「不法在留外国人取締」(2016年10月19日) 法務人権省北スラウェシ地方事務所外国人監視チームが北スラウェシ州ビトゥン市でひと 月間に26人の不法在留外国人を逮捕した。この26人はビトゥン市イミグレーション事 務所に拘留されて取調べを受けている。かれらはインドネシア国籍でなくフィリピン国籍 であると見られており、インドネシアの在留許可関連書類を持っておらず、またパスポー トも持っていない。ところがかれらの一部はビトゥン市のKTP(住民証明書)を持って いることから、その入手経路についても取調べが広げられている。 先に駐フィリピンインドネシア大使が北スラウェシ州知事に面会して伝えたところによれ ば、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が国内麻薬犯罪撲滅のために激しい措置を 執っているため、その措置の対象者がフィリピンから北スラウェシ州に逃亡して来ること が懸念されており、北スラウェシ州は特に警戒を強めるよう要請されている。 それとは別に、昔からフィリピン漁民が行ってきたインドネシア領海内での密漁/盗漁の 関連で、フィリピン人漁船乗組員がインドネシア国籍者になりすまして北スラウェシ州に 上陸することも一般的に行われており、拘留されたフィリピン国籍者と見られている26 人に対する取調べはそれらのふたつの容疑を中心にして進められている。前者の関連であ るなら、逃亡と共にインドネシアへナルコバを持ち込んでいる可能性が高い。 ところが、26人の大半は自らをサギヘ(Sangihe)諸島の地元漁民であると主張しており、 インドネシア政府にとっては泣き所を衝かれて問題の白黒がつけにくい状況に追い込まれ ていることも事実だ。 ミンダナオ島に近いサギヘ諸島住民は古い時代からミンダナオ島との深い交流の中にあっ たことから、マナドやビトゥンよりもミンダナオへの依存度が大きく、人間の移動にもそ ちらの方が太い流れを形成して来た。現代国民管理行政が開始されたとき、自国内に住み 着いている隣国領土の原住民を自国民にするかしないかは、その時代の国際情勢と為政者 の考え方次第だろう。最終的にミンダナオに先祖代々居住してきたサギヘ島民およそ1千 人は、フィリピン国籍を与えられることなく居留許可だけを得てきた。その一方で、かれ らの中にインドネシア国籍を得ようとする意欲も小さかったことから、sapiと呼ばれる無 国籍者が生まれることになった。sapiとはSAngihe-PHIlippinesのアクロニムで、SAPHIが インドネシアではサピと発音され、その発音に従ってSAPIと綴られている。 26人が本当にサピであるなら密漁/盗漁に関わっている可能性が大きく、そうでないな らサピを隠れみのにした麻薬犯罪関係者なのかもしれない。そのあたりの真実は追々明ら かになっていくにちがいない。 ジャカルタでも、北ジャカルタ市スンテル地区にあるアパルトメンスンテルパークビュー 住民に対するイミグレーション取締が16年10月12日に実施され、ナイジェリア人と モザンビーク人合計13人が逮捕された。そのうちの8人は在留許可を持っておらず、不 法居留者と判定された。残る5人は入国許可の期限内にあるため、イミグレーション法規 関連の違反者ではないが、インドネシア国民に対する迷惑行為があったことから、その点 に関する取調べが行われている。 このイミグレーション取締はインドネシア国民であるアパートメント住民数人からの訴え に応じて行われたもので、訴え内容はアパートメント住民がリフト内や通路で外国人から 迷惑な行為を蒙ったというもの。 北ジャカルタ一級イミグレーション事務所はイミグレ法規違反の8人を本国に強制送還す る意向。