「5月22日暴動は陽動作戦か?」(2019年06月03日) 国家警察は、19年5月21日深夜から22日夕方までジャカルタの一部地区で継続した 暴動の陰に、国家要人の暗殺計画が組まれていたことを明らかにした。 国家警察広報部長は19年5月27日に記者発表を行い、21〜22日の騒擾の中でプロ ヴォカトルの容疑で逮捕された者の中の拳銃を所持していた人間に対する集中的取調べの 結果判明した暗殺計画の追跡捜査を行い、関係者6人を個別に6カ所で逮捕したことを公 表した。 暗殺計画に関わったのは三つのグループで、442人が騒擾に加わり、3人がアチェから 違法銃器を移送し、要人襲撃には30人が補佐に当たるというような計画が組まれていた らしい。計画の中心人物はHで、銃器の調達と暗殺者探しを受け持ち、暗殺者が見つから なければ自らがその役割を買って出ることにしていたとのことだ。警察は中央ジャカルタ 市チキニのホテルで5月21日に早々とHを逮捕している。続いてその計画のために雇わ れたプロの殺し屋ふたりが逮捕された。 5月24日、警察は計画の中核に位置するTをボゴールで逮捕した。TもHと類似の立場 で動いており、Hは計画立案者から1.5億ルピア、Tは5千5百万ルピアを事前に受け 取っている。最初、かれらに指示された暗殺ターゲットの国家要人はふたりだったが、そ のあと、もうふたりが追加されたために、暗殺の魔手は四人に対して死の爪先を向けてい たことになる。 Tの後に逮捕されたふたりは違法銃器をかれらに売り渡した者で、ひとりはHに手製銃3 丁を2,650万ルピアで売り、もうひとりは女性で、Hに違法銃を5千万ルピアで売り 渡している。この女性はプラボウォ+サンディ組を支援しているグンパルという組織の中 で、かつて幹部を務めた経歴を持っている。 殺し屋たちは事前にターゲットの家を数回下見して、犯行時の行動計画を練り上げていた ようだ。殺し屋2人はそれぞれが5百万ルピアを受け取っている。 HとTに行動のための資金を供与した者の名前は既に判明していると警察は述べているが、 詳細の公表はまだ先になりそうだ。警察が明らかにしたのは、Hに渡された1.5億ルピ アがシンガポールドル現金だったことで、政財界のエリート的立場の人間が闇の目的のた めに取る常套手段のひとつがその種の行為であることから、資金供与者は普通の市民でな いことがそこからうかがえる、と警察はコメントしている。 5月21日に先立つ5月17日、国家警察は元陸軍戦略コマンド参謀長のキフラン・ゼン 少将を出頭させて取調べを行ったが、そのときに国家転覆罪容疑という言葉がメディアに 流れた。その後、容疑は違法銃器の不法所持に変わっており、取調べはいまだに継続して いる。 それとは別に、ダエシュを信奉するある組織の上層部数人が、21〜22日の騒擾に関わ ったとして逮捕されている。 27日の記者発表で明らかにされなかった4人の国家要人の名前を、翌28日に国家警察 長官が公表した。それによれば、ウィラント政治法律治安統括大臣、ブディ・グナワン国 家諜報庁長官、ルフッ・ビンサル・パンジャイタン海洋統括大臣、ゴリス・メレ諜報治安 担当大統領特別スタッフがその四人であり、四人が四人共に国軍もしくは国家警察の指導 的ポジションをその経歴に持っている。 奇しくも、プラボウォ・スビヤント氏もオルバレジームで陸軍の指導的位置にいた経歴を 持つ人物であり、イスラム原理主義的ラディカリズムとはまた別の要因が焦げ臭さいにお いを発散させているような雰囲気をそこに感じるのは、わたしだけではあるまい。