インドネシア住居土地情報2004〜09年


「ブカシバラッで外国人向けアパート建設予定」(2004年6月24日)
チカンペッ高速道路ブカシバラッ・ゲートを出ると、そこは大型ショッピングセンターやホテルが集まるスーパーブロック地区。道路の左角に位置するモールメトロポリタンとそれに隣接するホテルホリゾンに並ぶ地所6千平米に、PTメトロポリタンランドがモールとアパートを建設する、と公表した。
モールメトロポリタンIIと名付けられる予定の4階建てモール建設工費は730億ルピア、12階建て150ユニットのアパートは430億ルピアが予定されている。工事の日程は今年8月に着工し、2005年8月完成を目指しているとのこと。PTメトロポリタンランド社は、チカンペッ高速道路沿線にたくさんある工業団地に勤めている外国人勤労者にとってこのアパートは、道路アクセスの便、買い物が容易などといった地の利から高いメリットを有しており、需要は大きいものと見ている。


「新築建造物に対する電気配線検査義務付け」(2004年7月27日)
家屋の電気配線が正しく行われているか、配線器材は正しいものが使われているか?
火事の原因の大半が漏電という事実を踏まえて政府は8月1日からジャカルタとタングラン地区で、すべての建築物が電力公社PLNから電力供給を受ける前に電気配線検査が行われるよう義務付けた。これは電力・エネルギー活用総局長令で定められた電力利用者の新接続および使用電気器具に対する検査プロセスの全国規格実施の一環だ。
この新制度によって、SNI(インドネシア製品規格)合格品を使用し、そして配線検査に合格することが、PLNから電力供給を受けるための条件となる。一般家庭を主体にした低電圧カテゴリーに対してその検査を行うのは「電気配線のための安全国家委員会」略称Konsuilで、建物オーナーが配線工事業者にその検査の受検をオーダーすることになる。受検は有料で、供給電力量450VAは4万ルピア、900VAは4万5千ルピア、1300VAで5万ルピア、2200VAで6万ルピアとなっている。
一方、中高圧電力カテゴリーに対する検査は、電力・エネルギー活用総局が指名したPT PLN、PT Indospec Asia、PT Koneba、PT Depriwangga、PT Sucofindo、PT Findo Daya Inspectionの6社が実施する。Konsuilおよびその6社からなる電気配線検査業者からのリコメンデーションがなければ、PLNは電力供給を行えない。
また既に築後5年あるいは10年を経過した建物に対する検査も、それらの電気配線検査業者は行うことになっている。


「アパートメント市場は活況の兆し」(2004年8月25日)
今年上半期の不動産市場状況は、アパートメントセクターに向上が見られるが、産業用地は停滞している、とイ_ア銀行の報告は述べている。
6月にイ_ア銀行が行ったサーベイでは、賃貸アパートの入居率は前月から2.5%向上して77.7%となり、それにつれて賃貸料も平米当たり月102,410ルピアから108,255ルピアに上昇している。賃貸料は前年同月と比べると、昨年の6月時点でのデータだった96,571ルピアから10%以上上がっていることがわかる。セントラルビジネスディストリクトでアストンラスナレジデンスが80ユニットを市場供給したこの上半期に賃貸料が上昇しているという事実は、市場が活発化していることを示すものとして中央銀行は好観を表明している。一方、アパートの販売価格も上昇を見せており、5月には平米あたり7,419,223ルピアだった価格が6月には7,488,211ルピアになっている。ただしアパート販売が伸びているということでは決してなく、6月のアパート売却率は5月の79.8%から微増の80.0%でほぼ横ばい。
ジャボタベッ地区の工業団地は、アパートメントセクターとはうって変わって、沈滞から脱け出せないでいる。工業団地入居率は、賃貸料が年間で平均12.6%下がっているというのに、84.7%から増えることがない。しかし団地管理会社は強気にも、賃貸料オファーを平米あたり月額20,618ルピアから21,103ルピアに引き上げている。売却率も66.7%でほとんど変化が見られない。イ_ア銀行の報告はそう物語っている。


「外国からの不動産投資はまだ無理」(2004年8月27日)
ジャボタベッの不動産市場は近隣諸国に比べてたいへん低価格であり、不動産業界はビジネス拡大の大きいチャンスを抱えている。たとえば、50平米のアパートはジャボタベッで2億5千万ルピア程度で手に入るが、シンガポールで購入すれば25億ルピアかかる。外国からの不動産投資を誘致することはすぐにでも開始されるべきだが、法制度上で問題がある。外国人の土地所有権が認められていないことだ。一方、土地使用権と土地建築用途権については、外国人に対する有効期限を30年から50年に引き延ばすという方向で検討が進められているのはよいことである。不動産デベロッパー業界者はそのように語っている。
しかし住宅用不動産市場は根強い国内需要のおかげで、ジャボタベッ地区では高い稼働率が維持されている。業界者も外国からの投資誘致がなくとも、販売はここ当面好調に進むだろうと楽観視している。


「不動産業界の再起はブラックマネーのおかげか?」(2004年9月6日)
経済危機以来崩壊していた不動産セクターの昨今の再起の影に、ブラックマネーが混じりこんでいると業界関係者は見ている。
PT Bangun Tjipta Saranaのシスウォノ・ユドフソド社長は、経済危機の際に外国に移された不法な金が、いま不動産市場に舞い戻ってきている可能性は高い、と語る。確かに、最近活発になっている不動産開発をまかなっている銀行ローンの比率は小さく、総コストの中でせいぜい20%ほど。顕著な傾向は、デベロッパーが自己資金でプロジェクトの建設を始め、建物の形が見え始めると販売を開始して消費者の金がそこに流れ込み、建設プロジェクトが進められていくという循環だが、その循環に入ってくる消費者の金の中に、経済危機で国と国民が困窮に耐えていたとき、不正な方法で入手し国外に移し置かれていた6百億ドルの一部が混じっている、というのだ。ともあれ、ブラックマネーとはいえ、それが国内に還流しているという事実は、インドネシア経済が復興に向かっていることを明白に物語っている、とシスウォノ社長は評価している。
反マネーロンダリングの動きが、特に2001年9月11日のWTCNY事件以後世界的に高まる中で、不法な金は不動産に転換するという手段が広まっており、ほかの国に比べてインドネシアは不動産転換を通してブラックマネーを洗濯する場所としての有力候補と見られているようだ。この金のおかげで、デベロッパーは銀行界にローンを渇仰しないでもビジネスを展開させることができている。


「住宅価格も値上がり傾向」(2004年9月8日)
9月に入って、住宅価格が値上がりをはじめている。値上がり幅は12から13パーセントで、業界は建設資材と労賃が上がっているため、と説明している。資材は15から17パーセント、労賃は10パーセントアップしており、赤字ビジネスはできないため売値に転嫁せざるを得ない、との説明。
床面積36平米の簡易住宅RSSタイプ36はこれまで3千6百万ルピアだったが、その価格ではもはや27平米のRSSタイプ27しか買えなくなっている。コスト面では、場所によって多少の違いはあるものの、砂が立米あたり8万ルピアだったものが9万5千ルピア、10ミリ径長さ6メートルの鉄筋用鉄線が一本2万7千から3万1千、ラミン木材は立米あたり100万から120万、そして職人頭の日当は一日一人4万ルピアから5万ルピアなどとすべて上昇傾向にある。
一方、640万軒と言われる全国の住宅需要は供給をはるかにしのいでおり、そこにきて昨今の金利低下から住宅取得ローンの年利率が9から12パーセントと低下しているために、休眠需要に火がつけられたかっこうになっている。2億ルピア未満の住宅購入は2003年が3万5千軒だったのに、今年は8月までで既に4万5千軒に達しており、また年々80万軒の新規需要が生まれていることから、価格調整についてデベロッパーは強気の姿勢を示している。


「首都近郊分譲住宅の売れ行きがダウン」(2004年9月27日)
3億ルピア程度の価格で売られている都内のアパートのおかげで、ジャカルタ郊外の開発分譲住宅の売れ行きが陰りを見せている、とデベロッパー界が嘆いている。インドネシア・リアルエステートのダルマスティアワン・バヒル事務局長は、ジャカルタ郊外で住宅販売を行っているデベロッパーからそんな苦情がきている、と認める。しかし同事務局長は、そのような競争はきわめて自然なことであり、苦情を言うよりもたとえば有料道路チケットをある期間無料提供するといった企画を出してデベロッパーたちは太刀打ちするべきだ、とコメントしている。その反対に都内のアパートが、中には平米8百万ルピアといった高価な金額であっても強い売れ行きを示していることに同事務局長は驚嘆を隠さない。「経済危機で資金を海外に置いていた投資家がインドネシアに戻ってきたことをそれは証明しているにちがいない。」と語る。
不動産ブローカー会社レイ・ホワイト・インドネシアのチーフオペレーティングオフィサー、サリ・デウィもアパート販売の急激な伸びを物語る。「今一番売れているのは3億ルピア台のアパートです。ここの中産階層はそのレベルの高層住宅を求めており、かれらの選択のキーファクターは職場へのアクセスの容易さなんです。今年の総選挙も、かれらの住宅購入を手控えさせる要因にはならなかったようで、自己使用あるいは投資対象として、3億ルピア台のアパートは引く手あまたとなっています。」とサリは語る。
不動産ビジネスオブザーバーのパナギアン・シマヌンカリッは、都内でのアパート建設増大で郊外の住宅建設が低下するという現象は2002年から始まっていた、と言う。「そのころから都内のアパート販売にドライブがかかり、中には建設開始とともに販売も開始するというところも出てきた。2003年以降現在に至るまで、都内のアパート建設が盛んになるに伴って、郊外住宅のシェアは低下を始めた。そのため郊外住宅デベロッパーは対抗手段として住宅エリア開発プロジェクトの中に新たなテーマを持ち込み、住民に廉価で利用されるファシリティを建設するという試みが行われ、あるいは適切な価格での新たなクラスターを用意するといったことも始められている。特にタングラン県のブミスルポンダマイ(BSD)はその後者の代表例と言える。」不動産コンサルタント、パナギアンコンサルティンググループ社長であるパナギアン・シマヌンカリッはそのように解説している。


「日本の年金生活者は不動産販売の好マーケット」(2004年10月7日)
日本の年金生活者は外国にパーマネントレジデント資格を得て居住することを望んでおり、国内不動産業界にとって大きなビジネスチャンスがそこにある、とシスウォノ・ユドフソドPTチプタバグンサラナ社長が語った。そのコメントによれば、日本の年金生活者の大部分は高額の年金に支えられて外国で老後を過ごすという選択を望んでおり、インドネシアはタイ、シンガポール、マレーシアなどと並んで、かれらのチョイスのひとつになっている、とのこと。日本人がどうしてそれらの国を選ぶのかについて同社長はその理由を、老後のプライバシー、安い生活費、新しい環境などと数え上げ、中でも平均余命の増加が、かれらが生活費の安い環境に住みたいと希望する強い理由ではないか、と説く。既に諸外国の不動産業界はその需要を刈り取らんとして売り込みを開始しており、インドネシアの業界も早々にそのマーケットへの売り込みを開始するべきだ、と語った。日本で一回ゴルフをプレーすれば少なくとも4百万ルピアの費用がかかるのに、インドネシアでは40万ルピアで済む、といったメリットは必ずやインドネシアに魅力を添えるに違いない、とも同社長はコメントしている。


「借家のジレンマ」(2004年11月22日)
住居を貸すこと借りることは世界のどこへ行っても行われている。しかしインドネシア、特に首都圏の一部の階層では、貸す側にとっても借りる側にとっても、たいへんなリスクにつきまとわれているのを否定する人はいない。借家人との契約期限が満了したあと、その住居がまともな状態で戻される保証はない。汚れている程度ならまだラッキーだ。扉は壊され、窓ははずされ、取り付けられている器具調度が消えてなくなっているかもしれない。それどころか、巨額の電話代電気代を滞納したまま期限満了前に姿をくらます借家人に大損を食らわされることもある。
一方借家人にも、前払いした一年分の家賃に見合う住居に住める保証もない。雨季に入ると毎日雨漏りし、配管や蛇口が水漏れし、セプティッタンクが詰まり、借家人のせいでもないのに家主は何もしてくれず、身銭を切ってなおさなければならないということも起こる。
狭い路地の借家はそうかもしれないが、アパートはいくらなんでも、と思う人はご用心。アパートには建物メンテナンスの担当者が置かれて、問題があれば世話してくれると思ったら、それはアパートの全室が完売されるまでのこと。アパートの全ユニットが売り切れると、メンテナンス係りの姿は見えなくなり、問題が発生して電話しても口先だけの返事しか得られなくなる。
インドネシアの住居賃貸は、入居時に家賃一年分を前払いするだけ。礼金・敷金などといった制度は存在しない。預託という約束でも一度相手に金を渡すと期限満了後もなかなか戻してくれないという社会だから、保証金という制度は一般庶民の暮らしの中に確立されないでいる。
電話代電気代にしても、テルコムやPLNとの契約名義人は住居のオーナーであり、請求書は必ずオーナー宛に来ることになっている。電話機があることを要求する借家人に対しては、中古の安い携帯電話器を渡し切りにし、お好みオペレータのカードを自分で買うようにさせている家主が増えているとのこと。
電気代は、借家人が家主の請求を滞納すれば、家主は送電を止めるようPLNに頼めば良いのだが、その手続が一筋縄ではいかず、そしてPLN側も送電を止めたくないので対応はスピーディでない。
住居の故障に関するフェアな対応を調停する機関も、インドネシアにはまだ存在していない。ここにも、押しの強い人間の意志が通りやすいという密林の掟が反映されているのが実態だ。


「スティアブディに高級アパート」(2004年12月20日)
PTジャカルタスティアブディインターナショナル社が、メガスティアブディコンプレックス内の1Haの土地にふたつのタワーから成る高級アパートを建設する。ふたつのタワーはそれぞれ26階と28階建てで、合計3百ユニットのアパートメントハウスが用意される。建設工事は来年1月に開始され、2006年12月竣工の予定であり、日本、シンガポール、アメリカの会社がそのコントラクターになっている。設計では床面積82平米の二寝室タイプと140平米の三寝室タイプがあって、豪華なインテリアを備えた高級アパートとして建てられる方針。プレステッジを持つクニガン地区に建てられるこの高級アパートは平米あたり1千万ルピアあまりの価格で販売されており、ストラタタイトル売り渡しは1ユニット7億から20億ルピアの価格が付けられている。クニガン地区のアパートが平米あたり7百万から1千万ルピアという現行相場から見れば、このアパートは最上級階層に照準を当てたものと言える。
スティアブディレジデンスと名付けられたこのふたつのタワーアパートは同社が行っているメガスティアブディコンプレックス開発構想の一部をなすものであり、同社はこのエリア開発を大都市の中に住民社会の活動センターを設けるという主旨で行っている。業界の恒例である建設開始前に既に売り出すというスタイルが踏襲され、3百ユニットの40%が販売済みとのこと。
このジャカルタスティアブディインターナショナル社は、アパルトメンクニガン、アパルトメンスティアブディ、プラザスティアブディ、プラザメンテン、メガクニガン、アンチョルとバリ・サヌールのホテルラディンを所有経営し、また子会社を通じてメルキュールコンベンションセンター、バリハイヤット、バリグランドハイヤット、ジョクジャのハイヤットリージェンシー、プルマタヒジャウ・リアルエステート、タマンプルマタブアナ、タマンプリスティアブディ、アパルトメンムナラブディ、ムナラチャクラワラ、バリガレリアヌサドゥア、メガクブンジュルッなどの不動産を所有している。


「廉価アパート又貸し摘発作戦を都庁が予定」(2005年2月19日)
都庁住宅局は、管下の廉価アパート7千軒に対する訪問調査を実施する、と都議会第D委員会でのヒヤリングの際に公表した。貧困者に対して都が用意した補助金付きアパートが貧困者より裕福な無資格者に又貸しされているのを摘発しようというのだ。無資格者による違法居住は全7千軒の70%にのぼっているのではないか、と同局は見ており、ハリ・サソンコ局長は、違法居住が発見され次第、そのアパートに対する補助金は停止する、と述べている。
都庁がその予算で建設した貧困者向け廉価アパートは、床面積21平米のものは建設コスト3千万ルピアの半額である1千5百万ルピアで売却され、また賃貸は月額9万ルピアが公式レートになっている。
都議会は住宅局の計画に対して賛同の意を示し、たとえば6ヶ月に一度というようにもっと頻繁に行われてしかるべきだ、と同局を力づけた。更に、河川敷を不法占拠して居住している4万世帯にも住宅を供給しなければならない、と都議会は要求したが、同局長は都の予算では4千軒しか用意できない、と答えている。 都内には国有住宅建設会社Perumnasが経営する補助金付きアパート1万3千軒も別途存在している。


「シンガポール不動産顧客第一位はインドネシア人」(2005年2月24日)
2004年にシンガポールの不動産購入を行なったインドネシア人は530人おり、下は50万Sドルから上は200万Sドルまでの総計3兆ルピアが支出された、とシンガポールの業界者が語った。シンガポールで不動産を購入した外国人の中で、インドネシア人は香港人をおさえてナンバーワンになっている。購入対象になったのはアパートやコンドミニアム、オフィスなどで、中にはひとりが数件を購入したというものも混じっている。シンガポールの法規によれば、不動産取得には便宜がはかられており、外国人の住宅取得に対しては70%までの銀行ローンが可能になっている。おまけにローン金利は年1.2から3%という低いものであり、政府の方針が徹底して行なわれているため、インドネシア人にとっては住宅取得、オフィス購入、投資目的などの動機を持つ場合、行動が起しやすい状況になっている。またシンガポールのデベロッパーはインドネシア人に対して物件のマーケティングを行なう際には、ローンの世話や銀行への推薦状などを用意するのが普通の手順になっている。


「特集 アパートメント」(2005年3月23日〜4月29日)
都内のあちらこちらで摩天楼の建設が続く。その多くがアパートメントハウス、日本人にはマンションと言う方が通りがいいかもしれない。ジャカルタにとってアパートはもうオーバーサプライだ、との声も強いというのに、新規建設工事は続いている。不動産デベロッパー業界はいったいどんな計算をしているのだろうか?
都内の道路混雑がひどくなればなるほど、通勤時間の軽減を図って人は職住近接に傾く。都心部で働く人たちには、できれば通勤時間をスポーツや娯楽に使いたいという要求が高まるのは当然で、そんな希望は都内のアパートがかなえてくれるという寸法。別の理由は預金金利の低下だ。低金利時代では、持てる資金をもっと有効な投資に振り向けたいという欲求も高まる。不動産への投資は明らかにその一角を占めている。そして2004年に行なわれたデモクラシーの祭典を見る限り、かつての暴動はもう昔がたりに思えてくる。プロパティを持ってももう大丈夫だろう・・・・
BPPN(銀行界再建庁)から変身したPT Perusahaan Pengelola Aset(国有資産運営会社)のアドラー・シアハアンは、今年竣工予定のアパートが勢ぞろいすれば、アパート市場は過剰供給になる、と言う。その最大の理由は、ストラタタイトルアパート購入者の動機にあるそうだ。ストラタタイトル(区分所有権)とは一区画の土地の上に建てられた高層住宅の個別ユニット資産に対して個別の権利分与を認める所有権分割システムであり、この制度によってアパートの各ユニットはそのセクションの所有権を保証するサーティフィケートが与えられ、売却や賃貸などの権利移管が認められる。そんなストラタタイトルアパート購入者は、直接本人が使う場合と、購入しても入居せず値上がりを待って売却しようとする投資目的のふたつに分かれ、そして実態としては投資目的の購入がはるかに多い、とアドラーは語る。ただし過剰供給はマクロレベルの話であり、実際は有力業者を主体に多くのデベロッパーが建設中の物件は工事完了前に売り切れてしまうだろうし、そして供給過剰から販売価格がダウンしても、CentralBusinessDistrictをはじめ都内の要所にあるアパートの賃貸料にはあまり影響が出ないだろう、ともコメントする。
不動産コンサルタント会社PT Procon Indahのアスウィン・ウィジャナルコ取締役は、セグメントによるとはいえ、高需要はまだ継続する、と言う。2004年第四四半期時点での総供給数はストラタタイトルアパートとタウンハウス15,676ユニット、サービスドアパート2,110ユニット、賃貸用アパート3,762ユニットとなっているのに対し、需要はCBDのサービスドアパートが活況を呈した以外、全般に物寂しい状況だった。今年は高級コンドミニアムの完成で二次賃貸マーケットの競争が激しくなるだろうと予想されている。メディテラニアガーデンレジデンス1の2,694ユニット、ムティアラメディテラニアが110ユニット新規に供給ラインに加わるため、物件にはますます事欠かなくなる。地理的に優位にあるコンドミニアムへの需要、そして価格競争力のある中級や中の下クラスのアパートに対する需要も今年は高まるだろう、とアスウィン取締役は見ている。
デベロッパー側の見方はどうだろうか?ほとんどのデベロッパーが、作れば作るほど売れる、ときわめて楽観的な市場観を持っているようだ。それはこれまでの歴史が如実に示している。
もともと買って住むためというよりも、外国人勤労者向け賃貸用としてジャカルタのアパート建設が始まった。それが変化したのは1990年代に入ってから。そして都内に一棟二棟のタワーが散在するアパート地図は、2千8百ユニットのタマンアングレッアパート、5千ユニットのタマンラスナアパートの出現で塗り替えられていった。経済危機以前の好景気はプロパティ投資熱をあおり、年々増加するエクスパットへの米ドル建て賃貸や留学帰りのヤングエグゼキュテイブ層向け賃貸市場が形成された。当時のアパート建設立地として外国人が多く居住するエリアが優先されたのは、南ジャカルタのTBシマトゥパン通りにアパートメントが林立した事実が証明している。クマン地区やポンドッキンダ地区に近く、一次販売はドル建てで値付けされ、平米当たり1千ドルの値がついた。
ところが1997年の通貨危機でルピアが破綻し、ドル建て債務を持つデベロッパーはばたばたと倒れていった。しばしの眠りに就いたプロパティビジネスが目覚めたのは、2001年初に再開されたITCチュンパカマス工事。そして道路をはさんで向かいにあるクラパガディン地区でのメディテラニアアパート建設がそれに続いた。デベロッパーであるスンテルアグンポドモロが決然と動き始めた事実を目の当たりにして、建築業界に活気が戻った。バリ爆弾テロ、ホテルマリオット爆弾テロにもその活気は萎れることなく、マリオットの近くにはべラジオアパートが造られて多くの購入希望者を集めた。今やアパート購入者は上流階層から中流へと拡大し、需要の広がりは多くのデベロッパーを強く元気付けた。
2000年初には都内におよそ2万5千ユニットのアパートが供給されていたが、一次販売は高い比率でなされたといえ、入居率はおよそ50%。ストラタタイトル販売からサービスドアパートへの転換という形でデベロッパーはそんな状況への対応策を取った。2006年までに完成が予定されているアパートからは3万ユニットが供給戦線に加わる。そのリストは下のように長大だ。
中央ジャカルタ
Mediterania Gajah Mada, Mediterania Palace, Sudirman Park, Midi Kemayoran, Pallazo
ジャカルタ西部
Garden Mediterania, Semanan. Serpong Town Square, City Resort
ジャカルタ東部
Puri Elok-Cakung, Blue Oasis City, Mega Bekasi, Metropolitan, Mutiara Mas
ジャカルタ北部
Gading Mediterania, Pantai Mutiara, Mediterania Lagoon Residence, Gading Resort Residence, French Walk, Lagunan Pluit, Royal Tower Riverside, Pluit Kencana, Teluk Intan, Mediterania Boulevard, Summit Kelapa Gading, Kelapa Gading Square, CBD Pluit, Mediterania Marina
ジャカルタ南部
Bellagio Mansion, Bellagio Residence, Grand Permata Hijau, Pakubuwono Residence, Pinnacle, SCBD Suites, Sudirman Mansions, The Peak, Cassablance Mansion, Pearl Garden, Bellezza Apartment, Senayan Residence, Hollywood, Poin's Apartment Ambassador Cosmo, The Capital Residence
1970年代から2000年までに供給されたアパートは2万5千ユニット。その間を実質的には20年と見ても、2000年以降に供給ラインに加わる3万5千ユニットと比べれば、その密度の違いは歴然と目に映る。1990年代に入ってから首都ジャカルタのインフラ開発はすさまじい進展を遂げた。街中を自動車専用道路が貫通し、主要道路の両側には摩天楼が林立した。ただし当時建てられたビルの多くはオフィス用やショッピングセンターなど商業用のものがメインを占め、居住用のビルはマイノリティでしかなかったのだが、いま通貨危機を経て再び立ち上がったビル建設のマジョリティは居住用とモールやトレードセンターで占められている。とはいっても、居住用ビルに比べれば、実はショッピングセンター建設のほうがはるかに勢いがすさまじい。1980年代から2000年までにショッピングセンターの総床面積は250万平米に達していたが、その後の4年間で350万平米が新たに造られ、2005年から2007年までには更に450万平米が追加されようとしているのだ。2000年を境にした前と後ではそのような変化が起こっていたが、違いはそればかりではなかった。
1993年から1996年までの間、プロパティ業界では92兆ルピアの資金が動いていたが、そのうちの70兆は借入金に由来していた。そんな背景を持った資金の用途は土地買収と建設工事費がメインで、長期回収が必要なそれらの項目に比較的短期の資金が使われるというミスマッチは危険な綱渡りを招く傾向にあり、そのような体質が通貨危機によって75兆ルピアの焦げ付きを生み、国家経済の一大崩壊を招いた素地でもあった。そのため1997年に経済崩壊を予見したイ_ア銀行は、即座に銀行借入を用いた土地買収を禁止する規制を行っているが、時すでに遅かった。それはともあれ、その規制も一因をなしているのは疑いないものの、いまや業界の資本投下は160兆ルピアに跳ね上がったというのに、銀行借入分は60兆しかない。デベロッパーの自己資金と着工後すぐに行われる前売りで集められた資金が建設に使われているのだ。1ユニットが20億ルピアを超える高級アパートの場合、総ユニット数の40から45%が売れればコスト回収が終わる。竣工前に完売などという話を聞けば、デベロッパーがどれほど巨額の利益を手に入れたか想像がつこうというものだ。
通貨危機が起こったとき、オルバ治世下に膨大な富を築いた人々が、いや中にはその危機のドサクサをぬって大きい富を手中にした人も、こぞって富を国外に移し、総数百万人に満たないかれらがひそかに海外に動かした資金総額は6百億米ドルと言われている。その海外移転闇資金が2001年からふたたび立ち上がった建築業界に還流してきている、という話はもう公然の秘密となっている。
1999年以降プロパティセクターで投下された資金は、政府の国民向け住宅建設に38.1兆ルピア、ジャボタベッ地区のショッピングセンターに32.9兆ルピア、ジャボタベッ外のショッピングセンター26.9兆、店舗住宅(ruko)オフィス住宅(rukan)22.9兆、ジャボタベッ地区のアパート15.1兆、ジャボタベッの商業用ミックスユーズ5.4兆、ジャボタベッのホテル建設はわずか1.9兆となっている。
2000年を境にプロパティ業界で起こった変化は他にもある。実はそれ以前と以後でプレーヤーが交代した。かつてのデベロッパーが同じ社名で活動を再開したところも決して少なくないが、その多くは先代社長からその子供へという世代交代が起こっている。それもプレーヤーの交代という概念に含めておかしくはないだろう。
インドネシアのプロパティセクターで、2000年から2004年初までの間にどれだけの資本投下を行ったかを比べて見たとき、他を圧倒してナンバーワンの地位に立っているのは、トリハッマ・ハリマンが率いるアグンポドモログループで、かれの手になる建物は総額8兆ルピアの資本が附いている。ジャカルタのMangga Dua Square, Plaza Semanggi, Lindeteves, Waduk Melati、バンドンのBraga City Walkなどは商業施設だが、トリハッマの本領発揮はPakubuwono Residence, Sudirman Park, Gading Mediterania, Permata Mediterania, Kemayoran Mediterania, Apartemen Menteng, Apartemen Tanjung Duren, The Peakなどの中級高級アパートで、そのためかれは業界でアパート建設王の異名を取っている。55階建てツインタワーからなるThe Peakは、完成すればインドネシアでもっとも背の高いアパートになる予定。トリハッマはジャカルタコタで繊維事業を行っていた父親の家業を引き継ぎながらデベロッパービジネスに乗り出してきた鬼才で、業界有力者の大半が二代目という環境の中では異色の存在と言えるだろう。
その下に来るのは4兆から6兆ルピアというデベロッパーたちで、ヤン・ダルマディ、グナルソ、スギアント・クスマ、タン・キアン、ムフタル・ウィジャヤ、アレックス&メリンダ・テジャ、チプトラといった顔ぶれがこのブラケットに入っている。
ヤン・ダルマディはPerkantoran Setia Budi, Mega Kebun Jeruk, Apartemen Setia Budiなど、都内スティアブディ地区の開発をメインに手がけている。グナルソはガプラプリマグループの総帥で、The Bellezza, The Bellagio, Serpong Town Squareなどをものしている。スギアント・クスマはDarmawangsa Square, Mangga Dua Square(アグンポドモロと共同)、タン・キアンはマリオットやリッツカールトンホテル、Sudirman Residence, Airlangga, Plaza Asiaなどを手がけている。スラバヤで活動しているパクウォンジャティグループの総帥テジャ夫妻はPlaza Tunjungan, Pakuwon Trade Center, Supermall Pakuwon, Apartemen Sheratonなどを建て、シナルマスグループ創建者エカチプタ・ウィジャヤの御曹司ムフタル・ウィジャヤが率いるドゥタプルティウィはいまや都内のいたるところに散在しているITCを建てまくった。ドゥタプルティウィのインターナショナルトレードセンターはマンガドゥア、ロキシーマス、ファッマワティ、プルマタ、チュンパカマス、クニガンなどあちらこちらでお目にかかることができる。
ジャカルタで一番高価なアパートは、言うまでもなくインドネシアでもトップということになるのだが、スディルマン通り沿いに聳え立つフルファーニッシュドのApartemen Da Vinci。PT Davincindo Nusantaraが建てた34階建てのこのアパートのお値段は発売当時2百億ルピア。2004年に発売されたアパートの大半は平米あたり7百万から1千5百万ルピアの価格で、クラパガディンのGading Resort Residence、北ジャカルタのPantai Mutiara Apartemen、プルマタヒジャウのThe Bellezza Apartment、メガクニガンのBellagio Residence、南ジャカルタのSenayan Residenceなどをはじめとして、メガクニガン地区のBellagio Mansionは1ユニットの価格が19億から150億ルピア、Pakubuwono Residenceは21億から150億ルピア、Apartemen Airlanggaは80億から160億ルピアといったレベルだった。そのころApartemen Senayan Residenceはまだ形もできていなかったが、総ユニットの6割が早々と売れた。スティアブディ地区のチェースプラザから150メートルほど離れた場所に建設中の55階建てツインタワーThe Peakは礎石工事段階で7割売れ、Sudirman Parkも同様で、ツインタワーのひとつは9割、もうひとつは6割が礎石工事中なのに販売済みとなり、Pakubuwono Residence5棟も工事中に70%以上が売れた。「デベロッパーに信用があれば、絵を見せるだけで客はすぐ買ってくれる。しかもキャッシュで。」PT Sumber Mitra Realtindoのヤン・モギ社長はそう豪語する。確かに都内のアパートはそのほとんどが、現金一括払いもしくは現金分割払いで売れているのだ。
CBDのようなプライマリーエリアに場所を取ったThe Capital Residenceは、「活動的で成功したソフィスティケートライフを望む人のための住居」を謳い文句に2005年1月から販売を開始したが、プランバナン寺院をイメージしたデザインに総ガラス壁で、各ユニットにはプライベートリフトが設けられるという豪華マンション。全258ユニットの4割が販売済みだそうだ。プライマリーエリアでなくとも、The SummitやMediterania Garden Residence(MGR)も好調だ。クラパガディン地区の中央部、モールクラパガディン1〜3に近いロケーションにクラパガディンの地域デベロップメントを管掌しているPT Summarecon Agungが建設しているThe Summitは二階1ユニットのいわゆるロフト形式。ロフト形式はペントハウスに限定されることが多いが、ここは下から上まで一貫したコンセプトを採用している。一方西ジャカルタのモールタマンアングレッとチトラランドにはさまれたタンジュンドゥレン地区にアグンポドモログループが建てているMGRも高い人気を博している。MGR1は既に完売で、今度はMGR2に取り掛かっているが、2004年11月から発売したMGR2はもう1千ユニットが販売済みであり、あと三分の二も完売疑い無しと同社は自信の程を見せている。
今販売中のアパートメントは下のような価格になっている。物件によるとはいえ、毎年10%ほど値上がりするという定説を示しているものも下にはある。(データは2005年2月18日付コンパス紙から)
アパートメント/ロケーション/ユニット最小床面積/ユニット最大床面積/最廉価ユニット価格/最高値ユニット価格
The Pakubuwono Residence / Kebayoran / 152 / 1010 / 2,400 / 18,000
The Bellezza / Permata Hijau / 122.5 / 574 / 1,420 / 9,528
The Bellagio Residence / Mega Kuningan / 56.6 / 207.9 /4,200 / 8,800
The View Executive Residence / Kemayoran / 45 / 650 / 300 / 6,000
The Bellagio Mansion / Mega Kuningan / 198.8 / 311 / 1,100 / 4,500
The Westin Residence / Thamrin / 114 / 235 / 1,800 / 4,200
The Peak / Setiabudi / 82 / 232 / 1,212 / 3,530
The Capital / SCBD / 151 / 322 / 2,000 / 3,000
The Pinnacle Sudirman Place / Sudirman / 68 / 218 / 1,000 / 3,000
The Summit / Kelapa Gading / 104 / 212 / 1,114 / 2,485
Setiabudi Residence / Kuningan / 82 / 147 / 911 / 2,135
Eminence / Darmawangsa / 65 / 176 / 489 / 1,533
Poins Square / Lebak Bulus / 81 / 136 / 745 / 1,384
Aston Rasuna Residence / Kuningan / 73.8 / - / 882 / 1,069
Holiday In Residence / Blue Oasis City Bekasi / 42 / 86 / 400 / 900
Casablanca Mansion / Casablanca / 42.7 / 80 / 390 / 813
Apartemen Pallazzo / Kemayoran / 70 / 121.6 / 418 / 755
Apartemen Rasuna / Kuningan / 56.2 / 89.7 / 413 / 686
Mediterania Garden 2 / Tanjung Duren / 35.5 / 70.5 / 200 / 450
Serpong Town Square / Serpong / 33.1 / 76.3 / 166 / 411
Time Square Residence / Cibubur / 45 / 65 / 169.7 / 286.7
Semanan Indah / Semanan / 15 / 49 / 73.2 / 256.6
(床面積は?、価格は百万ルピア単位)
アパートメント購入動機はさまざまにある。そこに住むため。だが中には、そこに定住するのでなく、郊外の自宅から都心の職場に通う際に通勤地獄で浪費される時間とエネルギーをセーブするために、ウイークデイに寝泊りする場所を得ることを目的とする人もいる。かれらは言うまでもなく、週末にはすでに郊外に持っている一戸建ての家に帰るのだ。そんな目的なら、高価な豪華マンションを求める必要もない。かれら中産層をターゲットにしたアパートメントは増加傾向にある。ましてや中には、行政府が貧困層救済を目的に建設した積層集合住宅を廉く借りて住む者までいる。これはもちろん規則違反なのだが・・・・
一方、投資目的にプロパティを購入する人もいる。「不動産は値下がりしない」「良い物件は年々10%値上がりする」などといった神話に近い言葉を護符代わりに、ひたすら購入した物件の値上がりを待っている人もいる。あるいはエクスパットにドル建て賃貸を目論む人もいる。アパート一棟の中で数ユニットを購入し、自分はそのひとつに住んで他のユニットを賃貸する人もいる。
それらのいずれのパターンにせよ、アパートメント購入動機を抱いてしまった人にとって、通らないでは済まされない関門がいくつかある。建てられた広壮な建築物の法的バックグラウンドを確かめておくことはその第一歩だろう。ブロックプラン(Block Plan)、予備承認(Izin Pendahuluan)、建築許可(IMB=Izin Mendirikan Bangunan)、土地権利証書(普通はHGB=Hak Guna Bangunan建築使用権だ)。立地条件、地域環境、交通の便などを調べるのは言うまでもない。もし外国人への賃貸を想定しているのであれば、外国人が良く訪れる場所との位置関係も検討条件に含まれる。中でも雨季に頻発する出水がアパートの出入りにどう影響するかということは重要な問題になる。デベロッパーが誰かということもひとつのポイントだ。定評あるデベロッパーは他に比べて良い仕事を残しているからで、その意味で建築物の質的レベルを計るひとつの指標となる。そしてもうひとつのポイントは、アパートメントのマネージメントレベルだ。これについてはアパート側の一方的な説明だけでなく、他の入居者からの情報が望まれる部分でもある。では外国人がアパートメントを購入することは可能なのだろうか?
まず最初に立ちはだかる問題は所有権がどうなるのか、ということだろう。インドネシアの法律では、プロパティに関連して外国人に与えられる権利は25年を期限とするHak Pakai(使用権)のみとされており、その期限は同じ年数で一回延長することができる。しかしデベロッパーが持つ土地権利証書の名目は建築使用権となっているため、外国人名義の権利証書を手に入れようとしても気が遠くなるようなプロセスと時間の消費が待っているばかりであり、そのため、よく行われている方法は、インドネシア国籍者あるいはPMA会社が代理人となってアパート側とコンバーティブルリース契約を交わす形式だ。
次にプロパティ購入に関連して発生する税金も知っておかなければならないことのひとつだろう。デベロッパーからの購入に際しては、所得税10%と奢侈品税が課税される。ところが一次購入者から買った場合は、行政側の定めるNJOP(課税対象販売価額)に対する10%の所得税を納めなければならず、その税金は販売者と50−50で折半されている。奢侈品税の再課税は行われない。そうやって入手したアパートに外国人が自分で住むも良し、賃貸しするのもまた良しではあるが、最近の国税総局は徴税意欲に凄まじいものがあるので、賃貸収入が発生する場合は税務処理のことを気に留めておいたほうが良いだろう。
アパートはオーバーサプライだ、という専門家の声をよそに、一等地に建てられている多くの高級マンションは完成前の発売で数週間後には大半のユニットに買い手がつくという状況を示している。これはいったいどういうことなのだろうか?
その鍵は、特集第一回にも述べられているように、購入者の動機にある。「自分が住むため」という需要を見る限り、需給関係は明らかに供給過剰だが、投資目的の需要は満たされているというには程遠い状況にある。賃貸や再販のためのプロパティ投資家需要はそれほど大きいと言うことができるだろう。しかし言われているように「不動産は値下がりしない」「良い物件は年々10%値上がりする」などといった神話に乗ったあげくにほぞをかんでいる投資家も現実に存在しているのは事実だ。Apartemen Taman AnggrekやApartemen Permata Senayanにその典型例を見ることができる。大半のユニットが売れたというのに、入居しているのはほんのひとにぎり。タマンアングレッは入居率30〜40%で空室ばかりが目立つ。重厚なタワーが林立するデザインだけに、夜間の都内リングロードからは灯りの点在がひときわ強い印象を与えている。プルマタスナヤンも、入居者用駐車場が2フロアあるが、ひとつは閉められたまま。開けているほうも8割程度しか埋まっていない。
だが賃貸用プロパティ所有をアパートメントと一戸建てで比べてみるなら、アパートの回収効率のほうが優れていることがわかる。クニガン地区の4億ルピアのアパートを賃貸しすれば、年間6千万の家賃収入が入る。一方トゥベッ地区の10億ルピアの家屋を賃貸ししても、得られるのは年間7千万。立地条件や品質的にもっと優れた物件だと、投資回収効率は更に向上する。南ジャカルタ市クバヨランバルにあるパクブウォノレジデンスの広さ150?金額21億ルピアのユニットを貸せば、月2千5百ドル前後の家賃が手に入る。しかしたとえばクマヨランで家屋を賃貸しても月1千5百ドル程度にしかならない。
ともあれ、首都の賃貸用アパートメントの入居状況はここ一年間70から80%の間にあり、それ以前はたとえば2003年第一四半期が64.8%、第二四半期65.9%、第三が67.0%、などといったレベルだったから、需給関係は好転していると言えるだろう。2004年中盤時点の都内賃貸アパート総数は15,168ユニットで、2004年第二四半期に賃貸契約が結ばれたのは4,960ユニット。賃貸料はさまざまで、立地の良いところは平米あたり一月13万ルピア前後、場所が劣っていれば平米一月9万ルピア前後といったところだった。2004年後半以降では平米あたり一月10万5千ルピアの線上にある。
バタビアとして建設されたジャカルタはオランダ時代から拡大を続けており、独立前の時代では今のムルデカ広場周辺が政治の中心、商業地区としては今のチキニ通りが中心をなしており、トップクラスの政治家、実業家、行政高官たちはメンテン地区に豪奢な家を持って住んだ。その下の階層はグントゥルやマンガライ地区を居住地区とした。一方グロドッやパンチョランに店を営む印華人たちは、マンガブサール、クブンジュルッ、ジュンバタンリマなどを居所に選んだ。それは仕事場と住居が近接していることを可能にするジャカルタの古き良き時代だった。
住宅地区には学校、病院、商店街など、社会生活に必要とされるファシリティが近くに設けられた。東ジャカルタで言うなら、ジャティヌガラに市場があり、近隣には有名学校がいくつか建ち、事務所やサービス業、そして小規模工業がマトラマン通りからチャワンに至る道路沿いに軒を並べ、そこから一歩奥に入った道路の裏には住宅地区が形成された。 20世紀の後半に入ると、ジャワ島内の各地から首都に向かうアーバン化の流れが激しくなり、ジャカルタは新たな住宅地区を必要とするようになった。その手始めがプルイッとムアラカランで、沼沢地を埋め立てて整然と区画された新興住宅地がそこに誕生し、国内各地に商品を送り込む通商センターにのし上がったグロドッやパサールパギ、あるいはカプッやジュンバタンドゥアに作られた中小工場地区を職場にする人々のベッドタウンとしての機能を果たすことになった。プルイッ住宅地区建設の成功は、南ジャカルタのポンドッキンダ、北ジャカルタのクラパガディン、西ジャカルタのグリーンビルといった後継プロジェクトへとつながっていったが、そのころになるともはや職住近接の百パーセント実現は夢のまた夢と移ろいでいった。
ジャカルタで一旗あげようと地方から出てきた上京者、学歴にふさわしい職を求める地方の大学を卒業した学士たち、首都で事業を興し、あるいは支店を出そうとしてやってくる事業家。大きいポーションを占めるかれらが新たな住宅需要を形成したが、職場に近い住居を得られる幸運は一握りのひとたちの頭上にしか輝かなかった。スプロール現象が始まり、首都の周辺郊外地区には続々と新興住宅地が造成された。タングランではブミスルポンダマイ、アラムストラ、モデルンランド、リッポカラワチ、ブカシではクマンプラタマ、タマンギャラクシ、リッポチカラン。そして首都とブカシ、首都とタングランを結ぶ自動車専用道路が建設された。
ところがそのように離れてしまった職住の間を往復するミドルクラスは、貧弱で非能率な公共運送システムに直面することになる。通勤の快適さを求めて自家用車購入に走る人が増え、自動車の急増は限られた道路スペースに渋滞を引き起こし、こうして自家用車族を時間とエネルギーの浪費という不経済が見舞うことになった。早朝まだ暗いうちに家を出て夜の9時10時に帰宅するというむなしさを抱えた生活に疲れたひとびとは、ふたたび職住近接への強い動機付けにさらされ、かれらミドルクラスを対象にした中級アパートの需要が成長していったのである。
そんな需要をとらえようとして、デベロッパーも供給を図る。アグンポドモログループがクマヨランやタンジュンドゥレンに建てた中流層向けアパートは好評を博している。 カレッパサルバル、スギティガマス、クラパガディン、トマンなどにもミドルクラス向けアパートが続々と建設中で、価格は2〜10億ルピアといったレベルだ。PT Intersatria Budi Perkasa Muliaのカサブランカマンションはラスナサイッ通りに、そしてスディルマン界隈にも程近い地の利を得ている。5スター級ホテル並みのファシリティを備えたこのマンションは、最小42?から最大80?、発売価格は2.6億ルピアから3.1億というレンジ。敷地総面積8千平米の上に572ユニットを擁するこのアパートメントには、フィットネスセンター、水泳プール、ジョギングトラックやテニスコート、お子様用遊園地、保育施設、クリニック、ミニマーケット、ランドリー、コーヒーショップなどのファシリティが目白押し。既に8割方が売却済みで、完成引渡しは2006年3月が予定されている。また別のデベロッパーPT Adhi Realtyのサレンバレジデンスも中流層をターゲットにしたものだ。同社がマレーシアのEden Capitalと組んで建設中のこのアパートメントはおよそ9千3百平米の敷地に715ユニットが設けられ、そのうち359ユニットはすでに売却済み。最小ユニット31?、最大ユニット138?、お値段のほうは最低が2.1億ルピア最大が9.5億ルピアとなっている。購入希望者は予約手付金5百万ルピア、残金は現金一括払いでもよいが分割も可能で、頭金が40%、分割第一回が20%、残りは最高16回までの割賦が可能。こちらのアパートメントは2006年11月が完成引渡し予定になっている。
どちらのアパートメントも、購入者のほとんどは自分で住むために買ったようだと販売担当者は話している。購入者は自営業者から専門職種者までさまざまで、賃貸用に購入した人はほんの一握り。購入者の大半は職場がそのアパートメントから近い距離にある。中には地方在住者が買ったケースもあるが、将来子供の大学入学を予定してのものだそうだ。
ミドルクラスや更に下の階層にとって、住宅を現金で購入するのは至難の業であるのはどの国も変わりない。そのためほとんどの国では、政府が自国民の住宅取得を援助するために、低金利の融資を行っている。インドネシアでそれはKPR(Kredit Pemilikan Rumah=住宅所有ローン)と呼ばれている。かつてこのローンは国営銀行Bank Tabungan Negaraだけが取り扱っていたが、レフォルマシ時代に入って独占が解除された。このKPR制度は必ずしも一戸建て住宅だけに限られているものでもなく、KPA(アパートメント所有ローン)も並列で存在している。
国民に対して国家が与える公共福祉を民間銀行がどこまで手伝うのかという話はさておき、BTN銀行は2005年のプロパティセクター向け新規貸付目標を4兆ルピアと置いた。プルマタ銀行は1.2兆、BCA銀行は4兆から5兆の間としている。イ_ア銀行の報告では、銀行界の2004年8月時点でのプロパティセクター貸付残高は60兆ルピアで、KPRとKPAはそのうちで36.2兆を占めている。またアパートメント販売価格は?あたりRp7,408,887で販売率は90.4%に達している。
国民がこの融資を得るためには、どのような条件を満たさなければならないのだろうか?KPR融資を受け付けているどの金融機関も、条件は似たりよったりだ。アパートメント購入の場合、借入者は最低でも販売価格の20から30%の頭金を持っていなければならない。マンディリ銀行の場合、頭金は20%、そして借入金額には年12%の金利が付く。しかしその金利率は初年度だけのことで、翌年からは市場の実勢に応じて利率が変動する。返済期間は最長10年。融資申請の可否判定は14稼動日後に出されるそうだ。つまり融資が受けられるかどうかは3週間ではっきりする。ニアガ銀行の場合は初年度の金利率が年13%。二年目からフロートするのは同じ。融資可否判定は早くて2日遅くて2週間とのこと。頭金として本人資金は物件価格の30%が必要で、他には銀行へのプロビジョンコスト1%、管理費50万ルピア、保証評価費30万ルピアが借入者の負担となる。BII銀行は融資可否判断は三日で出す、と言明する。金利率は一年間12%、融資上限は物件価格の80%まで。購入物件に関してはデベロッパーがBII銀行と協力関係にあることが条件にされているが、実際はストラタタイトルであればどのアパートであろうと問題ない。
2002年、通貨当局はルピア金利の指標であるイ_ア銀行債金利を17%から12%に引き下げ、2003年末にそれは8%にまで下がり、KPRの金利もとうとうと引き下げられていった。そのころ既に民間銀行の中には、融資上限を物件価格の90%、金利率年13.5%、返済期間最長20年という垂涎の条件を出したところも見られたが、この事業の大御所たるBTN銀行は金利率に2%のスプレッドをつけ、条件を緩めることはあまりせず、きわめて慎重な姿勢を見せていたのは対照的だった。ともあれ、借入金返済金利の低下はローンビジネスを膨張させたことは疑いない。そして金融機関の中には返済金回収の便宜を目論んで、会社を仲介させてその従業員への貸付と回収のプログラムを進めたところも現れている。だがいずれにせよ、2001年11月以来政府が低所得者層向けに用意している簡易住宅向けKPRに対する補助金をカットしたことで、変化が生じた。借入者の返済に関して課されている条件が毎月の所得の3分の1を超えないこととなっており、その一方で銀行は毎月の返済金額にミニマム条件をつけているのだ。そのミニマム金額が月50〜60万ルピアだとすれば、その条件をクリヤーできる者はもはや低所得者の区分に属さないのではあるまいか?
インドネシア人はアパートなどにまず住まないよ。一戸建て住宅とどっちを選ぶか聞かれたら、アパートを指差す人はまずいないね。一戸建ての方が、隣人との行き来もオープンだし、頻繁にやってくるファミリーがいつでも家の中まで入ってこれるようになっているし、庭いじりもできるし、狭くとも大勢が住むこともできる。プライバシーが守られることよりも、周りの人たちと一緒に共同体の中で生活することの方がずっと良い。おまけにアパートなんかに住むと、一戸建て住宅ではかかってこない維持費が、あれやこれやとかかるじゃないか。
イ_ア人、中でもジャワ人の性格を浮き彫りにするような言葉を昔はよく耳にしたものだが、最近の様子を見るとアパートメント反対論者の影はかつてほど濃くはないようだ。職住近接で通勤時間のロスをセーブしたいという動機、同じ意味で家族いっしょにいられる時間を増やしたいという動機、更にはオルバ治世崩壊後の犯罪激増から来る家族生活への保安の要求、そして雨季になれば毎年発生する出水・洪水から逃れたいという欲求。さまざまな動機が混じり合って、アパートメント暮らしを選ぶインドネシア人も着実に増加している。
しかし高層ビルの中に細かに仕切られたアパートメントユニットがぎっしり詰まり、建物全体の管理者が別におり、さまざまな規則や決まり満たされた生活に、ひとびとは果たして十分に適応できているのだろうか?ファミリーの家だから自分の家と同じで、門からどんどん中に入っていっても何も悪いことはないのに、アパートメントだとまず敷地内に入るのに誰何され、建物に入れば受付を通さなければならず、アパートによってはリフトに乗るのもお許しが必要。一戸建ての自由さは探すべくもない。入居しても、隣近所がなんとなく閉鎖的で、交際もしずらい雰囲気がある。音も声も振動もできるだけ周りに気兼ねして抑えるようにしなければ・・・・。一戸建てに住んでいれば、こんな不自由とは無縁なのに・・・・。
あるアパートの上層階で、通路に設置されている煙報知器が突然鳴り響いた。管理職員がおっとり刀でそのフロアに駆けつけると、煙で充満した通路に火の気はない。何やら食べ物の匂いが混じったその煙の出所を探し当てると、その家の奥方の気まずそうな顔が出てきた、という話は、タマンラスナアパートメントでときどき耳にする話。家の中で少人数のパーティはご勝手だが、大勢が通路でタバコを吸いながら談笑という図もあるらしい。アパート側はファンクションルームもアウトドアエリアも大人数のパーティ用に賃貸しできるようにしてあるのだが。
タマンラスナアパートメントは1996年に建設が始まり、98年から入居が開始された。7.3ヘクタールの敷地に15棟のビルが並び、2千5百世帯が住んでいる。2部屋アパートユニットは床面積74?と80?の二種類があり、3部屋アパートは90?で、価格は1ユニット5億から7億ルピア。2004年8月時点で全3千5百ユニットの8割が売却済み。都心部にあるこの広大な団地は、ミドルクラス向けアパートメントの成功例と言えるだろう。賃貸ユニットも数多く、クニガンのラスナサイッ通りに直結して交通の便もよく、お値段は手ごろで、そして椿事もときどき発生している。
アパートメントは入居者が合同で指名した管理者を持たなければならない、と1985年第16号法令と1988年政令第4号に記されている。完売してから入居者の管理が始まるまで最長一年間しかデベロッパーはアパートの運営を行ってはならないと規定されているのだ。入居者の自治管理を促すこの法令に従って、各アパートは管理会社が運営している。敷地内の道路、緑地、公園、あるいはリフト、発電機、電気制御や水供給など建物に沿った共同ファシリティの管理運営が管理会社の責任で、一方ユニット内のことがらは入居者の責任に帰す。管理会社はその職務を遂行するために、入居者から資金を徴収する。タマンラスナでは、毎月の施設管理運営に充てる資金としてサービスチャージが?あたり5千1百ルピア、そして小規模リノベーションや設備交換などのための準備金として毎月?あたり250ルピアを徴収している。入居者が使用する水と電気の費用はそこに含まれていない。2部屋ユニット入居者は水と電気を含めて一月80から100万ルピアを納めているが、これはブカシから車で都内に通勤する場合の経費とほぼ同じだ。
エクスパットたちのアパートメント選びには二つのポイントがある。ひとつは子供の学校に近いこと。もうひとつは職場に近いこと。前者が重視されると、ポンドッキンダやビンタロ地区のアパートが選ばれる。外国人学校の多くがその一帯にあるからだ。後者の場合だと、CBDがメインになる。しかし外国人と言っても、民族によって選ぶポイントはまた異なっている。日本人は建築クオリティが高く、水漏れなどせず、そして苦情にすぐ対応してくれるところを選ぶ。アメリカ人の場合はファシリティが完備していることがポイントになる。CBDに位置し、ファシリティがそろっていて高級なアパートなら、間違いなくかれらの選択候補になる。トニー・エディ&アソシエーツのトニー・エディ社長のコメントはそのようなものだが、レイ・ホワイトのトニー・スヤッノの解説もほぼ同じ。外国人向けアパートメントの戦略的ロケーションはCBD、スナヤン、プルマタヒジャウだそうだ。
エクスパットたちは一軒家よりアパートを好む。一軒家よりアパートの方が安上がりだからだそうだ。サービス付きアパートに住んで月1千4百ドルを払う人もいる。サービスなしならひと月9百ドル。だがもっと高い家賃のアパートもたくさんで、そんなアパートも入居率はけっこう高い。ロケーション、物件、さらには家主によって家賃は大きく変化する。極論すれば、同じアパートの同じフロアで似たような間取りなのに、家主が別人だから家賃も大違いということも起こる。価格が市場で標準化されず、売り手と買い手の間の関係の中で決まるというインドネシア文化の姿がそこにも反映されている。
上述のトニー・エディ社長によれば、都内のアパートメントは供給過剰気味で、最近は職住近接を求めるミドルクラスから下の階層向け大規模集合住宅型アパート建設にシフトしている。賃貸用として使われる場合の家賃は平米当たり5百万ルピア。しかしミドルクラスから上の階層向けアパートだと、平米当たり1千万ルピアが家賃のターゲットとなる。エクスパット向け賃貸アパートはそのブラケットに入る。超高級アパートはプレステッジを求める階層用であり、インドネシアに仕事をしに来ている外国人がそれを選ぶかどうかは疑わしい。エクスパットの数は増加に向かっているが、中の上クラス向けアパート建設が減っており、需給関係が逆転したとき価格競争が起こり、かえって借り手が減少する方向に向かうおそれがある、と同社長は予測している。
エクスパットのアパート購入について、政府はそれが実現する方向に制度を変えていこうとしている。アパート購入に関連する土地権利証書はHGB(建築使用権)であり、そのようなステータスで土地購入を望む外国人は少ない。政府は現在の土地権利ステータスの中のHGBをHak Pakai(使用権)に引き下ろし、Hak Milik(所有権)との二本立てに変えていこうとしている。外国人にアパート所有の権利開放が実現した暁に期待されている市場がバリだ。年間4百万人の外国人、2百万人のインドネシア人が訪れるバリにリゾートマンション需要が花開くことは大いに予測されるところなのだから。
もともとアパートメントというのは外来語で、インドネシア語化してアパルトメン(apartemen)と発音される。それに対応するインドネシア語はルスン(rusun)と言い、rumah susun(積層住宅)が略された言葉だ。ところが、いまや上流から中流階層向けアパートはアパルトメンと呼ばれ、政府が補助金を出して建設した低階層向けアパートがルスンと呼ばれている。
都内にあるルスンは、都の所有になるものと国の所有になるものが入り混じっている。都有デベロッパーであるPD Sarana Jayaが管轄しているルスンはプンジャリガン、タンボラ、カランアニャル、ジャティラワサリ、チピナンなど9ヶ所にあり、また国有事業体Perumnasのものはコジャ、タナアバン、クレンデルなどに散在している。ルスンはもともと貧困者向け福祉対策として建てられたが、対象階層に経済力と購入意欲が不足していることから、売却されたものは少なく、その多くは賃貸されている。サラナジャヤが管理しているのは3千ユニット、ペルムナスは8千ユニットある。
ルスンの抱えている問題は多い。ユニットの広さはせいぜい4人の居住が限度であり、家族構成員が増加すればより広い居住空間を求めざるを得ない。ルスンを出たかれらはブカシやタングランなど郊外に居所を求めるしかない。ルスンは入居者の経済レベルと生活習慣から、きわめてスラム化しやすい傾向を持っている。建物内にはゴミが散乱し、側溝もゴミで詰まり、雨が降れば水溜りが広がる。賃貸者からの家賃徴収も難しい。西ジャカルタ市タンボラのルスンには750世帯が住んでいるが、2000年8月のデータでは、その35%は月7万2千から10万4千ルピアの家賃を滞納している。かれらは、ない金は払えない、と督促を涼しい顔でいなし、「払わないなら出て行ってもらう」という言葉に、「追い出すなら外にテントを張ってそこに住む」と応酬する。
そしてもっと大きい問題は、入居者がいつの間にやら入れ替わっていることだ。貧困者であるということを条件に、政府が家賃の50%を補助金で援助をしているにもかかわらず、安い金額でその賃貸を受けながら管理者には黙ってより高い家賃で又貸しをしている。プジョンポガンのルスンには、一月百万ルピア以上を払って何人ものヤングプロフェッショナルたちが住んでいる。タナアバン、プロマス、プルイッ、いずこも同じだ。
そのため都庁は昔から、ルスンを戸別訪問して居住者が登録された者であるかどうかを確認するスウィーピングを行ってきた。2000年のデータによれば、ブンドゥガンヒリルのルスンは614ユニットのうち145ユニットが非資格者に転売され、257ユニットは第三者に賃貸されている。広さ21?のユニットは販売価格が3千5百万ルピアだ。一方ビダラチナのルスンは688ユニットのうち128ユニットが非資格者に転売され、また255ユニットが賃貸されている。カレッテンシンのルスンは152ユニット中9ユニットが非資格者の所有に変わっており、81ユニットが賃貸されている。タンボラのルスンは240ユニット中50ユニットが非資格者に転売され、53ユニットが賃貸されている。トゥベッのルスンは320ユニット中36が非資格者に転売され、167ユニットが賃貸されている。タナティンギのルスンは436ユニット中36ユニットが非資格者に転売され、89ユニットが賃貸されている。この種のスウィーピングは今年の2月にも実施されており、2月の「廉価アパート又貸し摘発作戦を都庁が予定」(2005年02月19日)という記事にそれを見ることができる。しかし実態を把握すること、家賃を倍額に引き上げること以外に、本来の精神から外れたかれらのしたたかな行為を規制する有効な手立てを、都庁はまだ手に入れていない。
第三者に賃貸されているルスンユニットは、一人のオーナーが数ユニットを持っているというケースがあり、それらを決して貧困者でない中流層に月50万から150万ルピアという家賃で貸している。借りているのはそのルスンから近い場所に勤めるヤング層で、借家人も折に触れて交代するが、借り手が途切れることはないらしい。そしてオーナーは郊外に住み、所有するルスンに住んだことがないという人も多い。おまけにルスン自治会の世話人は、空家はどれで賃貸できるのはどれ、あるいは売却できるのはどれといった情報を常に用意しているそうだ。ルスンのユニットを借りている人の中には、ボゴール、ブカシ、タングランなどに家を持ち、妻子をそこに住まわせて自分は週日ルスンに寝泊りし、週末だけ自宅に帰るという人も多いが、そんな生活パターンの隙間に何かが忍び込んで、家庭争議に至る例も数多いとのこと。


「首都圏の宅地地価は安定傾向」(2005年4月15日)
今年の首都圏の地価上昇は2%から6%だ、と不動産リサーチ会社コールドウエルバンカー(CBI)が報告した。それによれば新規開発住宅地区の一次分譲価格に関して、ジャボデタベッ地区の地価はチクアスのように10%も上昇するところもあるが、おしなべて停滞気味であり、中にはいくつかの住宅地で5%ほどの値引きを行うところも出ている。デベロッパー側の競争が熾烈さを増していることの反映がそれだ。
二次市場では、住宅建設可用地取得者の74%が中産階級で、以前の57%からシェアが激増している。上流層シェアは29%から21%にダウンし、低所得層も14%から5%へと大きく減少した。高級用地はトゥベッやクラパガディンを主に都内が優勢だが、郊外ではチブブルやブミスルポンダマイでの売買も活発で、このクラスだと平米当たり価格が1百万ルピアを超えている。
今年の開発分譲住宅はモダンミニマリストを指向する傾向がはやっており、一方地域開発での住宅デザインはリゾート感覚が強く押し出されたもの。ちなみにCBIが2005年3月度レポートで報告している首都圏の住宅建設用地の地価は下のようになっている。
地区名          平米当たり
ジャカルタ一等地     8百万〜2千万ルピア
ジャカルタ郊外部     150万〜800万ルピア
チブブル         75万〜300万ルピア
スントゥル        35万〜250万ルピア
デポッ          35万〜275万ルピア
スルポン         50万〜300万ルピア
カラワチ         50万〜600万ルピア
ビンタロ         75万〜250万ルピア
チカラン         30万〜325万ルピア
ブカシ          50万〜400万ルピア


「デポッに大学生向けアパルトメン」(2005年5月17日)
今デポッでPT Cempaka Bersama Majuが建設を進めているマルゴンダ・レジデンスは、プレミアムファシリティで手の届く価格を謳い文句にしたアパートメント。近隣にはインドネシア大学、グナダルマ大学、パンチャシラ大学などのキャンパスがあり、それらの大学生やヤングエグゼキュティブに照準をあてている。ユニット価格はタイプ20で1億ルピア、タイプ38は2億2千万ルピア。タイプ20は598ユニット、タイプ38は180ユニットが用意される予定。
このマルゴンダレジデンスは1.2Haの起伏のある土地に建設され、土地の状況を生かしてセンターブリッジやルーフガーデンが付属施設として設けられる。その他、フードコート、水泳プール,ミニマーケット、フィットネスセンター、ジョギングトラック、遊園地、図書館、ケーブルTVなどの設備もフル完備される。4月半ばですでに350ユニットが売れており、年内には85%売却済みを目標にしているとのこと。
ユニット購入者の多くは学生への賃貸投資を目的としているようで、外国人留学生にも人気を呼ぶに違いない。


「首都のコンド入居率は減少の一途」(2005年5月26日)
ジャカルタのコンドミニアム市場は入居率が減少の一途をたどっている、とジョーンズラングラサールのルシ・ルマンティル取締役が解説した。居住するために購入するというエンドユーザー購入は全体の20%しかなく、80%は賃貸もしくは再販という投資目的の購入であり、インドネシア人のコンド居住習慣がまだまだ確立されていないため、外国人借家人が得られないコンドは空家になるしかない、とのこと。
いま高級コンドは平米あたり1千万ルピア超の販売価格が相場で、中級だとそれが0.6から1千万ルピアのレンジ。一方賃貸の方は平米あたり一月11.2ドルが相場だが、競争はいたって激しい。コンド購入意欲は政治経済の安定感が向上しており、それにつれて根強い高まりを示している。コンド販売ではデベロッパーの販売条件が旧態然としているため、購入者へのインセンティブに欠けるきらいがあり、その中でカサブランカマンションが前金および金利なしという条件を出していたのは特筆に価する、とルシ取締役は激賞している。
1997年には178ユニットしかなかったのに、2005年第一四半期には15,100ユニットにまで増加しているこの市場では、革新的なマーケティング手法を導入することが業界者にとってたいへん重要だ、との同取締役のコメント。今年第一四半期にはプルマタエクスクルシブ?、メディテラニアパレス・クマヨラン、パビリオンパークタワー?の三つのプロジェクトが完成して新たに2百ユニットが市場に供給されている。


「今年3〜4月、首都圏の住宅供給は中だるみ」(2005年6月7日)
今年3月4月の首都圏住宅供給はブカシが半分に近いシェアを取った、とコールドウエルバンカープロパティインドネシアがサーベイ結果を公表した。それによれば、今年3月4月の住宅供給はジャカルタ604軒、ボゴール1,062軒、タングラン729軒、デポッ250軒、ブカシ2,450軒、ジャボデタベッ合計5,095軒で、ブカシが48%のシェアを占めた。ブカシの新設住宅は三分の二が中流層を対象にしたもので、チビトン、チカラン、ブカシティムールに集中している。しかしその首都圏住宅供給数は、今年1月2月の実績である12,450軒に比べれば中だるみの感は否めない、とのコメント。
首都圏全体で見れば、中流層向け住宅は66%で、低所得層向け22%、高級住宅12%という配分だが、そのうち高級住宅は404軒がジャカルタ都内の、パンタイインダカポッ、クラパガディン、プルイッ、チランダッ、ドゥレンティガなどに分散している。一方低所得層向け住宅はボゴール地区が圧倒的で82%を占めている。今年1月2月はデポッが低所得層向け住宅供給のマジョリティを担っていたが、それが更に郊外へとシフトした印象を与えている。エリア的には、ジョンゴル、グヌンプトリ、チビノン、チタヤムからブカシのクランガンにかけての一帯が顕著だ。デポッの低所得層向け新興住宅エリアは、ゴルフサワガン池地区の新クラスターやチマンギス、リモ地区に開発されているサワガングリーンガーデン、グリヤサラナフサダなどがあげられる。


「コンパス紙への投書から」(2005年6月15日)
拝啓、編集部殿。ここ一ヶ月間、わたしはスビオノ・ウィノトという人のクレジットカードのことでデットコレクターから頻繁に電話を受けています。自分で名前を名乗らないそのデットコレクターは、そのスビオノ・ウィノトのクレジットカードに関連する返済義務を果たせ、と電話でわたしに迫るのです。スビオノ・ウィノトはもうこの家に住んでおらず、二年位前にこの家から引っ越したこと、わたしはその人の家を不動産業者から買ったことなどをそのデットコレクターに説明しました。しかしその借金回収人は引き下がろうとしません。
一週間ほど前に電話をかけてきた人はパニン銀行クレジットカードデットコレクターのPTグミラン社の者だと名乗りましたが、自分の名前は言いません。そのとき会社にいたわたしに、家の表で待っているから15分以内に4千5百万ルピア持って家に戻って来い、と言うのです。そうしないと家をまるごと差し押さえるから、と。わたしはもう一度説明しました。スビオノ・ウィノトがどこへ行ったのか自分は知らないし、その家は売却されたものだ、と。すると電話の主はこう言いました。「銀行の抵当に入っている家を買うなんて、おまえはアホだ。」その家の売買は公証人/土地証書作成官を通して行ったものだとわたしが言うと、「公証人なんかは頭を使ってうまく扱うこともできるんだぜ。」と言います。何を言っても無駄なので電話を切り、パニン銀行クレジットカード部門に電話してみました。しかしわたしの電話がたらいまわしされるだけで、助けを得ることはできませんでした。どの電話もスビオノ・ウィノトのクレジットカード番号がわからないとフォローができないというのです。
家を新たに買った者には、その家の前オーナーのクレジットカードの始末をする責任がある、という規則でもあるのですか?今本当にスビオノ・ウィノトがわたしの家に住んでいないということは調査すればわかります。どうしてわたしが電話によるテロを受けなければならないのでしょう?それから借金回収人は本当に自分の名前、住所、電話番号を明かしてはいけないのですか?わたしはこの問題をどうやって解決してよいのか、本当に困り果てています。[ 北ジャカルタ市ムアラカラン在住、マリア ]


「不動産ローンが大幅な伸び」(2005年6月21日)
不動産業界の凄まじいほどの活気は、経済危機は終わったという意見の根拠を支えるものだ。今年4月付けイ_ア銀行の報告によれば、金融界の不動産関連貸付残高は74.1兆ルピアにのぼり、前年同月実績だった50.9兆ルピアから45%もの伸びを示している。全国総貸付高の中でこのセクターは12.6%を占め、2004年4月時の11.2%から増大している。
不動産関連貸付は、建設ローン、プロパティローン、住宅取得ローンの三区分で構成されており、そのうちの消費向けローンにあたる住宅取得ローンは46.5兆ルピアで63%のシェア。建設ローンは24%、プロパティローンは13%という比率になっている。今年3月時点での消費向けローン不良債権は3.4兆。
不動産業界へのローンがここ1年で急激に伸びたことに関して金融界オブザーバーのひとりは、住宅からショッピングセンターまで、プロパティ取得需要が依然として高いことを最大要因に挙げている。もうひとつの要因として、あつものに懲りた金融界が貸付けを絞ってきたのは過去貸し出し残高の伸びが遅々として捗らなかったことで示されているが、ここにきてその紐が緩みはじめた印象がある。不動産セクターの貸付残高が全体の12%程度であれば、それほど危機感を感じる必要はないそうだ。30%を超えれば要注意ということらしい。経済危機前は50%を超えていたため、それだけ大きいインパクトが起こったが、大勢が経験から多くを学んだということのよう。
住宅取得ローンは昔、BTN銀行が専用銀行だったが、今ではなんと60銀行が貸付を行っている。とはいえ、BTN, Mandiri, Danamon, BII, Panin, BCA, Buana, Niaga, BNI, Permataの10銀行が取り扱いの大半を占め、そしてBTNが全体の25%シェアを占めているのは、昔取った杵柄に違いない。金利を9%台にまで下げた銀行もあれば、まだ二桁というところもあるが、ほとんどが初年度の金利だけを決めており、二年度以降は市場の実勢に従うという条件になっている。一方BTN銀行だけは、13.5〜14.5%のレベルの金利率だが、完済まで固定利率が通されるので、それだけ返済計算の確定性は高いと言える。
KPRと呼ばれるこの住宅取得ローンは個人相手のリテールで、しかもマジョリティは低所得層向けに政府が補助金を出して建設させているRSH(健康簡易住宅)購入者であるために貸付総額は2千5百万ルピア程度にしかならない。KPAと名付けられたアパート取得ローンもあるが、こちらは中流層向けアパート供給の増加とともに今後拡大していくに違いない。KPRはオーバーヘッドの対売上比があまりよくない。15年間の管理費、借り手を探す営業費など余計な経費がオーバーヘッドに乗り、おまけに売上単価は低いのだから、杵柄を持っているBTN以上に腰の入る銀行はどうもなさそうだ。それでも貸し倒れ率5%未満という回収の良さは、銀行側にとって救いとなるのではあるまいか。


「大入り袋、不動産業界者の所得」(2005年6月22日)
初心者新入社員で250万から500万。マネージャークラスだと750万から1,700万。GMともなれば2千万から4千万。取締役なら4千万から6千万。CEOだとなんと6千5百万から1億1千万。これ、不動産業界のルピア建て月給額。もらえるものはそれだけじゃない。ハリラヤ手当て、四半期ごとのボーナス、コミッション、配当などなどで、年間所得はさきほどの月給額の18倍というのが普通。加えてAsman以上には自動車が支給される。これもステータスによってピンからキリまで。大手企業ならシニアマネージャーでトヨタアルティス、取締役はBMWシリーズ5、CEOならBMWシリーズ7あるいはベンツのSクラス。
不動産ブローカーの場合はどうだろう?完全に実力の世界だから、上を見ればキリがなく、下を見てもかすみがかかっている。チャレンジ好きで仕事熱心なら、新入りでも月6千万は稼げる、という話。時には1億になることもあるらしい。ある不動産ブローカー会社の取締役は、のんびりやっていても月額9千万、夜までばりばり働けば月2億が手に入ると語る。ブローカーは売買が成立すれば口銭をもらう。2.5から3%というのが相場で、30億の高級アパートをひとつ売れば、それだけで9千万が手に入る。そんなアパートを月に5軒も売れば・・・。ある個人ブローカーが死に物狂いでひと月に10軒売ったという武勇伝もあるくらいだ。この手のブローカー商売は濡れ手に粟で、その才のある人は病みつきになるようだ。医者、歯医者、建築家、技師、教師、弁護士などが片手間に、あるいは本業そっちのけで不動産ブローカーをやっている。ハイソス界とつながりを持っている人ほど、その点は有利。今のインドネシアのような建設ブーム、消費ブームなら、機を見るに敏なひとびとはこれまで被っていた職業ユニフォームをあっさりと脱ぎ捨て、看板を書き換えるにちがいない。
ふだん高給取りとして定評を持つ銀行界はどうだろう?窓口テラーで1百万から2百万。マネージャーだと4百万から8百万、GMは桁が上がって1千2百万から2千5百万。製造業界やサービス業界のハイクラスでもきっとそのあたりだろう。こうして見ると、比較的狭い規模の不動産業界に巨額の金が回っているため、関係者のひとりひとりには他のセクターよりもたくさんの金が降り注いでいるようだ。それが誘蛾灯にならないはずはなく、他のセクターからとうとうと人が流れ込んで行き、限られた場所を争ってせめぎあっている。この状態が永続するとは誰も思っていない。ゴールドラッシュは廃坑を残し、ゴーストタウンを残してきた。そこまで極端ではないにせよ、不動産業界ラッシュはこの先どこまで行くのだろうか?


「インドネシアの建築許可」(2005年7月1〜4日)
都内でさまざまな行政手続きを行う場合、東西南北中央のジャカルタ5市でいずこも不法徴収金(プンリ)が払わさせられるのだが、その中で一番金額が高く、また一番ふんぞり返っているのが南ジャカルタだとの風評はどうやら一般通念のようだ。もともと所得格差番付では中央ジャカルタがトップにいたはずなのだが、いったいいつからこうなってしまったのだろうか?
ありとあらゆることにお上のお許しを得なければならないインドネシアでは、家を建てる際にもIMBと呼ばれる建築許可が必要になる。建築基準を満たしていれば逐一許可など必要としない国から見ると、お上の過剰介入であり、過保護であり、そして行政ビジネスの場として役人が稼ぎを行うベースになっていて、それらがひとつの社会の仕組みを構成しているという姿が見えてくる。IMBだけでなく、ありとあらゆる庶民の行動がそのように管理されている社会がこのインドネシアであることを忘れてはならない。
IMBは建物設計図や構造図などのテクニカルな書類を添えて申請する。だから専門家の力を借りないで、素人が自力でその手続きをクリヤーするのは不可能に近い。しかしIMBさえ取れれば、資材を購入し、自力で建てている人も決して少なくはない。時間はかかるが一番安上がりだし、自分で建てたという愛着もひとしおにちがいない。
IMB申請に要求される書類は、データを記載した申請書、申請者の住民証明書(KTP)、都地建物税納税書、土地証書、設計図、都市計画説明書など。申請先はP2Bと呼ばれる建築物監督整備事務所。建築物というのは恒久構造物も含まれているので、たとえば現存家屋の壁にくっつけてガレージや倉庫を恒久性素材で造る場合はIMBが必要になる。建築許可を得るためには、公定課金を納めなければならない。2000年度第63号都知事令で、建物面積100平米までは平米あたり4千ルピア、200平米を超えるものは平米あたり6千ルピアなどというタリフが決められている。そして手続きは200平米未満であれば居住地を管轄する郡役所で受け付けてくれるが、それ以上であれば市役所へ出向かなければならない。南ジャカルタ市に住んでいれば、南ジャカルタ市役所P2B次局。申請書類を提出し、建物面積に応じて計算された課金を納めれば、申請済みを示す黄色板と都課金納付書をもらえるので、お墨付きIMBがまだもらえなくとも工事を始めることができる。6日後にはIPと呼ばれる予備許可証が発給され、そして30日たってやっとお墨付きIMBがもらえる。
その一連の手続きは、課金を納める以外すべて無料であり、申請書もただでもらえる、と南ジャカルタ市庁の職員は言うのだが・・・・
建築物監督整備事務所の中で、若い女性があっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロ。濃茶色の制服を着た職員が近寄っていく。「何かお手伝いできることでも・・・?」「ええ、IMBの申請だけど、どうやれば良いの?」「ああ、そりゃあわたしにまかせてくれれば。手続きもほかより早くできるから。」・・・・・・と話が続いて、ふたりは別れた。
記者が取材のアプローチをする。話はどうなったのだろうか?「5百万ルピア払わなきゃいけないって。土地は260平米だから公定課金は130万ルピアだけど、あと370万はどこへ行くのかしらねえ。」ミラと名乗るその女性はそう物語ってくれた。パサルミングに家を建てようとしてそこへ来た中年男性は、面積が2百平米ないので郡役所のだれそれのところへ行け、と名前まで指定された。そうすれば手続きは早く終わるのだそうだ。かれは自分の経験から、課金よりたくさんの金額を渡せばIMBが早く受け取れると主張する。二週間で終わると言うのだ。
それらの行為は役人が行うプンリだ。公務員がその地位を利用して国民から金を搾り取るのは汚職であり、規定によって禁止されており、違反者には制裁が加えられるメカニズムが存在している。「悪徳職員のプンリ行為に対する苦情は手紙やSMSでこちらへ連絡してください。」とP2B次局長は言う。IMBに関するチャロ行為を働いた同次局職員の何人かは措置を受けているそうだ。制裁措置として悪徳職員に与えられるのは警告書や配置転換。リアルエステート以外の、個人の建築許可は、すべて郡役所で受け付けることに変わった、と次局長は語る。社会告知がまだ進んでいないので、今後それをもっともっと進めて行く、との談。2百平米という限界はもう廃止されたが、既に打ち立ててきた利権を自ら捨てる次局職員はいないようだ。「IMBのチャロ行為を職員からなくす方策は?」との質問に同次局長は、国民がお役人様を奉る役人天下の時代はもう終わっており、公務員は国民の公僕となる時代に変化しているのだということを部下の職員に啓蒙していく、とかれはそう答えている。


「塀の高さにも規定がある」(2005年9月12日)
1991年に定められた都条例第7号の規定を励行する、と西ジャカルタ市建築監督整備次局長が表明した。これは各家庭が設ける敷地フェンスに関するもので、自分の土地と外部を隔てる塀は高さが1.5メートルを限度とするというもの。もしそれ以上の高さにしたい場合は、50センチの不透明素材の上1メートルを透明にしなければならない。住居でなければ、塀の高さは最高2メートルまで可能。ただしその場合でも、もし2メートル以上の塀にしたい場合は、地上1メートルからその上1メートルまで、透明部分を設けなければならない。
1998年のジャカルタ暴動のあと、市民が身の安全をはかろうとして塀を高くすることがはやった。しかしその反対に、住居内の人間が外へ逃げ出せないこともその帰結となり、火事で何人もの居住者が死亡するという事件も多発している。暴動後の市民のトラウマを考慮して条例違反に厳しい対応を取らなかったが、そろそろ規則を復活させてよい時期だ、との同次局長の談。西ジャカルタ市のタンジュンドゥレン、クドヤ、ジュランバルなどでは規定を超える高い塀を建て、邸内をびっちりと閉め切っている家がかなりあり、それらの大半は印華系の人々が住んでいるとのこと。西ジャカルタ市では、まずその条例が依然有効であるとの社会指導を住民管理機構を通じて開始する予定にしている。


「ジャカルタアパートメント事情」(2005年10月6日)
1970年代の首都に、アパートメントハウスは54ユニットしかなかった。1974年に建てられたラトゥプラザアパートがそれで、下がショッピングセンター、上がアパートというミックスユーズタイプ。
2003年にインドネシアプロパティ研究センターが集めたデータによると、経済危機後の新規供給は2,361ユニットだそうだが、ここにきて猛然たるアパート供給ラッシュが続いている。2004年の新規供給は20,358ユニット、2005年は18,627ユニット、2006年の予定はなんと26,066ユニットにのぼる。
世界50ベストアパートのひとつに取り上げられて話題を撒いた、スディルマン通りに建設中のThe Peakはその2006年の新規供給に含められている。35階と55階のタワーが四つあり、そのうち三つは販売用で、残るひとつはサービスドアパートメント。価格は平米当たり15〜17百万ルピアで、ユニット床面積は119から478平米までさまざまだが、最低でも20億ルピアの金は用意しなければならない。ところが驚いたことに、このザピークは建築中のユニットがほとんど完売だというから、インドネシア人の豊かさに驚かされてしまう。
ところが、ザピークの平米当たり価格はまだ安い方で、スディルマン通り沿いのアパートはいまや平米当たり15〜20百万ルピアが相場になっている。いや、さらにそれの上を行っているのが南ジャカルタで2007年の完成が予定されているアパルトメン・クマンシティで、平米当たり単価は2,143万ルピア。ここのユニットは最小が70平米、最大で140平米だ。
日本ではマンションと呼ばれるそれらの高級アパートメントは、必ずしもオーナーが自分で住むわけではなく、賃貸用に投資している人も少なくない。CBDと呼ばれるスディルマンやクニガンなど都心ビジネス地区から多少離れた場所に建てられた大規模アパートメントは中流階層向け。このあたりになると、集合住居としての性格がクローズアップされてくる。アパートメント暮らしを子供時代から知っているという世代がまだないインドネシアでは、たいていのアパート住民は一戸建て住居で暮らしていた習慣をそのままアパートに持ち込んでくる。テラス周りの庭に毎日水を撒いていた人は、アパートに入るとベランダに水を撒こうとする。下のフロアで洗濯物や虫干しをしていた住民はたまらない。同じフロアの一軒が食事時にトラシを焼くと、そのにおいがフロア中に立ち込めて、自分のアパートにいられなくなる人も出る。だからひとりでワンフロアーのユニットを全部買い占め、プライバシーを確保しようとする人も現れる。そんな消費者に合わせてデベロッパーは、限られた床面積の中に女中部屋を置き、女中用の浴室を設ける。台所も、汚れてかまわない厨房と、いつも小奇麗に保つダイニングキッチンのふたつが用意されたアパートもある。女中はそのdapur basahと呼ばれる厨房で煮炊きし、奥様はdapur keringと呼ばれるダイニングキッチンでせいぜい果物の皮をむく程度。
そんなユニット設計になっているインドネシアのアパートメントに対する批判も一部消費者から出始めている。狭い面積を有効に使うためには、女中付の生活から離れなければならない。女中の生活空間を確保するために、何千万ルピアもの床面積を用意してやるのは合理的なのだろうか?だがそこには、女中に頼らないで家事を行っていくというライフスタイルが確立されなければならない。かつてオーストラリアに移住したインテリのインドネシア人一家が、市内のアパートを購入してしばらく住んだが、そのうちにまた帰国してしまった。なぜ、と尋ねる友人にかれらは、女中がいないと生活が成り立たない、と答えたという。デベロッパーのユニット設計は、一般的インドネシア人のライフスタイルのバロメーターでもあるにちがいない。


「インドネシア人の海外不動産購入」(2005年10月6日)
シンガポールのオーチャードロードからラッキープラザを過ぎて北向きに左折すると、マウントエリザベス病院がある。同病院で治療を受ける年間20万人の患者のうちなんと4万人以上がインドネシア人だ。治療が長期にわたる場合、かれらの多くは、ホテルに泊まるよりは、とアパートを借りる。中には前もって購入しておいたアパートに長期滞在する。海外にリアルエステートを所有するインドネシア人は少なくない。
マウントエリザベス病院から更に北東に進むとケーンヒル地区に至る。その閑静な住宅地区に建てられたケーンヒルクレストコンドミニアムが9月末にジャカルタで売り出され、3百億ルピアのペントハウス10ユニットが初日に売れた。買ったのはインドネシア人だ。このコンドの海外ロードショーを行っているチュンコンホールディングは、全248ユニット中20%はインドネシアで売れると自信を持って言う。ユニット当たりの価格は250万シンガポールドル。
今回の物件に先立って、チュンコンホールディングはシンガポールのコスタデルアパートメントの販売をインドネシアで行った。そして総ユニットの10%以上が売れた。ケーンヒルクレストは、インドネシア人に人気のマウントエリザベス病院に近く、そしてまたオーチャードにも近い。その地の利から、こちらの方は20%売れるだろうとの見込みを立てている。なにしろインドネシア人は金持ちなのだから・・・。
オーストラリアのアパートも、インドネシアでこまめに販売を行っている。最近では、オーストラリアの住宅用地を求めるインドネシア人が増えている。アパートを買うよりも土地のほうがまだ安いのだ。それら海外不動産購入で百%投資用という人は少数派。大多数は投資用と自己居住用の二股をかけている。


「ジャカルタフラット事情」(2005年10月17日)
アパートメントハウスもフラットも積層住宅を意味しているが、米国でアパートはより高級なものをさして使われる。インドネシアでは積層住宅をrumah susun 略してrusun と呼ぶが、米国同様、高級なものはアパルトメンと呼ばれるので、ルスンはフラットに対応する言葉として使われている。
首都ジャカルタに、低所得層向けフラットは決して少なくない。その皮切りは、1983年にタムリン通り西側のエリアに作られたルスン・クブンカチャン。いまではベンヒル、タナティンギ。ジャティブンデル、カレッテンシン、トゥベッ、タンボラ、ビダラチナ、プタンブランなど、あちこちに建てられている。当初このプロジェクトは、住宅供給公社ペルムナスとPDサラナジャヤが担当した。これは都庁が行う、河川敷、高架道路下、鉄道線路脇、高圧電線下などに住む貧困層に対する住宅供給福祉政策だが、もちろん都庁に潤沢な予算があるわけではない。都庁は都内に住宅建設を行うデベロッパーに対し、高級住宅・一般住宅・貧困者向け住宅の比率を定め、貧困者向け住宅建設を義務付けてきた。だがほとんど利益の出ない貧困者向け住宅を喜んで作ろうとする民間デベロッパーはいない。建てようとしないなら金を出せ、と迫ってみた都庁も、この件に関して期待するような成果は得られていない。一方、台湾の感恩慈濟基金會(Tzu Chi仏教財団)のような非営利団体が首都圏の貧困階層向け活動を積極的に実施しているのはユニークなトピックだ。
ルスンは売却ユニットと賃貸ユニットがあり、一定期間家賃を払い続ければユニットの所有権が居住者のものになるのと、決して所有権が移らないものとに分かれている。ところが床面積が狭いために子供が大きくなってくれば住居として不十分となり、だから売却ユニットが購入されても、何時の間にか居住者が変わっているということが起こる。それは本来の主旨からそれている。もっと大きくそれているのは、賃貸ユニットの賃貸者条件に適合した貧困者が行う居住権の売却で、都庁に記録された店子はそこに住んでおらず、都内のオフィスに勤める独身者や、ボゴール・ブカシなどに家を持って家族を住まわせ、自分は週5日間そこへ寝泊りするという通勤忌避者がそこに住んでいるから、言うまでもなく貧困都民救済のための都庁補助金が悪用されているわけだ。売却ユニットの91%は、何時の間にかもっと金持ちの人間に密かに売却されている。そんな違反が摘発されると、都庁住宅局は住人に対し、補助金返済を要求する。つまりは貧困者への販売金額のほぼ3倍を非貧困者に支払わせるというもので、たとえばルスン・プタンブランの1階は貧困者向け2千9百万ルピアだが、非貧困者は8千7百万ルピアを払わせられることになる。ここ二年ほど、都庁は足まめにルスン居住者への訪問調査を行い、その対策を講じてきた。しかし9ルスンにある3,058軒の売却ユニットで差額補助金の返済合意契約を結んだのはやっと853人に過ぎない。


「ガソリンが値上がりするとアパートが売れる」(2005年10月26日)
首都圏住民にとって職住近接は時間と人間の精神的肉体的エネルギーの問題であったものが、10月1日以降は更に切実なコストの問題が上乗せされた。郊外のゆったりした一戸建てに住み、家族全員で数台の車を持ち、都内に自家用車でやってきていた人たちは、石油燃料の暴騰とそれが引き起こした諸物価の値上がりで、これまでの生活コンセプトを根本から見直さなければならない羽目に立ち至ったのである。妻と青年期に入った子供ふたりの一家四人が住んでいる高級住宅の場合、三台の自動車には今や月8百万ルピアの経費がかかる。家庭使用人ふたりには2百万ルピア、そして水道光熱費にも2百万ルピア。都心のアパートに住めば車は一台で済むのではあるまいか。使用人を使わず、家族だけで家事ができるのではあるまいか。水道光熱費も高級住宅よりも安くなるのでないだろうか。だとすれば1千万ルピア近い経費が節約できることになり、当然アパートのローンにそれをまわすことができる。
通勤ラッシュの交通渋滞のおかげで遅刻常習犯となっていたあるエグゼキュティブは、職住近接案がその解決とわかってはいても、ふんぎりがつかずにずるずると今に至ったが、ガソリン代値上げによる通勤費の上昇を計算した結果、都内の中流アパートを買うほうが合理的だとの判断に達し、ついにふんぎりがついた、と語る。かれのように人生設計の方針転換を進めているアッパーミドルクラスは数多い。おかげで都内のアパートメント販売がまた活況を呈している。都内のあるアパートメント販売責任者も、これまで月々支出していた250万ルピアの交通費が、ざっと計算して4百万ルピアになるのに驚き、都内の2.5億ルピア程度のアパートが交通費を節約することで5年でペイするとのアイデアに到達した。かれが販売しているアパートのユニット価格は6億から6.6億ルピアだが、ここのところ引き合いが急増しているのはこういうわけだったのか、とひとり納得している。


「アパート賃貸料は年内据え置き」(2005年11月10日)
首都圏賃貸アパートメントの賃貸料に値上げの動きはまだ見られず、オーナーたちは賃貸料金を据え置く代わりにサービスチャージを値上げする予定にしている、と不動産コンサルタントが語った。PTプロコンインダのCEOデビッド・チードルは、2005年の第四四半期に入って石油燃料値上げが引き起こした諸物価高騰が顕著になってきているにもかかわらず、第三四半期に非賃貸アパートの賃貸向け転換や新規コンドの完成などで供給量が増加している一方、ラマダン・イドゥルフィトリ・クリスマス・新年と続くこの時期はサービスドアパートメント需要が低下するために賃貸料値上げが困難で、アパートオーナーたちは概ね、年内いっぱいはこれまでの料金を維持する方針にしている、と説明している。このためたいていの賃貸アパートは今年いっぱい賃貸料もサービスチャージも従来のままだが、維持費の上昇に折り合いをつけさせるために、来年に入ればサービスチャージが引き上げられることになり、早ければ年初から、15%という上げ幅で各アパートが競って引き上げを開始するだろう、とのこと。
プロコンインダ社は今年第二四半期に一部古いアパートの賃貸料金値下げを行ったが、来年に入れば維持費の上昇をカバーするためにサービスチャージを値上げするものの、賃貸料金も小幅な引き上げを予定している。ちなみに今年第三四半期の首都圏における賃貸アパートメント入居率は69%で、第二四半期の71%から低下している。


「コンパス紙への投書から」(2005年11月24日)
拝啓、編集部殿。今年10月、西ジャカルタ市チトラガーデン?住宅地ではPLNからの送電電圧がとても不安定になりました。特にブロックFがひどい状況で、わたしはPLNに届け出ましたが、いまだにたいした改善がなされていません。技術者がやってきても、そのときは電圧が安定しているので、技術者はそのまま帰ってしまいます。変動が激しいのは日中で、住民の大半が仕事に出ていますから、多くの住民はそのことを知らないだろうと思います。10月2日の日曜日にわたしは一日の変動がどうなっているかを測定し、記録してみました。すると最低は60ボルト、最高は360ボルトに達し、わたしのコンピュータのスピーカーが壊れました。10月24日にまた激しい電圧変動が起こり、今度はエアコン、ファックス機、LDプレーヤー、テレビ、サブウーファーが壊れました。きっと360ボルトどころではない電圧上昇に見舞われたにちがいありません。
PLNが消費者に販売した製品が引き起こしたそれらの損害に対してPLNはどう責任を取るのでしょうか?消費者への損害賠償をPLNは引き受けてくれるのでしょうか?[ 西ジャカルタ市在住、プルノモ ]


「アパートメント所有権を外国人に」(2005年11月29日)
外国人に対してアパートメントの所有権を与える法律改定準備が進められている。今インドネシア国内で外国人は不動産の所有権が認められておらず、あるのは建築物利用権だけ。国内不動産購買層に対する外国からの一方的な攻勢にさらされている国内不動産業界は、その状況が外国人への国内不動産販売の障害になっていることを何年も前から政府に強くアピールしてきた。インドネシア人の外国不動産購入熱にバランスが取られなければ、国際収支は出超となる。
土地に関する制度を規定しているのは1960年に制定された農地基本法、1960年法令第5号で、政府、国民土地管理庁は外国人に対してアパートメントの所有権を与えるためのその法令改正準備に入っている。ジョコ・ウィノト同庁長官によれば、改定の詳細はまだ結論が出ていないが、いま検討中の案の中には、使用権の権利をより強いものにする案、建築物利用権の範囲をより広いものにする案などがまな板に乗っている、とのこと。アパートメントの所有について同長官は、ストラタタイトル方式のコンドミニアム購入は最大25年期限であり、それを過ぎれば20年単位での延長となることを強調している。
インドネシア不動産連盟のルクマン・プルノモシディ会長は、「外国人への不動産所有権開放は世界の趨勢であり、避けることはできない。オーストラリアでは外国人に長期の所有を認めているが、購入できるのは新築物件だけであり、また期限が来ればオーストラリア人に売却しなければならない。インドネシアで最大25年間の所有権認可が実現すれば、インドネシアのアパートメント購入は他国に比べてたいへん安い買い物になる。シンガポールでコンドミニアム1ユニットが買える金額をインドネシアに持ってくれば、同じクオリティのコンドが3〜4ユニット買える。」と語っている。


「タングランの建築許可」(2005年12月14日)
タングラン県の建物の半分はIMB(建築許可)を持っていない、と県住宅市街地計画局ムルサン・ソバリ監督整備課長が述べた。許可を持っていない建物の大半は住居とのこと。宅地開発業者が建てたものを除けば、その率は決して外れていないはずだ、と同課長は確信している。県内では多くの公有地に住居が建てられているが、それらは公有地であるために絶対IMBは下りないはずで、それがIMB非保有率を高いものにしている。その実態を把握するために、同課では戸別訪問現場調査を開始したいとしているが、実施のための予算が不足しているためまだ着手できていないのが実情。
IMB手続を県民が避ける理由として、時間と金がかかることがあげられているが、同課長は県への課金は建物コストの1%であり、たいした負担にはならないはず、と答えている。不法な実態を合法なものに変えていくための方策として同課長は、IMBのない建物の強制撤去は避けたいので、軽減措置を決めてある、とその内容を語る。これは自己所有地以外の土地に建てた住居に対して、違反免除許可を与え、また課金も本来の75%に軽減するというものだが、それに応じて申請して来る県民の数はいまひとつだ、と状況が満足できるものでないことを匂わせている。今年同県のIMB課金収入目標は165億ルピアだが、現時点ではまだ4.4億ルピアのショートになっている、とのこと。


「リッポチカランで建売住宅販売」(2005年12月15日)
ジャカルタ、タングラン、メダン、ビンジャイ、マラン、スラバヤなどの都市郊外部に8軒のモールを建設しているリッポグループの次のプロジェクトはボゴール。そのメガプロジェクトはベラノバ・カントリーモール。2006年5月にフルオペレーション開始予定で、テナントスペースの6割が既に売却済みとのこと。
一方、ブカシ県チカランにあるリッポチカランは工業地帯の中の住宅地および商業エリアとしての性格を持っており、およそ550の工場で働く20万人が毎日この地区に集まってくる。既に建てられた8千以上の住宅に加えて2004年12月にPTリッポチカランは36軒の家屋を新たに建設した。そのエリアで働くヤングエグゼキュティブやプロフェッショナルをターゲットにしたこの建売販売はMy Home @ Lippo Cikarang というキャッチフレーズの下に、72平米の土地に床面積80平米の家屋が2億1千5百万から2億7千5百万ルピアという手の届く価格で売り出された。今年12月、同社は再び24軒の建売住宅をMy Home 2 @ Lippo Cikarang と命名して発売を開始した。土地面積90平米に床面積160から366平米の家屋で、価格は一番安いもので2億9千5百万ルピア。


「首都圏の住宅販売状況」(2005年12月20日)
10月1日の石油燃料大幅値上げで国民の購買力は大幅にダウンするだろうとの予測が的中した、とコールドウエルバンカーインドネシア副社長が語った。ブディ・ゴザリ副社長は、「ジャボデタベッ地区における今年10月以降の住宅購入は2,891ユニットで9月実績の4,536ユニットから大きく後退している。10月の石油燃料値上げ後、デベロッパーは中級住宅を20%、高級住宅は30%値上げしており、消費者の購買意欲が冷え込んでしまった。さらに土地価格が上がってくるようなことにでもなれば、住宅販売はますます低下するだろう。」と今の状況をコメントしている。


「土地マフィア」(2005年12月27日)
「不動産業界の業績に障害になっていることがらは何か?」との問に対して、経済危機で壊滅した不動産業界の片隅から彗星のごとく飛翔した新進デベロッパー、アグンポドモログループの総帥、トリハッマ・クスマ・ハリマンはこう答えた。「土地マフィアだ。」
土地マフィアは古典的な問題だが、取り扱いがきわめて厄介なのだ。アパルトメン、住宅地あるいはショッピングセンター建設のための土地買収を行う際には、その土地が本当にクリーンで所有権係争がないことを不動産会社は念入りに調査する。ある者から土地を買ったあと、その者の親族がその土地の権利を主張するようなことが絶対あってはならないのだ。そのために、農地法を自家薬籠中のものにしている優秀な法律家や公証人を使い、インドネシアでの土地売買のいろいろな抜け道に通じている法律専門スタッフを抱える。そのようにして用心深く、念入りにことを行っても、時に問題がぶち当たってくれる。「驚くなかれ、わたしは同じ土地を7回も買ったことがある。本当に頭が痛くなった。でもインドネシアで不動産ビジネスを行う際の現実がそれなんだ。」トリハッマは笑いながらそう物語る。かれが言いたいのは、インドネシアにおける法確定の軟弱さ。
スラバヤを本拠にするパクウォングループ総帥のアレックス・テジャも似たような意見を言う。政府は土地マフィアにもっと警戒しなければならない、と。「スラバヤ市内のある場所をわたしは1993年に買った。その土地に関して法律問題はすべてクリアーされ、クリーンな土地のはずだった。ところが2005年、その土地の所有権を主張する者が突然出現してわたしを警察に訴えた。びっくりしたよ。自分で購入し、12年間も占有していたというのに、突然自分のものだと言い出す者が現れるんだから。」アレックスは怖れもしなければ引き下がろうともしなかった。自分の権利をもてあそぼうとする不埒な者がいる。この国でいまだに法律をおもちゃにしようとする者があとを絶たないのは不思議でしかたがない、というアレックスのコメントは、土地登記に関する1997年政令第24号32条(2)に明示されている条文が根拠を与えている。
『個人あるいは法人が正当に得た土地に証書が発行され、明らかにその土地を占有している場合、その証書が発行されて5年以内に証書保有者と土地管理事務所長宛に文書で不服申し立てを行わず、あるいはその証書発行と土地占有に関する訴訟を裁判所に起こさなければ、その土地に対する権利を持っていると考えている何者も、その権利を行使することはできない。』
チプトラグループ会長のチプトラも、厄介な土地マフィア問題について、すべてのデベロッパーがマフィアから洗礼を受けている、と語る。チプトラが、やはり不動産業界に参入した子供たちをはじめ、自分の部下に常日頃から話していることは、「土地マフィアに対して一歩も引くな」。かれらとの対決は、法廷で法的に行う。「言い掛かりをつけてくる連中の一部は単なるこけおどしで、一件を法廷に持ち込むと向こうから示談を持ち出してくる。示談とはいえ、示談金をせしめようという腹は丸見え。かれらは、和解を、と言いながら、こっちに金を払わせようとする。」首を横に振りながら、呆れ顔でチプトラはそう言う。かれは10年かかってやっと決着した厄介なトラブルにぶち当たったことがある。インドネシアのある都市で、住宅地用に土地を買収した。すべては順調に流れた。ところがそれから8年たったある日、その土地を自分のものだと主張する者が現れた。証拠書類は、その土地の売買を物語る領収書と元の土地オーナーの遺言状。チプトラは当然、この係争を法廷に持ち込んだ。国家法廷ではチプトラの勝ち。高裁も最高裁もチプトラが勝った。ところが負けた側はそれでも不満で、判決見直し請求を行った。それでもやはりチプトラの勝ち。ところが執念深い相手は、こんどは行政法廷に訴えた。チプトラも疑心が湧いた。この相手は事業の妨害をしたいのだろうか、と。
不動産業界の長老チプトラは、土地所有問題をもてあそぶ悪徳分子に怖れず対抗することだ、と若手を指導する。法的に対抗し、何年もかかる裁判にくじけないメンタリティを涵養すること。反対に不動産業界者に対しても、法律をもてあそばず、はっきりした土地所有者からリーガルに誠実に買収することだ、と教える。残念なのは、法執行者の中にこの問題に関与しようとする者がいることだ、とかれは言う。そんな法執行者たちは、言いがかりをつけている側が不当なのを知っているのにその側の肩を持ち、かれらを煽ろうとする。そして結局のところは、なにがしかをかれらからせしめるのがその魂胆なのだ。このような悪徳公職者の存在は、公衆の権利を保護し、誠実なる者あるいはインドネシアに投資しようとする者を保護することばかりか、インドネシアの法確定問題にも暗い影を投げかけている汚点であるのは疑いもない。


「ブミマスアパートで入居者がデモ」(2006年1月11日)
南ジャカルタ市ファッマワティ通りに面したアパルトメン・ブミマスで7日朝、50人以上の住民が陳情行動を繰り広げた。1997年にオープンしたこのアパートは125軒の入居者がおり、そのうち20軒は外国人の所有になっている。アパート入居者は法令によって自治組織である入居者会を編成することになっているが、このアパートでは経営者側が作った入居者会が当初から入居者の自治問題に関する決定機関になっていた。入居者たちは、入居者会が定めて毎月徴収している金額が過去数年間に渡って使途不明であり、関係者によって着服されているおそれがあるとして数年前からアパート経営者側に問題をクリアーにするよう要求していたが、適切な対応がなされないまま時間がたち、問題が両者間でかなりこじれたかっこうになっている。入居者側が問題としているのは、2005年10月に平米当たり1.5ドルから1.8ドルへのサービスチャージ値上げを勝手に決めたこと、サービスチャージ以外に毎月清掃費・セキュリティ費・水道光熱費が徴収されており、サービスチャージが何に使われているのか使途が明らかにされていないこと、入居者会側が実際の入居者代表の参加を拒否していること、アパート入居者は支払う家賃の10%を賃貸者側所得税として源泉徴収する税制になっているが、アパート経営者側は反対にその税金を入居者に負担させていることなど。特にサービスチャージはアパート経営者と入居者が合意しなければ有効にならない、と法令で定められている。
2001年3月に入居者と経営者との間で一度問題がこじれ、入居者は警察、都知事、国会、居住地域インフラ省に届け出て、アパート経営者が召喚されたこともあるが、そのとき問題は何一つ解決されなかった。今回の係争はその同じ根を引きずっているものであり、入居者側リーダーのひとりは、「アパートオーナーを搾取するシンジケートが関与した荒っぽいやり口がここで展開されており、自分はその裏にだれがいるのか知っている。」と洩らしている。


「デラックスサービスアパートメントが2007年にオープン」(2006年1月24日)
アメリカのサービスアパートメントチェーン、オークウッドがジャカルタにもオープンする。PT Cozmo International (Indonesia)がメガクニガンに建設中のOakwood Premier Cozmo Jakarta がそれ。5,458平米の土地に建てられる40階建ての高層建築は、床面積5万1千平米。1フロアーには平均して12のユニットが用意されるが、階が上がるに連れてユニット数は少なくなり、ユニット当たりの面積が広くなる。
総ユニット数は250で、そのうち64ユニットは寝室がひとつ、92ユニットはデラックス寝室がひとつ、44ユニットは寝室がふたつ、28ユニットは寝室が三つ、20ユニットはオーナープリオキュパイド、更にペントハウスがふたつある。オーナーシップは二種類あり、オーナーオキュパイドとフルインベストメントの二カテゴリーに分かれている。オーナーオキュパイドは購入者が自分で住むもの。フルインベストメントは購入者がオークウッドに賃貸を委託するもの。委託すると、年間7%のリターンがあり、またオーナーは二週間自分のアパートに宿泊することができる。賃貸はルピア建てで、日・月・年のいずれの単位でも応じてもらえる。建築工事はほぼ10%が終わったが、ユニット販売はすでに50%が売却済みで、購入者の40%は外国人とのこと。
ファシリティは水泳プール、サウナ・スパ完備のフィットネスクラブ、ビジネスセンター、駐車場、24時間セキュリティ、緊急避難用ヘリパッド、リムジンサービスなどが予定されている。このアパートメントの特徴のひとつに、広い寝室をあげることができる。30−40平米という広い寝室は、ほかではあまり例がない。このアパートメントは2006年末の完成が予定されており、賃貸開始は2007年初から、となる。
オークウッドは1960年にアメリカのカリフォルニア州に設立された会社で、世界にネットワークを持っており、アジア地区では、クアラルンプル、東京、北京、バンコック、バンガロール、ムンバイ、バリ、ジャカルタなど10ヶ所でプロジェクトを進めている。


「不動産所有権の期限延長が外資受入れの鍵」(2006年1月25日)
外国人が住居を持ちたがっている都市はジャカルタ以外に7つあり、この先5年間にインドネシアで50〜100億ドルビジネスが生まれるチャンスが待ち受けている、とインドネシアリアルエステート事業者協会(REI)のルッマン・プルノモシディ会長が発言した。その7都市とは、バタム、メダン、プカンバル、バリ、ロンボッ、マカッサル、マナド。同会長は外国人の不動産所有権期限延長に関する政府のコミットメントについて触れ、現行の25年から99年まで延ばすようにREIは政府に要請したと語る。もしそれが実現した暁には、それらの都市で初年度から10〜20億ドルの投資を呼び込むのも夢ではない、と強調する。「政府はまだ結論を出していないが、25年をもっと長いものにするコミットメントはもらっている。99年というのは、外国人の住居所有期間として理想的な長さであり、また近隣諸国との兼ね合いから見ても妥当性は高い。もし外国人の不動産投資開放の意思が政府にあるのであれば、確定性の高いものにする方がよいに決まっている。」同会長はそう述べている。この動きに乗ってREI会員会社の中には、ジャカルタの数ヶ所に外国人向けアパート建設計画を練り始めたところもあるとのこと。


「不動産業界のビジネス低迷」(2006年2月14日)
消費者購買力大幅減退の結果、2006年1月の住宅販売は5.3兆ルピアとなり前年同月実績からおよそ10%ダウンした。この状況は今年第三四半期まで継続するものと見られ、年間では2005年実績を20%ショートするものと予測される。インドネシア不動産研究センターのパナギアン・シマヌンカリッ専務理事はそう語った。その原因は主に18から18.5%にまで上昇してきた金利率にあり、購入者が購入を手控えたことで実業界の発展と経済全般にかげりが出ている、と専務理事はコメントしている。
インドネシア不動産協会によれば、10月の石油燃料大幅値上げの影響で12月1月と不動産販売は低下している。住宅購入予定者の多くが予定を延期してしまい、デベロッパーの多くも開発実施を延期せざるを得なくなっている。この状況がこの先5〜6ヶ月続けば、不動産業界は灰色の雲に覆われてしまう、と同協会副会長は語っている。
パナギアン専務理事の経験によれば、中国正月が明ければ不動産ビジネスは例年急激な伸びを示すのに、今年はさっぱり振るわない、とのこと。このため2月の住宅販売は5.1兆ルピア程度と見込まれ、2005年2月の7兆との間に大きな開きが出る。住宅販売のかげりは昨年11月からすでに始まっており、2005年下半期の不動産投資は35兆の目標が大きくはずれて25兆で終わっている。目標は住宅販売5千ユニットだったが実績は3千5百ユニット、またショッピングセンターの売り場販売目標も20万平米だったが、15万平米しか達成できなかった。
この状況を打破するために、住宅購入ローンに対する低利の融資が政府に望まれているが、それとは別に不動産業界に対しても、徹底的な合理化を行って価格引き下げをはかるよう、提案が投げかけられている。


「外国人勤労者に人気の首都圏居住エリア」(2006年2月15日)
首都圏に居住する外国人勤労者の住居に関して、不動産コンサルタント会社コールIPACが2005年の調査結果を公表した。それによれば、外国人勤労者の保安に対する関心はきわめて高く、その要素をパスしなければ外国人は居住場所として選択しないとのこと。もうひとつの選択基準は職場への通勤情況で、この要素も居住地区の選択に強い影響を与えている。
一戸建て住宅の選択でいま外国人勤労者にもっとも人気の高いのはポンドッキンダとクマンの二地区。これは、その両地区がジャカルタインターナショナルスクールに近いという要素が影響を与えているものと見られている。他には工業団地への足の便という要因から、北ジャカルタ市クラパガディンあるいはタングラン県・市内のカラワチをはじめいくつかのエリアにも人気が集まっている。家賃月額は2千5百から3千5百USドルが標準。
一方アパートメントはどうかと言えば、床面積135平米2BR(ベッドルーム)のユニットで家賃は1千5百から2千6百USドルというレベル。外国人向けアパートメントで有力なものは下のような状況になっている。ただしサービスアパートメントは下のリストに含まれていない。
Darmawangsa Residence, Salemba  3BR : 4,700(USD)、 4BR : 4,300-5,500(USD)
Four Seasons, Plaza Senayan, Plaza Residence  2BR : 2,775-3,200 3BR : 3,875-3,950 4BR : 5,750-7,000
Hilton Residence, Pondok Indah, Bukit Golf, Ascott, Menteng Executive 2BR : 2,700-3,250, 3BR : 3,200-4,450, 4BR : 4,950-7,300
Aston Batavia, Pavillion Park, Permata Hijau, Puri Casablanca, Casablanca 2BR : 1,200-2,900, 3BR : 1,500-3,300, 4BR : 2,250-6,400
Taman Rasuna, Semanggi, Slipi, Kintamani, Taman Passadena, Puri Imperium 2BR : 500-1,500, 3BR : 700-2,500, 4BR : 1,780-4,500
それらのアパートメントの中で、日本人にはプルマタヒジャウ地区、欧米人にはポンドッキンダ地区にあるものが人気が高いとのコメントが付けられている。
一方、一戸建て借家についてのデータもコールIPACが下のように報告している。
地区名  広さ平均(敷地・建物)  月額家賃幅(USD)  平均(USD)
Menteng   718M2 ・ 514M2     2,000-7,000    3,061
Kuningan 893M2 ・ 515M2 2,000-6,500 3,262
Kebayoran Baru 643M2 ・ 511M2 2,000-8,750 3,015
Kemang 893M2 ・ 517M2 1,500-10,000 3,145
Pondok Indah 640M2 ・ 517M2 2,500-5,900 3,058
Permata Hijau 688M2 ・ 550M2 1,500-6,000 2,671
Lebak Bulus 950M2 ・ 572M2 1,500-6,500 2,604
Pejaten 950M2 ・ 523M2 1,000-9,000 3,549
Cipete 781M2 ・ 479M2 1,250-4,750 2,521
Cilandak 993M2 ・ 537M2 1,700-5,300 2,925


「不動産はいまが買いの時期」(2006年3月13日)
消費者の購買力が低下し、売れ行きがダウンしている不動産は、今が買いどきだ、と業界者が語っている。購買力低下と金利上昇がプロスペクト購入層の足を遠のけたため、市場では価格が下降傾向に入っているとのこと。不動産ブローカーCentury21のメンバーブローカーは、「いま不動産を売却しようというのはあまり得策でない。一方、価格が下向きのいまは、購入者にとってお買い得の時期だ。特にキャッシュ購入は。」と言う。今は買い手のポジションが強いために、デベロッパーも困難な立場に立たされている。多くのデベロッパーが頭金の10回分割をオファーしていることが、買い手が激減したことを明白に示している、とかれは語る。中でもアパートメントデベロッパーはたくさんのユニットに買い手がつかず、たいへんな状況に陥っているらしい。この状況を立て直すには需給バランスを拮抗する方向に向けるのが最善で、そのために今建設中のアパートメントに完成時期の調整が行われるのではないだろうか、と観測筋は予測している。
PTプロコンインダの販売課長も同じような話を物語る。購買力低下と金利上昇で資金の動きが変わったとかれは言う。同社のリサーチ結果は、第四四半期にプリセールス物件の売れ行きが落ちたことを示しており、今年のコンドミニアム市場は、過去二年間の実績をかなり下回るに違いないと予測されている。いまの経済状況下で不動産投資は資金流動性を低める以外の何ものでもない、という投資家の思惑から、資金は定期預金へと向かっているそうだ。ただ、自分で使用するために購入するストラタタイトル・アパートメントの販売は、まだまだ動きがあるのではないかとかれは見ている。
ティルタ・スティアワン不動産ブローカー協会会長は、今の経済状況から不動産価格が下向き傾向に入っているとはいえ、下降圧力のあまりかかっていないエリアもある、と実態を披露する。メンテン、ポンドッキンダ、プルイッ、クラパガディンなどのエリアは不動産価格が安定している。それどころか、それらのゴールデン地区では、インフレと石油燃料大幅値上げによる総体的な価格上昇の中で、不動産価格も上向き傾向にある、とのこと。「長期投資という面から不動産を見た場合、将来性はまだまだ高いものがあり、今の経済状況を暫定的であると見ている投資家にとっては、その動きにあまり顕著な影響が出ていない。ところで、アパートメントはその70%が投資物件として購入されてきたが、この分野がいまもっとも深刻な影響を蒙っている。2004〜2005年に引き渡されたアパートメントの多くが、入居者がなくて空家になっているため、かれらはまた新規にアパートを購入することに迷っている。アパートメント市場がいま一番ドロップしている分野だ。それに比べて土地分譲、一戸建て住宅、住居店舗などはそこそこ取引があって、それほど大きい落ち込みは見られない。不動産業界は経済状況の回復を首を長くして待っており、はやく下半期に入ってほしい、と思っている。」同会長はそのようにコメントしている。今のこの時期、不動産業界にできるのは、効率向上と利益目標の下方修正だけのよう。


「過剰供給のアパートメント市場」(2006年4月13日)
2008年までの2年間に都内には新たに164軒のストラタタイトルアパートメントが軒を連ねる、と不動産コンサルタント兼販売エージェントのコリエールズインターナショナルがリサーチ結果を公表した。164軒のうち24軒は今年完成する予定で、アパートメントユニット数としては10,400ユニットが供給戦線に加わることになる。その結果首都のアパートメント市場供給量は4万7千ユニットに達するが、供給はまだまだ継続して最終的に71,940ユニットという数に達するものとコリエールズは計算している。その一方、昨年はアパートメント需要が下降トレンドを示したことが指摘されている。昨年のストラタタイトル販売は2,921ユニットで、一昨年の4,878ユニットから大幅に低下し、結果的に売れ残っているユニットは一昨年の7,874から9,506に跳ね上がった。その需給動向と今年来年の供給予定を見る限り、買い手のつかないユニット数は更に激増するのではないかとコリエールズは予測している。
販売価格帯のレンジは下のようになっている。
セグメント / ルピア / 米ドル (金額は平米当たり単価)
ローエンド / 600万未満 / 632未満
ロワーミドル / 600〜1,000万 / 632〜1,054
アッパーミドル / 1,000〜1,500万 / 1,054〜1,580
ハイ / 1,500〜2,000万 / 1,580〜2,107
デラックス / 2,000万超 / 2,107超
一方、賃貸向けおよびサービスアパートメントの供給は、ストラタタイトルに比べて見劣りするボリュームだ。2005年第三四半期の成長率は0.2%に過ぎず、年間でのサプライも55ユニットしかない。今年から来年にかけて供給されるのは1,310ユニットとコリエールズは把握している。従来賃貸向けユニットはサービスユニットよりも多い傾向を持っていたが、今年から来年にかけて供給される予定のユニットを見ると、サービスユニットが賃貸向けをしのいでいる。ここで賃貸向けと言っているのは一戸建て住宅と同じように借家人が本人の生活一切の面倒を見るという方式のもので、ホテルのようなサービスアパートメントとは別ものとしてとらえている。一般的に今年の投資傾向は、特に絶好のロケーションでない限りアパートメントをあまり魅力的な投資対象と見ていない。特に人気の高いロケーションとは都内CBDエリアと西ジャカルタ市の二地区。供給量を見てもCBDは26%西ジャカルタは24%で、その二地区が総供給量の半分を占めている。一方、中央ジャカルタ市と南ジャカルタ市での新規供給は、床面積を小さく取り、エクスクルーシブな雰囲気を強調する傾向に進んでいる。


「都内のアパートメント供給がまた増加」(2006年6月3日)
ジャカルタのアパートメント販売戦線にまた4軒が参入した、とイ_ア銀行がレジデンシャルプロパティに関する最新のサーベイ結果を報告している。その4軒とは南ジャカルタのThe Pakubuwono ResidenceとCasablanca Mansion、北ジャカルタのPalladian Park、中央ジャカルタのIstana Sahidで、イスタナサヒッは14ユニットのエクスパンション。この4軒が売却用ユニットのマーケティングを開始したことで、首都のアパートメント供給量は5%増加して36,213ユニットとなった。販売ユニットとは別に、賃貸ユニット数も今年第一四半期は5,371ユニットとなり、昨年末の5,295ユニットから増加している。今年第一四半期の賃貸アパート入居状況は75.4%と報告されており、昨年末の78.7%から下降した。賃貸料も平米当たり月額112,367ルピアで前期の112,378ルピアからほとんど変化ない。しかしこの賃貸料金は昨年3月末時点の平米当たり月額104,605ルピアからは7%あまりアップしている。賃貸高層住宅のそんな状況は、外資系企業の新規設立や既存企業の事業拡張がほとんどないために外国人駐在員が増加しておらず、前からいるエクスパットたちが交代しながら賃貸アパートユニットを埋めているに過ぎない、と業界者は語っている。
またイ_ア銀行は、ジャボタベッ地区にある工業団地の土地平均価格が平米当たり622,286ルピアから622,291ルピアへとわずかながら上昇傾向にある、とも報告している。


「都内賃貸アパートメント5月の状況」(2006年6月26日)
5月に頻発した都内の労働者デモ騒動で都内賃貸アパートメント市場は閑古鳥が鳴いたとイ_ア銀行のプロパティサーベイは報告した。5月の状況は、入居率が低下したばかりか家賃までもが下がったとのこと。労働法改定反対労働者デモが何日か続いたために外国人居住者はアパートメントの外に住居を求め、エクスパトリエートをメインターゲットにしている都内賃貸アパートメント市場は入居率が1.84%ダウンした。
家賃も平均月額平米当たり129,782ルピアにほんのわずか下がったが、これはルピア高によるドル建て家賃アパートの実質収入減の影響がメイン。2006年第一四半期の賃貸アパートメント供給量は5,370ユニットであまり変化していない。年間入居率は83.3%から86.7%に上昇し、家賃も5.4%上がっている。一方販売用アパートメント市場は供給過剰の影響で平均価格は下がり気味。


「イ_アも外国人年金生活者の誘致をはかれ」(2006年7月13日)
経済成長はまだ小さく、イ_ア銀の予測では今年の成長率は5.4から5.7%程度だから、外国の不動産分野投資機関はまだインドネシアに参入しようとはしない。かれらの目から見ればリスクがまだあまりにも大きいために、無理に参入したところで国内不動産ビジネスの地の利を得ている地元プレーヤー以上にすばやく立ち回ることができずに遅れを取ってしまうのは必定であり、それでは何のために投資しているのかわからない。可能性があると見れば即座に参入してくるポートフォリオ投資と不動産投資はまったく異なるものだ。外国投資家は様子見の姿勢を崩さないが、しかし関心は高まり続けている。「リスクレベルが低下すればかれらはなだれを打って参入してくるだろうが、今のままでは地元資本に太刀打ちできない。」そう語るのはPT Procon Indah のCEO、デビッド・チードル。プロコンインダのアナリストたちは、外資の参入はもう二三年先のことだろう、と見ている。経済成長がもっと高まり、個人所得が増大すれば、不動産需要は膨張する。地元プレーヤーが手に余るまで需給に差がつくとき、外資に大きなチャンスが到来するのだ。
昨今、外国投資機関を誘い込む不動産資本はリテールに限られているらしい。チャンスがそこにしかないわけではないが、地元資本も十分に資金を持っているため、動きの速さで負けてしまうだろうと誰もが見ている。実は、イ_アの不動産投資に興味を示している外国資本は機関投資家だけでなく、個人投資家も旺盛な意欲を見せていることを忘れてはならない。こちらは今すぐ流れ込んできてもおかしくないものであるが、農地基本法がその意欲に水をかけている。イ_アで外国人は土地所有ができない。そのため借地を利用するしかないが、その利用用途にも制限があり、借地に建物を建ててそれを所有する権利であるHGB(建築物利用権)を受けることができない。HGBが与えられるのはイ_ア国籍者あるいはイ_アの法律に従って設立されイ_アに所在する法人だけである。外国人に許されているのはHak Pakai(土地利用権)のみで、この権利は期限が短い。公有地を借地していた場合、行政収容はHak Pakai から優先的に行われる傾向があることや、所有権へのグレードアップが一旦HGBに切り換えなければ申請できないことなどから、イ_ア国籍者にとってもHak Pakai はあまりありがたい権利とは見られていない。土地利用に関する法的保護の問題に加えて、外国人の居住規定がインドネシアは複雑怪奇ですっきりしない。それらの情況をそのままにして外国人個人投資家を誘致しようとしても、もっと魅力的な条件を近隣諸国が示している。共産圏のある国ですらHak Pakai に99年という期限を与えている、とプロコンインダの代表取締役は述べている。
「政府は外国不動産投資家の誘致を望んでいるが、機関投資家の対策は後回しにして構わない。国内市場で需要が高まってくれば放って置いても自分からやってくる。政府が今すぐ対応を取ることで効果が上がるのは、外国人のイ_ア居住に関する条件を改善してやることに尽きる。イ_アに資金を投じて老後を送りたいと思っている外国人は少なくない。ところが今の法規だとかれらは安心して暮らせない。その結果イ_アで長い間働いたエクスパットたちが年金を台湾やタイで使っている。最近かれらの誘致に乗り出しているのはマレーシアだ。マレーシアは積極的なキャンペーンを展開して外国人年金生活者を一年間で2千人呼び込むのに成功した。かれらはマレーシアの不動産に金を払い、生活費を落とし、老後をエンジョイしている。」ハンダ・スライマン代表取締役はそう語っている。


「都内アパートメント入居率がダウン」(2006年8月21日)
今年第二四半期における首都のアパートメント入居率が1.4%低下したことをイ_ア銀行サーベイレポートが明らかにしている。商業プロパティに関するイ_ア銀行定期サーベイレポートはその現象について、アパートメント入居者のメインを占めるエクスパット(外国人勤労者)は一般的に年央がその契約終了時期にあたることから契約延長がなされずに帰国する者が出るので入居率が低下するため、第二四半期はローシーズンに当たり、これは定常的な季節変動であると説明している。入居率低下にも関わらず、今年第二四半期の賃貸料金は平米当たり月額129,782ルピアで前回のサーベイからほとんど変化していない。賃貸料金に競争力を持たせることが入居率改善のための方策となるのは間違いないことだ、とその報告はコメントしている。


「電圧の暴走で家電品が壊れる」(2006年8月26日)
2006年7月15日付コンパス紙への投書"Tegangan PLN Merusak Peralatan"から
拝啓、編集部殿。2006年7月7日午前7時ごろ、わが家の電圧はたいへん不安定になり、上がったり下がったり異常な乱高下を示しました。8時半ごろにピークがやってきて、電圧が急上昇して電灯がとても明るく輝きその後消えてしまいました。家の中のほかの電気器具も焼けたり壊れたりしました。寝室のエアコン、点灯中だったテレビとカベルビジョン連結器、使用中だった携帯電話充電器、換気扇、浴室の照明、そして台所で使用中だった家電品などはすべてが壊れてしまいました。状況を確認した上でわたしはすぐにそれらを修理するためにあちこちに連絡しましたが、過去の経験から同じ事が将来また繰り返されるかもしれないと考えました。それはつまり、これまでわたしが行ったきたように、壊れたすべての機器をわたしが自費で修理し続けることを意味しているではありませんか。
この問題についてPLNに責任を取ってもらい、修理費用の負担を要求することは可能なのでしょうか?基本的にこの故障はわたしや家族のだれかのせいという消費者のミスで起こったことでなく、電力を供給しているPLN側が電圧を調整する責任を怠ったことは明白なのですから。[ 南ジャカルタ市クマン在住、ファリッ・ガニオ ]
2006年8月5日付コンパス紙へ投書されたPLNからの回答
拝啓、編集部殿。南ジャカルタ市クマン在住のファリッ・ガニオさんの投書について説明します。当方は同氏の住居で実地調査を行いました。外部給電線からその住居に取り付けられた遮蔽機と測定器までの設備に異常はありませんでした。その際、隣近所にも聞き込み調査を行いましたが、電力供給に関する苦情はありませんでした。更に住居オーナー側の所有になる邸内の配電設備のチェックを行ったところ、配電盤が浴室に接して取り付けられており、湿気が高くまたシロアリでいっぱいでした。ケーブルの接続が緩んでいるものが見受けられ、またアース線はニュートラル結線に連結されていませんでした。それらの事実からPLNは、異常な電圧上昇は配電盤での接続不良とニュートラル線がアースされていないために発生したものとの判断を下しました。電力利用者側の配電設備のために発生した問題であるため、当方は同氏の邸内にあって壊れた電気製品の修繕あるいは弁償の責任はないとの結論を下しました。
この説明と結論を当方は同氏に電話でお伝えし、同氏はそれを了解されたので、この問題は決着されました。[ PLN首都タングラン支社広報課長代理、アスワル・ルビス ]


「都内アパートメント市場報告」(2006年8月28日)
都心ビジネス地区(CBD)でのアパートメント価格はここ数年間上昇を続けており、今や平米当たり1,850万ルピアという値がついていることを不動産コンサルタント会社コリエールズインターナショナルが報告した。第二四半期の都内アパートメント市場調査結果は、CBD外にあるアパートメントではストラタタイトルユニット販売の促進手法として大幅な割引を与えるのがいまだに一般的であることを一部特定地区での高価格とあわせて指摘している。中級アパートメントは平米単価が6〜15百万ルピアのレンジにあるが、ミドルクラス向けに建てられたアパートメントは全体のわずか8%しかない。CBDの売却用アパートメントは平米単価が1,850万ルピアに達しており、南ジャカルタ地区の1,010万や都内のその他地区における650万に比べると天地の開きがついている。マーケット需要も高レベルにあり、第二四半期のストラタタイトルユニット販売状況は第一四半期の90%から2%上昇している。
一方南ジャカルタのラベンダーアパートメントで14ユニットが追加されて総数6,221ユニットになった賃貸アパートメントの方は、第二四半期は下降傾向を示した。賃貸アパートメントにはリースアパートメントとサービスアパートメントがあり、年内にはPondok Indah Square, The Peak of Beaufort, Sommerset Berlianなどが第三四半期そしてMarriott Executive at Mayflowerが年末前に合計442ユニットのサービスアパートメントを供給する予定になっている。それら新規供給を前にして、第二四半期は第一四半期に比べて賃貸アパートメント需要がダウンしている。


「都市へのリターン現象がジャカルタにも」(2006年9月7日)
スプロール現象に乗って都内から郊外部に移り住んだひとびとの都内への回帰志向が高まっている。ジャカルタでいま起こっているBack to the City 現象はミドルクラス向けアパートメント需要を大きく膨らませつつあるところだ。2006年3月から5月までジャカルタ郊外の有力住宅地区であるタングランのブミスルポンダマイとブカシのハラパンインダおよびクマンプラタマに住んでいる237人を対象に行われたサーベイで、90%近い210人が都内に住みたいという希望を表明した。その理由として、首都周辺部にあまり求人がないこと、交通費が高いこと、職場との通勤時間が長いこと、道路破損が激しくまた交通渋滞などのために時間が無駄に失われていくこと、などがあげられている。一方、都内にあるミドルクラスアパートメントとしてピックアップされた西ジャカルタ市のメディテラニアガーデン1、中央ジャカルタ市のアタッメラとチュンパカマスの居住者151世帯に対するサーベイでは、ジャカルタ周辺部から引っ越してきた者が26世帯おり、2005年調査時の8世帯、2003年調査時の2世帯から大幅に増加している。
都内に戻りたい210人の中では実に169人が都内のアパートメントに住みたいと希望しているが、供給量不足がひとつのネックをなしている。かれらのプロフィールは一般に年齢が20から40歳というレンジにあり、高学歴で月収は5百万ルピア未満だが未婚もしくは既婚者でまだ子供を持っていない。かれらが求めている売却アパートメントはユニットあたり1億から2億ルピアという価格帯のもので、その条件を満たすためには土地価格が安い場所に建てられなければならない。それに適した場所として平米あたりの地価が70万から2百万ルピアという西ジャカルタ市ダアンモゴッ通りなどいくつかの候補地が上がっている。この階層は都内の中級アパートメントへの大きなポテンシャリティを形成している。ジャカルタ周辺部に住んで自動車を持っているかれらがひと月に支出している自動車オペレーションコストはガソリン代を含めて100〜150万ルピアに上っており、これは中級アパートメントを購入する際の15年割賦支払いのひと月分とあまり違わない。もし家族の中にそれとは別に交通費を使っている者がいるなら、都内にアパートメントを購入する方が有利になるかもしれない。
インドネシアプロパティウオッチ役員のひとりは、政府がそのような土地の確保を考慮しなければならない、と語る。特にそんなアパートメント建設候補地の近くにバス道路など交通施設建設の予定が立てられると、とたんにそのエリアの地価は数倍に跳ね上がる。そのために政府は交通と住居という両ファクターを総合的に企画していく必要があると述べている。


「島を売る」(2006年9月11日)
ほんの小さな岩が海の上に出ているだけの場所を軍艦を出して奪い合っている国があるというのに、なんということだろうか!そこそこの広さがある小島を掘り返して売り払おうとする人たちがいる。たとえばリアウ州カリムン県にあるモロ島やクンドゥル島がそれだ。それらの島は地図に見当たらない。この島の陸地はパワーシャベルが掘り返しており、掘り起こされた砂があちらこちらに山を作っている。掘られた跡は池や湖になり、養魚場として使われる。しかし中にはもはや島の態をなしておらず、ほとんど海面下に沈んでいる島もある。
掘られた砂は売られて行く。国内に売られるだけでなく、シンガポールへも売られる。皮肉なことに、イ_アの島を削って得られた砂をシンガポールでは干拓に使っている。イ_アの島が水没し、シンガポールは国土を広げているのだ。政府は海砂の輸出を禁止し、陸砂に輸出課徴金を課して島が削られるのを緩和しようとしているが、地元政府がその監視を真剣に行わないかぎりそんな政策が正しく実行されることはない。オルバ期を通して地方の地元天然資源がジャカルタに収奪されてきた歴史から、レフォルマシユーフォリアの風が吹いたとき森林資源はもとより砂を含めた鉱物資源に至るまで地元の個人や共同体がその所有権を主張し、収奪を保護してきた国法が破られるのは当然のこととされた。だがそのいずれにせよ収奪者が交代しただけであって、国土が依然としてかれらの被害者となり、そしてそれらの行為に何の関係も持たず、また何をも享受することのなかった一般大衆がその犠牲者となってきた。
クンドゥル島では島内の空き地から砂が海岸部に運び出され、掘られた跡には水が溜まって大きな池ができた。砂採取から集積場所への運搬まで大型重機類が使われ、溜まった砂は週一回バージ船で運び出される。一回の積み出しは5千トンに達するそうだ。砂の価格はトン当たり4万9千ルピアなので、島の砂のおかげで毎週2億4千5百万ルピアの金が入ってくる。クンドゥル島は住民が居住しているが、周辺の無人島でも砂は掘られている。地元の砂採取業者はいくらでも砂の需要に応じることができる、と胸を張る。「あの島はまだ60ヘクタールも残ってる。」とかれは小島のひとつを指差す。
ビンタン島のタンジュンピナンも砂ビジネスのセンターになっている。採取場所はブラン島やシンケップ島で、地面を掘り起こして得られた砂はトラックに積まれ、海岸で待っているバージ船に運ばれる。運搬能力5千トンのバージが砂で満たされると沖合いまで引かれ、5千トンの砂は沖で待っている母船に移し変えられる。ブラン島の近くに名前の付けられていない小島がある、と言うよりもあったと言った方が適切かもしれない。この島は大半が水面下に没しており、ほんのわずかな陸地を残すだけになっているが、その陸地を掘り返そうと依然として重機が働いており、この島も早晩周辺の三つの島と同じ運命をたどることになりそうだ。その三つの島はかつての陸地がもはや海面と同じ高さになっている。
商業省国際通商総局長は、違反が行われている、と言う。海砂の輸出は禁止されたが、陸砂と土およびC区分採取物の輸出はまだ自由に行ってよい。しかし地元政府が与えた鉱物採取許可に関する監督と届出が正しく行われていない。そこで行われている集中豪雨的な陸砂採取は国土の自然を損ない、エコシステムに悪影響を与えている。当初、天然の島が持っていた波打ち際のマングローブ林は消滅してしまい、中には陸地まで消滅した島もある。潮の干満や海流の季節変動が今まで通り行われなくなり、海水の流れが変化したために海中の生態系が影響を受けている。陸上のエコシステムも冒されている。政府は陸砂採取の規制を行おうとしているが、上流での活動がコンセプトを正しく実行するものにならなければ下流の活動に対するポリシーは決して効果的にならない。住民のコミットメントを獲得するための中央と地方の協力と調整も、決して一筋縄で済むようなものではない。


「都内に中級アパート建設ブーム到来か?」(2006年9月13日)
首都周辺部に住んでいるヤングエグゼキュティブたちの間に、都内への通勤に関して経済性や時間あるいはエネルギーの効率の悪さを厭う声が高まっており、その階層を対象にした中級アパートメント市場にデベロッパーが照準を当てはじめている。「ブカシ(Bekasi)、スントゥル(Sentul)、チブブル(Cibubur)などに住んで通勤時間に毎日6時間も取られているよりは、都内のアパートに住む方がよっぽどマシだ。」という会話が頻繁になされ、この階層はよく肥え太ったマーケットに成長しつつある、とデベロッパー役員のひとりは言う。この階層向け需要はユニット当たり3〜10億ルピアで立地条件次第という要素も強い。投資対象としても年間7〜12%というリターンで銀行金利の上を行っており、マネージメントがよければキャピタルゲインも得られる。
パナギアン・シマヌンカリッ(Panangian Simanungkalit)PSA理事長は2002年からの5年間における建築投資は417兆ルピアで、そのうちアパートメントは38兆ルピアだと言う。2002年から2005年のアパートメント建設は12%上昇し、2006年から2007年は14%の下降を示している。2005年の不動産ローンは23兆、2006年27兆だが2007年は25兆への低下が見込まれている。住宅取得融資金利は2005年の12.5%から2006年は11.5%、そして2007年は10.5%になり、建設セクターへの融資金利率も2005年15.5%、2006年14.5%、2007年13.5%と低下して行くだろう。地理的にはCBD、エクスパット地区、キャンパス地区が高いアパート需要を持っており、賃貸アパートはこの先の2〜3年間、リターン率年間7〜12%、空家リスクはきわめて低い、という状況が見込まれている。ミドルクラスアパートメント建設はロケーションとマネージメントが鍵であり、信用のおける会社によるマネージメントでなければ販売がうまく行かない可能性が高い。ロケーションとしては、ビジネス向けでガトッスブロト(Gatot Subroto)、ラスナサイッ(Rasuna Said)、スディルマン(Sudirman)、タムリン(Thamrin)、エクスパット向けでメンテン(Menteng)、クマン(Kemang)、プルマタヒジャウ(Permata Hijau)、クラパガディン(Kelapa Gading)、印華系向けではプルイッ(Pluit)、スンテル(Sunter)、クラパガディン(Kelapa Gading)、キャンパス向けはデポッ(Depok)、サレンバ(Salemba)、グロゴル(Grogol)、スリピ(Slipi)、プロマス(Pulomas)だ、と同理事長は述べている。


「ジャカルタをもっと安く暮らせる街にせよ」(2006年9月18日)
「ジャカルタにはもはや空き地もなければ緑地もほとんどない。ヘリコプターで空から見てわたしはそう思った。ジャカルタをはじめとしてイ_ア全国にある都市は、生活するのに高い。運輸面で整合性に欠けており、汚染を生んでいる。ジャカルタを見るがいい。金持ちが街の中に住んでおり、豊かでない者が交通費のかかる郊外部に住んでいる。都庁の政策はあまりにも金持ち寄りだ。」そう批判するのはユスフ・カラ副大統領。ジャカルタをはじめイ_アの都市部は圧倒的マジョリティである豊かでない人々に味方する廉価な街にするべきなのに、かれらは街の周辺や郊外に住み、交通費を主体に高い費用を支出している。その転倒した状況を回復させるために、都内に簡易積層住宅を建設しなければならない。金持ちこそ郊外に住むべきなのだ。副大統領はそう強調している。


「自動車道路建設用地の権利譲渡が禁止される」(2006年10月4日) 公共インフラ建設が予定されている土地の権利証書名義変更を停止する指令が国家土地管理庁から全国の州県市地方事務所に出された。この土地管理庁長官回状は2006年7月13日付け文書番号第140.2-1466A号で、トランスジャワ自動車専用道路が通過するすべての州県市首長経由で出されている。その措置は自動車専用道路建設プロジェクトに関連して土地投機をミニマイズするのを目的としており、2009年までにジャワ島内で1千キロの自動車専用道路が建設されるのにあわせて土地マフィアが行うであろう地上げの動きを抑止し排除することを第一の狙いにしている。土地マフィアは建設予定地の土地を所有者に安く売らせて自分のものにし、土地買収が始まると高額の補償を要求して大きな利益を得るという手口を常習的に使っている。政府はこのトランスジャワ自動車専用道路プロジェクトの土地買収費用として3兆ルピアの支出を予定している。 プロジェクトのための土地買収計画編成を始めていた西ジャワ州政府はこの動きを歓迎しており、建設予定地の地図ができあがれば土地管理庁は土地の課税対象販売価額決定作業を協力し、また土地権利譲渡を禁止して土地買収にできるだけ混乱を少なくするよう手を貸すことになる。土地管理庁は、中部ジャワ東部ジャワの各州政府も早い機会に建設予定道路地図を作成するよう求めている。 「辞書に正確という言葉のないひとびと」(2006年10月31日)
2006年8月30日付けコンパス紙への投書"Salah Bongkar oleh PLN"から
拝啓、編集部殿。PLNは間違えてわたしの家から電力メーターや電線設備を全部取り外して行きました。タングランのタマンロイヤル住宅地にあるその家は2005年11月に引き渡されて以来、空家になっていますが、わたしは基本料金だけの毎月の支払を滞納させたことはありません。2006年8月9日にわたしが掃除のためにその家に行くと、家と電柱をむすぶ電線や接続設備、電力メーターなど一切合切が無くなっているのに驚きました。隣人や警備員にそのことを尋ねると、PLN職員がそれらを取り外して行ったという返事でしたが、何日にそれがおこなわれたのかという情報は得られませんでした。デベロッパーに情報を求めたところ、他の家と間違えたのではないかということでした。デベロッパーはブロックAX2の5番でその処理が行われることになっていると言いますが、わたしの家はブロックAX3の25番です。わたしはすぐにPLNタングラン支店の接続解除課をその足で訪れました。そうしてPLNの下請けが間違って取り外したことが明らかになりました。
わたしはすぐに元通りに直してもらうよう依頼し、2006年8月10日にその作業が行われました。ところがそのときのケーブル接続のやり方がとても不安な方法で行われたのです。電力メーターへの接続は黒い絶縁テープで巻きつけられただけで、メーターにつながる3本のコードは1本だけがクランプで接続されましたが、熱を加えて溶着させただけです。他の2本は絶縁テープで巻きつけただけ。外部電線との連結も電柱側と絶縁テープで巻きつけただけなのです。
PLN作業員に尋ねると、再接続のやり方はこうなっているのだという返事でした。絶縁テープはどんどん進歩しており、雨にも日射にも耐久性は高くなっているのだ、と。再接続時のそのやり方は本当に正しく、またPLNの作業標準に合致したものなのでしょうか?どうして全部にクランプを使わないのでしょうか?特に電柱側の電線とつなぐ場合は。もしそれがPLNの正しい作業標準だったとしても、わたしには不満が残ります。わたしが何も悪くないのにPLN側が不注意で取り外したために接続のクオリティが悪くなったのですから。[ タングラン在住、サムエル・トリウィチャクソノ ]


「ジャカルタにもっと廉価アパルトメンを」(2006年11月2日)
インドネシアで高層集合住宅はいくつかの名称で呼ばれている。超高級デラックス版はコンドミニウム(kondominium)略称コンド(kondo)、高級〜中級レベルはアパルトメン(apartemen)、低階層向けはルマススン(rumah susun)略称ルスン(rusun)。コンドは都内中心部の一等地でお目にかかることができる。ホテルインドネシアロータリー周辺地区ではたとえばケンピンスキーレジデンス(Kempinsky Residence)。ここは一番狭いユニットが床面積126平米で価格は17億ルピア。261平米のユニットだと42億ルピア。スディルマン通りにある超高級物件には400平米のユニットで1百万ドルというものもある。
アパルトメンの場合、価格はピンからキリまであると言える。スディルマン〜Sパルマン〜ラスナサイッ通りに囲まれたスーパーブロックでは平米当たり8〜10百万ルピアという価格帯で、30〜35平米のスタジオタイプで1ユニット2.5〜3億ルピアという価格で手に入る。それだけの金を出せば一軒家が手に入ると考えるひとにとってその価格は高いものかもしれないが、通勤・買物・外食・娯楽などに支出される交通費を勘定に入れればそれほど高いというものでもないと誰しも思うようになる。最近はデベロッパーも柔軟な支払条件をオファーしており、頭金は買い手に決めさせ、割賦期間も48ヶ月から70ヶ月までというように買い手の便宜をはかっている。
しかし依然として都民の多くはアパルトメンを敬遠しているのが実態だ。理由は、安全面に不安があること、広さのわりに価格が高いこと、土いじりをしたいこと、なじまないことでの不安などさまざまだが、一戸建て住宅は場所によってはるかに高額になっているのも事実である。たとえばポンドッキンダ(Pondok Indah)では一軒家に20億〜1,200億ルピアという価格が付けられている。西ジャカルタ市ではプルマタヒジャウ(Permata Hijau)から1キロほど離れたエリアにある一軒家は10〜35億ルピアという価格帯にある。プリインダ(Puri Indah)地区にある住宅地プロボタニカルガーデン(Puro Botanical Garden)でも同じような状況下にある。そこにパラドックスが発生する。
都内のアパルトメンにせよ一軒家にせよ、それに手の届かない低所得層は首都から遠く離れた郊外に住居を求めざるを得ない。そして通勤通学のために高い交通費と時間とエネルギーを消費する暮らしを始める。ひと月の所得の60%が交通費に充てられるという家庭が珍しくない情況が発生するのである。裕福でないかれらこそが都内に住んで日常行動にかかる経費を小さくすることができなければならないはずなのに、実際には金持ちが都内に住んでいる。この矛盾を解決するために、都内にロワーミドル層向けアパルトメンがもっと建設されなければならない。行政の手が隅々にまで入ったルスンと異なり、アパルトメンは民間デベロッパーが緩い行政監督下に経済原理に則って行うビジネスであったわけだが、ロワーミドル層向けの低価格アパルトメンは土地価格が安くなければ実現しない。土地価格のコントロールは行政が行う住宅政策に含まれなければならず、そこに優れたコラボレーションが出現することを諸方面が待ち望んでいる。


「墓に棲む日々」(2006年11月23日)
ジャカルタには都営公共墓地が95ヶ所ある。今のところ民営の墓地はなく、都内に埋めてもらいたい住民はみんなそこに入らなければならない。土地がもはや余地を残していないために、民営墓地が都内に出現する可能性は多分ないだろう。ともあれそんな終の棲家に、まだ埋められるには早い数百人のひとびとが死者たちと同居している。かれらはアーバンプアー、つまり都市貧困者だ。
東ジャカルタ市チピナンブサール公共墓地を見るがよい。広大な墓地の中に墓参者でない雰囲気のひとびとがたくさん眼につく。墓苑の中に散らばっている中国人の墓にはひとつ残らずひとが住んでいる。富裕な中国人が建てた豪壮な墳墓には大きな石碑が立てられ、床や壁は石やタイルが使われて、雨露さえしのげればこれはりっぱな住居となる。そこを居所に選んだ幸運なひとびとは柱を使って布やビニールシートを張り、多少の天候にも困らないような住居に変身させた。しかしそんな墓は数少ない。チピナンブサール墓地に住み着いたひとびとは百世帯前後あり、一等地に当たらなかったひとは必然的に地べたを居所にせざるをえなくなる。一般庶民の墓が並ぶ一隅の墓と墓の隙間に掘立て小屋をかけ、もっと無一物のひとびとは構造物のかけらもないただの地べたが自分の居所となる。遺体や骨がもう入っていない空の墓の上に小屋を作った者もいる。
ここ数年、東バンジルカナル造成工事がピッチを上げて進められているが、この工事はもはや10年以上かかっている。10年以上前に川床に不法居住していたひとびとが造成工事で強制立ち退きをくらい、かれらは都内各所に散ったがその一部がこの墓地に流れてきた。だからほとんどが世帯持ちである。妻がいれば子供ができ、何年かすればその子供を小学校に入れなければならなくなる。それよりなにより、一家の口を潤わせるのが第一優先問題であり、だから墓地の民は仕事をしている。ただしかれらが従事できる仕事は屑拾いや日雇いの肉体労働しかなく、一日の稼ぎはせいぜい2〜3万ルピア。月々15万ルピアの金が払えれば狭く汚い長屋であってもかれらは借家という名前の居所を持つことができるものの、かれらが支払えるのは一年で15万ルピア。その金はかれらが墓地に住むことを墓地管理人にお目こぼししてもらうための不法徴収金だ。
中国人の墓に住んでいる女性はスハルティニと名乗った。そこに住んでいるのは夫と小学校2年生の娘の三人。夫はバジャイの運転手をしている。家賃がかからない分生活が楽で、ひと月5万ルピアを残すことができる。その金は郷里のソロの親族に預けた中学1年の長男のために仕送りしている。一緒に住んでいる下の娘の学費は別の親族が援助してくれている。スハルティニは道端で傷んだ果物を売って家計を助けているが、たいした稼ぎにならない。「墓が自分の家なんて、そう思うたびに悲しくなるけど、ジャカルタに留まるのに他にどうしようもないから。」かの女はそう語る。
マルク出身のソニア35歳は1993年から空墓の上で夫と一緒に暮らしている。持っている道具はプラスチックバケツ1個とミネラルウオーターの空き瓶が数個。墓地で暮らすようになるまでソニアは東バンジルカナルに近い借家に家賃月額15万ルピアで住んでいた。工事のために立ち退きをくらったとき、夫の名刺印刷業も破産した。ジャカルタで生きて行くためにこの夫婦は屑拾いに転職せざるをえなかった。一日の稼ぎは2万5千ルピアで、食費にすべてが使い果たされてしまう。借家の家賃を払う余裕がなくなり、結局借家を追い出されて墓地に来た。子供はいま中学2年生で、ランプンにある夫の実家に預けてある。夫の実家への仕送りをしたいと思うが、なかなか思うにまかせない。一年間に1ルピアの仕送りさえできない年がある。それでもかれらはジャカルタに留まっている。夫が夜遅くまで帰ってこないことが多く、墓地にひとりぼっちで夫の帰宅を待っていると恐怖を感じることがある、とソニアは告白する。
墓地から近い場所にあるPTジャヤミックスでクーリーをしているムキン50歳は、バタム開発庁ビル建設のときに立ち退きにあって墓地に流れてきた。かれは妻と6人の子供たちと一緒に墓地で暮らしている。かれら墓地居住者たちも礼儀を守っている。墓主の遺族が墓参りにくるときは、その周囲を片付けて自分たちは姿を隠すのが通例となっている。


「5億ルピア超アパルトメン販売が好況」(2006年12月1日)
ジャカルタのアパルトメン販売は5億ルピアを超える価格のものがよく売れており、来年もその傾向は変わらないだろうと業界者が語った。インドネシアリアルエステートブローカー協会会長によれば、ユニット価格が5億ルピアを超えるものは売り切れ状態とのこと。ただし投資リターンは時間をかけなければならない。ローン金利が14〜15%台にあり、PPN(付加価値税)とBPHTB(土地建物権利取得税)が20%に達する現状では、時間をかけて値上がりを待たなければ十分な利益を回収することはむつかしい。今現在の相場は2000年から2004年までの間に異常なほどの高騰を見せており、上がり過ぎとも言える3〜4倍に達しているそうだ。
一方もっと安い自己居住用アパルトメン購入は、ジャカルタ周辺部からの逆流が意外にも停滞気味になっているとのこと。職住近接による交通費節減というコンセプトに基づく比較的廉価なアパルトメン購入が、どうやらサービスチャージをはじめとする諸経費のために出費の増大がもたらされる懸念が強くなっており、実態は逆流の声の強さほど現実の販売に結びついていない模様。


「クバヨランバルの建物用途不法転換」(2006年12月26日)
南ジャカルタ市クバヨランバル(Kebayoran Baru)地区の地域指定用途規則に対する違反は既に収拾のつかないレベルに達している。都市計画にはエリアごとに定められた用途機能があって各エリアは住宅地区・商業地区・工業地区などに区分されている。住宅地区に商店を開いたり事業所を設けるのは原則禁止されており、住民の日常生活の便宜をはかるレベルの小規模売店や商店が一定の割合で認められるだけだが、実態は事業許認可を与える行政機関がそのような規則に対する斟酌をしておらず、縦割り細切れ行政の弊害が蔓延している。住宅地区内にデベロッパーが集合店舗棟を建築しようとして申請すれば認可され、その店舗で営業しようとして事業認可を申請すればそれも通るようになっている。ダルマワンサ(Darmawangsa)地区は元々警察の住宅地区だったが今ではハイクラス商業地区に変貌しているし、バリト通り(Jalan Barito)界隈も建物の73%は商店もしくは事務所として使われている。他の通りでも多かれ少なかれ似たような傾向にあり、交通の便のよいところは10〜40%ほどが住宅からビジネス用途に転換されている。
南ジャカルタ市建物監督整備次局長は、その傾向は1980年ごろから顕著になったと語る。当時は各郡役所が建物用途の不法転換を監視するために毎週パトロールを行った由。今でも原則は変わっていないが取締りが追いつかないのが実態であり、最近ではプラパンチャ通り(Jalan Prapanca)にある南ジャカルタ市庁舎の向かいに開店していたレストランが用途違反のために閉店させられている。用途転換は手続きがあり、許可さえ取れれば問題はないものの申請すれば許可が下りるという保証があるわけでもない。


「アパートやオフィスの電気代・水道代にはPPNがかかる」(2006年12月29日)
立替払いの回収にPPN(付加価値税)が課税される問題に関して、インドネシアショッピングセンター運営者協会(APPBI)が蔵相に直訴する予定。一般に立替払い回収のための決済に対して国税総局はPPNが課税されるとの態度を取っているが、今回問題になっているのはショッピングセンター運営者が電力利用契約者としてPLN(国有電力会社)に支払った電力料金をテナントから回収する局面でのPPN課税。政府は2001年第12号政令で国民生活に重要な課税対象物品に対するPPN課税の免除を決め、2002年第43号政令で内容が一部改定されて現在に至っている。そこでは家庭向け6千6百ワット超の契約者を除いて電力料金はPPN課税が免除されており、国税総局PPN局長が示している見解はそれに矛盾しているとしてAPPBIは会員会社が提起したこの問題を取り上げて蔵相に善処を求める構え。
オフィスビルやアパートなどの運営会社は毎月PLNからの請求に対して支払いを済ませ、その金額を回収するためにテナントに対して請求を起こしている。問題を提起したAPPBI会員会社が運営するビルでは電力メーターがひとつしか設置されておらず、同社はこれまでテナントに対してPPNを加算しないで立替した電力料金を回収していた。同社がその問題を文書で国税総局に問い合わせたところPPN局長から文書で回答があり、その決済にはPPNが課税されなければならないと結論付けられていた。国税側の説明は次のようになっている。
1.PPN法第1条7では、課税のベースは販売、立替、輸入価額、輸出課額、あるいは税額算定のために蔵相が定めた価額であると示されている。
2.同法第1条19では、立替とは課税対象サービスの提供がなされたためにサービス提供者によって請求されたもしくは請求されるべきすべての費用を含む金額であり、本法令に従って課される税と納税インボイスに表示される割引は含まない、と示されている。
3.同法第4条Cでは、PPNは課税エリアで事業者が行った課税対象サービスの提供に対して課税される、と示されている。
上の根拠に基づいて、電力使用料金支払い分の回収は、その総額がPLNに支払われた金額と同一であろうとそれより大きかろうと、PPNが課税される。なぜなら基本的に立替金回収とはオフィスやアパートをテナントが賃貸するという形態での課税対象サービス提供行為の一部をなしているためである。というのがPPN局長の回答にある説明で、また別の文書でも「立替払いの回収に対するPPN課税はマークアップ分のみにかけられるのでなく、その決済総額に課税される。なぜなら電気代請求(水道代請求も同様)はスペース賃貸という課税対象サービス提供行為の一部だからである。


「インドネシア人がシンガポール不動産界の上顧客」(2007年1月19日)
シンガポールの不動産、特にコンドミニアムやアパートメントを購入するインドネシア人が年々増加している。購入者はたいてい自分で使うかあるいは賃貸物件としての投資先にそれを選んでいる。インドネシアのおかげということでもあるまいが、CBリチャードエリス社のリサーチによれば2006年の不動産販売は281.9億Sドル(シンガポールドル)に達し、史上空前と言われた2005年の135億Sドルをあっさりと追い抜いてしまった。シンガポールの不動産販売は国際市場がメインマーケットであるというのを特色にしており、いまはインドネシア市場がそのトップに置かれていて二番目はマレーシアだ、と同社のチーフオペレーティングオフィサーは述べている。
シンガポール政府はオーチャードロード、シンガポールリバー、マリーナベイ、セントサアイランドの不動産商業化を目指した再活性化プログラムを進めており、不動産ビジネスの好況はまだまだ継続するものと見られている。おかげでシンガポールは2006年第三四半期の住宅価格がYOYで7.6%の上昇を見せ、フィリピン・インドネシアと並んで域内不動産ビジネス好況エリアのトップスリーに位置付けられた。フィリピンは経済危機以来の不況でプロパティ市場は沈滞していたが、2006年は年間で11.6%という上昇を示して域内のトップ市場に踊り出ている。インドネシアは8.8%という上昇率だが、高いインフレ率に蝕まれて不動産業界にとっての実利は小さく、業界者の中には実際はマイナスだという声も上がっている。


「アラムストラ新興住宅地区」(2007年3月19日)
タングラン県スルポンのアラムストラ(Alam Sutera)地区に4百Haの広大なエリアを開発してニュータウンを造る構想が進められている。このニュータウンではムラッ〜ジャカルタ自動車専用道路KM15.4地点に直結するアクセス路が建設されることになっており、ジャカルタとの足の便は飛躍的に向上する。デベロッパーのPT Alfa Goldland Realty は計画されている4百Haのうち3百Haを既に開発中で、最終的には4百Haという広大な住宅地区に1万4千軒の住宅が軒を並べることになっている。またニュータウンという構想に従って、エリア内にはモールや国際級の病院なども設けられる予定。この開発事業への投資は4千億ルピアが計上されており、三年後の完成予定となっている。
このアラムストラ住宅地区はムラッ〜ジャカルタ自動車専用道路に沿って4百Haの開発が進行中だが更に3百Haの土地が確保されていて、その上デベロッパーはもう3百Haを追加する意思を持っている。この住宅地区は一軒2億2千万ルピアから20億ルピアという価格帯の住宅が用意される予定で、販売はすでに開始されている。2億2千万ルピア台の住宅は人気が殺到していてあと数十軒しか残っておらず、その上の3億5千万ルピア台の住宅に近々需要が移るのは間違いないところ。発売開始後の市場の反応は上々で、数日間ですでに8百億ルピアの売上になっている。


「違反者の権利を尊重せよ」(2007年05月03日)
2007年3月20日付けコンパス紙への投書"Pencopotan kWh Meter PLN Tanpa pemberitahuan"から
拝啓、編集部殿。2007年2月24日土曜日、PLNビンタロ支所はビンタロのムラティ通りにあるわたしの父の家の電力メーターを取り外しました。しかしわたしの父は2007年1月と2月の2ヶ月間滞納しただけなのです。2月26日に父は滞納金額をブコピン銀行経由で払い込み、その足でビンタロPLNを訪れて支払証憑を示し、すぐに電力メーターを取り付けなおすよう要請しました。ところがビンタロPLNは再設置金10万ルピアを先に払わなければ電力メーターの再設置は行われない、と言い張ります。父は自分が悪くないのでその10万ルピアは払えないと主張しました。するとPLNビンタロ支所のその職員は、1週間以内に再設置金を納めないなら給電完全停止になる、と嚇かします。そうなれば、また新規設置申請をしなければならないので費用がもっとかさむ、と言うのです。
わたしが明らかにして欲しいのは、父が2ヶ月間使用料金を滞納したから電力メーターを取り去ったというPLNビンタロ支所の行為は正当かということです。わたしが諸方面から集めた情報によれば、PLNが電力メーターを取り外すのは利用者が連続して3ヶ月間料金を滞納した場合であり、それも事前の通知がなされてからということになっています。わたし自身もPLNビンタロ支所を訪れてこの問題をクリヤーにしようとしましたが、わたしが得たのは父が得たのと同じような回答でした。今現在、父の家の電力メーターはいまだに取り付けられておりません。一方、電力メーターを撤去したPLN職員は外からの電線を屋内配線にそのまま接続したので、屋内に電気は来ています。これはPLNの規則に則した行為なのでしょうか?PLNの電力メーターというのは、単に消費電力を計測するだけでなく、電流が流れすぎたときにそれを制御して消費者の安全を守るためのMCBをも備えたものではありませんか。[ ジャカルタ市クバヨランラマ在住、ムハジ・フィクリオノ ]
2007年3月30日のコンパス紙に掲載されたPLNからの回答
ムハジ・フィクリオノさんからの通知なしの電力メーター撤去に関する投書に関してPLNは、それが故意でなく発生した間違いだったことに対して謝罪の意を表明します。ムハジ・フィクリオノさんの父親であるムハマッ・ハルヤディ技師が2月24日に体験された出来事は、ビンタロサービス地区接続切断作業下請け業者の実施作業ミスによるものでした。
PLNビンタロサービス地区事務所のデータによれば、ムハマッ・ハルヤディ技師は2007年1月2月の料金を滞納しており、それに対して取られるべき措置は外部給電線側の電柱で給電を停止するだけであるにもかかわらず、実際には電力メーターの撤去が行われたのです。この作業に関連してPLNビンタロサービス地区事務所は下請け業者のPT Mitra Aspri Jaya に対して6ヶ月間の業務差止め書を与え、またPLNジャカルタタングラン配電支社ジェネラルマネージャーからの完全切断実施と完全切断前・暫定切断・再接続アウトソーシング実施規定に関する回状に則した罰則を与えました。
PLN利用者は利用料金請求の支払を毎月5日から20日の間に行って電力供給暫定切断措置を蒙らないようにしてください。[ PLNジャカルタタングラン配電支社デピュティマネージャー、アズワル・ルビス ]


「バタムの不動産価格」(2007年5月14日)
広さに限界のあるバタム島の不動産価格がウナギのぼりに上昇している。島内でもっとも有力なナゴヤやバタムセンター地区の住宅地価格はいま平米あたり110万〜300万ルピアに達している。一方バタム開発庁が設定している開発庁への納付金計算では規準地価がいまだに35,500〜51,000ルピアでしかない。一方商業用地はその差がもっと大きくて、現実に売買されている地価は平米当たり400〜800万ルピアになっているというのに、開発庁への納付金規準地価は35,750〜93,250ルピアでしかない。
不動産販売価格を見ると、敷地105平米に建物床面積50平米というタイプ50型住宅の価格は2006年に1億4千8百万ルピアだったものがいまでは1億6千万ルピアになっている。言うまでもなく住宅価格は場所によるため、もっと立地条件の良い場所では同じタイプ50型住宅でも2億ルピアを超えるものもある。バタムのこの不動産価格急上昇についてデベロッパー筋は、目に見えるコストの中では土地整備費用が大きいポーションを占めていると言う。しかし土地マフィアに吸い上げられる目に見えない費用も小さいものではない、とかれは語る。
ともあれ地価のそのような実態と納付金額規準地価の格差がきわめて大きなものになっていることからバタム開発庁はその是正を検討しており、近い将来開発庁への納付金が大幅にアップする可能性を示唆している。


「シンガポール不動産購入はますます盛ん」(2007年05月25日)
インドネシア人が2006年にシンガポールの高級コンドミニアムを1千ユニット購入した。このトレンドは2002年ごろからはじまり、その年インドネシア人は総販売中の30%を占めた。インドネシア人はマレーシア、インド、中国、ヨーロッパなど他国の購入者に比べてダントツ勢力となっている。2007年第一四半期の報告でも、高級コンド購入者の半分はインドネシア人で一等地にある平米単価7千万ルピアを超える高級物件を躊躇せずに買っているとの由。業界者の中には、昨今のそんな現象は10年前から完全に逆転したものだと語る。クライシス前にはシンガポールからケッペルランド、キャピタルランド、シティデベロップメントランドなどいくつかのデベロッパーがインドネシアの地方部で不動産開発を行っていた。ところがクライシスでかれらの多くは撤退し、プロジェクトは立ち消えになってしまった。ところがいまやインドネシアの消費者が、かれらがシンガポールで建てた物件をシンガポールまで行って買っている。
シンガポールで不動産を買っているインドネシア人のプロフィールを見ると、子供の教育のためにそれを行っているひとたちがいる。子供にシンガポールの教育を受けさせている親の多くは、子供の住むところを借りるよりも10〜15年というレンジを想定して住居を買う。シンガポール政府が与えている不動産キャピタルゲインに対する免税という優遇措置がその傾向を支えているという面もある。シンガポール政府は不動産に対する昨年の外国投資が一次二次市場全体で35億米ドルに達したと報告している。


「都内CBDのコンドは売れ行き好調」(2007年8月31日)
2006年には3,522ユニットという膨大な供給があり、他の年でも毎年2千ユニット程度の供給が続けられているジャカルタのセントラルビジネス地区におけるコンドミニアム販売は依然として8割前後の売れ行きを維持しており、不動産業界で驚異的なビジネスが展開されている分野のひとつであると不動産研究センター上級アドバイザーが語った。2007年はデベロッパーの間で迷いを抱く会社と突き進む会社に二分が起こったために供給は減少しているが、市場は安定した需要を示している。突き進んでいるデベロッパーはBakrieland Development、Agung Podomoro、Djarum Group、Grup Sahidなどで、いま市場で引き手あまたになっているのはThe18th Rasuna Residences、Aston Rasuna Residences、Oakwood Premier Cozmo、Aston Veranda、Aston Mediterania、Mayflower Apartmentなどであるとのこと。


「二百数十軒を高圧電流が襲う」(2007年9月4日)
2007年8月29日早朝午前4時ごろ、ボゴール市南ボゴールのチカレッ(Cikaret)郡にある三つの字(RW)で家庭内の電気製品がすべて爆発したり出火溶融して使用不能になった。電燈も例外ではない。この被害を受けたのはRW7,8,12の三つの字の住民229戸で、一軒当たり1〜3個の家電品を使用していると見られるため5百台ほどが破壊されたと推測され、被害総額は数億ルピアにのぼるのではないかと言われている。
一般庶民にとって家電品は高価な品物であり、家族生活にたいへん重要な位置を占めている。そんな重要資産が一瞬にしてすべてパーになってしまったのだ。月賦の支払いが終わっていないケースも多数にのぼっているらしく、住民の多くは隣組長や字長に涙ながらに被害を訴えていたとのこと。町役場に集まった被害届けをもとにPLNボゴール支店に報告が出されてPLNが現場調査を行った結果、この電力供給事故は泥棒のしわざであったことが明らかにされた。
PLN側の報告によれば、RW8にある変電所に賊が侵入して変電所内の機器が盗まれたとのこと。電圧の乱高下をコントロールする制御器が持ち去られたために全家庭に高圧電流が流れて発生した事故である、とPLNは表明している。類似の事件はボゴール市内でここ1ヶ月の間に4回発生しているが犯人はまだ捕まっていない。被害者はPLNに対して損害の賠償をして思いやりを示してほしい、と要請している。


「トゥベッ地区に高級アパルトメン」(2007年9月14日)
南ジャカルタ市トゥベッのドクトルスポモ(Dr Supomo)通りで初の高級アパルトメン建設工事が始まる。トゥベッ地区もスポモ通りを中心にして商業施設やオフィスなどが増加していることから将来性の高いエリアと目されており、スポモ通り沿線に1.5Haの地所を得てアグンポドモログループが建設する予定のラヴァンデレジデンス(The Lavande Residence)はこのエリアで初の高級高層住宅と位置付けられるプロジェクト。このラヴァンデレジデンスは23階と30階のふたつのタワーで構成され、工費は1千5百億ルピアでアッパーミドル層から上を顧客対象としている。小型のユニットは販売価格が平米あたり950万から1,050万ルピアでユニット価格は最低で3億ルピア、三寝室を持つ大型ユニットは平米あたり1,000万から1,150万ルピアで最高でもユニット価格は10億ルピア程度で発売される計画。建設工事完了は2009年9月が予定され、購入者への引渡しは2009年10月から開始される。


「全国的な住宅価格値上がりはまだ続く」(2007年10月3日)
2007年第ニ四半期に顕著になった住宅価格値上がりはそのふたつの主要因に沈静傾向が見られないことから第三四半期も継続する可能性が高いことをインドネシア銀行が報告している。インドネシア銀行が行った最新サーベイの結果によれば、住宅価格値上がりの主要因として建築資材価格と建物建築許可(IMB)手続き費用のふたつがトップにあり、今年第三四半期住宅向け不動産価格インデックスは第二四半期ほどではないにしてもまだ上昇を続けるだろう、とインドネシア銀行は予測している。四半期ベースの地域別上昇率を見るとマナドが3.4%という予測でトップになりそうだが、イヤーオンイヤーではジョクジャが12.3%でナンバーワンになる見込み。ジャボタベッ地区は場所によって0.6〜7.4%という激しいバリエーションになりそうだ。第三四半期に予測されているこのような上昇は第二四半期の勢いに引きずられたもので、ちなみに第二四半期の中級タイプ住居はバリで8.1%という最大の値上がり幅を記録した。地域別でもバリが4.6%の値上がりを示して全国トップの地位に上っている。ジャボタベッ地区第二四半期の上昇率は1.19%で第一四半期の1.26%より低い。
ところで第二四半期産業向け不動産状況についてインドネシア銀行はこの報告の中で、ジャボタベッ地区では新規供給がなかったために供給面積は7,593Haで変化しておらず、入居面積は64.8%から65.1%に微増したことを報告している。需要の低迷によって産業用地所賃貸料は平米当たり月額29,620ルピアが維持されているものの、売却用地所販売価格は1.1%上昇して平米当たり634,500ルピアとなった。バンテン州も新規供給がないため供給面積は依然5,388Haだが、将来的にはボジョヌガラに新規開発されるジャバベカ工業団地とティガラクサのミレニウムインダストリアルエステートの拡張によって供給増が図られる見込みになっている。バンテンの売却用地所販売価格は6%も値上がりして平米当たり522,800ルピア前後になっている。


「首都の中流アパートメントはここがよい」(2007年11月2日)
メンテン(Menteng)・スティアブディ(Setiabudi)・サワブサル(Sawah Besar)・タナアバン(Tanah Abang)・ガンビル(Gambir)・タマンサリ(Taman Sari)・グロゴルプタンブラン(Grogol Petamburan)・マンパンプラパタン(Mampang Prapatan)・スネン(Senen)・トゥベッ(Tebet)の10地区が首都の中流向けアパートメントとして立地条件の優れたエリアであるとインドネシアプロパティウオッチが発表した。それらの地区は分譲価格2.5〜5.0億ルピアという価格ブラケットの中流所得層に適切なエリアであるとのこと。その観点から見てThamrin Residence, Taman Rasuna, Pasar Baru Residence, Garden Mediterania, Grand Karitiniという5つのプロジェクトは妥当性が高いとも評価している。
インドネシアプロパティウオッチ役員はその選定条件について、マーケットに需要があること、職場が近いこと、賃貸価格相場、キャピタルゲイン、地区面積と人口集中がもたらす高層住居開発需要の必然性、そして言うまでもなく土地価格、などを検討したが特に都庁の首都レイアウト整備が停滞しているために各地区の戦略性の検討に強い焦点を当てた、と語っている。さらに上であげた5件の建設プロジェクトは、地区と市街スケール、アクセスの容易さ、イメージ、コンセプト、価格の妥当性、価格上昇の将来性、そして構想住居開発需要必然性といったポイントから中流層向け都心アパートメントとして上位に位置付けられるものだ、と説明している。
同役員はまた2008〜2009年の不動産セクターの展望について、順調な成長を続けている国内不動産業界は当面その上昇傾向を維持するだろう、と語った。2009年に予定されている大きい政治アジェンダが経済活動に波紋をもたらす可能性はあるものの不動産セクターに対して大きな影響を与えるようなことは起こらないだろうとかれは見ている。「国政選挙結果が巻き起こす変動の様子見をするために不動産関連経済活動を手控えるという傾向は2004年にはほとんど見られなかった。2004年不動産セクターの業績を見ればわかるように需要は減退していない。それどころか、総選挙の傍らで不動産はブームが起こっている。総選挙はもはや不動産業界にとっての妖怪変化ではなくなったようだ。」かれはそう述べている。


「中級アパート価格は来年5割アップ」(2007年12月19日)
需給状況をバックアップする主要三要素のためにミドルクラス向けアパルトメン価格は最高で50%まで上昇する可能性がある。その三要素とは土地価格変動・建築コスト・金利率で、来年の中流層向けアパルトメン価格はその三要素の影響を強く受けることになりそう。
「過去数年間で今年の不動産価格上昇は最高のものだった。この傾向は来年も継続するだろう。」不動産業界者のひとりはそう語った。かれによれば、今年ジャカルタの土地価格は場所によって100%という激しい値上がりを示しており、それが建材価格の上昇とあいまって不動産、中でも中級所得層向けアパルトメンのコストを急激に押し上げるのは間違いない。一方政府の低金利政策は中流所得層の購買力をプッシュして需要を増やす効果があり、価格上昇要因と需要の強まりが値上がりという結果をもたらすのは確実だろうとかれは述べている。このような状況は業界全般にとって有利に働くことになり、またミドルクラス向けアパルトメン業界は特に効果が大きくなることから、好況が建築業界を襲うことが期待されている。この状況は2008年から2010年ごろまで継続するものとかれは見ている。


「都心にまたサービスアパート誕生」(2008年1月16日)
南ジャカルタ市メガクニガン(Mega Kuningan)に建設されたオークウッドプレミアコスモ(Oakwood Premier Cozmo)が2008年1月8日にソフトオープニングした。この超高級サービスアパートメントは250のユニット数を持ち、そのうち45ユニットは購入者が居住し残る205ユニットは賃貸投資用となっている。それら250ユニットは全数売却済みで、投資用ユニットは建物を建設したPT Cozmo Internationalから購入者に引き渡されたあと賃貸事業を運営するオークウッドエイシアパシフィックへの委任が行なわれ、準備の整ったユニットへの入居が8日から開始された。賃貸オペレータによれば、そのソフトオープニング前から入居希望者は多数にのぼり、大勢のエクスパトリエートがウエイティングリストに名前を連ねている、とのこと。かれら外国人勤労者は通信・石油・金融業界の駐在員がメインを占めている由。
アパートメントのフル稼働は2008年2月からが予定されている。また全ユニット完売の結果、賃貸投資ユニットは二次マーケットが形成されることになり、投資活動が一層高まることをオペレータは期待している。


「ブカシが首都圏居住地区の一番人気」(2008年2月21日)
毎年雨季になると洪水の被害が出るジャカルタでは水に浸かる常連となった地区の土地価格が下降している、と不動産サービス会社PT Procon Indahが明らかにした。同社によれば、北ジャカルタ市クラパガディン(Kelapa Gading)地区の土地価格は2005年に平米当たり3〜6百万ルピアのレベルにあったものの、今では20〜50%低下して3百万ルピアを下回っているとのこと。洪水被害地区の多いのは西ジャカルタ市と北ジャカルタ市で、これは宅地開発デベロッパーが40対60の建設用地比率を正しく守っておらず、できるだけ多く宅地にして販売しようとする商業主義優先姿勢がもたらしたものだ、とPTプロコンインダ宅地部門上級マネージャーは批判している。
土地価格が既に高騰しているジャカルタは洪水被害の問題とあいまって都内居住者が郊外へ引越して行く脱都会現象が一層高まるだろう、とプロコンインダ社上級マネージャーは予言している。水害を避けるという目的で南ジャカルタ市あるいは郊外部への引越しが増加しており、ジャカルタの住宅入居レベルが低下傾向にある。この傾向は6年前から既に始まり、年々その傾向は高まっている。2008年はその延長線上でジャカルタから郊外部へのシフトが2007年第4四半期の実績より更に顕著になると見込まれている。2007年第4四半期の住宅入居レベルはブカシが90.6%でトップ、そしてジャカルタが85.9%、タングラン73.2%、ボゴール57%だった。ブカシの人気が高いのは土地価格がタングランより低いと消費者が評価しているためで、一方で居住環境や生活のための施設とインフラの充実度は大差ないと見られているのがその原因だ。ブカシの住宅入居レベルが高率なのは新開発住宅地が続々と新住居で埋められ、それが続々と売れて購入者がそこに入居しているためであり、一方のタングランは住宅地区建設がスローダウンしていて新住居の供給が遅れ気味になっており、また購入者も投資目的が多いために入居が起こっていない住宅が目立つというのがその背景をなしている。ボゴールの入居レベルが最低なのは、今ジャカルタに居住しているオーナーが老後に住もうとして購入しているためであるとのこと。


「不動産投資は高利回り」(2008年2月22日)
「周辺諸国、中でもシンガポールは2〜3%しかないというのに、インドネシアの不動産投資利回りは8%という高い率に達していると見られている。アメリカで発生したサブプライムモートゲージ危機もインドネシアの不動産ビジネスにはたいしてネガティブな影響をもたらしていない。それはインドネシアをはじめとするアジアパシフィック諸国の不動産投資に流れ込んできている資金が中東から出ていることに関係している。おまけにアメリカ連銀が金利率を引き下げたためにインドネシア政府に金利引下げの余裕がもたらされ、それが不動産購入意欲に追い風を添えている。住宅購入ローン金利が下がれば不動産需要は高まり、それが市場をますます活発にする。」コリエールズインターナショナルインドネシア代表取締役は好調なインドネシア不動産投資をそう分析する。ただし、とかれは続ける。
高い利回りは不動産売買にかかる税金が引かれる前のものであり、その売買益に対して課される税金は最高で25%に達する。もうひとつインドネシアの不動産マーケットを不完全燃焼させている要素は外国人の不動産所有が禁止されていることで、そのために外資にとって不動産投資が魅力の薄いものになっている。
2009年に総選挙が予定されており、かつて総選挙の年には国内治安が乱れることから不動産売買は低調になるのが普通だったが、前回の総選挙では平穏な状況が維持されて不動産市場はダウンしなかった。インドネシアの不動産市場はほとんどポジティブな要素に取り巻かれている。
中東資金はアジアパシフィック地域のさまざまなビジネスを対象にして流入してきており、不動産もその中のひとつになっている。インドネシアでの不動産投資は賃貸オフィススペースと賃貸住宅スペースがメインの対象とされているため、この先インドネシアにおけるオフィススペース需要は購入が縮小して賃貸が大きく膨張するだろうと同代表取締役は述べている。中東・香港・シンガポール・アメリカの企業もアジアパシフィック地区で事業投資を活発に行なっていることから、オフィス需要の高まりは必然的なものと見られている。そしてそれは同時にエクスパトリエート向け住宅需要をもかき立てることになる。同社は外国人駐在員向け賃貸住宅需要を刈り取るためにその態勢を強化する意向だ、とかれは洩らしている。


「クマンビレッジのアパートメントは前売り好調」(2008年3月3日)
2009年12月の完成日程で今月着工されたクマンビレッジのリッツ、コスモポリタン、エンパイアの3高級アパートメントのうちで、リッツタワーは早くも90%の売却が終わっている、とクマンビレッジレジデンスのマネージメントが発表した。リッツアパートメントはユニット当たり床面積144〜205平米で200ユニットが販売され、分譲価格は16〜30億ルピア。その下のクラスになるコスモポリタンは床面積100〜142平米が270ユニットあり、分譲価格は11〜17億ルピア。そしてエンパイアアパートメントは73〜132平米のユニットが254あり、分譲価格は8〜15億ルピアとなっている。もうひとつ別のアパートメントは続いて2008年3月に着工される予定。
クマンビレッジの住宅購入者にはリッポ銀行のアパート所有ローンが提供され、このローンは返済5年で5.99%の固定金利が付けられている。


「外国人向け戸建住宅は売り手市場」(2008年3月20日)
都内で外国人向け一戸建て借家賃貸料金がもっとも高いのはメンテン地区で月額4,626ドルである、とコリエールズインターナショナルが報告している。メンテン地区でコリエールズが行ったサーベイ結果では、同地区平均賃貸料は上記の通りで、住居の床面積702平米、敷地面積918平米だった。サーベイ報告は次の通り。
地区 / 家賃平均月額(US$) / 建物(m2) / 敷地(m2)
Menteng / 4,626 / 702 / 918
Kuningan / 3,618 / 595 / 857
Kebayoran / 3,279 / 627 / 799
Kemang / 2,715 / 549 / 1,080
Pondok Indah  / 3,235 / 589 / 656
Permata Hijau / 2,860 / 638 / 938
Lebak Bulus / 2,564 / 593 / 1,163
Pejaten / 3,035 / 627 / 965
Cipete / 2,844 / 565 / 910
Cilandak / 2,633 / 587 / 1,223
外国人向け一戸建て賃貸住宅は供給が減少傾向にあることから入居率はうなぎ登り。外国投資の増加に伴って長期に居住する外国人も増えているために、土地オーナーたちのこのビジネス分野に対する関心も高まっている、とコリエールズ報告は物語っている。外資企業が外国人社員に対して準備している住宅費は一軒当たり3千5百〜5千米ドルで、一方都内各地区における家賃は2千6百〜4千6百米ドルという状況だ。2007年下半期の外国人向け賃貸住宅需要は上半期から増加しており、それにつれて家賃も上昇傾向を示している。外国人の多くが住居の選択に当たってインターナショナルスクールや各国校に近いロケーションを選ぶ傾向が高いのは従来と同じ。


「住宅価格が全国的に値上がり」(2008年3月21日)
2008年第1四半期の全国住宅価格はすべてのタイプに渡って値上がりを見せた、とインドネシア銀行が報告した。住宅用不動産の値上がりはまず建築資材の値上がりが影響を与えている。地域別では、前四半期からの値上がりが最も大きかったのはバンダルランプン市の2.45%、また年間値上がり率の最大はマカッサルの7.76%となっている。全国の対前四半期値上がり率は1.04%で、これは2007年第4四半期と変わらない。しかし対前年比は今年が4.68%で、2007年第1四半期の4.16%よりも大きい。
住宅価格値上がりが建築資材値上がりの影響を強く受けるのは住宅価格の60〜70%が建築資材で占められているためであり、建築資材のコストダウンを図る以外に住宅価格の値下がりは期待できない。公共事業省R&D庁住宅センター長は、竹や籾殻あるいは椰子の葉などの廃材をもっと建築資材として利用すればよい、と提案している。ジャボデタベッ地区の対前四半期値上がり率は1.54%とのこと。


「外国人の土地使用権期限が70年に延長される」(2008年4月25日)
国民住宅担当国務省と国土管理庁が、外国人の土地使用権(Hak Pakai)を70年間に変更することで合意した。現在有効な法規では、最初25年間が許可され、その後20年間の延長が可能で再度延長の際にはまた25年間が与えられることになっているのを、最初から70年間で許可を与えようというのがそのアイデア。
この変更は、外国人消費者の国内不動産投資を活発化させるために現在の規制を緩和しなければ近隣諸国に対抗できないとの要請を国内不動産業界が強く政府に訴えていたのに応えるべく政府が出してきた案で、政府はこの方針に沿って1960年法令第5号農地基本法、外国人所有に関する1996年政令第41号および土地に対する権利に関する1996年政令第40号を改定する予定にしている。この緩和方針には条件が付けられることになっており、外国人が購入する物件は国民系デベロッパーが開発したものに限られまたそのデベロッパーは貧困層向け非賃貸型積層住宅を建てるよう義務付けられる、と国民住宅担当国務大臣は語っている。特に外国人が購入できるものは4階から上の物件に限られ、3階までのものはインドネシア国民にしか購入できないこと、また土地付き平屋建て家屋は今回の検討から外したことも大臣は言い添えた。つまり70年間土地使用権の対象には考えていないということだ。不動産業界の団体であるインドネシアリアルエステート(REI)は政府が出してきたこの方針を歓迎しており、条件を含めてきわめてポジティブに受け止めていることをREI会長は明らかにしている。
しかしこの方針は、先に憲法裁判所が2007年法令第22号投資法の内容に対して違法判決を出していることから一抹の不安を抱えている。2008年3月25日に憲法裁判所は投資法の中で定められた外国資本に対する土地使用権許可に関して、上述の現在有効な法規である25年+20年+25年を初回申請時に一括前倒しで許可することができるという条文は現行法規違反であるとの判決を下した。政府側はその判決がこの方針に影響を与えることを懸念しており、法律専門家を交えて対応策を検討することにしている。


「低所得層のアパート購入が増加」(2008年5月14日)
都会で積層型住宅に住むというライフスタイルが中下流所得層にも広まっているようだ。それは、コンドミニアムとアパートメント販売の60%がロワーミドル層向けに作られたもので占められている実態がそれを裏付けていると考えることができるからだ。デベロッパーの中にはこの傾向に意を強くし、ユニットタイプと価格をその階層向けに修正して売り出しているところも出てきている。不動産業とコンサルティングを営むPTプロコンインダ社取締役のひとりは、積層型住宅需要の中に中下流所得層が増加しているのは、その階層のライフスタイルが変化しはじめていることを示すものだ、とコメントした。「中下流層向けに照準を合わせてタイプと価格を調整したデベロッパーは、販売増という恩恵を享受している。CBDにあるコンドミニアムにまでかれらは狙いをつけており、それはCBD地区にあるコンドミニアムがCBD外のコンドよりも好調な売行きを示していることで証明されている。」
プロコンインダのデータによれば、2008年第1四半期のコンドミニアム累積供給数は60,313軒で、前四半期の56,840ユニットから6%増加した。新規供給の3,418ユニットはロワーミドルからプレミアムまでカバーされており、その内訳は次のようになっている。
Marbella Kemang 201ユニット、Essence Darmawangsa 344ユニット、Mediterania Garden2 473ユニット、City Resort Residence 1,024ユニット、Patria Park 423ユニット、Sahid metropolitan Residence 96ユニット、Rasuna The 18th Residence 375ユニット、加えて2008〜2009年には更に14,294ユニットの新規供給が起こる予定だ、不動産ビジネスオブザーバーのパナギアン・シマヌンカリッは、中流層向け積層住宅価格は3億ルピア前後であり、低所得層向け売却用簡易積層住宅は9千8百万ルピアから1.5億ルピアという価格レンジにある、と語る。かれによれば、膨大な国民購買力パワーの中心は中下流層にあり、その階層に向けられた積層住宅価格は3億ルピア未満に値付けされている。デベロッパーはそのセグメントに狙いを定めることでこれまで放置されてきた大きなポテンシャリティを掘り起こすことができるだろう、とシマヌンカリッは語っている。


「ジャカルタはハイリスクハイリターン」(2008年6月11日)
不動産投資の利回り期待値はアジアパシフィック域内でジャカルタが最高だ、と不動産コンサルタントのジョーンズラングラサールが発表した。同社が公開した都市別の数値を見ると、次のようになっている。
アパートメント : ジャカルタ 10.8〜11.2%、クアラルンプル 7.5〜8%、北京 5.5〜7.5%、バンコック 4.9〜5.2%、香港 3%、シンガポール2%
ショッピングセンター : ジャカルタ 15〜15.5%、バンコック 11.4〜12.4%、クアラルンプル 7〜10%、北京 7.5〜9.5%、シンガポール 5.5〜6.1%、香港4.9〜7.4%
オフィス : ジャカルタ 8〜8.2%、北京 6.8〜8.8%、バンコック 6.6〜8.2%、クアラルンプル 7.15〜7.35%、シンガポール 5.2%、香港 3.9%
この数値は賃貸不動産に投資した場合に期待される利回りを示したものだが、これはプロジェクト一件まるごとの採算であってアパートのユニットや売り場スペース区画への投資という視点で測定されたものではない、とPTジョーンズラングラサールインドネシアの上級管理職は説明している。つまりはビルを建てたり持ったりするというレベルの話なのだ。ともあれ、この数値を見る限りジャカルタのビル建築ブームはまだこの先も当分継続しそうだということがわかる。新規ビルのオフィススペース賃貸需要は企業の引越しで盛り上がっており、高級マンション賃貸需要も相変わらず活況を示しているジャカルタの市場状況がそこに反映されていると言える。
しかしここ数年、ビルの売買はジャカルタでほとんど行われておらず、利回り期待値がたいへん低レベルにあるというのにビル所有権移転が頻繁に発生しているシンガポールと好対照をなしている。それについて上記管理職の説明によれば、ジャカルタは利回りが高いと同時にリスクとインフレも高いという特徴がその原因をなしているとのこと。ビルを持つという巨額の投資にとっては利回りが高いということだけがそれを推進させる条件にならず、市場の安定的な発展も重要な条件になる。たとえば小売スペース賃貸料は香港で年間24%伸びたがジャカルタはわずか1%、オフィススペース賃貸料はシンガポールで52%アップしたがジャカルタはセントラルビジネス地区で7%しか伸びていない。シンガポールの高級マンション賃貸料は27%上がったがジャカルタでは0.9%しか変化していない。


「泣く子と地頭には勝てません」(2008年6月18日)
2008年2月12日付けコンパス紙への投書"Internal Kantor Pajak Menjadi Resiko Wajib Pajak"から
拝啓、編集部殿。わたしはすでに納税した土地建物税をまた請求されるという不愉快な経験を強いられました。2007年12月27日、わたしは2006年3月に購入したボゴール県ボジョングデのビラボンパークビューにある自分の家を売却しました。ところが売買取引手続きの中で、わたしはボゴール県チビノンのプラタマ税務サービス事務所から思いもよらない障害を受けることになったのです。不動産売買に際して発生する売却者納税分と購入者納税分の納付をすでに行ったにも関わらず、税務署側は2002年と2005年の土地建物税が未納税であるという理由でその納税認証を行おうとしません。わたしは未納税だと言われている年の土地建物税納税証憑を探す努力をしましたが、引越しをしたときになくしてしまったようなのです。それでその代わりに2006年にその家を購入した際の売却者納税と購入者納税の証憑ならびにそれらに対する税務署認証のコピーを添付しました。
土地証書作成公証人に手伝ってもらってそれらの原本まで税務署に提示しましたが、税務署側はあくまでその両年の土地建物税を48%の金利と一緒に納税せよ、との一点張りでした。その理由として税務署側は、いま税務署の記録はコンピュータ化されているが2006年はまだコンピュータ化されておらず、そのときのデータはアップデートされていないものだったと主張しています。これは税務署内部の業務に存在するリスクを納税者に肩代わりさせるということではありませんか。
国土管理庁での土地名義変更は売却者納税分と購入者納税分の両方の証憑が税務署に認証されなければ手続きされません。売却者納税と購入者納税の税務署認証は過去10年間の土地建物税完納が条件になっているのではなかったでしょうか?であるなら、今チビノンのプラタマ税務サービス事務所が言っているロジックに従えば、2006年の購入時に得た認証は土地建物税が未納税であるにもかかわらず手続きされたことになるではありませんか。わたしたち弱小市民がこのように損させられることがあってはならないのです。それこそ、全国の税務署に掲示されているモットー「世界はなんと言うだろう?」そのものではありませんか。[ ジャカルタ在住、アミ・ラフマトゥニサ ]


「外国系不動産業者はイリーガル」(2008年7月1〜3日)
インドネシアではここ数年、消費者が所有している不動産の売却を仲介業者(ブローカー)に委託するというパターンが増加傾向にあり、外国系不動産ブローカーの名前を目にする機会が増えてきた。しかし国民のマジョリティは依然として個人所有不動産売買を直接行うのが一般的で、もっともよく利用されているのは新聞のミニアド。その次はどうやら物件にそのまま貼り紙をするというパターンかもしれない。これは土地家屋ばかりか自動車でもよく用いられる手で、大通り脇に駐車してある車に「この車売ります。電話番号xxxxxx」といった貼り紙がついているのを時おり目にする。もっとアグレッシブな向きは、そんな状態の車を運転して街中を周遊している。
さて、外国系不動産ブローカー会社の名前が日常生活の中に横溢しはじめている昨今、法的にそれはイリーガルだという話が出てきた。政府商業省がいま原案を編成している『住宅二次販売事業』に関する法案の中に外国系ブローカーを排除する条文が用意されている。既に開業した外国系不動産ブローカーは早急に合併あるいはフランチャイズ転換せよと商業省会社登録事業育成局長は述べているが、これまでは明確に可不可が規定されていなかったために外国系ブローカーの開業が起こっているわけで、それをいきなりイリーガルと言うのも乱暴な話だ。明確に可とされていないからしてはいけないのか、それとも明確に不可とされていないからしても良いのかについては対応が分かれるところだろう。この問題は停電の多いインドネシアで頻繁に出会う交通信号のケースが垣間見せてくれる状況になぞらえることができる。交通信号が停電すると色のサインが何も出なくなる。赤が点灯していないから進んで良いのか、それとも緑が点灯していないから進んではならないのか、あなたはどちらの考えを取るだろうか?ジャカルタの状況について言うなら、赤が点灯していないからみんなが四方から一斉に交差点内に進入してくるのである。これはジャカルタドライバーの精神を端的に示すものだ。ジャカルタの運転事情に興味をお持ちの方は拙著『ジャカルタドライバー考』がご参考いただけるものと思う。
行政許認可は法解釈よりも財解釈の方が原理に置かれており、そして国民総犯罪者化文化だからそういう立場のひとの物の見方も一定の傾向を帯びるのは言うまでもない。こうして上のようなイリーガル発言が起こるのだとわたしは思う。
ところで外国系ブローカーがやってくるまで、インドネシアに不動産売買を仲介する習慣がなかったかといえば、そんなことは決してない。売りたい人と買いたい人の間を取り持つ仲介者はperantaraと呼ばれており、売買対象品が不動産であればこれすなわち不動産ブローカーとなる。不動産プランタラは売買が成立すると取引金額の2.5%を謝礼としてもらうのが昔からの慣例だった。プランタラがひとりで取り持つ場合もあれば、売り手側のプランタラと買い手側のプランタラが売り手と買い手を引き合わせるということも起こる。後者の場合は売り手側と買い手側のプランタラがそれぞれ自分が世話したひとから2.5%の謝礼をもらう。ということはひとりのプランタラであれば、売り手と買い手からそれぞれ2.5%をもらうことになって5%が手に入るという皮算用が成立するのだが、それほど甘い結末で常に幕引きになるわけでもない。「ひとりでそんなに取っては取り過ぎだろうが・・・・」とそこにもネゴが持ち込まれるからまるまる5%が黙っていても手に入るという保証はどこにもないのである。
ともあれそんな不動産プランタラ業は人脈と情報収集の才だけあればほとんど資金なしでも始められる事業であり、そんな性質のために毎月巨額の収入をあげている個人不動産ブローカーも目白押しだ。政府はこの業種を管理統制しようとの意向を以前から抱いており、この事業が個人活動の傾向を強く持っていることからその際に小規模小資本事業としてのアプローチが取られるのは当然だったと言えよう。つまり外資の排除は言わずもがなのことなのである。住宅二次販売事業法案の編成はそれら国民系不動産ブローカーに統制の網をかけ、事業認可や納税といった行政管理を徹底しようというのが目的でもあった。
この分野で法規の網をかけて規制しなければならない逸脱行為の筆頭にあがっていたのはバリにおける高級ビラの外国人向け販売で、その販売を行っているのが主に外国系ブローカーであるという実態が為政者の心をかき乱していたようだ。かれら外国系ブローカーはバリをはじめ各地の不動産を外国人に売り、また外国の不動産をインドネシア人に売るといったビジネスを活発に行っており、そんなブローカーはバリだけでなくジャカルタやスラバヤにもいる。かつてカリムンジャワの島売却オファーが外国の不動産サイトに載っていたためインドネシアで大騒ぎになったという事例もある。
インドネシアリアルエステートブローカー協会会長は、アジアのいくつかの国では外国系ブローカーの活動が禁止されており、政府の外国系ブローカー排除方針はこれまで長い間待ち望まれていたものである、とのコメントを出した。「国内の住宅二次販売市場はきわめて大きな潜在性を持っている。しかしこれまでブローカーやプランタラの活動に対する規定がほとんど作られていなかったためそれらのサービスを利用する消費者はやっと28〜30%程度で、大多数はマスメディアの広告を個人で利用するのが普通だった。住宅二次販売事業法が制定されれば不動産ブローカー事業はもっと盛んになるだろう。」会長は期待を込めてそう語っている。


「アパート販売価格が5割増」(2008年8月4日)
2008年第3四半期に首都のデベロッパーはアパートメント・コンドミニアムの価格を大幅に引き上げる予定にしていることをPT Property Advisory Indonesia役員が明らかにした。その情報によれば、現在の?当たり1千2百万ルピアは一気に1千8百万ルピアになる。このラディカルな値上げは首都の大手デベロッパーの中に、鉄材とセメントを中心に建材価格の値上がりが続くであろうことを予測して、最大の値上げ幅を取っておくことを決めたところが何社かあり、その結果がこの極端な値上げ率となっている由。「いま建材価格は毎日値上がりしている状況で、大手デベロッパーは長期の先行きを見込んで高めの売値を設定しようとしている。理想的な話をすれば、アパートメント価格は半期あるいは一年ごとに5〜7%程度の値上げが行われるべきだが、昨今の先行き不透明な経済状況がかれらをそんな価格ポリシーに導いているようだ。そうしなければ販売ポリシーが確定できないのだから。」
平米当たり1千7百万〜1千8百万ルピアという価格は今現在建築中の物件に適用される。この価格政策がどういう結果をもたらすかはあと半年ほど経過しなければ目に見えるものにならないだろう。今年第3四半期のアパート・コンド販売はその極端な価格政策のために販売ダウンが起こるだろうと同役員は見ている。アパートメント購入者の6割は賃貸物件用の投資を目的にしており、購入価格の値上がりは賃貸料金とのバランスがひとつの検討ポイントになっている。今ジャカルタのアパートメント賃貸料金は競争が激しさを増しているために上昇が抑えられており、その一方でサービスチャージや電気代は上昇を続けている。そんな状況下に新築アパートメント価格が大幅にアップすれば、ほとんどの投資家は様子見を決め込むだろうことは疑いないだろう。
2008年第2四半期都内一等地のアパートメント・コンドミニアム価格は?当たり1,264万ルピアで、これは前期から4.4%アップしている。中央ビジネス地区アパートメントの場合は1,365万ルピアで前期から2.4%の値上がり。アパートメント運営者は経費の上昇にもかかわらず概して賃貸料金を据え置く姿勢を示しており、インドネシア人賃貸者が顕著に増加している一方、外国人賃貸者は1.6%減っている。ジャカルタの完成済み売却用アパートメントは2008年第2四半期で94.6%が売れているものの、入居率は61.1%しかないという状況になっている。


「住宅への奢侈品税課税内容を見直せ」(2008年9月15日)
政府がアパートメントやコンドミニアムにかけている奢侈品販売税(PPnBM)は時代にそぐわないものになっており、またそのために業界の積層住宅販売が足を引っ張られていることから、PPnBM課税の内容を見直すべきだと業界団体が政府に進言した。不動産業界団体であるインドネシアリアルエステート会社(REI)会長はPPnBMがデベロッパーにとって深刻な問題として浮上していることを指摘した。住宅販売業界に対して政府国税総局がみなし所得税課税方式を適用したことからこれまではそれが業界最大の問題となっていたが、みなし税率が低所得層向け廉価積層住宅は1%その他は5%という数値で合意が成立したことから、今度は次に控えていた問題が首位の座に着いたわけだ。
REI会長は世界中でプロパティに奢侈品税が課されているのはフランスとインドネシアだけであることを強調しており、住宅に対する奢侈品販売税課税の内容をより国際規準に近いものに変えていくよう政府ならびに国会に説得の弁を振るっている。中でも会長は、従来の単価の高いものに対する奢侈品税課税という考え方は変更されるべき時が来ており、自動車でエンジン排気量が規準に用いられて価格要素が排除されたと同じように住宅も平米当たり金額ではなく建物の広さを規準に取るよう考え方を切り替えてほしいと求めている。またPPnBMは販売価格に課税されていたが、、販売価格は建築資材や許認可費用などあらゆるものを含んだ合算であり、資材や許認可が奢侈品カテゴリーに入らないのは言うまでもなく、そのため課税規準は建築価格とするべきだとも会長は指摘している。
いまはアパートメント・コンドミニアムであればスタディオタイプの価格3億ルピア程度のものにもPPnBMが課税されている。昨今の経済感覚ではユニット当たり30億ルピアが奢侈品という感覚の限界だろうと業界筋は見ており、積層住宅購入者のバリエーションを無視した政府の政策が低価格商品の販売を難しくしていると業界者は語っている。


「首都圏の住宅価格値上がりが始まる」(2008年9月16日)
ジャカルタ郊外のデポッ(Depok)・ボゴール(Bogor)・タングラン(Tangerang)・ブカシ(Bekasi)いわゆるデボタベッ(Debotabek)地区住宅販売価格は2008年第3四半期に入って10〜12%の値上がりを示している。不動産コンサルタント会社役員によれば、この値上がりは今年石油燃料値上げ後に続いて二回目のものである由。「住宅販売価格の値上がりは今年第1四半期終わりの石油燃料値上げの時が最初で、今回は二回目だ。デベロッパーは今回再度全タイプに渡る10〜12%の価格値上げを行っている。いま住宅販売は不況期に入っており、ましてや住宅所有ローン金利率も上昇しているため業界にとってはダブルパンチの寒風が吹いている。市況が再活性化するのにもう少し時間が必要だろう。今年の住宅販売は昨年並みで終わる可能性が高い。」
しかし業界筋はルバラン後および年末に販売状況が好転するのではないかと期待している。それは会社従業員たちがルバランボーナスや年末ボーナスの一部を住宅購入資金に回す傾向を持っていることに期待してのものだ。消費者は住宅価格の値上がりに反発感情をあまり持たない。そして国内の住宅需要はまだまだ高いものがあり、消費者はタイミングが整いさえすれば住宅購入契約を結ぶ。その業界者はそう楽観意見を語っている。
住宅を建設する端から売れていった時代は過ぎ去りつつあり、デベロッパーは区画の買い手がついてから住宅を建設する方針に変わりつつある。これまでデベロッパーは開発開始とともに販売を開始するものの、多少の予備ストックを用意するのが通例だった。しかしますます高まる建築コストのために資金回転が悪化するのを防ごうとして昨今のデベロッパーは手堅いビジネス手段を取るようになっている。
ジャボデタベッ地区(ジャカルタ+デボタベッ)の第2四半期不動産マーケットは前四半期からあまり変化していない。総供給に対する販売率は82%で、地区別にはボゴールが最大の93%。第2四半期の販売実績は5,281軒であり、ボゴールが39%、タングラン32%、ブカシ24%、ジャカルタ5%という配分になっている。


「住宅購入キャンセルが続出」(2008年11月13・14日)
国民の住宅購入は60%が住宅取得ローンを利用している、とプロパティコンサルティング会社PTプロコンインダの2008年第3四半期報告は告げている。インドネシア語でKPR(kredit pemilikan rumah)と呼ばれる住宅取得ローンはオルバ期の政府スポンサーによる国家金融から一般銀行界の金融事業へと切り替えられたために、いまでは市場の金融状況を敏感に反映するものになっている。
今から半年ほど前、マンディリ・BCA・BNI・BTNなどの大手銀行はKPR金利を年率ひと桁でオファーしていた。銀行界の市中金利率指標であるBIレートが8.0%の時代でのひと桁だから、これは政府の国民持ち家福祉政策の精神に沿ったスキームになっていたと言えよう。ところがBIレートはその後上昇をはじめて現在は9.5%になっている一方、KPR利率は15%前後に暴騰した。BIレートは2%もアップしていないというのに、マンディリは14%、BCA15%、BNI14.5〜16%、BTNは15%というようにKPR金利率はなんとその3〜4倍も上昇したのである。これでは新規にローンを組もうとしていた住宅購入予定者はたまらない。
民間会社従業員トゥグ33歳もこのKPR金利率高騰に頭を抱えているひとりだ。かれは2008年10月にローン申請を出したばかりだった。9月にBTN銀行を訪れて新規のKPRを組むための手続きを開始し、必要書類をそろえて銀行に申請を提出したのは10月に入ってからのこと。9月にローン条件を尋ねたときはKPRが年率10%だったのに、10月に申請書を提出したときはそれが12.75%になっていた。トゥグは申請書を出すとき一瞬ためらいを感じたが、「ここまで用意してきたものを・・・」と思って提出した。銀行側がローン申請を審査して承認を与えたとき、トゥグは迷いの中にあった。ローンの実効は銀行と借入者が誓約書を交わしてからのことになる。トゥグは誓約書のサインを先延ばししたが、それが裏目に出た。11月に入るとBTN銀行はKPR金利を15%に引き上げたのだ。普通なら、時期が悪いとして購入予定物件をキャンセルし、ローン申請をご破算にするところだが、かれはデベロッパーに1億2千万ルピアの前金を既に納めていたのだ。おかげでにっちもさっちも行かなくなったトゥグは頭を抱えている。
既にKPRを組んで返済を進めてきたローン利用者の中にも、必死になって資金集めに狂奔しているひとたちがいる。変動利率でローンが組まれていたために金利の重圧がかれらの背に突然のしかかってきたことから、元本返済をひと月でも早めようとして金策に駈けずりまわっているのだ。しかしローンを組む前段階まで来ていた住宅購入予定者たちは続々と購入をキャンセルしはじめた。住宅販売に突然木枯らしが吹き始めたことをリアルエステート業界団体は明らかにしており、住宅販売激減の元凶は銀行界のKPR金利率政策であると批難している。「国民福祉向上のために持ち家推進を図って政府と建設業界が諸政策を実施しているさ中に、銀行界は暴利をむさぶるチャンスを見出してそれに邁進しているのではないか?BIレートのアップはまだ小幅なのに、KPR金利率はどうしてあれほど大きくアップするのか?」業界オブザーバーはそう語っている。
しかし銀行界は、KPR金利だけを例外にすることはできない、と言う。政府中銀がインフレ率昂進抑制策としてBIレートを9.5%まで引き上げると共にタイトマネー政策を実施したことから銀行界に資金不足が発生し、ここ2ヶ月ほどの間銀行界は第三者資金集めを目的とする激しい預金金利率引き上げ競争を展開した。結果的に銀行界では大幅な資金コスト上昇に直面したことから、貸し出し金利率も引き上げざるをえない状況になっている。そのためにBIレートとかけ離れた金利率がいま国内金融界を覆っているというのである。


「ルスナワとルスナミ」(2008年12月11・12日)
rusunawaとrusunamiと綴るこの奇妙な言葉はインドネシア語なのだが辞書には載っていない。昔話に出てくるカップルの名前と思ったひとも間違い。では、これはいったい何?
日本で積層住宅をその豪華さで区分しアパートとマンションと呼んで区別しているのと同じように、インドネシアでも類似のことが行なわれている。超豪華版はコンドミニアムを略したコンド(kondo)、豪華版はアパルトメン(apartemen)、そして低所得者層向け積層住宅はルスン(rusun)と呼ばれている。rusunはrumah susunの合成語である。そのルスンでこれ以上落とせないほど廉価に作られたものは簡易ルスン(rumah susun sederhana)と言う。その簡易ルスンで売却用に作られたものがrumah susun sederhana milik略してルスナミ、賃貸用に作られたものがrumah susun sederhana sewa略してルスナワというわけだ。
政府は全国民に妥当な生活を営むための住宅を供給するという使命を抱えているが、数十年も前からこのプロジェクトは緩慢な進展を続けている。昔はルスンでなく住宅で一棟に十数軒が並ぶ長屋風の家屋が作られ、簡易住宅(rumah sederhana)更に超簡易住宅(rumah sangat sederhanaその後耳ざわりを配慮してrumah sederhana sehat)などが作られた。しかし21世紀に入ってからは広大な敷地を用意するのが物理的にも資金的にも困難になってきたことから、積層住宅建設方針が固められた。現SBY政権はルスナミ全国1千棟建築計画を鳴り物入りで打ち上げた。1千棟などという数字が出てくると国民はすぐにバンドゥン・ボンドウォソの故事を思い出し、またあんな結末が繰り返されるにちがいない、と先例主義社会のひとびとは失望を先に感じ取ってしまうようだ。言うまでもなくこのプロジェクトは政府が指導する民間事業であり、市況に敏感に反応する民間建設業界も昨今息切れの態を示している。一方では消費者の側もたくさんの不安点を指摘しており、購入意欲は盛んだが入居に結びついていないという歪が生じている。
インドネシアプロパティウオッチがルスナミ購入者115人に行なったサーベイによれば、必ず入居すると答えたひとは26.5%に過ぎず、自分は絶対入居しないが17%、まだ決めていないが34%となっている。最初から入居しないという意思を持って購入したひとは買ったユニットを再販するかもしくは賃貸するといった投資を目的にしており、これは低所得層向けの廉価住宅供給という政府のコンセプトから逸脱しているのだがそれを止めさせようとする強い意志はほとんど感じられない。一方155人の購入希望者に対するサーベイ結果からは、購入したら必ず入居するが21.4%、入居しない16%、わからない62%というデータが得られており、オーナー入居者は2割程度になりそうだ。さらにこのルスナミの問題点についてプロパティウオッチ役員は、その集合住宅建物各棟の維持補修はだれがだれの費用で行なうのかといった規定を政府が決めておらず、消費者はそのことがらに不安を抱いている、と語っている。
ルスナミの販売価格はユニット当たり1億4千4百万ルピアで、月収250万〜400万ルピアの低所得層国民にまだまだ手の届きにくい価格になっている。低所得層国民は既に何らかの消費ローン負担を抱えており、さらにルスナミの購入で発生するローン支払に耐え切れない経済状態になっている。不況による購買力低下と国内金利率高騰で住宅購入キャンセルが続出している昨今、簡易長屋住宅RSSよりはるかに高いルスナミの販売は当面停滞が予想される。


「嘘つきはだれ?」(2009年1月22日)
2008年5月28日付けコンパス紙への投書"Turunkan Daya Listrik Jadi Masalah"から
拝啓、編集部殿。家の建築が終わるまでの8ヶ月間、わたしの甥がその家に住み込んでいました。電気製品をいろいろ持ち込んだので、電力使用契約を5,500VAに引き上げました。甥が他に移った際、わたしは元の2,200VAに戻しました。その作業はタングランのPLNチプタッ(Ciputat)サービス事務所が正式に行ないました。
2007年12月にわたしの家はPLNの電力利用取締りを受け、電力メーターのガラスが割れていること、また25AのMCBが取り付けられていることの二点が判明したため、4,781,600ルピアの罰金を科されました。わたしのような素人には、電力使用契約を増やしたり減らしたりしたときに何が取り付けられたり何が交換されたかといったことはよく分かりません。わたしにわかるのは、翌月の使用電力請求書に2,200VAと記されていたことだけです。PLN作業員はMCBを小さいものに変えなかったのかも知れません。その家はおよそ1年間空き家になっており、2007年7月1日に入居しました。わたしは借家人にPLNへ説明に行くよう言いましたが、PLNは聞く耳を持っていませんでした。
2008年4月15日にわたし自身がPLNを訪れ、窓口担当者に問題を説明しました。しかしわたしが事細かに説明してもPLN側の決定は変わりませんでした。使用ワット数を引き下げる場合には気を付けましょう。MCBが変更されたかどうかを確認するのを忘れないように。[ タングラン在住、アブドゥル・ラザッ ]
2008年6月4日付けコンパス紙に掲載されたPLNからの回答
拝啓、編集部殿。アブドゥル・ラザッさんの5月28日付けコンパス紙に掲載された投書について、次のようにお知らせします。顧客番号543200559932アブドゥル・ラザッさん名義の電力使用契約は2,200VAになっています。1997年6月にこの顧客は3,500VAへの電力増量申請を行い、PLNはそれを実施しました。投書に書かれている5,500VAではありません。1997年11月、顧客はふたたび2,200VAに戻すよう申請したので、PLNはそれを実施しMCBも交換されました。2007年12月5日、PLNチプタッサービス地区電力利用取締り班が顧客の家で電力メーターのガラスが割れており、また25A(5,500VA用)のMCBが取り付けられているのを発見したことから、4,781,660ルピアの追加請求が発生したのです。
顧客には2度追加請求を支払うよう警告する手紙が出されましたが、一度もPLN事務所にお越し願えませんでした。この問題を解決するための処理として当方はそれを分割払いとするよう便宜をはかり、毎月の請求書の中に加算しています。[ PLNジャカルタタングラン配電社チプタッサービス地区マネージャー、トリス・ヤヌアルシャ ]


「住宅価格は値下がり」(2009年2月18日)
首都圏の中古住宅市場で中高級住宅は2009年第2四半期に値下がりを起こすだろう、と業界者が語った。今年第1四半期は売り手も買い手も強気の価格方針を取っているが、第2四半期にはその力関係に変化が生じるとのこと。「2009年総選挙の資金準備に政治家は自分の二軒目三軒目の家を売る。グローバル経済危機で損失を蒙った事業者も家を売却しようとする。弊社マーケティング部門にはそのようなひとたちが何人もコンタクトしてきている。かれらはジャカルタ南部のビンタロやスルポンにある邸宅を売りに出すから、中古住宅供給が平常よりも過剰になる。それが起こるのは第2四半期だ。第1四半期は需給関係が安定しているので価格も安定を続けているが、第2四半期に需給関係が変化すると価格に影響が出て低下する。不動産投資家のほとんどはその状況が具体化すると見込まれる数カ月先まで購入を控える態勢に入っている。」ERAインドネシア代表取締役はそう市場の先行きを解説した。
不況に襲われた今年の新設住宅は供給量が減少する。新設住宅販売2009年見込みは全国で196,800軒で、2008年実績の240,110軒から約2割減と予測されている。インドネシア銀行はBIレートを引き下げたものの、銀行界はそこまで金利率を下げないまま第三者資金集めの競争を続けているため、住宅所有ローン金利もまだ高いままで一般庶民はローン取得がむつかしい。とはいえ国民の住宅需要は根強いことから、金利率が下がってくれば住宅購入が盛り上がるのは間違いない。おまけに需要は新設住宅より廉めの中古住宅に向かう確率が高い。売買成立の多い中古住宅価格は1軒3億から20億ルピアという範囲で、全国の中古住宅市場は年間100兆市場と推測されているものの、データがはっきりしているのは公認ブローカーが仲介する30%程度にすぎない。ともあれ、2009年の中古住宅販売はブローカーにとってラッキーなビジネス環境だとERAインドネシア代表取締役は語っている。
インドネシア不動産ブローカー協会会長は、アメリカの経済破綻を目の当たりにしたインドネシア投資家は証券や信託投資を避けて資金を不動産にまわしはじめており、その一方で従来からの不動産投資家はいま買い控え態勢を取っている、と言う。別の不動産業会社も、今年は不動産投資に資金を向けるのに絶好の機会だ、と語る。アクセスの至便なロケーションにある戸建やアパートメントに投資しておけばインフレ率より高いリターンを十二分に期待することができる。ただしそれは長期投資としてメリットの大きいものであって、一二年後に現金需要を必要としているひとにはお奨めできない、とのこと。


「外国人向けアパート家賃は下がりそう」(2009年2月19日)
外国人在住者向け賃貸住宅市場はこれまでのところグローバル経済危機の影響がほとんど表われていないとコリエールズインターナショナルインドネシアが報告した。ジャカルタの外国人在住者向け賃貸料金は一戸建てで平均月額2千〜4千6百ドルというレベルにあり、2008年上半期から変化していない。グローバル不況の影響で企業の多くは事業拡張を先延ばししており、インドネシア駐在外国人の住宅需要にはあまり変化が見られない。需要のマジョリティもこれまでのように、石油・日常生活必需品・鉱業・通信関連企業の駐在員で占められている。
外国人在住者が滞在場所として選ぶ人気の高いエリアは、メンテン(Menteng)・クニガン(Kuningan)・クバヨランバル(Kebayoran Baru)・ポンドッキンダ(Pondok Indah)などジャカルタ南部あるいは中央部で、高級物件の家賃は月額8千〜1万ドルにのぼる。かつて欧米人に人気の高かったクマン(Kemang)地区は交通渋滞の激化によって評判が色あせはじめており、それに代わって人気が上昇してきたのはプジャテン(Pejaten)やチランダッ(Cilandak)で、その地区では家賃相場が他よりも上昇傾向にある。
外国人在住者向け賃貸住宅はこれから需要低下がはじまるだろうと見て、家賃相場はダウンするだろうとコリエールズは予測している。特に現在入居率78〜86%というレベルのアパートメントは平均賃貸料金が月額2千2百ドルだが、家主間の値引き競争が熾烈化する見込みは小さくない。


「電圧が低下の一途」(2009年5月19日)
2008年9月22日付けコンパス紙への投書"Voltase Listrik Turun Terus"から
拝啓、編集部殿。わたしはタングラン県スルポンのレゲンシムラティマス、ブロックBに住んでいます。月曜から金曜まで毎晩わが家の電圧はどんどん低下していき、220Vになったことがありません。220Vになるのは午前6時から13時までで、午後から夕方にかけてはだいたい190V前後であり、18時を過ぎると180Vに下がり、夜が更けるにつれて160〜170Vそして翌朝未明ごろは140Vまで低下します。土曜日曜は200V程度に安定しますが、月曜の午後になるとまたダウンして行くのです。おかげでわが家の電気製品はコンピュータモニターをはじめとして故障が頻発し、大損害を蒙っています。
わたしは苦情電話123番、Eメール、スルポン地区PLN事務所への訪問や24時間コールセンターへの電話などあらゆるルートを使ってこの問題を苦情しましたが、対応は何もありません。わたしが最後に電話したとき、電話に出た職員はどうにもできないと答えたのです。解決策もなくただ現状をあきらめて受け入れるよう強いるそんな対応はまったく納得できるものではありません。
わたしはこれまでPLN顧客として、利用者に課されたすべての義務を常に果たしてきました。そうしなければ必ず罰が与えられるのです。ところが顧客としての妥当なサービスを得る権利を求めてもPLNはそれを与えてくれないのです。わたしはこの問題をいったいどこに訴えたら良いのでしょうか?[ スルポン在住、ムスティカ ]
2008年9月27日付けコンパス紙に掲載されたPLNからの回答
拝啓、編集部殿。2008年9月22日付けコンパス紙に掲載されたムスティカさんからの投書について、まず電力利用に際してのご不満にお詫び申し上げます。この問題は2007年5月に対策を講じようとした経緯があります。低圧送電網増設を検討しましたが、その工事で必要とされる電柱敷設をデベロッパーが了承しなかったために計画は延期されました。いまはデベロッパーからの承諾が得られたので、その工事計画の着手についての指示が既に出されています。障害がなければ近いうちに工事が開始され、電力利用者の苦情は解決されます。[ PLN首都タングラン配電支社タングラン地区マネージャー、ヌルマンシャ ]


「首都の不動産市場は停滞」(2009年5月27日)
ジャカルタの2009年第1四半期商業不動産セクタービジネス状況は、不況の影響で業績が前四半期から大きく落ち込んだことを不動産コンサルタントのジョーンズ ラング ラサールインドネシアが報告した。2009年1〜3月のコンドミニアム販売は700ユニットしかなく、前四半期実績の1,500ユニットから5割以上もダウンしている。賃貸アパートメントも121ユニットで前四半期から6割減となった。ショッピングセンター賃貸スペースも同様で、新規入居は28,574m2しかなく同期間の供給スペース6万3千m2は大半がブランクのまま繰り越されている。しかしCBD外のオフィススペース需要は旺盛で、TBシマトゥパン地区は前四半期の4千m2から9,723m2に跳ね上がっている。その反動でか、CBDオフィススペース賃貸面積は26%ダウンした。2009年第1四半期カテゴリー別の状況は次の通り。
ショッピングセンター(モール)賃貸スペース
新規供給 63,000m2
新規入居 28,574m2
総供給スペース 187万m2
空きスペース 351,241m2 (18.8%)
アパートメント賃貸ユニット
新規供給 520ユニット
新規入居 121ユニット
総供給ユニット 24,9387
空きユニット 9,182 (35%)
コンドミニアム
新規供給 1,040ユニット
新規入居 779ユニット
総供給ユニット 63,029
空きユニット 10,545
ショッピングセンター(モール)での賃貸スペース入居は停滞気味になっており、インドネシアショッピングセンター運営者協会会長は、2009年年間成長率は昨年の25%より低い15%程度になるだろう、と予測を語った。特にモール内で輸入品を扱っていたプティックなどはこの第1四半期に5%のスペース縮小が起こっており、輸入品販売者はきわめて厳しいビジネス環境に追い込まれていることを物語っている。ジョーンズ ラング ラサールインドネシアの調査部長は、今年一杯不動産業界の停滞は継続するだろう、とコメントしている。


「首都圏で住宅価格値動きが再開」(2009年5月28日)
ジャボデタベッ地区の新築住宅は2008年末から価格が据え置かれていたが、2009年第1四半期を過ぎたいま多くのデベロッパーが値上げを開始した。しかし値上げは2〜4%と小幅で、また特定クラスターや特定ロケーションという限られた物件に適用されており、住宅取得ローン金利率低下や市場の需要回復というポジティブな要素を踏まえてのものであるとはいえ、あまり積極的な値上げ方針の展開とは趣を異にしている。
不動産コンサルタントPT Procon Indahは、住宅販売業界の状況は3月末ごろから明るい兆しが見え始めたために一部の売りやすい物件で小幅な価格改定が始まっている、と述べている。4月終盤ではかなり多数のデベロッパーがその動きに追随しており、今年第2四半期は更に値上げの波が拡大するだろうと見られている。通常の価格上昇ペースを見るなら、四半期での値上がりは5〜6%、年間では12〜17%というのがこれまでの実績であり、2009年第1四半期の2〜4%というのは経済危機という環境を強く反映したものだそうだ。
2009年第1四半期ジャボデタベッ地区新築住宅供給は340,300ユニットで前四半期から0.7%の上昇だった。エリア別のシェアはタングラン42%、ブカシ30%、ボゴール・デポッ20%、ジャカルタ8%で、新しいクラスターを積極的に開発している住宅地区はBSD City, Citra Indah, Lippo Cikarang, Kota Legendaなどで占められている。第1四半期の新築住宅販売は前四半期から30%も低下したが、中下層の需要が根強いことからこのブラケットでの販売は伸びている。総選挙特需で金が入った階層も住宅購入を行っている。
現在のような住宅販売市場の状況は、資金に余裕のある消費者や投資家にとって有利なロケーションにある物件購入に最適な時節である、とプロコンインダは強調している。同社の調べた首都圏住宅用地価格は次の通り。
タングラン75〜600、 ジャカルタ200〜810、ボゴール・デポッ40〜350、ブカシ65〜330 (数字は平米当たり単価で単位は1万ルピア)


「エクスクルーシブマンションに泥棒が」(2009年6月1日)
2008年10月30日付けコンパス紙への投書"Apartemen Mewah Dibobol Maling"から
拝啓、編集部殿。わたしは南ジャカルタ市クニガンのベラジオアパートメントに住んでいます。ベラジオアパートメントはデベロッパーのガプラプリマグループとメトロポリタンが興したPTチトラリンガプルカサが建設し、コアホスピタリティインターナショナルがマネージメントを行なっています。居住者としてわたしはたいへん不快な体験をしました。
2008年8月20日15時ごろ、わたしの住んでいるユニットに泥棒が入ったのです。泥棒は11階にあるユニットに、警備員にも止められずリフトアクセスカードもなく、自由に出入りしたのです。これはアパートビル内警備とセキュリティシステムの弱さを物語る以外のなにものでもありません。監視カメラが建物ロビーの状況を記録していないことを事件後わたしははじめて知りました。泥棒はかさの小さくない盗品をたくさんユニットから運び出してそこを通ったことが明らかだというのに、警備員も監視カメラもまったく役に立たなかったのです。セキュリティ担当からわたしが得た情報もコロコロ変わりました。かれら自身が勝手に憶測を加えているのですから。
いま現在にいたるまで、セキュリティ担当もベラジオのマネージメントもこの事件の調査経過をまったくわたしに知らせてくれません。居住者であるわたしのほうがその報告を教えてくれるようお願いしなければならないのです。マネージメントからもらった手紙にはこの問題の処理についての誠意ある態度がまったく見られず、反対にわたしが使っている家庭プンバントゥ(女中)が悪者にされている始末です。ベラジオアパートメントはジャカルタの高級アパートのひとつですが、そのサービスは全然プロと呼べるものではありません。[ 南ジャカルタ市クニガンベラジオレシデンスアパートメント在住、リナ ]
2008年11月6日付けコンパス紙に掲載されたメトロポリタンランドからの回答
拝啓、編集部殿。リナさんからの2008年10月30日付けコンパス紙に掲載された投書に関してお伝えします。メトロポリタングループはそのアパートメントビル建設プロジェクトにおいて、所有面からも建築面からもまったく関わりを持っていません。その投書に書かれていることはデベロッパーとしての当方の面目を汚すものです。[ PTメトロポリタンランド企業広報GM、ワヒユ・スリスティオ ]
2008年11月8日付けコンパス紙に掲載されたベラジオマネージメントからの回答
拝啓、編集部殿。2008年10月30日付けコンパス紙に掲載されたリナさんからの投書について、次の通り説明いたします。2008年8月20日の事件に関して当方が行なった内部調査・リフトアクセスカード使用データ・監視カメラの記録などから得られた調査結果によれば、犯人はリナさん宅の家庭プンバントゥの許可を得てユニット内に入っています。そのあと、その家庭プンバントゥは犯人のためにタバコを買いにLG階までリフトで降りてユニットを留守にしました。そしてその家庭プンバントゥがユニット用リフトアクセスカードを使って(盗品を持った?)犯人をリフト内まで送っています。外来ゲストはリフトアクセスカードなしにロビーへも地階へも降りることができません。
その事件はリナさん自身が警察に届け出られましたので、届出者自身が警察と直接に連絡を取るべきであり、ベラジオマネージメントを含めて第三者がその間に干渉することはできません。ベラジオマネージメントは警察が必要とする情報をすべてその求めに応じて提出しています。[ ベラジオパークウエイレジデンステナントリレーションマネージャー、デデ・プラウィナタ ]


「PLNの違反摘発の罠?!」(2009年6月5日)
2008年10月20日付けコンパス紙への投書"Pemeriksaan Listrik oleh PLN"から
拝啓、編集部殿。数年前のイドゥルフィトリが近付いたころ、借家人がPLNからの通知書をわたしに差し出しました。そこには、その家の電力メーターの封印が破られているのでその問題処理のために家のオーナーにPLNチネレサービス地区事務所へ来るよう求める内容が記されていました。身に覚えがないのでPLN事務所を訪れたところ、わたしは違反を犯したので80万ルピアの罰金が科されると言われました。
わたしは封印を破った覚えがないと言い張りましたが、一介の消費者にはPLNに対抗する力などありません。PLNの支配力のほうがはるかに強く、罰金を払わなければ電力供給をストップされるだけです。結局わたしはその罰金を払いました。同じことがまた起こりましたが、今度はわたしが住んでいる家で、時期はまたイドゥルフィトリが近付いたころです。PLNからの通知書がまた突きつけられました。内容は電力メーターの封印が破られたうえ外部電線から家屋内にメーターを通さずにバイパス回路を作って電力を引き込んだというもので、立会人としてわが家の女中がサインしていますがこの娘は年齢もまだ小さくて電気のことなど何ひとつ理解していません。わたしはそのとき、たまたま家にいなかったのです。今度の罰金は470万ルピアなにがしでした。
わたしは忠実な電力利用者であり、料金支払を滞らせたこともなければ電力メーターをいじくったこともありません。ましてやメーターの封印を破って外からバイパス回路を設けるなんて、とんでもない言いがかりです。電力メーターはPLNの所有物であり、PLN利用者がそれをいじくってはならないことくらい十分に承知しています。メーター検針員が毎月やってくるし、電力メーターをいじくるのはPLN側の人間です。ところがPLNはある日突然、電力利用者が電力メーターに関する違反を行なったという通知書を突きつけてくるのです。電力メーターの検査にやってきたPLN職員が自分でメーターの封印を破りバイパス回路を設けて外から電力を引き込んでおいた可能性だってないわけではないでしょう。わたしは常に家にいるわけではありませんので。[ デポッ在住、プルナマ ]
2008年11月21日付けコンパス紙に掲載されたPLNからの回答
拝啓、編集部殿。2008年10月20日付けコンパス紙に掲載されたプルナマさんの投書について、しばらく前にチネレサービス地区事務所が行った電力利用取締で利用者にご不快を与えたならお詫び申し上げます。最初の訴えは、2007年7月7日にタティ・スパルティ二名義のカンプンガンドゥルRT07RW08にあるプルナマさん所有の家屋で検査が行なわれ、MCBの封印が破られてPLN標準品でないものが取り付けられているという現場からの報告書に従って80万ルピアの罰金が科されました。716,105ルピアの追加請求は利用者が2007年11月22日に全額支払っています。
二つ目の訴えは、2008年9月22日にカンプンガンドゥルRT08RW08の21番地にあるプルナマさんの自宅で検査が行なわれ、D区分の違反が行われた徴候が発見されました。その追加請求金額は4,750,170ルピアと見積もられています。この問題に関して分析評価を行なった結果、制御器と測定器は正常に作動しており、別回路設置は測定に影響を及ぼしていないとの結論に達しました。利用者への追加請求は行なわれません。[ PLN首都タングラン地区配電支所環境育成広報マネージャー代理、サンプルノ・マルノト ]


「ジャカルタの賃貸アパート料金が低下傾向」(2009年6月25日)
2009年第1四半期ジャカルタのアパート・コンド賃貸料金が一年前のレベルに比べて低下している。2009年第1四半期首都ジャカルタの平米当たり賃貸料金平均は、コンドミニアムが154,213ルピア、アパート170,447ルピア、サービスアパートメント215,398ルピアで、料金が低下したのは古い物件だけであり、新しいものは料金低下が起こっていない、とPTカッシュマン&ウェイクフィールドインドネシアが報告した。
それによれば、値下がりがもっとも大きいのは賃貸コンドミニアムで3.4%の値下がり率になっている。賃貸コンドは個人が所有しているものを個人に貸すという形態のもので、賃貸アパートも個人所有のものを個人に貸すという形態がほとんどだが、中には所有者が自分の住居に使っているものもある。賃貸アパートの値下がり率は0.5%だった。サービスアパートメントは建物運営者が特別なサービスを付加している賃貸アパートで、こちらの値下がり率は0.4%ともっとも小さい。


「低クオリティでも使ったら支払え!」(2009年7月17日)
2008年11月22日付けコンパス紙への投書"Pelanggan Wajib Disiplin, Kewajiban PLN Kemudian"から
拝啓、編集部殿。電力利用者に対する電力料金徴収の厳格さを顕著に改善したジャカルタの国有電力会社(PLN)クラマッジャティ(Kramat Jati)支店には脱帽です。翌月20日という料金支払期限を一日でも過ぎると、21日か22日にはPLNの業務委託を受けた係員がその家庭にやってくるのです。係員は暫定封印職務命令書を携えて支払期日に遅れた家庭にやってきて、給電を停止されたくなければ支払をその場で行なえと強制します。しかしPLN自身はいったいどんな姿勢を取っているのでしょうか?
PLNにとってこの問題は優先課題にされていないようです。わたしの住んでいる住宅地は2000年以来電圧がきわめて不安定になっています。平均すればおよそ180ボルト程度でしょうが、時に165〜170ボルトというレベルまで低下し、標準の210〜220ボルトには程遠いありさまです。そんな状況が電力利用者に損失をもたらすものであるのは言うまでもないでしょう。効率よい電気製品の使用は不可能で、スタビライザーを使っていても故障するものが出るありさまです。PLN職員との会話では、この住宅地区に変電所をもうひとつ設ければその問題は解決できるのだが、変電所のための土地がないために実現しないとのことでした。
いつまでも損失を抱えるのは愚かなことですので住宅地区住民はさまざまな解決案を努力し、デベロッパーに変電所用地を用意してもらうところまでこぎつけました。2007年中旬に変電所が姿を現したのを見て、住民たちは小躍りして喜んだものです。ところがそれは単に見せ掛けのものでしかないことを知ってみんながっかりしました。必要な機材がそろっていないためにその変電所はまだ稼動していないのです。
PLNに変電所用地を提供してからもう3年近くが過ぎようとしていますが、電圧問題はいまだに解決されておらず、標準を下回る電圧が依然として続いています。[ ブカシ在住、カロルス・ニオデ ]


「電力メーターの針と請求書の数値が違う!」(2009年7月31日)
2008年12月17日付けコンパス紙への投書"Angka Meteran Karangan PLN"から
拝啓、編集部殿。もうここ二年間というもの、タングラン市チポンドのポリスプラワッにあるわたしの二輪車修理場における国有電力会社PLNの電力使用メーター検量はまったくいい加減な仕事になっています。この修理場は8ヶ月ほど前からほとんど仕事をしていません。電力メーターの使用電力量は22166が表示されていますが、PLNの請求書には02301200という数字が記載されています。この数字はPLN側のでっち上げ数字です。わたしはこの問題を何度もPLNタングランチココルサービスエリアに抗議していますが、取り上げられたことがありません。それどころかわたしはPLNジャカルタタングラン配電支所から給電停止命令書までもらっています。2008年7月16日付けのその手紙はビジネス担当アシスタントマネージャーがサインしたものです。[ タングラン市在住、ハムリル・ウタマ ]
2009年1月10日付けコンパス紙に掲載されたPLNからの回答
拝啓、編集部殿。ハムリル・ウタマさんが訴えている2008年12月17日付けコンパス紙に掲載された投書について、タングラン市チポンドのポリスプラワッにある二輪車修理場の電力使用量問題は既に解決したことをお知らせします。12月17日にPLN職員は現場を訪問しましたが、修理場は鍵がかかっていました。翌18日に職員はハムリルさんにお会いしてその問題について話し合いを行ない、22,166kWhマイナス23,012kWhの差846kWhに該当する金額を返金することで双方が合意しました。
首都タングラン配電支所管区のメーター検量は数ヶ月前からデジタルカメラを使用する方式に変更されています。この方式によってメーターの読み間違いを減らし、顧客からのメーター数値の不当な差に関する苦情をなくすよう、当方は努力しております。[ PLN首都タングラン配電支所環境育成広報マネージャー代理、サンプルノ・マルノト ]


「首都圏の中高級住宅販売は月5百軒」(2009年8月11日)
不動産コンサルタントPTプロコンインダの調査データによれば、2009年第2四半期首都圏における住宅供給は2,008軒で前年同期実績の1,882軒から18%増加した。2009年第2四半期の住宅地開発は第1四半期に比べて安定しており、新規に立ち上げられた大型住宅地開発プロジェクトはない。このサーベイは首都圏の大型住宅地開発プロジェクト45件を対象にしており、簡易住宅は含まれていない。首都圏の住宅地面積は42,200平米あり、タングラン42%、ブカシ30%、ボゴール+デポッ20%、ジャカルタ7%という分布になっている。
2009年第1第2四半期の住宅需給状況の変動は次の通り。
新規供給 1Q:2,567軒  2Q:2,008軒 
累積供給数 1Q:340,400軒 2Q:342,500軒
累積販売数 1Q:284,400軒 2Q:285,800軒
平均月間販売数 1Q:670軒 2Q:477軒


「入居した分譲住宅はインフラがゼロ」(2009年8月25日)
2009年1月23日付けコンパス紙への投書"Aliran Listrik dengan Izin Pesta"から
拝啓、編集部殿。わたしはブカシ県セトゥ郡ブランケン村にあるブキックムニン住宅地の住宅購入者として、また隣組長として、同住宅地の生活環境整備がいつまでたっても完了しないことへの失望を表明します。この住宅地の最初のローン契約は2007年6〜7月に行なわれているというのに、地区内環境整備はいまだに完了していないのです。
電力メーターはいまだ各戸に設置されておらず、電力供給はPLNの催事電力使用許可だけがあって現在入居している50〜60軒(住宅地総戸数109軒)の需要がまかないきれておらず、ブレーカーはしょっちゅうダウンするため家庭用電気製品を傷めることが懸念されています。この住宅地デベロッパーであるPTブミティルタセナは入居者の損害を補償してくれるのでしょうか?
他にも排水システムが機能していないため、雨が降ると水溜りがあちこちにできます。住民の苦情や消費者としての権利は等閑視されています。もっとひどいのは、デベロッパーが家屋のスペックに十分注意を払わなかったために土地が陥没して家が崩れるということも起こっているのです。関係者、特に住宅ローン供与者であるBTN銀行に対処を要請します。[ ブカシ県セトゥ在住、ヌル・アルディヤント ]
2009年2月11日付けコンパス紙に掲載されたPLNからの回答
拝啓、編集部殿。2009年1月23日付けコンパス紙に掲載されたヌル・アルディヤントさんの投書について、次の通りお知らせします。PLNブカシ地区ネットワークサービス部門はヌルさんを訪問し、デベロッパーが終了工事中のブキックムニン住宅地に対する電力供給申請のフォローアップを既に行っていることを説明申し上げました。ヌルさんはその説明を納得してくださいました。ただしヌルさんが苦情していることがらはデベロッパーに対するものです。[ PLN西ジャワバンテン配電所ブカシ地区ネットワークサービス ]


「家賃は月額1万2千ドル」(2009年9月10日)
メンテンやポンドッキンダ(Pondok Indah)に借家を持っている家主の中で、外国人向けに月額1万2千ドルの家賃をオファーしている者がある。この家賃の最高金額をオファーしている家主たちは限られた土地に邸宅を構えていることをその金額の根拠にしているのだが、類似の借家スペックでもっと廉価な料金をオファーしている家主はたくさんいる、とコリエールズインターナショナルインドネシアがすっぱ抜いている。
コリエールズの地区別借家料金に関する最新サーベイデータは下の通り。
地区 最高(US$/月)、 平均(US$/月)
Menteng 12,000、 4,148
Pondok Indah 12,000、 3,539
Kebayoran Baru 10,000、 3,842
Kuningan 10,000、 3,235
Kemang 7,500、 2,847
Permata Hijau 6,000、 3,207
外国人在留者の2009年上半期借家需要では、家賃予算は家族持ちで月額2千から4千ドルという料金のレンジにあり、かれらはPondok Indah, Cilandak, Cipete, Kemangなど子供の学校に近いところを居住エリアに求めている。


「水道メーターも盗まれる」(2009年9月24日)
2009年2月17日付けコンパス紙への投書"Tagihan PAM Tanpa Meteran"から
拝啓、編集部殿。わたしは首都上水供給オペレータPT.PAMリヨネーズジャヤ(略称パリジャ)の利用者で、請求書番号は000676996です。わが家の水道メーターが2008年10月10日に盗まれたので、カポッムアラ警察署に盗難届けを出して証明書番号1976/B/X/2008/Posを発行してもらいました。2008年11月25日の水道利用料金請求額626,729ルピアは支払いました。ところが2008年12月24日に水道利用料金請求額488,679ルピア、2009年1月24日に請求額563,979ルピアというようにパリジャはわたし宛に水道利用料金の請求を続けています。メーターもないのに、いったいどうやってわが家の水道利用量を調べたのでしょうか?
2008年10月10日にメーターの盗難届をパリジャに出したとき、もうメーターを取り付けなくていいから水道を止めてくれとわたしは頼みましたが、パリジャは全然相手にしてくれません。[ ジャカルタ在住、ヒアシントゥス・パンカウィラ ]
2009年3月6日付けコンパス紙に掲載されたPT.PAMリヨネーズジャヤからの回答
拝啓、編集部殿。ヒアシントゥスさんからの2009年2月17日付けコンパス紙に掲載された投書について次の通り説明申し上げます。パリジャは2008年12月12日にヒアシントゥスさんからの水道メーター盗難届けを受領しました。パリジャ西部顧客サービス事務所担当者が現場チェックを行い、メーターがなくなっていることが確認されました。
そのとき担当者はヒアシントゥスさんに対し、地元警察署からの紛失証明書と最寄のパリジャ顧客サービス事務所での再設置料金支払がメーター再設置のための条件であることを説明しましたが、ヒアシントゥスさんは自宅への上水供給完全停止を求めたのです。それで担当者はさらに、上水供給完全停止申請書を提出してもらわなければそれはできないと伝えています。
その後ヒアシントゥスさんはダアンモゴッの顧客サービス事務所に警察の紛失証明書番号1976/B/X/2008を提出しましたがメーター再設置費用の支払いを拒んだため、当方はヒアシントゥスさん自宅でのメーター取り付け作業をまだ行なっていません。そしてヒアシントゥスさんも上水供給完全停止申請書を提出しないのです。
2009年1月21日、パリジャ西部顧客サービス事務所に顧客管理番号000676996のエリー・サディキンさんから上水供給完全停止申請書がファックスで送られてきました。家屋用地に2本の上水供給パイプが設置されているので、使用をひとつにしぼりたいというのがその理由です。パリジャのデータベースには顧客番号000676996と000676998のふたつが確かに登録されています。顧客からの完全停止申請書にもとづいて当方は顧客番号000676996の上水供給を停止し、設置されている供給設備をすべて撤去しました。
上水道メーター検針員が顧客の利用量を確定できないとき、メーターがなくなっている場合もそれに含まれるのですが、規定によって顧客に対する利用料金請求は見込み数値が使われます。2008年11月と12月のヒアシントゥスさんあて請求金額はその規定に従って過去6ヶ月間の利用量平均値が使われました。今回の問題についてはヒアシントゥスさんとの間で既に解決がなされています。[ PT.PAMリヨネーズジャヤ企業広報ヘッド、メイリタ・マリヤニ ]


「戸建住宅に住みたいインドネシア人」(2009年10月6日)
政府は低所得層向け住宅政策として積層住宅1千棟建設方針を実施しているが、都市郊外部に居住しているひとびとの大部分が積層住宅に住むことをきらっているという調査結果が明らかにされた。ちなみにインドネシアで積層住宅はアパルトメン(apartemen)とルスン(rusun=rumah susun)の二種類に分かれており、上中流層向けのものはアパルトメン、低所得層向けはルスンという呼び名で区別されている。ルスンは小さいユニットで27平米程度、大きいものは60平米くらいのものもある。
ジャカルタの郊外にあたるボデタベッ(Bodetabek)地区のロワーミドル層向け50住宅地の戸建住宅に住む5百人を対象にサイラスサーベイヤグループが2009年8月8〜19日に行ったこの調査で93%がルスンには住みたくないと表明し、ルスンに住んで都会生活に戻りたいという希望を述べたひとはわずか7%にすぎなかった。回答者はすべて床面積54平米未満の戸建住宅に住んでおり、大多数が月収250万ルピア未満だった。かれらのほとんどはジャカルタへの通勤にその月収から毎月多額の交通費を出費している。回答者の分布はボゴール県10%、ボゴール市14%、デポッ(Depok)市10%、ブカシ市28%、タングラン市26%、タングラン県12%となっている。
ルスンに住むのがいやだと答えたひとの理由は多岐に分かれているが、居住スペースの狭さがその筆頭にあがっている。明細は次の通り。
家族全員が住むのに居住スペースが不十分 22.8%
隣人との交際が不自由・困難 20.4%
階段の昇降がいや 17.9%
共同生活ファシリティの不備 13.1%
一族ファミリーが集まる場にできない 8.9%
環境が快適でない、狭く汚い 8%
回答者の60%は積層住宅購入に政府の補助金がついていることを知らなかった。結婚している回答者の91%はジャカルタ郊外のロワーミドル層向け分譲住宅地に住むことを希望していた。そして交通費の支出が大きくとも、都内のルスンに住むのはいやだと主張している。
戸建住宅に住むことに憧れる国民の志向はきわめて強く、かれらをルスンに住まわせることがたいへん難しいことがこの調査からわかる。


「分割支払い中に一方的な値上げ」(2009年10月6日)
2009年2月9日付けコンパス紙への投書"Harga Apartemen Kebagusan City"から
拝啓、編集部殿。2008年5月、南ジャカルタのクバグサン(Kebagusan)シティアパートメントプロダクトローンチングに招かれたわたしは、アパートユニットをひとつ買うことにしました。クバグサンシティのデベロッパーであるPTプルダナガプラプリマとの間でPPN込みの購入価格を178,816,000ルピアで合意し、わたしは予約フィーを支払って注文書と分割払い予定表にサインしました。
何度か分割払いを行なったあとの2008年5月30日、デベロッパーからの一方的な価格変更通知を受取ってわたしは驚いてしまいました。わたしが購入契約をしたアパートメントユニットの価格がなんと1億ルピアも値上がりしたではありませんか。わたしはデベロッパーからのその一方的な通知を承諾することができず、当初合意した価格を守るようデベロッパーに求めました。ところがデベロッパーは当初の価格を守る気がまったくありません。その価格変更は当初発売したさいにコンピュータシステムに間違いがあったためだ、とあっさり言うのです。それこそ、この販売者がプロフェッショナリズムにまったく欠けていることを物語る証拠ではありませんか。わたしは消費者としてクバグサンシティアパートメント購入に大きい失望を味わいました。
この問題に関してわたしはデベロッパーに対し、まじめに対応するよう何度も要請しており、契約を尊重して取引価格を元に戻すよう求めていますが、デベロッパー側はポジティブな反応を少しも示しません。[ デポッ在住、クリスナディ・パンチャインドラ ]


「10年間水の出ない水道」(2009年11月5日)
2009年3月31日付けコンパス紙への投書"Denda ala PAM Lyonnais Jaya"から
拝啓、編集部殿。1999年以来PT PAM リヨネーズジャヤの利用者であるわたしはこの会社にほんとうに失望しました。1999年6月に利用者になって以来、水が出たのは最初の一ヶ月だけで、その後のほとんど10年間というもの水はまったく出ないのです。それでもわたしは2000年8月までの15ヶ月間、キヤイチャリギン通りのウィスマアバディに水道基本料金を払い続けました。それはきっとある日、水が出るようになるとの期待を抱いていたからです。わたしはもう何回もこの苦情をクレームセンターに申し出ましたし、中央ジャカルタ市プトジョエンチュレッのPT PAMリヨネーズジャヤ事務所に二度も足を運びました。
何回か水道職員がわが家を訪れて水が出ないことを確認しました。かれらは「修理しなければならない個所がある」と言って帰りましたが、修理のために職員がやってきたことは一度もありません。そんなことにはまったくお構いなしに、請求書は毎月送られてくるのです。
2008年11月現在の未払い料金プラス金利プラス罰金は2,063,937ルピアとなっていますが、とても不自然でまるで腑に落ちません。10年近くまったく給水をしない水道会社に金を払うなんてまるで馬鹿げた話です。
PAMは10年間も顧客に失望を与え続けたのですから、その怠慢を顧客に謝罪するべきであり、根拠のない金利や罰金などを請求して顧客に負担を与えるべきではありません。実にPAMは技術面でのみ弱点があると思っていましたが、監督と事務の分野でも同じだったんですね。[ ジャカルタ在住、L フタジュル ]


「電気代を踏み倒した借家人の責任は家主にある」(2009年11月19日)
2009年3月20日付けコンパス紙への投書"Dituding Memakai Listrik Ilegal"から
拝啓、編集部殿。わたしはブカシ市バンタルグバンの西ジャワ配電所顧客です。わたしの貸家の借家人が3ヶ月間電力料金支払いを滞納したので、わたしに240万ルピアの罰金が科されました。わたしは不服ながらその罰金が科された滞納金を分割で支払いました。滞納金を完済した翌月2008年11月の電力料金請求金額は280,118ルピアであり、12月は112,115ルピアでした。その間わたしの家は空き家であり、電灯を2ヶ所つけていただけなので、その2ヶ月の大きな金額差はわたしにとって疑問です。
2009年1月25日、わたしはPLNから出頭を命じられたので驚きました。1月27日にPLN事務所を訪れたところ、わたしは電力不法使用を行なったと非難されました。PLN職員が検査を行なったときメーターが動かなかったというのがその理由で、追加請求決定顛末書に従って3,620,000ルピアを支払うよう命じられました。家屋内へ引き込む電線や屋外に取り付けられている電力メーターはPLNが設置したものであり、それが動いているかどうかをどうしてわたしが知り得ましょうか?PLN職員はわたしに三日の猶予を与えました。もしわたしがその追加請求に応じなければ給電を停止するのだそうです。そしてその通り三日後に給電がストップしましたが、2009年3月5日現在PLN側からは何の表明もありません。わたしはPLN職員の素人丸出しの対応にたいへん不満を抱いています。[ ブカシ在住、リリッ・ハルティニ ]
2009年4月2日付けコンパス紙に掲載されたPLNからの回答
リリッ・ハルティニさんからの2009年3月20日付けコンパス紙に掲載された投書に関してお知らせします。240万ルピアの罰金と言うのは正確ではありません。2,327,897ルピアが正しい金額で、それは罰金でなく5ヶ月間滞納された電力料金の追加請求であり、その金額は2008年11月10日に一括で支払われています。
リリッ・ハルティニさんにPLN事務所への出頭を命じたのは電力利用取締りチームの発見事項に関するもので、その問題は既に説明してあり、またリリッさんの家に住んでいるMハディラさんがサインした2009年1月25日付け顛末書の中にも記載されています。[ PLNブカシ配電サービス地区広報係、アニー・スリウラン ]


「墓地の不法居住者」(2009年12月21日)
南ジャカルタ市メンテンプロ公共墓地にあるおよそ7百の仮設建物を南ジャカルタ市墓地公園課が撤去する。これは公共墓地の本来の機能を回復させ、関係のないものを排除するのが狙いで、そこに居住している170世帯の戸主に対して同課は退去勧告を既に出している。この撤去プロジェクトに当初1.5億ルピアの予算を求める声があったが、最終的に2千万ルピアの予算が計上された。