インドネシア交通情報2015〜16年


「自動車専用道自動ゲートは不便」(2015年1月9日)
2014年9月2日付けコンパス紙への投書"Lajur GTO dan Kemacetan Pembayaran di Gerbang Tol"から
拝啓、編集部殿。自動車専用道料金所で頻繁に交通渋滞が起こるのは、運転者がぴったりの金額を支払わないからです。その対策の一つとして行なわれているのが自動ゲートシステムです。ところが、運転者はたいてい現金支払いを好んでいるようで、自動ゲート支払いブースはがら空きなのが普通であり、反対に現金支払いブースは大渋滞です。
その一例が通勤帰宅時間帯での西ジャカルタ市メルヤウタマ第一料金所の一般道への出口です。スカルノハッタ空港方面から三車線使ってやって来た車が右端二ヶ所の支払いブースにアプローチするため、単に交通渋滞だけでなく整然さを失って大混乱が起こるのです。反対に、左側三ヶ所の自動ブースはがら空きです。
料金所管理者は、どうして自動ブースを減らして現金支払いブースに転換しないのでしょうか?自動支払いブースにも問題があるため、利用者が増えないのではないでしょうか?支払いレシートが打ち出されてこないことが、実に頻繁に起こっています。わたしのように、そのレシートがないと困る人間は、仕方なく現金支払いブースを通るようになるのです。[ バンテン州南タングラン市在住、ウィジャナルコ ]


「学費無料でパイロットにはもうなれない」(2015年1月12日)
国内の航空会社が急激に空運事業を拡大した結果、パイロットが慢性的に不足するようになった。航空会社は外国人パイロットを雇用するようになり、ひいては外貨支出の増大へとつながる。政府は急遽国民をパイロットに育成するため、教育機関を充実させるとともに、高額な学習費用を援助するため、教育費を補助金でカバーすることを行なった。つまり国立航空学校の学生は制服のような自分の身の回りの費用だけを負担すればよく、学校に納める費用はゼロとされたわけだ。それでも学生は3〜5千万ルピアの資金を必要とする。
国立航空学校はバンテン州タングランのチュルッ(Curug)と東ジャワ州のバニュワギ(Banyuwangi)にある。今は一年で3百人あまりのパイロットの卵が生まれるようになっており、そのうちの250人は国立のふたつの航空学校卒業生だ。残りは民間の航空学校出身者。政府が補助金を与えているのは国立航空学校だけであり、民間への援助はしていない。民間航空学校は18〜24ヶ月で卒業するが、学費はひとりおよそ7億ルピアかかっている。
イグナシウス・ジョナン運輸相は前政府のパイロット養成に対する補助金供与を取りやめると発表した。2015年から学生は資金繰りに奔走しなければならなくなる。大臣はその方針について、補助金が必要なのは小中高校など一般教育機関なのであり、パイロット養成はたとえ費用が膨大であっても就職すればその回収は容易なのだから、政府がそこまで経済的な支援を与える必然性はない、と説明している。大臣は、運輸省が運営している航空学校や航海学校のステータスを公共サービス事業体に転換し、生徒への経済援助は奨学金の形で条件に適合する者にのみ行なわれるようにすることを表明している。今回の方針変更で国内航空会社のパイロット不足が悪化する心配はない、とも大臣は語った。航空会社が航空学校との連携を強めていく形でパイロット不足問題の解決をはかる方向性に代っていくため、国が国費でそこの問題に手を貸すことはもう必要ないというのが大臣の考えであるようだ。


「子供の無免許運転に厳罰を」(2015年1月13日)
2014年10月23日付けコンパス紙への投書"Cegah Anak Belum Cukup Umur Berkendara Tanpa SIM"から
拝啓、編集部殿。しばらく前に、レイプされて抑うつ状態になっている13歳の少女がオートバイを運転して事故に遭ったというニュースが報道されていました。哀しく、心痛むニュースです。しかし、C種運転免許証を持っていない少女がオートバイを運転できるとはどういうことなのでしょう?
法規によれば、16歳になっていなければC種運転免許証の取得はできないというのに。抑うつ状態どころか、その13歳の少女は健康であってもオートバイの運転は適切でありません。ましてや弟と二人乗りをしていたのですから、人命を危険にさらしたわけです。
適正な年齢に達していない二輪車や四輪車の運転者が関わった事故のニュースをわたしたちはもういやというほど耳にしています?親や保護者は子供のそんな行為を承知しているようですね。それどころか、まだ年齢の行かない子供が大通りで自分で運転するように二輪車や四輪車を買い与えてすらいるのではありませんか?年齢の行かない子供が運転免許証なしに運転するのを放置した親や保護者は、責任を取らせられてしかるべきではないのでしょうか。
監督当局も、検問で無免許運転が判明した場合、その車両を没収するべきです。他の人間を危険にさらしているのですから、かれらには厳しい罰を与えなければなりません。[ 西ジャカルタ市在住、トーマス・スダルマ ]


「プリペイドカードだけで2万ルピア」(2015年1月30日)
2014年10月2日付けコンパス紙への投書"Nilai Kartu Tol Elektronik"から
拝啓、編集部殿。去る8月22日(金)21時15分、西ジャカルタ市ムルヤの自動車道料金所は大混雑していました。現金支払いブースは長蛇の列だと言うのに、四つの自動ブースはがら空きです。
自動ブースに回るよう、職員がeトールカードを手にして運転者にオファーしていました。料金所を早く通過したかったわたしは、そのeトールカードを5万ルピアで購入して自動ゲートに回りました。ところがなんと、そのカードの残高は3万ルピアしかなかったのです。それが判ったのは、カード支払いをしたあとで表示される残高が21,500ルピアと出たからです。支払い料金は確かに8千5百ルピアだったのですから。職員が行ったカードの金額と、実際に表示された残高の間にどうしてそんな大きな差が出たのでしょうか?
わたしの後ろにたくさんの車が続いてきたので、そのとき誰かにその問題を尋ねることができませんでした。関係当局に回答をお願いします。[ 南ジャカルタ市在住、アドリアル・シャフリン ]
2014年10月16日付けコンパス紙に掲載されたマンディリ銀行からの回答
拝啓、編集部殿。2014年10月2日付けコンパス紙に掲載されたアドリアル・シャフリンさんからのマンディリ銀行eトールカードに関する投書について、まずご不快な体験をされたことにお詫びします。
2013年6月から、マンディリ銀行プリペイドカードのカードだけの価格が2万ルピアになっていることをお知らせします。その価格レベルは他銀行のものとほぼ同一です。つまり、消費者が5万ルピアでカードを購入したということは、カード内残高が3万ルピアであることを意味しているのです。マンディリ銀行プリペイドカードに関する詳細説明は、最初にカードを購入された際のスターターパック内に納められている手引書に記載されています。
当方はアドリアル・シャフリンさんにコンタクトして、10月3日のできごとについて説明申し上げました。ありがとうございました。[ マンディリ銀行企業秘書、ロハン・ハファス ]


「ガルーダ航空がメダン〜アチェ航路に意欲」(2015年2月11日)
ガルーダ航空がメダン〜サバン航路を開設した。初フライトは2015年2月6日で、水金日の週三便運航になる。使用される機種は客席70のATR72−600。
インドネシア共和国の最西端にあるアチェ州サバン島はフリーゾーンに指定されており、ガルーダ航空が使命のひとつとして背負っている「航空路を開くことで経済開発が期待できる辺地へのコネクティビティ」に合致する場所だと言うことができる。観光並びに通商による地域発展が十分期待できるケースのひとつであるにちがいない。ガルーダ航空はこの2月中にメダンのクアラナム空港とアチェのロスマウェおよびムラボ間にも航空路を開設する予定にしている。
これまでサバン島に渡るためにはバンダアチェからフェリーに乗るしかなかったが、それでもサバン島に向かう観光客は急激な上昇を示していた。サバン市長によれば、2011年の訪問者は年間5万人だったが、2012年には8万人、そして2013年には一足飛びに40万人に増え、2014年には100万人に達したとのこと。サバン島の海には538種の魚がおり、2013年には海とビーチの清潔さで表彰されているそうで、航空路が開かれたいま、訪問者の数は200万人を超えることを期待している、とサバン市長は述べている。


「他人の時間は金じゃない」(2015年2月12日)
2014年11月4日付けコンパス紙への投書"Penundaan Terbang Oleh Lion Air"から
拝啓、編集部殿。わたしは2014年9月28日18時45分スラバヤ発ジャカルタ行きライオンエアー航空券を5人分、9月23日に購入しました。出発日の三日前に、フライト時間が18時45分から17時50分に早まったという連絡が入りました。
その日は会議があって空港へ行く時間を早めることができないため、乗り遅れのトラブルを避けるために21時発の次の便に変えるよう求めたところ、なんとフライト変更チャージの支払いを求められたのです。ライオンエアーが一方的にフライトの変更を仕向けたというのに・・・。ライオンエアー側が言うには、フライト時間の変更は1時間未満なので、別のフライトに変更する場合はチャージがかかる、という言い草でした。
仕方なく、フライトの変更はやめて、時間が早まった同じ便に乗ることにし、その日の活動をそれにあわせることにしました。ところが当日空港に行ってみると、17時50分に飛ぶどころか、18時45分に出発予定時間がまた戻され、それでも飛ばずに20時50分に遅延し、21時50分にまた遅らされ、結局22時15分にやっと機内に入ることができました。わたしたち5人は、空港でなすこともなく、時間を無駄にしただけでした。[ 西ジャワ州デポッ市在住、デシ・クルニア・ウタミ ]


「プログバンターミナル稼動開始」(2015年2月24日)
東ジャカルタ市プログバン(Puligebang)バスターミナルが2015年2月17日から稼動を開始した。このバスターミナルはすぐ近くを南北に通っているジャカルタ外環状自動車道にダイレクトにつながるよう計画されていたが、用地買収が難航してアクセス状況は期待されたものになっておらず、一般道を通って大通りへ出なければならないという悪条件下になっており、諸方面から懸念が表明されている。
このバスターミナルはジャカルタから東側のジャワ島内諸都市やバリ島に向かう長距離バスが入ることになっており、次のようなバス会社が利用を表明している。
Pahala Kencana, Kramat Jati, Rosalia Indah, Laju Prima, Sinar Jaya, Lorena, Dewi Sri, Bhinneka, Sumber Alam, Agramas, Nusantara, Gunung Arta, Rukun Jaya, Haryanto, Sindoro, Muncul, Safar Dharma, Dedy Jaya
都庁交通局は、公式オープン式典は3月の第三週になると表明している。
しかし、最大の問題は乗客がこのターミナルまでやってくるのかどうかという点にあり、この近辺の路上に闇バスターミナルが出現すれば、長距離バスはそこで客を拾うようになってプログバンターミナルは閑古鳥が鳴くことになる。
今現在のアクセス路は、外環状自動車道と並行している2車線の一般道を北上してブカシ街道交差点を抜け、自動車道チャクン1ゲートから外環状に入ることになる。ブカシ街道交差点は路肩をアンコッが数珠繋ぎに埋めており、闇バスターミナルが形成される潜在性は小さくない。都庁交通局はその客待ちアンコッを排除する意向。
このターミナルには、都内の他のバスターミナルとの間を往復する都バスやトランスジャカルタバスが入ることになっているが、闇バスターミナルに対する不安のためにいまだ活況を呈する状況でない。


「危険がいっぱいのバスターミナル」(2015年2月25〜27日)
東ジャカルタ市南部にあるカンプンランブタンバスターミナルは、ジャカルタ外環状自動車道とジャゴラウィ自動車道が交差するタマンミニジャンクションから近く、また外環状自動車道の脇を走っている一般道とボゴール街道の交差点にも近い位置にある。ジャカルタとバンドン・チレボン・スカブミ・タシッマラヤ・ガルッ・チカンペッ・バンジャル・プルウォクルト・ヨグヤカルタ・ソロ・クディリ・マラン・マディウンなどのジャワ島内諸都市との間の長距離バスが発着するターミナルがここだ。2015年2月15日(日)夜に起こったバス利用者に対する乗車料金恐喝事件は、利用者がターミナル職員に事件を届け出たことで世間の関心を集めることになった。
その夜、F29歳、J48歳、K51歳、A38歳の男性4人は故郷のチラチャップに夜行バスで戻るため、カンプンランブタンターミナルに来た。すると、ターミナルに巣食っているチャロのASが4人を長距離バス会社TJのバスまで連れて行った。バスターミナルのチャロは乗客の目的地に向かうバスに迷わず乗れるよう世話を焼いてくれるが、乗客はバス乗車料金とは大違いの金額を払わせられることになる。それをサービスと見るか、たかりのたぐいだと見るかは個人差があるようだ。4人はひとり9万5千ルピアでバスの乗車券を既に買っていたが、TJバスの運行クルーは4人に135万ルピアを払えと強要して金を払わせた。4人は仕方なく言われた金額を運行クルーに渡した。
4人を乗せてバスは動き出したが、カンプンランブタンバスターミナルのゲートの外で停車すると、無理やり4人をそこに降ろして走り去った。4人はその事件をターミナル職員に届出て、ターミナル側が即座に対応し、チャロとTJ社のカンプンランブタン責任者を拘束し、警察と都庁交通局に通報した。加害者のバス運行クルーふたりの身元が明らかになり、警察は恐喝事件として関係者全員を拘留して取り調べている。TJ社のターミナル内にある切符売場は封鎖され、TJ社はターミナル内に入ることが禁止された。
カンプンランブタンバスターミナル内にはチャロやゴロツキあるいはスリや犯罪者が大勢いて、乗客から非合法に金を巻き上げる事件が多く、一般国民には危険なバスターミナルという印象が行き渡っている。チャロはターミナルにやってきた乗客を無理やり引っ張って特定のバスに乗せようとするし、ゴロツキは刃物を出して金をくれと言う。混雑して人間のかたまりができるとスリがその中に混じっていたり、あるいは催眠術にかけて財布から金を渡すように被害者を操る。
西ジャワ州ガルッとジャカルタをよく行き来している30歳の婦人は、何度も催眠術詐欺の被害を受けて、今ではもう催眠術に対して完全に免疫になってしまったと言う。「近寄ってきて親しげに肩をポンと叩くような人間がいると、あたしゃあそいつの目をじっと睨んでやるの。もう術にかけられたりするもんですか・・・」
カンプンランブタンバスターミナルからヨグヤカルタへバスで移動しようと考えた青年アフマッ君の体験記をご紹介しよう。バスターミナルの外でかれがアンコッから降りたとき、すぐにひとりの中年のバパが近寄ってきた。口調は丁寧だ。「マス、どこへ行くの?」「ジョグジャです。」
チャロビジネスは、まずターゲットがどういう心理状態にあるのかを測定する。場所の感覚が薄く、どこへ行って何をすればよいのかよくわからない人間がかれらのカモになる。とはいえ、人間の心理はそう簡単に行かない。見知らぬ人間が近寄っただけで、猛烈な反発を示す者もいる。チャロが丁寧に優しく声をかけても、きつく「ティダマウ」と拒絶する人間にはとりつくしまがなく、チャロはあっさりと諦めて行ってしまうことが多い。チャロの特技は「このチャロに頼ってとんでもないことにならないだろうか?」という迷いとためらいの中にいる人間に言葉を尽くして説得する能力らしい。
アフマッ君はターミナルの中に入っていく。チャロ氏はその後ろについて歩く。客が他のチャロにさらわれたり、あるいは気が変わって逃げたりしないように見張るためのポジションだろう。進んで行くと、見映えの良い衣装を着た別のバパが近寄ってきた。さっきのチャロ氏が「ジョグジャですよ。」と告げる。見映えの良いそのバパは「ジョグジャかね、マス?」と確認し、アフマッ君をたくさんのバスが並んでいる乗り場のほうへ誘導した。そこにいたワイシャツ姿の別のバパがアフマッ君の世話をはじめる。切符売場はこっちだよ、と19番窓口へ。三人のチャロに取り囲まれたアフマッ君が切符を買おうと窓口に寄ると、中にいるべき係員は既に外に出てきてかれを待ち構えていた。「165だよ、マス。」公称料金は10万(100千)ルピアとなっているというのに。
アフマッ君は10万ルピアを出した。「足りねえよ。」と世話係が言う。「ええっ?エコノミーだよ。さっき6万5千って言ったじゃないか!」とアフマッ君の声が高くなる。切符売場係員がまた同じことを言う。「165だよ、マス。」見映えの良いバパが言う。「ほら、そっちの5万ルピアを一緒に出しな。」「俺、一文なしになっちゃうよ。」アフマッ君は同情を引こうとして憐れみを乞う。だが、165が100になるわけがない。折れて出たアフマッ君は5万ルピア札をポケットから・・・
ところがなんと、そこに1万ルピア札が一枚、折れ紛れていた。切符売場係員が16万ルピアを受取り、1万ルピア札を「こりゃ、わしのものだ。」と言ってポケットに突っ込む。そして窓口の中に戻ると、ジャカルタ〜ジョグジャ、エコノミー、16万ルピアと手書きした切符をアフマッ君に渡す。「出発は17時だから、それまでここで待ってな。」と言って三人は去った。
17時になると待合室の裏口から中に連れ込まれ、切符売場係員がさっきの乗車券は仮のものだから、正規のものと交換すると言ってアフマッ君の持っている切符を取り上げた。正規と言われた切符には金額が書かれていなかった。更にその係員が言う。
「表にバスが待ってる。あのバスはエグゼキュティブクラスだから、もう5万ルピアの追加が必要だ。」そのバスに乗る予定の乗客ふたりは、係員の言いなりに金を払った。アフマッ君はきっぱりと拒絶した。「俺はもう一文無しだよ。17万ルピアしか持ってなかったんだ。さっき16万ルピア払ったのを、バパも忘れてないでしょう?」係員は怒る。「何をこの犬畜生めが。わしを悪者にしやがって・・・」
アフマッ君は語調を強める。「バパが切符に16万ルピアって書いたじゃないですか。俺はちゃんとそれだけは払ったんだから・・・」
係員はもう金を搾れないと見て諦めた。アフマッ君はこうしてそのバスに乗り込むことができた。何度かカンプンランブタンバスターミナルを体験し観察したアフマッ君は、チャロの罠にかからずスマートにバスに乗る方法をインターネットに公表した。
ターミナルへ入ったら、だれにも何も尋ねず、切符売場や待合室にも行かず、そのまままっすぐにお目当てのバスに乗り込むこと。切符はバスのクルーから買えばよい。チャロとつるんでいないバス運行クルーが乗客に悪さをすることは少ないという原理がインドネシアの乗合いバス界には存在しているようだ。ターミナル内にずらずらと並んでいる数十の切符売場窓口は、様子のわからない乗客を餌食にするための罠でしかない、というイロニーをアフマッ君は見破ったのである。
2014年12月末のクリスマス〜新年長期休暇は、ジャカルタからの帰省者でにぎわった。いや賑わったのはバスターミナルゲートの外のアクセス路からボゴール街道交差点に至る道路脇だ。帰省者たちはターミナルに入るのを拒否し、外の道路脇でバスを待った。バスは仕方なくターミナルの外で客をひろう。おかげでボゴール街道は大渋滞に陥った。現場一帯の治安と秩序を保持しなければならない警官は交通整理をする以外になす術がなかった。
警察カンプンランブタンバスターミナル警備チーム指揮官は、ターミナル内の治安がよくない事実を認めている。「今はだれでも自由にバスターミナルに入ることができるので、犯罪者と乗客を選り分けることができない。乗客でない人間を入れないようにするための構造的な配置変更がなされなければならない。2015年の計画の中に、その構造配置変更が予定されている。」
遠距離公共輸送機関で乗物に乗る前の治安がよいのは、どうやら飛行機が一番のようだ。次いで、ここ数年めきめきと改善されてきた鉄道だろう。バスそして船はなかなか改善が難しいようのがインドネシア事情というものらしい。


「人気断トツタクシーでさえこんなことが・・・」(2015年2月25日)
2014年11月5日付けコンパス紙への投書"Penumpang Diturunkan dengan Alasan Macet"から
拝啓、編集部殿。2014年10月18日(土)わたしの姉妹と妻と子供がタングラン市スルポンのアラムストラからガディンスルポンを経由してジャカルタへ行くためブルーバードタクシー車体番号KAE48xxに乗りました。ところが、スルポン街道が渋滞しているという理由で、タクシー運転手はガディンスルポンへ行くのを拒否し、乗客にモールリビングワールドで降りるよう求めたのです。しかし妻は、他の交通手段があるとは思えなかったためにその求めに応じませんでした。そして結局、妻と子供はアラムストラロータリーで下ろされてしまいました。
タクシー運転手は自分勝手に乗客を下ろしてよいものなのでしょうか?スルポン街道はそれほど渋滞していなかったので、妻と子供たちは何度かアンコッを乗り継ぎ、ガディンスルポンの自宅に戻ることができました。一方、ガディンスルポンの家に寄ってからジャカルタへ向かう予定だった姉妹はそれが実現せず、そのままジャカルタへ向かわざるを得ませんでした。ジャカルタへ向かったタクシーは、何度も強く急ブレーキを踏んだそうです。わたしはこの出来事をブルーバード社に苦情しましたが、フォローアップがどうなっているのか、まったくわかりません。[ タングラン県在住、アリアント・プラボウォ ]


「エアポートタックスが航空券代金に含まれる」(2015年3月2日)
空港施設使用料あるいはパッセンジャーサービスチャージ(別名エアポートタックス)を乗客が直接支払わなくてもよくなった。これまで、空港によってそれ専用の窓口で乗客が支払っていたところや、あるいはチェックインカウンターでその支払いを義務付けられていたところなどさまざまだったが、2015年3月1日からすべての航空会社がそのチャージを航空券販売時に徴収しなければならなくなったため、3月1日以後に購入した航空券の乗客はそのチャージを支払う必要がなくなったということだ。3月1日以降の搭乗でも、航空券購入時にそのチャージが徴収されていない場合は、飛行機に乗る前にそれを支払わなければならない。国内の全航空会社に対して運輸省空運総局が2015年総局長規則第12号でこの新方式を定めたため、それに従わない航空会社には政府が罰則を与えることになる。
インドネシアエアエイシアは、2015年2月25日から前倒しで、国内線も国際線もその運用を開始した。同社は顧客に便宜をはかるため、このチャージを支払う必要のある乗客は同社ホームページ・ティケッティングオフィス・同社と提携しているミニマーケットなどでも支払えるようにしてあるとインドネシアエアエイシア広報担当は述べている。
運輸省によれば、旅客に対する通知を作成して公示すること、並びにこの新方式に関する社内用SOPを作成して運輸省に提出することが全航空会社に義務付けられており、この新方式の現場での運用が円滑に進められることが期待されているとのこと。


「空港の航空券販売窓口が閉鎖」(2015年3月4日)
スカルノハッタ空港内にあったすべての航空会社の航空券販売窓口がなくなった。2015年3月1日に一斉に窓口が廃止されたのは、運輸相からの指示。大臣によれば、空港での航空券販売にチャロ行為がつきまとっており、消費者に不当に損失を与える行為を廃絶させるために航空会社の航空券販売窓口を閉じさせたもの。
チャロ行為というのは、販売窓口の担当者が消費者に切符を売らず、その困った消費者にチャロがアプローチして高い価格で切符を売りつけるというダフ屋行為のことで、航空機だけでなく鉄道・バス・船などあらゆる公共運送機関で昔から行なわれていたものだ。
現運輸大臣が国鉄社長時代に国鉄サービスを大幅に改善させたことは有名で、無賃乗車やチャロ行為などの不正行為を閉め出すために大々的なシステム改善が行なわれた。この空港内航空券販売窓口廃止もその延長線上でのもののように思われる。
空港内では、廃止を命じられた航空券の現金販売に代って、一部航空会社がオンライン航空券販売を開始している。コンピュータとサービス係職員を現場に置いてオンラインでの航空券購入に慣れない消費者に便宜をはかるのがそのサービスの目的であり、オンライン購入に慣れている消費者はそのサービスを使う必要性はまったくない。支払いはクレジットカードもしくはデビットカードが使われるため、チャロ行為が行なわれる余地は排除されたと言える。


「法規不服従と寛容さの折り合い」(2015年3月5日)
2014年11月20日付けコンパス紙への投書"Tindak Tegas yang Melawan Arus Lalu lintas di Jakarta"から
拝啓、編集部殿。ある民間テレビ局の国家警察を主人公にした定例報道番組「86」は社会的な病弊を暴き出す教育番組であり、ナルコバ犯罪や道路交通違反その他国民の違反行為を防止することに役立つため、この番組をわれわれは支持するべきです。
ところが2014年10月22日に放送された「86」を見てわたしは不快な思いを禁じえませんでした。番組の中で一台のアンコッが都内マンガドゥア地区のトランスジャカルタバス専用車線を逆送している姿が放送されていたのです。その運転手は警官の手に陥ることを免れて逃走してしまいました。
ジャカルタの町中でわれわれはそのような無法行為を頻繁に目にしています。逆送する、青信号交差点で停止する、停止線を越えて交差点内に入り込む、車体後部にナンバープレートをつけない、など実にさまざまな規則違反が平然と行なわれています。秩序維持に当たる治安要員からの、それらの違反者に対する措置は微々たるものでしかありません。もっと検問を励行する必要があります。
首都警察は定期検問を励行し、テレビ番組「86」で国家警察が示している精神を実現させるべく、法の確立に邁進してください。[ 中央ジャカルタ市在住、ソニー・ルキト ]


「国鉄料金改定」(2015年3月9日)
運輸省は2015年4月1日から国鉄料金を値上げする。今回の値上げはコスト算定やマージン幅あるいは料金設定規準の一部変更などが織り込まれたもので、中長距離列車は平均で30%もアップすることから物議をかもしている。
運輸省鉄道総局交通鉄道輸送局長によれば、補助金付き石油燃料値上げ、対米ドル交換レート規準値が1万ルピアから1.3万ルピアに変更されたこと、料金対経費マージンが8%から10%に引き上げられたこと、などコスト面での変化が大きく、料金の顕著なアップとなったとのこと。
たとえばスラバヤグブン⇔キアラチョンドン間のパスンダン号は5.5万ルピアから10万ルピアに、ジャカルタコタ⇔スラバヤグブン間のガヤバルマラムスラタン号は5.5万から11万に、パサルスネン⇔マラン間のマタルマジャ号は6.5万から11.5万に、といった上がり方。
また首都圏近郊電車ジャボデタベッコミュータはこれまで通過駅数で料金設定がなされていたが、4月1日から距離を規準にする料金設定に変更される。従来は、最初の5駅間が一定料金で、その先は3駅間ごとに料金がアップするシステムだったが、今後は単純に乗った駅と降りる駅間の距離で料金が決まる。そのため、アップする区間もあればダウンする区間もあり、この変更による出費の増減は乗客次第ということになりそう。
消費者保護財団はコミュータ電車の料金変更について、非エコノミー列車のサービスは大きく改善されているので料金値上げは妥当性があると思われるが、エコノミー列車はまだその段階に達しておらず、もっと顕著な改善がなされなければ消費者は不満を感じるだろう、とコメントした。「廉価であるがゆえに快適さが劣っていてもがまんして乗っていた消費者が、廉価でなくなることでまた自家用車利用に戻れば、ガソリン消費量の増大をはじめ、さまざまな社会コストのアップにつながる。そういう悪循環を防ぐために、どうするべきかを政府はもっと総合的に検討しなければならない。」消費者保護財団役員はそう語って、国鉄が損益面から料金改定を行なう現在のあり方をもっと高い視点から見るように変えていかなければならないと提言した。


「バンドンの雲助タクシー」(2015年3月30日)
2014年12月9日付けコンパス紙への投書"Taksi Borongan di Bandung"から
拝啓、編集部殿。バンドンのタクシー運転手は礼儀をわきまえないため、タクシー利用者を減らす結果をもたらすでしょう。かれらはメーターを使うのを拒み、乗客に一括料金を押し付けてきます。アイデンティティカードを車内に掲示することさえしません。
スカジャディ通りのパスンダン大学前からパスツールのバラヤトラベル事務所まで、わたしは10万ルピアを払わされました。わたしはジャカルタからバンドンへ、トラベルを使って往復しているのです。自分の利益を押し付けるバンドンのタクシー運転手に頻繁に搾り取られたら、タクシーを使うのをやめてジャカルタから自家用車でバンドンへ来ようと誰しも思うに決まっています。そうなると、バンドンはますます交通渋滞がひどくなります。悪徳タクシーの取締りをお願いします。[ 南ジャカルタ市在住、ヌル・ヒダヤッ ]


「ジュアンダ空港で取締り」(2015年3月31日)
スカルノハッタ空港に次いで利用者が二番目に多いスラバヤのジュアンダ国際空港が第3ターミナル建設計画を公表した。現在ジュアンダ空港は国内線用の第1ターミナルと国際線用の第2ターミナルのふたつから成っており、空港利用者数が年々18〜20%もの成長を示していることから、空港の規模拡張が必須と判断されている。同空港発着便数も平均年率12%で増加している。新ターミナルはそういった増加に余裕を持たせるため収容能力を大きなものにしなければならず、現在作られている空港マスタープランには年間4千万人の能力を持つものが目標となっている。
ところで、ジュアンダ空港でも法規服従の規律向上と治安秩序確立を目的にして、許認可制になっているビジネス活動を無許可で行なっている外部者摘発が2015年3月11日に行われた。摘発検問を実施したのは空港運営会社航空保安要員と海軍憲兵隊。ジュアンダ国際空港は海軍航空隊基地に設けられた国営商業施設であり、この空港はジャカルタのハリムプルダナクスマ空港やヨグヤカルタのアディスチプト空港と同じように、軍事活動が並行して行なわれている空港だ。軍事基地内の商業施設であるため、施設管理運営者が外部者の活動を統制するのに加えて、軍も独自の立場から統制を加える。ジュアンダ空港国有運営会社PTアンカサプラ1は、空港施設内での商業活動は許認可を与えることで活動内容の規制と消費者保護が行なわれるようになっており、問題が起こればビジネス活動オーナーの身元がはっきりしているため責任問題の解決が容易になる、と説明している。
その日摘発されたのは、旅行代理店が使っている自動車が空港内で行なった無許可行為がメインで、マイクロバス4台と普通乗用車25台が槍玉に上がった。また空港タクシーの認可を得ていない外部タクシー3台が、空港内で客を拾ったために摘発されている。
この摘発行動は運輸大臣が全国の空港運営者に当てた大臣回状の中に指示されている、空港内での無許可行為撲滅の一環であり、先に航空会社のチケット販売カウンターが閉鎖されたことと軌を一にするものだ。チケット販売カウンター閉鎖は、空港内での航空券販売におけるチャロ行為撲滅をはかったもので、現在空港内で航空券を購入する場合はオンライン購入しかできないようになっている。
PTアンカサプラ1は、ジュアンダ空港施設内で行なわれる無許可行為の撲滅作戦を継続的に実施していく、と表明している。


「スントゥルシティの雲助オジェッ」(2015年3月31日)
2014年11月29日付けコンパス紙への投書"Premanisasi Transportasi di Sentul City, Bogor"から
拝啓、編集部殿。西ジャワ州ボゴール県スントゥルシティに13年近く住んでいるわたしは、何ヘクタールもあるこの住宅地と近隣の町々を結ぶ公共運送機関について、行政から何の関心も払われていないことを強く感じています。住民は自分でその問題を解決せよと言わんばかりのありさまです。
デベロッパーが用意したシャトルバスはまったくふさわしくないものです。しばらく前にスントゥルシティとボゴール市内を結ぶトランスパクアンバス、そしてジャカルタのバスターミナルを結ぶAPTBバスの運行がはじまり、住民は大喜びしました。デベロッパーのバスは勝負にならないため、廃止されました。
それらの公共バスは住宅地の中まで入るという話だったのに、住民の期待は無惨に潰えさりました。身勝手な不良オジェッたちがバスの運行を妨害し、収入がなくなるから住宅地区内には入るな、と抵抗したのです。町役場の不良職員がオジェッ運転手の肩を持ったために、問題は一層おかしなことになりました。以前からも、住民が最寄のベラノヴァモールへ行くために呼んだタクシーさえ、かれらに金を渡さなければ住宅地区内に入ることが禁じているのです。[ スントゥルシティ在住、アデ ]


「安全運航にはソフト面もある」(2015年4月2日)
2014年12月9日付けコンパス紙への投書"Bawa Anak Balita di Pesawat"から
拝啓、編集部殿。2014年10月21日、わたしは16ヶ月の娘を連れて、南カリマンタンのバンジャルマシン空港からジャカルタへガルーダ航空GA535便で飛びました。チェックインのとき、わたしはインファントシートをもらえず、最後尾の席が与えられました。そこしか座席は残っていないという理由でした。チェックインカウンター担当者が言うには、座席は切符の予約時あるいはシティチェックインやウエッブチェックインで先に大勢が取ってしまうのだそうです。
わたしの質問は、ガルーダ航空ほどの会社がインファントシートを用意せず、乗客の安全や快適さを省みないとは、一体どういうことなのかということです。そのフライトに乳児が乗るということは前もって解っているはずなのに。
後部座席では乱気流が激しく感じられるということだけでなく、乗客が酸素マスクを使わなければならないような緊急事態が発生したらと思うと、ぞっとします。ところがなんと、わたしが座った場所には、席の数だけ酸素マスクがなかったのです。
こんな体験をしたのは、決してはじめてではありません。乗客が必要とするサービスをガルーダ航空が満たさないことに、わたしはたいへん失望しています。[ 西ジャカルタ市在住、ヴァンダ・ユデイスティオ ]


「首都圏の渋滞にトイレ対策を」(2015年4月8日)
2014年12月11日付けコンパス紙への投書"Tempat Buang Air di Ruas Tol Minim"から
拝啓、編集部殿。首都圏の自動車専用道では、渋滞がますます悪化しています。わたしどもが自宅からクマヨランの会社まで通勤するのに通る、タングラン(5千ルピア)〜プリ(8千5百ルピア)〜スディヤッモ〜都内環状(1万4千ルピア)の各自動車道も、激しい渋滞が起こります。利用料金がとても大きい負担になっているのとは別に、それらの自動車専用道に小用の場所があまりにも少ないことも不便をもたらしています。あるのはプリ自動車道料金所とKM13/14のレストエリアだけで、スディヤッモの料金所は車を止めることなど考えられない状況です。
このような頻繁に発生する重度の交通渋滞下には、自動車道運営会社が要所要所に簡易トイレを設けるよう、法規を定めるべきではないでしょうか。渋滞がやわらいで交通がスムースに流れるようになれば、簡易トイレは片付ければよいのです。何時間もノロノロ運転を続けながら排泄を我慢しなければならないのは、言うまでもなく健康を害する結果をもたらすと思われます。[ タングラン市在住、リスティアジ・アリ ]


「違反に無傷の運転免許証」(2015年4月13日)
2014年11月28日付けコンパス紙への投書"Melawan Arus Lalu Lintas Pelecehan Hukum"から
拝啓、編集部殿。道路交通違反にはたくさんの種類がありますが、その中で一番目立つ危険なものは道路逆走です。元々はオートバイライダーだけが行なっていた違反を今では四輪車までもが真似しています。中央ジャカルタ市プロクラマシ通りがその好例でしょう。重度交通違反もこうなれば自然なものに見えるのでしょうか?道路逆走は故意の違反行為であり、他の道路利用者に大きな危険を及ぼしますから、重罰を与えなければなりません。この違反行為は拡大の一途をたどっており、法治に対する大衆の侮辱であると言っても過言でないでしょう。
警察・検察・裁判所などの監督機関は真剣に対応を考えなければなりません。路上運送と交通に関する2009年法律第22号第89条の条文を施行することを明確に打ち出すべきだと思います。つまり運転者の運転免許証を一定期間取り上げるというような対応です。
たとえば2〜5年間の運転免許証凍結は妥当な制裁であり、十分に懲罰効果を持っているように感じます。そうすることで、危険運転をする運転者の数を路上から減らす効果もあるはずです。[ 西ジャワ州デポッ市在住、イラワン・プラスティヨ ]


「焦付き航空券は消費者保護違反」(2015年4月14日)
航空券販売において航空会社が一方的に定めている運送契約条項の一部が消費者の権利を侵害していると消費者保護国家庁が指摘した。問題とされたのは、e‐ティケット販売に付けられている条件の中にある「購入者の搭乗キャンセルはe‐ティケット購入代金の払い戻しができない」という条項で、支払ったがサービスを利用しなかった消費者の払い戻し請求はたいへん困難なものになっている。
その条項は多くの航空会社がe‐ティケット購入レシートに記載している。一方、突然病気になったり仕事の関連で予定を取りやめざるを得なくなった消費者からの「払い戻しをしない航空会社」に関する消費者保護国家庁への訴えも多数発生している。
航空券販売会社協会会長はその問題について、航空会社の中にその条項を消費者に対して隠そうとする者がある、と実態を解説した。オンラインの注文ページにはその条項がまったく表示されておらず、故意に異なるページに分けて記載しているところや、e‐ティケット購入レシートの下の方に運送契約条項のURLだけを記載しているところなど、さまざまなやり方でe‐ティケット購入時にそのポイントに触れることを避けている印象が強い。そのため消費者はそういう条件があることを知らずにe‐ティケットを購入し、サービスを利用できない状況が起こって払い戻しを要求しようとしたとき、その問題に直面することになる。その航空会社の一方的な条件は消費者の権利を侵しているため、政府は消費者保護の見地から、何らかの公正な規則を設けて航空会社に改善を促すことが必要だ、と会長は論じた。
1999年法律第8号消費者保護法第18条には、責任を消費者に転嫁するなど8種類のポイントに抵触する内容を標準契約条件として書類に記載することの禁止が謳われている。e‐ティケット航空券販売の場で行われていることは、その違反に該当するため、国家庁は運輸省に対して空運業界への監督と改善を求めるよう要請することにしている。その中には、払い戻し期限や払戻し手数料上限なども含まれることになっている。


「海外旅行は高くなるだろうか?」(2015年4月20・21日)
法規が制定され、施行日が過ぎても、取締りが行われなければ何も変化が起こらないのがインドネシア事情だ。つまり法規の制定に関心を持ち、その施行が開始されたら自主的に法規の内容に即して日常行動にそれを反映させて行こうとする習慣を、社会つまり一般大衆自身が持っていないということがそこからわかる。自ら積極的に法規に服従していく社会ではないということだ。
取締りに対してだけ反応する社会だから、まだ法治社会になっておらず、人治社会のままではないのかという見方は、本質的構造論から言うなら的外れのように思われるが、相手が人間である場合に素直な反応を示すこの社会が人治的性質を強く持っていることは間違いないだろう。
法規の制定は社会生活に対する修正をもたらすものであり、その修正が狙いにしている変化から得られるメリットが一般大衆から政府が得るものばかりになっているなら一般大衆の無関心は頂点に達するが、一般大衆の一部勢力がメリットを得るケースでフェアネスが納得しうるレベルの内容になっていれば、大衆の中から仲間に対する啓蒙の声が上がってくる状況が、レフォルマシレジーム十数年を経過した今、活発化している印象をわたしは受けている。
インドネシアの通貨はルピアであり、国民生活が国の定めている通貨で営まれるのは国家主権という理念から見て当然のことであるというのに、インドネシアでは国民生活の一部が外貨で営まれてきた。企業対企業あるいは企業や商店対消費者という間で米ドルを主体にする外貨がルピアと並行して使われるのは普通のことだった。ましてや、マレーシアとの国境地帯では、インドネシア領内の村人がマレーシアに不法越境して仕事を探し、あるいは農産物を持ち込んで市場で販売し、マレーシアリンギットを自分の村に持ち帰ってくる。必然的にある地域的スパンでルピアとマレーシアリンギットの現金の両方が通用している地域もたくさんあった。
2011年法律第7号通貨法は、インドネシア国民が国内で通常の商取引を行うさいに行なわれてきた外貨による支払い決済を禁止した。国家予算に関連するもの、外国との間の贈与供与に関するもの、国際通商、国際間の支払い、外貨建て銀行預金、外貨交換などはもちろん例外とされている。ところがインドネシア銀行は、ルピア通貨で行なわれてしかるべき国内の商取引に外貨が使われており、月間総額は60億米ドルにものぼっていると報告した。その金額はインドネシア銀行が発見したものや報告を受けたものを根拠にしており、つまり実態はもっと多いがはっきりした数字はわからない、ということのようだ。
2015年に入ってもルピアレートの安値は長引いており、しかも更に下降する傾向を示している。2015年1月の12,444ルピア/米ドルは3月16日に13,237ルピアまで下がった。4月に入ってからは13,000ルピア/米ドルの周辺を上下しているありさまで、依然としてルピアが上昇するような力強い雰囲気は感じられない。
インドネシア銀行によれば、昨今のルピア実質実効為替相場(REER)は97で最適ポジションである100よりも低い評価になっており、現在のレートはルピアが過小評価されて安値になっているというのがその主張だ。国内産業界からの通貨安定要求もますます強くなっていることから、インドネシア銀行は、外為市場介入とは別の、国民に対する政策実施に追い込まれた。
法律を制定したのに従おうとしない国民には取締りをしなければならなくなる。60億米ドルを超える国民の外貨需要を本来のルピア決済に誘導し、必要不可欠な外貨需要を正確に把握して通貨レート変動に効果的な対応策を実施しなければならない。こうして、インドネシア領土内におけるルピア使用義務に関する2015年インドネシア銀行規則17/3/PBI/2015号が制定されて2015年4月1日からその施行が開始された。通貨法では外貨現金での支払い決済を行なった違反者には、最高1年の拘留と最高2億ルピアの罰金が定められている。違反者をこまめに検挙して罰金を科してやれば、政府は厖大な罰金収入を得ることができただろうに。
現金を使わない外貨支払いも例外ではない。こちらに関しては、非現金で行なわれた支払い金額の1%で10億ルピアを上限とする罰金とそれ以後の外貨決済が金融界から締め出されるという罰則が科される。
インドネシア銀行の把握では、上述の60億米ドルの95%は非現金でなされているもので、そのメインを工業セクターが占めている。輸入者は外国への支払いを外貨で行なうが、輸入品を国内の利用者に販売する際に外貨建てのまま行い、交換レート変動で想定利益が不確定になるような交換レートリスクを自分が引き受けようとせずに下流に流そうとする。長い流通網に関わっているみんながそのリスクを避けようとして先送りするなら、国内の深い部分にまで外貨での支払いが発生する。
オレフィン・アロマチック・プラスティック産業協会事務局長は、年間420万トンある原材料の45%は輸入品で占められており、製品が下流に流されるとき買い手の中には取引時点のルピアレートを基準にしてルピア払いにしたりドル払いにする者がいる、と語っている。繊維業協会事務局長は、業界者はドル決済をしている方が普通だと述べている。交換レート変動に沿って売値を頻繁に計算しなおすのはあまりにも厄介だそうだ。ロジスティック協会会長は、タンジュンプリウッ港の港湾費用の中で現在THCだけが米ドル建てで残されており、運輸大臣はそれを早急にルピア建てルピア払いに変更しなければならない、と指摘した。そのTHC支払いのために輸出入業界は年間7億米ドルの外貨を用意しなければならない。コリエールズインターナショナル理事は、リテール向け不動産賃貸は以前からルピア建てに変更されて実践されているが、オフィス向け不動産賃貸はいまだに米ドル建てが継続している、と表明している。
国民の日常生活の中で目につくもののひとつに、外国旅行や国際線航空券料金の米ドル建てオファーがある。他のあらゆる外貨建てオファーと同様に、売り手はその外貨に見合うルピアが支払われる限りルピアを受け取ることにやぶさかでないものの、交換レートはその日国内のどの場所でその外貨を買うのより悪いレートが使われる。話では、その日全国に出現した最弱レートが使われているということだが、あるいはその店や会社にとっての最適レートなのかもしれない。ともかく、市場競争から隔離されたレートが使われるため、客の多くもレートを聞いて表情を変えるそうだ。だから旅行代理店のキャッシャーたちは「どこか外で米ドルを買ってきなさい」と客に奨めている由。
4月1日から施行されたインドネシア銀行規則では、旅行代理店業界がこれまで行なっていた米ドル建てのみの価格表示は今後ルピア金額も並行して記載されなければならなくなった。ある旅行代理店管理職は「ドル建てなら利益があった。ドル払いでもルピア払いでもかまわないが、すべての支払いがルピアだけとなったら、会社は赤字になる。」と述べている。海外旅行代金が交換レートリスク含みで実質的な値上がりを起こす可能性はなきにしもあらずというところだ。交換レートを安定させるために特定セクターで物価の上昇が起こるのであれば、いたしかゆしというところだろう。


「ジュアンダ空港のごろつきポーター」(2015年5月20日)
国際エアポートカウンシルが実施している2014年第4四半期エアポートサービスクオリティ番付の年間能力15〜25百万人の部で、グラライ空港が第7位、ジュアンダ空港が第10位に輝いた。今回の審査は世界の31空港に対して行なわれ、関西空港・サンディエゴ空港・チューリッヒ空港・ブリスベン空港・マンチェスター空港などはトップ10に入ることができなかった。つまりグラライとジュアンダのサービスクオリティはそれらより上だと評価されたわけだ。このカテゴリーの第一位は中国の武漢空港だった。
そのジュアンダ空港第二ターミナルで大勢の無許可ポーターが空港利用者に違法行為を行なっていることが明るみに出た。インドネシア海軍ジュアンダ空港警備隊員が警備員詰所に連行してきた不審なポーターは11人で、そのときの取締りから免れた者が更にいるものと警備隊では見ている。その取締りが行われたのは、空港利用者がポーターに強要されて荷物を運ばせたが、そのあと法外な料金を要求されたという届出をしてきたのが発端で、警備隊は即座に第二ターミナル一帯で怪しいと見られるポーターを次々に連行した。
正式な許可を持っていないポーターのひとりは、2000年以来、そこで仕事をしていたと述べている。荷物を持っている利用者が空港ターミナルビルにやってくるとかれらは即座にアプローチし、本人の手からトランクやトランクを載せたトローリーを引ったくる。そして、到達地点に着くと2万ルピアとか5万ルピアの金を利用者に払わせていた。そのときかれらは、手配師や空港警備員に上納金を取られるので、その金額が必要なのだ、と言っていたそうだ。
もうひとつ最近あったニュースでは、ブルネイ空港でインドネシア人が逮捕されたという事件だ。そのインドネシア人はスラバヤからのウムロツアーに参加し、ブルネイで乗り継いでサウジに向かうスケジュールだったが、トランクの中から爆発物と銃弾が見つかったために足止めを食い、ブルネイ警察の取調べを受けた。その63歳のマラン市民男性は、自分が知らない間に息子がそれを入れたにちがいないと供述し、ブルネイ警察と東ジャワ州警察が協力して息子を取り調べ、息子は仲違いしている父親にウムロに行かせないようにするためにそうしたことを認めている。この親子は数年前に縁切りして別居しており、裏に複雑な事情が絡んでいるものと見て警察は捜査を深化させているが、それは別にして、ジュアンダ空港でそういう危険物がセキュリティチェックを素通りした事実にも焦点が当てられている。


「ジャカルタのバスターミナルはアブナイ」(2015年6月9日)
2015年1月23日付けコンパス紙への投書"Premanisme Tiket Bus Malam di Terminal Pulogadung"から
拝啓、編集部殿。東ジャカルタ市プロガドンバスターミナルで夜行バスを利用しているわたしは、休日や夜になるとターミナルのバス乗車券販売窓口がごろつきたちに占拠されている実態を熟知しています。
ところが急用ができたためにやむなく、わたしは2014年12月26日に中部ジャワ州ソロ行き長距離サファリバスの切符を買わざるをえなくなりました。29万ルピアを払ってエグゼキュティブクラスの座席を得たわたしは、やはり騙されました。わたしが買った座席は別の乗客が座っており、わたしに与えられたのはバソ屋台で座るプラスチック椅子。バスの車体もエグゼキュティブバスでなくエアコン特急車。
わたしが金を返せと要求すると、やくざ者たちはわたしに暴力を振るおうとしました。騙されたのはわたしだけでなく、かなり大勢の乗客がランク下のサービスに高ランクの料金を払わせられていたのです。
鉄道料金が高くなり、切符の入手も前もって行なわなければ困難な状況が強まっている現在、長距離交通機関を利用する者の希望は同じで、乗客の権利を尊重してもらうことなのです。[ 東ジャワ州モジョクルト在住、アンドリヤント・ウィボウォ ]


「規則執行者の姿勢はまちまち」(2015年6月18日)
2015年2月9日付けコンパス紙への投書"Tilang Tanpa Pelanggaran"から
拝啓、編集部殿。都庁中央倉庫地区の公務員であるわたしは2015年1月18日、中央ジャカルタ市チュンパカプティ通りから東ジャカルタ市プリンティスクムルデカアン通りの低速車線に入り、それからプルタミナ倉庫前で高速車線に移動したあと、ASMIキャンパス前でUターンしました。すると高速車線で交通取締りを行っていた警官がわたしを停めたのです。わたしはその警官に、わたしが通過してきた経路を説明し、それらのどこにも禁止標識がなかったことを説明しました。
それを証明するために、現場を一緒に見に行きましょう、とわたしは警官を誘いましたが、警官はそれに同意せず交通違反切符を切ったのです。04799264という通し番号のついた違反切符を持って、わたしは1月30日に東ジャカルタ地方裁判所を訪れて簡易裁判を受け、罰金を納めて運転免許証を返してもらいました。
交通取締り任務に就く交通警官が常に交通標識に関する知識を優先するよう、国家警察は指導を行なってください。
[ 西ジャワ州ブカシ市在住、ハルヤナ ]


「規則執行者の知識はまちまち」(2015年6月17日)
2015年2月2日付けコンパス紙への投書"Bagasi Kereta Api"から
拝啓、編集部殿。わたしの息子は三人の仲間と一緒に、2014年12月15日22時半ジャカルタのスネン駅発ヨグヤカルタのルンプヤガン駅行きプロゴ号に乗りました。かれらはヨグヤで音楽演奏をするためにたくさんの楽器を携帯し、かさばる荷物となりました。
深夜2時ごろ、チレボン駅に到着する前に車掌が検札を行い、車掌は持ち込んでいる荷物を問題にしたのです。かさばる荷物は専用置場に預けなければならないので、乗客は荷物を預けてそのままこの列車で目的地へ行くか、それとも次の駅で乗客と荷物を一緒に降ろすか、どちらかを選択するように迫られました。荷物だけ預けたら、荷物は明日の列車でヨグヤカルタに着くのです。息子たちは反論しましたが収拾がつかず、結局ひとと荷物がチレボン駅で降ろされることになりました。
わたしどもの疑問は、スネン駅で乗車するときにどうして車内まで素通りできたのかということです。12月21日にジャカルタへ戻ってくるときも、駅ではまったくとがめられないでそのまま車内に持ち込めました。このことがらに関する標準規定を国鉄は持っていないのですか?[ 西ジャワ州サワガン在住、ファイソル・エフェンディ ]


「代行業者は使わないように」(2015年6月26日)
2015年2月4日付けコンパス紙への投書"Biaya dan Birokrasi di Ditlantas Polda Jabar"から
拝啓、編集部殿。輸入完成車を購入したわたしは、西ジャワ州警察交通局での書類手続きを難しくされているように感じています。追加費用の出費だけでなく、あからさまなお役所仕事のために、STNK(自動車番号証明書)を得るだけでとても長い日数を費やしているのです。
わたしが車を買ったボゴールの自動車ディーラーによれば、西ジャワ州警察交通局での輸入完成車のための特別Aフォームリコメンデーション費用は50万ルピアだとそのディーラーがよく使うサービス業者が言っていたそうです。自動車オーナー名義人が負担する費用はそれだけで、また手続き日数は3〜5日だということでした。もちろん、担当責任者がそのリコメンデーションにサインしなければ、サインされるまでの日数が加算されるわけですが。
もし自動車登録を行なう統合ユニットの職員にその手続きを委託した場合、手続き希望者が集まるのを待つために10日以上の日数がかかり、また費用ももっと高くなるという話でした。
Aフォームリコメンデーションは、国家警察交通局で費用を納めて既に入手してあるというのに。[ ボゴール在住、アスナウィ ]
2015年2月11日付けコンパス紙に掲載された西ジャワ州警察交通局からの回答
拝啓、編集部殿。アスナウィさんからの15年2月4日付けコンパス紙に掲載された投書について、当方から次のように回答いたします。西ジャワ州交通局が輸入完成車の新車登録のためのリコメンデーション/添え状を発行するのは、国家警察交通局から西ジャワ州警察長官経由州警察交通局宛てに発行されたリコメンデーションへの添え状としてなされるものです。
その添え状は当該車両が登録される統合ユニットを所轄する地区警察本部長に向けて出されるもので、当然、車両オーナーの住所に関わりを持つことがらです。その作成手続きは、必要書類を完備した申請が出されれば、一日で終了します。西ジャワ州交通局はその書類手続きで費用徴収を行ないません。ディーラーがサービス業者から費用がかかるという話を聞いているのであれば、それはサービス業者がディーラーに要求している費用のことでしょう。それはディーラーとサービス業者間でのビジネス協定に関することがらになります。
輸入完成車登録のためのAフォームリコメンデーション発行申請を西ジャワ州交通局で行なう市民に告知します。車両オーナーは必要書類を完備して直接交通局を訪れ、仲介者やその他の人間を通してでなく、自ら発行申請を行うようにしてください。[ 西ジャワ州警察交通局長、ジョコ・ルディ・E警察長 ]


「空運事業に新たなハードル」(2015年7月13日)
インドネシアで廉価航空会社(LCC)の時代が幕開けし始めたころ、国際旅客航空界では航空機の余剰状態に陥っており、比較的廉価に旅客機がレンタルできる状況になっていた。そのせいで、インドネシアの新規オープンLCCの中には、3機とか5機とかの飛行機を低コストでレンタルし、毎日手持ちの機体をフル稼働させて大きく儲ける会社がいくつか存在していた。そのような航空会社が定期航空路を持つのは、裏側にたいへん大きなリスクを抱えることになる。公共運送機関が消費者の利益を損なう結果をもたらすという観点から見たリスクの大きさのことだ。
一つの機体が一日にたくさんの航路を飛ぶように組まれている場合、ひとつの航路で起こった遅延はそのあとのすべての航路の発着時間を遅らせていく。ましてや機体にトラブルが起こった場合、予備の機体が用意されていなければそのあとのすべての航路がキャンセルされ、機体が復調するまでの間、予定されていた航路の航空券を既に買っている消費者は自分のスケジュールが崩れてしまい、別の航空会社での新たなスケジュール作りを余儀なくされる。加えて、廉価レンタル契約の期限がきたとき、旅客機レンタル国際相場がどう変動しているかは神のみぞ知るわけで、LCCは自社の経営戦略にあわせて運航機体を当面減らそうとする可能性がないわけではない。するとまた、消費者の利益を損なうファクターが顔を出す。
消費者にとっては廉価な出費で空の足を獲得できる新時代が到来したのだが、「廉かろう悪かろう」は地上から雲の上にまでついてまわった。政府と国会がそんな状態をよしとするわけがない。2009年法律第1号「航空法」に、航空会社は自己資産としての機体保有を絶対条件とする条項が盛り込まれた。定期航路航空会社は自己資産航空機を5機、そして自己資産外で自社が完璧に自由に使える機体を5機持っていることが空運操業ライセンス交付の条件となった。非定期航路航空会社は自己資産機が1機と自社が完璧に自由に使える非自己資産機を2機持たなければならない。
その航空法での条件は2015年6月30日まで猶予期間を与えられ、7月1日に完全実施されることになっていた。つまり7月1日に航空法の条件をまだ満たせていない航空会社は空運操業ライセンスが取消されるというのがその帰結だが、6月30日に状況を確認した政府は、意外にたくさんの航空会社を市場から閉め出さなければならないことに驚いた。四角定規にそれを行なえば、またまた国民消費者の間に混乱が起こる。政府はまだ条件を満たしていない航空会社9社への指導と話し込みを続けるため、猶予期間を7月末日まで延期した。
定期航路航空会社が資金力等の問題から機体保有条件を満たせない場合、1ランク下げてチャーター航空会社として生き残る道はあるが、チャーター航空会社のライセンスを持っているところが条件を満たせなければ廃業してもらうしかない、と運輸省スポークスマンは語っている。
運輸省はその9社の名前を明らかにしておらず、反対に条件を既に満たしている定期航路航空会社は次のようなものだと表明した。それらの会社の航空券予約は心配しなくてもよい、ということのようだ。


「安全基準不合格航空会社が二社」(2015年7月14日)
運輸省は、空運会社Asco Nusa Air とAir Maleo の二社が航空安全条件を満たしていないとして事業停止処分を下した。それとは別に、Indonesia Air Asia, Cardig Air, Transwisata Prima Aviation, Eastindo Services, Survai Udara Penas, Air Pasifik Utama, Johnlin Air Transport, Asialink Cargo Airlines, Ersa Eastern Aviation, Tri-MG Intra Airlines, Nusantara Benua Air, Manunggal Air Service, Batik Air の13航空会社に対し、資産状況がマイナスになっているので15年7月31日までに資本追加を行うよう命じた。それに従わない会社は空運事業許可が停止されることになる。
空運総局航空輸送局長はそれについて、マイナス金額は数十億ルピアのところもあれば、数兆ルピアという会社もあり、状況はまちまちだと語っている。
中でも全国ネットで定期運航事業を行なっているインドネシアエアエイシアとバティックエアーの動向が気になるところだが、運輸省の指示に従うべく早急に手を打っている、との表明をライオンエアーもインドネシアエアエイシアも出している。
インドネシアの空運業界のオペレーションスタンダードは改善が進んでおり、以前のICAOの評価では45%だったが15年6月の最新評価では61%にアップした、と空運総局航空機運航適性局長は述べている。


「バスウエーで恐怖体験」(2015年7月28日)
2015年4月16日付けコンパス紙への投書"Terjepit di Pintu Transjakarta"から
拝啓、編集部殿。この恐怖の体験は2015年4月10日10時半ごろ、西ジャカルタ市グロゴルのトランスジャカルタバス停留所で起こりました。そのときわたしと叔父は西ジャカルタ市カリドゥルスへ行こうとしていました。バスを待っているとき、南ジャカルタ市ルバッブルス行きの連結バスが入ってくるというアナウンスがわたしたちの耳に入らなかったのです。
老齢の叔父はそのバスがカリドゥルス方面行きだと思い込み、急いでバスに乗ろうとして車掌のいない後部扉から中へ入りました。わたしはバス待ちの他の乗客から、そのバスはルバッブルス行きだということを聞き、叔父を停留所に戻すために腕をつかんで引き出しました。
ところが、バスの扉がいきなり閉まり、わたしは左手を扉にはさまれて抜くことができません。そのため、バスが発車しないよう、わたしは必死になって力の限り車体をバンバン叩きました。バスはしばらくそのままの状態を続け、そして最終的にドアが開かれました。
停留所の職員も、バスの乗務員も、わたしを気にかけたひとはだれひとりいませんでした。車内にいる車掌を見ると、かれは女性専用エリアに近い前部扉のそばでゆったりと立っており、後部扉で何が起こっていたのかなどまったく関知しなかったようです。そしてバスは、何事もなかったかのように、走り去りました。[ 東ジャカルタ市クレンデル在住、ボイク・ナインゴラン ]


「トランスジャカルタの継子ルート」(2015年7月29日)
2015年7月1日付けコンパス紙への投書"Peremajaan Bus Transjakarta"から
拝啓、編集部殿。わたしはトランスジャカルタバス第2・第4・第6ルートの利用者です。第6ルートを走っているバスのクオリティは、まったく妥当なものではありません。座席の仕切りガラス板は割れており、わたしは割れ目で怪我をしたことがあります。エアコンは冷気が送り出されず、車内灯は点灯せず、乗降扉、特に後部扉はバスが動き出しても時に完全に閉まらないのです。バス待ち時間は20分で、車内がガラガラだと運転手がスピードを上げます。
第2ルートも似たようなものですが、第4ルートに較べればバス待ち時間は短いです。車体がガタガタな点は少し違いがありますが、第4ルートのバスは新たに投入されたものでもエアコンが壊れているものが目立ちます。
古いバスに入れ替えるためにPTトランスジャカルタがスカニア製新車を輸入するというニュースをわたしは耳にしました。しかし連結バスであるため、その新車は第2・第4・第6ルートに使うことができません。既存のバスの状態がまだ妥当なものである第1ルートでそれを走らせるよりも、第2・第4・第6ルートのほうを早急になんとかしなければならないのではありませんか?
都知事殿はわたしが問題にしているルートを視察したことがあるのでしょうか?都民の多くが依然として自家用車に固執するのも当たり前です。トランスジャカルタバスは全ルートに渡って、妥当で安全快適なバスが使われているわけではないのですから。[ ブカシ市在住、カルヤディ ]


「甘やかし駐車システム」(2015年8月28日)
ソース: 2015年8月7日付けコンパス紙 "Dimanjakan Parkir"
ライター: コラムニスト、アグス・ヘルマワン
「7月20日から駐車料金は、最初の一時間が5千ルピア、二時間目以降は一時間当たり4千ルピアにアップしました。」と書かれた貼紙が、南ジャカルタのとあるモールの駐車場ゲートブースに貼り出されていた。そのモールの駐車場で空きスペースを見つけるのは、特に昼食時など、至難のわざだ。ましてや、ウイークエンドにおいておや。
自家用車オーナーたちは、その駐車料金が高いとは思っていないようだ。なぜなら、値上がりしたあとも駐車場各フロアのスペースは値上がり前と同じ状態が続いているのだから。
自家用車オーナーを公共運送機関利用者に転換する力をジャカルタの駐車システムが有していないことは明らかだ。路上交通に自家用車が占めている比率を低下させようとするなら、駐車システムがその力を持っているのが理想的なのだが。
これまで自家用車オーナーが都市管理者に甘やかされてきたことだけは確かだ。かれらは自分の車を、言ってみれば「どこにでも」、自由に駐車することができたのだ。有料のオフストリート駐車場で料金が高いと思えば、路上駐車という逃げ道があった。
四輪であれ二輪であれ、駐車がなされるべき場所でないのが明らかであっても、ましてやそこに駐車禁止標識が立っていたとしても、好きなところに好きなように車を駐車させるのはありきたりの光景だった。たとえば南ジャカルタ市クバヨランラマにあるトランスジャカルタバスの停留所付近の路上に多数の自動車が置かれている。かれらが自宅からそこまで自家用車でやってきて、そこからトランスジャカルタバスに乗り継いだことは容易に想像がつく。ジャカルタ周辺部住民の中に、自分の車をバス停・ターミナル・鉄道駅などの周辺に駐車させるという実用的なことをしている人間はかなりいる。それどころか、かれらの中には車を複数持っている者がいて、一台は家と公共運送機関乗り場間の往復、もう一台は公共運送機関とオフィス間の往復に使っている。かれらの言によれば、そのやり方のほうが、毎日オジェッを使うよりはるかに安上がりなのだそうだ。
かれらは意図しなかったにもかかわらず、既に「パークアンドライド」コンセプトを実践しているのだ。問題は、バス停・バスターミナル・鉄道駅周辺に駐車場を見つけるのが容易でない点にある。それらの場所の周辺に、収容能力と妥当性が高い駐車場などほとんど存在していないのだ。これまでのところ、そのコミュータ需要を満たすためにそれらの場所周辺の地元民が私的に駐車スペースを用意しているのが実態になっている。
駐車は依然として金稼ぎ手段としてしか見られておらず、自家用車利用を統御するためのシステムの一部というとらえ方はなされていない。駐車需要の大きいエリアは、それに関わっているひとびとにとっての金鉱になっている。
理想的には、駐車が垂涎モノのビジネスカテゴリーになっているだけではならない。交通システムの一部となり、道路交通渋滞問題解決を促すツールとならなければならないのだ。
世界の大都市の多くでたいへん高額な駐車料金が設定されており、それによって自家用車の使用が少なくなっている事実を見るがよい。自家用車オーナーたちはもっと廉価で時間を守り、安全で快適な公共運送機関を利用するようになる。高い駐車料金の一部は公共運送機関のサービス改善に使われる。
困ったことに、わが国民一般は自家用車をいまだにステータスシンボルと見なしている。駐車料金がどこまで高騰しようが、かれらはそれを支払うだろう。ましてや、公共運送機関のサービスクオリティが現在のようにだらしないかぎりであるのなら。


「時にはリアリズム派もいる」(2015年9月10日)
2015年4月23日付けコンパス紙への投書"Gambar Pariwisata di Bandara Soekarno-Hatta"から
拝啓、編集部殿。わたしは家族と一緒に中国と香港を旅行し、4月4日にスカルノハッタ空港に戻ってきました。中国の北京・杭州・上海と香港の旅は、街中がよく整備され、美しい緑地に清掃が行き届き、道路交通も秩序だっていて、とても感動させられました。
わが国のスカルノハッタ空港に戻ってきて、バゲージクレームの場所へ来たとき、豊かな文化を誇る民族としての威厳を粉砕する、みっともない画像が壁に大きく掲げられているのに驚きました。ベモやバジャイの群れが並んでいて、その前に汚いゴミが散らばっている画像を、バゲージが出てくるまでわたしは中国人旅行者たちと一緒に眺めることになったのです。
このような画像は外国人に、インドネシアの交通機関はまだ素朴なものであり、インドネシア人はゴミだらけの場所で暮らしているのだということを示したがっているようにしか思えません。大自然の美やフレンドリーなインドネシア人の姿を観光セクターが力を入れて示しているというのに、これは何という皮肉な姿勢なのでしょうか?
あのような画像でなく、インドネシアが有している七不思議のひとつ、コモドドラゴンやチャンディボロブドゥル、あるいはブタウィ舞踊を踊る見映えの良い青年男女の姿をどうしてあそこに掲げないのでしょうか?[ 南ジャカルタ市在住、ルスディ・サレ ]


「交通渋滞対策に手抜きは無いか?」(2015年9月16日)
2015年4月13日付けコンパス紙への投書"Parkir Sembarangan Penyebab Kemacetan"から
拝啓、編集部殿。ジャカルタの交通渋滞は自動車が多すぎるとか道路とのバランスがとれていないというようなことだけが原因なのではなく、さまざまな別のファクターも関わっています。
ジャティヌガラ駅周辺を通ると、PGJからジャティヌガラ駅までの間に駐車禁止の標識が設けられているというのにたくさんのタクシーが道路脇に駐車しており、取り締まりはなされていません。そこからあまり遠くないところに東ジャカルタ市警本部があり、交通警官が勤務に就いています。駅周辺の違反取締は定常的に行なわれるべきです。
カレッからブアランのマクドナルドまでの道路には、パッオガが仕切っているUターンや三叉路がたくさんあり、グンブロン市場とドゥレンサウィッ病院近くのアバディ通り三叉路の交通渋滞の原因になっています。南ジャカルタ市トゥブッ駅では、踏切周辺にアンコッがたくさん駐車していますが、取り締まりはなされていません。
交通渋滞を緩和させるために当局は地域パトロールを実施し、特に通勤時間帯には交差点を厳しく監視しなければなりません。違反駐車を取締ってください。交通信号の機能は交通の流れの方向に適合させてください。[ 東ジャカルタ市ポンドックラパ在住、ズルキフリ・バサンディッ ]


「国民の求める弾丸鉄道はそれじゃない」(2015年9月29日)
2015年8月20日付けコンパス紙への投書"Jakarta-Bandung Perlu Supercepat?"から
拝啓、編集部殿。各地でますますひどくなる道路交通状態に対処する解決策のひとつとして、今ごろになってやっと鉄道が優れた対応策であるという認識が高まっています。中でも興味深いのは、日本と中国がジャカルタ〜バンドン間に超高速鉄道を運行させるプロポーザルを出したことです。
競合しているその両プロポーザルによれば、どちらも時速320kmの速度でジャカルタ〜バンドン間を36分で結ぶことになっています。さて、その超高速鉄道を必要としているのはいったいだれなのでしょうか?明らかに一般大衆ではありません。まるで緊急事態のような必要性を抱えているひとたちでしょう。そんな緊急性を抱えてジャカルタとバンドンの間を往復するひとが、いったい何人いると言うのでしょうか?おまけに、双方の市内で激しい交通渋滞のために、鉄道駅に到達するまでに何時間もかかる可能性は大です。
その超高速鉄道が大多数民衆に効用をもたらさないのは想像にかたくないでしょう。たとえばジャカルタ〜スラバヤ間といったもっと遠距離であれば、それは多分有意義なのでしょうが・・・。[ 南ジャカルタ市タンジュンバラッ在住、ジョハン・スルヤナ ]


「HIDランプで他車をぶちのめせ!」(2015年10月7日)
2015年5月7日付けコンパス紙への投書"Tindak Pengguna Lampu Kendaraan yang Menyilaukan"から
拝啓、編集部殿。故意かどうかわかりませんが、最近たくさんの四輪二輪運転者が続々と目にまぶしいランプを車両に装着しているのを見かけます。そのHIDランプ(高輝度放電灯)で後方から照らされたり、対向車線から照射されると、自動車の運転の障害になるのです。
HIDを使っている車が後方から近寄ってくると、前を走っていた車は不安を感じて仕方なく道を譲ってやるようなことをせざるを得ないので、かれらは今や路上の怪物と化しています。対向車線で接近してきたら来たで、まぶしいために速度を緩めざるを得ません。そればかりか、エゴ満々で他車を押しのけて突っ走りたいランボー者たちの傲慢さに、HIDランプは油を注いでいるのです。他車の前に出て他車より早く走りたがるかれらのドライビングを見れば、それが一目瞭然です。
交通警察がHIDランプを装着している車を取締る時期が来ています。それが交通事故の増加を防ぐための初期対策であることは疑いを差し挟めません。道路運送と交通に関する2009年法律第22号第279条には、「第58条に示されているような、交通安全を大きく損なう装備をしてある自動車を路上で運転する者は、最長2ヶ月の拘留もしくは最大50万ルピアの罰金の刑罰を科される」と記されているのです。
そして第58条は、「路上で使われる自動車には、交通安全を損なう装備を施してはならない」という文章になっています。[ 西ジャワ州南ブカシ在住、スルキフリ ]


「奇怪千万」(2015年10月8日)
2015年6月24日付けコンパス紙への投書"Hilang di Pesawat"から
拝啓、編集部殿。去る6月17日、わたしは子供とベビーシッターの三人で、ヨグヤカルタからジャカルタへガルーダ航空GA205便で飛びました。出発予定は10時5分だったのですが。
わたしと子供は36Cに座り、ベビーシッターは36Bに座りました。キャビンラックはもう一杯になっていたので、布製のバッグをわたしは36Cと36Bの間の床に置きました。バッグの中にはサムスンノート1とアイフォン5Cが入っていたのです。テイクオフの前にそれらのスイッチはオフにしてありました。
飛行機から降りるときになって、わたしのバッグが消え失せていることに気付いたのです。わたしとベビーシッターとスチュワーデスが探し回りましたが、結果はゼロでした。もちろん、この出来事をわたしはガルーダ航空遺失物係に届け出ています。[ 南ジャカルタ市ファッマワティ通り在住、ノフィリー・クリスニタ ]


「虎の威を借るネズミたち」(2015年10月12日)
2015年6月18日付けコンパス紙への投書"Kian Marak Penyalahgunaan Pelat Mobil Berkode Khusus"から
拝啓、編集部殿。国軍・国家警察公務用車両のナンバープレートをつけたり、RFS、RFP、RFR、RFDといった文民/軍警高官の自家用車のための特殊コード付きナンバープレートを、そんな資格もないのに装着している車が増えています。
ジャカルタの公道で後者のようなナンバープレートを付けている車はたいてい黒塗りの車体で、中には青いストロボを屋根に付け、サイレンを鳴らす車もあります。
また警察公務車両は通常、国警本部あるいは州警本部内の部門コードが記されていますが、軍警公務車両を装っている車はほとんどが赤色ナンバープレートでDenma Mabes TNI という表示があり、使っているのはたいてい事業主の一般市民です。そのような車は、交通渋滞の中をサイレンと青色ストロボを使って突っ切るのが普通です。
国軍総司令官と国警長官はそのような行為を取締り、違反者に法的措置を与えてください。それとも、それらのナンバープレート違法使用は、国家機関に巣食う悪徳職員のビジネスになっているのでしょうか?RFS・RFP・RFR・RFDのコード付き文民車両用プレートはナンバープレートを発行する警察担当機関の不良職員のビジネスになっているにちがいありませんから。
一般市民がそのようなナンバープレートを使いたがるのは、国家機関の要職にあるように偽装して、警官を近寄らせず、モールや空港で駐車を安易に行い、他の一般市民を怖気づかせるようにしたいからです。そのような行為は既に公然の秘密になっており、違反者への処罰がなされることを希望します。[ 南ジャカルタ市在住、サム・アグス・フリッツィ・マンデイ ]


「警官も尾を振る傲慢パジェロ」(2015年10月21日)
2015年7月2日付けコンパス紙への投書"Penabrak Menghilang"から
拝啓、編集部殿。2015年6月6日(土)、わたしども一家は自動車でジュンブルからスマランに向かいました。バギルの三叉路は道路がたいへん混雑していて、時速5キロのスピードでしか進めません。突然、わたしの車の前で二輪車が転倒しました。後ろからきた別の二輪車に当てられたのです。わたしはすぐにブレーキを踏んだので、車は二輪車にも運転者にも接触していません。
そのとき後ろからプレート番号L1639Xの三菱パジェロが激しく追突してきました。車に乗っていた全員が前につんのめるほどの強さでした。人間ばかりか、車も前につんのめりました。その結果、わたしの車のバンパーが転倒した二輪車のタイヤの上にのし上がりました。わたしの車の後部扉はぐしゃぐしゃになり、窓ガラスは粉々です。追突されたとき、二輪車運転者は既に立ち上がっていたのがラッキーだったと言えます。
パジェロの運転者はわたしどもに運転免許証を見せるよう要求しましたが、わたしどもがパジェロの運転者に同じことを要求すると、かれは拒絶したのです。そのときパトロール警官が通りかかり、双方にSTNK(自動車番号証明書)を渡すよう求め、バギルのアルナルンにある警官詰所で決着させるよう双方を誘いました。わたしは警官に、「パジェロのSTNKを忘れるな。」と念を押しました。警官はパジェロの運転者と一緒にパジェロの方へ行き、そしてふたりで警官詰所へ向かったので、わたしどもも疑念を抱かずに警官詰所へ行きました。
ところが警官詰所にパジェロの運転者はおらず、車の方を見ると、車も姿を消しているのです。慌ててその警官にどうしたのか尋ねると、「パジェロは逃げた」と警官は言いました。パジェロのSTNKすら、警官は持っていません。
わたしどもはその警官詰所で3時間も足止めをくらい、最終的にステートメントにサインして提出すればその詰所から立ち去ってよい、ということになりました。「いかなる形態であれ、誰にも弁償を要求しません」というのがステートメントの内容であり、「誰にも」というのはわたしどもとパジェロの事故を取扱った警官を含んでの話です。スマランまでまだまだ遠い距離を走らなければならないわたしどもは、言われるがままにステートメントを作って警官詰所を去りました。
国民のひとりとして、実に腹立たしく、また情けなく、恥辱にまみれた思いを振り払うことができません。いったい誰を信じたらよいのでしょうか?[ ジュンブル在住、バンバン・バスキ ]


「腐敗の罠」(2015年10月22日)
2015年6月6日付けコンパス紙への投書"Fenomena Pelanggaran Lalu Lintas di Jakarta"から
拝啓、編集部殿。わたしが所属しているコミュニティのメンバーのひとりが、交通違反切符を切られました。ジャカルタのモナス広場を取巻く道路のひとつに、三人以上乗っていない車で入ったというのが違反内容です。
かれが言うには、そんな標識などまったく見かけなかったし、道路に入る地点にいた警官もかれの車を停めようとしなかったそうです。奇妙なことに、そのスリーインワン道路からもう少しで出られる場所に交通警官が群れており、違反車をチェックしていました。腐敗行為のはじまりです。
そのときの警官は、「交通違反の簡易裁判を受けるよりも、ここで支払いを済ませてしまいなさい。」とかれに言いました。裁判所で払う罰金よりは、ここでのほうが廉いのだから、というのが理由です。しかしかれは腐敗行為を拒み、規則通りに違反切符を切るよう警官に求めました。
かれは5月8日に西ジャカルタ市ハルモニー交差点に近い裁判所へ行くため、わたしに運転を依頼しました。免許証を取り上げられたのですから。駐車場に着くと、チャロが何人も声をかけてきました。免許証を取ってきてやるから金を払えということです。
かれらはその腐敗行為を実にオープンに行なっています。少しも包み隠さず、決まりから外れた行為を堂々とオファーしてきます。かれらのサービスを利用する人間もいますが、わたしとかれは法規通りの手続きを踏むため、裁判所の中に入りました。
ところが、中では裁判などまったく行なわれていません。違反者の名前が呼ばれ、呼ばれたら10万ルピア払って自分の運転免許証あるいはSTNKを返してもらうだけ。裁判所では、国民の指導育成など、からきし行なわれておらず、ただ金のやりとりに終始しているだけでした。そして、交通違反の罠に陥れた警官が言った「裁判所で払う罰金よりは、ここでのほうが廉い」というのは詐欺行為に該当していたのです。[ 中央ジャカルタ市チュンパカプティ在住、メルキオル・セデッ ]


「自動車道料金値上げ」(2015年11月10日)
二年に一度行われる自動車専用道通行料金改定の時期が来た。二年に一度というのは、各自動車道で二年に一度値上げが行われるということであって、偶数年にスタートした自動車道は次の偶数年に、奇数年の場合は次の奇数年に料金改定がなされるから、現実には毎年料金改定が行われている。
料金改定は基本的にその自動車道がある地元の二年間のインフレ分が値上げされることになっており、アップ率は道路ごとに異なっている。2015年11月1日0時を期して値上げが行われた全国15の自動車専用道と、その平均アップ率は下の通り。
ジャカルタ〜ボゴール〜チアウィ
ジャカルタ〜タングラン
ジャカルタ都内環状
ジャカルタ外環状
パダララン〜チルニ
スマラン セクションA・B・C
スラバヤ〜グンポル
パリマナン〜プルンボン〜カンチ
チカンペッ〜プルワカルタ〜パダララン
ブラワン〜メダン〜タンジュンモラワ
スルポン〜ポンドッカレン
タングラン〜ムラッ
ウジュンパンダン タハップ1・2
ポンドッカレンビンタロ〜ヴィアドゥク〜ウルジャミ
   バリマンダラ
各地域別の二年間のインフレ率は次の通り。
セラン 14.78%
チレゴン 13.02%
タングラン 12.89%
ジャカルタ 12.51%
メダン 12.34%
マカッサル 11.89%
スラバヤ 11.35%
バリ 10.72%
スマラン 10.53%
バンドン 10.39%
ボゴール 9.57%
チレボン 8.35%


「トランスジャカルタバス運行情報」(2015年11月13日)
トランスジャカルタバスの運行管理精度を高めるとともに利用者への運行情報公開のクオリティ向上をもはかって、都庁が新しいシステムを開始した。現場で運行中のバスのポジションをリアルタイムに把握するためのプロセスがオペレーションコントロールセンターで開始され、またGPSでモニターされたバスの運行ポジションに関する情報も公開されたアプリケーションの形式で市民に提供されることになる。オペレーションコントロールセンターが入手する管理情報は、最初は内部データとして運行管理者が利用する方針だが、将来的に利用者に対する公開に発展する可能性は高い。
アプリケーションについてはQlue TransitとGo-Buswayという二種類が公開されており、だれでもスマートフォンにダウンロードできる。Qlue Transitのアプリケーション制作者PT Terralogiq社CEOはその機能について、GPSでモニターされているバスのポジションに関する情報のほかに、バス停の状況を利用者が報告することでその情報もフィードバックされることになる、と語っている。バス停の情報はあくまでも利用者からのものでなければならず、トランスジャカルタバス管理者がそこに立ち入ることはない。
Go-Buswayの方は、オンラインオジェッとして確立しつつあるGo-Jekとトランスジャカルタバスを結びつけるもので、トランスジャカルタバスの現在地が10秒ごとに更新され、利用者はGo-Jekを動いているバスに関連付けてオーダーすることができる。


「公権力の不条理が都民を襲う」(2015年11月17日)
2015年6月17日付けコンパス紙への投書"Pengalaman Buruk Diderek Dishub Pemprov DKI Jakarta"から
拝啓、編集部殿。2015年6月8日(月)10時、わたしは南ジャカルタ市ブルガン通りの路上に自分の車を駐車しました。国立第70高校は休みに入っているため、道路は閑散としています。駐車位置は2013年都知事規則第179号に従って駐車料金が掲示されている看板の隣で、その通りには駐車禁止の標識が見当たりません。
14時ごろ、わたしが車を取りに戻ったところ、わたしの車は姿を消していました。周辺住民に何も言わなかったのが悪かったのだろうかとわたしは考えました。
およそ2時間半、わたしは車を探し回り、同僚から得た情報に従ってMTハルヨノ通りの都庁運輸局に向かいました。車はそこにありました。
ところが、外来者に対する受付や案内の窓口がありません。運輸局出納管理システム部門からわたしは、違反罰金50万ルピアの支払いと、そのために必要なバーチャルコードを教えてもらいました。銀行はもう閉まっているため、ATMから出納管理システム口座に振り込むしか方法はありません。わたしは誠意をもってこの問題に取り組みました。
ところが、18時から23時までかかってBCA銀行・マンディリ銀行・BNI銀行・DKI銀行のATMカードで振込みをこころみましたが、すべて失敗に終わりました。
翌朝8時、わたしはジャティバルの運輸局出納管理システム事務所を訪れました。するとわたしの罰金はもう100万ルピアに増えています。何人か運輸局職員にわたしは質問しました。「わたしのケースは本当に駐車違反に該当するのですか?」と。
するとこんな答えを得たのです。「本当は、レッカー車で移動させるべきものではなかったのだが、既に違反車両システムの中に入ってしまったから、必要な対応を行わざるを得ないのです。」
自分の車を取り戻すために、わたしは倍増した罰金を納めざるをえませんでした。わたしは都庁運輸局の姦計に陥れられ、地方自治体地元収入を増やすために金を搾り取られた気分です。地元行政は住民に奉仕し、住民を保護するべきものではありませんか?このような褒められない方法で住民を搾取するものではないでしょうに。[東ジャカルタ市在住、アルヨ・ウィラワルマン]


「空港保安警戒レベルがアップ」(2015年11月30日)
政府は2015年11月25日、世界のいくつかの国で発生している事件を重く見て、逼迫した世界情勢がインドネシアでテロ事件を発生させる可能性に対処するため、国内諸空港での警戒レベルを高めるよう指令した。空港での航空保安状況をグリーンからイエローに引き上げることに関する2015年空運総局長指令第INST5号でその指令が全国の空港管理長に与えられている。
空港での保安活動アップは空港管理者だけが行うものでなく、ナビゲーション・ケータリング・カーゴ・メンテナンスのすべてを巻き込んで行われることになる。現場関係者は既に定められている保安警備要綱に則した活動内容を実施することになり、そこには空港に入ってくる民間車両のランダムチェックも含まれている。
スカルノハッタ空港では、乗客のベルトや腕時計をはずすことが励行されており、乗客は警戒レベルアップを実感している。探知機のランプが点いていると何回でも探知機を通すようになったため、警戒レベルが高められている、と乗客のひとりは述べている。規定によれば、乗客が金属探知機を通る際、身に着けているすべての金属をはずして通らなければならない。
スカルノハッタ空港は警戒レベルアップの即時対応がなされているが、他の空港ではスカルノハッタに比べてそれほど厳格に乗客に対する保安チェックは行われていないようだ。しかし、空港管理者は構内パトロールの頻度を高めており、一日5回のパトロールが10回に増やされている、と語っている。


「正直者が損する狡猾社会」(2015年12月8日)
自動車税と自動車名義変更税は地方税であり、自動車オーナーの住所を管轄する地方政府の地元収入となる。だから、その自動車の登録がなされていない別の州でそれらの納税をしようとしも受け付けてもらえない。
また、他州で登録されている自動車が自分の州内でもっぱら使われているのを快く思わない州政府もある。わが州の資源を利用するのなら、税金もわが州に納めろという論理なのだろう。そうするためには、他州での登録を抹消して、その州に登録を移さなければならないが、この手続きにも日数と費用がかかるから、快く「やりましょう」と言ってくれるオーナーがどれほどいるか・・・?
バリ島内で交通渋滞が激化しはじめてから、島外からやってくる自動車に島内滞在日数制限をかけるというアイデアが話題になった。実際に観光にやってきてまた島外に出て行く自動車は問題ないのだが、バリ島に住居を持って一年の半分以上をバリ島内で暮らし、他州で登録した自動車を持ってきて半年以上バリ島内で使っているひとは困ることになる。
このアイデアの最大の目的は交通渋滞対策なのであり、しかしそこに引っ掛けて地元税収増という二匹目のどぜうをターゲットにするという、知恵者が考え出したアイデアのようだ。
正直者から金をせしめようとしてそういう罠をしかけるよりも、納めなければ公道で走行してはならない自動車税を払わないまま道路を使っている市民をまともな道に連れ戻すほうが倫理的には優れていると思われるのだが、インドネシアはあくまでも正直者が損をする精神構造になっているようだ。それが総犯罪者化社会の特徴でもある。
首都ジャカルタでも納税忌避者はたくさんいる。登録二輪車台数610万台のうち326万台が納税を怠っている。納税期限日から数ヶ月経過しているのもあれば、一年以上経過しているのもある。そういう税金滞納車両が街中にあふれかえっているわけだ。
四輪車のほうは、総登録台数220万台中の40万台だから、二輪車ほどではない。ジャカルタの二輪車ライダーは、逆走し、歩道や歩道橋を走り、他車に追突し、好きな場所に駐車し、決まりや他人の迷惑など知らぬ顔の人間がいっぱいだから、納税忌避がその延長線上にあることは明らかだ。
納税期限日を超えてから納税しようとすると、ひと月単位で罰金が科される。罰金と言っても性格は滞納金利に近いもので、ひと月あたり2%が上乗せされる。大量にいる納税忌避者に対して都庁は、15年11月16日から12月31日までの期間、罰金を免除することを決めた。16年1月から罰金は復活する。
更に滞納者を追い込んでいくために、都庁と首都警察は公道での検問を強め、納税延滞者にどしどし警告を与えて納税させる方針を進めている。


「事故が減らないチパリ自動車道」(2015年12月15日)
チカンペッ自動車道と西ジャワ州チレボンのバイパスであるパリマナン〜カンチ自動車道(通称パリカンチ)を結ぶチコポ〜パリマナン自動車道(通称チパリ)が開通したのは2015年6月13日。
この自動車道は開通してから交通事故が続発し、12月6日までの177日間に37件の人命事故が発生して42人が没した。平均すれば一週間にふたりが死んでおり、「しゃれこうべ」街道の異名が与えられるにふさわしい事態になっている。
開通はルバラン帰省のタイミングにあわせた政策的なものであり、自動車専用道として必要とされている保安設備がまだ完璧に整えられていないことが開通初期の事故原因の一部をなしていた。
全長116.7kmの多くが直線道路になっており、起伏も少なく、道路デザインとしては走りやすいものだが、そのような直線平坦路を高速で走る経験のあまりないひとびとがそれを安全に使うためには、別の要素が必要となる。
中でも開通初期の事故で注意を惹いたのは、高速で対向車線に突入するという事故が何件か起こったことだ。実はチカンペッ自動車道も、開通してからの数年間、中央分離帯が端から端まで設けられておらず、センターラインを守る規律を持たない公共運送機関や商業大型車両がしばしば似たような事故を起こしていた。
次いで多かったのは居眠り運転だ。長距離の直線平坦路では、昼間でも高速走行で人間の注意力が居眠り状態に陥りがちになる。道路照明がほの暗い夜ともなれば、高速長距離運転の疲労で運転者の意識がふっとブランクになることはしばしば起こる。そのような状況にどう対処するのかということが、まだまだ社会常識化していないということに帰せられるにちがいない。
最近起こっている事故の中では、追突事故の増加が顕著であるように思われる。中でも夜間の追突事故で、追突車両がブレーキを踏んだ形跡がまったくない事故というのがいくつか目に付いた。交通計画専門家によれば、チパリ自動車道を走るトラックの中にテールランプを点灯していないものがきわめて多いとのこと。つまり整備不良車両が多数、公道を走っている、というインドネシアの特徴のひとつだ。そしてそれに追い討ちをかける特徴として、警察や道路パトロールがそういう車を取り締まらない。かれらの取締りの目は高級自家用車に向けられている。
夜間、ほの暗い路上を高速で走ってくると、突然目の前に無灯火の大型トラックの後尾が迫ってくるというシナリオがそれらしい。そこに居眠りが加われば、ブレーキの軌跡がまったくない激突事故が人命を奪うということになる。
走りやすい道路を作っても、人間のほうがそれに適応できずに生産性を悪化させている、というのがこのしゃれこうべ街道の実例なのかもしれない。


踏切内に突撃するメトロミニ」(2015年12月16・17日)
2015年12月6日(日)西ジャカルタ市トゥバグスアンケ通りの踏切で、中型都バスメトロミニ1台が、警報機が鳴り遮断機が下りている踏切内にむりやり進入した。走ってきた国鉄ジャボデタベッコミュータ電車ボゴール行きを避ける間もあらばこそ、電車は赤色の車体に激突し、およそ二百メートル横ざまに押し続けてやっと停止した。
運転席前面窓ガラスに投石予防の金網が張られた日本製の電車は大きな損傷を蒙らなかったが、バスの赤色車体は無残に引きちぎられ、バスの乗客17人が死亡し、6人が病院に運ばれた。運転手も死者の列のひとりとなった。
まず、遮断機が下りている踏切内に遮断機を壊さないで進入できるのかという疑問が湧くにちがいない。もちろん、このメトロミニバスは遮断機を破壊してまで突進したわけではない。遮断機は道路幅のおよそ四分の三をカバーしている。遮断機が踏み切りの左右に設けられていた場合でも、その中央部分には隙間があく。中型バスがむりやりそこから踏切内に入ろうとすれば、入れない幅ではない。
踏切の遮断機についてもっと言うなら、かつてそれはたいていの踏切で、右側車線と左側車線の踏切への進入を遮断するだけのものだったから、踏切から出て行くところには遮断機がなかった。
踏切での安全確保という点に関しては、列車の接近とは無関係に踏切内というのは人も車もその中に留まるべきでない場所ということが最大基本原則になっているかどうかで異なる現象が生じる。つまり、踏切内を通過できない場合は踏切内に入らないという対応を通行車両が実践するかどうかという問題だ。インドネシアはそうなっていないため、前が詰まっていてもどんどん踏切内に入ってくる。いざ列車の接近があると、遮断機をおろして新たな進入をストップさせ、同時に踏切内に留まっている車両を外へ出さなければならない。出て行く車両の進路に遮断機を設けるのが自己矛盾であることは誰にもわかるだろう。
そのような構造であればなおさら、突撃都バスやアンコッは対向車線側から踏切内に進入し、遮断機を迂回して左側車線から出て行くという無謀を冒す。つまり、小さな逆走を行うわけだ。
次に浮かぶ疑問は、メトロミニ運転手の精神状態に関することがらだろう。ヤクにラリっていたのか、あるいは絶望を癒す道を求めていたのか、といった疑問は否定されている。その根源にあったのは乗客獲得競争であり、同じルートを走る他のバスより一歩前に出て、バスが来るのを待っている乗客をどんどん拾っていく、という経済競争なのである。その競争コースの中に踏切が横たわっていたということだ。数社ある都バスの運転手たちは、乗客が増える時間帯に頻繁にレースを行う。かれらはそういうことを普段から当たり前の行為にしている。レースの最中に踏切で警報機が鳴り出したら、バス運転手がそこを突っ切って乗客獲得競争の優位に立ちたいと思うのは、自然の理だろう。そこには、貧困ゆえの生活苦、日銭暮らしの余裕のなさ、公序の確立より自己の繁栄、生命秤の針が指す位置、などといった種々の要因がからまっている。
今回の事故を起こしたメトロミニバスはカリドゥルスターミナルとグロゴルターミナルを往復するB80ルートのバスだった。メトロミニバスはおよそ60台がそのルートを走っている。バスの多くはグロゴルターミナルまで行かず、ジュンバタンリマで折り返すようになった。このルートは比較的乗客が多いルートであり、終点まで行かずに途中で折り返すことが収入の多さに直結していることをそれが示している。都バス運行クルーの多くは、乗客を乗せることに情熱を傾けるが、乗客をどこまで送り届けるかというのは投げやりだ。乗せた乗客からはひとり頭4千ルピアの乗車料金がもらえるが、乗客をどこまで送り届けようが、もらえる金は増えない。「一度乗せたら、あとは乗客がどうなろうが・・・・」という心理が心の奥底にうごめいていないクルーがはたしているだろうか?
都バスが持っている構造的な問題がもうひとつ根源に横たわっている。PTメトロミニという会社があるにはあるが、その会社はバスのオーナーではない。その会社はいわば法的なメトロミニ事業運営の元締めとでもいう位置にある。バスはほとんどが個人の投資物であり、運転手に一日30〜40万ルピアで貸し出されている。その貸し賃がストランと呼ばれるものだ。バス運転手はその日稼いだ収益からストランを支払い、燃料など必要経費を支出し、さらに車掌に収益を分配し、残った金が自分の手取り収入となる。他人である車掌に収益を分配するくらいなら、親族郎党の人間を使って車掌人件費を小さくすることも、かれらが普通に行っている手法だ。
都バス運営事業というポイントからこの構造を見るなら、PTメトロミニは運行ライセンスその他の法的パトロンであり、バスオーナーは資本財を持つ資本家であり、現実にバス運行事業の採算を計画遂行しているのは労働者たる運転手であるという形が見えてくる。
更に運転手が自分の収入の追加をバス運行事業以外から求めるようになれば、運転手は自分が借りているバスを別の人間に又貸ししてその人間からストランを得ようとする。他人にバスを運行させ、自分は別の場所で別の稼ぎを行い、しかも又貸しの成果すら獲得するという寸法だ。労働者が擬似資本家になるというこのありさまを、カール・マルクスは想定していただろうか?
本来の運転手に成り代わってバスを運行させる人間はソピルテンバッと呼ばれる。ソピルテンバッという言葉の意味は正式運転手の代行者というだけであって、上のような賃貸関係の有無などには関係がない。
都バス運行で大きい金額を稼げる見通しがますます難しくなっている昨今、ストランを差し引いたあとで自分の手元に残る金額が小さくてもよい、というソピルテンバッの多くはたいてい未成年か独身の若者だ。かれらは運転免許証など持っておらず、持っていてもせいぜい自家用車免許証程度であり、公共運送機関のための免許証などはまず持っていない。しかしバスを運転する技術は、見よう見まねで身に着けている。こうして無免許未成年のバス運転手が誕生するという流れもジャカルタには存在している。
そういう構造の中で日銭稼ぎに目の色を変えている運転手がどのように社会人としての責任を全うできるかという問題が、その仕組みの中にへばりついている。メトロミニという会社が運転手を雇用しているわけでもなければ、給料を与えているわけでもない。社会的な事件が起これば、責任の所在は曖昧模糊となり、むしろ運転手だけが切り捨てられて法的責任を追及されるということになるばかりだ。昔から都バスに関わる不祥事はそういう形で決着され、メトロミニの場合はPTメトロミニがバス運行の被害者に慰謝料を渡して事件を終わらせることが普通になされてきた。アホッ都知事はその問題に抜本的なメスを入れようと考えている。


「首都圏の交通違反は毎日3千件」(2016年1月18日)
2015年に首都警察管区内で警察が処置した交通違反件数は1,037,828件あり、2014年の865,197件から15パーセント上昇した。違反内容のトップは道路逆走で169,499件あり、これは2014年から7割アップした。それは昔行われていなかった違反が行われるようになったということでなく、道路逆走がたいへん危険な行為であるという社会コンセンサスが築かれた結果と見るべきだろう。
第二位は道路標識違反、三位は書類不携帯となっている。
違反者はオートバイが770,252件で最大勢力、次いでミクロレッ89,792件、ミニバス59,021件だった。
一方、15年1月1日から12月25日までの交通事故件数は6,231件で、対前年同期比較では2014年の5,797件から増加した。しかし交通事故死亡者は621人から566人に減少している。
重傷者も2,643人から2,604人に低下したが、軽傷者は3,582人から6,231人に増えた。


「公共交通機関内は社会の縮図」(2016年1月27日)
家父長制度の色濃い文化が依然として維持されているインドネシアで、男優女劣観念はその根幹に置かれている。それが満員の公共交通機関内での痴漢行為を促したり、あるいはスペースの奪い合いが実力行使でなされるために、弱者である女性は排除され勝ちになる。妊娠している女性は普通の弱者である妊娠していない女性よりももっと弱い立場になるため、公共交通機関内の弱肉強食文化はかの女たちにとってはるかに過酷なものになる。男優女劣だから女性を保護しようという考え方は現実性があまりなく、男優女劣だから女性は優位者上位者に服従し奉仕するのが女性の正しい姿なのだという観念のほうがここでは普通であるようだ。
コンパス紙R&Dが2015年11月14〜15日にジャカルタの電話帳からランダム抽出した461人から得た集計結果は次のようなものだった。
質問1.ジャカルタの公共交通機関が備えている女性に配慮したシステムは妥当なレベルになっていますか?
回答1.なっている29.3%、なっていない65.7%
質問2.女性への配慮が足りない部分は何ですか?
回答2.利用者同士の間の譲り合い25.6%、利用者に意識が欠如している23.2%、公共設備がメンテされていない22.8%、公共設備にアクセスしにくい13.0%、その他15.4%
質問3.女性専用設備利用者の中に権利のない者が混じっている場合、その者に注意あるいは係員に訴え、をしていますか?
回答3.しない52.7%、時々する25.4%、頻繁にする15.8%、不明無回答6.1%
質問4.ジャカルタの諸交通機関で、女性に対する配慮を示している施設をどれほど利用していますか?
回答4.(良く利用している/あまり利用していない)
トランスジャカルタバス 42.1%/44.9%
国鉄コミュータライン 54.0%/28.2%
コパジャ・メトロミニなど都バス 15.2%/71.1%
オジェッ 39.0%/40.3%


「大企業の社員もオオカミ」(2016年1月29日)
2015年11月2日付けコンパス紙への投書"Kursi Roda Harus Bayar"から
拝啓、編集部殿。最近、わたしと夫が15時のジャカルタ発メダン行きバティックエアーの搭乗を待っているとき、航空会社の職員が近寄ってきました。
その職員は、わたし個人が所有している車椅子の費用として、5万ルピアを請求したのです。そのような費用はチェックインのときに請求されるべきものだと言って、夫はそれを拒否しました。航空会社側にミスがあったということでしょうか?
すると、その職員の同僚が数人やってきました。中の一人は、それが支払われないと、わたしは機内に入れない、と脅かすのです。国内航空会社でも外国の航空会社でも、車椅子を自分で持ち込んだら費用がかかるなんて、一度も経験したことがありません。普通はどの航空会社も、社会サービスとして車椅子を持ち込むことを無料にしています。
夫がライオン航空のシニア社員ふたりに連絡を取ったため、かれらはわたしたちが搭乗するのを止めませんでした。夫はたまたま知り合いがいたためにこのような結果を得ましたが、そういうコネクションを持たない乗客だったらどうなっていたでしょうか?
バティックエアーは従業員の監督をしっかり行ってください。[ 東ジャカルタ在住、ヌリスマ・ダマニッ ]


「国内線でも検疫チェック」(2016年2月3日)
2015年8月14日付けコンパス紙への投書"Sinar-X di Bandara Sultan Hasanuddin"から
拝啓、編集部殿。去る7月20日、私と妻子は20時発のガルーダでマカッサルからジャカルタへ飛びました。チェックインはスムースで、4個のバゲージも係員がタグを付けました。
ところがX線チェックのところで、バゲージのひとつが止められたのです。中に入っている未加工肉は検疫許可を得なければならない、というのが止められた理由でした。しかしその肉はデンデンのように乾燥させたもので、また完璧に包装されているので、生肉ではないとわたしは主張しました。
しかしX線係員は検疫担当官が来るまで待てと言います。わたしは係員に、その規則を見せて欲しいと求めました。明白な規定があって、それを示してもらえるなら、この肉は放棄するとわたしは言いましたが、係員はそれに応じることができません。さらに態度を変えて、バゲージ係り次第だと言い始めます。
するとスーパーバイザーと思われるバゲージ係り員がやってきて、すべてはX線担当次第だ、と言うのです。わたしが「これはエキストラ小遣い稼ぎなのか。」と言うと、そこで議論は打ち切られ、バゲージは全部運ばれて行きました。わたしはX線係員に、「存在しない規則をでっちあげるのはやめなさい。」と言いました。[ 西ジャワ州ブカシ市在住、フレドリック・スレ ]


「持ち込み荷物重量制限」(2016年2月9日)
国鉄は2015年12月20日から、乗客が長距離列車の車内に持ち込む荷物の重量制限に関する新規定を開始した。それによれば、無料で持ち込める荷物はひとりあたり20kgまでで、それを超える場合は超過料金を支払わなければならない。料金は乗車する列車の等級によって違っている。
エグゼキュティブクラス 1万ルピア/kg
コマーシャル ビジネス・エコノミークラス 6千ルピア/kg
補助金付きエコノミークラス 2千ルピア/kg
また、持ち込み荷物上限はひとりあたり40kgまでで、それを超える場合は貨物運送業者に委託しなければならない。
これは乗客同士が互いに快適な旅を楽しむための制限です、と国鉄側は説明している。


「路上で女性二輪ライダーには近寄るな」(2016年2月15日)
交通事故の中でも二輪車がからむ事故が圧倒的に多いのがインドネシアの特徴だが、さらに女性二輪ライダーがきわめて危険であることが首都警察の統計にも表れている。
それによれば、2015年に女性二輪ライダーが関わった首都警察管区の交通事故は1,621件あり、死亡87人、重傷525人、軽傷1,009人の事故被害者がでた。2014年には、女性二輪ライダーが関わった交通事故が前年から49.5%も増加している。ちなみに2015年は12月25日までの交通事故総件数が6,231件、死亡者566人、重傷2,604人、軽傷4,128人。
首都警察教育エンジニアリング次局の女性課長は、女性二輪ライダーは男性に比べてパニックに陥りやすく、また反射能力が低い、とコメントした。もちろんそれは一般論であり、誰でもそうだというわけではない、と補足している。男性ライダーは概して運転技術が高いとのことだが、2011年データでは、全国総交通事故件数の72%が二輪車がらみだった。つまり男性の事故発生も大量にあるので運転技術の高下と事故発生は正比例していないと言えるにちがいない。ともあれ、女性が二輪車を運転するとき、そのような性質が事故のリスクを高めているのも確かだろう。。
しかし、男性の事故件数に比べたら女性の事故がまだまだ少ないのは、女性が運転するケースが男性よりも少ないためだろう。ところが女性が運転する傾向は明らかに増加している。学校やパサルの周辺を見ていれば、どれほど多くの母親たちが二輪車に乗って子供を学校へ送り迎えし、パサルへ買物に行っているかが見えてくる、と女性課長は述べている。女性二輪ライダー増加傾向はインドネシアオートバイ製造協会のデータとも合致している。製造協会によれば、2010年の二輪車購入者は女性が8%だったが、2015年はそれが18%に増えた。
ある女性オートバイクラブの発起人は会員に対し、運転する際にはスカートやハイヒールをはかないこと、法規を守ることを鉄則にするよう呼びかけている。
というのも、交通事故の発端は法規違反にあるというのが交通取締者側の常識になっているのだ。ヘルメット不着用、赤信号無視、路面標識無視、スピード違反、道路逆走などの違法行為が事故発生を促しているとのこと。


「公共運送機関料金が下がる」(2016年4月7日)
政府は2016年4月1日から石油燃料消費者小売り価格を引き下げた。価格変更の詳細は次の通り。数字はリッターあたりのルピア金額。
< ガソリン >
Premium (Jawa/Madura/Bali) 7,050 ⇒ 6,550
Premium (di luar Jawa/Madura/Bali) 6,950 ⇒ 6,450
Pertalite 7,300 ⇒ 7,100
Pertamax 7,750 ⇒ 7,550
Pertamax Plus 8,650 ⇒ 8.450
< 軽油 >
Solar (Jawa/Madura/Bali) 5,750 ⇒ 5,250
Solar (di luar Jawa/Madura/Bali) 5,650 ⇒ 5,150
Solar (non-subsidi) 7,150 ⇒ 6,950
Pertamina Dex 8,600 ⇒ 8,400
< 灯油 >
Minyak Tanah 2,500 ⇒ 2,500
この価格は三か月後に見直しが行われる。
燃料価格が引き下げられたのだから運送業界の料金も下がるべきだと政府は呼びかけ、都庁がそれに応じて公共運送機関の公定料金を4月4日付けで引き下げた。都庁と業界団体が合意した新料金は次のようになっている。数字はルピア金額。
都内バス(大型)3,800 ⇒ 3,500
都内バス(小型)&アンコッ 3,500 ⇒ 3,000
タクシー
flag down 7,500 ⇒ 6,500
per kilometer 4,000 ⇒ 3,500
waktu tunggu per jam 48,000 ⇒ 42,000
一方、タングラン市・南タングラン市・ブカシ市は、今のところ料金に変更はない。各市庁担当部門は、引き下げる方向でこれから業界団体と協議する、と述べているが、下がらないだろうと予測する専門家の声もある。


「オンラインオジェッの利用法」(2016年4月8日)
オジェッとはもともと二輪タクシーのことで、首都圏でベチャが排除されたあと庶民の足として一般的になった。ベチャ全盛時代にもオジェッはあったが、それはコタ地区で自転車を使うものだった。
オートバイオジェッはそれから大いに興隆して黄金時代を迎える。オジェッオートバイの中にときどき地方のナンバープレートを付けている車を目にするのだが、それは地方の投資家がオートバイを購入し、それをジャカルタに送ってオジェッに使わせ、ストランを取るというビジネスがそこで行われているためだ。もちろん、地方からオートバイひとつで上京し、みずからオジェッ稼業に入っている者がいないわけでもないのだが。
そんな状況に革命が起こった。個人事業だったオジェッが法人の下に組み込まれて、アプリを使った利用者?コントロールセンター?オジェッというオンラインの流れが作られ、在来の個人ベースオジェッよりサービスがよいということで消費者の好評を得ている。
今、そのオンラインオジェッの新手のサービスに脚光が当たっている。在来オジェッではほとんど期待できそうにないサービスがこれだ。
南ジャカルタ市に住むサンティさん18歳は、トゥブッ地区のカフェでマルタバッを食べようとした。ところがたくさん注文しすぎたために食べきれない。「手つかずのひとつを西ジャカルタ市に住む友人に送ってあげよう。どうやって送ればいいかしら?」
カフェの店員がGo-Jekを使えばいいですよ、と教えてくれた。その店はゴジェッの配達サービスを受け付けるGo Foodメンバーになっている。サンティさんはこれまで、自分には必要ないと思ってオンラインオジェッのアプリを自分のスマートフォンにダウンロードしていなかったから、さっそくその店でダウンロードし、配達注文を出した。ほぼ十分後にオジェッがやってきた。配達料金1万ルピアを払うと、オジェッは包装したマルタバッを持って立ち去った。友人から、確かに受け取ったという連絡が来たのは言うまでもない。
そんな手軽さがうけて、たくさんの若者が飲食品の配達をゴジェッに頼むようになっている。だが学生たちの中には、料金が高いと感じているひとも少なくない。
バンドンのパジャジャラン大学生グントゥルくんは、雨の夜の空腹を癒すためにバミゴレンとバブルティ―の配達を注文した。しかしそのときの料金1万5千ルピアが割に合わない金額だと思えてしかたなかった。出前をしてくれる店に頼むほうが気が利いている、とかれは述べている。
コンパス紙が2016年2月29日〜3月1日にジャカルタ・スラバヤ・バンドンの大学生315人から集めたアンケート結果は、利用者が少なくないことを示している。
質問1.オンラインオジェッの飲食品配達サービスを利用したことがありますか?
回答1.ある49.5%、ない50.5%
質問2.(利用している人に対し)利用する理由は何ですか?
回答2.時間の節約38.6%、交通渋滞を避ける22.2%、公共交通機関を探すのがむつかしい19.6%、タクシーを使うより廉い7.8%


「ガルーダ航空が第3ターミナルに移動する」(2016年5月3日)
2009年4月15日に総計画の一部を完成させて開業したスカルノハッタ空港第3ターミナルのフル完成が近づいている。U字型になる巨大な第3ターミナルのトータル完成は2016年5月末もしくは6月初旬の計画で、年間利用者収容能力2千5百万人というこの大ターミナルはシンガポールのチャンギ空港に匹敵するとの前評判が高い。
現在第3ターミナルを使っているのはエアエイシアの国際線国内線とライオンエアー国内線だが、6月初旬ごろのフル完成を待ってガルーダ航空が国際線国内線を現在の2E・2Fターミナルから第3ターミナルに移動させる。ガルーダ航空が第2ターミナルからすべてのフライトを第3ターミナルに移したあと、エアエイシア、シティリンク、スリウィジャヤエアーが2Fターミナルでオペレーションを開始する予定である由。
また空港鉄道の開業が2017年3月に予定されており、空港運営会社アンカサプラ2は鉄道オペレーションに問題がないことを確認した上で、他の航空会社が第3ターミナルに移ってくるのを奨励することにしている。
現在、スカルノハッタ空港では一日に1千2百便が発着しており、そのうちの4百便がガルーダ航空で占められている。また空港利用者は年間2千5百万人を超えており、そのうちの1千5百万人がガルーダ航空利用者だ。第1と第2の両ターミナルが各9百万人という収容能力で2千5百万人を超える利用者に使われていたのだから、第3ターミナルがフル稼働することによってこれまでの混雑は大幅に緩和されることが期待されている。


「国鉄の稼ぎ方?!」(2016年5月13日)
2016年1月17日付けコンパス紙への投書"Dirugikan Peraturan Baru"から
拝啓、編集部殿。国鉄ジャボデタベッコミュータライン社は、一度プラットフォームに入った利用者が一時間以内であれば無料でまた外へ出られるというフリーアウト規定を廃止しました。その方針は国鉄コミュータ電車利用者に損失を与えるものです。15年12月17日に起こったような運行トラブルでダイヤが大幅に乱れる場合は特にそうです。
その日、わたしは18時5分に駅に入り、18時11分到着予定のポンドッランジ行き列車を待ちました。タップインするとき、運行遅れの情報は何もありませんでした。プラットフォームでわたしははじめて、運行が遅れていることをアナウンスで知りました。列車はまだタナアバン駅に向かって進行中だと言うのです。18時51分にやっと列車が到着しましたが、中はぎゅうぎゅう詰めでした。
その39分間、わたしはプラットフォームに缶詰にされた思いでした。外へ出て別の交通機関を利用するならタップアウトしなければならず、わたしのカード残高は2千ルピア減少します。国鉄のサービスをまったく利用しなかったというのに。
コミュータ電車をやめてエコノミー列車を使うにしても、ポンドッランジまで5千ルピアで電車より高く、しかもそれが電車のようにぎゅうぎゅう詰めでない保証もありませんし、そうするにしてもタップアウトで2千ルピアが削られることに変わりはないのです。
国鉄ジャボデタベッコミュータライン社にとって2千ルピアなんて、何の値打もない金額かもしれませんが、それでも利用者にその負担をさせるのであれば、サービス向上が伴われることが前提ではありませんか?ダイヤの乱れはいまだに頻発しており、おまけにそのせいでプラットフォームに乗客があふれると、国鉄職員が他の交通機関に移るようアドバイスしています。フリーアウト廃止との整合性はどうなっているのでしょうか?
運輸省と国鉄ジャボデタベッコミュータライン社は方針決定に際して、サービス面、特に鉄道利用者に対するサービス面をもっともっと重視してもらえるよう、お願いします。[ 南タングラン市在住、アンナ・シホタン ]


「深夜タクシーはなぜ高い?」(2016年5月19・20日)
パサルスネン鉄道駅の深夜。駐車場には何台ものタクシーが列をなしている。車体に表示されているタクシー会社名は、Fortuna、Pusaka、Putra、Koperasi Taksiなどいろいろ。道路運送法は、タクシー車両が満たさなければならない条件を次のように定めている。
*エアコン装備
*運転手のアイデンティティ表示
*料金メーター装備
*無線通信設備
*車体の屋根の上にTAKSI表示
*車体の左右のフロントドアに会社名とロゴ表示
*車体後部のトランクルーム脇に会社ごとの車両番号表示
つまり、そこにいる会社名の書かれたタクシーは正真正銘の公式タクシーであり、決して白タクではないということだ。ところが、それらのタクシーに乗り込んで行く先を告げると、運転手はメーターを倒さずに、「あっ」と驚く金額を客に言う。
中部ジャワや東ジャワからジャカルタのパサルスネン駅へ長距離列車でやってきた乗客たちは、駐車場で客待ちしているタクシーを使うひとが多い。平常のメーター料金よりはるかに高い料金を、仕方ないとして受け入れているひとが大勢いるということだろう。しかし、そんな状態は非合理だとして拒否するインドネシア人もいる。
30リッターバッグを背負って東ジャワ州マランからやってきたレザ23歳は、駐車場にいるタクシーのひとつに乗り込んで、タングランのチココルまで行ってくれ、と要請した。タクシー運転手は、「メーターは使わない。料金は40万ルピアだ。」とレザに言う。かれはそのタクシーから降り、駅前の通りへ出て、いつやってくるかわからないメータータクシーをひろうことにした。「40万ルピア!マランからジャカルタまでの鉄道料金よりも高い。30キロもない距離でその金額なんて、納得できるわけがないでしょ。」
ジャカルタ都庁が定めている公定タクシー料金は、フラッグダウン7千5百ルピア、走行キロ当たり4千ルピアとなっている。パサルスネン駅で取材を終えたコンパス紙記者は会社へ戻るために、およそ11キロ離れた西ジャカルタ市パルメラ地区まで駐車場にいるタクシーを使った。昼間にメーターを使えば5〜6万ルピアで済むのに、深夜の時間帯になると運転手は15〜17.5万ルピアを要求する。記者は闘志満々で価格交渉を行い、10万ルピアで運転手に手を打たせた。ただし、2時間の駐車料金9千ルピアは乗客負担という条件で。
そのタクシーが公式のものであるのは、車内に入ればすぐわかる。運転手のアイデンティティ表示もあり、料金メーターも据え付けられているが、メーターの電源は切られている。1985年以来、この稼業を続けている61歳の運転手は、記者との世間話の中でいくつかの興味深い話を洩らした。かれが言うには、パサルスネン駅に入るタクシーは一日につき3.5〜5万ルピアの不法徴収金を払っている。金を集めているのはごろつき職員だそうだが、かれの言うごろつき職員の話をもっと聞き出そうとした記者の努力は成功しなかった。「だから料金をメーター通りにやってりゃあ、運転手は赤字になっちまう。一日にひろえる客はせいぜい2回。3回客が入りゃあ、天祐だと思うよ。」
別のタクシー運転手も、かれらが相場にしている料金は妥当なものだ、とコメントした。駐車料金は1時間当たり5千ルピアだ。そして客が入るまで、通常4〜5時間駐車場で待たなければならない。その駐車料金は運転手が負担するのだから、と。おまけに遠距離であれば、またパサルスネン駅まで戻ってくるのに時間がかかる。そのことが一日にひろえる客の数に影響する。
言うまでもなく、タワルムナワル(価格交渉)はインドネシアの伝統的な商習慣だ。売り手と買い手が互いに納得できる線で合意するのがそのタワルムナワルなのであり、タクシー料金であっても何らちがいはない。タクシー運転手の言う料金が高いと言って非難する前に、客はタワルムナワルをしてくれれば良いのに、と運転手のひとりは語っている。
スカルノハッタ空港やガンビル鉄道駅などは、施設運営者の管理と指導がうまく行っているため、客待ちタクシーがパサルスネン駅のような行動を見せることはない。だが、何か事が起こればメディアと世論から袋叩きにあうようなスカルノハッタ空港やガンビル駅の環境が、首都圏すべての鉄道駅を一様に包んでいるわけでは決してない。それどころか、そういう世間の目があまり届かない場所では、施設管理者の中に臭い輩の姿が見え隠れしている。
コンパス紙記者は、運転手から得た情報を追及するためにパサルスネン駅管理者にその話の真偽を問うた。すると駅管理当局は、駐車場における問題は駐車場運営者PT RMUの責任になる、という回答を返してきた。駅管理当局がタクシーから課金徴収をしていなくとも、勤務している不良職員が無断でそれを行っている可能性は常にある。あるいは、その不良職員は駐車場運営会社に所属しているのかもしれない。
PT RMUは駐車場運営規定について、次のように説明した。駐車場の利用はすべての者にオープンであり、四輪車4千ルピア/時間、二輪車2千ルピア/時間の料金を支払うかぎり自由であるが、8時〜24時の繁忙時間帯にはタクシーの客待ち駐車を禁止している。客を降ろすため、もしくは予約した客を迎えに来るのは問題ない。その規定を守らないタクシーは駅警備員が措置を取ることになっている。
しかし繁忙時間帯を過ぎれば、タクシーが駐車場で客待ちをすることは許される。その場合、駐車料金は最初の1時間が5千ルピア、2時間目からは毎時間4千ルピアとなる。
パサルスネン駅長はタクシーの法規違反行動に関して、空港やガンビル駅はタクシー会社に対して深く干渉している、と表現した。運転手の行動をどう管理していくかは各タクシー会社の方針次第であり、それはタクシー会社の責任で行われるべきことがらだ。それに対して外部者である駅や空港の管理当局が自分の地所で客を取るタクシーに、必ず料金メーターを使わせ、あるいはその他の規則を遵守させるよう監督せよとタクシー会社に迫るのは、タクシー会社の経営方針に対する干渉であると駅長は見ているにちがいない。
だからパサルスネン駅はそこまで干渉しないということを駅長は言っていると思われるのだが、インドネシアにおける公私観念の実態がそこから見えてくるように感じるのは、はたしてわたしだけだろうか?


「三社にヨーロッパ乗入禁止解除」(2016年6月28日)
2007年に欧州委員会がインドネシアをはじめ、数カ国の航空会社に対してヨーロッパ乗り入れを禁止してから、2009年にはプレミエアー、ガルーダ航空、エアファストインドネシア、エアエイシアインドネシアに禁令解除措置が与えられ、そして今回、2016年6月16日にはバティックエアー、シティリンクインドネシア、ライオンエアーの三社にも同じ措置が与えられた。それと同時にインドネシアの残る52航空会社はヨーロッパへの乗り入れを禁止することが再確認されている。52航空会社の大半は不定期運行のチャーター航空会社だ。
一方、禁止措置対象から除外されたと言いながら、欧州委員会はICAOの安全基準をそれらの航空会社が満たすことを前提としており、その条件が確定されるまでは欧州への乗り入れを許可しない姿勢を採っている。
インドネシアの全航空会社に乗入禁止を命じて以来、インドネシアで種々の改善がなされたことはポジティブに受け止めているものの、安全運航に関する政府の業界監督はまだまだ改善される余地がたっぷり残されている、とEU大使はコメントした。
今回ブラックリストから外された三航空会社は最近エアバスを購入しており、それが禁令解除に影響をもたらしたのかという報道界からの質問に対してEU大使は、「そのような関連性はまったくない。あくまでも安全性に関する考慮だけで導かれた結論である。」と答えている。シティリンク役員によれば、欧州委員会の安全性要求レベルはかなり高度なものであるとのこと。


「電車アンチョル駅が稼働を再開」(2016年7月11日)
ジャボデタベッコミュータ電車のジャカルタコタ〜タンジュンプリオッ線がアンチョル駅の停車をやめてからおよそ6ヵ月が経過したが、去る16年6月25日から、改修工事の完了した同駅での停車が再開された。アンチョルドリームパーク訪問者にとっては、アクセスの便宜が向上している。
ジャカルタコタ〜タンジュンプリオッ間は一日6便の電車が往復するので、ジャカルタコタ駅あるいはカンプンバンダン駅からアンチョルへ、あるいはタンジュンプリオッ駅からアンチョルへは毎日6回アクセスの便が提供されることになる。この路線の乗車料金はひとり一回2千ルピア。各駅間の標準走行時間は次の通り。
ジャカルタコタ駅〜カンプンバンダン駅 7分
カンプンバンダン駅〜アンチョル駅 6分
アンチョル駅〜タンジュンプリオッ駅 7分
アンチョル駅はR.E.マルタディナタ通りの歩道に接しており、マルタディナタ通りはタンジュンプリオッ港に往復する大型貨物車両が多数走行しているため、幼児を伴ってドリームパークに向かう親子連れは普段に倍する注意が求められている。
7月6〜10日のルバラン連休には例年のように多数の都民がドリームパークを訪れるため、その一部が電車の便宜を利用することが期待され、国鉄側は一日の乗降客が8百人と予測した。また連休期間中は、駅とドリームパーク入り口間をシャトルバスが運行している。


「ルバラン帰省と運送料金」(2016年7月18・19日)
インドネシア人は物価にきわめてセンシティブなひとびとだ。タワルムナワルという習慣は、売り手が吹っ掛け価格を言い、買い手がどん底価格を言い、そして両者が歩み寄ることで取引価格が決まる。だから世間相場を知らなければ買い手は売り手の大儲けに奉仕させられることになるから、おのずと世の中の物の値段に神経を使う体質が出来上がる。一方、大金持ちは売り手の言い値をあまり値切らずに金を払うから、かえってそのために尊敬されたりする。
売り手のほうも、需給関係の機を見るのに敏だから、ラマダン〜ルバラン期の需要高騰に対処して値を引き上げようとする。それはラマダン月が始まると同時に食材食糧価格が上昇しはじめ、ルバラン前にはピークに達する状況や、ルバラン帰省長距離バス料金などに如実に反映されている。ジャカルタから南スマトラ州ルブッリンガウまでのバス料金が、数日前までは27万5千とかせいぜい30万ルピアが平常料金だったというのに、いざルバラン帰省が始まると一気に45万ルピアに跳ね上がる。やはりジャカルタからヨグヤカルタ特別州グヌンキドゥル県ウォノサリへも、平常の13万5千ルピアが26万ルピアに跳ね上がる。これも、帰省ピーク時には40万ルピアになるという噂がばら撒かれたりして、売り手がほしいままに買い手を操っているありさまだ。
利用者の混み具合によって、激しいときには平常料金の3〜4倍に達することもあるのだが、帰省する態勢に入りきってしまった利用者はせいぜい愚痴をこぼすだけで、値段が高いから帰省をやめるというひとはまずいない。支払い能力の有無がまた別問題であるのは、言うまでもあるまい。
もちろん、バス会社あるいは運行者の言い分もある。ジャカルタから地方に下る便は満載になるが、ルバラン帰省期間に地方からジャカルタに戻る便はがら空きになるから、戻りの赤字分を補てんする必要があるのだという説明がそれだ。
鉄道も似たようなもので、ルバラン帰省に限っては、予約販売が始まると数日の間に全座席は売り切れてしまう。それを買いそびれたひとも、徒手空拳で駅に行き、チャロ(ダフ屋)から切符を買う。この場合も、正規料金に倍する金をチャロに払って切符を手に入れるのだが、そういうひとが争ってチャロを探し、売切れを起こしたチャロに「金に糸目はつけないから、なんとか切符を探してきてくれ」と涙ながらに依頼する鉄道利用者まで現れるありさまだ。タワルムナワルでは売り手を破算させそうな勢いで交渉するというのに、鉄道切符チャロに対して見せるその姿は、同じインドネシア人と思えないほどだ。
ただし、国鉄当局のチャロ行為追放方針のために、チャロ利用も難しくなっている。チャロから高い金で切符を買い、本人が切符の名義人でないために乗車を拒否されて大損を蒙る利用者も出ている。
鉄道については国有会社独占事業だから、政府の定める消費者サービス規定は護られている。消費者に損害を与えるダフ屋行為だけが問題で、チャロの取締りも鋭意行われているが、切符の予約販売時に購入者がダフ屋かどうかはわからない。ところが、いざ乗車日が近づいてくると、かれらは売れ残った切符をキャンセルして払い戻ししようとする。
国鉄チレボン第3事業区は16年6月24日に開始されたルバラン交通期の中で、乗車券払い戻し要請が異様に増加していることに気付いている。第3事業区管轄のほとんどすべての駅で、一日50枚前後の払い戻し請求がなされているのだ。
インドネシア国鉄は長距離列車の乗客サービスを航空機のそれに倣って行っている。乗車券には乗車者の名前がプリントされ、その乗車券でプラットフォームに入るとき、その名前が本人のものでなければ、入ることが拒否される。払い戻しを請求する場合も同じだ。本人でない者が請求しても、払い戻しは受け付けてもらえない。このシステムは2014年から行われている。
そのシステムに従って払い戻し請求に対処している結果、実際に払い戻しがなされるのは平均一日27枚程度で、実に二人に一人があれこれ理由をつけて乗車券に記載された名前と同じアイデンティティ書類の提示をしようとせず、その結果払い戻し請求は拒否されている。
一方バスターミナルでは、もっと凄まじいありさまが展開されている。インドネシアで公共運送料金は公定システムが用いられており、航空もバス・タクシーも鉄道・船舶もすべて、中央もしくは地方政府が上限料金・下限料金を定めて運送業者が利用者から徴収する金額に枠をはめている。その中でバス料金が伝統的にもっとも顕著な不服従を示しているのだ。
普段ですらターミナルでは、慣れないバス利用者がやってくるとチャロ(ダフ屋)が行き先を聞き出してそのバスまで案内してくれる。そして切符売場で切符を買ってこい、と言う。チャロは切符売場の係員に合図を送り、売場係は平常料金の数十%増しで切符を売りつける。上増し分は売場係とチャロが山分けだ。
慣れている利用者はその手に乘らないが、ルバラン帰省は平常?料金でなくなるから、いくら慣れていても料金は高くなる。ところが公定の上限料金もしくはバス会社が申請する特裁料金を超えてならないことは言うまでもない。ところが現場にいる連中は、それらの規制料金を利用者に知らせないようにして、言いなりの金額を利用者から徴収し、バス会社が定めている料金との差額を自分たちで山分けしようとする。その目論見をうまくやりおおすためにどうするか?
まずバス会社が定めた料金を掲示せず、利用者に知らせないようにする。更に、切符には支払った料金が記載して領収印を捺さなければならないが、それらもすべて手抜きする。要するに切符は必要項目が真っ白のまま利用者に渡され、バス運行スタッフはそんなことにお構いなしに、乗客をちゃんと乗客として扱うので、利用者は料金が高いことに愚痴を言うだけで、ターミナル管理当局にクレームを出すことはない。そういう図式が、バスターミナルでは営まれているのである。
ラマダン〜ルバラン期の物価は、そのように高騰する。当然ながら毎月のインフレ率に大きな影響がもたらされる。2016年6月のインフレ率は、上半期累計より大きい数値になった。ラマダン月の食材食糧価格と航空券料金を主体にする運輸セクターがその結果を生んだ。バスのルバラン帰省料金高騰は7月に入る。ただ、チャロ行為は中央統計庁の物価調査に入ってこないだろうから、実態よりは小さい見かけ数値になるにちがいない。インドネシアの統計数値がどこまで実態に肉迫できるかという問題は、ここにも影を落としている。


「27日から都内で新交通規制開始」(2016年7月25・26日)
3in1制度が行われていた都内中心部の道路で、2016年7月27日から新たに「奇数偶数」交通規制制度のトライアルが開始される。奇数偶数制度というのは四輪自家用車のナンバープレートが奇数のものはカレンダーの奇数日に、偶数のものは偶数日にかぎって通行が許されるというシステムで、このトライアルは8月26日まで続けられ、リビューがなされて8月30日から本格スタートの予定。
奇数偶数制度実施エリアについては3in1のときと同じで、次の通り。
*シシ~ガマ~ガラジャ通り(Jl.Sisingamangaraja)はブロッケム(Blok M)北西角のCSW交差点(Simpang CSW)から青年の像のあるスナヤンロータリー(Bundaran Senayan)まで
*スディルマン通り(Jl.Sudirman)はスナヤンロータリーからHIロータリー(Bundaran HI)まで
*タムリン通り(Jl.Thamrin)はHIロータリーから南ムルデカ通り(Jl.Merdeka Selatan)交差点まで
*西ムルデカ通り(Jl.Merdeka Barat)は南ムルデカ通り交差点から独立宮殿前三叉路(Simpang Tiga Istana Merdeka)まで
*ガトッスブロト通り(Jl.Gatot Subroto)はクニ~ガン交差点(Simpang Kuningan)からグルバンプムダ通り(Jl.Gerbang Pemuda)との三叉路まで
制度適用日と時間は、毎週月曜日から金曜日までの7時〜10時と16時〜20時で、土曜日・日曜日・国民の休日は適用外。
この制度が適用されない対象者は次の通り。
*インドネシア共和国正副大統領
*国政高官(RIナンバープレート)とその随伴車
*官公庁公用車(公用ナンバープレート)
*消防車・救急車
*公共運送車両(黄色ナンバープレート)
*貨物運送車両(特裁許可を得た者)
*二輪車(ただし二輪車は異なる規則でタムリン通りと西ムルデカ通りの通行が禁止されている)
都庁交通運輸局はトライアル期間中15カ所の監視ポイントに職員を2名配置して、状況の監視を行うことにしている。
監視ポイントはアルジュナウィワハの像(多数の馬が馬車を引いている像)のある南ムルデカ通りと西ムルデカ通りの交差点に二ヵ所、インドネシア銀行南交差点に二ヵ所、HIロータリーはイマムボンジョル通りに一ヵ所、スナヤンロータリーに二ヵ所、ブロッケムに二ヵ所、クニ~ガン交差点に一ヵ所となっている。
さてこのトライアル期間中に、首都警察の交通警官と都庁交通運輸局職員は違反車にどのような措置を執るだろうか?交通運輸局長は語る。
「トライアル第一週は何もしない。違反車を見ているだけだ。二週目になって、交通違反措置が執られる。違反車は停止を命じられてSTNK(自動車番号証明書)が取り上げられる。しかし、実施時間が過ぎれば返してもらえるので、運転者はその日のうちに自分のSTNKを取り戻すことができる。市民への教育がこれの主目的だ。警察は電子式違反切符のトライアルを進める予定であり、来年ERPが実施されるときには電子式違反切符が標準方式として用いられることになる。」
首都警察はこのトライアルに2百人の要員を実施エリアに配置することにしている。配置ポイントは実施エリアに入る道路の合流点とエリアから出て行くポイントで、ストップがかけられるのはエリアから出た直後が多い。警察もトライアル期間中は交通違反切符を切らないことにしている。違反車はストップがかけられても、注意や警告だけで終わるそうだ。
都庁はこのトライアル期間に同期させて、自家用車族が公共運送機関に移るための便宜を図るべく、ブロッケムバスターミナル近辺とコタ地区に駐車場を設けることにした。
ブロッケム側はバスターミナルの隣という位置になるスナンカリジャガ通り(Jl.Sunan Kalijaga)とファレテハン通り(Jl.Faletehan)、コタ側はチュンケ通り(Jl.Cengkeh)で、都庁交通運輸局長は十分なスペースが確保できると語っている。
ブロッケム側駐車場では電子式管理が行われ、料金は最初の一時間が5千ルピア、以後一時間ごとに5千ルピアだが、一回の駐車料金は上限2万ルピアとなっているので、4時間以上駐車するならたいへんお得だ。
局長は、交通規制エリア近辺の一般ビル駐車場も利用できると勧めている。モールブロッケムの駐車場は一時間当たり4千ルピアだが、上限システムはない。この駐車場はトランスジャカルタバスのパークアンドライド構想を受けておよそ20人の都民にメンバー制を提供したが、既にメンバー制は締め切られているので、廉価駐車料金を期待することはもうできない。
コタ側では、トランスジャカルタバスのコタ停留所からおよそ1キロ離れたチュンケ通り駐車場は3百台の自動車が駐車可能で、料金は時間無制限の一回4千ルピア。この駐車場はバタヴィア旧市街観光訪問者を対象にして設けられたものだが、利用者が少ないのでたっぷり余裕があるとのこと。
バタヴィア旧市街を通る乗り合いバスがコタ駅前もチュンケ通りも通るので、1キロも歩くのは嫌だと言う自家用車ドライバーもパークアンドライドを拒む理由にはならないだろう。


「航空会社社員にプロはいないのだろうか?」(2016年8月4日)
2016年1月8日付けコンパス紙への投書"Jenazah Tertinggal Pesawat"から
拝啓、編集部殿。2015年12月2日の早朝フライト、北スマトラ州クアラナム国際空港でトランジットするライオンエアーJT0196便で、わたしどもは父親の遺体をジャカルタからバンダアチェに運びました。ところが、遺体はクアラナム空港に置き去りにされたのです。
ライオンエアー側が言うには、この不愉快なできごとは過失であり、便名インプット間違いのために起こったのだそうです。飛行機がバンダアチェのスルタンイスカンダルムダ空港に到着してはじめて、わたしどもの一家はそれを知りました。わたしどもは航空会社が求めた書類から検疫に至るすべての手続きをクリヤーし、出発時間の4時間前に遺体をカーゴ部門に届けることも、間違いなく実行してあったというのに。
このできごとの結果、父の遺体は埋葬儀式に間に合いませんでした。そのときのライオンエアー係員の釈明を、わたしどもはとても了承することができませんでした。遺体というのはかつて生きていた人間なのであり、無機質な物体ではないのです。わたしども一族はそのできごとに立腹し、また失望しました。
それどころか、わたしどもが乗ったそのフライトでも、一家の数人がもらった座席番号に別の乗客が座っていたのです(ダブルシート割当て)。チェックインの対応がとても緩慢で時間がかかったのを、わたしどもは我慢したというのに。
世の中のひとびとに、わたしどもは用心するよう呼びかけたいと思います。この不愉快な体験が他のひとの身にふりかからないことを祈るばかりです。[ 南ジャカルタ市トゥブッ在住、チュッ・ニャッ・インスン・ファラデナ ]
2016年1月22日付けコンパス紙に掲載されたライオンエアーからの回答
拝啓、編集部殿。チュッ・ニャッ・インスン・ファラデナさんからの、2016年1月8日付けコンパス紙に掲載された投書に関して、御不快を与えたことに対し、当方はまずお詫びを申し上げます。
当方のデータによれば、チュッ・ニャッ・インスン・ファラデナさんご一家は、2015年12月2日のジャカルタ発クアラナム経由バンダアチェ行きフライトJT0196便で御尊父の遺体をお運びになりました。
チュッ・ニャッ・インスン・ファラデナさんご一家が失望されたのは、遺体が御一行と一緒にバンダアチェに到着しなかったためです。
御一行が利用されたジャカルタ発バンダアチェ行きJT0196便のクアラナム空港でのトランジット時間は1時間15分ですが、エアカーゴの積替え作業は3時間が標準になっていることをお知らせしたいと存じます。
そのため、遺体航空貨物はその次のフライトである14時50分クアラナム発JT306便で発送されています。[ ライオンエアー広報課長、アンディ・M・サラディン ]


「交通文化は向上できるか?」(2016年8月10日)
2016年1月14日付けコンパス紙への投書"Kebiasaan Angkutan Umum"から
拝啓、編集部殿。交通文化に言及するなら、注意されるべきことがらのひとつは公共交通機関が実に頻繁に好き勝手な場所で停車することです。設けられている停留所は乗客を乗り降りさせる場所と思われていません。
都庁が行っている公共交通機関インフラの整備事業にあわせて、全公共交通機関が本来あるべき場所で乗客を乗り降りさせるよう、法確定が行われるべきときが来ていると思います。
それが行われるなら、規律向上方針は全公共交通機関クルーへの教育のみならず、乗客をはじめ一般社会への教育にもなるのです。かれらも、乗物が来るのを待ち、乗物に乗り降りすることを定められた場所で行うように躾けなければならないのですから。
首都の公共交通機関の質的向上に努めている都庁のハードワークには脱帽します。より高品質のトランスジャカルタバスがどんどん増やされており、小型コパジャバスも若返りがなされてエアコン完備となり、統合公共交通システムにメトロミニも巻き込み、運転手は免許制にして固定給に変更され、ストラン稼ぎの負担から解放されるようになりました。すべては乗客へのサービス向上が目的です。
2016年は、より優れた交通文化が樹立される年になりますように。[ 東ジャカルタ市在住、サヌシ・シディ ]
2016年1月28日付けコンパス紙に掲載されたレス投書"Pengemudi dan Penumpang Sama"から
拝啓、編集部殿。16年1月14日付けコンパス紙に掲載されたサヌシさんの投書にレスをつけたいと思います。
これまで好き勝手な場所で乗客を乗り降りさせていた公共交通機関の運転手に秩序立った交通文化が早急に実現するよう、かれは希望を語りました。
それをもっとうまく実現させるために、法規に違反した運転手と乗客を一緒に罰する規則が定められるよう提案します。警察は運転手に対し、最初の違反に違反警告書1、二度目の違反に違反警告書2、三度目の違反で一か月間の運転禁止という罰を与えるのです。
一方、本来あるべきでない場所で乗り降りした乗客には、乗車料金の3倍を罰金として納めさせるのです。この規則を作り、警察が取締を行う根拠を設けてください。
規律向上方針は警察が都内諸地区でランダムに取締りを行ってはどうでしょうか。取締りは本気で、一貫性を持たせて行わなければなりません。この方法によって、社会に秩序ある交通文化が短期間に形成されると思います。[ スマラン在住、ユウォノ・ウィルヨワルドヨ ]


「都内でまた立体交差化工事」(2016年8月11日)
都庁公共事業局は都内8ヵ所で道路立体交差化工事を行う。とは言っても、道路と道路の立体交差だけでなく、道路と鉄道線路の立体交差化、つまり踏切立体交差も含まれているのだが。工事完了は2017年8月もしくは9月の予定になっている。
その8ヵ所とは次の通り。
1.南ジャカルタ市パサルサンタ東のウィジャヤ通り(Jl.Wijaya)とモ~ギンシディ通り(Jl.Wolter Monginsidi)の交差点でアンダーパス。全長326m、幅8.6m
2.南ジャカルタ市ルバッブルス北側角のカルティ二通り(Jl.RA Kartini)とパサルジュマアッ通り(Jl.Pasar Jumat)からメトロポンドッキンダ通り(Jl.Metro Pondok Indah)につながる道路の交差点でアンダーパス。全長390m、幅10m
3.南ジャカルタ市クニ~ガン南のガトッスブロト通り(Jl.Gatot Subroto)とマンパンプラパタン通り(Jl.Mampang Prapatan)からラスナサイッ通り(Jl.HR Rasuna Said)につながる道路の交差点でアンダーパス。全長755m、幅21m
4.中央ジャカルタ市サレンバラヤ通り(Jl.Salemba Raya)・マトラマンラヤ通り(Jl.Matraman Raya)・プロクラマシ通り(Jl.Proklamasi)・プラムカ通り(Jl.Pramuka)が集まる交差点でアンダーパス。全長867m、幅9.1m
5.南ジャカルタ市パンチョランのガトッスブロト通り(Jl.Gatot Subroto)・ハルヨノ通り(Jl.Letjen MT Haryono)・パサルミングラヤ通り(Jl.Pasar Minggu)・スポモ通り(Jl.Prof Dr Supomo)が集まる交差点で高架道路。全長780m、幅9m
6.南ジャカルタ市ウルジャミのビンタロプルマイ通り(Jl.Bintaro Permai)と鉄道線路の平面踏切で高架道路。全長430m、幅9m
7.東ジャカルタ市チピナンロンタルのブカシティムルラヤ通り(Jl.Bekasi Timur Raya)が鉄道線路と平面交差する踏切で高架道路。全長500m、幅13m
8.西ジャカルタ市クドヤのモーケルファール運河(Mookervaart)を超えてダアンモゴッ通り(Jl.Daan Mogot)につながるパンジャン通り(Jl.Panjang)が運河の南側で鉄道線路と平面交差する踏切で高架道路
中でも4.の立体化によって、マトラマン通りとプラムカ通りの交通の流れが円滑化される。その結果、トランスジャカルタバス第4ルート(プロガドン〜ドゥクアタス)と第5ルート(カンプンムラユ〜アンチョル)の運行が大きく改善されることが期待されている。


「よくある罠」(2016年9月2日)
2016年2月6日付けコンパス紙への投書"Parkir Menginap di Bandara"から
拝啓、編集部殿。わたしはジャカルタのスカルノハッタ空港でオーバーナイト駐車場をよく利用しています。駐車場がいっぱいの時は通常駐車エリアに停めるよう勧められ、料金もそれほど違わない金額になっています。
2016年1月19日、わたしは通常駐車エリアに車を置いて、地方へ飛びました。戻ったのは21日で、およそ55時間駐車したことになります。そのとき、42万1千ルピアの料金を請求されて、わたしは驚いてしまいました。平均一時間7,655ルピアではありませんか。係員は、わたしが通常駐車エリアに停めたから、この料金になるのだと言って、取り付く島もありません。
わたしの後ろに長い列ができたため、わたしは仕方なく請求金額を支払ってそこから去りました。わたしは空港管理者にお願いします。このような強盗行為を続けさせないようにしてください。常識外れの駐車料金をいつも支払う気は、わたしにありません。[ 東ジャカルタ市在住、ID アスマラ ]


「ブリンビンサリ空港が国際空港に」(2016年9月8日)
ジャワ島東端にあってバリ島と一衣帯水の位置にあるバニュワギ県は、アブドゥラ・アズワル・アナス県令の観光振興政策によって、かつては東ジャワ州の最高峰スラバヤに次ぐ第二位の経済センターだったマランを追い落としかねない新興経済地区としてのし上がってきた。
観光事業は観光客の招致が最大優先事項であり、県内のブリンビンサリ空港はスラバヤとデンパサルにつながって小規模な地方都市空港としての役割を果たしてきたが、いよいよ2017年から国際空港の仲間入りをすることになった。
空港の拡張工事はすでに始められており、16年末から17年1月に予定通り竣工すれば、現在使われている小型旅客機だけでなくB737−500型機も発着できるようになる。ターミナルビルは年間利用者25万人の収容規模を持ち、地元ウシン族の伝統建築デザインを用いたものに改装される。通風と採光に工夫が凝らされ、更には庭園や泉水が屋内に設けられて、エアコンや電灯の使用が極力抑えられたものになるとのこと。更に滑走路の舗装も厚みが増され、大型機の発着が可能になる。
県令によれば、マレーシアの小型ジェット機がブリンビンサリ空港に着陸許可を求めたことがあり、国際空港でないためにその要請は拒否されたものの、マレーシアからの定期商業フライトがバニュワギ県に直接飛来してくる可能性は十分にあるため、準備さえ整えばマレーシアへの観光プロモーションを早々に開始する予定であるとのこと。
ブリンビンサリ空港年間利用者数は2011年に7,826人だったものが、2015年には110,234人にまで急上昇している。


「恐怖のオバさんライダー」(2016年9月20日)
バリ島でレンタカーの運転を頼んだバリ人の知人は、イブイブの二輪ライダーほど運転していて怖いものはない、と語っていた。路上での動きは傍若無人であり、おまけに次の瞬間にどういう動きを行うかという予測がまったく不能だというのがその理由で、要するに自分がいつ加害者にされるかわからない、という意味での恐怖なのだそうだ。
しばらく前にソーシャルメディアを賑わせた投稿に、似たような内容のものがあった。隣人のイブイブがオートバイで走るとき、右折も左折も車線変更も、ウインカーなしにいきなり曲がる。あるときあわや引っ掛けそうになった四輪運転者が、ついに文句を言った。するとそのイブイブは胸を張って返事した。
「あなたねえ、こりゃメティック(オートマチックをインドネシア人はmetikと省略する)なのよ。右に曲がろうと、左に曲がろうと、自動的にウインカーが点灯するでしょうが・・・」
首都警察交通局の2015年データでは、交通事故に関わった四輪二輪女性運転者は1,621人で、死者87人、重傷525人、軽傷1,009人となっている。その中で女性二輪車ライダーの増加は凄まじいものがあり、前年から49.5%上昇した。
2016年は8月までで102人の女性が死亡している。女性の交通事故は、交通法規の無知あるいは無視に由来するものが大半を占めている。
首都警察交通局副局長は女性運転者に対する交通安全教育が急務であると語った。9月22日の交通安全の日に警察は国民に対する交通安全教育を盛り上げる計画であり、セミナーや討論会で意識を高めてもらうほかに、若年層に対してコミックなどで啓蒙をはかることにしている。その中でも、女性運転者はひとつの焦点になっている由。
女性運転者のコミュニティ「クイーンライダーズ」発起人は女性運転者の特徴について、安全運転に関する知識が極めて低いと指摘する。「車両の初歩的機能チェックから運転時の服装や靴に至るまで、安全さに対する配慮が優先されていません。情報化がますます進んでいる中でのこのような姿勢は、イロニーとしか言いようがないですね。」
24〜40歳の女性運転者5百人に対して行われたサーベイで得られた結果がそれだった。その5百人はほとんどが中流経済階層(ミドルクラス)で学歴も高く、さまざまな職業に別れている。そして運転する目的については8割が収入を得るためと答えた。運送業という直接的なものよりも、たとえば家内工業で作った商品を配達するといった間接的なものがその大半だ。かの女たちは毎日1〜4時間、公道の上を走っている。
公道の上で車両を運転するということが、社会生活の一部になっている。公私の弁別に疎い慣習と観念で営まれている社会生活そのものが、公道上での危険に対する認識を甘いものにしていると言えるだろう。自己への厳しさよりも他者への甘えが優先されたら、危険この上もない状況が発生する。自分が無理な運転をしたとき、他車がよけたり譲ってくれるという甘えが事故を生む。イブイブライダーの恐怖は、女性の社会に対する甘えが作り出しているように思えてならない。


「自動車過剰対策の決め手はこれ」(2016年9月26日)
2016年5月31日付けコンパス紙への投書"Pajak Progresif Jabodetabek"から
拝啓、編集部殿。日本の東京や大阪では、自動車を一台持とうとしても厳しい条件にいろいろ直面するそうです。高い税金、さまざまな課金、罰金までも。駐車するだけでも難しく、料金はめちゃ高。
走行時の礼儀作法はまた別にあり、一級道路や自動車専用道では流れに乗らなければなりません。平均速度が時速80キロなら、それより早くも遅くも走ってはいけないのです。そんなことをすれば、交通警察がやってきます。
自動車が3割以上壊れたら、修理工場へ持っていかないこと。牽引費用と修理費が新車の価格を超えてしまいます。役所へ届け出れば、あなたの車を解体所に牽引して行ってくれます。
ジャカルタはそんな東京や大阪とまるで正反対。税金が廉いので、市民はまったく自由に車を持てます。駐車料金も廉く、路上走行も好き勝手。低速でノロノロやっても、高速で突っ走っても、お好みのまま。自動車専用道で動かなくなれば、無料牽引車が最寄りの修理工房に運んでくれます。
去る5月7日12時、わたしは104.6FMラジオで都内全域が交通渋滞に陥ったニュースを聞きました。それもそうでしょう、首都圏の住民の大部分が車を持ち、多い人は2台も3台も持っているのですから。
都庁とボデタベッ各自治体首長は協議して、自動車税を極端な累進方式に変える新たな条例を制定するときが来ているのです。たとえ税額は現行のままでも、最初の1台はその100%、2台目は200%、3台目300%、4台目400%・・・
ccとボリュームのコンビネーションを厳密に計算し、ccの小さい大型車は1ランク上の税額を適用するのです。この極端な累進課税方式は、大幅な税収増をもたらすでしょう。自分の車を売却するひとは、購入者がすぐに名義変更するよう要求するはずです。名義変更費用・売買時の付加価値税(PPN)と奢侈品税(PPnBM)の納税が起こるでしょう。
都庁のナンバープレート奇数偶数政策は絶対にうまくいきません。複数の車を持つ都民は、もうそこまで手を打ってあるのですから。ERPも流産するでしょう。複数の車を持つ経済力があれば、ERPエリアを通行するときの1万数千ルピアなどどれほどの苦になるでしょうか?[ 西ジャワ州ブカシ在住、ズルキフリ ]


「自動車の登録地変更はむつかしい」(2016年9月27日)
2016年5月24日付けコンパス紙への投書"Pelayanan Samsat"から
拝啓、編集部殿。2015年1月15日にわたしはプレート番号BG 1458 NBの車をパレンバンからラハッへ移すことにしました。自分で手続きできないので、警察職員のMに手続きを依頼しました。BPKB、STNK、オリジナルKTPなどすべて用意し、費用も両者間で合意しました。2013年にもわたしは、ヨグヤカルタからラハッへ車を移す手続きを同じように行っています。書類削除と呼ばれるもので、そのときは二週間かかっただけでした。
わたしは何度もMに、いつ出来上がるのかと尋ねましたが、よくわからないという返事でした。ほぼ一年後の2015年12月22日、わたしがMにSMSで状況を尋ねると、返事が来ました。パレンバンの統合サービスセンターでのプロセスを担当しているラハッの統合サービスセンター職員Sに直接尋ねるように、という内容です。Sが言うには、書類はまだたくさんの部門で手続き中であり、いつ終わるかわからないとのこと。言葉の内容や声の調子から、わたしはSがもっと金を出すよう提案しているように感じました。その贈賄要求にわたしは従いませんでした。
2016年4月29日、わたしはMに状況を尋ねました。Mは「担当者に尋ねてみる」と言いましたが、現在に至るまでわたしへの連絡はありません。
もう1年4ヵ月が経過しています。自動車登録の移転手続きに、パレンバン統合サービスセンターはどれだけの時間を必要としているのでしょうか?STNKやKIRの延長手続きを期限に遅れて行えば、国民は即座に罰金を徴収されます。交通規則に違反すれば、違反者はすぐに違反切符を渡されます。国民の権利を侵害する公務員には罰が与えられて当然ではありませんか?わたしはパレンバン生まれで、ラハッで育ち、現在はヨグヤカルタの居住者です。[ ヨグヤカルタ在住、シスピン・ナイティンピッ ]


「ありがとう、パトカー警官」(2016年11月2日)
2016年7月25日付けコンパス紙への投書"Polisi Baik"から
拝啓、編集部殿。2016年6月7日11時半、わたしの孫が突然ひきつけを起こしました。それですぐにラヤパサルミング通りにあるトリアディパ病院に運ぼうとしましたが、ひどい交通渋滞でなかなか進めません。
たまたま警察のパトカーが通りかかったので、援けを請いました。パトカーの先導と中にいた四人の青年たちのおかげで、孫はほどなく病院に到着することができました。ところが、パトカーの警官は救急治療室の中まで付き添って孫の様子を見守り、孫が意識を取り戻してから、再び警察の業務に戻ったのです。
わたしどもは援けてもらったお礼を差し上げようとしましたが、その警官は柔らかく、しかしはっきりと断りました。わたしどもはうっかり、その警官の名前を控えることを忘れてしまいました。親切な警官さん、ありがとう。[ 東ジャカルタ市在住、ユウォノ ]


「庶民派大統領の精神革命」(2016年11月17・18日)
都内の道路が昨今ほど自動車だらけになる前の時代、それでも時と場所によって交通渋滞が起こっていたが、中にはスディルマン通りのような一級道路に流れ込む道路の端を交通警官がストップさせて、その道路に大渋滞が発生するというようなことを体験して、わたしは奇妙な印象を抱いたものだ。
そのガラ空きになったスディルマン通りをしばらくして大型バイク警官数台と護衛の四輪車を何台も従えた国家要人御一行が通り過ぎると、やっとストップが解除されて大渋滞が溶解する。運が良ければ数十分で御一行が通り過ぎるが、運が悪いと小一時間身動きならずに留め置かれる始末だ。
「主権在民のデモクラシー国家と自称している国でこれか!?」とわたしは心中で繰り返したものだ。インドネシアでもちろんそれは合法なことであり、法律の中にもちゃんと謳われている。
道路交通と運送に関する2009年法律第22号第8部「道路利用者優先権」第1章「優先権を与えられる道路利用者」の第134条は次の通り定めている。
優先権を与えられる道路利用者は次の順位で優先権を得ることになっている。
a. 任務遂行中の消防車
b. 病人を運ぶ救急車
c. 交通事故の救援のための車両
d. インドネシア共和国国家機関統率者の車両
e. 国賓である外国元首と高官および国際機関の車両
f. 葬列
g. 国家警察職員の裁量による特定目的のコンボイおよび/あるいは車両
つまりd.に該当する国家要人御一行は、平民の道路通行権利を停止させてでも先に道路を利用する権利を与えられているということのようだ。
他にも、民衆から非難を浴びているモゲ(motor gede = 大型二輪車)コンボイを交通警官が先導して他の路上交通中の車両を押しとどめ、交通信号すら無視して街中を集団走行する例は上のg.に該当しており、葬列がf.に挙げられているために平民が権力者のマネをする機会さえ与えられている。葬列で気を付けなければならないのは、葬儀のサインである黄色い小旗を持ってオートバイに乗った若い衆が葬式の車列を露払いしているのに出会った場合で、この一行も交通信号すら無視して街中を押し渡るため、かれらは赤信号で止まった一般車両が進行をふさぐとアタマにくるらしい。かれらが何をするかと言うと、止まった一般車両に道を開けるよう、車体を棒や手にした器物でバンバン叩きまわる。それが暴行狼藉であるのは言うまでもないのだが、法的にはこの第134条を持ち出されると一般車両の勝ち目はないため、ボディが傷つけられるのを好まないなら、さっさと道を譲ってやるのが利口な姿勢だろう。チンピラに負けてやるのは気が進まないかもしれないが、これがインドネシアなのだ。そんなことも含めて、ジャカルタでは自分でハンドルを握ることをやめるほうがより無難な暮らしを営むことができるはずだ。というより、インドネシアでは最初から「自分で運転するな!」とディスカレッジされているのだから、それに素直に従うのが利口な生き方ということかもしれない。
歴代の正副大統領や大臣たちは公用外出の際に警察の警備が付き、一般道路の通行には国家要人が時間通りに移動して公務を効率よく遂行できるように要人の身柄の警備とスピーディな移動がひとつのパッケージとして警備担当者の職務となり、その結果として平民の通行がストップされることになる。
そこに権力の甘き香りが溶け込んでいるのは疑いもないことだろう。要人本人とその取り巻きにとっては言うまでもないだろうが、警備に就いた警察員もどうしたはずみか、平民に対するアグレッシブさがその度を増す。それを職務に忠実な姿の表れだと世の中が定義付けているなら、民族的な不幸と言えるかもしれない。
ジョコ・ウィドド大統領は、わたしが不幸と呼んだそのありさまを軽減させようとしているようだ。ただし今現在は自分の身の回りについてしか手が回らず、大統領以外の国家要人にまで同じようにせよという指令は出していないようだが。
スハルト大統領以来、歴代大統領の一般道路の移動には、取り巻きと警備が一緒になって14〜15台の四輪車両が要人御一行のコンボイを編成していたが、ジョコウィ大統領はそれを7台まで減らした。
大統領とその家族の警護に当たるのは大統領警護隊(PASPAMPRES)と呼ばれる国軍の主要部隊から選抜されてきた優秀な軍人で構成されている特殊部隊であり、4グループ13支隊と複数の訓練指導官から成っている。
ジョコウィ大統領はボゴール宮殿とジャカルタの大統領宮殿を必要に応じて往復しており、大統領警護隊がその往復の警備に当たる。歴代の大統領はその護送のスタイルを警護隊に任せており、サイレンを鳴らし、うろうろしている平民車両にはクラクションを鳴らして道を開けさせるという姿勢で警護隊は任務を遂行してきた。
大統領以外の要人護送は警察が担っているが、護送任務は大統領警護隊と類似の方法が執られ、知的な警護隊よりもはるかにアグレッシブな姿を示す交通警官も中にはいる。さっさと端に寄らなければ先導二輪警官がまるでぶつけそうな勢いで威嚇して蹴散らすという職務熱心な姿勢をわたしはバリ島のグラライバイパスで目撃している。
庶民派大統領には、そういう権力の甘き香りに酔う行為を認めることができなかったようだ。大統領は警護隊に対し、護送の際のサイレン・クラクションを禁止し、また警察に対して一般車両の交通の流れを停止させることを禁じた。ただし、警護隊が必要に応じて路肩を使ったり、車線をまたいで交通の流れのど真ん中を押通るようなテクニックまでは禁止しておらず、せいぜい交通標識や路面標識の無視程度のことは警護隊の器量に任せており、それがかえって警護隊の創造性を刺激してテクニックの幅を広げさせているらしい。
為せば成るということの一例がそれにちがいない。歴代大統領がだれひとりそれを試みなかったのは、やはり権力の甘き香りにみんなが酔う民族性のたまものなのかもしれない。


「これぞインドネシア」(2016年12月28日)
2016年8月5日付けコンパス紙への投書"Peraturan Abu-abu"から
拝啓、編集部殿。わたしは西ジャカルタ市ジュンバタンリマの住民です。この通りでの駐車違反規則が灰色であるため、わたしは損害を蒙っています。
路肩に駐車すると、都庁交通局の見回りの際に必ずレッカー車で車を運び去られます。しかし通りのあちこちには制服を着た駐車番がいて、駐車を認めて料金を取っているのです。
正しいのはいったいどちらなのですか?駐車をしてもよいのですか、それともいけないのですか?徴収された料金や罰金は、都庁会計・交通局・駐車番のどの懐に入っているのですか?
この状況をしっかり統制してください。[ 都内ジュンバタンリマ在住、ヘンドロ ]


「世界に愛されるガルーダ」(2016年12月30日)
スカイトラックスが新たに設けたThe World's Most Loved Airlinesカテゴリーの第一位航空会社の栄冠をガルーダインドネシア航空が獲得した。
キャビンクルーを評価するカテゴリーは既に存在し、ガルーダ航空はその部門でも栄冠を得ているが、世界に愛される航空会社カテゴリーでは機内でのサービスだけでなく地上でのサービスも合わせて評価される。
スカイトラックスが行った評価は世界420航空会社を利用した450万人に対するサーベイから得られたもので、回答者の評価やコメントを元に総合的な判断が下された。回答者の85%がガルーダ航空を好きだと表明しているとのこと。