「ひとみどろぼう(終)」(2018年04月04日) 北ジャカルタ市スンテル地区のマンディリ銀行ATMで77歳の老人が現金を引き出そう としていた。スロットにATMカードを入れようとするのに、どうしても入らない。する と近くにいた青年が声をかけてきた。 「何かお困りですか?」 老人は「カードが入らないんだよ」と言う。 「わたしがやってみましょうか?」と青年が申し出てきたから、老人はカードをかれにゆ だねた。青年がやってみると、カードが中に入った。青年は場所を老人に譲る。 老人が暗証番号を入れるが、機械がそのカードを受け付けない。 「多分機械の調子が狂ってるんでしょう。」 青年にそう言われて、老人は立ち去った。 翌日も老人は現金が引き出せないため、銀行にクレームした。銀行側は当然そのカードを チェックする。そしてそのカードにはデータが入っておらず、おまけに老人の口座は残高 がほとんどゼロになっていることが判明したのである。警察の捜査が始まった。 そしてわずか二日後、警察はATM詐欺グループ三人を一網打尽にした。この三人の手口 は、まずツマヨウジをスロットに仕掛けることから始まる。困った被害者がカードをゆだ ねると、オリジナルのカードはすり替えられる。被害者が打ち込む暗証番号を覗いて記憶 し、被害者が去ると一味は別のATMへ走って被害者の口座を空にするというやり方だ。 ATM機周辺にはふたりが出張り、ひとりは車の運転手役で駐車場でスタンバイする。A TM機のふたりは適宜協力して被害者を信用させ、獲物にするというのが一味の手口だっ た。 警察は、「ATM機の周辺では、見知らぬ他人を信用して手伝ってもらうようなことをし ては絶対にいけません。」と、この事件の記者会見で一般市民に警告した。[ 完 ]