インドネシア市場情報2016年


「レジ袋有料化トライアル、もうすぐ開始」(2016年1月19日)
ほとんどすべての商店で買物客に無料提供されているプラスチック買物袋(レジ袋)の有料化トライアルを、生活環境森林省が2016年2月21日から開始する。この方針は地方政府単位で実施されるため、トライアルはその実施が可能になっている行政区域で行われることになる。またトライアルは国民消費者への意識付けが先行することから、商店に有料化を義務付けることはせず、商店が消費者に呼びかけを行って社会化と国民教育をはかる形で進められる予定。
このトライアルへの参加を表明している地方政府は、ジャカルタ首都特別区、バンドン市、メダン市、ジャヤプラ市など17市で、生活環境森林省はその遂行能力と準備状況を審査した上でトライアル実施のお墨付きを与えている。法制度上の基盤、地元小売業界の準備態勢、地元民への社会告知・住民教育の実施体制などが参加のための審査条件だ。全国で唯一、プラスチック買物袋を減らすことを定めた条例を持っているのがバンドン市で、2012年バンドン市条例第17号は既に施行されており、バンドン市はこのトライアルの成果がもっとも期待されている地区だ。
今回のトライアルはハイパーマーケットやミニマーケットなどの、いわゆるモダンマーケットが対象にされており、2016年6月5日まで続けられたあと、その結果を持ち寄って全国一斉に有料化実施の段階に進むことができるのか、それとももっと国民教育を続けなければならないのかの判断が下されることになりそう。
もちろんモダンマーケットだけでなく、パサルや在来型小売商店にもこの政策は広げられなければならない。しかし各マーケットはそれぞれが独自の性格を持っているため、個別の対応を講じなければならない点が必ず出てくることが明白で、だからこそプロジェクト推進側はモダンマーケットに限定してトライアルを行うことにしたようだ。そのため、全国一斉とは言っても、パサルや在来商店のプラスチック買物袋有料化は一足遅れることになりそう。
有料化された場合の価格については、袋一枚500ルピアという提案が出されているが、袋にも種々のサイズがあるため、サイズによって価格を変えるのかどうかといったことがらについての検討がこれからなされていくことになる。
国内全国には今現在小売店舗が9万軒あり、年間に98.5億枚のプラスチック袋が無料でばら撒かれている。そのうちの95%は確実にゴミとなっており、ゴミを水に流すことの好きな国民が巨大な海を汚染させるための立役者になっている。また、ゴミ焼却を一般家庭で行うことも普通の習慣になっており、プラスチック袋が燃える際に発生する有毒ガスについての国民教育がまったくおざなりになっているようで、有毒ガス汚染がいたるところで平気で行われているのもインドネシアで一般に見られる姿のひとつだ。


「CD買うなら、アヤムゴレン」(2016年1月25日)
音楽アルバムが売れなくなれば、CD・レコード店は立ち行かなくなる。ジャカルタの大手CDショップとして名をはせたマハカム通りのアクエリアスは2013年に店を閉め、次いで今回はディスクタラにお鉢が回ってきた。2015年12月31日をもって、全国のディスクタラはビジネス活動を停止した。当初は、ジャカルタの8店だけは事業を継続すると表明していたものの、最終的にその意欲も没になったようだ。
インドネシアの音楽アルバム販売の歴史は「消え行く音楽アルバム」(2015年03月27日)をご参照ください。
ならば、オリジナルCDはもうインドネシアで買えなくなったのかというと、さにあらず。CD販売で気を吐いているのがファーストフード店。全国に5百店の販売網を誇るケンタッキーフライドチキン(KFC)は、ロッサ、チンタ・ラウラ、アグネス・モニカ、ベビー・ロメオのCDアルバムをミリオンセラーにした実績を持っている。
この食べ物とCDの抱き合わせ販売というのは、1980年代にアメリカでKマート、ウオールマート、スターバックスなどが採った手法であるらしい。
かつて巷のCDショップが頼りにならず、KFCがミリオンセラーを作り出したことで大勢がKFCにCD販売を委託するようになり、巷のCDショップには国産音楽アルバムがあまり流れてこなくなった。CDショップは輸入版の取扱いを増やしてしのいでいたが、それもついに限界に来てしまったということだろう。つまりCDショップの行く末はだいぶ前からはっきりしていたということになる。
反対に歌手や音楽出版界から頼りにされるようになったKFCだが、あくまでも抱き合わせのおかずだから、おかずが増えすぎれば焦点が定まらなくなる。さしものKFCも、過当競争が起こって、今ではミリオンセラーが生まれる可能性はきわめて小さくなっているようだ。「KFCでは一日平均8百枚が売れる。それをたくさんのアルバムで奪い合うのだから、個々の枚数は小さくなる。」と業界者は述べている。
かと言って、CDを制作しても販売ルートはKFCしかないのでは、ミリオンセラーを期待することすら難しいにちがいない。KFCは現在の形を今後も続けていくとコミットしているが、音楽界にとっては苦しいありさまだろう。
KFCの対抗馬であるカリフォルニアフライドチキン(CFC)が店内でのCD取扱いに名乗りをあげた。全国250店の販売網でCDは何枚売れるだろうか?


「レジ袋有料化トライアルに意欲満々」(2016年1月29日)
ほとんどすべての商店で買物客に無料提供されているプラスチック買物袋(レジ袋)の有料化トライアルは全国22の市と特別地区で行われることになった。
ジャカルタ、バンドン、ブカシ、ボゴール、デポッ、タングラン、スマラン、ソロ、スラバヤ、デンパサル、パレンバン、メダン、バリッパパン、バンジャルマシン、マカッサル、ヨグヤカルタ、マラン、プカンバル、クンダリ、アンボン、アチェ、ジャヤプラがその22行政区。
現在のところ、プラスチック買物袋は一枚5百ルピアを徴収し、その袋を店に返せば店は消費者に2百ルピアを返却し、店は行政当局もしくは指定された民間団体に3百ルピアを提供して自然環境保護活動に使われるという生活環境森林省の構想になっているが、その金額や袋のサイズなどについては、最終的に各地元行政府に任されることになる。
この政策の目的がプラスチック買物袋の使用を国民にやめさせることにあるのだから、一枚5百ルピアの有料化では迫力が足りない、とアンボン市長は語る。「一枚5千ルピアくらいにして、それに金を払うのが負担に感じられるようにし、家から袋を持ってこさせるようにするのが理想的だ。」
いきなり全廃することに対する消費者の抵抗感をやわらげようとする意向の感じられる一枚5百ルピア案では、金があることに見栄を張る国民性を思えば、最終的にゴミになる買物袋がどれだけ減少するのか疑問を抱くひともいるにちがいない。
小売商店界の不安は、プラスチック買物袋に金を払えと言われた消費者とレジ係りの口論や、消費者がこの店はケチになったと考えて買物先を別の店に変更することなどがあげられており、行政府の住民指導が強く期待されている。
反対に、ある商店だけが密かに規定を破って買物袋の無料サービスをして消費者を呼び込んだり、買物袋を使って誘店競争で優位に立とうとするような戦略を行うといった、規定破り行為の懸念もある。そういう違反行為を行政府がどこまで抑え込めるのか、という懸念も小売業界にないわけではない。
この政府方針は、あくまでもプラスチックゴミを日常生活から減らすことが目的なのであり、プラスチック買物袋の販売チャンスを作ろうとしているのでもなければ、それを利用してビジネス競争を煽るためのツールを生み出そうとしているのでもないことを地元行政府は肝に銘じるよう、中央政府は要請している。
スラバヤ市はこのトライアルに関する実施規則を市長決定書の形で早急に定め、2月21日のトライアルキックオフの準備に取り掛かりたい、と表明しているし、バリッパパン市は2月10日が市創設記念日であるため、21日と言わず10日からスタートを切りたい、と市当局者が語っている。
バリ州デンパサル市に本拠を置くココスーパーマーケットチェーンの会長は、消費者に無料提供しているプラスチック買物袋に毎月5千万から6千万ルピアの経費を支出しており、それがミニマイズされることは経営上大きな効果がもたらされる、とこの政府方針に賛成を表明している。


「人間は対等なのか、上下なのか?」(2016年2月16日)
2015年11月4日付けコンパス紙への投書"Petugas Arogan"から
拝啓、編集部殿。わたしはリッポ保険のメディケア保険加入者です。しばらく前、わたしは自分で自分と家族の医療費の領収書をはじめてタングラン市カラワチにあるリッポ保険事務所に届けに行きました。求償するためです。
リッポ保険事務所の前でオートバイを停めようとすると、ジョコという名の警備員がわたしに注意してきました。「あんた、どこへ行くの?」と叫んだのです。
わたしはリッポ保険事務所建物を指差し、「あそこへ行くんだ!」と叫びました。
まだ納得できなかったのでしょう、かれはまた叫びました。「何の用事?手紙か書類を届けるのか?それとも就職面接か?」
わたしが返事する前にかれは怒声を強めて言いました。「そこに停めるな。むこうに停めろ!」
結局わたしはヘルメットを脱ぎ、医療費のクレームのために必要な書類を届けに来たのだと説明し、そしてその警備員に言いました。「そんな風に怒鳴り散らすべきじゃありませんよ。わたしはここにはじめて来た人間で、リッポ保険の顧客なのです。」
ジョコ氏はわたしの抗議が気に入らなかったらしく、さらに怒声をあげてわめき散らしました。それでも最後にはわたしがオートバイをそこに駐車するのを禁止せず、事務所内に入ることを許しました。
わたしはその警備員の態度をたいへん不愉快に感じました。傲慢で偉そうな態度を示し、顧客に対してふさわしいサービスをしなかったからです。PTリッポ保険はジョコ氏を含む全警備員に対し、ハイクオリティのサービスに関する知識教育を与えるようお願いします。他の顧客が不愉快な目にあわされないように。[ タングラン市在住、アフマッ・スヘンドラ ]


「バンドンでダイヤモンド学習観光」(2016年2月24日)
カリマンタンで産出されるダイヤモンドは南アフリカ産のものと遜色のない、世界でトップクラスの原石だ。ところが加工工程が昔ながらのトラディショナル技術を使っているため、最高級クオリティに与えられるエクサレント評価どころか、ベリーグッドやグッドの評価を得ることすら稀で、せいぜいフェアか、さもなければプア評価を得るのが関の山だ。その結果、市場での販売価格もなかなか優れたものにならない。インドネシアのダイアモンド産業は、まずレーザーを使った最新技術を導入して品質向上をはかるのが急務であり、最新技術を使った加工はおいおい進められている。
PTインドウィサタプルマタ(IWP)社の運営するギャラリーIWPには、その最新技術で加工されたダイヤモンド商品が展示され、更にそこで加工作業の実際がデモンストレーションされているため、ダイヤモンドについてのモダンで正しい知識を吸収することも可能だ。
IWP社はバンドン市内チトラグリーンダゴアタスコンプレックス(Kompleks Citra Green Dago Atas)にそのギャラリーをオープンし、国内外観光客をそこへ誘致するべく、普及宣伝活動を開始した。観光客を対象にしたこのダイヤモンド学習ツアーは東南アジアではじめてのものだ。
ヨーロッパではいくつかの都市に販売店をメインとする観光客向けの施設が用意されているが、加工プロセスの一部始終を見せることはせず、最終の研磨プロセスだけを見せている。ところがバンドンでは、加工プロセスのはじめから終わりまで、すべてをさらけだしてくれる。
ツアー客はギャラリー内で販売されているダイヤモンド製品を購入することもできる。価格は百万ルピアから12億ルピアまでさまざま。12億ルピアの商品は3.01カラットのもので、カラーはG(97%)、クラリティはVVSIだ。
ギャラリーIWPで加工販売されているダイヤモンド製品は、すべて国産の原石が使われている。リアウ州プカンバル、南カリマンタン州バンジャルマシン、西カリマンタン州ポンティアナッなどから送られてきた原石が加工されている。
ダイヤモンドに興味のある方は是非一度ギャラリーIWPを訪れ、ダイヤモンド加工の実態を見学し、そして商品を手にとってご覧ください、とIWP社代表取締役は述べている。


「小役人も稼げる国民総犯罪者化社会」(2016年2月24日)
2015年11月5日付けコンパス紙への投書"Razia SNI Bikin Tak Tenang"から
拝啓、編集部殿。最近イリーガル輸入商品に対するSNI市場チェックが、タナアバン市場、マンガドゥアITC,タムリンシティなどあちこちのパサルやモールで盛んに行われています。
わたしはとあるモールで輸入品を販売しているただの小商人です。ところが、その市場チェックの標的にされないだろうかと思うと、不安で夜も眠れません。市場チェックを実施している政府機関からの社会告知は一切なく、そのせいで不安を煽る噂が飛び交っているからです。
たとえば、商品にSNIがついていて槍玉にあげられない場合は、税務申告やその他の公的手続に関する違反あるいは他の違反をチェック者が探し回るのだそうです。
その結果、市場チェックの対象外となるはずの商人たちは違反行為を探し回られたあげく商品を差し押さえられる不安にさいなまれ、それに追い討ちをかけるような噂を耳にしてがっかりするのです。差し押さえられた商品は金を払うと返してもらえるという話を。
わたしどもはただの物売りであり、輸入者や卸商から商品を入手します。もしイリーガルな商品があると言うのなら、どうしてそんな物が港を通過してインドネシア国内市場に入ってくることができるのですか?もしSNIが記されていなくて、インドネシア国内で流通させてならない物であるなら、最初から税関がその品物の輸入を拒否すればよいではありませんか?どうして輸入者に対するチェックが直接なされないのですか?そんな物を市場で自由に流通させてから、わたしどもがその犠牲者にされるのはなぜなのですか?
わたしどもだって、国産品振興プログラムを支持しています。しかしそれがこのような市場チェックや小商人から商品差し押さえをするようなやり方でなされるのなら、わたしどもは人間扱いされていないとしか思えません。[ タングラン在住、ハリヤント ]


「レジ袋有料化開始」(2016年2月29日〜3月4日)
バリッパパン市では、一日のゴミの量は490トンで、そのうちの60トンがプラスチックゴミ。スラバヤ市内では、モダンマーケット一店舗当たり一日に6百枚のプラスチック買物袋を客に渡している。ジャカルタは一日のゴミの量が6千7百トンでプラスチックゴミは9百トン近い。ゴミの内容に関する2013年都庁データでは、オーガニックゴミ53.8%、紙ゴミ14.9%、プラスチックゴミ14.0%、ガラスゴミ2.5%、その他14.9%という内訳になっている。
生活環境森林省の全国調査によれば、モダンマーケット一店舗当たりの買物客は平均一日に百人で、ひとりの客にプラスチック買物袋が3枚渡されているとするなら、年間の消費量は1,095万枚になる。その膨大な量のプラスチックゴミの一部が川から海へと流され、あるいは個人的に焼却されて有毒ガスによる大気汚染を煽っている。
生活環境森林省はプラスチックゴミの量を削減するために、プラスチック買物袋(レジ袋)の有料化を実施することを決めた。その有料化トライアルでは、膨大な小売業界の中からモダンマーケットが実施対象に選ばれた。しかしその選択は的外れではないか、という批判も出されている。財団法人「地球を考える」理事長は、国民は需要の3割をモダンマーケットで購入し、7割を在来パサルやワルンで調達している、と指摘した。しかもモダンマーケットが使っているプラスチック買物袋は95%が環境に優しいものになっている一方、パサルやワルンで使われているものは9割がいまだ環境に優しくないもののままだそうだ。
プラスチック買物袋有料化トライアルが2016年2月21日に始まった。ちなみにインドネシア語でプラスチック買物袋はプラスチック袋(kantong plastik)だが、クレセッ袋(kantong kresek)という呼称もある。あのレジ袋を手でいじくるとカシャカシャという音が出る。インドネシア人の耳にはその音がクレセックレセッと響いているようで、その音を言葉にしたのがクレセッ袋だそうだ。この名称は在来パサルやワルンなどで一般的に使われているが、ハイパーマーケットでそう呼ぶ人もいる。まあ、教養があることを示したいひとは、カシャカシャ袋などという言葉をきっと使いたくないのだろう。
さて、このプログラムはプラスチックゴミを減らすための有料化だと最初から謳われているのだが、その目的と手段としての有料化がどうもぴったりと納まっていないような印象をインドネシアの巷で感じるのは、わたしだけだろうか?
生活環境森林省は当初、有料化の金額として2百〜5百ルピアにしてはどうかと提案した。それに対して地方自治体首長たちは、「あんな袋にそんな金額を払うのはばかげている」と消費者が思うような金額にしなければ、プラスチック袋が世の中から減ることはありえないという見解を示し、数千ルピアから果ては1万ルピアといった意見が出されたが、当の主体者となる小売業界はなんと、出されている提案の最低金額である2百ルピアに飛びついたのである。地方自治体の中には、その高い袋価格を公定して市長規則まで出したところもあるが、地元小売業界は地元首長の決定に後ろ足で砂をかけるにちがいない。というのも、小売業者は業界と中央政府が合意した金額を優位に位置付けて、それに従うに決まっているからだ。利害と思惑がばらばらの諸方面が、自分の得失を優先してどんどん突っ走ると、往々にしてこのようなことになるのだろう。
アプリンド(インドネシア小売業者協会)は生活環境森林省との協議の場で、有料化の料金を2百ルピアもしくはプラスチック袋のコストにするよう強く要求し、生活環境森林大臣のほうが折れて出て、アプリンドの希望に沿ってトライアルを開始するよう担当局長に指示を出した。これはトライアルなのであり、ともかく計画されたプログラムを開始させて状況を見ようというのが大臣の意向のようだ。
アプリンド側にとっては、買物客が買ってくれた商品を持ち運ぶためにこれまでどしどし無料提供していた袋に金を払わせることで小売事業の足を引っ張る要素になる可能性がもっとも懸念され、特に消費者とレジ従業員の間でコンフリクトが起こることは避けたいというのが最大の焦点であることから、行政側の言う最低金額でトライアルを開始したいという業界の希望が表明されたわけだ。現在のプラスチック袋はコストがおよそ350ルピアであり、2百ルピアだとまだ小売業者側にコスト負担が残るが、2百ルピアであれば廉いので、消費者は金を払うことが不満であっても有料化には従うだろうというのが業界側の見解。更に、「今まで通り袋を無料でよこせ。金を払うのは嫌だ。」と強硬に突っぱねる客が出現したら、袋は無料でやってしまえ、という発言すらアプリンドは出している。このような発想の中に、プラスチック袋を世の中から減らそうというポイントが感じられないのは、わたしだけだろうか?
トライアル開始の前の週にアプリンド会長が発した「政府のプラスチックゴミ削減方針をアプリンドは支持し、小売業者は政府のプログラムに協力して消費者に対する社会啓蒙を、さまざまなメディアや自店内にポスターを掲げるなどして行い、プラスチックゴミの環境への悪影響を理解させるように努める」という発言を見ても、どうも肝心なポイントがすれ違っているのではないかという気がして仕方がない。プラスチック買物袋を減らすことの主体者はいったい誰なのだろうか?
更に、実コストよりも高い金額を消費者に払わせ、その差額を小売商店が拠出して環境保護運動に使うという行政側のアイデアに対しても、そんな管理業務を小売業者にしろと言うほうが無理であり、小売業界はとてもそのようなことはできません、とアプリンドは最初から拒否の姿勢を明らかにしている。アプリンドの言い分は、公共用途の預かり金を小売業者に持たせるようなことはやめてほしいということだ。だがしかし、その構想を取りやめるが、高い袋料金を行政が決めるというのであれば、政府が小売業界に利益を用意してやることと変わりがない。そのおかしな構図に違和感を感じないまま、政府は業界と消費者に対して横車を押すのだろうか?
トライアルが開始されたいま、モダンマーケットではプラスチック買物袋有料化がスタートしており、レジのカウンターには200ルピアの貼紙が掲げられている。店によっては、袋のサイズで細かく金額を変えてあるところもある。ハイパーマーケットでは、袋の有料化を嫌う消費者が買物品をはだかのままトローリーに乗せて駐車場に向かう姿が目に付くようになった。買物袋に買物品が入っていることで盗品の疑惑から除外されていた従来のコンセプトはこれで完全に崩壊したことになる。警備員の職務負担は重くなったにちがいない。
生活環境森林省が行っているサーベイで、プラスチック買物袋有料化に賛成を表明した回答者は87%、そして袋代金は5百から2千ルピアというレンジに77.8%の回答者が賛成している。
環境保護に関心を持つ市民にとって、政府のこの方針は出るべくして出てきたものという理解が一般的だが、世間で善事とされるものごとについては往々にしてオーバーアクションを行う人間が出現するものだ。首都の環境保護コミュニティのひとつはなんと、政府方針をサポートするために「プラスチック買物袋強奪」活動を行うというアイデアを披露した。コミュニティメンバーが街中でプラスチック買物袋を持っている人間を目にしたなら、その人間にプラスチック買物袋を放棄するよう要請し、今後は非プラスチック製の袋を使うように求める、というのがその強奪活動で、放棄させたプラスチック買物袋はメンバーが持ち帰って処分する。
街中で、プラスチック買物袋を持っている通行人に草の根啓蒙を行う意向の市民コミュニティは他にもいくつかあるようだ。こうなってくると、昔無料でもらったプラスチック買物袋の再利用は、悪事を犯しているような扱いがなされるにちがいないし、有料化されたのだから2百ルピアを払って購入したプラスチック買物袋を街中で手にして歩くと、いつ強奪されるかわからないことになる。そのような強奪行為は犯罪に区分されるはずではなかっただろうか?
一般消費者の中にも、奇妙な感覚でこの有料化をとらえているひとがいる。これまで買物すればレジで自動的にプラスチック買物袋に品物を詰め込んでくれていたのに、今後も同じようになされるが買物袋の枚数だけ余分に金が徴収されるようになるという推測だ。インドネシアの一般慣習として、たとえば電力料金支払いに行くと、赤十字寄金だの何だのという理由で余分に金を払わせられることがよくあるから、そのような不当な圧力による金の徴収に対する権利侵害意識の微弱なひとにとっては、モダンマーケットでそういうことがなされるのを政府が承認したという理解で終わってしまうのだろう。600ccの瓶詰め飲用水をひとつ買っただけで、横柄なレジ係りがそれを袋に入れ、2百ルピアを支払うよう強要するようなことが起こってもおかしくないのがインドネシアだ。
しかし、有料化が開始された2月21日に西ジャカルタ市にある、とあるミニマーケットでは、レジカウンター近辺に有料化に関する説明を書いた立て看板が置かれているにも関わらず、買物客は軒並み激しい抗議を行い、プラスチック買物袋を無料でもらっていたそうだ。
生活環境森林省がモダンマーケットだけを対象にしてトライアルプログラムを進めている一方、政府からのアプローチがまったくなかった在来パサル側が、クレセッ袋を減らす運動を独自で開始する、との声明を出した。プラスチック買物袋のマジョリティが在来パサルで動いているのだから、当然の成り行きと言えるだろう。
「この運動にモダン小売マーケットだけを誘っても十分な成果は出ない。やるのなら、本気で取り組んでほしい」とインドネシアパサル商人ユニオン会長が表明した。ユニオンは既に全国789の在来パサルに対し、商品販売時に使われるプラスチック買物袋の使用をできるだけ少なくするよう呼びかける回状を去る2月19日に送っている。
「われわれの親の世代は商品の包装に木の葉や紙を使っていた。あの習慣に復帰しよう。パサルの商人は買物客に環境保護の大切さとプラスチックがその障害になっていることを啓蒙し、買物には自分で買物袋を持ってくるように要請していこう。」パサル商人ユニオン会長は全国の在来パサルへの呼びかけ内容についてそのように説明した。
その回状に対して、スマランのパサルジョハル、ソロのパサルグデ、ヨグヤカルタのパサルブリンハルジョなどから反応が返ってきた。総論賛成だが、販売者が購買客のために購入品の包装や持ち運びのための資材を用意するのが普通になっている慣習をすぐに変えるのは無理であり、買物客に自分で買物袋を持って来いとは言えない、というのが在来パサル商人の本音だ。だからクレセッ袋を木の葉や紙に変えていく方向性が合意され、16年3月末ごろからそれが開始されることになった。
精肉や鮮魚などのウエットマーケット商品については、生物分解性プラスチックの袋を使うか、あるいは買物客に容器を持参するよう求めるか、その結論をこれから検討することになる。精肉や鮮魚については、買物客が何をどれくらい買うかを前もって決めてくるので、それに見合う容器を持参するのは容易だろうという推測を踏まえている。
生活環境森林省は在来パサルのその動きに対して、モダンマーケットと進めてきたのはトライアルの話であって、将来的には在来パサルにも参加してもらうことになっており、在来パサルが自主的にそのスタートを開始するのはありがたいことだ、と賞賛を表明した。
ボゴール市では、市役所がプラスチックコップ入り飲用水の廃止を率先垂範することを決めた。職員は全員が水筒を持参し、既に飲用可能になっている水道水を汲めばよい、というのが市長の意見。市長はまた、モダンマーケットでのプラスチック買物袋が廉すぎると批判し、袋一枚を5百から1千ルピアにしなければ意味がない、とコメントした。在来パサルに行けば、クレセッ袋を必要としている者は袋売り少年を探すことがよくある。袋売り少年の売値は一枚5百ルピアか、時には1千ルピアになっており、そのあたりの価格帯で何らおかしなことはない、との弁。
ジャカルタ都知事も袋の価格について、生活環境森林省とアプリンドが合意した一枚2百ルピアを強く批判した。少なくとも1千ルピア、5千ルピアにすれば消費者もビヘイビアを変えるだろうとの都知事のコメント。「都民にとって2百ルピアなどというのは金の値打ちが感じられないものであり、そんな価格では何も変わらないだろう。ジャカルタでは、小便ですら2千ルピアなのだから。もし別の金額にしてよいのであれば、都内の価格は変更したい。」
都内の主要パサルは都営のパサル運営会社PDパサルジャヤの管下にある。そのパサルジャヤもクレセッ袋減らしに動き始めた。まずテナント商人たちに生物分解性プラスチックを使ったクレセッ袋50万枚を分配してそれを使うよう指示し、また買物客は自前の買物袋を持参するよう呼びかける社会告知を活発化させる計画。
北ジャカルタ市プジャガランのパサルトゥルッゴンでトウガラシを販売している商人は、パサルジャヤが配給したクレセッ袋百枚を受取った、と語る。ただ、その配給がいったい何のためになされたのかという話は何も耳にしていないそうだ。配給された袋はあまりにも薄いので、すぐに破れてしまうから、客はこの袋をいやがるだろう、とのこと。この商人はこれまで、白・赤・黒のクレセッ袋を使ってきた。コストは黒がいちばん廉い。
パサルトゥルッゴンのテナント商人は315人おり、パサルジャヤ配給のクレセッ袋はそのうちでやっと35人が受取った。しかしその背景については、知っている者がいない。記者の説明を聞いた商人のひとりは、クレセッ袋に金を払えなどと言えば買物客がみんな怒り出すだろうから、きわめて困難だ、とコメントしている。そんなことをすると客は他所へ行ってしまうから、おいそれとそれをするわけにはいかない、という不安が商人たちの共通して抱いている感覚だ。
しかし、商人の中には、毎月クレセッ袋の仕入れに20万ルピア支出しているので、クレセッ袋を使わないようになるのはよいことだ、と賛同する者もいた。その商人も黒・白・赤と三種類のクレセッ袋を店で使っている。食べ物は白い袋に入れ、床掃除洗剤のようなものは黒い袋を使う。客は時に、クレセッ袋をダブルにするよう求めることもある。政府は紙や布の袋を廉く卸して、パサルでそれが買えるようにしておけばよいと思う、とかれは提案した。
デンパサル市でも、在来パサルが有料化運動に参加している。プニンジョアン村にあるパサルアグンとサヌール村にあるパサルシンドゥのふたつがクレセッ袋を一枚2百ルピアで販売するようになった。モダンマーケット小売販売業会社5社と在来パサル二ヶ所がまずスタートを切ったわけだが、デンパサル市生活環境庁長官は、市内すべての在来パサルや小売商店が2016年6月5日の生活環境記念日までにプラスチック買物袋の有料化を開始するよう期待している、と語っている。


「レジ袋有料化に一言」(2016年3月8日)
2016年3月4日付けコンパス紙への投書"Kantong Plastik Berbayar"から
拝啓、編集部殿。ジャカルタのゴミを見てごらんなさい。都民は毎日何トンものゴミを作り出し、その中に大きなシェアを占めているもののひとつが容易に分解されないプラスチックゴミなのです。
研究によれば、プラスチックゴミが分解するには百年かかるとのこと。だからスーパーマーケットでプラスチック袋をもらう消費者に一枚当たり200ルピアを払うよう、生活環境森林省が新たな規則を定めたのです。都知事はその値段をもっと高いものにしたいと希望しています。プラスチックゴミを減らすという目的に対して、その規則は適切なものになっているのでしょうか?
使い捨てプラスチックの使用を減らすことに、われわれは賛成します。その目的のために対象とされるものがプラスチック買物袋に限らないことは言うまでもありません。しかし、プラスチック買物袋を有料にすることは、消費者の経済負担とスーパーマーケット事業者への利益増を促すだけではありませんか。
「イルカと称して雑魚を売る」。つまり廉いものを高く売る、というのが通例なのです。在来パサルで安く売られているプラスチック買物袋を購入してスーパーでのショッピングにそれを使う、というやり方で消費者がプラスチック袋を使い続けるなら、プラスチック袋有料化の目的はどうなるのでしょうか?
都知事や生活環境森林省はすべての使い捨てプラスチックの生産および輸入の抑制を年々強化し、最終的に全面禁止措置を採るようにするべきではありませんか?買物袋は丈夫で美麗なものを生産者に作らせ、消費者が繰り返しそれを使うような方針が採られるべきでしょう。
その上で、分解しやすいオーガニックゴミと分解しにくい非オーガニックゴミを分離させる政策が行われなければなりません。オーガニックゴミをプラスチック袋に入れて捨ててはならないのです。そうすることによってゴミ投棄場は、現在のような不毛の地から地味の肥えた用地に変わるのです。[ 中央ジャカルタ市在住、IBP・ウィディアルサ ]


「異常に長い米の流通経路」(2016年3月8日)
インドネシアの米流通機構は次のようになっていると言われてきた。
農民⇒集荷業者⇒集荷品買上業者⇒大規模商人/倉庫⇒卸業者⇒小売業者⇒消費者
ところが中央統計庁2015年調査によれば、もっと長い流れを持つ業態もある。
脱穀業者⇒ディストリビュータ⇒集荷商人⇒サブディストリビュータ⇒エージェント⇒サブエージェント⇒卸業者⇒スーパーマーケット⇒消費者
たとえば中部ジャワ州ドゥマッ県では、農民⇒モミ米集荷業者⇒小規模脱穀業者⇒精米集荷業者⇒大規模商人⇒米市場⇒小規模商人⇒小売業者⇒消費者という流れができている。その長い流通機構のために、生産者と消費者間の価格差はきわめて大きい。農民はモミ米を売ってキロ当たり3千8百ルピアを得るが、消費者はキロ当たり1万ルピアを超える支出をしており、流通機構に6千2百ルピア以上の金が落ちているということになる。
その流通機構の各ステップで利益が出ているかどうかは一概に言えない。そこには強者弱者の力関係が影を落としており、利益は資本パワーの強者の手元に集まっていくという前世紀型資本主義パターンが根強く生き残っているのだ。
「今年は利益なしだ。農民から乾燥モミ米をキロ3千7百ルピアで買い上げたが、精米集荷業者はキロ7千1百ルピアでしか買わなかった。政府配給事業庁の買上価格キロ7千3百より低い。」とドゥマッ県ガジャ郡タンビレジョ村の小規模脱穀業者は述べている。
利益がもっとも大きいのは大規模脱穀業者だ。かれらはモミ米集荷と小規模脱穀のステップを飛び越えるため、その間のマージンがかれらの手に入る。そしてそれを実現させるのがモミ米集荷業者からの情報だ。モミ米集荷業者はと言えば、農民に2〜4百万ルピアの手付金を渡して青田買いをする。
その手付金は地元集荷業者自身あるいはチレボン・カラワン・インドラマユなどの同業仲間からの資金でまかなわれ、また収穫時の獲り入れ人足の手配も集荷業者が行っている、とドゥマッ県カランアニャル郡のモミ米集荷業者は語っている。
県内ジャンブラン郡バクンクロン村の脱穀業者は、地元と西ジャワ州クニガンのモミ米集荷業者からモミ米を脱穀場渡しでキロ当たり5千〜5千5百ルピアで仕入れたそうだ。精米にしてからジャカルタのチピナン米中央卸売り市場に持ち込めば、二級米でキロ当たり9千5百ルピア、一級米ならキロ1万ルピアを超える。チピナン卸売り市場には顔を利かせる仲介人がおり、かれはトラック一台あたり10万ルピアを仲介人に渡しているそうだ。
東ジャワ州でも状況は似たり寄ったり。収穫時には集荷業者がモミ米の価格を決めている。農民は往々にしてその言うがままに従う。その後の流通ステップに及ぼすかれらの影響力は強く、それが農民への威圧感を高める結果になっているようだ。
モミ米集荷業者は通常、収穫前の田の様子を遠くから見ただけで、その農民の収穫分に対する支払い高を決める。キロ当たりの量り売りのようなことはせず、たとえば全部で2千万ルピアというような決め方をする。現実の稲の稔り具合でブレが起こるわけで、集荷業者にしてみれば一種の博打だと言えるだろう。反対に農民は集荷業者にまかせきりにしてかまわないし、収穫結果が割の合わないものになったとしても、それは集荷業者の責任、かれの目の狂い、となるだけだからだ。集荷業者はもちろんキロ当たりの仕入原価計算を行い、それに2〜4百ルピアのマージンを加えて買上業者に売り渡す。
田から集められたモミ米は乾燥プロセスを経て脱穀される。乾燥プロセスを農民が行うケースもあるが、集荷業者が行うことも頻繁だ。モミ米集荷業者の段階で品物が貯蔵されることはありえない、と業者のひとりは強調している。つまり乾燥プロセスが必要なければないで、またあったらあったで、品物は右から左へと流されるのが普通だそうだ。「モミ米をためておいても、しようがないじゃないか。」とかれは述べている。
小作農がほとんどの農民段階では、自力で収穫して乾燥プロセスを行い、集荷業者と商談をするようなことはまず行われない。農民はたいてい青田買いに絡め取られているし、政府からモミ米乾燥用の青いプラスチックキャンバスの援助が与えられるとはいえ、天日乾燥を行う期間、米を貯えておく場所がなければならない。付加価値を付け、商談をして有利な価格でモミ米を売り渡す農民の姿は、農業政策立案者の脳中にはあっても、現実のものとしては稀有なのだ。
マカッサルでは、仲介人や投機人の姿がちらつき始めた。かれらが米の隠匿を行うことで、小売段階での米価は高いものになっていく。
政府には配給事業庁(Badan Usaha Logistik 略称Bulog)という機関があり、国民の生活必需品に関して市場での価格と供給を安定させることをその使命にしている。農民からのモミ米直接買上方針が定められてはいても、農民が配給事業庁にモミ米を売り渡すケースは予想外に少ない。妥当な生産者米価・消費者米価を政府は指標として作っているものの、圧倒的な量が民間の米流通機構を通って市場に供給され、しかも自由競争によって公定価格より低いものになるならまだしも、長い流通経路はおのずと消費者米価を政府の想定するものより高額にしている。中でも、大規模資本が既存の流通機構内に参入して、資本力にモノを言わせて機構を牛耳ろうと暗躍している。長い流通経路が作り上げた高い消費者米価を前提にしている限り、大規模資本は巨額の投資を行って低い生産者米価と高い消費者米価の差額を一手に握ろうとするに決まっている。政府が、そして国民が、前世紀型資本主義を当たり前のものとして受け入れているかぎり、その構図に変化は訪れないだろう。


「レジ袋有料化は成功?」(2016年4月18日)
全国の主要都市で2016年2月21日から開始されたプラスチック買物袋有料化トライアルの進展状況を消費者保護財団がジャカルタで調査した。3月1日から4月6日までの間に、都内15モダンマーケットの25ポイントで行われた調査によれば、プラスチック買物袋の使用は40〜50%減少しているとのこと。しかし消費者保護財団はこのキャンペーンが環境保護という目的を実現させるためのものである点を強く強調しており、90%減少してはじめて良好な成果だと言えるのに、たったそれだけでは・・・、と不満をもらしている。
15モダンマーケットの内訳は、ミニマーケット8店、スーパー/ハイパーマーケット11店、ショッピングセンター6か所で、調査方法は状況観察・レジ係へのインタビュー、消費者へのインタビューが併せて使われた。
調査対象消費者は222人で、43.2%が私企業勤労者、14.4%が学生、12.6%自営業者、11.3%主婦、6.3%プロフェッショナル、9%がその他という内訳。年齢別では、21〜30歳が38.7%、31〜40歳27.9%、41〜50歳16.2%、21歳未満13.1%、51〜60歳3.2%、60歳超0.9%となっている。
10分間の状況観察結果によれば、レジで行われた20回の支払いでプラスチック袋が使われたのが10回あったもの、16〜20回の支払いでプラスチック袋が使われたのが10回あったもの、11〜15回の支払いでプラスチック袋が使われたのが9回あったもの、6〜10回の支払いでプラスチック袋が使われたのが5回あったもの、5回未満の支払いでプラスチック袋が使われたのが3回あったものなど、店によって違いが見られた。
それらの数値をまとめると、46.4%の消費者が自分でプラスチック買物袋を持参しており、37.4%は袋を3枚以下、13.1%は3〜4枚、3.1%は4枚以上使用していた。
レジ係へのインタビューでは、消費者は自分で買物袋を持ってくるようになったと語った者が22人、その逆の印象を語った者が3人いた。店のプラスチック買物袋の使用量が減ったと語ったレジ係は16人で、減っていないと語った者は9人いた。
消費者保護財団理事長は今回の調査結果に関して、このキャンペーンでまだまだ改善されるべきことがあるとのコメントを表明した。まず、観察した25人のレジ係のうちで、買物客にこのキャンペーンについての説明をした者は3人しかおらず、22人はそれに関する客との会話が何もなかった。キャンペーンの趣旨が書かれた立て看板を店頭に置いていない店も少なからずあり、調査員が店員にそのことを尋ねたら、はじめてそれを店頭に出してきたところもある。
そして財団がもっとも懸念している、有料プラスチック買物袋の金額が200ルピアという問題で、200ルピアというのは製造原価でしかなく、国民にプラスチックゴミの削減を命ずるのであれば、少なくとも1千ルピアにするべきであり、政府の意志に関して今現在受ける印象は灰色であって、どこまで本気で国民にプラスチック使用離れを命じようとしているのかがはっきりせず、明確に禁止を断言するべきである、と理事長は現在のぬるま湯状態を批判している。


「堂々と虚偽表示」(2016年4月29日)
2015年12月3日付けコンパス紙への投書"Angka Timbangan Tak Sesuai Isi"から
拝啓、編集部殿。ついこの前、わたしはインドマルッブランドの粉砂糖を買いました。袋の表面には「重さ1キログラム」と書かれています。ところが家の秤に載せたところ、針は900グラムを指しました。
わたしはこの件をウエッブサイトとフェイスブックのインドマルッのページにクレームしましたが、この手紙を書いている現在、まだ何の反応もありません。
この件について説明するよう、わたしはインドマルッにお願いします。もし900グラム入りの砂糖を販売するつもりなら、袋に1キログラムと書かないで、900グラムと書いてください。[ 中央ジャカルタ市在住、リ二・クリスタンティ ]


「レジ袋有料化トライアルを全国拡大」(2016年6月9日)
2016年2月21日に開始されたプラスチック買物袋有料化トライアルは6月5日に終了し、結果をリビューしてその後の方針を決めることになっていたが、トライアル実施の中心役を果たしたインドネシア小売り業者協会(アプリンド)・国会議員・オンブズマン・消費者保護財団や、トライアルに参加した全国23都市の市長らからの支持とトライアル拡大提案を受けて、生活環境森林省はトライアルを全国に拡大することを、5月30日を前にして決めた。
生活環境森林省が行った調査によれば、消費者の91%がこのプログラムの意味とプラスチック買物袋を減らすことの効用を理解しており、消費者の行動が自宅から袋を持ってくるように変化したとのこと。
この最初のトライアルでは、参加を表明した23都市にあるアプリンド所属のモダンマーケットが対象になり、他の小売り業は任意の参加とされたが、次のステップでは23都市を含む全国展開に拡大され、在来商店から在来パサルに至るあらゆる小売りスポットでプラスチック買物袋を有料化させることが目標になる。もちろん、アプリンドに所属していないモダンマーケットも、トライアルへの参加が要請される。言うまでもなく、各小売業界に対する指導と監督は業界団体を通して行われることになるため、業界団体の準備が整うかどうかという問題が付随することになる。
最初のトライアルに参加した23都市の市長の中には、プラスチック買物袋有料化の標準価格を2百ルピアとした生活環境森林省の決定を効果が薄いと見て、独自に標準価格を定めたところがいくつかあった。アンボンでは2千5百〜5千ルピア、バリッパパンは1千5百ルピア、スラバヤは2百〜1千5百ルピアといった規定が出されたものの、現実に23都市のモダンマーケットは一律横並びで2百ルピアを採用している。第二次トライアルを前にしてバンジャルマシン市長は市長決定書を出し、市中で営業するモダンマーケットはすべて2016年6月1日からプラスチック買物袋を客に渡してはならないという禁令を定めた。
生活環境森林省ごみ処理局長によれば、6月6日から開始された第二次トライアルの中では、初回のような業界団体とプラスチック買物袋の価格を協議するようなことはせず、価格は各地元自治体に一任される。加えて、先に出されていた有料袋の売上の一部を地元の環境保護に使うという案はご破算にし、売上は全額を各店の収入にするようにせよ、との指示を出した。地元自治体とその管理下にある地元商店の間で売上金の綱引きが起こり、肝心の有料化が暗礁に乗り上げることを避けるための配慮と見ることができる。
生活環境森林省は最終的にプラスチック買物袋有料化を大臣規則として法制化する意向であり、とりあえずは6月6日にトライアルを全国展開することに関する回状を出した。大臣規則は最終的な形態を業界や消費者団体など諸方面と協議した上で出されることになり、回状はそれまでのつなぎという位置付けになる。