インドネシア交通情報2004〜05年


「自動車安全ベルト着用違反者への罰則がいよいよ明日5日から」(2004年5月4日)
2003年11月5日に制定された自動車安全ベルト着用義務規定の告知社会化期間が終わった。首都警察は5月5日からその法執行には厳格な姿勢で臨む、と表明している。
路上を通行する四輪以上の自動車は、運転席と助手席にいる者に対して安全ベルトの着用が義務付けられ、公共運送機関と商用車でベルトがまだ装備されていない場合は2005年11月まで猶予期間が与えられる。また商用車はその猶予期間が過ぎれば、安全ベルト装備が車検延長許可条件のひとつにされる。
「このベルト着用規定は5月5日から全ジャワ島内で施行されるので、都内から郊外へ出たからといって、ベルトをはずして良いことにはならない。」とスリスティヨ首都警察交通局長は述べている。


「また廉価航空会社がオペレーションを開始」(2004年5月5日)
シンガポールではじめての廉価航空会社バリューエアー(Valuair)が5月10日からジャカルタへの乗り入れを開始する。一日一便で運行は毎日、使用機種は162シートのA320型機で全席均一クラス。ローンチングプロモーションとして往復US$88−という料金が2004年5月31日までのフライトに適用される。ただしこの金額はサービスフィー、パッセンジャーサービスチャージ(エアポートタックス)、保険料を含んでいない。
同社のシンガポール発バンコック往復もジャカルタと同レベル、そして香港往復はそのほぼ二倍という料金体系だ。マレーシアのノンフリル航空会社エアーエイシア(Air Asia)が既にインドネシアとの間で超廉価サービスを開始しているだけに、域内空運業界の競争も激化の度を強めている。


「チェゲル地区住民が高速道路タマンミニエリアで道路を占拠」(2004年5月6日)
5日午前9時ごろ、タマンミニインターに近い高速道路内にチェゲル地区住民数十人が侵入し、3車線のうち2車線にテントを張って占拠した。住民たちは高速道路用地買収の際に十分な補償を与えられなかったと主張するスピーチをし、またポスターを掲げて通過する車両に示したので、高速道路上で大渋滞が発生した。事態の発生に道路管理会社PTジャサマルガから職員が急遽現場に駆けつけ、事務所で話し合うよう説得して住民たちが現場から事務所へ移ったため、現場の交通状況は徐々に回復し、正午頃には復旧した。この住民たちは高速道路への侵入防止ネットをよじのぼったり、狭い隙間をくぐり抜けて入っており、ネットはどこも破られていなかった、とジャサマルガの現場担当者は述べている。
その住民たちの主張に関してジャサマルガ社のスフディ・サラギ広報部長は、タマンミニインターチェンジ建設時に住民への移転補償は済んでいる、と述べている。そのさい住民代表であるジマンという者にジャサマルガは980億ルピアの補償金を支払ったが、どうやらその者が他の住民に分配せずに一人占めしてしまったらしい。ジャサマルガは住民に対し、かれらがジマンと交渉する際のサポートをすると約束している。この住民たちはもともとチジャントンに住んでいたが、陸軍の総司令部建設用地買収のために1958年チェゲルに移転したひとたちで、2年前ジャカルタ外環状高速道路の延長工事に際してジャサマルガがかれらの土地を買収している。


「チャワン交差点のアンダーパス工事は9月に完了」(2004年5月6日)
チャワン交差点のアンダーパス工事でこの5ヶ月というもの出退勤時にたいへんな交通渋滞が続いているが、この工事も今年9月には完了する目途が立った。工事を請け負っているPTアディカルヤの現場職員によれば、チリリタン方面行きトンネルがタンジュンプリウッ方面行きより先に完成する見込みとのこと。もし一方が先に完成すれば、逆方向の完成を待って同時に両方を開通させるのでなく、使える方はすぐに開通させてはどうか、と提案している。片方が使用されていても、逆方向の工事に支障はないので、と説明している。


「ガルーダ航空が教員や学生に料金割引」(2004年5月11日)
ガルーダ航空のプジョブロト広報担当官は、国民教育の日を記念して5月一杯、25歳以上の学生や教員を対象にビジネスクラス、エコノミークラスの航空料金を1割引にする、と公表した。これはガルーダ航空国内線全航路の往復・片道のどちらの航空券にも適用されるが、5月31日までに購入され使用されるものに限るとのこと。この恩典の適用を望む場合は、全国のガルーダ航空券販売所あるいは旅行代理店で航空券購入時に身分証明書のフォトコピー(社員証、学生証等)を提出すればよいことになっている。同広報官はジャカルタ〜ソロ片道の料金を例に取り、エコノミーノーマルは40万5千ルピア、エコノミーモデラート37万5千2百ルピア、エコノミーバジェット33万9千3百ルピア、エコノミーベーシック30万6百ルピア、エコノミーエクサイティングで26万1千ルピアになる、と説明している。ただしそれらの料金には付加価値税、保険、空港パッセンジャーサービス料が含まれていない。また同じくガルーダ航空の料金体系にあるエグゼキュティブノーマルとエグゼキュティブエクスカーションも適用対象になる。
ガルーダ航空はやはり4月に類似の企画を行い、カルティ二の日を記念する割引を一ヶ月間、全国のインドネシア人女性にプレゼントしている。
ところで昨年12月から操業を開始したアダムエアーAdam Sky Connection Airlinesは、現在運行しているメダン、ジョクジャ、ポンティアナッ、パンカルピナン、デンパサル向けの諸ルートに加えて、5月14日からスラバヤとスマランへの乗り入れを開始すると発表した。スラバヤ線は一日三便のフライト。料金は19万9千ルピア。スマラン線は一日ニ便で料金は24万9千ルピアとのこと。なお同社は6月に更に航空機6機を購入してシンガポール、広州、香港、アブダビへの国際線就航計画を実現させる予定。


「ジャカルタのモノレール建設工事開始は今月末」(2004年5月12日)
首都の公共交通システム改善の第一歩をバスウエーで成功させたスティヨソ都知事の構想第二弾、モノレールの建設工事に王手がかかった。ジャカルタを南北に貫いて通したバスウエーに連結させる横軸や、更にはより広い地域をカバーするネットワークの実現を都民は期待しているのだが、それはモノレールのあとまで待たなければならないかもしれない。ともあれこのモノレールで計画されているルートは、バスウエーにからませながら東方向に向けてループを描くかっこうであり、モノレールによる横方向へのカバーが狭い範囲ではあるにせよ実現するのではないかと期待されている。
11日、スティヨソ都知事はジャカルタで開かれたセミナーの中で、モノレールプロジェクトはこの5月中に事業契約を終えて即刻杭打ち工事に取り掛かることになっており、建設工事にはエンジニアから作業者まで含めて1万人が従事し、そして運行が開始される暁には2千人の職場が生まれる、と語った。
一方、都庁開発担当のスエナ補佐官は、都庁とPTジャカルタモノレール社との間で今月末にプロジェクト契約の調印がなされるという日程だ、と言う。このPTジャカルタモノレール社はPTインドネシアトランジットセントラル、SMRT、オムニコ、日立、テマセックが作った共同事業体で、ジャカルタモノレールの建設と運行事業運営を行うことになっている。しかし杭打ちは今年6月22日のジャカルタ第477回創設記念日より前に開始されると同補佐官は述べているだけで、5月中にとの言葉は聞かれなかった。
ところで都知事はまたこのモノレールプロジェクトとは別に、南から首都中心部へのサブウエー建設が都庁と運輸通信省の共同下に実施される計画であるとも洩らし、首都のマクロ交通システム構想を都民により理解してもらうためにミニチュア模型を5月21日からモナス地下に展示する予定であることを告知した。都知事の言う南とは、ファトマワティ地区との由。


「パサルミングの三叉路でアンダーパス建設工事が7月1日から」(2004年5月14日)
南ジャカルタ市パサルミングラヤ通りは、首都近郊鉄道パサルミング駅から南へ下るとラグナン通りと交わる三叉路がある。三叉路の北西角はロビンソンデパートや市場があって道路端をカキリマ商人が埋め、客待ちで停車するバスやアンコッが数珠繋ぎとなって道路渋滞が絶えず発生する、昔ながらの典型的な混雑エリアの姿をいまでもさらしている場所だ。
都庁はそこにアンダーパスを通すために6百億ルピアの予算を計上した。パサルミング通りの南北方向をアンダーパスにしてラグナン通りと立体交差させることで、交通渋滞を緩和しようという目論見。フォドリ・ミスバッ都庁公共工事局長は「このプロジェクトは今予備審査を行っており、6月中にはそれが終わって7月1日から着工という日程になっている。工期は1年半なので、2005年末には開通の運びとなる。」と述べている。
現在都庁公共工事局は、パサルスネン、トマン、チャワンの三つのアンダーパス工事を行っているが、今後さらにこのパサルミングに加えてクバヨランラマの二個所の工事が予定されている。


「首都近郊線のスディルマン駅が東に移動する」(2004年5月19日)
ジャカルタのスディルマン通りと立体交差する鉄道の、スディルマン通りにつながっている鉄道駅はかつてドゥクアタスDukuh Atasと名付けられていたが、首都公共運送システム整備にともなってスディルマン駅と名前が変わった。この駅がスディルマン通りとラスナサイド通りのちょうど中間点あたりに移される予定。
そのふたつの通りがオフィス街であることから、この駅を中間点まで移動させればどちらの通りからも3百メートルの距離になり、双方の通勤者に利用してもらうことができる。ラフマディ鉄道公社ジャボタベッ事業部長は「チリウン川との間が30メートルしかないので、駅は平たく長くなる。両通りからプラットフォームまでのそれぞれ約3百メートルの間はエアコン完備で商店やカフェなどが入るアーケードにする予定であり、そうなれば乗降客は3百メートルを歩くのが苦にならないだろう。」と述べている。請負工事業者の選定はこれから始まるが、完成までには最長で三年が見込まれている。


「バスウエー東西ルートの建設が6月からはじまる」(2004年5月21日)
ブロックMとコタ鉄道駅を結んで運行しているバスウエー南北ルートと交差する東西ルートの建設がはじまる。この東西ルートは東のプロガドンバスターミナルから西のカリドラスバスターミナルまで総延長33キロのルートに43箇所の停留所が設置される予定で、6千億ルピアの予算をかけて6月から建設工事が開始され、2005年4月の開業を目標にしている。
都庁開発管理担当スエナ補佐官は、まずプロガドンからモナス・バスウエーセンター間14.3キロを第二コリドール、カリドラスからモナス・バスウエーセンター間18.7キロを第三コリドールとし、専用車線設置、バス停建設や歩道橋建設の工事をその両コリドールで早急に開始する、と述べた。この新ルートはプロガドンバスターミナルからスネン地区を抜けてガンビル駅、さらにモナス近辺に造られるバスウエーセンターに至り、そこからジュアンダ通り、プシン、ハルモニーを通ってグロゴルを抜け、西ジャカルタ市カリドラスバスターミナルに達するもの。


「プンチャッ街道で大渋滞が発生」(2004年5月21日)
19日午後3時ごろ、プンチャッ街道のホテル・インドアラムからチパナスインダ市場までの道路沿いで、ローカル小型乗合バスであるアンコッ数十台が駐車して道路の一部を占拠したため、同街道で激しい渋滞が発生した。アンコッ運転手は第55チパナス交番の前に集まって抗議の姿勢を示した。
普段でも客待ちアンコッが並ぶために道路が渋滞するチパナス市場前で、その日警察がアンコッを通行禁止にして裏道を通るように規制したのがことの発端で、このためアンコッは裏道に入り、大統領チパナス宮殿前の機動旅団グラウンドでターンし、さらにスカサリ通りに戻るという動きを余儀なくされた。通常のように乗客は街道、中でもチパナス市場で乗合バスを待っているためアンコッは客が拾えなくなり、こうして一部運転手が地元警察に対して抗議行動を行ったのだが、その間およそ一時間、プンチャック街道は乗用車や長距離バスがのろのろ運転を続ける大渋滞が発生し、またチパナス市場周辺ではアンコッを待つ乗客が溜まって溢れる状況となった。
チアンジュール警察交通ユニットのマフダル警部補は「あのときマレーシアからの国賓がチパナス宮殿を訪れるので、交通規制を行った。一部アンコッ運転手は恒久的な規制だと誤解したようだ。」と説明している。


「タクシー料金値上げは8月に検討する、とスティヨソ都知事」(2004年5月26日)

首都陸運協会が申請した都内のタクシー料金値上げに対してスティヨソ都知事は、今年8月に都市交通審議会が設立されるので、そこでの検討課題とさせてほしい、と暫時の猶予を要請した。値上げ申請の内容は、初乗り料金がRp.3,000からRp.5,700に、キロ当たり料金がRp.1,600からRp.2,000に、待ち時間料金は1時間当たりRp.12,000からRp.18,000にというもの。都議会PDIP会派のマリガン・パガリブアン議員はこの件に関し「料金値上げは了承しづらい。タクシーの状況やサービスはとても値上げにふさわしいものではない。車体はぼろぼろで、無理やり道路を走らせている。ブカシ、タングラン、デポッのタクシーもたくさん都内を走っているではないか。」とコメントしている。


「モノレールの杭打ち工事はまだ始まらない」(2004年5月27日)
6月に入る前に都内のモノレール建設工事を着工するとの都庁の表明にもかかわらず、いまだに開始される気配が見られない。第一回杭打ち工事予定地であるタマンリア・スナヤンでは、まだ何の準備も始まっていない。タマンリアのあるブンカルノ・スポーツコンプレックスは都庁の管理下でなく国家官房の管轄下にあり、都庁ムハヤッ式典広報局長は、国家官房をはじめいくつかの相手との間で調整しなければならないステップがまだかなりある、と述べている。
このモノレールはPTジャカルタモノレール社が6億ドルの予算で二年半の工期をかけて建設する予定になっており、一日でも早く実現させるためにスティヨソ都知事は早急な着工を指示している。ジャカルタモノレール社はPTインドネシアトランジットセントラル社(ITC)とシンガポールのオムニコ・コンソーシアムが55対45の出資比率で作った合弁会社で、ITCのスクマワティ・シュクル取締役は「杭打ち工事の開始は6月9日を予定している。」と語っている。


「タクシー運転手が料金値上げ計画に反対」(2004年5月31日)
陸運協会首都支部が都庁に申請している都内タクシー料金値上げに対して、タクシー運転手は反対の姿勢を表明している。
首都近郊でのタクシー会社増加に伴って都内へ乗り入れて稼動しているタクシー台数は増えており、タクシー業界は大幅な供給過剰に陥っている。これはブカシやタングランでのタクシー会社設立が首都にくらべて容易なためだが、その結果タクシー運転手ひとりひとりにとってパイは縮小の一途であり、会社に納めなければならないストランに一日の水揚げが満たない日も増えている。ストランは普通固定金額であり、一日の水揚げからこのストランを引いたものが運転手のその日の手取り収入となるため、不足した場合は運転手が会社に借金を持つかっこうになる。ある運転手は、1日16万7千ルピアのストランに満たない日が増えており、タクシー料金が値上げされればただでさえ不足気味の利用者が更に減少することが懸念され、利用者の奪い合いが激しくなって多くのタクシーが共倒れになる可能性が危惧される、と語っている。


「公共大量輸送機関MRTがついにジャカルタに」(2004年6月2日)
1992年以来計画倒れのまま今日にいたっているジャカルタ地下鉄構想が、首都の交通行政に鉄腕をふるっているスティヨソ都知事の号令下に、いよいよ実現に向かって進み始めた。とはいえ、モノレールの杭打ちも始まらず、プロガドン=モナス=カリドラス間を結ぶバスウエー第二第三回廊の実現もこれからというこの状況下に。
このMRT構想は、南ジャカルタのルバッブルスからファトマワティ通りに沿ってブロックMに至り、そこからスディルマン通りを経てスディルマン駅(旧名ドゥクアタス)に達する14キロのルート。ラトゥプラザからドゥクアタスまでの3キロがスディルマン通りの地下を走る文字通りの地下鉄となるが、ほかの10キロ以上は地上を高架で走る。
都庁開発管理担当スエナ補佐官は、「運通省との相互覚書は既に交わされており、すべての準備が順調に進めば2005年末には着工にかかれる。工期は5年かかる予定だ。」と、都知事とともに伊藤忠商事の企画部門チーフオペレーティングオフィサーを都庁に迎えたあとで語った。現下の問題は、このMRT建設プロジェクトが中央政府のロングリストに入れられていることであり、その優先度を高めるためにショートリストに移してもらうよう、大蔵大臣と国家開発企画庁長官あてに都知事が要請状を出したところ。都庁は返済期限40年で金利率年0.4%のソフトローンを外国から得ており、この建設工事に必要な6億ドルの予算はそれがあてられる予定。都庁はマクロ交通行政構想として、バスウエー、ライトレール(モノレール)、ヘビーレール(サブウエー)、河川交通の四本柱をあげており、MRTはその中のひとつとしての位置を占めている。


「カンチルが近々、首都の路上にお目見え」(2004年6月4日)
ガスを使った環境に優しい公共交通機関とのふれこみで、バジャイに代わる第四種運送用車両として都庁が後押ししていたカンチルが、ついに日の目を見ることになった。5月24日付け都知事承認書第1388/-1.811.32号でカンチルのオペレーションに対するバックグラウンドが整備されたが、その承認書はPT Karunia Abadi Niaga Citra Indah Lestari (イニシャルを綴るとKANCIL)社が出した4月1日付申請書に対する回答であり、都庁が与えた承認は申請された400台に対し、トライアルとして250台のみ。
最初このカンチルの提案がなされたのは1989年11月だったが、当初都内運送用の第四種車両を増やす考えはない、として都庁はそれを却下している。この軽便車両は運転手を含む4人乗りで、サイズは280cmX140cm。ところが今回用意されている400ccエンジンは当初ふれこみのガスを使ったものでなく、ガソリンが使われることになっている。またカンチルは住宅地区内でのみ運行することになっている。


「ガルーダはインドネシア発の航空券料金に燃料サーチャージをまだかけない」(2004年6月5日)
オペックの原油増産発表に伴って国際市場価格が軟化しはじめたとのニュースが流れる一方で、旅客空運業界は国際線航空券販売に追加料金をかけはじめている。
SIAシンガポール航空ジャカルタ事務所は4日、2004年6月7日からすべての国際線航空券販売にあたって、US$5−の燃料サーチャージをかけることになった、と公表した。去る5月24日から既にサーチャージがかけられているオーストラリア、ニュージーランド、フランス、イギリスでもこのチャージはそれに対する追加分となる。
MASマレーシア航空は、アジア域内旅客に対しては15リンギットのサーチャージをかけ、域外フライトには50リンギットを課している。同社は将来原油価格がバレル当たりUS$37.27まで低下して30日間安定すれば、このサーチャージは廃止される、としている。
カンタス・オーストラリア航空は2004年5月17日から国内線で6オーストラリアドル、国際線には15オーストラリアドルの徴収をはじめた。ほかにも原油価格高騰で急遽料金追加を行っているのは英国航空、エアーニュージーランドなど。
ガルーダ航空は6月1日から限定的にこのサーチャージをかけはじめた。オーストラリアからインドネシアへのフライトに15オーストラリアドル、またニュージーランドからインドネシアへのフライトに12NZドルという二カ国からのみで、反対にインドネシアからその二国へはサーチャージがかけられていない。ガルーダ航空側は、原油価格の先行きが不透明で状況を見守っているところであり、他の路線にもこのサーチャージをかけるかどうかはまだ決めかねている、とコメントしている。


「バスウエーのサリナ停留所にエレベーター」(2004年6月5日)
都内バスウエー南北線のちょうど中心あたりに位置するサリナ停留所にいまエレベーターが建設されつつある。サリナデパートと国連ビルにはさまれたタムリン通りの中央分離緑地帯の真中に造られたバスウエー停留所と道路両サイドを結ぶ陸橋を連結するこのエレベーターは、長くて時に滑りやすくなるスロープを通らなくても良いように、と身障者や老齢者に向けられた配慮。
エレベーターが設置されるトランスジャカルタバス停留所はこのほかにもまだ数箇所が予定されているが、残念ながら全停留所というわけにはいかないよう。


「ジャカルタモノレール工事はまだ始まらない」(2004年6月7日)
スナヤンのブンカルノ・スポーツコンプレックス敷地内で第一本目のモノレール杭打ち工事を開始しようとしていた都庁は、いまだに国家官房から何の返事ももらえないでいる。このため都庁開発担当スエナ補佐官は、スナヤンでの工事がどうしても無理なら他の場所で工事を開始することにし、7日に工事関係者とPTジャカルタモノレル社を集めて方針変更の会議を持つ予定だ、と語っている。モノレール支柱杭打ち工事の開始は多分カサブランカ地区になるだろう、と同補佐官は述べている。


「ジャカルタモノレール工事着工式は6月12日」(2004年6月8日)
7日に都庁で開かれた首都モノレ―ル運営管理者、工事請負者及び関係官庁との会議のあとスティヨソ都知事は、工事着工を記念して6月12日に式典を行う、と表明した。会議の中で合意をみたこの式典実施は、ブンカルノ・スポーツコンプレックス敷地内の青年ゲート通り周辺における第一本目の支柱杭打ち開始のため。
同コンプレックスは都庁でなく国家官房が管理しているため、これまで何回か開始予定が延期されてきたが、今回は国家官房からの許可が取れたので、いよいよ本格工事にかかれる、と関係者は意気込んでいる。建設日程は、2004年6月から9月までがPTジャカルタモノレル社事務所開設とユーティリティ網サーベイ、2004年10月から2006年12月までが施設建築工事。開通目標はグリーンラインルートが2006年12月、ブルーラインルートが2007年7月となっている。


「ブルーバードタクシーがSMSでの予約サービスを開始」(2004年6月10日)
ジャカルタ,スラバヤ、バリ、ロンボッで1万4千台の車両を運行させ、毎日1千5百万人の乗客に運送サービスを提供しているブルーバードグループが、タクシー予約システムを充実させた。携帯電話からのSMSでタクシー予約ができるようにしたこの新企画には携帯電話オペレータのインドサットが協力しており、このシステム利用者はMatrix、Mentari、IM3使用者に限定される。
SMSで送られたタクシーコールデータは自動的にコンピュータ処理されて最寄りの空車タクシーに指示が出され、顧客には迎えの配車状況や迎えに来るタクシー番号などが確認データとして返される。このサービスを享受するためには、顧客はまず個人データや迎え場所などを登録しなければならない。迎え場所は9ヶ所まで入れることができる。この登録は、SMSでは1234番、インターネットではwww.blue-bird.com、あるいはファックスでも可能。
この新企画はブルーバードグループが、グローバルポジショニングシステムとモバイルデータターミナル機器のタクシー装備を2年前から進めてきた実績のたまもので、シルバーバード640台ならびにプサカグループとして運営しているレギュラータクシー1千台は現在すでにその対応能力を持っている。ブルーバードグループはさらに2千台のタクシー車両にその装備を拡大する方針でいる。


「ムルパティ航空がジャンビ=ジャカルタ航路から撤退」(2004年6月11日)
ムルパティ航空は去る5月16日以来ジャンビ=ジャカルタ線の運航を廃止し、ジャンビ=シンガポール線を充実させる方針に切り換えた。同社によればこの方針変更は、ジャンビ=ジャカルタ線が他の6社との間で過当競争になっており、17万ルピアという料金をつける会社も出てきたために採算上の合理性に欠けることから同路線を廃止した、とのこと。一方ジャンビ=シンガポール線はこれまで週一便の定期運航を行っていたが、火曜と土曜の週二便に増やす。
ところでガルーダ航空は、小中高生徒が学年末休みに入ったこのタイミングにあわせて、ジャカルタ=バンジャルマシン間の料金に大人Rp.387,000-子供Rp.293,000-のプロモーション価格を導入した。この料金は、ライオンエアーが6月20日から適用する大人子供共通のRp.399,000-より安い。ライオンエアーはスラバヤ経由のジャカルタ=バンジャルマシン路線も用意しており、こちらの料金はRp.450,000-。ガルーダ航空バンジャルマシン事務所の談によれば、このプロモーション価格の座席はモデラート料金Rp.829,900-やノーマル料金Rp.872,800-、また8席しか用意されない百万ルピアを超えるビジネス席などの中で比較的多く用意されているが、この先しばらくはロードファクターが83%を超えており、今予約を入れれは6月第4週のフライトは取ることができる、とのこと。ガルーダのバンジャルマシン発フライトは毎日10時、14時、18時15分の三便となっている。


「スカルノハッタ空港アクセス鉄道計画」(2004年6月14日)
オマル・ベルト鉄道公社(PTKA)社長は、スカルノハッタ空港アクセス鉄道建設計画に民間企業4社が開発参加を申し込んでいる、と公表した。
「このプロジェクトには国内外から4つの会社が参加希望を表明している。あと一二年後にはこのプロジェクトを完成させたい。いま当方は準備推進チームを編成して、民間企業との共同事業をどのような契約で行うか、資金繰りをどうするか、建設技術問題のリビューなどを検討している。一方、空港公社PTアンカサプラもチームを作っており、近々協力形態を話し合う打ち合わせを持つ予定だ。もっとも可能性の高いのは、合弁で会社を発足させることだろう。いま最大の問題となっているのは土地収用で、買収資金が思うにまかせず、その先の鉄道施設建設の詳細予定が立てにくい状況だ。民間企業の資金でこの問題が解決されることを切に願っている。」と同社長は述べている。
新路線敷設は近郊鉄道カリドラス駅からスカルノハッタ空港に向けて行われ、ジュルムディバル、ドゥタガルデニア、カンプンバル、スカルノハッタ空港メインゲート、ターミナル1、ターミナル2の駅が建設される予定。


「2005年9月から自家用四輪車二輪車に車検義務」(2004年6月16日)
これまでは公共旅客運送や貨物運送など商業用途の車両にだけ義務付けられていた車両検定が、2005年9月から自家用車にも義務付けられる。この検定は、排気ガス、ブレーキ、ライトなどをはじめさまざまな項目検査を段階的に行っていくことになっており、政府指定の一般自動車修理工場やメーカー系列の自動車修理工場で検定が実施され、合格すれば証明書と定期検定合格ステッカーが交付される。
この新政策の準備についてアントン・タンプボロン運通省道路運送交通局長は、自家用乗用車と二輪車の定期車両検定に関する政令がほぼできあがっており、今年9月に公布されて来年9月から施行される予定だ、と述べている。昨年末に既に話題となったこの自家用車への車検義務付けは、公共運送用車両の検定制度が長年にわたって実施されているにもかかわらず、実態は排気ガス汚染や整備不良による交通事故で多くの人命が犠牲になっているといった例が象徴するように、内容のともなわない検定者側の単なる不法徴収金稼ぎの場となっているだけで、政府はまずその実態を整備するのが先決であり、現段階で自家用車にまで義務付けを拡大するのは不適切だとの強い反対論が各界から出されている。最近の登録自動車台数の増加は目を見張るものがあり、2003年のデータでは全国26州に32,774,926台の車両が登録されており、そのうち乗用車は5,133,746台、オートバイは23,312,945台となっている。


「ジャカルタの踏み切りに自動遮断機設置計画」(2004年6月23日)
踏切での列車事故がいまだに多いことから、一基当たり15億ルピアする踏切自動遮断機を都内44ヶ所に設置する考えであることを運輸通信省陸運総局が明らかにした。
ジョコ・スラクソノ総局長は、まずパイロットプロジェクトとしてジャティヌガラ駅からブカシにいたる区間にある5ヶ所の踏み切りに自動遮断機を設置する計画であり、設置場所はジャティヌガラ、クブンナナス、クブンシンコン、ポンドッコピー、クレンデルだ、と語った。もう一ヶ所、ピサガンティムール通りの踏み切りも候補に上がったが、きわめて交通密度の高い場所であることから、トライアルには不向きとして除外されている。都内では交通行政の一環としての道路渋滞対策に踏み切りとの立体交差建設を進めており、既に高架や地下の交差路が建設された踏み切りは閉鎖される方針が出されている。
「この自動遮断機設置は、ヒューマンエラーをミニマイズするのが目的だ。これまで発生した踏み切り事故の半分はヒューマンエラーによるものであるため、この対策によって踏み切り事故が大幅に減少することが期待されている。トライアルの結果を確認しながら、すべての踏み切りを自動化することを目標にしている。しかし心配されるのは、列車が3百メートルまで近付くと自動遮断機が作動して踏み切りは閉鎖されるが、われわれの社会はまだ規律が高いとは言えず、そのような市民が踏み切り内に入り、出られなくなることだ。また自動車がぶつかって壊れるおそれもある。今は小チームが現場に出て細かい状況を検討しており、あと一ヵ月後くらいには使用が始まるようになるだろう。」と総局長は述べている。


「バスウエー補完施設としてブロッMに駐車場を」(2004年6月25日)
首都の目抜き通りをブロッMからコタまで12.9キロのコリドールを作って運行しているバスウエーは十分な成功を見せているが、各ターミナルへのフィーダー路線はアイデア先行で実態はパッとしない。なにしろ、トランスジャカルタバスとフィーダー路線を走る都内バスはあまりにも格差が激しすぎる。そのために、バスウエーを使うのはよいが、家から自家用車で行くときは車をどこへ置こうか、と頭を悩ませることになる。なにしろ、ただでさえブロッMコマーシャルエリアの駐車場は混んでいるのだ。
都庁はそんな状況を汲み上げて、パークアンドライド・コンセプトをそこへ持ち込む提言を出した。スエナ都庁開発担当補佐官は、トルノジョヨ通り1番地の旧南ジャカルタ市庁舎を駐車場に変えてはどうか、と発言した。コタ駅側のターミナル用にはグロドッ地区に駐車場があり、ブロッMターミナルよりは利用者の便宜が図られている。この案に肉付けするために、年内にフィーシビリティスタディを行い、承認されれば2005年初から工事にかかりたい、と都庁側は考えているが、プラパンチャ通りの新庁舎は予定16階建てのうちまだ9階までしか出来ておらず、旧庁舎でもまだ多くの部門が移転できずに業務を行っている。都議会議員のひとりは、場所が不適切だ、との反対意見を出している。その地点からブロッMターミナルまでは決して近い距離でなく、その距離を歩こうと考える人は少ないだろうということだが、更に国家警察本部から近い距離にあるため爆弾テロなどの懸念があること、そしてやはり決定的なのは、バスウエーに乗る人がそこまで車で来ることで発生する混雑ポイントの移動が最大のネックではあるまいか。


「スカルノハッタ空港でタクシー客待ち方式が変更される」(2004年6月28日)
去る6月24日からスカルノハッタ空港でタクシーの到着ロビー前における客待ち方式が変更され、その指導と整理が続けられている。
空港公社アンカサプラIIと空港警察が協力して行ったこの整理ではすべてのタクシーが斜め駐車する形となり、その車線の右側に止まる車は即刻排除された。この新客待ち方式によって、これまでは客待ち縦列の先頭にいるタクシーに乗らざるを得なかった客は、自分の乗りたいタクシーを選べるようになる。これまで自分の希望するタクシー会社の車が先頭にいなければ、乗客は整理員の目をかすめて列の後ろにいる車に乗ったり、さもなければ不承不承、不安を感じながら評判の悪いタクシー会社の車に乗らざるをえなかったが、この新方式で乗客は決まりを破るような行為から解放される。25日にはふだん一括料金を客に強いる運転手たちから強い抗議が出されたが、当局側は新方式を強行した。
都庁陸運局のデータによれば、空港で営業しているタクシーは15社で、車両台数は1千2百台ある。


「バスウエー東西線建設工事開始は7月1日から」(2004年6月30日)
プロガドンとカリドラスを結ぶバスウエー東西線建設計画の中で、東側ルートの工事が7月1日から始められる。最初に手が着けられるのは専用車線確保のための作業で、そのためにルートの一部では中央分離緑地帯が削られることになる。
フォドリ・ミスバッ都庁公共工事局長は、プロガドン・バスターミナルからコカコーラ交差点までのプリンティスクムルデカアン通りは、クラパガディン交差点からコカコーラ交差点までの区間で1メートルから1.5メートルほど中央分離帯が削られるが、コカコーラ交差点からスネンまでのスプラプト中将通りは道路が十分広いため、道路拡張工事は行われない、と説明した。ただしバス停設置地点では、最大で3.5メートルほど道路の幅が広げられる予定である、とも述べている。道路状況は場所によって異なっているので、プリンティスクムルデカアン通りと現在工事中のスネン地下道では専用車線分離縁石が設置されず、赤色の路面塗装がなされるだけとなり、その区間ではバスウエー車線に一般車両が進入してもよい。都庁はプリンティスクムルデカアン通りでの工事費用として70億ルピア、スプラプト中将通り用に30億ルピアの予算を組んでいる。
一方東ジャカルタ市はこの建設工事にあわせて、道路脇や道路の一部を占拠して個人ビジネスに使われている場所に対する秩序整備を行う、との方針を打ち出した。このため市側は7月1日から現場調査を行い、猶予期限を設けて不法占拠者に自主撤去勧告を出す計画。クスナン・ハリム東ジャカルタ市長は、市民が問題を自覚し、自主的に不法占拠場所から退去することで強制執行が避けられるよう期待している、と述べている。


「バスウエーで売上金水漏れか?」(2004年7月1日)
バスウエーの切符販売売上がつまみ食いされない保証はない。非政府組織Sustainable Transport Action Network for Asia-Pacificのインドネシア事務局が主催した首都バスウエー評価討論会で、交通行政と消費者保護活動家のアグス・パンバギオがバスウエー運営会社の売上管理の実態を批判した。
「当初の企画の中に盛られていた、各停留所における切符販売のオンライン管理はまったく実態が伴われておらず、実際には夜停留所が閉まるとその日の販売切符数を数え、売上金をそれにあわせたものを職員が手にぶら下げてトランスジャカルタ事務所に持ち帰る。オンライン化されていないために切符販売窓口の実態が判る者は本人たちだけという状況では、一日5万人の売上から1千枚だけチケットを闇に葬っても、毎日2百5十万ルピアの金が水漏れを起し、一ヶ月で7千5百万ルピアが会社の収入から目減りしていく。それが起こっていないと誰が保証できるのか?バス停で支払われた金はDKI銀行の金と同じだということを責任もって管理できるのは誰なのか?これは都内の路上駐車で行われている料金徴収管理となんら変わるところがない。」とのコメント。
この評価会では他にも、フィーダーシステムが機能していないために『安く早い』という謳い文句を実感できている消費者はほんの一握りであり、大多数消費者にとっては昔からかけ離れて良くなったという感触が得られていないこと、またバスウエーと他の交通機関との連絡が良くないのでトータル交通システムが向上しているという実感がないことなどの批判があがった。中でも近郊鉄道との接点であるスディルマン駅とバス停は離れており、鉄道で来た多くの乗客は在来バスやタクシーを使う人が大半という実態がそれを物語っている。
ちなみにアグスの批判の中で取り上げられている路上駐車料金徴収システムとは、次のような仕組み。徴収根拠と金額は都知事令で定められている。これは公定料金だ。駐車場現場を取り仕切る駐車番が駐車料を徴収すると、一日の水揚げからかれらの上に立つ監督者の命じる一定金額(インドネシア語でストランsetoranと言う)を納める。当然、場所によって水揚げの大きい場所小さい場所があり、ストラン金額はそれに応じて異なっている。ストランを納めた残りは駐車番個人の収入となる。監督者は直接あるいは地区の元締めを介して都庁駐車管理局に合意された金額を納めるが、何人もの駐車番から上納されてきたその金は、地区を管轄する役所や警察などの治安管理部署に分配しつつ都庁駐車管理局に納入し、かつ自分の収入も残さなければならない。駐車番もシフト制で他の者と糧を分かち合わなければならず、さらに役人や警官、地回りの者などが小遣いをねだりにくるため、最近の物価高に対抗しなければならないかれらは公定料金より大きい金額を路上駐車スペース利用者から取ることに努めている。何台の車が止まっていくらの金が落ちたのかという実態は駐車番本人にしかわからない。


「自家用車車検制度開始への準備が進む」(2004年7月1日)
自家用四輪車二輪車への定期車両検定義務に関する政令は6月はじめに原案が完成しており、今年9月の制定に向けて手続きが進められている。この政令案の中では1年間の告知社会化期間を経て、2005年9月から施行するという内容になっている。
政府運通省アントン・タンプボロン道路運送交通局長は車両検定実施機関に関して、あくまでも民間業者が指定されて検定を行うという同省の方針を強調した。これは既に、メダン市、パダン市、東カリマンタン州などいくつかの地方行政府が、必要な測定機器類等を所有していることを理由に検定業を行いたいと意思表示をしている状況に対する回答として出されたコメントで、同局長は「政府機関は調整と監督に徹し、実業は資格を得た民間整備会社が行うべきである。」とそのコンセプトを説明している。また測定機器類の使用については、地方行政府が役所内に特別部門を設置し、民間と提携してそれを利用するなどやり方はいくらもある、とも表明している。
一方、全国自動車整備業者協会(Asbekindo)に対して同局は、全国各州でのマッピングを行って現場での体制作り準備を始めるように指導している。また車検業者資格認定についても、PT SucofindoとPT Suarに対して見積もりと企画書を提出させ、その検討に入っている。


「BCA銀行のATMを使ったガルーダ国内線切符購入サービス」(2004年7月7日)
ガルーダ航空は顧客に対し、BCA銀行のATMを使って国内線の切符が購入できる新サービスを開始する。バフルル・ハキム同社商業担当取締役は、BCA銀行と提携して全国ネットワークをカバーするオンラインペイメントを同社の航空券販売に適用する、と語った。それによれば、顧客はまずガルーダ・コールセンター0817-1-427832あるいは(021)2351-9999に電話して予約する。予約が取れると13桁の支払いコード番号をくれるので、BCA銀行のATMでガルーダ航空に対し料金を振り込む。ATMが打ち出した決済票を持ってその足で空港に向かえば、空港のガルーダ航空券販売所で航空券が受け取れるという寸法。
同取締役は、この新サービス導入で、ガルーダコールセンターは単なる顧客向け情報サービスや予約、あるいは顧客ケア機能を飛び越えて、銀行ネットワークに組み込まれた決済機関としての機能を果たすことになる、と語っている。またガルーダ航空はこの銀行ATMを使ったオンラインペイメントだけでなく、インターネットブッキングサービスを更に向上させる形でのEチャンネルを使った顧客サービスを充実させていく方針である、とも述べている。


「ジャティブニン料金所移転計画」(2004年7月12日)
チカンペック有料自動車道路のチャワン=ジャティワリギン間は一日115,842台の車が通過する。ジャティワリギン=ジャティブニン間は100,884台に低下する。ところがジャティブニンを過ぎると79,801台に減少する。そして終点のチカンペックを通過するのは12,682台になってしまう。特にブカシティムールからチカンペックの間は通過台数が大幅に減る。これはブカシとポンドッグデ料金所を出入りする車が多いからだ。チャワンからジャティブニンまでの区間は夜5時から8時までがピークとなり、ほかの時間帯よりも10%増しとなる。そのためにジャティブニンゲート前には長い車の列ができて、交通渋滞が発生する。理想的には21ゲートが必要とされているが、そこにはいま15ゲートしか造られていない。
ジャティブニンゲートが混みあうもうひとつの要因は、チカンペック有料道路が建設された20年前から存在している、ゲート近くで一般乗客が都市バスに乗り降りする影のバス停。それが有料道路内にあるため、道路の左端はたいてい大型バスが停車して場所をふさいでいる。そして有料道路と外部を隔てる金網フェンスは破られて徒歩者が出入りするようになっており、そして外部側には有料道路から出てきた人のためにオジェック引きがたむろしている。道路管理公社ジャサマルガはその状況を改善するために、午前11時から午後3時まで人の出入りを閉鎖することにし、その措置を取ろうとしたがオジェック引きがそれを24時間閉鎖と偽って煽動したため、デモが行われてその措置実施は延期されている。
それらの要因のためにジャサマルガはジャティブニン料金所の移転を決め、ブカシティムールとチビトンの間に21ゲートを持つ料金所を建設予定を立てている。また影のバス停は正式に公共輸送機関用の停留所を現在位置の近くに造る予定にしている。


「バンドン市内のアンコッが一斉スト」(2004年7月15日)
バンドン市内を運行している小型乗合バスのアンコッが、今週初めからストに入っている。これは従来対面交通だった大通りのいくつかをバンドン市が一方通行に変更すると決めたことに対する反対陳情で、運転手や車掌たちは、その変更がかれらに収入減をもたらすとして反対している。このストで多くのバンドン市民が行動の足に支障をきたしており、多くの市民が不便をかこっている。
ストを始めたアンコッ運送従事者数百人は、運行している他のアンコッや市内バスを止めて乗客を無理やり下ろすような妨害行動を取っているため、場所によっては停められた車の運転手とスト組みとが衝突してあわや暴動に、といったシーンも少なからず見受けられている。またそのようなシーンが起これば、その場所に渋滞が発生し、自家用車は暴徒の破壊行動発生を懸念して次々とUターンして避難するというありさま。
また一部のアンコッはコンボイを組んでデモを行い、市内を集団走行して繁華な場所をブロックするなどの行動をも行っている。デモ隊は、バンドン市長がかれらの要求を聞き入れるまで続ける、と語っている。


「鉄道無賃乗車の損害は7億5千万ルピア」(2004年7月20日)
今年3月から6月までの期間で、鉄道公社ジャカルタ第一操車区は7億5千万ルピアの損失を出している。この損失とは、無賃乗車による収入機会損失の意味。ジャカルタから中部東部ジャワ向けの長距離列車で行われた検札で発見された無賃乗車者はその4ヶ月間で19,533人にのぼり、収入となるはずの7億5千万ルピアが取りっぱぐれのありさま。
検札はたいてい、乗客数が跳ね上がる金土日曜日チカンペッ駅で行われているが、2月までは進行中の車内で行われるだけだったために、無賃乗車者の徹底摘発が困難だったので、3月からは停車中に行うよう変更された。5月と6月は、検札が半月間だけ行われている。
ジャボタベッ近郊電車でも、無賃乗車は激しい。昨年の調査では、乗客の35%がただ乗りとのことで、鉄道公社は検札を励行して毎年5から10%無賃乗車者数を減少させたい意向。無賃乗車を煽っている要因のひとつに列車の運送能力があり、いまは一日264便がジャボタベッのコミューター運送に従事しているが、少なくとももう10便なければ十分とは言えない、と公社側は見ている。特に朝夕の出勤退勤時には乗客数のピークが来て、エコノミー列車の屋根に人が鈴なりという光景はもう当たり前になっている。そんな常軌を逸したラッシュが、乗客の無賃乗車を煽っている、とのこと。


「ジャカルタモノレールはルートの変更を検討」(2004年7月22日)
6月に都知事の大きい掛け声で、メガワティ大統領を招いてのモノレール建設キックオフがなされたが、その後都内にたいした変化は見られず、ひとびとの意識からはや消えかかっている。建設関係者は杭打ちにかかるどころか、まず土質調査を進めているというのが実態だ。土質は長期にわたって車両運行を支えることができるのか、さらには電線、ガス管、水道管など地中を這っている設備の位置も把握しなければならない。
そんな蝸牛の歩みに似た準備が進められている中、PT Jakarta Monorel社が当初計画されたグリーンラインのルート変更を表明した。
スナヤンのブンカルノ陸上競技場第一ゲートを通す計画は誤算だった、と都庁スエナ開発担当補佐官は語る。スナヤン地区を管掌している国家官房はモノレールが同地区を通ることをどうしても了承しないとのこと。そうなればグリーンラインはスディルマン通りをパニン銀行で右折し、プラザスナヤン前のアジアアフリカ通りに向かうことになる。一方都庁がすでに組んでいるMRT(地下鉄)計画では、スディルマン通り地下をMRTが通ることになっており、これでは効率が劣化する。クニガン=スディルマン=スナヤン地区を周遊する全長14.8キロのグリーンラインは、もっと長くなる可能性が高まっている。


「首都のモノレールはタングランまで」(2004年7月24日)
都庁が計画している都内のモノレール建設計画は、そのターミナルがタングランまで伸びるという青写真になっているが、タングラン県はその計画を強く歓迎し、ターミナルはスルポンでなくバララジャまで達するようにしたい、とイスメッ・イスカンダル県令が抱負を語った。スティヨソ都知事はこの件について先にタングラン市長とバンテン州副知事に打診をしており、都内モノレールの建設が終わればそれをタングランまで伸ばしていくというこの計画をタングラン側もポジティブにとらえている。
タングラン県は現在バララジャ〜スルポン間38キロの自動車専用道路建設を計画しており、民間からの投資を募っているところ。それに加えてこのモノレール建設の話が出てきたのは県の開発に絶好のチャンスと見ており、予算は別にしてさまざまな協力は惜しまない、と表明している。モノレール建設ルートは高速道路沿いに作ってはどうか、と県側は提案している。


「政府はオートバイの日中走行時の点灯を義務付ける予定」(2004年7月24日)
交通安全の面からオートバイの点灯走行を義務付ける予定だ、とスイハンドヨ運通省広報課長が明らかにした。この規定はいくつかの国で従来から実施されており、決して新しいものではないとのこと。日中でも走行時にオートバイがヘッドライトを点灯していれば、歩行者の注意をより強く引くことになるため、交通事故が減少するだろうとの期待が込められている。この規定について同省では、法的効力面から政令とするかそれとも大臣令で出すかについての検討を進めているとの由。
アントン・タンプボロン運通省陸上交通局長は、この案は既に国家警察本部や民間団体の賛同を得ている、と語る。法制度面からの検討が今行われているところとのこと。今全国の登録車両台数3千2百万台のうち、2千3百万台がオートバイであり、オートバイの交通安全対策がとりわけ急務とされている。日中からヘッドライトを点灯することで、オートバイの寿命に悪影響はないかという点に関して同局長は、オートバイのほかの部分の機能に悪影響を与えるということはなく、ランプの寿命が短くなるに過ぎない、と説明している。政府はこの新規定を、今年11月のルバラン帰省の時期から施行したいと考えている。


「スカルノハッタ空港国内線は構造的な遅延を生んでいる」(2004年7月28日)
スカルノハッタ空港の離着陸混雑のために遅延が多発しており、乗客へのサービスに問題が出ている、と国内線旅客空運オペレータが苦情している。
原因は離着陸便数と乗客数の急増に空港ファシリティが追いついていないことだ、と空運オペレータ各社は批判する。マンダラエアラインのスハディ社長は、「スカルノハッタ空港管理側は便数増や乗客の増加に対する準備を何もしていない。搭乗ゲート、ボーディングブリッジ、駐機場などを増やす対応が何ひとつなされていないのがその証拠だ。おかげで離着陸したい飛行機はみんな順番待ちで、タイムスケジュールが守れていない。遅延は不必要な経費が出ることも意味している。」と述べている。スカルノハッタ空港で毎日2百便を離着陸させているガルーダ航空は、空港側の原因による遅延はかつて17%だったものが2003年には37%に増加し、今年5月には40%に達したと言う。ムルパティ航空も従来10%の遅延が、今年4月から6月の三ヶ月で20%に上昇している、と語る。しかし空港管理公社アンカサプラ?のイ・グデ・マデ・ドルディ技術業務担当取締役は、スカルノハッタ空港が飛行機の離着陸に遅れを引き起こしたことはない、と反論する。「起こっているのは2Fターミナルでの混雑だけであり、飛行機の離着陸に遅れがあったという話は航空会社側の原因だろう。」という同取締役の談。
しかしマンダラ航空のスハディ社長は「3年前から国内線旅客運送ビジネスに多くの会社が新規参入してインドネシアは華麗な一大成長期を迎え、競争の激化に伴って料金が劇的な値下がりをしたために乗客数は2002年の1,233万人から2003年は1,683万人へと大幅な増加を示した。それまでのピークは1996年の1,350万人だったが、通貨危機のために減少の一途をたどり、1997年1,280万人、1998年760万人、1999年640万人と落ち込んでいった。その後の反転で2003年には前代未聞の乗客数がインドネシアの空を飛んだが、スカルノハッタ空港当局はただ手をこまねいてそれを見ているだけであり、その結果、ボーディングブリッジもフル稼働のため着陸した飛行機がターミナルに横付けすらできず、ビルから離れた遠い場所で乗客を下ろし、乗客はバスでターミナルビルにたどり着いた後、ビル内をあちこちと歩かせられるようなことが起こっている。」と苦情を述べている。またガルーダ航空のプジョブロト広報員も、「定刻通りに着陸しようとしたフライトが、空港内が一杯ということを理由に10分間上空待機をさせられ、ジャカルタ上空を周回した。上空を10分周回するとどうなるのか?飛行機はジェット燃料をおよそ1,580リッター消費する。いまジェット燃料はリッター当たり3,043ルピアだから、掛け算すれば5百万ルピア近くが消えてなくなったことになる。このようなことはドミノ効果を生むために、連鎖的な遅延と経費ロスを引きずるようになっていく。それが招くのは消費者へのサービス低下と値上がりだ。」とあからさまに批判を語っている。


「鉄道切符の一日の販売枚数に上限設定」(2004年7月31日)
首都近郊鉄道ボゴール〜コタ線の乗客およそ1万8千人が不正乗車をしているようだという調査結果を鉄道公社首都第一操車区ジャボタベッ部が公表した。それによれば、パサルミング駅行きの切符販売枚数は毎日2万四五千にのぼるのに、パサルミング駅の一日の降車人数は7千人程度しかないという不合理が明らかになっており、これはデポッ駅までの運賃2千ルピアあるいはボゴール駅までの運賃2千5百ルピアを支払わず、コタ〜パサルミング間1千5百ルピアの切符を買ってそれ以降の区間をただ乗りしている人が1万8千人いることを意味している、というもの。
同路線を利用する乗客たちへのインタビューによると、「パサルミングまでの切符を買えば、検札は適当だから安上がりで済む。安上がりで済むのになんで高い金を払わなきゃいけないのか。」というコメントが大半を占めた。中には、汚い車両にぎゅうぎゅう詰めにされているひどいサービスに、高い金を払う者などいない、との意見を出す者もいた。鉄道公社側はその対策として、パサルミング駅までの切符発行にクオータ制を導入することに決めた、とアフマッ・スジャディ、ジャボタベッ部広報課長が語った。そのクオータ制とは、コタ駅からボゴール方面に向かって5つの駅で一日の発行枚数を制限するという内容で、たとえばジャヤカルタ駅ではパサルミングまでの切符発行は一日8百枚、サワブサール駅では一日1千1百枚、ジュアンダ駅では一日1千枚、コタ駅では3千枚などと決め、一日8千7百枚の割当が消化されればパサルミング駅までの切符はその日もう販売しない、というもの。この方式で不正乗車者が減少することを鉄道公社は期待している。


「8月3日からの鉄道時刻表はこちら」(2004年8月5日)
鉄道公社PT Kereta Api Indonesiaがジャワ島スマトラ島の列車運行ダイヤ改訂を8月3日に行った。全般的に都内からの発車時間が早められており、3日の朝は、例によって広報不足か利用者の情報収集が足りないのか、長距離急行列車に大勢の乗り遅れ者が出て、駅が混雑した模様。
時刻表と料金をお調べになりたい方は鉄道公社ホームページhttp://www.infoka.kereta-api.comでどうぞ。ただし内容はインドネシア語です。


「エレクトロニックシティの大安売りで、スディルマンとガトッスブロトが渋滞」(2004年8月6日)
首都警察本部の裏手にあたるSCBD(スディルマン・セントラルビジネスディストリクト)のガトッスブロト通り寄りに位置する家電品小売センター「エレクトロニックシティ」のSCBD店があっと驚く大安売りを実施した。目玉商品は159万9千ルピアの21インチTVが15万9千ルピアという10分の1価格。もうひとつの洗濯機は通常価格822万9千ルピアが2百万ルピアマイナス1というたいへんな値段。予告された8月5日は、開店が10時なのに朝7時から客が続々とつめかけ、開店間際には押し合いへし合いの大騒ぎ。駐車場も開店前には一杯になり、周辺の路上は駐車した車で車線が狭められて各所で渋滞が発生するありさま。
店側は結局抽籤という案を出して客をなだめ、破壊行動や暴力行為の発生を避けたが、用意された安売り商品百台は1時間もたたずに売り切れ。ところが大安売り広告を見てやってくる客はひきもきらず、午後二時を過ぎても店内と店の周辺は人で溢れ返っていた。
やってきた客の多くは、目玉商品売り切れの札を目にしてそのままきびすを返す人も多く、「どうせ仲買人が買い占めたんだ」という苦情の声も聞かれた。駐車場係りによれば、やってきた車は三千台を超えていたとのこと。またガトッスブロト通りとスディルマン通りからSCBDに入っていく場所では道路が詰まり、珍しい場所で起こった交通渋滞に、それらの目抜き通りを普段利用している通行者は首をかしげていた。


「キジャンタクシーの出現は本決まりか?」(2004年8月6日)
キジャンタクシーのアイデアが出されて以来議論が尽きないが、スティヨソ都知事が結論を下すかっこうでゴーサインを出した。この案件はこれまで、運通省陸運総局からの相互に矛盾する二通の通達で宙に浮いたままの状態になっている。最初の通達はイスカンダル・アブバカル総局長名でアントン・タンプボロン陸運局長が署名した2003年10月1日付けのもので、そこではセダン車のみがタクシーとして使用されることを根拠にキジャンタクシー案は否定されているが、もうひとつの総局長自身が署名した2004年7月13日付けのものでは、一台でより多くの乗客を運べるキジャンタクシーは、現実の需要にマッチしたものだ、との見解が示されている。
それに関連してスティヨソ都知事が「キジャンタクシーでゴー」を打ち上げたものの、タクシー業界はいったい誰がそれを行うのか、と狐につままれた面持ち。陸運協会首都タクシーユニットのアテン・スリヨノ会長は、この話についての相談を都庁から受けたことは一度もない、と語る。現在都内にはタクシーオペレータ39社が2万6千台の車両を運行させ、おまけにタングランやボゴールのタクシー会社も都内に乗り入れているのが実態だ。そこへもってきてこのキジャンタクシーの話で、業界は整理が必要な事態に逆に混乱をもたらす要因ではないだろうか、と懸念している。「キジャンはタクシー用車種よりも高い。投資額は必然的に高くなり、それをカバーするために料金も高くなるだろう。一般タクシーより高い料金では、どれだけ客に利用されるだろうか?そのような方向に向かうよりも、今ある一般タクシーの実態を整備して、健全な経営が行えるようにすることの方がどれほど業界にとって有意義なことか……」とブルーバードタクシーの営業担当取締役でもあるアテン会長はコメントしている。


「夕方のスリーインワン規制時間帯が変更されるか?」(2004年8月11日)
2003年12月24日から都内バスウエーの運行開始準備として始められた夕方のスリーインワン交通規制で、16時から19時までブロッケムからコタまでの区域における自家用車乗り入れ規制が行われるようになった。ところがグロドッをメインに、規制区域周辺でビジネスを行っている商業やサービス事業主から売上が激減するようになったとの苦情が寄せられはじめて、大きな問題としてクローズアップされていたが、都庁は6ヵ月後にリビューするとして、これまで対応を控えてきた。
この問題に関連してスティヨソ都知事は10日、夕方のスリーインワン実施時間帯を16時半から19時半にずらす可能性があることを洩らしたが、それをいつから行うのかについては言及しなかった。


「1バレル50ドルに近付いた原油価格に、航空業界が値上げを予定」(2004年8月21日)
イラク情勢が激しさを増す中、中国とインドの継続的な石油需要に押されて、ニューヨーク・マーカンタイル取引所での原油価格が前代未聞の50dpbに接近する49.33ドルという高値をつけた。このいつまでも続く石油高に、空運業界は運賃調整を余儀なくされている。
オーストラリアのカンタス航空はこの石油価格高騰に関連して、国内線セクター当たりのサーチャージを4.34USドルから7.25USドルにアップし、国際線は5.07USドルから15.95USドルに引き上げる、と20日に発表した。また、シンガポール航空と子会社のシルクエアーは19日、現行の5USドルというサーチャージを9月から域内航路は7USドル、域外航路は12USドルに引き上げると発表した。
一方で、ガルーダ航空、マレーシア航空、日本航空は、いますぐに航空運賃をアップすることはしない、との姿勢を表明している。日本航空と全日空は、7月に行った値上げのあと、値上げ計画は白紙状態だと述べているし、マレーシア航空は去る6月に13.2USドルの値上げを行っており、もう少し様子を見る腹積もりとのこと。ガルーダ航空のバフルル・ハキム商業担当重役は、オペレーションコストの30%を占める燃料費は節約が困難なものであり、その値上がりは事業損益に大きい影響を及ぼすとしながらも、既に予約を確定させている9月15日分までのフライトに関して航空券価格を突然高くするようなことはしない、と述べている。しかし6月から5USドルのサーチャージを追加するようになったガルーダは、9月15日以降のフライトに対して日本およびオーストラリア向け航路を対象に100%値上げを行う予定であることを明らかにしている。
そのほか、ムルパティ・ヌサンタラ航空は6月に国内線国際線料金を5から10%引き上げたばかりであり、慌てて料金を高くして顧客離れを招いては元も子もないと考えているが、強気のライオンエアーは、同社はまだまだ利益体質が揺るぐようなことはなく、料金を上げるようなことはまったく考えていない、と述べている。
空運業界の状況に関してIATAの報告によれば、石油価格が30dpbでは黒字、33dpbで新設会社は損益分岐点、36dpbになれば業界で赤字操業がはじまる、とされている。いまや50dpbに近付いている石油価格で1USドルの値上がりが起これば、全世界の空運業界にひと月10億ドルのコストアップがもたらされるだろう、とジョバンニ・ビシニャニIATA総裁は語っている。


「スピード違反天国は変わるのか?」(2004年8月23日)
ジャカルタのドライビングマナーに肯定票を投じる人はいないだろう。そこにあるのは、ジャングルの掟が作り出す秩序。交通警察はそんな秩序に法を持ち込もうと努力しているが、今年7月までに首都警察交通局が発行した交通違反切符29万5千枚の中に、世界のたいていの国で交通違反のトップグループに入るスピード違反は一件もない。誤解してならないのは、法規がないからそうなっているのではなく、取り締まりが行われていないことの結果なのだ。ついでに申し添えれば、酒気帯び運転も一枚もない。これも運転者に対するアルコール検査がまったく行われていないからで、ジャカルタで酒気帯び検査を目的にした検問が行われうるかどうかは、想像してみれば面白い。
有料道路を管理する道路管理公社PTジャサマルガは、かつてスピードカメラを有料道路に設置したことがある。結果は、ほとんどすべての車が制限速度オーバーで、カメラ自体がオーバーロードしてしまった。「ハイウエーパトロールがそんな大量のスピード違反を止められるわけでもなく、また止めたりしたなら、こんどは大渋滞が発生して社会問題になる。だから当方はそのような設備を設置することは二度としないことにしている。」ジャサマルガのマルヤント業務担当重役はそう語っている。
しかし8月15日にチカンペッ高速道路で発生した公共バスの超スピード走行による玉突き事故で14人が死亡した事件を大きい問題ととらえた道路交通管理当局は、今後スピード違反に対する対応を取っていくことを決めた。WHOは死亡交通事故の30%が超スピード走行によるものとしているが、インドネシアにはそのようなポイントから見た原因分析が行われておらず、人の不注意や車の整備状況などといった項目が原因としてあげられているだけ。
運通省陸運交通局、ジャサマルガ、国家警察、生命保険公社ジワスラヤが参加した会議で決められた内容はシンガポール、マレーシア、オーストラリアなどで行われているレーダー設置で、まず有料道路の効果的な場所に設置することからスタートし、徐々に一般道路へも広げていくことを議決した。ただしタイムスケジュールはまだ決定されていない。この会議では他にも、運転者の規律向上プログラムの実施、免許証取り消し措置のメカニズム作り、公共運送機関の水揚げ納金システムから運転手への賃金システムへの変更促進などが合意された。


「モノレール建設工事は暫時停止」(2004年8月26日)
スナヤン・ブンカルノスポーツコンプレックス内での施設建設を国家官房から断られた首都のモノレールはルート変更を余儀なくされており、すでにトータルデザイン変更の仕上げ段階にかかっているものの、それが完了するまで工事は停止している。
工事着工式典で最初の杭打ちが行われたスナヤン西側のアジアアフリカ通り中央分離帯にあけられたモノレール支柱のための穴には既に鉄筋コンクリートの柱が立てられており、杭打ちに使われたハイドローリックハンマーも撤去されて現場周辺に見当たらない。この建設工事を請け負ったPTアディカルヤのサイフル・イマム社長は、トータルデザインが未完成であるために最初の支柱建設が一段落したところで作業は停止しており、再開はデザイン完成後になる、と説明している。同社長は、今年11月から12月にかけて数ヶ所で一斉に工事が再開されることになるだろう、と予想している。
デザインを完成させるにあたって、BOT契約を結んでこのプロジェクトのインベスター兼デベロッパーの座に着いたPTジャカルタモノレル社は、電線、電話回線、水道などのユーティリティ会社と個別に支柱建設ポイントの位置決めを協議しており、これがトータルデザイン完成を遅らせている要因のひとつとなっているが、都庁側は、いまの停滞が既に計画された2年半の工期に重大な影響を与えることはない、とコメントしている。
このモノレールは、カンプンムラユからダルマラサクティ・ビルを通ってタナアバンからロクシーに至るブルーラインと、クニガン地区から軍事博物館で折れてクスマチャンドラに抜け、ジャカルタ証取ビルでスディルマン通りに入り、青年の像からアジアアフリカ通りを経て国会議事堂へ向かい、プジョンポガンからドゥクアタスに回ってスティアブディに戻ってくる周遊ルートを取るグリーンラインのふたつから成っている。総工費6億ドルをかけるこのプロジェクトで、グリーンラインの完成予定は2006年12月、ブルーラインは2007年7月となっている。


「自家用車からバスウエー利用への転向組みはまだ少ない」(2004年8月30日)
今年1月15日から運行を開始した首都のバスウエーは今では一日4万人の乗客を運んでいるが、当初目論んだ首都の交通緩和に対する影響度はあまり高くない、という分析が3月にJICAが行った調査で明らかになっている。それによれば、4万人のほぼ半数はバスウエーの開通によってそのルートから閉め出された都内バスを利用していた人たちで、11,060人は非エアコンバス、10,110人はエアコンバスから転向してきたひとたち。ほかには1,085人がタクシーから、316人がバジャイから、そしてオートバイからの転向者は1,890人となっている。交通緩和に大きく影響する自家用車からの転向者は5千6百人にすぎない。
トランスジャカルタバス運行会社は、自家用車が期待したほど減っていないのは、バスウエーがまだ南北方向の一本しかないためで、東西方向が開通する来年にはもっと多くの自家用車族がバスウエーに乗るようになるだろうと見込んでいる。


「ポンドッインダモール北側交差点を立体交差に」(2004年8月31日)
モハンマッ・ファドリ・ミスバッ都庁公共工事局長は、ポンドッインダモール北側交差点の南北方向を掘り下げて立体交差にする工事を近々開始する、と語った。計画は、交差点北側のイスカンダルムダ通りにある大モスクの前から交差点南側のメトロポンドッインダ通りに面するモールの歩道橋を超えたあたりまで、アンダーパスにするというもの。この工事は民間業者に請け負わせる予定で、現在入札プロセスに入っている。ポンドッインダモールは、道路を隔てた向かい側に第二モールを建設し、二つのモールを陸橋でつなぐ計画にしており、2005年末のモール拡張工事終了前には、アンダーパス工事は終わっていなければならない。
これとは別に、パサルミングラヤ通り南詰めにあるラグナン通りとの三叉路も、アンダーパスによる立体交差工事が近々開始される。このアンダーパスは鉄道線路の下をくぐってタンジュンバラッ通りに接続する計画になっており、鉄道公社との調整が進められている。平常でもパサルミング駅から南行きはその三叉路にある信号と客待ちバスやアンコッのために通り抜けに40分から1時間を必要とする渋滞が発生しており、三叉路を通らないで直接タンジュンバラッ通りに抜けられるアンダーパスで道路の渋滞状況が大きく改善されることが期待されている。


「シマトゥパン通り立体交差は10月開通の見込み」(2004年9月7日)
ジャカルタアウターリングロード沿いの一般道路でジャカルタ=ボゴール近郊鉄道線と交差する場所がある。線路に平行して東を南に下る一方通行のタンジュンバラッ通りと線路の西をジャカルタ方面に上がってくるレンテンアグン通りがそのリングロード沿いの一般道路TBシマトゥパン通りと交差する地点がそれで、ここは大規模な十字路になっている。線路沿いの二本の一方通行道路はデポッ市のインドネシア大学キャンパスとジャカルタを結ぶメイン道路であり、この道をご存知の方は少なくないだろう。
十字路の真中を鉄道線路が通り踏み切りになっているために、鉄道ラッシュ時間帯になると必ず渋滞が発生し、また交差点の信号と鉄道の踏み切りがリンクしていないために信号がグリーンになると遮断機が下り、赤信号のときだけ遮断機が上がるというちぐはぐが連続して起こり、通せんぼの交差点として悪名高い。
その渋滞緩和のために2003年3月から立体交差化工事が始められた。TBシマトゥパン通り高架工事がそれで、橋梁建設工事は8月にほぼ完成し、いまではアウターリングロードのフライオーバーの左右にそれぞれ長さ450メートル幅12メートルの橋がもう一本ずつ並んでいる。
居住地域インフラ省都市農村計画総局大都市局が440億ルピアの予算で自ら施工したこの工事について、同局プロジェクトリーダーのスルヨ・プラボウォは、完成は間近い、と語る。
「計画では2005年1月完成予定となっているが、竣工は近い。今は4センチ厚のアスファルト敷設が終わったところで、今週はその上に3センチ厚でもう一度アスファルトを敷く。二週間後には終了する見込みだ。そのあとはコンクリートの橋床の接合部40ヶ所をゴムと鋼鉄でジョイント処理を行う。9月末にそれらがすべて終了すれば、運通省に使用許可を申請し、それが降りれば開通だ。この10月には使用が開始されることを期待している。」同リーダーはそう語っている。


「首都のスリーインワン交通規制に変更」(2004年9月18日)
これまで首都の目抜き通りで午前7時から10時まで、夕方4時から夜7時までの間行われていた通称スリーインワン交通規制の夕方の時間帯が変更された。規制開始時間が4時から4時半に下げられたため、実施時間は30分短縮される。この変更を定めた2004年度都知事令第77号は9月6日付で、実施は9月17日から。この法規の制定により、これまでスリーインワンの法的根拠をなしていた2003年12月23日付都知事令第4104号は廃止される。
規定によれば、土・日曜日と国民の休日は規制適用外であり、公共運送機関、5.5トン以下のピックアップまたはボックスタイプ貨物運搬車、首都の公共サービスに携わる勤務中の公用車である消防車、電力公社業務車、テルコム業務車、街路照明メンテナンス車、交通標識メンテナンス車など、軍、警察、都庁交通局の車両、旗を付けた外交官の車両、救急車、二輪車なども適用外となっている。
この変更はこれまでさまざまに陳情が行われていた規制地区内の商店やショッピングセンターからの苦情に都行政が答えたものだが、ホテル・レストラン業界は、いっそのこと夕方の規制は撤廃してほしい、と表明している。首都ホテル・レストラン会が規制地区内にある4星5星級ホテル11軒と37レストランのうちホテル3軒レストラン8軒を調査したところ、ホテル・レストラン業界も夕方スリーインワン実施以来売上が低下していることが明らかになった。従来ホテル収入の50から60%は飲食収入が占め、残りが客室料金となっていたところに、スリーインワン規制のためにレストラン客の減少とファンクションルーム利用の減少が起こっているとのこと。都内にはいまホテル客室が3万あり、また賃貸アパートが2万5千室あって、ホテルにとって厳しい競争環境にあるが、そこにきて一部ホテルはスリーインワン規制の影響を蒙り、売上が大幅減になっているところも出てきている。特にファンクションルームはこれまでセミナーや集会で盛んに利用されてきたが、規制がはじまって以来主催者は3時半で催しを終わらせなければならず、それでは催し参加者に時間的な物足りなさ感が生じ、反対に夜7時まで催しを継続すれば、主催者は食事を用意する必要が出て経費がかさむことになる。そのせいで主催者が規制地区外に会場を移す傾向が強く、ホテルのファンクションルーム利用は激減している、とのこと。


「9月20日午前中の首都はまるでゴーストタウン」(2004年9月21日)
大統領選挙最終投票が行われた9月20日、都民は地元各町内に設けられた投票所で投票を行った。午前7時から午後1時までが投票時間。午後1時に投票が締め切られると、即開票にとりかかる。Golputと呼ばれる主体的棄権者の増加が4月5日の議員総選挙、7月5日の大統領総選挙第一回投票時にも叫ばれていたが、今回はどうやら全国規模で30%近くに達している模様。前回もそうだったが今回も、開票結果に興味を抱く人の数もまた減少傾向で、投票を済ませて小指に不滅インクをつけたおとうさんおかあさんの大半は、子供たちを連れてモールやショッピングセンターに繰り出した。
独立記念日以上に国民総出の催しとしての伝統を誇る総選挙投票で、投票も済まさないうちに街中をうろつく不逞の輩はいない。パサルですら、ふだんは暗いうちから野菜や果物などを並べて営業している物売りたちの姿も見当たらず、市場の賑わいも影をひそめている。なにしろ物売りたちの多くは、投票のために故郷の村に帰っているのだ。かれらは18日から19日にかけて、西ジャワ州の農村部に帰る帰郷の波に乗って首都のバスターミナルを後にしている。おかげで20日の午前中は、都内目抜き通りも閑散とし、まるでゴーストタウンのおもむき。
プロガドンバスターミナルでは、20日の午前中に到着した長距離バスはたったの10台。帰郷逆流の波は20日の夜から始まる模様で、バスの多くは満を持してそのタイミングを待っているところ。タンジュンプリオク港での貨物荷役は、20日16時からの夕方シフトに任された格好で、午前中の港は閑古鳥の鳴くありさま。
スカルノハッタ空港がそんな状況から影響をひとり免れていられるわけもなく、ジョクジャ、スラバヤ、バリッパパン、スマラン、マカッサル、マナド、パダン、パレンバン、プカンバル、ジャヤプラ、ポンティアナッ、ブンクル、タンジュンカランとジャカルタを結ぶ空の足は出発も到着も時間変更を余儀なくされた。定時運行できなかったフライトは38便にのぼった。ただし国際線とジャカルタ〜デンパサル便は定刻で運行された。空港職員用に21の投票所が空港敷地内に用意され、職員たちは適宜職場を離れたために定常オペレーションが行われなかったが、午後1時に回復したのでその後のスケジュールの乱れは見られなかった。
首都にエネルギッシュな賑わいが戻ってきたのは正午過ぎから。グロドッ家電品商店地区、クラマッジャティ、チピナン、タナアバンやマンガドゥアなどの卸商地区は終日閉店だったが、多くのモールやショッピングセンターは午後から開店。ITCチュンパカマスは午後1時、カルフルは正午から、チトスは午後2時からなど、それぞれ個別の開店時間を設定して続々とやってくる顧客を迎えた。正午前後にやってきて、正面ゲートの張り紙で開店時間がまだ数時間先というのを知った来店客の中には、きびすを返す人もいたが、多くは開店を待つという忍の対応。開店後の店内は通常の週末以上にごったがえしていた。


「バジャイに替わるカンチル車、いまだに前途多難」(2004年9月29日)
公共輸送用車両としてのカンチル車の使用が2004年5月24日付け都知事令で認可されているが、既に認可を得た250台の稼動がいまだに始まらない。都知事令では6ヶ月以内にその250台を準備することになっており、生産者のPT Kurnia Abadi Niaga Cipta Indah Lestari社はその準備を終えている。
都庁運通局陸運事業育成課は車検と黄色ナンバープレート発行に関するリコメンデーションを関係当局に出しているものの、肝心の首都警察が大統領選挙に関連して車両番号証明書の発行を中断していた。これは一部バジャイ運転手や車両オーナーがバジャイからカンチルへの交代に反対しているため、選挙前に社会騒乱を起す原因を作らないようにとの警察側の配慮だったとのこと。
最初にカンチル車をバジャイの代替車両として導入したいと申請したのは1989年11月の軽運送運転手事業者独立共同組合で、そのとき都庁は第四種公共運送機関の計画がまだないことを理由に却下している。一方でバジャイの大気汚染に関する批判から、1982年にはバジャイを他の軽運送車両に換えることが予定され、1986年以来バジャイに対する新たな認可はストップされていた。ところが1980年代には認可された登録車両が13,335台あったものの、その後の調べで都内で稼動しているバジャイは14,600台にのぼることが明らかになっており、多数のバジャイが無認可で営業していると推測されている。そんな状況から都庁運通局と首都警察は都内で稼動しているバジャイの認可書類のチェックを行おうとしており、いつからカンチルが実働を開始できるのか、まだ明らかになっていない。


「プロガドン・バスターミナルは公園になる」(2004年9月30日)
長い年月をかけて煮詰められてきた東ジャカルタ市プロガドン・バスターミナルのプログバンへの移転がやっと本格的に動き出したが、移転後のバスターミナルは公園にする、とクスナン・アブドゥル・ハリム東ジャカルタ市長が語った。
プログバンでのターミナル建設進行はまだ土地収用段階で、既に9.08ヘクタールの買収が終わっているが、計画に対して1.8ヘクタールがまだ用意できていない。その原因は所有者との間で買収価格の折り合いがついていないためで、市側は市の公定価格で所有者が売却しないならその土地の買収はやめ、用意された土地だけで建設を始めるように考えている。
プログバン・バスターミナルの完成予定は2006年末あるいは2007年初で、新ターミナルの稼動が始まればプロガドン・バスターミナル北角にある三叉路の慢性渋滞は解消され、市民が憩える広大な公園が出現して、東ジャカルタ市民の生活を潤すようになるだろう、と市長は期待している。


「モノレールルートの変更が承認される」(2004年10月5日)
首都に建設が予定されていたモノレールは着工式だけが行われ、その後の動きが止まってしまっていたために各界からの疑問を招いていたが、PTジャカルタモノレール社が提出していたルート変更案が都知事によって正式に承認されたために、工事再開が期待されている。
ルート変更は四ヶ所で行われ、まずスナヤン・ブンカルノスポーツセンター第一ゲートから入るのをやめてそのままスディルマン通り沿いに走り、右折してスナヤントレードセンターからプラザスナヤン方面に曲がるというもの。次にそのアジアアフリカ通りからTVRIのあるグルバンプムダ通りへ曲がるかわりに、そのまま国会議事堂の裏を通って首都近郊鉄道パルメラ駅まで伸ばすというもの。三つ目は、カンプンムラユ〜カサブランカ〜カレッから近郊鉄道タナアバン駅に向かう案が、タナアバン市場に向かうというもの。四つ目はチデン地区からITCロキシーマスに向かう代わりに、モール・タマンアングレッに向かうというもの。しかしスエナ都庁開発担当補佐官によれば、スナヤン周辺の予定は更に変更が検討されており、スディルマンプレースを通ってプラザスナヤンに入り、そこからアジアアフリカ通りを北上するという案に替わりそうとのこと。
一方、全長27キロの首都モノレール建設を請け負ったPTジャカルタモノレール社は、工事見積もり総額6.3億ドルの資金調達計画の中に株式公開を含める検討を始めた。計画では、払込資本1.5億ドル、外国借り入れ3から3.5億ドル、国内ローン1から2億ドルとなっており、またエクイティをベースにした債券発行もあげられている。


「4日にスカルノハッタ空港で交通麻痺」(2004年10月6日)
10月4日午前中スカルノハッタ空港敷地内の交通が完全に麻痺した。通称ハジ・ターミナルと呼ばれている第三ターミナルへのアクセスの便宜を図るために、空港公社は高速道路から空港に入ってきたあたりでトンネルを造り、ジャカルタ方面行き車線と立体交差させることでこれまで大きい迂回を強いていた交通の流れを合理化しようと計画していた。10月4日は早朝からその建設準備工事が始まり、午前7時15分から10時半まで仮橋を造るために空港内の各ターミナルから高速道路に向かう車線が工事現場付近で閉鎖された。そのため出発客を送ってジャカルタ方面へ戻ろうとする車や、到着客を迎えてジャカルタ方面に行こうとする車がすべてブロックされ、およそ3キロが車で埋まった。空港側は普段一般車両の通行を禁止している代替ゲートを開いて空港高速道路にアクセスできる別の道路に車を流そうとしたが、たいした効果はあがらなかった。 朝の時間帯に到着した国際線客や国内線客はこの交通麻痺に巻き込まれ、また出発客を乗せてきた車も渋滞したために多くの乗客が出発時間に遅れ、出発客の中には二輪オジェッに乗ってターミナルへ向かう姿も見られた。
空港公社のスダルヤント総務部長はこの事態に関し、関係官庁間のコーディネーションがまったく欠けていたために起こったことで、工事責任者は警察に交通整理の依頼を出していなかったのではないか、と語っている。


「ガルーダ航空券購入がダナモン銀行ATMでも」(2004年10月8日)
国内銀行界第5位の資産規模を持つダナモン銀行が、ガルーダ航空と航空券購入サービスにおける協力覚書を結んだ。ダナモン銀行が持つ全国8百基のATMを使ってガルーダの航空券購入支払いができ、またダナモン銀行クレジットカードを使えばポイントリワードプログラムが適用される。航空券購入プロセスは既にBCA銀行が行っているのと同じもので、ATMで振込みを行い、決済票を持って空港の航空券販売カウンターに行けばチケットが受け取れる仕組み。「BCA銀行のATMを使ったガルーダ国内線切符購入サービス」(2004年7月7日)をご参照ください。
ダナモン銀行側は、携帯電話料金月次支払いや度数買い足しなどの現行フィーチャーに新たなサービスが加わったことから、今後も顧客サービスのいっそうの充実を目指すと述べている。


「首都のモノレール建設工事再開は11月1日」(2004年10月12日)
6月に華々しい打ち上げの声とスティヨソ都知事の号令が響き渡ったあと、ぷっつりと鳴りをひそめてしまった首都のモノレール建設プロジェクトが、11月1日から再開される。PTジャカルタモノレールのルスラン・ウィルヨ社長は、11月1日から工事を始めるが、全力で工事にかかるのは2005年3月からになる、と語った。四ヶ月以上も実作業に間があいたのはルートに変更が出たためで、それにあわせて工事デザインの修正が必要となり、それが完成しなければ工事にかかるわけにいかないため、いま急ピッチでその仕上げが進められているとのこと。2006年末完成予定というスケジュールに関して同社長は、いまのところまだ日程通りに進行しており、完成が遅れることはない、と述べている。
ルート変更については10月5日付記事「モノレールルートの変更が承認される」をご参照ください。
首都のモノレールはグリーンラインとブルーラインのニルートが計画されており、グリーンレーンでは4両編成の列車が15本、ブルーレーンではやはり4両編成の列車が12本運行される予定になっている。ちなみに1両は170人乗りとのこと。


「国内空運業界が燃料サーチャージ徴収を検討」(2004年10月13日)
全国空運協会INACAは会員空運会社に対し、原油価格の高騰に対処するために燃料サーチャージを運賃に適用するよう提議した。先週8日にもINACAは会議を開いてその問題を討議しているが、金額についての結論にはまだ到達できていない。現在INACA会員は定期航空会社16社とチャーター航空会社9社からなっている。
この燃料サーチャージは、運賃ではなく原油価格の趨勢に応じてかけられる追加チャージで、常態であるバレル当たり35ドル近辺になればこの追加チャージは撤廃されるが、石油業界では来年初にバレルあたり81ドルを超えるのではないか、との推測が交わされており、運輸関係者は当面自衛の策としてこのサーチャージを徴収せざるを得ない。空運業界はこれからのルバランから新年にかけての繁忙期に料金がアップするのは年中行事であり、それに加えてサーチャージが適用されるのは消費者からの不満を招くのは十分に想像できるものの、それらは性格の異なる要因がもたらしているものだという理解を消費者に持ってもらおうとして、説明に努めるかまえ。


「都内路上駐車がなくなる!?」(2004年10月19日)
都内の路上駐車を全廃してすべてオフストリート駐車に切り替えるという首都マクロ交通整備計画に関連して、都内におよそ4千人いる駐車番たちのあいだに不安が広がっている。
都内の路上駐車は都知事令によって統制され、首都駐車管理庁が委託した駐車番が定められた料金を徴収して同庁にその一部を納めるというシステムだが、駐車番が徴収した金額が本人以外にはわからないため、管理庁はエリアによって納入金額を定めてそれを都の収入としている。一方駐車番は、それを差し引いた金額が自分の手取りとなるが、平均一日5万ルピア、ひと月の稼動26日で130万ルピアというかれらの収入がその計画によってなくなってしまうことを強く心配している。管理庁から正式な委託を受けている駐車番は1千5百人、またそれ以外にも2,499人の駐車番がいて、かれらは都内の指定路上駐車場所434ヶ所に散らばって働いている。
ヤニ・ムリヤディ首都駐車管理庁長官は、この全廃計画は段階的に遂行する予定で、指定路上駐車場所の周辺に駐車ビルを建てたり、近くにあるショッピングセンターやオフィスビルの駐車場を利用したりして駐車場所を確保した上で、路上駐車を廃止することになる、と語っている。最初のターゲットはパサルバル、グロドッ、ブロッMで、それらは都内でもっともひとがたくさん集まる場所であり、また代替駐車場施設もほぼ揃っているため、最初に手を着けたいとしている。ほかの場所について、新たに駐車ビルを建設しなければならないところは、投資家を招聘することで進める考え。都内の駐車システムが整然と秩序だって管理されることは、都内の管理をたいへんやりやすいものにするため、この計画はぜひ実現させたい、と同長官は述べている。
一方都議会のファティ・シディッ、レフォルマシ決起会派事務局長は、現在都内で猥雑無法の傾向を帯びている路上駐車を秩序だてることは、そのような制度変更より先に、現場の状況を規則に沿ったものに改善していくことから始められるべきであり、制度変更で問題の根が解決されることにはならない、と語った。改善の種としてはまず、道路沿いのビルはその規模に応じた広さの駐車場を用意することが義務付けられているが、中には駐車場をまったく用意せず、路上駐車に頼っているところもある。次に都内434ヶ所の指定ポイントから外れた場所で、制服を着た駐車番が車を止めさせて駐車料を取っており、駐車場行為が行われている場所は、指定ポイントを大幅に超えている。さらに交通量の多い一級道路の中には、道路脇の一車線どころか二車線まで駐車させて道路を占有している姿を、ハルモニーやガジャマダ、グロドッ、ジャティヌガラ、オティスタ、クラマッ、スネン、ラワマグン、タナアバンなどで目にすることができる。駐車管理庁はそのような規則違反行為をまず粛清することが先決だ、と同事務局長は批判している。


「首都圏近郊鉄道エグゼキュティブ列車は」(2004年11月9日)
JRと書かれた電車が首都圏を行き交う。「ああ、ありゃあ新型電車だ。ジャボタベッ・レールウエーの略語だ。」とコタ駅から出てきた『知ったかぶりおじさん』は言うが、実は日本製の中古電車なのだ。10月21日にタンジュンプリオッ港に陸揚げされた日本製車両は、10月28日に試運転が行われて走行に問題ないことが確認された。そして11月1日から首都圏のレールの上を走り始めたのである。
鉄道車両製造会社PT INKAに仕事がなく、従業員の給与さえ満足に支払えない状態にもかかわらず、国有鉄道会社PT KAIは日本から中古鉄道車両を購入した。調達コストがINKA製新造車両より安いというのがその理由。日本で20年間ご用を勤めて現役を退いたそれらの車両は、しかしインドネシアに来て見れば新品と大差ない。エアコンは快調に機能するし、おまけにエアコン故障に備えてファンまで付いている。車体はきれいに整備されており、古いというだけの話しだ。スペアパーツはもう作られていないという悪条件は、PT KAIの修理工場で代用品を何とかできるとのこと。欠点があるのは、日本製車両の構造強度が50トンの衝撃まで耐えるように設計されていることで、これはホレック製車両の150トンには及ばないし、インドネシアのスタンダードでも本来は100トンが基準とされている。
ともあれ今回日本から1.32億円で購入した16両が首都圏近郊鉄道で運行を開始すれば、日々運行するエグゼキュティブ列車は92両となり、運送能力に向上がもたらされることになる。PT KAIは実際、ほかに4両をデポに待機させており、エグゼキュティブ用車両は96両存在している。一両当たりの収容能力は80人で、通勤ピーク時には250%の乗客収容率になっているが、今回の車両増で車内の混み合いかたには余裕ができ、座れなくともゆっくり新聞を読んで通勤できるような顧客サービスが実現できるものとKAI側は期待している。前回行われた日本からの鉄道車両輸入は日本政府からの寄贈品だが、2000年4月から6月までの間に72両が到着しており、それらが今運行されているエグゼキュティブ列車のメインをなしている。
このエグゼキュティブ列車の料金は、ブカシ=コタ間6千ルピア、スルポン7千5百ルピア、ボゴール8千ルピアとなっているが、PT KAIは2005年1月に値上げを希望しており、ボゴールまでは1万ルピアにする計画。PT KAIのジャボタベッ部門は、首都圏近郊鉄道の経営状態について、一日の乗客数は45から50万人でエグゼキュティブ列車利用者はその9.3%だが、1,680億ルピアの年間売上げ中35%がエグゼキュティブ列車から得られているとのこと。低所得層向けのエコノミー列車を用意して足の確保に努めるのは言うまでもないが、事業経営のためにはエグゼキュティブ列車を増やして収入増を図ることも重要な経営戦略のひとつだ。2005年はエグゼキュティブ車両96両とエコノミー車両168両で首都圏近郊鉄道のオペレーションがスタートする。


「日本からの中古電車車両がタンジュンプリオッ港に陸揚げされる」(2004年12月7日)
PTKAIが114億ルピアで日本から購入した中古電車16両のうち8両が6日、タンジュンプリオッ港在来埠頭に陸揚げされ、港内をタンジュンプリオッ鉄道駅まで引かれた仮設線路を通ってPTKAI車庫まで届けられた。ほかの8両は去る10月21日にジャカルタに到着しており、首都近郊鉄道タングラン線ボジョン線に投入されて日々6千4百人のエグゼキュティブクラス乗客を運搬している。新たに到着した8両はボゴール線、ブカシ線に投入されてPTKAI首都近郊鉄道のドル箱であるエグゼキュティブクラス車両を充実させることになっている。
港からの車両移送のためにPTKAIは、埠頭脇からプリウッ駅までのおよそ百メートルにわたって路上のアスファルトを剥いて仮設線路を敷き、そのあとをまたアスファルトで埋める工事を行った。そのために2千万ルピアの費用をかけた、とラフマディ、ジャボタベッ事業所長は述べている。ところでエグゼキュティブクラスの運送能力増強で収入アップとなるはずのPTKAIだが、同社は計画通り2005年1月1日から料金値上げを行う、と念を押している。ボゴール線はコタ〜ボゴール間の8千ルピアが、1万ルピアに上がる。他のルートは7千5百ルピアとなる。ラフマディ事業所長は、「電気代だけで年間360億ルピアをPLNに支払っており、公共事業である鉄道に対する負担軽減措置もない。おまけに電気料金は3ヶ月ごとに自動的にアップする仕組みになっているため、値上げなしでは事業が続けられない。」と説明している。


「ジャサマルガの事業は今年も順調」(2004年12月21日)
有料自動車道路運営国有会社PTジャサマルガは、今年の事業で昨年と同程度の2千5百億ルピアを超える純利益が計上されるだろう、とシャリフディン・アランバイ同社社長が語った。同社の全国9支店は一日52億ルピアの収入をあげており、同社が抱えている一日あたりの元利合計12.5億ルピアという債務負担は問題なくクリヤーできるとのこと。同社は見込まれている純利益の50%を政府への配当とし、25%は道路開発資金に充当し、残りは会社の内部留保と従業員のボーナスに当てる予定。税金については、2003年に付加価値税、法人所得税、従業員所得税、土地建物税として総額4千9百億ルピアを同社は国庫に納めた。今年も同じ規模での納税になると見られているが、それでも全国各地に広大な地所を持つ同社にとって土地建物税は不動産の課税対象販売価額が毎年アップするために増加するのが当たり前で、この税種の納税額はきっと増えるだろう、と同社長はコメントしている。
有料自動車道路の利用料金値上げに関して同社長は、今のところ予定されているものはないとはいえ、石油燃料市場価格がアップすればさまざまなコスト全般に影響が出るだろうから、状況次第で2005年に値上げ申請が行われる可能性はある、とも語っている。同社の株式公開は国有事業体担当国務相からの最終許可がまだ得られていないものの、ジャサマルガの2005年度経営計画の中にはそれが既に置かれている。


「鉄道車両屋根上乗車者に宣戦布告」(2004年12月31日)
ウイークデーの朝夕、ジャカルタ近郊鉄道エコノミー列車とすれ違うたびに目にするのは、大勢の若者たちが列車の屋根の上に乗っている姿。屋根上乗車は昔からの伝統だが、危険であることに変わりない。屋根上乗車するのは車内がぎゅうぎゅう詰で入る余地がないという理由と、そして屋根上だから切符を買う必要がないはずだという理由のふたつ。屋根上の方が気持ちよいという理由は副次的なものだ。国有鉄道会社PT KAIが膨大な乗客需要に十分な車両供給をしないのがいけないのだ、という非難がその後に続く。確かに乗客需要が最大のボゴール=コタ線は、朝夕のピーク時間帯に16便が運行されているが、一便平均80人の屋根上乗車者がおり、これは毎日2千5百人を超える無賃乗車者を運んでいるのと同じことで、同社には月間で1億2千万ルピアの収入ロスが発生している、と言われている。屋根上乗車者の転落や電線接触による死亡事故も折に触れて起こっているが、「他人の不幸が明日はわが身か?」という認識には至っていない。
鉄道会社側はこれまで、屋根上乗車撲滅を図ってあの手この手の対策を講じてきた。染料を混ぜた水をかけてみたり、乗れる場所をなくすよう車両の屋根の構造をモディファイしてみたり、潤滑オイルを塗って登りにくくしてみたり、あげくのはてに有刺鉄線を屋根上に張ることまでしたものの、屋根上乗車者の執念を崩すには至っていない。結局鉄道会社は、「人間がある行動を取ろうという意志を抱いたとき、それを阻むものはそれに対抗しようとする人間の意志しかない」という古来の鉄則に気付いたようだ。対人間のコンフリクトを避ける傾向が強いジャワ島文化の中で、近年稀な対策が打ち出された。
27日、鉄道会社第一操車区のアフマッ・スヤディ広報室長は、1月はじめから屋根上乗車者に対する実力措置を取る、と公表した。この措置は屋根上乗車者を捕らえて頭を丸刈りにし、本人のアイデンティティを記録してデータを残し、本人の学校や勤務先に連絡して本人に警告を与えてもらおうという内容。屋根上乗車者を捕らえる役目は、鉄道会社職員、警察機動旅団員、鉄道会社が契約しているセキュリティサービスの警備員がチームを組んで行う。このチームは、マンガライ、パサルミング、デポッ、デポッバル、ゴンダンディア、トゥベッ、ジュアンダ、ドゥレンカリバタなど屋根上登りが多い駅に配備され、1月初から実力措置を開始することになっている。


「明日6日は都内で大規模な交通規制」(2005年1月5日)
2005年1月6日はジャカルタで地震津波余波対策アセアンリーダー特別会議が開催される。会場となるヒルトンコンベンションセンターと会議参加各国首脳の宿舎およびスカルノハッタとハリムプルダナクスマの両空港を結ぶ都内のメイン道路は、厳重な警戒に加えて一般車両に対する交通規制が行われる予定。宿舎となるのは都内のヒルトンホテル、ムリアホテル、ハイヤットホテル、マリオットホテル、シャングリラホテルの5ヶ所。参加各国デレゲーションのジャカルタ入りは4日から既に始まっており、6日の朝空港に着いてそのまま議場入りする国もある。
首都警察は各国デレゲーションに対する警備のために4千人の治安要員を投入して、ホテル・空港・会場およびそれらを結ぶ道路の直接警戒を行わせ、それ以外の1万人を支援部隊として都内全域に配備する予定。この特別警戒措置は6日午前6時から午後6時までの一日間だけで、フィルマン・ガニ首都警察長官は都民に対し「重大事であることに鑑みて、6日の不便にはご理解とご協力をたまわりたい。」と述べている。
スマンギ立体交差からスナヤン周辺一帯は時間によって通行禁止となる可能性が高く、チャワン方面とグロゴル方面間の往来は一般道でなく有料道路を利用するか、もしくはスナヤンを大きく迂回する交通ルートを組むよう、首都警察は都民に呼びかけている。


「カンチル試乗記」(2005年1月6日)
都内にお住まいの方は昨年11月24日以降、きっとどこかであの丸みを帯びた華奢なカンチルの姿をご覧になっているにちがいない。百%インドネシア人の設計になる小型四輪自動車は、今のところまだバジャイに代わるべき公共交通機関としてわずか26台が広大な首都ジャカルタを走っているにすぎないが、PT Karunia Abadi Niaga Citra Indah Lestari(頭文字を集めるとKANCIL)が既に5百台以上生産している1台4,890万ルピア(オンザロード)のカンチルを自家用車に求める人が出てくれば、都内の路上の賑わいも増すことだろう。
都内の公共運送許認可をあずかる都庁がPTカンチル社の提出したカンチル車4百台の路上交通許可に対して250台に許可を与え、そのうち26台が昨年11月24日から路上に登場したものの、都庁はカンチル車がバジャイの後継であるという原則からカンチル車百台の稼動許可はバジャイ百台の廃却とセットであるとの条件をつけている。バジャイ現職運転手からカンチルへの乗り換え反対という声も強く、次の百台はいつ登場するのだろうかといったところ。

さて1月4日、興味津々ながら未知の不安も手伝ってこれまでトライしそびれていたカンチル試乗にさる有力紙記者が挑んだ。かの女はムルデカスラタンの都庁からパルメラまで乗ろうというのだ。メーターなどないから、バジャイ感覚でタワルムナワル。結局1万5千ルピアに落ち着いた。車内に入る。ダッシュボードには車体にマッチしたかわいらしい扇風機が一個。炎天下にそよ風では、噴き出す汗を鎮めるのは難しい。だがバジャイとの大違いは、ドアが閉まり、窓も開閉できるので、車外の騒音、排気ガス、そしてひったくりなどから保護されること。シートもバジャイよりクッションが効いており、そしてバジャイの車内よりも広さがある。バジャイに比べてこれははるかに人道的。運転手も「運転が楽だ」と物語る。カンチルはなんとオートマチック車なのだ。「ギヤチェンジなどいらないよ。アクセルを踏むと走り、ブレーキを踏むと止まる。」ムルデカスラタンからアグッサリム、そしてクブンシリ〜ジャティバル〜プタンブラン〜スリピを通ってパルメラへ向かう間に、運転手との会話ははずむ。「実は、バジャイを走らせる方が収入は大きい」と運転手は言う。夕方3時から翌朝6時まで働けば、少なくとも5万ルピアになるし、大晦日の夜といった特別の日には15万ルピアを手にすることができる。カンチルに乗り換えて以来、この運転手は収入が大きく減っているそうだ。「未知だからお客は不安なんだ。まだ度胸がつかないんだろう。」という運転手の分析。運転手はそのカンチルが自分のものになるまで、四年間毎月1万ルピアの課金とバジャイ運転手組合へのクレジット返済金1日9万6千5百ルピアを納めなければならない。だが乗客が少ないので組合は調整してくれている、と運転手は語る。運転手は仕事が終わると西ジャカルタ市クラパドゥアのカンチル車プールに戻る。そこには宿舎がないので、かれらは車の中で寝なければならないらしい。バジャイとカンチルのせめぎあいはまだまだ続きそうだが、ユニークなボディデザインのカンチル車に夕方涼しくなってからでも一度は乗ってみたいもの。


「トマン交差点のアンダーパスが今日から使用開始」(2005年1月11日)
都内西ジャカルタ市トマン交差点の混雑解消を目的に建設されていたトマンアンダーパスの工事が終わり、11日からその使用が開始される。ルスタム・エフェンディ都庁運輸局長は10日、そのアンダーパスを使った道路交通の変更を次のように説明した。「西から東への、タングラン高速からハルモニー方面への流れは、午前6時から9時までの間、下り車線の一部を逆向きに使うことが今後も継続される。完成したばかりのアンダーパスもその流れに使われる。スリピへの流れは有料自動車道の一部に流される。東から西への交通は月曜から金曜まで午前6時から9時までの間アンダーパスを通れない。その時間帯以外はアンダーパスを通るようにし、グロゴルやプルイッ方面に曲がる車はアンダーパスの脇を通ることになる。道路標識に注意して、それをよく守っていただきたい。」という同局長の談。


「チャワン交差点のアンダーパスが今日から全面開通」(2005年1月13日)
チャワン交差点のアンダーパスが13日公式に開通する。この開通によって、北側方面から来た車の流れは、チリリタンやジャゴラウィ高速方面向けはアンダーパスに入り、ハリム空港やチカンペッ高速への東向きとMTハルヨノ通り方面への西向きはアンダーパス外の左脇車線に入るようになる。反対に南から来た車は、直進車はアンダーパスに入り、西向きは道路左側車線を左折し、東向きはアンダーパス上の右折車線に入る。ただし交差点の南から来てチカンペッ高速に向かう州間長距離バス(AKAP)は、朝6時から午後4時までの間アンダーパス上の右折路への進入は禁止され、アンダーパスを直進して一旦交差点の北側に出たあと、Uターンして北から交差点を左折するという進路を取らなければならない。MTハルヨノ通りからチカンペッ方面に向かうAKAPバスも交差点で一旦左折し、同じUターン路を経て北から交差点を左折するというルートを取らなければならない。
11日に開通したトマンアンダーパスはムラッ高速のクブンジュルッゲートとトマンラヤ通りを直接結ぶものであるため、二輪車にとっては袋小路になるものだが、初日はどうやら大勢のオートバイ運転者がそのアナに落ちたらしい。これで昨年から工事が続けられていたフライオーバーとアンダーパスは四ヶ所が完成したことになる。まだ残されているのはスネン交差点アンダーパスで、これは片側の暫定使用が始まっているが、双方向が開通するのは今年4月の予定。さらにパサルミングとポンドッインダのアンダーパス、スプラプト通り、プムダ通り、パサルボのフライオーバー工事はいま建設作業が進められている。そして今年新たに計画されているのは、ロキシー、マルタディナタ、アルジュナのフライオーバーとクバヨランバルのアンダーパス。


「復活したAWairは好評」(2005年1月13日)
昨年12月8日から廉価航空会社として復活したAWairが1月19日からシンガポール向け国際運行に乗り出す。このシンガポール線就航は同社の国際線進出プランの第一歩であり、使用機種は148シートのB737−300が予定されている。この飛行機は同社が購入した二つ目の飛行機で、先週から同社のオペレーションに加わっており、バンダアチェにボランティアを運んだのがこの飛行機の国内での処女フライトだそうだ。19日以降同機は、ジャカルタ〜シンガポール、ジャカルタ〜デンパサル、ジャカルタ〜スラバヤの三航路で使用されることになっている。去る1月6日からサービスを開始した上記国内二航路は利用者から好評を得ており、デンパサル線で7千席、スラバヤ線で5千席が既に売れている、とスンジャヤ・ウィジャヤ同社社長は語っている。加えてシンガポール線も既に3千席が予約販売されており、一ヶ月間に1万5千席が売れているという状況に同社長は顔をほころばせている。AWairの国際線進出計画は次のステップとしてマレーシアと香港がそのターゲットにあがっている。


「首都の路上駐車料金値上げ」(2005年1月14日)
都庁が提案している路上駐車料金値上げ幅がこれまでの2倍から5倍とたいへん大きいために、都議会は難色を示している。都庁駐車管理庁が用意した地方課金に関する1999年第2号条例改定案では、Aカテゴリー道路でのセダン・ジープ等の路上駐車料金が最初の1時間3千ルピア、2時間目以降1時間ごとに2千ルピアとされている。バス・トラック等の場合は最初の1時間5千ルピア、2時間目以降1時間ごとに3千ルピア。オートバイは最初の1時間1千ルピアで、2時間目以降1時間ごとに1千ルピアとなっている。現行規定では、セダン・ジープ等は1千ルピア、バス・トラック等は2千ルピア、オートバイは2百ルピアだ。一方、時間制を取らないBカテゴリー道路での新料金案は、セダン・ジープ等は1回2千ルピア、バス・トラック等は3千ルピアとなっているが、現行はいずれも5百ルピア。またオフストリートの駐車料金システムも三時間一括料金は廃止して1時間単位に変えるよう提案している。
都議会側は、サービス状況も管理状況も劣悪な現状への改善もなしに料金値上げを提案してくるのは、問題解決を指向するどころか、現場の駐車番やその管理者の間で発生する水漏れを増加するだけだ、として難色を示している。現在行われている路上駐車料金徴収制度は、駐車管理庁が各場所での駐車番にストランと呼ばれる一日あたりの規定金額を納入させるシステムであり、切られたチケット枚数による管理ではないために、現場で何台の車からいくらの収入が上がったのかは駐車番本人にしかわからず、ストラン金額を超えた分は駐車番を含む関係者たちの取り分にされているのが実態だ。そのために、条例で料金を制定して徴収行為の法的根拠を作ってはいるものの、徴収された資金の法的な管理運営からはほど遠い実態になっている。都議会側は、そのような状況をもっと健全化させることが急務であり、少なくともストランが直接銀行に納められていない現状は即時改善し、いつまでも誰かの手にとどまるということが絶対ないようにしなければならない、と都庁に管理制度の改善を迫っている。


「ライオンエアーで密航少年が見つかる」(2005年1月14日)
13日、スカルノハッタ空港を飛び立ったパダン行きライオンエアー第325便は、パダンのタビン空港に11時55分到着した。空港警備員ファフロル・メンドロファの目に挙動不審な少年の姿がとまった。まだ小学生と思われるその少年は、ゴムぞうりに普段着で、荷物を何も持たず、また付添いらしいおとなの姿も近くにない。タラップを降りてきた少年はターミナルの到着ホールに入ろうとせず、どこへ行こうか戸惑いながら、空港内の貨物倉庫の方へ行こうとしている。警備員はその少年を保護して空港職員と一緒に事情を尋ねた。少年はタングランに住むアデ・サプトラ8歳で、小学校3年生だ、と名乗った。父親はトラック運転手をしているアントン、母親はマルニだ、と答える言葉に淀みはない。
その朝、アデが家の近くで遊んでいると、知らないサングラスの男が声をかけた。「どっかに行きたくないか?」「うん、行こう。」それが飛行機に乗ることだとは、アデにとって想像を絶したことだったにちがいない。男はアデを飛行場に連れて行き、ターミナルビルを通ってライオンエアー機の後部タラップを登った。機内に入って期待と不安にどぎまぎしているアデに対し、サングラスの男は「トイレに入って、中から鍵をかけてろ。」と命じたので、アデは言われたとおりにした。アデがトイレの扉を開いたのは飛行機が着陸してから。少年はトイレの中に70分間いたことになる。
パダン側ではこの事件を誘拐未遂と見ており、シャフリザル西スマトラ州運輸副局長は、どうしてこんなことが起こり得るのか、と憤りをもらす。「スカルノハッタ空港で切符を持たない者が待合室から飛行機に入れるような仕組みにはなっていないはずだ。扉があり、ライオンエアー地上職員が切符の半券を取ったあとで乗客ははじめて扉を通ることができ、そうして機内に入れることになっている。」副局長はそう述べている。少年はある空港管理職員の自宅で一泊し、14日のパダン発ジャカルタ行きライオンエアー便で送り返されることになっている。


「21日に空港ストは起こらない」(2005年1月20日)
先に報道されていた1月21日に計画されている国内13空港職員の一斉ストは、問題に関する話し合いがついたために回避された。デンパサル、スラバヤ、マカッサル、バリッパパン、ビアッ、マナド、ジョクジャ、ソロ、バンジャルマシン、スマラン、マタラム、アンボン、クパンの13空港ではイドゥルアドハ三連休の初日に当たる1月21日に職員が全面ストを行うというニュースが諸方面に流れ、国内外の航空会社はその真偽と対応を政府に問い合わせていた。
このストの背景は国有空港管理会社アンカサプラ?が1千億ルピアにのぼる従業員年金資金の運用を従業員年金財団からプライベート保険会社に切り替える決定を下したこと関連するもので、それに反対する13空港の職員が一斉に陳情行動を起すことが計画されていた。アンカサプラは、財団法制定によって財団の機構自体に変更が起こることから、この機会に運用委託先を民間保険会社に変更しようと考えたが、当該保険会社の運用フィー徴収が年金受取高に影響を及ぼすことから職員はその変更に反対し、今回のニュースへと繋がっていった。
スギハルト国有事業体担当国務相は、国有事業体の資金委託は慎重に行われなければならず、今回の問題についてそれを許可したことはないし、アンカサプラからこの話のプレゼンテーションを受けたことすらない、と述べている。またアンカサプラ?のラウレンティウス・マヌルン経理担当取締り役は、「わたしがそれを望んでいるという話だが、全くそんなことはない。」と否定しているし、1月14日に行われた労使間協議でも、年金資金運用はこれまで通り財団が行うことで同意している、とのこと。


「首都の道路立体交差化工事はまた進展」(2005年2月12日)
首都の交通緩和を目的に十字路の立体交差化工事が進められているが、現在建設中のスプラプト中将通りフライオーバーは工期が予定よりはるかに遅れる、とフォドリ・ミスバッ都庁公共工事局長が表明した。2003年7月3日に着工したこのフライオーバーは用地買収で難航しており、中でも160億ルピアの予算を計上した元コカコーラの地所ならびに二ヶ所の土地オーナーが買収に応じておらず、都庁側は既に中央ジャカルタ国家法廷に審判を委ねている。法廷の判決が降りるのは今年8月ないし9月と見込まれ、そんな背景から通行開始は当初予定の今年7月末は不可能で、今年年末になる可能性が高い、と同局長はコメントしている。ただし建設工事自体はことし中盤には完了させるとのこと。
一方スネン地区に建設中の全長6百メートルのアンダーパス工事は、鉄道線路の下を通るという技術上の問題を克服するだけであり、早くて三月末、遅くとも四月初には通行開始ができるだろう、と都庁側は述べている。ただしこの予定はチュンパカプティ方面への片側通行の開始についてであり、逆方向の流れは線路下にアンダーパスの天井を貼る工事が継続されるため、開通はもっとあとになる予定。


「都議会が路上駐車料金値上げ承認に傾く」(2005年2月16日)
首都の路上駐車料金を倍増させる、という方針を進めている都庁に対して都議会は当初反対の立場を示していたが、15日、都議会第C委員会は突然態度を翻して都庁方針を承認した。ダニエル・アブドゥラ・サニ第C委員会議長はその承認について、消費者の利益を減じることなく行政の希望を満たすことができた、と説明した。
同議長によれば、都庁駐車管理庁は管理機構の整備を図っており、現場の駐車番職員から日報提出を義務付け、切符発行を励行し、また新規に駐車番制服を着用させて正規職員かどうかが見分けられるようにしている。この切符には駐車車両に対する保険が盛り込まれており、駐車管理庁はそのような形で消費者に対する保証を行い、利益を還元することにしている。だから、今回の値上げは消費者の利益とバランスが取られているので、第C委員会はその方針を承認した、とのこと。ただし新料金開始は今年7月からで、それまで都民と議会は駐車管理庁の業務整備の進展を監視し続ける予定だ、ともコメントしている。新たに出された駐車車両への保険付保は、駐車中に起こった盗難や破損をカバーするものである由。
路上(オンストリート)駐車料金値上げ案は時間制を取っている非路上(オフストリート)システムとは異なり、一回の駐車で2千ルピアとなっていて、また支払い時には駐車切符が発行されなければならない。さらにその料金は都内駐車可道路はどこでも一律で、交通繁華なところとそうでないところで差をつけるというコンセプトは取り下げられている。駐車管理庁は今年の収入見込みについて、昨年実績の140億ルピアから4割増の200億ルピアを目標に設定している。
しかし都議会第A委員会のアフマッ・スアイディ議長は、同委員会は検討チームを編成して審議中であり、まだ承認するかどうかの結論に至っていない、とも述べている。


「ムルパティ航空がブッキングに新サービス」(2005年2月25日)
ムルパティ航空が、3月1日からSMSによるチケットブッキングシステムを開始する。mobile online reservation略称moreと命名されたこのシステムでは、航空券購入予約を望む利用者がSMSを電話番号6288に送ると、しばらくしてからその返事が自分の携帯電話で受け取れる仕組み。利用者はSMSでたとえばMZ-Book-Jkt-Dps-2Mar-Sudarto.Mrというように、MZ-Book-発地-着地-乗機日-自分の名前を送るだけでよい。しかしこのような予約のしかたに慣れない利用者に対しては、ムルパティ航空社員が早急にその利用者に電話を入れてSMSの送り方をアドバイスするという全社サービス体制を敷くことを同社経営陣は計画している。予約がうまくできない顧客に対して、マーケティングやリザベーション担当者だけが相手をするのでなく、業務内容が何であれ、すべての社員が顧客サービスを行うという全社運動にしていく予定らしい。


「首都警察が交通違反処理に新機軸」(2005年2月25日)
交通違反切符に関連して汚職疑惑が取り沙汰されている現行制度を改善する新機軸を首都警察が明らかにした。ジョコ・スシロ首都警察交通局長は、都民への便宜向上をはかってこれまでばらばらだった窓口を一本化する制度にした、と次のように説明した。
これまで違反者は、警備統制班(gatur)、ハイウエイパトロール(PJR)、違反抑制班(dalgar)、警備パトロール(patwal)などに違反切符を切られて免許証(SIM)や自動車番号証明書(STNK)を取り上げられる。罰則処分がなされたあと、首都警察本部に取り上げられたものの返却を求めてくるが、物はパンチョランのPJR本部にあった、などということが起こっていた。そのため首都警察は市民に対する窓口を首都警察本部に一本化することにした、とのこと。
1998年4月17日付首都警察長官令第443/IV/1998号では、違反切符フォームの使用方法として三つ規定されているが、いま実地に使われているのはそのうちの二つだけ。ひとつは、違反者が赤色フォームをもらうケースで、そこには裁判所出頭日と違反内容が記される。その場合違反者は裁判を受けなければならず、与えられた判決に従ってBRI銀行に罰金を納め、その後やっと取り上げられた免許証や自動車番号証明書を返却してもらう。もうひとつは、青色フォームが使われ、その場合は罰金を切符発行警官に委託するだけでよく、違反者は裁判を受ける必要がない。その警官は預かった罰金を銀行に納め、免許証や自動車番号証明書は裁判なしに返却してもらうことができる。裁判所へは警察が領収書と青色フォームを提出する。違反切符フォームは国家警察が発行するものであり、通し番号がつけられて管理され、首都警察は国家警察から入手したフォームを各地区警察に分配する。
ところが報道界は、その説明とは異なる違反処理が現実に行われていることを探知している。摘発された違反者は、違反内容によって定められている罰金をBRI銀行に払い込むだけで、裁判所に行く必要もない。BRI銀行からの入金証憑と違反切符を持って首都警察交通局警備パトロール窓口へ行けば、取り上げられた書類を返却してもらえる。この方式は都民にとってきわめて簡便で、また取締官の逸脱行為の防止にもなる。首都警察の管理者から見れば、従来違反者はBRI銀行へ罰金支払いに行くことや取り上げられた書類を返却してもらいに出かけることなどが面倒で、そのため取締官に和解を求める傾向が強く、それが警察職員側に逸脱行為を招く原因になっていた、とジョコ局長はコメントしている。
違反者処罰制度の改善はともあれ、運転者の路上交通で大切なのは違反を犯さないことであり、いま行なわれている交通規律ウイークキャンペーンの目標は遵法規律養成であるため、警察は予防誘導アプローチを主体に法執行を行う予定であるが、しかし道路渋滞や交通事故の発生につながるような行為に対しては厳格な措置を取る、とも同局長は述べている。


「運転免許証更新巡回サービスが始まる」(2005年3月1日)
首都警察交通局は、首都圏住民向けの新たなサービス活動を開始した。この巡回免許証ユニット(Unit SIM Keliling)と名付けられた部門では、中型バスにコンピュータ一基、デジタルカメラ、サイン指紋読み取り機、ラミネーション器、視力検査設備などを搭載し、警察職員ふたり、視力検査担当者ひとり、保険受付担当者ひとりの計4人を乗務させて首都圏地域を巡回させる計画。一日百件以上の運転免許証処理能力を持つこのサービスバスは、住民の要望に応じて指定する場所まで訪問し、運転免許証更新手続を行なってくれるが、取扱い対象は四輪自家用車用のA種免許と二輪車用のC種免許のみ。バス1台で開始されたこのサービスは、当面都内の中だけを月曜から日曜まで毎日巡回する予定だが、サービスカーが増えた時点でデボタベッ地区まで巡回先が拡大される予定になっている。
この巡回サービスの来訪を希望する都民は首都警察に電話でリクエストすることができる。電話番号は(021)54366156。会社にしろ、住民グループにしろ、来訪を要請する場合はできるだけ更新希望者を集め、近くにフォトコピーサービス店があって中型バス駐車スペースが確保できる場所を用意し、申請者は更新手続費、視力検査費、強制ではないが交通事故保険加入の合計8万5千ルピアを支払うだけで良い。一方、巡回サービスが出張っているところへ行こうという個人も、首都警察交通ピケット(電話5446363)に出先を尋ねてそこへ行けばよい。ジョコ・スシロ首都警察交通局長は、「運転免許証期限が切れそう、あるいは切れてしまった、でも時間がない」という市民に対する警察が用意した新サービスがこれだ、と説明している。同局長は、このファシリティで運転免許証斡旋行為が減少することも期待していると述べている。


「バタム〜シンガポール間フェリー料金大幅値引き」(2005年3月2日)
バタム発シンガポール行きフェリー料金が大幅に下がっている。スクパン、バタムセンター、ノンサポイント、マリーナウオーターシティフロントなどのバタム島内にあるフェリーターミナルからシンガポールに向かうフェリーの乗船料金が、これまでは往復15から18S(シンガポール)ドルだったものが3月1日から10Sドルに一斉に値下がりした。料金を下げたのはDino Shipping Pte.Ltd, Widi Express Ferries Pte.Ltd, Penguin Ferry Services Pte.Ltd, Berlian Ferries Pte.Ltdなどのフェリーオペレータで、消費者にとっては朗報にちがいないが、業界の中ではやはりフェリーオペレータであるウエーブマスターがローシーズンという時勢の中で仕掛けた投売り合戦との噂が飛んでおり、単に期間限定のプロモーション料金なのか、骨肉相食む値引き戦争なのか、状況の整理をしてほしい、との業界関係者からの要望がバタム開発庁海運実務ユニットに上がっている。2003年4月にはSARS騒動のためにバタムからシンガポールへの乗客が激減したため、フェリーオペレータが一時期欠航を続け、渡航の足に大きい混乱を生じたことがある。


「家業は3in1ジョッキー」(2005年3月5日)
ウイークデイの午前7時半。会計監査庁に近いガトッスブロト通りの道路脇で、ヌルハヤティ45歳は子供を抱えて待っている。黒塗りのBMWが近くで停まると、かの女は急いで助手席に乗り込んだ。車の中にはインドネシア語を流暢に話す外国人が乗っている。その人はスディルマン通りのグラハニアガビルにあるオフィスへの通勤途上。ヌルハヤティが乗り込んだプジョンポガン地区からおよそ2キロのドライブだ。ビルの手前でかの女はBMWから降りる。「トゥリマカシー」の言葉とともに2万ルピアが手渡される。これがかの女の毎朝の仕事。その外人さんはかの女の固定客になっている。かの女はバスでプジョンポガンに戻ると、また道路脇に立つ。スリーインワンが終わる午前10時までにもうひと稼ぎできれば、と。
都庁が始めた乗車人数規制エリア制度、通称スリーインワン、は施行されてもう十数年になる。規制エリアに乗り入れてくるマイカー族を減らすために設けられたこの制度は、行政側が予期しなかった3in1ジョッキーの出現で足元をすくわれた。政府の方策を骨抜きにしかねないジョッキーの存在を排除するため、都庁はかれらを社会秩序障害者と定義し、都庁秩序安寧局がかれらの社会更生措置を取ることになった。こうして折に触れてジョッキー狩りが行われ、捕まったジョッキーは更生施設に送り込まれた。
ヌルハヤティの夫のニクマッは定職がない。中部ジャワから上京してきたかれはヌルハヤティと結婚して、何代もプタンブランに住み着いている妻の家に居候することになった。4x20メートルという長屋には、ヌルハヤティの両親とそして兄妹11人中8人がそれぞれ自分の夫あるいは妻子と一緒に住んでいる。ヌルハヤティ自身が、自分の甥姪がその家に全部で何人いるのかを知らない、と言う。ニクマッは雨が降るとガトッスブロト通りの向こう側にある林業省に傘を持って出かける。通称傘小僧、オジェッパユン商売をするためだ。ふだんは近在の家内工業で人手が足りないときだけ手伝いに行く。いずれにしろ、持って帰る稼ぎはしれており、ヌルハヤティの稼ぎを超えるものではない。ニクマッも3in1ジョッキーをしたことがある。しかし都庁秩安局に捕まって以来、二度とジョッキー仕事に出かけようとしなくなった。この夫婦の間にできた子供たちも年頃になるとみんなジョッキーになったが、父親の希望に沿ってその道から足を洗った。長男はオジェッ引きで、毎日1万5千ルピアを払って借りたオートバイで仕事している。次男と三男はバスに乗ってプガメンをしている。四番目のアユは小学2年生、さっき母親と一緒にBMWに乗った末っ子はまだ学齢前。
ヌルハヤティ自身も秩安局に捕まった体験を持っている。それはアユがまだ小さかった頃のことだ。幼いアユを抱えてプジョンポガンの道路脇に立っていたかの女のそばにキジャンが一台止まった。乗れ、と運転者がかの女に言う。かの女を乗せたキジャンはスマンギ方面に向けて走り出したが、規制エリアの中で左に寄って停まった。そこには都庁職員の制服を着た大勢の秩安職員がてぐすね引いて待ち構えていた。罠だったのだ。職員たちはヌルハヤティとまだ幼いアユを手荒に扱い、そしてクドヤにある都庁所有の社会更生施設にふたりを送り込んだ。急を聞いて施設に駆けつけてきたニクマッはまず幼児を返してもらい、そして町役場に赴いて妻を施設から請出すのに必要な書類を整えて、翌日妻を迎えに行った。ヌルハヤティ自身、そんな嫌な経験のために毎日びくびくもので、都庁秩安局の車が近付いてくれば即座にきびすを返すのが習慣になっている。好んで行っている家業ではないが、スリーインワンジョッキーがなくなったらどうなるだろう。ヌルハヤティは、自分の仕事がまるで犯罪のように位置付けられていることの不条理さに哀しみと憤りを向けている。


「厳しさを増す公共バス運転手の暮らし」(2005年3月10日)
石油燃料値上げによる運送業界の料金値上げ要請は、8日に各種乗合バス料金改定の都知事令が出されて決着した。1百ルピアから3百ルピアという値上げ幅に対して、公共運送事業に携わる人々の喜びの声は聞かれない。路上で車を走らせている運転手も車掌も、今回のように社会的な物価上昇が起これば自動車オーナーが毎日のストラン(説明は下)を値上げしてくるのがこれまでの通例であり、それを予測して厳しさを増すであろう今後の経済状況に苦い表情を見せている。
タナアバン〜チプタッを走る都内バス、コアンタスビマ102の運転手は、これまで燃料費支出は8万ルピアで済んでいたのに、今後は12万ルピアになる、と言う。燃料費は運転手と車掌の共同負担だから、一日の水揚げからストランを差し引いた手取り収入は減少する。「これまで一日5万は持って帰れたが、今後はせいぜい3万だろう。」そうかれは語る。
あるタクシーの運転手は、これまで一日のストランは30万ルピアで、手取りは一日3万から5万はあったが、燃料費アップで歩合を吐き出さなきゃならず、一日2万ルピア程度の手取りにしかならないだろう、と述べていた。
しかし、かれらが負担している経費の中には相当額の不法徴収金が含まれている。国会第5委員会で9日に開かれた公聴会で、全国陸運協会中央指導部は公共運送に携わる勤労者の保護と福祉向上を訴えた。「旅客と貨物の陸運事業総売上の30%が不法徴収金に奪われている。その不法徴収金を無くせないなら、業界はそれに相応する料金値上げを行なわざるを得ない。またさまざまな形の租税課金の廃止、そして警察や陸運局が好き勝手に車両を差し押さえる行為もやめてもらいたい。学生料金は今回も据え置かれたが、学生は政府から直接補助金を得ており、運送業界にも学生に補助金を出させる規定は改定されるべきだ。学生も一般料金を払うべきだ。」ムルピ・フタガルン同協会会長は業界の不満をそう代弁した。
現実に、乗合バスの運転手はターミナルからターミナルまでの運行ルートを走るたびに、路上にいる何人もの人間に金を渡している。ブロッケム〜ブカシ間を運行するバスの車掌は、ブロッケムバスターミナルで朝な夕な3千ルピアを払わされると語る。「それは公定課金だ。そして運行途上で保安金やらやくざ者への通行料やらを払わされる。ジャティブニンでは客乗せ屋が一回5百から1千ルピアの金を取る。ボラッカパルで、トールティムールで。金を渡さないと騒ぎ始めるから、無視しない方がいい。そしてブカシバスターミナルに着くとターミナル職員に4千ルピア。」ブロッケム〜スネン間を走るバスの車掌は一日の不法徴収金は2万9千ルピアだと言う。「制服も着てなくて、いったい何者かわからないやつが金を要求する。でもそいつが役人と関係しているのは明らかで、もし金を渡さないと職員がなんの違反かんの違反と言いたててバスを止める。ところが金をわたしゃあ、ターミナルでどんな違反をしようがお咎めなしだ。」
たとえばブロッケムターミナルには規定があり、ターミナルの真中で客を乗降させなければならない。しかしバス通路の端から端まで乗客は数珠繋ぎで、動いているバスにどんどん乗ってくる。ターミナル職員がそれを見つければ、すぐに職員が近寄ってくる。ブロッケム〜タナアバンルートでも不法徴収金から免れることはできない。「タナアバンのモスク前では必ず1千ルピアを要求される。クバヨランの赤信号では夜だけ金を取られる。1回2千ルピアで値引きなしだ。」コパジャ608の車掌はそう述べている。
補足説明
setoran: 語義は、支払われるもの、納められるもの、のこと。公共輸送バスやアンコッは、運転手と車掌が自動車のオーナーから車両を委ねられてそれを運行させ、一日いくらと決められた金(それをストランと呼ぶ)を毎日オーナーに納めるシステム。一日の総収入からストランを差し引いたものが運転手と車掌の手に入る手取り収入だが、ガソリンをはじめ運行に必要なものの中には運転手と車掌の経費となっているものもある。一日の収入がストラン金額より少なければ、不足分はオーナーに対する債務となる。一見、借りた車両の対価あるいは使用料という理解もできるとはいえ、借り賃・貸し賃を意味するsewaや使用料・手間賃・費用などに使われるongkos、biaya 等の言葉は使われない。
(よろずインドネシア:現代インドネシアの覗き窓[ 第210回 中途半端だらけの公共輸送対策 ] から)


「4月1日からスカルノハッタ空港のタクシーサービス改善」(2005年3月19日)
スカルノハッタ空港では、サービスレベルや犯罪リスクを考慮する利用者からの空港タクシー選り好みが激しく、待ち行列にいる乗客に対する先入先出方式タクシー割り当てという空港側のサービス方針にフィットしていないことが明らかになっており、空港管理会社アンカサプラ?はその問題の解決を図っていた。その状況に関連して空港タクシー管理をこれまでの運通省空運総局の下にあったスカルノハッタ空港管理局から移管されたアンカサプラ?は、タクシー利用者に対する先入先出方式をやめてタクシー会社ごとに客待ちタクシーを並べ、乗客に選択権を与えるという改善策を進めている。
いまスカルノハッタ空港で乗客を乗せる権利を与えられている空港タクシーは、Blue Bird, Taxi Cab, Dian, Express, Gamya, Gading, Koperasi, Tiffani, Prestasi, Primajasa, Royal City, Ratax, Sri Medali, Steady Safeの14社1,530台だが、アンカサプラは3月14日からそれら登録車両の適合検査を実施しており、検査にパスした車両には公認ステッカーが貼付されることになる。またアンカサプラは上の14社からプレスタシを除外するすることを決めた。プレスタシは70台が空港タクシーとして登録されており、該当するタクシー運転手は所属するアソシエーションを通して抗議を申し入れているものの、アンカサプラは応じない構え。
新方式は既にしばらく前からトライアルが始められているが、4月1日からは公式にターミナルのタクシー乗り場には13社のタクシーが斜め駐車して客待ちを行い、利用者はそのどれを選んでも良いことになる。同時に4月から、各タクシー車両には苦情カードが備えられ、空港管理者あるいは空港警察への苦情連絡先電話番号やSMS番号も表示される。また4月最初の一週間は優良サービス週間キャンペーンが行われ、優れた運転手に対する表彰なども予定されている。


「スカルノハッタ空港に第3ターミナル」(2005年3月22日)
スカルノハッタ空港第3ターミナル建設工事の入札が3月末に行なわれる。この第3ターミナルはローコストキャリヤー向けの低コストターミナルとして建設される予定で、このターミナルが完成した暁にはスカルノハッタ空港のキャパシティは年間3千5百万人に向上する。現有の第一第二ターミナルが持つキャパシティは1千8百万人とされているが実態は2千6百万人が利用しており、慢性的な混雑のために快適さが失われているという批判にさらされている。そのため本来の規模に応じた利用客数に戻すことが急務となっており、第3ターミナルはキャパシティ1千万人、第一第二ターミナルは拡張工事を行なって2千5百万人に規模を増やすことで正常化をはかろうと計画されている。
この空港拡張工事には3千億ルピアの費用が見積もられており、空港管理会社アンカサプラ?はその51%を出資するが、残りはインベスターの投資を期待している。そのため3月末に行なわれる予定の入札は、建設工事業者だけでなく、投資家の選定もあわせて行なわれることになっている。乗降客増年間33%という世界第二位の高成長率をマークしたスカルノハッタ空港は、至急それにあわせて器を広げることが各方面から期待されており、対応に大わらわというところ。


「ジャカルタモノレール工事再開はいつ?」(2005年3月26日)
進展のない首都のモノレール工事はデベロッパーの資金繰りが原因であることが判明しているが、デベロッパーであるPTジャカルタモノレールはその解決策として5千万から6千万ドルの資本金を出資するよう都庁に要請した。総予算6.7億ドルのモノレール建設はデベロッパーと国内インベスターが1億から1.4億ドルをまかない、残りは建設コンソーシアムが受け持つことになっている。
スクマワティ・シュクルPTジャカルタモノレール事業担当取締役は、工事の遅れは銀行融資資金がいつまでたっても入手できないためだ、と語る。「銀行側が資金をおろさないのはこのプロジェクトに都庁の金が一銭も入っていないからで、スティヨソ都知事のサインだけでは都知事が交代したときどんな方針変更がなされるやもしれず、何の保証にもならないためだ。だから都庁に資本金の一部を受け持ってもらう必要がある。」と同取締役は説明している。しかし都議会は、東バンジルカナル建設工事、学校校舎リハビリ、バスウエー第二第三コリドール建設などの公共事業が目白押しの中に、そのような巨額の予算を取るのは不可能であり、都長が民間投資家を擁して資金手当てを行う以外に解決の道はないだろう、という反応を示している。
ところでジャカルタモノレール社は先に、都庁に対して四つの事業保証を要求している。この事業に対する国家保証、会社の債務保証、モノレール利用者数に対する保証、為替リスクに対する保証がそれだが、それらの保証はBOT契約の中でまったく謳われていない。都庁側はその要求を呑むことはできないとして、自動車に対する道路通行料を設定してそれに対する補償を行う計画にしている。これは都内のアジアアフリカ通り、スディルマン通り、ラスナサイッ通り、ガトッスブロト通りなどモノレールが通る道路を通行する自動車から5千ルピアの料金を徴収するというもので、都庁が検討しているスリーインワン交通規制からエレクトロニックロードプライシングへの変更の中に位置付けるアイデアだ。このアイデアが実施されれば1日30万人のモノレール利用者数が可能になり、都庁は年間1億ドルの地方公共団体地元収入を手にすることができるだろうとの期待が抱かれている。


「都内タクシー料金値上げは4月1日から」(2005年3月30日)
29日、スティヨソ都知事は、タクシー料金改定を定めた3月29日付都知事令第823/-1.811.1号にサインした。新料金は初乗りが現行の3千ルピアから4千ルピアになり、キロ当たり料金は現行Rp1,300がRp1,800となり、時間待ち料金は1時間Rp13,000からRp18,000にアップする。その新料金は2005年4月1日から施行される。
いま都内で操業しているタクシーは43会社20,523台だが、そのうち10%は車体が老朽化しているので、都庁は乗客サービス向上を目的に、7年を超えた古い車は使用を禁止することを定めた。それ以外にも、エアコンが装備されて後部座席で25℃が保たれること、後部シートは外れないようにしてトランクルームと車内がつながらないようにすること、車内にゴミ箱を置くこと、窓ガラスに遮光フィルムを貼ること(サイドウインドーは60%以上、フロントとリアーウインドウは40%以上)などの条件が定められた。今回の値上げ決定に関連してスティヨソ都知事はタクシー会社やタクシーオーナーに対し、値上げ後三ヶ月間はストランの値上げをしないようにと呼びかけた。
一方、タクシー運転手たちは決してみんながこの値上げを歓迎しているわけではない。過当競争に加えて消費者ローンによるマイカー熱の高まりはタクシー利用者市場をますます狭くしている。「料金が値上がりすると、タクシーに乗るのを控える人が出てくる。われわれは他の仲間と合議して、4月1日からも料金据え置きで行くことを決めた。」Kostiタクシーのある運転手はそう語っている。ブカシのスーパーへロー前で客待ちをしていたPrestasiタクシーの運転手も値上げはしない、と述べている。「スカルノハッタ空港から締め出され、客を拾うのがますます難しくなっている。一部の悪徳運転手がメーターを使わないで交渉金額を客に押し付けているのは確かだが、プレスタシがみんなそうというわけじゃない。正直者もいるんだよ。」との談。


「都内のタクシーは新旧料金並存の見込み」(2005年3月31日)
一部のタクシーは4月1日からのタクシー公定料金値上げに従わない模様。既に都知事令で決められたタクシー料金値上げでは、供給飽和状態の市場で利用者からそっぽを向かれるおそれが高いので、タクシー運転手の中には4月1日からもメーター変更をせず、今のままの料金体系を維持し、タクシーには旧料金と表示したステッカーを貼付する予定にしている者が少なくない。行政側は新料金を強制ではないとしており、旧料金を維持するタクシーは公認されることになる。
業界大手のブルーバード社は料金値上げに関して、同社のタクシー運転手はストラン制でなく水揚げ目標に関連するコミッション制であるために運転手側はまったく問題視しておらず、4月1日を期して同社は都下のタクシー料金を一斉に値上げする予定だと表明している。前回のタクシー料金値上げの際にも、実施当座は新旧の料金が並存して市場で料金競争が起こったが、旧料金派タクシーも経費高騰には勝てず2〜3ヶ月後に追随値上げをしたという経緯がある。そんな経験を踏まえて、行政が定める公定料金より安ければ強制しないという今のあり方に業界者の一部は不満を示しながらも、暫くの間のことと余裕を垣間見せている。
値上げを欲しない運転手の大半は、長期の分割払いで自分が運転する車両の所有権が自分のものになる契約を会社もしくは組合としており、現車両所有者へのストラン、割賦金、自分の手取りなどと総売上との兼ね合いが大きく変化するのを嫌う傾向にある。この種の運転手は個人営業者だ。ヘリ・ロティ首都陸運協会会長は「4月1日からの料金値上げで競争力がなくなることを恐れる個人営業者は、旧料金を維持したほうがよいだろう。」とアドバイスしている。


「首都のタクシー料金は新旧が混在」(2005年4月5日)
都内のタクシー料金値上げは4日から始まったが、多くのタクシーがいまだに旧料金のまま。料金メーターが既に新料金に変わっている車両は単純明快だが、まだメーターは変わっていないが新料金を適用するタクシーと旧料金のままで営業するためメーターを変えないのは当たり前というタクシーが都内を一緒に走っているのはややこしい。旧料金据え置きタクシーはフロントやリヤウインドウにTarif Lama(旧料金)と大書し、またダッシュボードに同じ表示をしているものもいる。旧料金メーターだが新料金適用タクシーは首都陸運協会発行の新旧料金換算表を持っており、それを見て乗客に料金請求をするから、不安な方はTabel penyesuaian tarif(料金換算表)を見せるよう運転手に求めれば良い。そのタべルによると換算料金は下のようになっている。
旧料金(Rp)   新料金(Rp)
3,000 4,000
4,950 6,700
9,890 13,540
14,960 20,560
19,900 27,400
24,970 34,420
29,910 41,260
34,980 48,280
39,920 55,120
44,990 62,140
49,930 68,980 データは4月5日付コンパス紙より
新料金適用を開始したタクシー会社はBlue Bird Group, Taksiku, Primajasa, Metropolitan。旧料金を続けているタクシー会社はKosti, Astro, Putra dan Citra, Centris, Liberty, Gading, Dian, Express(一部)。また首都圏のボデタベッ地区で営業許可を受けているタクシーが首都にも乗り入れているが、それらのタクシーは都知事令の対象外であるため、値上げ料金を適用してはならない。ブカシのタクシー会社が使う料金はブカシ行政首長が定めるものであるため、首都の新タクシー料金を使うと違反になる。首都陸運協会は首都周辺地区のタクシー会社に対し、都内であれどこであれ、新料金を乗客から取ってはならない、と警告している。


「空港のタクシー整理は難航」(2005年4月6日)
スカルノハッタ空港からのタクシー乗車整理はまだ難航している。空港第二ターミナルには13タクシー会社用の並列乗り場が用意されているが、ブルーバード系列以外のタクシー会社は利用客が少ないために今回の変更に反対している。スリメダリタクシーの運転手は、4時間待ってやっと客が乗った、と話している。かれは一日せいぜい2回の実車で、ブルーバードは5〜6回もあり、対等な競争にならない、とコメントしている。
到着ターミナルのエプロン寄りの車線はタクシーなど公共交通機関専用になっており、自家用車はそこを渡って駐車場内で乗車しなければならない。つまり人を迎えに来た自家用車は空港内駐車場に入らなければならないことになっているのだが、それでも公共交通機関用のエリアにやってきて人を乗せる自家用車があとを断たない。中にはお迎えの当人がターミナルからでてくるまで、その付近でじっと待っている運転者もいて、タクシー乗り場の動きに障害がもたらされている。2Fターミナル出口に近い場所が一番ひどい。そのような混乱の中で、2005年の空港タクシーステッカーを貼っていないタクシーが客をひろって空港を去るケースが増加しており、運転手からの苦情を消費者保護財団が「空港側の対応がアンフェアだ」とクレームしている。公認空港タクシーは空港使用サーチャージを乗客から徴収するが、2004年のステッカーしか貼っていない今年未公認のタクシーは乗客にとって見ればその分割安になる。消費者財団はそのサーチャージを乗客への安全保障と述べている。また空港管理国有会社アンカサプラ?は、公認タクシーを利用する乗客には係員が苦情カードを渡し、そこには緊急の苦情は番号081317169821へSMSを送るようにと記されている。このカードは4月1日から配布が始められたもので、SMS番号は4桁のもっと短いものに変更準備中との由。
ところで、首都の料金値上げにバンテンのセランとチレゴンで操業しているタクシー会社が追随している。ブルーバード系列のPusaka Bantenタクシーも料金メーターが既に新料金に変更されており、一日の水揚げ目標も35万ルピアから37万5千ルピアに引き上げられているが、売上は以前に比べて半減している、と運転手は述べている。この実態に対してバンテン州運輸局は、州知事令が出されるまで州内のタクシー会社は料金値上げを行ってはならない、と呼びかけている。


「首都警察交通局がTMCを開設」(2005年4月11日)
「Eメール、ファックス、SMS1717、警察フリーダイアル112経由で、あるいは直接警察サービスセンターに届けられた情報や訴えはトラフィックマネージメントセンター(TMC)で処理され、必要に応じてフォローアップの指令が関係部署に流される。交通違反、交通事故、運転免許証(SIM)・車両番号証明書(STNK)・車両所有証書(BPKB)あるいはBPKB紛失や偽造に対応してのブロックなどの手続情報を処理して統計データを用意する。車両の紛失や発見、自動車パトロールコントロールセンター、交通管理、渋滞や交通状況に関する情報なども市民のアクセスに応えていく。」ジョコ・スシロ交通局長はTMC開設式典でそう語った。
首都警察のこの新たな機能付加によって、市民は15分以内に警察のレスポンスが得られるようになる。警察のパトロール車両パトカー29台と二輪車15台総数44台にはグローバルポジショニングシステムが搭載され、パトロールが休みなく続けられる。市民がTMCから情報を得たいときには、SMS1717にMetroと打ち込んでスペースをあけた後リクエスト内容を記載して送信すれば、返事がすぐに返ってくる。またプレート番号を送信すれば、その車両に関する情報が戻ってくる。TMCが提供するウエッブサイトwww.lantas.metro.polri.go.idからはより密度の濃い情報を入手することができる。このTMCでは36人の職員がシフト制で24時間勤務につき、開設にあたっては4億ルピアの予算を費やした。TMC自身へのコンタクトはフリーダイアル112やファックス021-8299449を通して行うこともできる。あらゆる交通に関する情報が取り込まれるため、ある運転免許証所有者がどんな違反歴を持っているのかすら明らかになる、とジョコ局長は述べている。


「パクブウォノ通りの名物は・・・」(2005年4月12日)
南ジャカルタ市クバヨランバルのスナヤンに程近い住宅地区を貫通するパクブウォノ通り。閑静な住宅街を左右にしたがえ、交通は繁華なこの通りが、土曜の夜にはオートバイであふれかえる。およそ1キロ強のこの通りの道路脇は整然と並べられた二輪車で占拠され、やってきた青年男女があちらこちらに群れている。ここはオートバイの俄か市なのだろうか?いやいや、そこにあるのは売り物ではないのだ。
オートバイを趣味にする人たちがいる。愛好者が集まってクラブができるのは、どこの国でも変わらない。パクブウォノ通りに集まってくるかれらは、愛好会の会員だった。クラブは決してひとつではない。この通りをクラブのベースキャンプに選んだ最初のグループはジャカルタサトリアクラブで、2002年5月22日に発足した際、かれらは通りの東端に近いサテハウススナヤンのある商店街の向かいを根拠地に選んだ。なぜそこに?同クラブの会長エカはこう説明する。「乗り物クラブの基地としては、モナスやスナヤンが広くてピッタリでしょ?四輪ならあそこで良いんだけど、あの辺っていろんな人が寄ってくるのよ。お呼びじゃない人やアブナイ人も。だからもっと安全で快適な場所を探したの。二輪だったらここでも平気。それに住宅地区で、治安も優れてるし。」しかし夜中に大勢の若者が集まってきて住宅地区の一軒家の表で時間を過ごすのに対して、住民は苦情しないのだろうか?それはわたしたちも気にしている、とエカは言う。会員メンバーは治安と秩序を守ることが厳命されているのだ。自分たちがここに集まるようになってから治安がいっそう向上した、とエカは目を輝かせて言う。はじめは南ジャカルタ市秩序安寧局員が出張ってきたそうだ。オートバイレースをやると思ったようだが、予期に反して社交の集まりだったことが明らかになり、その後は当局側も住民側も目くじらを立てることがなくなった。
ジャカルタサトリアクラブの少し西側にはソバッラシオモトルクラブがいる。「最初はもっと奥にいたんだけど、外から見えにくいので、うちのクラブを探しに来る人がわかりやすいように、ここへ出てきた。」と会長のクジルは説明する。確かに2003年11月15日に根拠地を移して二ヵ月たった後には会員がどんどん増えて、今では50人のメンバーを擁している。かれらは民家の表ではなく、オフィスビルの前を集合場所にした。ビル管理人が出した、治安、清掃、礼儀を守ること、そしてナルコバ(麻薬違法薬品類)に関わらないこと、という条件をかれらは守っている。最初は大勢の二輪車が集まってきたのでビル管理人も身構えたが、話し合いとその後の行動が信頼を培ったとクジル会長は言う。
パクブウォノ通りには緑地公園がある。二輪車クラブの根拠地としては格好の場所だ。クラブホンダスプラジャカルタはそこで必死の争奪戦を他のクラブと展開した、と言う。このクラブは2003年10月18日に結成された。最初はポンドッキンダのモスク前をベースにしていたが、暫くしてパクブウォノに移ってきた。最初その場所には他のクラブがいたが、かれらがよそに移ったのでこのクラブはそこへ入ろうとした。だがそこを狙っていたのはかれらだけではなかったのだ。しばらくは別のクラブとの間で取ったり取られたりとなり、早い者勝ちだからついにホンダスプラジャカルタはメンバーがそこに三日間も泊まり込んで場所を確保した。喧嘩出入りにならなくてよかった、と当時を思い返して同クラブのメンバーは物語る。
他にもクラブスマッシュジャカルタ、ジャカルタF1ZRアソシエーション、ジャカルタジュピタークラブなどパクブウォノ通りに根拠地を置くオートバイクラブはまだたくさん。今ではクラブ族のメッカとなったパクブウォノ通りで、クラブ間の交流も盛んに行われている。暴れない、行儀のよい若者たちが集まるパクブウォノ通りは、この週末も賑やかなことだろう。


「今週後半の都内の交通状況は?」(2005年4月20日)
AA首脳会議に参加する各国ゲストのジャカルタ入りが数を増し始める20日21日の都内の交通は、スカルノハッタ空港とスナヤン、ハリムプルダナクスマ空港とスナヤンを結ぶ道路で交通規制が強まることが予想される。また22日と23日の都内の交通も、各国使節宿舎や大使館とスナヤンを結ぶ道路の交通規制が強まるため、会場のヒルトンコンベンションセンターとメイン宿舎のヒルトンホテル及びスナヤンのホテルムリヤ周辺道路一帯の通行は避けるのが無難のよう。
それに関連して首都警察チプトノ広報部長は、AA首脳会議期間中の都内交通規制について、道路閉鎖を行う予定はない、と表明した。重要ゲストとその警護団が通行する際には、そのときだけ一般車両にその道路への進入停止を命じるオープン・クローズ方式を取る予定だが、もしも交通渋滞がひどければ重要ゲストの通行優先のために道路閉鎖が行われる可能性もある、と広報部長は説明している。このため都内を通行する自動車運転者はスピードや車間距離に常に応変の態勢を取り、周囲の道路状況に良く注意して、交通標識と現場にいる警官の指示に従うように、と警察は都民に要請している。
国賓級要人に対して行なわれる道路通行時の警護規定では、先導二輪警官、警護パトロールカー、憲兵、儀典係官、セキュリティ?、国賓は二台の先導二輪警官に左右をはさまれ、更にセキュリティ?、大臣車、バン、後備二輪警官二台という警護団を編成して移動することになっている。
一方、24日にAA会議50周年記念ゴールデンジュビリー開催が予定されているバンドンでは、各国デレゲーションが会場のグドゥンムルデカに入り、その後の一連の行事を終えてバンドンを去るまで、厳しい警戒態勢下に入る。各国要人が通る予定の道路は23日22時に一斉に閉鎖され、フセインサストラヌガラ空港は24日午前7時までに自国政府機で到着する5ヶ国元首を迎えるために警備を強める。その5ヶ国とは日本、中国、ブルネイ、フィリピン、ベトナム。続いてインドネシア政府が用意する飛行機でバンドンに来る各国元首は7時半から8時45分までの間続々と同空港に到着し、空港からパジャジャラン〜ワストゥクンチャナ〜ブラガ〜ナリパン〜タンブロン〜アシアアフリカの諸通りを経て休憩所に指定されたサボイホマンホテルに入る。その後ホテルから至近距離のグドゥンムルデカまで徒歩で移動し、記念式典が盛大に催される。次いで会場を後にするとオットーイスカンダルディナタ通りを下ってトゥガルガ広場に至り、記念植樹を行ってプログラムは終了する。その間およそ6時間だが、それらの行事が行われる場所一帯から一般人は排除される。またデレゲーションが通る道路沿いではその時間内は営業が禁止され、商店は店を閉め、歩道に人が立っていてもいけない。問題は公共交通機関がそれらの道路を通ったり交差したりすることで、それに関してはバンドン市庁、バンドン市警、市陸軍行政管理機構、各旅客運送機関との間で19日に話し合いが持たれ、行事開催中の運行ルート変更が合意された。それによって、29バス・アンコッ路線が変更され、およそ3千台の乗合バスがその影響を受けることになる。


「ジャゴラウィ自動車専用道路で大渋滞」(2005年5月2日)
4月30日午前中、ジャゴラウィ自動車専用道路ボゴール向け下り車線で大渋滞が発生し、14キロを超える渋滞は都内リングロードのグロゴル線やタンジュンプリウッ線まで大きな影響を与えた。
この渋滞では、午前9時ごろからジャゴラウィのチブブル出口で自動車が溜まり始め、最終的に全車線がふさがれてチャワン方面から南下する車両がじゅずつなぎとなり、渋滞の尾は都内リングロードのトゥベッ料金所あたりにまで達した。一方北のプリオッ港からチャワン行きの車線も港に近い三叉路あたりまで渋滞がつながった。渋滞が解消したのは午後1時半頃で、それまでの4時間半はあらゆる車両が渋滞の中で、十メートルほど進んでは停まるというノロノロ走行を繰り返した。
国営有料道路管理会社ジャサマルガによれば、その渋滞の原因はチブブルキャンプ場で催された数千人の小中学生による絵画大会で子供を送ってきた自動車がチブブル出口に溜まったためだろうとのこと。チブブルキャンプ場側の説明では、その日行われたのは4キロの長さのキャンバスに数千人の小中学生が絵を描く行事が催されたとのこと。チブブル出口とキャンプ場の間が近すぎるのは、都庁の施設配置政策の誤りだという批判の声も上がっている。


「ライオンエアーがリース事業」(2005年5月4日)
ライオンエアーがベトナムのパシフィックエアラインと、機体、パイロット、テクニシャン、メンテナンスというトータルパッケージ供給でのリース契約を結んだ。三年間の契約期間を持つその契約に則ってライオンエアーは今年4月、既にB737−400とMD−82を各一機ベトナム側に送っており、あともう2機も今年末から来年初にかけてベトナムに送られる予定。
ライオンエアーは東南アジアをメインにアジアのマーケットにおける航空機リース市場参入を進めており、2006年までに20機をリースする目標を立てている。同社のこのビジネスの嚆矢は昨年ミャンマ航空と交わした契約で、いまやMD−82二機がミャンマ航空フリートの中で稼動している。同社はまた中東の航空会社に対するリース契約交渉も進めており、低料金航空券だけでなく、リースの方も低価格で攻めまくっている。
ライオンエアーの現有旅客機はB737−400、MD−90、MD−82総勢29機だが、今月更に7機が追加される予定。今年5月の同社フリートは38機という計画になっている。2000年6月30日にローコスト航空会社としてデビューしたライオンエアーはその後着々と業績を伸ばしており、既に国内航路だけでなく国際線にも進出を果たしている。同社のリース戦略はドル建て支払いになっている航空機燃料購入コストの安定を図るのが第一の目的で、低価格料金販売を支える着実な経営戦略の一端をのぞかせている。


「ジェット燃料価格がまたアップ」(2005年5月6日)
4月に21%もアップして1リッターRp4,565という価格になったジェット航空機用燃料を、プルタミナは再度5月1日に?リッターRp5,000に値上げした。この状況に関連して空運業界は、超廉価料金の廃止や不採算ルートの見直しなど、ビジネスの合理化を迫られている。
「先月、航空料金の調整を行ったばかりなのに、燃料価格はまた上げられた。もう低料金シートを廃止する以外に逃げ道はない。」アダム・アディティア・スヘルマン、アダムエアー社長は5日、ジャカルタ〜スマラン線オープンのイニシャルフライトロンチングの後でそう語った。低料金と同社長が言っているのは、ジャカルタ〜ジョクジャ線やジャカルタ〜スラバヤ線でひとり20万ルピアを切るレベルのエコノミー料金のこと。昨今のルピア安に加えて燃料費アップという状況のため、廉価クラスの廃止やディスカウントチケット発行の取り止めを実行する以外に経費節減で対応する目途はない、との同社長のコメントだ。
ムルパティ航空も類似の姿勢を取っており、全路線で最廉価クラスの廃止と切符のディスカウントを取り止めた。同社は一ヵ月後に状況のリビューを行い、赤字の場合は料金値上げを検討していく予定。バタビアエアーのユディアワン社長は、同社もまったく同じポリシーを取っているが、政府とプルタミナが国営航空だけにジェット燃料購入クレジットを与えているのは不公平であり、民間にも同じ待遇を与えてもらいたい、と要請している。


「無賃乗車をかもにする鉄道職員」(2005年5月9日)
首都近郊鉄道電車のスキャンダルはあいも変わらずで、プンリ(不法徴収金)は一層激しさを増している、と利用者は語る。列車運行が時間通りに行われたら誰もが驚くほど、遅れはあたりまえになっている。そして切符売り場でプンリを行い、それを避けて列車に乗ればこんどは車内でのプンリが待っている。車掌は無賃乗車を見つければ最高1万ルピアの罰金を科すことができるが、その規定を運用しないで1千ルピアを取る。相互監視を目的に監視員が列車に配属されていても、利益を同じくする人間の癒着は容易に成立する。そして規則が枉げられる。
無賃乗車者への搾取が一番激しいのはパサルミング駅だ、と乗客の一人は言う。切符を持っていない乗客が見つかると、かれは駅構内の別室に連れ込まれて職員から「罰金5万ルピアを払え」と言われる。さんざんネゴしてなけなしの1万ルピアで解放される。パサルミング駅職員にその話を確認すると、それは常識になっているとの返事。「新聞に書いてもいいよ。もうあたりまえの話になってる。だって無賃乗車には罰金が決まりだから。」との談。
近郊鉄道全線であの手この手で集められるプンリは一日数千万ルピアにのぼるという。その金はびた一文も国有鉄道会社に入ってこない。国有鉄道会社ジャボデタベッ・ディビジョンのラフマディ事業所長は、悪徳職員のプンリ行為は年間50億ルピアに達している、と述べている。


「首都の渋滞スポットは」(2005年5月10日)
首都の交通状況は相変わらずひどい。879万人の都民に加えてボゴール、デポッ、タングラン、ブカシから首都へのコミューターも膨大な数にのぼる。2000年の調査によると、首都圏では一日に2,920万トリップが行われており、運送モードはバス52.7%、自家用車30.8%、オートバイ14.2%、電車2%というシェアになっている。道路インフラと人間の活動サイトが変数となって随所に交通渋滞スポットを生んでいる。モール・ショッピングセンター、工業団地、オフィス地区、パサル、学校・・・。
都庁運輸局がまとめた交通渋滞ジャカルタ地図には46地区100交差点が示されている。そこに記載される条件は、交通の流れが不安定で低速、そして長い行列ができるといったもの。そんなスポットが4ヶ所以上ある地区は、プロガドン、パサルミング、アンチョル・グヌンサハリ、カリマラン、ジャティバル・タナアバン、マンパン・ブンチッ、ポンドッキンダ、タンボラと決して少なくない。南北移動の交通の流れが激しい通りは、パサルミング大通り、ファトマワティ通り、チルドゥッラヤ通り、マンパンプラパタン通り、スディルマン通り、東西移動はブカシラヤ通り、ダアンモゴッ通りで、それらの交通量の大きい通りでは、朝7時から11時と夕方16時から18時がピークの時間帯で、たとえばスディルマン通りでは16時から17時までに上り下り双方向で1万7千台の車が通る。一方朝はスリーインワンのために最繁時間帯は10時から11時となり、その一時間に北向き方向は8千台の車が通る。
渋滞スポットを4ヶ所以上持つ上記8地区の個別スポットリストは下のとおり。表記は交差点を交わる通り名で表されている。
プロガドン
Perintis Kemerdekaan/Bekasi Raya, Bekasi Raya/Pupar(Cakung), Bekasi Raya/Cacing, Bekasi Raya/Pegangsaan, Bekasi Raya/Palad
パサルミング
Pasar Minggu/Ragunan, Ragunan/Mangga Besar, Pasar Minggu/Perdatam, Pasar Minggu/Duren Tiga, Pasar Minggu/Kalibata
アンチョル・グヌンサハリ
RE Martadinata/Parang Tritis, Gunung Sahari/Kartini, Gunung Sahari/Dr Sutomo, Gunung Sahari/Angkasa, Gunung Sahari/P Jayakarta
カリマラン
Kalimalang/Raden Inten, Kalimalang/Pahlawan Revolusi, Kalimalang/Jatiwaringin, Kalimalang/Lampiri, Kalimalang/H Naman
マンパン・ブンチッ
Mampang Prapatan/Kapten Tendean, Mampang Prapatan/Raya Mampang VII, Warung Buncit/Raya Duren Tiga Utara, Warung Buncit/Raya Duren Tiga Selatan
ジャティバル・タナアバン
Jatibaru/KS Tubun, Jatibaru/Fachrudin, KH Wahid Hasyim/KH Mas Mansyur, KH Mas Mansyur/Kebon Jati
ポンドッキンダ
Sultan Iskandar Muda/Jamblang, St Iskandar Muda/Bungur, St Iskandar Muda/Cendrawasih, St Iskandar Muda/Metro Pondok Indah
タンボラ
Jembatan Tiga/Pluit Bandara, Jembatan Tiga/Bandengan, Jembatan Dua/Tubagus Angke, Jembatan Lima/Tubagus Angke


「都内リングロードで大渋滞」(2005年5月14日)
13日早朝、コンクリートパイルを運搬していたトラックから積荷がこぼれ、北ジャカルタ市アンケ地区を高架で通っている都内リングロードの路上をふさぐとともに分離帯ガードを破壊した。この大型トレーラーは14本のパイルを運んでいたが、それをしばっていた紐が外れてすべてのパイルが荷台から崩れ落ち、10本は壊れなかったが、4本はこなごなになった。朝4時ごろに起こったこの事故で都内からプルイッ方面に向かう車線が通れなくなり、続々とやってくる空港方面に向かう車両で渋滞が発生した。朝5時ごろにはクレーンが現場に到着して回収作業を始める一方、渋滞車両を流すためにPTジャサマルガは、一旦ジュランバル?料金所から出てラトゥメテン通りを走ってからアンケ?料金所で再び都内リングロードに入るよう通行車両を誘導した。この事故で渋滞はトマン地区まで続き、発生から9時間かかってやっと解消した。
スカルノハッタ空港に向かうメインストリートにあたる都内リングロードの北向き車線で起きた事故ではあったが、多数の乗客にチェックイン遅れが出てフライトスケジュールが乱れたという空港側の報告はなく、空の足に影響は出なかったもよう。


「スカルノハッタ空港施設がさらに充実」(2005年5月16日)
スカルノハッタ空港運営会社PTアンカサプラ?が、空港敷地内での新施設建設を計画している。建設が計画されているのは航空券販売センターと長期間駐車場で、将来的にすべての航空券販売はその二階建て航空券販売センターで集中的に行い、ターミナルビルでの航空券販売は取りやめる方針。それらの施設建設が計画されている9千平米の敷地は、そのうち5千平米が長期間駐車場に使われる。長期間の駐車を望む空港利用者は直接この駐車場に入り、そこからシャトルバスで出発ターミナルに送られる仕組み。2百億ルピアを超える予算のこのプロジェクトは今年11月に着工し、6ヶ月の工期で完成させる日程が組まれている。
一方、イスカンダル・アブバカル陸運総局長は、スカルノハッタ空港バスターミナルの建設を計画している、と述べている。構想は二つあって、そのひとつはバス駐車プールとターミナルを一体とするもの、もうひとつはターミナルを空港に近い位置におき、バス駐車プールと引き離すというもの。このバスターミナルが完成すれば、高速道路経由でバンドンまでのバスルートが開かれることになる、とも総局長は語っている。


「都庁が6本の高架有料自動車道路建設を計画」(2005年5月20日)
モノレール建設は頓挫し、バスウエー第二期工事も蝸牛の歩みに似ているというのに、都庁は都内有料自動車道路新規建設を計画している。23兆ルピアの予算で6本の有料自動車専用道路を建設するというPT Jakarta Propertindoの事業計画に対して、都庁はそれをバックアップする姿勢を示している。この計画は2006年から着工し、4〜5年後にはそのすべてが開通するという日程。その6本とは、ウルジャミ〜コタ、ブカシ〜カリマラン〜カンプンムラユ、カンプンムラユ〜トマン、パサルミング〜カサブランカ、ラワブガ〜プログバン、クマヨラン〜カンプンムラユという六つのルート。ファウジ・ボウォ副知事は、モノレール・バスウエーと統合させたマクロ交通パターンの中に織り込んで計画が呈上されている、と述べている。
都庁公共工事局は、ブカシ〜カリマラン〜カンプンムラユルートは橋脚がすでに一部建てられているものを使い、カンプンムラユ〜トマンルートはモノレールルートの上に建てられる計画で、その6ルートはすべて高架道路になる、と説明している。資金はすべて民間からの投資を招く形で進めることになっている由。


「高速道路開通で売上が減少」(2005年5月23日)
4月26日に開通したチプララン自動車専用道路の利用者は、ジャカルタ〜バンドン間2時間という時間短縮のおかげで日を追って増加しており、いまではその数一日3万台を超えている。ところが、バンドンのファクトリーアウトレットは、かえって売上が減っている、と思わぬ伏兵を嘆いている。
The Big Price Cut Groupオーナーのペリー・トリスティアントは、週末の来店客は2割増しになっているものの、来店客のショッピングパターンが変化しているために売上自体は2割ほど減少している、と述べている。15のアウトレットを擁する同グループは、従来週末にジャカルタからやってくる買物客はしこたま買込んで帰るのが常だったが、チプララン道路開通のおかげでいつでも簡単に買物に来れると思うようになり、一人あたりの買物高が低下している、と分析している。加えてファクトリーアウトレットに新規参入する事業家が増加しており、競争が激化しているため、店ごとの売上も下向きになっている。それらの事業家は大半がジャカルタから進出してきており、バンドンのこの業界はチプララン道路開通がもたらした影響でいま激動の渦中にあると言える。道路の開通はバンドン実業界にとってマクロ経済上のメリットはあるものの、地元業界者にとって必ずしもそうとはとらえられていない。今後の生き残りをかけて、どのような創造的変貌を遂げられるのか、地場資本ファクトリーアウトレットはこれから正念場に立たされることになる。


「ジャカルタエアポートカントリークラブ建設計画」(2005年5月27日)
スカルノハッタ空港に建設予定の長期間駐車場と隣接して、エアポートカントリークラブが建設されることが明らかにされた。ジャカルタエアポートカントリークラブ(JACC)と名付けられる予定のこの施設は、PT Angkasa Dewa Arthaが8百億ルピアの資金で5ヘクタールの土地に建設するもので、竣工は来年末が予定されている。今現在一日の利用者数70万人、航空機の発着7百回を数えるスカルノハッタ空港になっているが、他国のメインゲート空港に比べて施設内容が貧弱との批判は絶えない。4千人の収容能力を持つこのJACCは、空港の出発客到着客を引き入れて全ターミナルでの混雑を全体的に緩和していくこととともに、ファンクションルームを用意して国際会議やミーティングのサービスを提供したり、と多彩な機能を空港施設に付加する役割を果たす予定。そのためにそこにはチェックインカウンター、バゲージ手続き、出入国管理カウンターなども設置されることになっている。長期間駐車場は24時間オープンで、空港バスとターミナル行きシャトルバスの接点にもなる予定。


「空港から都内への有料道路料金徴収に変更」(2005年5月28日)
都内とスカルノハッタ空港を結んでいるスディヤッモ有料自動車専用道路で料金支払い方式が変わる。空港方面から都内リングロードに向けて通行する場合、乗用車(第一群)はこれまで、チュンカレン料金所で2千ルピア、カプッ料金所で2千ルピアを払った後、都内リングロードの入り口にあたるプルイッ1料金所で4千ルピアを払っていたが、5月28日24時つまり5月29日0時からカプッ料金所での料金徴収がなくなり、プルイッ料金所で6千ルピアが徴収されることになる。またプルイッで有料道路から降りる車は、プルイッ3料金所で2千ルピアの金額が徴収されることになり、更にプルイッから都内リングロードに入る車はプルイッ2料金所で都内リングロード通行料金が徴収されることになる。
プルイッ地区におけるこの料金所分散で、空港と都内を結ぶルートが他方面への車から分離されるため、多少とも渋滞緩和が期待されている。また空港方面から来た車にとってプルイッ料金所での徴収金額アップはカプッ料金所の分が上乗せされただけであり、決して値上げではない、と道路管理会社ジャサマルガは説明している。


「スンダ海峡にかける橋」(2005年6月8日)
スンダ海峡に全長28キロの橋をかける計画がまた一歩前進した。6日にバンテン州知事とランプン州知事の間で交わされたスンダ海峡架橋建設に関する合意で、この計画は新たな展開を迎えることになる。この架橋工事には63兆ルピアが投じられ、橋は13年間の使用に耐えることが期待されている。
ジャワ島とスマトラ島を結ぶこの架橋は、完成すれば桁違いの世界最長架橋記録となる。最初にこのアイデアが出されたのは1997年で、ウィラッマン・ワンサディナタ博士が議論の火付け人となったが、その後立ち消えになっていた。同博士によれば、ジャワ〜スマトラ固定リンクの建設は三つの方法があり、海底トンネル、海中トンネル(海面下40メートル)、橋のいずれかが選択できるとのこと。この橋の青写真では全6車線総幅40メートルの広さを持ち、プラウウラルからプラウサンイヤン間の3.5キロとプラウサンイヤンからプラウサンジュリッ間の3.5キロにかかる吊橋は世界最長のものとなる予定。またバンテンとプラウウラル、プラウパンジュリッとバカウニを結ぶ橋は陸橋となる。


「SMSでの電車運行情報サービスが始まる」(2005年6月11日)
首都圏近郊電車に関する情報サービスがSMSで受けられるようになった。2005年6月9日から国有鉄道会社PTKAが始めた新サービスは、電車の発車予定時間から運行遅延に関する情報まで、電車の利用者にSMSで案内してくれる。
このLayanan Info KRL via SMSはテルコムセル利用者に限られるが、6789番にSMSを送ると回答が戻ってくる。送信内容は次の通り。
Pesan KRLスペース出発地スペース目的地
このメッセージを送信すると、しばらくしてからその区間についての最新情報が送られてくる。
このSMS送信は一回1千5百ルピア。また定期情報サービスもあり、毎日朝夕の状況とトラブル等に関する情報を適宜連絡してくれる。こちらのサービスは5454番で受け付けられ、SMS一件あたり5百ルピアがチャージされることになっている。


「ボゴール市開設記念行事で市内大渋滞」(2005年6月13日)
6月12日にボゴール市が開催した市開設523周年記念祝賀行事で、ボゴール植物園周辺道路は午前中身動きが取れない状況となった。例年この記念日にはおよそ4万人の市民が植物園の外を徒歩で一周するヘルシーウオークが行われており、昨日も午前5時半に集まった市民が6時のスタートを合図にスンプル広場を出発しようと待ち構えていたが、スタート合図者であるMSカバン林業相の乗った車が人の海を抜けて現場に到着することができなかったため、結局副市長がその代理を勤めた。この人海ウオークはスンプル広場から植物園を一周し、パンラゴプラザ向かいの第三ゲートを終点とするものだが、今年は参加申込者以外に飛び入り参加者が膨大な数にのぼり、対面四車線道路は三車線が人の海に明渡され、一車線だけが車両交通のために開けられた。言うまでもなく交通は人の流れと同じ方向に流されたが、この結果ボゴール市一帯で大きい交通渋滞が発生した。午前8時には人の海がゴールに到着し始めたものの、10時を過ぎてもひとびとは植物園周辺から去ろうとせず、渋滞はいつまでも解消しない。パジャジャラン通りからパルン方面はタジュルまで一車線しか通行できないため、四輪二輪自動車は数珠繋ぎ。ボゴール市警察交通課職員は総出で市内の交通整理に当たっていた。しかし正午12時を前にして人の海が引いたため、12時過ぎには市内の交通状況が復旧した。


「チプララン有料道路開通でバンドン経済に変化」(2005年6月14日)
ジャカルタ〜バンドン間を2時間で踏破できるチプララン自動車専用有料道路開通のおかげで、万年渋滞のプンチャッ街道は渋滞度合いが軽減されつつある。一方バンドン市内はBナンバーの車があふれて、随所で交通渋滞が悪化の度を深めている。そんな中でバンドンのファクトリーアウトレット業界は売上減をかこちはじめたが、ホテル業界も宿泊客数減少への対策を進めている。
ファクトリーアウトレット業界の場合は、これまでまとめ買いをしていたジャカルタからの買物客が、有料道路開通のためいつでも楽にバンドンへ来れるようになったことでまとめ買いをする動機を失ったという理由だが、ホテル業界もやはり、ジャカルタからバンドンへ遊びに来た客が一泊して翌日帰っていたものが、容易にジャカルタへ戻れるようになったため、宿泊客を三割前後失っている。
ホテルグランドプリアンゲルでは「シックストゥシックスパッケージ」と題して、午前6時から夕方6時までの客室利用を29万9千ルピアの価格で発売した。6月から8月までの三ヶ月間をトライアル期間とするこのパッケージは、プロモーション不足のせいか売れ行きはまだ芳しくない。一方サボイホマンホテルでは週末客を確保しようと、レストランと催し物に趣向をこらす計画を立てている。


「国内線で便数が減少」(2005年6月13日)
ジェット航空機燃料値上げで国内旅客空運業界は従来のポリシー見直しを余儀なくされており、中には既に操業自体を停止した会社も出ている。多くの航空会社は、廉価料金では採算が取れないために廉価座席の廃止や値上げ、また路線や便数の合理化を開始した。スカルノハッタ空港管理会社PTアンカサプラ?は、いくつかの航空会社が同空港発着便数を大幅に減少させている、と話している。
PTアンカサプラ?スカルノハッタ空港支店長は、同空港利用便数は今年年初から一日平均7百便あったが、最近は638便に下落している、と語る。スターエアーは6月1日から運行を取り止めたし、プリタエアサービスも当面運行休止としている。ただしプリタエアは、ジャカルタ発定期便をストップさせただけで、ハリム空港からのチャーター便は続けている。ジャタユエアラインは一日26便をジャカルタから飛ばしていたが、今ではメダン2便スラバヤ1便の計3便に絞り込んでいる。ボラッ航空も便数を激減させた会社のひとつで、従来の14便が今では2便のみとなっている。他にもマンダラ航空が22便から16便に、ムルパティ航空は20便が12便に減っている。同支店長はまた、バタビアエアー、スリウィジャヤエアー、アダムエアー、ウイングスエアーは燃料値上げの影響をあまり蒙っていないようだ、とコメントしている。


「深夜レース族はブカシに全員集合っ!」(2005年6月20日)
週末の深夜、ウォンウォンと唸るエンジン音が寝静まった街の上空にたなびく。草オートバイレースたけなわのようだ。しばらくするとピーポー音が混じり、ウォンウォン音は追跡を振り切ろうと別の方角へ去って行く。そうしてやっと静寂が戻ってくる。しかしそれから小一時間もすると、また始まる。そして同じシーンが展開され、同じことが繰り返される。最近都内でそんな二輪車の深夜レースは減っているように感じていたが、どうやらかれらはブカシに新たなレース場を発見したらしい。クランジのスルタンアグン通りがかれらによると、絶好のレース施設要素を備えているそうだ。不法レース場ナンバーツーはハラパンインダ住宅地区の道路。スルタンアグン通りには街灯のある広い道路でおよそ1.5キロ区間がほとんど一直線という場所がある。交差点も立体交差にされたので、安全は確保されていると言ってよい。
草レースは数台のオートバイが参加してゴールまでのスピードを競うという単純なものだが、二輪車修理改造屋が腕を競う場にもなっている。優秀なメカニックがいる店には、客が来ることうけあい。そして腕の良い素人レーサーは、店からの報酬の他に、レースの陰で行われる賭博からおこぼれが転がり込む。インドネシアでビジネスにならない舞台はない、というサンプルのひとつだろう。
ブカシの不法二輪レースには、東ジャカルタや北ジャカルタ辺りからもレーサーがやってくる。そして夜中の23時ごろには、エンジン音が高らかに鳴り響くという寸法。レースを目当てに、およそ5百人くらいの見物人がその一帯にたまる。夜半に金のかからないアトラクションを楽しもうというカップルも多い。
しかしいくら深夜とはいえ、社会の安寧秩序を守護する警察がそれを放置してよいという法はない。レースが始まると警察は手入れに出動するが、警察がくればレースはすぐに解散し、別の場所へ逃避してまた開始される。そんないたちごっこの繰り返しでは解決にならないと西ブカシ署は18日夜、ハラパンインダ住宅区で行われている不法レースを一網打尽にするため現場を急襲した。そして逃げ惑うレース関係者や見物人が何台も衝突してけが人が出たのを目の当たりにし、反省して別の方法で規制をしようと警察側はいま方策を練っている。


「国内航空会社に燃料調達の危機」(2005年6月22日)
石油国際相場値上がりの影響を受けてプルタミナが販売するジェット航空機燃料価格も大幅に引き上げられているが、それにかけられている付加価値税(PPN)に、いま焦点があたっている。燃料価格の大幅引き上げでいくつかの航空会社では操業問題に発展しており、そうでない会社もいまやオペレーションコストの40%を占めようという燃料費に10%が上乗せされる状況を看過できなくなっていて、本質論へと問題が進展している。
もともとPPNは物品サービスが消費される場所を課税条件に持っており、国外に持ち出され、国外で消費されるものが課税対象外とされていたのは1994年度第11号法令第7条2項に示されているとおり。ところが2003年8月25日付けで大蔵大臣が、国内で購入される航空機燃料への課税を命じ、国外に持ち出されるものにも例外を認めないという決定を下した。おまけにその命令が1998年まで遡及することにされたため、プルタミナの未納税金額は9千7百億ルピアに膨れ上がった。プルタミナは2004年12月時点で6,580億を納税した上で、蔵相と国有事業体担当国務相にその規定の見直しを要請しているが、反応は見られていない。
ハッタ・ラジャサ運輸通信相はこの問題に関して、「国際合意に背くその規定はインドネシアのイメージを大きく失墜させるものであり、関係閣僚に文書で対応を求めているが、まだ反応はない。」とコメントしている。IATAも大蔵省が出したその規定が航空機燃料に関する国際協定に違反しているとの通告文書を今年三月、蔵相宛てに出している。運通相はその課税が合理性に欠けているだけでなく、国内空運業界の財務体質に悪影響をおよぼすとともに、近隣諸国への航路を持っている会社がシンガポールやマレーシアで燃料調達をし、国際航路を持っていない会社と条件面で不公平が起こり、健全な市場競争が妨げられる懸念がある点を重視して、早急な改善を求めている。
一方国税機関からPPN徴収と納税を迫られているプルタミナは、PPNを納めない航空会社には燃料を販売しない、と表明している。


「ジャカルタコタに歩行者用アンダーパス」(2005年6月25日)
都庁はコタ駅とマンディリ銀行博物館を結んで歩行者用アンダーパスを建設すると表明した。その一帯の交通が乱雑をきわめているための対応措置で、全長109.7メートル幅8メートルのトンネル工事に都庁2005年度予算から220億ルピアが当てられる。
ファウジ・ボウォ副知事は、オールドジャカルタの交通混雑を整理するための効果的な対応だ、と説明している。現在その場所での道路横断歩行者は一時間1千3百人、そこを通る車両は一時間2千4百台で、車両の合間を縫って歩行者が横断するため、スムースな交通の流れが妨げられている。このアンダーパスは身体障害者用のリフトあるいは引き込み口などを完備し、またエアコンを備えて歩行者に優しい環境を提供しようとしている。アンダーパス内に売店等は一切認めない方針。この工事はこれから入札を行って業者を指名し、1年間の工期で早急に着工されるよう計画が組まれている。


「ミナンカバウ新空港は今月オープン」(2005年7月2日)
パダン料理で有名な西スマトラ州にミナンカバウ空港が完成し、今月15日から一般利用が開始される。インドネシアの最新国際空港として登場したミナンカバウ空港は、これまで使用されていたタビン空港に取って代わるもの。7月15日から一週間、新空港は第二シャドーオペレーションを開始し、タビン空港はその進行モニターセンターとなるとともに必要に応じてバックアップ空港として使われる。すべてが順調に進めば、7月23日から新空港が独立してフル稼働に入ることになっている、との西スマトラ州交通局空運次局長の説明。
到着観光客の足の便をはかるために、交通局はタクシー250台を各タクシー会社に割り当てて準備させている。この空港タクシーは、車体が5年以上経ていないもの、エアコン完備、運転手は登録された者などいくつかの条件を満たさなければならない。
この新空港オペレーション開始に時をあわせて、西スマトラ州は州独自の観光振興プロジェクトを開始する。題してビジットミナンカバウイヤー2005〜2010。西スマトラ州には55のリゾート観光スポット、58のカルチャー観光スポット、17の特殊観光スポットがあり、中でもアナイリゾート、シクアイ島リゾート、チュバダッ島リゾート、ヌアンサマニンジャウリゾートなどは観光施設の開発が進められている。また高原部にはオランダ時代にスマトラのバリと呼ばれた州内第二の都市ブキッティンギもあり、世界ウオ−キングスポットとして推奨されている。


「寝っ転がる警官」(2005年7月16日)
住宅地区に車で入ると、道路を盛り上げてスピードが出せないようにしてあるところが多い。英語ではスピード・トラップと言うが、インドネシア語ではポリシ・ティドゥールつまり寝っ転がっている警官。インドネシアのドライバーは警官の姿を目にすると突然用心深くなり、慎重な運転をするので当然スピードも落ちる。その結果を求めて造られたものだから「寝っ転がり警官」とは言い得て妙。ところがそのポリシ・ティドゥ−ルが近年めったやたらと増えており、ドライバーにとって潜在的な苦情のもとになっている。中には百メートルほど走るのに12ヶ所もポリシを踏んで行かねばならず、しかもその間隔が5メートルしか離れていないものもあり、また盛り土の落差も大きいのや小さいのやさまざま。自動車は本来大通りだけを通っていればよく、わざわざごみごみした住宅地区内の裏道を通る必要はないのだが、大通りの渋滞がひどければ多くの車が抜け道を探して裏道へと入ってくる。本来突発的暫定的な裏道通行が、大通りの慢性的渋滞のせいで定常的になりがちであるのも、住民の自衛行動を煽る原因となっているようだ。大通りの渋滞で周辺の裏道に流れた交通量がポリシ・ティドゥ−ルのおかげで走りつらく、そこにも大渋滞を巻き起こして社会的非能率を撒き散らしているだけ、という図がドライバーたちの怨嗟を呼んでいる。住民たちは、子供が遊び、大人が歩き回る日常生活の場に車がスピードを出して突っ込んでくればあぶなくてしようがないわけで、この自衛措置も解らなくはないものの、寸法や形態に工夫をこらして、二度とここを通りたくないようにしてやろうと考えてでもいるのか、車の下腹をこするような高さにしたり、盛り上げの両面を鋭くえぐってタイヤがどしんと落ちるようにしたり、と悪魔の顔をよそ者に見せてくれる。中でも、公共運送機関の傍若無人な振舞いは住宅地区に入っても変わるものではなく、その場面を見る限りは住民の悪魔顔もやはりよそ者悪魔に向ける顔として十分に理解できるものではある。なまじ善人でいると苦労と悲惨が降りかかってくる文化がここにも影を落としているのだが、それはともかく、道路という公共施設を住民が勝手に作り変えているのが実態だ。本当は、1977年5月13日アリ・サディキン都知事の時代に出された都条例で、スピードトラップは統制されている。それによれば、スピードトラップは必要と判断される道路あるいは場所にのみ造られるものであり、ひとつのトラップからもうひとつのものまでは最低75メートル離れていなければならない。それより短い道路の場合は街路区画1ブロックの両端にしか造る事はできない。構造は道路を横切る山の部分が最高で12センチ、幅は8センチ。素材は道路表面舗装と同じ浸透アスファルトかホットミックスを使うことになっている。できあがったトラップには白黒のペンキでゼブラクロス状の模様を描かねばならない。白黒の幅はそれぞれ15センチだ。


「首都警察の道路交通キャンペーン」(2005年7月21日)
首都警察は7月21日から8月18日までの29日間、道路交通秩序への規律を高めるために首都圏一円でキャンペーンを行なう。Operasi Simpatikと命名されたこのキャンペーンは、都民に決まりを守った規律ある交通を行なうよう指導するのが目的であり、この期間中は当局職員の違反者に対する警告を増やして90%とし、違反切符を切るのは10%を目処とすることになっている。違反切符の対象は、事故を起こす可能性のある行為、交通渋滞の原因になる行為のふたつで、公共運送機関については定められた場所以外での駐停車、客の乗降、時間調整、路上停車など、また自家用車のスリーインワン違反、オートバイの自動車専用道路進入、道路左端通行無視、歩道上走行など、全般的には一般道路上での追い越し追い抜き競争、ゴーストップ信号無視などとなっている。 21日には首都警察が首都圏一円のRT・RW、学校、運送機関や協会などに対してオリエンテーションを行い、路上でのキャンペーン開始は22日からが予定されている。交通法規を守らない者が当局職員に止められると、本人のアイデンティティが記録され、違反は何でその罰則はどうなっており、今後はどう注意しなさいといった警告・説明・注意喚起が行なわれるとの首都警察の説明。このキャンペーンに動員されるのは首都警察交通局を中心に本部と支署から1,632人で、事故多発地点、渋滞名所、交通ボトルネック、交差点、経済活動センター地区などに散開して都民の交通をコントロールする。
悪名高いジャカルタドライバーたち、中でもオートバイを自転車と同一視している既に無法集団と化した二輪ドライバーを首都警察がどこまで教化できるか、ぜひその腕をふるってもらいたいもの。


「都内ワヒッハシム通りで交通規制」(2005年7月21日)
都内の交通問題について、その緩和策のひとつとして先に出されていたオートバイ専用車線案は実施がまだ困難である、とスティヨソ都知事が結論付けた。しかし17日に閉幕したジャカルタフェアで1万4千台のオートバイが販売された事実を前にして、交通秩序を崩壊させているオートバイが急激に増加している状況を放置することもできないため、オートバイ通行規制を厳格実施する考えであることを明らかにした。都内の大通りでは高速車線でのオートバイ走行が禁止されているが、それがまだ適用されていない道路もある。たとえばタムリン〜スディルマンは禁止だがワルンブンチッ通りは禁止されていない。
ところで都庁はタナアバン市場前の南北路が混雑の度を深めているため、ワヒッハシム通りの交通規制を7月20日から実施する。まず北側と南側の道路幅を調整するために、ブロックを設置する。そしてワヒッハシム通りのタムリン側からタナアバンに向かう流れとファフルディン通りからの流れにUターン場所を設ける。更にカンプンバリ通りから西行き右折を禁止し、左折のみとしてその先にUターン場所を設ける。道路南側から西行きに合流する流れはタナアバン商店街陸橋の柱近くにターン場所を用意するといった施策。これまでワヒッハシム通りをルートにしていたマヤサリ、コパジャ、メトロミニ、ミクロレッなどの公共運送機関はルートを変えてその通りを通らないようにする。それら以外の交通の流れは従来通り。


「今年上半期の交通事故補償金支給は2千億」(2005年7月22日)
交通事故保険を取り扱っている国有事業体PTジャサラハルジャは、今年上半期に2,134億ルピアの事故補償金を支給したと同社広報官が公表した。陸海空で発生したすべての事故への補償がその金額で、陸上の事故はそのうち6割を占め、また事故発生はジャワ島が最大だとのこと。12,224人の死亡者に対する遺族補償金が1,224億ルピアで最大ポーションを占め、続いて重傷者25,374人への治療補償等が859億、3,157人の軽傷者に19億、後遺障害86人に27億、埋葬補償は242人に2億4千万ルピアが支給されている。今年上半期にジャサラハルジャから補償金を得た者は41,083人にのぼる。


「どこでも止まる列車」(2005年8月4日)
公共輸送機関は客が降りたいところで止まるもの、という通念がどうやら確立されつつあるらしい。路線バスは、アンコットにせよビスコタにせよ、田舎道であろうが首都の目抜き通りであろうが、はたまた交差点のど真ん中であろうが、乗客が降ろしてくれと言えば止まる。同じことが電車でも行われているらしい。ジャカルタ〜ムラック間エコノミー列車に乗るとそれを体験できる。
都内タナアバン駅からムラック行きに乗ってみよう。片道切符の一番高い区間で5千ルピア。扉が開け放たれた車両の中はたいそうな混み合いよう。混雑に輪をかけるように、物売りが右往左往する。果物売り、キャンディやタバコ売りはティシューまで売っている。隣の車両からタフスメダンと叫ぶ声。衣料品や玩具、電気製品までが売られている。ふっとパサルの中にいるような勘違いに陥ってしまう。
駅に止まるたびに、プラットフォームで待っていた乗客がわれ先に押し入ってきて、降りようとする乗客とおしくら饅頭。ごみごみした家並みから郊外の風景へと移り変わる中で、この列車は駅でもない場所で実によく停車する。各駅停車でないエグゼキュティブ列車を先に通してやらなければならないのはわかるにしても、前後に他の列車などいない水田のど真ん中でも止まってくれるし、集落の近くに来れば、こりゃ止まりそうだ、と予想が先に立つ。駅でない場所で止めてもらいたい乗客は、機関士のところまで行って数千ルピアを渡す。停止場所を注文しておけば、そこで止まってくれる。誰にでもそれができるのが、金の威力だ、と乗客のひとりは語る。「今は金が最高権力者だからね。」数千ルピアで権力をふるえる社会構造は、どうやら貧者をも味方しているらしい。
そんなおかげで、定時運行など夢のまた夢というところ。ゆったりと時間が流れるバンテンの郊外を、ひとびとは流れにまかせて生きていく。有料自動車専用道路を突っ走る長距離バスに乗れば、ジャカルタからムラックまでは2時間なのに、エコノミー列車は4時間もかかってやっとムラックに到着した。それでも毎日、エコノミー列車の混雑は変わらない。


「ブカシ〜プリウッ間自動車専用道路建設」(2005年8月5日)
ブカシ西部の工場地帯とタンジュンプリウッ港を直接結ぶ輸出入貨物動脈路建設案への着手が近づいているが、当初の青写真だったチカラン〜タンジュンプリウッ間のルートが変更された、とソリヒン・サリ、ブカシ副県令が明らかにした。当初はチカンペッ有料自動車専用道路チカラン料金所のあるトゥガルナナスからタンジュンプリウッまでの間に自動車専用道路を通す案だったが、それが同自動車道チビトゥン料金所からチリンチンまでということに変更された。そのため当初は54キロだった道路建設は38キロに短縮される。この道路がどこを通るかについては、投機者の地価吊り上げ行為を考慮して公表できないとの副県令の談。チカンペッ道路周辺の経済発展から完全に取り残されているブカシ北岸地区にとっての経済開発モメンタムでもあるこの工事計画で、道路が通る地域をゴールドラッシュが襲うものと地元経済界は見ている。ただしこの道路の通過する土地の大半は公営会社第二ジャサティルタの所有地になるとも副県令は洩らしている。工事自体は中央政府公共事業省が実施するものであり、今月中に道路建設と運営を行なう業者の入札結果が公表されることになっている。


「列車乗客たちの日々」(2005年8月8・11日)
どこでも止まるランカスビトゥン〜タナアバン線の車両には大きな扉が四つあるが、全部開きっぱなしで閉まらない。窓もガラスのないのがあちこち。扇風機があったであろう場所には、取り残された金具とコードの切れ端だけ。長い蛍光灯が二つ天井に付いてはいるが、ただの飾りにすぎない。夜ともなればこの車内は真っ暗闇。
トイレ?トイレに入ろうなんて、一種の我慢比べだ。これ以上汚く臭い場所は探すのが困難だろう。タナアバン行きのその列車に、スルポン駅から乗ってきた母親と三人の子供たち。末っ子は2歳くらいだろうか?列車が動き始めると、その末っ子がむずかり始めた。「かあちゃん、おしっこ!」もう降りるわけにはいかない。トイレへ行く意思のないその母親はしばらくその子をなだめていたが、おずおずと開け放たれた扉の方へその子を連れて近づいた。外に向かって立たせるとズボンを引き降ろし、そしてそこにしゃがませた。ゆれる車内に小便小僧の出現だ。だがインドネシアの小便小僧はおしゃがみスタイル。結果は無残。小水は車外から吹き込む風で周辺に撒き散らされ、扉近くに座っていた乗客に容赦なく降りかかる。その子がびしょ濡れになったのは仕方ないにしても、しぶきを受けた乗客たちのだれひとり、そんなことにかまおうとせず、また怒りを示す者すらいない。人生とは不快と苦難の塊だということをかれらは骨髄に徹して理解しているにちがいない。
中流層向け住宅地区のあるビンタロジャヤに近いポンドッランジ駅の上り下り用二本の線路は、線路から低まった空き地で離されている。一番線の方で列車を待っていた乗客が急遽二番線に移らなければならなくなったとき、たいていの乗客はその空き地に飛び降りて向こう側によじ登る。プラットフォームを伝って行けば問題はないが、近道を好むのがインドネシア文化というものだ。列車が到着したあと、肥沃な身体の女性が輝く赤色のタイトスカートで、向こう側の乗り場に登場した。かの女はどうしてもこの列車に乗りたいようだ。意を決して飛び降り、プラットフォームの反対側でかなりの高さになっているこの車両の扉に乗り込もうというのだ。スカートをたくし上げ、車上の乗客たちに「引っ張りあげて。」と頼んでいる。数人の気前のよい男たちがかの女の腕を引っ張るが、それはそれは大仕事。そうこうするうちに列車はしずしずと動き始める。車外でその格闘シーンを見ていたひとりのおじさんが、女性のお尻をよいしょと持ち上げた。甲高い悲鳴とともにかの女の身体は動き始めた車内に転がり込む。みんなの協力で、お尻を触られ、太ももを見せながらも、かの女の乗車は安全無事に果たされた。
カリバタ地区の事務所に勤めるジャラルディン40歳は、早足に歩き通してタナアバン駅にとび込んだが、列車の最後尾を見送るしかできなかった。かれが駅に到着したのは21時35分。ランカスビトゥン行き最終便の発車は21時30分なのだ。それも、本当のタイムテーブルに記載された21時ジャストをわざと30分遅らせての発車だというのに。駅側はこの最終便をあてにしている乗客へのサービスとして、30分の時間奉仕をしているのだ。ジャラルディンは仕方なく駅で蚊を友にして寝ることにする。午前3時の始発までしばらくの間だ。だがタナアバンはしばしばアブナイ時がある。ランカスビトゥンへの最終列車乗り遅れ組み仲間がいないとき、タナアバンで危険を感じるとかれはパルメラ駅やクバヨラン駅へ移動して始発を待つ。始発でパルンパンジャンの自宅へ帰っても、家にいられるのは数時間。そのあととんぼ返りでまたカリバタの事務所へ出勤だ。家に着くのは午前4時過ぎ、そして7時の列車に乗ってまたジャカルタへ。下っ端従業員のかれには、タクシーを使うような余裕はない。
かれはパルンパンジャンにタイプ21の家を持った。家族はそこに住まわせて自分はジャカルタへ。かつてかれは職場の近くに家を借りたことがある。しかしそれでは経済的にあまり余裕が持てないことが分かった。鉄道定期券を買っておけばジャカルタへの行き帰りは自由自在だし、家を借りるのとはけたちがい。今回のように最終列車に乗り遅れたときだけ少したいへんになるにしても、限られた収入に反してかれは精神的に余裕を持っている。


「タンジュンプリウッ鉄道駅再開」(2005年8月12日)
かつてはタンジュンプリウッ港から市内に向かう重要な足だった近郊鉄道タンジュンプリウッ線だが、乗客が激減したため旅客車運行を2000年から停止していた。タンジュンプリウッ鉄道駅からは昔、ソロバラパン、スマラン、スラバヤ行き長距離列車も出ていたし、近郊鉄道電車はジャカルタコタまで走っていた。それらの旅客車両が走らなくなっても、その間この線路はタンジュンプリウッ港内のパソソ鉄道ターミナルに向かう貨物列車が利用していた。
しかし首都圏近郊鉄道を管轄する国有鉄道会社第一操車区は、現有施設をただ眠らせてしまおうということではなく、再起を図って改修と整備を続けていたのである。旅客列車ターミナルであるタンジュンプリウッ鉄道駅舎は1918年に建設されたもので、オランダ人の設計になるヨーロッパの香り馥郁たる駅舎。ここは都が保存文化財に指定している。この駅舎の化粧直しからアンチョルドリームランドに近いアンチョル駅改築、クマヨラン〜プリウッ間の線路地盤盛り上げ、電線改良補修などさまざまな工事がその間になされてきた。2001年に閉鎖されたタンジュンプリウッ鉄道駅舎の改修は7割方終わっている。鉄道会社はこの8月中旬にタンジュンプリウッ線再開を予定しており、独立記念日には5年ぶりに旅客列車が走ることになるだろう、と述べている。


「バタム島海運業界に事業継続の危機」(2005年8月22日)
バタム島の海運業界は、高騰した燃料費をカバーするための料金値上げを期待しているが、シッパー自体も高騰したエネルギー費用の補填におおわらわであり、海運業界が期待する30%値上げは当面実現しそうにないため、困惑の態を見せている。ズルキフリ・アムラINSA(民族系船主協会)バタム支部長は、「相当な値上げをしなければ運航経費がカバーされないが、バタム島内にあるバタミンドをはじめとする工業団地内企業もコストアップに悲鳴をあげており、小額の値上げは可能かもしれないが、赤字操業はいつまでも続けられないので、そのうち船社は運航をやめていくようになるかもしれない。」と語った。INSAバタム支部に登録している船社は90社あり、20社が客船その他は貨物船を運航している。バタムからジャカルタへの海上貨物運賃は平常タリフで350万から450万ルピアというレンジにあるが、コストは6百万ルピア前後と試算されている。アムラ支部長自身も貨物船とバージ船を走らせているが、これまでバージ船一隻でひと月1億ルピアの収入があったのに、燃料値上げのあとは6〜8千万ルピアに低下している由。またフェリー客船を運航させているPT Fajar Marindoのアズハル取締役は、今年二回の燃料値上げでコストは15%アップしているが、乗客に対する乗船料金値上げは可能性がないので、コストアップの克服対策としてできることはほとんどない、と述べている。


「都内バス路線に変更」(2005年8月24日)
首都マクロ交通整備の一環として一部の都内バス路線変更を実施する、と都庁運輸局が公表した。新ルートでの運行は8月24日午前5時半から開始される。この整備はバスウエーと接触するルートを走る都内バスに、より強くフィーダーとしての機能を持たせることが狙いであり、同時にこれまで実態が不合理であったり、状況の変化で問題が生じていることがらなどを一気に合理化するためのもの。従来都内バスオペレータは、乗客数を多く確保するために長い距離を走りたがる傾向があったが、都内の交通混雑激化で目的地に到着する時間が長期化しており、オペレータ側も従来の考えを再考しはじめている。またPatas ACと呼ばれる急行エアコンバスは、cepat dan terbatasの名称通り、止まるバス停留所を減らして目的地まで早く快適に乗客を運ぶことをコンセプトとしているが、実態はどこでも止まるバスとして運用されている。そのような問題を解決する方向で今回のバスルート変更がなされたものであり、関係バス会社はすべてこの変更を了承した、とルスタム・エフェンディ・シダブタル都庁運輸局長は説明した。
今回変更されたブロッケム〜ジャカルタコタ・バスウエー路線と接触する都内バスルートは12本で、その明細は下のようになっている。また今回の路線変更で影響を受けたバス会社はPerum PPDが77台、PT Mayasari Baktiが18台、PT Steady Safeが25台、PT Hiba Utamaが11台となっている。

路線名 / 現ルート / 新ルート / 運行バス台数
Bus Reguler 10 / Blok M-Senen / Lebak Bulus-Manggarai / 12
Bus Reguler 939 / Blok M-Grogol / Blok M-Veteran / 6
Patas AC 10 / Kp Rambutan-Kota / Kp Rambutan-Senayan / 24
Patas AC 15 / Depok-Kota / Depok-Karet / 10
Patas AC 17 / Bekasi-Kota / Bekasi-Verbak / 18
Patas AC 22 / Lebak Bulus-Senen / Lebak Bulus-St Tebet / 9
Patas AC 58 (PAC104を合併)/ Grogol-Ciledug / Kp Melayu-Tangerang / 4
Patas 51 / Bekasi-Kota / Bekasi-Verbak / 10
Patas 18B / Pasar Baru-Ciputat / Ciputat-Karet / 8
Patas 42 / Blok M-Senen / Lebak Bulus-Manggarai / 13
Patas 128 / Lebak Bulus-Senen / Blok M-Kp Rambutan / 6
Patas 125 / Tg Priok-Blok M / Tg Priok-Pasar Baru / 11

また都内バスとトランスジャカルタバスの乗継ぎ通し切符がブロッケム、プロガドン、ルバッブルス、カリドラスの各バスターミナルとバスウエーの全停留所で販売される。24日は、急増するであろうバスウエー乗客の足を満たすために、トランスジャカルタバスは総動員される計画。


「都内バス路線変更は大混乱」(2005年8月26日)
24日に行われた都内バス路線変更は、国営バス公社PPDの運転手が無言で行った不服従行動のために大混乱に陥った。12路線を変更してバスウエーのフィーダーにしようとした都庁の方針は24日、PPDバス運転手が一斉に無視してそれまでのルートを走ったために、ほかの民間会社運転手たちからも轟々たる非難を浴びる結果となった。 24日は早朝から、警官もどきの制服に身を包んだ都庁運輸局職員がターミナルや都内バス路線の主要ポイントに出動して整理をおこなったが、バス運転手の多くは収入減への不安を強く抱いていた。そしてやはり出費増を強いられるバス乗客たちも、都庁のこの決定に強い不満を抱いていた。それらの実利問題が、もともと変化を嫌う保守的傾向の強い人々の上に乗ったのである。PPDパタスAC10路線バス運転手のひとりは、カンプンランブタンターミナルを出て市内に入り、ブンドゥガンヒリルを昨日と同じように超えようとした。すると運輸局職員がバスを止め、ルートが違うと注意し、そして乗っている乗客を全員降ろせ、と命じた。コタまで行きたかった乗客たちは、バスの運転手に走れと言うが、都庁職員に職権を振るわれては困る運転手は従わざるを得ない。乗客たちは怒りを運転手に向けて襲い掛かり、10人ほどが身体で運転手を押しまくり、金を返せと嚇かした。運転手はリンチが危ないと感じて手持ちの金をそれぞれに手渡したが、誰に何枚の千ルピア札を渡したかなど意識の外。
それが終わってUターンし、またカンプンランブタンへと戻って行った。そのバスが再びブンドゥガンヒリルまで来たのはその二時間後。さっき止められた場所に都庁職員はいない。乗客たちは後ろで「トゥルース!トゥルース!」と合唱する。運転手はそこを押し渡った。そしてそこを過ぎたところで、別の職員に止められた。押し問答するうちに、なんと何人ものPPD職員がそこへ集まってきたではないか。PPD職員たちはいきり立っている。剣呑な雰囲気に都庁職員はそのバスを解放し、自分もその場から去って行った。こうして24日の路線変更は、都庁の思惑を裏切って終日大混乱のまま一日を終えた。


「都内公共バス料金値上げが決まる」(2005年10月05日)
石油燃料値上げの結果、都内公共バス料金改定が平均38%の値上がりで決定された。燃料費値上がり後、公共運送事業者は陸運協会を通じて公共料金値上げを都庁に申請し、都庁はそれをまとめて都議会にはかっていた。都議会第C委員会は、最終的に都内の公共バス料金改定をしたのように了承した。
種別 / 旧料金 / 新料金 / アップ率
大型普通バス / 1,200 / 1,900 / 58%
特急バス(PATAS) / 1,600 / 2,000 / 25%
中型バス(KOPAJA, Metro Mini) / 1,400 / 2,000 / 42%
ミクロレッ(小型乗合) / 1,900 / 2,400 / 26%
学生料金 / 500 / 700 /40%


「歩行者・乗客のわがままが事故を増やす」(2005年10月18日)
自動車専用有料道路を歩行者が横断する。走っているバスを止めて乗降する。そんな歩行者の振る舞いが事故多発を煽っている。よくあるのは、公共バスが通る有料道路料金所で大勢の人がバスに乗降するというスタイル。あるいは道路外からのアクセスの便がよい場所で、バスが路肩で客を拾うというスタイル。法律上それらは違反行為であり、道路管理国有会社PT ジャサマルガは2000年ごろからそれらの違反に対する取締りを行ってきたが、バス運転手よりも乗客の方が大勢でその取締りに反抗し、最悪の場合は道路ファシリティへの破壊に発展したことから、ジャサマルガは取り締まり方式をやめて、事故防止や交通障害予防を優先しつつ、乗客に便宜をはかる方向で対処するように方針を転換した。その例がチカンペッ有料道路ジャティブニン料金所を超えたところに作られているバス乗り場。庶民は公共性・社会性を省みず、自分の便宜を優先しようとするため、力づくで禁止しても結局守られないという結果に立ち至る。
自動車専用道路を横断しようとしていた親子が高速で走ってきた自動車にはねられて即死するという事故や、料金所にやってきたバスに乗ろうとした歩行者がそのバスにひかれて死亡するといった事故も繰り返されている。首都警察ハイウエーパトロール隊長は、道路利用者の規則遵守は最悪のレベルだ、とコメントする。有料道路を通行中の公共バスを止めてそれに乗ろうとする者がたくさんいる。自分の行きたい場所に早く着けるように、というのがその理由だ。自分の都合はそうやって優先させるが、他の道路利用者の安全、ましてや自分自身の安全すら二の次にされている。数日前、有料道路内に入ってバスを止めようとした者が反対にバスにはねられて死亡したが、悪いのははねられた方だ、と同隊長は述べている。ちなみにジャサマルガが発表した2005年7月の有料自動車専用道路における事故報告は下の通り。
事故内容 / ジャゴラウィ / ジャカルタ〜タングラン / ジャカルタ〜チカンペッ
歩行者横断 / 7 / 1 / 9
予測不足 / 55 / 62 / 304
注意散漫 / 3 / 8 /25
秩序を乱す / 1 / 10 / 0
居眠り / 44 / 34 / 146
パンク / 28 / 42 / 68
スリップ / 9 / 14 / 15


「ルバラン長期休みに免許証の期限が切れるひとは?」(2005年11月2日)
首都警察は、運転免許証(SIM)と自動車番号証明書(STNK)の期限が11月2日から8日の間に切れるひとに対して、11月9日から28日まで14日間の猶予期間を与えると発表した。期限が11月1日以前あるいは9日以後のひとはその対象外。帰省中の路上検問で期限切れが指摘されても、ドライバーはその猶予期間を主張すればよい、と首都警察は市民にアドバイスしている。首都警察によれば、ルバラン休みに限らず自動車管理上の期限が休日であれば警察はそのような扱いをしており、現場職員もそのように理解している、とのこと。
首都警察運転免許統合管理ユニットでの免許証新規作成や更新はここ数日半減して、一日5〜6百件に減っているものの、STNK手続きは平常通り一千件を超えているとの由。ダアンモゴッにある免許統合管理ユニットは通常18時まで活動しているが、ハリラヤ前日は14時で終業することになっている。ルバラン休みに関連してSTNKに期限猶予が与えられるが、運転免許証はその措置の対象にならない、とテディ・ミナハサ首都警察運転免許統合管理ユニット課長は語る。同課長によれば、運転免許証にはすでに期限切れから一年間の更新猶予がつけられているためで、そのために、有効期限日から一年以内の更新申請には理論と実技のテストが免除される。しかし一年を超えた場合は、新規運転免許申請と同じように、理論と実技のテストを受験しなければならない、と同課長は語っている。
ところが同課長は、期限が切れた運転免許証で運転してよいかどうかについては一言も触れておらず、どうやらわれわれは首都警察広報の主旨を汲み取っておく方が無難のよう。


「あぶない、アブナイ」(2005年11月18日)
運転免許証(SIM)と自動車番号証明書(STNK)の期限が11月2日から8日の間に切れるひとに対して首都警察が、11月9日から28日まで14日間の猶予期間を与えると発表したのは、「ルバラン長期休みに免許証の期限が切れるひとは?」(2005年11月2日)の記事通り。
デポッ市チネレに住むレオナルドさんが、11月5日に期限の切れた自家用車のSTNK延長手続きにデポッ市運転免許統合管理ユニットを訪れたのは11月9日。ところがどうしたことか、手続き遅れだとして罰金が科されたではないか。「そんな馬鹿な!」と怒ったレオナルドさんが鼻息荒く抗議したが、係官は間違っていない、と主張する。 「あれは首都警察の広報だよ。デポッ市は西ジャワ州だから関係ない。」
「それじゃあ、長い休みがあっても猶予はくれないのかね。休み中に期限が切れる者はみんな罰金かい?そりゃずるい。」
「猶予は与えてある。一日だけだけどね。西ジャワ州の統合管理ユニットは11月8日からオープンしており、長い休み中に期限が切れたひとは8日一日だけ罰金を免除してある。あなたは二日遅れたから罰金だ。」
広報不足と思い込みが重なって、とんだ罠に落ちたレオナルドさんの災難。情報の少ないインドネシアで、この種の罠はあちこちに口をあけている。あぶない、アブナイ。


「交通安全遵法作戦」(2005年11月22日)
11月18日から首都警察が始めた交通安全遵法作戦は四日目に入った。毎年行われているこの遵法作戦は、四輪二輪自動車と歩行者への交通教導を主体にしたもので、軽い違反の場合は警告・注意で済む。今年の同作戦重点ターゲットは公共運送機関と二輪車という、ひとつは数十年来の問題児ともうひとつはここ数年めきめきと悪名を高めつつある問題児。今年の作戦に首都警察が動員した要員は1,450人と、それに加えて300人の都庁行政警察、都庁運輸局職員、救急車118台など。公共運送機関の監視ポイントは、首都警察前、ブロッケムのCSW交差点、クバヨランバル、クニガン、パンチョラン、スリピ、トマン。一方二輪車については限定走行路を走らせる二輪車交通走路化トライアルをワルンブンチッ通り、ガトッスブロト通り、MTハルヨノ通り、スディルマン通り、タムリン通りで実施する。
今年の最新交通事故データは、死者954人、怪我人3千人が記録されており、道路利用者の安全意識高揚が急務ではあるものの、毎年の遵法作戦がたいした効果をあげているようにも見えない。因みに首都警察作戦本部によれば、18日以降の交通違反件数は下のようになっている。
11月18日
停止線オーバー 200、乗客乗降 38、安全ベルト 34、ヘルメット不着用 171、3イン1 27、 合計470
11月19日
停止線オーバー 119、乗客乗降 139、安全ベルト 88、ヘルメット不着用 307、3イン1 ー、 合計653
11月20日
停止線オーバー 20、乗客乗降 11、安全ベルト 40、ヘルメット不着用 26、3イン1 ー、 合計97
11月21日
停止線オーバー 348、乗客乗降 37、安全ベルト 68、ヘルメット不着用 52、3イン1 48、 合計553
首都警察の交通安全遵法作戦は1ヶ月間、12月18日まで続けられる予定。


「コンパス紙への投書から」(2005年11月23日)
拝啓、編集部殿。わたしはジョクジャのアディスチプト空港を頻繁に利用する者です。そのため、同空港の滑走路の状態がどのように変わっているのかによく気が付きます。滑走路面は最近、ひどく波打っているように感じます。実際、滑走路は頻繁にホットミックスのオーバーレイ工事がなされているのを目にしますが、しばらくするとまた波打っています。路面が波打っている滑走路での離着陸を無理に行うと、車輪の脚をいためたり、あるいは機体の構造にひび割れが起こることが懸念されます。
わたしの不安が杞憂であることを祈りますが、政府運通省はアディスチプト空港滑走路の専門的調査を行い、対策を講じることで航空旅客が安心して飛行機に乗れるようにしてもらいたい、と思います。[ ブカシ在住、ワヒユディ・ヘリプルワント ]


「JORRの次はBORR」(2005年11月24日)
JORRとはJakarta Outer Ring Road のアクロニム。十数年たっていまだに全線開通しないこのジャカルタ外環状有料自動車道路に対して、ボゴール市の外側を周回する環状有料自動車専用道路の建設工事が始まった。この道路の名前がBORR、すなわちBogor Outer Ring Road 。
ジャゴラウィ有料自動車専用道路のもっともボゴールに近いスントゥルスラタン料金所から西向きにクドゥンバダッまで3.7キロ区間の工事着工式典が11月23日、公共事業大臣、西ジャワ州知事、マレーシア大使列席のもとに行われた。この道路は、ジャカルタ〜ボゴール街道と交差するクドゥンバダッから更に西へ、スンプラッのヤスミン立体交差を経てボゴール農大のあるダルマガまで8キロ進んだ後、東南に向きを変えてチオマスの西を通り、ランチャマヤの南側からチアウィ〜スカブミ有料自動車専用道路に接続する計画。スントゥルスラタン〜クドゥンバダッ区間は平地上、それから西の区間は全線高架道路となる予定。
この道路が完成すれば、ボゴール市の北側に林立している多数の住宅地区からジャゴラウィに乗るまでにボゴール市内を通リ抜ける必要がなくなり、市内渋滞緩和に大きい効果が上がることが期待されている。またダルマガからチアウィに至る東南部の道路は、緑滴るボゴール丘陵の景観が楽しめる絶好のドライブルートになるのではないか、と今から大きい期待を抱かせている。


「交通安全遵法作戦(その二)」(2005年12月1日)
11月18日から首都警察が始めた交通安全遵法作戦は十日目に入った。その間に記録された交通違反件数はなんと1万1千件。一日平均1,100件の違反が都内で行われている。警察官、陸運局職員、行政警察官の目に触れない違反はいったいその何倍になることやら。
首都警察の記録に上がった違反件数の最多数は停止線オーバーで3,908件、指定乗降場所以外における公共輸送機関の乗客乗降3,553件、左側通行を守らない2,394件、安全ベルト不着用1,486件といった内容になっている。
オートバイ運転者たちの声の中には、「停止線を越えるのは普段から当たり前に行っていることで、赤信号を早く越えてしまいたいから。」といったものや、「信号待ちの四輪車の後ろについたら、信号が変わってもさっさとその交差点を越えられない場合がある。だから車の隙間を縫って一番前に出る。信号が変わったらすぐにエンジンをふかしてGo!だ。」といったものが多い。
大通り沿いに用意されているバス停や歩道橋は、都民にあまり使われていない。ワルンブンチッ通りでは小走りに道路を横断する歩行者の姿が絶えないし、都内バスも飛び乗り飛び降りが普通で、やってきたバスにその場で乗るのが一般的な行動。バス停は遠いし、そこまで行く間にバスが来るから、わざわざそれを見送ってバス停まで歩く人はあまりいない。
首都警察広報部長は、いまや都市住民は生活時間の65%を交通に使っている、と語る。そのために秩序の取れた都市交通ビヘイビヤが養成されなければならず、この遵法作戦はその教導プログラムのひとつである、と説明する。遵法作戦を一定期間行ったから住民が秩序正しく交通を行うようになると警察は考えておらず、その種の監督教導は継続的に行われなければならない。自動車運転者は免許証取得のために法令テストをパスしなければならないので法規の勉強はするが、歩行者にはそのような機会がないために、学校でのカリキュラムに加えたり公共施設を設けてそれを教える必要がある、との広報部長の弁。チブブルにはキャンプ場施設内に交通パークが今年6月27日に設けられたが、まだあまり活用されていない。


「チカンペッ自動車道に新ゲート建設」(2005年12月14日)
ジャカルタ〜チカンペッ有料自動車専用道路の混雑緩和を図るために、ジャサマルガが新しいゲートをオープンする予定。ジャサマルガのジャカルタ〜チカンペッ有料道路支社長によれば、道路沿いにある高級住宅地グランドウィサタのデベロッパーからの要請によって、ブカシティムールとチビトンの間、KM21地点にアクセスゲートを設けるとのこと。1千1百ヘクタールの地所を占めるグランドウィサタ住宅地区のデベロッパーであるドゥタプルティウィ社が高架連結道路を含むすべての工事を負担することになっており、ドゥタプルティウィは既に公共事業省から認可を得ている。この新ゲートがオープンすれば、これまでブカシティムールあるいはチビトンに集中していたコタレゲンダ、グラハカリマス、シナールコンパスウタマ、コンパスインダ、グラハフィラ等々のブカシ・チビトン・タンブン地区に散らばる住宅地とチカンペッ道路とのアクセスが分散されるため、道路上の混雑が緩和されるだろうと期待されている。
それとは別に、外部道路との接点を増やして自動車専用道路内の混雑を緩和させようとの検討は同支社内で進められており、既にデルタマス地区にアクセスするチカランティムールゲート(KM31地点)とKM68地点のコタブキッティンダゲートの企画については、公共事業省の承認が出れば、すぐに工事を始める予定になっている。


「東急電車がボゴールを走る」(2005年12月16日)
14日、日本から届いた中古電車車両8台がタンジュンプリウッ港に陸揚げされた。購入したのは国有鉄道会社PT KA。1980年製のこの中古電車は一輌7.2億ルピアで、国内で新品を調達すれば70億ルピアかかることからPT KAは今回16輌を購入することにしており、陸揚げされた8輌はその一部。この8輌を売却した東急電鉄は、それらの車両は今年8月末まで実稼動していたものであり、十分に高い機能を保持している、と説明している。今回購入された車両はエネルギー使用効率が高いため運行時の電力消費が小さいこと、また今回の購入にあたってPT KAは技術者を日本に派遣し、メンテナンスと修理の技術を学んできたので、将来的に低コストでの車両維持が可能になることなど、今回の買い物が経済性の優れたものであることを同社は盛んにアピールしている。
輸入されたそれらの車両は15日からブキッドゥリ電車デポで検品が行われ、一週間後に試運転が実施される。PT KAの計画では、その後2006年1月1日から近郊鉄道ジャカルタ〜ボゴール線に投入され、エクスプレス列車として運行が開始されることになっている。料金については特にこの列車用に別建て料金を用いる考えはなく、現行のエクスプレス料金が適用される予定。現行料金は、ジャカルタからデポッまで1万ルピア、ボゴールまでは1万3千ルピアとなっている。


「コンパス紙への投書から」(2005年12月17日)
拝啓、編集部殿。わたしは2005年11月15日午前6時45分発のアダムエアー便でジョクジャ経由ソロへ飛ぶ計画を立て、11月9日に一家四人分の航空券を旅行代理店を通して買いました。ところが出発日を前にして夫と子供が病気になり、しかたなく14日の夜、出発をキャンセルしようと考えてアダムエアー24時間サービスに電話したところ、切符は払い戻しができず、同じ料金の同じフライトへの使用期限は三日間だと担当者が教えてくれました。ところがその担当者は、16日、17日の同じフライトはもう満席になっている、と付け加えるのです。これでは、予定通り出発しないなら切符代は焦げ付く、ということではありませんか。わたしが17日にファミリーのイベントがあるためソロへ行かなければならないという事情を考慮して、夫はわたしと末っ子だけが予定のフライトで出発するようにと勧めてくれました。15日の朝、わたしと子供は早朝6時15分にスカルノハッタ空港1Cターミナルに着き、搭乗手続きをしようとしたところ、なんと受付がもう締め切られているのです。カウンターの担当者は、次のフライトに乗りたければ35万ルピア払わなければならない、と言います。結局わたしが最初に買った四枚の航空券は焦げ付いてしまったのです。わたしはその足で自宅に戻りました。
ところが後で、たまたまわたしの同僚三人も16日に同じ目に遭ったという話を聞きました。かれらは6時20分に空港に着き、カウンターの担当者から「45万ルピアを払えば次のフライトで」と言われ、結局ひとり32万ルピアを払って7時20分発のマンダラ航空に乗ったそうです。もっとおかしな話は、5時前に空港に着いた人がチェックインしようとすると、手続は5時まで開かれないと言われたそうです。
安い切符を売りながら、搭乗受付時間は狭く狭くするなど飛行機に乗る条件をやたらと厳しくして、乗れなくなった乗客の座席を別の人に売り、またその乗客に余分に金を払わせて次のフライトに乗せるという詐欺まがいのやり方が、ローコストキャリヤーと言われている航空会社の採算確保テクニックなのでしょうか?他の航空会社の搭乗受付が出発の30分前まで行われていることを、わたしは自分自身で体験しています。わたしのような目にあう人が減るように、アダムエアー経営者に注意を喚起したいと思います。


「交通安全遵法作戦(まとめ編)」(2005年12月21日)
11月18日から12月17日まで行われた一ヶ月間のキャンペーンの総決算を、首都警察交通局が公表した。その期間に報告された違反件数は65,585件で、これは一日平均2千件以上の違反を警察が摘発したことを意味している。今年の作戦は二輪車と公共輸送機関がメインのターゲットとされた。摘発された違反内容について、最大は右側通行25,523件。自動車左側通行を原則としているインドネシアで右側通行を行うというのは、交通の流れに逆らって逆走している、ということ。二番目の最多違反件数は、交差点における停止線オーバーで、17,985件。公共輸送機関による乗降場所以外での乗客乗降は14,385件。その他、7,695件が安全ベルト不着用や3in1違反等となっている。
違反者からは運転免許証(SIM)や自動車番号証明書(STNK)が没収されるが、SIMは30,066件、STNKは34,842件が没収され、また四輪自動車91台と二輪車501台も差し押さえられた。ジョコ・スシロ交通局長は、警察が摘発したのは二割程度だ、と語る。「たとえば、停止線オーバーを一度に10人が行えば、警察が違反切符を切ったのはそのうちひとりか二人だ。10人全員は手におえない。今年の交通安全遵法作戦では、都民の交通秩序がまだまだ整っていないことが明らかだった。それでもポジティブな影響は与えたと思われる。首都警察は今後も交通秩序の指導育成に努めていく。」同局長はそう述べている。
しかし都内を走ると、遵法作戦実施中は、比較的行儀良く停止線の手前に並び、また低速車線だけを走っていた無法オートバイたちが、作戦が終わって数日もしないうちにまた元の木阿弥に戻っているようだ。


「来年は日本から160台の電車を輸入」(2005年12月23日)
政府運通省は、首都近郊鉄道網に投入するため、日本から総額12.8億円相当の中古電車車輌160台(40セット分)を購入することを決めた。購入費用として1,152億ルピアが来年度予算内で割り当てられ、支払いは6月ごろに実施される予定。今年10月に行われた石油燃料大幅値上げ以後、近郊鉄道利用者は急激な増加を示しており、これまでも通勤時間帯での需給関係が慢性的な供給不足であっただけに、便数増は急務とされていた。国有鉄道会社PT KAは、日本からの中古車輌輸入は6月を待たず、もっと早いタイミングで実施したい、と希望を述べている。日本製の中古電車は25年以上使用されたもので一輌8百万円であり、新車輌の製造発注でかかるコストが70億ルピアするために、この7.2億ルピアという中古電車購入コストはきわめて経済的である、とPT KAは主張している。日本で使われていた4輌編成1セットはインドネシアで8輌編成に変更される。 運通省の2006年予算総額6兆ルピアのうち2.5兆が鉄道部門に割り当てられている。日本で20年を超えて使用されていた車輌をジャボタベッ地区で使用することに関して政府は、最大輸送能力および安全性の面で規準を維持していることを条件に、十分使用に耐えるものを購入する点を強調しているが、国会第五委員会アフマッ・ムコワン議長は、国有鉄道会社と国有車輌製造会社PT INKAとの協働がまったく見られない、と苦言を呈した。「鉄道車両製造という国策会社に、PT KAから一台も発注がかからない。二十数年も昔に作られた中古車輌を購入して時代遅れの技術を使うのが、本当に妥当なステップなのかどうか、その点を政府は考えなければならない。」同議長はそう述べている。 ところでPT KAは来年1月に鉄道料金値上げを計画しており、政府と国会の了承が得られ次第,値上げを実施したい考えでいる。値上げの詳細についてはまだ社内で最終確認を終えていないが、南スマトラの石炭輸送便は4百%前後の値上げを考えており、利用者と協議中である、とのこと。