「ジャカルタで勝つには(後)」(2019年06月27日) どうして変わってしまうのか?その矛盾は起こるべくして起こっているのだと、フレンド リーな人々の住む地方部の有力者は物語った。「ジャカルタへ働きに出る若者たちは、み んな周囲の人間にこう言われる。あっちへ行ったら、おまえは猛々しくして怖がられるよ うに振舞わなきゃいかん。」 首都のジャングルで勝ち残れる人間は、根性に満ち、度胸にあふれ、闘争的で他人が怖が るような者だけだ。心の弱く優しい人間は、敗者となって終わる。強情さ・創造性・タフ ・粘り強さ・勝つ意欲などが首都で働く者にとっての必需品の一部なのである。 そうであればこそ、歩道やあってはならない場所を占拠して物売りするカキリマ商人に対 して、どんな貼り紙を置こうが何の役にも立たないのは当たり前なのであり、同様に、オ ンラインオジェッ運転手が環境秩序を乱そうがおかまいなしに、乗客が来やすい場所で群 れをなすのも当たり前なのである。 行政警察が手入れを行ってからしばらくの間は、秩序整然たる姿が見られるだろう。それ が過ぎると再び元の木阿弥になる。法規確立を緩めている印象の強い都庁の姿勢は、カキ リマ商人を至る所にはびこらせている。 オルバ期以来、ジャカルタは夏の虫を呼び寄せる灯火になった。帰省シーズンになると、 自分はジャカルタで成功しているという姿を帰省者は故郷で示そうとする。地方都市は突 然Bナンバーの四輪車であふれかえる。その車がレンタカーなのか、ローンがどこまで支 払われているのか、誰にも分らない。帰省者の一挙主一投足が故郷の住民にとっての宣伝 広告になる。上京して一旗挙げるのだ、と。 ルバラン帰省逆流に対して毎年行われていた遵法作戦をアニス・バスウェダン都知事は廃 止した。都知事は地方部住民に対し、どうぞジャカルタへやってきて一旗挙げ、より良い 暮らしを獲得してくださいと勧めている。 地方部に住んでいる兄弟たちに知らせておく必要があるだろう。今や首都はますます酷薄 の度を高めているということを。強情さ・度胸・面の皮などが必須条件であり、何でもが 金になるということであっても、ジャカルタは元来のものほど美しくなくなっている。今 や、ジャカルタよりも自分の故郷を活性化させ、発展させる時代が来ているのだ。地方部 でのサクセスストーリーも増加しているではないか。 ジャカルタの街から首都が移転されるというニュースの中で、このメトロポリタン都市は この先、魅力的であり続けるかどうかは保証の限りでない。この豊かで広大な国にとって、 ジャカルタだけが背骨であり続ける必要はないのである。[ 完 ]