「グヌンデンポ茶(後)」(2020年08月13日)

生産量は一日40トン、年間で1.4〜1.7万トンの未乾燥茶葉は、加工されて3,6
00から4,250トンの乾燥茶葉製品になる。それらの9割がインドとヨーロッパに輸
出されて、それらの国で生産される紅茶にブレンドされる。残る1割はほとんどが低品質
茶で、国内メーカーの製品に使われて国内市場に出る。もちろん国内メーカーが低品質茶
だけの商品を市場に流すわけがなく、高品質茶にブレンドして商品を作っているから、み
んなそれなりの味わいにはなっている。品質の高低というのは相対的な話だ。

Gunung Dempoブランドを付けて市場に出るのは0.5%ほどで、それもパガララム周辺で
しか販売されておらず、州都のパレンバンで探してもなかなか見つけることができない。

第7ヌサンタラ農園会社の生産する茶葉は下流産業向け素材が意図されているため、市場
向け商品の生産が本流になっておらず、必然的にそのような現象になって現れる。パガラ
ラムのホテルや役所などでも地元産の紅茶がまったく使われていない。ホテルに置かれて
いるのは国産マスプロメーカーの紅茶だから、何をか言わんやだろう。


農園では、午前6時ごろに老若の茶摘み娘たちが農園内の道路に集まって来る。ゴム短靴
を履き、円錐形の竹編み笠をかぶり、全身を包む衣服の上からプラシートをかぶり、背に
は大きな籠を背負うのがかの女たちの作業姿。プラシートは濡れた茶木の間を通り抜ける
時に備えてのもの。

やってきたオープンデッキのトラックに乗り込むと、トラックは農園内のその日の作業地
区までかの女らを運ぶ。作業地区が近ければ徒歩で行く。現場に着けば、かの女らは一斉
に車から降りて誰に指揮されることもなく作業を始める。

作業はだいたい午前11時ごろに終わる。いっぱいになった籠を道路脇に置いて、収集車
がやってくるのを待つ。やってきた収集車は籠ごとに重さを測定して記録する。賃金はま
とめられて月に一回支払われる。


デンポ山をはさんで西にあるブンクル州のデンポ山麓にも茶農園がある。クパヒアン
Kepahiang県カバウエタンKabawetan村の2千Haに及ぶ農園は、東山麓の農園よりもっと
歴史が古い。オランダ資本の農園会社がそこで事業を開始したのは1925年のことで、
似たような歴史の流れを経て現在は民間企業PTサラナマンディリムッティの所有になっ
ている。

同社は1989年に古くなった茶木を植え替えた。植え替え前はHa当たり1.5トンし
かなかった茶葉は、植え替え後8トンに大幅上昇したそうだ。この農園は採れた茶葉をバ
ンドンに送って加工し、すべて輸出しているとの話だ。

やはり同じ地区に外国投資法企業PTトリスラが経営する2千Haの茶農園があり、ルジ
ャンルボンRejang Lebong県ブルマニフルBermani Hulu郡には6百Haを擁するPTアグ
ラテブキッダウン農園もある。それらの企業は同じように製品をバンドンに送って加工し、
輸出している。

デンポ山の東も西も、個性的な茶葉を生んで世界的紅茶メーカーの製品の中に混ぜられて
いるようだ。インドネシアではやはり、御産地茶葉を味わいたければ、生産地を訪問する
しかないのかもしれない。[ 完 ]