インドネシア市場情報2012〜15年


「割引するときは高い値付けが常識」(2012年1月11日)
2011年9月29日付けコンパス紙への投書"Promosi Tiket Sriwijaya Air"から
拝啓、編集部殿。スリウィジャヤ航空がBNI銀行と提携して、BNI銀行クレジットカードでの支払いに対しすべての航路でBuy 1 Get 1 Freeプロモーションプログラムを行っています。去る8月25日、わたしはマラン・スラバヤ・ジャカルタのスリウィジャヤ航空オフィスに電話して、航空券を注文しようと試みました。結局9月5日に、スラバヤのジュアンダ空港にあった航空券販売窓口でわたしは9月20日のマノクワリ〜スラバヤ切符を、そのプロモーションを利用して注文する機会を得ました。ところが購入者サービス担当者は、2011年9月10から22日までの間、そのプログラムはまだクローズしているか、あるいは既にクローズした、と尋ねるたびに言うのです。クローズというのは、そのプログラムをまだ適用していないか、あるいは売り切れで利用できないということのいずれかのようです。フライトの12日も前にマノクワリ〜スラバヤが満席になるなんて、考えられません。もしまだプログラムの適用が開始されていないのなら、いったいいつから開始されると言うのでしょうか?
ジャカルタ事務所の担当者から、そのプログラムのための座席はまだあるが、料金は296万ルピアだという話を聞きました。そのころの他の航空会社の料金は157.4万ルピアから169万ルピアというのが相場だったのです。
結局わたしは大人ふたりと赤児ひとりのために9月20日のマノクワリ〜スラバヤ便の切符を別の航空会社から288.4万ルピアで買いました。これはつまり、スリウィジャヤ航空のそのプロモプログラムを通したひとり分料金よりも、他の航空会社で大人ふたりと赤児ひとりの切符を買う方が廉いということを意味しています。[ 西パプア在住、スパルノ ]


「アメリカのフランチャイズブランドがやってくる」(2012年1月13日)
フランチャイズビジネスの盛んなインドネシアにアメリカのフランチャイザーが食指を動かしている。アメリカのフランチャイザーが最初にインドネシアに進出してきたのは1970年台だが、当時の一人当たり国民所得は568ドル程度しかなく、成功例はあまりなかった。その後全国的に成功したのはKFC(ケンタッキーフライドチキン)やマックD(マクドナルド)などの少数例だが、その少ない成功者がインドネシアのフランチャイズビジネスをリードしている格好だ。
世界的な経済クライシスの影響をあまり蒙らず、活発な経済状況で盛んに気を吐いているインドネシアは今や一人当たり国民所得が3千5百ドルのレベルに達しており、そこに目をつけたアメリカのフランチャイザーが多数、インドネシアへの進出を希望して視察団を送り込んだ。次のようなブランドがインドネシアのマーケットに顔を出すかもしれない。
Applebee's
Carvel Ice Cream
Cinnabon
Crestcom
Denny's
Great American Cookies
Johnny Rockets
Marble Slab Creamery
Moe's Southwest Grill
Pollo Tropical
Pretzelmaker
Rita's Italian Ice
Schlotzsky's
The Vitamin Shoppe
Taf
Which Wich
Wing Zone
それらのプリンシパルからライセンスを得て、インドネシアでのエージェントとしてフランチャイズ事業を進めようという事業者がどれだけ出るか、あるいはプリンシパルに投資させて合弁事業のフランチャイズビジネスを行おうという事業者がどれだけいるか、それが答えを出すにちがいない。


「小売テナント賃貸料金はあまり変化ない」(2012年1月18日)
ジャカルタの2012年モールテナント料金は2011年からあまり変化しないだろうと不動産コンサルタントのカッシュマン&ウェイクフィールド(C&W)インドネシアが予測している。2011年にデベロッパーの多くが竣工を先伸ばしした結果、2011年のテナントスペース供給は過去10年間で最低の75,200平米に終わった。そのために2012年の供給は大幅に増加し、競争が激化するため料金に影響が出るのは必至であるとのこと。
現在建設が進められている大型商業施設は次のようなものがある。
Ciputra World 都内CBD 総面積7.7万平米
Kemang Village 南ジャカルタ市 5.5万平米
Kota Kasablanka 南ジャカルタ市 11万平米
Grand Paragon 西ジャカルタ市 4万平米
Ancol Beach City 北ジャカルタ市 2.4万平米
2012年に予定されている小売りスペース面積のうち71%はワンストップショッピングセンターで占められ、補助用途スペースは27.9%で売却スペースは1.6%しかない。
2012年のスペース入居率は79.5%で2011年と変わらず、テナントサービスチャージも2011年と同じレベルに据え置かれる可能性が高いとC&Wは見ている。
デベロッパーが完成を先延ばしさせたのは、都庁が2012年末まで5千平米を超える商業施設の建設許可交付を自粛したことに関係しており、そのため2013年のスペース供給も低下することになる。一方、外国小売業界のインドネシア進出の意欲は高まっており、2012年のスペース需要の盛り上がりに期待する声は多い。
2011年から2012年末までの総供給は33.7万平米と見込まれており、そのうち98.4%は賃貸スペースで売却用は1.6%しかない。2011年末時点のジャカルタの小売スペース総供給面積は355.9万平米で賃貸と売却の比はほぼ7対3だったから、市場が賃貸方式に大きくシフトしていることがわかる。


「レンタルオートバイビジネス」(2012年1月26日)
オートバイの販売は全国的に絶好調が継続しているが、オートバイレンタルビジネスも活況を呈している。ワハナアルタグループの子会社PTワハナアルタモトレンタルはMotorentの商号でレンタルオートバイ事業を行っており、2011年のレンタル実績は10,396台で前年実績8,370台から24%も向上した。事業業績としては、2011年11月までの売上460億ルピア、純利益23億ルピアが計上されており、2010年の純利益12億ルピアから倍増している。
同社のオートバイレンタル先は企業が主体で、来年は在庫を3千5百台増やして総数1万4千台にするのを目標にしている。同社のオートバイレンタルサービスには全国294ヶ所のAHASS整備工場の利用、24時間顧客サービス、代車手配、配達日厳守などが含まれ、料金はレンタル・整備・STNK延長・オールリスク損害保険の一切が込みになっているという充実した内容になっている。
同社のレンタル商品はあらゆる機種が取り揃えられているが、カブタイプが90%を占めている。レンタル先は金融界が41%、飲食品20%、商業流通が39%といった内訳。地域別にはジャワ・バリが40%、スマトラ30%、残りはカリマンタンとスラウェシに分かれている。同社の大型顧客には、ピザハット、ユニリーバ、KFC、PAMリヨネーズジャヤ、ダナモン銀行、BRI銀行などがある由。
同社は既にバンドンとスラバヤに支店を置いており、2012年にはメダンとスマランに支店を開設する計画。


「国産自動車は品質UP!」(2012年1月30・31日)
2011年のサーベイで、国産自動車のイニシャルクオリティは2010年のサーベイから向上しているという結果が出た。このサーベイはシンガポール在の自動車・IT・金融産業顧客満足度コンサルタントでもある調査機関J.D.パワーアジアパシフィックがインドネシアの自動車購入者2,890人に対して行ったもので、2010年10月から2011年8月までの間に12メーカー45種のコンパクトカー・MPV・SUVの新車を購入したひとから2011年5月〜10月に意見を集めたもの。集められた意見は100台あたりの問題件数としてpp100という指数にまとめられ、2011年の総合評価は83pp100という結果が出された。この指数は2010年のサーベイから6ポイント向上している。
エンジン/トランスミッション・外装・座席に関する不満に低下が見られるものの、HVACとドライビングについては上昇が見られる。2011年のサーベイでもっとも多かった苦情はエアコンに関するもので、なかなか冷えないあるいは冷えるのに時間がかかるというものが多数を占めた。概括すれば、ここ数年間インドネシアの自動車生産者は製品のイニシャルクオリティ向上に真剣に取り組んでいると言えるとのこと。
次に各カテゴリー別の車種ランキングを見ると、次のような結果になっている。
<プレミアムコンパクトカー
1.Mazda 2 60pp100
2.Suzuki SX4 62pp100
3.Toyota Yaris 63pp100
<エントリーSUV
1.Isuzu Panther 64pp100
2.Daihatsu Terios 90pp100
3.Toyota Rush 104pp100
<メディアムSUV
1.Nissan X-Trail 46pp100
2.Mitsubishi Pajero Sports 54pp100
3.Honda CR-V 66pp100
<エントリーMPV
1.Toyota Avanza 83pp100
2.Suzuki APV 92pp100
3.Daihatsu Zenia 101pp100
<メディアムMPV
1.Honda Freed 79pp100
2.Toyota Kijang Innova 82pp100
3.Nissan Grand Livina 93pp100
また今回のサーベイでは、回答者の44%が何の不満も感じておらず、だれかにリコメンドする場合は自分が買った車を推薦するつもりだということが判明した。ただし自分が購入した車にひとつふたつの不満があるひとでも、その36%は自分の買った車種を推薦すると述べている。ところが不満が三つ以上ある場合、その車種を他人に推薦するひとは30%に低下する。
一方、自動車を購入しようとしているひとが何を参照するかというポイントについては、友人や家族からの意見が74%、ディーラーや展示会での情報45%、他の自動車オーナーの意見35%、インターネットの情報は16%などとなっている。


「アバンザが人気車種のトップ」(2012年2月3日)
2011年国内四輪自動車販売は894,164台に達し、過去最高記録を樹立するとともに、タイを抜いて念願のアセアンで国別トップに躍進した。
車種別では依然としてトヨタアバンザが国内市場最強を誇っており、ニ位以下を圧倒的に引き離して独走している。2011年車種別上位十傑は次の通り。数字は実績台数。
Toyota Avanza 162,367
Daihatsu Xenia 66,835
Toyota Kijang Innova 54,763
Mitsubishi FE Colt Diesel 54,066
Suzuki Carry 44,866
Daihatsu Gran Max 40,764
Suzuki APV 30,089
Mitshubishi L-300 28,663
Nissan Livina 27,563
Toyota Rush 25,012
上位十傑はすべて日系メーカーの製品で、それら10車種だけで販売総数のほぼ6割がカバーされている。ちなみに90万台近い販売総数の95%が日系の製品だった。日本での津波災害やタイでの洪水といった障害も日系メーカーの力を弱めることにはならなかったようだ。産業リサーチ機関の自動車産業オブザーバーは、日系以外のメーカーで日系ほどの資材調達網戦略を行っているところは欧米系・韓国系・中国系・インド系の中にひとつもなく、それが日系メーカーのレベルで行えるようになってはじめて市場での太刀打ちができるようになるだろう、と語っている。


「スラバヤに輸入書店がオープン」(2012年2月25日)
東ジャワ州の書店業界は店舗数拡大も業界売上も年間一桁の伸びにとどまっている。売上はよくて10%前後だし、アウトレットの広がりは5%程度しかない、とインドネシア小売商協会東ジャワ州支部長は語る。「モール内のカフェ・レストランと書店の店舗数を比べると50:1。モールの外では、たとえばミニマーケットの数と比べたら35:1の比率だ。2011年の業界売上は4,310億ルピアで2010年実績から9.95%伸びた。」
2011年末の店舗数は州内で40〜50、そのうちスラバヤにあるのは15店。2012年の新規開店が予定されているのはわずか2店のみ。口承文化の落とし子であるインドネシア人は書物を読む習慣が弱い。加えて最近のデジタル化によるeブックなどによって狭い読書人口の書籍購入が減少している、と支部長は見ている。
書店業界の発展の鍵は各店が狭い読書人口に付加価値のついたサービスを提供することであり、教育機関との提携や古典的な古書の再発行などで消費者の来店を増やすことに努める必要がある、と支部長はアドバイスしている。
2012年2月14日、スラバヤに輸入書籍を専門に扱う書店Morning Star がオープンした。これまでこの種の書店が不足していただけに、スラバヤ一円の知識層からの期待が集まっている。


「Finnaはクルプッ」(2012年2月28日)
Finnaブランドのクルプッ(kerupuk)を製造しているPT Sekar Lautは商品バリエーションを増やして輸出にドライブをかけようと努めている。クルプッは魚やエビの風味が一般的だが、同社は野菜やニンニク、ジャガイモ、人参、とうもろこしまで、さまざまな風味の商品を製造している。とうもろこしは世間で流通しているコーンチップスとバッティングするため、生産量は少なめにしているそうだ。
オランダ・イギリス・ベルギー・ドイツなどヨーロッパ諸国をはじめ、日本・韓国・オーストラリア・ニュージランドまで広範に行われている輸出は月間4百トン程度が可能。そのために月産能力はこれまでの8〜9百トンから千トンに上昇した。製品原料は東ジャワ州シドアルジョおよび南カリマンタン州から調達している。同社製品のメインを占めるエビのクルプッ製造には、毎日5〜10トンのエビが必要とされている。


「ジャカルタにもコンドテルが増加する」(2012年3月1日)
ジャカルタのホテル客室稼働率は平均して70%にのぼっており、エコノミーホテルとコンドテルが今後の宿泊ビジネスの中での狙い目だ、と不動産業界者がコメントした。「国内線航空機による旅客輸送は高い回転率が実現している。おかげで3星4星級ホテルは客足が途絶えることがない。客室稼働率は76%に達している。だから弊社は東ジャカルタ市チャワン(Cawang)地区にHレジデンスを設け、117室のコンドテルを運営している。」
2011年ジャカルタのホテル業界客室新規供給は5星級ホテルが40%、4星級35%、3星級24%、その他1%となっている。


「内規は修理でも、頼めば新品交換?!」(2012年3月1日)
2011年11月11日付けコンパス紙への投書"Masa Pakai Laptop Lenovo Singkat"から
拝啓、編集部殿。2011年9月10日、わたしはレノヴォブランドのエッジ420Sをジャカルタのマンガドゥア地区にあるコンピュータショップで購入しました。まだ一ヶ月も経っていないというのに、10月4日にはもう壊れてしまい、電源が入らなくなりました。わたしはその店にレノヴォを持って行って、調べてもらいました。すると販売店側は、その故障の原因は工場での生産の問題であり、使用によるものではないと言いました。
わたしは仕事を完了させるためにコンピュータが必要なので、新品と交換するように頼みました。販売店に手伝ってもらってクレーム手続きを行ったところ、レノヴォのディストリビュータから絶望的な返事が来ました。クレームによる現品交換は買ってから二週間以内でなければならないそうです。
そのコンピュータは購入してから毎日使っていたわけではないとわたしは反論しました。使った日数は二週間に満たない、と。わたしはマンガドゥアにあるレノヴォディストリビュータの支店をはじめ、ジャカルタのクタパン通りにあるノートブック88本店まで連絡しましたが、わたしはかれらの間でピンボン玉にされただけで、解決はなにも与えられませんでした。[ バンドン市在住、アディティア・ユナルディ ]
2011年11月21日付けコンパス紙に掲載されたレノヴォからの回答
拝啓、編集部殿。2011年11月11日付けコンパス紙に掲載されたアディティア・ユナルディさんの投書について、お知らせします。当方修理センターはアディティアさんのシンクパッドエッジ420Sを購入日からおよそひと月経過した2011年10月5日に受領しました。電池に問題があったのです。
アディティアさんから現品交換の要請があったため、本来修理することになっているにもかかわらず、当方はすぐに新品と交換しました。アディティアさんは交換品を10月20日に受け取られました。当方はその経過をアディティアさんに確認し、ご本人もその事実を認めておられます。
当方への連絡先は無料電話番号001803606282あるいは021−29925823へどうぞ。[ レノヴォインドネシア広報販売マネージャー、ダルマヤンティ・クスマ ]


「拡大するエアコン市場」(2012年3月15日)
TV受像機や冷蔵庫に比べて洗濯機やエアコンはかつてあまり大きい需要を持っていなかった。中流以上の家庭に女中がいるのは当たり前であり、それが洗濯機需要を小さいものにしていた。また通常のコロニアル風建築様式は通風が強く意識された開放的なスタイルになっており、加えて電力事情がお粗末であることから、エアコンもなかなか需要の伸びない家庭用電化製品のひとつになっていた。ところがここ数年、国内のエアコン販売は目を見張るような伸びを記録している。
家電品連盟事務局長によれば、昨今のエアコン市場は9割が中流層以下の所得階層になっている由。この階層の家電品購入選択ポイントは価格>ブランド>デザインという順番になっている。一方中流上層以上の階層は保健衛生や電力消費といったポイントに商品選択の重点を置いている。
2011年全国エアコン販売台数は143万台で、2010年の117万台から22%上昇した。金額ベースだと2.98兆ルピアから3.35兆ルピアに12%増えている。PTパナソニックゴーベルインドネシアの商品担当マネージャーは、国内エアコン市場は年々平均15%の成長率になっている、と語る。インバーター方式製品が特に売れ筋になっており、省エネの方向性が明確に見て取れる、と同マネージャーは強調している。エアコン市場は自宅の契約電力量が2千2百ワット以上の中流層が主力になっており、その階層をターゲットにしての商戦にエアコンメーカー各社は火花を散らしている。


「バリの広告宣伝市場は10%の伸び」(2012年3月30日)
全国の広告宣伝市場はテレビを最大の媒体にしており、2011年の市場シェアは68%を占めた。次いで大きい媒体は新聞の20%で、残る10数%をラジオ・雑誌・デジタル・屋外広告などが奪い合っている。
2012年のマーケットは石油燃料値上げの影響で伸び率は12%程度に抑えられるだろうとインドネシア広告会社ユニオン会長が表明した。2011年のマーケットは80.2兆ルピアを記録している。
一方、地方部の広告宣伝市場は多少趣を異にしており、たとえばバリ州では最大の媒体が新聞で総市場の45%を占め、次いでテレビ・ラジオ・デジタルといった順になっている。2011年のバリ州市場規模は1.2兆ルピアで、2012年は10%程度の伸びが期待されている。しかしインドネシア広告会社ユニオンバリ支部長はローカルラジオのシェアは今年低下するだろうと見ており、それに替わって屋外広告が増加するのではないかとの推測を表明している。


「サッカーファン推薦バティック」(2012年3月31日)
バティックの前開き襟付シャツがいま飛ぶように売れている。その種のバティックシャツは昔からあったし、バティックシャツフアンは今でも着実にバティックの上着を買っているから、これまでも売れ行きは堅調だった。一時期、役所や会社あるいは学校、婦人会などがバティックのユニフォームを作ることが流行し、生産が追いつかないくらい売れたものだが、その流行は下火になってここ数年は堅実な販売状況が続いていたというのに、久方ぶりの繁盛になっている。バティック生産者のちょっとしたアイデアでその盛況が引き起こされたのだ。
中部ジャワ州ソロのラウェヤン地区で事業を行っているアリ・ウィボウォはちょっとしたアイデアを思いつき、2011年12月から実行にとりかかった。それは何かというと、ヨーロッパのサッカークラブの徽章ワッペンをバティックシャツに縫い付けたのだ。
インドネシア人はサッカーの欧州リーグファンが多い。シーズンになると現地からの生中継を深夜もいとわずテレビにかじりついて一喜一憂する。それどころか、ごひいきチームが出る試合を大型スクリーンに映出してくれるカフェを同好の仲間と連れ立って訪れ、声援の渦巻く雰囲気を楽しむのである。nonton barengと呼ばれるその種の集いに、みんなが同じ服装でやってくれば、仲間意識はいやが上にも盛り上がるというものだ。そのノントンバルンにごひいきチームのワッペンが縫い付けられているバティックシャツをおそろいで着てもらおう、というのがアリのアイデアで、そのアイデアは確かにヒットした。
各国トップクラスのチームのワッペン付きバティックシャツをアリの店は2週間に7百着ほど生産する。シャツの柄はパランモチーフに花を組み合わせたものが多く、色もワッペンの色調に合わせたものが使われる。人気の高いワッペンはマンチェスターユナイテッド、バルセロナ、ACミラン、インターミラン、チェルシー、リバプール、マンチェスターシティなど。卸屋経由で小売店網に流すだけでなく、オンライン販売もはじめた。
すると国内サッカークラブも自分ところのワッペンをつけたものを作ってくれと言ってきた。マラン、バンドン、ジャカルタなどのサッカークラブからオーダーが入ってきている。このままヨーロッパカップ開催時期に突入してくれたら、売れ行きは昨今の比ではなくなるだろう、とアリはそろばんをはじいている。
別のバティック生産者リスもサッカーバティックを作っている。価格は一着7万5千から9万5千ルピアというレンジ。リスは月間5百着をプカロガンの生産者に発注して作らせている。今年のシーズンにはカフェにおそろいのバティックを着たおじさんたちが大挙集合するようになるかもしれない。


「中古の高級車は今がお買い得」(2012年4月11日)
世界有数の大規模中古車センターのひとつ、Bursa Mobil Bekas-WTC Mangga Duaの2012年第一四半期販売台数が対前年同期比で14%も上昇した。WTCマンガドゥアというのはWholesalers Trade Center のことで、ワールドトレードセンターとは関係がない。かつては集客力のあったジャカルタの卸センターは、その後襲ってきたモールの波に買物客を奪われ、このWTCマンガドゥアは一時閑古鳥が鳴いていたが、中古車センターに変身したことで息を吹き返した。巨大なビルの3・3A・5・6・P7・P8・P9という7フロアーが中古車で埋め尽くされ、2千5百台を超える車が展示されている。
2012年第1四半期の販売台数は7,183台で、前年同期実績6,321台から14%もアップしたのは補助金付き石油燃料値上げ方針が生み出したようなものだと中古車ブルサのシニアマーケティングマネージャーは物語る。
「石油燃料が値上がりすると、自動車価格も値上がりすると予想した消費者が、値上がり前に車を買おうとした。特にジーゼルエンジン高級車がよく売れた。一方、自動車オーナーの中に、石油燃料値上げ方針を政府が固め始めたころから、車を手放そうとするひとが増えた。値上がり前に車を売っておくほうが、値上がりしてからだと売れにくいし、中古車トレーダーが良い価格をオファーしないだろうと考えたからだ。おまけに92オクタン超のプルタマックスのような補助金なし石油燃料価格が果てしなく値上がりを続けているから、高級車オーナーも落ち着かなくなった面がある。そんなさまざまな要因から、エンジン排気量2千CCを超える高級車が中古車センターに入っているトレーダーのストックの中に急激に増加した。しかし補助金付き石油燃料値上げが延期されたため、中古車市場への高級車の売却は下火になってきている。今は需要に対して供給過剰になっているから、価格もお買い得だ。中古の高級車を買いたい消費者にとっては今がベストの時期ですから、お早めにどうぞ。」とマネージャー氏は販売促進を忘れない。


「ローバーのミニがインドネシアに上陸」(2012年4月16日)
コンパクトカー利用者層が同一カテゴリー内でより上を行く製品を求めるようになるのはインドネシアでも同じこと。そのマーケットを狙ってPT BMWインドネシアが2011年11月にMiniブランドのプレミアムカーを発売した。その期待に応じて、発売後の一ヶ月間で86台が売れた。
今回発売されたミニクーペとロードスターを含めて、Miniの製品ラインはミニハッチバック、カントリーマン、カブリオ、クラークマンと6種のモデルが並んでいる。
BMWがイギリスの自動車メーカーRoverを買収したのは1994年のことで、BMWはローバーの誇る小型車ミニを復活させた。ミニクーペはオフザロード価格が一台6.49億ルピア、ロードスターは一台6.79億ルピアとなっている。2012年、BMWインドネシアのこの製品ライン販売目標は3百台とのこと。


「カルフルにもスリ」(2012年4月19日)
2012年1月20日付けコンパス紙への投書"Copet di Carrefour Bintaro"から
拝啓、編集部殿。この話は2011年12月11日12時半ごろ、タングランのビンタロにあるカルフルでショッピング中に妻が体験したできごとについてのものです。妻が商品陳列棚から品物を取ろうとしているとき、一対の男女が妻を両側からはさみました。妻がその棚から離れようとすると、男のほうがそれを邪魔しようとします。その隙に女のほうが妻のバッグから財布を抜き取ったのです。
妻がその事件を届け出たときの店側警備員の反応は、とても失望させるものでした。何の行動も起こさず、あたかも何事もなかったかのように応対しました。そして、「スリというものは、どこにでもいるんですよ。」とあっさり言ったではありませんか。店内にスリがいるという警告を場内アナウンスしてくださいという要請に対しても、ほかの買い物客の迷惑になるから、という理由でかれらは拒否しました。事件が起こって間もなくでしたのに。
もし警備員がその届出に迅速に対応していたなら、届出は犯行から2分くらいしか経っていなかったので、スリ犯人を特定することが可能だったと思われます。店員のひとりが言うには、この店内で数週間前にそっくり同じ事件があった、とのことでした。
カルフルビンタロ店はスリ被害の届出にもっと協力的に対応し、来店客の安全快適なショッピングを保証するよう要請します。ショッピング客はみんな、できるかぎりの用心はしているのです。[ タングラン在住、アグス・ショファ ]


「文盲でなく、遠隔透視をしているだけ」(2012年5月4日)
2012年1月6日付けコンパス紙への投書"Pencatat Meteran PAM Buta Huruf?"から
拝啓、編集部殿。わたしはパリジャの上水道サービス利用者で、顧客番号はスリワティ名義の000525121番で、住所は東チュンカレンのプスパ?通り1番です。この家の所有者はいま、ティベルトゥス・シリトガで、水道利用者の名義変更はまだしていません。
PT PAMパリジャの管理者はわたしの家に文盲でない、あるいは数字の読めるメーター検針者を派遣するようお願いします。2011年10月3日18時現在のメーターは1283を示していますが、2011年10月25日の請求書は1343と書かれています。つまりわたしは過剰支払いをしているわけです。
西ジャカルタ市トゥバグスアンケ通りのPAMパリジャ事務所にこの件を既に届け出てありますが、ほぼ三ヶ月が経過したというのに何の反応もありません。そして当方の支払い遅れという理由で罰金まで払わされています。早急にこの件の解決をお願いします。[ 西ジャカルタ市在住、ティベルトゥス・シリトガ ]


「法的対応に関する意識の低い消費者」(2012年5月10日)
消費者保護に関する政府への勧告に対する政府の対応がきわめて遅いことを国立消費者保護機関が苦情した。国民消費者に対しても生産者が権利を侵害したときの態度がきわめて曖昧である、と保護機関は批判している。「当方が政府に提出した44件の措置勧告で対応が行われたものは50%しかない。反対に消費者側も権利侵害をあたかも何事もなかったかのように受け入れている。生産者が何の対応も取ろうとしないのはそれが原因だ。消費者の権利意識もまだあまり育っていない。アメリカでコーヒーが10セント値上がりしたら、消費者は不買運動を行って生産者を罰した。生産者が権利を侵害したなら、インドネシアの消費者はもっと批判的にならなければいけない。政府も消費者保護機関の勧告に対してもっと真剣に対処しなければならない。政府が対策を行ったものはプレミアムSMS問題、LPGボンベの製品規格、玩具の製品規格などがあり、玩具については工業省が規則の策定に取り掛かっている。」消費者保護機関長官はそう述べている。
問題のある製品が発見されたとき、政府は市場からの回収を命じており、政府の措置は十分なレベルにあると評価できる。しかし市場での流通物品監視の精度はもっと高められるに越したことはないし、消費者の不良生産者摘発ももっと声を大にして行われるべきだ、と消費者保護機関はコメントしている。
国立消費者保護機関はしばらく前に7州の在来パサル530ヶ所とモダンマーケット470ヶ所でサーベイを行い、消費者1千人から声を集めた。その結果は、消費者の50%以上が消費者の権利を知っているが、1999年法律第8号消費者保護法によって権利が保障されていることを理解しているひとは少ないということが明らかになった。購入する商品の品質が保証され、補償がなされること、サービスが差別されないこと、意見や苦情が聞いてもらえること、情報が与えられること、選択の自由があること、安全と快適さが与えられること、といった消費者の権利はたいていの消費者が知っている。しかし消費者への指導啓蒙が行われなければならないことは21.8%、さらに法的対応や保護が与えられなければならないことは35.8%しか理解していなかった。サーベイが行われた7州は、リアウ州・西ジャワ州・ジャカルタ首都特別区・バリ州・中部カリマンタン州・北スラウェシ州・パプア州。
そのサーベイ結果からは、インドネシアの消費者は権利侵害に対する法的対応についての意識がまったく低いことが浮き彫りにされている。国立消費者保護機関は消費者保護法にもとづいて設置された消費者保護のための政府の諮問機関で、携帯電話SMSの不正行為・公教育分野での問題・シティバンク顧客の死亡事件・インドネシア語の取説と保証書がついていないアイパッドの市場流通問題などを昨年は取り扱っている。


「高級レストランの騙し討ち」(2012年5月17日)
2012年2月4日付けコンパス紙への投書"Duck King Paksa Konsumen Makan Ikan Impor"から
拝啓、編集部殿。わたしども一家14人は2011年12月18日にポンドッキンダモール2のレストラン「ダックキング」で食事し、ハタの蒸し料理を注文しました。ウエイトレスが輸入のハタか国産かと尋ねたので、わたしどもは国産のハタと答えました。食事が終わって請求書を調べたところ、金額は2,597,780ルピアで、その半分近くが輸入ハタで占められていたのに驚きました。請求書の中には、輸入アカマダラハタ1.6キログラム1,152,000ルピアと記されていたのです。それでわたしどもはさっきのウエイトレスを呼びました。
「国産のハタがもうなかったからです。」というのが返事でした。しかし事前にその確認はなされていません。わたしはその日の担当マネージャーを呼んでもらい、ウジャン・ハリアントさんがやってきました。そして問題解決の提案など何もせず、「これは当方のミスなので、そのウエイトレスを教育します。」と言うだけでした。
なんとまあ、それが、注文もしていない輸入魚を消費者に食べさせ、欺いて損をさせた店のマネージャーが言う言葉でしょか?わたしどもは店側にフェアな解決案を提示しました。輸入漁と国産魚の差額を二分し、わたしどもが半分、店側が半分を負担するという案です。しかしマネージャー氏はその提案を受け入れる気がなく、結局かれは334,224ルピアを割引するという解決案を提示しましたが、わたしどもには不満が残りました。夜が更けてきたため、わたしどもは不承不承それを受入れることにしました。[ 南ジャカルタ市在住、アッミニ・ダマヤンティ ]


「A=X路線に対抗馬が続々」(2012年5月24日)
インドネシアの乗用車市場は発展の初期からミニバスタイプのマルチシーターカーが主流を占めた。当時から道路状況は大きく変化し、さらに石油燃料のコスト上昇によって、より小型で低燃費の車に対する需要が急増している一方で、アヴァンザ=ゼニアに代表される7シーターMPVの販売台数はいまだに少しもかげりを見せない。2012年の月別販売台数の中でローMPVが占めているシェアは次のようになっている。
2012年1月四輪車販売総数76,365台中26,355台
2月総数86,407台中28,208台
3月総数87,761台中29,695台
そんな市場で圧倒的優位に立っているのはトヨタアヴァンザとダイハツゼニアの二車種だが、そういうおいしい市場を放っておく手はないと競争メーカーが考えるのは当たり前の話だ。
こうしてスズキが類似のフィーチャーでエルティガ(Ertiga)を発売したが、それを追って今度はニッサンがエヴァリア(Evalia)を市場に投入すると公表した。エヴァリアはヨーロッパでニッサンNV200という名の商業車として販売されているもので、それがインドネシアに来ればこぎれいなパッセンジャーカーに変身するというわけだ。ニッサンがこれまでこの市場セグメントに出していたグランドリヴィナの下の価格帯にエヴァリアを参入させる戦略らしく、この市場はますますにぎわいを増すにちがいない。


「プラボトル詰め飲用水の日射暴露に無関心」(2012年5月29日)
2012年2月10日付けコンパス紙への投書"Air Minum Kemasan Plastik Terpapar Panas Matahari"から
拝啓、編集部殿。プラスチックビン詰め飲用水の包装表示には必ず、「注意:清潔で涼しい場所に保管し、直射日光や強い臭気を避けること」と記されています。その警告はビン詰め飲用水が消費者の手に渡るまで安全な品質を維持するためのものであり、重要で有益なことなのです。
ところが自動車専用道で毎日われわれはトラックの荷台に裸積みされたガロンビン入り飲用水が運搬されているのを目にしています。ジャボデタベッ地区の交通渋滞は激化しており、ビン詰め飲用水が目的地に着くまで長い時間を必要とし、その間太陽の直射光と紫外線にさらされているわけです。
販売デポでもそれは変わりません。都内MTハルヨノ通りにある大型販売センターのように、飲用水の入ったガロンビンを店の表に並べているところがあります。保管場所は朝から日光が差し込み、昼には湿気が充満しているので、衛生条件が満たされていません。つまり、包装表示にある注意書きをメーカー自身もディストリビュータも守っていないということです。
飲用水のプラスチックビンはたいていポリカーボネートとポリエチレンで作られています。透明プラスチックビンは紫外線をあまり通さないので、紫外線よりも日射による熱を受けることのほうがより危険です。
熱を受けることによってプラスチックの基体が水に転移し、発がん性・免疫不全・行動や生殖障害などの危険を身体に及ぼします。ビン詰め飲用水の運搬は夜間だけとし、販売デポの保管場所をもっと監督することが最善の解決策と思われます。


「ショッパホリックへのサービスが進む」(2012年5月31日)
小売店の割引プロモを紹介する会員制サイトが増えている。インターネットサービスプロバイダーのPT Dyviacom Intrabumi が2010年にオープンしたogahrugi.com はすでに会員を100万人擁しており、今年中に200万人にすることを目標に掲げている。2011年末からわずか3ヶ月で会員が7倍増になったことから、200万会員は射程距離内にあるそうだ。現会員100万人中の60万人は女性だそうで、値引きショッピングが女の命であることをそれが証明しているようだ。
ogahrugi.com ではお食事処・パッケージ旅行・スパ・美容サロンなどの割引バウチャーを販売しており、購入したバウチャーを持ってお店へ行けば割引料金が適用されるしくみになっている。バウチャーの7割はお食事処、次いで携帯電話そして美容や保健、レクレーションなどといった順で売れている。お店は首都圏一円にある1千店。
2012年1〜4月のバウチャー販売実績は前年の10倍にのぼり、販売増に拍車をかけようと同社は今後バリ・ロンボッ、バンドン、スラバヤの小売店を巻き込むことにしている。
西ジャワ州チマヒを本拠地とするPT Selaras Multi Aplikasi Global はお店のディスカウント情報を公開するサイトsiapakasidiskon.com をはじめた。このサイトはお店が行っているディスカウントを消費者に知らせることを主目的にしており、バウチャー販売は行っていない。SMAG社CEOはこのサイトについて、アクセス者の7割を占める17歳から40歳までの女性を狙ったものだ、と説明した。とても多くの店がディスカウントを行っているのに、消費者はほとんどそれを知らないので、このサイトでその両者を結びつけることをしている、とかれはその使命を説明している。家電・食事処・ファッション・ホテル・自動車などがカテゴリーのメインを占めている。店の場所もグーグルマップで示されており、紹介された店へ行きやすい工夫がなされている。


「有名ブランドと公認サービス業者」(2012年5月31日)
2012年2月14日付けコンパス紙への投書"Purnajual Panasonic"から
拝啓、編集部殿。2011年8月、わたしの子供がデジタルカメラ、パナソニックルミックスDMC−F3ブラックの修理をルミックスカメラ公認サービス業者に依頼しました。購入してまだ一年未満なので、保証期間中です。トラブルは撮影するときにレンズに黒点が出現し、またレンズが出入りしないことのふたつでした。
公認サービス業者にカメラを持っていったとき、先方はいつ修理できるか知らせてくれるという約束でしたが、いつまで経っても連絡がなく、2012年1月にわたしは先方に三回電話で問い合わせましたが、毎回「まだ終わっていない」という返事ばかりです。
待ちきれなくなったわたしはそのカメラを返してもらいました。ところがそのときカメラの状態をチェックし忘れてしまい、帰宅してから調べたところ、カメラに挿入してあったメモリーカードはなくなっており、スクリーンは本体の中にめり込んでいて、状態は修理に出したときよりも悪化していたのです。パナソニック公認サービス業者からの公式な回答を要請します。保証期間中のそのカメラの修理でいったい何があったのですか?[ タングラン在住、アシタ・スリヤント ]


「スズキエルティガ売行き好調」(2012年6月1日)
トヨタ=ダイハツ組のA=X路線に対抗馬としてスズキがぶつけたエルティガは、発売からまだひと月経過しないというのにすでに1万2千台の予約がたまってしまった。
その1万2千台は既に500万ルピアのブッキングフィーを納めた予約件数だけをカウントしたもので、ブッキングフィーが500万ルピアに満たないものまで数えれば二倍になるだろうとPTスズキインドモビルセールズ取締役は述べている。同社の販売計画では、発売月のターゲットは5千台としてあったため、その凄まじい受注状況にうれしい悲鳴があがっている。その結果、予約注文を入れた購入希望者は2〜3ヶ月待たなければ車両が引き渡されないことになる。受注の3割はジャカルタ地区からのもので、車両スペックはGXタイプが55%、GLタイプ40%、GAタイプは5%という配分とのこと。
スズキスイフトをベースに開発されたこのエルティガはスペアパーツのコストダウンに成功しており、同じクラスの他社車種が使うスペアパーツの価格帯から最高で6割安になっている。
エルティガの受注好調でAPVの販売への影響が懸念されているが、APVの売れ行きが落ちるような影響は少しも出ていない、と取締役は述べている。


「水道はどの地方でもそんなもの」(2012年6月6日)
2012年2月1日付けコンパス紙への投書"Air Tirta Siak Pekanbaru Sering Tidak Mengalir"から
拝啓、編集部殿。プカンバルのティルタシアッ地方上水道会社顧客は、もう何年もまともなサービスを受けていません。使用に耐える清水やスムースな水流はめったに享受できません。水圧のない水流、床から50センチの蛇口の高さまで水が上がってこないことも頻繁です。
水は往々にして濁っており、水源のシアッ川の水が何の処理もされないままティルタシアッ水道会社の水道管を経由して契約者の家に流されてきているようにしか見えません。清水が勢いよく流れてくるのは1〜2週間というほんの短期間で、そのあとは何ヶ月間も濁った水がちょろちょろと流れるだけ。そして1月9日からわが家は断水になりました。水道契約者でありながら、ティルタシアッ水道会社の水を水浴・洗濯・料理などにまったく使っていません。
プカンバル市当局はティルタシアッ地方上水道会社に厳しい措置を取るようお願いします。消費者の権利を満たすことができないのなら、厳しい制裁を与えてください。高品質の清水は大都市の必須条件なのです。[ プカンバル在住、エヴェリン・バユ ]


「中古車販売が増加する」(2012年6月7日)
中古車のオンラインマーケットが過去11ヶ月間に80%の伸びを示したというtokobagus.com のサーベイ結果が報告された。2011年5月から2012年4月までの11ヶ月間で、一日あたりの売買決済は556件から1,000件前後に増えている。取引成立件数のうち9割は単価3〜5千万ルピアの中古車。オンラインマーケットで売買されている中古車の多くは、シティカー・セダン・ピックアップ・MPV・SUV。購入者はジャカルタ在住が29%、バンドン27%、ジョクジャ8%、スラバヤ21%といったところ。
一方、国内最大の中古車センターWTCマンガドゥアは2012年1〜4月の販売台数が9,577台に達し、前年同期実績8,299台から15%増加した。今年はプレミウムガソリン値上げイシューにからんで小型車の需要が急増したという要因もあったが、中古車販売業界はこの先も増加傾向が継続するよう期待している。
中銀が定めたローン頭金30%規定は2012年6月15日から実施されるが、中古車にはそれが適用されないため新車に比べて買い易さがより高まると感じる消費者が増えるだろうと、業界者は期待している。


「テレビ販売好調が続く」(2012年6月8日)
2012年第1四半期国内家電品業界売上高は6.12兆ルピアに上り、対前年同期比で24%のアップとなった。家電品連盟会長によれば、テレビ受像機市場でブラウン管タイプからLCDやLEDなどハイテクタイプへの移行が進んでおり、テレビの売上は好調が続いているとのこと。
「消費者はハイテクタイプへの志向を強めている。これまでの一家に一台から一部屋に一台の時代に移行しつつあり、10年前に買ったテレビの買換えも盛んになっている。国内家電品売上高の47%を占めるオーディオビデオセクターでテレビは85〜90%のシェアを占めている。冷蔵庫・洗濯機・エアコンなどの家電機器セクターは売上シェアが49%で最高だが台数的にはオーディオビデオにかなわない。冷蔵庫の販売台数は増加しているものの、まだ一家に一台というレベルに達しない。洗濯機にも同じことが言える。障害になっているのは電力供給問題だ。炊飯器・マイクロウエーブ・ジューサー・揚水ポンプなどの小型家庭電化製品セクターの売上高シェアは4%しかない。
今年第2四半期の売上高も対前年比24%アップが継続するだろうが、第3四半期に政府が補助金付き石油燃料消費制限方針を開始すれば、家電品の売れ行きは10%低下するだろう。」
政府の方針によって一般家庭の燃料費支出は増大するため、可処分所得が目減りして耐久消費財購入が低下するのは確実だと家電品連盟会長はにらんでいる。


「インターネットへの広宣費支出が増加傾向」(2012年6月21日)
市場調査機関イプソスが最近実施した、ソーシャルネットワークとテレビの二者択一が避けられなくなったとき、そのどちらを選択するかということに関する調査報告によれば、インドネシアのソーシャルネットワーク利用者の55%はテレビを見捨てると回答した。逆に言うと、ソーシャルネットワークを捨てるひとは45%しかいないということでもある。サウジアラビアやインドも類似の比率になっている。
テレビを見捨てる比率がもっと高いのはブラジルとトルコの61%、中国はそれに輪をかけて、テレビを見捨てるひとは65%に達している。ところがイギリス・フランス・オーストラリア・アメリカ・カナダなどの欧米先進国はテレビを見捨てるひとの比率が20%台しかいない。消費者がテレビを見捨てると述べている国々では、これまでテレビに流れていた広告宣伝費支出の流れ先が今後変化する可能性を予見させている。
ソーシャルネットワークの代表選手であるフェイスブック利用者数はインドネシアが4,260万で、アメリカの1.59億、ブラジル4,804万、インド4,630万に次ぐ世界第四位。もう一方の旗頭であるツイッター利用者数は、世界一はやはりアメリカで1.08億、そしてブラジル3,330万、日本2,990万、イギリス2,380万、インドネシアは第5位の1,950万となっている。
ソーシャルネットワークの興隆で産業界も広告宣伝費の割当をインターネットに増やし始めている。メディアリサーチ機関が公表した調査結果では、回答者の20%はインターネットへの広告宣伝費支出を現在の5%から2014年には15〜20%に増やす考えであるとのこと。


「コピティアム商標権裁判」(2012年6月22日)
Kopitiam という名称の商標権を特定個人に持たせることに妥当性があるのか、という問題がインドネシアで起こっている。Kopitiam とは漢字で「珈琲店」と書き、福建語の日常用語のひとつで、日本語のいわゆるコーヒーショップと同じ意味である。この問題は、たとえば日本で「喫茶店」という名称を商標登録できるのかということに通じる問題だと思われる。
そのKopitiam という言葉の着いた名称をアブドゥル・アレッ・スリスティヨなる人物が商標登録し、法務省商標局がそれを承認した。同一人物が出した登録申請を22件もである。そしてその承認に意を強くした商標権所有者が新聞広告を出し、Kopitiam という言葉の着いたすべての屋号や商標の持ち主に対して、即刻その使用をやめるよう警告を発したから、事は大きくなった。
ジャカルタに住んでいるかぎり、Kopitiam という名称は一般性のない特異なものというイメージが強い。マレーシアやシンガポールで目にした看板を思い出させ、その言葉に商標権が設定されても違和感を感じないひとのほうが圧倒的に多数を占めるだろう。しかしインドネシアのどこへ行ってもそうだということでは決してないのである。昔、華南地方から大勢の華人が移り住んできたとき、福建系のひとびとが集まって居住地を形成したメダンやスマトラの海岸部、カリマンタンのポンティアナッなどではKopitiam がひとびとの日常生活の中に根をおろしていた。ジョクジャにさえ、Kopitiam の看板が町並みの一角に顔を出している。
全国にいるKopitiam 店経営者たちはインドネシアKopitiam事業者ユニオンという連盟を作っている。このユニオンがそんな動きに抗議して裁判所に提訴した。かれらの屋号には、Killiney's Kopitiam, Lau's Kopitiam, Bangi Kopitiam, Eastern Kopitiam, Mao Kopitiam, Kopitiam Oey, Kok Tong Kopitiam などがあり、メダン地方裁判所でこの係争の公判が行われることになる。22の商標権を得たアブドゥル氏はまだ6店しかKopitiam をオープンしておらず、公判の成り行きが注目されている。


「懇請と強要の区別なし」(2012年6月27日)
2012年4月24日付けコンパス紙への投書"Turis Ketakutan dengan Pengamen di Bandung"から
拝啓、編集部殿。去る4月5日、わたしはバンドンのパサルバルでバンドン特産クルプッ(kerupuk)の買物をしました。行き着けの売場で味見していると、マレーシアからの旅行者が何人もパサルに入ってきたのです。かれらは売場にある商品を味見し、値段の交渉をしていました。稠密な在来型のとても賑わっているこのパサルに隣国のマレーシア人が大勢やってくることにわたしは感動し、かれらと言葉を交わしました。かれらのバンドンへの観光旅行の訪問先のひとつにこのパサルが上がっているのです。売られている商品がたいへん廉価であるため、このパサルがかれらにはお気に入りになっているのです。
ところがかれらの愉しい買物は一転して不愉快にものに変わりました。ひとりのプガメン(pengamen)がかれらの前に現われて唄を歌おうとしたのです。かれらの中の何人かが、微笑を絶やさず礼儀ある態度で「マアフ(maaf)」と言いながら手を振りました。丁寧なノーの意思表示です。しかしそのプガメンは強情を張って歌いはじめました。売場の店員たちはわたしに、このパサルのプガメンたちはお客から気持ちよく買物する機会を奪っていると言って普段からの苦情を開陳しました。
マレーシア人観光客たちが相当にたくさんの買物をし、店員にお金を払っているとき、そのプガメンは手のひらをそこに突き出して金をめぐむよう要求したのです。それを見たわたしの不愉快さは頂点に達しました。またまた男性観光客が顔に微笑みを浮かべ、手を胸に上げて「マアフ」を繰り返しました。するとそのプガメンは突然腕を曲げて肘で近くの女性観光客の胸を突き、「Anjiiiing lo」と言ったのです。
パサルバル運営者あるいはバンドン市庁にお願いします。パサルバルからあのような行いをなくすよう、取締りを行ってください。[ 南ジャカルタ市在住、ウリヤンティPH ]


「買ったのに乗れない中古車」(2012年6月28日)
2012年4月14日付けコンパス紙への投書"Mobil88 Tidak Profesional"から
拝啓、編集部殿。2012年1月31日、わたしはモビル88南ジャカルタ市チランダッ店でダイハツシリオンの中古車をローン購入しました。当然、自動車の状態は良好で、付属書類も全部揃っていると思ったわけです。
イニシャル使用者はたった9ヶ月間使用しただけだったので車の状態はもちろん十分に良好でしたが、サービスブック・マニュアルブック・スペアキーが付いておらず、わたしはがっかりしました。まだけっこう新しい中古車だというのに、自動車の付属書類がなくなっているなんて、思いもよりません。モビル88は宣伝ほどビューティフルじゃなかったのです。そしてもっとひどいことに、BPKB(自動車所有者謄本)の名義変更も、STNK(自動車番号証明書)も、二ヶ月経つというのにわたしの手元に届きません。理由の説明は紋切り型の「まだプロセス中」です。おかげで2ヶ月以上、わたしの車は約束に反してSTNKなしの状態です。とてもプロとは思えません。[ 南タングラン市在住、ムハマッ・サイフィ ]


「ソロのベストブランド」(2012年6月30日)
中部ジャワ州ソロの消費者に人気のあるブランドを調査するソロベストブランドインデックス2012の結果が発表され、各カテゴリーでベストブランドに選ばれた会社には表彰状が授与された。調査結果は2千5百人を超える回答者から集められたもの。
即席麺カテゴリーではIndomieが41.7ポイントを獲得して昨年のナンバーワンMi Sedapの39.7ポイントを上回る成績を収めた。
地元の製パンカテゴリーはRoti Wonderが26.8ポイントを得て2011年の覇者Roti Dikaの地位を奪った。ロティディカは今年23.5ポイント。
国産携帯電話器はこれもCrossが昨年のトップだったNexianを押さえて首位を獲得。Nexianは二位、そしてMito, Imo, HTといった順位で続いている。
またジョクジャでも今年から同じ催しが開始され、ジョクジャ消費者が選んだベストブランドが公表されている。


「バリに野菜果実輸入品が増加しそう)」(2012年7月3・4日)
2012年6月19日から生鮮野菜果実輸入港の制限が開始され、スマトラはメダン海港、ジャワはスラバヤ海港とスカルノハッタ空港、インドネシア東部地域はマカッサル海港の四ヶ所のみとなったため、これまで輸入港のひとつだったジャカルタ海港での輸入ができなくなった。この規則は農業省が植物検疫に関連して設けたものだが、国内農業保護の意図は疑いもない。なお、上の地域割りは単なる地理的なものでしかなく、流通エリアの制限意図はまったくない。
これまで一大消費地だった首都圏への輸入生鮮野菜果実はジャカルタ海港で陸揚げされ、国内配送ルートに沿って供給されていたものが、今はスラバヤで陸揚げしなければならなくなったことから、スラバヤ周辺に新たに倉庫と配送網が必要とされるようになり、またスラバヤから首都圏へというトラック輸送の道程が延びて、キロ当たり1千〜2千ルピアの値上がりは必至という状況になっている。
そうなると当然販売量に影響が出るのは大いに予想されることであり、農業省の期待通り首都圏での輸入品は量が低下するだろうが、これまでその輸入と流通を行っていた会社がそれを黙って甘受するわけでもあるまい。スラバヤから近いもうひとつ別の購買力を持つ消費地に今業界者の焦点が当たっている。それはバリだ。
スラバヤ港を擁する東ジャワ州は農業生産州であり、州庁は今回の政府方針でスラバヤがジャワ島における集散センターに位置付けられることに強く反対してきた。それが本決まりになった現在、州庁は輸入品の州内供給増加に神経を尖らせており、州外に運び出されることは望むところだが、これまで地元産品の供給先でもあったバリに輸入品の集中豪雨が起こるのは痛し痒しというところだろう。
追記すると、植物検疫に関して輸入時に検査を行わない相互条約を結んでいる国の産品は従来通りジャカルタのタンジュンプリウッ港で輸入通関ができる。今回の規則はそういう穴が開いており、農業省の意図がどこまで実現され得るかは予断を許さないものになりそうだ。
さてそのジャカルタとスラバヤで、6月19日以降どのような変化が起こっているのだろうか。ジャカルタは当然の帰結という様相を見せているものの、スラバヤは意外としか言いようのない事態に陥っている。タンジュンプリウッ港植物検疫総館長が6月26日に明らかにしたところによれば、それまで一日あたり平均3百件を数えていたタンジュンプリウッ港での生鮮野菜果実類通関件数は60件に激減したとのこと。輸入量は一件あたりコンテナ10ボックス程度との由。一方、スラバヤの方はジャカルタが減った分だけ増加するだろうと思いきや、こちらも以前の一日60〜70件が30〜40件にほぼ半減している。長官はその現象について、業界は制度の移行に即追随せず、様子見をしているのではないか、とコメントしている。
農業省は輸入陸揚げ港制限にあわせて輸入量クオータ制を6月15日から開始する意向だったが、これは2012年9月28日まで延期された。インドネシアの果実はほとんどが6〜12月を収穫期にしており、反対に1〜5月は種類も量も供給が大幅に減る。そのため、1〜5月は輸入を許可して6〜12月は輸入を禁止するというテクニックが今後使われることになりそうだ。


「人間は商品ほどスマートになれない」(2012年7月3日)
2012年4月9日付けコンパス紙への投書"Layanan Tak Cerdas Sony"から
拝啓、編集部殿。2011年8月2日、わたしはジャカルタのモールアンバサドルにある公認エージェントでソニーエリクソン携帯電話エクスペリアアーク?を購入しました。ところが突然完全に動かなくなったため、2011年12月28日にそのエージェントに修理を依頼しました。
その店は販売記録を残していないため、わたしの携帯電話は保証期間外という扱いにされ、10万ルピアの修理費を課されました。二週間で修理が終わるという約束だったにもかかわらず、三ヶ月経ったというのに、いまだに修理が終わりません。
わたしはスマートフォーンという製品を買ったというのに、与えられているサービスはまったくスマートでないこの有様はとてもイロニカルです。[ 南タングラン市在住、トトッ・インドラルト ]


「ネットショッパーが増加」(2012年7月26日)
オンラインショッピングが顕著な成長を示している。ベンチャーキャピタルのイデアソースによれば、2010年の年間取引件数は375万件金額は6,700万米ドルだったが、2011年には718万件14,400万米ドルにほとんど倍増した。2012年もほぼ倍増という予測が描かれているが、その成り行きは別にして、インドネシアのインターネット人口増加に伴ってオンラインショッピング実行者の増加がそのような結果を導き出しているのは、言を待たないだろう。2011年のインターネット利用者は5千万人だったが、2年後には8千万人になると言われている。インドネシアのインターネット利用者のうちでオンライショッピングを好んで行っているひとは30%だそうだ。
インドネシアのオンラインショッパーは7割が銀行送金による支払いで、クレジットカードを相手にさらけ出すのは3割。将来的には、オンラインショッピングオペレータが単一支払い窓口の役割を担い、ショッパーが購入したさまざまな商品の納入は個々の店が行なうがその代金はオンラインショッピングオペレータから受取る形になっていくだろうとイデアソースは予想している。その商品の納入は4〜5時間で店から消費者の手に渡されると約束しているサイトもあれば、最寄のミニマーケットで受取れる方式をオファーしているサイトもある。このスタイルは台湾や南米で一般的なものだ。


「ネットショッピングを阻むもの」(2012年7月27日)
インドネシアEコマース協会(Idea)が政府に対し、オンラインビジネス普及のために消費者のデータ悪用禁止を中心にした法的保護体制を早急に固めるよう要請した。消費者はショッピングサイトで買物をしようとすると、必ず個人データの入力を求められる。Eメールアドレスや支払いに使われる銀行口座番号などは欠かせない。その入力画面に相対した消費者の脳裏を不安がかすめる。取り込まれたデータが何者かに悪用されないだろうか?インドネシアのインターネット経由の支払いで、クレジットカードの使用はわずか3%しかないという実態報告は周知のことになっている。
もうひとつの問題は、インターネットショップで闇市場の商品が販売されていることだ。闇商品が販売されたら、ネットショップオペレータも消費者も損害を受ける。これについても政府が法的規制をかけることが望まれている。
マークプラスの調査によれば、ネットショッピングをしたくないひとの理由の最大はフロードを怖れてのもので、41.4%を占めている。次いで自分に不向き13.1%、まともな品物が来るかどうか不安12.0%、興味なし8.9%、売られている品目に関係する理由7.4%、となっている、


「消費者たちのビヘイビア」(2012年8月3・4日)
インドネシアの子供たちが親からもらう一日の小遣いは総額1千6百億ルピアで、巨大な市場を形成している。上は高級モールのさまざまな店から、下は学校周辺に集まってくる飲食品菓子類販売物売り屋台までが、この市場の恩恵を享受しているベンダーたちだ。平均すればひとりあたり一日6千1百ルピアだが、23%のこどもたちはひとり一日1万から1万5千ルピアを小遣いにもらっている。
子供に何か欲しいものができたとき、親にとっては貯蓄を子供に教えるチャンスとなる。こうして親が買い与えた貯金箱に小銭をためる子供たちは大多数にのぼる。それを一気に銀行まで連れて行く家庭は18%で、その親たちの銀行利用頻度を暗示しているようだ。銀行に貯金すれば利子がつくということは子供たちに大きな魅力を与えるものであり、銀行界はもっと子供市場めがけて腰を低くしてはどうか、というサーベイヤ側のコメントもついている。
それとは別に、家庭が何か買物をする際、子供の選択が購入製品の決定に大きい役割を果たしている傾向があることも、最近の調査で明らかになった。2012年2月3月にグラメディアマジャラが国内9都市在住の9千人の回答者に対して行った市場調査で、四輪自動車を購入したひとの53%、オートバイを購入したひとの47%が、購入ブランドと機種の選択に子供の意見が反映されたことを認めている。
それどころか、一家団欒休日の慰安にどこのモールへ行こうかという行き先決定に子供の意向を採用しているひとは85%、長期休暇に旅行先を決めるのを子供の好みにあわせているひとは87%にのぼった。かつて親子のコミュニケーションは上意下達の一方向しかなかったが、最近はまるで様変わりしているとのコメントがつけられている。
グラメディアマジャラはまた女性の年代別買物傾向も分析した。化粧することを学び始めるティーンズ年代の女性たちは、93%がモールへ出かけるのを好み、38%がフェイスブックアカウントを持っている。そして買物は自分自身のためのものに焦点が当たっている。その年代を過ぎて職業生活に入るようになると、いろいろと探究心が広がり、化粧品もあらゆる種類のものをチョバするようになる。そして結婚生活に入ると、女性たちは家族のことに関心が移行する。さらに40代に達した女性たちはこれまで体験しなかった新しいものごとをチョバする自由な時間がたっぷり取れるようになる。女性のこのようなライフサイクルに商品戦略や広告宣伝のポイントをもっと合わせていけば、産業界はもっと的確なマーケット戦略が打ち出せるのではないかというのも、サーベイヤのコメントだ。


「景品付き販売よりディスカウントのほうが好きっ!」(2012年8月11日)
インドネシアの消費者は販促プロモを追い求めるのに熱心なひとびとである、とニールセンショッパートレンドリポート2012が報告した。消費者の61%は販促プロモなどによる割引販売の愛好者。景品付き販売がお好みのひとは21%、15%はbuy 1 get 1 free 方式販売のファンで、ポイント付き販売や抽選で景品が当たる方式がいいと言うひとは1%しかいなかった。
割引販売を追い求めるひとは48%おり、インドネシアのマーケットでは依然として価格が商品選択動機のトップに位置している。日常生活必需品購入は常に価格を意識しているというひとが59%で、定期的に購入する生活必需品の価格は空で覚えているというひとは24%いた。
ところがインドネシアの消費者は割引販売がお好みだとはいえ買物を決まった店で行う傾向は69%とたいへん高く、割引を求めていろんな店をはしごして歩くひとは13%しかいなかった。卸売り店はどこもかしこも似たようなものだと思っているひとは55%にのぼる。
また消費者の買物場所としてトップを占めているのは在来型商店で、ウエットマーケットや住宅地を巡回する野菜売り屋台などの利用も増加している。


「美容サロンで髪の毛くしゃくしゃ」(2012年8月13日)
2012年5月19日付けコンパス紙への投書"Rambut Kusut di Salon Yopie"から
拝啓、編集部殿。去る4月14日(土)17時半ごろ、妻はジャカルタのモールFX2階にあるヨピサロンで洗髪とブローをしました。その日の夜、そのモール内のレストランで妻は誕生日祝いのパーティを同僚たちと催す計画だったのです。
災難はいつやってくるかわかりません。ブローを終えた妻の髪はくしゃくしゃになり、くしも通らないありさまでした。そのサロン従業員のMは洗髪に慣れておらず、妻が使うように命じて渡したシャンプーとコンディショナーを一切使わなかったようです。妻の髪をまっすぐになるよう戻す作業を、そのサロンの従業員5人が5時間かかりきりになりました。そのサロンのスーパーバイザーのクリスティナさんはあまり協力的でなく、また従業員も客の髪を扱うのにあまり慣れていないように見えました。
時間は22時半になり、モールFXはクローズされました。妻の誕生日パーティは延期され、同僚や友人たちは失望を味わいました。サロンのスーパーバイザーは陳謝の言葉を口にしましたが、誕生日という大切な機会は取り返しがつかなかったのです。[ 南ジャカルタ市クバヨランバル在住、インドラッノ・ルバマ ]
2012年6月13日付けコンパス紙に掲載されたサロン経営者からの回答
拝啓、編集部殿。インドラッノ・ルバマさんの2012年5月19日付けコンパス紙に掲載された投書に関して、ご不快な体験にまずお詫び申し上げます。そのときインドラッノ・ルバマさんの奥様は他のサロンでブリーチングをなされたあと当方にお越しになりました。その状態の髪は壊れやすく、容易にくしゃくしゃになるものなのです。
弊サロンは当方の製品を使ってくしゃくしゃになった髪を治そうと考え、その旨申し出ましたが、奥様は既に当方への信頼を失われており、それを拒絶されました。当方はそれを治すことを切に希望したのですが。
お客様の苦情に十分な関心を払って対応しなかった弊サロン従業員のミスは認めます。その結果、当方が良好に問題解決を図ろうとしたにもかかわらず、問題がこじれて、解決から遠ざかってしまいました。[ PTヨシリハルモニス経営者、イファン・ヨハネス ]


「商品のインドネシア語表示義務は2013年から」(2012年8月27日)
家電品・家庭用品・情報通信機器・建築資材・自動車用品・履物・皮革製品・メガネフレーム・洗剤・殺虫剤・時計・電線・靴下・フォトコピー用紙・マッチとライター・子供玩具・衣料品・食器・家庭用プラスチック製品などに対するインドネシア語の商品ラベルと取扱説明書添付義務付けは2010年商業大臣規則第22号で定められ、2010年9月1日から18ヶ月間の社会告知期間後に完全施行されることになっていたが、社会告知期間は2012年末まで延長された。
社会告知期間とは言っても実際には市場検問が既に実施されており、検査官による商店訪問は継続的に行われている。南タングラン市アラムストラの大型玩具店を訪れた検査官は、店内の陳列商品の85%が添付義務に従っていないものであると語っている。主に中国製や日本製の玩具が目立ち、それらの包装はもとよりインドネシア語のラベルも取説もどこにも見当たらない。
告知期間であるからすぐ処罰されることはなく、警告書が出されるだけではあるのだが、告知期間内でも警告書が三回出されたらその商店は処罰の対象になる。2013年からは義務付けが完全施行されるため、違反物品が発見されれば即時押収された上、商店は罰則を蒙るようになるとのこと。
言うまでもなくこの制度は消費者保護を目的にしたものであるのだが、消費者保護財団によれば、消費者自身があまり権利意識を持っておらず、特に金額の小さい飲食品で不適切なものを買ってしまっても、表立って苦情するケースは少ないのだそうだ。2012年は7月までに消費者の訴えが388件届いているが、飲食品に関するものは18件しかなく5%に満たない状況であるとのこと。どうやら、権利義務意識よりも、金額の大小にふさわしい反応という物の見方を優先する社会的価値観がそこに投影されているにちがいない。


「ルバラン帰省はトヨタアヴァンザで」(2012年8月29日)
2012年1〜7月間の四輪自動車生産者国内販売台数は638,264台で、そのうちMPVは274,003台を占めた。自動車販売が最高潮に達するのは毎年ルバラン帰省前の時期で、その必要性に応じて7〜8人乗りのMPVも大きく販売が伸びる。ルバラン帰省前の販売台数をその目的のためと仮定するなら、車種別に次のような番付になる。
1)トヨタアヴァンザ 17,264台
2)キジャンイノヴァ 6,719台
3)ダイハツゼニア 6,553台
4)スズキエルティガ 4,195台
5)グランドリヴィナ 2,490台
6)ニッサンエヴァリア 2,482台
7)ホンダフリード 1,899台
8)スズキAPV 1,755台
9)ダイハツルクシオ 597台
10)いすゞパンサー 500台
トヨタアヴァンザは2012年の販売が20万台と見込まれており、来年には通算100万台の販売が達成されると予想されている。


「ソニーさん、どうしちゃったの?」(2012年8月31日)
2012年6月4日付けコンパス紙への投書"Sony Tidak Beritikad Baik"から
拝啓、編集部殿。2012年1月6日、わたしはソニーDVDプレ−ヤーを修理してもらうために南ジャカルタ市ラディオダラムのソニー修理センターに持ち込みました。ソニーの技術者によれば、HDMIポートが故障しているそうでした。そのときは一二週間で治ると言われましたが、約束の日に電話したところ、まだ修理が終わっていないので来週になると言います。翌週になってもまだ終わりません。技術者は、こんどは、もう二週間先になる、と言いました。ところが、もう4ヶ月になるというのに、わたしは修理がなされたDVDプレーヤーをまだ受取ることができません。南ジャカルタ市ラディオダラムのソニー修理センターは、消費者によいサービスを提供しようという誠意のかけらも持ち合わせていないのようです。ソニーさん、どうしちゃったの?[ 南タングラン市BSDシティ在住、グントゥル・プラボウォ ]


「コーヒーの国際品質標準を作れ」(2012年9月5日)
コーヒーの国際的な品質標準がないため、コーヒー輸出国であるインドネシアがその標準を設けようと他の生産国に働きかけている。国際的に統一された標準がないために各国のコーヒーメーカーは自社の標準を生産者に適用する形がとられているのが一般的で、メーカーが異なれば別の標準が持ち込まれるという形は生産者にとって都合が悪いため、生産者としての標準を設けたいというのがインドネシア政府の考え。
「生産国であるインドネシアがバイヤーにコントロールされるているのはよくない。ましてや、そのバイヤーがインドネシアのコーヒー生産農民に持ってくる標準は私的なものでしかないのだから。フェアーであることを望むなら、国際機関がそのケアをするべきだろう。プライベート標準は結局のところ多国籍企業がハンドルを握っている。世界のコーヒー生産国はそのために一致団結しなければならない。」農業省農産物加工販売総局長代行はそう表明している。
国内コーヒー生産は2011年が栽培面積131万Haで、過去三年間の面積拡張はわずか0.25%、そして生産量は平均0.20%の増加しかなかった。栽培面積の96%は農民所有のもので、2.3%は民間農園、1.8%が国有農園のもの。そして101万Haではロブスタ種、30万Haでアラビカ種が生産され、2011年の生産高はロブスタ種40万トン、アラビカ種15.5万トンと報告されている。


「コーヒーメーカーが豆を輸入」(2012年9月7日)
国内のコーヒー豆生産が軟化している反面、国内のコーヒー需要は急騰しており、やはり増加している輸出需要にも対応しなければならないため、コーヒー生産者が生産用原料の輸入を増やしていることをインドネシアコーヒー輸出者協会会長が明らかにした。「インドネシアのコーヒー加工生産者がコーヒーを作るのに、コーヒー豆を外国から輸入しなければならない状況に至っている。輸入されたコーヒー豆は加工されて製品となり、一部は輸出され、また一部は国内市場に供給されている。2012年1〜4月のコーヒー豆・インスタントコーヒー・その他加工品総輸入量は38,799トンに達し、2011年の年間総輸入量27,605トンを既に超えてしまった。その輸入量に応じて輸出量も87,064トンとなり、大幅な増加を示している。インスタントコーヒーの輸出が目立って増えており、昨年年間の7,196トンは今年4ヶ月で21,085トンになっている。」
従来からコーヒーの輸出先国だったところはオーダーを増やしてきているが、茶の消費国として知られている日本や中国からのオーダーも顕著に増えており、特にインスタントコーヒーのオーダーがメインになっているとのこと。インスタントコーヒーの需要が旺盛になっているのは、コーヒー豆の価格が高いことが影響している由。


「コンビニはオカマ産業」(2012年9月11〜15日)
2009年にコンビニエンスストアのセブンイレブンがインドネシアに上陸し、今では都内79ヶ所に店舗を持つに至っている。という表現をすると、外国の会社がインドネシアに直接開店するように理解するひとが増えているようだからお断りしておくと、インドネシアの会社がセブンイレブンから独占代理権を入手し、インドネシアのセブンイレブンとしてブランドオーナーが企画し展開しようとする事業を一緒になって繰り広げるというのがその実態であり、インドネシアの会社であるということからインドネシアの法規を順守して事業展開しなければならないという制約が必然的に生じ、ブランドオーナー側もインドネシア代理店の立場を考慮しながらその発展に協力するという関係になるわけだ。
インドネシアにおけるセブンイレブンとしてのポジションを獲得したのは、それまで写真フィルムDPEの全国ネットワークを築いていたPT Modern Putra Indonesiaで、同社は2009年11月にカフェテリアのフランチャイズ事業ライセンスと雑貨品小売販売のフランチャイズ事業ライセンスを得ている。インドネシアでひとつの事業体が複数業種の事業ライセンスを与えられる例は寡聞であり、外国で巨大企業が多くの事業部を持って複数業種を営んでいてもインドネシアに進出して来ればその各事業部がそれぞれひとつの会社になって営業しているのが普通の状態であるため、このセブンイレブンのケースが問題をはらんでいるのは疑いない。
従来からの慣行に従えば、ひとつの事業体はひとつの業種をメイン事業として営むというのが常識的な見方になっているから、実態として何をメインの事業にしているのか、さらには与えられている事業ライセンスはその実態に即したものになっているのか、というのが管理当局の物の見方になっており、そのポイントが現在インドネシアのコンビニ業界で大きな問題になっている。
2012年商業大臣規則第53号で商業相は、フランチャイズビジネスにおけるメインビジネス外の営業活動を10%以下に制限した。フランチャイザーもフランチャイジーも、それぞれが持っている事業ライセンスに則したビジネスを行わなければならず、事業ライセンス外の商品販売はメイン事業をサポートするものに対して10%を限度に認められるという条文が規則第53号の中に記載されている。
セブンイレブンはカフェテリアをメイン事業とうたっているようで、各店舗ではホットドッグ、ライスボウル、ミーテッテッなどのファーストフードやコーヒー、紅茶、スラーピー、ガルプなどの飲み物を販売しており、キッチンも備えていると主張しているものの、東ジャカルタ市チャクンに設けた総合調理場で大半が処理されていて、店内のキッチンで行われていることは行政管理者の持っているカフェテリアのイメージから少々隔たったものになっている。一方、店内の商品陳列棚にはシャンプー・石鹸・練り歯磨きや煙草をはじめ、さまざまな日用雑貨品も販売されており、インドネシア人行政管理者の目からすると一体何がメイン事業なのか判然としないということになるようだ。
愛好者からSevel という愛称をもらっているセブンイレブン側は「カフェテリア以外の商品販売が10%までという条件は問題なくクリヤーできる。それらは単なるコンビニエンスアイテムであり、ミニマーケットやスーパーのようにひとつの品目に多種多彩なブランドの品揃えをしているわけではない。」と主張しているものの、行政管理側はそこで販売されている商品がカフェテリア事業をサポートするようなものとは思えない、とのコメントをもらしている。
一方、2011年にインドネシアに進出してきたローソンは小売販売フランチャイズ事業ライセンスを得ているものの、行われている事業はカフェテリアと二股をかけている、と行政管理側に見られている。商業省国内通商総局長は「(メイン事業が何であるのかを)はっきりさせなければならない。男なら男、女なら女。オカマのようなことでは駄目なんだ。」とコンビニ業界に明確な線引きを突きつけた。
日用雑貨品を販売しながらファーストフードを提供して消費者に便宜を提供するという新たなビジネスコンセプトは、上意下達官率民従の箱割り思想に慣れた硬直的な産業管理行政にまだ受け入れられる気配がない。


「藪の中投書」(2012年9月18日)
2012年6月9日付けコンパス紙への投書"Kualitas Sandal Andrew"から
拝啓、編集部殿。わたしは北ジャカルタ市クラパガディンモールでしばらく前にアンドリューブランドのサンダルを買いました。2012年5月13日にクラパガディンモールへ行くとき、そのサンダルを下ろしたのですが、ほんの百メートルほど歩いただけで片方のサンダルの底が粉々になり、続いてもう片方も同じ運命をたどりました。それで、その日のうちにわたしはそのサンダルを買ったアンドリューのお店に苦情しに行きました。ところがお店側は、その品物がバザー販売品だったという理由で責任を取ろうとしません。
もし長い間使ってこのようになったのならわたしも納得しますが、たった百メートルほど歩いただけでこうなったのです。アンドリューブランド製品のクオリティはこんなものだったのでしょうか?わたしは廉い金額でこれを買ったわけでもなく、おまけにアンドリューのブランド名がよく知られているので買ったのです。サンダルのクオリティはまったくお粗末なものであり、とても見苦しい出来事でした。結局、わたしはそのサンダルを店に置き去りにしました。[ 北ジャカルタ市クラパガディン在住、ジョハン・スサント ]
2012年6月16日付けコンパス紙に掲載された製造会社からの回答
拝啓、編集部殿。2012年6月9日付けコンパス紙に掲載されたジョハン・スサントさんからの投書について、アンドリューシューズは小売店販売であってもバザー販売であっても、製品のクオリティは同じようにケアしていることを申し上げます。またお客様には常に最善のサービスを提供するよう心がけております。
問題のサンダルを調べた結果、そのモデルの販売が打ち切られたのは4年前の2008年だったことが判明しました。ジョハン・スサントさんがおっしゃる時期に、そのモデルの販売実績はまったくありません。ジョハン・スサントさんがクラパガディンモールのアンドリューシューズ販売店で騒ぎを起こされたとはいえ、当方は5月21日に職員を派遣してジョハンさんにお会いし、ジョハンさんからお話をうけたまわっています。
すべてのお客様に最善のサービスを提供するというモットーに従ってこの問題を早期解決するために、当方はジョハンさんに問題のサンダルの購入日を証明するものをご用意くださるよう、お願い申しております。[ アンドリューシューズPRマネージャー、J サトリアニ ]


「浄水器には市販の飲用水を使えだって?!」(2012年9月21日)
2012年6月14日付けコンパス紙への投書"Peralatan Pureit Tidak Sesuai"から
拝啓、編集部殿。2011年12月にわたしはスラバヤ最大のスーパーマーケットでピュアリット(Pure It)浄水器を買いました。それを使う場所は東ジャワ州ルマジャン地方で、そこでは地下水を使っているのです。わたしがそれを買ったのは、次のように宣伝されていたからです。「水道水でも地下水でも、普段使っている水をお使いください。ご使用の水がよいクオリティなら、この機器は正しく機能します」。
2012年3月にルマジャンへ行ったとき、その機器の透明な筒の底が沈殿物のために茶色になっているのを発見したので、500258番のカスタマーサービスに電話しました。ユニリーバ側が現場へ視察に出向いてくれましたが、解決がありません。一週間後にわたしがまたルマジャンへ行くと、依然として茶色になったままでした。カスタマーサービスに電話すると、地下水を使ったら沈殿物が混じりこむのは当たり前だ、と言うではありませんか。そしてミネラルウオーターを使ったらどうですか、とアドバイスするのです。ミネラルウオーターを使うくらいだったら、わたしはその浄水器を買う必要などなかったでしょう。もし地下水がピュアリットに不適当なのであれば、どうして新聞広告にそういう内容の説明をしないのですか?「ピュアリットのフィルターは無色・無臭・無味の水を作り出します」というのはただの宣伝文句なのですか?[ スラバヤ市在住、ヘルリン・スハルトノ ]
2012年6月28日付けコンパス紙に掲載されたユニリーバからの回答
拝啓、編集部殿。ヘルリン・スハルトノさんからの2012年6月14日付けコンパス紙への投書についてお知らせします。PTユニリーバインドネシアは消費者の声部門がお客様を訪問し、ピュアリットのフィルターを交換しました。その機会に当方は、お客様の使用されている原水がミネラル成分の濃度が高いことをお知らせし、もっと濃度の低いものを使用するようお勧めしました。お客様は当方の解決を受け入れてくださいました。[ PTユニリーバインドネシア企業広報ヘッド、マリア・ドゥイアント ]


「品物が売れるためには口八丁」(2012年9月28日)
2012年5月5日付けコンパス紙への投書"Tinta Printer Panasonic"から
拝啓、編集部殿。数ヶ月前、わたしはパナソニックプリンターKX−MB1500を買いました。そのときわたしは販売店に、スペアインクはどこで買えるのか尋ねました。販売店側の返事は「どこのコンピュータショップでも売っている」というものでした。
二三ヶ月使用したらインクがなくなりました。わたしは何十軒も店を巡りましたが、そのプリンター用のインクを売っているところにお目にかかりません。卸業者に尋ねたところ、注文すれば取り寄せるとのことでしたが、値段は80万ルピアだと言うのです。新品プリンター価格が90万ルピア程度だというのに。
インクがプリンター価格の89%を占めているのですか?まったく妥当性が感じられないではありませんか。卸業者はインク販売で儲けようとするべきではありません。わたしはパナソニックプリンターKX−MB1500を買って詐欺に遭ったような思いです。そのプリンターは今オフィスの片隅に、いつでもディストリビュータに返品できるようにして置かれています。品物を交換してもらう気はありません。
製品販売にあたって、生産者は消費者の便宜を考えるべきでしょう。卸業者や販売店から聞いた話では、そのパナソニックプリンターは失敗製品とのことでした。大勢の消費者が欺かれたにちがいない、とわたしは確信しています。[ 北ジャカルタ市プンジャリガン在住、ルスディン ]
2012年6月20日付けコンパス紙に掲載されたメーカーからの回答
拝啓、編集部殿。2012年5月5日付けコンパス紙に掲載されたパナソニックプリンターKX−MB1500/KX−FAT410E用インクに関するルスディンさんからの投書についてお知らせします。
パナソニックIT COMMとパナソニックゴーベルインドネシア社はルスディンさんに問題点の明確化と関連する情報提供を行いました。「ページ当たりコスト」計算やパナソニックプリンターの機能についてルスディンさんに十分な理解を持っていただきました。ルスディンさんはプリンター製品の長所をご理解されたので、もはや障害は何もなく、容易にプリンターを駆使されています。
アフターサービスやスペアインク(トナー)購入についても、販売場所と販売価格を既にお知らせしています。[ IT COMMジェネラルマネージャー、ロベルトゥス・ヒダヤッ ]


「消費者保護に鈍感な政府機関」(2012年10月8日)
消費者保護国家庁が、消費者からの苦情に対する政府機関の反応はきわめてお粗末だと表明した。2009年から2012年までに同庁は、消費者保護に関連して銀行界や消費者ローン、電力料金やインドネシア製品規格などに対する46件の勧告を所轄の諸政府機関に提出してきたが、そのフォローがなされたものは40%しかない。ある政府機関は消費者保護に努力する姿勢を見せているものの、そうでない政府機関はこの問題に対してまったく鈍感だ、と同庁長官は述べている。
長官はその鈍感な政府機関の中の最大手は大蔵省国税総局で、付加価値税(PPN)と地方税である飲食税の二重課税問題への苦情がスマラン・パレンバン・ジョクジャ・バンジャルマシンなどで起こっているというのに、まったく反応を示さない、と批判した。他にも病院に関する苦情に何の反応も示さない保健省、消費者に安全快適な公共運送を要求する声を無視している運輸省陸運総局などがそれに続いている。一方、子供用玩具や容器詰め飲用水に対する品質企画の義務付けに関する苦情に工業省は迅速な対応を示している。
2012年9月1日時点で同庁が受けた苦情は182件にのぼり、その7割に当たる130件は銀行業界に関するもの。次がマルチファイナンス業界向けの35件、住宅不動産開発に関するものが10件で、あとはさまざまな分野で散発的な苦情が出されている。


「中古車価格は暴落するか?」(2012年10月18日)
2012年9月20日から30日までジャカルタでインドネシア国際モーターショー(IIMS)が開催されたが、その9月にジャカルタの中古自動車価格は1千万から1千5百万ルピアの値下がりが起こった。首都ジャカルタ最大の中古車センターWTCマンガドゥアの9月販売実績も平常の月間2千3百台から15%ほど販売台数が低下した。消費者がIIMSでの新車割引販売に奪われたからだ。
そこにきて、政府がローコストカーの開発と生産をバックアップする姿勢を表明している。ローコストカーが続々と市場に投入されるようになれば、中古車販売が大きい打撃を受けるのは確実だ、とWTCマンガドゥア運営者は不安を表明した。
一方モビル88のGMは、ローコストカーが市場に影響を及ぼすのはまだ先のことであり、特に中古車市場が打撃を受けるのは2013年中旬以降になるだろうと述べている。「ローコストカーは膨大な需要があるものの、生産との間に大きいギャップが生じるために購入者はデリバリーまで長期間待たされることになる。そんな時期が過ぎて供給量が増大したあとでも、中古車市場の価格や販売台数にそれほど大きな打撃を与えることはないだろう。価格やスペックが同等の商品に影響が出る程度ではないだろうか。
2003年にアヴァンザとゼニアが市場に投入されたときも、中古車市場にたいした影響は出なかった。市場セグメンテーションと対象購買力がバッティングしないので中古車と市場で衝突する面は小さい。ダイハツAylaとトヨタAgyaが発売されれば新たな市場セグメンテーションが形成され、他の自動車メーカーがそのマーケットを対象にして新モデルを投入してくるという状況がアヴァンザとゼニアのときと同じように起こるにちがいない。」
自動車市場オブザーバーのひとりは、新車購入者と中古車購入者はほとんど別々のマーケットを構成している、と述べている。中古車購入者は資金能力にあまり余裕がなく、車の納入を長期間待つことのできないひとびとだ、とかれは中古車市場の特徴を説明している。


「バトゥバチャン」(2012年11月19・20日)
Batu Bacanと呼ばれる石に人気が集まっている。バチャンという名が示すように、北マルク州南ハルマヘラ県バチャン島に産する天然石だ。緑色のものはドコ地方産が多いためバチャンドコと呼ばれており、青色がかったものもあるがそれはパラメア産がメインなのでバチャンパラメアと呼ばれている。この石は最初、暗い緑や青色をしているが、歳月のうちに明るい色に変わっていくので、この石の愛好者はそれを運勢が開けていくことの象徴と見ているようだ。
この種の石は台湾にも産し、台湾ではジェイドやブルージェイドと呼ばれている。だからそれと区別するためにバトゥバチャンは「印度尼西亜玉」と呼ばれているそうだ。ジャカルタで宝石貴石の一大センターをなしているジャティヌガラのラワブニン(Rawabening)市場には、中国人や台湾人がバトゥバチャンの買い付けに大勢やってくる。市場に店を出して宝石類を毎日商っている店主のひとりは語る。「バトゥバチャンはその美しさに惹かれて買い手が集まるだけでなく、それを仕入れに中国や台湾のバイヤーも大勢ここにやってくる。バイヤーたちは指輪やネックレス用の石だけじゃなくて、石の塊も買って行く。国で置物や腕輪を作って売るためだ。売り手は絶対にインドネシア産の玉だなんて買い手に言わない。証明書を作る場合でも、必ず中国産とか台湾産と書いてる。」
中国や台湾からの需要が大きいのに比べて、バチャン島で産出される量は限られており、おまけに良質のものが得られにくくなっていることから、価格は上昇を続けている。良質の石を探すために採掘坑はいまや海面下135メートルまで掘り下げられているそうで、おまけにメダンやスラバヤあるいはマカッサルの宝石商人が掘り出されたものを現地で買い付けようとして駐在者を置くような事態にまで立ち至っている。
良質の石が出たら、駐在者たちはその場で高額で買い取ろうとする。おかげで、これまでのルートに乗ってジャカルタのラワブニンに流れてくるバチャン石は質も量も低下するようになった。かつては一週間に二回、バチャン石が送られてきていたが、今ではひと月に一回あるかないかだ、とラワブニン市場の店主は言う。それも値段はメチャ高い。「中国や台湾のバイヤーは値段が上がるのをたいへん嫌う。そうやって値切り倒して買ったものを、売るときは信じられないような高値で売る。かれらの狡猾さには、形容する言葉がないよ。」
かれによれば、昨今の価格は指輪やネックレス用の石の場合カラットあたり20万から250万ルピアで、グラムあたりに直せば100万から1,250万ルピアくらいになっているそうだ。値段の幅はもちろんクオリティの差による。石塊で質がよければキログラムあたり4千万から1億ルピアだが、そんな商品はもうめったにお目にかかれないそうだ。ラワブニン市場にはかつて石の加工職人が大勢いたが、素材の値上がりが激しいために多数が転職していった。
外国からの買い付けに無制限に応じてきたバトゥバチャンは、この先枯渇する運命が待ち受けているにちがいない。


「国産真珠の再興を図る」(2012年11月22日)
インドネシアは世界最大の南洋真珠生産国で2011年の生産量は6千3百キログラムにのぼり、世界総生産量1万2千キログラムの半分以上を占めている。この分野の生産国はインドネシアのほかにオーストラリア、フィリピン、タイ、ミャンマーなどがある。ところが国連商品貿易統計データベースによれば、インドネシア産南洋真珠はほとんどが輸出されているというのにその輸出高は3,180万米ドルしかなく、世界貿易総額15億米ドルのわずか2%でしかない。インドネシアの輸出平均単価はグラム当たり16米ドルで、オーストラリアの30米ドルに大差をつけられている。インドネシアの真珠は多くが香港に送られて競売にかけられているが、競売のハンドルは香港側に握られており、インドネシア側に価格交渉力はほとんどないとのこと。品質がよくないため、その競売では必然的に低価格傾向になる、と業界者のひとりは語る。「インドネシアの真珠は品質のよいものが2割で8割は低品質だ。フィリピン産は7割が高品質でよくないものは3割しかない。インドネシア産の品質が向上しないのは、養殖ロケーションが不適切で、環境汚染が激しく、優れた稚貝と母貝が限られており、技術者のレベルもいまひとつで、更に資本が潤沢でないといったことが原因している。」
国内の真珠養殖は東西ヌサトゥンガラ州・北スラウェシ州・ゴロンタロ州・マルクなどに広く散在しているが、一時は真珠養殖場で盗難が活発化し、業界の存続問題に発展したこともある。盗難は依然として活発で、いまだに絶える気配はない。
外国市場で評価が良くないのであれば、国内市場でもっと高く売れるはずとだれしも思うところだが、いかんせん国内市場は中国産淡水真珠で埋め尽くされ、国民は超廉価な輸入品を買っている。中国産淡水真珠の価格は国産品の百分の一だそうだ。
86社あった国内の真珠養殖加工業界はいまや27社にまで減っている。政府は業界の再興をはかっていくつかの手を打った。バリ州カランガスムに稚貝繁殖のためのブルードストックセンターを設けたのに加えて、品質向上と輸出販売促進のバックアップを行うことにしている。もうひとつは真珠の品質規準を定めて生産者の品質向上を促進させるとともに、無制限に国内に入ってきている淡水真珠に品質の足かせをはめることで輸入量を抑制する方針。


「景品つき販売の妙手」(2012年12月4日)
2012年9月15日付けコンパス紙への投書"Hadiah Pembelian Truk Mitsubishi"から
拝啓、編集部殿。2012年3月初め、わたしは三菱扶桑トラックFE71をタングランのスルポンBSDにあるサンスタープリマモトルから購入しました。この会社はジャカルタのファッマワティ通りにある会社の子会社です。ディポスターファイナンスがローンを承認しました。消費者ローン契約と他の事務手続きは3月2日に完了しました。STNK(自動車番号証明書)の手続きと鉄製荷台の取り付けが4月に終わり、車の引渡しは順調に推移しました。
扶桑トラック購入には景品が付いているとセールスマンが約束していた通り、フロアマットと冷蔵庫がもらえることになっていました。車の引渡しのさいにフロアマットが付けられていなかったので、わたしは何度もそれについて問い合わせをかけましたが、返事はいつもストック切れという言葉でした。わたしはそのフロアマットが三菱のオリジナルだと思ったので、待つ価値があると考えたのですが、四ヶ月も待ったすえ、6月末にやっと小さいフロアマットが二枚届きました。それは5万ルピア程度でどこででも買えるものだったのです。購入者の期待とは大違いでした。
冷蔵庫も、何度も問い合わせしましたが品物がないとのことでした。購入日からちょうど半年たった8月4日、冷蔵庫をファッマワティに取りに来るようにとの連絡がありました。しかし異様な長期間にわたって待たされた景品でまた大きな失望を味合わされてはたまりません。おまけに取りに行くということはわたしの側に出費があることを意味しているわけです。もらう景品の値打ちがわたしの出費とつりあわない不安をぬぐうことができません。それでわたしはショールーム側に、「景品はもう興味がないから、そちらに預けておきます」と連絡しました。クーリーを雇い、トラックを走らせ、その費用に見合わない品物をもらったなんて、目も当てられませんから。[ 中央ジャカルタ市在住、オン・ウィリアワン ]


「エルティガ現象」(2012年12月12・13日)
2012年第1四半期最後の月にスズキエルティガが発売された。3月の販売台数1,321台は4月に3,402台に上昇し、その後コンスタントな販売が続いて10月には5,115台を記録した。8ヶ月間の累計は26,196台にのぼる。
2012年1〜10月間の国内車種別販売台数番付を見ると、トップ10は次のようになっている。
1.アヴァンザ (トヨタ) 157,189
2.イノヴァ (トヨタ) 61,731
3.ゼニア (ダイハツ) 61,532
4.コルト (三菱) 46,327
5.グランマックス (ダイハツ) 42,845
6.キャリー (スズキ) 39,123
7.グランドリヴィナ (ニッサン) 29,085
8.ラッシュ (トヨタ) 28,741
9.エルティガ (スズキ) 26,196
10.APV (スズキ) 25,204
他の車種より販売期間の短いエルティガが9位に食い込んでいるということは、実質的にはもっと上位にあるということを意味している。ちなみに1〜10月の四輪自動車総販売台数は923,131台で、エルティガはそのほぼ3%を占めている。エルティガがダークホースとしてここまで伸びてくるとは意外だったという印象が強い。
小型MPVセグメントだけをとってみれば、総販売台数は273,372台で、エルティガのシェアは10%近い。10月に5千台を超えたエルティガは、月平均6千台で首位を行くダイハツゼニアを追い上げ始めたと言える。スズキインドモビル販売の販売担当取締役によれば、エルティガの2012年販売目標は3万8千台で、年間17万台の生産能力で目標達成をフルサポートするとのこと。
エンジン排気量1.4リッター、7人乗りのエルティガは燃費に優れ、環境に優しいという特徴のほかにもさまざまなフィーチャーを備えており、安全面も配慮が行き届いている。しかしエルティガ現象を生んでいるのは、消費者のビヘイビアが変化したからだ、と同取締役は語る。
情報化時代の進展によって消費者は情報を得やすくなり、その情報の取扱いも上手になった。そして細かいフィーチャーの比較を行い、購買決定の拠りどころにしている。小型MPVセグメントはオファー車種が少なかったため、細かい比較検討などしてもあまり意味はなかったが、昨今は状況が変わってきた。加えて消費者のものの考え方もドライになってきている。数年前までは、テストドライブまでやったあとでその車を買わないというのはみっともない話だ、という感覚が強かったが、今では消費者の面皮がもっと厚くなってきているそうで、特にイニシャルパーチェスの場合などは、多少とも気に入らない面や自分の必要性にそぐわない面があればあっさりと別の車種に食指を伸ばすようになってきているそうだ。もうひとつ販売店側が感じている消費者メンタリティの変化はデリバリー待ち期間の短期化で、三ヶ月以上引渡しを待たされるのを甘受する消費者はほとんどいなくなっているとのこと。
そのような状況が生産者に生産能力の余裕を持たせるべく投資を強いている。受注の増減にあわせて生産しなければ発注者は他のメーカーに走ってしまうだろうから。おかげで国産自動車の品質と顧客へのサービスクオリティが向上し、販売台数が百万台を目指すというところまで発展してきているわけだ。そんな中で起こっているエルティガのダークホース現象は、大いに業界関係者の関心を集めている。


「公認修理店の看板とクオリティは無関係」(2012年12月13日)
2012年9月19日付けコンパス紙への投書"Antara Bengkel Resmi dan Bengkel Tak Resmi Honda"から
拝啓、編集部殿。わたしのオートバイ、2011年製プレート番号B3833BJUのホンダスペイシーは2012年7月26日に故障しました。完全に動かなくなったわけではなく、エンジンが詰まった感じでパワーがなく、ウインカーが点かず、クラクションも鳴りません。それでわたしは西ジャカルタ市にあるホンダ公認修理店AHASS0948ロビンソンモトルにオートバイを持ち込みました。店側はバッテリー交換を勧めましたので、それに従いました。バッテリーを交換したら、わたしのオートバイは正常になりました。
ところが翌朝、またわたしはロビンソンモトルにオートバイを持ち込む破目に陥りました。またまた同じ故障が起こったのです。修理店がいろいろ処置を行ったら、オートバイは使えるようになりました。ところがその日13時半ごろ、わたしはまた修理店へ行かなければならなくなりました。二日間で三回も修理店通いをしているわけです。再びバッテリー交換をしましたが、今度は無料でした。そしてクランク周りを掃除してくれました。
しかしその日、わたしが職場から帰宅途上で、また同じ故障が再発したのです。それで最寄のホンダ公認でない修理店にオートバイを持ち込みました。その修理店が調べたところ、電気配線の不具合でケーブルが切れているところがあり、それが問題の根であることが判明しました。ホンダの公認修理店でない店でわたしのホンダスペイシーは完璧に修理されたのです。
そのホンダ公認修理店が行ったわたしのオートバイに対する修理方法に関して、わたしは大いに不満を感じています。三回も同じ問題を持ち込んだのに、問題の根本原因を見つけられなかったのですから。すっきり問題解決がなされなかったために面倒なことになり、わたしはうんざりしたわけです。ホンダオートバイ生産者にお願いします。公認修理店の仕事ぶりをもっと真剣に監督してください。[ 西ジャカルタ市在住、スティアワン・パグミハルジャ ]


「ノートラストソサエティ」(2012年12月14日)
2012年9月11日付けコンパス紙への投書"Jumlah Barang di Kasir Carrefour"から
拝啓、編集部殿。西ジャカルタ市クンバガンのカルフルプリインダ店での買物のチェックは神経を張り詰めて行わなければなりません。去る8月11日にわたしが体験したできごとは次の通りです。
レジで支払いを終えたあと、わたしはレジのプリントアウトを調べました。カラーダンベル5kg単価59,900ルピアが3個と記されていましたが、わたしが買ったのは赤色ダンベル1個だけです。さっき支払いを済ませたレジに戻ったところ、レジ係はわたしに「カスタマーサービスカウンターで手続きしてください」と言うだけでした。
わたしにとっては、これが初体験というわけではありません。わたしがカルフルで買物する都度、買物した品物の何かが必ず数を余分に請求されるのです。このようなことは消費者に損失を与えるものです。もし買物客がレジのプリントアウトをチェックする習慣を持っていなかったり、あるいはそれが面倒くさいというような場合、いったい何が起こると思いますか?いったいどれだけの客が被害を蒙っているのでしょうか?[ 西ジャカルタ市在住、ディナワティ ]


「国産四輪自動車の品質が向上」(2012年12月27日)
2012年のカーオーナーからの苦情は2011年より減少しており、国内で製造販売されている自動車のクオリティが向上していることをそれが示している、とリサーチ機関JDパワーズがインドネシアイニシャルクオリティスタディの中で報告した。新車を買ってから2〜6ヶ月のカーオーナーが表明する問題点の統計分析結果からリサーチ報告者は、インドネシアの自動車メーカーの品質向上はたいへん印象的だとコメントしている。
このリサーチでは、車のエクステリア・運転感覚・フィーチャー・娯楽性・座席・HVAC(暖房・乾季・エアコン)・インテリア・エンジンの8カテゴリーに含まれる2百を超える現象が分析されている。2012年の統計結果では、エンジンとトランスミッション・HVAC・エクステリアの三カテゴリーをメインに2011年に比べて大幅に不平不満が減っており、それだけクオリティが向上したというのが評価の判定。更にここ数年、オートマチック車の人気も顕著に高まっている。そしてオートマ車を購入したオーナーの苦情や不満はマニュアル車購入者よりもはるかに少ない。
カーオーナーが購入した車のお気に入り度合いは、その車を他の人に推薦するかどうかで測ることができる。不平不満が何もないカーオーナーの41%は他の人に推薦すると答え、不平不満を抱いたひとは29%しか推薦すると答えなかった。
消費者が気に入った車を車種別に見ると次のようになっている。(左側から上位1,2,3)
高級コンパクトカー: マツダ2、スズキスプラッシュ、トヨタヤリス
小型MPV: トヨタアヴァンザ、ダイハツルクシオ、スズキエルティガ
中型MPV: トヨタキジャンイノヴァ、ホンダフリード、ニッサングランドリヴィナ
小型SUV: ニッサンジューク、いすゞパンサー、ダイハツテリオス
中型SUV: ニッサンXトレール、三菱パジェロ、トヨタフォーチュナー


「新車価格が値上がり」(2013年1月14日)
四輪自動車のマーケットリーダーであるトヨタは2013年1月2日から新車価格を引き上げた。アストラインターナショナルのトヨタ部門CEOによれば、2013年の値上がり要素を織り込んでの価格改定であり、今年は最低賃金・電力料金・自動車登録料金おまけにルピア安と全構成要素が上昇するため部品の値上がりが確実で、そのための調整は避けられないとのこと。
その結果、たとえばアヴァンザG M/Tは2012年7月に改定された1億6千万ルピア(ジャボデタベッ価格)がこの1月に1億6,580万になった。キジャンイノヴァも同様で、G M/Tガソリン車は12年7月の2億4,070万ルピアから2億4,540万に改定された。
マーケットリーダーが動けば他のメーカーも追随する。スズキインドモビル販売はこの1月にルピア安と自動車課税標準金額アップに対する調整を行い、価格は1〜1.5%引き上げられた。自動車課税標準金額は例年4〜5月ごろに内務省が定めるが、アップ率を5%と仮定して名義変更料金を試算し、値上げ幅を決めたとのこと。1月の価格改定には最低賃金や電力料金などの要素はまだ含まれていない。一方、ヒュンダイ自動車はまだ値上げ幅を計算中で、価格改定は少し先になりそう。
自動車部品産業協同組合理事長は、最低賃金アップ・電力料金アップ・ルピア安の影響で部品価格が30%上がるだろう、と述べている。依然として輸入コンテンツが大きい自動車部品業界にとってルピアレートの動向は価格に強く影響している。


「罰金収入はビジネス手法」(2013年1月24日)
2012年10月2日付けコンパス紙への投書"Kesalahan PDAM Dibebankan kepada Pelanggan"から
拝啓、編集部殿。わたしは常に西ジャワ州ボゴール水道会社が供給する上水の利用料金を毎月20日の支払期限が来る前に納めることに努めています。ところが残念なことに、2012年8月の支払いのトラブルで、総請求金額の15%もの罰金が科されました。
わたしは2012年8月17日の休日前に支払いを行なおうとして、ボゴール市水道会社の支払い窓口を訪問して回ったのです。ところが、どこへ行ってもコンピュータエラーになっており、つまりオンラインが機能していないため支払いができないのです。そして窓口係りはルバラン休み明けの8月23日に払うようわたしに勧めました。消費者は悪くないのだから罰金は科されない、と言って。
ところが現実は、支払い遅延の罰金が科されたのです。定められた支払期限までに支払わなかったというのがその理由でした。わたしはどうしてそうなったかという事情を説明しましたが、水道会社側は聞く耳を持ちません。わたしがボゴール市水道会社側の事情を調べたところ、新システムを導入していたためだったことがわかりました。そのためにコンピュータエラーが頻発していたのです。多分まだトライアル段階なのでしょう。
消費者が期限日までに支払いを済ませようと努めている20日の期限日近くになってから、どうして新システムのトライアルを始めるのですか?おまけにルバラン長期休みの直前でもあるのです。システムトライアルは期限日のずっと前に行なうか、あるいは期限日が過ぎてから行なうようなことをどうしてしないのですか?消費者に損失を与えるこのようなことをボゴール市水道会社は二度と繰り返さないようにお願いします。[ ボゴール市在住、ククン・ハリヤント ]


「アジアの消費者は新製品購入に慎重」(2013年2月1日)
ニールセンが58カ国で行なった2万9千人を対象にした消費者オンライン調査で、アジアの消費者は定評あるブランドが出した新製品にもっとも食指を動かしていることが明らかになった。おまけに、新製品が発売されるとすぐに飛びつくというのでなく、ある期間を置いて市場でその製品が十分試されたと思われるタイミングで購入しているとのこと。
アジア太平洋地区の消費者は55%が定評あるブランドを製品購入時の選択基準に置いており、未知のブランドをトライしようというひとは44%だった。未知のブランドをためしに買ってみようというひとが少ないのは日本で23%、タイは30%。
また新製品の宣伝広告に触発されて購入を決めるひとは少なく、大多数が新製品が出てからしばらく間をあけて、その製品が市場で何ら問題を起こしていないことが確認できたと思われる時期まで待つという慎重な姿勢が顕著に見られる。製品情報についてはファミリーや知己からの口コミ情報をもっとも信頼しているひとが81%を占め、インターネットからの情報がそれに次いで71%、よくアクセスするネットサイト上の広告が63%、TVコマーシャル60%といった順位で信頼性のウエイトが示されている。
また一般的に、自国ブランドへの傾倒が比較的高いとニールセンはコメントしている。


「お客様にとって小銭はお金じゃないでしょう?」(2013年2月1日)
2012年10月30日付けコンパス紙への投書"Kasir Matahari Bulatkan Harga"から
拝啓、編集部殿。2012年9月30日(日)16時34分、わたしども一家はマカッサルのサムラトゥラギ通りにあるマタハリデパートで買物しました。わたしは男性用靴とサンダルを買い、344,650ルピアの価格を妻のMCCカードで支払ったのです。ところが支払いのとき、レジ係りが行なったことにわたしは唖然としました。
買物値札金額の344,650ルピアを、まるで当たり前というような顔で345,000と切り上げてレジに打ち込んだのです。いつもはお釣りの小銭がないという理由で値札金額通りの取引を行なってもらえないから、意図して支払いにデビットカードを使ったというのに、このありさまです。これは一方的に販売者が得をしているわけです。
どうやらマタハリのレジ係りは小銭飢渇症になっていて、客が取るべき小銭を丸めて渡さないようにしているに違いありません。差額の350ルピアはレジレシートに寄付金と表示されました。マタハリデパートレジ係りの図々しさにわたしは何度も直面しています。それでわたしはこの投書を書きました。マタハリはひどい![ 北ジャカルタ市コジャ在住、トニー・フタバラッ ]


「中国正月の提灯調達はマランへ」(2013年2月8日)
2013年2月10日は中国正月。インドネシアで中国正月はイムレッ(imlek)と呼ばれているが、その言葉は福建語の陰暦(im-lik)に由来しているように思える。つまり陰暦正月の頭の部分だけが取られたのではあるまいか。中国風の祝い事には提灯が欠かせない。インドネシアでは提灯のことをlampionと称するが、語源はやはり中国語のように思える。但し、少なくとも北京語でないことだけは確かだろう。
さてそのランピオンだが、インドネシア国内でも中国風提灯は膨大な数が作られている。有名な生産地としては東ジャワ州マラン市内のジュアンダ通りにあるカンプンランピオン(Kampung Lampion)で、ここでは小規模家内工業方式のランピオン生産がたくさんの家で行われている。そこでは比較的大手のジュアンダランピオン社オーナーの話はこうだ。
オーナーが語るには、イムレッの2ヶ月くらい前からランピオンの注文が急増するとのこと。もう9年間このビジネスを続けているオーナー氏は、ランピオンは季節変動が激しい商品で、需要期はイムレッ以外に独立記念日やルバランなど年三回程度だと語る。今年はイムレッ前の2ヶ月間に、ひと月4千個の注文をこなさなければならなくなった。平常月は1千個程度であり、2012年のイムレッはひと月2千4百個だったから今年の爆発的な受注で忙殺されている姿が目に浮かぶ。この一月に入ってからも注文が殺到していたので、もう生産能力がないとの理由で注文を断るようになった。注文主はジャカルタ・スラバヤ・カリマンタンそして地元マラン一円の中国寺院・企業・家庭および再販を行なう小売業者。平常月の需要は結婚式の飾りやカフェあるいはショッピングセンターの装飾用がほとんどらしい。
ジュアンダランピオンが生産しているものは形からサイズ、そして手の込みようまでさまざまで、価格も一個1万ルピアから300万ルピアまでバリエーションがある。売れ筋は一個3万5千〜5万ルピアの価格帯。サイズは最大が直径3メートルのものだそうだが、しかし売れ筋は1メートル未満のものがほとんど。形は球・楕円・カプセル・円筒・UFO・ハート・壺・星・箱・白鳥などを作っている。イムレッ用の受注は赤色の球形とカプセル形が大半を占める由。
この需要期に対応して生産を増やすためには、人手を増やさなければならない。人手は近隣住民やアルバイトをしたい学校生徒を集める。ひとりが一日に作れる数は最大で25個だそうだ。材料は地元で調達できるが、モチーフ入りの表装など特殊なものはバリから調達しているとのこと。


「店内の価格表示に騙される(その一)」(2013年2月13日)
2012年11月16日付けコンパス紙への投書"Harga di Rak dan Kasir Giant Berbeda"から
拝啓、編集部殿。2012年10月14日、わたしはバンテン州セランのジャイアンで日用品の買物をしました。そのときわたしは39,900ルピアという値札がついているマッカーサーブランドのサンダルを買いました。ところがレジでその価格は119,000ルピアと表示されたのです。わたしはどうして価格が違うのかとレジ係りに尋ねました。
レジ係りがしばらく調べてまわり、その種のサンダルは全部39,900ルピアの均一販売になっているが、その売場セールス担当者は午後2時に店に来るので、それまで対応の仕方がわからないからこの商品は販売できません、と説明しました。わたしが買いたいと思った品物を売ってもらえなくなり、それ以上のフォローは何もありませんでしたが、わたしの場合はきっとまだマシだったのでしょう。レジで請求された金額をチェックしない客は三倍もの金額を支払わせられているのですから。
レジには「差額は無料」という紙が貼り出されています。しかし消費者は無料の品物など必要としていません。騙されたという思いを味わわされないことが重要なのです。[ セラン在住、イルワン・ソフワン ]


「店内の価格表示に騙される(その二)」(2013年2月13日)
2012年12月18日付けコンパス紙への投書"Beda Harga di Carrefour"から
拝啓、編集部殿。2012年12月1日(土)、ブカシのハラパンインダ内カルフルにいたわたしは、ミヤコブランドのディスペンサーのプロモを目にしました。平常価格が14万9千ルピア前後のものが11万9千ルピアで販売されているのです。わたしは購入を決意しました。
レジでの支払いを行なってから、レジのプリントアウトをチェックしたところ、金額は19万9千ルピアとなっているではありませんか。これでは価格差が大きすぎます。わたしは自分がピックアップした商品のコード番号と、店内の値札のコード番号を仔細につきあわせてチェックしたのです。間違いのないように何回も。
カルフルでは店内の価格表示を最新のものに更新する作業を励行していないのでしょうか?このようなできごとは消費者を困惑させ、落胆させるものなのです。このようなできごとが身にふりかかってきたのはわたしだけではありません。わたしの友人たちの多くも似たような体験をしていますが、みんな口を閉じるほうを選択しているのですよ。[ ブカシ市在住、サスティカ M ]
2013年1月26日付けコンパス紙に掲載されたカルフルからの回答
拝啓、編集部殿。サスティカさんからの2012年12月18日付けコンパス紙に掲載された投書についてお答えします。カルフルはサスティカさんとコンタクトを取り、更に社内調査を行なってその問題をフォローしました。
サスティカさんがピックアップされた商品は、店内陳列棚にある商品と同じものではなかったのです。それが店内表示価格とレジで請求された価格が違っていた原因でした。サスティカさんは当方の説明を了承してくださり、問題は解決しております。[ カルフル広報CSRヘッド、ヘンドリッ・アドリアント ]


「今年は地方都市にモールが増える」(2013年2月15日)
首都圏以外の地方都市で2013年はショッピングセンター建設が増加し、既存数から2割は増えるだろう、とインドネシアショッピングセンター運営者協会会長が表明した。特にバリッパパン・マナド・マカッサルが新規ショッピングセンターオープンの中心になりそうである由。
「それらの地方都市は経済成長が顕著であり、それに従って住民の購買力も増加している。ショッピングセンターはアッパーミドル層を対象にするものが多くなるだろう。ジャワ島内でもスマラン・ヨグヤ・スラバヤなどは増加傾向にある。またジャカルタでも新規ショッピングセンター建設はモラトリアムのために許可が下りないが、以前に得た許可で今年完成するところも中にあり、ジャカルタには一ヶ所も増えないということでもない。」ハンダカ・サントサ会長はそう説明している。
ちなみに既存ショッピングセンターを持つ地方は下の通り。
北スマトラ州 13軒
リアウ島嶼州 9軒
南スマトラ州 1軒
西カリマンタン州 1軒
南カリマンタン州 1軒
東カリマンタン州 4軒
北スラウェシ州 1軒
南スラウェシ州 1軒
コールドウェルバンカーインドネシアによれば、2013年首都圏ショッピングセンターの売場面積供給は553.804平米で、その大半はブカシにオープンするとのこと。また374,804平米が賃貸用とされており、売却用は32%しかない。


「真珠の産地に流れ込む模造真珠」(2013年3月2日)
真珠の産地ロンボッ島で中国産模造真珠の売行きが伸びている。ロンボッ島を訪れる国内外観光客のみやげ物候補に挙がる真珠の中に、地元産真珠よりはるかに廉い価格の中国産模造真珠が静かに浸透していると地元販売業者は語る。
ロンボッ産真珠はひとつ2万から2万5千ルピアの市場価格になっているが、中国産模造品は1万ルピア以下の値付けになっており、マタラム市内パグタン(Pagutan)へ行けばそんな模造品はいくらでも手に入る。一方ロンボッ島海岸沿いの各地で養殖されている地元産真珠の加工センターはマタラム市内スカルベラ(Sekarbela)地区だ。
マタラム市内で真珠販売店を開いている地元業界者のひとりは、中国産真珠は10年くらい前から出回り始め、何の規制も受けずに売買されている、と語る。「模造真珠は歯でかんだり、焼いたりすると表面が傷つくのですぐにわかる。ところがそんなことをまったく意に介さない購買者がいっぱい来るし、みんな廉い品物を買って喜んでいる。」
別の真珠商も、地元産真珠を載せたブローチの三点セットは10万ルピア台の値付けになっているが、模造真珠を載せたものだと10万ルピア出せば5点セットが買える、とその価格差を説明している。
売り手が中国産の真珠をイミテーションだと説明しても、買物客はたいてい気にしないで買っている、と真珠商たちは語っているが、ロンボッでそのような商道徳が徹底しているかどうかは保証の限りではないし、マタラムの大手真珠店で模造品を使った真珠加工品が扱われているのを知った買物客の中には、騙されたような印象を抱くひともいるようだ。


「丸亀うどんも全国展開」(2013年3月2日)
2013年2月14日、西ジャカルタ市モールタマンアングレッ(Mall Taman Anggrek)3階にMarugame Udon & Tempuraがオープンした。これまでのところ、利用者の評判は悪くない。Tori Baitang Udon(鶏白湯饂飩)に付いてくる肉団子をバソのつもりで食べて失望したというインドネシア人客の声もあったが、それは個人の好みの範疇だろう。
自社グループ内のSriboga Flour Millsに三菱商事の資本参加を得たPT Sriboga Raturayaは、これまで行なっていたピザハットチェーンに加えて丸亀うどんのフランチャイズチェーン構築に取り掛かった。タマンアングレッの店が連日インドネシア人客の長蛇の列で賑わっているのを目にして、これは行ける、と社長が確信を深めたとのこと。小麦粉製造という上流産業が小麦粉を使う食品産業に進出していくダウンストリーム化の中で、競争相手を増やすよりは仲間に取り込んでいく方がスマートで効率が高いという考えから、同社は日本の丸亀製麺を相手にしてトリドールコーポレーションと提携した。
先にスリボガが全国に広げたピザハットは207店舗を擁し、1万2千人の従業員を雇用し、毎月1万5千袋の小麦粉を消費しているが、丸亀うどんの方は新たにPT Sriboga Marugame Indonesiaを興してフランチャイザーとし、当初はジャカルタ・スラバヤ・バリ・バンドン・メダンに38店をオープンする計画になっている。ピザハットの経営で獲得されたノーハウが丸亀うどん全国展開の駆動力になりそうだ。


「消費意欲は下降傾向」(2013年3月7日)
中央統計庁が発表した2013年第一四半期消費者動向指数は107.8で前四半期の108.63から下降した。州別には、北スラウェシ112.17、バリ114.64、ジャカルタ110.88などがトップにあり、反対に東ヌサトゥンガラ103.52、アチェ105.01、ゴロンタロ105.11などがボトムにいる。それら上位の諸州では住民の消費意欲が高いことをその指数が示している。
一方、ダナレクサリサーチ機関の発表した2013年1月の消費者信頼感指数は94.9で、2005年3月以来7年間の最高ポイントに達した。ただし実際の消費行動がどうなるかは、ポスト水害の状況や物価値上がりの状況によって変わる可能性がある。また1月のサーベイで耐久消費財の購入を予定していると答えたひとは32.1%で、12月の36.1%よりも低かった。1月の32.1%というのは過去10ヶ月で最低の数字になっている。


「カルフルの買物カートが背中に激突」(2013年3月8日)
2012年11月27日付けコンパス紙への投書"Troli Carrefour Meluncur Menubruk Pengunjung"から
拝啓、編集部殿。2012年10月28日(日)10時45分ごろ、わたしども一家は南ジャカルタ市ハルヨノ通りのカルフルに買物に行きました。買物を終えてカルフルの店から出たわたしどもは、エスカレータで一階に降りました。エスカレータから数歩離れたとき、カートが一台そのエスカレータを走り降りてきたのです。そのカートはわたしの子供の背中に激突しました。
カートに背骨を打ち当てられた子供はとても痛がりました。空のカートがどうして何の抑制もなしに二階から一階にエスカレータを走り降りてきたのか、わたしにはまったく理解できません。警備員の不注意で空のカートが二階から放されたように思えます。カートのレールがロックされていなかったため、カートはすごいスピードで駆け下ってきたのです。
この出来事はカルフルの顧客にとても大きな危険を与えました。おまけに、この出来事に対して責任を取る者がひとりも現れません。その警備員はわたしとわたしの子供に詫びを言いましたが、カルフルのマネージャーに会わせてほしいと言うわたしの要求を拒否しました。日曜日にマネージャーは出勤しない、という理由で。[ ボゴール市在住、イスミ・クスハルタント ]


「販売落込みで大割引、二輪を買うのは今!?」(2013年3月11・12日)
2012年から下降している二輪自動車販売は地方部の景気後退のために売行きがますます低下しているため、細ってきた需要の奪い合いが活発化して小売レベルでは既になりふりかまわない違反合戦の世界に突入している。各メーカーはどうやって二輪購入希望者を自社製品に引き寄せるかという宣伝にしのぎを削り、ディーラーは販売条件の手綱を操作して購入者をからめ取ろうとする。
中でも業界者の目の仇にされているのが二輪車市場でのデッドヒートに水をかけたと言われているローン頭金比率の引き上げであり、そのせいで売行きが落ちたと業界者が信じているのだから、その規定を破ってやれば売行きが再興すると考えるのはきわめてロジカルな思考方法だ。
それまで野放し状態だったローン頭金比率を最低20%と中銀が定めたのは消費者金融の過熱と不良債権増加を引き締めることが目的だったが、その施行のタイミングが市場の購買力低下とほぼ重なったことから、二輪車販売減に輪をかける結果をもたらしたのも事実だろう。しかし同じ条件なのに四輪車販売は右肩上がりが続いているのだから、上のような規制条件だけを悪者にするのは、納得性が乏しいということになる。
ともあれ、こうして流通・小売業界にとっては、死活問題を克服するために知能と精力の限りを尽くすという売りの努力が始まった。その結果何が起こったかと言えば、頭金20%規定は完全に無視され、客に商品を買わせるべくもっと低い比率、あるいは頭金ナシという条件が購入希望者に提示されるようになったのがメインの現象である。それ以外にも価格の大幅値引きや家あるいは四輪車を景品につけるといった割引やプロモ販売が活発化した。頭金について言うなら、現場は中銀規則制定前の状態に戻っており、中銀がもくろんだ消費金融界の秩序形成は二輪車の世界が早くもスピンアウトしたと言えるようだ。
不良債権防止の歯止めが外れたなら、不良債権が増加するのは目に見えている。それはデットコレクターの登場を招き、強請りや恐喝に近いやり方で購入者から債権回収をはかり、購入者が持っている商品を取り上げにかかる。いやそれよりも、返済トラブルとは関係なく、頭金規制に違反する売買の相手になった消費者は違法行為に関与した片割れになるため、面倒な法的プロセスに巻き込まれる可能性が高まる。
それ以外にも、売らんかなの詐欺めいた販売手法が増え、騙されたと感じた購入者が消費者保護財団に訴えることも起こる。本体価格は大割引して見せるが、付属品やアクセサリーの価格でその割引回収をはかったり、家や四輪車あるいは黄金の延べ棒といった景品を付けるが当選者が公表されても現実に景品を受け取った人間がいない、といったごまかし行為は昔からゴマンと先例があるのだ。
かつて消費者保護財団への訴えは電力料金や上水道料金の支払い、あるいは銀行界の消費者金融が件数でトップにいたが、ここ数年は二輪車購入がそれらを飛び越えてトップに踊り出ている。消費者保護財団クレーム担当理事によれば、6千万台近い二輪車が市場に充満してから中銀の頭金規制が出されたのは遅きに失しており、秩序形成がもっと容易な時期に始められるべきだったと語っている。大勢の消費者が二輪車を遠距離交通機関としても使っているため、道路交通における事故リスクも大きく膨らんだ。同理事は消費者に対し、欺瞞を含んだ宣伝広告や不正直な情報を受けた場合、気後れすることなく消費者保護財団に届け出るように、と呼びかけた。故意に消費者の目をくらませようとする販売者からの宣伝広告が昨今、とみに増加している、と同理事は付け加えている。
AISI(インドネシアオートバイ産業協会)は消費者保護財団からの批判に対して、もしメーカーの中に頭金規制違反や商道徳に反する行為を行なったところがあれば、協会から厳しい警告を与える意向だとの意思表示を行なっている。ただしこれまでのところ、そのような不法行為が行なわれたという情報はまだ何もないとのこと。


「修理のための検査は有料」(2013年3月14日)
2012年11月27日付けコンパス紙への投書"Pengisap Debu di ACE Hardware"から
拝啓、編集部殿。2012年2月17日にわたしはタングラン県スルポンのエースハードウエアリビングワールドでマクシマスハンディバッファローブランドのバキュームクリーナーを購入しました。10月22日になってその器具を使おうとしたところ、火花が出たので使うのをやめました。
10月30日にわたしはその器具を修理するためにスルポンのエースハードウエアリビングワールドに持参したところ、消費者サービス担当者が検査費用として5万ルピアを徴収しようとしました。これは交換部品とは無関係のお金です。チェックするだけで何でお金を取るのか、実に不思議です。
修理費用の出費を考えたら、新品を買うほうがマシだと思い、わたしはそのバキュームクリーナーを捨てました。クズを置いていてもしようがありませんから。[ バンドン県バレエンダ在住、イグナティウス・イラワン ]


「上水道サービスはどこまで堕ちる?」(2013年3月15・16日)
インドネシアの上水道事業は各地元行政府が設立した公営会社が行なっている。上水道会社の一般名称はPDAM(Perusahaan Daerah Air Minum)で、地名と共に個別の社名を有しているのが普通だ。
首都ジャカルタもその例外でなく、ジャカルタの上水道会社はPT PAM Jayaで、住民に対するサービス性向上をはかって外資との合弁を行い、今は合弁会社がジャカルタ都民に対する上水道事業を行なっている。
全国各地の都市部で行なわれている上水道事業は概してサービスレベルが低く、一年中毎日いつでも水がほとばしり出ることは稀で、そのままでは絶対に飲めない水、時には異物が混じって異臭のする水が利用者の希望とは無関係に供給されるのが一般的な姿になっている。とはいえ、インドネシアでの生活にとってはそれが命の水であり、上水道利用者に工夫を凝らすことを余儀なくさせているのがインドネシアの上水道サービスだと言うことができる。クオリティの低い商品は廉価でしか売れず、公営事業の常で採算を度外視した経営が行なわれるため、全国に4百社あるPDAMの中で健全経営体質を持っているところは数えるほどしかない。それら全国のPDAMは全国上水道会社ユニオン略称Perpamsiを作って横の連絡を取っており、その全貌は同ユニオンのサイトで窺い知ることができる。
2013年1月から、国有電力会社PLNは電力基本料金を15%値上げした。取水から上水生産、そして上水供給パイプ網にポンプで送水しているPDAMにとって、その値上げによる経費増大は相当に大きなダメージを与えたようだ。従来から、生産コストの3割は電気代が占めていたのだから。
赤字が膨れ上がるのを嫌う経営者は値上げを望むものの、経営体質をまず健全化させなければ値上げは到底認めてもらえないため、4百社中65%を占める非健全体質の会社はますますその事業内容の質を落とさざるを得ず、住民にとってはとんでもない状況に向かうことになる。全国上水道会社ユニオン中央指導部会長はそんな状況に陥るのを避けるために、今現在全国的に立米当たり2千から4千ルピアになっている上水道料金を10%前後引き上げることを了承してほしい、と全国各県市の首長に要請した。中央指導部会長は語る。
「上水道は住民サービス事業だ。ところがその事業に使われている設備から電力まで一切は市場価格で購入しなければならない。住民購買力に応じた料金を強いられるのであれば、生産コストがそれに見合うものになるよう、何らかの補助が与えられてよいのではないか?コストの中で大きい比率を占めている電力料金は特別タリフを適用してもらいたい。
もちろん上水道会社も使用電力量を節減してエネルギーの節約をはかる所存だ。そのために使用しているポンプにインバーターを設置して10〜15%の電力節減を目指している。各PDAMは30台から100台のポンプを固定資産として持っており、インバーター設置は以後の電力使用支出削減に対する先行投資となる。その投資資金をどう捻出するのかも、大きな問題だ。」
貧すれば鈍する境遇に落ち込んでいるPDAMにとって、ポジティブな方向に這い上がるためには経営体質の健全化以上の難関が待ち構えているようだ。


「衝動買いに走る男たち」(2013年5月18日)
ショッピング好きのインドネシア社会に新たな傾向が出現している。ソーシャルショッパー(インドネシア語はpembelanja gaul)と呼ばれるものがそれで、購買対象を決定する前にあらゆる手段で情報を集めて検討することがそのプロセスの一部と化しているとのこと。販売者はその傾向への対策を忘れてはならない、とグラメディア雑誌調査ディレクターがセミナーの中で紹介した。
この新たな変化はグラメディア雑誌グループとイプソスが2013年1〜2月に行なったサーベイで見つかったもの。調査はジャカルタ・ヨグヤカルタ・バンドン・スマラン・スラバヤ・メダン・パレンバン・デンパサル・マカッサルの9都市の大人男性3千人、大人女性3千人、子供3千人の雑誌読者9千人から回答が集められた。質問は、どのように情報を集めて購買を決定しているか、更にそのあとで購入した製品の情報をどのように仲間に分配しているかということが主眼になっている。
このサーベイで意外なことが発見された。サーベイ結果を見ると、なんと男性の71%が衝動買いをしているというのである。これはインドネシアに限ってのことなのだろうか?


「サロン」(2013年5月29日)
どんな下町へ行こうが、お店が集まっているエリアには必ずサロンがある。インドネシアでサロン(salon)というのは美容院のことだ。もともとはbeauty salonやsalon de beaut?などのヨーロッパ語がそのまま翻訳されてsalon kecantikanというインドネシア語が作られたものの、省略好きなインドネシア人はそれをサロンと通称するようになり、今ではサロンという語が意味するものは美容院がその筆頭になっている。
元来は化粧を専門に扱うbeauty salonやヘアスタイルを扱うhair salon等々、その専門にしたがって分かれていたらしいのだが、今ではほとんどの店がすべてを統合的に扱うようになっている。昔の日本では、美容院というのは女性客だけを対象にするものと理解されていたようだが、いつごろから男女同権が持ち込まれてきたのだろうか。この傾向は世界共通のようで、インドネシアでもサロンに通う男性が十年くらい前から増加しているそうだ。
さて今や住宅地区の中の住居の並びの間にまでサロンの看板を見つけることができるようになったインドネシアで、たいていのサロンはそれなりに繁盛しているようだ。それというのも、美容師の腕が一昔前より格段にアップしているというのが消費者の評判で、たいていの女性は家の近所にあるサロンで用を足している。
コンパス紙R&Dが2013年4月16〜18日に全国12大都市住民460人を電話帳からランダム抽出して電話インタビューした結果、次のような統計結果が出た。サンプリングエラーは±4.4%。
質問:自宅付近の美容院を利用していますか?
回答:
女性:はい67.0%、いいえ32.2%、不明無回答0.8%
男性:はい48.7%、いいえ49.7%、不明無回答1.6%


「アヴァンザが通算販売1百万台を突破」(2013年5月30日)
2004年1月に発売されてから2013年4月までの間にトヨタアヴァンザの販売台数は1,133,203台を記録した。インドネシア国内市場最大の販売台数を誇るアヴァンザの成功の秘訣は、大家族主義を反映する7人分の座席、そしてインドネシアの道路状態に配慮したスペック、インドネシア人に快適さを与えるテーストなど、インドネシアの社会と文化に適合させてデザインした商品コンセプトにある、とトヨタアストラモトル取締役社長が表明した。
1,133,203という販売台数は国内販売が963,373台、輸出が169,830台という内訳で、輸出先はアジア・アフリカ・ラテンアメリカ・パシフィックの10カ国に渡っている。


「ジャカルタフェアー始まる」(2013年6月7日)
毎年、首都ジャカルタ創設記念月間の行事として行なわれているさまざまな催し物のひとつに、ジャカルタフェアーがある。ありとあらゆる商品が展示即売され、多数の出展者が長期間販売促進を競い、大勢の来場者が会場を賑わすこのジャカルタフェアーは東南アジアで最大規模のものであり、これに匹敵するものはアメリカのダラスフェアーくらいだろう、とジャカルタフェアー運営者PT ジャカルタインターナショナルエクスポ取締役が表明した。ダラスフェアーは開催期間が三週間だが、ジャカルタフェアーは32日間開催される。今年は2013年6月6日にオープンし、7月7日に閉幕という日程だ。今年の出展参加者は2,650社にのぼっている。
このジャカルタフェアー開催場所が昔のモナスからクマヨラン空港跡地に移ってから以来主催者の頭を悩ましている問題は交通機関。ジャカルタの草の根都民を対象に催されているジャカルタフェアーであるだけに、廉価な公共輸送が用意されなければ、都民のためというせりふはしらじらしいものになる。主催者は今年もフィーダーバス10台をモナスとトランスジャカルタのクマヨランバス停から会場への足として用意しているが、それ以外には自家用車を使わざるを得ないのが実態だ。会場は四輪車8千台と二輪車2万台の駐車能力を持っている。
ジョコウィ都知事はジャカルタフェアーの現状が、大企業とミドルクラス以上の消費者のためのマーケットになっていると見ており、それを中小事業者と草の根庶民のレベルに2014年から引き下げるとの意向を表明した。そのためにどうするかということを一年がかりで検討しようとしている。中小零細事業者が出展参加に消極的なのは、その費用が高すぎるからだ、と首都中小事業フォーラム議長は述べている。今年のジャカルタフェアー出展者参加料金つまりスタンド使用料は32日間で8百万から1千2百万ルピアとのこと。


「アジア初の出店がジャカルタで」(2013年6月29日)
120にも上る数多くのファッション商品国際ブランドのインドネシアにおける販売代理権を持つPTミトラアディプルカサは2013年5月までに106ヶ所の新規店舗をオープンし、今や全国52都市に1,489店を持つ大型小売企業になっている。中でも、新たな小売コンセプトをひっさげてオープンしたスワロフスキー、ゴディバ、ギャラリー・ラファイエットなどに今業界の関心が注がれている。
ギャラリー・ラファイエットはジャカルタのパシフィックプレースモールで4フロアー総面積12,500平米を占有し、330のブランド商品が集められ、パリのファッションとともにインドネシアの著名デザイナーによる特別コレクションもここで買い求めることができる。フランスの薫り高いギャラリー・ラファイエットのアジアへの出店はこのジャカルタがはじめてのもので、既存店はベルリン、カサブランカ、ドゥバイにしかない。


「でたらめな管理業務は罠」(2013年11月20日)
2013年9月2日付けコンパス紙への投書"Denda Sengaja dari Palyja"から
拝啓、編集部殿。パリジャの顧客であるわたしは、これまで一度も支払いを滞納したことがありません。2013年7月23日、わたしは中央ジャカルタ市カランアニャルウタラ通りで、プレート番号B1544PAFの巡回郵便車で水道料金支払いをしようとしましたが、わたしの顧客データがないということで受け付けてもらえませんでした。それでわたしはパリジャに電話しました。電話を受けたのはイルマさんで、かの女は顧客番号84843は2013年7月23日に巡回郵便車で支払い済みになっていると言うのです。
わたしはまだ支払っていないわけですから、もう一度巡回郵便車に戻りました。ところが郵便車ではまた同じことの繰り返しです。わたしはまたパリジャに電話しました。今度電話に出たのはアンギーさんで、かれは支払い済みだとイルマさんと同じことを言いました。
7月24日、わたしは再度巡回郵便車のところへ行きました、そしてまた支払いはできませんでした。わたしはまたパリジャへ電話し、今度はキキさんが出ました。「もう支払い済みなんですから、何回電話してきても同じですよ。」とかの女は言いました。
7月29日、わたしはまた巡回郵便車を訪れました。今度はわたしのデータが出てきたのです。しかし延滞罰金の5千ルピアが課されました。わたしは7月23日から支払おうとしてきたのです。なのにデータがないと言って支払いを受けてもらえませんでした。支払期限は25日なので、29日に支払えば、支払い遅れになるのです。
罰金がかけられたのは、パリジャ側の管理がでたらめなためであり、責任はパリジャ側にあるのです。ところが顧客が責任を負わされて罰金を払わせられるのです。顧客から金を取ろうとしてパリジャは故意にこのようなことをしているのですか?[ 中央ジャカルタ市サワブサール在住、ウイ・シンギ ]


「雨季には食材が高騰」(2014年1月21日)
雨季が更に激しさを増しているジャワ島で、生活基幹物資供給が低下しているため、物価に大きい影響が出ている。雨による作物の生産効率低下と収穫ミス、出水による渋滞や交通障害あるいは土砂崩れで迂回を余儀なくされる陸上流通網、海上が荒れているために出漁できず魚市場も品薄のために激しい値上がりが起こっている。
中央ジャカルタ市パサルスネンの野菜商人は、値上がりしていないものはほとんどない、と語る。「雨で収穫が落ちてるために供給量が減っている。野菜はすぐに傷むから、出荷できないものが増える。」
トウガラシはキロ当たり3万から4万ルピアに、キダチトウガラシも3万から4万ルピアに、トマトはキロ当たり8千から1万3千ルピアに値上がりした。他にもニンジンが6千から1万ルピアに、カラシナは5千から7千ルピア、ハクサイ6千から8千ルピアといった状況。それらの野菜はほとんどボゴール地区で生産されているものだ。
南ジャカルタ市パサルパルメラでも、野菜の値上がりは顕著だ。キャベツがキロ当たり6千5百から8千ルピアに、トウガラシは2万8千から4万ルピアに、ニンニクは2千から2万6千ルピアに激しい値上がり。いくら値上がりしても人間は食べることを忘れないものだが、都内で大きい雨量の降雨が頻度を増しているため、パサルへの出足もにぶりがちなようで、普段の混雑振りは影をひそめている。
「雨じゃあ、買物に外へ出るのも億劫だろうし、水が出て浸水が始まったらそれどころじゃなくなる。みんなそれを警戒してるんだろう。」
そう語る野菜商人もいれば、別の商人は「何でもかんでも値上がりしてるから、まず野菜の量を減らしてるんじゃないだろうか。」と推測を述べている。その通り、牛肉価格はキロ当たり9万ルピアから、ついに10万ルピアの大台に乗った。鶏肉は2万3千ルピアから2万7千ルピアに上がっている。
牛肉価格は謀略の色濃い値上がりが起こったあと、政府は特別輸入を行って廉価放出を行い、若干値下がり傾向にあったものが、クリスマス〜新年需要期に差し掛かってまた値上がりし、そのまま2014年1月になだれ込んだまま価格の復旧はなく、そしてこの雨季最盛期の食材値上がりの中でまた値上がりが起こっている。パサルの肉商人は、牛肉価格の値上がりは原因がまったくわからない、と言う。「今までより高い価格で卸業者から入ってくるだけで、なんで価格が上がったのかをだれに聞いてもわからないという返事ばかりだ。値上がりのために売行きは落ちてる。ふだんは牛肉の売上が一日2クインタル(1クインタルは100kg)あるが、昨今は75%くらいに下がってるよ。」
食材の値上がりの影響をもっとも蒙るのが、ワルンナシ(warung nasi)やワルテッ(Warteg)などの簡易食堂。西ジャカルタ市プタンブランで営業しているワルンナシのオーナーは、近所のにわか市(pasar kaget)でキャベツ価格がキロ当たり1万ルピアに倍増して、文字通り驚いたと語る。
「野菜・テンペ・卵付きの飯が一皿6千ルピアじゃもうやっていけないから、7千ルピアに値上げしました。そしたら常連さんたちが愚痴たらたら。そういうクラスのお客さん相手にやってきてるから、お客さんたちは値上げしない店を探しに行くでしょうね。早く食材の値上がりが収まってくれなきゃあ、うちの商売も危なくなってくるわ。」
四児の母だというワルンオーナーは雨模様の空を眺めて憂鬱な顔。


「ひと月の生活費は550万ルピア」(2014年1月24日)
中央統計庁が全国82都市で行なった生活コストサーベイで、生活費の大幅な上昇が観測された。2007年から2012年までの間に起こった上昇は、一部の地方に5年間でほとんど倍増というありさまをもたらしている。ちなみに上昇率トップ10は次のような都市が占めた。
プルウォクルト 96.4%
バンジャルマシン 95.8%
ゴロンタロ 94.9%
スマラン 85.4%
ブカシ 82.5%
パランカラヤ 81.6%
バンドン 78.2%
ワタンポネ 78.1%
タラカン 77.9%
ボゴール 77.5%
2012年に国民が家庭生活を営む上で必要とされた金額は一世帯あたりの平均が月額550万ルピアだった。もっとも高かったのはジャカルタでひと月750万ルピア。ジャカルタの一世帯あたり平均構成員数は4.1人。また全国でいちばん低かった都市は東ジャワ州東端のバニュワギで、300万ルピアだった。バニュワギの一世帯は平均3.6人で構成されている。


「政府と国会が原子力利用を肯定」(2014年2月7日)
2014年1月28日に行われた政府と国会のエネルギー政策に関する協議で合意がなされ、国家エネルギー政策に関する政令の内容が確定した。その政令はあくまでもエネルギーに関する2007年法律第30号の枠内で定められるものだ。
今回の協議での最大の焦点は今後のエネルギー政策における種別資源の配分で、そのガイダンスとして2025年と2050年を見通しての配分数値が決められた。現在の比率は次のように調整されることになる。
種別資源: 現在 ⇒ 2025年 ⇒ 2050年
石油: 49% ⇒ 25% ⇒ 20%
石炭: 23% ⇒ 30% ⇒ 25%
天然ガス: 22% ⇒ 22% ⇒ 24%
再生可能エネルギー: 6% ⇒ 23% ⇒ 31%
また原子力についても、利用する方向性での原則合意がなされた。ただし、安全性を最重点検討項目とする最終エネルギー資源として扱われることになっている。
それらの目標値に向かうために政府は、経済バランス・供給保全・環境保護・国内需要優先といったポイントをにらみながらロードマップを作っていくことになる。つまり天然ガスや石炭の輸出も最終的に扉が閉められるため、その時期がこれから決定されることになる。


「融通無碍型国民性」(2014年2月11日)
インドネシアで鮮魚は輸入禁止になっており、魚介類加工製品を生産するための原料として輸入される場合に限って特裁許可が下りるようになっている。特裁許可は政府が定めた上限を規準にするクオータ制が採られており、クオータ上限を超えると特裁許可交付が打ち切られるというシステムなのだが、どうやらインドネシアの行政高官は臨機応変な態度がお得意のようで、民間にとって物分りの良い対応をしてくれることが多いらしい。
ともあれ原則的には、輸入鮮魚がそのまま一般社会の消費に供されるために市場に出るのは法規に違反する行為であるということだ。その法規が国内漁民保護を目的にしたものであるのは言を待たない。
ところが、2013年12月後半からの天候不順で強風波浪の日々が続き、出漁ははなはだ危険になっているために地方によってはひと月以上漁夫が船に乗らない日々が続いているところもある。もっと短いにせよ、漁夫が断続的にしか出漁しないところが大半であり、鮮魚の水揚げは全国的に激減し、価格は大幅に上昇している。そんな市場で、何が起こっているだろうか?
上述の目的のために海洋漁業省から特裁許可を得て鮮魚を輸入した者が、そのまま市場に流したほうが利益が大きいために、ひそかに市場に品物が流されているのである。鮮魚の輸入通関港はスマトラ島がメダンのブラワン港、ジャワ島はジャカルタのタンジュンプリウッ港とスラバヤのタンジュンぺラッ港、インドネシア東部地方はスラウェシ州マカッサルのスカルノハッタ海港、そして自由貿易港のバタムの6港に限られている。それ以外の港に届いた輸入鮮魚は、検疫ができないために通関が拒否される。
インドネシア全漁民会メダン支部は、2013年のクオータは1万2千トンだが、輸入実績は1万7千トンに上ったと報告している。検疫庁長官はそれに関して、輸入者の申告が必要条件を満たしており、その輸入が国内資源にネガティブな影響を及ぼさないかぎり、国内に入れている、と述べている。
市場に出回っているのはインド産の冷凍サバで、解凍されたものが自由に販売されている。市場監督担当官が問屋や小売売店で現物を見ても、国内漁船が水揚げしたものとまったく区別がつかないため、不正行為がなされているのはわかっていても現実に対応措置が採れない、と全漁民会メダン支部副会長は語っている。しかし現物は瓜二つでも、価格は大違いだ。小売価格はキロ当たり2万6千ルピア前後でほとんど同じなのだが、問屋の仕入れ価格が大幅に違っている。問屋レベルの仕入れコストは国内漁獲分が2万ルピアなのに対して輸入ものは1.1〜1.2万ルピアしかしない。
海洋漁業省水産物加工販売総局長はそんな状況について、市場で異常な価格高騰を起こさないことが重要事項であり、そのためには目をつぶらざるを得ないとコメントしている。
これに類似のことは、砂糖や米など他の生活基幹物資に関しても同じような体質が見られ、輸入禁止だと言いながら輸入品が市場に出回っているのが一般的な姿になっている。


「プレミウムガソリンはいつまで自由に買える?」(2014年2月18日)
2013年プルタミナの石油燃料国内供給量は4,625万klで、年間割当量を3.5%下回った。油種別には、プレミウムガソリンが2,926万klで割当量から4.9%ショート、灯油111万klで7.6%の節約、ソラル軽油1,588万klで0.24%下回るという明細だった。プレミウムガソリンの消費鈍化は全国のすべての州で起こったが、ソラル軽油だけは13州で割当量を上回った由。この現象の最大要因は7月に行なわれた補助金付き石油燃料小売価格の値上げだとだれもが口をそろえている。
過去6年間の石油燃料消費状況は、プレミウムガソリンが年平均8.5%、ソラル軽油が6.2%という成長を示し、灯油だけがLPガスへの転換政策によって31%の減少を示した。
政府はさらに補助金付き石油燃料消費抑制を行なうために大掛かりな自家用車への燃油販売コントロールの実施を進めているが、日程計画は遅れ気味になっているのが実態だ。当初計画では、2013年7月に一部地域でパイロット的にスタートし、2014年6月から全国で展開されるというものだったが、パイロットプロジェクトの先頭を切るべきジャカルタでいまだにもたついている。
まず全国最大の車両登録台数を誇るジャカルタでのパイロットプロジェクトは、既にガソリンスタドでの機器設置がかなり進捗している。都下の全263ガソリンスタンド中で255ガソリンスタンドにはケーブル設置工事がなされてそのうちの253スタンドには機器が設置され、220ヶ所では給油ノズルのオンラインコントロールテストが終わっている。105ヶ所ではトライアルがなされ、システムは安定して動いているとのこと。スタンドの全給油ノズルがオンラインでコントロールされているのは36ヶ所、一部のみでそれができているのは105ヶ所、テストは終えたが現在はオフラインになっているのが79ヶ所そして43ヶ所はテストがまだの状態。
一方、自家用車の給油口へのRFIDタグ取り付けはまだ30万台しかできておらず、総登録台数4百万台が完了する予定はいまだに見えてこない。この取付け作業にも問題があり、一部のガソリンスタンドでそれがなされているものの、その実施を担当しているPT INTIは逆に一日当たりの台数制限を始めた。そうしなければ、大量の自家用車が集まって道路混雑を引き起こし、作業員は夜中まで仕事をしなければならなくなるというのがその理由らしい。
どうやらPT INTIとプルタミナとの契約では、インティ社はRFIDタグを輸入して自家用車に設置し、その作業を県・市単位で終えたらプルタミナからの支払いを受けるということらしく、そんな厳しい条件の上にルピア安が重なったことから、同社の台所状況は相当苦しい事態に陥っているようだ。


「現金でガソリンが買えなくなる」(2014年2月18日)
補助金付き石油燃料の消費削減方針を政府は二重三重の方策を設けて完全実現させるよう努めている。購入量の直接制限が大きな柱だが、ものごとを厳しくすればするほど対象物品の価値が高まり、そこに生じる大儲けのチャンスを実現するために手段を選ばずに切磋琢磨するという人間がいっぱいいるインドネシアでは、言うまでもなく二重三重の方策を講じなければせっかく行なった主対策がほころびだらけになって効果が目減りしてしまうのを避けることができない。
ガソリンスタンドにおける小売レベルでの不正行為を防止するために政府はすべての補助金付き石油燃料販売をノンキャッシュ方式に変えることを計画している。消費者がカードでなければ買えないようにしておけば、どこのだれがいつどれだけ燃油を購入したかが常に一目瞭然になり、同時にガソリンスタンド側が不正行為を行なう余地も大幅に削減できる、と政府は考えたわけだ。
この燃油購入カードは政府の指定する特定銀行が発行し、消費者はカード購入に際してSTNK(自動車番号証明書)の提示が義務付けられ、つまりはカードに自動車のプレート番号やオーナーの住所氏名等がメモリーされるということになるにちがいない。ガソリンスタンドの販売情報の中にそのデータも織り込まれてオンラインで情報センターに記録されるようになるわけで、ガソリンスタンドが横流しや隠匿しようとする場合、たいへんな手間隙が必要になることは言を待たないだろう。おまけにデータが捏造されたら被害者は金を盗まれることになるわけだから、悪事はすぐにバレるだろうというのがこの発案者の読みであるにちがいない。
実は、このアイデアはかなり古いものだが、肝心の直接制限プログラムの実施が遅れに遅れているため、このプロジェクトへの全力投球には至っていない。鉱エネ省はこのトライアルを既にいくつかの都市で行なっており、バリとバタムが実施可能地区の筆頭の位置に置かれている。しかし、この方針を全国展開する場合、情報通信設備を追加しなければならず、その費用を銀行界・消費者・政府のだれが負担するのかについての検討がまだなされていないため、当面は直接制限プログラムを先行させざるを得ないのではないかというのが関係諸方面の見解のようだ。


「国外で買い叩かれ、国内は廉価輸入品にさらわれる真珠」(2014年3月4日)
西ヌサトゥンガラ州中部ロンボッ県プジュッ郡タナアウにインドネシア真珠の家(Rumah Mutiara Indonesia)がオープンした。海洋漁業相を迎えてのオープニング式典でインドネシア真珠養殖協会会長が、インドネシア国内への真珠の輸入を制限する時期が来ている、と政府に提言した。
インドネシアは世界最大の南洋真珠生産国であり、世界需要の43%を満たしているというのに、国内市場には中国をメインにして淡水真珠や人造真珠が大量にもたらされ、廉い価格がつけられて市場を混乱させている。その量たるや年間十数トンにのぼると見込まれ、年産5〜6トンの国産南洋真珠を圧倒的に凌駕している。
インドネシア産南洋真珠は量だけでなく品質も高いことが世界的に認められているものの、世界市場への販売ルートが保持確立できておらず、メインは中国や香港で行なわれている競売を通して世界市場に流れていることから、インドネシアの生産者にとってなかなか妥当な利益を獲得するのが難しい状況が続いている。少なくとも国内市場は国産品で確保したいという希望を抱いているものの、国産南洋真珠の国内出荷比率は30%程度に終わっている。業界の状況をそう説明して、会長は政府に対し真珠の輸入に規制をかけるべきだと要請した。
今回オープンしたインドネシア真珠の家は国産高級南洋真珠の生産・流通・販売を盛り立てるべく、養殖・加工・販売に携わる業界者が集う場として設けられたもので、国内外消費者に対するプロモーションの最前線機能を果たす場として活用されることが期待されている。国内の真珠養殖業者は23、真珠加工制作者は100〜200人が活動している。
海洋漁業相は業界からの要請に答えて、2011年海洋漁業大臣規則第8号で低品質の淡水真珠に対する輸入規制の基本線が敷かれていることを説明した。


「管理能力不足?それとも罠?」(2014年3月7日)
2013年10月5日付けコンパス紙への投書"Jual Beli Kios Mega Grosir Cempaka Mas"から
拝啓、編集部殿。2013年4月にわたしは中央ジャカルタ市チュンパカマスのITCメガグロシール一階ブロックE/330の売場をそのオーナーから買いました。メガグロシールチュンパカマスのマーケティング担当は税金790万ルピアと3月のサービスチャージ45万2千ルピアおよび4月分62万6千ルピアを納めるよう求めました。わたしが権利移転契約書にサインするとき、2013年3月21日付け転売チェックリストがわたしに提示されました。そこにはマーケティングマネージャーと経理マネージャーのサインがあり、マーケティング担当者の「すべての条件は満たされており、またすべての支払いも完了している」という書き込みが加えられていました。それらのことがらを根拠にして、わたしはマーケティング担当者の眼前で権利移転契約書にサインしたのです。債権債務はすべてクリヤーであり、売場の鍵がわたしに手渡されました。
その一週間後、権利移転の処理ができないと言われてわたしは驚きました。証書の床面積は7.84平米なのに、売買契約書は5.5平米になっているため、2.34平米の支払い不足があると言うのです。その面積相当分5千5百万ルピアを即時支払ってくれ、と。その話は前のオーナーに請求するべき問題ではありませんか。権利移転のプロセス中に、その障害になりそうな問題は買い手であるわたしに対してすべて明瞭に表明されていなければなりません。ITCメガグロシールチュンパカマスのデベロッパーであるPTドゥタプルティウィに説明を求めます。[ 中央ジャカルタ市在住、スティヤッモコ ]


「水を使わないよう強いる水道会社」(2014年4月1〜3日)
ジャカルタの上水道事情も、バリと似たようなものだ。水道会社は上水をパイプ網に流すのだが、消費者の元まで届くのは58.8%しかなく、41.2%は漏洩や滲出あるいは不正採取などのために水道会社の収入になっていない。首都の水道会社と契約している利用者は80万7千軒あり、上水道普及率は46%だ。ところが、そのうちでいつでも水が妥当な勢いで蛇口から出てくる利用者は30万軒しかなく、反対に25万軒はたとえチョロチョロにせよ水がいつ出てくるのかわからない状況にある。だから、上水道普及率だけを見てそのクオリティにまで関心が払われないととんでもない結論を出すことになるのは、火を見るよりも明らかではあるまいか。
一般的な姿は、深夜12時ごろまで水はチョロチョロと蛇口から流れるだけで、夜半を過ぎてから水流が勢いを増すというのが普通になっている。しかしもっと条件の悪い場所の場合、夜半を過ぎるまで水が一滴も出ず、夜半を回るとやっと水がチョロチョロと出るというところもあり、決して一様な状況になっているわけでもない。上水道会社が契約利用者にできるだけ水を使わせないようにしている国があるという事実は、先進国の人々にとってオドロキ以外の何ものでもあるまい。国は国民の福祉的な生活を保障する義務を負っていると45年憲法に謳われているにもかかわらず、実に多彩な局面で国は憲法のその規定に違反しており、国民の教育レベルの向上がないがしろにされてきたため国民は国の違反を当たり前のように受け入れ、制定されても一律施行のなされない法治のあり方の根源を作り出している。
いのちの水という別名でも呼ばれている生活用水が十分に得られないなら、どんな金持ちであろうと生活に困る。水道会社がそれをしてくれないなら、自然水に頼らざるを得ない。東ジャカルタ市チピナンムアラに住むビナルさん33歳は、水供給を確定させようとしない水道会社に見切りをつけて、三年前に契約を解除した。水が出たり出なかったりして生活が安定しないにもかかわらず、水道料金支払いは毎月20万ルピアにのぼる。今は揚水ポンプを使って地下水を汲み上げているため、いつでも好きなだけ水を使うことができて、生活がはるかに安定するようになった。同じようなことをしているひとは数多い。上水道が供給してくれる水に頼っていては生活が営めない家庭は、みんな地下水との併用を行なっている。普段は地下水を主体にして水を確保し、乾季が長引いて地下水位が低下し揚水ポンプからの水に泥や砂が混じるようになると、こんどはチョロチョロ水であっても上水道からの供給をあてにするようになる。それでしのげるときはよいが、それでも駄目なら水売りから水を買うことになる。つまり、季節いかんでは、上水と地下水を併用している場所の住民さえもが水売りに頼らざるを得ないことが起こるということだ。
地下水自体が得られない場所に住む住民は手押し車で水を売りに来る水売りを最初から普段の生活のベースにしているのだが、それを補完するために雨水槽を敷地内のどこかに設けている家庭もある。一方、水道水・地下水併用地区でも、水枯れ期になるとあちらこちらの住宅地内を、水を満載したタンクトラックが縦横に走り回る。量り売りなどはせず、5千リッター入りタンク車を一度呼べば、その地方のその時期の相場が適用される。タンク内から全量を移そうが、1千リッターだけ移そうが、料金は変わらない。おまけにその5千リッターの水がどこから得られたものかは、トラック運転手にしかわからない。重金属汚染だと騒がれている川から採取してきた水であったとしても、それを正直に買い手に告げる運転手がいるわけがあるまい。水が潤沢にあるから生活用水に困ることはなく、水で生活が困るようになるのは洪水のときだけだろうというイメージの強い東南アジアでの民衆の暮らしの実態は、実はそのようになっているのである。
しかし政府は、地下水の過剰汲み上げを抑制する方針を打ち出している。ジャカルタで年間に汲み上げられている地下水は2億4千8百万?に達しており、地下水の過剰汲み上げによって地下水面の低下、地表面の沈降、海水の地中への浸透といった弊害が引き起こされることへの警告がもう数十年前から発せられているにも関わらず、状況の変化はほとんど見られない。地下水利用はまた、水質の問題を抱えている。近い位置に設けられている汚わい糟からの大腸菌汚染に始まり、ごみ投棄場からの滲出液や重金属汚染されている河川との関連性など、自然環境汚染度が高い社会であるがゆえのリスクを引きずっていることも確かだ。
上水道会社はいつまでたってもサービスクオリティを向上させないから、一般家庭のみならず、オフィスや工場までもがそれを理由にして地下水を使っている。政府はもちろん、地下水利用にも課金を適用し、汲み上げた水量に応じて課金を徴収する制度を設けているものの、取り付けられたメーターの検針は汚職の場と化しており、都庁データによれば地下水利用課金収入は年間890万?相当しか帳簿にあがっていない。
ジャカルタ都民が厖大な量の地下水を汲み上げていることに関連してコンパス紙R&Dが2014年3月13〜14日に17歳以上のジャボデタベッ住民627人を対象に行なったサーベイで、首都圏住民の上水利用に関する意識の一端が明らかにされた。回答者の79.7%は都市生活に必要な水は無尽蔵にあると考えており、そうではないと考えているひとは19.6%しかおらず、またそのための水源は何だと思っているのかについては、地下水と答えたひとが45.3%を占めた。次いで河川が24.2%、湖や貯水池が12.6%、雨水1.4%などとなっている。
一般大衆も、水を「湯水のように」消費することを生活の豊かさと考える傾向を持っている。好きなだけ水を使って「きれいになった/した」という充足感を持つことを重要視している面は疑えない。節水というのはその充足感を否定することであり、それは乾季末のような水枯れ期にのみふさわしいことであって、普段の日常生活における節水は生活クオリティを劣化させることだという印象を持つひとも少なからずいる。たとえば大部分のひとのマンディのやり方を見ると、浴場内の貯水槽から水を手柄杓ですくって全身に浴びせる方法を行なっており、シャワーを使うほうがはるかに消費量が少なくまた同じレベルの効果があがることが立証されているにもかかわらず、ほとんどの家庭でそれが行なわれないのは、全身で感じる爽快感がその原因であると言われている。無尽蔵にある水を地中から汲み上げて、それを豪勢に使って満足感に浸っている一般大衆の姿がそこから見て取れる。
ジャカルタの上水道事業は都庁がオーナーになっている地方公社のジャヤ上水道会社が行なっていたが、経営とサービスの向上をはかって現場事業を民間資本を主体にしたジャヤ上水道会社との合弁会社に移すことにし、英国資本のテームズウオーターがチリウン川の東側、仏国資本のリヨネーズデゾーがチリウン川の西側を受け持つ体制で1997〜1998年にスタートした。その後2008年にテームズウオーターがアクアティコに株式を移譲して主体者が代り、アエトラという社名に変更されるという変化があったものの、民間の資本と技術を導入しての事業改善は今も継続している。
その間に、給水管網拡張に伴って契約利用者数は35万軒程度から80万軒まで増大したものの、原水取得の確保と増加はほとんど実現されていないのが実態で、売り物が欠乏しているのだから契約者になるべく使わないようにさせ、できるだけ多くの者に分配しようという発想が出てくるのも理に叶っていると言えるだろう。アエトラは2013年に1万軒の新規契約を獲得したが、その一方で従来からの顧客5千軒との契約を打ち切ったそうだ。水道料金を払わないのがメインの理由になっている。ジャヤ上水道会社の計算では、2015年までの上水需給は毎秒1万リッターの供給不足で、利用者の増加に伴って2030年には不足量が毎秒2万2千リッターまで増加するだろうとの予測になっている。


「クオリティに盲目な消費者?」(2014年4月10・11日)
消費者保護はお役所の問題であり、ただ廉ければクオリティなど気にせずにどんどん買うというのが消費者自身の姿勢であるなら、数回使えばすぐに壊れる耐久消費財であろうが、有毒有害物質汚染の飲食品であろうが、消費者が優先的に買うものを作るだけだという悪徳生産者や販売者はいつまでたってもなくならないにちがいない。インドネシアが現在直面している根の深い問題がそれだ。
インドネシアの一般庶民の姿勢は、価格がかれらの購買力で十分に手が届くものであり、見た目が姿形よく作られ、また美麗に包装されているかぎり、商品の機能に対する批判的な目をあまり光らせることがない。その文化的な要因はさておいて、政府は消費者保護の見地から耐久消費財であろうが飲食品であろうが、その妥当なクオリティを実現させるためにSNI(インドネシア製品規格)制度を定めて実行している。SNIというのは、日本で言うならJIS規格に相当するもので、生産者の製造過程が検査された上、製品が標準クオリティに達しているものに対して合格が与えられる。つまりSNIマークが商品についているなら、その商品は政府がクオリティの保証をしているのと同じだということになる。だからクオリティを気にする消費者は、SNIマークのついた商品を買えば当たりはずれがない。
ところが、そういう合格承認が無料で得られるわけがない。追加コストがかかれば、インドネシア消費者が求めている廉価品から逸脱していくのは確実で、だからそこをどう塩梅しようかという生産者の知恵の絞り比べになっていく。法規に従順に従って他人の言いなりに搾取されるのは男のクズだという思想がそこにまとわりついてくると、何が起こるかわからなくなる。
工業省は世の中にあるあらゆる製品に対してSNIの詳細を定めたわけではない。しかも、既に定められた詳細が産業界に義務付けられているのはまだ92品目しかなく、その他のSNI規格は生産者の任意になっている。義務付けがなされているのは、ビン詰め飲用水や鋼板、そして電気火災対策としての電線をはじめとするさまざまな配電設備が主体で、その他はSNI規格がまだ定められていないか、あるいはまだ生産者次第という任意の状態だ。もちろんSNI規格合格製品であることが謳われていれば、知識と意識を持つ消費者は安心する。その結果実態は違っているのに、架空の承認番号を付ける者が出てきたり、あるいは規格申請時だけ製造工程が合格するような配慮をし、合格を得たら可能な限りコストを下げるために規準を無視する生産者も出てくる。政府はそういう生産者対策を行なわなければならない。
加えて、小さな設備投資で作ることのできる物品である場合、小さな町工場もどきのところで製品を作ることができる。徹底的にコストダウンをはかるために原材料の品質など問題にされず、製造工程も品質維持などの配慮がなく、ただ見た目がきれいにできればそれでよいというものがたくさん市場に流される。政府はそういうものまで取り締まらなければならない。市場でそういう違法不法商品の取り締まりを行なうのは商業省の役割だ。
輸入品についても類似のことが言える。SNI義務付け物品というのは、インドネシア国内市場に流通するその物品のすべてにSNI規格合格が要求されているのであり、輸入品が例外扱いされるわけがない。その場合は輸入者がその責任を負うことになる。SNI未合格物品を輸入するのであれば、輸入者がその物品のSNI合格手続きを行なわなければならず、そうしなければ国内流通させることができない。あとはそういう意志を持つか持たないかの問題になってくる。だから、税関が輸入品の国内流入をその面から監視することになる。しかし税関の目が届いているのがほんの一部でしかないことは、インドネシアに密輸品が怒涛のように流れ込んできていることが証明している。
市場で流通しているありとあらゆる物品とサービスの規準を監視しているのは物品サービス監視官と呼ばれる地方自治体商業局の職員だ。ひとつの県市レベルに6人が必要とされており、その合計は全国で5千人にのぼるのだが、現実にその職務を担当している職員は8百人しかおらず、各県市には平均して1〜2人しかいないという状況だ。各県市の担当職員は、地方自治体の商業局に所属している地方採用公務員であり、公務員の配属や異動は地方自治体が決定権を持つ。すると何が起こるか?各県市の公務員雇用は異なるロジックで動いている。給与財源の問題がからむのだから、当然のことだ。加えて、雇用している公務員の所属も、その折々の事情で配置転換になる者が出てくる。すると地方自治体トップがその折々に何が人的資源を投入するべき重要問題であると考えるのかによって、定常業務を大勢が行なっている部門にそのしわ寄せがもたらされる傾向は避けようもなく起こるだろう。
巷に流通している物品サービスのクオリティを監視する能力の15〜30%程度しか有効でないのなら、残りは消費者自身が賢明な選択をしなければならないのだが、いったい消費者の何割がそのような能力と意思を持っているだろうか?商業省規格消費者保護総局長は、地方自治体の物品サービス監視官に対する教育訓練は継続的に行なわれているが、結局のところは消費者が賢明になってもらわなければ政府だけではやりおおせないことがらだ、と現状に対する不満を物語っている。「消費者がSNIというものに対する見識を向上させ、購入する物品を賢明に選択するなら、問題は消滅する。消費者は廉いものばかりを追いかけるのでなく、規格承認を得た物品を購入するのが妥当なビヘイビアなのだ。」との総局長の弁。


「ジャングルでは、騙されたら負け」(2014年5月8日)
2013年12月9日付けコンパス紙への投書"Dibohongi Penjual Telepon Seluler"から
拝啓、編集部殿。2013年11月はじめ、わたしは西ジャワ州ブカシ県チカランSGCのハルモニーフォーンでサムスンのギャラクシースターを買いました。フリップカバー付きで140万ルピアだと店員は値段を言いました。世間の相場を知らなかったため、わたしはその金額を支払いました。ところが翌日、わたしはその商品の定価が80万ルピアであることを知ったのです。
わたしは騙されたのですから、またハルモニーフォーンを訪れて、差額を返すように要求しましたが、相手はそれに応じません。双方がその価格で合意したのだから、というのが店側の理由です。わたしはサムスンセンターにこの事件を訴えましたが、サムスンの公式店舗でない店で起こったトラブルであるという理由で、サムスンは責任を負えないという返事をもらっただけです。このようなトラブルに、消費者への保護はないのでしょうか?[ ブカシ県チカラン在住、サミ・アストラニ ]


「不動産投機のためのSC」(2014年5月26〜29日)
ジャカルタにモールがまだ少なかった時代、卸売りセンターは大うけに入っていた。どこの卸売りセンターでも、売場はぎゅうぎゅう詰めで商品がいたるところに置かれ、買物客でごった返していた。その凋落は小売をメインにするモールが雨後のたけのこのように出現し始めたころと時を同じくする。モールと卸売りセンターをショッピングセンター(SC)という概念で一括りにすると、都内5市のショッピングセンター分布状況は次のようになっている。
北ジャカルタ市 10ヶ所
西ジャカルタ市 10ヶ所
中央ジャカルタ市 20ヶ所
東ジャカルタ市 9ヶ所
南ジャカルタ市 26ヶ所
既にショッピングセンターが都内に過剰になっていると見た都知事は2011年に一年間のショッピングセンター建設凍結を命じた。とは言っても、床面積5千平米以下のものは対象外にされている。凍結期間を終えた2012年に、新規建設物件の総床面積は164,981平米に達した。ショッピングセンターの売場床面積稼働率は81.4%だったが、それでも不動産業界のショッピングセンター建設は熱が冷めず、2013年には都内14ヶ所のショッピングセンター建設許可申請が出たため、都知事はふたたび凍結期間を設ける意向を表明している。
そんな状況下に、卸売りセンターを主体に都内各地のショッピングセンター内に空き家になっている売場が1万数千件あることに焦点が当たった。都内各地にある集客能力の高い市場では、市場内の売場に空きスペースはなく、それでもその市場で品物を売りたい商人が大勢集まってきて市場周辺の空地や路上に商品をならべて販売しており、スムースな道路交通が阻害されているという現象がジャカルタの道路交通渋滞問題の一要素として存在している。それらの現象を見比べるなら、たいへん大きな社会的非効率と不均等がジャカルタの市民生活の中に存在していることに気付かないひとはいない。多数の市民知識層は、その矛盾の解決策はないのかと自問した。
消費者から見放されたショッピングセンターの代表例は、WTC(Wholesale Trade Center)マンガドゥアだ。総床面積12万平米に4千の売場が用意されているWTCマンガドゥアは既に9年間閑古鳥の鳴く状態が続いており、稼動しているビル内の売場は1千を下回っている。数少ない売場の店員に話を聞くと、3x4メートルの売場を二ヶ所持っているその商店は電気代と水代にひと月2百万ルピアを支出しているそうで、売上金額の質問には答えずに「払わなきゃ、しょうがないんだから。」とつぶやいただけだった。
タナアバン市場に次ぐ衣料品や服飾装飾品さらに靴やバッグの都内販売センターとして名をあげたマンガドゥアには7軒の大型ショッピングセンターが勢ぞろいしており、新しいビルができるたびに消費者の流れがころころ変化したが、WTCマンガドゥアは比較的早い時期にその商戦から脱落したビルだ。結局そこは2005年に空いたフロアをぶち抜いて中古車販売センターに衣替えし、その戦略のおかげで多少とも息を吹き返しているものの、来店客数は衣料品服飾品に群がる消費者の数とは大違いで、殷賑さという点ではまだまだ周辺ショッピングセンターに水をあけられたまま。情報によれば、WTCマンガドゥアのビル内に2,297台の中古車が展示されているとのこと。
次の代表例はMGK(Mega Glodok Kemayoran)と略称されるクマヨランのメガグロドッショッピングセンター。このビルも、ガランとしてひと気の無いエリアがあちこちに見受けられる。ビルオープン当初はもっと賑やかだったが、消費者が集まってこないためにテナントがどんどん売場を閉めて結局こんなありさまになったとある売場の店員は語っている。
いっとき、都内のあちこちにショッピングセンターを次々とオープンさせたITC(International Trade Center)も、卸売りビルから小売ビルへというショッピングセンター界の流れに追随できずに落ち込んで行ったひとつ。ITCプルマタヒジャウは1千2百の売場のうち460が稼動していない。ITCチプリールもシャッターの降りている売場が目立つ。
ジャティヌガラ卸売りセンター、スナヤントレードセンター、そしてタングラン・ブカシ・デポッなどの周辺地区でも、ロワーミドル層向け卸売りセンターの寂れている姿が目を引く状況だ。
インドネシアプロパティウオッチの専門家は、デベロッパーの中にジャカルタの地域別商業発展史をまったく考えに入れていない者がおり、単に商業ビルを建ててその商業コンセプトを主張するだけに終わっているところは発展していない、とその状況を分析している。しかし小売事業者協会副会長はショッピングセンターの乱立を、模倣と儲け主義が招いたものだ、と批判する。「ショッピングセンター事業として成功しているのは3割しかなく、7割はフィットしていない要因があるために集客がいまひとつというところだ。卸売りセンターという名前であるなら、産業界をベースに据えなければならないのに、やっていることは成功したところを外見的に真似ているだけであり、できたものは商店の集合体にしかなっていない。成功したところと似たようなコンセプトを打ち出し、あのように儲かると商人たちに思わせれば売場スペースが売れる。みんなが同じようなことをしているから、結局自然淘汰が起こる。」
ショッピングセンター内の売場空き家現象について不動産オブザーバーの多くも、実際のマーケット需要に即したものでなく不動産業界が投機意欲を狙って作った投機ツールの意味合いが強い、と分析している。不動産業界は経済好況のモメンタムをとらえて、既に空き家売場が山のようにあることなど無関心に、商業スペースという資産を作れば続々と投機家に売れるという昔からの論理を原理に置いて動いているのがその現象であり、いまだに新規ショッピングセンターの建設申請があとを絶たない。
昔から不動産投機家が行ってきた手法は、新築のアパートメントやショッピングセンターの売場を、プレ販売時に買い取っていくやり方で、デベロッパーもそうやって集めた資金で物件の建築を行なうから借入れも少なく、コストを抑制することができる。不動産価格が下がることはいまだかつてなかったから、持っていれば必ず値上がりし、買いの引き合いが来なければ賃貸して収入を求めることも可能であるため、余剰資金を持っているひとびとが求める投資の中にこの分野は必ず含まれている。
ところが、昨今のショッピングセンターデベロッパーは売却物件を減らす傾向を強めている。ショッピングセンター経営者は集客がビジネス戦略のメインであり、ショッピングセンタービル内の売場がどういう商品をどのように売るのかということまで含めた戦略を立ててこそ、その企画が生きてくるのであって、そのためには入居テナントに売場を買い取らせたら完璧なコントロールができなくなってしまう。店子として家主の言うことを聞かせる必要があるのだから、賃貸スペースにしておくほうがメリットがあるというわけだ。おかげで昨今の新設モールはあまり投機家好みになっていないきらいがあるらしい。
その関連でもうひとつ新たな現象が起こっているのは、首都圏の激しい交通渋滞が昔のような消費者の足の動きを抑制していること。昔なら、デポッ市に住んでいても、ジャカルタ北部に評判のよいショッピングセンターができればそこまで平気で足を伸ばしていたが、一軒のショッピングセンターに出かければ一日がかりになるような移動の不便さに、昔のような気分で簡単に出かけて行くことをしなくなっている。ましてや膨張したミドルクラスが住居を求めるのはジャカルタ郊外のボデタベッ地区であり、都内の評判の良いモールへ出かけるのはせいぜい週一回で、他の日は出かけるとしても自宅から近いモールに行くことのほうが多くなっている。
ミドルクラスの膨張とより高価な商品がより高い頻度で売れるようになるという商業界に流れている一般通念から、その商業活動を支えるためのモール建設という思考の流れが生じるのが普通だが、インドネシアは状況が違う、と経済シンクタンクのINDEF役員は語る。「一日の支出金額が5〜20米ドルあると、そのひとはミドルクラスだと言われるのだが、インドネシアのミドルクラスはマジョリティが5〜7米ドルに偏っている。その点からだけでも、インドネシアのミドルクラスが作り出す経済規模がどのようなものかを想像することができる。モールを作って巨大な経済市場をそこに生み出させようとするのであれば、モールにやってくる人たちの経済面での実相をもっとサーベイしなければならない。買物に来ているのか、それとも遊びに来ているのか、ということがらだ。」
政府商業省はマスコミの批判を浴びているショッピングセンター内の空き家売場問題に関連して、民間がオーナーであるショッピングセンターの経営に口をさしはさめる立場にないが、問題解決は集客力を高めることに絞られると思われ、寂れたショッピングセンターが顧客を集める手法として、定期的にテーマをしぼった催しを開催するのは有効であり、そのためのお手伝いをするのにやぶさかではない、と商業大臣が表明した。
その種の催しに、商業省の傘下にある中小企業に呼びかけて特定のテーマに沿ったユニークな商品を集めるような橋渡しができる、と商業省はショッピングセンター業界に呼びかけている。


「FJGSは6月7日から」(2014年5月27日)
6月22日のジャカルタ創設記念日がまたやってくる。そのおかげでジャカルタの6〜7月は毎年、催し物の月となり、さまざまな文化イベントやショー、実態は展示即売の見本市であるジャカルタフェアー、はたまた都内のたくさんの商店やホテルなどが参加するジャカルタグレートセールフェスティバル(FJGS)など、実に華やかな季節となるのである。
2014年のジャカルタグレートセールフェスティバルは、都内75のショッピングセンター(モールや卸売りセンターなどの商業ビル)、そしてインドネシアショッピングセンター運営者協会、小売業者協会、ホテルレストランユニオン、衣料品アクセサリーサプライヤー協会、旅行代理店協会、首都ジャカルタ公営市場運営会社、公共運送機関事業者、ガルーダ航空などが参加し、各事業者団体傘下の商店や機関が最大70%という割引販売を行なうことにしている。小売業者協会首都支部には9千1百の商店が加盟しているため、都内のほとんどあらゆる商店に「DISKON」の札が林立することになりそう。
今年のFJGSキックオフは北ジャカルタ市のエンポリアムプルイッモール(Emporium Pluit Mall)で開催され、ブタウィ文化一色に塗りつぶされた諸催し物が演じられる。創設記念日前夜と当日にあたる6月21〜22日には、Grand Indonesia, Senayan City, Cilandak Town Square, Kota Kasablanka, Plaza Semanggi, Central Park, Emporium Pluit Mall, Mall Kelapa Gading, Baywalk Mall, Arion Mallなど15のショッピングセンターで深夜に繰り広げられる一大ディスカウントセールGRAND MIDNIGHT SALEが催されることになっている。またFJGSショッパーカードを使って買物をした消費者に対する景品抽選を45ヶ所のショッピングセンターが行なう。10ヶ所のショッピングセンターでは、都下の中小ミクロ事業者が生産するユニークな手工芸品を集めた展示即売コーナーも用意されるので、民芸品ファンに楽しめる場所となるにちがいない。
FJGS運営コミティによれば、2013年のフェスティバル総売上は11.8兆ルピアあったが、今年は6月7日から7月19日まで期間を半月延長し、売上目標が13.5兆ルピアに増やされた由。ホテル・レストラン・交通機関・旅行代理店・ガルーダ航空などもFJGSにからめて特別価格をオファーしてくれるはず。毎日ワクワクの一月半になりそう。


「密輸古着市場は隆盛」(2014年6月2・3日)
インドネシアの法規では「輸入品は新品でなければならない」となっており、国外から中古品を国内に入れることは原則禁止されている。ところが日本製の中古貨物トラックがたくさん路上を走っていたり、中古電車を輸入して首都圏近郊路線を走らせていたりするから、言うこととやることがでたらめだと思ったら実はそうでなく、企業あるいは業界団体が監督省の許可を得て、数量と品種限定で行なっているのが本当の姿なのである。要するに、原則禁止にしておいて、特別裁量をもって許可してやろうというスタイルはレントシーキングにつながるものであり、インドネシアで統治支配者が大昔から行なってきたシステムのひとつだ。
中央ジャカルタ市パサルスネンに古着輸入品の市がある。一流国際ブランド品、ファッション性の高いもの、インドネシアにまだ入っていないファン好みの特殊ブランド、そして女性用下着に至るまで、さまざまな衣料品が破格の値段で売られている。その古着市に好事家が集まってくる。
特に外国産有名ブランド品でユニークなデザインのものは人気が高い。インドネシア国内でふたつとない品物を消費者は追い求める。自分が着るためもあるし、自分の親族にプレゼントするためも。「古着をプレゼントされて喜ぶのか?」と疑問を抱く豊かな国の住民たちには、貧困であり、且つそれがゆえに世界への門戸を狭くしか開いていない国の住民たちの感覚は判りにくいものだろう。豊かな国では、使い古した品物はゴミにしかならないが、その品物が美的機能的にオリジナルのクオリティから極端に劣化しておらず、そして価格が破格なものであるなら、貧しいひとびとにとっては得がたい商品価値を持つことになる。ましてや、ブランドやデザインの希少性が高いものなら、その価値は倍加するにちがいない。
外国で拾われたゴミがインドネシアに送り込まれてきているのだから、商品原価は物流費が大半を占める。そういう品物と国内工場で製造された新品商品との間にフェアな競争が市場で成り立つかどうかは問うまでもないだろう。だからこそ、国内産業を保護するために中古品は輸入が禁止されているのだ。
「インドネシアの商店で売られていないシャツを探してる。アメリカ製や日本製が多いね。描かれているデザインがユニークなものは、国内に同じものを持っているひとがひとりもいないのだから。」一週間に三回はパサルスネンの古着市を訪れるファイス22歳はそう語る。
モールや専門店で数十万から百万ルピアを超える価格で販売されているBathing ApeやSupremeなどの高級ブランド品をかれは古着市でハントする。パサルスネンの古着市ではそれらの中古品が一枚1万5千からせいぜい5万ルピアで手に入るのだ。かれは自分で着ることもするが、それを10万ルピアを超える価格でインターネット販売している。
中古衣料品を求める消費者は数多いが、パサルスネンの古着市に売場を持っている商人の中には、「一日中客がひとりも立ち寄らないこともある」と語る者もいる。それだけ古着市の規模が大きいということかもしれないが、平均して15分間に3〜4人の客が、厖大な量の古着を置いているひとつの売場を訪れているということらしい。下着をメインに扱っている売場のオーナーは、来店客はたいてい一着3万ルピア前後の下着を4着くらい買っていると言う。売り物はほとんどが日本製で状態がそれほど悪くなっておらず、着心地が良いので、下着の古着はよく売れるのだそうだ。オーナーはこのビジネスの資金に1千4百万ルピアを投じたが、一日平均100万ルピアの売上があがっているそうだ。
ジャカルタの高級アパートメントで働いているファイサル20歳は、弟妹たちにシャツを買ってやるためにこの古着市を訪れている。ここへやってくると、かれは普通20万ルピアほどの買物をする。ここへやってくる大学生と思われる若者たちの姿も少なくない。ジャカルタのあるお屋敷の家庭プンバントゥであるスナルミ59歳も、ルバランで帰省するときのおみやげ用に古着を買っているところだ。かの女にとっては、高めに値付けされている有名ブランド品はお呼びでない。状態が多少悪くて、色落ちしていたり取れないシミがあったりしても、機能さえ確保できていればそれで十分。そんな品はなんと、一着1千〜5千ルピアで手に入るのだ。
インドネシアと国境を接するシンガポールやマレーシアから、小型の密輸船に積まれて大量の古着がインドネシアに入ってくる。スマトラやカリマンタンにあって民衆が小型船を利用するだけの、税関もなく取締りの役人もいないネズミ港と呼ばれる小さい港に密輸古着の市が立ち、衣料品流通業者が大勢集まってきて、二束三文で大量の古着を買っていく。古着は回りまわって国内諸都市の古着市に集まり、たくさんの消費者にとっての大きな市場を形成する。政府の国内製造産業振興のお題目とは裏腹の現実が、雇用増大を担わなければならない労働集約産業の花形である衣料品製造業界の負担をますます重いものにしている。


「催事だらけのジャカルタの6月」(2014年6月10日)
今年第487周年を迎えるジャカルタ創設記念日は2014年6月22日。そのため、ジャカルタには種々の記念催事が目白押し。ジャカルタグレートセールフェスティバル(FJGS)は先に紹介してあるが、それ以外にもクマヨランで例年開催されているジャカルタフェアー、そしてモナスに陣取る一大バザールのPRJ(Pekan Rakyat Jakarta)および全国の名物料理を一堂に集めたヌサンタラクリネールフェスティバル。そしてさまざまなスポーツ競技会や文化的なアトラクションまで盛りたくさん。
6月6日から始まったジャカルタフェアーは週日が15時半から22時までオープン、週末は10時から23時までオープンというスケジュールで、一人当たり入場料は月曜が2万ルピア、火〜木曜2万5千ルピア、金〜日曜3万ルピア。会場内では、著名歌手と音楽生演奏のショーなどやさまざまな景品が当たる催しも行なわれる。当選者11人限定というブラジルまでのワールドカップ観戦招待がその頂点。7月6日まで2,650社が繰り広げる商品特売や景品つき販売に都民が群がるこの催しは、数年前からここで売れる二輪車四輪車の台数がうなぎ登りになっており、各自動車メーカーもこの販売チャンスをつかもうと躍起の態。
一方、モナスのPRJは中小家内工業の手作り製品や廉価な商品が集められ、また飲食品を調理販売するカキリマ商人たちも多数集って、中低所得層向けのパサルマラムを現出する。
創設記念日である6月22日の都内各所で繰り広げられるお祭りに集う都民の足の便宜をはかって、トランスジャカルタバスは2014年6月21日18時から2014年6月22日23時まで、乗車切符の無料提供を行なうことにしている。北ジャカルタ市アンチョルドリームパークと南ジャカルタ市のラグナン動物園でも、6月22日は入場無料サービスが行われる。
首都ジャカルタを構成する東西南北中央の5市でも、それぞれ市庁が創設記念日を祝って独自の催し物を行なうことにしている。たとえば北ジャカルタ市庁は、同市内プルイッダムで市民参加の多彩なプログラムを計画しており、その中には竹馬競争や袋に足を入れてぴょんぴょん飛び跳ねる競争なども含まれている。ジャカルタの6月は、お祭り好き人間にはたまらない季節だろう。


「玩具に値上がり傾向」(2014年6月17日)
国内販売される品物の製品品質規準であるSNI(インドネシア製品規格)が2014年4月から玩具にも義務付けられ、6ヶ月間の移行期を経てSNIコードが付けられていない商品を市場から排除する動きが2014年11月から全国で開始される。とは言っても、厖大な人数を必要とする市場現場の監視を地元政府が一斉に行なえるはずもなく、きわめて高い爬行性が伴われるのは毎度のことなのだが・・・
ともあれ、市場で販売される品物がすべてSNIを承認されていなければならないというこの規定は、これまで奔放に流れ込んできていた中国製玩具に大打撃を与えることは言うまでもなく、中国産品の価格競争力に頼って市場を担いでいた流通販売業界も従来の方針を撤回する状況に迫られている。インドネシア玩具協会会長はこの変化について、玩具市場は二分の一に縮小するだろうとの予測を語った。「SNI承認を受けるために、生産者も輸入者もこれまでの原価が3割アップすることを覚悟しなければならない。その値上がりが消費者の購買意欲をそぐことは間違いがなく、これまでの市場は半減するだろう。業界売上は4〜5割ダウンすることになる。」
国内玩具市場の需要をまかなってきた供給面の主役は月平均コンテナ2千5百本、7千5百億ルピア相当にのぼる中国産品がマジョリティを占める輸入品であり、5千億ルピア相当の国産品を凌駕している。
玩具と時を同じくして、政府はおよそ100種の製品にSNIを義務付けた。家電品・家庭用品・化粧品・食材などがそこに含まれており、一般消費者の日常生活ではより多くの品物に国の品質規制が加えられるメリットを享受できる反面、価格上昇も避けられないことになりそう。義務付けがなく生産者の任意とされているSNIは8千種にのぼっている。玩具のSNI承認申請は費用が600万ルピア前後。輸入玩具については、輸入船積1件に対して5千〜7千5百万ルピア前後であるとのこと。


「即席麺は大売れ」(2014年6月20日)
2013年インドネシアの日用消費物資販売は前年から14%アップしており、年々顕著な上昇が観測されている。業界者は自社製品/商品の利用家庭数や購入頻度などの状況把握を、市場シェアにあわせて把握していかなければならない、とマーケットリサーチ会社カンター・ワールドパネルが提言している。
市場競争で勝つためには、コンペティターとのそれらのデータ比較は不可欠であり、その内容いかんで販売促進の手法が変わってくる。市場シェアが劣っているなら、ディストリビューション網の拡大に注力しなければならないし、消費者の購入頻度で負けているなら製品プロモーションに注力する必要がある。
カンター・ワールドパネルはインドネシアの足の速い日用消費物資について、ブランド別ランキングの調査を行なった。5,680家庭がその調査の対象になり、その86%が都市部住民になっている。なお、一般家庭が購入している足の速い日用消費物資のトップ10は、食品、ミルク、香辛料調味料、粉末ドリンク、家庭用洗剤などで、そのうちの第一位と第二位に即席麺が位置しており、普及率は90%を超えていた。


「商業省がオンライン取引を監視」(2014年7月23日)
eコマースの活発な伸びは、悪事を招きよせている。金を奪い、あるいはターゲット本人をどうこうしようというのは別にして、ネット販売自体はまともに行われているものの、売られている商品に問題があるという違法行為も目だって増加している。
商業省消費者保護局消費者保護相談員はそれに関して、これまでネット販売されている商品に対する法的監視は食品薬品監督庁だけが行っていたが、消費者保護の見地から総合的包括的に対処していくことをおろそかにできないため、関連機関を糾合して省庁間を横断する専門監視チームの編成が進められている、と新たな方針を明らかにした。そこには通信情報省・保健省・商業省・警察が関与することになる。電子式通商に関する法令がその基盤に置かれるべきなのだが、それがまだない現状のままでも、消費者保護関連法規の運用で顕著に増加している違法医薬品やサプリメントのネット販売を取締ることは可能であるとのこと。
食品薬品監督庁の報告によれば、2012年にインターネットオンライン販売でオファーされた違法医薬品とサプリは66種、オファーに使われたサイトは83、推定取引額は1.5億ルピアだった。2013年は177種、129サイト、55億ルピア。2014年はまだ年央だが、868種、302サイト、74億ルピアと激増しており、違法医薬品とサプリの65%は精力増進や手術後の回復促進あるいは体重減量促進などを謳った伝統型のもので占められている由。
商業省副大臣は、通商法の観点からeコマースを切り取って法制化するのは難しいが、大蔵省との協力下に脱税という切り口でインターネットオンライン販売への監督と取締りを強めていくことをまず進めようとしている、と述べている。そのために、ネット販売されている販売者と購入者の通信をとらえて解析するソフトウエアを製作中であり、その使用が開始されれば違法行為者への取締りが大きく前進するだろうと期待されている。


「日本産高級果実をジャカルタで」(2014年7月30日)
岡山県産の高級ぶどうオーロラブラックとシャインマスカット、そしてみずみずしい白桃がインドネシアでも販売される。ただし、今回の販売は南ジャカルタ市クマンのケムチクスのみで2014年7月18日から27日までテスト販売された。
オーロラブラックはキロあたり80〜90万ルピア、シャインマスカットはキロ当たり124万ルピア。それらは大粒で美味であり、しかも種無しなので口中で味わう際の満足感は筆舌に尽くしがたいものがある。白桃は一個が22〜25万ルピアとのこと。
インドネシアでの小売価格は日本と同じレベルになっている。それらの果実は日本でも高額なものとされているが、インドネシアに市場があることが調査で判明したため、インドネシアへの輸出を進める方針であるとのこと。岡山県にはぶどう農園が100Ha,桃農園が700Haあり、岡山県はそれらの商品をシンガポール・マレーシア・台湾・香港・タイに輸出している。ところで、白桃はインドネシアでpersik putihと呼ばれている。


「一家庭平均生活費は555万ルピア?」(2014年8月22日)
LPG12キロ入りガスボンベを使っている家庭のプロフィールをプルタミナが紹介した。使われたデータはニールセンが毎年行っている消費者支出に関するサーベイに由来しており、2013年データは7,300家庭から集計された。12キロLPGは80.5%が都市部、19.5%が村落部で消費されている。
都市部の12キロLPG利用者の70%強が上流経済層で、学歴は高卒から修士まで、家庭内でコンピュータを使い、冷蔵庫を持ち、特定ブランドの飲用水を利用している。この階層の月間支出は2013年第1Qで500万ルピアだったが、第4Qでは580万ルピアに増加している。
カテゴリー別の支出金額は次のようになっている。
12キロLPG  9〜10万ルピア
電気代  21.5〜25.4万ルピア
食材  23.3〜25.7万ルピア
通信  27.4〜31.3万ルピア
外食  31.2〜41.6万ルピア
日用品  41〜44万ルピア
交通費  52.4〜56.5万ルピア
貯金  76.6〜81.7万ルピア
保険  59.7〜85.8万ルピア
娯楽慰安  62.2〜128.4万ルピア
教育  70.3〜131.6万ルピア
ちなみに上を合計してみると、474.6〜636.3万ルピアで、平均値は555.45万ルピアとなる。どうやらそのあたりが、ミドルクラス一家庭当たりの平均的生活費のようだ。


「インドネシア商売ぼったくり理論」(2014年8月26日)
2014年1月30日付けコンパス紙への投書"Harga Makanan dan Minuman di Kereta Api"から
拝啓、編集部殿。わたしの母は去る1月3日にプルウォクルト発パサルスネン行きエアコンエコノミー列車クラカタウレラシ号に乗りました。飲食品をオファーする食堂クルーが回って来ませんので、母が食堂車へ行きました。
そこの職員は飲食品の価格表も見せず、また支払ったレジ伝票もくれませんでした。銘柄のまったく知られていないミネラルウオーター600mlは一瓶8千ルピア、カップ麺は一杯1万ルピアでした。車内の値段はどうしてそんなに高いの、と母が尋ねると、その職員は「わたしはただ販売しているだけで、値段を決めてるのはわたしじゃありません。」と答えたそうです。
わたしの兄の話では、エグゼキュティブクラスのアルゴドゥイパンガ号で似たようなものを買ったとき、600mlミネラルウオーターは4千ルピア、カップ麺は7千ルピアだったそうです。
国鉄は車内販売されている飲食品の価格を乗客に見やすい形で表示してください。[ 東ジャカルタ市在住、ディア・ファルダニ ]


「アイスクリーム消費が増加」(2014年8月29日)
ウオールズやマグナムなどのアイスクリームを生産しているユニリーバのアイスクリーム販売が20%も伸びており、インドネシア人のアイスクリーム消費が活発化していることをうかがわせている。インドネシア人の年間一人当たりアイスクリーム消費量は0.6リッターしかなく、トルコ人の5リッターと比べたら一割程度しかない。インドネシアのアイスクリーム市場は年間4兆ルピアと見られており、ユニリーバのシェアは15%とのこと。同社は昨年、販売網を6割強化しており、今年は4割増が目標とされている。販売増については、新しい味覚のフルーツ味をどんどん追加していく方針を立てているとのこと。


「インドネシアの消費者特性」(2014年9月18日)
今後15年間にインドネシア国内の消費者は8千万人増加し、それは全アセアン域内における増加の4割を占める。大きな新規マーケットを効率よく手中に収めようとするなら、インドネシアでの市場浸透が最優先条件であることは明らかで、インドネシア市場で成功するためにどうすればよいのかということの検討を重ねていかなければならない。グローバルビジネスコンサルタントの「ベイン & Co.」がグローバル市場に進出しようとしているMNCがこれから注目するべきポイントに関するリサーチ結果をまとめ、ジャカルタでレポート報告を行った。
インドネシア市場をつかむためには、その市場特性を把握しなければならない。インドネシアの消費者が示している特徴的な市場現象にはどのようなものがあるのか?インドネシアでは、アセアン域内諸国にくらべて消費者が買物を行う頻度が高いこと、また販売されている商品のサイズや入り数が小さいこと、特定ブランドへのロイヤルティは高くなく、商品の魅力や価格次第で容易に競合ブランドに移っていくこと、また品質や機能が本当にすぐれていれば、高額であっても購入すること、などがインドネシア人消費者の特性だとその報告には述べられている。


「二大中央市場の移転計画」(2014年11月13・14日)
人口稠密な首都ジャカルタの中の広大な敷地を占めて、都民の巨大な胃袋を支える米と生鮮野菜の中央市場がある。東ジャカルタ市チピナンの米中央市場と、やはり東ジャカルタ市クラマッジャティの青果中央市場だ。35年前のジャカルタは、中央ジャカルタ市と他の四市の中央ジャカルタ市に接する地域が都会であり、その四市の辺縁地域は郊外だった。ジャカルタの需要を満たす米や野菜などの農産物は、西ジャワ・中部ジャワ・東ジャワから送られてくる。東ジャカルタ市はそれらの産地からジャカルタに入ってくる表門にあたり、中央市場がそこに設けられるのは当然の成り行きだったのである。土地の余裕は十分にあり、交通量も少なく、問題は何一つ感じられなかった。しかしそんな時代は、今では昔の語り草になってしまった。都市化の波は四市のすべてを覆いつくし、その四市に接しているボデタベッ地域をもメガポリタンの中に呑み込んでいる。
ふたつの大型中央市場には、クーリーと呼ばれる荷担ぎ人足が三千人いる。荷を運んできたトラックから荷物をおろし、市場内の各売場に荷物を運ぶのがかれらの仕事だ。しかし、市場で行なわれている仕事はそればかりではない。こぼれた米を掃き集める仕事、果実野菜を選別したり販売される体裁に整える仕事、そしてさまざまな雑用。そんな仕事のためにもう二千人が中央市場で働いている。
そこで働くために登録やら管理やらといったややこしいことは何もない。ファミリーや同郷という縁を頼っていけば、簡単に仕事を得ることができる。北スマトラ州バタッ人のルキナル・シトゥモラン24歳は、クラマッジャティ市場の古株になっているシトゥモラン族の助けを乞い、上京してすぐにバワンメラの皮むきの仕事をもらった。一日15キロのバワンメラを売場に並べるのにふさわしい形に整える。日当は2万3千ルピア。ひと月70万ルピア足らずの報酬だが、金になることを手当たり次第やれば、月収はもっと大きくなる。支出の大半が食費であれば、クーリーの世界で十分に生きていける。そこは最下層社会なのであり、独身生活である限りわが身ひとつで生きていける世界になっている。公共エリアの中で暮らすことはかれらにとって、ごく自然な行動だと言えるにちがいない。
そういう下層労働者が5千人もいれば、かれらが生活のために必要とする物品サービスのビジネス需要が起こる。連鎖的な労働需要が作られるため、東ジャカルタ市はアーバナイゼーションの目的地にされてきた。東ジャカルタ市住民管理市民登録課のデータでは、去る7月のルバラン以降、市内10郡中の5郡で2千人近い上京者があったことが報告された。それは市の検問にかかった人数であり、検問を免れて都内に住み着いた人間の数はわからない。そうやって何千人もの上京者がやってきても、東ジャカルタ市のインフォーマルセクターにはそんな労働力を受け入れる能力が十分に備わっている。食べ物屋台を引いて住宅地を巡回する者があるなら、その者が商う商品を作ったり整えたりする仕事が発生する。工場で作られた飲み物を末端にまで流通させるビジネスも生じる。
そのふたつの大型中央市場を郊外部に移す計画がある。現状が首都の都市生活に不適切な負担をもたらしていることへの対策だ。社会問題・環境問題・ロジスティック配送が道路交通にもたらしている問題などが東ジャカルタ市とひいては首都ジャカルタの全体にかけている負担を年々増大させていることがその最大の理由なのである。都内のパサルを管理運営している都営会社PD Pasar Jayaによれば、大型中央市場はカラワンに移転するのが最善の解決策であり、都営不動産会社PT Jakarta Propertindoが用地買収の動きを開始しているとのこと。この移転に当たっては、現在の中央市場で働いているひとびとを丸ごと移す方針であるため、ニュータウン建設の様相を呈することになりそうだ。
今が満足できるレベルであるなら、既得権を好み現状への変化を好まない保守的な体質のインドネシア人の常で、中央市場内の商人たちはこの移転計画にあまりよい顔を示さない。なじみの顧客との縁が絶たれて、新たな顧客との関係が自分に不利益をもたらす可能性を嫌っているようだ。パサルジャヤは現在の中央市場利用者がカラワンへ足を延ばす方向で既成ビジネスが継続されるよう説得を行なっている。
中央市場が移転すれば、その跡地を大都市にふさわしく開発することによって社会問題と環境問題を軽減させ、そのエリア一帯に起こっていたロジスティック交通の集中が分散されるとともに、首都のゴミ処理にも負担の低下が起こる。都内のパサルが生み出しているゴミの量はひと月に7,425トンにのぼり、また生きた鶏をパサルで処理することが多いために、その廃棄物が川を汚している。都内の末端パサルでそのまま販売できる形のものがカラワンから配送されてくるようになれば、首都にさまざまなメリットをもたらすことになる、とパサルジャヤは説明している。


「インドネシア人はタイ製品が好き」(2014年12月8日)
外国産飲食品の輸入が増加している。かつては家庭内で作るおやつや飲み物あるいは近隣のパサルやワルンで売られているパッケージも商品名すらはっきりしないものを買うのが一般的だったインドネシア人のこの面におけるライフスタイルは、明らかに大変革をきたしている。テレビの宣伝広告に入れ替わり立ち代り登場する国産メーカーのお菓子類や飲み物は、住宅地内のミニマーケットどころか、ワルンでもパサルでも、あらゆるところで手に入るようになっているし、テレビには登場しない輸入品でさえ、スーパーやハイパーマーケットへ行けば輸入飲食品コーナーが用意されて並べられている。
ある飲食品輸入卸し会社の販売担当エグゼキュティブは、12年前にシンガポール・マレーシア・タイ・台湾・スリランカからさまざまな飲食製品を輸入して卸販売を開始したが、その中でタイ産商品の人気が高く、タイからはひと月20ftコンテナで3〜5本分を輸入するまでになった、と物語っている。特にタイ産ビーフンは人気が高く、他の商品よりも5〜6割輸入量が多い。これまでジャボデタベッ地区のモダンマーケットにタイ産ビーフンを卸してきたのに加えて、最近はパプアなどの地方部からも注文が来るようになった。「タイ政府の輸出促進活動がきわめて効果的であることに加えて、タイ食品の風味がインドネシア人の舌に合っていることが大きな要因になっていると思われる。」とかれは語っている。
韓国産物品を輸入している別の会社は、韓国産即席麺の売行きは絶好調だ、と言う。その会社の販売課長は、韓国産即席麺を毎月20ftコンテナ三本相当の6千6百カートン輸入しているそうだ。「韓国産即席麺購入者はKポップのファンであるという関連性がある。おかげで韓国製飲食品の販売は好調だ。」韓国の農林水産加工食品輸出企業の職員は、インドネシアに輸出している商品は2百種くらいある、と語る。アメリカ・日本・中国では韓国産品が大いに受け入れられているのだが、インドネシアでの普及率はまだ二割台に乗っていない、との同職員の談。工業省農産品総局長は外国産加工食品の輸入が増加の一途をたどっている現象について、ミドルクラスの増加に伴ってインドネシア人の食生活におけるライフスタイルが、生鮮素材を使うものからパック詰めの加工品に推移していることが原因だ、と分析している。輸入品の増加とともに国産メーカーの生産も年間9%という伸び率を示しており、市場の急激な膨張が国内外からの供給を増加させているという図式が見えてくる。国内製造産業セクターの中で飲食品加工産業がトップ成長を示していることから、国民の嗜好の変化が国内経済に大きな影響を及ぼしていることがわかる。そこで起こっている競争で国内産業が敗退するのを政府はもっとも警戒しなければならないわけで、そのためアセアン域内自由化の動きを踏まえながら、どのような政策を採っていくかが重要課題になっている。インドネシアへ製品を輸出している外国生産者にインドネシアへの生産シフトを促すといったことを含めて、国内産業振興と輸入減少という大目的を果たすための政策が今後増加していくにちがいない。


「非合法輸入品取扱業者を急襲」(2014年12月10日)
2014年11月28日、数人のグループが北ジャカルタ市プンジャリガン地区にある倉庫と商店を兼ねた建物の中に入って行った。店の看板などは何もなく、商品を保管する倉庫の機能のほうが大きい雰囲気だ。店の表には、配送のための小型ボックス車が2台待機している。
数人の私服のグループは店の責任者と話をしてから、店内にある商品をチェックして空のダンボールに移しはじめた。奥の倉庫に入って行った数人も、積上げられたダンボールの中味をチェックして、置場所を移動させている。そのひとびとは食品薬品監督庁首都ジャカルタ総館職員で、国内流通許可を得ていない飲食品化粧品の摘発にそこを訪れたのだ。
ひと月ほど前に市民からの訴えがあり、在来市場で販売されている国内流通許可のない違法輸入飲食品の出所を調べた食品薬品監督庁首都総館は、プンジャリガン地区にあるその倉庫店舗が怪しいことをつきとめ、ひと月間監視を続けた結果、違法商品を取扱っていることに間違いないとの確信を得た上で取調べのためにそこを訪れたのだ。
その店舗および流通倉庫業者の実態調査結果として、13種の違法輸入飲食品と2種類の違法輸入化粧品が取扱われていることが突き止められた。違法商品は全品没収され、将来的に廃棄処分が行なわれることになっている。
食品薬品監督庁は人体に摂取あるいは接触するすべての商品の安全性を保証するため、製品と工程の分析検査を行なって安全であることが確認された商品に国内流通を許可する番号を与えている。外国産品がたとえその国での安全検査をパスしていても、インドネシアの国法に従って検査された上で安全であることが保証されない限り、その商品は違法物品として扱われる。
その倉庫で見つかった品物の中には、食品薬品監督庁が与えるような流通承認番号がつけられているものもあったが、商品名や成分などをインドネシア語で記載したラベル添付がなされていないことから、いずれにせよ違法物品であるとの判断が下されている。生産者が架空の流通承認番号をパッケージに印刷するのはたやすいことだから、番号がついているということだけで合法と見なすことを職員たちはしない。
その倉庫兼商店の事業オーナーはそれらの違法物品について、インポーターのセールスマンが売り込みに来るので仕入れて在来パサルに卸しているだけであり、インポーターが商品を売りさばくための手伝いをしている立場でしかない、と述べている。食品薬品監督庁はその業者の事業合法性についての取調べまで行なうことにしている。事業許可や事業所在地の届出の有無および、それが有った場合の届出内容と実態の一致に関することまで、すべてが洗い出されることになる。更に、その事業者に商品を卸しているインポーターが誰で、それらのインポーターが非合法輸入品をどのようなルートで入手したのかということも、次に控えている取調べ活動のひとつだ。


「伝言ゲームに絶対勝てないインドネシア人」(2014年12月18日)
2014年9月2日付けコンパス紙への投書"Pesan Kue di Harvest Kebon Jeruk"から
拝啓、編集部殿。わたしは西ジャカルタ市クブンジュルッの高級ケーキショップ「ザハー○○ト」に2014年7月22日、ルバランバスケットを注文しました。親族にプレゼントするためです。品物は7月23日から25日までの間に指定住所に届けられるというショップ側の返事でした。
その親族はルバラン帰省する予定であり、帰省したらその家にはだれもいなくなるので、注文品の届け日は必ず7月25日までにしてほしい、とわたしは7月23日に念押しの電話をショップに入れました。
7月27日、ショップからわたし宛に電話が来ました。注文品を届けに行ったが、家にはだれもいない、という連絡です。だからわたしは念押しの電話を入れたのです。ところがこんな始末ではありませんか?わたしは落胆しました。ショップ側が受取人の電話番号を尋ねたので、わたしはそれを教えました。
そして注文品の届け日は最終的に8月3日ということで合意したのですが、ショップはまたしても約束を破ったのです。8月11日になっても、まだ届けられないままです。「ザハー○○ト」ほどの高級ケーキショップが持っているプロフェッショナリズムはまったく不似合いのものです。[ 西ジャカルタ市在住、エリヤ・フスナ・ヤニ ]


「15ヶ月でゴミになる大型テレビ」(2014年12月26日)
2014年10月18日付けコンパス紙への投書"Garansi Panasonic"から
拝啓、編集部殿。パナソニック製品は有名で高品質だということを信じて、2013年4月にスラバヤのギャラクシモールにあるハルトノエルクトロニックでパナソニックテレビヴィエラLED39インチを買いました。保証期間は12ヶ月でした。
2014年7月、保証期間が過ぎてわずか三ヵ月後に、テレビの画面がまったく映らなくなりました。わたしは購入した店の修理センターにテレビを持って行きました。修理センターで調べた結果によれば、テレビパネルが壊れており、その原因はまったくわからないとのことです。修理センター係員によれば、テレビパネルはたいへん高価格であり、わたしが買ったテレビの二倍くらいになるという話でした。そして入手に長い期間がかるとも。しかしこのテレビは買ってからわずか一年と三ヶ月しか使っていないので、修理には特別の配慮をしてほしい、とわたしは係員に頼みました。
それから三ヶ月くらい経過したある日、修理センターから連絡があり、ジャカルタからの回答を伝えて来ました。それによれば、壊れたテレビを下取りするので、同じ型のテレビを買うようにという話です。ところがなんと、下取り価格は100万ルピアだそうです。顧客に損をさせているのが明白なこの対応にわたしはまったく不満です。[ 東ジャワ州スラバヤ在住、ヤニ・スティアワティ ]


「客にクレームを諦めさせる方法」(2015年1月15日)
2014年10月9日付けコンパス紙への投書"Nasabah Korban Sistem Perbankan"から
拝啓、編集部殿。わたしはメガ=カルフルクレジットカードのオーナーです。2014年8月の請求書の中に、支払い遅延罰金と金利がそれぞれ130,997ルピア、77,394ルピアと記載されているのを見つけました。8月22日22時50分にわたしはメガ=カルフルのカスタマーサービスにこの件を確認するため電話しました。電話に出たのはディトさんでした。
支払期限日は2014年8月8日であり、わたしはその支払いを7月26日に済ませていることを説明しました。なのに、その請求システム側の間違い分を含めて、全額支払うようわたしは命じられたのです。ともかく、わたしは言われた通りにしました。
2014年9月9日、わたしはメガ銀行カスタマーサービスにこの問題を再度問い合わせました。そして、何もなされていないことがわかりました。ダヌさんは、翌月分の支払い請求から差し引かれると言いましたが、翌月分の請求書にそのような内容は一切ありませんでした。[ 西ジャワ州ボゴール県在住、バリギン・マヌルン ]
2014年11月13日付けコンパス紙に掲載されたメガ銀行からの回答
拝啓、編集部殿。バリギン・マヌルンさんからの2014年10月9日付けコンパス紙に掲載された投書について説明申し上げます。当方はご本人にコンタクトして、不快な体験をなさったことに謝罪いたしました。当方は必要とされていた処理を既に行ないました。ありがとうございました。[ メガ銀行企業秘書、ガトッ・アリス・ムナンダル ]


「目眩まし、それとも・・・?」(2015年2月6日)
2014年11月3日付けコンパス紙への投書"Samsung Galaxy di Erafone"から
拝啓、編集部殿。2014年10月2日、わたしはモールアンバサドルのエラフォンでサムスンギャラクシーS5を749万9千ルピアで購入しました。使い始めて二日後、スクリーンの左下にヘアライン状の傷があることにわたしは気付いたのです。わたしはそれをぶつけたり、手荒く扱ったり、落としたりというようなことを一度もしていません。
10月7日にわたしは東ジャカルタ市ITCチュンパカマスのサムスンサービスセンターへ行きました。応対したのはディ二・アリアンティさんでした。わたしはかの女に事情を話し、ボディを示してまだ完璧に無傷であることを説明しました。ましてやスクリーンは保護シートがかかっているのです。
ところが、かの女の説明にわたしは驚かされました。「保護シートは保証外になっています。」という言葉に・・・。[ 東ジャカルタ市在住、アフマッ・デディ・ステディ ]


「海外居住者は469万人」(2015年2月10日)
外国生活を送っているインドネシア人のコミュニティにインドネシア産品を供給することで輸出振興をはかろう、というアイデアを政府が打ち出した。特に故国の味覚をもたらす国産飲食品がそのマーケットセグメントの主力になるにちがいない。
商業省内国通商総局通商事業育成局長はその方針について、この方針を担う産業界の有力セクターはフランチャイズ業界と考えられることから、フランチャイズ業界の理解と協力を促す活動を既に進めており、中東・香港・シンガポール・台湾・マレーシアなど在住インドネシア人の多い国を目標に、展示会や通商ミッションの形でアプローチをはじめている、と説明した。
中東で行なわれたプロモーションで既に成果が感じられており、ドバイからは飲食品を主体にした13種の製品の受注がなされている。既にこの企画に参加している国内フランチャイズブランドはEs Teler 77, Bakmi Naga, Double Dipps, Alfamart, Excelso, Indomartなど15社あり、名前をあげた6ブランドはタイ、UAE、シンガポール、フィリピンに出店している。
商業省は384の中小事業をフランチャイズ化させる方向で支援しており、それらが国内でフランチャイズ化できた暁には、その次に国外に出て行くというルートがこれで作られることになる。
世界各国のインドネシア在外公館はその国に居住しているインドネシア人の人数を外務省に報告しており、商業省が外務省から得たデータによれば、インドネシア人在外居住者は469万人に上っている。その6割が海外出稼ぎ者だ。その大きな市場がインドネシア産飲食品に対して持っている需要は決して小さいものではない。出先国の輸入者が国内販売網を拡大できるかどうかがその鍵を握ることになりそうだ。


「持続する'消費者はカモ'姿勢」(2015年2月20日)
客との駆け引きを通して客に金を払わせようとするタワルムナワル精神がいまだに消費者を対象にするビジネスの大きい部分を覆っている。銀行・金融・保険などのビジネスでは、契約書の内容、特に客側に不利になる内容に関する説明を避ける傾向が依然として強く、スピーディに客にサインさせることがセールスマンの重要なテクニックと見られているのが実態だ。セールスマンにとっては自分の成績イコール収入だから、成績つまり消費者との成約件数を口八丁で高めることが最大の目標になり、そのための戦術戦略を駆使するようになる。会社の評判や、苦情処理部門への配慮のために自分の収入を減らそうとする心理はミニマイズされ、苦情処理部門はそういう実情を知っているから苦情を抑圧しようとする。結果的に会社のバッドガバナンスにつながっていくということだが、社会全体の傾向がそのようになっているのだからバッドガバナンスが先進国並みのレベルに改善されるにはまず人間の精神傾向と業務メカニズムを変えて行かなければならず、一朝一夕にどうこうなるものでもない。
結果的に、問題が起こったときに消費者側に苦情が発生することになる。2014年に消費者保護財団が受けた銀行関連の苦情届出は210件で、2013年の192件から上昇した。これは消費者苦情件数のトップだ。次いで金融セクター関連苦情では保険関連が2013年の48件から2014年は53件に増えて全体の第7位、自動車購入ローンは41件から56件に増えて全体の第9位になっている。
銀行関連苦情の明細を見ると、クレジットカード・ATM・ローン・預貯金・電子キャッシュカードといった順番で、クレジットカード関連では請求金額の異常・クレジットカードフロード・デットコレクターの振舞いといった順位。請求金額異常についての苦情は、苦情主の支払い能力問題と苦情主の意図に反して保険料金などの自動振替が行なわれたことに対する問題という、二種類の性質が見出される。
保険関連については、クレームのリジェクトに対するものが多い。自動車ローンについては、自動車を強制的に取り上げられた消費者からの苦情が目立つ。
消費者保護財団はそれらの苦情に関して企業に説明を求め、それを苦情主に伝えているが、そのプロセスの中で感じられるのは、消費者の理解がたいへん薄い、言い換えるなら、企業側が消費者に十分な説明を与えていないという情況だ、と消費者保護財団運営責任者は述べている。
「販売される製品に関する詳細な知識を消費者に与えなければならない。抗議や係争の発端は消費者の無知であることが多く、そして販売者はそれを利用してビジネスを行なっている。このような状況を改善させるためには、シンガポールのような消費者サービスを使命とする第三者機関の設立が不可欠だ。消費者が販売者に何を尋ねようが、成約を目指す販売者は消費者の耳に嫌なことを言うわけがない。消費者から相談を受ける第三者機関は、そういう利害を離れた視点からフェアな情報と知識を消費者に与えることができる。当方は既に金融サービスオーソリティに対して第三者機関の設立を提言している。」
インドネシア銀行と金融サービスオーソリティは、国民の金融機関利用を向上させて市中での現金流通を減らすことを目的に種々の政策を実施している。特に行政が行なっている住民管理サービスは不法徴収金がついて回っているのが腐敗大国インドネシアの実態であり、現金支払いを減らすことは腐敗体質の清浄化を促進させるものだ。また汚職や犯罪で得た資金のロンダリングも現金で行なわれる傾向が高いことから、5億ルピアを超える現金取引を禁止しようとしている。
金融機関を利用するインドネシア国民はまだ6割程度であり、そして金融機関が取扱っている金融サービス商品について正しい知識を持っているのは5人にひとりというサーベイ結果がある。


「ロンボッの真珠ハウス」(2015年3月30日)
西ヌサトゥンガラ州庁は中央政府の支援を得て、中部ロンボッ県に真珠ビジネス振興基地として真珠ハウス(Rumah Mutiara)を設けた。この企画は、ロンボッ島がインドネシアの真珠生産業界最大手センターのひとつであることに鑑みて、地元真珠の展示販売や競売のためのベース基地を設けて全国的な真珠ビジネスの活発化を促進させようという目論みから行なわれたもので、2014年2月19日に海洋漁業相がオープニング式典のテープを切った。
ところが、鳴り物入りでオープンしたというのに、訪問客は滅多になく、無料で展示販売スペースをもらった14の真珠業者も櫛の歯を引くように開店休業や撤退が続出し、今ではわずか2業者だけが毎日ビジネス活動を行なっているにすぎない。6業者は撤退し、6業者はスペースを維持しているものの店員がひとりもいないというありさまになっている。訪問客が少ないことは営業時間を短くする結果を生み、悪循環に陥っていくのが普通だ。現在、真珠の家の営業時間は午前9時から午後4時までとなっている。
業者によれば、真珠ハウスがオープンしてからやってきた団体客はたった一組で、しかも国会議員の視察として行なわれたものだったそうだ。他にも、中東のある国の大使ご一行が訪れている。しかし一般消費者の団体はやってきたことがないそうだ。
業者たちは「地の利が悪い」と状況を分析している。場所は中部ロンボッ県のロンボッ新国際空港からマタラム市に向かう道路沿いでおよそ1キロ離れた地点にあり、マタラム市からそこまでは自動車で1時間かかる。真珠業者はみんなマタラム市で営業しており、既に真珠のビジネスセンターになっているマタラム市から遠い場所に新たなセンターを設けるのは、そこへの集客が確保されなければ業者もそこへやってくる意味がないということになる。
集客の末端現場を支えているのは観光ガイドを中心にする観光業者なのだが、ロンボッ島の観光業界は土産物店に観光客を案内したときの謝礼を高めに要求しており、これまでも州庁観光局がその間の調停をしなければ観光振興がおかしくなるような対立構図が作られてきた。真珠業者が観光業者に観光客を連れてきてもらうという流れが作られないのは、連れてきた観光客から店が得た売上の3〜4割を謝礼とするよう観光業者が要求しているからだ。
もうひとつは行政によるプロモーションがまったく行なわれていないことで、ロンボッ新国際空港ですら、真珠の家の宣伝は皆無だ。
西ヌサトゥンガラ州海洋漁業局長は、真珠の家は単なる展示販売場所としてのみならず、真珠に関する知識や教育振興の場としての機能も持たせることになっており、社会的な広報告知はこれからの課題だ、と述べている。


「メーカー公認ベンケルですら、こんなもの」(2015年5月21日)
2015年1月6日付けコンパス紙への投書"Pengalaman Buruk Servis di Bengkel"から
拝啓、編集部殿。2014年12月15日にわたしは自分のホンダオートバイスプラフィットを南ジャカルタ市スポモ教授通りのホンダ公認ベンケル「ティムールジャヤモトル」へサービスのために持ち込みました。
サービスを終えて自宅に持ち帰った翌朝、オートバイの潤滑油が洩れてたいへんな状態になっているのにわたしは驚きました。ベンケルに持ち込む前はなんともなかったのです。わたしはベンケルを再度訪れて、調べてくれと頼みました。ベンケル側が処理を終えたので自宅に持ち帰り、翌朝見たら、また激しい油洩れになっています。
南ジャカルタ市パサルミング地区の別のホンダ公認ベンケルで調べてもらったところ、ボルトの締め方が正しく行なわれなかったのが原因であり、潤滑油ブロックを交換しなければならない、と言われました。
それでわたしは18日にティムールジャヤモトルを再度訪れて対応処置を指示し、ベンケルにオートバイを取りに戻ったとき、67万5千ルピアの請求書を渡されてびっくりしました。ベンケル側はまったく責任を認めず、ボルト絞めの個所が腐食していたのだと言うだけです。
わたしのオートバイは購入してからこれまで、定期サ−ビスを必ずホンダ公認ベンケルで受けてきました。ホンダオートバイ公認ベンケルのクオリティ保証はいったいどうなっているのですか?サービスクオリティが保証されないために、消費者は損失を蒙っています。[ 東ジャカルタ市在住、マイケル・アグスティヌス ]


「焦付き電話番号は月間1千2百万件」(2015年6月2日)
インドネシア国内では、毎月1千万から1千2百万枚の携帯電話用SIMカードが使われなくなっている。その中には、電話番号をころころと変える者が古い番号を捨てるために起こっているケースがあるが、SIMカード卸業者がノルマをクリヤーしてインセンティブを獲得するために行なっているものも含まれている。インドサット社CEOはそれに関して、アクティブになっているSIMカードの15%程度が一年間に使われなくなっており、卸業者がインセンティブを得るために販売前のカードをアクティブにしてそのまま焦げ付かせているものは8%に達している、との私見を討論会の中で表明した。SIMカードは一枚当たり1.5〜2米ドルのレンジにあり、逸脱した取扱によって不適切なコストが発生しているのは言うまでもない。
インドサット社の携帯電話番号利用者は6,320万人で、その大半がプリペイド顧客になっている。本来のシステムから逸脱している卸業者の行為についてCEOは、新たにアクティブにされた電話番号の使用者アイデンティティ登録をもっと厳格に実施することで卸業者の行為は抑制される、と提案している。


「典型的無責任」(2015年6月10日)
2015年1月27日付けコンパス紙への投書"Membeli Mobil Bekas di Bogor"から
拝啓、編集部殿。2014年9月にわたしはボゴールのPT K88マルチファイナンスの支店で中古四輪車を購入しました。価格交渉の末に合意した金額をわたしは現金で支払いましたが、受領証は販売員Fさんがサインした普通の紙切れで、会社の正式領収書はもらえません。名義変更されたBPKBは14労働日の後という約束でした。
ところがひと月経過しても、BPKBはもらえません。わたしがその店に様子を尋ねに行くと、店の販売員はみんな「もう少し待つように」と言うばかりで、どの部門のせいだ、誰が悪い、という責任のなすりあいです。支店長に会わせてくれと頼んでも、みんながそれを遮ろうとします。携帯電話番号すら教えてくれません。
わたしが執拗に問い合わせを続けたので、かれらも仕方なく内情を洩らしました。それによると、その中古車の価格は合意されたような金額ではなく、もっと高額なものだったのだそうです。それがために、この支店は本店に販売実績を上げることができず、処理は何も進まない状態に陥っていたということでした。販売員たちは、既に支出した経費を加えてその車を買い戻すから、とわたしに約束しました。
2014年11月、買戻しがなされてお金がわたしの口座に入りましたが、その金額はわたしが支払った金額の半分にも満たないものでした。それで納得できるものではありません。しかしその後、店側からはなしのつぶてで、払戻しをどうするのかは曖昧なままです。支店長はまったく誠意を欠いており、自分でわたしの側に対面することをせず、部下にすべてを押し付けているようです。[ 西ジャワ州ボゴール市在住、テオドルス・ダニエル ]


「家庭消費がダウン」(2015年6月23日)
2015年1〜4月の家庭消費が対前年同期比でマイナス傾向を強めていることをカンターワールドパネルインドネシア(KWI)が明らかにした。そこでは、いわゆる足の速い消費物資の買物頻度の動向が測定されており、消費支出金額ということでは決してない。
2015年のその期間は対前年同期比が8%減で、2014年のその期間は対前年同期比が3%ダウンというのが前年の報告数値だ。下降傾向は2013年から始まっていたが、8%の低下というのは従来にない激しさであるとKWIのGMはコメントしている。
インドネシア国内市場で有力な足の速い消費物資440ブランド製品に対する一般家庭の購入頻度というのがこの統計調査の内容で、全国5,680家庭が調査対象となり、86%が都市部14%が地方部という内訳になっている。各家庭の購買支出金額はまちまちで、高所得家庭から下は月間支出金額が85万ルピアに満たない家庭も含まれている。
上位10ブランド中で2013年実績を上回ったブランドはふたつしかなく、他は軒並み2013年よりもダウンした。もちろん二年間で0.6%しか下がっていないものもあれば、13.3%ダウンしたものもある。とはいえ、全体的に見るなら、全440ブランド中の53%にあたる239ブランドは購入頻度が増加しており、頻度がダウンしたものは半分を切っているのだが。
KWIのGMが語ったところによれば、都市部住民はこれまでと同じように足の速い消費物資の購入を行なっているが、買う商品は本当に必要になっているものに絞られており、余分に買って買い置きしようという傾向が顕著に低下しているとのこと。それでも、2015年の国内消費動向は前年実績を下回ることはなく、小さいながらも消費の伸びは継続するだろう、ともGMはコメントしている。
インドネシア小売業者協会事務局長は国内の消費動向に関して、2015年1〜4月の小売販売実績はトータルで減少している、と語る。「小売を含めた経済界のダウンは5〜8%にものぼり、厳しさが強く実感されている。消費者は食品食材等の基幹生活物資購入に支出を集中させる傾向を示しており、計画外出費は避けられている。事業者は消費を煽るためにサプライヤーと共同で販促を打ったり、あるいはクレジットカード使用を誘導するために銀行と共同で販促を行なう傾向が高まっている。」
これからラマダン〜ルバランという国家消費経済が伸び上がる時期に差し掛かるため、おのずと市場は活況を呈することになるだろうが、その山を越えたあとに何がやってくるのか、そこが2015年国内経済の正念場となるにちがいない。


「大型冷蔵庫も使い捨て商品?!」(2015年6月23日)
2015年1月31日付けコンパス紙への投書"Purnajual Kulkas"から
拝啓、編集部殿。2011年にわたしが買ったLGブランド冷蔵庫が2012年に故障しました。庫内は冷たくならず、また製氷もできません。南ジャカルタ市パンリマポリムのLGサービスマンに見てもらったところ、「部品がない」と言われました。2013年にわたしは再度、14041番に電話しました。
何度も執拗に電話したので、2014年11月10日にやっとサービスマンがやってきました。そしてやはり、部品が用意できるのを待つという話になりました。その月20日に14041番からSMSがあり、部品が到着したのでサービスマンとアポを取るようにと指示されました。
サービスマンがわたしの冷蔵庫を処置してくれましたが、庫内が冷えず、製氷できなかった状態とは打って変わり、その冷蔵庫はまったく動かなくなったのです。わたしはそのことを素晴らしい宣伝で埋め尽くされているLGのフェイスブックインボックスに書き込み、問題の経緯を尋ねられたのでそれに答えました。今はもう2015年ですが、その後のLG側の反応はまったく何もありません。
[ 南ジャカルタ市クバヨランバル在住、ドリー・プラメスワリ ]


「不安の強まる国内経済」(2015年6月24日)
国際市場で商品価格が落ち込んでいるためスマトラとカリマンタンの経済が悪化の度合いを強めており、その影響が徐々にジャワ島に波及しはじめている。
2015年4月、銀行界の貸付金伸び率は対前年同月比で10.3%に低下し、前月の11.1%を下回った。中銀副総裁はそれを、国内経済の鈍化を示すバロメータだとコメントした。その鈍化は主にスマトラやカリマンタンでの国際商品経済の悪化に負うものであり、ジャワ島は金融や大企業あるいは諸製造業のおかげで経済状況は維持されているように見えるが、貸付金が停滞し、諸製品の需要が外島部で低下してくれば、ジャワ島に経済悪化の風がもろに吹き付けてくるようになるのは時間の問題だ、と副総裁は見解を表明した。
中銀は5月に動産不動産取得ローンのLTV(ローン資産価値比率)上限を現在の70〜80%から90%に引き上げる意向を表明していたが、その実施はいまや火急の問題となって迫ってきている。ただし銀行界の第三者資金総額の伸びも下降しはじめており、2015年4月の伸び率は14.5%で3月の16.3%から低下した。ともあれ、その中銀から金融界への緩和方針に合わせて政府がインフラ建設予算支出を活発化させることで国家経済の沈滞に活を入れようと中銀は期待しており、政府への勧告が強められることになりそう。
しかし国内銀行界は既に貸付残高の停滞状況にあわせた経営方針の手直しに取り掛かっており、依然として収益の大黒柱になっている金利収入の確保をはかるために利率のスプレッドを広げようとしている、と経済オブザーバーは指摘している。スプレッドが広げられれば、貸付金利率は上昇し、第三者預金金利率は低下する。資金集めは困難になり、ローン勧誘も金利率に大きい差がある海外ローンとの競争に困難さが増す。国内ローン需要がどんどん国外に流出するようなれば、国内の外貨需要は更に増大してルピアレートをますます低下させていく。ルピアレートの下降は国内製造産業の製品コストを上昇させ、価格競争力を失わせていく。その構造的悪循環を政府と中銀はどう断ち切っていくのだろうか?


「インドネシア最大の自動車ショー」(2015年8月19日)
毎年恒例のインドネシア国際モーターショー(IIMS)が開催される。開催場所は今年も中央ジャカルタ市クマヨランのJIExpoで、2015年8月20日から30日まで11日間の開催。JIExpoはジャカルタフェアーの会場として利用されている場所で、旧クマヨラン空港跡地に設けられているため公共運送機関の定期運行路線がなく、主催者が入場者動員に頭を悩ませる場所でもある。ジャカルタフェアーでも行なわれているように、IIMSも都内要所と会場を結ぶ無料シャトルバスを運行させる計画。都内要所とは次の各所。
Central Park, Seasons City, Pejaten Village, Pondok Indah Mall, Kemang Village, Grand Indonesia, Plaza Semanggi, Mall Glodok Kemayoran, Mall Kelapa Gading, Mall Artha Gading, Baywalk Mall, Tamini Square, Mal Metropolitan Bekasi, Grand Mal Mekasi, Teras Kota.
このJIExpoで開催されるIIMSとは別に、GAIKINDO(インドネシア自動車産業連盟)がガイキンドインドネシア国際オートショー(GIIAS)を南タングラン市BSDシティのIndonesia Convention Exhibitionで開催する。IIMSだけに参加するメーカー、GIIASだけに参加するメーカー、そして両方に参加するメーカーと、内容はまちまちになる。
IIMSには次のようなブランドが出展する。
四輪車:Toyota, Honda, Vokswagen, Nissan, KIA, Mercedez Benz, Land Rover, Jaguar, Jeep, Alfa Romeo, Chrysler, Fiat.
二輪車:Yamaha, Honda, KTM, Piaggio, Harley Davidson.
バレンティーノ・ロッシやホルヘ・?ロレンソの乗ったYZR−M1が展示されることになっており、既に好事家の関心を集めている。
一方、GIIASに参加するブランドは次のようなところ。
Audi, BMW, Chevrolet, Daihatsu, Datsun, Ford, Honda, Hyundai, Isuzu, Jaguar, Land Rover, Lexus, Mazda, Mercedez Benz, Renault, Mini, Mitsubishi, Nissan, Smart, Suzuki, Tata, Toyota, Volkswagen, Porsche, FAW, Fuso, Hino, Maxus, Iveco, UD Trucks.
GIIAS会場への都内からの無料シャトルバス運行も行なわれることになっている。
IIMSもGIIASも入場は有料で、初日のVIPデーはひとり10万ルピア、月〜木4万ルピア、金〜日6万ルピアで、三歳以下と65歳以上の人のみ入場無料となっている。


「時々起こる無責任」(2015年8月24日)
2015年3月4日付けコンパス紙への投書"Valet Parking Botani Square"から
拝啓、編集部殿。西ジャワ州ボゴールのボタニースクエアモールで、2015年2月19日にわたしはバレットパーキングサービスを利用しました。そのほうが駐車が楽だと思ったからです。ところが結果はその正反対で、とんでもない苦労をさせられました。
帰ろうとして、わたしの車を持ってきてもらうよう依頼したところ、なんと車のキーがなくなっていたのです。困惑しきった係員はキーをあちこち探し回りましたが、見つかりません。わたしが苦情を言い始めたら、係員はひとりずつわたしから離れていき、わたしの相手をする者がひとりもいなくなりました。それでわたしは、スーパーバイザーを呼ぶよう求めたのです。
かなり時間を経過してから、最終的にキーは見つかりました。わたしの車のキーはなんと、別の客の車内にあったのです。何と危険な話ではありませんか?こんなことでは、車のキーがなくなるだけでなく、車自体がなくなっても不思議ではないでしょう。[ 西ジャワ州ボゴール市在住、チャヒヤディ ]


「広宣費支出は微増」(2015年8月26日)
2015年上半期の広告宣伝費支出高は4%成長だったことをニールセンインドネシアが報告した。ニールセン広告情報センターが行なっている広宣費支出調査は、14の民放TV局・101の新聞・133の雑誌とタブロイドを対象にして行なわれている。
この上半期で広宣費支出がもっとも増加したのはクレテッタバコで、前年同期実績から7,350億ルピア増加した。また、traveloka.com、tokopedia.com、blibli.comなどのオンラインネットサイトサービスのTVなどへの広宣費支出が3,530億ルピア増えている。traveloka.comに至っては、前年同期から28倍も増加しているありさまだ。
2015年Q2は15年Q1から6%アップした。Q1の対前期上昇率は1%でしかない。この大きな差は広宣媒体が料金をアップしたことの影響が強く反映されている。料金アップに応じて広宣主は広告宣伝活動をメディアから催事スポンサーに移す傾向が現われているとのこと。
2015年Q1・Q2の広宣費支出がまだ成長を示しているとはいえ、その伸びは過去10年間で最低のレベルになっている。2014年Q2の成長率は12%、2013年25%、2012年22%などと比較するなら、広宣費支出に不況が訪れている実態がよくわかるだろう。その中で気を吐いているのがオンラインネットサービスの伸びであり、それはスマートフォンの使用とインターネットの普及が下支えしているものだ。広告宣伝業界者モバイルオペラメディアワークスによれば、インドネシアのスマートフォン普及は2013年から545%という成長率を示していて、インド・ベトナム・フィリピンと肩を並べているとのこと。


「水を使わせないようにする水道会社」(2015年8月27日)
2015年3月13日付けコンパス紙への投書"Air Palyja Kecil"から
拝啓、編集部殿。わたしはタンジュンドゥレンスラタンに住むパリジャの利用者で、顧客番号は000283354番です。ずっと以前から、水の出はチョロチョロで、時にはまったく水が止まってしまいます。パリジャにはこの苦情をSMSやeメールで伝えていますが、返事は何ひとつありません。カスタマーサービスに何度か電話してみましたが、そのたびに修理中だという返事を聞かされています。現実に、修理など終わっているはずなのに、水の出はあいかわらずチョロチョロで、変化はありません。
水道料金の支払いが遅れたら顧客に罰金を科すのを常としているパリジャだというのに、自分の義務の遂行はいったいどうなっているのですか?[ 西ジャカルタ市タンジュンドゥレンスラタン在住、アセップ・ストレスナ ]


「気を吐くタイチー産スマホ」(2015年9月2・3日)
ルピア安のために市場で電子機器が値上がりしている。元の価格から2割くらい値上がりしているものはざらだ。ジャカルタでの小売価格が、デジカメやノートパソコンで20〜50万ルピア上がっている。
マンガドウアの電子機器・アクセサリー・部品マーケットに店を構えているPC KITA のオーナーは、台湾製ノートパソコンが440万から460万ルピアに上がっていると語る。「これは新入荷ストックで数が限られているのだが、需要が大きい。だから次の商品を入荷するために、売値は引き上げなきゃならない。値上げしているのは、主に新入荷品だ。以前からのストックは値上げしていない。新入荷商品はディストリビュータがルピアレート変動に沿って値上げしてくるから、今手元にある商品は値上げして売らないと次のストックを仕入れられなくなる。」
グロドッの電器製品マーケットにある電器店MERDEKAオーナーは、デジカメの中でブランドと型番によるが50万ルピア値上げしたものがある、と言う。元の価格710万ルピアを去る7月はじめに760万に変更したそうだ。
ルピアレートが安定しないまま、ずるずると低下を続けている。その状況に従って卸価格が不安定になっている。電子機器を買おうとして上のようなジャカルタの専門店街を訪れた消費者の多くも、お目当ての品物が値上がりしているのを知って購入をためらっている。安定すれば選択の余地はなくなるのだが、不安定な時期に慌てて買うのが無駄使いにつながらないだろうかという不安を抱くにちがいない。ルピアレートの変動による小売価格上昇なのだから、レートが復旧すれば価格も元のレベルに近いところへ戻るのではないかという一縷の望みを抱くひともいるのだ。
どうしても必要な物なら、2割の値上がりなどものかわと、逡巡も見せずに買っていくひともいるし、2割の値上がりにがっかりして購入を先延ばしするひともいる。そんな中で、中国と台湾産の携帯電話機が売りに売れている。小売レベルで30〜50%売上が増加しているそうだ。インドネシア人は中国製や台湾製というように区別せず、「タイチー」とそれらをひとまとめにして呼んでいる。「台湾(TAIwan)と中国(CHIna)」略して「TAICHI」だそうだ。
携帯電話機販売市場で中級から高額商品は売上が低迷しているというのに、中国産の廉価スマートフォンは引く手あまたの状態。市場で人気高の中国産ブランドは、OnePlus, BenQ, Infinite, OPPO, Huawei, Xiaomi などだそうだ。そして今度はMeizu M2 Note がインドネシアで激しい売込みをかけている。2014年Q4にXiaomi とHuawei が世界販売台数のトップファイブに入ったことが、話題をさらったのはまだ記憶に新しい。
タイチー携帯電話機をメインに販売している小売店オーナーは、普段ひと月に25台程度売れているだけだったのに、最近は35台のレベルに上り、15年7月には40台売れた、と顔をほころばせる。「売上はひと月2千2百万ルピアだったのに、今じゃ3千2百万ルピアに増えている。最初はラマダン月の一週間くらい前から売行きが好調になり、ルバランを越えたというのに、いまだにそのペースが落ちていない。Lenovo とXiaomi の需要が大きいね。」
別の店の販売員も、一日の販売台数が30から50にアップしている、と語る。「値段はだいたい3百万ルピアを超えないレベルね。Xiomi が一番よく売れてます。前は中国ブランドのストックをあまり持たなかったのに、今じゃ中国ブランドのストックだけで60台くらいに増えてるのよ。販売価格は市場の実勢に合わせなきゃいけないので世間相場につけてるけど、モノは決して安物じゃないですよ。以前売れていたグローバルブランドとあまり遜色のないクオリティになってます。」
パルメラ市場で携帯電話機の売場を営んでいるオーナーは、一日の販売台数が3台から5〜7台にアップしていると語る。売れているのは中国ブランド。それにしたがって売上も1千7百万ルピアから2千6百万に増えている。その売場でスマートフォンを買っていく消費者の中に、建築労働者が目立つそうだ。
オンライン販売でも、同じ傾向が顕著になっている。ビンネカ.コムのCEOは2ヶ月で1千台の中国ブランド携帯電話機が売れたが、その四分の一はXiaomi だ、と述べている。このサイトでは、あらゆるブランドのスマートフォンがオファーされていて、月間販売台数は4千台にのぼる。中国ブランドの目覚しい伸びが停滞しているマーケットに活を入れてくれることを切実に希望している、とかれは語っている。
インドネシアの携帯電話機輸入状況は、2014年の総数が5千4百万台だったが、2015年上半期は1千7百万台と報告された。そのうちの4割がタイチー産だ。四〜五年前の、「便利そうなガジェットが山盛りで廉いが、すぐに壊れる玩具まがい」という中国産携帯電話機のイメージは、今や払拭されつつある。生産者は優れた情報通信機器をグローバル市場に送り出すことを決意して続々と開発と生産に力を注ぐようになったようだ。国際市場の消費者がそれぞれの階層で何を望んでいるのか、それを捉えることも忘れていない。タイチーのグローバル経済覇権戦略がスマートフォン分野を超えて今後どのように進められていくのか、目が離せないところだ。


「ソーシャルメディアアカウントを売買」(2015年9月4日)
商品の販売促進に今やインターネットのソーシャルメディアを使うのは常識。新たにアントレプルヌールになったひとが、商品を宣伝するのにソーシャルメディアを使おうと考える。しかし一介の自分が新たにアカウントを設けて宣伝しても、どれだけのひとが見てくれるだろうか?フォロワーを千人万人に増やすにはどうすればよいのだろうか?
手っ取り早いのは、既にたくさんのフォロワーを持っているアカウントを手に入れることだ。そういう需要が起これば、必ず供給者が現れるのがインドネシア。こうして、インドネシアではソーシャルメディアアカウントの売買が活発に行なわれるようになった。ツイッターやインスタグラムに「アカウント売ります」の文字が踊っている。
メディアの種類とフォロワーの数次第で、お値段は60万ルピアから600万までバラエティに富む。購入経験者によれば、かれはフォロワー6百人のツイッターアカウントを60万ルピアで買ったあと、コンテンツを整理してからアカウント名を屋号に変えた。そして、待望の注文がどんどん入ってくるようになったそうだ。
たいていのメディアは個人同士で売買しているが、あるメディアにはどうやら会社方式でそれを行なっているページがある。なにしろ価格表があるのだから。ネット販売をこころざすひとびとは依然として、ツイッター・フェイスブック・ブラックベリーメッセンジャー・インスタグラムを利用するのが王道だと信じている。
アカウント売買は昔から世界中で行なわれてきた。グーグルで探ってみても、アカウント売買の是非を議論するページが2009年の日付で出てくる。しかし売買の当事者たちはあまり表面に出たがらず、深く静かに潜航して実質的にビジネスを行なっているというわけだ。
最初は企業がまだソーシャルメディアに乗り出してこないとき、目先の利く者がこれぞと思う多国籍企業の名前でアカウントを作り、その企業が買いに来るのを待った。著名な個人の名前でアカウントを作る者もいたが、これは半分おふざけだ。インドネシアでも同様だった。
インスタグラムが浸透してから、この現象が一層活発化した。その一方で、eコマースに加わって商売しようとする者が増加の一途をたどり、需要は膨れ上がっていく。自分でアカウントを作ってゼロからはじめてもよいが、フォロワーをたくさん作るには長い年月がかかる。十分なフォロワーが付いているアカウントを買い取るほうが、はるかに手っ取り早い。プロセスはできるかぎりインスタントなものにして早く結果に到達するのが最高善という文化のひとびとには、アカウント売買への心理的抵抗はあまりない。
「アカウントを商品にするのは倫理的にまともなことなのか?」という議論が必然的に出現した。知己だから、利害が共通だから、リスペクトしているから、そういった理由でフォロワーになったひとびとをアカウントと共に売り渡すのがはたしてまともなことなのだろうか、とアンドレアス・マルヨト氏は問うのである。あるアカウントのフォロワーになったのに、ある日突然その名前が変わり、感じていた共通性も失われてしまう。アカウント購入者は旧オーナーのフォロワーたちを自分のフォロワーだと言う権利があるのだろうか?
確かに、そのようなことを気にかけるひとは、そんな状況に陥るのを避けて、非パーソナルで休眠中のアカウントを購入する。コミティーや催事のアカウントなら、フォロワーとアカウント者の心理的な結びつきは弱い。
もうひとつ気にしなければならないのは、メディアのサービス条件だ。このアカウント売買に法執行者はまだ目を向けていない。もちろん、アカウントが恐喝や名誉毀損といった犯罪行為に使われれば話はちがうのだが、売買そのものをどうこうしようという話はまだ出されていない。アカウント売買は今後もまだまだ拡大していくにちがいない。


「セールスとは詐欺の弟分」(2015年9月9日)
2015年3月27日付けコンパス紙への投書"Tawaran Asuransi Ibu 70 Tahun"から
拝啓、編集部殿。70歳になる母が北ジャカルタ市プルイッのカルフルで2014年2月に買物したとき、レジを抜けた母の行く手をメガ生命保険セールスが保険製品をオファーするために遮りました。70歳の老人の新規生保加入を受け入れてくれる保険会社は他にないので、母はそのオファーに乗りました。
わたしはメガ保険会社のイルルさんにコンタクトして、保険証書が間違いなく母の名前になっていることを確認するため、証書を見せてもらいました。そのとき、保険加入者が間違いなく母になっていることが確認できましたが、わたしはメガグループの名前を信用して、条件等の証書内容をチェックすることを怠ってしまったのです。
2015年2月、母の保険を延長するためにわたしは南ジャカルタ市テンデアン大尉通りにあるメガ銀行タワーを訪れました。受付担当者はメガさんでした。そのとき母の生保証書を読んだわたしは、その内容に驚いてしまいました。それは生命保険ではなかったのです。
それは事故損害保険であり、しかも馬鹿げたことに、保険証書は母名義で作られていますが被保険者としてわたしの名前が書かれていたのです。メガ保険からわたしへの確認のコンタクトは一度もありませんでした。メガ保険はわたしへの付保の承認プロセスをいったいどうしたのでしょうか?保険セールスの口車に決して乗せられないよう、皆さん警戒して下さい。[ 北ジャカルタ市タンジュンプリウッ在住、サリップ ]


「無礼社会で侮辱事故」(2015年9月24日)
2015年3月24日付けコンパス紙への投書"Dipermalukan"から
拝啓、編集部殿。15年2月20日(金)19時、わたしはマカッサルのハイパーマートパナックカン店で買物し、支払いを済ませてから購入品を袋に入れていました。すると警備員が近寄ってきて、わたしの買物品は問題があるので持ち出せない、と言います。しかし、わたしは表示されている通りの金額をレジで支払っているのです。
すると、やってきた男性ふたりが強く横柄な口調でわたしに話しかけてきました。わたしの買物品を取り上げると、「支払った金額を返します」と言いました。腑に落ちない間違いが価格にある、と言うのです。わたしは、「それを取り上げるならどうぞ。でもお金は返してくれなくてかまいません」と応じました。ちょっとの間、論争が続きましたが、結局かれらは折れて出て、わたしに買物品を返しながら従業員のひとりを呼び、その従業員に叱責と弁償しろというようなことを言っていました。
わたしに対してはそれっきりで、大勢の他の買物客の前でさらし者にされたわたしに対する謝罪も何ひとつありませんでした。[ マカッサル市グヌンサリ在住、ダニエル・ルディ ]


「非合法化粧品の必然性」(2015年11月16・17日)
西ジャカルタ市のパサルアセムカは化粧品センターだ。パサル内の売店には、頭のてっぺんからつま先まで、身体のお手入れのための商品が山をなしている。ここには多種雑多な商品が集まってくるためたいていの品物が確実に手に入ることのほか、価格も他所より廉価なため人気が高い。商品の中には、通常価格でさえ他の場所より一個で5千ルピアも差がついているものもある。
ここでは大勢の客がまとめ買いをしており、あたかも卸売市場の態をなしているが、インドネシアの卸売りというのは、少量を買うと通常価格が適用され、大量に買うと廉くしてくれる、というシンプルな原則があるだけだから、個人最終消費者も再販商品を仕入れに来るワルンオーナーも入り混じって買い物しているのが普通だ。だから、パサルアセムカに化粧品を求めに来る客は小売業者・ディストリビュータ・美容サロンオーナーらが多い。
そこで販売されている商品の中に、食品薬品監督庁から国内市場流通が許可されていることを示すBPOM番号が表示されていないものがある。食品薬品監督庁は人体への安全性を確認した上で国内流通を許可しているのであり、それがないということはその商品の安全性を国が認めていないということになる。少なくとも法律では、市場に流通している医薬品・飲食品・化粧品のすべてがBPOM番号を表示しなければならないと定めており、その表示がないのは非合法品であると言うことができる。そうではあっても、パサルアセムカの買物客はBPOM番号の有無などチェックせず、売店の店番が言う品質コメントと価格を参考にして見境なしにどんどん買っているのが普通の姿だ。
だから食品薬品監督庁は定常的に市場の監督を行い、非合法品をどんどん没収して廃棄処分にしているが、それでも非合法品は旺盛な繁殖力を示して市場に繁茂している。国内で作られるニセモノやもどき商品は当然ながら食品薬品監督庁の品質チェックなど受けるはずがないし、外国産品であっても正規の代理店でない者が不法輸入した品物を食品薬品監督庁の検査に出すはずもない。
非合法化粧品の製造場所になっているタングラン市カラワチの店舗住宅を首都警察が急襲し、オーナーR61歳を逮捕した。Rは美顔クリームと洗顔石鹸をそこで製造し、RDL、Garnier、LinHua、Citra、DR Superなどのブランドをつけて市場に流していた。手の込んだことに、Rは自分のニセモノ商品のためのプロモパンフを作り、そこにBPOM番号を表示していたが、それが虚偽番号であったのは疑いもない。
Rは自分の調合した美白化粧品に自信を抱いており、就寝前にそのクリームを顔に塗ると、肌が赤くなって皮がむけ、セットの洗顔石鹸と氷水で翌朝顔を洗えば抜群の効果が出る、と説明した。ところが、そんなに効果抜群の製品なら、あなたの一家親族はみんな使っているだろう、と水を向けるとRは黙って首を横にふり、その理由を尋ねても苦笑いを浮かべるだけだったそうだ。
パサルアセムカにも、Rの製品と見られるRDLブランド美顔クリームが売られている。クリーム二種と洗顔石鹸の三点セットで4万ルピア。それ以外にも、BPOM番号表示がないものや、明らかに輸入品と思われる中国語の商品説明書きのついたものなどが平気で販売されている。商品価格は一個5千ルピアから最高でも6万ルピアで、誰にでも手の届く価格だ。
パサルアセムカに売場を持っているオーナーのひとり、チャン20歳は、扱っているハーブ石鹸・洗顔石鹸・クリーム・頭髪手入れの諸製品に至るまで、毎日右から左へ飛ぶように売れる、と物語る。商品の多くはタングランの工場やディストリビュータから仕入れており、毎日直接売場に送られてくる。客はパサルアセムカの価格が廉いことを知っており、ここへ来て商品について尋ねることはほとんどせず、自分が欲しい商品のリストを店に持ってくるほうがはるかに多いそうだ。
買物客のひとりは、南ジャカルタ市ブロッケム市場で販売するために仕入れにやってきた、と語る。パサルアセムカは他の場所よりも商品がそろっており、値段も廉いので、仕入れは必ずここへ来るとのこと。顔の手入れのためのクリーム類・背を高くする薬・ローション・その他の化粧品などは、BPOM番号の有無など関係なく、よく売れるそうだ。かれはもう四年間もパサルアセムカ通いを続けている。
非合法化粧品ビジネスの儲けがどの程度のものなのか、Rはそれを良く知っている。2007年に首都警察がRの自宅を襲った。Rの妻が行っていた非合法化粧品製造が摘発されたのだ。しかしそれに懲りないRは、フィリピンから化粧品をコンテナ2本分輸入して国内の非合法品ルートに流し、更にカラワチの店舗住宅を借りて5年前から妻のビジネスを引き継いだ。今度はかれ自身の仕事として。
そのために持っていた資産を全部売り払って化粧品製造体制を構築した。Rは5年間その非合法ビジネスに特化して、ほかのビジネスにはひとつも手を出さなかった。そのビジネスで得た年間の純利は2億ルピアだった。そして今度は自分自身が逮捕されてしまった。自嘲げにかれはそう語る。
Rは自分で創作した化粧品を自分が付けたブランドで市場に出したことがある。安全性にも配慮した。ところが売れない。消費者は、すぐに効果が実感される商品を求めているのだ。肌がすぐに白くなる商品を市場は欲している。おまけに廉ければ廉いほどよい。しかし都庁食品薬品監督庁長官も呆れ顔で述べている。「2〜7日で肌が白くなります。」などと言うまともな化粧品があるわけがない。何らかの危険な物質が使われているに決まっている。ましてや、商品価格が一個5千から2万ルピア程度であるなら、推して知るべしだ。
ところが現実に消費者が望んでいるのはそういう商品であり、そういうものに対する大きな需要が形成されている。だから危険な商品が市場に登場し、それが毎日右から左へと売れて行く。非合法で安全性の欠如した化粧品が市場に繁茂するのは、市場自身が持っている要素に即したものだったのだ。
Rもかつて、自作の化粧品のために何度か食品薬品監督庁の承認を得ようとしたことがある。しかし条件があまりにもヘビーで、個人の力でそれをクリヤーすることはできなかった。そして結局は非合法品の製造販売へと流れて行ってしまったわけだ。
さる著名メーキャップコンサルタントは自己ブランドの化粧用具を開発して市場に出している。製造は既存の化粧品メーカーにOEMし、その製品の販売とプロモーションを自分で行っているが、安全性検査は開発者である本人とOEM工場が協力してプロセスをクリヤーした。その承認を得るために、二年以上の期間をかけたと本人は述懐している。食品薬品監督庁は使われる原材料から製造工程、そして製品の使用方法に至るまで、きわめて長い流れを長期間かけてすべてチェックする。
市場自身が持っている傾向と安全性監督面における困難が非合法商品の出現を煽っているにちがいない。食品薬品監督庁の市場手入れ・没収・廃棄・違反者逮捕と裁判といった対策だけで、繁茂する非合法活動が抑え込めるのかどうか、その命題への確信が持てないのは、きっとわたしだけではないだろう。