「プティンブリウンに警戒せよ」(2017年11月27日) 去る17年11月22日に東ジャワ州シドアルジョ県でプティンブリウンが発生し、66 1軒の家屋が損傷した。この現象はまず暗黒の積乱雲が現れ、雲の下を強く冷たい風が吹 き、雷が鳴り、激しい雨が降り出す。更に太陽熱が吸収された平坦で広い場所に至ると、 風が渦を巻いて上空に立ち上る。それは海上でも陸地でも起こり、海上の場合は海水が吹 き上げられ、陸地では吸い上げる勢いに負けた物体が上空に吹き上げられて、家屋や建造 物、広告塔や立ち木に被害が出る。 最近増加している激しい雨と風はインド洋のジャワ島東部南方海域で発生している熱帯サ イクロンの影響であり、スマトラ島西部海域・バンダ海・南シナ海でも類似の状況になっ ている、と地学気候気象庁気象担当デピュティが説明した。 それはこのシーズンにスマトラ島南部〜カリマタ海峡〜ジャワ海〜スラウェシ島南部・東 南部〜バンダ海という広範なインドネシア上空で熱帯収束帯が活発化するためで、北半球 と南半球から赤道に向かって吹く貿易風が赤道周辺の低気圧によって風力を強め、熱帯収 束帯で衝突して風向を変化させるというメカニズムによっている。 中部東部ジャワからバリ〜西ヌサトゥンガラにかけては、豪雨やプティンブリウンをもた らす原因である積乱雲が発生しやすくなる。12月に入るまで、当面この状況は継続する と見られるため、スマトラ・ジャワ・バリ・ヌサトゥンガラ・スラウェシ・マルク・パプ アは警戒を絶やさないように、との警告だ。また波浪も、ニアス群島からムンタワイ群島、 ジャワ島南部インド洋で高さ1.25〜2.5mに上る可能性が高まるので警戒を怠らな いように、とのこと。 現在は乾季から雨季への移行が進んでおり、アジアモンスーンという雨をもたらす西から の風がジャワ海からジャワ島北沿岸部に吹き始めている。一方ジャワ島南部西側はオース トラリアモンスーンの残りである南からの風がまだ吹いている。 その二方向から吹く風の衝突が風向に影響をもたらして、地域によって局地的な旋風を発 生させることがある。プティンブリウンが生まれる潜在性がそこにもあるということだ。 ジャワ島は地表への日射が依然強く、12月〜2月の雨季ピークシーズンに入るまでは積 乱雲が起こりやすい。12月に本格的な雨季に入れば積乱雲も減り、プティンブリウンも おのずと減少すると期待されるとのこと。 災害対策国家庁のデータでは、プティンブリウンによる被害が年々増加しているそうだ。 2008年は166件、2010年404件、2016年663件、2017年は11月 までで624件が記録されている。被害多発地区はチラチャップ、ボゴール、ボジョヌゴ ロだそうだ。 過去16年間にプティンブリウン被害は5,247件発生し、死者398人、負傷者3, 098人、避難者301,654人、損傷家屋223,927軒となっている。 11月22日のシドアルジョでの被害は、三カ村で家屋・学校・宗教施設・村役場など6 61軒の建物が損壊し、36人が負傷し、100人が避難した。そのときの気象状況は、 風速70〜80キロ/時の烈風が東側(海側)から西に向かって吹いたが、時間は5分間 に満たなかった。 災害対策国家庁はプティンブリウン対策として国民に対し、積乱雲に注意し、冷たい風が 吹いたら程なく豪雨が降り、烈風が吹く可能性が高いので、できるだけの準備をし、あと は倒壊する可能性のあるものの近くに行かないことだ、とアドバイスしている。