インドネシア通信メディア情報2015〜16年


「海賊版ソフトに仕込まれるマルウエア」(2015年1月6日)
インターネット利用者が増加するとともに、そのシステムを損ない、よこしまな利益を得ようとする動きも活発化する。IDCとシンガポール国立大学の公表によれば、アジアパシフィック地域の企業はマルウエアをメインにするサイバーアタックに対するさまざまな処置と措置に2千3百億米ドルを支出しているとのこと。そして世界中を飛び交っているマルウエアの発信源のトップスリーは中国・アメリカ・インドネシアだと言われており、インドネシアは堂々世界第三位につけているということのようだ。
インドネシアがどうしてそこまでスゴイ国なのかと言うと、それはインドネシアの文化に関わっている。無形資産は個人が所有権を主張するものでなくコミューナルな誰もが使ってよいものだという基本観念がインドネシア人の常識の中にしみついており、現代文明で常識になっているコピーライトに対する尊重意識がいまだに薄い。結果的に、「無形資産に金を払う」という思想に納得できず、盗めるものは盗もうとする姿勢が違法コピー撲滅を困難にしている。コンピュータソフトウエアも同じだ。消費者の多くがそういう観念にとらわれているから、コンピュータ販売者も違法コピーでコンピュータを動かそうとし、おまけにサービスとしてさまざまなソフトを違法コピーでインストールする。よこしまな人間がそういう仕組みを利用しないわけがない。マルウエアを隠しこんだ違法コピーソフトをその世界に流し入れてやれば、コンピュータ販売者はせっせと世の中にマルウエアをばら撒いてくれるのである。
マイクロソフトインドネシア社長は、インドネシアで流通しているソフトは8割以上が違法コピーだ、と言う。おまけに、そういう違法コピーは百パーセント、中にマルウエアが仕込まれている。マルウエアの多くはユーザーIDやパスワードを盗むためのもので、その次には使用者のプライバシー領域内に踏み込んでくる。
IDCとシンガポール国立大学の調査結果では、11カ国で販売されていた203台の違法コピーOSを使った新品コンピュータの61%からマルウエアが見つかっている。ボットネットが仕込まれていれば、コンピュータ持ち主の知らないうちに自分のコンピュータからサイバーアタックが世界中に噴出されることになる。
去る2014年10月16日に2014年法律第28号著作権法が制定された。この改定著作権法はインドネシア社会がインターネットへの依存度を深めている実態により近付くために改定されたものだ。いまやインターネット利用者は9千万人に近付いている。改定著作権法に則した法執行を行なうために首都警察はマイクロソフトインドネシアと2014年12月17日に協力合意覚書を結んだ。


「精神革命に子供も加えよ」(2015年2月2日)
2014年12月27日付けコンパス紙への投書"Revolusi Mental pada Anak Lewat Iklan Layanan di TV"から
拝啓、編集部殿。テレビ広告は子供たちの興味を引き、また子供向け番組の合間に放送されるので、多くの子供たちがその宣伝に呑まれています。しかし残念なことに、その広告はすべて商業目的のものです。国民に精神革命を呼びかける政府がテレビ広告を利用するチャンスがそこにあるのです。
わが国の子供たちが家にいるとき、かれらの時間のほとんどがテレビを見ることに費やされているのは否定できません。それどころか、親が子供に語って聞かせていたおとぎ話は、親がますます仕事で多忙になっているため、テレビが代わりを務めているのです。
実業界がテレビ広告で精神革命プログラムを積極的にサポートするような政策を制定するよう、情報通信省にお願いします。たとえば、各テレビ局が子供向け宣伝の中に精神革命プログラムを支持するような内容のものを加えるといったことです。
読書の習慣を身に着けるよう呼びかけたり、宿題を忘れずにしようと注意したり、親や先生を尊敬したり、正直であることの勇気を持つよう勧めるといったようなことがらです。子供たちに人気のある番組の合間にそういったテレビ広告を放送することで、子供たちの意識にモラル観念が一層深く植え付けられていくのです。[ ヨグヤカルタ州スレマン県在住、アドリアヌス・スギアルタ ]


「ガワイ」(2015年3月10・11日)
日本語でガジェットとは「デスクトップ上などで動作する小規模なアクセサリーソフトのこと」と定義付けられているが、英語のgadget の場合は特定の機能を持つマシーンのような小型ツールで、往々にして目新しいものと位置付けられる物と定義されており、どうやらソフトではないようだ。インドネシアではノートブックやネットブックあるいはタブレットやスマートフォンなどの総称としてかつては英語のままのgadget が用いられていたが、最近はインドネシア語化されてgawai がそれに当てられている。要は、インターネットにアクセスするための媒体ということのようだ。
ガワイという単語はプガワイ(pegawai)という使われ方が一般的で、従業員を意味するpegawai の語根がこのgawai であり、「働く」という意味を表しているのだが、「道具」というあまり使われていない意味もあり、gadget に当てるために埃を払って世に再出現してきたという印象が感じられる。
インドネシアの子供たちはたいていガワイを持っている。一個数百万ルピアもするガワイが子供のお小遣いで買えるわけがない。子供は仲間がみんな持っているのだから、自分が持っていないと肩身の狭い思いをする。子供にいつまでもぐずぐずねだられたくない親、それを買ってやったほうが余所でおかしなことをしないだろうと考える親は、自分の一ヶ月の収入を超えていても、それをホイホイ買ってやるようだ。インドネシア社会が持っている子供に対する優しさ、言い替えれば甘さ、をそこに感じるのはわたしばかりではあるまい。何しろ、インドネシアでは甘やかしが愛情なのである。子供に何かをねだられると親は負債を感じるそうだから、インドネシア風親子関係というものの感情的な部分はきっと世界でも特殊な部類に入るのかもしれない。
世間でいろいろ取り沙汰されている小中学生のオートバイ通学も同じで、運転免許証取得可能年齢に達しない子供たちが乗っている二輪車は、どうやら親が子供に買い与えているケースが多いらしい。つまり子供は親や兄姉のものを借りて乗っているというよりも、自分のものを持っているというのが普通であるように思われる。この子供への親の盲愛は、親が子供の無免許ライディングを承知しており、おまけにそれをサポートする形で子供に違反行為の実践を勧めているという見方ができるにちがいない。これも子供が肩身の狭い思いをしたくないために親にせっつくので、親は子供への負債感情から自覚もなしに子供を無法者に育てているという態をなしているわけだが、法規不服従社会というのは畢竟こういうものなのかもしれない。
二輪車を無法運転する子供たちは、交通事故や二輪車強奪の被害を蒙りやすい。まったく同じように、ガワイを手に入れた小中学生がポルノに染まっていくという被害も多々報告されている。
中学生くらいになれば、早くもインターネットで情報を探す宿題が与えられることもあり、ガワイを抱え込んで没頭している子供の近くに寄ったら、勉強していると思った子供が見ていた画面には男女交歓の図が映っていたという話は枚挙に暇がない。聞き分けがよく行儀の良い7歳の男児があるとき、男女交合を意味する卑俗な言葉を口にしたのに驚ろかされたとその子の母親が物語った。その家庭は構成員のだれひとり、そのような言葉を口にする人間がいないことから、母親は息子がインターネットポルノに接触し始めたのではないかと疑った。母親は内心の驚きと不安と怒りを隠して息子にガワイで何を見たのかを話させ、その推察が当たっていたことを知った。いまだに自分が何をすれば息子をその世界から救出できるのかわからない、と涙ながらに語る姿は、ガワイが持つ両刃の剣を甘く見た自分への怒りを示しているようだ。
児童教育分野で活動しているキタ&ブアハティ財団が2,227人の子供を対象に調査を行なったところ、4〜6歳幼児の92%がポルノサイト・ビデオクリップ・シネトロン・小説その他の媒体を通してポルノに接触したことがあるという事実が明らかになった。そして子供たちのふたりにひとりは自宅の中でポルノを見ているのである。インターネットゲームにもコミックにも、ポルノチックな要素から完璧に免れているものはほとんどない。青少年へのポルノ蔓延や学校生徒が起すレイプ事件が増加している現実は、ポルノが充満する環境への深化と無縁でない。
南スマトラ州では、とある結婚式で8組の小学生男女がテーブルの下で性行為を行なっていたのが見つかっているし、獣姦行為も増加している。ポルノグラフィ中毒は視覚を通して脳に影響をおよぼす新種の麻薬だという認識が強まっている。鑑賞したさまざまな図が記憶脳に蓄積され、子供は性衝動に駆られてそれを発散させようとする。そのうちに脳が冒されて回復不能となり、世の中の規範から逸脱した異常者としての人生がその子を待ち構えているというのだ。
ポルノ中毒になった子供は喉が渇き、頻繁に水を飲んで頻繁に排泄する。妄想の世界に落ち込んで外界への反応が希薄になり、精神の集中力が衰える。会話するとき、相手の目を見て話すことを避けるようになり、プレステやインターネットを長時間もてあそぶ。学校の成績は急降下し、友人や仲間は固定的になる。
子供がポルノ中毒にかかったとき、親は決して怒ってはならない、とキタ&ブアハティ財団児童心理専門家はアドバイスする。「子供を受け入れ、赦し、子供と話し合うのだ。親は子供の養育パターンを変えなければならない。子供には適正な自尊心と批判的思考能力を持たせなければならない。子供の内面にあるアッラーの存在を強化するのだ。そして清い身体を結婚の日まで保つことの意味を子供と語り合うのだ。」
子供がポルノの悪影響を受け始めたとき、早急にそれを察知して子供への指導を強めなければならない。そのためには常に子供の状態に目を行き届かせることを励行しなければならない。子供への指導は学校の点数だけで、他の私生活には関心を持たないような親であってはならない。そのようなパターンの親は、子供のために自らを変革しなければならないのだ、とその児童心理専門家は述べている。
コンパス紙R&Dが2015年2月7〜8日にジャボデタベッ地区高校生234人から集めた統計によれば、日々の活動にガワイを持ち歩く者は86.3%いた。
質問1.毎日ガワイを何時間使っているか?
回答1.1〜3時間 27.8%、3〜6時間 40.6%、6時間超 31.6%
質問2.日常活動がガワイに影響されているか?
回答2.イエス 77.4%、ノー 22.6%
質問3.どのくらいの頻度でガワイをチェックするか?
回答3.しょっちゅう 24%、15分ごと 30%
質問4.ガワイを使う時間はいつか?
回答4.授業が終わったら 34%、夜 50%
質問5.情報や知識を何から得ているか?
回答5.ガワイ 81.6%、テレビ 15.2%、ラジオ 1.3%、新聞雑誌0.9%
質問6.ガワイの最新版を追いかけているか?
回答6.イエス 12%


「インドネシアのインターネットは遅い」(2015年3月13日)
アカマルドットコムがステートオブインターネット報告2014年第3四半期版で公表したアジア諸国のインターネットアクセススピード番付でインドネシアは11位だった。番付明細は次の通り。%は15Mbpsを超える利用者の比率。
1.韓国 25.3Mbps 66%
2.香港 16.3Mbps 37%
3.日本 15.0Mbps 33%
4.シンガポール 12.2Mbps 21%
5.台湾 9.5Mbps 12%
6.ニュージーランド 7.0Mbps 4.3%
7.オーストラリア 6.9Mbps 5.8%
8.タイ 6.6Mbps 2.8%
9.マレーシア 4.1Mbps 1.1%
10.中国 3.8Mbps 0.2%
11.インドネシア 3.7Mbps 0.9%
12.ベトナム 2.5Mbps 0.1%
13.フィリピン 2.5Mbps 0.2%
14.インド 2.0Mbps 0.5%


「消え行く音楽アルバム」(2015年3月27日)
録音媒体に収められた音楽はテクノロジーの進歩発展によって時代に取り残されてしまった。加えてインドネシアには海賊版という強敵がおり、録音音楽産業を浮き草のように頼りない存在にしている。そんなダブルパンチに見舞われたら、あっさりとノックダウンされるのが関の山だ。
昔はカセットテープが一般的だった録音媒体はCDに座を奪われ、CDもそのうちにデジタルファイルという形のないものに取って代わられ、ついには再生機器だけしか残らなくなってしまった。そんな流れの中で、音楽アルバムがいつまでも存在するわけがない。
インドネシア録音産業協会のデータによれば、カセットテープにせよ、CDにせよ、音楽アルバムの国内販売総数は次のようなものだ。数字は十万部単位。
1996年 775十万部
1997年 673
1998年 416
1999年 645
2000年 525
2001年 440
2002年 343
2003年 358
2004年 398
2005年 300
2006年 237
2007年 194
2009年 150
2010年 114
2011〜2013年 150〜200
2000年以降で、単一で売上部数が100万枚を超えたミリオンセラーアルバムには、次のようなものがある。
2000年 Sheila on 7 の Kisah Klasik Untuk Masa Depan 推定170万枚
2000年 Dewa 19 の Bintang Lima 推定170万枚
2000年 Jamrud の Ningrat 推定180万枚
2001年 Padi の Sesuatu yang Tertunda 推定180万枚
2001年 Slank の Virus 推定120万枚
2004年 Peterpan の Bintang di Surga 推定270万枚
2005年 Radja の Langkah Baru 推定130万枚
2010年 Indah Dewi Pertiwi の Hipnotis 推定200万枚
2011年 Agnes Monica の Agnes Is My Name 推定150万枚
2011年 Rossa の The Best of Rossa 推定140万枚
2012年 Noah の Seperti Seharusnya 推定120万枚
その後、100万枚を突破するアルバムは影をひそめた。そのレベルのCD出荷が記録されたのはハイパーマーケットやファーストフード店で景品に使ってもらうような戦略によるものであり、音楽録音媒体販売店でのものではない。


「宅配便の中味が盗まれる」(2015年5月14日)
スカルノハッタ空港カーゴターミナルでクーリエ小包みの中味を盗んでいた一味4人が摘発された。小包み名宛人から紛失の訴えがあったために捜査を開始した空港警察は、監視カメラに犯行現場が写っているのを発見し、犯人一味を特定した。そして26歳と25歳のふたりをそれぞれの自宅で逮捕したが、もうふたりは事態に勘付いて高飛びしたため、指名手配がかけられている。
逮捕されたふたりの供述から、その一味が行なった犯行は6回で、ノートパソコン・タブレットパソコン・携帯電話など電気製品を専門に盗んでいたことが判明している。


「2.5億総白痴化はテレビから」(2015年5月25日)
2015年1月8日付けコンパス紙への投書"Tayangan Televisi yang Semakin Membodohi"から
拝啓、編集部殿。有料テレビが市場でますます人気を得ているのは、決して不思議ではありません。娯楽のための番組だけでなく、教育的な番組も有料テレビは忘れずに放送しているのです。わたしはそれを実感しています。無料のテレビ局の中で、わたしが視聴したいと思うのはふたつしかありません。娯楽と教育が適度にバランスしていると感じられるからです。他のテレビ局はもう見る気もしません。有料テレビを見るほうがましだからです。
2014年12月13日のコンパス紙に報道されたように、シンガポールで開催された第19回アジアテレビジョンアワードで賞を得たインドネシアのテレビ番組がひとつもなかったのも当然です。インドネシア国内で毎日放送されているテレビ番組を見てごらんなさい。それはサバンからメラウケまで、子供から老人まで、きっと何百万人ものインドネシア人が視聴しているはずのものですが、教育的な要素などほとんどなく、視聴者が多いか少ないかというレーティングばかりを重視して作られている傾向の強いものではありませんか。
しばらく前には、セレブリティの結婚式が何時間も生中継されました。そして今度は、たいへんプライベートなことがらだというのに、セレブリティの出産が生放送の対象にされたのです。それも、中部ジャワ州バンジャルヌガラで起こった大規模な土砂崩れ災害で多くの被害者が出たできごとと隣り合わせで放送されました。
そのようなテレビ放送のあり方が一般国民の精神にどんな影響を与えるのか、テレビ局経営者には想像もつかないのでしょうか?国民の大多数はいまだに満ち足りた暮らしから遠いところにいます。そんなかれらに、セレブリティが贅沢を競う姿を見せ付けているのです。
もっとも効果的な通信メディアと放送産業であるテレビ業界にお願いします。番組内容をもっと厳選してください。収入が大きいという要素だけを規準にせず、国家社会に対する責任をもっと強めてください。そして、大人が楽しむための娯楽番組を幼い子供たちが一緒になって楽しむようなことが起こらないための配慮もお忘れなく。[ バンテン州南タングラン市在住、アンタニア・プルティウィ ]


「口承文化民族」(2015年5月29日)
インドネシア人の読書習慣、あるいは文章を読むことの度合いというのは、依然としてお寒い状況だ。調査によれば、インドネシア人の読書活動はひとり平均6時間/週だそうだ。これでは、文章を読むのは一日一時間に満たないことになる。あるいは一週間の中でまったく文章に接しない日がある、ということだろうか?
良く似たレベルにあるのはオーストラリア人で、一週間に6時間18分を読むことに費やす。香港人も6時間42分で、たいした違いはない。
反対に、インド人は一週間に10時間42分を読書にあてている。インドネシア人の二倍近いと言えるだろう。タイ人も立派で、9時間24分を文章を読むことに費やしている。中国人は8時間、フィリピン人は7時間36分といったところだ。
識字の状況を上の数値に足しこめば、読書時間の差はもっと大きなものになる。つまり識字者が文章に触れている時間の長さがもっと明確に推定できるようになるにちがいない。インドネシア人の識字率は93%だが、インド人の識字率は63%なのだ。つまり、インド人の識字者が費やしている時間はインドネシア人識字者の読書時間とは比べ物にならないくらい長いと言えるにちがいない。
コンパス紙R&Dが2015年5月13〜15日に国内12都市の最新電話帳からランダム抽出した563人から集計した回答は、次のようなものになった。 質問1.教科書以外に、ひと月のうちに本を何冊読みますか?
回答1.1冊未満(1冊が読み終わらない)28.4%、1〜2冊 28.2%、3冊以上 13.5%、読書はきらい(0冊)28.1%、不明・無回答 1.8%
質問2.読書の対象あるいはジャンルは何ですか?
回答2.は年齢別に区分されている。
<17〜24歳> 
小説・文学 27.4%、学術・知識 16,7%、宗教 13.1%、コミック 6.0%、ライフスタイル雑誌 7.1%、新聞 4.8%、歴史 3.6%、何も読まない 21.3%
<25〜34歳>
小説・文学 18.0%、学術・知識 19.1%、宗教 11.2%、コミック 7.9%、ライフスタイル雑誌 5.6%、新聞 15.7%、歴史 3.4%、何も読まない 19.1%
<35〜44歳>
小説・文学 10.3%、学術・知識 13.4%、宗教 26.8%、コミック 2.1%、ライフスタイル雑誌 8.2%、新聞 9.3%、歴史 0.0%、何も読まない 29.9%
<45歳以上>
小説・文学 7.2%、学術・知識 10.9%、宗教 26.3%、コミック 1.4%、ライフスタイル雑誌 4.4%、新聞 16.0%、歴史 1.7%、何も読まない 32.1%
識字ということがらについて、文字を認識しているから文章が読めるという即断が的外れなケースが時にある。識っている文字で綴られた単語まではなんとかわかるが、単語を並べて文章にしてあるものの意味が今ひとつ理解できない、というケースは間違いなく存在しているのだ。文字の認識から文章の読解に至る過程には、たくさんの文章に接することで訓練される能力が不可欠なのであり、読書嫌いのひとにはその能力が十分に涵養されない。口語的なシンプルな文章は読解が可能だろうが、複雑な文型やレトリックに満ちた文章に対面すれば弱点がもろにあらわれる。文字好き民族には実感の持ちにくいことがらであるかもしれない。


「ソーシャルメディアに警戒せよ」(2015年5月29日)
いまインドネシアで、国民の大多数が使っているソーシャルメディアが過激思想を宣伝する場に利用されている。ソーシャルメディアには内容をチェックしたり検証したりする機能がなく、さらに受信者側の選択の余地が小さい状態でメッセージが送られてくる。過激派集団はその特徴をたくみにつかんで、ソーシャルメディアでテロをばら撒き、思想の社会化をはかり、メンバーのリクルートを行なっている。インドネシアのインターネット利用者人口は多く、そしてソーシャルメディア参加者も厖大だ。2013年のフェイスブック参加者は3,540万人いる。インドネシアのインターネット利用者の65%はスマートフォンを使っている。
ソーシャルメディアで誰でも、非難や憎しみを内容とするメッセージをきわめて容易に発信できる。その内容が正しいかどうかの検証も必要がない。そしてそんなネガティブで信憑性が保証されないメッセージに人気が集まるようなことが起こる。実に驚くばかりの現象だ。そのようなことをしている者はひとにぎりにすぎないのだが、かれらはきわめて戦闘的で意欲も高い。そして、往々にして大勢のフォロワーがかれにつく。皮肉なことに、インターネット利用者の中に、特定個人やグループへのヘイト心理を煽ることを楽しんでいる者たちがいる。他人が災厄を蒙ることを喜ぶのだ。
「イスラム青年層とラディカリズムというコンテキストでインドネシアが直面している深刻な問題は、ソーシャルメディアを媒体にするラディカリズム運動をどのように予測するかということだ。たとえば、インターネットにアップロードされるISISのビデオがインドネシア人を引きつけて、かれらをISISに参加させる誘因になっている。」マアリフ研究院の調査員はそう語る。
マアリフ研究院リサーチ担当理事は更に「ソーシャルメディアにはまともでない発想が出現している。フォロワーの数が多い者がその世界でもっとも重要な人物だという価値観だ。そして、そのフォロワー数がどのようにできあがったのかということには関知しない。金や何らかの手段でその数が操作されていないだろうか?」と付け加えている。
ともあれ、この問題については穏健イスラムグループがスクラムを組んで、寛容・親愛・多様性・プルーラリズムなどの価値観を休むことなくソーシャルメディアに流していくような対応が必要だ。ラディカリズムというのはテロリズムに入っていくステップなのだから、そのような活動はきわめて重要なものと位置付けられる。マアリフ研究院の主催した討論会で、インターネットソーシャルメディアがインドネシア共和国統一国家の存立に危険をもたらしている現状について、発言者たちは上のように主張した。
対抗手段として穏健派も同じようにソーシャルメディアに穏健イスラムの思想を宣伝しなければならない。なぜなら、一部国民がラディカリズムの男らしさや強さを前面に押し出した宣伝を受け入れてその思想に凝り固まる前に、穏健なイスラムの優れている点を宣伝して、青年層がラディカリズムにのめりこまないよう努める必要があるからだ。なぜなら、一度過激で急進的な思想を身に着けてしまうと、その思想を抜き取って別の思想に入れ替えるようなことは、容易にできるものではないからだ。


「インドネシアCNNが放送を開始」(2015年6月1日)
世界中に放送網を張り巡らしているCNNインターナショナルがインドネシアでインドネシア語版の放送を開始する。とは言っても、CNNが直接進出してくるのでなく、その中味は百パーセントインドネシアのものだ。世界のニュースリーダーを看板に24時間報道体制を誇るCNNの方針をそのまま受け入れてインドネシアのCNN作りに取り掛かるのはトランスコーポレーション。トランスコープはニュースTVとしてドゥティッ(Detik)TVを持っているが、そのドゥティッTVがCNNの受け皿となる。
CNNインドネシアに衣替えするために、ドゥティッTVはいまおおわらわだ。CNNのスタンダードを満たすための社員教育から、全国40ヶ所にニュースセンターを設け、7百人を新規リクルートしてその養成にかかっている。
CNNと提携してローカルCNNを設けた国は既に三つあり、インドネシアは四番目の国だそうだ。チリ、トルコ、インドがその三つ。準備が順調に進めば、インドネシアCNNの放送開始は2015年6月になる、とトランスメディアCNNインドネシアのコミッショナーは述べている。


「下劣なインドネシアのTV番組」(2015年7月7・8日)
インドネシア放送コミッションが2015年3〜4月にはじめて行なったテレビ局放送番組クオリティ調査で、全体のインデックス値は平均3.25ポイントとなった。優良番組の標準インデックス値は4.00とされているため、インドネシアのTV番組はクオリティのよくないものが目白押しになっていると言うことができる。
現在15テレビ局が放送しているのは9千番組あるが、その中からニュース・シネトロン/FTV/映画・バラエティショー・トークショー・宗教・文化/観光・インフォテイメント・コメディ・子供の各カテゴリーに沿って抽出した45番組について、全国9大都市の居住者810人から集めた回答から得られたのが上のインデックス値だ。この調査のエラーマージンは13.8%、信頼度は95%であるとコミッションは表明している。
810人の回答者は学歴高卒以上で、職業は主婦・教育者・民間団体活動家・大学生・宗教界賢人・青年著名人・アダッ界有力者・社会的有識者・官僚・報道従事者・民間会社員・国軍/国家警察所属員・国会議員の各カテゴリーに該当する者となっている。回答者は調査対象とされたTV放送番組を5段階スケールで評価し、優れた番組である場合は4.0ポイントを下限とするよう指示された。
カテゴリー別に見ると、宗教と文化/観光の分野でインデックス平均値がそれぞれ4.10と4.09になっているが、他の分野はすべて4.00を下回っている。ボトムスリーになったカテゴリーはインフォテイメント2.34、シネトロン/FTV/映画2.51、バラエティショー2.68。
放送コミッション長官は2002年法律第32号「放送法」に定められている放送事業の目的に言及し、低評価を与えられた番組には目的の中の「篤信的自律的な民族の容貌・アイデンティティ・性格の形成に資する」という面が弱いためだ、と指摘した。放送法には放送事業の目的として「暴力・セックス・超常性・ホラー・神秘性などを排除し、マイノリティ個人やグループを尊重し、多様性を捧持する民族的容貌・アイデンティティ・性格の形成に資する」ことがそのひとつに挙げられている。
そのような面の全く欠如した、明らかに放送事業の目的から外れた番組が流され、一般大衆は大勢がそのような番組を喜んで視聴している。それはきわめてジレンマに満ちた状況だ、と長官は続ける。「テレビ局がこれまで行なってきた、オーディエンスシェアやレーティングといった量的な物差しだけを頼りにする番組制作の結末がそれだ。コミッションが今回行なった調査は、そのような視聴率を測るサーベイとはまったく異なるものであり、量的なことがらでなく質的な評価を目的にしている。」
TV局の番組制作姿勢は特定サーベイヤが報告する視聴率あるいはレーティングのみを金科玉条にしてきた。その結果視聴率を高めることだけに焦点が当てられ、クオリティがないがしろにされてきた。番組制作の中にクオリティ面の視点をもっと取り入れさせるのがコミッションの使命であり、コミッションはまず全国のTV広告会社に対してこの問題の啓蒙を進め、社会責任の観点からかれらがクオリティの優れたTV番組制作と国民への社会告知を進める運動を駆動させていくよう働きかけていく考えであることを、コミッションの今回のサーベイに協力したインドネシア通信学士会事務局長は述べている。
それに関連して学術教育界からも、TV放送番組の現状は国民生活に害悪をもたらす要素が多分に含まれていることが指摘された。インドネシア大学通信科学修士課程教官は「メディア界は国民生活に有益な番組を、それがたとえ低視聴率であろうとも、放送する社会責任を負っている。」と語る。メディアの責任は、国民に有益な情報を提供し、国民を賢くすることにある、との弁。
「一方、視聴者国民はメディアへの対応姿勢をもっと研ぎ澄まし、善悪の観点を保持することを忘れず、批判的な姿勢を強めていくことが期待されている。親・教育者・社会共同体・メディア自身が、TV放送される番組のクオリティコントロールを行なう社会責任を負っているのだ。視聴者が低クオリティ番組に目を向けなくなれば、おのずと淘汰が発生する。」
西ジャワ州バンドンのパラヒヤガン大学文化哲学教授は、現実にはTV放送界の中で視聴率競争から番組クオリティ向上への意識変革は起こり始めている、と語る。しかし依然として高視聴率を金科玉条の最大優先課題にしているTV局は、ゴシップ・娯楽・底の浅い情緒的な物語など、低階層国民までもが容易に楽しめるものを通してセンセーションを売り続けている。
「インフォテイメント・シネトロン・バラエティショーが低クオリティであるのは、そういう必然性の帰結だ。それらのカテゴリーは視聴者数が圧倒的に多い。これはたいていの発展途上国に見られるクラシックな問題なのだ。TV放送番組のクオリティ向上は早急に着手されなければならない。さもなければ、愚民化プロセスがますます進行することになる。現実にそれは、国民の間で個人や所属集団のエゴイズムがどんどん強まっている現象があからさまに示している。たとえば、TV番組でセラブリティの贅沢の限りを尽くした暮らしを見せびらかしたり、あるいは喧嘩や諍いのゴシップを延々と取り上げて放送する。そのようなことは視聴者のエゴイズムを強化するだけであり、ポジティブなものをもたらさない。国民に与えなければならないのはもっとポジティブな価値観なのであり、他者と共存する国民生活のための賢さと教育が優先されなければならない。」
メディア監視機関研究員は現状の改善のために、政府は創造性の自由を保証しつつ、もっと基本的な文化戦略を構築しなければならない、と提案する。「検閲のような後ろ向きのことは絶対あってはならず、健全な創造性を伸ばして行く方向での運動を進めることだ。われわれは国民の嗜好にマッチした創造性が国民教育を図りながら民族文化のレベルを高めて行くことを切望している。インドネシアのTV番組内容が低劣であるのは、たとえば有名人の離婚ゴシップニュースを大々的に取り上げるような点を見ればすぐにわかる。おかげで国民は離婚がノーマルなことだという印象を持つようになる。暴力関連の放送にも同じことが言える。TV番組のクオリティ向上は緊急で深刻な問題だ。その手始めとして放送コミッションは、国民からの低クオリティ番組に対する苦情受付窓口を設けてはどうだろうか?またすべてがジャカルタに本部を置いているTVメディアのコングロマリット従属状態を分解することも必要だろう。政府は国民のメディア意識を今よりもっともっと高めなければならない。」
クオリティのより優れた番組を制作して放送しているTV局がちらほらと出現しはじめてはいるが、古参TV局のほとんどは国民総白痴化番組を流し続けている。それが国民の実態を反映しているものである以上、国民への動機付けが不可欠なものとなる。インドネシアの国民生活のほとんどあらゆる面に見られるものと同じ現象がTV番組の世界にも見られるということなのだが、国民の精神面を変化させるという革命はいまだにその成果の萌芽すら感じさせてくれない。


「郵便公社が郵便網を拡張」(2015年7月8日)
国営郵便公社PTポスインドネシアは全国的に郵便網の密度を高めるために、民間に郵便代理店事業を誘う、一種のフランチャイズビジネスを続けてきた。その結果2014年には26,363の代理店郵便局が全国で営業しており、そこで扱われている郵便物取扱だけで1千8百億ルピアのビジネス規模に成長している。
26,363の代理店郵便局は64%がジャワ島に集中しており、公社は外島でのネットワーク拡大を2015年のテーマに据えた。特にまだあまり手の届いていないカリマンタン・スラウェシ・パプアが重点目標地区とされている。カリマンタンに設けられた代理店郵便局は66、スラウェシとパプアの両地域に至っては、全体で50に満たない。だから今年の新設目標は2,310ヶ所となっている。ほぼ半年が経過した現在、1,032の代理店郵便局新設が目標達成の足場を固めているところだ。
公社から代理店郵便局の指定を得るためには、郵便局としての作業を行なうための諸設備機材に8百万ルピアの投資が必要で、また公社へのデポジットとして5百万ルピアを拠託しなければならないから、初期投資は1千3百万ルピアあれば可能だ。但し、郵便事業として公社が行なっている郵便物取扱と金銭取扱のすべてをこなしている代理店郵便局はまだ2,600しかなく、代理店郵便局事業の難しさをその数字が物語っているようだ。


「商業映画海賊サイトがブロックされる」(2015年8月27日)
国産映画の著作権保護に違反しているインターネットサイト21件に対して政府通信情報省がブロック措置とアクセス制限をかけた。インドネシア映画制作者協会が違反者を訴えたのが15年8月15日。そして法務人権省が通信情報省に宛てたリコメンデーションにもとづいて21件のインターネットサイトがブロックされたのが8月18日という、ビューロクラシーにどっぷりと覆われたインドネシアで稀に見るスピーディな行政対応が起こったようだ。通信情報大臣はそれについて、「報告を受けてから、問題のサイトにブロックをかける前にすべてチェックした。インドネシアの芸術家を保護することが目的だ。かれらはたいへん大きい損害を蒙っている。届出が早ければ早いほど、対応も迅速に行なわれる。」と語っている。
通信情報省が行なっている違法ネットサイトの強制閉鎖は「著作権」に関する2014年法律第28号と2015年7月2日に出された法務人権相と通信情報相の共同大臣規則に則したもの。著作権や他の電子システムに関連する権利に違反するコンテンツや利用者アクセス権の閉鎖実施プロセスがそこに定められている。今回の措置でブロックされたサイトは次の21件。
1)ganool.com
2)nontonmovie.com
3)bioskops.com
4)ganool.ca
5)kickass.to
6)thepiratebay.se
7)downloadfilmbaru.com
8)ganool.co.id
9)21filmcinema.com
10)gudangfilm.faa.im
11)movie76.com
12)isohunt.to
13)cinemaindo.net link to bioskop25.net
14)ganool.in
15)unduhfilm21.net
16)bioskopkita.com
17)downloadfilem.com
18)comotin.net
19)movie2k.ti
20)unduhmovie.com
21)www.21cinema.com


「切手は収集家への売り物」(2015年9月4日)
2015年3月18日付けコンパス紙への投書"Kebijakan Pos Indonesia tentang Pemakaian Perangko"から
拝啓、編集部殿。わたしは切手収集者であり、もう長い間郵便サービスを利用している者です。15年3月7日のコンパス紙11ページに掲載された「切手は時代に反逆する」という記事を読んで、くすぐったい感情にとらわれました。
その記事に掲載されたインドネシア郵便会社委託事業フィラテリ担当副社長のコメントを下記します。「企業もまだたくさん、物品や信書を外国に送るのに郵便サービスを利用しています。切手はインドネシアを宣伝するメディアとなりうるのです。・・・」
国内の書留郵便物にはレジスターラベル、国際郵便は切手を貼るという方針が数年前に廃止されていることを思えば、そのコメントはとても皮肉な内容です。切手収集者にとって、Rラベルや種々の切手は本当に価値を持っているものなのですから。
郵便物受取人、特に外国の切手収集者にとって、郵便物に貼られたさまざまな切手は発送者の国のアイデンティティを示すものであり、またその国の宣伝にもなっているのです。国内の書留郵便は廃止されました。郵便局職員は速達郵便(Kilat Khusus あるいはEkspres)を使うよう消費者に奨め、国際郵便にも切手を貼らないように誘導します。外国向け書留郵便には、郵便料金スタンプシートが貼られるだけです。
インドネシア郵便会社は切手を廃止する意図はなく、存続させるようにしていますが、その一方でこの国有会社は国内書留郵便を廃止し、国外向け書留郵便には一片の料金スタンプを貼り付けるだけという方針を実行しているのです。[ 東ジャワ州マラン在住、ヴィタ・プリヤンバダ ]


「スマホ使用は一日5.5時間」(2015年9月11日)
インドネシアの都市居住者のインターネット利用状況に関する最新サーベイ結果をグーグルが報告した。サーベイはグーグルとGfKが共同で行い、2014年11月から2015年2月までジャボデタベック・バンドン・スマラン・スラバヤで2千5百人に対する面談と協力者6百人のスマートフォンにアプリケーションをインストールする方式で行なわれた。
インドネシアのネット利用者のほとんどがスマートフォンを媒体にしていることは変化がない。面談者の61%が平均ひとり一日5.5時間をスマートフォンでのインターネットアクセスに費やしていることが明らかになった。また利用者は16アプリケーションとモバイルウエッブを一日平均46回使用していた。検索サイトの利用頻度はきわめて高く、ネットショップサイトに入る前にさまざまな関連情報を検索サイトで調べているのが普通であり、ページを開いてその内容に満足できなかったとき、ふたたび検索サイトに戻って競合同業者のサイトを探すような使い方がなされている。若者がほとんどを占めているインドネシアのネティズンの間では、「何かわからないことがあれば、グーグル爺さん/婆さん(Mbah Google)に聞け」という言葉が定着しているそうだ。もはやドゥクン(Mbah dukun)の時代ではなく、超能力を身に着けた物知りの年寄りに検索サイトを擬人化して時代の変化を主張している。なお、ネットショッピングは旅行関連・衣服・ヘアケア製品がトップを占めている。
かれらは寝ている時以外、スマートフォンを常にオンにしており、使用密度は就寝前に最大になる。ネットアクセスは娯楽サイトが最大で、ソーシャルメディア・ネットショップ・ネットサーフィンといった順位になっている。インターネットを生産的な用途に利用している者は18%だけだった。


「宅配便小包みが消え失せる」(2015年9月18日)
2015年4月17日付けコンパス紙への投書"Paket Kiriman Dihilangkan"から
拝啓、編集部殿。わたしはNCS社の宅配便サービスをよく利用していますが、最近、たいへん失望させられました。2015年1月19日8時半、わたしは東ジャカルタ市チジャントゥンのスリレジュキ通りのレッノ・アンバルワティさん宛てに小包みをふたつ発送しました。ふたつとも小包みには受取人の電話番号を記載しています。
ところが、先方に届いたのはひとつだけでした。それでわたしは、届けられなかった小包みを至急わたしに返却するよう、西ジャカルタ市スリピのカタムソ准将通り7番地にあるNCS本社に手続きを取ったのです。
わたしからの問い合わせにNCS担当者のアイダさんは、「待ってくださいね。今確認したばかりだから。」という回答しかくれず、その後の問い合わせに対しても「焦らずに、待ってください」と言うばかりでした。そして結局最後になって、「あなたのお尋ねの小包みは回収することができません。あまりにも時間が経過しているため、保険金の賠償も支払えません。」というのが最終回答だったのです。
紛失してしまった小包みには、夫からのプレゼントが入っていたのです。このできごとはわたしを深い失望と悲しみのどん底に突き落としました。涙以外、わたしになす術はありません。NCSはビジネスを行なっているだけなのでしょうが、消費者を失望させているのです。[ 中央ジャカルタ市ガンビル在住、エンダン・サイェクティ ]


「実用書を好むインドネシア人」(2015年9月23日)
口承文化民族の伝統はいまだに根強いものがあるが、読書愛好者も増加傾向にある。インドネシア人の読書傾向について、コンパス紙R&Dが2015年8月19〜21日に全国12大都市住民689人に電話インタビューして集めた統計が公表された。
問1)最後に読書したのはいつですか?(教科書を除く)
答1)一週間以内37.7%、一ヶ月以上前11.9%、一ヶ月前6.1%、2〜3週間前5.4%、忘れた15.7%、不明無回答23.2%
問2)ここひと月間にあなたが読んだ書物のカテゴリーは?
答2)ノンフィクション(ビジネス・伝記・モチベーション・心理学等々)49.8%、フィクション(コミック・小説・短編・詩等々)18.6%、宗教経典0.7%、忘れた6.5%、不明無回答24.2%


「携帯電話番号オーナーの登録方式に変更」(2015年10月13日)
携帯電話のプリペイドイニシャルSIMカードをアクティブにする際に、購入者のアイデンティティを携帯電話オペレータに登録しなければならない。ところが購入者が直接オペレータに自分のアイデンティティを登録してもそのデータ検証は不可能に近く、犯罪の中で携帯電話が使われても捜査の役に立たないことが多発しており、制度の改善が求められていた。通信情報省はその手直しを行い、アイデンティティ登録は必ず販売者を通してオペレータに届け出る形に変更されることになった。新登録システムは2015年12月15日から開始される。
販売者もしくは販売店は自分のアイデンティティ番号を与えられ、SIMカード販売時に購入者からアイデンティティデータをもらうと、それと自分のアイデンティティ番号を一緒にしてオペレータに届け出るようになる。それはつまり、SIMカードをアクティブにするのはそのSIMカード販売者でなければならず、おまけにそのSIMカード販売者はオペレータから公認された者あるいは店でなければならない、ということを意味している。
オペレータに登録されるプリペイドSIMカードオーナーの個人データは「テレコミュニケーションサービス利用者の登録」に関する2005年通信情報大臣規則第23/M.KOMINFO/10/2005号のまま変更はない。KTP/運転免許証/パスポート/学生証に記載されている番号・名前・誕生日・出生地・住所がその必要データだ。一方、販売者のアイデンティティ番号は、営業地の州・県市・郡がその番号からわかるロジックが用いられる。
言うまでもなく、今回変更された新登録方式は15年12月15日以降にアクティブにされるSIMカードが対象であり、今現在国内で使われている3億番号への影響はない。それはつまり、これまで犯罪に使われた電話番号は依然として悪用されるがまま継続することになり、犯罪抑止も犯罪解決も期待できないということを意味している。おまけにインドネシアで当たり前のように行なわれている個人データ売買に関しても、新方式のスタートによって売買に関与できる潜在性を持つ者が大量に増加するのが確実であり、オペレータ各社はそのようなことを行なった販売店を取引停止処分にすると言明しているものの、それで個人データ闇売買を抑止できるかどうかは想像に余りあるにちがいない。


「コミック市場」(2015年10月28日)
日本のマンガ出版界がインドネシア市場をターゲットにした販売拡張競争に入っている。若年層が減少している日本市場の将来性と、15〜44歳人口が1億2千万人いてデモグラフィボーナスが照準内に入ってきているインドネシアを天秤にかければ、ヒト・モノ・カネの注ぎ込み先がどこになるかは言わずもがなにちがいない。
インドネシアのコミック市場は、昔からニッポンマンガの翻訳モノが小型単行本サイズで廉価に販売されてきた。このマーケットはきわめて価格にセンシティブであり、一冊1万5千から2万5千ルピアという価格を維持するのに、インドネシアの出版社は必死になっている。だから出版社はできるかぎり多くのタイトルを市場に出して、小さく抑えたマージンを数で稼ごうとする。毎月百を超える外国産コミックがインドネシア語訳で市場に出てくるのはそれが原因だ。
2015年10月7〜9日にコンパス紙R&Dが全国12都市の電話帳からランダム抽出した521人に電話インタビューして得た統計によれば、インドネシアで17歳以上のコミック愛好者は40%いる。
「どこのコミックが好きですか?」という質問に対しては、性別で次のような回答が得られた。
[男性]
日本24.6%、インドネシア10.8%、アメリカ4.6%、その他1.5%、合計41.5%
コミックは嫌い52.3%、不明無回答6.2%
[女性]
日本20.4%、インドネシア12.9%、アメリカ6.5%、その他1.1%、合計40.9%
コミックは嫌い52.7%、不明無回答6.4%
そんな中で、インドネシア人漫画家の作品が日本語訳されて市場に出た。デジタルカタパルト社がイス・ユニアルト氏の作品「ガルーダヤナ・サーガ」を電子コミックで発売した。他にも何人か、グローバル市場に打って出ようとするインドネシア人コミック作家がいる。
外国産コミックが市場のマジョリティを占めているインドネシアで、インドネシア人コミック作家の生活は楽でない。外国産コミックは欧米モノが数えるほどしかなかった時代にはベストセラーを生むコミック作家が何人もいたが、市場がニッポンコミックに占拠されるようになってからベストセラーを生んだ作家は発売後ひと月間で3万5千部が売れたベニー&ミチェが嚆矢だろう。
インドネシアの出版業界オブザーバーは、インドネシア産コミックが国内で伸びていかないのは、決して作家の力量が劣っているからではない、と力説する。弱点は出版社がプロモーションを行なおうとしないからだそうだ。大手は外国産の著作権所有者から翻訳出版権だけを得て国内市場に流す。動画やキャラクターのアメニティ商品あるいはゲームなどの国内マーケティングは外国の著作権所有者から現物を買わなければならない。総合的なマーケティング戦略は存在せず、薄いマージンのためにコストをかけてまで・・・というムードが関係者を支配してきた。国産コミック作品が増えてきた今も、出版界は既に習慣化した作法を踏襲しているだけだ、とオブザーバーは言う。
作品の販売部数があまり伸びず、おまけに日本のようなページレートの制度がないために作家が得る収入はおのずとロイヤルティだけになる。出版業界はインドネシア人コミック作家に10%のロイヤルティを与えて優遇しているが、作家が受取るロイヤルティは15%の税金が源泉徴収されたあとだ。そして政府は2015年8月から書籍販売にPPN(付加価値税)を課すようになった。当然店頭でのコミックの販売価格もアップし、価格センシティブな消費者のためらいを誘っている。


「TV番組は連ドラがトップ」(2015年11月12日)
インドネシアのTV視聴者は外国製TV映画シリーズがもっともお好みであることをニールセンメディアリサーチが報告した。18時0分から21時59分までのゴールデンアワーに11都市の視聴者が見ていたTV番組は、トルコ製連続ドラマが31分で最大、インド製連続ドラマは21分、インドネシア製は18分だった。ゴールデンアワーに放送されているインドネシア製連続ドラマは212タイトルあり、延べ時間の59%を占めた。
連続ドラマ番組は全放送時間の10%しかないにもかかわらず、視聴者の視聴時間の20%を占めている。
連続ドラマ番組は平均1.7レーティングポイント、スペシャル番組は1.2、映画と子供番組は1.1.娯楽番組は1.0、情報・ニュース・宗教・スポーツなど他の番組は1.0ポイントを下回ったとのこと。


「サービス業就労者の中にエゴセン男」(2015年11月23日)
2015年6月3日付けコンパス紙への投書"Kurir Marah-marah"から
拝啓、編集部殿。わたしはオンライン販売ビジネスを行っており、同時にオンラインショッパーでもあります。そのため、宅配サービスの利用は日常茶飯事です。
ところが今回はじめて、わたしは宅配サービスクーリエから不愉快な対応を受けました。そのJNEクーリエは、15年6月1日(水)10時5分に配達物を届けにわたしの住所を訪れましたが、最初からわたしに憤懣をぶつけてきたのです。かれがわたしに送信したSMSに返答しなかったというのがその理由でした。
わたしが受信SMSをチェックすると、かれからのSMSは9時55分に着信していました。わたしがそのとき携帯電話機を手にしていたのなら、もちろんSMSを読んでから即座に、かれに回答を送っていたでしょう。SMSで10分の間に返事がなかったからといって、ああまで怒るものでしょうか?ガルッ地区のJNEクーリエはみんな礼儀をわきまえ、親切で、顧客の満足を気にかけるひとたちばかりだったはずなのに。[ガルッ在住、アンガ・リアナ]
2015年6月17日付けコンパス紙に掲載されたJNEからの回答
拝啓、編集部殿。アンガ・リアナさんの不愉快な体験にまずお詫び申し上げます。当方はアンガ・リアナさんにコンタクトして、問題をクリヤーにするべく話し合いを行い、相互理解をもってこの問題を解決いたしました。
ご批判やご提案は当方カスタマーサービス担当者にご連絡ください。電話番号(021)29278888、eメールcustomercare@jne.co.idへどうぞ。[メディアリレーション部長、ヘンドリアンダ・プリマンティ]


「税関の国務遂行は郵便会社担当者次第?」(2016年1月13日)
2015年11月18日付けコンパス紙への投書"Isi Paket Kiriman Hilang"から
拝啓、編集部殿。2015年2月にわたしはアメリカにさまざまな品物をオーダーしました。注文品のうちのライターは、別々の小包に分けられた形で届きました。しかし、それぞれの小包の中身はいくつかが何者かによって抜かれ、ジャティヌガラ市場でそれが小売品の中に混じっているのをわたしは見つけました。
三ヵ月後、またアメリカから小包がふたつ届きました。ひとつは税関の封印がなされておらず、そしてまたまた、その小包の中身が抜かれていたのです。
わたし宛の郵送物の中身が一部紛失した事件に関して、国有郵便会社と税関が5月と6月に調査を行いました。国有郵便会社のシマトゥパンさんとムッリスさん、税関のカルトさんとヒマワンさんにそのときお会いしました。かれらは調査結果をわたしに連絡すると約束しましたが、この投書を書いている現在、連絡はいまだにありません。
わたしは国有郵便会社と郵便局担当税関にコンタクトするのに疲れてしまいました。わたしは国有事業体省に対し、国有郵便会社の体質を早急に改善してほしいと希望します。国外から物品小包が入ってくる窓口のひとつとして、国有郵便会社は全従業員とその業績に関して精神革命を行う時期に来ているのではありませんか?[西ジャカルタ市カリドゥルス在住、ジャヤ]
2015年12月14日付けコンパス紙に掲載された税関総局からの回答
拝啓、編集部殿。ジャヤさんからの11月18日付けコンパス紙に掲載された投書について、次のようにお知らせします。
国有郵便会社と当方が合同で行った調査の結果、次のことがらが確認されました。照会番号LC442562630USの郵便物はアメリカからバルク送付物として送られてきたものであり、アメリカを出た後の記録は作られておらず、したがってトレースすることもできません。また照会番号LC442562630USの郵便物は通関検査のために国有郵便会社から税関総局に委託される明細を記したPP22Aフォームにも記載されておらず、記録が残っていません。
国外からインドネシア国内に入ってきた物品はすべて関税その他輸入税の課税対象となり、その原則は郵便物であっても例外にならないことを書き添えておきます。
それら国外から国内に入ってきた物品が法規に合致したものであり、輸入禁止や他の規制対象物品に該当しないことを税関は判定しなければなりません。
今回の問題については、照会番号LC442562630USの郵便物は国有郵便会社から税関に通関検査が委託されておらず、通関プロセスと課税措置がなされませんでした。
その小包の内容物が紛失した問題は、百パーセント国有郵便会社もしくはその関連業者側の責任になります。[税関総局通関チュカイ法規税収局広報指導次局長代理、スゲン・アリヤント]


「スマートフォン輸入が急増」(2016年3月3日)
政府が公表した輸入抑制国内生産奨励方針とは裏腹に、携帯電話機輸入は増加する一途。
インターナショナルデータコーポレーション(IDC)報告によれば、2015年Q4のインドネシア向けスマートフォン国際取引は830万台にのぼり、対前年同期比14%のアップとなった。IDC上級市場分析員によれば、インドネシアの輸入者の多くは輸出者との契約が15年Q4から16年Q1にかけて期限を迎えるために、輸入者が輸入量を増やしたことが影響しているとのこと。その結果15年の年間輸入量は2,930万台となり、対前年比で17%アップした。
2015年のブランド別輸入状況を見ると、サムスンが相変わらず首位を独走している。
ブランド 台数(百万台) 2014年台数  アップ率
Samsung 7.3 6.8 7.5%
Asus 4.7 1.4 231.4%
Smartfren 3.2 2.6 23.7%
Advan 2.8 2.3 21.5%
Lenovo 1.9 1.4 31.3%
15年Q4にAsusは大量のZenfone GoとZenfone Selfieを輸入し、国内ストックの大規模な積みあげを行った。
中国勢もインドネシアでのビジネス獲得に力を注いでおり、15年Q4の中国製品輸入量は前年比で21%増加している。
政府の国内生産奨励方針は今その詳細が練られているところで、国内市場を席巻している輸入ブランドに国内生産を求める意向が表明されたが、そこにローカルコンテンツシェアの増大方針が織り込まれ、それに対応させてTiphoneは外注組立てへの移行態勢に入っており、製品輸入にブレーキがかけられている。組立てはLGインドネシアが行うことになっており、16年3月生産開始が予定されている由。
2015年7月7日に出された「LTEテクノロジースタンダードベースの通信機器のテクニカル条件」に関する2015年情報通信大臣規則第27号で、4Gスマートフォンのローカルコンテンツは20%以上と定められた。2017年1月1日からはそれが30%に引き上げられることになっている。


「郵便で二輪車も送れる」(2016年3月30日)
2015年9月11日付けコンパス紙への投書"Pelayanan PT Pos"から
拝啓、編集部殿。2015年8月22日(土)、わたしはオートバイを送るためにスマラン市イマムバルジョSH2通りの郵便局を訪れました。そのとき、郵便局内はかなり混雑していました。送付物受付窓口では、ひとりの職員の前に十人くらいのひとが順番などなしに入り乱れていました。
その混乱の中で数分待ち、自分の前が空いたので、わたしはオートバイをウォノソボに送るための料金を尋ねました。窓口職員は送り先住所の詳細・オートバイのモデルや付属品その他の内容を細かく尋ねてきました。それから電卓を使って計算し、費用はだいたい36万ルピア程度だと教えてくれました。
送付依頼用紙にデータを書き込み、STNKとKTPのフォトコピーを添付するように言われたので、それをするためにいったん窓口から離れました。必要な作業を済ませたわたしは、再度窓口の前に並びました。わたしの番になり、言われた書類を提出すると、その職員は用紙のデータをコンピュータに打ち込みました。ところが、そのプロセスにたいへん長い時間がかかったのです。ほとんど半時間待ちましたが、まだ終わりません。職員が言うには、入力データはインターネットで送らなければならず、今このコンピュータのインターネット接続はとても遅くなっているとのことでした。郵便利用者は後から後からやってきて、大きな段ボール箱や大量の封書などが持ち込まれます。結局その窓口にはもうひとりの職員がやってきて、溜まった郵便利用者を処理していきました。
わたしの相手をしていた職員は結局別のコンピュータに移動してデータ入力処理をやりなおし、しばらくして処理が完了しました。梱包前にオートバイの調子をチェックするため、別の職員がオートバイのエンジンキーを要求しました。
処理を終えた窓口職員はレシートをプリントし、費用合計は57万5千ルピアだとわたしに言いました。最初に言われた金額と違っているではありませんか。どうして突然そんな金額が出てきたのかとわたしは尋ねました。すると、郵便会社の決めた金額がそれであり、梱包費用も含めて57万5千ルピアになるのだという返事でした。わたしはたいへんがっかりしました。
一時間半も並んだ上に、こんな結果になって、わたしはとても不満でした。スマランからウォノソボへオートバイを送るのに、その金額では高すぎます。結局わたしは送付依頼をキャンセルし、郵便局経由でオートバイを送ることをやめました。料金が高くなったこともありますが、わたしは郵便局のサービスにとても不満を感じたからです。民間の運送会社のほうがはるかに確実なサービスをしています。
インドネシア郵便会社は社内をもっと整備し、顧客と直接相対する部署には優れた人材を配置してください。そして顧客が整然と並ぶようなシステムを設け、顧客を惑わす情報を出すのはやめてください。[ スマラン市在住、イスナワン ]


「完璧なデータ保護は不可能?」(2016年4月7日)
個人データを盗みたいハッカーたちの焦点は保健関連がトップであることをインターネット保安サービス機関トレンドマイクロが明らかにした。同社のリサーチによれば、世人は財務データが盗まれることを一番心配しているが、それは第5位でしかないそうだ。
「保健データはもっとも包括的であり、そして内容が深い。医療履歴からNPWP(納税者番号)、家族の健康状態など、一切がそこから得られる。」トレンドマイクロインドネシアのカントリーマネージャーはそうコメントした。
2015年には世界中でたくさんのデータが盗まれた。2月10日にアメリカの保険会社が8千万顧客のデータを盗まれ、数か月後には日本で年金機関から1百万件のデータが盗まれた。
データ盗難だけでなく、サイト侵入、データ搾取などインターネット犯罪は多岐にわたり、その目的も経済犯罪から威嚇、挑戦、イデオロギー宣伝、プライバシーを暴いて恥をかかせるといったさまざまなものが含まれている。不倫出会いサイトの中身を開いて公衆の面前にさらすことさえ行われた。中にはきわめて特殊なデータを探して回り、オンライン闇マーケットで高値で売買するような行為もある。
インターネット利用者は自分の個人データをどこにも記載しないのがもっとも安全であり、最大限の警戒をはらうように、とトレンドマイクロは警告している。先進国だからデータ保護のレベルが高いということでは決してない。アメリカ合衆国がデータ盗難で世界第一の被害国だという話しだ。インドネシアがどれほどのレベルなのかはよくわからない、とカントリーマネージャー氏は言う。インドネシアではデータ盗難が起こっても、それを届け出る義務付けがなされていないため、現実にどれほど頻繁に侵入が起こっているのかはだれにもわからないそうだ。


「女性よ、もっと自己啓発を!」(2016年4月11日)
インドネシア女性はデジタルをまだ使いこなせていない、とアクセンチュアが報告した。女性のインターネット利用は、自分が興味を持っていることがらの情報を探すことや社会交際の用途がメインを占めており、勉強や仕事の場で自己をもっと発展させるためのツールにまだなっていない。
デジタルがジェンダー対等性をどのようにバックアップできるかというポイントから女性のデジタルリテラシーに関する調査を31か国で行ったアクセンチュアは、調査結果がまったくパターン化を示さなかった5か国を除く26か国を順位付けた。その結果インドネシア女性は最低の26位となった。
また、デジタルを活用することで自分の職業にメリットが生じることを自覚しているかどうか、というポイントについてインドネシア女性は、26か国中の21位だった。
アクセンチュアは2005年以来、世界31か国で4千9百人の男女に対するオンラインサーベイを実施している。そして各国で働いている男性50人、働いている女性50人、無職の女性50人の最低150人に対してインタビューを行っている。インタビュー対象者はベビーブーマー、X世代、Y世代といった世代カテゴリーがカバーされるよう配慮されている。
インドネシア女性連合事務局長は、アクセンチュアの報告は実態の通りだと肯定した。テクノロジーの効用を理解している女子高校生大学生は、国内十大都市を合わせても2千人しかいない、とのこと。女性の間でデジタルテクノロジーに関する啓蒙運動はまだ沈黙したままだ。その牽引役を政府が買って出る必要があるだろう、との事務局長の弁。
ジャカルタ国立大学児童保護女性研究センター長は、インドネシア女性は自分で何かを読んでものごとを勉強しようという意欲がまだ弱い、と言う。「かの女たちはソーシャルメディアの利用者でしかない。せいぜい、ソーシャルメディアを通して品物を販売し、収入を得ようとするくらいだ。自分がソーシャルメディアを作ってみようと思うような女性はまだいない。」
アクセンチュア調査でも、デジタルリテラシーの高い国はたいてい小学校からインターネットアクセスを日常的に行い、ジャーナルやデジタルブックを読むことを普通に行っている。読書を面倒がってデジタルに飛びついた国民性は、たとえ小学校からインターネットアクセスを日常化させても、果たして同じようになるかどうか?


「ネット社会への深化」(2016年4月15日)
インターネットとデジタルコミュニケーションツールの爆発的増加は都市住民層の日常生活の様相を変えつつある。携帯電話機はもはや通信機器でなくなり、アプリ、ビデオ、ニュースへのアクセスツールの顔をメインに示すようになっている。2015年に国内で販売されたスマートフォンは3千3百万台にのぼった。
グローバルマーケットリサーチ機関GfKが発表したインドネシアのオンラインメディア市場に関するレポートによれば、インターネットとアプリの使用はひとり一日平均5.5時間になっているとのこと。インドネシアのスマートフォン使用者の58%がアプリを使っており、活発な利用者はアプリへのアクセスを一日に46回行っている。ソーシャルメディアへのアクセスは朝がもっとも多く、一日の19時間の間にアクセスが行われている。
また、回答者の81%が最新ニュースのフォローを緊密に行っており、その媒体になっているビッグ3はスマートフォン・TV・新聞である由。ただしオンラインニュースソースへのアクセスは、週日はあまり頻繁でなく、毎日熱心に行っている回答者は24%で、週末に行っている回答者は60%だった。平均すると、オンラインニュースソースへのアクセスは一週間に4〜6回というところ。
日刊紙からニュースを得ている者は、31%が宗教関連情報、29%がビジネス経済情報、26%が政治行政関連、23%が社会イシューを読んでいた。
このリサーチは2015年10〜11月にジャカルタ・バンドン・ボデタベッ・スマラン・スラバヤで実施され、スマートフォン使用者1,521人および13〜55歳のインタビュー対象者775人から回答が集められた。
どの分野へのアクセスが盛んなのかという点については、次のような結果が得られている。
娯楽 73%
社会問題 70%
政治行政 49%
スポーツ 48%
宗教 32%
科学技術 30%


「宅配便取扱輸入通関の罠」(2016年5月4日)
2016年1月2日付けコンパス紙への投書"Bea Masuk yang Tak Adil"から
拝啓、編集部殿。しばらく前、DHLがわたし宛てに小包を届けてきました。内容はレポート書類で、イギリスで行った3千4百万ルピア相当の検査プロセス文書と証明書です。その文書小包を受け取るとき、DHLは通関時に収めた1,310万ルピアの輸入関税とその他輸入税をわたしに請求してきました。イギリスで行われた検査と証明の費用が根拠にされているのです。しかし実際に輸入通関にかけられたのは、何の価値もないただのハードコピーペーパーでしかありません。
DHLは海外からの送付物に関して、100kg未満の重量のものはすべて、税関の査定に従って輸入関税とその他輸入税を代納する方針を採っていると説明しました。税関の価額査定と品目区分コード(HSコード)決定にミスが起こる可能性を認めた上でそうしている、と言うのです。
物品受取人にはそのようなミスに反論する機会など一切与えられないまま、そして支払金額の承認も求められないまま、支払いだけが受取人の知らないところで行われるのです。
そのようにしてなされた支払いを送付物の本来の受取人がDHLに清算するまで、送付物はDHLが質にとって受取人には渡さず、発送者への返送すらしてもらえません。DHLが一方的に決めているその方針で、わたしは大きな損害を蒙りました。わたしはDHLにその損害を弁償してもらいたいと思います。[ 南ジャカルタ在住、ダニエル ]


「往年のトップ辞典も哀しい末路」(2016年5月17日)
2016年2月19日付けコンパス紙への投書"Royalti Penerbitan Kamus"から
拝啓、編集部殿。Kamus Umum Bahasa Indonesiaの編者であるWJSプルワダルミンタの遺産相続人は、その辞典の出版者であるPTバライプスタカによって権利を侵害されていると感じています。
東ジャカルタ市マトラマンのブガ通り8番地を住所とするその出版者は今日に至るまで、2014年に既に印刷されて多数の書店で販売されている当該辞典第三版第十二刷に対する著作権ロイヤルティ支払いを怠っているのです。
わたしを含む遺産相続人側はPTバライプスタカにコンタクトし、同社従業員であるメリーさんとお会いしました。メリーさんは当該辞典を同社が印刷して流通させていることを認めました。その折りにメリーさんは、ロイヤルティ4千万ルピアを同社は支払う用意があり、支払いは遺産相続人代表者の口座に分割で入金すると表明しました。ところがこれまでにバライプスタカ社が入金したのは500万ルピアだけで、残りの入金予定を当方が尋ねても、同社は明白な回答を示さず、支払いを免れようとしている印象を受けています。
当該辞典が遺産相続人へまったく無断で再出版されたことに当方は大いに不満を感じていますが、それはさて置いて、当方はただ、既に合意のなされた当方の権利が満たされるのを望んでいるだけなのです。合意書についても、当方が出版者を訪れて強く要請したあとで、やっと作成されました。[ 南ジャカルタ市在住、ウィナルディ・プルワダルミンタ ]


「ネット上で子供を保護するために」(2016年6月23日)
情報テクノロジーを把握しきれないおとなと、インターネットに習熟していち早く身に着け、それを使いこなしているこども。子供たちに正誤善悪を教えて社会規範を身に着けさせるとともに、未成熟な子供たちが社会と関わるフェーズで子供たちを保護するべき務めを負っている大人たちが、バーチャル世界では異なる関係に陥っている。大人の責務がほとんど果たされていないのが現実だ。
そこに改善をもたらすために、インドネシアインフォメーション&コミュニケーションテクノロジーウオッチ(ICTウオッチ)が設立された。親や学校教員にバーチャル世界における実態と概念を指導することを目的としている。「親や教員たちは、サイバークライムというものがポルノサイトや過激思想サイトだけだと思っている。」と発起人は語る。
ICTウオッチは2015年12月にジャカルタ・スカブミ・チレゴンで165人のカウンセリング指導教員に対するサーベイを行った。インターネットの悪影響についてかれらの大半は、子供たちがガジェット中毒になること、子供にとってまだ不必要な情報にアクセスできること、などをあげた。「子供たちにとってインターネットの最大の危険は、かれらの知らない大人との接触が起こり、バーチャル世界でペドフィリアの被害者になることだ。次に、プライバシー侵害の被害者になるリスク。ソーシャルメディアに子供たちが書き込んだプライベートな情報が知らない人間に悪用される問題がそれ。センシティブな写真や個人データが盗まれて、世間に公開されたり、詐欺犯罪に使われる。三つめは、バーチャル世界で子供がいじめの被害者や加害者になるリスク。」
ICTウオッチの意図は、シマンテックインドネシアが2015年2月から2016年1月までノートンコンピュータセキュリティを通して1千人の親にアンケートした結果が裏書きしている。「うちの子供はソーシャルメディアや通話アプリで知らない大人とコンタクトしている」と180人が回答した。180人の中には、「子供が知らない大人と外で会う約束までしてしまったことを知って、慌ててそれを止めた。」と語る親が何人もいた。
子供がソーシャルメディアでいじめの被害者になった、と語る親は150人いた。ということは、加害者になった子供が何人もいるはずだが、加害者の親はそんなことをまるで知らない。つまり、そのポイントに関する回答はゼロだったということだ。
個人データが盗まれて悪用される問題、(集めた個人データが闇で売られている可能性もある)については、ネットサイトのサービス利用申し込みに際して利用者が個人データを記載しなければ提供者がサービスへのアクセスを許可しないというのが一般的な手続きになっている。それについては、提供者が利用者の個人データを完璧に保護することがなされなければならず、その義務と違反への処罰が明確に法律化されていないケースが多い。
また写真や個人データ、電話番号や自分が今どこにいるといった情報は、サイバークライムの被害を避けようとするなら、極力開示を控えるほうが安全だ。そのような対処方法を子供が自分の頭で考え出せるかどうか。親や身近な人間から子供への指導が望まれるところだ。
インドネシア大学人類学研究センターのソーシャルメディア研究者は、自分が知った話をみんなに分け与えようとする性向をインドネシア人は持っている、と言う。昔は口伝てかせいぜい電話だったから、話が広まる範囲は狭かった。ところが今は、ソーシャルメディアに載せれば瞬時に世界中に広まる。「ソーシャルメディア利用者は、自分の書き込みをコンタクト相手だけが見ていると思っているのが普通であり、世間一般もそれを見ていることを意識していない。」
テルコムセル社はいくつかの教育機関と協力して、健全なインターネット使用モジュールを開発し、全国の学校に配布しようと計画している。このモジュールを使うことで、子供が家や学校でインターネットを使う際に注意しなければならないことがらが指導でき、同時に子供がアクセスしたり発信した内容を監督することもできるそうだ。


「国有大企業の汚い手」(2016年7月12日)
2015年12月10日付けコンパス紙への投書"Pelanggan Bisnis"から
拝啓、編集部殿。わたしは主婦で、テルコム社の家庭用電話番号021−65220xxの顧客です。最近、わが家の電話機の顧客区分ステータスをチェックしたところ、テルコムカスタマーサービスから得た情報によれば、この電話番号は2003年以来、企業(ビジネス)区分に入れられていることが判明しました。
わが家はまったくただの一般家庭であり、わたし個人の名前で登録されているというのに。テルコム社ホームページでは、ビジネス区分に入るのは法人だけとされています。いったいどうしてわたしの電話番号がタリフの高いビジネス区分に入れられるようなことが起こったのでしょうか?テルコム社が顧客を扱うやり方って、こんな方法なのですか?
12年間もテルコム社は不正な方法でわが家の経済に負担を強いてきたのです。以前にも、わたしが申請もしなかった通話待機音楽を勝手に適用して、追加支払いを強制されたことがあります。大企業であるテルコム社は善良なるビジネス倫理を実践してグッドコーポレートガバナンスを示し、汚い方法で収入を増やそうとすることを避けなければならないはずです。「テルコムはずるい」と世人に言われないようにしなければなりません。
わたしが受けた損害を弁償してもらうために、わたしは何をしなければならないのでしょうか?面倒な手続きの手間がわたしに降りかかって来るのは間違いないでしょうけど・・・・[ 北ジャカルタ市在住、ヘニワティ・スパンディ ]


「インドネシアのスマホ利用者」(2016年7月21日)
「財布を忘れても、スマートフォンは忘れるな!」という言葉が常識になったインドネシア人は、既にスマホ中毒症状を呈しはじめている。朝目覚めると、まずスマホをオンにしてチェックするインドネシア人は50%を超えた。
ここ二年以内にスマホを新型機種に買い替えたひとは80%もいた、とマーケティングリサーチ機関マーズインドネシアが最新調査結果を報告した。この調査はジャカルタ・ボゴール・タングランのアカデミー以上の学歴を持つ18〜35歳住民209人を対象に面談方式で行われたもので、対象者の月間所得は250万から700万超に分布している。
スマホ買い替えの理由のトップは「新型機が欲しかった」31%で、続いて「使っていたものが壊れた」19.1%、「飽きた」15.3%、「より良い性能」12.9%、「時代遅れになりたくない」8.1%などで、人気の高いデザインを志向するひともいれば、デザインより性能を重視するひともいる。
スマホに関する不満の第一位は電池の消耗が早いことで、33.5%を占めた。二番目は検索サイトからのネットサーフィンに時間がかかること14.4%。そしてメモリー容量が小さすぎ12.9%、カメラ機能が不満足9.1%。それらの不満が持続する場合、ほとんどの回答者がこの先6カ月以内に買い替えたいと述べている。新型機種に関する情報は77.5%のひとが検索サイトを利用しており、他の人は友人などに尋ねている。
回答者が求めるスマートフォンの特徴については、97.6%が薄型ボディを選択している。そして四隅が曲線になっているものを67%のひとが好んでいる。また裏面が平坦であるのを好む人は85%いた。
ブランドは、たいていの回答者が国際ブランドを志向し、ローカルブランドはクオリティやフィーチャーが改善されているかどうかを問題にした。
現在、インドネシアの携帯電話利用者は1億5千万人と見られている。そして、往々にして、一台の電話機で複数の電話番号が使われている。インターネットサービスプロバイダ―事業者協会はかつて、平均してひとりがふたつの携帯電話番号を使っていると報告したことがある。セルラー電話通信オペレータによれば、テルコムセルは1億5千万番号、インドサットオーレドー6千5百万番号、エクセルアクシアタ5千5百万番号の利用者を持っている。
インドネシアのスマホ利用者は、まだ国際ブランドへの志向が強いものの、将来的には自分の求めるフィーチャーへの志向が強まって、クオリティが満足できさえすれば、ブランドへの傾倒は弱まって行くだろう、とインドネシア大学研究者は語っている。


「信頼できるニュースソース」(2016年8月1日)
インターネットが普及して来たおかげで、ニュースの速報性と多様性が高まっている。その現象は都市部で活発化しているものの、村落部ではいまだに在来メディアが優勢だ。コンパス紙R&Dが2016年3月31日から4月9日まで全国33州住民1千2百人から集めたアンケートから、次のような実態が明らかになった。
1.国民がニュースメディアに割いている平均時間
PC/タブレットでインターネット 4時間42分
スマートフォンでインターネット 3時間33分
インターネットソーシャルメディア 2時間51分
テレビ 2時間22分
2.各ニュースメディア利用者の都市部/村落部比較
テレビ 45.1%/54.9%
ラジオ 55.8%/44.2%
新聞 81.6%/18.4%
オンラインニュースポータル 68.7%/31.3%
ソーシャルメディア 71.7%/28.3%


「なんでこ〜なるの!」(2016年8月9日)
2016年1月13日付けコンパス紙への投書"Kiriman Terlambat"から
拝啓、編集部殿。2015年12月16日(水)9時5分、わたしはアタンブア向けにクリスマス用の衣装・靴・アクセサリー類の小包を、国有郵便会社代理店から発送しました。アタンブアの注文主はそれをティモールレステのディリーに転送するのです。郵便局係員は、小包は3〜5日で送り先に届くと断言しました。その品物は12月25日に使われるのだから、十分間に合うだろうとわたしは思いました。
12月22日にわたしが送り先に確認したところ、小包はまだ届いていません。その夜、わたしが発送を頼んだ郵便局に問い合わせたところ、送付プロセス中だという返事でした。
12月23日、わたしは再度アタンブアに問い合わせましたが、小包はまだ届いていません。郵便局からの情報によれば、小包はスカルノハッタ空港で止まっているそうです。24時間の間に情報がコロッと変わってしまいました。実に奇妙なできごとです。
わたしは161番に電話しましたが、通じません。国有郵便会社のウエッブサイトでトレースしたところ、やっとマニフェスト作成段階になっています。アタンブアの郵便局に問い合わせをかけても、「まだ届いていない」の一点張りです。
結局アタンブアの送り先に届いたのは、12月29日12時でした。12月25日のクリスマスに使う品物は、こうしておジャンになりました。[ ヨグヤカルタ在住、FXチャトゥル・スパッモノ ]
2016年1月25日付けコンパス紙に掲載された国有郵便会社からの回答
拝啓、編集部殿。2016年1月13日付けコンパス紙に掲載された、2015年12月16日ヨグヤカルタ/アタンブア特別速達郵便小包取扱番号14735644823に関するFXチャトゥル・スパッモノさんからの投書に対して、まずご不快を与えたことにお詫び申し上げると同時に、当方にとってたいへん有意義な情報を出していただいたことに感謝いたします。
ご依頼になった小包発送はちょうど休暇シーズンのピークに当たっていました。航空会社からは当方に対し、運送は乗客を優先して貨物は後回しにする方針が伝えられていました。その結果、当該小包は12月25日にやっとクパンに送られたのです。国有郵便会社ヨグヤカルタ支店は1月13日にご本人にコンタクトして、事情の説明を申し上げました。そして、この問題は解決したことが両者間で合意されました。[ 国有郵便会社PRマネージャー、Aソフィアン ]


「子供向けの本がいちばんたくさん」(2016年9月15日)
コンパス紙R&Dの情報によれば、インドネシアの書籍出版界が出している書物のカテゴリー比率は次のようになっている。これは出版物のタイトル数での比率であり、発行部数の比率ではない。また、下の数字はパーセント。
カテゴリー  2013年 ⇒ 2014年
児童向け   22.31 ⇒ 22.64
文学・フィクション 12.88 ⇒ 12.89
宗教・信仰 12.83 ⇒ 12.85
学校教科書 10.93 ⇒ 12.04
辞典・辞書 6.64 ⇒ 6.43
ビジネス・経済 4.55 ⇒ 4.60
自己啓発 3.74 ⇒ 3.60
料理 2.78 ⇒ 3.27
コンピュータ・インターネット 2.67 ⇒ 2.65
その他 20.67 ⇒ 19.03


「ぼかしモザイク=TV放送界の保身術」(2016年9月28・29日)
インドネシアの公共放送界を規定しているのは2002年法律第32号「放送法」で、それに基づいて設立された独立機関「インドネシア放送コミッション」が放送界の保護育成と法執行を実際に行っている。
そのインドネシア放送コミッションは2007年に「放送番組基準」に関するコミッション規則No.03/2007号を定め、更に2012年には放送界が放送活動において従うべき限界を明らかにするために「放送活動の手引き」に関するコミッション規則第01/P/KPI/03/2012号をも定めた。
その「放送番組基準」と「放送活動の手引き」はインドネシア放送界にとっての金科玉条となるものだ。コミッションが日常行っている放送監督活動で出される評価と警告はそれらの規則にのっとったものであり、はなはだしい悪評価を蒙れば放送事業の許認可が取り消されることも起こりうる。だからインドネシア全国の放送事業者はコミッションが出してくる警告に戦々恐々の態となるのも当然だと言える。
「放送番組基準」規則では、たとえば放送機関は礼節と倫理に配慮しなければならないと謳われているが、イスラム倫理に広く覆われたインドネシア社会で女性の姿の画像映像をどこまで示してよいのかは判然としない。民衆が持っているイスラム倫理の感覚と、世俗国家としての西洋文明世界への同質化という背反する命題を抱えているインドネシア社会では、女性が肉体を誇示するようなシーンが含まれているハリウッド映画をTV画面に放映すること自体決して悪にはならないものの、その肉体の誇示の仕方にポルノ的要素があるかないかということが問題にされ、そういった人間ひとりひとりが千差万別である感覚を最大公約数でまとめようとするなら、サウジアラビアで行われている女性の姿に向かってしまうことになる。
イスラム教義としての社会生活における女体に関する掟は、男性の性欲を刺激する女性の身体部位を社会生活の中で見せてはならないということだけであり、具体的な身体部位への言及はない。ましてや全身を覆って眼だけ出せということもアルクルアンに明言されているわけではない。その千差万別な実態の最大公約数的処理に走ったのがサウジアラビアの社会であり、あのチャダルとアバヤ姿が結論とされてしまったということだ。
現実問題として、ポルノでないハリウッド映画に出現する女体の処理をどうするかということがテレビ局の問題となり、何もしないことでテレビ局経営陣の姿勢が問われることは避けなければならない、という人間的な発想から、各テレビ局は自主規制の動きを強めた。女性の乳房や胸の割れ目はコミッションが放映禁止の基準を与えたため、胸を低く覆う普通のドレスを着た女優の乳房の上部や胸の割れ目にぼかしを入れるという対応が一般化したが、しかし奇妙なことに、超ミニ姿の腿の上部にぼかしが入った実例をわたしはまだ見たことがない。
はなはだしいのは日本文化紹介番組で取り上げられた相撲のシーンで、組み合っている力士の尻にぼかしが入ったのをわたし自身目撃している。力士の尻はいったいだれの性欲を刺激する恐れがあると考えられたのだろうか?
人間の裸の姿、性暴力シーン、性的な人間の動きや踊り、愛撫や性的な触身あるいは身体をもむシーンなどもTV放映は禁止されている。
ところが、とあるインドネシアのミス選出番組で、女性司会者の上半身、コンテスタントの下半身がモザイクで満載にされたこともある。巨大なホールで千人に近いインドネシア人大衆が舞台上の生のシーンを目にしているのもおかまいなしにテレビ局が行ったその反応は、われわれ外国人ばかりか、インドネシア人知識層の首をひねらせるにも十分過ぎたようだ。
またタバコの広告宣伝禁止に即してTV映画の中のタバコはぼかしで隠され、指の間にはさんだ何かが口のあたりを往復すると、その口から煙が出てくるという情景が一般的になったし、銃器所持禁止に即して、ギャング映画でピストルがぼかされ、手にした何かで撃たれた者が死ぬというシーンも普通になったが、サムライ映画で刀がぼかされた実例はあるのだろうか?
他にも流血シーンやキスシーンがカットされ、あるいは節度のない乱暴な言葉や社交上で妥当性のない言葉はミュートされている。
タバコ・アルコール飲料・ナルコバ等について、視聴者にそれらの使用の欲求を刺激しないあり方であれば放送の中に登場してもかまわないとコミッションは言うものの、各テレビ局は最大公約数理論に走らざるを得ないようだ。そんな最大公約数理論による行き過ぎ自主規制に市民の批判が集まっている。
最近話題になったのは、トランスビジョンが16年9月17日に放送したCNNスポーツプログラムで、国民スポーツ大会に出場する女子水泳選手が水着姿でインタビューに応じたシーンにテレビ局の自主規制がかけられた事件だ。
プールでトレーニング中の水着姿の女子水泳選手が顔だけ残して全身をぼかしで覆われた。そんなことをするのであれば、最初からそんなシーンを撮影する必要はないだろう。別のシチュエーションを設けて普通の服装のかの女をインタビューすればよかったのであり、反対にその現場でトレーナーや仲間あるいは見物人たちが何の違和感も持たないでかの女を目にしているというのに、テレビに流す段になって何かしなければならない、と思い込む番組検閲担当の姿は、上で述べたミス選出コンテストの状況と瓜二つのように思えてくる。
ネット上で批判が膨れ上がったために、「スポーツ番組にぼかしを入れるのはジャーナリズム基準にそぐわない振舞だった」とCNNインドネシア編集長が謝罪を公表した。
全国水泳ユニオン事務局長はその事件について、水泳選手の競泳用水着姿の着用はそれが使われるにふさわしい場で行われたものであり、決して倫理規範に背くものでないため、テレビ放映の際にぼかしが用いられたのはきわめて遺憾なことである、とコメントした。
「インドネシアの水泳選手は男女ともに国際水泳連盟が定めた水着の基準に則したものを使っている。その水着の基準は競争や記録を出すことに効果を持つものという視点で定められており、その基準から逸脱した水着を着用すれば、大会への出場が拒否されることも起こりうる。今回のような水泳選手の競泳水着に対する放送検閲がなされると、水泳スポーツに対するネガティブなイメージが世の中に生じかねない。」と語って、事務局長は迷惑顔を示している。


「小学生にガジェット」(2016年9月30日)
1995〜2010年に生れたZ世代が大人になりはじめた。インドネシアでインターネット利用が活発化した時代の子供たちだから、かれらの日常生活にインターネットはがっしりと腰をおろしている。
昨今の小学生は学校の宿題にインターネットを使うし、またゲームや娯楽にも使い、日常生活を豊かにしてはいるが、運動不足で対人接触も滑らかでなく、目が悪いといった問題も抱えている。
コンパス紙R&Dが2016年8月31日〜9月2日に全国14都市で17歳以上の住民に行った調査で、ガジェットを使っている小学生の子供は三人中ふたり以上であることが明らかになった。
質問1.あなたの生活環境に、ガジェットを使っている子供(6〜12歳)はいますか?
回答1.いる68.2%、いない30.6%、不明無回答1.2%
質問2.子供のガジェット使用に何らかの制限を与えていますか?
回答2.
学校の用とか娯楽など特定の目的に使うだけ53.9%
週末とか勉強の後など特定の時間に使うだけ36.2%
制限していない4.2%
使わせていない4.0%
不明無回答1.7%


「過激派にインターネットを独占させるな!」(2016年10月7日)
インターネットの中でラディカルコンテンツは迅速且つ容易に拡大する。社会不穏と秩序混乱を目指すその情報の流れを抑え込むためには、寛容と多様性を思想の核に持つ対抗コンテンツをインターネット内に大量に流し、不寛容姿勢を誘うラディカルコンテンツに市民が影響されない態勢を作り上げていく必要がある。
wearesocial.comの2016年1月データによれば、インドネシア居住者の31%がインターネットにアクセスしており、コンピュータでのアクセスは一日平均4.7時間、ガジェットでのアクセスは3.5時間となっている。
民間宗教団体ナフダトウルウラマ中央執行部事務局長は「平和イスラム」と題するエッセイとビデオのコンペティションに関する記者発表で、インドネシアは既にグローバルラディカリズムのインターネットを使った思想宣伝のターゲットになっている、と語った。インドネシアのインターネット利用者比率は相当高いために、インターネットを使った思想宣伝が高い効果を発揮するためであるとのこと。
ラディカル思想の盛られたコンテンツは統一民族の中味をバラバラに分解させてしまう。ラディカルコンテンツに対しては、寛容性を善行として国民に推奨する対抗コンテンツをインターネット内に充実させてバランスを取る形で国民教育をはかる対応をしていかなければならない。ラディカルコンテンツだけがラディカル要素を持つ国民の指針になるような事態を避け、異なるものの見方が存在しているのだということをかれらに認識させて、寛容性を社会の中に育てていくために集合意識の確立に努めるのは、国民の義務である。事務局長はそう語った。
インドネシアに対する国際NGOフォーラム理事長は、不寛容対策に市民が参加することはたいへん効果的だと語る。ラディカリズム思想に対抗するために世間に訴える内容に関して、市民はアイデアと対策を持っている。だから、かれらをインターネット内でどしどし発言させることで、平和・寛容・多様性を求める声が満ち溢れるようになる。
NUオンライン編集長は、平和志向のライターやクリエータが脱過激化キャンペーンに参加して活発に活動してくれることを望んでいる、と言う。論説は在来型メディアだけでなく、インターネットに掲載されることで、はるかに多数の読者を得ることができる。「ラディカル思想を宣伝する集団にインターネットを独占させてはならない。」編集長はそう言明した。


「インドネシアのインターネットは遅い」(2016年10月14日)
世界経済フォーラム2016/17グローバル競争力レポートでインドネシアの情報通信技術実用度は前年の85位から91位に転落した。それどころか、データ通信スピードは112位という低位にあり、アジア諸国のうちでは顕著な差がついている。
2016年Q2のアカマイテクノロジーレポートによれば、インドネシアのデータ通信スピードは5.9Mbpsで、韓国の27Mbps、香港19.5Mbps、シンガポール17.2Mbps、タイ13.7Mbpsなどよりはるかに遅い。
現在政府は2018年末を目指してパラパリング建設を進めている。それによってデータ通信フレームワークの骨格が形成され、インターネットオペレータのコスト軽減が実現することから、インターネット使用コストは低下するものの、その骨格と各家庭あるいは個別消費者とのコネクティングはオペレータの事業分野にはいるため、国家的見地から見た性能と料金の改善および大衆化をオペレータの目標とさせるべく政府の強力な指導が求められている。
世界経済フォーラムはインドネシアのインターネット利用者がまだ国民の5分の一しかおらず、バンドワイズ利用者はネットワーク当たり平均百人しかいないと評価しており、現在の状況を改善させるためにはよりハイスピードのサービスを廉価に提供することが不可欠であることを示唆している。各オペレータがハイスピードという付加価値を増収のタネにしている状況がどう是正されるのかが政府の正念場というところかもしれない。


「文学好きのインドネシア人」(2016年10月24日)
インドネシアの書籍出版業界は初版印刷部数三千部を標準にしており、三ヵ月間で大量に売れ残る場合、再印刷の機会はまず訪れず、市場から姿を消すことになる。インドネシアの著作者たちの間でその三千部の壁は、「三千部の呪い」というニックネームで常識化している。
インドネシアの年間出版書籍タイトル数は1.5〜2万種あって、決して少ないわけではない。その中で三千部の呪いから解き放たれる書物はどのくらいあるだろうか?もし大量にあるのであれば、呪いのかかる線は三千部どころではないだろう。
従来は1.5〜2万タイトルという年間出版点数の8割が外国書籍の翻訳ものという定説になっていたが、最近は子供向け書籍の増加が顕著になっているようだ。ともあれ、いずれにせよ国民の読書意欲は決して高くなく、普通の市民は滅多に書店を訪れることをしない。読書意欲の高いひとで月一回、普通の人なら2〜3ヵ月に一回書店を訪れるのがいいところで、どんなに魅力的な書籍が書店の店頭に置かれていようとも、マジョリティを占める普通の人がその書籍と出会う機会の確率を考えれば、三千部の呪いは十分に根拠のあるものであることをわれわれに納得させてくれる。というのも、書店は当たりそうだと思えば新書コーナーに置き、そうでないものは最初からカテゴリー別の棚に置いて他の定番商品の海に混ぜてしまう。新書コーナーで売れ行きが良ければそのまま2〜3ヵ月維持されるが、そうでなければカテゴリー別の棚に移され、更に数か月間変化がなければ安売りコーナーや安売り店に流されてその生涯を終えることになる。三千部の呪いの槍玉にあがると、そういうことになるわけだ。
ところが、意外と言っても過言でない現象をコンパス紙が報じた。2016年10月5〜7日にコンパス紙R&Dが全国14都市の17歳以上の住民653人に電話インタビューして集めた回答によれば、9割のひとが文学に関心がある、と答えたのだ。
その9割のひとびとを年齢別に分解すると、次のようになる。
17〜25歳  8.5%
26〜35歳 15.7%
36〜55歳 31.0%
56〜65歳 32.0%
66歳以上   2.8%
もちろん、文学に関心のあるひとたちが全員書籍を購入しているわけでないのは明らかだ。雑誌や新聞あるいはネットで短編や詩を読むのが好きなひとも、その9割に入る資格は十二分にある。
次の質問項目は文学書に関するものだから、こちらの方が書籍についての状況を物語っているわけだが、なんと三人に二人が文学書を購入しているという結果が出た。もちろん、書籍が高額であるという経済的要素が関わっているために、回答者が年間何冊の書籍を購入しているのかについては、少々悲観的にならざるを得まい。活字ホリックの日本的感覚から見ると、「そんな程度で文学好きと言うのか・・・!?」という意外さにつきまとわれるかもしれない。
少なくとも、文学好きインドネシア人というのは決して多読ではないにちがいない。
問い。文学書を読むとき、あなたはどの国の作者のものに興味惹かれますか?
回答
インドネシア 58.2%
アジア 3.0%
ヨーロッパ 2.5%
アメリカ 0.9%
文学書を読んだことがない 33.5%
不明・無回答 1.9%


「Z世代の情報媒体」(2016年11月2日)
1995〜2011年に生れたZ世代の若者たちは、情報媒体の使い方がそれ以前の世代よりも幅広いだけでなく、同時に複数の媒体を使う器用さまで備えていると言われている。生れたときに世の中は既にデジタル時代になっていたかれらを、デジタルネイティブと呼ぶ人もいる。
ニールセンが2016年Q2にインドネシアの全国11大都市に住む10〜19歳の若者を対象にして行った三種類のサーベイも、その説を裏付けているようだ。その三種のサーベイとは、Consumer and Media View, TV Audience Measurement, Radio Audience Measurement。
Z世代が選ぶメディアはまずテレビで、前半ブラケット(11〜14歳)では98%、後半ブラケット(15〜19歳)では97%という人気だ。次のランクはインターネットで、前半層は45%、後半層は81%。その他のメディアは、ラジオが前半層7%、後半層14%、映画館は前半層7%、後半層23%、印刷メディアは前半層4%、後半層9%。
利用時間については、テレビは一日に4〜5時間、インターネット1〜2.5時間、ラジオ1.5〜2.5時間、印刷メディア20〜30分となっている。
利用時間帯は、テレビ・インターネット・ラジオの利用ピーク時間が共通の17〜22時で、その三媒体が同時並行的に使われていることの証明だという声もある。
しかし妥当なリテラシーレベルに追い着いていないZ世代はインターネットの裏面にある害悪に呑み込まれる可能性が高い、とインドネシア情報通信技術ウオッチ設立者が警告している。「インターネットは個人の表現の自由を極限にまで高めたものの、それを適切に活用できる者は少ない。若者たちも自分の意見を適正に述べる力が不足している。更に、かれらは偽りの情報を頭から鵜呑みしてしまう。多数の者の間で広まった情報が本当なのか嘘偽りであるのかを検証するすべをかれらは知らない。」
放送オブザーバーのひとりは、デジタルメディアが公共スペースであることを理解できないZ世代が少なくない、と指摘している。特に大勢の人間が関わっているソーシャルメディアの中で、自分のアイデンティティを正直に公開する者が後を絶たず、それが犯罪者に利用されて被害者になる事件が多数起こっているのも事実なのである。


「嘘と間違いだらけのネット情報ほど人気高」(2016年12月08日)
ソーシャルメディアネットワークに流通しているニュースのほとんどは、タイトルが曖昧で大げさで安っぽい。そして致命的なのは、そこに盛られている内容が確認も裏付けも無視された虚偽情報で満ちているということだ。
「それが事実なのだ。われわれのデジタル社会の性格はそんなものなんだ。」と語るのはソーシャルメディア専門家ヌッマン・ルッフィ氏。
「たとえばhttp://buzzsumo.comのサイトを見れば、ソーシャルメディアで流れているニュースがどれほど大げさなタイトルに飾られているかがわかる。そんなニュースほど人気が集まる。たとえばキーワードに三人の都知事選立候補者の名前を入れて検索をかけ、そのシェアの合計数を見てみればいい。正体不明のポータルや犯罪メディアのシェアがいっぱいだ。そんな現象はインドネシアに限ったものではない。似たような国は他にもある。アメリカの大統領選投票日が近づいたとき、アメリカのソーシャルメディアを埋め尽くしたのが騙しニュースだった。教育レベルの高い先進国ですら、デジタルリテラシーはそんなもののようだ。
ソーシャルメディアで配布されるコンテンツの59%はチラリと見るだけで、開かれることもない。オンライン読み物のほとんどはスキミングとスキャニングになっている。そんな傾向のために、主流のメディアもビジネス保全のために大げさなタイトルをつけて読者を引き付けようとするようになる。反対にシリアスで内容の深いコンテンツに、大衆は目を向けなくなってしまう。」
そんな状況を正していくために、影響力を持つひとがデジタルリテラシー使節となってソーシャルメディアに登場する必要があるとヌッマン氏は呼びかける。大衆が大量の虚偽情報にさらされている今、諸方面が真剣にその対策を講じなければならない。
それだけでなく、ソーシャルメディアに流れている騙しニュースを摘発して正しい情報を世の中に発信する情報センターを作らなければならない。国民が適切で正しいニュースを選択するために、この種の情報センターはたいへん有意義な役割を果たすことになる。
教育文化省R&D庁教育評価センター長はこの21世紀の国民教育において、学習とイノベーションおよびライフスキルと勤労技能だけを修得させるのではまだ足りない、と語る。デジタルリテラシーは今や不可欠な能力になっている。ところがインドネシア国民は依然として読書ぎらいだ。中央統計庁のサーベイでは、国民の90.3%はテレビを見るほうを好み、読書が好きというひとは18.9%しかいない。
ユネスコは2012年に、インドネシア人の読書インデックスは0.001だと発表した。読書好きは1千人にひとりしかないことを、その数値は意味している。
そういう問題を抱えながらも、国民社会がデジタル社会になった以上、国民のデジタルリテラシー向上に国は努めなければならない。その進度測定を行うために、リテラシーインデックスを設けて毎年結果を公表するようにしてはどうか、とのアドバイスも出されている。


「読書嫌いは文筆嫌い」(2016年12月09日)
デジタルリテラシー向上が国民的課題になっているインドネシアで、ほとんどのネット利用者はスマートフォンでソーシャルメディアにアクセスし、シンプルな文章を読み、それに衝動的に反応して簡単なコメントをつけるだけであり、深い内容の文章を読んでじっくりと思索し、論理を主眼にした文章を書き込む者は数少ないという話しになっている。
もっぱらソーシャルメディアに関心が向かい、ブログを読んだり書いたりするのは性に合わないのが普通一般のインドネシア人であるらしい。コンパス紙R&Dが2016年11月23〜25日に全国の14主要都市住民658人に電話インタビューして得た統計によれば、ブログを相手にするひとは4人に一人しかいないようだ。
質問1)だれか他人のブログにアクセスし、それを読んでインスピレーションを得たことがありますか?
回答1)
ある 28.6%
読んだがインスピレーションは得られない 7.8%
他人のブログなど、開いたこともない 61.2%
質問2)ブログを書いてみたいと思いますか?
回答2)年齢ブラケット別の分析、A=ブログを持っている、B=興味ある、C=興味ない
17〜25歳 A 12.3%、B 30.3%、C 55.4%
26〜35歳 A 2.1%、B 30.8%、C 63.7%
36〜45歳 A 1.1%、B 28.6%、C 68.1%
46歳超   A 0.8%、B 26.0%、C 67.6%