタルカメラを買おうと思っている消費者は十分用心するよう警告します。なぜならアフターサービスにたいへん失望させられるからです。[ 都内チプダッ在住、アンドリア・ディアン ]


「安い!タナアバンの超廉価品」(2006年11月20日)
女子大生のティヤス23歳は衣料品販売をサイドジョブにしている。「仕入れはタナアバンよ。安いし素敵な商品がいっぱい。」
タナアバン市場は東南アジア最大の繊維衣料品卸売り市場だが、個人が大勢まとめ買いをしにやってくる。自分や家族が使うためでもよし、あるいはそれを再販して稼いでもよし。デザインもさまざまなら素材もいろいろ。それでいて価格はクレージー。Tシャツ1ダース、色も四色取り混ぜてのお値段は14万4千ルピア。もし少量買いだと最低三枚で価格は一枚1万5千ルピア。バラ売で一枚1万5千ルピアの女性用部屋着は1ダース買えば一枚1万4千5百ルピア、バラで2万2千ルピアの寝巻きは1ダースで24万ルピア。短パンはバラ売りで一枚1万9千ルピアだがダースで買うと一枚あたり1万8千ルピアになる。
タングランのチココルに住むワティ30歳は、お腹が大きくなった友人たちに出産準備は60万ルピア持ってタナアバンへ行けば全部そろうから、と宣伝している。おむつ、ベビー服、ベビーパンツ、靴下、手袋、入浴セット、枕や毛布、哺乳瓶セット、抱き布、妊婦用胴衣やらバケツ、入浴用品など一切合財を60万ルピアで買ってくることができる。
首都圏の衣料品小売業者はたいていがタナアバンで仕入れをしている。かれらは大量に買って単価を下げ、利益を大きくしようとする。いや首都圏ばかりではない。国内の諸都市からも仕入れ商人がタナアバンへやってくる。かれらは大量の荷を送ったりみずから担いで故郷に帰り、地元の小売業者に納入する。それどころか、かつてはアジア域内や中近東アフリカからも買い付け商人がやってきた。タナアバン近辺にアフリカ人の姿が目立つのはその名残である。大勢の人間を招き寄せるタナアバン市場では膨大な金が回転しており、それを慕ってカキリマ商人も集まってくる。
10年前、タナアバン市場が黄金時代を謳歌していたころ、国内繊維産業はピークに達し、衣料品を製造する縫製工場があちこちに作られた。縫製家内工業センターが西ジャカルタ市タンボラ地区やタングランのチパドゥ、チプリルなどに生育したのもその時代だ。ところが今や中国産やベトナム産超廉価衣料品の大攻勢で、タナアバン市場では国産品を探すのすら困難になっている。おかげで繊維製造業界や縫製家内工業は続々と倒産しているありさまだ。しかし民衆の購買意欲は少しも衰えを見せない。


「車体の擦り傷修理は道端で」(2006年11月30日)
ジャカルタでは道端が店を持たない者たちの商売に利用されている。その中には、商人だけでなく四輪二輪自動車の洗車やらアクセサリー取り付け、果ては車体塗装修理といった商売まで行っている者がいる。塗装修理職人が集まっているのは中央ジャカルタ市プジョンポガンラヤ通り(Jl Pejompongan Raya)の水道会社前やスネン地区などだ。
プジョンポガン通りの道端でミニバス海軍公用車のフロントとドアをサンドペーパー掛けしていた職人の話では、その車は朝と夕方使用されるのでその間の時間はここに来て車体の傷の再塗装をしているそうだ。その日が二日目だと言う。傷が入った部分の塗装をはがしてパテを塗り、サンドペーパーで表面をこすってならす。そのあとボディと同じ塗料を使って塗れば元通りの身体になる。小さな引っかき傷だと塗料を薄く塗るだけで済むものもある。そういう経済的な修理は3万から5万ルピア。料金は客との交渉で決まる。そこへやってくるお客さんはタクシーや乗合アンコッの運転手から個人雇いの運転手まで幅広い。みんな口コミで超廉価サービスを求めてやってくる。個人雇い運転手が高級乗用車を持ってくることも少なくない。車を傷つけた場合、かれらはトアン(ご主人様)に知られると自分の立場が悪くなるため、トアンの知らないうちに早くそれを修理したい。かといってそれほど自己資金に余裕があるわけでもない。それらの必要性を満たしてくれるのがこの道端塗装職人たちなのである。なにしろ、超廉価でできる軽い傷の修理はなんと10分以内に終わってしまうのだから。
中古自動車販売ショールームがかれらの常連客になっている。タナアバン界隈のその手のショールームは何軒もお得意さんになっており、ショールームが新たな商品を入手するとたいてい上塗り注文が来る。これはボディそのままの状態で塗料を上掛けするという仕事で、一度塗料を落としてパテを塗り、表面を磨くという作業は行わない。そのため通常はキジャンや90年代中盤ころの乗用車が大半を占める中古車ショールームの新商品は、一台50万ルピアの料金で上塗りされる。アンコッの場合は値が上がる。ボディの塗装修理は90万〜175万ルピアで、塗料上掛けは100万ルピア近く。そこへやってくるアンコッはほとんどがベンヒル〜ロクシールートのもの。もし塗装を全部はがし、パテを塗ってきちんと再塗装しようと思うなら料金は250万から400万ルピアで、これも客と職人との交渉で決まる。
職人たちは午前8時ごろに「職場」にやってきて、緑陰に塗装道具や缶入り塗料、簡易溶接器具などを置いて客が来るのを待つ。店じまいは16時だが、ルバランのような長期休みになると20時まで営業する。ボディ全体の再塗装は超特急で4日かかる。そんな大仕事はひと月に2〜4台あるそうだ。もっと簡単な修理は一日に3〜4台。塗料選択の目はばっちり保証付きだ、と職人たちは言う。なにしろ10年選手という道端塗装職人もいるのだから。客の求めに応じて使われる塗料は一缶3万ルピアから数十万ルピア。個人や法人に雇われた運転手の失敗を助うためにも、かれら道端塗装職人は力強い味方なのである。


「顧客の苦情をないがしろにするカルフル」(2006年12月1日)
2006年9月15日付コンパス紙への投書"Kelebihan Debet di Carrefour"から
拝啓、編集部殿。2006年8月21日、わたしは都内クニガンのモールアンバサドルにあるカルフルで69万9千ルピアのテレビを買いました。支払はBRI銀行のブリタマデビットカードを使いました。ところがカルフル従業員のミスとアレンジ能力の欠如から、なんと154万8千ルピアがわたしの口座から引き落とされたのです。その結果84万9千ルピアの過剰支払が発生しました。過剰支払のために一旦その決済は取り消しがなされましたが、9月5日現在まだわたしの口座には返金がなされていません。その間わたしは何回かカルフルに電話して何人もの従業員とこの問題について話ましたが、かれらはみんなただわたしを慰めるだけで本気で問題解決をしようとはせず、銀行側の管理が悪いとして銀行の責任を言い立てるだけなのです。かれらは一様に「自分に権限がないから」と言ってこの問題に関わろうとしないので、それならストアマネージャーと直接話したいと言うと、かれらは一生懸命そうさせまいと努め電話番号すら教えてくれません。そのストアマネージャーが顧客の苦情を避け直接顧客へのサービスを行うことを厭っている姿が十二分に想像できます。カルフルのミドルマネージメントがそんな精神構造を持っていることをわたしは実に残念に思います。今回のできごとは、モールアンバサドルのカルフルが犯したミスによってわたしが自分のお金を使う権利が一方的に侵害されているというものであり、これはカルフル側のミスであって銀行側の管理上の問題ではありませんので、カルフルが自ら犯したミスに対して責任をとるのがあるべき姿ではないでしょうか?カルフル経営者はこの悪い例をお手本にして顧客の苦情取扱いシステムを向上させ、従業員やミドルマネージメントに対してもっとプロフェッショナルな仕事をするよう教育訓練の実施に努めてください。[ 都内チプテ在住、アロッ・カデイランタウ ]
2006年9月21日付けコンパス紙に掲載されたカルフルからの回答
拝啓、編集部殿。アロッ・カデイランタウさんの投書に関して、下の通りお知らせします。両者は直接会見して合意に達しましたので、その問題はすでに解決いたしました。[ カルフルインドネシア広報マネージャー、エルケ・ルチヤナ ]


「パサルスネンの古着市」(2006年12月8・11・12日)
中央ジャカルタ市パサルスネン。ジャカルタの長い歴史の中で屈指の商業センターだったこの地区もいまはスラムの趣が強い。しかし流通機能は衰えを知らず、下層階級にとっては今でも重要な買物場所の地位を維持している。顧客層がそうなっているからここで売られている商品は値段が安い。他では高い商品をここで安く売っているという意味でなく、つまり価格の安い商品がここに集まってくるということなのだ。ここ数年、国内衣料品製造業界を崩壊の淵に誘っている不法輸入衣料品、中でもこれ以上安いものはないという古着類もここで売られている。
インドネシアで中古品は輸入禁止だ。生産をするための機械設備、あるいは運輸資本としての乗物類など、事業資本となる資本財をはじめほんの一部の品目を除けば、中古品は輸入できない。しかしたとえば学校教育のために国民教育省から承認を得て中古コンピュータを大量に輸入するといった各個撃破的対応で中古品を国内に入れることは不可能でなく、なんらかの大義名分がつけられる場合は中古品が国内に入ってくる。しかし、中古衣料品には果たしてどんな大義名分がつけられるというのだろうか?津波地震被災者のための古着援助品が横流しされたというものもあるが、継続的な供給はむつかしい。そんなやり方はむつかしくてまだるっこしいという者たちはもっと簡単な方法を採る。不法輸入、いわゆる密輸を行うまでのこと。
古着輸入は2000年代に入ってから激しさを増した。カリマンタン北部や西部のマレーシア領から人間の背ほどもある大袋に詰め込まれた古着が海岸伝いにインドネシア領に運びこまれた。そしてまた、マラッカ海峡を越えてマレーシアからスマトラにも。言うまでもなく、イ_ア側に仕入れ人がおり、マレーシア側に卸商がいる。輸入通関を経ないで国内に入ったその大袋がそのまま売買される。小売り人の手元に渡るまでその中味が何なのかが不明なまま流通が行われるビジネスは、その奇妙さにおいて他に例がない。これではまるで福袋だ。それが可能なのは、その流れの中で大儲けする者と小儲けする者の違いはあっても損をする者がいないという背景があるからかもしれない。そんなビジネスは年を経るに連れてますます大きく組織化されていった。いまでは韓国・中国・日本そしてインドからさえ古着がインドネシアに入ってくる。こうしてパサルスネンが古着の流通センターとして国内津々浦々までその名を轟かせるようになった。やはり不法輸入されている新品廉価輸入衣料品のセンターがタナアバンやマンガドゥアであるのと同じように。しかし国によっては廃品である古着だから原価はないに等しい。流通費用や管理費用だけがコストというものもあり、古着の価格競争力はバツグンだ。
パサルスネンの輸入古着流通ビジネスは40人前後の輸入卸商を源とする。パサルスネンだけで4百人ほどの小売商がおり、毎週コンテナ10本分の古着がパサルに投入される。月商は80億から100億ルピア。そこでまとめ買いをした仲買人はバンドン、メダン、マカッサルなど各地に流通の網を広げ、個々の町に古着センターを生み出している。バンドンはチバダッモール(Cibadak Mal)、メダンはモンザ(Monza)といったように。
国法で禁じられているビジネスが白昼堂堂と大きな商業センターの一角で行われており、大勢の消費者が集まってきてほかにあまり例のない盛況を見せている。「これはマフィアビジネスだ。」と輸入卸商のひとりは言う。商品の流れに関わっている関係者はみんな、信用でつながっている。実に大勢が関与している。税関職員は言わずもがなとしても、シネトロン役者までが輸入古着ビジネスに手を出しているそうだ。「輸入禁止品の古着がイ_ア国内に入ってくる。不思議なことなど何もない。放射性廃棄物だってイ_ア国内に入ってくるのだから。古着輸入はむしろ税関職員の金儲けの場になっている。古着輸入は国内製造産業にとって大敵であり、これが栄えるために製造業界はつぶれる瀬戸際に追い込まれている。ところが政府は二面性そのもので、政府上層部は中古品輸入は禁止だという法令を作りその方針を明言しているが、現場では行政官僚が濁った水の中から巧みに魚を釣り上げている。」かれはそう洩らしている。
かつて役人たちは古着輸入を適当な金で見逃していたが、いまはそんなことでは終わらない。役人たちはこのビジネスの発展状況を目にしてもっと大きな身入りを獲得しようと態度を一変させた。その結果、100キログラム入り大袋が昔は50万から100万ルピアで小売商に卸されていたのが、いまでは350万から400万ルピアに跳ね上がっている。中味がブラジャーだと1,400万ルピアにもなる。ブラは大袋に1千数百枚入っているからだ。
パサルスネンで古着商が集まっているエリアはスネンバスターミナルの南側でパサルスネン通りをもう少し下った道路沿い。数百人の小売商がそこに集まっており、古着を山に積んで売っている。2X2メーターの売り場はひと月の賃貸料が1千万ルピアで、更に清掃費と保安費に7百万ルピアを納めなければならない。小売商の中には専門化した者もおり、ブラやパンティなど下着販売に特化している者もいる。その小売ブースでは一番やすいもので一点5百ルピア、上は一点数万ルピア。物の品質と状態で価格は違う。その商人は、売る前には一応洗ってしみを落としている、と言う。いくら古着であることを買う側も知っているとはいえ、汚れやしみのついたものを買おうという者はいない。ブラとパンティがセットになったものもある。それがたった1万5千ルピアで手に入る。「品物は上等だよ。ブラのひもは丈夫だし、長持ちする。これをモールで買えば何十万ルピアもするよ。」やってきた女性にブースの商人はそう口上を述べる。
そこで売られている商品が外国から輸入された古着であることを知りながら、大勢の消費者が集まってくる。古着が小売されていること自体からそれが国法を犯した品物であると理解している者がどれだけいるかわからないが、かれらにとってそれはどうでもよいことにちがいない。かれらにとってはむしろ輸入品であることが大きなメリットを生んでいる。
都内にある金持ち大学の学生たちが怖気も抱かずにやってくる。かれらの中に、小売ブースの商人にオーダーを出す者がいる。「Armani, Hugo Boss, Lacoste, Burberry, Dior・・・・・。こんなブランドのついている品物があったら自分が高く買うから、ほかのひとに売らないでよ。」ビンテージモデル、サブリナネック、ブーツカット、ベビードール・・・「こんなデザインのものがあったらわたしが買うから。」大学でバンドを組んでいる青年やファッションマニア娘たちが古着市でユニークなデザインを求める。「ここで見つけたブラウスと同じものを着てる子はジャカルタ広しといえどもまずいないわね。都内のブティックで珍しいのを買っても、同じものを持ってるひとが必ずいるもの。」パサルスネン界隈にちょっと不似合いな色白の女子大生はそう語る。
パサルスネンは下層階級の市場だが、この古着市ではモール族の姿をよく目にする。地方部から上京してきたひとたちも古着市でお土産を大量に買って帰る。ただかれらは、よほど親密な相手以外、どこでそれを買ったのかを口にすることはない。バンジャルマシンから来ている女性は、何ダースもの古着を購入した。自分が着るため、子供や孫のため、友人たちへのお土産。支出したのは40万ルピアほど。ほとんどが外国産であるとすぐわかるものだ。外国で買ったのかともらった者は尋ねる。その返事にかの女は「ヤー」と言うだけ。「だって、恥ずかしいもの。」どんなに状態が良くても、古着をもらって喜ぶ人は少ない。
別の女子大生のひとりも、もう何回もここへ来て古着の山をひっくり返している、と語る。「すっごい興奮するのよ。宝の山を掘り返してるみたい。だいたいみんな品質がいいし、状態のいいものが多い。ほかのどこを探したって同じものは見つかんないわ。キャンパスであんまり親しくない子があたしの服をどこで買ったか尋ねてきたから、モールって言ってやったの。メクラになるまで探したって見つかんないわよ。」
そう語るかの女は、買った古着を持って帰るとまず消毒する。熱湯と消毒剤に浸して一晩置くのだそうだ。別の大学生は味精(グルタミン酸ソーダ)の溶液にまず浸す。そうすると色がもっと鮮やかになる、と言う。それを絞って乾かしてから、ふたたび熱湯と洗剤と消毒剤に浸すのだそうだ。水はどぶのように真っ黒になったらしい。みんな不潔な古着を着て皮膚が冒されるようなへまはしない。かの女たちモール族が怪しげなパサルスネンをうろついて大丈夫なのだろうか?「できるだけ浮浪者っぽいかっこうをするのよ。着古したシャツに短パン、ゴムぞうり。買物を入れるリュックは必需品。」と言いながら、しみのない清潔な肌、爪もよく手入れが行き届き、歯列矯正の針金が垣間見える歯にそんな服装をしているかの女は、どこから見ても浮浪者には見えない。


「飲料品業界が社会デマの標的に」(2006年12月22日)
先に報道された「含有防腐剤不表示の飲み物」(2006年11月23日)に見られるように民間団体が行った市販飲料品に含有されている防腐剤検査結果が報告され、含有内容と表示の問題から食品薬品監督庁が一部メーカーに対して改善措置を取るように警告し、対応姿勢を見せないメーカーに市場回収を命令するという事件があった。問題になった含有防腐剤はナトリウムベンゾエートとカリウムソルベートで、それらは飲料品用防腐剤として国際的に容認されているものであり、食品薬品監督庁が市場回収を命じたのは正しいラベル表示をさせるためであって毒性云々の問題によるものではなかった。その対象となったのはMizone, Zporto, Mogu-Mogu, Jungle Juice, Zestea。さらにもうひとつ異なる要因で市場回収を命じられた飲料品があり、それはBoyzone, Zegar Isotonik, Coffee Cup, Jelly Cool Drink で、こちらも毒性云々の話しではなく、食品薬品監督庁に届出がなされていないというのが回収命令の理由だった。
そんな状況に対して事実とは異なる噂が社会にばら撒かれた。「商品名『xxxx』は人体に危険な防腐剤を含有している」という噂が。噂を真に受けて多くの消費者がそれらの商品を購入しなくなり、商品名までいちいち覚えていられない消費者は清涼飲料水一般を避けるようになった。こうして業界の売上が急激に低下した。本当は何の問題も蒙っていない商品だというのに、小売業者や卸売り業者の中に売れないからという理由で工場からの仕入れをストップする傾向が高まり、生産者は大きな痛手を受けて中には生産を中止するメーカーも出始めている。そんな混濁した状況をさらにかき混ぜるかのように末端行政で市場流通禁止命令を出すものすらあらわれた。バンドン市保健局は23の商品名をあげて市場からの回収命令が出ているという回状を発行し、南ジャカルタ市警察も20品目の飲料品が流通禁止措置を受けているという回状を出している。そんな状況に乗じて悪徳公務員が市場検査を行いそれらの名前が上がった商品を没収するという行動に発展しているため、流通・小売業者は本当は何の問題もないものまで怖がって仕入れをしないようになっている。飲食品事業者協会はこの事態を重く見て、社会に正しい情報を至急流すことで消費者の誤解を解く努力に協力するよう食品薬品監督庁に要請している。
この種の社会デマによって飲食品生産者が大きな損害を受けるという事件は何十年も前から折に触れて発生しており、中でもブタに関連する宗教禁忌に触れている(ハラム)という噂が多数を占めているが、被害を蒙ったのはラーメン、食用油、クルプッ(せんべい)、バソ(肉団子)、チーズ、化学調味料、パンなどさまざま。特定商品に関するハラムイシューはウラマ評議会のハラル審査部門が最終的に答えを出すわけだが、それ以前から噂が盛り上がって生産者は大きな打撃を受けるのが常で、これもイ_ア社会が持つひとつの傾向と理解する必要があるだろう。


「モダンマーケットでの家電品販売が急成長」(2007年1月15日)
首都圏エリアにおける消費者の家電品購入場所がハイパーマーケットをはじめとするモダンマーケットに大きくシフトしており、在来型の家電品販売店は生き延びるのがいっそう困難になるだろう、とエレクトロニクスマーケタークラブが表明した。同クラブスポークスマンは最新の傾向について、国内全体で20兆ルピアを超えている家電品販売は13%がモダンマーケットでのもので残りはトラディショナル型小売店が占めているものの、ジャボデタベッ地区ではモダンマーケットのシェアが34%に達していると報告した。モダンマーケットの売り場面積拡大に押されて、この先5年後には首都圏で70%、全国で30%がモダンマーケットのシェアになるだろうと業界筋では見ている。
モダンマーケットによる販売促進はきわめてはなやかで、割賦購入に金利ゼロあるいはクレジットカード会社とのタイアップで2割引きなどといった派手な販売手法を用いており、一般の小売商店が旧態然たる売り方を変えなければそのうち死活問題になるだろうと見られている。全国の伝統型家電品販売店は5千店あるが、既にちらほらと店仕舞いの話しも聞こえてきている。消費者は現物を見、トライし、その場で買って持ち帰るという傾向が今後もますます強まることが予測されるため、在来型商店のようにカタログしか店に置いていないという売り方では早晩モダン小売店に駆逐される運命が待ち受けている、と同スポークスマンはコメントしている。


「男性もスパへ」(2007年1月19日)
スパは女性のためのものだそうだが、インドネシアではスパでのサービスを求めて男性もたくさんやってくる。リラックスした雰囲気の中で精神と肉体を手入れし、心身をリフレッシュさせるのは女性の専売特許ではないということのようだ。スパが提供しているサービスはさまざま。肌や身体のお手入れから髪の手入れ、ボディポリッシュ、ハイドロセラピー、マッサージ、マニキュア・ペディキュア、フェイシャルトリートメント、ボディスクラブ、髪と頭皮のトリートメントまでセットになったものもあれば個々にアラカルトサービスで、と選り取り見どり。
南ジャカルタ市ダルマワンサ地区にあるThe Bimasena Spa では、男性客のお好みはマッサージとフェイシャルとのこと。ジェントルマンズフェイシャルと銘打たれた男性向けファイシャルトリートメントは60分間で40万ルピアという料金。ここにはジャクジ、シャワー、スチームバス、サウナが完備されており、利用者も多い。ジェントルマンズフェイシャルは日焼けした肌の手入れを目的にしており、また肌の色から赤っぽさを抜く効果もある。フェイシャルをしにビマセナスパを訪れる男性は会員ひとりに対して非会員が四人というシェア。フランス製のクリームやパックなどで十分な潤いを肌に与えてテクスチャーを整える。月に一度はこのトリートメントを受けることをお奨めしますと同店のセラビストは語る。
ホテルグランマハカム内にあるGrand Odiseus を訪れる男性客はマッサージがお好み。女性客にはロイヤルヘリテージボディトリートメントやジャバニーズルルールあるいはバリニーズボレーなどが人気の的だが、男性客の注文の多くはアロマセラピーマッサージやトラディショナルマッサージ。身体をリフレッシュし肌を繊細に磨き上げるために、リラクシングオイル、リフレッシングオイル、ウオーミングオイル、ブレスフリーオイル、カーミングオイルなどが使われる。アロマセラピーマッサージの料金は1時間あたり17万5千ルピア、ジャバニーズトラディショナルマッサージだと15万ルピア。この店は男女どちらのお客でも大歓迎だが来店客は8割方が男性とのことで、男性客のシェアが圧倒的。


「2006年自動車販売メーカー別番付」(2007年1月22日)
2006年の国内四輪車販売台数は318,876台で、史上空前の記録を作った2005年の533,841台から大きく後退した。しかしブランド別番付を見ると万年首位のトヨタの王座は揺るがず、二位三位も前年の地位を維持している。ビジネスインドネシア紙が集めたデータでは次のようになっている。
2006年年間販売台数
1)トヨタ 123,699台
2)三菱   47,023台
3)スズキ  44,760台
4)ダイハツ 33,021台
5)ホンダ  30,000台
6)いすゞ  16,605台
7)日野    4,193台
8)日産    4,007台
9)KIA   3,852台
10)フォード 3,516台
11)ヒュンダイ3,003台
2005年年間販売台数
1)トヨタ 182,775台
2)三菱   89,158台
3)スズキ  87,274台
4)ホンダ  53,750台
5)ダイハツ 48,762台
6)いすゞ  25,010台
7)日産   10,551台
8)KIA   8,668台
9)ヒュンダイ 6,391台
10)日野   6,145台
11)フォード 5,727台
トヨタアストラモトル取締役社長は「例年トヨタのシェアは35%前後だが2006年は39%まで上がった。これは異例のことだ。」とコメントしている。


「サリナ」(2007年1月24日)
「サリナデパートで買い物しなければジャカルタへ行ったことにならない。」国内外からのツーリストにそんな言葉が語られたのはもう何十年も昔のこと。タムリン通りの一等地に国営サリナデパートがオープンしたのは1962年8月17日。当時のスカルノ大統領の肝いりで造られたジャカルタきっての最新ショッピングセンターにはインドネシアではじめてのエスカレータが設けられ、動く階段を体験しに大勢の都民が訪れた。サリナのオープンはジャカルタで開催される第4回アジア大会の賓客を収容するために建設されたホテルインドネシアのオープンと時を同じくしている。このアジア大会のためにスナヤン陸上競技場、スディルマン通り、スマンギ立体交差、ホテルインドネシア前ロータリーなど首都ジャカルタの骨組みをなすインフラが建設された。
サリナはそれ以来80年代までジャカルタの商業センターのトップクラスにいたが、80年代中盤から90年代前半にかけての首都大開発の波に乗って続々とオープンしたモダンなショッピングセンターに押されて王座から転落して行った。今サリナデパートは中小零細事業をサポートする使命を担ってかれらの商品を一般庶民に幅広くオファーする場としての役割を果たしている。中でもプカロガン、ソロ、ジョクジャ、チレボン、マドゥラ、ブタウィなどジャワ島各地に散らばるバティックが集められ、およそ百軒にのぼる小規模生産者のアウトレットになっている。バティックばかりかみやげ物手工芸品も二百軒近い小規模生産者が製品をサリナに並べている。サリナデパートの4階5階はインドネシア物産売り場として国内外のツーリストが足を向ける場所になっている。
14階建てのサリナビルは6フロアーが百貨店として使われており、ローカルデザイナーの衣料品からアクセサリー類、靴、バッグ、ベルトから文房具や日用品、香水・化粧品などさまざまな商品も取り揃えられている。1階にはテイラーもあって毎日9時から22時まで仕立ての注文を待ち受けているし、マクドナルド、バソマランカラピタンやMUカフェなど来店客に飲食を提供する店にも事欠かない。ビルを取り巻く駐車場は5〜6百台の自動車を収容することができる。
ほかのコマーシャルショッピングセンターに比べて比較的廉価に値付けされた全国各地の小規模生産者の製品の中に手ごろなお土産が見つかるかもしれない。ジャカルタへ来たら一度はサリナデパート4〜5階のインドネシア物産売り場へどうぞ。


「2006年の広告宣伝市場は30兆ルピア」(2007年2月22日)
2006年に支出されたメディア向け広告宣伝費は30兆ルピアで、2007年はそれから更に20%アップするだろうとニールセンメディアリサーチが報告した。2006年の支出実績を商品カテゴリー別に見ると、テレコミュニケーションが1.98兆ルピアで首位におり、タバコが1.61兆で二位、三位は1.51兆のヘアケア製品、続いて二輪車が1.3兆、メディア・プロダクションハウスが1.04兆、企業広告1.01兆、洗顔剤0.99兆、洗剤柔軟剤0.84兆、銀行0.83兆、保健飲料0.80兆といった順に並んでいる。ニールセンメディアリサーチによれば、2006年の広告宣伝は販売促進と社会イメージ作りが主流を占めていたが2007年は商品広告の伸びに加えて企業社会責任に関連する企業イメージ広告が増加することが予測され、それらが2割増をもたらす要因であるとしている。
媒体別には2006年もテレビが69%でナンバーワンの座を占め、次いで新聞27%、雑誌4%というシェアだった。新聞が2005年から23%も上昇したのは特筆すべき現象であり、2007年の新聞広告はテレコミュニケーション、不動産、教育、ハイパーマーケット、二輪車などのカテゴリーで埋められることになりそう。テレビは売れ足の早い日用品、テレコム製品、企業宣伝がメインを占め、雑誌はこれまで同様にスーパーマーケット、テレコム製品などが目立つだろうと予測されている。


「デジタル写真プリント」(2007年3月1日)
デジタル写真プリントビジネスはますます隆盛の一途をたどっている。コダックインドネシアのプリントリテール業が30%も売上を伸ばしたのはその表れのひとつ。インドネシア国内の写真プリントは既に60%がデジタルソースによるもので、フィルムを使った写真プリントを凌駕してしまった。とはいえコダック社はこれまで通りフィルムスチル写真に対するサービスを続けていく考えで、特にクオリティを求めるプロフェッショナルフォトグラファーの需要を維持することも方針のひとつにあげている。高品質画像のレベルでは、デジタルソースは20メガピクセルを超えるものでなければフィルムに太刀打ちできないそうだ。
2000年まではカメラ販売が写真プリントよりもはるかに大きな売上をもたらしていたがいまではそれが逆転しており、写真プリントビジネスは拡張する一方であるとのこと。KODAK Express 店は全国に428ヶ所の拠点を設けて4Rサイズのプリントを一店あたり一日平均1千5百枚印刷している。価格は所在地の購買力に従ってバリエーションがあり、一枚1千から2千ルピアの間。このためKODAK Express 店全体では一日の売上が10億ルピア台に達している。


「製品クローニング」(2007年3月12日)
大手モダンマーケットが自社ブランド品を自店で廉価に販売する習慣は既に定着しているが、アルファマート、ジャイアント、カルフルなどが販売している自社ブランド品の中にその商品カテゴリーで売れ筋ブランドの製品が使われているケースが多い。Niceブランドの紙ティシューメーカーであるPT Univenus はアルファマートにPasブランドで製品を納入し、ジャイアントにはGiant、カルフルには”1”というブランドでそれぞれに自社製品を卸している。化粧用コットンはSlectionブランド生産者のPT Tarunakusuma Purinusa がアルファマートにPasブランド、ジャイアントにGiantブランドで自社製品を納入しており、一方、カルフルはWellnessブランド生産者のPT Cottonindo Ariesta 社からカルフルブランド化粧用コットンを仕入れている。カルフルブランドの綿棒は化粧用がIdealブランドの生産者から、乳幼児用はIchibanブランド生産者から仕入れ、辛味ケチャップはKokitaブランド生産者のPT Ika Foods に作らせている。
業界者の一部はそれをクローニング行為と呼び、健全なビジネス習慣からはずれたものという見方をしている。トップクラスブランドを製造しているメーカーがブランドを変えることによって同じ製品で市場シェアを高めようとし、おまけに価格差を大きくして中級セグメントにまで参入してきているというのだ。しかしそれは見方を変えれば別の様相を呈するものだ。大型モダンマーケットがプライベートレーベルの商品ラインを強化しているというのがその実態であり、生産メーカーのシェアを高めてやるといった意図はそこに存在していない。しかし中にはこのような見方をするひともある。「新規ブランドを興す生産者は1からスタートしなければならない。ところが大手商店は自社ブランド品を有力メーカーに作らせる。クローニング方式で大手商店は投資や商品開発など何もなしにある日突然競争力のある自社ブランド品を市場に送り出すことができる。他のブランドがその競争に負けるのは当たり前だ。」
しかし大手モダンマーケットの自社ブランド戦略も製造業界に対して悪影響を持っていないわけでもない。自社ブランド品の納入契約はたいてい3ヶ月という短期間であり、大手モダンマーケットは次の契約のために頻繁に多くの生産者を集めて入札を繰り返す。だから生産者にとっては短期の一発ビジネスにしかならない。だから政府はその不健全なクローニング方式も含めたモダンマーケットの自社ブランド販売を規制しなければならない、という声があがっている。


「クラブストアが身売り」(2007年4月9日)
国内第5位のハイパーマーケットと言われていたThe ClubStore が残っていた店舗を売り渡した。クラブストアは1995年にPT Wicaksana Overseas International の孫会社として設立されたPT Mutiara Ritelinti Wira が1996年から運営してきたモダンマーケットで、最盛期にはジャカルタ、メダン、バリに5店を擁していたがジャカルタのモールマンガドゥア店、モールアルタガデイン店、メダンのビンジャイ店、バリのモールディスカバリーショッピング店は2005年5月以降次々と閉店した。そして今年3月には自前の建物だったタングランのSCBDビルでも休業状態に陥った。ムティアラ社はオフショー借り入れを得ていたが結局返済不能となり、ついに事業をストップして資産を売却することにした。購入したのはスーパーマーケット「レズキ」を運営しているレズキグループで、Supermarket Rezeki はクラパガデイン、プルイッ、ガジャマダの都内三ヶ所に開店して生鮮果実をメインに販売している。ムティアラ側は、レズキグループはSCBD店をレズキとは異なるブランド名で経営することになるだろうと述べている。
クラブストアは休業に入る直前の3月20日過ぎに急遽全サプライヤーを集めて操業停止を通告し、納入した商品に対する支払は40%を二回分割で行うことを表明した。サプライヤーの中には1億から3億ルピアの請求金額を抱えている者もおり、焦げ付きの発生に頭を痛めている。


「売りテクニックは執拗な押しの一手」(2007年4月17日)
2007年3月12日付けコンパス紙への投書"Terganggu dengan GE Money"から
拝啓、編集部殿。わたしはもうここ数週間、GE Money Indonesia のマーケティング担当やカスタマーサービスから頻繁な電話攻勢を受けて困っています。一日に10回もわたしの携帯電話宛てにかれらから電話がかかってくるのです。発信者の電話番号は(021)25537000, (021)25536900, (021)25546500, (021)25508100, (021)25547500, (021)25547900などさまざまです。それどころか、会社へも自宅へも電話攻勢は所を選びません。わたしはその電話に一度応じたことがあります。かれらは現金ローンを勧誘しているのですが、わたしはローンを必要としていないためにそれを断りました。それなのにいつまでたってもわたしに電話してくることをやめず、わたしはたいへん迷惑を感じています。
嫌になったのでわたしはGEマネーインドネシアのカスタマーサービスに電話し、マーケティング担当者がわたし宛に電話しまくるのをやめさせてもらえないかと尋ねました。するとその担当者はそれに答えてなんと、それらの電話は無視すればいいのですと言い、わたしの携帯電話に自動的に電話をかけてくるシステムなので、どうにもできないとも言いました。わたしはまるで借金返済ができないために集金人に追い掛け回されている人のような気分です。わたしはGEゴールドマスターカードを4年前から使っていて、ここのところ請求金額ゼロが続いています。またカルフルショッピングカードも2年前から持っていますが、GEマネーインドネシアから10%のキャッシュバックがあるというので最近はジャイアントで使っただけです。こちらの方は少額の請求が続いているのですが、残高を一挙に全額返済してGEマネーインドネシアにカードを返そうと考えています。わたしはこれまで一度も返済期限に遅れたことがありません。
朝5時半ごろからGEマネーインドネシアはわたしの会社に電話をよこし、午前10時までには三回も会社に電話が入ります。GEマネーインドネシアは顧客に金を融通することについてそれほどまでに意欲的なのですか?勧誘ですか強制ですか?GEマネーインドネシアは顧客のプライバシーを尊重し、顧客の快適さを害しないようにできませんか?[ 南ジャカルタ市ウィジャヤ通り在住、グレースリー・ファニタ ]
3月22日付けコンパス紙に掲載されたGE Money Indonesiaからの回答
グレースリー・ファニタさんの3月12日付けコンパス紙に掲載された投書についてお知らせします。GEマネーは3月12日にグレースリー・ファニタさんにコンタクトし、ご本人の苦情をクリヤーにしました。GEマネーは確かに現金ローン勧誘のために数回グレースリー・ファニタさんにコンタクトしました。しかしご本人の要望によって、GEマネーはカスタマーマーケティングリストからご本人の名前を2007年2月26日に削除しています。削除して以降、当方はご本人宛てにサービス勧誘を一切行っておりません。その日付以後にGEマネーインドネシアがグレースリー・ファニタさんにコンタクトしたのは、カルフルショッピングカードの支払期限をリマインドするためでした。わたしどもの説明をグレースリー・ファニタさんは諒承してくださり、当方から提案した解決に賛成していただけました。[ GEマネーインドネシア、デンディ・ダニアント ]


「首都圏の所得階層統計」(2007年4月24日)
ACニールセンの最新データによれば、首都圏住民の所得階層構成は次のようになっている。これは同社が2007年に公表したもの。
所得階層
A1   月収300万ルピア超
A2   月収200〜300万ルピア
B    月収150〜200万ルピア
C1   月収100〜150万ルピア
C2   月収70〜100万ルピア
D    月収50〜70万ルピア
E    月収50万ルピア未満
ジャカルタ
A1   13%
A2   16%
B    20%
C1   25%
C2   18%
D    4%
E    3%
ボゴール・タングラン・ブカシ
A1   2%
A2   5%
B    11%
C1   23%
C2   32%
D    17%
E    11%


「社会デマが企業を倒産に追いやる」(2007年4月26日)
「含有防腐剤不表示の飲み物」(2006年11月23日)に続く「飲料品業界が社会デマの標的に」(2006年12月22日)といった一連の報道記事に見られるように、もともとそのような意図で出されたものでない発表がいつのまにかどこかで歪曲され、何を狙ってのことかよくわからないまま事業者の中にその影響を蒙って経済活動が困難になるという事態がインドネシアでは折に触れて発生する。
一見きわめてバカバカしい社会現象なのだが、一般大衆消費者がそのデマを信じ込んでしまい、マスメディアで本当のところが発表されてもそれを信じようとせず、自分の生活環境に近いところで流通している口コミ情報のほうにより高い信憑性を与える。これがロートラストソサエティの恐ろしい一面だ。現実に過去の長期にわたって政府が国民に対して行なってきた情報操作やうわべだけの政府発表は国家上層部に対する不信の根を深く植え付けさせ、また政府の資本家に対する腐敗と癒着の実例は行政が産業界を搾取できるようにするために産業界が国民の健康を蝕むようなことを行なってもそれに目をつぶって資本家を儲けさせてやるだけだ、という思いを大多数国民の意識の底に醸成してきた。だからそんな感覚を一般庶民の頭から追い払うには長期にわたって正直さを示して見せる以外に方法がない。
今年第二四半期に飲食品業界の中堅と大手の三社が会社を閉鎖する予定にしていると飲食品産業連盟(Gapmmi)が公表した。PMDN2社は中規模の会社で、過去数十年にわたって飲料品の生産を続けてきておりその間政府の衛生や品質に関する規定に違反したことはない。もう1社は大手のPMA企業である由。それらの会社は昨年の防腐剤入り飲料に関する社会デマのためにドラスチックな販売減を蒙り、ついに会社存続の危機に直面して事業閉鎖の結論に至ったとのこと。昨年11月から今年1月にかけて閉鎖を決意したそれらの会社は今も細々と生産を続けているが、経営者は工場資産売却のほうにエネルギーを注いでいる。
オルバ政権の全否定が製造セクターに対する及び腰の産業政策を招き、製造会社の多くはサバイバルのために生産活動をやめて流通活動に転換した。この流れが非工業化社会云々の話を経済オブザーバーたちの口に載せさせるようになったが、本質はまったく別のところにあった。さらに石油燃料大幅値上げや電力料金あるいは最低賃金の上昇などで製造コストが激増し、国内にある自社の製造施設を使って生産するよりも外国の工場に作らせた自社ブランド品を国内市場に流すほうが経済効率が良いという状況が出現したのだ。それは石油燃料大幅値上げで暴落した国民購買力に合う市場価格を求める製造業界にとってサバイバルのための方策でもあった。そのような形でいためつけられてきた飲食品産業界の中で、今回の防腐剤社会デマや不健全な事業競争のだめ押しを受けて経営がおかしくなってしまったのがそれらの会社である、と飲食品産業連盟の法規担当理事は語っている。


「気が利かないのか、気を利かせないほうが儲かるからか?」(2007年4月30日)
2007年2月26日付けコンパス紙への投書"Waspadai Asuransi Jiwa Manulife"から
拝啓、編集部殿。わたしはインドネシアマニュライフ生命保険会社のホスピタルベネフィットに加入しています。2006年12月、わたしは妻や子供たちもその保険に一緒に加入させようと思い立ち、いくつかの条件を処理して追加料金も支払いました。2007年1月5日に保険料金を支払ったのに、ひと月たってもそれに関する連絡がなにもありません。わたしがカスタマーサービスに電話すると、わたしがまだ満たしていない条件があると言うのです。料金を受け取ったあとマニュライフはどうしてすぐわたしに、まだ不備な条件があることを教えてくれないのですか?それともわたしの妻子が保険に入る猶予期間である支払後60日という日数を超えるようにわざと行っていることなのでしょうか?すべての顧客にそのような扱いをすれば、マニュライフはそこから巨大な収入を手に入れることができます。もっと怖いのは、クレーム償還を難しくされることです。保険の加入を考えているひとは、請求ばかりすばやく行うのに加入者の権利を軽んじるような保険会社を選ばないよう警戒してください。[ タングラン在住、アワン・ムナザ ]


「チオマス産の廉い靴」(2007年5月14日)
ボゴール市のボゴール駅とタマントピの間にあるニラジャプルマス(Jl Nyi Raja Permas)通りへ行くと、驚くような値付けがなされた履物を売っている店が軒を連ねている。モールやショッピングセンターの履物コーナーへ行けば10万ルピア札1枚だけでは決して手に入らない最新流行ファッションの靴がここではなんと一足6千5百から3万ルピアまでの価格で売られているのだ。「ここは生活にあまり余裕のない低所得層のひとびと向けをメインにしてます。」と店主のひとりは言う。かれらの多くは小売が本業ではなく、地方部への大量卸でビジネスの屋台骨を支えている者が多い。チオマス(Ciomas)で生産されている履物の流通の鍵を握っているのがかれらなのだ。
チオマス郡にあるムカルジャヤ、シルナガリ、パシルウリ、コタバトゥ、チカレッなどの村々では数千人の履物製作職人が靴、スリッパ、サンダルなどさまざまな色やデザインの履物を生産している。履物は女性向けが圧倒的に多い。男が同じ靴を何年も使うのはなんらおかしいことではないが、女性は流行の推移に応じて数ヶ月に一度は靴を変える。女性の流行への憧れは低所得層でも変わりはない。数ヶ月おきにモールで靴を買い換える余裕のない女性たちの需要をチオマスの靴が満たしている。だからチオマスの靴は安いけれど流行には敏感で、職人たちに製作オーダーを出す卸商人たちはインターネットで最新流行のデザインを調べ、それに応じたものを作らせる。もちろん廉価だからモールで売られているのと同じクオリティを期待してはいけない。最新ファッションでしかも手ごろな価格なのだから、長持ちを期待するようなものではないのだ。
卸ビジネスは国内全土に及ぶ。バンダアチェからパプアのティミカまでチオマスの靴が各地の地元ディストリビュータの手に渡り、田舎のパサルへと流れて行く。ニラジャプルマス通りの卸商のひとりは、女性用靴やサンダルをひと月に5万足、地方都市に発送していると語る。このビジネスは薄利多売なのだ。品質指向でないのは当然なのである。地方への卸ビジネスを30年間続けているという別の商人は、毎月男性用革サンダルを2万足、スマトラの各地へ送っていると言う。一足の売値は1万ルピア。90年代にはサウジアラビア、ナイジェリア、インドなどへ輸出したことすらあるそうだが、結局中国産に敗れて長続きしなかった。
売値が安いということはコストが安いことでもある。ムカルジャヤ村の職人のひとりは、サンダルを一足作って手間賃は1千ルピアだと語る。職人に履物を作らせて大量に全国に流しているかれら卸商人たちは、品質のことで職人たちにうるさい注文はつけられない、と語る。「雇用関係もなく、また手間賃もほんのわずかなものだから、ちゃんと糊付けされてくっついていればそれでよしとしている。」低所得層向け底辺ビジネスの限界がそれであるにちがいない。


「保証期間を過ぎると壊れる家電品」(2007年05月18日)
2007年3月24日付けコンパス紙への投書"Daya TahanTelevisi Sony Terbatas"から
拝啓、編集部殿。2005年9月1日、わたしはソニーグランドウェガ42インチTV受像機とソニーホームシアターを北ジャカルタ市クラパガディンのソニーセンターで購入しました。1年ほどたった2007年1月、そのテレビ受像機は機能しなくなりました。マンガドゥアのソニー公式サービス業者の技術者に見てもらったところ、プロジェクターランプが壊れていると言うのです。ところが取扱い説明書によれば、プロジェクターランプの寿命は3千時間だと記されているではありませんか。わが家ではほかにもテレビ受像機があるので、そのテレビを点けっぱなしにしていません。一日平均3時間程度の使用ですので、ラフに計算しても365日かける3時間で1,095時間ほどにしかなりません。部品交換をするにもプロジェクターランプは350万ルピアとかなり値が張り、またソニーはその部品に対して1ヶ月しか保証を与えてくれません。顧客に満足を与えないその保証期間はほんとうにソニーの方針なのでしょうか?
偉大なブランドネームと高い価格に不似合いなソニー製品の品質にわたしは大きい不満を感じています。ソニーカスタマーィンフォーメーションとソニー公式サービス業者に対しても、新品が短期間に壊れ且つ部品の値段が高いにもかかわらず保証が伴われないことについての十分な情報と納得できる説明を与えてくれないことに関して不満を覚えています。ソニー製品を買うときには注意が必要です。


「広告宣伝市場はさらに拡大」(2007年05月25日)
2007年第一四半期の広告宣伝市場は前年同期から20%近く上昇して7兆ルピアに達したとニールセンアドバタイジングサービスが報告した。三大広告媒体であるテレビ・新聞・雑誌タブロイドの各セクターもこぞって上昇しており、テレビは4.6兆、新聞2.1兆、雑誌タブロイドは0.3兆という内訳でテレビCMが最大シェアを取っているのは従来から変わらない。インドネシアの広告宣伝市場は過去3年間膨張を続けており、2006年は前年から17%増加して27兆ルピアを記録した。2007年は30兆ルピアに達するものとニールセンは予測している。
2007年第一四半期で広告宣伝費がもっともたくさん支出されている商品は携帯電話が首位を行き、次いでオートバイ、タバコという順位。しかし各メディア媒体はそれぞれ独自の大口宣伝商品を持っており、ヘアケア製品のClear ブランドふけ取りシャンプーはテレビCMに三ヶ月間で720億ルピアという広告宣伝費を支出している。また新聞メディアはモダン小売商店が大口顧客となっており、ハイパー・スーパー・ミニマーケットなどの小売業界が240億ルピアを広告宣伝に支出している。


「首都のモダンマーケット開店時間」(2007年6月5日)
都庁は都内のハイパーマーケット・スーパーマーケット・ミニマーケットといったモダンマーケットの営業開始時間をこれまでの午前10時から10時半に30分間遅らせることを決めた。そのためこれまで営業時間を定めていた2002年都条例第2号を改定する新条例案がすでに都議会に提出されている。
小規模商人や零細事業者を主体とする地元パサルやローカル商店の存続を危うくすると目されているモダンマーケットの営業に規制をかけて資本規模のアンバランスを是正するのがその目的であり、わずか半時間開店時間を遅らせるだけであるにすぎないとはいえ家庭の主婦が日常の買い物に出かける時間との関連で大きい効果が得られるのではないか、と都庁は期待をかけている。


「中古車市がWTCマンガドゥアに」(2007年6月11日)
「グロドッ地区の店舗ビルは閑散」(2007年6月8日)で報道されたように、マンガドゥア地区でもショッピングセンターや店舗ビルの中で店を開いていない売場がある。
グヌンサハリ通りに沿って並ぶWTCマンガドゥアとマンガドゥアスクエア愛称M2Sはそのロケーションから激しい集客競争を展開してきたが、どうやらひとの流れは南側のM2Sに傾いている印象が強い。必然的にWTCのテナントは不利な状況をかこつことになってしまった。8階建てWTCに4千ヶ所用意された店舗スペースの90%以上が売却済みという状態で2003年9月にオープンしたこの卸商ビルもいまは1千5百店しか使われておらず、テナントスペースオーナーの多くは自己使用や賃貸をせずに休眠させている。
集客が悪いために店舗が休眠しそれが一層集客状況を悪化させているという悪循環に陥ったWTC管理者は起死回生のヒットを目論んだ。「テナントスペースオーナーが売場を開くように飴と鞭で考え付くかぎりのことを行ったが、それでもマジョリティは休眠状態を続けるばかりだ。強制するにも限度があることを痛感した。あまりおかしなことをしてイメージダウンを起こしても仕方がない。そこで出したのが中古自動車売買マーケットだ。最初は売りたい二輪・四輪自動車を駐車ビル8階に持ってきてもらって市を開いた。」管理者はその企画についてそう語る。
中古自動車市を設けたフロアーの隅にはメンテナンスや車体ポリッシング業者が店を張る。そのフロアーは四輪車四百台と二輪車数十台が収容できる広さを持っている。このアイデアが実際にヒットした。毎日数十台の中古車売買がその市で実現しているのだ。地方部からも自己利用者や再販商がやってきて売買に加わる。現金を持ってやってくる者も少なくない。そんな状況に金融機関がからんできた。銀行、そしてクレジット会社。銀行はATMを設置して利用者のサービスに努める。
持ち込まれる中古車の価格もさまざまで、5千万ルピアの商用車から2億ルピアの高級車までバリエーションは広い。チャロ(斡旋業)行為は禁止され、売り手は月ぎめ駐車料金がチャージされるだけ。しかし中古自動車市が活気付いてきたおかげでモール内に自動車ディ−ラーが新車を展示するといった波及効果も現れてきた。クラパガディンや南ジャカルタの自動車ディ−ラーなどもWTC中古自動車市との提携話しを持ち込むところが増えてきた。
「ロキシーはもともと衣料品の販売センターだったが携帯電話を主体とする電気通信機器の中心地に変貌した。同一ロケーションで多くのショッピングセンターと競合している当方も同じような立場にある。」そう語るWTCマンガドゥアのマーケティングシニアマネージャーはこのショッピングセンターが他との差別化に向けて何か特定商品のメッカになることが厳しいビジネス競争を勝ち抜くための最良の方策であることを示唆している。


「店舗スペース5万ヶ所が休眠中」(2007年6月13日)
首都のあちらこちらに巨大な店舗ビルが林立し、それにもめげずに新たな店舗ビルやショッピングセンターが今度はスーパーブロック内の商業施設として建設されようとしている。そんな状況であるにもかかわらず、いま都内に用意された店舗ビル内の売場は4万2千から5万ヶ所が使われないまま休眠状態で放置されていると不動産筋は語る。これまで店舗ビルの多くは建築完成前に用意した売場を売却するのが常で、買う側もその賃貸や再販を目論んで投資目的に購入するというのが普通だった。そのために卸商ビルのふたつのフロアをひとりが買い切るといったことさえ起こり、それがひとつ転べばたいへんな問題をビル全体に投げかけることになるという不安を深刻に考える者すらいなかったのは、クライシスと言いながらもまだ良き時代だったからなのかもしれない。国民購買力が大きく低下し、社会ユーティリティの全般的な値上がりのために店舗ビル入居者の負担が一層重くなっている昨今、ますます多くの商人がエアコンのきいた店舗ビルに入るよりも路上のカキリマ商人の道を選択するのはきわめて自然の摂理であり、フロアスペースを投機目的で購入した『地主』たちに顧客が寄り付かなくなっているのも当然過ぎることだと言えよう。おかげで大手『地主』に独占されたワンフロアーはゴーストタウンと化し、デベロッパーと管理運営者にとってはそこにかけた元手の回収がおぼつかなくなっている。1万5千平米のフロアスペースは15〜20億ルピアの運営費を必要としており、ゴーストしかいない場所からそのコストを回収するのは不可能だ。そのような実態に学んだ最近の店舗ビルは売却型から直接賃貸型への移行を強めている。ましてやゴーストフロアーやシャッターが年中下りている売店が立ち並ぶフロアーはきわめて貧相なイメージを来店客に与え、その足を遠のかせる要因となる。それは貧相なフロアーで開店している売店の業績を悪化させ、こうして悪循環の渦がビルの中を回るようになり、そのビルの集客力を根こそぎ傷つけて行く。そんな状況に陥ったビル運営者が頭を痛めないはずがない。
ところで、ジャカルタの店舗ビルのすべてがそんな状況に陥っているわけでもない。休眠売店が顕著に目立つエリアはグロドッ〜ハルコ〜マンガドゥア、あるいはタナアバン〜ワドゥッムラティなど、同じロケーションに何軒もの店舗ビルが集中している地域なのだ。タバコ製造を基盤事業にしているジャルムグループが運営しているWTCマンガドゥアについては既に報道された通りだが、その南に位置するマンガドゥアスクエア(M2S)も休眠売店が少なくない。オープン時には売店スペースの90%が完売状態だったにも関わらず、営業を始めようとしない店がたくさんある。商業用不動産業界者のひとりは、首都の商店は決してまだ飽和状態に達していない、と言う。首都周辺部ではまだ需要があるのだが、特定エリアでは多くのビルが集中的に建てられたために供給過剰になっている。たとえばタナアバン〜ワドゥッムラティ地区には売却されているのに開店しない売場が1万6千ヶ所もある。それぞれの商業地区には個別に需要の上限があり、それを超えた供給分は経済原則から空家にならざるをえない。
とはいえ、空家を購入したオーナーがいることも疑いのない事実なのだ。業界者の話しによれば、商店スペース投資家は一部特定のひとたちがメインを占めているとのこと。かれらはその投機ビジネスにきわめて旺盛な意欲を示し、ジャボデタベッ地域にとどまらず他の地方都市まで進出して行く。バタムの商業施設のフロアは80%がジャカルタ在住者に売られているとのこと。かれらの四人のうち三人は都内マンガドゥアとその周辺地区の住人で、一部は自ら商店を営んでいる者もいるが売場スペースの賃貸・再販だけしか行っていない者もある、と不動産業界者は語っている。


「首都の中小小売業者が売上不振」(2007年6月15日)
シャッターが下りたまま開かずの商店が並んでいるグロドッ〜ハルコ〜マンガドゥア地区で、シャッターを開いて営業している商店も売上不振の波に襲われている。かつては国中から家電品・部品・アクセサリー販売のメッカと位置付けられていたハルコグロドッビルに入居している商人たちも、一日の売上がほぼ半減している状況に頭を痛めている。「昔は一日の売上が1千数百万ルピアあったが、今は5百万ルピア程度しかない。前はインポーターも数ヶ月の支払い猶予を認めてくれていたが、今はたったの三日しかくれない。ところがこっちの常客は一週間の支払い猶予を要求する。」商店主のひとりはそう苦衷を述べる。
消費者は家電品が特別の贅沢品という感覚を抱かず、さまざまな電気製品はまるで日用品のように売れるという時代が続いた。ところが昨今は1970年代に逆戻りしたような雰囲気で、消費者のプライオリティはまず日常生活必需品に置かれ、家電品はそのずっと下に位置している。消費者の購買力はまだまだ回復していない、と別の商人は言う。グロドッ地区の店舗ビルは客足がまばらだ。1998年5月暴動前に隆盛をきわめたそれらの店舗ビルでも、営業していない店舗が少なくない。暴動前は外国人旅行者が電気製品を買い漁る中心地となっていたグロドップラザも、さびれた雰囲気を払拭することができない。かつては幅広く家電品を扱っていた店の多くがいまではオーディオ機器と楽器だけに特化している。
この地区に十数軒の売場を持っている家電品商人のひとりは、卸商ビルとの競合が激しくなって商売不振の風は厳しさを増している、と語る。グロドッ〜ハルコ〜マンガドゥァ地区に4千人いる家電品小売商人は流通機構の面から卸商の値付けに対抗しようもなく、真綿で首を絞められるように没落していく運命をたどっている、とかれは言う。しかしピナンシアプラザの商店主のひとりは、卸商ビルで一年間金利ゼロの分割払いをつけて売られている商品が小売店より本当に安いという保証はない、とコメントする。現実には一部の商品しか安くないのだが、消費者には価格の実態がよくわかっていない。かれはそう語っている。
同じ状況はマンガドゥア地区にある旧パサルパギでも起こっている。文房具事務用品や生活用小物のメッカとなっていたこのパサルも、都有パサル管理会社PDパサルジャヤが売場賃貸料金を8千5百万ルピアに引き上げたために、売上不振との二重苦に耐えられずに営業をとりやめる売場が増えている。シャンプー・石鹸・接着テープなどを扱っている入居商人は、かつてはGold Fox ブランドの接着テープが一日1千数百万ルピアの売上だったのにいまでは5百万ルピア前後に落ちてしまった、と語る。事務用品を取り扱っている商人はここ数ヶ月売上が15〜20%ダウンしていると明かす。小売店はよくて一日せいぜい2〜3百万ルピアの売上で、店によっては50万しか売上がないところも出ているとかれは言う。最近数ヶ月、旧パサルパギビルの上階は客足がまばらになっている。それらの階で営業しているマジョリティは文房具や事務用品店。この状態が7月中旬頃まで続くのは間違いないだろうと業界者は一様に見ている。新学期のはじまりがふたたび活気をもたらしてくれることをかれらは期待しているのだ。しかしおよそ3百店ほどが営業を続けている中で、シャッターが降りたまま開かれない売場も目に付くようになっている。ビル内のそんな様子とは裏腹に、ビルの外から歩道橋下まで道端のカキリマ商人がびっしりとスペースを埋め尽くしているのが印象的な昨今の一般消費者向け小売セクターの様子だ。


「外国産闇商品が増加」(2007年6月18日)
食品薬品監督庁の国内流通許可を得ていない輸入食品が全国的に増加の傾向を見せている。輸入包装食品に対して食品薬品監督庁が与えるML番号が商品のパッケージに表記されているものの、監督庁の台帳にはその番号がないというニセモノも少なくない。それら不法輸入品の多くは品質保証期限まであと3ヶ月程度というものであり、その商品の本国でもう流通網に乗せられないためにインドネシアに送り込まれてきたことは明らかだ、と政府関係者は語る。
食品薬品監督庁担当官は、ML番号のない闇外国産包装食品が在来型市場で時おり発見されると物語る。モダンマーケットやモダン小売業者との間で同庁は正規の登録と認定を得ていない輸入品を取り扱わないという指導を行っており、モダンマーケットはそのコミットメントに従っているので闇商品が見つかることはほとんどない、とかれは言う。市場で発見された闇商品は販売者に強い警告を与えて今後は取り扱わせないように努めている。しかし正規のML番号を得ていて賞味期限まであと3ヶ月程度しかないというものについては、それが期限を過ぎるまで取締りのしようがない、と担当官は述べている。
輸入品が国内市場をそのような形で侵食しているため、国産包装食品の市場シェアが縮小している。国内の包装食品市場は280兆ルピアで、外国製品はそのうちの13兆ルピアを占めている。一方業界者は、その取締りも重要だが国内のハイコスト経済の結果国産品の価格競争力が低下しているのを政府はなんとかしてほしい、と発言している。


「インドネシアにもウナギの養殖」(2007年6月20日)
年間40万トンの消費需要を持つ日本のウナギ産業は国産がそのうちの30%しかなくそれ以外は中国・ベトナム・台湾からの輸入に頼っている。ところが最近中国産ウナギに薬品使用問題が発生して需要が急激に低下しており、国内市場の需給バランスを取るために新しい供給元が必要とされている。
海洋漁業省養殖漁業総局長は日本からウナギ養殖産業への投資を目的にインベスターがロケーション調査のためにインドネシアを訪れる予定であることを明らかにした。この養殖事業では日本向けに年間20万トン2百万ドル相当の輸出が見込まれている。ウナギ養殖事業者は稚魚にコストをかける必要がなく、資金の大半は養殖インフラ建設とウナギを成魚に育成させることに費やされるために投資金額は小さいもので済むとのこと。ロケーションについて総局長は、「スマトラ西岸もしくはジャワ南岸をリコメンドしており、ブンクルあるいはランプン、もしくはジャワ島南岸部がウナギ養殖産業の場所になるだろう。ロケーションが決まれば日本のインベスターはコンソーシアムを組んでこの養殖産業を発展させる計画だ。」と語っている。国内企業の中には、ウナギ養殖は初年度2億5千万ルピアの経費で始められると試算し公表している者もある。10ヶ月で平米当たり5千キログラムの収穫があり、日本へはキロ当たり9〜10ドルで販売できる、とその試算では示されている。


「カートリッジワールドがインドネシアに上陸」(2007年6月21日)
プリンター用インクカートリッジの再充填ビジネス大手がインドネシアに上陸した。オーストラリアのアデレードを本拠とするCartridge Worldは世界42ヶ国に52のマスターフランチャイジーを擁して世界122ヶ国1,477店のプリンターインク再充填ビジネスを指揮している。インドネシアはPT Dunia Cartridge がカートリッジワールドフランチャイズ網のマスターフランチャイジーに指名され、既にジャカルタ・スラバヤ・メダン・タングラン・バンドン・スマラン・ジョクジャ・ソロ・バリなどに15店のフランチャイズを設け、また近日中にバリッパパンとマカッサルにもオープンする予定になっている。カートリッジワールドのフランチャイズになるには一店舗あたり2億7千5百万ルピアの資金があれば可能であるとのこと。カートリッジワールド店はHP・エプソン・キャノン・ブラザー・レックスマークなどのインクジェットやレーザープリンター、フォトコピーマシン、大型小型ファックスマシンなどのインクカートリッジへのブラックあるいはカラーインク再充填をビジネスとし、フランチャイザーは最新テクノロジー・製品・部品からチャンネルソーシングまでフランチャイジーへの指導と支援を行う。
いまや世界で1千億ドルまで膨らんでいるプリンターインク再充填ビジネスはインドネシアでもたくさんのサービス業者が競合している分野だ。カートリッジワールドは、年々20〜25%の市場拡大を示すインドネシア市場はインド・中国に次ぐアジア太平洋の大市場として今後も大きな発展が期待できると述べている。時に教育需要と会社需要が膨大であるため、新品カートリッジを買うよりも半額で済むインク再充填は市場がますます拡大して地元業者との激しい競合に直面することになるだろうが、国際規準の顧客サービスと最新レベルのテクノロジーを教育された技術者の作業は90日保証を可能としており、地元業界を一歩先んじたビジネス展開が実施されることになるだろう、とドゥニアカートリッジ代表者は述べている。


「安いラップトップがジャカルタフェアに勢ぞろい」(2007年7月3日)
1台1千万ルピア以上する高級商品と位置付けられていたラップトップコンピュータにミドルクラスが登場した。価格は3百万から9百万ルピア程度で輸入品から国内組立品までさまざまだが、東芝・IBM・Dell・富士通・ソニーなどの一流ブランド品にくらべて「ひけを取らない」性能であるとのこと。
いまシーズンたけなわのジャカルタフェアはオープン13日目の6月27日に入場者数1百万人を突破した。2006年の1百万人突破は15日目だったので、今年の賑わいは昨年をはるかに上回るものだと言えよう。そんなジャカルタフェア会場にスタンドを開いたレリオンコンピュータ(Komputer Relion)は国内組立品ラップトップ3モデルを手の届く価格で販売している。
Enduro LM-RL888は660万ルピア、Enduro LM-RL101S740万ルピア、Enduro HM-RL101T930万ルピアでワイファイ機能を持つ機種もある。「ポイントはプロセッサーのスペック、メモリーカードやハードディスクの容量、そしてワイファイ機能といったその他のスペックがどうかというところだ。ミドルクラスラップトップがだめということは決してない。それらの部品がラップトップの性能を決め、そして価格を決めている。」そのスタンドにいたレリオンの販売広報スーパーバイザーはそう語る。
中国製のECSブランド製品を販売しているECS Elite Group は驚異の3百万ルピアラップトップを展示販売している。並べられている商品のレンジは3百万から9百万ルピアまで幅広く、9百万のオリガミモデルは7インチのミニスクリーンと折りたたみキーボードが装備されていて、軽量小型で持ち運びにはたいへん便利。
Notebook Axioo でもミドルクラスラップトップが評判を呼んでおり、6百万ルピアで購買層が二分されている、と販売員は語る。学生は6百万ルピアまでの機種を買うのがもっぱらで、6百万から9百万という価格帯は職業人に売れている。「東芝やソニーの一流ブランド品は1千万から2千万ルピアという価格帯で、学生や若い職業人たち中流層に手の出るものじゃない。そこにローカル製や廉価輸入品の販売チャンスがある。当方は国内組立品だが東芝やソニーと互角の技術スペックを持っており、そのレベルの商品と比べれば当方の価格は半分だ。」スタンドにいた販売員はそうアピールしている。
ほかにもIonやMSIといったブランドがスタンドを開いており、価格は490万から900万ルピアというレンジ。モニタースクリーンのサイズは14インチ、12インチ、最小は7インチというものまである。そしてジャカルタフェア期間中はアディラファイナンスが年利10%で分割ローンを用意している。2007年のジャカルタフェアは廉価ラップトップ攻勢の初年度になるかもしれない。


「ジャカルタフェアー閉幕前の大安売り」(2007年7月13日)
ジャカルタフェアーPekan Raya Jakartaでは、7月15日の閉幕を前にしてテナント売店が一様にラストスパートの態勢に入っている。ホンダオートバイ販売スタンドではこのフェアー開催期間中すでに1千台以上を売り上げた。二輪車用部品販売もそれに劣らず好調で売上目標3億ルピアの80%が達成されている。ジャカルタフェアー出展は製品エクスポージャーとプロモーションを主目的としているが、場所代等の諸経費に20億ルピアをかけておりその経費を自力でまかなうことが売り上げ目標とされている。
履物販売スタンドのひとつShoe Cityでは販売目標のまだ半分程度しか売り上げがない、と売り場責任者は洩らす。「ボスが言うには、売り上げ目標が100%達成できれば出店経費は全部カバーできるが目標を割ると持ち出しになるそうだ。でもこれじゃあフェアーが終わるまでに75%達成がいいところで、へたをすりゃそれすらやばい。」
ホールAにスタンドを設けているAirlandブランド寝具販売店はいまだに販売目標の25%しか売り上げがあがっていない。こちらも、よくてせいぜい75%の売上目標達成がマキシマムだろう、と言う。出店経費をカバーするのが販売目標にされているが、ジャカルタフェアーは場所代がたいへん高い。「このスタンドで平米当たり180万ルピアだ。デコレーション費用はまた別。家具寝具は場所を取るから、うちは56平米を使ってる。うちはロワーミドル向けの廉価スプリングベッドを発売しており、ここではその紹介に力を入れている。製品プロモの場としてジャカルタフェアーは最高だ。大勢のプロスペクトが立ち寄って商品を見てくれ、ポジティブな反応を示してくれる。しかしここでの売り上げはなかなかむつかしいね。」まだ30代の売り場責任者はそう語る。
事務学用家具メーカーのOlympic Furnitureは今年スタンドを8ヶ所に設けた。2006年に1兆ルピアの売り上げを記録し、輸出はその15%を占めているというオリンピックはやはり他の出店者と同様に製品エクスポージャーとプロモーションを主目的にしているが、ジャカルタフェアー参加経費はフェアーでの販売でまかないたいようす。スタンド8ヶ所の売上目標は90億ルピアで、これは昨年にくらべて倍増している。ところが販売実績は遅々としてはかどっておらず、残すところあと数日だというのにやっと27億ルピア。同社総務責任者によれば、最初家具コーナーはホールBに入る予定が急遽ホールAに変更され、ホールAは来客数が減るので販売が不利になった、とのこと。おまけにジャカルタフェアー主催者は出店参加者が勝手にチラシ撒きをすることを禁じており、許可を求めなければならない。その手続きを踏んでメインゲートでチラシ撒きを行ったところ、一日の売り上げが1千4百万ルピアから1千7百万にアップした、と同社総務責任者は述べている。
フェアー閉幕まであと数日。各スタンドは売り上げを少しでも増やして販売目標に近付けようといろいろ作戦を練っている。履物スタンドは品揃えを増やす計画だし、スプリングベッドは半額大割引にしようと企画している。大物を扱う商人はフェア展示品が売れ残ってまた倉庫に持ち帰ることを好まない。閉幕時間が近付くと売れ残った商品の原価割れ販売すら行われる。倉庫へ戻せばまた経費が発生してロスが大きくなるからだ。羽毛枕販売スタンドは早々と最高8割引という垂れ幕を張り出している。


「今年のPC出荷見込みは145万台」(2007年7月16日)
今年下半期の国内パーソナルコンピュータ市場は上半期よりも活発になる、とインドネシアコンピュータ事業者協会(Apkomindo)事務局長が表明した。インドネシアのPC市場は例年、第一四半期以降四半期ごとに売り上げが上昇して第四四半期にピークに達するという業績カーブを描いているため年の後半でビジネスが拡大するという傾向を持っている。これまでPC市場ではデスクトップ型がほぼ60%を占め、ノートブックは30%、残る10%はサーバーやワークステーションというシェアになっていた。
今年下半期はノートブック型の販売が25〜30%も激増するだろうと業界では見ている。これまでジャカルタをメインにしてジャワ島偏重だったPC販売に外島部の需要の伸びが加わってきたことで業界者は歓んでいるものの、外島部の需要の一部がジャワ島内流通網から供給を受けているためにその需要の実態がまだはっきりつかめていないのが実情だ。
協会データによれば、国内で流通しているコンピュータは現在650万台にのぼり、2007年の販売は昨年の3割増になるだろうと見込まれている。今年の出荷台数予測は、国際ブランド品もローカル組立品も合わせて145万台となっている。リサーチ機関IDCの報告では、今年第三四半期までのインドネシア向け出荷台数は昨年実績の128万台を大きく上回る156万台が見込まれているとのこと。
協会は政府に対し、ローカルコンテンツを高めるために国内にコンピュータ部品工場がもっと設立されるよう誘導的な事業環境を創出してもらいたい、と要請している。中でも、ケーシング・メモリー・マザーボード・HDD・ODD等の製造工場設立のための投資を誘うインフラや労働法規の整備が早急になされることを協会は求めている。投資を誘うための方策として国有銀行からのソフトローンや税金優遇措置その他インセンティブが用意されれば、実業界でこの分野に目を向けるビジネスマンが増えるのは間違いない。国内PC市場はまだあまりにも小さいためにスケールロスを避けることができず、政府の政策でそのデメリットが補われなければ投資者は現れにくいだろう。協会事務局長はそう語っている。


「ジャカルタフェアーのエスペーゲー」(2007年7月18日)
7月15日に閉幕したジャカルタフェアー。毎年この会場をいろどる艶やかな娘たちの姿がある。商品を展示販売しているスタンドで客の相手をし、商品を勧めて客に買ってもらうのが仕事のかの女たちはエスペーゲーと呼ばれている。SPGつまりSales Promotion Girl のこと。エスペーゲーはハイパーやスーパーマーケットにも、そしてモールにもたくさんいる。
7月13日午後2時、金土日と続く今年最後の山場を前にしてジャカルタフェアー会場は祭りの前の静けさに包まれている。あと1〜2時間もすれば7万6百平米の会場は人で埋まる。有名オートバイメーカーのスタンドでは男性職員たちが最新モデルをステージに並べるのに余念がない。何人かいるエスペーゲーのひとり、19歳のデウィは上背のある身体をぴっちりした赤色のブラウスとミニスカートに包み、ポニーテールを調え帽子の位置を直している。仲間のエスペーゲーたちも化粧直しに没頭している。「販売数字はとても高いの。わたしはプロスペクトに商品に関するありとあらゆることを説明するのが仕事。わたしが商品のメリットをいろいろ説明すると最低一日にふたりは買ってくれるの。」
デウィはエスペーゲーの仕事に居心地悪さを感じたことがない。かの女は自分の全能力を駆使してその仕事に取り組んでいるのだ。流麗な口調、美貌、素敵なプロポーションの身体、社交的な態度。かの女はフェアー期間中その仕事で一日10万ルピアの報酬をもらっており、そして1台売るごとにインセンティブがつく。かの女自身のターゲットは、今年のジャカルタフェアーで5百万ルピア稼ぐこと。
フェアー会場にいるすべてのエスペーゲーが同じ条件を与えられているわけではない。エスペーゲーの仕事は人材派遣エージェントが仲介するが、中には直接スタンドオーナーに売り込む者もいる。雇用条件は各スタンドによって異なっている。家具や飲食品などのスタンドにいるエスペーゲーたちは一日の報酬が2万から5万ルピア程度。たいていのスタンドは販売成果に対してインセンティブを与えているが、今年のフェアで家具の売れ行きはあまりよくない。「できるかぎりのことはやってるのよ。ボスは最初無料商品配達をしないことにしてたけど、先週からとうとうオッケーを出したわ。今週から大々的に値引き商戦。最終日に向かってどんどん売れるようにってね。それでこっちへのボーナスもどんどんと、ね。」大手家具メーカーのスタンドにいたエスペーゲーのひとり、23歳のフィトリはそう語ってほほえんだ。
デウィもフィトリも、ジャカルタフェアーが一年中続いてくれたらいいのに、と思っている。しかしわずか1ヶ月で雇用契約は終わり、しばらくしたら次の仕事を探さなければならない。ジャカルタの私立大学に入ったばかりのデウィはアーチストになり、エンターテイメントの世界で生きて行くことを夢見ている。でなければMCやイベントオーガナイザー、あるいはPRオフィサー。デウィにとってエスペーゲーの仕事はその理想に向かうステップのひとつ。少なくともかの女はジャカルタフェアーオーガナイザーとのリレーションを持つことに成功した。フィトリは違う。1歳の子供を持つかの女がジャカルタフェアーのエスペーゲーになったのは収入が目的だった。「もちろん、子供はいない、結婚してない、で通したわよ。でなきゃエスペーゲーの仕事はもらえないもの。」フィトリはそう明かす。ラストスパートの三日間、デウィもフィトリもそして数百人のエスペーゲーたちは売り上げを求めて最後の力を振り絞る。大きい売り上げをあげてボスを喜ばせ、来年ももっと高い報酬で雇ってもらえるように、と。


「一流企業役員の月給は億単位」(2007年7月19日)
インドネシアの大企業がエグゼキュティブに与えている給与はいくらぐらいなのだろうか?株式公開企業が年次株主総会で公表した2006年の役員給与額がJSX Watch 2007-2008 に掲載されている。その中の上位38傑を金額の大きい順に並べて見ると下のようになるが、役員の人数にもよるものなので給与総額が大きいからその会社が高給を与えているということにはならない。この金額は給与であって賞与や株式オプションは含まれていない。下の表は会社名...役員給与総額(億ルピア)...役員人数(取締役+監査役)と並んでいる。
1. Bank Danamon Indonesia.....1,038.....17
2. Medco Energi International.....532.....9
3. Charoen Pokphand Indon......511.....18
4. Surya Citra Media.....429.....6
5. Gudang Garam.....415.....15
6. Kalbe Farma.....406.....14
7. Bank Permata.....397.....16
8. Gajah Tunggal.....365.....14
9. Bank Mandiri.....361.....18
10. Bank Lippo.....296.....14
11. Exelcomindo Pratama.....287.....14
12. Perusahaan Gas Negara.....287.....10
13. Indocement Tunggal Prakarsa.....280.....15
14. Sari Husada.....279.....13
15. Holcim Indonesia.....270.....15
16. Hanjaya Mandala Sampoerna.....266.....12
17. Duta Pertiwi.....256.....16
18. Bank Niaga.....253.....14
19. Energi Mega Persada.....253.....8
20. Indofood Sukses Makmur.....252.....20
21. Bank NISP.....246.....22
22. Bumi Resources.....246.....11
23. Multipolar Corporation.....243.....12
24. Fast Food Indonesia.....224.....12
25. Bank Mega.....205.....9
26. Unggul Indah Cahaya.....204.....12
27. Ciputra Development.....199.....14
28. Bimantara Citra.....196.....13
29. Lautan Luas.....191.....9
30. BFI Finance Indonesia.....187.....6
31. Pembangunan Jaya Ancol.....185.....10
32. Summarecon Agung.....182.....12
33. Apexindo Pratama Duta.....173.....10
34. Semen Gresik.....172.....12
35. Bank Rakyat Indonesia.....169.....15
36. Buana Finance.....166.....6
37. Plaza Indonesia Realty.....166.....10
38. United Tractors.....165.....11
株式公開企業全230社は1,349人の取締役と1,288人の監査役に対する報酬として年間1.85兆ルピアを割り当てている。単純に平均すればひとりあたりおよそ6千万ルピアの月額となるが、しかし上に見られるように優良企業は億の単位だ。
月収16万7千ルピアを下回る貧困ライン下階層が3千7百万人もいると言われ、また人口の半分近くを占める一般勤労者の月収も2〜3百万ルピアをセンターにしてその上下に散在しているインドネシアの所得階層構造の頂点にいるかれらの給与金額を見るかぎり、名目所得格差の乖離は目をみはるものがある。トップと中間層の間ではその乖離がコルプシによってリシャッフルされていたのだが、民間勤労者の所得上昇を狙った最低賃金引き上げが短兵急に過ぎたことでつまずきを見せているいま政府は行政改革を唱えてその前提条件たる公務員給与引き上げへと焦点を移している。公務員給与引き上げ→コルプシ低下による実業界の幽霊費用節減→最低賃金引き上げという展開に結びつけたい政府の腹案ははたして・・・・?


「ゲームセンタービジネスはいかが?」(2007年7月20日)
都内のモールやショッピングセンターにはほとんどどこでもと言ってよいほどゲームセンターがあるが、その大手のひとつTimezoneはオーストラリアブランド。インドネシア国内総代理権を持つ国内屈指の小売企業「マタハリ」のグループ会社PT Matahari Graha Fantasi がタイムゾーンのフランチャイズ募集を開始した。すでに全国に120店オープンしているタイムゾーンは自社所有のもので、タイムゾーンの更なる拡大にはフランチャイズが有効との判断をくだしたもの。およそ5百平米の床面積を確保して百台のビデオゲーム機を取り揃えるためには20〜30億ルピアの資金が必要だが、投資回収は2〜3年で完了するとのこと。開店ロケーションとして住宅街、アパートメント、病院などもターゲットの中に含まれている。
タイムゾーンも多角化を指向しており、Timezone Musiczoneと命名されたカラオケ施設が北ジャカルタ市クラパガディンのモールクラパガディン3通称MKG3の3階にオープンしている。


「ジャカルタのカキリマ商人は年間13兆の売上」(2007年8月6日)
ジャカルタのカキリマ商人界は一日356億ルピアの売上があり、年間では13兆ルピアに達する、とタルマナガラ大学教官がセミナーで公表した。そのカキリマ商人たちは、経済社会文化権利学会の調査によれば、2006年に公的課金677億ルピア、借地料434億ルピア、貢納金1,692億ルピアを支出しているとのこと。またカキリマ商人の数も年々変化を示しており、2002年は14万1千人、2003年12万9千人、2004年11万7千人、2005年10万7千人、2006年9万3千人と推移しているとされているものの、中央統計庁のデータを見ると2006年首都のカキリマ商人数は141,071人と記録されている。
カキリマ商人はほとんどすべてが道路脇や駐車場あるいは通路などの公共スペースで商売を営んでおり、そんなところで発生する借地料が合法的なものでない可能性は高い。さらに貢納金も不法徴収金であり、そのようなアングラマネーを放置しながら都庁はカキリマ商人強制排除を折に触れて実施しているというのに長期的排除に成功した例はきわめて稀で、結局は国民犯罪者化を推進しながらかれらが営んでいる経済活動を国や地方自治体の収入につなげることすらしていない。だからカキリマ商人犯罪者化をやめてかれらを認知し、国庫や自治体の収入増をはかるほうが適正なありかたではないだろうか?同教官がセミナーで主張したポイントはそこにあり、それはカキリマ商人たちが結成しているカキリマ商人協会の主張とも一致している。


「トイザラスが閉店」(2007年7月31日)
アメリカの玩具店チェーンToys 'R' Usがインドネシアの店をすべて閉める予定。ブランドもの玩具商品に対するインドネシア国民購買力が大きく低下したことと、米ドルレートがルピアに対して上昇したためにインドネシア側ライセンス保有者の負債が膨らんでいることがその原因。
1995年以来トイザラスのインドネシアにおけるライセンスを持っていたPT Trusindo Binapratamaはトイザラスアメリカ本社とそのライセンス期限延長を交渉する一方、ライセンスを別の会社に売り渡す計画をしている。アメリカ本社はトゥルシンド社の要求に沿う方向で歩み寄っており、トゥルシンド社が探す後継会社が二年で投資回収ができるような考えを持たず真剣にアッパーミドル層に対する玩具販売に打ち込むことをコミットするように求めている。トゥルシンド社はポンドッキンダ・パサラヤ・ダルマワンサスクエア・プリインダの4店を閉めたあと後継者選びに専念するかまえ。トゥルシンド社は12年間のライセンスを得ていたがそれは2007年に期限を迎える。後継会社として関心を示す会社はすでに現れているものの、インドネシアでのライセンス期限をもっと長いものにしてほしいとの条件を掲げている。1994〜1995年ごろのインドネシア経済はたいへん好調で、数多くの外国有名ブランドがインドネシア市場に参入するために続々と自社ブランドショップをオープンした。トイザラスもその波に乗ってやってきたブランドのひとつだ。トゥルシンド社は1996年にトイザラス玩具店をオープンしたが、資金の一部を外貨借入れでまかなった。そしてアッパーミドル層が外国ブランド品に向けた情熱のおかげで当初は好調なスタートを切ったものの、1997年の経済危機以来好調だったビジネスは昔語りとなってしまった。トゥルシンド社が借り入れた米ドルは1ドル2,400ルピアだったが今では数倍にして返済しなければならない為替レートになっている。
トイザラスのコンペティターショップには、PT Mitra Adiperkasaがライセンスを持つKidz StationやへローグループがオーナーになっているToys Cityがある。


「インドネシアのリッチマン」(2007年8月1日)
インドネシアのナンバーワンリッチマンはクドゥスのタバコ会社DJARUMのオーナー、ブディ・ハルトノ66歳で、かれの財産は42億米ドル(37.8兆ルピア)にのぼる。それを追うのはクディリのタバコ会社Gudang Garamのオーナー、ラフマン・ハリム60歳。第三位はシナルマスグループ総帥のエカ・チプタ・ウィジャヤでオルバ期の大班だったスドノ・サリム92歳はその後塵を拝している。スドノ・サリムが興したBCA銀行のマジョリティシェアはいまやブディ・ハルトノの手中にあるという皮肉さは時代の転変を象徴しているかのようだ。ブディはタバコビジネスから不動産へ事業を広げ、旧ホテルインドネシア跡地にグランドインドネシアをいま開発中。ブディ・ハルトノ、ラフマン・ハリム、プトラ・サンプルナの三大タバコ王だけで90兆ルピアの富を抱えており、インドネシアのお金持ち150人の資産合計は466億米ドル(419兆ルピア)に達する。南スラウェシの実業家カラ財閥総帥で現副大統領のムハンマッ・ユスフ・カラの資産は1.25億米ドル(1.1兆ルピア)、ジョクジャ王家のスルタン・ハムンク・ブウォノは1.4億米ドル(1.2兆ルピア)というお金持ち。また150人長者番付とは別に現役政治家の財産番付も作られており、そのトップはゴロンタロ州知事ファデル・ムハンマッの1,660万米ドル、二位は工業大臣ファハミ・イドリス。このふたりは実業家だ。ちなみにSBY大統領の財産は51.6万米ドル(46億ルピア)。
この長者番付を公表したのはインドネシアの英字誌Globe Asiaで、発行者タンリ・アベン、エグゼキュティブチェアマンはリザル・ラムリといったそうそうたる面々によって運営されている雑誌。オルバ期からレフォルマシ期へと体制が変わって9年。オルバ期に栄えた実業家たちから新たな実業家へのバトンタッチが徐々に進行しつつあり、150人長者番付の中に顔を見せているヤングジェネレーションの筆頭はウイングスグループを率いるテディ・ウイリアム・カトゥアリ。ウイングスブランドの洗剤やパーソナルアイテムはユニレバー製品を急追し、即席麺はMie Sedapがインドミーを追い上げている。そのほか38歳のサンディアガ・ウノ((Saratoga Capital)、 36歳のベンジャミン・ジアラヴァノン(CP Indonesia)、45歳のハエルル・タンジュン(Grup Para)、45歳のラフマッ・ゴーベル(Gobel International)らがレフォルマシ時代のインドネシア経済を支える有望株だ。この長者番付のデータについてリザル・ラムリは、会社の会計報告書、諸データ、コンフィデンシャル調査などに基づいて資産金額が集計されており、総金額の中には公式収入だけでなく市場実勢価格に応じて換算されたものもある、と説明している。


「マグランのウサギ養殖」(2007年8月2日)
中部ジャワ州マグラン県でウサギを養殖している農家の組合が、輸出の要請が各国から届いているが国内供給を先に果たしてから輸出を始めたいと最近の状況を説明した。マグラン県ウサギ養殖者組合はいま国内からの注文に対して8割方しか供給できていない。一方海外からの買い付け希望はブルネイ・タイ・マレーシア・シンガポール・日本などから届いており、それぞれがひと月2万匹程度の輸入を希望している。海外からの買いオファー価格は生きたウサギでキロ当たり2万5千から3万ルピアのレベルで、国内相場のキロ当たり1万2千〜1万5千ルピアの二倍もするだけに「この機会損失は痛い」と組合側は残念がっている。
マグラン県ウサギ養殖者組合はいま3,395軒の養殖農家が加盟しており、3万匹のウサギが養殖されている。国内出荷量は毎週2千匹、月間で8千匹という数字で、実需要はひと月1万匹であるとのこと。国内市場向けは中部ジャワ・西ジャワ・ジャカルタなどに出荷されている。養殖数を増やしたいものの、病気がその邪魔をして思うように増加しない、と関係者は述べている。


「ショッピングセンターの空きスペースは増加傾向」(2007年8月3日)
都内ショッピングセンターのストラタタイトル売り場入居率は年々低下の一途をたどっている。売り場面積の急激な増加に比べて店を開こうとする商人の数が追いついていないという状況をそこに見出すことができるが、それを単にビジネス意欲や起業精神の問題だけに帰すのは無理なようだ。過去数年間の売却用売り場面積と開店している面積の比率を見ると下のようになっている。
年 / 面積(m2) / 入居率(%)
2003 / 489,044 / 77.4
2004 / 797,244 / 70.6
2005 / 957,244 / 68.5
2006 / 1,148,586 / 62.8
2007第一四半期 / 1,148,586 / 63.5
空きスペースになっている売り場をたくさん抱えるショッピングセンター運営者は売れ残ったスペースを一年間賃貸無料で希望者に貸すといった手を打っているものの、そのロケーション自体にあまり集客力がないためたいした効果をあげていない。ストラタタイトル売り場はかつての黄金期に優れた不動産投資のひとつとして多くの投資家を集め、建設される前に購入した物件は完成してから売却すれば百%以上のリターンがあるという夢のような時期を経験した。しかしその後都内から郊外にまでショッピングセンターが続々と建設されて膨大な売り場面積が出現したいま、往時の状況は夢のまた夢と変化した感がある。過剰供給で多くの売り場が空きスペースになっている状況はストラタタイトル売り場投資家に二の足を踏ませる心理効果を及ぼしており、販売状況は行き詰まり傾向にある。
いまジャボタベッ地区には50ヶ所以上のストラタタイトルショッピングセンターが稼動しており、しかも2009年までには25万平米の売り場面積が追加される予定になっている。ショッピングセンターデベロッパーはそんな状況に対する打開策を模索しているが、特にエリート地区に設けられたショッピングセンターは売り場面積が2〜4?と比較的狭いものが多いだけに現状を乗り切るには相当な努力が必要とされているようだ。


「中国のインドネシア産海産物禁輸措置」(2007年8月20日)
2007年8月はじめに中国がインドネシア産飲料品を有害物質と害虫による病菌を含んでいる疑いがあるとして輸入禁止にしたあと、息をつかさず今度はインドネシアの海産物にも輸入禁止措置を適用した。海産物に対する理由としては、大量の抗生物質、カドミウムなど重金属や水銀等の化学物質や細菌を含んでいる疑いがあるというもの。
業界や政界の中には、近年インドネシア政府食品薬品監督庁が力を入れている有害物質入り食品摘発の中で最近中国産の飴や砂糖漬け果実、あるいは歯磨や化粧品などが槍玉にあがって市場回収を命じられていることから、中国政府のインドネシアに対する報復措置だとの意見を表明する声も強い。
そして中国政府の出した海産物輸入禁止措置の影響がインドネシアの水産業界に現れるようになってきた。禁止措置が公表されてから一週間が過ぎたころ、これまで中国向け輸出の通過ポイントとしてスラバヤ・シドアルジョ・ラモガン・パスルアン・グルシッなどの産地で使われていたコールドストレッジで貨物のオーバーフローが始まったのである。中国政府の禁輸措置は中国側輸入者と契約を結んでいた輸出者に大きい打撃を与えており、輸出者はその禁輸措置が解除されるまで商品を倉庫に寝かせなければならない。「これまでは毎週中国向けに船積があったのでインドネシア東部地方から送られてきた海産物はすぐに梱包されて輸出手続に回されていたが、船積みが止まってしまったので貨物は倉庫にたまるばかりだ。」とコールドストレッジ事業者協会会長は語っている。商品のマジョリティは中国で手に入りにくい熱帯産食用魚類で、マダイ(kakap merah)、ハタ(kerapu)、タチウオ(layur)などがメインを占めておりエビは以前から昔ほどの威勢を欠いている。東ジャワから中国への海産物輸出は今年上半期だけで1,350トン金額で150万ドル相当にのぼっている。市場規模はアメリカ・ヨーロッパ・日本に比べてまだ小さいが、中国は今後育てていくべき市場ととらえられており、このまま消滅させることは許されないと海産業者は述べている。
業界は政府に対してこの問題を早急に解決するよう求めており、3ヶ月を超えれば業界を大変な事態が襲うことになる、と警告している。3ヶ月というのは商品の品質劣化問題よりもむしろコールドストレッジでの保管コスト問題の意味合いが強く、業界は3ヶ月の保管能力しか持っていないと輸出業者は断言している。3ヶ月を超えるとひと月の出費は5百万ドル近くに達するとのことだ。業界者はその一方で、3ヶ月以内に中国の禁輸が解かれない場合に備えて、保管している海産物の転売先を探す予定にしている。しかし国によって輸入者が求めるスペックは同一でないため、中国が要求するスペックの商品を他の市場に転売するのは容易なことではない、と業界者は語っている。


「パイナップルと言えばスバン産」(2007年8月21日)
首都圏でおいしいパイナップルの話題になると、きまってひとびとの口から出される地名はスバン。西ジャワ州都バンドン市から25キロほど離れたスバン(Subang)県のチサラッ(Cisalak)・チジャンベ(Cijambe)・ジャランチャガッ(Jalancagak)三郡には数百Haにもわたる広大なパイナップル畑が横たわっている。そこで栽培されているパイナップルはフレッシュな甘みと酸味がほどよく調和した絶妙の風味を感じさせてくれるもの。デザートやサラダなどにもぴったりで、またスバン県では地元特産のパイナップルを使ったドドルを生産しており今では特産商品のひとつになっている。ドドル(dodol)とはココナツミルク・米粉・もち米粉・砂糖・黒砂糖・塩を混ぜて大鍋で長時間かき混ぜながら煮詰めて作るおやつのひとつで、茶色い色をした多少粘り気のある甘いお菓子。その中にドリアンやマンゴあるいはパイナップルなどすりつぶした果物の実と汁を混ぜて独特の風味をつけることが多い。あるいは豆類・ミルク・チョコ・ゴマ、最近では海草を混ぜたものまでさまざまなアイデアが用いられている。時折ドドルを日本の「ういろう」にたとえる説明を見聞するのだが、蒸し菓子であるういろうの透明感や口当たりはドドルとまったく異なる気がするし製法から言えばむしろキャラメルに近いことから筆者は「もち米の粉を混ぜて作ったキャラメル」を想像してもらうようにしている。
スバン県からアジア諸国へのパイナップル輸出も進められており、今年から始まった韓国への輸出では既に45トンが船積されている。西ジャワ州食用植物農業局園芸次局長は韓国からのオーダーについて、一個6百グラム以上で熟成度70%のものをコンテナ詰めして送るよう求められていると語る。価格は0.6〜1.1キロの果実がキロ当たり800ルピア、1.1〜2キロの果実はキロ当たり1,200ルピア、2キロ以上のものはキロ当たり1,400ルピアとのこと。
パイナップル栽培の中心地であるスバン県三郡の中ではジャランチャガッが2,592Haという最大の作付面積を持っているが有望なのは100Haほどで、チサラッは137Ha、チジャンベは38Haとなっている。州食用植物農業局によればスバン県のパイナップル栽培はヘクタール当たり20〜35トンの収穫しかなく、栽培技術を向上させることによって50トンまで増産させるという目標を立てている。パイナップルの収穫期は11月〜4月で、市場販売価格は1個3〜4千ルピアになるが生産者の手には1キロ5百〜1千ルピアしか入らない。
西ジャワ州の果実生産ではプルワカルタやタシッマラヤのマンゴスチン、マジャレンカやインドラマユのマンゴなどが花形になっており、スバンのパイナップルはまだそのレベルに達していない。マンゴスチンは香港・シンガポール・中東・中国、マンゴは中東やシンガポールといった固定輸出先を確保しているのが大きい強みになっている。


「プライベートブランド商品に対する規制」(2007年8月27日)
ハイパー・スーパー・ミニマーケットといったモダン小売店が販売している自店ブランドの多彩な商品、いわゆるプライベートレーベルの内容に対する政府の規制が強化される。2007年7月に政府が編成したマーケット事業に関する政令案の中には、プライベートレーベル商品は地元中小企業が供給するものでなければならないと記載されており、またこれまで店で販売されている品種の最大5%までとなっていた数量条件はなくなっている。商業省流通パサル育成局長は、卸販売店・ハイパーマーケット・デパートメントストア・スーパーマーケット・ミニマーケットネットワーク運営者などが販売するモダン小売店プライベートレーベル商品は小企業製品に限って用いることができ、インドネシア国内で生産されるアイテムが優先されなければならない、との政府方針を明らかにした。プライベートレーべル商品に関する安全衛生法規適合の責任はそのレーベルオーナーが持つことになる。ただし同局長はその供給者の条件に関して、小企業だけに限定されるのか中小企業になるのかはまだ最終的でないと発言している。
これまで外資系モダンマーケットが行ってきたプライベートレーベル商品戦略が、国内大手製造業者の間で過当競争を煽ってきたこと、中小生産業者がその競争の中になかなか入って行けなかったこと、などのために国内市場関係者からの批判を招いており、今回の政府規制はその問題を解決するものとして市場関係者からは好評をもって迎えられている。インドネシア食肉加工業者協会理事はプライベートレーベル商品供給者に関する規制について、プライベートレーベル商品は最近フランスや中国からの輸入品がたいへん増えており国産品が用いられることは大歓迎だ、と述べている。
昨今モダンマーケットで販売されているプライベート商品は種類も数量も増加の度合いを強めており、自店内で販売量の多いアイテムを自店ブランドで用意しそれを自店内でもっとも安い価格をつけて販売するモダンマーケットの戦略にほとんどのサプライヤーが不満を抱いてきた。さらに、ナショナルブランド生産者に対して生産品と同等の商品を一括限定生産で安く供給させるクローニングという手法を用い、それにプライベートレーベルをつけて自店内で廉価販売する戦略も頻繁に用いられてきたことから、外資系大手小売商店に対する反発が強まっていた。


「プライベートブランド商品への政府規制に小売業界が反発」(2007年8月28日)
プライベートレーベル商品に対する政府の規制方針に諸外国の小売業者が疑問を投げかけているとニールセンインドネシアのビジネス開発リテーラー担当取締役が語った。インドネシア政府があくまでその規制を行うのであればインドネシアは世界に例のない政策実施国となる、とかれは言う。「比率の制限やサプライヤーの制限などといったプライベートレーベルへの規制を政府はどうして望むのか、という質問が諸外国から届いている。外国でそのような規制を行っている国はない。」
「プライベートブランド商品に対する規制」(2007年8月27日)で報道されたように、インドネシア政府はモダン小売店・ショッピングセンター・在来パサルの育成と整備に関する政令の中にプライベートレーベルに対する規制を盛り込もうとしている。商店は自店で販売するものの5%を超えてプライベートレーベルを販売してはならないという規制が以前から実施されていたが、新たに用意されている政令ではその規定が解除され、その代わりに供給者に規制を設けようという方針に変えられたようだ。
ニールセン統計によれば、プライベートレーベルが用いられる主な商品は、牛乳・ヨーグルト・ジュースなどの冷蔵商品、紙やプラスチック製品、ラップなど包装用品、固形食品、ペット用食品、チーズ・バターなど室温耐久商品、幼児おむつや女性用ナプキン、保健衛生商品、ソフトドリンク、家庭用品、軽食、ビール、ボディケア商品、化粧品、ベビーフードなど。
政府は差別を行うべきでなく、どんな規模の事業者に対しても発注者のスペックに応じた商品を生産して入札に勝つチャンスを与えるべきだ。大手生産者のナショナルブランドと小売店のブランドを市場で自由に競合させて消費者がその選択を行うことを政府は認めるべきである。商品の品質と価格という二要素のバランスが勝敗を分かつことになるのであり、単に価格が安いかどうかというだけのものではない。その勝敗に敗れたらプライベートレーベルは消えて行くだろうし、ナショナルブランドはもっと自己のブランドバリューを高めようとするだろう。それが世界中のどの国でも繰り広げられている市場競争だ。政府の方針に関して同取締役はそうコメントしている。


「タシッマラヤの刺繍布」(2007年8月31日)
刺繍布と言えば昔からタシッマラヤ(Tasikmalaya)が名産とされてきた。ところが今年はその販売が大幅に落ち込んでいる。タシッマラヤの刺繍布産業は2005年統計によれば1,092事業所投資総額747億ルピアで10,380人を雇用し売上は4,052億ルピアにのぼる。タシッマラヤ市カワル(Kawalu)郡がこの産業の中心地になっているが同郡の事業者のひとりは、例年ラマダン月が近付くと注文がうなぎのぼりになるのに今年は例年の2割程度しか売れておらず、こんなひどい年はかつて経験したことがない、と語っている。「今年の刺繍布マーケットは過去最悪ですよ。国民購買力が落ち込んでいるせいでしょうか?おかげで生産者は借り入れの返済ができなくなり、銀行のブラックリストに載せられてしまう。」
刺繍布の注文はラマダン月が近付くころから急上昇しはじめ、ルバラン日前には平常期の2倍に達する。ところが今年の需要は減少しており、倉庫に用意した在庫の中で受注分は2割に満たない。しかも注文が入っているのは刺繍付きムスリマ衣装でも最新モデルだけで、旧在庫は見向きもされていない。そんな状況のために昨年から持ち越してきた借り入れの返済はままならず、生産者は資金回転が困難になっている。乏しい売上は従業員の給与に消えてしまっているのだ。
刺繍布はタシッマラヤだけの特産物ではない。生産は全国各地に広がっており、中には機械化を行って生産量を大幅に増やしているところもある。おまけに市場には中国産の刺繍入りムスリマ衣装が大量に流れ込んできており、品質は良好で価格も安い。2006年の需要は中下層向け商品が圧倒的にメインをなしていたが、今年の受注は中上層セグメント向けがほとんどで、そのために数量がまったく伸びていない。何と言おうがそのような実需に合わせるしかないタシッマラヤの刺繍布生産者は生産内容を高級品にシフトさせている。
国中の衣料品が集まる首都のタナアバン(Tanah Abang)市場に入り込むための競争は熾烈をきわめている。全国から数千人の事業者が価格と品質の競争を繰り広げるのだ。行き着くところは値引き競争に陥る。原価割れを承知でその競争に勝とうとする生産者も少なくない。これまでカワル郡の商品は大半がタナアバン市場に送られていた。タシッマラヤ刺繍付き衣料品のタナアバンでのシェアは50%を占める。生産者は週二回タナアバンに数百コディの商品を送り込む。そして各地から集まってきた流通商人が大量に商品を持ち帰るのである。


「輸出向け有望商品はウナギ」(2007年8月31日)
台湾・韓国・日本など東アジア向けの有望商品としてウナギに一躍脚光が当たっている。日本のウナギ需要年間10万トンに対して国内供給は2万トンしかなく、8万トンを輸入に頼っているがそのうち6万トンが中国産で折に触れて保健衛生問題がからんで供給が不安定になるために供給元の多様化を日本側は求めており、このため日本のウナギ業界がインドネシアに供給を求めて西ジャワ州カラワン県と南スラウェシ州リクパンに養殖基地としての白羽の矢を立てた。
ウナギ養殖事業への投資を進めている日本企業は既に南スラウェシ州リクパンでのトライアルに関して、サムラトゥラギ大学研究者との間で三年以内にウナギ養殖事業を実施する合意を結んでいる。2008年にはその成果の一部が日本市場に持ち込まれるだろうと日本側は述べている。またカラワン地区での事業も中央政府からの承認が下りしだい進められることになっている。漁業海洋相はそれに関して、カラワンでの養殖事業に興味を持つ投資家には便宜とインセンティブを与える用意がある、とコメントしている。同相は最初の三年間タックスホリデーを与え、また地元政府が与えることのできるインセンティブをも保証する、と約束している。興味を示す者は少なくないものの、かれらも政府からの保証をもらいたがっていると同相は述べている。
ウナギの養殖については漁業海洋省がカラワン県プサカジャヤウタラ村に1年前から実験養殖池を設けており、今般そこからはじめての輸出商品が台湾向けに送り出された。積み出されたウナギは30トン。同省養殖漁業総局長は、ウナギの成育に最適な条件を2年間調査した結果、気温29〜31℃塩分5‰でもっとも成育が活発であることがわかった、と述べている。養殖条件が明らかになったことから同省は今後カラワン県とリクパンの複数の場所で養殖事業を積極的に推進していく考えであることを明らかにした。日本の投資企業は将来的に蒲焼専門家をインドネシアに派遣して蒲焼加工を指導させ、加工された製品を日本に輸入する方針にしており、インドネシアに加工工場を設立する青写真が描かれている。
インドネシアでウナギはikan sidat(あるいは福建語起源のmoa)と呼ばれ、スマトラ島西部海域、ジャワ島南部、バリ、東西ヌサトゥンガラ、スラウェシ島、カリマンタン島東海岸、マルク、パプアに分布しており、淡水で育つが産卵するときは水深4〜5百メートルの海中に戻る性質を持っている、と漁業海洋省は説明している。


「モダンマーケットの仕入れが急増」(2007年9月17日)
ラマダン月に入ろうとしている9月はじめに生産者からの5〜10%値上げ通告を受けたモダン小売業界はラマダン〜ルバラン需要期に備えて旧価格での仕入れを急増させている。9月10日から始まった週にモダン小売業界からの発注は急増している、とインドネシアモダン市場サプライ業者協会会長は述べている。生産者が価格値上げを通告した場合、それから一週間は平常月仕入れ量の20〜30%を限度として旧価格での仕入れが定常顧客に認められており、業界ではその商習慣をラストバイト(last bite)と呼んでいる。生活基幹物資や生鮮食品生産者の多くが断食月の前に値上げを決めたのは従来からあまり例のないことで生産者は値上げ理由を、1ドル9,030ルピアから9,400ルピアに低下したルピア安、産業用ガス購入価格・上水価格・有料自動車道値上げなどとしており、ビスケット、バター、食用油、ミルクなどの価格が既にアップしている。インドネシア小売業者協会会長はその現象に関して、断食前に値上げが起こるというのはこれまで例のないことであり政府はルバラン前の市場価格監視をよくよく本腰を入れて行ってもらいたい、と要請している。


「多機能プリンター販売はますます好調」(2007年9月28日)
コンピュータ用プリンター市場におけるインクジェット方式多機能プリンターのシェアが上昇している。「インドネシアの消費者は価格にたいへんセンシティブで、価格の変化が商品販売量と密接にかかわっている。そのため価格が低下すれば消費者からの需要が顕著に増大する。2006年の多機能プリンターと単機能プリンターは125%という価格差にあったが、2007年第2四半期はそれが93%まで縮まってきた。2008年にはさらに80%まで接近してくると予測されており、そのため2007年に市場シェアは25%にアップし、2008年はさらに30%シェアを奪うだろう。」PT GFK Marketing Service Indonesiaスタッフはそう語る。
そのカテゴリー商品のインドネシア国内小売価格は1台60万から90万ルピアのレンジにある。一方、販売量で最大ポーションを占めている単機能タイプは1台40万から60万ルピアという価格帯。多機能タイプの上昇は価格要因だけでなく製品フィーチャーからも影響を受けている、とGFK顧客サービスマネージャーは語る。「インドネシア市場はマレーシア・タイ・中国・ベトナムなどIT製品が今発展途上にある諸国とよく似ており、多機能プリンターと単機能プリンターがどちらも拡大している。オーストラリア・香港・韓国・台湾などの先進市場は状況が違い、単機能プリンターの地位を多機能タイプが取って代わろうとしているために多機能プリンター販売は急ピッチだ。」
アジアパシフィック地域では単機能と多機能の価格差が2006年は75%あったが今年は55%に縮小している。インドネシアでは単機能タイプ市場が今後もまだ維持され、ローエンドとハイエンドに二分されるだろうが需要は継続するだろうと同マネージャーは述べている。


「プロトンがイメージ脱却を図る」(2007年10月2日)
マレーシアの四輪車メーカーであるプロトンのインドネシア合弁会社PT Proton Edar Indonesiaはタクシー市場向けが販売台数のマジョリティを占める状態であることから自家用車市場への売り込みに努力を傾ける意向。プロトンの2007年販売は8月までで1,404台となっているものの、そのうち1,026台は車種がWiraでタクシーマーケットに売れている。プロトン車はタクシーというイメージがインドネシア市場で定着しつつあるのを阻むために同社はブランドイメージの改善に力を入れようとしている。
今年8月までの他車種実売数を見ると、シティカーSavvy238台、4x2ミニメディアムGen2が101台、Waja26台、ハッチバック3ドアのNeoが13台という内容。乗用車市場参入を開始したのが2007年3月であるという条件を斟酌すれば、プロトンの売れ行きは決して悪くないと言える。プロトンの豊かなラインナップに市場が見せているポジティブな反応が良好な売上をもたらしている要素のひとつではないだろうか、と同社は感じている。
このラマダンからルバランにかけての販売シーズンに同社はラヤパッケージと銘打った購入者に有利な特別プロモをオファーしている。またバンドンのキアラチョンドンにディーラーを置いて販売網の拡大にも力を入れている。このプロトンエダルキアラチョンドンは6千平米の地所に展示ビル9百平米と自動車修理工房9百平米を設けてセールス・サービス・スペアパーツの3Sビジネスを展開している。


「カラープリンター値上がり間近」(2007年10月17日)
政府が新たに設けた規制のためにカラープリンター価格が市中で10%ほど値上がりしていると業界者が語った。インドネシアでは昔からカラー複写機に関して、贋札作成を容易にするとの理由から厳しい監視政策が取られてきた。技術革新によって大量のカラープリンターが生産され廉価に販売されるようになっても政府はその方針をどのように実態に適応させようかと対策を練ってきた。2006年4月19日に出されたカラーフォトコピー機・カラー多機能機器・カラープリンターの稼動許可に関する国家諜報庁令第Kep-061号もその対応のひとつで、国内で販売されるすべてのカラープリンターに対して『贋札製作に使えば罰せられる』との警告を記したステッカーの貼付と流通段階から最終消費者にいたる全ステップでのプリンターオーナーの登録が義務付けられている。
さらに今年になってカラー多機能機器・カラーフォトコピー機・カラープリンターの輸入規則に関する商業大臣規則第15/M-DAG/Per/3/2007号が定められ、インドネシアに輸入されるそれらの機器のシンガポールでの初期検査が義務付けられた。ところがその初期検査を通過しても、インドネシアに輸入されてから再び検査が実施されるという二重構造になっている。輸入プロセスがそのように長くなったために輸入品の国内到着が一週間前後遅れるようになっており、それが突発的に市場で品薄感を生み出しているため市場価格が10%ほど値上がりしている。
PT Datascrip社キャノン事業部担当取締役は、政府のカラープリンター政策に従ってステッカー貼付を行いまた輸入品の検査も実施しているため追加経費が発生している、と語る。今のところ同社は商品価格を据え置いているが、それらのコスト追加をいつまでも抱えたままにはできず商品価格に転嫁されるのはほぼ間違いないところだ、と取締役は表明している。


「ガムランセットの注文はガンジュッ県に」(2007年10月18日)
東ジャワ州ガンジュッ(Nganjuk)県の小規模ガムラン生産者はここ数十年の荒波を乗り越えてサバイバルを続けている。大量注文はないが、購入希望者が多いために注文が途絶えたことはない、とかれらは言う。
ガンジュッ県ジャティレジョ(Jatirejo)村のガムラン工芸組合ムスティカララス(Mustika Laras)の頭領はいま製造しているガムランセットの説明をする。「ひとつはクディリの中学校、もうひとつはマランの高校からの注文で、ペロッグ調とスレンドロ調のフルセットだ。学校では舞踊の伴奏とカラウィタン活動のために使われるそうだ。個人からの注文もあるよ。サロンとかガンバンとかジャワガムランセットの一部を求めるひともいる。シンガポールの学校から注文が来たことがあった。それはドレミに調律されたものという注文がついていたよ。」
ムスティカララスはジャワガムランのセットを製造販売している。鉄素材のものだと2千万ルピア、真ちゅう製はサイズ・形・仕上げから全体の完成度などに応じてセットあたり5千万から1億ルピアという価格。製造期間は8人の職人を動員して1〜3ヶ月かかる。原材料はくず鉄だとキロ当たり9千ルピア、真ちゅうはキロ8万5千ルピアもする。ジャカルタやスラバヤで産業博覧会が催されるとガンジュッ県庁はムスティカララスをよく出展に誘う。かれらはガンジュッ県の優良目玉産業になっているようだ。


「葬式ビジネスは儲かる商売!?」(2007年10月23日)
2007年7月18日付けコンパス紙への投書"Tarif Pengawalan Jenazah di Rumah Duka Atma Jaya"から
拝啓、編集部殿。最近父が死去し、遺体はナガサクティ財団が経営するアッマジャヤ葬儀館(Rumah Duka Atma Jaya)に安置しました。その葬儀館は北ジャカルタ市プンジャリガン(Penjaringan)地区プルイッジャヤ通り(Jalan Pluit Jaya)のアッマジャヤ病院敷地内にあります。故人の子供や兄妹が地方や外国からやってくるのを待つために遺体は数日間、その高額で商業主義丸出しの葬儀館に置かれたのです。安置期間を終えた遺体は北ジャカルタ市とブカシ県の境界にあるニルワナ火葬場(krematorium Nirwana)で火葬されることになります。ニルワナ火葬場もアッマジャヤ葬儀館と同じナガサクティ財団の経営なのです。遺体と遺族が火葬に出発するときが近付いたので、わたしは火葬場まで行くルートの通行を円滑にするために大型オートバイに乗った交通警官の先導を頼むといくらかかるのかを尋ねました。
アッマジャヤ葬儀館職員に尋ねたところ、交通警官が任務に使っている大型オートバイで葬列を先導してもらう場合はオートバイ1台につき140万ルピアだということでした。その職員が言うには、その料金は当局が定めた公式なものなので値引き交渉はできない、とのことです。しかし父の火葬のために火葬場まで送ろうという親族・知人・友人はたくさんいるため、先導と警護のオートバイは4台必要だとわたしは考えていました。しかし棺が5千万ルピア近くしたりして費用があまりにも巨額になっているため、結局わたしどもは交通警官の先導警護を取り止めにしました。
このような葬儀館ビジネスは政府に税金を納めているのでしょうか?それとも財団の名前のもとに悪徳国税職員とべったり癒着しているのでしょうか?[ 西ジャカルタ市在住、メリー ]


「スナヤンシティにテナントが増加」(2007年11月5日)
Top Shop Top Man, Bebe, Massimo Dutti, Alain Figaret, Gianfranco Ferre, Venue Black, Tumiなどインドネシアにはじめて進出してきた国際ブランドがスナヤンシティのフロアを埋めている。2006年9月にオープンしたこの7万6千平米の床面積を持つ首都のハイグレードファッションモールはおかげでテナントスペースの95%が埋まった、と同モール運営者が語った。同モールはアンカーテナントとして英国系百貨店Debenhams、Best Denki、 Fitness Firstを擁しており、ホテルインドネシアからブロッケムに至るタムリン〜スディルマン〜ブロッケムショッピング枢軸の賑わいをさらに高めている。


「インドネシアの有力小売ビジネス」(2007年11月9日)
雑誌Retail Asiaがモダン小売販売者2006年売上高5百傑を発表した。インドネシアのモダンリテールブランドは16社がその中に登場しており、これは東南アジアでタイ・シンガポールに次いで第三位。国別で見れば日本が116社、中国79社、オーストラリア78社といったランキング。東南アジアは経済格差がもたらす購買力の影響からたとえ先進国の店と同じ品物を同じ数だけ売ったとしても売上高は小さくなるに決まっている、とその5百傑番付の意義を疑問視する声もあがっている。たとえばインドネシアでカキリマ屋台がバッミ(bakmi)を一椀売れば5千ルピアしかもらえないが、日本の場末の屋台でラーメンを食べると8万ルピアだとかれは例をあげて説明している。
ともあれインドネシアの有力モダン小売ブランドとして名声を馳せた16社とは次の通り。
Carrefour Indonesia  ハイパーマーケット 7.2
Ramayana   百貨店 4.8
Matahari   百貨店 4.3
Hypermart   ハイパーマーケット 3.5
Giant   ハイパーマーケット 3.2
Indomaret   ミニマーケット 3.0
Alfamart   ミニマーケット 2.8
Alfa Supermarket   スーパーマーケット 1.9
Super Indo   スーパーマーケット 1.8
Hero   スーパーマーケット 1.5
Sogo, Java, Debenhams   百貨店 1.5
Gramedia   書店 1.4
Electronic City   家電品販売 1.1
Toserba Yogya   百貨店 0.9
Kimia Farma   薬局 0.9
Ace Hardware   道具類日用雑貨 0.8
数字は2006年売上高で単位は兆ルピア。


「インドネシア百貨店の販売力はお粗末!」(2007年11月12日)
雑誌Retail Asiaがモダン小売販売者2006年売上高5百傑を発表したのは「インドネシアの有力小売ビジネス」(2007年11月9日)で報道された通り。経済格差がもたらす購買力の影響から一概に数字だけを比較するのは無理があると言われながらも、その5百傑に登場した百貨店(department store)の単位売り場面積当たり売上高比較がマスメディアに出てきた。無理を承知で東南アジアのデパートメントストア平米当たり年間売上高を転記すると下のようになる。
Takashimaya Singapore 88.9
Isetan Singapore 80.9
Mustafa Singapore 72.6
John Little, M&S, Robinson Singapore 66.1
Metro Singapore 50.1
Tangs Singapore 44.2
Seiyu Singapore 32.3
Isetan Malaysia 29.8
Fajar Malaysia 22.2
Central Robinson, M&S, Zen Thailand 14.1
Ramayana Indonesia 10.4
Matahari Indonesia 10.1
Sogo, Java, Debenhams Indonesia 9.5
The Store Malaysia 8
Toserba Yogya Indonesia 6.8
(最後の数字は平米当たり年間売上高をルピア換算したもので、単位は百万ルピア)
シンガポールのオーチャード通りに居並ぶデパートメントストアの物凄さが実感できる番付表であることは確かだ。


「トバ湖の高原からサツマイモが日本に」(2007年11月27日)
北スマトラ州ダイリ県で日本のサツマイモが栽培されている。2年前から150Haを使ってサツマイモを栽培しているのはPTワハナグラハマッムル社で、育苗施設から加工工場まで完備されている。同社のスルヨ・プラノト取締役社長は、目標は年産2千トンだがとりあえず150Haしか土地が用意できなかったので、生産高を増やすために近隣農民に日本サツマイモの栽培を勧誘している、と語る。ダイリ県のサツマイモ農園では5ヶ月で収穫できるため年間二期作を行っており、利益の上がるビジネスだとかれは言う。投資額はダイリ県の農園用地がHa当たり1千2百万ルピアかかるが一期のHa当たり収穫は18〜20トンが可能で、1キロ1千ルピアで売れたとして年間3千6百万から4千万ルピアの売上が得られる。タパヌリ県やトバ湖周辺の海抜1千3百メートル級高原地区の農民にとって日本サツマイモは収入増に大きく貢献するため、スルヨ社長は地元行政府を交えてこの作物の栽培振興を強く勧めているものの地元農民たちの反応は今ひとつという雰囲気だ。
問題は農民たちの勤労意欲にあり、畑に肥料をやり除草をこまめに行うことで日本サツマイモは最大限の収穫を与えてくれるが、農民たちのサツマイモ栽培はあまり作物の世話や手入れをせず肥料もやらない方式が一般的であるため、ワハナグラハマッムル社がHa当たり18〜20トンの収穫を出してお手本を示しているにもかかわらず同社の指導を耳で聞いても実行しないという農民が多いことからHa当たりの生産性は12〜14トンどまりで伸びて行かない。中には16トンの収穫を上げている優秀な農民もいるが数は少ないそうだ。
スルヨ社長は日本サツマイモの加工を行うPTインドヤサウィセサ社を設立し、年産2千トンの生産能力を揃えている。地元周辺地区農民が真剣にこの栽培に取り組み、熱心に作物の世話をするようになれば年産5千トンまで工場を拡張する意思を持っているが当面は地元農民たちの様子見となっている。この工場で加工されたサツマイモはその8割が日本に、2割が韓国に輸出されている。輸出価格はトン当たり8百ドル。地元農民はローカル種のサツマイモを肥料もやらずたいした世話もせずに収穫し、量は少ないが現金収入になることから片手間仕事として栽培しているが、日本サツマイモは片手間ではできないものであるため農民はそれに集中するということに抵抗を感じているようだ。しかし日本市場で年間3〜5万トン、韓国市場は年間4万トンの供給が求められているものの供給量を満たしきる段階にまだ達しておらず、マージンは40〜50%もの高率であるためこのチャンスを利用しない手はない、とスルヨ社長はこのビジネスにより多くの農民を呼び込もうと熱を入れている。中国産のものが日本市場での輸入品シェアを握っていたが、含有物質問題で市場は中国産離れを起こしておりインドネシア産にとっては今が好機。ベトナムも日本市場への参入を積極的に進めているためうかうかしてはいられないという状況になっている。
スルヨ・プラノト社長は北スマトラ州の地元実業家で1995年にコーヒー事業を起こし、北スマトラ・ランプン・マカッサルでコーヒー加工工場を経営している。ブランド名をOpal Coffeeとしたかれの製品は月産3トンを超え、国内国外に出荷されている。


「ケムチックスが都内に分店」(2007年11月27日)
南ジャカルタ市クマン地区で1970年代から営業している外国人向けスーパーマーケットの草分け的存在であるケムチックス(Kem Chicks)が都心部に出店する。スディルマンSCBD地区に建てられたパシフィックプレース(Pacific Place)のアンカーテナントとしてケムチックススーパーマーケットは2千平米を占有し、生鮮食料品を中心に日常生活必需品を販売する。ケムチックスのオーナー、ボブ・サディノによれば、クマン本店は売り場面積が1千平米で一日平均1千5百人の買い物客があり、ひとりあたり5万から3百万ルピアの買い物をしている。販売商品の7割は国産品であるとのこと。ケムチックスパシフィックプレース店では本店に倍する売上が期待されている。


「大量電力消費家庭に制裁金」(2007年12月5日)
石油国際価格の高騰に伴って国内消費用石油価格の規準を国際相場に置いているインドネシアは激しいエネルギー危機に見舞われている。一般国民向け石油燃料は固定価格が用いられ、国際相場との価格差が政府補助金という名前で独占石油事業体であるプルタミナに流し込まれてきた。政府はすでに産業向け石油燃料価格を国際相場とする方針を何年も前から定めて、シンガポール石油市場価格に準じた国内価格をプルタミナが毎月定めるという価格政策を実行しており、昨今起こっている激しい国際相場上昇のために一ヶ月レンジは長すぎるとして11月から半月単位の価格変更を行っている。
この産業向け石油燃料価格は電力会社も例外でなく、発電タービンを回すための石油燃料は国際相場に準じた価格で購入されており、その高い石油燃料で起こされた電力に政府が補助金をつけるというどこかしら奇妙な実態も発生している。電力料金について言えば、電力供給危機はもう何年にもわたって叫ばれ続けておりこちらも産業界向け料金にディスインセンティブを設けて電力需要を抑えようとしてきた。簡単に言えばこれまで消費していた電力量からそのレベルを大幅に上回った会社は数倍の料金を払えという方針がそれであり、産業のダイナミズムを殺ぐコンセプトであることは言うまでもない。
うなぎのぼりの上昇を続ける国内産業向け石油燃料価格のおかげで国有電力会社PLNは一般家庭電力需要者にも2008年1月からディスインセンティブを設けることを明らかにした。このディスインセンティブ対象需要者としてまず大量に電力を消費している家庭がターゲットとされ、R−3というカテゴリーに区分されている契約電力量6,000VAの一般家庭でPLNが定めた消費量をオーバーした場合は超過分に経済性料金が適用される。PLNの電力生産コストはkWh当たり9百ルピア前後で販売料金は621ルピアとされており、その差額は補助金で埋められている。経済性料金は、だから平常料金のおよそ5割増になりそうだ。PLNはとりあえずこの措置で一旦様子を見ようと考えており、現実には限られた消費者数しかないR−3カテゴリーであまり効果が上がらなければ電力消費者のマジョリティを占める契約電力量1,300VA利用者にもお鉢が回ってくる可能性が高い。


「客に間違った割引情報を与える店員」(2007年12月7日)
2007年10月17日付けコンパス紙への投書"Kupon Belanja Galeria Matahari"から
拝啓、編集部殿。2007年9月22日、わたしは都内パサルバルのガレリアマタハリで買い物をしました。買ったものは2割引になっていたTWISTとRODEOの子供服です。応対した店員が言うには、もしわたしが15万ルピア以上買い物をすればレジで支払いをするとき即座に5万ルピアクーポンがレジのお買上票にプリントされ、そのクーポンは割引対象外商品を10万ルピア以上買うとその支払いに使えるのだと教えてくれました。
わたしは152,640ルピア分の買い物をしてレジに行き、レジ係に「支払いはマタハリ商品券1万ルピアを使い、残りはクレジットカードで決済する」と告げました。レジ係はそれを了承し、5万ルピアクーポンはお買上票にプリントされることを請け負いました。ところがクレジットカードを支払器に通してからスリップにサインした後、レジスターが打ち出してきたお買上票にクーポンはプリントされていません。そのレジ係は困惑して同僚に尋ねました。すると別のレジ係は高慢な口調で「割引していない商品を15万ルピア以上買ったらはじめてクーポンがもらえるんです」と言うではありませんか。売り場の店員は確かにこの買い物で5万ルピアクーポンがもらえると言った、とわたしが主張してもそのレジ係はあくまでも否定するのです。
したかなくわたしはさっきの店員のところに戻ってクーポンをもらえなかったことを告げると、その店員は間違いなくもらえるのだと言い張ります。ところがレジ係の言葉をその店員に伝えたところその店員も困惑してしまい、「でもわたしはそういわれてるんですけど・・・・」と曖昧な態度に変わりました。ほかに用事があったのでわたしはその問題をそれ以上追究せずにマタハリを後にしました。
マタハリ経営者はいったい何をしているのですか?わたしは消費者として、ガレリアマタハリで行ったその買い物で損をしたように感じており、とても残念な気持ちです。[ ジャカルタ在住、スチーモ・ヤヒヤ ]
2007年10月26日付けコンパス紙に掲載されたマタハリからの回答
拝啓、編集部殿。スチーモ・ヤヒヤさんの2007年10月17日付けコンパス紙に掲載された投書に関して説明申し上げます。当方は事情説明と陳謝表明のためにただちにスチーモ・ヤヒヤさんを訪問いたしました。スチーモさんは当方の説明に理解をお示しになり、問題は良好に解決しました。当方はスチーモさんのサービスに当たった店員に注意を与え、会社規則に従って警告処分にいたしました。[ PTマタハリプトラプリマPRマネージャー、デウィ・スシロワティ ]


「家電品を買うのはモダン専門店で」(2007年12月7日)
インドネシアの消費者が家電品を買う場合その51%は家電品専門店で購入しているというサーベイ結果を専門店チェーンのひとつエレクトロニックシティが発表した。エレクトロニックシティが行ったサーベイはミドルとアッパーの経済階層(カテゴリーBとA)5百人に対する質問の形を取り、買い物場所についてはモダン専門店51%、在来型商店37%、ハイパーマーケット12%というシェアが示された。購入場所を選択する要因としては価格・品揃え・店内の雰囲気・製品保証・家から近いこと。家電品を購入する際に考慮するポイントは、価格28%、品質21%、ブランド20%、モデル13%、テクノロジー12%、色4%。購入動機に影響を与える販促プログラムについては、割引、金利なしのクレジット支払、その場での景品サービス、下取り、といったもの。分割払い期間は12ヶ月よりも6ヶ月のほうが好まれている。支払方法は分割払いが好まれ、支払ツールはクレジットカード37%、デビットカード13%、現金16%という分布。エレクトロニックシティでの売れ筋商品は、ホームオーディオシステム・カラーTV・ビデオカメラ・電子レンジ・デジタルカメラ・ビジュアルディスクプレーヤー・冷蔵庫・洗濯機・エアコンなどであるとのこと。


「飲食品業界は製品を小さくする方針」(2007年11月8日)
原油価格が世界市場で上昇を続けているおりから11月の産業向け国内石油燃料価格も既に報道されているように高騰しており、産業界はコストアップの重圧に喘ぎを高めている。レフォルマシ時代の初期に経済統括相や国家開発企画庁長官を務めた経済学者クイッ・キアンギは国際相場を基準値に置くインドネシアの石油燃料価格政策に一貫して批判を向けてきたが、これまでその主張を一顧だにしなかった政府に向かってクイッ論に和す声が高まりつつあるようだ。これも矛盾のもたらす歪が高まって破滅へと向かう状況が生んだ賜物ということかもしれない。
ところで飲食品製造産業は、石油燃料価格の値上がりが負担の限界を超えているために製品販売価格の調整がなされる必要があるものの国民購買力が商品値上げを受け入れる余裕はほとんどないとの観点から、価格はそのままにして製品サイズを小さくする方針を業界者の多くが立てていることを明らかにした。飲食品事業者連盟会長は、製品の包装サイズを5〜10%小さくするこの方針は2007年12月から開始されることになる、と語っている。特に地方部では農民が大きい収入を手にするのが2008年2月ごろの収穫期になるため今どきの値上げは得策でなく、いま行えることの中では商品を小さくするのが最善の解決だと業界では見ているようだ。飲食品製造業界は2007年1月以来小麦粉は30%、ミルクは10〜15%といったさまざまな原材料値上がりのために小刻みに価格変更を行っている。
エネルギーコストの節約については、以前はC重油から石炭に転換すれば一日数千万ルピアのコストダウンが図れたものの、今では石炭需要も高まっているために大きなコストダウンは難しくなっている、と同会長は述べている。


「米政策に方向転換」(2007年12月13日)
スパゲッティを食べようがピザを食べようがご飯を食べなければ食事したと言わないインドネシア人の米消費を減らそうという計画を政府が進めている。いまインドネシア国民の米消費はひとり年間139.15キロとなっており、これから年々1%の消費減を推進すると農業大臣が表明した。今後は食糧多様化計画を推進する中で米消費を減らし米以外の食糧を増やす方針が基本に置かれる。米消費節減方針の当面の目標はひとり年間1.4キログラムであり、2億1千万国民がその目標を達成できれば29万4千トンの米需要軽減が実現する。
水田を主体とする米生産用地は今後も減少の一途をたどることが明らかで、その一方で人口増も避けようのないことであるために需要増大と供給減少が重なれば国民のための食糧確保という国政の大黒柱が揺らぐことになるのは明白だ。しかしこの米消費節減方針が国民の健康生活を脅かすことになってはならず、農業省は国民一人当たり一日2千2百キロカロリーの熱量とたんぱく質57グラムの補給が確保されるための食糧準備を米を減らしながら実現させていかなければならない。
国民への栄養供給としてこれまで推進されてきたひとり一日2千キロカロリーの熱量とたんぱく質52グラムという規準の99.6%は既に達成されており、2008年からはさらにその10%増という新基準を満たすべく政策が展開されようとしている。農業省食糧援護庁長官は、理想的米摂取量275グラムというのは一回の食事量でなく一日分という意味であり、一日300グラムという米摂取は過剰である、と語っている。インドネシアの国民一人当たり年間139キロという米消費は日本の60キロ、マレーシアの80キロといったレベルに比べてあまりにも巨大な量であり、国内米生産の現状ではバランスの取れた需給関係を国内に作り出すことがきわめて困難であってその困難は年々深まりこそすれそれを軽減できる決め手に欠けている。
オルバ期の米自給政策やイリアン・ヌサトゥンガラなど非米食文化地域への米食普及などで食事は米という価値観を国内に定着させてきた従来のあり方から、政府は今後一層国民の頭と舌を切り換えさせることに注力しなければならないだろう。


「インドネシア原産プロダクト賞」(2007年12月17日)
ビジネスインドネシア紙が企画し、商業省と工業省が共同で開催している優秀なインドネシア原産ブランドの選抜と表彰を行うインドネシア原産プロダクトアワード(Anugerah Produk Asli Indonesia 2007)の最終選考に残ったノミニーが公表された。このアワードの選考対象となったのは、国内市場で優位性を持つ地元製品、商業省工業省に会社登録がなされていること、法務省に商標意匠登録がなされていること、ローカルコンテンツとローカルレーバーがマジョリティであること、対象製品主力が国内市場向けであること、などの条件を満たしているもので、選抜評価は、マーケティング・財務体質・製品クオリティ・ビジネス倫理・従業員管理・企業社会責任・情報技術などのポイントで行われた。カテゴリー別ノミニーは下の通り。
衣料品 : Mint (PT Cipta Busana Jaya), Hammer (PT Warna Mardika), The Executive (PT Delami Garment Industries)
履物 : Specs (PT Panatrade Caraka), New Era (PT Indoplast Makmur), Fly Shoes (Lie Hok)
コンピュータ : Mugen (PT Multikom Persada), Zyrex (PT Zyrexindo Mandiri Buana)
家電品 : Maspion (PT Maspion), Polytron (PT Hartono Istana Teknologi)
フランチャイズ : Papa Ron's Pizza (PT Entertainment International), Edam Burger (Edam Burger), Ayam Goreng Fatmawati (PT Ayam Goreng Fatmawati Indonesia), Oxford Course Indonesia (OCI)
化粧品 : Viva Cosmetic (PT Vitapharm), Ovale (PT KinoCare Era Kosmetindo), Sari Ayu (PT Martina Berto), Ristra (PT Ristra Indonesia)
飲料品 : Extra Joss (PT Bintang Toejoe), Kopi Kapal Api (Go Soe Loet)
即席食品 : Sambal Indofood (PT Nestle Indofood Citarasa Indonesia), Indomie (PT Indofood Sukses Makmur)
医薬品・ジャムウ : Antangin JRG (PT Deltomed Laboratories), Minyak Telon Si Mungil (PT Nyonya Meneer)
スナック : Silver Queen (PT Ceres Indonesia), Gery (Garuda Food)
栄冠ははたしてだれの手に?


「インドネシア原産プロダクト賞最優秀ブランド」(2007年12月18日)
インドネシア原産プロダクト賞2007の各カテゴリー別最優秀ブランドが発表された。明細は下の通り。
衣料品 : Mint (PT Cipta Busana Jaya)
履物 : Specs (PT Panatrade Caraka)
コンピュータ : Zyrex (PT Zyrexindo Mandiri Buana)
家電品 : Maspion (PT Maspion)
フランチャイズ : Oxford Course Indonesia (OCI)
化粧品 : Sari Ayu (PT Martina Berto)
飲料品 : Extra Joss (PT Bintang Toejoe)
即席食品 : Indomie (PT Indofood Sukses Makmur)
医薬品・ジャムウ : Minyak Telon Si Mungil (PT Nyonya Meneer)
スナック : Silver Queen (PT Ceres Indonesia)
また特別カテゴリーとして次の三者にも特別賞が授与された。
顕著な市場浸透 : Teh Botol Sosro
インドネシア原産プロダクト先駆者 : M Nitisemito
クリエーティブ産業リーダー : Helvi Sjarifuddin
ニティスミト(Nitisemito)はクドゥス出身で1880年代にクレテッタバコを考案して普及させたクレテッ生みの親と言われている。ヘルフィ・シャリフディン(Helvi Sjarifuddin)は1990年代に衣料品とファッション産業に高い創造性を持ち込み、その後音楽産業メディア産業に創造性を広げた寵児。


「インドネシアのリッチマン40人」(2007年12月18日)
シンガポールで2007年12月13日に発行されたフォーブスアジア版にインドネシアの最高リッチ40人が掲載された。その首位の座に就いたのはなんと現国民福祉統括大臣アブリザル・バクリで、かれの資産は54億ドルで昨年の6位12億ドルから4倍以上の増加。かれが総帥を務めるバクリグループはインフラ建設・プロパティ・通信などの業界で活躍しており、アブリザルは全国商工会議所会頭を務めたあとSBY政権の経済統括大臣として入閣し、その後国民福祉統括大臣に移っている。
このインドネシア人リッチマンの最高峰を究めた現閣僚に対してユスフ・カラ副大統領が賛辞を呈している。プリブミでリッチマンの頂点に立ったのはかれがはじめてだ、と副大統領は強調した。「アブリザルが蓄えた富は、ハードワーク、勇気、イノベーションそして適切にチャンスをつかんだことの結果だ。アブリザルの富は良好な状態を保ち、実業界を動かして成長の駆動力となるよう、十分に維持管理されなければならない。」と自分自身も2.3億ドルの資産で30位にいる副大統領がコメントしている。東ジャワ州シドアルジョ県ポロン郡の熱泥噴出で大勢の住民が移転保証問題の只中にあることに関連して副大統領は、インドネシアの最高リッチマンとなったアブリザルは必ずその問題を解決できるだろうから被災者は心配しなくてよい、と語った。巨大な資産を持ち決して逃げたりしない人物を被災者は相手にしているのだから安心すればよい、とのこと。
アジア最大の製紙パルプ工場オーナーであり、インドネシアの5大パーム油生産者のひとつであるアシアンアグリ所有者でもあるスカント・タノトがアブリザルに続いて47億ドルで第二位。かれの資産は2006年の28億ドルから大きく増加したが、アブリザルにはかなわなかった。三位はブディ・ハルトノが31億ドル、そしてエカ・チプタ・ウィジャヤ28億ドル、プトラ・サンプルナ22億ドル、マルトゥア・シトルス21億ドル、ラフマン・ハリム16億ドル、ペテル・ソンダッ14.5億ドル、エディ・カトゥアリ13.9億ドル、アントニー・サリム13億ドルといった面々が番付に顔を出す。スハルト家の次男バンバン・トリハッモジョも2億ドルで33位に名前を連ねている。インドネシアトップ40の資産総額は400億ドルとなり、昨年の220億ドルからほとんど倍増しているが、これはアジア全域の傾向に沿ったものだ。


「年末の金回りはイドゥルフィトリに及ばない」(2007年12月24日)
年末長期休暇の資金需要はイドゥルフィトリ長期休暇よりかなり少ないようだ。BCA銀行は2007年12月20日から2008年1月6日までの全国ATM用資金として13兆ルピアを用意したが、これはイドゥルフィトリ休暇時に同行が用意した15兆よりかなり少ない。全国13兆ルピアの中でジャボデタベッ地区はその45%に当たる5.8兆ルピアを占めている。全国でATM取引件数が最大のBCA銀行はこの年末長期休暇の取引件数3百万件、カウンターでの取引件数1百万件を想定しており、これはイドゥルフィトリ休暇時と同じレベル。平常期はATMが2百万件カウンター60万件だから件数増はかなりのもの。
BNI銀行は全国2,350台のATM用に2.68兆ルピアの現金を用意している。イドゥルフィトリ休暇時は3.3兆ルピアだったので2割近くの減少。マンディリ銀行は4.5兆ルピアでイドゥルフィトリ休暇時の5.0兆からわずかの減少。例年、年末のATM利用は平常期の2割ほど件数が増加するとのこと。